平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(関根敏伸君) 民主党の関根敏伸でございます。
 質問に入ります前に、昨年3月11日に発生しました東日本大震災津波によりお亡くなりになられた多くの方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された県民の皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 それでは、震災復興を中心に順次質問をさせていただきます。
 初めに、住宅の再建に向けた取り組みについて伺います。
 生活再建の柱の一つは住宅再建です。今回の震災では、2万7、000戸に及ぶ住宅が失われました。仮設住宅や民間のみなし仮設住宅に住まわれている方々にとって、近い将来の安心した暮らしの土台となる恒久住宅や災害公営住宅の建設は最も関心の高いものであります。
 かつては、災害などで住宅を失っても、個人の財産に対して税金を投入して再建を援助することには否定的な考えが大勢で、すべてが自助による再建が原則となっておりました。しかし、17年前の阪神・淡路大震災をきっかけに、国会での大きな議論の中、被災者生活再建支援法が成立、ようやく住宅再建に向けての公的な援助の仕組みが整いました。その後、幾度となく発生した大規模災害を経て、この制度も改正を加えながら、支援金額の増加や要件緩和などによって少しずつ充実度を深めてまいりました。達増知事も、衆議院議員時代に大きな汗をかかれたと伺っております。しかしながら、いまだにその要件は、住宅の全壊や大規模半壊が原則とされ、金額は最高でも300万円が限度となっております。また、今回の余震などで見られた宅地への適用も認められず、多くの方々は、心ある義援金や災害弔慰金などを原資に、何とか住宅再建にこぎつけてきたのが実態です。自力での恒久住宅取得をあきらめざるを得ない方々も、相当数に上っていたものと推測されます。
 今回の震災では、さらに津波による土地利用制限や移転の問題なども生じ、今までの制度の範疇だけでは、住宅再建の可能性が相当限られてしまうことが懸念されておりました。
 県では、昨年10月、岩手県住宅復興の基本方針を策定し、持ち家を9、000戸から9、500戸、災害公営住宅や民間賃貸住宅を含め、合計1万7、000戸の建設が必要になるとし、順次、その整備に向けた施策を発表してまいりました。補正予算では、既存の住宅ローンに対する利子補給や要件を満たさない住宅の補修等に対する補助制度をつくり、今議会には、新築の場合に市町村と共同で最高100万円の上乗せ補助制度や、宅地の補修に対する制度も提案されております。県の住宅再建に対する強い決意と重層的な取り組みには心から敬意を表するものであり、改めて法律や制度は人がつくるものとの思いを強くしているところであります。
 そこで伺います。まず一つ目は、制度設計の根拠です。
 県では、関係機関の協力を得ながら、恒久住宅を希望する方々が取得しやすいモデル住宅のプラン作成を行っており、また、民間の住宅メーカーなども、被災者向けの住宅プランなどを積極的に提案しているようであります。さまざまな制度を活用しながら、資金問題をクリアして初めて希望する方の持ち家の建築が実現できるわけですが、県では、今回の補助制度等の作成に当たり、どのような根拠をもとに制度設計に当たられたのか、お聞かせください。
 また、生活再建住宅支援事業は市町村が主体で実行することになりますが、市町村との協議状況も伺います。
 二つ目は、住宅ローンの状況です。既存住宅ローン債務の軽減策としてつくられた利子補給事業の利用状況はどのようになっているでしょうか。また、二重ローン対策として、被災者が自己破産など法的整理に陥るのを防ぎ、迅速で円滑な債務免除を進めることで、生活再建の後押しをする個人版私的整理ガイドラインがつくられ、専門家である第三者機関の支援を受けながら債務軽減が図られる仕組みができておりますが、相談や利用状況などはどのようになっているのでしょうか。また、課題があればそれをどのように解決しようとされているのか、お知らせ願います。
 県では、被災12市町村での土地の一括鑑定評価にも乗り出しております。被災宅地の買い上げや移転先の土地取得など、被災者は大きな関心を持って事業を見守っているものと思われますし、投機的目的による土地の高騰を抑制する効果も期待されるところであります。住宅再建支援制度とあわせて、一体的で総合的な生活再建策を力強く推進されることを望むものであります。
 生活再建の二つ目の柱は雇用であります。そして、それを安定的に生み出していく産業再生です。新年度予算では、生活保障の考え方による元気な地域経済の復興と安心して働ける地域の再生を理念として、これらの分野に対して多様な事業展開が計画されております。
 震災の復興に向けた種々の事業が展開され始める中、被災地を初め、県内の経済、雇用状況も好転の兆しが見え始めていると言われておりますが、一方、延長の特例などによって、被災地の離職者を支えてきた失業保険をこれ以上延長しない方針を国は決定しており、雇用対策は重要な局面を迎えることになります。
 沿岸被災地では、この2月から3月をピークに、600人以上の方々が失業給付切れを迎える見込みとされており、特に女性の割合が多いとされております。求人は、瓦れき撤去などに伴う建設や土木関係のものが多い一方、女性の雇用の受け皿となってきた水産加工や観光関連職種の求人が思うように拡大せず、雇用のミスマッチも懸念されております。
 雇用事業の柱が事業復興型雇用創出事業であり、被災地での1万7、800人の雇用創出見込み数のうち、1万人の雇用をこの事業で確保していく目標となっております。この事業は、グループ補助金や今回提案されている単体事業者への被災資産復旧事業費補助などと組み合わせながら、事業者の再建意欲を支えるとともに、雇用者の待遇向上にもつながってくるものと考え、効果的な制度活用を期待したいところであります。
 そこで伺いますが、この1万人の算出根拠と達成に向けた方策を伺います。
 また、この制度は、グループ補助などの企業支援事業の活用が前提となりますが、より利用しやすいものにしていくためのサポートや支援体制を構築することが必要ですが、どのように取り組まれるのでしょうか。また、過去の雇用実績に対する遡及を可能にする必要もあると考えますが、いかがでしょうか。
 今回の震災では、母子家庭の増加も見込まれ、女性の長期安定雇用の確保や、ミスマッチ対策が必要です。そのため、これから急増が予測される求人求職相談には、きめの細かい就業支援策と効果的マッチング支援が必要です。職業紹介は、基本的には国の職業安定所の業務となりますが、相談記録の不記載などによって、スムーズな職業紹介に至らない事例が総務省の調査で勧告されております。国と県、市町村との連携を深めながら、マンパワーの充実や体制強化を深め、効果的な職業紹介や就労支援を実現していかなければならないと考えますが、県の取り組み方策をお示しください。
 次に、産業再生策について伺います。
 まず、被災地の事業所の状況について伺います。
 昨年末の県内の新聞社の調査によりますと、被災12商工団体の総会員7、763事業所のうち、被災が4、191事業所で、そのうちの58%が事業を再開しているとされており、再開の意思を持っている会員を含めると、70%を超えることが紹介されております。一方、後継者問題などによる廃業が9%出ており、将来への不安解消が大きな課題となっております。しかし、この調査は、団体加盟会員のみが対象となっており、また、当時は、いまだ調査の精査ができない状況にある被災地も多く、産業再生に向けては、県としても実態の詳細を把握する必要があるものと考えます。
 被災地の事業所の状況や課題及び再生に向けた対応についてお伺いいたします。
 また、新年度に向かって、事業所の意識調査を定期的に行う予定となっておりますが、時期や範囲、方法等についてお知らせ願います。
 報道によって浮かび上がる地域経済再生の課題は、資金繰り、二重ローンが一番であり、その後仮設店舗、仮設工場の整備のおくれ、自治体の復興計画策定のおくれということになります。今回の予算にはグループ補助金の増加とともに、よりきめの細かな支援制度がつくられ、おくれが目立った仮設店舗や工場の整備も順次進んでいる状況です。また、被災市町村の復興計画も出そろい、土地利用計画も明らかになってくるものと思われます。しかし、残念ながら、最も大きな課題である二重ローン問題の解決は、順調とは言えない状況下にあると思われます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県や県内金融機関、中小企業基盤整備機構などの出資によってつくられた岩手産業復興機構による債権買い取りは2件が決定したのみとされており、設立当初の期待とは、若干の差があると言わざるを得ないものと感じます。県では、この状況をどのようにとらえているのか、当初の機構設立の目的は十分果たせているとお考えか伺います。
 また、3月には、国の全額出資による東日本大震災事業者再生支援機構が設立される予定と聞いております。この機構は、農林水産業者や医療法人、さらには小規模、個人事業者向けの機構で、より柔軟な債権買い取りも進むのではと期待されております。この機構の具体的内容と現在の産業復興機構との役割分担、そして二つの機関の有効な活用による二重ローン対策の道筋をお示しください。
 今後数年間は、県内で相当量の復興事業が発注されることが確実です。これを最大限に活用することによる地域振興と雇用対策も行っていく視点も大切です。特にも、これから3年間の第1基盤復興期においては、事業量が最大になるものと思われます。現時点で、3年間の復興事業量や事業費の見込みをどのように試算されているのでしょうか。県内圏域ごとの試算と、それによる経済効果や雇用創出効果についてもお尋ねいたします。
 膨大な復興事業を着実に進捗させるため、県では、入札制度改革や技術者への支援制度に乗り出しておりますが、これらを含め、内陸部を含めたオール岩手の人材や技術も最大限活用して、県内に復興事業活用をより効果的に循環させる策を講じるべきと考えますが、県のお考えをお示しください。
 次に、災害廃棄物処理の現状と見通しについて伺います。
 今回の震災によって発生した災害廃棄物の推計量は435万トンと、通常の11年分にも達しました。県の処理計画では、基本方針に、地域の復興に寄与する処理、リサイクルを重視した処理、広域処理も活用した迅速な処理を掲げ、このうち126万トンを県内で処理。252万トンは復興道路などに利用し、残りの57万トンを県外での広域処理を行うこととしており、最終的な処理完了を平成26年3月までとしております。
 先日は、委員会視察で大槌町を訪問し、2次仮置き場での破砕、選別ラインを拝見してまいりました。宮古市と山田町にも同様の施設が建設され、また、宮古市の仮設焼却炉もいよいよ稼働の動きとなっており、災害廃棄物処理はいよいよ新しい段階に入ってまいりました。知事や県幹部が災害廃棄物処理は復興に向けた一丁目一番地と話されているように、被災地住民の皆様にとっても一日でも早い完全撤去が望まれるところと考えます。そういう意味において、県が示している平成26年3月の最終処理目標は、何としても果たしていかなければならないコミットメントであると考えます。また、仮に前倒しの可能性があれば、それを少しでも実行に移していく必要もあると思い、そのような観点から質問いたします。
 環境省の集計によりますと、岩手県では処理済みの災害廃棄物は36万7、000トンで、処理割合が8%、被災3県では5%にとどまっていることが明らかになっております。被災地住民の方々にとっては、これからの進捗見通しに大きな関心を寄せているものと思われますが、今後の進捗管理の方法や定期的な公表等についてのお考えをお聞かせください。
 広域処理の現状については、連日のように報道されているように、放射能問題を背景に大変厳しい現実が突きつけられております。受け入れに積極的な首長によって前向きな調整が続けられておりますが、市町村や住民の理解に向けたハードルは相当高いと言わざるを得ません。処理計画では57万トンを広域処理する目標立てとなっておりますが、現実に動いているのは東京都のみであります。受け入れに前向きな神奈川県知事は、住民理解が進まないことに対し、国による法的枠組みの必要性も訴えております。
 そこで伺いますが、現在の広域処理の進捗状況を改めてお示しの上、処理目標の実現性についてのお考えを伺います。
 また、目標を実現するための国の協力を含めた方策をどのように考えているのか。仮に広域処理目標の見通しに赤信号がともった場合、全体の処理計画を見直しする考えがあるのか伺います。
 最後に、当初予定の処理単価から、塩分や輸送コストの問題などにより相当の単価上昇が見込まれるのではないかとの報道もあり、処理予算の増加によっては、財政面の制約などから進捗のおくれへの懸念も出ておりますが、予算見通しや処理の進捗に与える影響についてはどのようにとらえているのか伺います。
 次に、再生可能エネルギーについて伺います。
 今回の震災では、今までのエネルギー政策が大転換を迫られるきっかけとなりました。震災直後の電気もガソリンもないという状況や、福島原発での事故により、大規模集中型のエネルギー供給体制の見直しやエネルギーのベストミックスという考え方が定着し始めております。
 県は、今議会に提案されている岩手県地球温暖化対策実行計画案において、地域にある再生可能エネルギーを最大限活用した地産地消の取り組みを進め、災害に強く、持続可能な低炭素社会を実現するため、温室効果ガスの排出削減目標とともに再生可能エネルギーの導入目標を新たに設定しております。その目標によりますと、太陽光で4倍、風力で8.6倍、地熱で1.6倍の電力利用目標を定め、また、熱利用でも約18%の増加目標を設定しております。地域資源を生かした自立・分散型のエネルギー供給体制の構築は、その大きな可能性を秘めた岩手県にとっては新たな県土づくりのシンボルとなり得るものと考え、期待を込め、太陽光発電と木質バイオマスの利活用について伺います。
 先日、会派の有志とともに、大阪府堺市にある関西電力のメガソーラー発電所を訪問してまいりました。日本一のこの太陽光発電所は、シャープ製の約7万4、000枚のパネルにより、最大出力1万キロワット、年間で1、100万キロワットを発電し3、000世帯分の電力を賄い、年間で4、000トンのCO2の排出削減効果があると言われております。
 一方、メガソーラー発電の弱点とされるものにコストと広大な敷地の確保が言われております。この施設は21ヘクタールの大阪府所有の廃棄物処理施設を利用して建設されており、また、コストは、さまざまな工法を工夫することによって、住宅での発電コストの目安とされている1キロワット当たり58万円のコストを35万円まで下げることに成功しております。しかし、広大な敷地の維持管理や送電設備につなぐまでのコスト、発電効率の問題など、期待は大きいわけですが、越えるべきハードルも少なくないとの印象を受けてまいりました。
 そこで伺いますが、県が計画している太陽光発電量4倍の実現のためにどのように取り組まれるのか知事にお伺いいたします。
 また、県では、大規模太陽光発電の立地促進を目標に、新年度予算にもさまざまな事業を盛り込み立地促進を図ろうとしておりますが、課題や解決の方策をどのように考えているのでしょうか。メガソーラーの立地適地として県内50カ所の発表も既に行っておりますが、民間業者とのマッチングの現状についてもお知らせ願います。
 メガソーラーの立地は、そのままでは雇用につながらないことや、太陽光の有効利用のためには蓄電技術の向上が不可欠とされていることから、太陽電池メーカーやパネル工場等の誘致をセットで実現する必要性が言われております。宮城県では、半導体技術の蓄積や自動車メーカー関連工場の集積を背景に日本最大手の太陽電池メーカーが立地の動きを見せているとも報道されており、同様の環境を有する岩手県もおくれてはならないと考えます。今月6日には産業再生特区が国に申請され、また、再生可能エネルギー分野での特区申請も間もなくと思われますが、太陽電池メーカー等の誘致に向けた取り組みについて知事のお考えを伺います。
 次に、木質バイオマスの利活用について伺います。
 岩手県は、平成12年7月に産学官連携で岩手・木質バイオマス研究会を設立し、ペレットストーブや木質バイオマスボイラーの普及促進に努めてまいりました。それにより、県内でのペレットやチップ、そして燃焼機器の生産拡大も図られ、地域経済や林業の活性化にも大きな役割を果たしてまいりました。平成16年1月には岩手木質バイオマスサミットも開催され、全国の牽引役としての役割も果たしてきたものと評価するところであります。
 ただ、ここ数年、県の木質バイオマスへの取り組み姿勢は残念ながら積極的とは言えず、ペレットストーブやペレットの生産も頭打ちの感が否めず、関係者の間からは、拡大期を経て次の展開が見えない状況に閉塞感も漂っているとの指摘もあります。
 しかしながら、今回の震災で木質バイオマスを取り巻く環境は新たな展開を見せております。また、原発からのエネルギー転換の流れの中で原油高騰が常態化しており、熱利用を考えたときの木質バイオマスの優位性が高まっております。
 先日の新聞に、バイオマスで潤う林業のまちとして岡山県の山間都市の取り組みが紹介されておりました。市のバイオマス政策課によると、年間、バイオマスで5億円の売り上げを上げ、重油からの代替効果は12億円と試算されております。視察によるバイオマスツアーで年間2、000人が訪れることによる経済効果も小さくないとしており、今まで先鞭をつけてきた岩手県内での報道であったならと複雑な心境で拝見しておりました。
 エネルギーの自立と分散化の観点からも、再度力強く木質バイオマスの利活用促進を進めるべき時期と感じておりますが、今後の木質バイオマスの利活用に向けた力強い取り組み策と新年度関連予算総額をお知らせ願います。
 また、木質バイオマスの安定的でかつ低コストな生産のためには、周辺の林業施策等との体系的な取り組みが必要になると考えますが、具体の取り組みの体系をお知らせ願います。
 被災地の住宅再建に向けては、民間持ち家を初め、災害公営住宅や民間賃貸住宅の建設促進が動き始めます。ぜひこれらの住宅に岩手型復興住宅として太陽光とペレットストーブ、ボイラー等の木質バイオマス燃焼機器の設置をセットで進めるべきと考えますが、県のお考えをお聞かせ願います。
 次に、地域防災計画に関連して伺います。
 震災では県内で数多くの方がお亡くなりになられましたが、特徴的だったのが住民の方々の避難誘導に当たってきた消防団の皆様の犠牲です。被災東北3県で254名の消防団の方々が死亡、行方不明となっており、このうち岩手県での犠牲者が約半数を占めております。震災当日の消防団員の行動が次第に明らかになりつつある中、消防庁によると犠牲者の約8割は避難誘導や救助活動中の犠牲と言われております。61名が水門閉鎖にかかわっての犠牲で、このうち岩手県では48名が亡くなられたとの指摘もあります。
 NPO法人環境防災総合政策研究機構のアンケート調査によると、消防団員の不足や、仕事との兼ね合いから1人の担当水門数が多くなっていたのではとの指摘がある一方、死者、行方不明者がゼロの洋野町では消防団員も避難徹底がされていたことが住民の避難意識の徹底につながっているのではとの分析もされており、消防団員の災害時の活動実態において、都道府県や市町村ごとの体制に差があるのではないかと推測されます。
 まず県では、震災当時の県内消防団員の活動状況や被害実態をどのように分析し、検証を行っているのかお知らせください。
 この震災を受け、消防庁では消防団の安全確保策の検討に着手し、年度内に方向をまとめるとしておりますが、国の作業を待つまでもなく、被災自治体である岩手県が率先して、とうとい犠牲の教訓を生かし、見直しの具体化を早急に図るべきと考えます。今回示された県の地域防災計画の見直し案では、従前の避難計画では津波に対する対応が不十分であったなどとの検証から、避難計画、避難所支援等の項目において避難支援従事者の安全の確保が掲げられておりますが、具体的な対象や内容をお知らせください。
 今後、県の防災計画の見直しに合わせ、県内市町村でもそれぞれ防災計画の見直しが行われると考えますが、県の計画と市町村の計画をどのように整合性をとって現実的な安全確保策が徹底して実行されるようになるのか、また、各消防団の内規や、県が市町村等を通じて委託している水門管理要綱にどのように盛り込まれようとしているのか伺います。さらにまた、装備、備品の充実に向けた取り組みも必要ですが、どのようにとっていくのかもあわせてお示しください。
 言うまでもなく、消防団は地域の安全・安心の中核を担う存在であり、地域の人材育成機関と言うこともできます。今回の件で、以前から懸念されていた消防団員のなり手不足に拍車がかかるのではとの懸念もあります。地域の安全が消防団などの避難支援従事者の犠牲の上に成り立つようでは本末転倒であり、地域の持続的な安全環境の構築は困難になります。関係者の心のケア等にも十分対処しながらの実効性ある見直し策の早期確立を強く求めるものであります。
 最後に、人口見通しと人口減への取り組みについて伺います。
 岩手の大きな課題の一つは人口減少問題です。特にも人口の社会減に対しては県民計画でも最重要課題の柱に位置づけ、知事を先頭にさまざまな取り組みをされてきたことは承知しております。平成19年の6、881人をピークに、岩手県の人口の社会減は4年連続で減少してきたのはその成果のあらわれと評価いたします。しかし、今回の震災は岩手の人口動態にも相当大きな影響を与えたものと考えざるを得ない状況です。大規模自然災害に見舞われた新潟県や北海道の町村では、被災前の人口の6割から7割までにしか回復していないという厳しい現実の姿があります。
 県が来年度から本格的に実行していく住宅再建対策や雇用、交通対策、特区を利用して進める保健、医療、福祉環境の復興など、その一つ一つの実現が人口流出を食いとめる方策になってくるものと考えますが、時間との競争という面も否めません。県では震災後、将来の岩手県の人口動向をどのように予測し直しているでしょうか。
 改めてではありますが、県土復興の土台となるのは、それを支える県民人口であります。人口減防止に向け、岩手県域の市町村全体でそれぞれの地域特性を生かした役割分担や連携によって岩手からの人口流出を最小限に食いとめる必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 以上で質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 関根敏伸議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、太陽光発電量4倍化の実現についてでありますが、本県においては、地球温暖化防止はもとより、防災のまちづくりを進める観点から積極的に太陽光発電の導入を進めることにしております。このため、防災拠点となる公共施設や民間施設への導入に向けた140億円規模の基金、東日本大震災津波により被害を受けた住宅、事業所に対する支援制度を新たに創設します。また、いわゆる屋根貸し発電事業者を含む大規模発電事業者に対する県単独の低利融資制度を創設し、大規模発電施設の立地を促進することにより全体として目標を達成できるよう、市町村とも連携を図りながら取り組んでまいります。
 次に、大規模太陽光発電の立地促進に向けた課題等についてでありますが、国による適切な買い取り価格、期間の設定に加え、土地利用等の規制緩和が大きな課題として挙げられております。このため、事業性の確保を図る観点から、国に対し、適切な買い取り価格及び期間の設定について要望するとともに、復興特区制度による農地法等の土地利用規制の緩和について、速やかに国との協議に入れるよう準備を進めているところでございます。
 次に、太陽電池メーカー等の誘致についてでありますが、再生可能エネルギーの分野には、電子部品や半導体、機械加工等の業界から多くの企業が参入している状況にありますが、本県は、これらの分野ですぐれた基盤技術を有する企業が集積していることから、太陽電池メーカー等を誘致する素地は十分にあると考えております。県としては、現在これらの関連企業を積極的に訪問しており、県計画による再生可能エネルギーの導入促進と連動して、全国トップクラスの優遇制度や、国に申請中の産業再生特区による特例措置も活用しながら有望な企業の誘致に向けて精力的に取り組んでまいります。
 次に、人口流出防止に向けた方策についてでありますが、本県における震災直前の昨年3月1日から同年12月31日までの10カ月における人口移動の状況は3、321人の社会減となっており、1年前の同時期と比較しますと社会減は686人縮小しているところであります。また、この間の広域振興圏別の人口移動の状況は、県央圏域と県南圏域が社会増に転じている一方で、沿岸圏域では1年前の同時期と比較して社会減が4、133人拡大しているところであり、東日本大震災津波の影響により沿岸圏域からの転出者の増加が懸念される状況にあります。
 このような状況を踏まえ、県としても、今般策定したいわて県民計画第2期アクションプランでは、特に重点的に取り組む政策推進目標として、前アクションプランに引き続き、地域活力の低下をもたらす人口の社会減を減らすことを掲げました。
 人口流出を防止するためには、まずもって、沿岸地域においては、被災市町村ごとの復興計画等に基づき、安全で安心なまちづくりや被災者の生活再建、水産業を初めとする地域産業の再生を進めることが重要であり、県としても市町村と連携しながらさまざまな取り組みを支援してまいります。
 また、内陸地域において、自動車や半導体関連、医療機器関連産業を中核としたものづくり産業等の振興や沿岸地域と内陸地域の産業の取引拡大による沿岸地域の産業再生を図るなど、内陸地域の活力を沿岸地域に波及させていくことが必要であると考えており、県としても従前にも増して積極的に産業振興に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 将来の岩手県の人口動向についてでありますが、本県の将来推計人口につきましては、いわて県民計画長期ビジョンに参考として掲げているところでございますけれども、推計に当たりましては、近年の社会経済情勢が大きく変動いたしておりますことから、目標年次の平成30年においては119万8、000人から125万4、000人と幅を持って推計しているところでございます。
 将来推計人口は、基準年次人口、合計特殊出生率、転入率、転出率などの変数から推計いたしますが、そのうち転入率、転出率に影響のございます震災後の社会動態を見ますと、沿岸広域圏で社会減が拡大する一方、県央、県南広域圏では社会増となるなど、県全体では昨年3月から12月までの間で前年同期と比較して686人社会減が減少しておるところでございまして、現時点では将来推計人口の大きな変動要素とはなっていないと考えているところでございます。加えて、合計特殊出生率など震災後の動向がまだ不明な変数もございますことから震災後の人口を予測することは困難でありまして、現時点では将来推計人口を見直す状況にはないものと考えております。
 しかしながら、今、知事から御答弁申しましたとおり、沿岸圏域からの転出者の増加が懸念されますことを踏まえ、さまざまな方策、取り組みを進めてまいりますとともに、沿岸部の人口動向を不断に注視していく必要があるものと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、住宅再建についてでありますが、被災者に対するアンケート調査を実施しました結果、半数以上の方が今後の住まいとして持ち家を希望していることや、多数の方々が持ち家取得に対する支援等を求めていることが明らかとなりました。
 これを踏まえまして、住宅新築支援といたしまして、利子補給補助や被災者生活再建支援金等を合わせまして、住宅規模にもよりますが、取得に必要な経費のおおむね2分の1から3分の1程度の支援となります。また、住宅の質の向上を図るための支援策といたしまして、来年度予算案におきましては、住宅の新築に当たってバリアフリー化や県産材の活用を行う場合に最大で130万円の補助を行う制度を設けることといたしております。
 生活再建住宅支援事業に係る市町村との協議状況につきましては、既に今年度の補正予算案で認められた自宅の補修及び改修や住宅ローンの利子補給に係る補助制度につきまして市町村と協議し、一部市町村において既に制度導入が進められております。自宅の新築に対する補助制度につきましても、来年度からの導入に向け市町村への周知を行っておりまして、今後、市町村との協議を進めてまいります。
 次に、住宅ローンにつきましては、補正予算により創設いたしました利子補給の補助制度につきまして、既に盛岡市、花巻市において受け付けが始まっております。そのほかの市町村においても受け付け準備が進められております。これまでに、市町村から合計で62件、1、400万円の執行見込みの報告を受けているところであります。
 個人版私的整理ガイドラインの相談や利用状況についてでありますが、全国におけるこれまでの相談件数は1、575件、債務整理開始の申し出件数が125件で、本県はそのうち28件となっております。
 課題といたしましては、ガイドラインについては、利用条件が厳しかったことからこれまでに申し出をいただいている件数が少ない状況でしたが、ことし1月には自由財産となる現預金の範囲を99万円から500万円を目安とするなどの見直しが行われております。県といたしましても、住宅ローン対策として利子補給制度などの周知に努めますとともに、住宅の取得に対する支援策の充実などにより被災者の負担軽減を図ってまいります。
 次に、住宅の復興における再生可能エネルギーの利活用についてでありますが、岩手県住宅復興の基本方針におきましては、環境問題や電力需要の抑制に対応した住まいづくりを進めることといたしております。現在、業界団体とともに進めています岩手県地域型復興住宅推進協議会におきまして、再生可能エネルギーを活用した地域型復興住宅のプランについて検討を進めています。また、災害復興公営住宅の整備におきましては、共用部分に太陽光発電等の設備を設置する方針といたしております。
 県といたしましては、岩手型住宅の普及啓発に積極的に取り組むとともに、業界団体とも連携し、復興住宅における再生可能エネルギーの導入促進を図ってまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、事業復興型雇用創出事業についてでありますが、震災等による失業者は平常時に比較し最大約1万3、000人まで増加したと見込まれ、さきに行った聞き取り調査によりますと、失業者のうち、いわゆる正社員を希望する割合が6割だったことから、平成24年度は、本事業を活用して、当面、震災等に発生した失業者1万3、000人の6割に当たる約8、000人を正規雇用に戻すとともに、さらに県内の非正規雇用の改善を図るため、2、000人を上積みして1万人としたところであります。
 なお、この事業の実施に当たりましては、平成23年度は助成金の対象事業をグループ補助金のみとしておりますが、平成24年度は、国から示されたほかの事業、あるいは県及び市町村の単独事業などを加え、支援の対象となる事業者を拡大することとしております。
 また、本事業の推進に当たっては、既に沿岸4カ所で申請手続の説明会を開催したほか、商工団体、県社会保険労務士会にも助成金に関する情報を提供し、事業者への周知や事業者からの相談に対応していただくよう協力依頼を行っているところであります。平成24年度からは、県のほか民間企業にも委託して問い合わせ窓口を拡充するなど、事業者に対する支援体制を強化することとしております。
 本事業の遡及適用につきましては、県といたしましても、3月11日の震災後に雇用した者すべてを対象とするよう、昨年来、国に対し強く申し入れてきたところであります。今後におきましても、継続して国に要望してまいります。
 次に、効果的な就労支援体制についてでありますが、まず、雇用のミスマッチ解消のために、平成24年度からは、県、ハローワークと市町村とで連携しながら、沿岸地域での就職面接会の開催回数をふやすほか、求職者の意識啓発セミナーや人材育成を目的とした企業向けの勉強会を開催するなど、求職者と求人を行う企業の双方への支援をしてまいります。
 さらに、沿岸地域におきましては、被災した求職者を個別、継続的に相談、支援を行う拠点を大船渡市、釜石市、宮古市、久慈市に新たに設置し、労働局や市町村と連携して、生活の建て直しから就労に至るまでの一貫した対応をしてまいります。
 一方、こうした支援を効果的に進めるため、国が指導し、昨年4月に、日本はひとつしごと協議会を設置し、国、県の関係機関や産業団体、労働団体のほか、市長会や町村会も参画しながら、震災後の雇用対策のそれぞれの分野での連携の強化を図っているところであります。
 次に、被災地の事業所の状況についてでありますが、これまで、各商工団体が会員に対して行う調査を情報として共有することで、被災事業者の状況把握に努めておりますが、今月初めに商工団体が行った調査によりますと、被災した会員事業者の約64%が事業を再開していると聞いており、今後も、順次、再開の動きがあるものと見込んでおります。
 こうした被災事業者の課題の主なものといたしまして、施設、設備の早期復旧、特にグループ補助の対象から外れた企業への支援や資金繰り、売り上げの減少などへの対応が挙げられております。このため、これまでのグループ補助に加え、新たに個別企業に対する施設、設備の復旧経費の補助制度を創設するとともに、各種制度融資や二重債務解消による資金繰り支援のほか、事業計画の作成や販路拡大を各支援機関と連携して、重層的に支援することとしております。
 次に、二重ローン問題についてでありますが、二重ローンにつきましては、昨年11月に設立された岩手産業復興機構と岩手県産業復興相談センターとが一体になって、その解消に取り組んでいるところであります。これまで、その窓口である相談センターで、1月末までに相談を受け付けた216社のうち、約100社が融資制度の紹介や資金繰りのアドバイスなど、相談センターのみの対応で解決に至っております。現時点で機構の買い取りは2社でございますが、現在、相談センターにおいて、約30社について機構への買い取り要請に向け準備が進んでおります。今後、順次、債権買い取りによる被災事業者への円滑な資金供給につながっていくものと考えております。
 また、新たに国が創設する東日本大震災事業者再生支援機構については、産業復興相談センターを相談窓口の拠点に、さきに設置されました産業復興機構と相互補完しながら、二重債務を抱える事業者を幅広く支援することとされております。
 現時点では詳細な内容が示されておりませんが、県といたしましては、両機構の有機的な連携のもとに二重債務の解消が進展し、事業者の再生が、より一層、円滑に進むよう期待しているところであります。
   〔理事平井節生君登壇〕
〇理事(平井節生君) 事業所意識調査についてでございますが、復興に当たりましては、事業所の被災状況や課題などについて正確に把握する必要があると考え、12月補正において、被災事業所復興状況調査費を予算措置し、1月下旬から、被災事業所約3、000を対象に、施設の復旧状況、雇用状況、課題等についてアンケート調査を実施しているところであり、3月下旬には、調査結果を取りまとめる予定としております。来年度におきましても、同様の事業所を対象に、同様の項目で定期的に調査を実施し、被災事業所の復興状況や課題等について把握の上、県の施策に反映してまいります。
 次に、復興交付金事業の見込みについてでございますが、県では、平成27年度までが実施期間とされる復興交付金対象事業のうち、各地域における調整等により、事業の熟度が高いものについて、1月31日に県と沿岸の12市町村との共同計画を国に対し提出したとこであります。
 今後も、事業の具体化にあわせて、復興交付金事業の追加等を国に対して提出する予定であり、現時点で基盤復興期間における事業費すべてを把握することは困難でありますが、今回提出した復興交付金事業計画に盛り込んだ平成27年度までの事業費は、県北広域振興圏のうち、久慈市、普代村、野田村、洋野町内では約453億円、沿岸広域振興圏におきましては約4、985億円となっております。これによる地域経済への第2次までの波及効果を、本県の産業連関表により試算すると、沿岸部全域で8、000億円程度になると試算されます。
 なお、雇用につきましては、設備増強や既存従業員の時間外勤務が生じると考えられるため試算が難しいのですが、一定の前提条件のもとで試算をすると、沿岸部全域で5万人程度の誘発効果が生じるものと考えられます。
 次に、岩手の人材や技術を活用した復興事業についてでありますが、大震災津波からの迅速な復興のためには、技術や人的資源、地域特性を踏まえたノウハウなども含め、県内に蓄積されてきたさまざまな資源を最大限に活用し、オール岩手による復興を推進していくことが必要と考えます。このため、県といたしましては、復興特区制度を活用し、沿岸地域の産業と内陸地域の産業との取引関係のさらなる拡大により、沿岸地域の製造業や水産加工業などの産業の再生発展を図る岩手県産業再生復興推進計画を国に申請したところであります。
 また、建設需要の拡大を踏まえた建設機械等の操作や建設関係の職業訓練の拡充や、県内業者の施工能力を最大限活用するための入札業務の特例の導入などを行っているところでございます。
 復興の取り組みを進めるに当たりましては、引き続き、県内に賦存する復興資源の有効な活用を通じて、沿岸地域を初めとした本県全体の復興を実現することが重要と考えております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、災害廃棄物処理の進捗状況等についてでありますが、現在、仮置き場への撤去につきましてはおおむね完了し、本格的な処理の段階に移行したところであり、今年度の処理目標69万トンに対して現時点での処理実績は37万トン、さらに、年度末までには50万トン程度まで上積みされる見込みとなっております。
 今後、広域処理及び県内処理を一層加速化させるとともに、新たな引き受け先の確保など、あらゆる可能性について取り組み、3年以内に処理が完了するよう努めてまいります。
 また、処理の進捗管理につきましては、各市町村と密に情報を共有し、定期的に処理状況を取りまとめており、今後、県のホームページなどで公表していくこととします。
 次に、広域処理の状況についてでありますが、東京都の受け入れ量が現時点で約3、400トン、年度内には約1万1、000トンとなる見込みであり、これに山形県の処理見込み量約1、000トンを加えて、年度末で約1万2、000トンになる見込みでございます。
 現在、秋田県、埼玉県、神奈川県、静岡県島田市、八戸市など多くの自治体が受け入れを表明するなど、支援に向けた動きが広がりつつありますが、具体的な受け入れ予定量が示されている自治体分を積み上げましても、3年間で57万トンという目標には届いていない状況でございます。このことから、引き続き、広域処理の必要性と、本県災害廃棄物の安全性を丁寧に説明していくこととしておりますが、国に対しましても、これまで以上に説明責任を果たすとともに、精神的にも負担の大きい受け入れ側自治体の事務的、財政的負担に対する支援を充実することなど、さらなる対応の強化を求めていきたいと考えております。
 処理計画につきましては、広域処理の拡大やさらなる県内の処理先の確保などに努めながら、3年以内の処理を目指す中で、全体的な調整を図っていく考えであります。
 次に、予算の見通し等についてでありますが、処理に要する経費につきましては、国からの災害等廃棄物処理事業費補助金と災害廃棄物処理基金により、今年度の内示額において全体の98.2%が措置され、残りの1.8%についても震災復興特別交付税で措置されることから、結果として、実質的に全額が国の負担により措置されることとなっております。
 また、放射性物質や塩分への対策に要する費用や広域処理に伴う輸送コストなどにつきましても、必要な経費については全額が措置される見込みであります。
 今後とも、国に対し、必要かつやむを得ない負担については適切に措置し、総額を確保するように働きかけるなど、費用の増加によって処理が滞るといったことがないよう努めてまいります。
 次に、太陽光発電に係る民間事業者とのマッチングの現状についてでありますが、昨年公表した50カ所の候補地につきましては、15事業者から延べ198カ所の問い合わせがあり、市町村等の土地所有者の意向を確認しながら、事業者に対して詳細情報を提供し、候補地選定の支援を行っております。また、問い合わせがあった事業者には企業訪問等を行い、事業化の意向や検討状況を把握しながら、市町村と連携して現地調査等に協力するなど、事業化に向けた支援を行っているところであります。
 これまでのマッチングを通じまして、事業者からは、早期に事業化が可能な土地として、土地利用上の制約が少なく、使用料等が低廉でかつ系統接続が円滑に行えるなど、時間コストを含めたトータルコストが低廉であることなどの条件が示されており、今後、こうした条件を満たす候補地について、市町村とも連携を図りながら重点的にフォローを行うなど、立地に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 木質バイオマスの利活用についてでありますが、平成24年度は、県が委嘱する木質バイオコーディネーターによる施設整備を検討している民間企業や市町村への指導、助言、導入施設ごとの木質燃料の供給体制の構築支援、木質バイオマス利用による二酸化炭素排出量取引制度への参加促進などソフト事業に取り組むとともに、森林整備加速化林業再生基金事業を活用し、チップボイラーの導入や木質燃料製造施設の整備などに対して助成を行うこととし、当初予算案にソフト事業、ハード事業合わせて総額3億2、000万円余を盛り込んでおります。
 また、林業施策等との体系的な取り組みについてでありますが、木質バイオマスエネルギー利用をさらに推進していくためには、木質燃料を低コストで安定的に生産、供給することが重要と考えております。そのため、間伐推進の施策において低コスト化を推進することとし、地域牽引型林業経営体による森林施業の集約化、林内路網の整備や高性能林業機械の導入などに取り組み、さらに木質バイオマス利用を見据えて、林地に残材を残さず全木を利用する集材搬出システムの開発や普及などに取り組んできたところであり、今後も林業振興に資する重要な施策の一つとして、木質バイオマス利用を推進してまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、震災当時の県内消防団員の活動状況と被害実態でございますが、消防団員は、地震直後から、あらかじめ定められました行動規範にのっとって、水門閉鎖、住民の避難誘導、要援護者の避難支援、消防車両による広報活動等に従事したところでございます。
 その消防活動中に殉職された消防団員は90名であり、殉職時における活動状況の内訳は、水門閉鎖中が4名、避難誘導中が59名、救助、介助中が6名、避難広報中が3名、出動途上が17名、活動指揮中が1名となっております。このうち、水門閉鎖後に避難誘導や救助などに当たっていた方が45名となっております。
 これらの被災要因といたしましては、水門閉鎖に時間を要したこと、津波の監視体制や情報伝達体制が不十分であり、正確な情報を認識できなかったこと、要援護者の避難確認に時間を要したことなどが挙げられます。
 現在、県の消防協会と連携し、沿岸市町村の消防団長等関係者の参画も得まして、地震直後の消防団の活動につきまして、改めて検証を行っているところでございます。
 次に、避難支援従事者の安全確保についてでございますが、避難支援従事者は、避難者の誘導や災害時要援護者の避難支援、水門閉鎖などを実施する方々でございまして、具体的には、消防団員、自主防災組織の隊員、民生委員、社会福祉施設の職員等を想定しております。
 東日本大震災津波では、こうした方々が多数犠牲となられましたことから、県地域防災計画の見直し案におきましては、避難支援従事者の安全確保の徹底を図るため、市町村が作成いたします避難計画に、防災対応や避難誘導に係る行動ルールや非常時の連絡手段などの安全確保策を定めるよう盛り込んだところでございます。これらに加えまして、水門の電動化や遠隔操作化を計画的に進めながら、ソフト、ハードの両面から、避難支援従事者の安全確保と負担軽減に努めてまいります。
 最後に、県計画と市町村計画の整合性と安全確保策の徹底についてでございますが、市町村におきましては、今回の災害対応を踏まえ、県の地域防災計画に基づきまして市町村の地域防災計画を見直し、防災体制の強化を図っていくこととなります。県としましては、避難支援従事者の安全確保を含む見直し内容が市町村の計画に十分反映され、防災対策の充実につながるよう、今後、市町村向けの説明会を開催するほか、直接市町村に赴き具体的に働きかけるなど、周知、浸透に努めてまいります。とりわけ、津波避難計画に関しましては、県による策定指針を速やかに見直した上で市町村に提示し、実効的な安全確保策が構築されるよう、きめ細かな支援を行ってまいります。
 さらに、各消防団の内規や水門管理要綱などの災害現場における具体の活動マニュアル等につきましても、これらの計画の見直し内容を踏まえ、県と消防協会が進めております消防団員の活動に係る安全対策の検討結果を反映させるため、順次必要な見直しが行われるよう、市町村や関係者の対応を促してまいります。
 また、消防団員の活動時における安全の確保のため、国庫補助事業を活用し、トランシーバーやライフジャケット、発電機等の装備、資機材の充実に努めております。このほか、消防救急無線のデジタル化を進める中で、情報収集や団員の活動調整に資するよう、消防団無線の改善、機能強化にも取り組んでまいります。
〇30番(関根敏伸君) 御答弁いただきましてありがとうございました。
 せっかくの機会でございますから、何点か再質問をさせていただきます。
 まず一つは、就労支援のことで御答弁をちょうだいいたしました。お聞きをいたしますと、個別の相談に乗るような体制が整ったり、国と市町村と県とまたいだような組織ができているということで、そういったことに期待をかけまして、ぜひ推進を図っていただきたいと思うんですが、聞くところによりますと、今回の離職者の方々の就業に向けた意識ということに関して、私は内陸にいるんですが、いろんな声を聞くことがあります。相当、震災での心理的ないろんなダメージとか、そういったものが多分背景にあるんだろと思いますが、なかなか仕事に前向きに向っていこうという意欲につながっていないんじゃないかと、こういう御指摘もあります。一方、国の失業保険が延びていることも一因じゃないかという言われ方もしておりますが、ただ、そういうことをたびたび耳にしておりますし、県の災害特別委員会で、たしか陸前高田市だったかどっかにお邪魔したときに、市長からも同じような指摘があったと聞いているわけです。そんな意味において、これからの就業支援というのは、今までのマッチングであるとか面接会をふやすとか、そういったことももちろんですが、そういったことまで踏み込んだような就労支援をやっていかないとならないのじゃないのかなという気がしております。
 たまたまこれは、県がこの間実施した離職者のアンケート調査がつい最近新聞に載っていましたけれども、希望に合わないということでミスマッチの状況は判明しているんですが、一方、今まで64%が一度も企業面接を受けていないと、ほとんどが応募書類を提出していないと、こういったような状況が片側で判明しておりまして、もしかするとそういう実態もあるのかなと感じておりますので、そういったことの県の認識も踏まえて、幅広い就労支援を、効果的にどうやってとっていくのかということに関して、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
 それから、再生可能エネルギーについて知事からも御答弁をいただきました。それから、担当部長からも御答弁をいただきました。これはどちらの担当部長かわかりませんがお尋ねしたいんですが、再生可能エネルギー、さまざまな形でこれから大きく推進をしていくことは、もちろんエネルギー自給の問題からも岩手県の温暖化の防止からも必要ですが、被災地の復興のシンボル的なものとして大きく進めていかなければならないと思います。
 岩手はどちらかというと、地熱であるとかバイオマスについて先進的な取り組みをもう既にされておりますが、太陽光はある意味、これからという感じはしております。そんな中で、被災県、どちらも太陽光というのは一つの大きなシンボルに掲げて、特区などを申請しながら具体の動きになってくるんだろうと思っております。
 質問の中にも触れましたが、隣県の話を恐縮なんですが、太陽光の工場の誘致がかなり具体化しているということがありました。先日はメガソーラーも1万キロワット程度で、私が見てきた大阪府堺市と同程度ですから、全国一クラスのものが動くんじゃないかという話がされておりました。さらには、先般、太陽光パネルの外国の企業が、福島県か宮城県かということで動いて、自治体と話し合いがあるのではないかと、こういうことを目にする、耳にするにつけ、やはり太陽光という分野においては、岩手県はどういった部分、自分たちの優位性をしっかりとって、こういった部分で具体のメガソーラーであったり、周辺の雇用に結びつく企業、工場、こういったものを誘致していくのか、これから本当に大変なことになるんじゃないかなと思っておりますが、大きな期待を込めている分、こういった部分に関しての県の御認識、取り組み、こういったことについて改めてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
 それから、知事には人口減のことについてお伺いをいたしました。いろいろ心を痛めていらっしゃると思っております。ただ、沿岸被災地からの人口減はあるにしろ、県全体での社会減は減少しているということで認識を新たにしましたけれども、これからがいろんな意味で本当に正念場ということになるんだろうと思っておりますし、復興を着実になし遂げることと内陸との連携と、このことがかぎになるんだろうと思います。
 こういう言い方をするのもなんですが、私は社会減への取り組みというお尋ねもしましたが、ある意味、今回の岩手の震災は、創造的な復興ということを掲げていらっしゃるわけでございまして、知事もそういったことでいろんな施策を盛り込んでいらっしゃいます。ですから、今までと同じ県土に戻すという意味ではなくて、再生可能エネルギーであったり、リニアコライダー的なものであったり、創造的な復興を目指すということに関して、ある意味、私は逆の面の可能性があるのではないかと。今までの震災地での人口減という環境とはまたちょっと違う環境にあるのかなという気がしておりまして、ある意味、被災地にあっては社会減を食いとめる方策をどんどん内向きに、被災地の方向けにPRしていかなければなりませんが、逆に社会増に向けてのこういった岩手の将来像というものを、どんどん訴えるということも私は必要じゃないのかなと、そんなふうにちょっと思っておりました。
 幸い、4月からはデスティネーションキャンペーンが始まって、800万人ですか、目標に動きが出てくることになりますし、知事の御英断で国体も決まります。国体ももう4年後ですから、1年、2年前からプレのさまざまなスポーツイベントが開催されるんだろうと思っておりますし、コンベンションの動きも戻ってきているということを聞いております。であるとすれば、社会増に向けた、県内に訪れる方々に、さまざまな私は岩手の簡単な復興の将来像というものをどんどんPRするということも必要だと思っておりますし、先ほどの太陽光の問題じゃないですが、いろんな情報もくださいよということを訴えて、逆の攻めの姿勢ということも、もしかすると可能性としてできるのではないかのかなと、そんなふうな気がしております。
 社会減に対する取り組みと社会増に向けての外への姿勢と、こういったことに関して、議会としてもやれることは多分あろうかと思っておりますが、ちょっと御所見があればお伺いをさせていただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県の復興計画、8年の計画、そしていわて県民計画も同じ平成30年を終期とするということで、この復興8年後の姿というのは、復興がなった暁に、去年の平成23年に戻るということではなくて、あくまでいわて県民計画の計画にも沿い、きちんと平成30年度における岩手のあるべき姿というものが復興の暁には実現しているということで、復興計画は未来に向かっていく、未来をつくっていく計画でもあるということは御指摘のとおりであります。
 人口流出に歯どめをかけていくということについても、これはいわて県民計画、また、その前の県の総合計画の最後のアクションプラン、いわて希望創造プランのもとでもさまざまな取り組みによりまして、県の財政規模のマクロのバランスから、県北・沿岸初め、この地域資源を丹念に掘り起こして磨き上げ、付加価値を高めていくというやり方によりまして、着実に人口減少に歯どめをかけてきたということがございますので、このやり方をきちっとやっていけば─平成22年には、陸前高田市は、人口社会増減に関しては何十人かの社会増になったと記憶しております。したがいまして、そういったマクロの財政政策のバランスとミクロのきめ細やかな地域振興策を組み合わせてやっていけば、岩手の人口流出問題ということを克服していく方向に向かっていくことは必ずできると思っておりますので、頑張ってまいりたいと思います。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 私のほうから2点、まず最初の就労支援について御答弁申し上げます。
 御案内のありましたアンケート調査、これはもう一つ非常に興味深い結果が出ておりまして、希望する雇用形態、これは1月の末に、大体3カ月に1回ぐらい定点調査を行っておりますが、男性で正社員を希望するのが67%、約7割でございますが、一方で、女性のほうは、正社員は43%となって、パートが52.7%という状況でございます。男性と女性で、かなり求めているものが違うということがございまして、特に沿岸は水産加工が大変発達しております。
 この水産加工も、実は一口に水産加工と言っても非常に間口が広くて、技能職の世界になっております。例えば、ある食品会社では、これはパートの職員なんですが、魚の切り身を正確に100グラムの重さで切る職員がいるというものもございまして、それぞれの会社に特化したようなパートの方々が、要するに、昔、ハケンの品格というのがありましたが、パートの品格のような、女性でパートの方が結構いらっしゃるというのはお聞きしております。
 それで、これも個別にお聞きしますと、勤めていた事業所の復興を待っているという方々が結構多くございまして、この1月から大体3月にかけて、4分の3のいわゆるグループ補助金によって動き出す事業所がかなり出てきております。ちょうど失業保険の受給時期が切れるものと重なりますが、ここのマッチングがうまくいきますと、すんなりと実は吸収されていくのではないかなという期待を持っております。
 それから、再三御答弁していますけれども、事業復興型の、これ正規雇用に対する補助金もございますので、こうしたものとあわせて、特にこの1月から3月にかけて、かなりの雇用情勢が改善するものではないかと期待しているところでございます。
 それから、太陽光の関係で誘致の関係を申し上げますますと、知事のほうから先ほど御答弁申し上げましたけれども、本県の場合は半導体というものがございまして、これはかなりソーラーのパネルをつくる技術に応用できるものがあるというのが一つ、それからもう一つは、大変これは大きな金型が必要になります。県内の中小企業でも、幾つかこの大きな金型に対応できる企業がございまして、企業の集積といたしましては、立派に持ってこれる状況にございます。あとは私どもの誘致活動ということになってまいりまして、できるだけ企業を訪問いたしまして、一生懸命やってまいる、現時点でしゃべれるのはこの辺でございます。
〇環境生活部長(工藤孝男君) メガソーラーの誘致の関係でございます。隣接県では、東北電力が青森県八戸市と宮城県のほうで計画がございます。また、宮城県のほうでは、民間の動きもあるということについては承知しております。
 本県におきましても、メガソーラーの誘致を進めるべく、隣接県に先駆けて、50カ所の候補地を市町村の協力によりまして選定いたしまして公表しているというところでございます。先ほど答弁した中にもございましたとおり、50カ所の候補地のうち、民間のほうがいろいろ意欲を見せているような場所もございます。
 今後、3月になりますと、買い取り価格、期間、そういったものが決定されてきます。そうなりますと、動きがますます加速してくるのではないかと考えておりまして、そういった機会をとらえましてしっかり本県に誘致されるよう、立地されるよう、フォローしてまいりたいと考えてございます。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時55分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時12分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。斉藤信君。
   〔37番斉藤信君登壇〕(拍手)

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