平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(小泉光男君) 無所属の小泉光男でございます。
 2月定例会一般質問の最終日、最終登壇者としての役割をお与えいただき、議員の皆様、県当局、そして議会事務局の皆様に感謝しつつ、一般質問お疲れさまでしたとのねぎらいの言葉を差し上げます。どうぞ、もう少しだけ小泉におつき合いくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 本題に入ります。
 昨年は、一千年に一度とも言われる未曾有の東日本大震災に見舞われ、あの忌まわしい日から1年になろうとしています。私は、震災直後5回ほど沿岸各地へ出向き、炊き出しのお手伝いをしたことで、被災地への思い入れも人一倍持っていると自負しております。歯を食いしばって懸命に生きようとする沿岸被災者との触れ合い、完全復興を心から応援しております。
 同時に、復興に立ち向かう行政側も、全員が未知の体験、出来事であろう状況下、我が県土の復興に尽力してきた県当局や沿岸市町村並びに自衛隊や警察など全国から派遣された応援部隊等の関係各位に対し、衷心より敬意を表します。本当にありがとうございます。
 さて、ことしで4回目の辰年を迎えた年男、達増知事は、1月3日付岩手日報との新春インタビューなどで、復興元年、一年の計は沿岸にありと表明され、仕事初めは被災地釜石市からスタートするなど、県民の思いをそんたくされた行動で、深く賛同するものであります。
 その平成24年も本日で6分の1が過ぎます。2月定例会初日における知事の所信表明をお聞きし、平成24年度一般当初予算や復興基本計画、いわて県民計画第2期アクションプラン等にも目を通し、新しい副知事体制のもと、達増知事が年初に誓われた意気込みや県の姿勢が県民に伝わるボリュームのある内容だと評価しております。
 一方、復興は向こう10年以上にわたる忍耐と我慢を余儀なくされる苦難の道のりであり、完全復興を果たすためには、トップの果敢な決断が避けられません。達増知事には、歴史上の織田信長が断行したように、まず、古いもの、しがらみ、既得権はことごとく壊し、新しい仕組みをつくる宣言こそが必要ではないでしょうか。司馬遼太郎ふうにまとめるならば、この県の形をどのようにしたいか、具体的な質問を通してわかりやすく県民に説明を求めるものであります。
 以下、通告に従って順次質問いたします。
 まず、被災地の復興について伺います。
 あすから運命の3月、3.11大津波襲来から丸1年を迎えます。しかし、復興計画に掲げた暮らしの再建も、なりわいの再生も、緒についたとは言えないのが現実です。ともかく復興の出立となる瓦れき撤去が一向に進まない、それゆえ暮らしの再建の取っかかりとなる震災地域の買い上げもいまだ白紙状態であります。被災者が必死に生きていくための暮らしの再建となりわいの再生、特にも水産業や漁業の立ち直りがおくれております。
 県知事が今月上旬仙台で開かれた東北サミットの席上述べられたように、根本的には国が責任を持って対処すべきことを強く訴え続けるべきであります。
 また、本格的復興のすべての基礎となる新しいまちづくりに向け、各地で地域住民との話し合いが始まったところですが、さまざまな御意見があり、被災市町村は御苦労されていると伺っております。
 その一方、まちづくりの主要な手段となる復興交付金事業は、平成27年度末までとされており、具体のまちづくり計画や復興整備計画の策定を急がなければならない時期が来ております。暮らしの再建も、なりわいの再生も、新たなまちづくりが進まないことには前進しません。
 復興特区法に基づく復興整備計画は、被災市町村等が策定することとなっております。このような状況にあって、早期の計画策定に向け、被災市町村に対する支援の一層の充実強化を図るべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、復興関連に際して、これまでの質問者がだれも触れなかった復興の副作用について、一言言いたいことがあります。
 復興の槌音が全く聞こえない中で、ちまたでは、昨年末以来、仙台の国分町など歓楽街がやたらはやっていると報道されています。平成24年度当初予算のうち、震災対応分は、通常分に加え約4、651億円も注がれます。ということは、未曾有の災害を奇貨として、復興予算を踏み台に焼け太りをもくろむ者の出現も予想されます。
 例えば、施工業者による人件費や材料経費の過大なかさ上げ、仕事を求める業者への弱みにつけ込み、賄賂やキックバックの要求など、よこしまな考えを持つ人にとっては、ぬれ手でアワの一もうけのチャンス。多額な震災向け公費は、商道徳の荒廃、腐敗、汚職などの温床になりやすく、増額変更を利用した盛岡市道路工事収賄事件に発展した事案で明るみになったように、悪知恵の越後屋と悪代官の出現は許さない、特段の透明性を確保する必要があると思うのであります。この点に対して防止策などは講じているのでしょうか。
 次に、農林業の振興について伺います。
 岩手の重要産業である農林業の地位低下が叫ばれ、県も多額な補助金をつぎ込んで対策を講じてまいりましたが、一向に歯どめがかかりません。農業所得がふえない、営農者の高齢化と相まって後継者が育たない、TPP加盟問題と岩手農業のあり方について本格的な議論がない、選挙区の二戸地区においては、基幹産業と言える葉たばこの廃作と転用、または廃業問題などであります。
 第1次産業、特にも農業、畜産、酪農が存亡の危機、以前にも増して重大な局面にあることを痛感せずにはいられません。私も山間地に1町3反ほどの農地を有する若手ファーマーの一人ですが、この先の農業との向き合い方に悩み、また、選挙区の同業者に対する説得ある話ができません。地域で働くみんなは、汗を流して働くのは結構だが、あすに希望が見える施策が欲しいと地域から要望され、そのたびに私は返事に詰まってしまいます。特に、農業における後継者不足に、県はどのように対応しようとしているのでしょうか。
 また、本県の平成22年度木材自給率は約8割とされるものの、津波による合板工場の被災等により、木材業者の経営悪化が報道されております。林業国岩手を標榜する看板が泣いているだけでなく、林業の苦境は、豊かな県土荒廃に直結するものと考えます。
 国は、10年後に木材自給率50%以上を目指す森林・林業再生プランを掲げ、昨年4月に森林法を改正しました。この法改正を受けて、県として市町村に対し、市町村森林整備計画の策定指導や生産森林組合に対する伐採や造林の積極的な森林管理の指導に乗り出さなければ、あと9年に迫りつつある国の木材自給率50%は達成不可能でありましょう。
 森林・林業再生プランの実現に向け、具体的にどのように取り組むのか伺います。また、生産森林組合を含む森林所有者の所得向上のために、どんな手を差し伸べようとしているのかお伺いします。
 次に、地域振興、特に県北地区の対策についてお伺いいたします。
 私事で恐縮ですが、私の地元出身地は、地区中心地まで3キロという距離に10世帯が暮らす超山間僻地であります。昭和48年に卒業した小中学校は、時間差を置いてどちらも廃校になり、現在は国道4号沿いの小鳥谷小学校に統合されました。統合したまち中のその小学校は、1年生10名、生徒数全員で80名とのこと、これでは、いずれその学校すら存廃議論になりかねません。
 一山隔てた葛巻町との境に近い一戸町平糠、落合深沢地区からでは、廃校となったもとの小学校まで8キロ、廃校によりさらに7キロほどまちに下りたどり着けるのであります。豪雪の今の時期、徒歩では優に五、六時間はかかることから、若い者はすべて地区を去り、現在1家族が住み、それも夏場のみ山の中の圃場に出向き、農業で生計を立てているそうであります。この老夫婦が亡くなった瞬間、地区住民の消滅となるのであり、来るXデーに向けてカウントダウン進行中であります。
 もっとも、過疎化は当該選挙区特有の問題ではなく、県も共有する事柄でありますが、県北地区の暮らしや教育環境の実情を示す一端であり、だからこそ均衡ある発展が叫ばれるゆえんであります。
 達増知事は、就任以来、県北・沿岸振興、とりわけ地域間格差を県政の重要政策に掲げ、努力されてきたことは評価いたします。ただ、長期にわたる国内の景気悪化といった外部要因が大きいのでしょうが、知事の思いが成果となって結実し始めたように地元からは見えていません。
 先刻県が発表した平成21年度岩手県の県民所得の1人当たり県平均は219万円、これに対し県北広域圏は181万円であります。県央広域圏より68万円の開きがあります。ここ十数年、県民1人当たりの所得額が減り続けていることもあって、なかなか格差が縮まりません。
 高齢化率も深刻であります。平成23年10月1日現在の65歳以上の高齢化率は県平均27.2%、これに対し、一戸町34.6%、九戸村34.7%、県北広域県は30.2%であります。
 少ないのは所得額や下水道普及率、多いのは自殺率であり高齢化率、こうしたいささか残酷とも言える統計数値を示されれば、経験則に照らし、県北振興のための県の取り組み効果には一定の成果が見られたとは到底言えず、改めて県土の均衡ある発展が重要なことを認識し、そこで暮らす県北住民に形となって見える振興策が必要であると考えます。達増知事、私にも胸躍る明快な回答をお願いいたします。
 次に、社会資本整備について伺います。
 産業振興や住民の暮らしに不可欠な社会資本整備の立ちおくれも、県北は特に顕著であります。いまだに大型バスがようやく通れる狭窄箇所が随所にあり、例として、県道一戸葛巻線の奥道路と呼ばれる付近、地元で幽霊が出ると昔からささやかれる小倉隧道のある一戸山形線など、特に積雪のこの時期の通行は大変です。岩手県民は、どの地域に住んでも等しい住民サービスが受けられるべきで、その権利があること自体はだれも否定しないでしょう。
 そのために、この地域の振興策を本気に長期的視点で取り組むべきと思いますが、3けた国道やそま道と誤認されるような県道の整備に関し、どう取り組んでいく方針かをお伺いいたします。
 また、効率性の観点から、金がかかる社会基盤整備は後回しと言うなら、田舎のどこでも携帯電話がつながり、ブロードバンドが使える情報通信網だけでも、他地域と同等レベルまで整備を急げと県が指導力を発揮できないでしょうか。ちなみに、私の実家も、もちろん携帯電話は使えません。
 次に、県北地域への企業誘致についてお伺いいたします。
 即効性のある打開策は私も難しいと思っていますが、有効と思われる雇用、労働環境の整備に力を入れ、地域活性化にねらいを定めるべきと考えております。具体的には、ハイブリッドのアクア生産に特化し盛況な県南の関東自動車岩手工場から1工程でもいい、いや、部品の一つの組み立てでも県北の工業団地に移転生産してもらえないものか。そうなれば、男性型企業の進出により、若者の雇用が生まれ、にぎわいが戻り、再び息を吹き返すと考えますが、県北地域への自動車部品工場の誘致は夢物語なのか、県の考えをお示しください。
   〔副議長退席、議長着席〕
 平泉登録以降の世界遺産登録に対する県の取り組みについてお伺いします。
 昨年6月の平泉の世界遺産登録は、県人として喜ばしく誇りにも思いますが、平泉地域に県内外から観光客が押し寄せることの帰結は、県南の対極にある県北・沿岸地区の観光客数が奪われる蓋然性が高いと考えています。
 平泉は世界遺産登録の成就と一区切りがついたわけですので、次は、岩手県内で手を上げ、世界遺産暫定リストに登録されている一戸町の御所野を含む北海道、北東北を中心とした縄文遺跡群と釜石市の橋野高炉跡を含む九州、山口の近代化産業遺産群の登録実現にこそ世界遺産登録関係の全予算の集中とエネルギーを注ぐべきと考えますが、どうでしょうか。
 再生可能エネルギーの取り組みについてお伺いします。
 この1月に岩手県再生可能エネルギー推進本部が設置され、県としての意気込みが感じられます。太陽光パネルを活用した太陽光発電設備の誘致話の成果や、今後取り組もうとしている内容やプロセスをお聞きします。
 次に、平成24年度予算編成と健全財政についてお伺いします。
 平成24年度の編成予算方針について、昨年10月に前宮舘副知事が予算編成作業に当たって指示した歳出の徹底した見直しを行うこと、一層の選択と集中を進めよとの発出効果が、どこに反映されているのか示していただきたいと思います。
 また、例えば1事業を新規に立ち上げる条件として、既存の2事業を廃止するなどを前提にしてこそ、県民こぞって応援したいというようなことになるかと思いますが、県の御所見をお願いいたします。
 スクラップ・アンド・ビルドが必要とされている中で、平成24年度の予算編成では、通常予算で対前年比6.1%減と頑張ったと思いますが、県民から大胆な大なたをふるった、ここまでやるかとのメッセージが伝わってきません。今後、中長期計画として不要な組織・団体、利用度の低い箱物、未利用や不適正使用の公有財産、補助金・助成金にたかり安穏と生息する制度、存在価値が薄い出先機関など、ならぬものはならぬの決意を示してほしいのであります。
 今2月定例会初日に県包括外部監査人から提出された報告書、公有財産に係る財務事務の執行および管理の状況についてを拝見しました。高松の第2庁舎を初め、未利用資産の存在、加賀野職員駐車場を月額3、500円の利用料で使用させている合理性、常識から逸脱した使用料減免事案の存在、職員1人当たり51平米の床面積を占める地区合同庁舎の存在等が指摘されております。これもサンプル調査ということですから、まさに氷山の一角でありましょう。
 沿岸被災者はあすをも知れず不安な仮設住宅暮らしの現状に本当に痛みを感じ、何とかしなければならないとの思いを共有しておりますれば、外部の指摘を待つまでもなく、内側から、もっとあぶり出せとの空気が支配し、見直しや改善提案の嵐が沸き上がるのが本当であります。みずからを安全地帯に置いている限り、相手の心を動かすことはできません。
 こういった県の自主財源が減縮傾向の中、未利用財産の処分などを含めて借金を減らしていく姿を県民に示すべきだと思いますが、県の御所見をお伺いします。
 次に、地方自治について伺います。
 関西広域連合では、緊急医療の連携や防災等、地域住民の暮らし向上の観点で府県域を越えた行政課題に取り組んでいます。また、橋下大阪市長の大阪都構想は、地方自治のあり方を問うものと考えております。
 最近言われている道州制や中京都構想、四国広域連合の動きも踏まえ、知事は、地方自治の改革はどのような方向に向かっていくべきとお考えでしょうか。
 ところで、大津波の沿岸襲来は、地方自治体の将来像をも変えざるを得ないことになってしまいました。産業構造の破壊により沿岸地域の人口動態にも影響を及ぼし、これまで単位とされた行政区域やまちづくり再編の議論になっていくことでありましょう。
 平成の市町村大合併が済み、現在、この動きは鎮静化しておりますが、津波は、改めて地域再生というテーマの中で、自治体行政区画の変更、合併、地域医療や福祉の統合、合理化といった課題、つまりは県内の市町村の再合併の機運推進、またはそれに付随する広域振興局や行政センターの見直しは避けられないと思いますが、県の御所見をお伺いします。
 次に、文化芸術振興についてお伺いします。
 岩手県文化芸術振興指針という政策目標がありますが、この1年間の取り組み姿勢には、3.11の大震災を割り引いても、いささか疑問なしとはしません。昨年度県立美術館が予定していた年間の企画展すべてが中止したことから、舟越保武など郷土出身の芸術家の作品を全国に知らしめる機会が奪われ、または秀逸な世界の芸術作品に触れる機会が奪われました。
 私は、全体的に仏をつくって魂を入れずの県営文化施設が多かったと考えております。息を吹き返す企画展の予算復活を強く望むものでありますが、県の御所見を伺います。
 次に、岩手県民会館、県立博物館、県立美術館など、主要な文化施設の運営等に関し、平成24年度から3年間、指定管理者としてことごとく岩手県文化振興事業団が、県営体育館、県営野球場、県営スケート場、県営武道館など主要スポーツ施設は岩手県スポーツ振興事業団が、指定管理者として同年度から同期間運営することが確定的となりました。
 県が所有する主要な、そしてうまみのある施設は、一般公募を経て決定されたとはいうものの、実際は県の外郭団体がひとり占めした結果になっております。これは、民間やNPO法人にできることはできるだけ任せるという指定管理者制度を形骸化させるだけでなく、役人の発想にない多様な文化芸術振興の誘致や話題に富んだユニークな運営という機運を大きくそぐもので、にわかに首肯しかねるものであります。こうした施設こそ、地域活性のシンボルと位置づけ、130万人の鼓動と息づかいが確かに聞こえるよう、意識的にバリアを除去し、人情が行き交う交差点にしてこそ光り輝くものであります。
 であるならば、県の役割は、他人を押しのけて自分が運営することではなく、意欲ある者に任せ、背後から地域活性化のためのよき理解者として、適切な情報提供や円滑な維持のための黒子役、サポート役に徹するのがあるべき姿と信じますが、どうでしょうか。
 次に、平成28年予定の岩手県民体育大会について伺います。岩手国体の形に関する質問と提言であります。
 達増知事は、12月定例会で、平成28年に開催される2巡目の岩手国体開催意向を正式表明されましたが、従前のような多くの人のエネルギーを割き、金のかかるお祭り国体には、実施県として強く抵抗すべきであります。
 開催決定に踏み切った背景には、全市町村の強い希望を受けてとのことだそうでありますが、国体どころではないはずの被災地岩手県が、県土復興と並行して開催する意義と必要性を県の内外に向けて説明し、納得してもらうことが重要であります。
 そこで、さきに県が開催表明に当たって発信した県民、企業、団体等との協力を基本とした新しい岩手型国体開催とはどのようなものか、現時点で描いているコンセプトをお示しください。
 個人的には、岩手国体に当たり、県が何をするかではなく、県民が県に何をしてくれるかと問いかけ、その精神を半値8掛け2割引、清貧にして心尽くしの岩手国体とのスローガンを掲げ、天皇杯争奪には加わらない、ホスト県に徹したおもてなし国体とする。恐らく、あのときの岩手国体はこれまでで最高だったと語り継がれるのではないでしょうか。県当局の御所見をお伺いいたします。
 次に、寄附金の対応と県民向けメッセージ発信についてであります。
 東日本大震災では、124の国と9国際機関及び全国の個人、法人、団体からたくさんの義援金、寄附金をちょうだいいたしました。県は、それらの寄附金を産業復興、教育の再生、充実、被災孤児等支援などに活用すると説明しました。寄附をいただいたお金に色がついているわけではありませんから、自治体の判断で適正に配分してよいと思いますが、時と場合によっては、中身の説明が必要になるのであります。
 事クウェート政府からの寄附金については、それに該当すると思っております。その理由は、クウェート政府から現物で大量の原油並びにサッカーボールが寄附され、岩手県には84億円が配分されましたが、思えば今から22年前の1990年8月、イラクのクウェート侵攻で始まった湾岸戦争のとき、各国から我が国への自衛隊派遣をめぐって国論が二分した際、90億ドルを拠出し、自衛隊派遣を見送りました。近代戦では48時間で勝敗が決するともされる中、日本は、その8カ月後にやっと機雷除去艇を派遣しました。
 私個人としては、日本の対応は、侵略された当事国クウェートに迷惑をかけたと考えています。それにもかかわらず、日本への恩義を決して忘れず、小国でありながら過分とも言える援助を今回いただきました。あのときの国民の態度や自衛隊派遣に至った経緯を県民に説明し、外交官を御経験された達増知事ならではのステートメントを発表し、ありがたくちょうだいすべきだったと私は考えています。
 ところで、達増知事は、本年1月26日にクウェート在京大使館を訪問し、全権大使に会い、岩手県民を代表し感謝の意を伝えたそうであります。その崇高な行動に対して達増知事には心から敬意を表するとともに、知事メッセージ等で情報発信されていることにも感謝いたします。しかし私は、こうした全世界、全国からの本県に対する支援の状況や県民を代表する知事の行動を堂々と県民に伝えてほしいと考えておりますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 また、こうした視点からのマスコミ報道は今までほとんどなく、私と記者の先日の懇談がきっかけとなったのか、本日付で幾らか報道された程度であり、極めて残念です。クウェート大使館での知事とのやりとりを含め、本件に関し知事の御所見をお伺いいたします。
 いずれ、いわて県民計画に掲げる希望郷いわてが、震災復興が進まない、働く場所がない、働いても生活できない、安心した暮らしができない等、県または国の施策のおくれで希望を抱き続けてきた郷土岩手にいよいよ心が折れ、間違っても絶望郷いわてとの思いを抱かせないよう、県当局と我々議会が全総力、全英知を挙げて、困難な県土復興と1、000年後の未来人に評価される新たな岩手県づくりに邁進したいと強く思うのであります。
 御清聴ありがとうございました。なお、再質問を予定しております。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小泉光男議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県北地域における目に見える振興策についてでありますが、県民、とりわけ県北地域住民の皆様にとって念願であった平成14年の東北新幹線盛岡竏樗ェ戸間開業を契機として、関連道路の整備や二戸広域観光物産センター整備の支援を行ってきたところであります。また、交流人口の拡大を図るため、県立児童館いわて子どもの森、平庭高原のいわて体験交流施設、道の駅おりつめなどの整備を行うとともに、農業農村整備事業による畑地等の生産基盤の整備や施設園芸団地の形成など、社会資本の整備を進めてきたところであります。
 平成18年度には、県のそれまでの取り組みの検証結果を踏まえ取りまとめた県北・沿岸圏域における産業振興の基本方向や、その後策定したいわて県民計画に基づき、県北・沿岸振興本部を中心に、産業振興による地域経済の基盤の強化と産業を支える社会資本の整備に取り組んできたところであります。
 その結果、これまで、首都圏の量販店との食品の取引拡大による食産業の振興や、誘致企業の立地により新規雇用の創出が図られるなど、具体的な成果もあらわれているものと認識しております。また、最近では、世界遺産登録を目指す御所野遺跡の情報発信や、昨年10月に開催された全国エコツーリズム大会の催しなどにより、地域資源を活用した交流人口の拡大に向けた取り組みが進んでおります。
 しかしながら、議員御指摘のような地域の状況を踏まえ、県北振興は県政の重要課題の一つであると認識しており、今後においても、いわて県民計画で目指す地域の将来像を踏まえ、農商工連携や体験型観光など地域資源の高付加価値化に向けた取り組みを一層推進し、自立と活力を生み出す産業経済基盤の構築を目指して全力で取り組んでまいります。
 次に、地方自治改革の方向性についてでありますが、地方自治の本旨は自立と共生であり、地方自治体がその地域の自立と地域住民の共生を目指し、みずからの責任と判断で地域を運営していくことと考えております。そのような地方自治を実現するため、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域をみずからの手で構築できる地域主権型社会を確立すべきであります。
 大阪都構想を初めとした大都市制度や国の出先機関改革の受け皿に関する提案などについては、それぞれの地域の実情等を踏まえ、地域主権改革を一層推進する観点で議論を深めていただければよいと考えておりますが、地域主権型社会の実現に向けては、国の制度改革を待つことなく、地域みずからが主体的に考え、行動する取り組みを積み重ねていくことが重要と考えております。
 今般の東日本大震災津波への対応におきましては、これまでにない主体的かつ大規模な自治体間連携や行政、民間等の枠を超えた連携、協働の取り組みの進展が見られ、現場の要望、提言が国の復興基本方針や復興関連の予算、制度等に反映されるなど、地方の現場が国を動かすといった状況が見られ、地方自治が新たな段階へと進化していると実感しております。こうしたことから、大震災からの復興が現下の最重要課題である本県においては、地域の主体性を発揮した復興に県民一丸となって取り組むことが地方自治のさらなる発展につながるものと考えております。
 次に、県内市町村の再合併等についてでありますが、最もふさわしい基礎自治体の姿は、市町村合併を選択するか否かを含め、住民の意向を踏まえてそれぞれの地域が決めるべきものと考えております。また、先般、岩手県町村会から、効率的な復興の名のもとに市町村合併を強制しないこととの要望も受けており、県としては、これまでどおり地域の自主的な取り組みを支援することを基本としております。
 また、広域振興局体制は、産業の振興による地域経済の強化を主眼として、限られた行財政資源を集約、再分配し、各広域振興圏で効果的かつ効率的な施策を展開できる体制として設置したものであり、今回の大震災津波の対応に当たっても、支援人数や職種等について、そのスケールメリットを生かした組織内の一元的な調整が可能となり、内陸部の広域振興局から沿岸部の広域振興局や市町村へのより迅速な支援物資の供給や人的支援につながるなど、広域振興局体制のメリットが発揮されたところであります。さらには、平成22年4月の4広域振興局体制への移行から短期間しか経過していないことや、新たな市町村合併の機運も見られないことから、現時点では広域振興局体制の見直しは考えていないところでございます。
 次に、新しい岩手型国体についてでありますが、先催県のようにすべての準備業務を県直営方式で行うことは困難であると考えておりまして、県民、企業、団体等との協働ということを基本に、必要な業務についてゼロからのスタートという発想に基づいて準備を進めたいと考えているところであります。
 現時点では、県が直接行わなければならない業務、例えば皇室関係業務、総合開閉会式に関する業務、交通規制業務、全体的なコーディネート業務等と、企業、団体等で行うことが可能あるいは適当な業務、例えば広報、県民運動、企業協賛や国体募金のような業務等について仕分けを行い、後者の業務については、大枠となる方向性を示した上で引き受け先を募集するなど、多様な主体が参画する開かれた国体の実施を想定しております。
 次に、本県に対する支援の県民への周知についてでありますが、まず、今回の大震災津波では、国内外から多くのお見舞いや激励、寄附などをいただいておりまして、多大なる善意の御支援に対し、改めて心から感謝申し上げます。
 本県に対する寄附金の状況については、いわてグラフや県ホームページなどにより周知に努めているところであり、自身の行動についても県政記者クラブやホームページなどを通じて周知しているところであります。今後も、県の広報誌やホームページなどを活用し、支援の状況や行動について情報提供に努めてまいります。
 次に、クウェート大使館の訪問についてでありますが、クウェート国からの支援に対しては、国主催の原油贈呈式典などにおいて日本政府として感謝の意を伝えているものの、県としても直接御礼を申し述べるべきと考え、大使館を訪問し、駐日クウェート国全権大使に県民を代表して感謝の気持ちをお伝えしたものであります。大使との懇談では、ちょうだいした支援について、三陸鉄道の復旧等、目に見える形での活用を検討していることなどをお話ししたところ、改めて震災被害へのお見舞いと、これからも被災地を継続して支援していきたいとの温かいお言葉をいただきました。
 今般のクウェート国からの支援を含め、世界各地から寄せられているさまざまな支援や参画の広がりを大切に受けとめて、これらのつながりを力にしながら、世界に開かれた復興を目指して取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び各関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) まず、情報通信網の整備についてでありますが、特に県北地域におきましては、山間部が多く電波が遮られやすい地形にありますことから、携帯電話不感地域が散在している状況にございます。また、ADSLを含めたブロードバンド整備率は、県平均がおおむね100%近く、各地域による差は余りないものでございますが、光ファイバー整備率は、県平均の83.6%に対し県北地域は70.8%であり、整備がおくれている状況にございます。
 これら情報通信網の整備は通信事業者が主体的に行うものでありますことから、都市部においては整備が進み、各種サービスが提供される一方で、採算面から通信事業者による整備が進まない地域におきましては、これまで市町村が国の補助金等の活用によりまして整備を進めてきたところでございます。しかしながら、県北地域8市町村のうち光ファイバーの全域整備を実施した市町村は4町村でありまして、市町村によって取り組み状況に温度差もあるところでございます。
 このため、県といたしましては、市町村の意向を踏まえ、通信事業者に対して情報通信網の一層の整備を働きかけますほか、国に対し、条件不利地域における通信事業者の設備投資を促進する支援制度の拡充、新設を要望しております。また、市町村に対しましては、今後も引き続き国の補助金や地方債の活用による計画的な整備に向けた取り組みを働きかけてまいる次第でございます。
 次に、おもてなし国体についてでありますが、本県では、昭和45年の岩手国体を初め、平成5年の世界アルペン大会、平成11年のインターハイなど多くの国際的、全国的規模の大会を開催してきたところでございます。いずれの大会におきましても、県民、地元が一体となっておもてなしに努め、選手、役員など各地から来県された方々には心温まるすばらしい大会だったと評価をいただいているところでございます。
 平成28年の岩手国体におきましても、来県される方々に岩手のすばらしさを感じることができるよう心のこもったおもてなしを行い、岩手で開催されてよかったと言われるような大会にしたいと考えていることから、県国体準備委員会において決定されました第71回国民体育大会開催方針の実施目標の一つに岩手らしいおもてなしの心あふれ交流を広げる大会を掲げているところでございまして、今後、具体的な取り組みにつきましては国体準備委員会の中で議論を深めてまいります。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 早期の復興整備計画の作成に向けた支援の強化についてでございますが、復興整備計画は、被災地域の復興に向けたまちづくり、地域づくりを進めていくために必要となる市街地整備等の各種事業を対象に、許認可やゾーニングに係る手続のワンストップ処理、これら許可に係る基準の緩和、宅地と農地の一体的な交換、整備のための新たな事業手法の活用等、事業の円滑かつ迅速な実施を図るために創設された制度であります。現在、9市町村が計画の作成を予定していますほか、陸前高田市では、早期に可能と判断された都市計画決定を先行させつつ復興整備計画の手続も進めるなど、既に取り組みが始まっているところでございます。
 県といたしましては、復興整備計画作成マニュアル説明会の開催や、許認可等の協議、同意を得るための協議会の開催に向けた調整など、市町村の復興整備計画の作成に向けた支援を行っているところでございます。今後とも、市町村の都市計画事業の計画等の進展に合わせて、特例が適用可能となるよう復興整備計画の作成を支援してまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、復旧、復興工事の透明性の確保についてでありますが、入札の透明性の向上や不正行為の防止などを図る目的といたしまして、県営建設工事の入札におきましては、低入札価格調査制度や予定価格の事前公表を導入しているところであります。
 工事の実施に当たりましては、当初契約から変更契約に至るまで、工事担当部署のみならず支出、入札担当部署でチェックを行っているほか、発注者から受注者への指示、または受注者から協議があった場合の対応などにつきまして複数の監督職員により確認いたしまして、その内容を書面で取り交わすなど、適切な執行に努めているところであります。
 また、工事におきまして、受注者が下請契約、または資材、原材料の購入契約を含め暴力団などから不当介入を受けた場合、速やかに発注者や警察へ報告するよう請負契約書附属条件に定め、昨年10月から運用しているところであります。
 復旧、復興工事におきましては、透明性や公平性を確保しながら進めていくことは非常に重要でありますことから、引き続き適切な執行に努めてまいります。
 次に、国道や県道の整備についてでありますが、県北地域の道路整備の現状は、県が管理する国道や主要地方道の改良率は他の地域に劣らない状況にありますものの、一般県道には未改良区間も多く、道路整備はいまだ十分とは言えない状況にあると考えております。
 一方で、今後、橋梁を初めとする社会資本の老朽化に伴いまして、道路施設の維持更新費用の増大が見込まれますことから、新たな道路整備に投入できる予算は限られることが予想されます。このため、今後の道路整備に当たりましては、コスト縮減対策に加え、それぞれの地域の実情に応じた1.5車線的道路整備についても積極的に取り入れながら、県の公共事業評価制度に基づきまして、優先度の高いものから順次整備していく考えであります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、後継者不足問題への対応についてでありますが、本県の農業が持続的に発展していくためには、何よりもこれからの岩手農業を担う若い農業者を確保、育成していくことが重要であると考えております。
 これまで県では、県内外における就農相談や先進農家等での実践研修、農業改良普及センターによる就農後の生産技術、経営指導などの経営の発展段階に応じた支援を行ってまいりました。しかしながら、厳しい経営環境の中にあっては、経営安定までの所得の確保や地域内の農地や生産施設などを就農者に提供する仕組み、日常的な指導、助言を行う体制の整備が求められております。このため、今後は、国の青年就農給付金の活用や、地域が主体となって行う新規就農者の募集や遊休化した農地や施設等のあっせん、さらには、技術や経営を身近で指導する指南役の設置などを進め、新規就農者が安心して農業に取り組むことができるような環境の整備に努めてまいります。
 次に、林業の活性化についてでありますが、森林・林業再生プランは、我が国の森林、林業政策を森林の造成から木材の利用、持続的な森林経営へと大きく転換するものであり、豊富な森林資源を有する本県にとって追い風になるものと考えております。
 県といたしましては、このプランの実現に向けて、集約化や搬出間伐を実践する地域の森林経営を担う経営体の育成、林内路網整備や機械化の支援による効率的で安定的な林業経営の確立、木材加工施設整備の支援による県内木材産業の活性化などを重点的に推進しており、今後も川上から川下までの総合的な取り組みを進めていく考えです。
 また、森林所有者の支援につきましては、森林法改正により、平成24年度から意欲と能力のある森林所有者等が面的にまとまった森林を対象として経営計画を策定する森林経営計画制度がスタートします。国では、この森林経営計画の作成者に対して、森林調査経費、造林、間伐等の森林施業、作業道の開設に助成するなど、集中的に支援することとしております。このことから、県といたしましては、市町村と連携しながら、森林経営計画の策定指導等を通じて低コストで効率的な森林施業を促進し、生産森林組合を含む森林所有者の所得の向上が図られるよう努めてまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 県北地域への企業誘致についてでありますが、この地域には、自動車関連企業として既にワイヤーハーネスや滑車などの動力部品を製造する工場が立地しており、今後も自動車部品工場の立地の可能性があるものと考えております。
 県北地域においては、最近5年間で8件の立地があり、特にも近年は食品関連企業を中心に立地が進んでいる状況です。これらの企業については、県北地域に合致しているとともに、雇用の受け皿として重要な役割を果たしているものと認識しており、引き続き北上川流域地域に比べて有利な優遇制度をPRしながら、自動車関連産業に限らず、地域の特性を生かした企業の誘致に努めてまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 再生可能エネルギーの取り組みについてでありますが、昨年11月に県内50カ所の候補地を公表し、市町村等の協力を得まして、問い合わせのあった15事業者に対して詳細情報の提供や現地調査に立ち会うなど候補地選定への支援を行ってきたほか、企業訪問等を行い、立地に向けた検討状況や事業化に当たっての課題等の把握に努めているところであります。
 こうした取り組みを通じまして県内立地に関心を示す事業者が出てきておりますが、一方では、国の買い取り価格や期間がどのように決定されるかが立地の判断に大きく影響するほか、初期費用の低減や規制緩和などを求める声もあったところであります。このため、県では、市町村と連携し引き続き企業の状況に応じたきめ細かなフォローを行うとともに、低利融資制度の創設や復興特区制度を活用した規制緩和などにより立地が図られるよう取り組んでまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 歳出の徹底した見直しと選択と集中の予算への反映状況についてでございます。
 平成24年度当初予算の編成におきましては、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むため、通常の予算につきましては、歳出の徹底した見直しや一層の選択と集中を図り、厳選して予算を計上するなど、可能な限り財源を復興予算に振り向けて編成したところでございます。
 この結果、通常分としましては、実質的な前年度当初予算と比較いたしまして421億円、6.1%の減となっておりますが、その中におきましても、復興計画と軌を一にいたしまして、例えば被災した求職者と再生、復興に取り組む企業等とマッチングを促進する雇用の維持、創出に向けた取り組みでございますとか、県立療育センター整備などの地域医療、福祉の確保などを計上いたしまして重点化を図ったところでございます。
 なお、新規の事業につきましては、すべての事務事業を抜本的に見直し、原則として既存事業の整理統合、廃止等により捻出した財源を振りかえて対応することとしております。これに加えまして、県単独事業につきましては、抜本的見直しの時期を明確にするため、必ず終期を設定するいわゆるサンセット方式を採用しておりまして、これらを通じて最適と考えられる予算を編成したところでございます。
 次に、未利用公有財産の処分についてでございます。
 厳しい財政運営が続く中、歳入確保の強化を図る観点から、昨年2月に県有未利用資産等活用・処分方針を策定いたしまして、未利用資産の売却を進めているところでございます。現在活用されていない資産で、将来とも公用、公共用として活用する見込みのない資産につきましては、被災地の復興支援のために有効活用している資産を除きまして、活用・処分方針に基づき、地元自治体への譲渡や一般競争入札による売却処分を行うなど、積極的な取り組みを進めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、世界遺産登録に対する県の取り組みについてでありますが、現在、県内には世界遺産に関係する文化遺産が3カ所ありまして、北海道、北東北を中心とした縄文遺跡群については青森県が事務局となり、国及び4道県12市町が登録に向けた取り組みを進めております。同様に、九州・山口の近代化産業遺産群については鹿児島県が事務局となり、国及び7県12市が取り組みを進めております。また、昨年登録された平泉の世界遺産については、保存管理を着実に推進するとともに、再推薦に当たり除外された資産等について追加登録を目指すこととし、国、県、一関市、奥州市、平泉町が連携、協力して取り組みを進めております。いずれの文化遺産も、国及び関係する道、県、市、町が協力して世界遺産登録に向けた取り組みを推進しており、引き続き関係機関と十分連携しながら着実に取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、県立美術館企画展の予算についてであります。
 平成24年度における企画展については、震災前と同様に6本の企画展を開催する予定としており、その経費について当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
 こうした企画展に加え、4月にはフランスのルーブル美術館から収蔵作品の提供を受けた展覧会の開催も予定しており、本年度、被災地支援として実施した教育普及活動の充実等とあわせて、これまで以上に県民の皆様に満足していただける事業に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、指定管理者制度についてであります。
 県民会館を初めとする文化施設等の管理運営につきましては、平成18年度から指定管理者制度を導入し、公募により指定管理者を選定しているところであります。
 指定管理者制度が期待する民間の力を活用した施設サービスの向上等が図られるためには、より多くの応募者があることが望ましいことから、例えば、応募に係る地域要件の撤廃など、これまでも、より応募しやすい環境づくりに配慮してまいりました。
 指定管理者制度を導入している文化施設等の管理運営に関しましては、議員御指摘のとおり、設置者である県は、基本的な方向性や枠組み等を定めるにとどめ、実際の運営は、指定管理者の持つさまざまなメリットを活用し、効果的、効率的な運営が果たせるよう努めていく必要があると考えております。
 引き続き幅広い応募が可能となるような工夫や、指定管理者のメリットを十分生かした運営が具体化されるような工夫を行い、よりよい施設サービスの提供に努めていきたいと考えております。
〇3番(小泉光男君) 手短に二つ再質問させいただきます。
 まず最初に、達増知事にお伺いいたします。
 クウェート大使館を訪問し、岩手県知事として全権大使と会われたというのは先ほど話をされましたけれども、一都道府県知事が、簡単に外国の大使と会えるものなのでしょうか。優秀な外交官だった知事だからこそできたと私は思っておりますけれども、また、対面の上、話されたのは儀礼的なものに限られるのか。例えば、壇上で私が質問したような昔の湾岸戦争のやりとりみたいな話というのは、外交ルール上できないものなのか。国際法の専門家として、解説も含めて、知事に御教示いただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 在東京の大使が日本の都道府県の長と会うやり方については、それぞれの国あるいは大使個人の方針があるんだと思うのですけれども、ただ、私の感覚からしますと、なかなかめったにあることではないと思っております。相手側の国、また大使の目的と都道府県の首長の側の目的と、きちんと合致しなければできないことだと思っておりまして、クウェート大使に面会することができたというのは、この復興支援、地元の底力と外とのつながりというのが一つの力となった、そういう背景があったことだと思っております。
 湾岸戦争の話もやりとりの中ではありまして、クウェート大使からは、湾岸戦争当時の日本からの支援をクウェート国民は忘れたことはない、今回の支援もそれを踏まえたものであるといった趣旨のお言葉をいただきました。
〇3番(小泉光男君) 商工労働観光部長に聞いて、私の質問を終わります。
 地域振興に関連し、特にも県北・沿岸地域の観光振興策について、先ほどの世界遺産登録の件と絡めて、3月から開始される東北観光博、4月から6月までのいわてデスティネーションキャンペーン、5月の東北六魂祭など、県内への観光客誘致の企画は目白押しでありますが、これは、やっぱり当面経済成長が望めないゼロサム社会ですから、パイの奪い合い、つまり観光客の取り合いが続いて、このままでは盛岡以南に集中して祭りは終わって、八幡平から県北または沿岸地域にかけては、恩恵が限定的に終わる可能性が大きいと個人的には心配しております。
 そこで、盛岡以北の県北や沿岸地域にも公平に、平等に観光客が増加するよう、特定の地域だけ宴の後の脱力感が漂わないための対策を有するか伺います。
 また、去る2月22日の地元紙に、平成24年度は全国規模の学会や大会が相次いで開催され、被災地支援を込め、被災地視察を組み合わせた各種大会が増加する旨、報道されておりますが、そうなりますと、県内での宿泊や飲食など、その経済効果は少なくないと思います。
 そこで、県も盛岡観光コンベンション協会と連携、または全国の大学、研究機関にダイレクトメールを送るなどの方法で、アカデミックな各種の大会を誘致し、盛岡での開催に加え、県北・沿岸地域にも日本や世界の学究者に足を運んでもらい、かつ、復興の歩みをしっかり見てもらうよう働きかけを行うべきだと考えますが、御所見をお伺いします。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、1点目です。県北・沿岸地域の観光客誘致についてでありますが、この4月から開催いたしますいわてDCでございますが、JRグループを初め、全国の旅行会社において、本県に対して集中的な送客が行われると、かなり多くのお客様が来ることになっております。
 私たちは、これを全県的に波及させることが大きな目的の一つでございますので、当然、県北地域にも集中的にお客さんに入ってもらいたいと考えているところです。
 具体的には、既に青森県八戸市に、いわてDCに参加いただきまして、県境を越えた連携のもと、八戸、久慈、田野畑について、八戸線の復興に伴って新たにリゾート列車を運行することになっております。
 それから、広域的な回遊を促進いたしまして、先ほどの御質問にもありましたけれども、世界遺産登録が期待される御所野遺跡や知名度の高い天台寺を全国JR主要駅に配架するDCガイドブック、これは80万部刷ってございますが、これに載せましてPRしているところでございます。
 今後においても、一昨年に東北新幹線が青森まで延びたわけでございますが、来年は秋田県でDCということで、この東北全体が、特に北東北3県が一緒になって県北・沿岸地域の誘客を促進してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、コンベンションを利用した誘客ということでございますが、学会などのコンベンションの誘致につきましては、ただいまお名前の出ました盛岡観光コンベンション協会を中心に取り組んでございます。来年度も、実は震災関連の調査団の派遣などが予定されてございます。これは内陸部で開催されるコンベンションでございますが、県北・沿岸地域へのエクスカーション、会議は盛岡で、現地視察は県北・沿岸へという形で、実はコンベンション自体もそういうセットになっているものが多くなっているようでございます。
 こういったコンベンションは、我々の観光振興にとっても非常に重要でございますので、これまでグループ補助金を活用いたしまして、県北・沿岸地域の観光施設については優先的に予算を配分いたしまして、宿泊施設の復活を行ってきました。平成24年度、来年度でございますが、各種学会のキーパーソンを招請する事業や県北・沿岸地域を視察先に含むモデルコースを紹介するパンフレットを作成いたしまして、さらに誘致活動を強化したいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第1号平成24年度岩手県一般会計予算から日程第107 議案第107号当せん金付証票の発売に関する議決の変更に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木博君) この際、日程第2、議案第1号から日程第107、議案第107号までを一括議題といたします。
 議案第107号について、提出者の説明を求めます。加藤総務部長。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) ただいま議題とされました案件について説明申し上げます。
 議案第107号は、当せん金付証票の発売に関する議決の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 これは、東日本大震災復興支援グリーンジャンボ宝くじを増刷発売するため、当せん金付証票の発売に関する議決を変更しようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木博君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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