平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一です。
 東日本大震災津波から、間もなく1年がたとうとしております。改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。また、行方不明の方々が、一日も早く御家族のもとへ戻られますことを心から御祈念申し上げます。
 それでは、3回目の一般質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員の皆様に感謝申し上げ、通告に従い順次質問をいたします。
 なお、質問はすべて大震災津波からの復興関係であります。県政課題はほかにもたくさんありますが、被災地、被災者の代表としての責任を自覚しつつ、復興への熱い思いと気概を持って質問をさせていただきますので、当局にも、被災地、被災者に、元気と勇気を与える答弁をお願いします。
 初めに、復興にかける知事の思いについて伺います。
 2012年、復興元年を迎えました。発災から間もなく1年、被災者の生活は、避難所での生活から仮設住宅での生活に変わり、新たなスタートを切りました。中小企業基盤整備機構による仮設店舗もほぼ完成し、グループ補助金を活用するなどして、事業を再開する事業者も徐々に出始めたところであります。しかしながら、瓦れきの処理、地域医療の再生、教育環境の整備、事業者の本格的な再開はもとよりでありますが、何よりも、今なお多くの被災者が、生活再建に当たり、先の見えない不安と日々闘い続けているという実態にあることを忘れてはいけません。
 被災地で今一番求められているのは生活再建であり、被災者の抱える不安を一日も早く安心に変える必要があります。これから自分たちはどこで暮らし、どうやって生計を立てていけばよいのかという二つの大きな不安に対し、有効な施策を打ち出し、車の両輪のごとく、いかにスピーディにマッチングさせながら施策を推進していくことができるか、そのことが最大かつ最優先の課題であると考えます。
 ことしは復興に向けて大きく前進する年にしなければならないとの思いは、本定例会開催に当たっての知事演述でも述べられていたように、私も知事も一緒であると思いますが、復興を前進させるためには、復興にかける強い思い、決意と、被災者に寄り添った具体的でかつ実効性の高い施策が必要です。
 そういった観点から、知事には、先般の演述の中で、施策の柱や優先順位、具体的内容についてもっとしっかり触れてほしかったというのが、私の率直な気持ちであります。
 そこで、改めて伺いますが、知事は、復興を進めるに当たり、今、被災地で一番求められていることは何だととらえているのでしょうか。また、そのことを踏まえ、どの施策を中心に置き、どういった優先順位で復興を進めていくお考えなのでしょうか。復興に果たすべき国、県、市町村、それぞれの役割についての御所見とあわせて伺います。
 次に、行方不明者の捜索についてお伺いします。
 大震災発生から1年が経過しようとする今でも、県内の行方不明者は1、300人を超えている状況にあります。この1年、警察、消防、自衛隊などの懸命の捜索により、不明となっていた多くの方々を御家族のもとに戻していただくことができたことに、心からの敬意と感謝を申し上げるところでありますが、行方不明者の御家族の方の割り切りたくても割り切れない気持ち、前を向いて歩き出したくても歩き出せない気持ちを考えると、一日も早く、また、1人でも多くの行方不明者を、御家族のもとに返してあげたいという思いでいっぱいであります。
 大槌町の漁船が兵庫県沖で発見されたという話も聞いており、遺体捜索は困難をきわめる作業となっているとは思いますが、現在の行方不明者の捜索状況と発見状況、今後の捜索に係る方針について伺います。また、新たに就任された警察本部長の遺体捜索にかける思いを伺います。
 次に、仮設住宅の問題についてお伺いします。
 初めに、仮設住宅の供与期間についてでありますが、仮設住宅には、建設による仮設住宅と民間賃貸住宅の借り上げによるものがありますが、入居している方々の大きな不安の一つに、2年後には出ていかなければならないのかどうかということがあります。
 建設による仮設住宅は、原則として建築工事が完了した日から2年とされていますが、建築基準法の特例措置により、供与期間を1年ごとに延長することが可能となっています。
 一方、民間賃貸住宅の借り上げによる仮設住宅は、供与期間は入居から2年間とされていますが、その供与期間については、国は、必要があればその期間を延長することも考え得るというにとどまっているとのことであります。
 県では、両仮設住宅の供与期間の延長について国に働きかけを行っていると聞いていますが、入居者の不安を考えれば、災害公営住宅の建設めどや、住宅再建との整合性を図りながら、次の住居が定まるまでの間、県が責任を持って供与するといったスタンスを明確に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。県の見解を求めます。また、現在の国との交渉状況についてもあわせて伺います。
 次に、居住環境の改善についてでありますが、ことしの冬は例年より寒く、被災地でも何度か氷点下10度以下を記録するなど、十分な寒さ対策が求められるところであります。
 今、仮設住宅では水道管の凍結が相次いでおり、先日は私の入居する仮設住宅でも配水管が割れ、地上に水があふれ出るといった問題が発生しました。特に、水抜きをしたにもかかわらず凍ってしまったという事例も多く、入居者は困惑している状況であります。今、凍結防止対策が行われている最中とは思いますが、凍結多発の原因はどこにあったのでしょうか。あわせて、凍結防止対策の進捗状況はどうなっているのか伺います。
 また、仮設住宅は部屋が狭いため、外気と部屋内の温度差が大きく、結露が多発しております。私も入居者の一人として改善の要望を行ったところであり、応急仮設住宅保守管理センターにも、そういった声が多数寄せられているとのことであります。実際、私自身も入居者からもお電話をいただき、何度も部屋を見に行きましたが、ひどいところでは、寝ているときも顔に水滴が落ちてきたり、朝、玄関があかなかったりと、日常生活にも大きな支障が出ているところもあります。この問題を県としてどのように考えているのか、また、今後、どのような対策をとっていくのか伺います。
 次に、阪神・淡路大震災、中越地震の例を見ると、仮設団地内での独居老人等の孤独死といった問題があり、そういった事例を教訓に、県としても、仮設団地内のコミュニティの形成に鋭意取り組まれてきたと承知しております。しかしながら、残念なことに、県内被災地の仮設住宅内において、孤独死された方もいると聞いているところであります。仮設住宅で亡くなられた方々はどのくらいいるのか、また、その死因は何であったのか伺います。
 また、仮設団地内のコミュニティの形成に係る取り組みは、一義的には、市町村やそこに暮らす住民みずからが解決すべき問題であるとは思いますが、県は、その取り組みをどのように把握し、評価しているのでしょうか。さらに、県としての支援の取り組みはどうなっているのでしょうか。その成果と課題についても伺います。
 次に、住宅再建の問題を中心に、被災者支援についてお伺いします。
 初めに、災害公営住宅の建設についてでありますが、県は、今後まちづくりを進める中で、被災者向けの災害公営住宅として4、000戸から5、000戸を供給するとしておりますが、その完成めどは平成28年となっています。単純に計算すると、最長5年も仮設住宅で生活する方々も出てくることとなります。避難所から仮設住宅に入り生活環境は改善されたものの、大震災発災前の水準と比べると、依然として窮屈な生活を強いられている現状であり、災害公営住宅の一日も早い建設、入居が求められているところであります。
 中越地震の例では、仮設住宅に3年2カ月入った方の話によると、精神的には3年が限界だったという話も聞いており、私は、現在の最長5年という計画に対しては、強い懸念を覚えるものであります。どんなに遅くとも、3年以内に建設すべきと思いますが、知事はいかがお考えでしょうか、御所見を伺います。
 次に、県は、既に750戸分の予算措置を行い、これまでに釜石市の2団地、160戸の設計者を決定し、大槌町の1団地、35戸については設計業務の公告を行ったと聞いておりますが、その完成はいつになるのでしょうか。その他の市町村、団地への事業着手状況とあわせて伺います。
 また、自力での住宅再建を目指す被災者には、県は目玉事業として、全壊世帯など新築する際、県と市町村が一体となり、複数世帯で100万円、単数世帯で75万円補助する被災者住宅再建支援事業を立ち上げるとのことでありますが、義援金などが当面の生活費に充てられていることや地震保険の加入率が13%前後にとどまっていることなどを考えると、仮に利子補給等の制度と併用したとしても、この制度を活用して自力で自宅を再建しようと考える方は、果たしてどれだけいるでしょうか。
 今回提案されている支援事業の制度設計の際、県は、住宅再建に要する費用をどのように試算しこの補助額100万円という金額を算出したのか、その根拠について伺います。
 先般、大槌町が行った住民の意向調査が新聞で取り上げられましたが、住宅再建に関する回答は、公営住宅へ入居が全体の36.4%に当たる989世帯、高台で住宅を再建が20.5%、被災前に住んでいた土地に再建が18.9%、町外へ移転し再建が6%であり、災害公営住宅への入居は、県、町の想定を大きく上回る結果となりました。
 災害公営住宅への入居希望が多かった理由としては、被災した土地の価格がわからないことや、自力で住宅再建をする際の支援が不十分であることなどが挙げられます。私は、この傾向は大槌町に限らず、ほかの被災市町村でも同様ではないかと考えています。
 県は、大震災津波により被災した土地の評価は、震災による影響の判断、認定が困難であることから、12市町村の被災地域から約110カ所の地点を定め、県が一括して岩手県不動産鑑定士協会に依頼し、複数の鑑定士による多角的な視点に立った不動産鑑定評価を実施すると伺っております。新しいまちづくりの推進を図るために必要な取り組みとして評価できるものであると思いますが、現在の調査の進捗状況と、今後、その結果をどのように生かしていこうとしているのか伺います。
 次に、瓦れきの処理についてお伺いします。
 朝起きると、目の前には瓦れきの山、発災当初に比べるとにおいはなくなったものの、発災から1年、目に映る景色はほとんど何も変わっていません。被災地の方々から聞こえてくるのは、嫌気が差すという言葉ばかりです。これからの復興に当たり、瓦れきの撤去は言うまでもなく、何よりも最優先で進めなければならない課題であります。現在、県内内陸部への搬出も始まり、東京都や秋田県、山形県を初めとする広域処理も徐々に進んできている段階であります。
 県は、災害廃棄物処理詳細計画において、年度別処理量の目安として、1年目の平成23年度は15.9%、2年目の平成24年度は57.9%、そして3年目の平成25年度には、すべての処理を終えるという計画で進めていくと承知しておりますが、現時点における平成23年度の処理量はどのようになっているのか伺います。
 瓦れき処理については、計画より1年でも、1カ月でも、1日でも早く進めていかなければならないわけですが、計画を前倒しで進めるために、これまでにどのような取り組みを行い、今後どう取り組んでいこうとするのかについてもあわせて伺います。
 次に、雇用の促進と中小企業支援についてお伺いします。
 被災地では、国の支援による仮設商店街の整備も進み、また、営業を再開する事業所も出始めたところであり、復興に向けた歩みが続いています。しかしながら、事業は再開したいものの、求人を出しても応募者が少なく、なかなか従業員を雇えないといった状況もあります。1月から失業給付が切れた方々が出始めており、これらの方々を対象として新たな雇用が生まれることを期待しているところでありますが、求職者の希望に合う求人が少ないという、いわゆる雇用のミスマッチが顕著になっています。この状況を県はどのようにとらえているでしょうか。解決に向けた今後の取り組みについて伺います。
 また、中小企業基盤整備機構の仮設店舗は2年間という供用期間が定められており、事業者からは、仮設店舗から出た後、新たに投資して事業を続けていけるのかどうかという不安の声が数多く聞こえてきます。被災地では、従業員10人以下の事業所が多く、そういった一つ一つの事業所の集まりが雇用の全体像であるといっても過言ではありません。雇用の確保という観点からも、こうした地元の事業者への手厚い支援が不可欠であると考えます。
 中小企業支援策として、2月補正予算で事業化に向けて進められているものもあると思いますが、スピード感に欠けるとの指摘も聞こえてきます。当初予算に提案されている中小企業支援策については、必要とする事業者に、早急にかつ確実にその支援が行き渡るよう、万全を期していただきたいと思うのでありますが、中小企業への支援についての県の基本的な考え方と対応策を伺います。
 また、支援の枠から漏れてしまう事業者がたくさんあると思いますが、これらの方々にはどう対処していくお考えか伺います。
 さらには、さまざまな制度を用意しても、その内容や制度そのものの存在が認知されなければ何の役にも立ちません。しっかりと周知を図るべきと考えますが、どう取り組んでいかれるのか、あわせて伺います。
 次に、水産業の復興についてお伺いします。
 今回の大震災津波により、本県の主力産業である漁業はかつてない大きな打撃を受けました。県内13魚市場のうち、12魚市場は既に再開を果たしたところでありますが、震災後から12月までの水揚げ量は、県全体では昨年の約6割で、再開時期がおくれた魚市場では、非常に厳しい状況と聞いているところであります。
 ことし1月には大槌町漁協が解散し、新たな組合に生まれ変わって再スタートすることとなりました。私は、この解散は、単に大槌町漁協のみの問題ではなく、県内の多くの漁協に、今後の漁業のあり方を問題提起するものだと考えています。すなわち、これまでの漁協経営は、サケを中心とした定置網の漁獲に多くを依存してきたため、サケが不漁であれば、即、漁協自体が赤字になってしまうといった問題を抱えており、身動きがとれなくなっている漁協も少なくないとのことであります。
 漁業が沿岸部における基幹産業として永続的に行われていくためにも、水産業の復興の核となる漁協は、今回の被災を機に、定置網依存型漁業からの脱却を図り、体質改善によって育てる漁業、すなわち、養殖による収益の安定的な確保を進めていくことが必要と考えます。そのためには、生産だけでなく、付加価値を高めることが重要であり、特にも、若者を中心とした6次産業化をもっと積極的に進めていくべきであると思うのでありますが、県としてどのように支援していくのか伺います。
 また、災害査定も昨年12月にすべて終わり、本年度は漁港の整備、本格復旧をいち早く進めていかなければなりません。現在、県の取り組みにより、順次漁船も確保されてきているところではありますが、大潮や高潮の都度、陸に上げる作業等もあり、漁業者が安心して船を泊地に停泊できるよう、岸壁や防波堤等の早急な整備が望まれるところであります。
 県は、被災した108の漁港について、今後どのような考え方、スケジュールで復旧していくのか、現在の復旧状況とあわせてお伺いします。
 さらに、水産業の復興については、国、県、市町村が連携して取り組み、きめ細やかな補助制度が創設されたところではありますが、補助金を申請するに当たり、申請書類の枚数が多かったり複雑だったりすることから、事務方には大きな負担がかかっているのが現状であります。国への要請も含め、手続の簡素化を図るべきと考えますが、これまでの県の取り組みと今後の対応策について伺います。
 次に、建設資材の地元調達についてお伺いします。
 一昨年9月の一般質問でも取り上げましたが、建設資材の地元調達、いわば地産地消については年々浸透し続け、工業製品全体での地元調達率は90%を超えている状況にありますが、物によってはその取り組みがおくれております。県としては、現在、仕様書に県産品を使うよう働きかけを行っていただいておりますが、元請業者に地元調達を行うメリットがなければ、その取り組みはなかなか広がっていかないのではないかと考えるところであります。他県では、地域精通度のポイントを加配し、県内業者からの調達を誘導する仕組みをつくっている事例もあります。受注がふえることは雇用の確保はもとより、それに付随して地域のさまざまな業種への貢献にもつながることとなり、地域経済の循環という観点で大きな役割を果たすものであります。
 これからの復興需要の中で、県として建設資材の地元調達が促進される環境をつくることは、非常に重要な意義を持つものと考えますが、県の見解と今後の取り組みについて伺います。
 次に、県営建設工事についてお伺いします。
 復旧事業に係る災害査定結果を見ますと、県営、市町村営を合わせた全体の件数、金額は、県土整備部関係が2、049件で、査定額が2、479億円余、農林水産部関係が2、568件で、査定額が3、451億円余となっており、過去にない発注件数となることが見込まれます。
 一方で、これらの工事が一度に発注されれば、技術者を含めた人手の問題などがあり、県内の建設業者はせっかくの受注機会を逃してしまうこととなります。特にも、被災地の建設業者は、発災後、道路の啓開作業を初め瓦れきの撤去作業など、地域一丸となって復旧に努めてきたところであり、現在も被災地の雇用の受け皿として大きく寄与しているところであります。
 復興を第一に考えるべきは当然のことであり、これからのまちづくりを進める上での基盤となる防波堤、防潮堤、道路等の工事は早急に発注すべきと考えますが、優先度をよく見きわめて、すぐに取りかからなくてもいい工事については発注時期をずらし、建設業界において新たに生み出された雇用を維持するような発注体系としていただきたいと考えるものでありますが、知事の御所見を伺います。
 また、県営建設工事に係る入札不調の割合が昨年秋から増大し、その発生率は、10月11%、11月15%、12月16%、ことしに入って1月が29%となっているところであり、入札の不調が復興の妨げとなることが懸念されます。不調の原因は、技術者の不足、人件費の高騰や資材の調達が滞り、工期が間に合わないといったことが考えられますが、県としてこのような状況をどのようにとらえ、具体的にどのような対策を講じていくのか伺います。
 最後に、県道大槌小国線土坂峠のトンネル化についてお伺いします。
 私が一般質問で土坂峠のトンネル化について取り上げるのは、これが3度目であります。
 土坂峠の歴史を振り返ってみますと、大正11年11月の県道認定の申請から37年の歳月を経て、昭和34年に県道小国大槌線として認定されました。その後、平成に入り、国や県への要望活動を初め、地元においてもサミットや住民集会が加速し、平成11年には道路整備に関するプログラムによってトンネル化が決定、平成13年には、最終ルートも決定されたところであります。当時は、産業振興や観光振興、あるいは盛岡市までの90分構想の中でその必要性を訴えてきたところではありますが、大震災を受けて、防災上の観点からその必要性はますます高まっています。
 県道大槌小国線は、三陸縦貫道と並んでまさに命の道路であり、土坂峠は大槌町から内陸部へ抜ける唯一のルートであることから、そのトンネル化は交通量云々でははかり切れない重要性を持つものであります。
 大槌小国線は、大震災津波発災後の県の道路整備計画では、復興関連道路として防災拠点、医療拠点へのアクセス道路に位置づけられておりますが、土坂峠のトンネル化の実現に向けて、どう取り組んでいくのかお伺いします。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては、再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復興に込める思いについてでありますが、被災された方々が一日でも早く安心して生活が送れるよう、衣食住、学ぶ機会、働く機会をそれぞれ確保し、被災者一人一人の復興を支援することによって地域の復興の歩みを着実なものにすることが重要と考えております。
 このため、復興計画に掲げた復興に向けた三つの原則である安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生を柱として、安全で安心な防災都市、地域づくりを進めるとともに、住環境の整備や雇用の確保、本県沿岸部の基幹産業の一つである水産業などの産業再生の取り組みを加速させていきます。
 これら三つの原則は、復興を実現する上で相互に関連していることから、それぞれの施策を同時並行的、一体的に推進していくことが重要であり、まず、平成25年度までの3年間で復興の基盤づくりを集中的に展開し、次の3年間で本格的な復興の取り組みを推進することによって、平成28年度までに復興に一定の目途が立つようにし、さらに、計画期間の最後の2年間でさらなる展開につなげ、新しい三陸の創造を目指した取り組みを進めていきたいと考えています。
 こうした復興の実現に向けては、被災地の基礎自治体として、地域特性や住民の意向を踏まえた取り組みを進めている市町村が復旧、復興の主体となる一方、県は、各市町村を積極的に支援するとともに、本県が一丸となって復興を達成するとの観点から、広域的な課題解決や地域間連携を推進する役割を担うものと認識しております。
 また、国は、復興の全体方針を示し、財政的支援や復興に必要な制度設計及び事業の実施を行う役割を担うものと考えており、市町村、県、国の連携を密にしながら、被災者に寄り添い、復興を進める取り組みを一体的に進めてまいります。
 次に、災害公営住宅に係る建設計画についてでありますが、被災者一人一人の復興のために、安全で良質な災害復興公営住宅の早期整備を強力に推進していく必要があります。昨年10月、岩手県住宅復興の基本方針を策定し、県と市町村合わせて4、000戸から5、000戸の被災者向けの公営住宅を供給することとしております。この中で、平成26年度から平成28年度までの本格復興期間の早期に全戸を完成させることとしており、さらに大半の住戸につきましては平成25年度までに完成させる方針であります。
 今後とも市町村と連携して用地の確保に努めるとともに、設計及び建設工事を迅速に進め、一日も早い完成を目指してまいります。
 次に、水産業における6次産業化の推進についてでありますが、本県水産業の復興に向けては、漁業の再生にとどまることなく、水産物の加工、販売など、6次産業化の推進によって漁協等の収益を高めていくことが重要であります。そのため、収益性の高い水産商品を供給する産地づくりを目的に、漁協等に民間の水産物の加工、流通の専門家を派遣し、消費者ニーズを満たす商品の開発や販路の開拓を支援する事業を実施しているところです。
 また、若手漁業者が加工、販売業者と連携し、インターネット販売や冷凍加工に関する新技術を導入して販路開拓に取り組むなどの新たな6次産業化の動きも支援しているところであり、こうした動きを全県に拡大できるよう取り組んでまいります。
 次に、建設業界の雇用維持に配慮した工事発注についてでありますが、県としては、東日本大震災津波によるかつてない規模の大災害に対し、発災当初から迅速な応急復旧に取り組んできたところであり、今後も被災地域の安全の確保や被災者の暮らしの再建を早急に進めていかなければならないと考えています。このため、津波防災施設等の復旧、整備などの多重防災型まちづくりや災害復興公営住宅などの整備等は可能な限り迅速に進める必要があります。
 岩手を支える基盤となる社会資本を整備、維持していくためには、建設業が果たす役割は重要であり、引き続き、被災地域の建設企業を初め、県内の建設企業による雇用が確保されるよう、復旧、復興工事の発注に当たっては地元企業の受注に配慮していきたいと考えます。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔理事廣田淳君登壇〕
〇理事(廣田淳君) 民間賃貸住宅の借り上げによる応急仮設住宅の供与期間についてでありますが、被災者が恒久住宅を確保するまでの一定期間、応急仮設住宅を供与することは、被災者が今後安心して生活再建を進める上でも大切なことと考えております。
 民間賃貸住宅の供与期間につきましては、平成23年4月30日付厚生労働省の通知によりまして2年間とされており、県では、今回の被災状況にかんがみ、その供与期間の延長措置を講ずるよう、昨年10月6日には厚生労働大臣に、そしてことし1月10日には野田内閣総理大臣に要望したところでございますが、国からは、応急仮設住宅の提供期間は原則として2年以内であるが、必要があればその期間の延長をすることを考えているとしか回答いただいていないところであり、具体的な延長の措置が認められておりません。県としては、3月早々に改めて国に対して要望することとしており、今後ともその実現に向けて国に強く要望してまいりたいと考えております。
 次に、仮設住宅団地でのコミュニティ形成に係る取り組みについてでありますが、市町村では、民生委員、生活支援相談員の巡回訪問を通じて安否確認、見守りを行うとともに、仮設団地の入居者が安心して生活できますよう、お互いに支え合う関係づくりを目指す支え合いサロン活動など、被災地におけますコミュニティの再生に努めているところであります。また、NPO、ボランティア等がお茶会、健康講座などを実施するなど、入居者同士のコミュニケーションの場をつくり、コミュニティの形成促進を実施しているところであります。この結果、県内の応急仮設住宅団地319団地のうち286団地、約90%と、ほとんどの団地で自治会等が組織されたところであります。
 県としましても、応急仮設住宅運営に当たってのガイドラインを昨年7月、見守り体制の構築と地域コミュニティ維持、育成の実例などを追記した改訂版を本年1月に各市町村に提供しましたほか、NPOと連携し、昨年7月と9月に実施した応急仮設住宅周辺環境調査で明らかになりました集会所設置、利用状況などの課題を関係市町村に提供するなど、市町村を支援してきております。
 また、新しい公共の場づくりのためのモデル事業の中で、仮設住宅ひきこもり防止やコミュニティ創造において必要な人材養成などを行い、被災地でのコミュニティ活動や地域コミュニティ再生を支援しております。
 今後、復旧や復興が進むにつれて、被災地域によって抱えている課題、取り組み内容に違いが出てきますので、地域の実態を把握しながら、住民交流や情報提供の促進を通じて、仮設住宅入居者等のコミュニティ形成、維持に向け、積極的に市町村を支援していく考えであります。
 次に、被災者住宅再建支援事業についてでありますが、県では、昨年10月に岩手県住宅復興基本方針を策定し、その中で、持ち家については最大9、500戸供給することを目標に、利子補給、自宅を改築する際のバリアフリー、県産材使用などの住宅の高機能化に係る補助などに取り組んできました。
 しかし、持ち家によります住宅再建につきましては、被災者の強い希望がある一方、自己資金の拡充が大きな課題であると考えております。自己資金を支援するための制度としましては被災者住宅再建支援金がありますが、現行では、住宅が全壊、自宅を建設、購入する場合でも基礎支援金100万円、加算支援金200万円、合計300万円の支給であり、住宅再建には不十分でありますことから、国に対し、加算支援金をさらに300万円増額し、現行の倍の600万円にすることを要望してきました。しかし、国からは、新潟県中越沖地震などとの公平論など検討されるべき問題が多いことなどから、慎重な検討が必要と思料との回答があり、現時点ではその増額が難しいことから、今般、県独自の支援策である本事業を予算案として提案しております。
 本事業の補助額につきましては、県の限られた財源の中で、復興に向けた多くの課題に取り組む必要があり、本事業に充てられる予算にはおのずから限りがあること、他県の補助制度の状況などを勘案し、県、市町村共同の事業として被災者への補助額が100万円となるよう制度を構築したところであります。
 なお、被災者の住宅再建にはより一層の支援が望ましいと考えておりますので、今後とも国に対し、被災者生活再建支援金の拡充などについて要望してまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、仮設住宅の寒さ対策についてでありますが、水回りの凍結につきましては、入居者が水抜きをしたにもかかわらず凍結したものが1月12日から現在までで700件程度発生しております。原因は、工事におきまして十分な配管勾配がとれていない住宅が一部で生じ、水が抜け切れずに凍結したものと考えております。
 この対策といたしまして、凍結した住戸の床下の配管勾配の修正を行っております。また、すべての仮設住宅を対象に、床下周りを防風シートで囲う工事を2月10日までに完了し、その後、凍結件数は減っており、対策の効果を確認しているところであります。
 次に、結露対策についてですが、本県の仮設住宅では、壁や天井の断熱材厚さを標準仕様の50ミリから100ミリと2倍に追加するとともに、窓の二重化と玄関の風除室を設置することで断熱性能を向上させて一定程度の結露防止に配慮してきたところであります。また、昨年12月には、全入居者の方々に結露防止のための換気の必要性についてチラシを配布し御説明してきたところであり、今後も必要な対策を行ってまいります。
 次に、災害公営住宅建設に係る進捗状況についてでありますが、釜石市の2団地につきましては設計業務を開始し、大槌町の1団地については設計業務に着手したところであります。いずれの団地につきましても平成24年度前半に着工し、平成25年度前半に完成させる予定であります。その他の団地につきましては、民有地であるため、現在、地権者との交渉や用地測量を進めているところであります。条件の整った場所から順次用地取得を行うこととしており、今後とも市町村と連携してさらなる用地確保に努めてまいります。
 次に、被災地域における一括不動産鑑定評価の進捗状況についてでありますが、岩手県不動産鑑定士協会におきましては、1月下旬から先例、資料等の調査研究を開始し、市町村ごとに担当する不動産鑑定士複数名を定め、2月初めから各市町村の復興事業等の具体的な内容などについて聞き取り調査や現地確認を行うなど鑑定に必要な準備を進め、鑑定評価を開始したところであります。
 なお、県では、沿岸12市町村から早急に価格水準の把握が必要な地点を確認し、県不動産鑑定士協会と調整を図りながら、これらの地点について優先的に鑑定を進めているところであります。
 また、一括鑑定の活用についてでありますが、結果を市町村に提示し、各市町村では、一括鑑定評価における考え方や判断基準を基本にいたしまして今後の被災土地の評価を行うこととしており、さらに国や県などが行う復旧、復興事業の土地評価にも活用していくものであります。
 次に、建設資材の地元調達についてでありますが、建設資材の地元調達は、県内需要の増加による地域経済の活性化、雇用創出につながるものと考えております。このことから、県営建設工事におきましては、平成15年8月以降、落札者に対して建設資材の県産品の活用並びに県内業者への下請発注について要請してきておりまして、一定の効果があらわれていると認識しております。また、建設資材の地元調達がさらに進むように、県産品の使用実績に対しまして、請負工事成績評定においてより的確な評価ができるように4月1日から改定を行うことといたしました。
 今後は、岩手県内で生産、加工または製造されている建設資材に関するデータの蓄積を進め、ホームページで公開するなど、地元調達の促進に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、入札不調対策についてですが、県営建設工事における入札不調は、昨年7月から主に土木一式C級工事において発生し、現在も増加の傾向にあると認識しております。その原因といたしましては、市町村の災害復旧工事が一部地域で先行したことによる配置技術者の不足、一部技能工の単価上昇や不足、工期内での完成への懸念などが考えられております。
 このような状況を踏まえ、県では、技術者不足に対応するため、現場代理人の兼任を認める運用や工期の延長を伴った複数工事の一括発注など、さまざまな対策を講じてきております。
 また、被災3県と仙台市では、国に対し、専任の技術者を配置する必要のある建設工事の要件を緩和することや、労務単価の実勢価格を即時に反映することなどを要望してきたところであります。国では、この要望を受け、被災3県に対し、上昇傾向にありました労務単価の公表を2月17日に行ったところであり、岩手県においても新たな労務単価は2月20日から適用することといたしました。今後も、入札状況を見ながら、必要に応じて対策を講じてまいります。
 次に、土坂峠のトンネル化についてですが、今回の東日本大震災津波におきまして、主要地方道大槌小国線は、震災時の避難道路や内陸部からの緊急物資の輸送道路として重要な役割を担いました。
 土坂峠のトンネル化につきましては、険しい地形条件などを勘案いたしますと2キロを超える長大なトンネルが必要となりまして、大きな事業費を要する見込みであります。このようなことから、当面は早期の整備効果が発現できる現道拡幅区間の整備、防災対策を進めることで通行の安全を確保し、トンネル部分を含む区間の整備につきましては、県全体の道路整備を進める中で、交通量の推移などを見きわめながら総合的に判断してまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 仮設団地での孤独死についてでありますが、ひとり暮らしの方で、仮設住宅で亡くなられて発見された方は5名、いずれも病死と伺っております。
 その内訳でありますが、親族や警察官、福祉関係者によって、亡くなられてから半日以内に発見された方がお二人、半日から1日以内がお二人、1日から2日以内がお一人と伺っております。こうしたことから、孤独死についてはその明確な定義づけはされておりませんが、仮にひとり暮らしの方が死後だれにも気づかれず長期間にわたって放置されるようなケースを言うとすれば、これらの方々はそれに当たらないものと考えております。
 なお、議員御指摘のとおり、時間の経過とともに孤立される被災者が出てくることも懸念されますので、民生委員や生活支援相談員による安否確認や相談、見守りを継続し、保健医療や福祉サービス等に的確に橋渡しを行うなどし、在宅の被災者も含めて、社会的に孤立する方が生じないように努めてまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 災害廃棄物処理についてでありますが、推計発生量435万トンのうち、今年度目標69万トンに対し現在の処理実績は37万トンであり、年度末までに50万トン程度の処理を見込んでいるとこであります。
 現在、県内処理につきましては、市町村の清掃センターでの本格処理、太平洋セメント大船渡工場でのセメント焼成の開始、仮設焼却炉の整備など、詳細計画に掲げた処理体制がおおむね整ったところであります。
 また、広域処理につきましては、東京都に続き、秋田県、埼玉県、神奈川県、静岡県島田市、八戸市などが受け入れを表明するなど支援に向けた動きが広がりつつあり、こうした動きが実際の受け入れにつながるよう、国と連携して本県災害廃棄物の安全性と広域処理の必要性を説明していくこととしております。
 これら県内処理、広域処理の取り組みを一層加速化することにより期限内処理を達成するよう努めているところであり、今後ともあらゆる可能性に取り組み、一日でも早い処理の完了を目指してまいります。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、雇用の促進についてでありますが、沿岸地域の求職者に対しまして先日行った調査では、仕事の内容や通勤距離などで条件が合わず就業に至っていないという方が52.9%あり、個々の事情に応じたマッチング機会の提供や相談、支援の拡充が求められているものと考えております。また、希望する雇用形態としていわゆる正社員を挙げる方も51%あり、より長期の安定的な雇用の場の拡大も求められているものと認識しております。
 このため、現在、沿岸地域を対象に就職面接会の開催回数をふやし、より多くのマッチング機会を提供しているほか、来年度からは個別、継続的に生活、就労の相談、支援を行う拠点を新たに沿岸に4カ所設置するなど、きめ細かな就業支援に努めていくこととしております。また、産業施策と一体となって雇用面からの支援を行う事業復興型雇用創出事業により、長期かつ安定的な雇用を創出していくこととしております。
 次に、中小企業支援についてでありますが、被災企業に対する支援は、これまでも現場の声を聞きながらニーズに応じて適時適切に対応することを基本としており、この考えに立ち、今般新たに個別事業者を対象として、全壊、流失するなどした施設、設備の復旧を図るための補助制度を創設することとしたところです。この補助金については、市町村と連携いたしまして、今後の復旧の状況などを見ながらきめ細かく対応してまいります。
 また、各種支援策については、国や関係機関と関係した現地説明会などで周知を図ってきたところですが、今後は、商工団体や産業支援機関とも連携し、説明会の回数や相談窓口をふやすとともに、制度をわかりやすく紹介したパンフレットの作成などにより一層の周知に努めます。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁港の復旧についてでありますが、発災以来、漁港内に堆積、浮遊した瓦れきの撤去、漁船の安全確保のための船揚げ場の復旧、整備、養殖など漁業活動のための漁港用地のかさ上げ工事などを進めており、すべての漁港で漁船の利用が可能となるとともに、釜石や大槌などの産地魚市場が再開されたほか、一部養殖水産物の水揚げ作業が実施されております。
 今後におきましては、漁協等関係団体や市町村と十分協議し、地域ニーズを踏まえた、復旧、整備の緊急度、優先度となるよう配慮しつつ、養殖施設や定置網などの再整備や産地魚市場など水産関係施設の復旧の見通しも勘案しながら、5年程度を目途に順次防波堤や岸壁等の本格的な復旧、整備を推進してまいります。
 次に、補助事業に係る事務の簡素化についてでありますが、水産業の復興に向けた国の補助事業の実施に当たっては、被災した事業実施主体や市町村等の事務負担を軽減するため、事務手続や書類の簡素化が図られるよう国へ要望するとともに、事業担当部署と具体的な調整を行ってまいりました。その結果、補助金交付申請前の計画協議手続の簡素化や、図面や設計書等の添付書類の簡素化など、補助金事務の適正さは確保しながらも一定の事務負担の軽減が図られております。
 また、沿岸、県北の各広域振興局におきましても、市町村、漁協を対象とした事業説明会の開催などにより事務手続の周知を図るとともに個別指導を行っており、今後とも改善を図りながら補助事業が円滑に実施されるよう努めてまいります。
   〔警察本部長高木紳一郎君登壇〕
〇警察本部長(高木紳一郎君) 行方不明者の捜索状況等についてでありますが、東日本大震災津波の発生から間もなく1年を迎えようとしているところでありますが、この間、県警察といたしましては、自治体や自衛隊、消防、海上保安庁等の関係機関と連携を図りながら、総力を挙げて捜索活動を実施し、2月26日現在、4、670人の御遺体を収容したところであります。
 また、現在も沿岸警察署及び機動隊による捜索体制を確保し、自治体や消防、海上保安庁等の関係機関と連携しながら、海岸線や地域住民から要望のある箇所などを重点に捜索を実施しているところであります。しかしながら、今なお多数の方が行方不明となっておられますことから、震災から1年を迎えるに当たりまして、3月には内陸の警察署員や機動隊員を動員し、4回目の集中捜索を実施する予定としております。
 先日、被災地を視察いたしましたが、被災地の環境も変化してきており、捜索活動も困難をきわめておりますが、県警察といたしましては、関係機関とも連携を図りながら捜索を継続し、一人でも多く御家族のもとにお返ししたいと考えているところであります。
〇24番(岩崎友一君) 御答弁ありがとうございました。
 再質問を何点かさせていただきたいと思うんですけれども、まず、総論の部分で知事に最初にお尋ねした部分についてでありますけれども、この復興に当たって、実は私今、非常に危機感を持っております。何が危機感かというと、1年たちますけれども被災地ではいまだに人口流出がとまらない状況でして、被災地から県内陸部あるいは県外へどんどん出ていっているという状況であります。その原因としては、やっぱり土地の価格がわからないとか、これから先のまちづくりが見えない、まちづくりに時間がかかりそうといった声が多いわけでありまして、知事がおっしゃるように、このまますべて並行して一体的に進めていくのはいいかもしれないですけれども、5年後、10年後、防潮堤もできた、防波堤もできた、道路もできたというときに、人がいなくなっているんじゃないかという、そういった危惧を覚えておりまして、そういう観点から考えますと、例えば予算の配分の仕方にしましても、すべてを均等にして進めるんじゃなくて、人口流出を防ぐような施策を中心に置いて進めるべきと考えております。そういう意味では、やはり住む場所と働く場所を早急に決めなければ、どんどん人が減っていってしまうと思うんですけれども、その点に関して、まず知事に、そういった認識があるのかどうかというのをお尋ねしたいと思います。
 それと、仮設住宅の件なんですけれども、実はきのう来る前、私の仮設住宅を見てきましたら、まだ防風シートも張っていない状況でございました。部長からは、もう2月10日に終わったという答弁をいただきましたけれども、終わっていないといった実態がありますので、もしかしたらば、ほかの仮設団地でもそういったケースがあるかもしれないので、今一度、しっかりと確認をしていただいて、そういったことがないようにお願いをしたいと思います。
 三つ目の土坂峠に関して知事にお尋ねしたいんですけれども、これに関しては、私も大震災発災後、土坂峠しか通れなくて何度も行き来したわけですけれども、私もずっと一般質問や予算特別委員会等でも話を持ち出しているんですが、なかなか前向きな答弁が得られなくて、道路ネットワークとか交通量という形で答弁をいただくんですが、まず知事が土坂峠というものを通ったことがあるかどうかというのをお尋ねします。
 以上3点、よろしくお願いします。
〇知事(達増拓也君) この人口の流出、大槌町、釜石市のあたりも含め、戻ってくる人もかなり出てきている、住むところの確保が課題ということも聞いているんですけれども、人口の流出を食いとめるためにも、そのような復興を早急に進めていかなければならないというのはそのとおりであります。これはもう、人によって、何といっても学校が第一、学校がちゃんと整備されるならまちに残る、あるいはお年寄りがいて介護の体制があればまちに残る、やはり人それぞれだと思いますので、安全の確保、暮らしの再建、そしてなりわいの再生、それぞれをその人間本位で被災者の方々の一人一人の復興に寄り添いながら進めていくことが肝心というふうに考えております。
 それから、土坂峠でありますけれども、主要地方道大槌小国線は私も通行をしたことがございます。当該路線は、今回の東日本大震災津波において、震災時の避難道路や内陸部からの緊急物資の輸送道路として重要な役割を担いました。土坂峠は、急カーブや急勾配が続いているということも承知しております。
 土坂峠のトンネル化については、県全体の道路整備を進める中で、交通量の推移などを見きわめながら、総合的に判断してまいります。
〇県土整備部長(若林治男君) ただいま岩崎議員がお住まいの仮設住宅は、まだ床下の防風シートが張っていないというお話がありました。改めてちょっと確認をさせていただきます。とにかく早くそれを行うように進めてまいりたい、指示してまいりたいと思います。
〇24番(岩崎友一君) 知事にもう一度お尋ねしますけれども、知事がおっしゃるとおり、人それぞれ、例えば被災地でそのままずっと生きていくという中で、医療や教育の環境の重要性というのも私もわかるんですが、やはり一人一人と話をしていますと、基本はどこに住むかということと、どこで働くかということが一番多いように思えるんです。そういった観点から見ますと、やはり今回の土地の価格の評価がおくれているということや、今後の高台移転なりの道筋が全然見えないというのが大きな問題ですし、あるいは住宅再建に当たって、私、先ほどの中で、どういうふうに100万円という金額を出したかと聞いたんですけれども、やはり家を建てるということはそこに定住するということですから、そういうのを積極的に推進するためにも、県としてもっともっと住宅再建に対して支援をいただきたいと思いますし、同様に、働く場所の確保という意味では中小企業支援策、こういうのもしっかりと充実させていただきたいと思います。
 私は仮設住宅を結構回りまして、一人一人の各世代の方々とお話ししていますけれども、私、盛岡に1週間こうやって議会でいますと、若干安心してしまう部分もありまして、被災地と内陸部との距離感というか、そういったものも感じるわけでありますけれども、知事の仕事は、知ることに尽きると知事も言っているわけですので、現地に足を運んでいただいて、生の声を聞いたり、生の現場を見ていただければ、そこに必ず復興のヒントというものがあると思いますので、公務もお忙しいと思うんですけれども、そういったこともしていただきたいと思います。これに関して知事の見解をお聞きしまして、きょうは終わります。
〇知事(達増拓也君) 議員、先ほどから繰り返し、住むところの問題それから働くところの問題、この二つが最優先だという御主張だと思います。住む場所につきましては、野田村のほうで依頼していた土地価格評価の数字が出て、そして高台移転についてもかなり具体的に話が進んでいると、この週末、そういう展開がございました。それぞれ市町村ごとに住民の皆さんと対話をしながら高台移転等を進めているところでありますし、また、土地の評価については、年度内に、来月までに岩手全体、それぞれの調査の結果が出る予定でございますので、そういった段取り、今この瞬間に、次どこに住むかということはわからないかもしれないんですけれども、どういう段取りでそれが決まっていくかということについては、もう決まって動いておりますので、そういったところの御理解をいただけるよう、県のほうでも努めていきたいと思います。
 働く場所についても、短期の雇用については、もう県やそれぞれの市町村、ちょっとの間でもお金に困らないようにということでさまざま緊急雇用対策をしておりますし、また、中長期的な視点からの、被災して操業を停止していた工場の再開でありますとか、そういった個々の働く場所、今すぐ働けるところはどういうところがあるか、また、自分が働きたい、戻りたいと思っている場所が、今どういう状況になっているかというのはそれぞれに情報がございますので、そういったことがきちんと被災者の皆さんに伝わっていくよう、県としても努めてまいりたいと思います。

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