平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇38番(小野寺好君) 公明党小野寺好であります。
 議案第65号平成23年度一般会計補正予算(第10号)等について伺います。
 1、商工観光施設災害復旧費、中小企業等復旧・復興支援事業ですが、いわゆるグループ企業に対する補助金、これは被災地の復興にとても有効で、これまで3次募集まで行い、30グループ295社、436億円を手当てしたとのことであります。今回の補正ではどの程度行き渡るのか。また、今回も選に漏れた場合、平成24年度も予定されているかどうか伺います。
 2、中小企業振興費、中小企業被災資産復旧事業費補助について伺います。
 家族だけ、あるいは数人の従業員だけで仕事をしているような場合、これは具体的に大船渡の小さいお菓子屋さんから言われたんですけれども、プレゼンとか綿密な事業計画、こういったものをとてもつくることができない。こういったところに対してはこれを活用できるものかどうか伺います。
 3、議案第87号にも関連しますが、予防費について伺います。
 公明党は、我が国のワクチン後進国という汚名を返上しようと、これまで各種ワクチン接種を促進してきました。しかし、効果が疑問だとか副作用云々というネガティブキャンペーンにも追いかけられてまいりましたけれども、現在、そのような懸念があるかどうか伺います。補正前270万円で今回5億円余と主客逆転するわけですけれども、これはどういうことなのか。
 4、子宮頸がん等ワクチン接種促進臨時特例基金条例、これは平成25年6月30日まで延期しようとするものですが、ワクチン接種促進は本来恒常的に行われるべきもので、この時期に生まれ合わせた世代だけが得をする、こういうのでは公平な行政とは言えないと思います。今後の方針はいかがでしょうか。
 ついでにお伺いしたいんですけれども、今、医療機関に行きますと、掲示板に高齢者用肺炎球菌ワクチンは3月まで無料です、このように目立つ赤いポスターが張られております。これは現在どのような状況になっているかあわせてお伺いしたいと思います。
 5、議案第93号、有効期限を平成25年9月30日まで延期しようとする妊婦健康診査臨時特例基金条例に関連して伺います。
 厚生労働省は昨年4月、妊婦健康診査公費負担の全国状況調査を行いましたが、これは大震災直後で、被災3県は除かれました。公表された結果によりますとすべての市区町村で14回以上実施されていて、公費負担の全国平均は9万4、581円、このようになっております。なお、国例示の標準的な検査項目すべてを実施しているのは全1、286市区町村のうち61.6%で、血液検査の一部や子宮頸がん検診を実施していない自治体も結構あります。厚生労働省に報告せずとも県はある程度掌握しているのではないかと思いますが、本県の状況はいかがでしょうか。
 公表された平成23年12月20日の課長通知では、妊婦の健康管理の充実及び経済的負担の軽減を図り、安心して妊娠、出産できる体制を確保するため、一層の公費負担の充実を図られるよう周知徹底をお願いする、このようにあります。期限後の来年10月以降、この方針はいかがでしょうか、伺います。
 6、議案第97号高等学校生徒等修学等支援基金条例について伺います。
 国の臨時特例交付金による47億円余の基金積み増しですが、どのような支出予定になるか伺います。
 かつて麻生内閣当時、リーマンショックを初めとする経済、雇用状況の急激な悪化により、経済的理由で高校生が学業を断念することのないようにと平成21年の補正予算で造成された基金486億円で全都道府県に基金条例ができました。本県では、昨年6月臨時会で名称と内容を変更し、さらに今回、国の補正予算第3号で189億円措置されての県予算でありますが、対象を生徒だけでなく私立学校の整備費にまで拡大したのはどのような理由からでしょうか。
 公明党は、平成22年の高校無償化法案の採決において、負担増になる家庭に救済措置を講じることを条件にこれに賛成いたしました。このときの民主党の政策では、特定扶養控除を縮減した結果、それまで学費負担が低かった定時制、通信制、特別支援学校の子供たち約26万人の家庭では逆に負担増になるからであります。そのため、既に麻生内閣当時に国の拠出で各都道府県に設置されていた高校生修学支援基金を活用して、貸与条件の緩和、貸与額の増加あるいは将来の返済の猶予、減免を図ることといたしました。しかし、これが民主党内閣では措置されず、昨年平成23年末の年末調整から影響が出てきていると言います。
 昨年の大震災後に名称を変えた本県の高等学校生徒等修学等支援基金条例の運用実態はどうなっているか。特に高校の特別支援学校にお子さんを通わせている世帯についてはいかがかお伺いいたします。
 文部科学省初等中等教育局長から都道府県教育委員会に高校生修学支援基金事業の要領改正という通知が出され、特定扶養控除の見直しにより負担増になった世帯にプラスで奨学金を出せます、免除してもいいです、それも基金からきちんと全部手当てします、このように通知がありました。この通知に関する本県の対応状況を伺います。
 なお、国のいわゆる高校無償化法の附帯決議で、3年後の見直しの際は経済的負担の軽減の状況を勘案し必要な措置を講ずるとしていますが、本県の状況はいかがでしょうか、重ねてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
 子宮頸がん等ワクチン接種の今後の方針等についてでありますが、県としては、これまで子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌を含むワクチン予防接種について、法に基づく定期接種化とその財源確保、また、早期の定期接種化が困難である場合の事業延長を要望していたところでありますが、国においては予防接種法が改正されず、平成24年度まで1年間の事業延長が図られたところであります。現在、国では予防接種制度の見直し作業が行われ、これらを恒久的な制度として予防接種法に位置づけることを検討していると伺っており、今後、その動向を注視し、必要な提言を行っていきたいと思います。
 次に、高齢者用肺炎球菌ワクチンの状況についてでありますが、本事業は、日本赤十字社が海外救援金を財源とし、岩手県医師会及び岩手県医療局と共同でワクチン接種を実施している事業であり、県としては、本事業の県民への周知や相談対応等の役割を果たしております。
 本事業では、高齢者用肺炎球菌ワクチンの接種対象者を県内の70歳以上の高齢者としており、接種率等を勘案して全県分で17万人分のワクチン接種を見込んでいます。接種状況については、岩手県医師会及び岩手県医療局の情報によると、昨年11月から本年1月末までに11万人弱がワクチンを接種したものと承知しております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、いわゆるグループ補助金についてでございます。
 今次議会で補正しておりますが、これは財源調整のみでございますので、冒頭、議員のほうから御案内があった30グループ295社、436億円の内容に変更するものではございません。これまで申請のあった事業者、申請額に対して、実質的に申請額の7割をカバーしている状態でございます。また、平成24年度については当初予算で約150億円を計上しており、引き続き事業の推進に努めてまいります。
 次に、中小企業被災資産復旧事業費補助についてでございますが、これにつきましても、自社で事業計画を立てることが難しい小規模な事業者に対しましては、商工会や商工会議所などの支援機関におきまして、窓口を設けまして事業費補助の計画策定の相談に懇切丁寧に応じるなどの体制を整えております。したがいまして、どんな方でも事業の採択の準備が整うような体制は整えて待っております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、予防費に関し、ワクチン接種の効果等についてでありますが、昨年3月、小児用肺炎球菌及びヒブワクチンの同時接種による死亡事例の情報が流れたことにより一時的に接種が差し控えられましたが、その後、専門家による評価で安全性上の懸念はないとされまして、平成23年4月1日から接種が開催されているところでございます。
 次に、当初予算額と補正予算額との関係についてでありますが、この事業について、国からの交付金を県に造成した子宮頸がん等ワクチン接種促進臨時特例基金に一たん積み立てて、各事業年度に所要額を取り崩して市町村に補助するという仕組みになっています。平成22年度末基金残高は11億円余ありまして、平成23年度は9億円余を取り崩すこととしております。
 御指摘の積立金についてでありますが、当初予算では基金運用に伴う利息分270万円余を計上していたところでありまして、今般の補正予算では、平成24年度─来年度のワクチン接種の財源として国から5億円余の交付金が交付されるということで、これを計上させていただいたものでございます。今般、この5億円余の基金を積み立てることによりまして平成23年度末の基金の積立額は7億円余となりますが、別途、措置をお願いいたします平成24年度当初予算において5億8、000万円余を取り崩し、執行することと考えてございます。
 次に、妊婦健康診査臨時特例基金条例についてでありますが、平成23年4月1日現在時点の本県の妊婦健康診査の実施状況等を見ますと、県内すべての市町村で14回実施されており、その公費負担額の平均は8万9、431円となっております。
 また、沿岸部の1町で子宮頸がん検診が実施されていない状況にありますが、他の市町村では国で例示している標準的な検査項目のすべてを実施しているところでございます。
 なお、今回の条例改正は、条例の有効期限を平成25年9月30日まで延長しようとするものでありますが、これは、国の第4次補正予算により、平成24年3月までとされていた基金による事業実施期限が平成25年3月まで延長されましたことから、事業終了後の基金の清算期間等も勘案しまして、基金の設置期限を平成25年9月まで延長しようとするものであります。このため、この事業の着実な実施と一層の公費負担の充実について市町村への周知を図るとともに、この妊婦健康診査の公費負担を恒久的な制度として平成25年度以降も継続できるよう、引き続き国に要望していきたいと考えております。
〇総務部長(加藤主税君) 高等学校生徒等修学等支援基金条例の対象拡大、私立学校の整備も含めた理由についてでございますが、今回、本条例の改正により対象とする事業内容でございますが、震災を起因とする事情により生徒納付金収入が減少した私立学校への減収補てん、専修学校等における放射線対策、生徒募集及び就職支援などの取り組みへの支援ということでございます。私立高等学校等におきまして、在校生や来年度以降の入学生が安心して学ぶことができる教育環境を整備し、質の高い教育を維持していくため対象を拡大するものでございます。
 次に、高等学校の無償化に関しまして、私立高等学校生徒等の経済的負担の軽減の状況についてでございます。
 本県の私立高等学校における経済的理由による退学者の数でございますが、修学支援金制度開始前の5年間は年平均12.2人でございました。これに対しまして、制度開始後の平成22年度はゼロ、本年度は、1月末までの数字でございますが2人となっておりまして、こうした面で大きな効果があったと考えております。このため、県としましては制度の継続を国に求めている、こういう立場でございます。
〇教育長(菅野洋樹君) まず、基金47億円余の内訳についてでありますが、経済的に修学が困難な高等学校等の生徒に対する教育機会の確保に資するために行う奨学金事業や私立学校に係る授業料減免事業の分として6、600万円余、東日本大震災津波により被災し就学困難となった幼児、児童及び生徒に対する就園・就学援助事業や奨学金事業などのために39億1、000万円余、さらに、私立高等学校等に対する運営費補助や教育環境整備補助として7億4、000万円余をそれぞれ計上しているところでございます。
 次に、高等学校生徒等修学等支援基金の運用状況についてでありますが、県では平成21年度以降この基金を取り崩しまして、経済的な理由により修学が困難な高等学校等の生徒に対し、財団法人岩手育英奨学会を通じて奨学金の貸与を行っております。平成23年度の実績について申し上げますと、3月までの貸与人員及び貸与予定額は1、688人、4億6、000万円余と見込んでおります。特別支援学校の高等部の生徒につきましては、いわゆる就学奨励費が支給されていることなどもあり、現時点においては奨学金の貸与実績はございません。
 次に、いわゆる国の要領改正への対応についてでありますが、当時、この基金が単年度限りのものであったこと、また、文部科学省からの通知を受けたのが4月中旬であったことから、単年度限りの、しかも年度途中での奨学金の貸与額の変更や減免制度を設けることは困難と考え、導入を見送ったものであります。文部科学省の調査によれば、他の都道府県においても導入事例はないとのことであります。
 ただ、国の第3次補正において、基金の期限の3年間の延長と交付金の積み増しが行われ一定程度の期間と財源が措置されましたことから、低所得世帯の生徒及び特定扶養控除の見直しに伴い負担増が見込まれる生徒に対する返還時の負担軽減制度の導入実現に向け、現在、奨学金事業の実施主体団体である財団法人岩手育英奨学会と協議を進めているところでございます。
 最後に、高校無償化の見直しについてでありますが、高校授業料無償化により保護者の経済的な負担が軽減されているものと考えているところであり、特に、東日本大震災津波の被災地である本県においては、この制度の見直しにより、保護者の経済的負担の増加による就学環境の悪化が懸念されるところであります。このため、国に対して、現行制度を継続するよう強く要望しているところであります。
〇議長(佐々木博君) 次に、工藤勝博君。

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