平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
 請願陳情受理番号第17号、第30号及び第35号の不採択に対する反対討論を行います。
 請願陳情受理番号第17号は、子ども・子育て新システムの導入に反対し、現行保育制度の拡充を求める意見書提出を求める請願であります。
 現在、政府が進めようとしている新たな保育制度案、子ども・子育て新システムは、すべての子供に切れ目のないサービスを保障するとしていますが、そこには二つの重大な問題があります。
 一つは、それぞれの理念のもとで営々と実践を積み重ねてきた幼稚園や保育所を、これまでの経緯や現場の状況を踏まえた十分な論議もせずに一体化しようとしているところであり、もう一つは、児童福祉制度として機能してきた現行保育制度の解体であります。
 新システムでは、第1に、児童福祉法第24条に基づく市町村の保育実施責任を大幅に後退させるものであり、市町村は保育が必要であるかどうかを認定するだけになります。市町村は保育所入所に責任を持たず、保護者は保育所を自力で探し、直接契約をしなければなりません。
 第2に、国の定める最低基準がなくなり、保育の地域格差が一層広がるだけでなく、子供の命、安全が危険にさらされます。さらに、規制緩和により、子供を営利優先の商業主義の手段とするような事業者の参入に歯どめがかけられなくなります。
 第3に、保育料は、保護者の所得にかかわず、利用すればするほど負担がふえる仕組み、応益負担になります。そのため、所得が低い家庭は必要な保育が受けられなくなってしまいます。
 第4に、このシステムでは保育所の経営が不安定になり、保育者のパート、非正規化など労働条件の悪化も避けられません。その結果、保育の質が低下し、子供の健やかな育ちを保障することができなくなります。
 今必要なことは、新システムの導入ではなく、国と自治体の責任で、保育、子育て支援施策を拡充し、十分な財源を確保すること等、すべての子供に質の高い保育と支援を保障するための公的保育制度の拡充、改革であります。政府が新システム案を撤回し、国と自治体が責任を負う現行保育制度を拡充することを強く求めます。
 請願陳情受理番号第30号は消費税率引き上げの中止を求める請願であり、第35号は消費税増税に反対する請願であります。
 私たちの暮らしを取り巻く状況は大変厳しく、正規の仕事が見つからないと必死に探す若者や、収入がふえないのに子供たちにお金がかかってやりくりが大変な子育て世代、今の年金でもやっとの生活なのに、年々減り続ける年金政策に生きる気力をなくしたと嘆く高齢者等、どの年代も将来に不安を抱えながら、消費を控え、やりくりをして生活しています。
 被災地や被災者はもっと大変な状況にあります。義援金や生活支援の援助金も、これからの生活を考えると使えない、雇用保険が切れても次の仕事のめどが立たない、資金が足りなくて店を再開できないなど、必死の生活が続いています。
 このような状況のときに、政府は、社会保障と税の一体改革大綱を閣議決定しました。それによると、社会保障の内容を現行より切り下げ、現行5%の消費税を2014年4月に8%に、翌年10月に10%に引き上げる内容になっています。これでは、国民は二重に負担を強いられ、先行き不安が増すことになります。もともと消費税は逆進性が高く、収入の低い人ほど負担が重い不公平な税金で、税率が上がれば上がるほど弱者の負担が増し、格差が拡大する要素を持っています。
 東日本大震災によって未曾有の被害を受け、被災者や国民が生活に不安を持ち、さらに消費が落ち込んでいるときの消費税増税は、ますます経済を冷え込ませると専門家は警鐘を鳴らしています。1997年に消費税を3%から5%に引き上げたときに、回復基調にあった景気が一気に冷え込んだ教訓もあり、景気後退は税収をさらに減らすことにもつながります。そして、何よりも、事業や生活を懸命に再建しようと頑張っている被災地の事業者や被災者にも大打撃を与えます。
 以上のことから、政府には、被災地を含めた国民の生活の実態を把握し、消費税増税ではなく、国民が安心して暮らしていける政策を求めます。そのために、徹底して財政の無駄を省き、国の基礎になる歳入歳出のあり方や税金の応能負担についても時間をかけた議論を望み、拙速に消費税増税に財源を求める政策には反対であります。
 以上申し上げ、各請願不採択に対する反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、高田一郎君。
   〔1番高田一郎君登壇〕

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