平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇23番(高橋孝眞君) 自由民主クラブの高橋孝眞でございます。
 まず、今回、初めての一般質問の機会を与えていただきました先輩、そして同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
 間もなく東日本大震災津波から1年になりますが、被害によりとうとい命をなくされた方々に、改めて哀悼の意を表し、また、被災された多くの方々が、一日も早く暮らしの安定を取り戻すよう祈念申し上げ、通告に従い、順次質問をいたします。
 まず、希望郷いわてについて伺います。
 知事は、本県の政策理念をあらわすキーワードとして、希望郷いわてというキャッチフレーズを多用しているところであります。これまでもたびたび一般質問で取り上げられておりますが、この言葉は、果たして県民によく理解されているのでしょうか。知事のおっしゃる希望郷いわてとは、具体的にどういう社会をあらわし、実際に岩手県がどのような状態になったとき、その実現が達成されたと言えるのでしょうか。
 知事の2期目の県政は、東日本大震災津波からの復興が大きな課題となっております。特に、県北・沿岸部における復興は、大震災津波からの復興ばかりではなく、地域のグランドデザインを改めて描くというまことに壮大な取り組みであります。知事が希望郷いわてに託した岩手の将来像は、大震災以前と今日とではどのように変化しているのか、希望郷いわてに託した知事の思いとともにお示し願います。
 また、知事は、希望郷いわての実現に向けて日夜尽力されていると存じますが、どの程度実現されていると考えるのか、具体的に御説明願います。
 次に、職員のコンプライアンス意識とモラルの向上について伺います。
 このところ県職員をめぐる不祥事が新聞紙上に掲載されることが多いように思われます。みずから率先して法を遵守すべき県職員が起こした触法行為であり、今まさに、東日本大震災津波からの復興に県民と心を一つにして取り組んでいかなければならないときに、一県民として、まことに嘆かわしく、暗たんとした気持ちになってしまいます。
 また、事件性はないにしても、職務上の不手際や事故の発生についても懸念されます。
 県は、平成21年4月に岩手県職員憲章を策定し、県民本位、能力向上、明朗快活、法令遵守、地域意識から成る五つの信条を掲げ、県職員としてのあるべき姿や行動基準とし、職員の意識の高揚を図るためさまざまな取り組みを行っているようですが、果たして十分と言えるのでしょうか。
 職員一人一人が襟を正すことは当然ですが、知事以下、全職員が心を一つにし、知事みずからが陣頭に立ってコンプライアンス意識とモラルの向上に努め、再発を防止すべきと思いますが、知事自身どのような姿勢で臨もうとしているのか伺います。
 次に、東日本大震災津波の被災者の支援と自立について知事に伺います。
 昨年3月11日の東日本大震災津波の発災以来11カ月余りの時間が経過しました。最近の被災地の状況を見ると、瓦れきの撤去が進み、被災者の方々は、仮設住宅に入居し、当面の衣食住は充足しているかのように見えます。しかし、なりわいや地域コミュニティなど元来そこにあった生活の基盤の多くは、依然として損なわれたままであります。
 福島県の川内村が行った帰村宣言は、村がなくなるという危機感のあらわれと受けとめられ、本県沿岸部とは被害の内容こそ違え、被災者の方々の苦悩は察するに余りあります。
 いかに支援金を給付されようと、それは当座の生活を維持するためのものであり、知事が当初から言われているように、なりわいの確保こそが被災者の方々の自立を可能にするかぎなのではないでしょうか。
 現在、沿岸地域においては、長期または常用の雇用はなお十分ではないと聞いており、そのような中で、雇用保険の切れる人たちも出ているとのことです。安定した雇用が実現しない限り、内陸へ避難された方々も沿岸部へ帰るめどが立たず、沿岸地域のさらなる人口の減少を招きかねません。
 宮城県においては、復興に民間の力を大幅に導入していると聞きます。沿岸部の基幹産業である漁業や水産加工業の復興はもちろん最優先で行われるべきでありますが、内陸や県外からの企業誘致、さらには農業への雇用の誘導など、あらゆる手を尽くし、早急に沿岸地域の雇用を確保すべきと考えます。
 そこで伺いますが、被災者の方々がなりわいを得て、自立していくために、知事はどのように取り組まれるのでしょうか。その見通しと具体的な方策について伺います。
 次に、被災地の復興のためのまちづくりについて伺います。
 このたびの東日本大震災津波は、明治、昭和の2度の三陸地震津波、チリ地震津波をしのぐ未曾有の規模となり、多くの人命と先人が営々として築いてきた沿岸地域の生活基盤、社会基盤をまさに壊滅的なまでに破壊しました。
 今回の大震災津波の経験を踏まえ、再び津波で人が亡くなることのない、より安全で暮らしやすい地域をつくり上げていくことは、私ども岩手県民の切なる願いであります。
 県においては、平成23年8月に岩手県東日本大震災津波復興計画、復興基本計画を策定しているところですが、その中で、津波はいつかまた来ることを胸に刻み、人命が失われるような津波被害は今回で終わりにするとの決意のもと、単なる現状復旧にとどまるのではなく、科学的、技術的な知見に立脚した津波対策の方向性や、まちづくりのグランドデザインをもとにした安全で安心な防災都市・地域づくりによる復興を実現すると強い決意を述べております。
 また、このような基本的な決意と考え方に沿って、被災市町村では、復興整備計画を策定し、より具体的に復興計画区域内の土地利用方針や復興整備事業の導入を検討中と聞き及んでいます。
 しかし、いかにすぐれた計画や方針を策定しても、復興特区法による集団移転促進事業の特例や農地転用の特例許可、さらには許認可手続のワンストップ化が機動的に行われなければ、平成30年までの8年間の計画期間における被災市町村のグランドデザインの具現化は難しいのではないでしょうか。
 また、一方で、土地所有者との権利調整の問題、被災者の方々の将来の暮らしの問題など、非常に複雑、かつ微妙な問題も含まれていると理解します。
 そこで伺いますが、被災市町村の復興計画区域内における土地利用方針及び復興整備計画の策定は、どの程度進んでいるのでしょうか。
 また、今回の大震災で大きな被害を受けた被災市町村に対し、県としてどのような支援や助言を行い、また、今後行っていこうとしているのでしょうか。
 次に、農業振興について何点か伺います。
 まず、本県の農業振興に対する県の基本的な考え方について、知事に伺います。
 目下の県政の最重要課題は、東日本大震災津波からの復興であることは言うまでもありません。しかし、本県の基幹産業である農業の再構築も差し迫った課題であり、行政の揺るぎないかじ取りと関係者の一層の取り組みが求められるところであります。
 現実に、本県の農業産出額は、昭和60年の3、595億円をピークに、平成22年には2、287億円と著しく減少しております。その原因は、米の生産調整による産出額の減少や米の消費減少などに伴う価格の下落を園芸や畜産、酪農など、他の部門で補完できていないことにあると言われています。
 また、協議が始まったTPPへの参加のための交渉がまとまり、関係国との農産物の自由貿易が開始された場合、我が国の農業は壊滅の危機に瀕するのではないかと懸念されるところであります。
 個人の規模拡大による生産コストの縮減はもはや限界であり、今後、就業人口の減少や高齢化が急速に進むことを考えると、本県の農業は、今まさにがけっ縁に立たされていると言えるのではないでしょうか。
 農業は、内需を牽引する産業として重要です。日本の食糧安全保障や国土保全などを考え合わせた場合、今こそ農業振興を強力に推し進め、その再生を図っていくことこそ肝要であり、本県農業の活路もそこにあるのではないでしょうか。
 このような危機的状況を克服し農業の再生を図るためには、園芸など米以外の部門の生産を一層振興、奨励するとともに、担い手の確保、育成を基本に、農業法人などの経営体や集落営農組織などが知恵を振り絞り、経営戦略を構築し、農業の6次産業化を実現するなど、農業者みずからの努力は当然ですが、行政と農業団体との連携や協同を一層強固なものとし、不退転の決意で取り組みを進める必要があると考えます。
 本県農業再構築の方向性についての知事のお考えと決意を伺います。
 次に、農業の6次産業化について伺います。
 現在、農業の6次産業化とされているものの中には、本来の6次産業化でないと思われるものが多いと私は考えているところであります。
 現在、産直を中心に行われている6次産業化は、実際には委託販売が多く、みずから原材料の生産から販売までを一貫して行っている農業者は少ないのではないでしょうか。
 県は、政策評価において、6次産業化対策を達成度Aとしておりますが、果たしてそうでしょうか。6次産業化の成果指標は産直の販売額でカウントされておりますが、本来、農家の収入額ではかられるべきではないのでしょうか。
 農業の6次産業化を推進する県として、本来あるべき6次産業の姿を明確に示し、推進すべきと考えますが、お考えを伺います。
 次に、今後における小水力発電の導入推進について伺います。
 東日本大震災津波と東京電力の福島第一発電所の原発事故以来、電力需給が逼迫する中で、再生可能エネルギーの有用性が改めて見直され、風力発電や太陽光発電などのさらなる導入計画が検討されています。
 本県には、基幹的な農業水利施設が約1、400キロメートルあることから、豊富な水量と高低差に富む地形条件を生かした小水力発電を導入する可能性が大きいと考えられ、その積極的な整備による再生可能エネルギーによる電力需給への貢献とともに、土地改良施設の管理運営費の軽減や土地改良区の財務基盤の強化にもつながるものとして期待されております。
 本県では、これまで一戸町の大志田ダム発電所を初めとして、4カ所の小水力発電が国の事業により導入されておりますが、農業水利施設を管理する県内の土地改良区では、導入に前向きな意向を示す土地改良区がある一方で、建設費負担などへの不安により、具体的な取り組みに至っていないところが多いと聞きます。
 こうした中、平成23年8月には電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立し、再生可能エネルギーの固定買取価格制度が平成24年7月1日からスタートします。この制度により、一定期間、一定価格で電気事業者が再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を買い取ることが義務づけられ、これまでに比べて売電単価が大幅に上がると見込まれます。
 さらに、農林水産省の制度改正により、土地改良事業において設置する小水力発電施設の売電収入を充当できる対象が当該土地改良区全体に拡大されるなど、小水力発電を取り巻く環境は、これまでになく有利なものとなっているところであります。
 そこで伺いますが、再生可能エネルギーの導入は差し迫った課題と考えますが、県は、今後どのように小水力発電の導入を推進するのでしょうか。
 次に、農業における復興対策について2点伺います。
 まず、被災地における農業の復興についてでありますが、被災地の農業者の中には、農地の復旧もままならず、さりとて就労の当てもない方も多いと聞いており、沿岸部の農業の復興は、差し迫った課題であると言えます。
 被災した沿岸部の農地の復興について、県は、場所によっては農地のかさ上げや埋め立てなどを含めた対策を考えているようですが、沿岸部は30アール以下の経営規模の農家が多く、さらには、今後における担い手の問題なども含めて、長期的な視点で農業の復興を考えていく必要があるように思われます。
 宮城県では、被災地の農地や耕作放棄地を借り入れ、イチゴ栽培などのハウスを建てる経費に補助を行い栽培が行われております。その上で、5年以内に自分の農地で営農できるよう支援する制度を始めたとのことでありますが、沿岸部では、ハウス園芸などのほうがより適しているのではないでしょうか。特に、沿岸南部地域においては、民間資本による大規模なハウス園芸の立地なども計画されているとのことであり、今こそ沿岸部の農業の抜本的な底上げを図る好機ではないでしょうか。
 県は、沿岸部の農業の復興と所得確保の方策をどのように考えているのか伺います。
 次に、農畜産物における放射線対策についてでありますが、農産物の放射線対策の問題については、既に工藤勝子議員が1日目に総括的に質問されたところでありますので、私からは、畜産業のうち、特に汚染された草地の問題について伺います。
 放射性物質で汚染された飼料を与えることにより、食品衛生法の暫定規制値を上回ると見込まれる肉牛などへの対策については、4月以降、規制値が500ベクレルから100ベクレルに強化されたとしても、放射性物質を含まない飼料を与えることにより、規制値をクリアできる見通しであります。
 しかし、依然大きな問題として残っているのが、汚染された草地の除染であります。県は、具体的にどのような方法により実施していくのでしょうか。県内における草地の対象面積と除染方法はどうなっているのか、また、汚染された稲わら等の保管や処分、代替粗飼料の確保についてはどうするのか、今後の見通しを含めて伺います。
 次に、食産業の振興について知事に伺います。
 ギリシャの財政危機に端を発した国際的な金融不安を背景に深刻化している円高などにより、我が国の経済は、まさに出口の見えないトンネルに入り込んでしまっている感があります。
 これは、我が国の産業構造が依然として外需依存の傾向が強いことから、当然に予測される結果であり、今後、内需重視への転換を図っていくことが必要だと言われております。
 これまで本県は、自動車や半導体関連を中心とするいわゆるものづくり産業を県の経済発展の原動力としてきましたが、これらの産業は、今後とも本県の経済と雇用を支える産業として重要ではあっても、それらに続く内需拡大型の大きな産業の速やかな育成が必要ではないでしょうか。
 言うまでもなく、本県は、我が国有数の食料生産県であります。安全・安心な食の考え方をベースに、1次産業の農林水産業、2次産業の食料品製造業に加え、3次産業の外食、小売り、観光などの関連産業が緊密に連携し、新たなビジネスの展開が活発に行われ、付加価値の高い総合産業として成長していくことにより、本県経済の発展、雇用の原動力となることが大いに期待されるところであります。
 しかしながら、本県の食料品製造出荷額の現状は、平成22年では3、315億円であり、輸入食品の増加などの影響により対前年比7.8%の減となり、平成19年並みと低迷しています。今こそ多彩で豊富な本県の農林水産物資源を活用した食産業の振興が必要なのではないでしょうか。
 県は、アクションプランの政策項目として食産業の振興を掲げ、その目指す姿を実現するための取り組みとして、事業者等の経営基盤や商品開発力の強化、流通改善、販路開拓、地域連携等を総合的に支援し、ビジネスモデルの創出や県産品シェアの拡大を図っていくこととしておりますが、本県の食料品製造業は、小規模な経営基盤の弱い事業所が多く、地域において、産業クラスターの拡大を図り食産業を付加価値の高い総合産業として発展させるためには、さまざまな分野での支援が必要となります。
 県は、今後、その支援体制をどのように充実させ、取り組んでいこうとしているのかを伺います。
 次に、障がい者の自立支援対策の現状と取り組みの成果等について伺います。
 平成18年4月に障害者自立支援法が施行されましたが、法施行当初から、サービス利用時の一部負担金が、特に重度の障がい者にとって非常に過酷であることが問題とされていたところであります。この問題については、その後、数次にわたる制度の運用の改善を経て、現在では、障がい者の約8割が一部負担を要しなくなっていると聞いており、この点では一定の改善が図れたものと理解します。
 しかし、障がい者が健常者と同様に将来の夢を描ける生活を送れるような収入を確保することとなれば、話は別であります。
 県においては、平成19年度から23年度までの5カ年間で、障がい者の工賃の向上を目指して、就労継続支援B型事業所等の利用者が得る工賃を平成18年度の倍近い水準に引き上げる工賃倍増5か年計画を推進しているとのことですが、その達成状況と、これまでの取り組みの中で明らかとなった反省点はどのようなものでしょうか。
 就労継続支援B型事業所等や作業所で障がい者が取り組んでいる作業や製品の内容を見ると、まだまだ検討の余地があるように思われます。事業所などで障がい者が行う作業について、やはり一定の質が求められることは言うまでもありません。さらに安定した原材料の供給と販路の確保が必要であります。
 本県には、全国に誇れるすぐれた農産物があり、農業者とタイアップしながら、地域の施設が相互のネットワークを活用しながら魅力ある製品を一定規模のまとまったロットで生産、販売することにより、障がい者の工賃の向上を図ることが可能ではないかと思いますが、今後における取り組みについての県の考え、支援策はいかがでしょうか。
 次に、県立病院の経営改善について伺います。
 県立病院は、地方公営企業法に基づく公営の企業であり、県民医療を確保する使命を果たすとともに、企業としての経済性を発揮し、自立した経営を行うことが求められています。
 近年は、県立病院のあり方についての議論がクローズアップされる傾向にありますが、本来、県立病院が企業としてどのような経営努力や改善を行っているかにも注目していく必要があるものと考えます。
 病院事業の経営においては、費用の中で大きなウエートを占める薬品や診療材料などの材料費をどのように抑制していくかが、非常に重要ではないでしょうか。
 材料費分野の抑制方策としては、患者さんや医療保険の負担軽減というメリットもある後発医薬品の使用拡大のほか、全国一の県立病院数というスケールメリットを生かした材料の一括廉価購入、さらには、在庫管理のシステム化による効率的な物流の実現と不良在庫の削減などが挙げられますが、県立病院としてこれらの分野にどのように取り組んできたのか、その内容と指標等をお示し願います。
 また、今後どのように取り組んでいくお考えか、あわせて伺います。
 次に、高校再編について伺います。
 新たな高校再編計画の策定に向けた検討は、東日本大震災津波の発生により中断しておりますが、今後、新たな計画の策定に当たっては、沿岸部被災地域の現状と将来像とを踏まえ、長期的視点に立った検討を行うべきであり、さらには、沿岸部以外の地域においても希望する高校教育が受けられるよう、地域の実情に合わせた柔軟な対応を行うべきであると考えます。そのためには、地域との対話を重視し、地域の声を最大限尊重することが必要ではないでしょうか。今後における県立高校のあるべき姿と高校再編に向けた県教育委員会の基本的な取り組み姿勢、県立高校の再編整備計画策定の見通しについて伺います。
 また、私の地元にある西和賀高校は、西和賀地域における唯一の高等学校であるとともに、地域の重要なセンターの一つとして地域コミュニティの存続にも大きな影響を与えています。このような小規模校の再編の取り扱いについて、現時点で教育委員会としてどのような考えをお持ちか伺います。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋孝眞議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、希望郷いわてについてでありますが、いわて県民計画では、みんなの希望が実現し、ふるさと岩手全体に希望があふれる姿を、私たちにとって大切な郷土、故郷という意味合いを込め、希望郷いわてとしたところであります。この具体的な姿を、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しんで学んでいくことのできる希望あふれる社会としているところであります。
 また、計画では、希望郷いわてをさらに具体化していくために、実現していきたい岩手の未来を、県民生活のステージに着目した仕事、暮らし、学び・こころの三つの分野ごとに、いきいきと働いている姿、安心して暮らしている姿、楽しく学んでいる姿など、私たち一人一人の姿と私たちを取り巻く地域社会の姿により描いており、こうした姿を県民一人一人が実感できるよう、いわて県民計画に掲げる政策を着実に推進してまいります。
 次に、本県将来像の大震災後の変化についてでありますが、希望郷いわては、県民一人一人の、そして地域社会の希望が実現し、それが岩手全体にあふれていく姿であることや、さらには、経済や環境など、地球規模の危機を岩手から希望に変えていこうというメッセージを発信できるものであることなどから、平成30年度までに目指す岩手のありたい姿としてふさわしいと考え、みんなの基本目標として掲げたものであります。
 昨年の東日本大震災津波の発災や、発災などを契機とした社会経済情勢の変化にあっても、希望郷いわてを支える本県の地域資源の状況は大きく変わらないことから、その実現に向けた基本的な方向は変わらないと考えています。
 一方で、地域の経済環境の厳しさなどの本県の弱みがさらに顕在化し、また、被災地支援による交流の拡大や、平泉の文化遺産の世界遺産登録を初めとした本県の新たな強みが創造される可能性も出てきているところです。
 発災等を契機として、岩手県民の底力と本県の可能性を改めて強く感じているところであり、今後も、復興計画とともにいわて県民計画を着実に推進し、大震災津波からの復興と、その先にある希望郷いわての実現を目指していく所存であります。
 次に、希望郷いわての実現についてでありますが、希望郷いわてを実現するためのいわて県民計画アクションプランに基づく各種施策の進捗状況については、政策評価レポートとして毎年度県議会にも報告し、公表を行っています。
 平成22年度の政策の評価では、おおむね順調以上と評価された政策項目が全体の54.8%と半数を超え、厳しい社会経済情勢の中でも、新型インフルエンザ対策や地域密着型の介護サービス拠点等の整備などの取り組みがおおむね順調に進んだことにより、医療、子育て、福祉の分野などで成果を上げたものがございました。一方で、世界同時不況や円高の影響による製造品出荷額の落ち込みなどの要因により、産業、雇用分野などで進捗のおくれが見られます。
 評価で明らかとなった課題については、今般策定した第2期アクションプランの具体的な推進方策に反映させたところであり、引き続き希望郷いわての実現に向け全力を傾注してまいります。
 次に、職員のコンプライアンスとモラールの向上についてでありますが、県を挙げて東日本大震災津波からの復旧、復興に取り組んでいる中、県民の皆様の信頼を損なうような職員の不祥事がたび重なり発生していることはまことに遺憾であります。職員の法令遵守の確保については、所属長から職員に継続的に注意喚起するなどの取り組みを行ってきましたが、さらなる徹底が必要と考えております。
 岩手県職員憲章については、今般策定した県民計画第2期アクションプラン改革編においても基本理念として掲げ、改めて全職員が岩手県職員としてあるべき姿を共有し、一丸となって行動していくこととしております。今後は、職員憲章の一層の浸透を図るため、所属ごとに策定する業務方針に職員憲章の定着や行動の実践につながる取り組みを盛り込むこととしているほか、職員研修の場での周知徹底、所属長と職員との面談における確認などに取り組むこととしております。
 また、不祥事の再発防止については、それぞれの職場において管理職員と各職員が日ごろから対話を重ね、職員各自がコンプライアンスを確立していくように繰り返し働きかけていくとともに、知事を初めとする幹部職員が各地区の職員と直接懇談するなど、意識の共有を図り、職員の士気高揚に努めることが重要であると考えております。県民の皆様の負託にこたえ、信頼を損なうことのないよう、このような不断の努力を一つ一つ重ねていくことが私の責務と理解しております。
 次に、東日本大震災津波の被災者の支援と自立についてでありますが、被害を受けた事業者が、地域コミュニティの中で再び意欲と希望を持って自立するためには、安定した雇用を生み出す産業の再生を図っていくことが重要であります。このため、被災企業の再建に向け、グループ補助等による施設整備、岩手県産業復興相談センターや岩手産業復興機構による二重債務の解消に向けた支援及び雇用対策基金を活用した短期の雇用の創出などに取り組んでいるところであります。
 また、特に甚大な被害を受けた水産業の再生について、漁船や定置網、養殖施設等の再整備、産地魚市場及び水産加工等関連施設の復旧などに全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 被災地域への企業誘致につきましては、進出意欲のある企業と地域とのマッチングを鋭意進めてきたところであり、野菜工場等の新産業が進出することとなっております。
 今後におきましては、これらの取り組みに加え、東日本大震災復興特別区域法に基づく岩手県産業再生復興推進計画の税制特例措置による新規企業立地や地域産業の活性化等の促進、東日本大震災津波復興基金による被災事業所等の再生支援、国が年度内に設立する東日本大震災事業者再生支援機構と連携した二重債務の解消、事業復興型雇用創出事業による長期かつ安定的な雇用の確保などに取り組み、一日も早いなりわいの再生を図ってまいります。
 次に、本県の農業振興に対する基本的な考え方についてでありますが、本県農業は、食品製造業、外食産業、運送業、流通業等、他の産業への波及効果が大きいすそ野の広い産業であり、本県の地域経済社会を支え、さらには雇用の受け皿となる産業として大きな役割を担っていくことが期待されており、持続的な発展を図っていくことが何より重要であります。
 こうした中、国においては、昨年10月、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画を公表し、持続可能な力強い農業の実現や6次産業化、成長産業化、流通効率化等を推進することとしたところです。
 県としても、関係機関、団体と連携し、この基本方針・行動計画を推進する国の施策も十分活用しながら、全市町村において、地域の話し合いのもと、地域農業の目指す姿とその実現に向けた方向性を明確にしたマスタープランの作成を促進するとともに、リーディング経営体等の高い所得を安定的に確保できる担い手の育成や、安全・安心で高品質な農産物の生産による生産性、市場性の高い産地づくり、地域資源を生かした6次産業化の促進による農産物の高付加価値化など、生産者や消費者がその豊かさや恵みを実感できる農業、農村の実現を目指し、いわて県民計画を着実に推進してまいります。
 次に、食産業の振興についてでありますが、本県製造業における食産業の出荷額は、自動車など輸送用機械器具製造業に次いで大きなウエートを占めていることから、その振興は極めて重要であり、中でも震災の被害が甚大であった水産加工業の復興が最優先の課題であります。
 今まで本県水産加工業は従業者1人当たりの粗付加価値額が全国水準の約75%と低位にあったことから、被災事業所の単なる復旧にとどまらず、これを機に、より付加価値の高い産業として復興を目指すことが必要であります。
 このため、いわゆるグループ補助等による施設、設備の整備支援を契機に、グループによる原料調達から加工、流通までの共同化や自動車関連企業のカイゼン方式の導入など、より付加価値の高い生産、流通体制の構築を進めています。
 また、全県的な取り組みとしても、食を核として、地域でより高い収益を生むための取り組みを活発化するため、農商工連携ファンド等の活用により、地域の特色ある食材や人材、技術などを生かした新商品や新サービスの開発を初め、国内外でのフェア、商談会への出展、ご当地グルメの発信など、企業の多様な取り組みを支援しております。
 今後においても、全国に先駆けて設置したフード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチで培ったネットワークを活用しながら、食産業の高付加価値化が図られるような総合的な支援を一層進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 被災地の復興のためのまちづくりについてでございますが、初めに、復興整備計画等の策定状況についてでございますが、沿岸12市町村では、土地利用方針を盛り込んだ復興計画等を昨年末までに作成し、現在、住民との合意形成を図りながら、導入事業等を含めたまちづくり、地域づくりの具体的な計画の策定を進めているところでございます。
 復興整備計画は、記載された事業について手続の一元化や許認可等に関する特例措置が適用されるものですが、現段階では9市町村が計画の策定を予定しているところであり、従来の個別法での手続と復興整備計画を併用した許認可等の手続を進める市町村もあるなど、事業の円滑かつ迅速な実施に向け、既に取り組みが行われている状況にございます。
 次に、被害を受けた市町村に対する支援についてでございますが、県ではこれまで、市町村復興計画の指針となる岩手県東日本大震災復興計画の策定を行うとともに、都市計画の専門的技術職員の派遣や、必要となる制度や財政措置について国に要望するなど、市町村復興計画の実現に向け、市町村と連携し取り組んできたところでございます。また、復興整備計画につきましては、これまで関連情報の提供や計画作成のための説明会の開催等を行ってきたところでございます。
 今後は、復興に向けた事業の円滑かつ迅速な実施に向けた支援を継続するとともに、市町村の都市計画事業の計画等の進展に合わせて、特例が適用可能となるよう復興整備計画の作成を支援してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農業の6次産業化についてでありますが、農産物の生産量が減少し、価格が低迷している現状にあって、生産者の所得を確保していくためには、経営規模の拡大や低コスト化などとあわせて6次産業化による高付加価値化が重要であると考えております。この6次産業化には、生産したものを生産者みずからが販売する取り組み、また、みずから加工する取り組みや、さらに生産から加工、販売まで一貫して行う取り組みなどの形態があり、加えて、生産者と加工業者が連携した事業拡大など、さまざまな形態があるものと考えております。こうした多様な形態と本県の実情を踏まえ、県では6次産業化のモデルとなる事業体の育成などの事業を実施しており、これまで自家生産の牛肉を活用した加工品の開発や直営レストランの経営などの取り組みが展開されております。
 県といたしましては、こうした実践事例を県内全域に波及させるため、6次産業化に取り組む事業者の交流会などを開催するとともに、今年度設置したいわて6次産業支援センターを核として、生産者ごとの強みや6次産業化の発展段階のニーズに応じた支援を行い、本県6次産業化の拡大、定着を図ってまいりたいと考えております。
 次に、小水力発電についてでありますが、県では、農業用ダムや用排水路など農業水利施設における小水力発電の導入に向け、平成22年度から県内24カ所で可能性調査を実施しており、その結果を土地改良区や市町村に提供しながら啓発普及に取り組んでおります。また、来年度から事業着手が予定されている国営かんがい排水事業和賀中央地区で小水力発電が計画されるなど、県内の国営事業におきましても導入に向けた検討が進められております。こうした中、売電単価の引き上げなどにより土地改良区等の維持管理経費の軽減が図られる場合には、導入に向けた機運がますます高まっていくものと考えております。
 県といたしましては、平成24年度以降も可能性調査を継続するとともに、先進地研修などを通じながら、事業化に向け土地改良区や市町村を支援していく考えです。
 次に、沿岸部の農業の復興と所得の確保方策についてでありますが、本県沿岸地域におきましては、これまでも夏季冷涼、冬季温暖な気象特性を生かした園芸品目の導入を推進してきたところですが、今後の復興に向けましては、こうした取り組みを加速させ、新たな園芸産地の形成を図ることとしております。また、各市町村の復興計画におきましても、陸前高田市や山田町などで施設園芸導入による地域農業の復興を進めることとしております。
 このため、県といたしましては、関係市町村や団体等との連携を強化しながら、平成24年度当初予算案に盛り込んだ三陸みらい園芸産地づくり交付金や国の震災復興交付金なども活用し、イチゴやトマトなどの施設園芸団地の整備を支援するとともに、こうした取り組みをモデルとして波及させ、沿岸地域における生産性、収益性の高い農業の実現を図ってまいりたいと考えております。
 次に、牧草地の除染や汚染稲わら等の処分、代替粗飼料の確保についてでありますが、牧草地の除染につきましては、今般、飼料の暫定許容値が見直されたことから、除染対象面積は概数で1万ヘクタール程度になるものと見込んでおり、現在、精査を進めております。
 除染方法につきましては、国は、5、000ベクレルを超過する土壌では表土の削り取り、5、000ベクレル以下の土壌では上層部と下層部を入れかえる反転耕や、放射性物質の土壌への吸着により牧草への吸収を抑制する攪拌耕を示しており、本県では5、000ベクレルを超過する牧草地は確認されていないことから、反転耕及び攪拌耕により除染を実施していく考えです。
 また、汚染稲わら等の保管及び処分につきましては、稲わら等が保管されている市町村では、県単独事業等を活用しながら、公共牧場や農家においてパイプハウスやシート等で被覆され区分管理されております。8、000ベクレル以下の稲わら等は一般廃棄物として焼却、埋却処分が進められておりますが、飼料の暫定許容値の見直しにより利用できない牧草の増加が見込まれることから、引き続き適切な区分管理や処分が確実に行われるよう支援してまいります。
 また、代替粗飼料の確保につきましては、県では、国に対し国内外からの確実な粗飼料の確保を要請するとともに、各JAに対し干し草やサイレージなどの供給に関する情報の提供やあっせんを行っており、引き続き安定的な粗飼料の確保に努めてまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、工賃倍増5カ年計画の達成状況と反省点についてでありますが、工賃倍増5カ年計画では、計画最終年度である平成23年度の目標工賃月額を2万7、700円に設定しておりますが、平成22年度における実績は1万5、783円、達成率は63.9%にとどまっております。現下の厳しい社会経済情勢をかんがみると、平成23年度における目標達成は極めて厳しい状況にあるものと考えております。
 県では、障がい者就労支援事業所の工賃引き上げ計画の策定を支援するため各事業所にアドバイザーを派遣したところでありますが、計画策定の全県的な波及には至らなかったこと、また、事業所における製品等の販売促進に取り組む人的資源が不足していたことなどが課題であったと認識しております。このことを踏まえ、平成21年度に障がい者就労支援振興センターを設置し、コーディネーターが販路拡大や新規事業開発などの販売促進活動を支援しております。
 次に、障がい者の工賃向上についての県の考えと支援策についてでありますが、農業者と障がい者就労支援事業所の連携という観点では、二戸圏域において、地域振興推進費を活用し、事業所と農家の農作業請負契約の締結による障がい者の就労の確保に向けた取り組みが行われているほか、雑穀を使用した製品の製造や農家と連携したカシスの栽培など、各事業所において工夫を凝らした取り組みが行われ、障がい者の工賃向上に一定の貢献をしているものと承知しております。
 障がい者就労支援振興センターにおきましては、平成24年度から新たに原材料等に係る共同購入を試行することとしておりますことから、農業者とタイアップし、魅力ある製品を一定規模で生産、販売するという議員御指摘のような取り組みにつきましてもこの試行による取り組みの一つと位置づけ、同センターの支援による事業所の取り組みとして効果的に事業が展開されるよう検討してまいりたいと考えております。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 県立病院における材料費の縮減についてでありますが、薬品や診療材料などの材料費は平成22年度決算では212億円余で、費用全体に占める割合は22.1%となっており、議員御指摘のとおり、材料費の縮減は経営改善を進める上で重要であると認識しております。
 このため、薬品については、スケールメリットを生かした購入価格の引き下げを図るため本庁での一括購入を進めるとともに、後発医薬品の使用拡大などに努めてきたところであります。
 診療材料については、平成20年度と平成21年度に民間のコンサルティングを導入し、医師を初めとする職員のコスト意識の醸成などを図ったほか、平成22年度からは職員によるプロジェクトチームを設置し、使用数量の適正化などに取り組んできているところであります。
 また、診療材料の在庫管理については、平成16年度から中央病院ほか3病院に、順次、物流管理システム、いわゆるSPDを導入し、在庫量を33%縮減するなど適正な在庫管理に努めてきたところであります。
 こうした取り組みなどにより、入院、外来収益に対する材料費の割合は、平成20年度の30.6%から平成22年度は29.4%、今年度12月末現在では28.6%と縮小してきているところであります。来年度からは、新たにすべての病院等の診療材料を一元的に管理するSPDを導入し、一括購入の拡大による価格の引き下げや適正な在庫管理によるキャッシュフローの改善等を図っていくとともに、引き続き後発医薬品の使用拡大などにも取り組み、材料費のさらなる縮減に取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 高校再編についてでありますが、県立高校のあるべき姿につきましては、高校教育の質と能力に応じた教育を受ける機会を保証することが重要であり、また、中学校卒業者数がさらに減少することが見込まれる中で、生徒にとってより望ましい教育環境を整えていくことが必要と考えております。
 県教育委員会といたしましては、まず、東日本大震災津波からの学びの場の復興に最優先で取り組むこととしており、次期県立高等学校整備計画につきましては、県内各ブロックにおける中学校卒業生の動向、推移や被災地域における地域づくりの方向性等を見据えながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
 いわゆる小規模校のあり方につきましても、地域の皆様方の御意見を伺いながら、次期計画とあわせ検討してまいります。
〇23番(高橋孝眞君) 被災地の復興のためのまちづくりについて再度伺います。
 今回の大震災では地殻が大きく変動し、我が県土も東南方向に引きずられ、かつ大きいところは1メートル近くも沈下したとされております。今回の大きな地殻変動に対し、既に国土調査を実施した地域では、国が公表した補正パラメーターを用い、従来データの修正に取り組んでいると聞いているところであります。被災した沿岸部の地域では国土調査事業がおくれているようですが、これから迅速に進めなければならない復興のためのまちづくりの支障になるのではないかと懸念されるところであります。
 そこで、沿岸被災市町村の国土調査については、今後どのように進めていくのか伺います。
 また、土地の境界画定と権利調整についてでありますが、復興特区法により定められているのは許認可の特例や手続の簡素化、ワンストップ化などでありますが、それでは、実際にはどうでしょうか。例えば住宅地の集団移転を伴う市街地の再配置においては、防災施設やそのほかの広域的施設の用地を生み出そうとする場合、必然的に土地区画整理が必要になります。土地所有者が大震災津波により行方不明になっているような場合、土地の境界画定や権利調整の確定に相続等で非常に問題になるのではないかと思うわけでございます。
 このような場合、聞きますと、現在の復興特区法の枠内では対応できず、従来の制度により解決せざるを得ないとのことですが、それでは向こう8年間での被災市町村のグランドデザインの具現化は不可能なのではないかと考えますが、県の現状での考えと対応を伺います。
 以上2点質問して終わりにいたします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 国土調査についてでありますが、災害からの復旧、復興を進めるためには、まずもって、土地1筆ごとの所有者、地番、地目の調査や境界の確認及び面積の測量によって地籍を確定することが重要であり、そのためにも、市町村が行う国土調査への積極的な支援が必要と認識しております。
 中でも、津波被害を受けた沿岸地域は、内陸部に比べて調査がおくれていますことから、通常分の予算に加えまして、震災対応分として別途予算を計上し、被災市町村の国土調査を加速化することとしております。
 あわせまして、権利関係の複雑な市街地等を中心に、道路や水路と民地との境界の確定に向けた国直轄調査に加え、新たに創設された復興特別区域法に基づきまして、国土調査を国が代行する制度の導入などについて、関係市町村と検討しながら、被災地域の調査促進を図ってまいります。
〇理事(平井節生君) 復興のためのまちづくりにおける土地の境界画定と権利調整についてでございますが、所有者の所在不明な土地の取り扱いにつきましては、多くの手続と時間を要しますことから、県としても、これまで、国に対して、復興の妨げとならないよう、新たな制度の創設等を求めてきたところでございます。
 復興特別区域法では、土地収用対象事業等の実施主体に対して、登記が行われている土地については、筆界特定の申請ができるとする不動産登記法の特例措置が設けられたほか、市町村の許可を得て、土地への立ち入りや調査、測量ができるとされたところでございます。
 一方、期間を要することが多い土地所有者の所在の確認や、死亡あるいは死亡とみなされた場合の相続人の所在確認などにつきましては、民法上の財産管理制度との関係や個人の財産権に直接かかわることなどの理由から、手続の省略など、新たな制度の創設は盛り込まれなかったところでございます。
 県といたしましては、引き続き、事業用地の円滑な確保に向けた制度の創設等について、国に対して要望を行うとともに、今後とも、県及び市町村の復興計画の早期実現に向け努めてまいります。
〇議長(佐々木博君) 次に、小野共君。
   〔19番小野共君登壇〕(拍手)

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