平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
 間もなく、東日本大震災から1年がたとうとしております。改めて、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りしますとともに、被災された皆様方に心からお見舞い申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問をいたします。
 復興元年に臨む県の平成24年度一般会計当初予算案は、被災者の生活を再建し、産業とインフラの復旧を軌道に乗せる本格復旧事業を盛りました。予算規模は過去最高の1兆1、183億円、前年度当初比60.9%の大幅増となりました。予算総額のうち、約40%を震災対応経費が占めています。国の支援を受けて、復興道路整備や三陸鉄道の復旧などハードの整備を進める一方、被災者支援の柱に住宅再建を据え、住宅購入への補助や災害公営住宅整備など、幅広い事業に積極的に予算計上しています。特にも、復興基金290億円を活用し、きめ細かい事業に予算を配分したのは、被災者に寄り添う姿勢として大いに評価できます。ただ、今回の当初予算編成を見ても、やはり心配になるのは将来の見通しについてであります。県債残高は約1兆4、500億円と、平成23年度を74億円下回るものの莫大な金額に上ります。公債費は高水準で推移しながら、数年後にピークを迎える見通しです。復興事業も加わり、県は今後やっていけるのかとの有権者の不安の声も聞こえてきます。
 平成24年度当初予算編成を行った結果、将来の収支ギャップがさらに拡大するようなことはなかったのでしょうか。また、収支ギャップ解消の見込みや、これを乗り越えていくための方策と決意について知事にお伺いいたします。
 また、知事部局の職員数を平成10年度と比べると約23%削減した一方で、県民ニーズは一層多様化が進行してきました。そして、昨年大震災津波に襲われました。通常業務でさえぎりぎりの人員ですが、予算規模で見ると1.6倍の業務増となるのに、定員は現行4、094人に170人の増員のみとなっており、こうした対応で復興事業を担うマンパワーの確保ができるのかお伺いいたします。
 知事は、12月の記者会見で、失業手当受給終了後の具体的な対策について、基本はやはり雇用のミスマッチ対策だと思っています。働く場が満たされてまちに活気が出てくることで、さらにいろいろな人の生活や仕事が一体的に自立できるような可能性が広がっていきますので、まず、そこが力の入れどころだと思っていますと述べていますが、失業手当受給が終了する見込みの人数と、具体的な対策について知事にお伺いいたします。
 特にも、沿岸地域において、給付日数が延長された受給者のうち女性の割合は63.9%であり、支給切れの時期は2月、3月がピークと見込まれることから、実効性ある雇用対策が急務となりますが、女性の雇用対策について具体的にお示しください。
 新規高校卒業予定者の就職内定率は88.0%となりました。前年同月に比べると3.6ポイント上回りましたが、いまだに内定していない卒業予定者が400人以上います。進路が決まった生徒の中には、年度当初に希望していた就職地域を仕事がないために変更した生徒や就職希望を進学に切りかえた生徒なども含まれているのではないかと思われますが、震災が生徒の就職にどう影響しているか、その状況をお伺いいたします。
 また、被災地に限定した求人が多くあり、震災特需とまで言われているようですが、その反動もあって、来年度は厳しいことが予想されます。それを見越した今後の方策をお伺いいたします。
 内定率向上に最後まで取り組むことはもちろんですが、未就職のまま卒業する方への継続的支援に県として全力を尽くしていただきたいと考えます。知事に御見解をお伺いいたします。
 障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく2011年6月1日現在における県内の実雇用率は、民間企業1.77%、県の機関2.30%、市町村の機関2.22%、県教育委員会1.75%であります。民間企業の雇用障がい者数は2、185.5人で、2年連続で過去最高を更新しました。ただ、沿岸部は前年同期に比べ約40人減少し、震災による離職者が顕在化しました。また、昨年、厚生労働省から障害者採用計画の適正実施勧告を受けた県教委の雇用は、依然、法定雇用率2.0%を大きく下回り、実雇用率は1.75%、不足数22.0人でした。他の部門については法定雇用率は達成されているものの、障がい者の雇用されている人数、働く場の確保が難しく、自立した生活を営むための基盤が依然として脆弱なままとなっています。法定雇用率はあくまでも最低ラインであり、障がい者のだれもが安心して暮らせるようにするためには、未達成企業はもちろんのこと、既に達成している企業に対してもさらなる働きかけが必要と考えます。このたびの調査結果を受けての障がい者の雇用改善に向けた対応策をお伺いいたします。
 次に、学校図書館の充実についてお伺いいたします。
 学校図書館については、2001年の子どもの読書活動の推進に関する法律の制定、学校図書館法の改正に伴う2003年からの司書教諭の発令など、制度面での拡充が図られてきています。
 子供にとって本の力は大きく、この震災の際にも、被災地で不安を抱えている子供たちに絵本などが贈られ、安らぎや笑顔をもたらしたのは記憶に新しいところです。また、読書は、想像力や考える力を身につけ、感性や情操をはぐくむ上で大切であり、学校図書館は、その役目を果たす読書センターとして、さらに各教科の学習の場としての学習センター、さまざまなメディアについて学ぶ情報センターとしての役割も求められていることから、学校の基本的かつ中心的施設設備として、その充実を図らなければならないことは明らかです。
 小中学校の学校司書に対して、来年度から新たに地方交付税措置が講じられると聞いています。これまで、学校司書に対する国の財政措置はなく、個々の市町村の判断のみで人件費を負担していました。今回の地方交付税措置は画期的な新規施策と言えますが、県内の小中学校での学校司書等の配置割合と来年度の学校司書等の増員計画についてお伺いいたします。
 他県の公立高校では、専任で図書館事務を行う図書館担当事務職員、いわゆる学校司書が73%に配置されています。ところが、岩手の高校では、盛岡市立高校や私立高校を除いて皆無と聞いています。学校司書がいない岩手の高校では、日常の図書館運営で精いっぱいであり、図書の紹介や図書館を使った各教科の授業の援助など、ほとんどできない状態であると言えます。小規模校では、放課後はクラブ指導のため閉館する図書館、単なる自習室や本の倉庫となっている図書館もあるのが実態です。県内には、2007年以降、専任司書教諭が2人しか配置されていませんが、64校ある県立高校の数からすると、甚だ不十分であると言えます。
 そこでお伺いしますが、県立高校に学校司書が配置されていない状況についての御所見と今後の改善策についてお伺いいたします。
 また、図書を購入するための経費についても、学校図書整備5カ年計画を策定して地方交付税措置を講じると書かれています。図書整備については、これまで数次に及ぶ整備計画が策定されてきました。けれども、文部科学省が定めた標準冊数にいまだに達していないのが現状です。
 学校司書の話を含め、地方交付税措置を活用して実際にどれだけの予算を計上するかは自治体の判断ですが、子供たちにとってよりよい読書環境をつくるため、学校図書館の充実に向けた県教委の取り組みや働きかけが重要だと考えます。御所見をお伺いいたします。
 東日本大震災による精神的ショックや過労で、病気療養のため14日間以上休職した県内の教職員が11人に上ることが、県教委の調査で明らかになりました。昨年11月末までの調査ですが、直近の調査結果をお示しください。
 今、被災地の学校では、心のケアが大きな課題となっています。教職員みずから被災者でありながら、子供たちの心のケアに当たっています。子供たちを守り、寄り添う立場の教職員が燃え尽きてしまう前に対策を早急に講ずる必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。
 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が日本の将来推計人口を公表しました。2010年と比べて、50年後は人口が約3分の2の8、674万人まで減り、65歳以上の高齢者は23.0%から39.9%になると予測しました。50年前は、現役世代約9人が高齢者1人を支える胴上げ型社会でした。今は3人で1人を支える騎馬戦型となり、いずれ1人が1人を支える肩車型社会がやってきます。
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故への不安感から、合計特殊出生率は2012年こそ1.37に減り、2013年には1.39へ戻るという想定ですが、少子化の傾向には劇的な変化はありません。少子化の背景には、晩婚化や核家族化などがあり、個人の価値観や社会の変化が複雑に影響していると言われます。社会全体で、女性が子育てと仕事を両立できる仕組みに変えていくこと、若い世代の経済状況を改善することが急務と考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 近年、虐待により子供の命が失われるなど、重大な事件が依然として後を絶たない状況であり、虐待問題は社会全体で早急に解決すべき課題となっています。
 平成22年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待の相談件数は、宮城県、福島県、仙台市を除き5万5、152件であり、前年度に比べ約1万1、000件も増加し、過去最高を更新しました。また、2月15日付の岩手日報では、本県の昨年度の児童虐待相談受付件数が市町村の受理分を含めて892件で、過去最高になったと報じられています。全国の増加数がこれまで2、000件ないし3、000件程度であったものが、一気に1万1、000件も増加したことは異常事態と言っても過言ではありません。本県における直近の児童虐待相談件数の推移とその現状を、震災による影響を含めてどう分析されているのかお伺いいたします。
 また、市町村における児童虐待対応の取り組み状況についてもあわせてお伺いいたします。
 本県3カ所に設置されている児童相談所の児童虐待相談体制についてお伺いいたします。
 厚生労働省の資料によれば、児童虐待対応に当たる児童福祉司1人当たりの管轄人口は、平成21年度、本県は約6万4、000人程度、東日本の都道県では東京都、茨城県に次いでワースト3位でありましたが、平成23年度は約5万5、000人程度となっており、改善は図られたものの、残念ながら全国平均の4万9、139人を上回っています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 県として児童福祉司の増員に努力されていることは認めつつも、本県の3児童相談所の児童福祉司を見ると課長や次長が児童福祉司を兼務しており、その方々が実際のケースを担当することを想定しての改善なのか、虐待対応の児童福祉司が実際現場で増員になっているのか実態をお伺いいたします。
 さらに、総務省は平成24年度、児童虐待防止に向けた体制強化に取り組む自治体の財政需要に対応するため普通交付税措置を拡充すると聞いています。今回の国の措置によって本県の虐待対応のための児童福祉司の配置がどう改善されるのか、3児童相談所における相談体制強化にどう結びつけていくのか見解をお伺いいたします。
 虐待でさまざまな傷を負った児童に対する心理面でのケアについては児童心理司の役割も重要であり、配置を充実させる必要があることから、全国児童相談所長会では、3人の児童福祉司に対して2人の児童心理司の配置とするよう国に求めていると聞いていますが、本県における実態と、どのような配置基準となっているか考え方をお示し願います。
 また、震災による被災児童の心のケアについては、県、県教委ともそれぞれさまざまな取り組みの努力をされているところと承知していますが、県が県内3カ所に設置した子どものこころのケアセンターは沿岸部のみであり、内陸部に避難、転校を余儀なくされている児童の心のケアについては各児童相談所の児童心理司が担う部分も大きいのではないかと考えます。児童相談所の専門機能を強化する上でも児童心理司の配置にも一層配慮を求めるものですが、県の見解をお伺いいたします。
 加えて、児童虐待への対応や被災児童の心のケアなど、児童生徒のさまざまな課題に対応していくためには、児童相談所の重要な機能である一時保護所がこれまで以上に重要になると考えられますが、この現状と課題についてお伺いいたします。
 昨年11月1日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は135カ国中98位で、前年から4位後退しました。日本は、報告書の中で、女性の約半数が高等教育を受けているものの、指導的立場にいる女性は約9%しかおらず、女性の能力が生かされていないと評価されました。経済面や意思決定の場において明らかに格差があるということです。また、岩手県の男女の地位の平等感を問うと、依然として約7割が社会全体として男性が優遇されていると回答しています。
 近年、配偶者からの暴力が大きな社会問題となっており、人権の擁護と男女平等の実現にとって大きな妨げとなっています。2010年度の岩手県のDV相談件数は1、677件で、前年比194件増です。被災した沿岸部で急増しているという報告もあります。歯どめをかけなければなりません。
 DVは配偶者間だけではなく、若い人たちの間でも多く起こっていることが明らかになってきています。若年層への教育、啓発が重要です。
 DV被害者の支援について、被害者の安全確保を最優先に、被害者の置かれた状況に即した的確な支援のため、全県的なDV対策ネットワークの岩手県DV防止対策連絡協議会が設立し3年目になりますが、被害者支援に向けての課題と取り組みについて知事にお伺いいたします。
 東日本大震災女性の心のケアホットライン・いわてへのことし1月末までの相談受け付け件数は819件。家や家族を失い、親や親類と同居するなどさまざまな変動による人間関係のあつれきや被災者間の格差、仮設住宅に移り、仕事をなくした夫の暴力におびえているなどの悩みが寄せられています。震災以降、介護や家事など家の中のことを一手に任され、仕事に出られないという相談もあるといいます。だれかに相談し、解決方法を見つけてもいいんだという風土づくりも必要だと思われますが、被災地の女性が置かれている環境と課題、解決方法についてお伺いいたします。
 また、男女共同参画に基づく震災復興を進めていくためには、岩手県及び県内市町村の復興計画の実施や仮設住宅の運営などの決定の場に必ず女性が参画すべきであり、女性の意見が反映されるよう積極的に県として働きかけるべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 男女共同参画とは、単に女性の地位向上のみではなく、性別にかかわりなく居心地のよい社会をつくり、だれもが安全で安心な生活を営む権利を確保する人権保障の問題であると考えます。男女が互いに尊重し合い、ともに参画する社会を目標とした新しいいわて男女共同参画プランのもと、県民意識調査で社会全体が平等と回答する割合をふやすための取り組みについて、意識啓発や男女共同参画サポーターと連携し、不平等感の要因となっている課題を分析しながら推進に取り組んでいくということでしたが、課題と取り組み、成果についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波発生からあと16日で1年がたとうとしています。昨年の発災直後から、国、県、市町村及び関係機関が一体となって被災者の生活再建のために御尽力いただいているところであります。今後も、引き続き被災者一人一人の生活再建、憲法の保障する生存権、幸福追求権の保障を実効あらしめる人間の復興に向けて全力を挙げなければなりません。
 被災者台帳システムを導入することによって、各種手続に必要な個人や世帯の情報をそれぞれの支援部門が共有することにより、被災者の負担軽減、申告漏れの防止等が図られるとともに、被災者のニーズを把握し、個々の被災者に対し適時適切な支援を行うことが可能となります。現在、宮古市、大槌町で試験運用が始まっているほか、システム導入を決定している久慈市、釜石市、大船渡市についてもデータの入力作業を進めているところであります。本格運用が可能となるよう支援をしていきたいと決算特別委員会で答弁をいただきました。ところが、知事演述に、被災者台帳システムを整備し、被災市町村による運用を進めますとあります。なぜ本格運用がおくれているのでしょうか。その進捗状況と本格運用の見通しについてもお伺いいたします。
 1995年の阪神・淡路大震災では、仮設住宅で孤独死や自殺した人の数は233人にも上りました。特徴的なのは、震災から半年を過ぎてからその数がふえたことです。身辺が落ち着いてくると、家族や仕事を失った現実に改めて直面し、ひきこもりがちになって自殺や孤独死につながってしまうと専門家は指摘していますが、県内の震災関連の孤独死や自殺の状況についてお伺いいたします。また、悲劇を繰り返さないための対策をお示しください。
 対策を講じるためにも、被災者一人一人の所在を把握しなければなりません。間もなくあの3月11日から1年がたとうとしています。仮設住宅以外で暮らす被災者を含め、生活再建支援が、顔の見える支援が一人一人の取り残しもなく実施されることを切望いたします。知事の御所見をお伺いいたします。
 2月14日、県は、2011年産の干しシイタケの放射性物質検査で一関市など県内4市町産の検体から1キロ当たり暫定規制値500ベクレルを超える数値が検出されたと発表しました。県は、全農県本部と県森連、当該市町に対して出荷自粛と自主回収を要請しました。
 4月から米や肉、野菜などの一般食品も暫定基準値が500ベクレルから100ベクレルと大幅に厳しくなります。主に放射線の影響を受けやすい子供に配慮したものです。これを受け、県内で生産される農林水産物についての生産地の安全性の確保と風評被害対策の取り組みをより一層強めるべきと考えますが、4月からの新基準値を受け、今後の取り組みについてお伺いいたします。
 昨日の代表質問においても知事から答弁がありましたが、賠償請求に対する東京電力の対応についてどのように評価し、どのような課題があると認識しているのかお伺いいたします。
 福島第一原子力発電所事故で最も心配なのは、体内に取り込んだ放射性物質が発する放射線の影響を受ける内部被曝です。放射線に対するリスクが大きい子供たちにとって、放射線による被曝は大きな問題です。県は、県立学校において学校給食等放射線物質検査機器を設置し検査体制を整えていますが、新年度から本格導入が可能か、その現在の状況をお伺いいたします。また、市町村における設置状況、取り組み状況もあわせてお示しください。
 また、放射性物質から子供を守るための健康状況調査について、結果の公表時期と対策をお伺いするのですが、先ほど公表時期については3月上旬とありましたので、今後の対策をお伺いいたします。
 ホットスポットは今回の調査地域以外にもあり、子供たちへの影響を心配する声が上がっています。子供を放射線の被曝から守るため、さらにどのような具体的な対策を講じるのかお伺いいたします。
 未来ある子供たちのために、再生可能エネルギーの宝庫である岩手県から脱原発、再生可能エネルギーへの転換を県として明言し、県境を越えての議論を進めていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 JR東日本の清野社長は、2月7日の定例記者会見で、東日本大震災で被災し、一部区間が不通となっている山田線と大船渡線の復旧についてバス高速輸送システム─BRTの導入を検討しており、地元と協議していく考えを明らかにしました。県内被災地は、JR線復旧を土地利用計画の前提にし、かさ上げによる防災機能も鉄路に持たせています。JR山田線でつながれている三陸鉄道に与える影響も大きいものがあります。こうした状況も踏まえ、県として沿岸部被災線の復旧をどのように考えているのかお伺いいたします。
 現状では沿岸被災線区の復旧は黒字経営のJRが全額負担しなければならず、赤字路線である鉄路復旧へ早急に対応しないことが懸念されます。今後、県として、JR東日本や国土交通省に対してどのように働きかけていくのか対策をお伺いいたします。
 JR東日本が言うバス高速輸送システム─BRT方式導入について、仮復旧で導入するとした場合に県としてどう対応するのかお伺いいたします。鉄路の持つ機能性には、運転時間、輸送力、安全性、環境面など、バス方式とは比べ物にならないほどの利便性があります。県として鉄路復旧が担保されないときにはバス方式導入に賛成するべきではないと考えますが、知事の方策と決意をお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、将来の収支ギャップについてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興には多額の経費を要し、今後の財政に大きな影響が生じるものと考えていますが、現時点では、国の支援も含め中長期的な財政運営の見通しは不透明であり、将来の収支ギャップを推計することは非常に困難な状況にあります。
 一方、平成24年度当初予算編成においては、復旧、復興のための事業に要する地方負担の大部分は震災復興特別交付税による措置が可能となったものの、公債費や社会保障関係経費の増などへの対応のため、やむを得ず財源対策として財政調整基金から66億円の取り崩しを行いました。
 今後も復興に向けた多額の財政需要と公債費や社会保障関係経費の増大が見込まれますが、復興に係る財源については、引き続き国に対し必要な額が確保されるよう強力に要請していくとともに、公債費や社会保障関係経費の増大については、歳入確保の強化や徹底した歳出の見直しなど不断の行財政改革や管理可能な県債の抑制に努めながら、復興を最優先としつつ、財政健全化にも配慮した財政運営を行ってまいります。
 次に、失業手当受給終了者の人数とその対策についてでありますが、岩手労働局によると、沿岸において昨年10月から12月の間に給付期間が延長されていた雇用保険失業給付の受給者のうち、約630人が4月までに支給終了すると見込まれています。これまで、求職者の方々に対しては、当面の生活維持の観点から緊急雇用創出基金を活用して短期の雇用創出を図ってきましたが、今後はこれに加え、産業振興と雇用の創出を一体として支援する事業復興型雇用創出事業などにより、より長期かつ安定的な雇用の場を拡大していきます。また、ハローワーク等との連携のもと、地域ジョブカフェ等での就業支援や沿岸地域での就職面接会の重点的開催などによりミスマッチの解消に努めます。
 次に、未就職のまま卒業する方への継続的支援についてでありますが、震災後、県内外企業からの求人数が増加し、昨年12月末現在の内定率は過去10年で最高となっています。今後、未内定者については、引き続き年度内に内定を獲得できるよう、学校現場を中心に面接指導のほか、県の就業支援員や国のジョブサポーターと連携した求人の掘り起こしなど、個々の事情に合わせたきめ細かな支援を行ってまいります。
 また、未就職のまま卒業する生徒については、学校と連携してジョブカフェ等への登録を促進し、4月以降はハローワークやジョブカフェ等の就職支援施設で継続的な支援を行うなど、関係機関と連携して就職支援に努めることとしております。
 次に、少子化に対する取り組みについてでありますが、本県においても出生数の減少が続くなど少子化が進行しており、女性が子育てと仕事を両立することができるようにすることが必要でありますことから、引き続き子育てに優しい職場環境づくりを着実に推進するとともに、男女がともに子育てをする意識の醸成による男性の育児参加などを進めてまいります。
 また、若い世代の経済状況の改善については、若者が安定した職場で一定の所得を得られ、やりがいや希望を持って働けるようにすることが重要であり、このため、引き続き地域産業の振興とともに優良企業の誘致、これらに呼応した産業人材の育成に努めてまいります。
 こうした取り組みを通じ女性や若者が安心して働くことができ、また、子育てと仕事を両立できる環境の整備を図ってまいります。
 次に、DV被害者支援に向けての課題と今後の取り組みについてでありますが、課題としましては、DVに関する県民の認識がいまだ十分とは言えないことから、引き続き広報、啓発が必要であること、将来のDV被害者、加害者をつくらないため、若年層への教育、啓発が必要であること、相談内容が複雑化していることから相談員の資質の向上が必要であること、被害者支援に係る関係機関の連携した取り組みが必要であることなどが挙げられます。
 このため、県民のDVに関する認識度向上と相談体制の周知を目的に県民への広報、啓発を推進するとともに、来年度は関係機関との連携を図りながら、特に教職員を対象としたDV防止のための研修会の開催、若年層への教育、啓発を目的とした学校等への出前講座の実施、相談員や医療関係者向け研修会の開催などの取り組みを進めることとしています。
 次に、被災者への顔の見える支援についてでありますが、被災者の支援に当たっては、被災者一人一人の目線に立ち、復興のステージに応じて人間本位の復興を進めていくという姿勢で取り組みます。そのため、市町村社会福祉協議会に配置している生活支援相談員や民生委員、保健師などが被災者を巡回訪問し、生活ニーズや健康状態の把握、生活相談、見守りなどを行い、関係者間の情報交換や個別ケースについて協議をしながらきめ細かな支援を行っております。
 その中で、応急仮設住宅以外で暮らす在宅被災者の支援については、各市町村では、生活支援相談員等の訪問などを通じて把握したデータの整理など、実態把握に向けた取り組みが進んでいます。今後とも、市町村など関係機関との情報共有を進め、連携を促進しながら被災者に寄り添った支援の充実を図ってまいります。
 次に、脱原発、再生可能エネルギーへの転換についてでありますが、本県では、これまでも環境王国いわての実現に向け再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組んできており、国においてもエネルギー政策の柱に再生可能エネルギーの利活用をしっかり位置づけ、推進を図っていくべきものと考えております。原子力を含むエネルギー政策については、原発事故の検証結果を含めた幅広い国民の議論に基づき、国において適切に判断されるべきものと考えております。
 次に、沿岸部被災線の復旧についてでありますが、県内沿線市町は、鉄道の復旧を前提に復興計画を策定していることから鉄道の早期復旧を求めており、また、関係3県の沿岸市で構成される三陸沿岸都市会議においても鉄道の早期復旧を求める緊急決議が行われています。
 県としましては、これら沿線市町等の意向を踏まえ、また、JR線と三陸鉄道が一つにつながることでさまざまな面で相乗効果が発揮されることから、鉄道の早期復旧が必要であると考えております。
 次に、JR東日本等への働きかけについてでありますが、被災したJR山田線及び大船渡線の復旧は、第一義的にはJR東日本が費用負担して行うべきものと考えますが、まちづくりに合わせたルート変更やかさ上げなどの費用については、JR東日本は国に対し財政支援を求めており、県としても、これらの費用が自治体の負担となることがないよう、国に対し財政支援を求めていく必要があると考えております。
 具体的には、昨年末、宮城県、福島県と被災3県合同で国に対し鉄道の早期復旧に向けた財政支援の要望を行ったところであり、また、先日、沿線市町とともにJR東日本に対し鉄道の早期復旧を、国に対しJR東日本への財政支援等の要望をそれぞれ行ったところです。
 これらの路線は、通学や通院など地域における重要な足であるとともに観光振興などの社会的基盤であり、三陸沿岸の復興を下支えする重要な路線であります。今後も、地域の復興という観点から、両線の早期復旧がなされるよう、沿線市町等と連携しながら、JR東日本と国に対し引き続き要望を実施してまいります。
 次に、バス高速輸送システム方式導入についての対応等についてでありますが、先ほど申し上げたとおり、先日、沿線市町とともにJR東日本に対し鉄道の早期復旧を要望したところであり、報道されているバス高速輸送システムでの仮復旧については気仙沼線について提案しているもので、本県や沿線市町に提案しているものではないとの説明を受けたところであります。
 県としましては、沿線市町の意向を踏まえ、また、JR線と三陸鉄道が一つにつながることでさまざまな面で相乗効果が発揮されることから、鉄道の早期復旧が必要であると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 復興事業を担うマンパワーの確保についてでございますが、平成24年度の組織、職員体制につきましては、まずは各部局において事務事業の点検を行い、出資法人等への県関与の適正化、業務の簡素効率化や休廃止等、事務事業の徹底した見直しにより41人の削減を図ったところでございます。その上で、復興元年として、復興計画に掲げる施策を着実に推進するため、防潮堤等の整備を担う土木技術職員を130人程度、用地取得を担う職員を20人程度増員するなどの措置を講じたところでございます。
 今後、復興事業の本格化に向け執行体制の一層の拡充が重要となってまいりますが、後年度における人件費負担を考慮いたしますと、長期にわたる大幅な増員は難しいと考えているところでございます。したがいまして、円滑に復旧、復興事業を推進するため、緊急かつ重要な課題に人的資源を重点的に配置するという姿勢で体制の整備を図ってまいります。こうした体制の整備に当たりましては、引き続き外部の協力も求めながら、多様な方策によるマンパワーの確保に努めていく所存でございます。
   〔商工労働観光部長齋藤淳夫君登壇〕
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) まず、女性の雇用対策についてでありますが、これまでも緊急雇用創出事業を活用して、被災直後から市町村とともに広報誌の配布業務や仮設住宅などでの見回り、相談業務など、女性が活躍できるさまざまな雇用の創出に努めるとともに、被災地における事業所の復旧、復興を進め、安定的な雇用の確保に努めてきたところであります。
 現在、水産加工業やものづくり産業など雇用力の望める企業の復興支援に努めており、産業の振興による女性も含めた雇用機会の拡大を図っているところであります。引き続き緊急雇用創出事業を活用し、地域の求職ニーズに応じた多様な雇用の場の創出に努めながら、新たに創設された生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業を活用し、地域の食文化の伝承や出産、育児の経験を生かした子育て支援など、女性の能力や経験を生かした雇用の場の創出にも積極的に取り組んでまいるところであります。
 次に、障がい者の雇用改善についてでありますが、県内の民間企業に雇用されている障がい者の数は、平成23年6月1日現在において過去最高の数字を記録したところでありますが、県としましても、引き続き障がい者の雇用環境の改善に向けて、企業に対する意識啓発と障がい者の雇用促進を図ることは非常に重要であると考えております。
 このため、企業に対しては、県の就業支援員が訪問した際、障がい者の雇用維持に関する要請を行っているほか、雇用優良事業所の県知事表彰や雇用事例の紹介を行うなど、障がい者雇用への理解が進むよう努めているところです。
 なお、障がい者に対しましては、企業への雇用促進を図るため、民間企業などを委託先とした部品組み立てや調理補助などの職業訓練を実施するとともに、今年度から県庁内での実務経験を積むチャレンジ雇用を開始しております。また、就業面での支援として、県内九つの保健福祉圏域に設置した障害者就業・生活支援センターによる就職活動や職場定着などの支援を行っております。
 今後とも、こうした取り組みにより、引き続き障がい者の雇用改善を進めていくこととしております。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、本県における児童虐待の状況等についてでありますが、児童虐待受付件数は本県でも増加傾向にあり、平成22年度の件数は358件で、前年度より56件増加しており、市町村の件数も534件と、同じく79件増加しております。その理由は、子育て不安や不安定な経済状況等の要因のほか、児童虐待の通告義務の周知が図られていることなどであると考えております。また、東日本大震災津波の前後を比較しますと、沿岸部では虐待受付件数は減少、内陸部では増加しております。
 次に、市町村の取り組み状況についてでありますが、要保護児童対策地域協議会を設置し、関係機関が連携して虐待防止に向け取り組みを進めるとともに、4カ月未満の乳児のいる家庭を訪問する乳児家庭全戸訪問事業等が実施されております。
 次に、児童相談所の児童虐待相談体制についてでありますが、福祉総合相談センターや児童相談所の課長及び次長は、その豊かな経験、知識を生かし、困難な虐待事例に対応する児童福祉司のスーパーバイズを担うとともに、事例によっては個別対応も行っていることから、兼務させているものであります。
 また、児童福祉司は、相談内容の複雑化等に対応するため、平成22年度に1名増員し、現在24名となっており、さらに平成23年度から、各児童相談所に、児童の安全確保を行う業務を補助するための臨時職員を各1名配置し、児童相談所全体として児童虐待通告への対応強化を図っております。
 次に、普通交付税措置の拡充についてでありますが、児童虐待防止に向けた体制強化に取り組む自治体の財政需要に対応するため、平成24年度から、標準団体当たりの児童福祉司の配置人数を2名増員する所要経費について、普通交付税措置の拡充がなされることとなっております。本県における来年度の児童相談所の職員体制は、被災児童対策のため既に2名増員することとしており、こうした体制拡充により、児童相談所全体としては、児童虐待相談への対応も強化できるものと考えております。
 次に、児童心理司の実態と配置基準についてでありますが、県内児童相談所の児童心理司の数は11人であり、児童福祉司3人当たり1.4人という現状であります。配置基準については、国における規定はなく、本県においては、相談件数等の状況に応じた配置を行っているところであります。
 次に、児童心理司の配置の配慮についてでありますが、子どものこころのケアセンターは被災児童が集中している沿岸部に設置し、児童相談所との連携のもとに活動しておりますが、内陸に避難した児童については、内陸部を管轄する児童相談所において児童心理司が中心となり、精神科の嘱託医等と連携し、その心のケアに対応しております。
 こうした児童の心のケアについては、県全体で長期的に対応する必要があることから、今後、プロジェクトチームを設置して、長期的な体制整備等について検討していくこととしております。
 あわせて、児童心理司による子供の心のケアの必要性が高まっておりますことから、児童心理司を含む児童相談所職員の増員に係る財政的支援についても、国に要望しているところであります。
 次に、児童相談所の一時保護所の現状と課題についてでありますが、福祉総合相談センター及び各児童相談所に設置されている一時保護所における入所児童数は、実人員で平成21年度は182人、22年度は165人であり、平均保護日数は平成21年度が16.9日、22年度は21.5日となっております。
 その課題でありますが、児童虐待を理由とする一時保護児童が全体の約3割を占めており、当該児童の保護者への対応や調整の困難さから、処遇方針が決まるまで一時保護日数も年々長期化していることから、各職員の対応力の一層の向上を図る必要があると考えております。
 次に、震災関連の孤独死や自殺の状況についてでありますが、震災が発生した昨年3月から12月までの県内の自殺者は、警察統計によれば351人であり、前年同期比で50人の減となっております。そのうち、震災関連の自殺者については、内閣府が警察庁からのデータをもとに昨年6月から集計、公表しており、6月から12月の本県の震災関連自殺者は17人となっております。
 また、孤独死については、その明確な定義づけはされておりませんが、仮に、ひとり暮らしの方が、死後、だれにも気づかれず長期間にわたって放置されるようなケースを言うとすれば、そうした事例はないものと承知しております。
 被災者の孤立を防ぐための取り組みとしては、民生委員や生活支援相談員が被災世帯を訪問し安否確認や見守りを行うとともに、被災者の相談に応じ、保健医療や福祉サービスへの橋渡し等を行うほか、支え合いサロン活動などを通じて、被災地におけるコミュニティの再生にも努めているところであります。
 また、震災関連の自殺を防ぐための取り組みとしては、今月15日に設置した岩手県こころのケアセンターや、沿岸4保健医療圏域に設置する予定の地域こころのケアセンターを核として、震災によるストレス等に起因した精神疾患の発症等に適切に対応する体制を構築するとともに、被災者相談支援センターを初めとするさまざまな相談窓口や生活支援相談員等の被災地で相談、支援活動を行う支援者との連携により、包括的な支援を行ってまいります。
 次に、放射性物質から子供を守るための健康状況調査の公表を受けた対策についてでありますが、3月上旬の評価結果を踏まえ、子供たちの安全と保護者の方々の安全を確保していくため、放射線の影響に関する正確でわかりやすい情報提供を実施し、保護者や児童等を初めとする県民の皆様への普及啓発に努めていくとともに、必要な対策について国に要望していきたいと考えております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、被災地の女性が置かれている環境への対応等についてでありますが、男女共同参画センターにおける相談対応のほかに、内閣府と県の共催により、昨年5月から女性の心のケアホットライン・いわてを開設し、現在、宮古市及び大船渡市の各ショッピングセンターで相談会を実施しているところであります。これまで、今後の生活に対する不安、家族関係の悩み、孤独感や生きがいの喪失など多様な相談が寄せられており、必要に応じて専門機関を紹介するなど、女性が抱える悩みの解決に努めているところであります。
 被災地域においては、被災者相談支援センターなどさまざまな相談窓口が開設されており、今後とも、これら関係機関との連携を密にしながら、被災女性一人一人に寄り添った支援が図られるよう努めてまいります。
 次に、復興への女性の意見の反映についてでありますが、復興に当たっては、男女共同参画の視点を踏まえた対応が重要でありますことから、復興基本計画において、女性を含めたすべての社会の構成員が互いに支え合う地域社会を築き上げるという考え方を盛り込んでいるところであります。
 また、復興の各過程における女性の参画拡大を図ることを目的に、市町村を初め、各種団体やNPO等と連携を図りながらシンポジウムを開催するなど、意識啓発に取り組んでいるところであります。
 沿岸各市町村においては、復興委員会等に女性が参画するなど、女性の意見が反映される体制づくりが進んでおり、県といたしましては、引き続き、男女共同参画の視点から復興が進むよう支援してまいります。
 次に、男女の地位の平等感を高める取り組みについてでありますが、男女共同参画センターが県内各地で実施している男女共同参画サポーター養成講座や地域団体との意見交換会などを通じまして、地域に男女の役割分担の慣習が根強く残っていること、女性自身が積極的に地元の役員につくなどの姿勢を持つ必要があることなどの課題が改めて提起されております。こうした中、サポーター養成講座の修了者などが中心となりまして、金ケ崎町において新たに女性百人会が結成されるなど、女性が主体的に地域づくりに参画していこうという機運が高まっておりますことから、こうした取り組みがさらに全県に波及するよう、男女共同参画センターを拠点といたしまして、今後とも市町村や関係機関と連携しながら、男女共同参画意識の向上に取り組んでまいります。
 次に、子供を放射線の被害から守るための方策についてでありますが、放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康を重視する観点に立ち、市町村に対して、学校等での放射線量の測定及び除染に要する費用を支援する放射線調査・低減事業費補助事業を創設し、測定及び除染を進めてきたところであります。
 来年度も引き続き、市町村と一層連携を図りながら、県の放射線量低減に向けた取り組み方針に基づき、学校、公園、広場、運動場など、子供の生活圏を中心に除染を進めてまいります。
  〔理事廣田淳君登壇〕
〇理事(廣田淳君) 被災者台帳システムの進捗状況についてでありますが、被災市町村によりましては、被害が少ないこと、ほかのシステムを導入済みであることなど、それぞれの事情、背景が異なりますものの、県としましては、個々の被災者に対し適時適切な支援を行うことを可能にしていくため、甚大な被害を受けている市町村に対しまして、県システム開発プロジェクトチームが直接訪問し説明するなど、被災者台帳システムの活用促進について働きかけをしてきたところであります。
 昨年12月には、宮古市において、近隣市町村も参加し、本格運用に向けた研修会を開催するなど、早期運用が可能となりますよう市町村を支援してきたところであります。この結果、宮古市においては、2月中旬から本格運用が開始されましたほか、大槌町ではプロジェクトチームがフォローを行い、3月中の本格運用開始を目指しているところであります。
 また、3月中の試験運用開始に向け、久慈市、釜石市、大船渡市に加え、新たに奥州市でもデータの登録作業を進めておりますほか、今回新たに野田村からシステム導入申請があったところであります。
 データ登録から本格運用までの期間につきましては、各市町村の被害規模、担当職員数などによりましてさまざまではありますが、県としましては、今後とも、市町村への訪問、システムの活用研修、導入市町村の事例紹介等を通じまして、システム導入から早期の本格運用に向けまして市町村を支援してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農林水産物の安全性の確保と風評被害対策についてでありますが、県では、放射性物質影響防止のための農作物生産管理マニュアルを活用した生産管理対策の周知徹底や、利用が困難となっている牧草地の再生のための除染などに取り組んでおり、今後も、こうした取り組みの継続強化を図りながら、県産農林水産物の安全性の確保に努めてまいります。
 また、風評被害対策につきましては、検査計画に基づく県産農林水産物の検査及びその結果の速やかな公表により消費者の不安の解消に努めるとともに、県産農林水産物の安全性と高い品質を、県内外で行われる各種イベントや県産品フェアなどの場で積極的にアピールするなど、風評被害の防止に取り組んでまいります。
 次に、東京電力の対応についての評価と課題についてでありますが、損害賠償対策岩手県協議会による今月請求分も含めた総額47億8、000万円余の損害賠償請求に対し、東京電力の支払いは、これまでのところ、昨年12月の19億2、000万円余にとどまり、また、干しシイタケの賠償に対する支払いはなく、被害農家の損害に見合うような補償、速やかな支払いとはなっておりません。これは、原子力災害の判定等に関する中間指針に明記されない場合の風評被害への損害賠償の取り扱いが不明確なこと、また、支払いスケジュールがルール化されていないことなどによるものと考えております。このため、県では、東京電力及び国に対し賠償金が早期かつ確実に支払われるよう、また、中間指針において、干しシイタケなど本県産の農林産物も風評被害の賠償対象と明記するよう、数度にわたり要請を行っており、引き続き損害賠償請求に向けた取り組みを支援してまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、新規高校卒業予定者の就職内定状況等についてでございますが、平成24年3月新規高校卒業予定者の就職内定率は、岩手労働局の調査において88%と、過去10年間で最も高い数値となっております。ただ、就職が内定した生徒の中には、震災により就職地域を変更した生徒が39名、就職から進学に変更した生徒が21名、進学から就職に変更した生徒数が21名と把握しているところでございます。
 生徒への進路指導に当たりましては、震災による影響も考慮しながら、被災地における企業の復興状況や求人の動向などを勘案し、各学校において、可能な限り、生徒の希望する進路が実現するよう努めているところでございます。
 次に、来年度に向けた取り組みについてでありますが、岩手労働局の調査では、平成23年12月末現在の新規高校卒業予定者への求人数が、県内が前年比22.2%の増加、県外が前年比11.4%の増加となっており、昨年度に比べて全体で16.5%増加している状況にございます。ただ、県立高校におきましては、来年度も引き続き企業から多くの求人を出していただけるよう、進路指導担当教員が、就職支援相談補助員や広域振興局に設置されております就業支援員、ハローワークの学卒ジョブサポーターとの連携を生かしまして早期に求人開拓に取り組むとともに、生徒や保護者との進路相談をきめ細かく行うなど、生徒の進路実現に向けた指導に取り組んでいるところでございます。
 次に、県内の小中学校の学校図書館担当職員の配置割合についてでありますが、昨年5月1日時点におきまして、県内公立小中学校556校中123校に市町村費により配置されており、配置割合は22%となっております。
 来年度の対応につきましては、平成24年度から学校図書館担当職員の配置に要する経費について、小中学校において地方財政措置がされたところでございます。したがいまして、この趣旨が生かされるよう、市町村教育委員会に対しまして、しっかりと情報提供に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立高校における図書館担当職員の配置についてでありますが、本県では、専任の担当職員の配置はしておりませんが、県立高校における図書館の運営に当たりましては、司書教諭等の図書館担当の教員が中心となりまして、事務職員の協力も得ながら、図書の選定、受け入れ、配架を行うとともに、図書の紹介、授業への支援等を行っているところでございます。ただ、今後の学校図書館の運営のあり方につきましては、その体制も含めて、学校現場の状況に応じて適切に対応できるよう、多方面から検討してまいりたいと考えております。
 次に、学校図書館の充実に向けた取り組み等についてでありますが、図書購入費の地方交付税措置につきましては、学校教育における児童生徒の豊かな心の育成を図る観点から、これまでも十分な理解が得られるよう、各市町村に対して要請してきたところでございます。
 また、図書整備につきましては、本県の平成21年度末における学校図書館図書標準の達成状況は、小中学校ともに約40%であり、達成率は前回調査よりも10%ほど向上しております。
 このような現状を踏まえ、学校教育における読書活動の一層の推進と充実を図るため、図書購入に係る地方交付税措置の一層の活用が図られるよう、各市町村に対して、今後とも要請を続けてまいりたいと考えております。ただ、一方で、被災地の各学校においては、学校図書館や図書が流出し、また、図書を寄贈いただいてもその保管場所がなく、廊下に図書をやむを得ず置くなどしている実態にもございます。したがいまして、あわせて、学びの場の復旧、復興に努めてまいりたいと考えております。
 次に、震災に起因する教職員の病気休暇等についてでありますが、1月末現在、延べ13名が震災が主因と推察される精神的な症状で2週間以上の病気休暇を取得し、そのうち7名は既に職場復帰いたしております。現在、6名の教職員が療養中でございます。
 次に、教職員の心のケアについてでありますが、学校の復興に向け取り組む中で、精神的内因から脱し切れていない者がふえている一方、みずからも被災するなど、その影響を大きく抱える者も少なくございません。被災地等の教職員が、心身とも健康で教育活動ができるよう、きめ細かな支援が必要だと思っております。
 教育委員会といたしましては、発災以降、さまざまな対策を講じてきたところでございますが、平成24年度においては、管理監督者メンタルヘルスセミナー、教職員の心のケア研修の開催のほか、メンタルヘルスチェックの対象を全教職員に拡大するなど、対策を強化してまいりたいと考えております。
 さらに、緊急スクールカウンセラー等派遣事業により配置された臨床心理士等を教職員のカウンセリングにも積極的に活用するなどにより、教職員の心のケアの充実に努めてまいります。
 次に、学校給食の放射線検査体制についてでありますが、県では、自校で調理を行っている特別支援学校及び夜間定時制高等学校合わせて11の県立学校について、3月末までに検査機器を設置できるよう発注したところでありまして、平成24年4月からの検査開始に向けて検査体制の整備を図っているところでございます。
 また、市町村につきましては、市町村への補助、これにつきましては既に購入したものを対象にしたところでございますが、この県の補助分も含めまして、市町村の設置状況、取り組み状況につきましては、一関市など7市町において13台が設置済みであり、うち、一関市など5市町で検査が行われているほか、その結果については、各市町のホームページで随時公表されているところでございます。
 また、今後、検査機器を整備し検査を計画している盛岡市など17市町村では、4月以降の検査実施を目途に、計30台発注済みあるいは3月までに発注を行う予定となっております。
〇16番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、大きく2点について再質問をさせていただきます。
 まず、1点目は、児童虐待対応についてですけれども、一時保護所というのが混合処遇になっている。つまり、虐待で被害に遭った子供、非行や虞犯行為によって警察から身柄付通告で連れてこられた子供、傷害の判定のために一時保護となった子供など、さまざまであるにもかかわらず、同室で生活をするということになっております。このことについて、どのように認識されているのかということがまず1点でございます。
 2点目は、先ほど市町村のほうが相談受付件数が多いということを部長のほうから答弁がございましたけれども、それであるのに、市町村の対応というのは、他の部署から転勤してきて初めて虐待対応に当たる職員とか、非常勤の家庭相談員の方々が、苦労しながら増加する児童虐待対応に追われているのが現状と聞いております。先ほど、研修等に参加をしてスキルを積むというような御答弁でございましたが、このように急増する児童虐待対応に追いつかないのではないかと考えますが、県や各児童相談所はどのように市町村を支援していっているのか、今後支援をしようと思っているのかお伺いいたします。
 それから二つ目ですが、学校給食の放射線検査体制について先ほど御答弁がありましたけれども、県立学校の学校給食の検査というのは、食材を各学校に持ち込んで行うと聞いておりますが、基準値を上回る食材が含まれている可能性があることから、学校にそうした食材を直接持ち込むのは問題であると考えます。一関市などでは、一たん学校以外の施設に持ち込んで検査を行って、安全性を確認してから学校に持ち込む方法にしていると聞いております。県全体でもそのような形とすべきと思いますが、御見解をお願いいたします。
 それから、今回の学校給食の検査の測定担当者は、緊急雇用対策基金を財源にして任用すると聞いております。平成24年度は各校1人の採用予定ですが、平成25年以降はどのようになるのでしょうか。この検査というのは、ずっと続くと思います。一過性のものではないので、継続的な検査体制を整備すべきと思いますが、御見解をお伺いいたします。
 以上です。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 2点お尋ねがございました。まず、児童相談所の一時保護における混合処遇のお尋ねでございます。
 児童相談所の役割上、議員御指摘のとおり、児童の身柄付通告あるいは緊急保護等の場合は、ちゅうちょなく一時保護を行う必要があるということから、時として保護目的の異なる児童を一時保護する、いわゆる混合処遇が行われることがございます。
 本県の一時保護所の組織体制、施設設備の現状におきましては、混合処遇に際して一定の課題があるということについては認識しております。このため、児童の処遇上の問題が発生しないように、必要に応じて他の児童相談所の一時保護所の利用、あるいは児童福祉施設等への一時保護委託により現在対応しているところでございます。
 2点目でございます。
 市町村における児童虐待への対応状況ということでございまして、まず、児童虐待への対応は、市町村のほうが件数が多いというのは先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、市町村と児童相談所との連携のほか、市町村内部でも保健、福祉、教育等の関係機関が十分に連携することによりまして早期発見等の適切な対応が可能となるものと考えております。こういう関係機関の連携の中核となっておりますのが要保護児童対策地域協議会でありまして、これが有機的かつ効果的に運用できるように、児童相談所が中心となって各市町村を訪問し、個別のケースも含めた指導助言の支援を継続していきたいと考えております。
 機会をとらえて市町村での有資格者の確保についても促していくとともに、先ほども申し上げましたが、全国レベルの専門研修への参加促進あるいは児童相談所職員による実践的研修の実施等によりまして、市町村職員の専門性や対応能力の向上、こういうことについて支援をしていきたいと考えております。
〇教育長(菅野洋樹君) 仮に基準値を超える放射性物質が含まれる食材があったといたしましても、当該基準値は体内に取り込んだ場合の危険性を考慮した基準値でございますので、周囲に及ぼす影響はかなり少ないとは考えられますが、ただやはり生徒や保護者等が検査を行うことに不安を抱かないよう、検査に当たりましては、緊急時における食品の放射能測定マニュアルに基づき、土壌を落として洗浄した食材の搬入などに留意するほか、検査を行う場所についても可能な限り個別のスペースを確保するなど、安全性には十分配慮してまいりたいと考えております。
 また、人的配置についてでありますが、平成24年度については、検査体制を早急に整備する必要があること、また、学校の負担を軽減したい、このような考え方で緊急雇用対策基金を財源として人員を確保したものでございます。今後、検査の実績等を踏まえた上で適切な対応に努めてまいります。
   日程第2 議案第65号平成23年度岩手県一般会計補正予算(第10号)から日程第43 議案第106号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例まで
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第2、議案第65号から日程第43、議案第106号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。加藤総務部長。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第65号は、平成23年度岩手県一般会計補正予算(第10号)であります。
 これは、国の第3次及び第4次補正予算を含めた、被災地の復旧、復興に取り組むための基金の造成、積み立てや追加的な事業を行うための経費について補正を行うほか、事業費の確定に伴う所要の補正を行うものであり、総額1、307億5、100万円余の増額補正をするものであります。
 補正の主なものは、東日本大震災復興交付金基金積立金350億100万円余、再生可能エネルギー設備導入等推進基金積立金139億9、700万円余、地域医療再生等臨時特例基金積立金298億9、900万円余、中小企業東日本大震災復興資金貸付金41億5、000万円、直轄道路事業費負担金118億4、600万円余、漁港災害復旧事業費410億6、700万円余、三陸鉄道災害復旧事業費補助26億7、100万円余等であります。
 また、震災対応に係る地方負担分の財源整理に伴い、財政調整基金及び県債管理基金に積み立て等を行うほか、今後の公債費の増嵩に対応するため県債管理基金に積み立てを行うなど、主要3基金に関連した所要の補正を行うこととしております。
 次に、繰越明許費の追加は、漁港災害復旧事業ほか213事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、指定管理者による療育センター管理運営業務ほか20件を新たに追加するとともに、4件について限度額の変更を行おうとするものであります。
 また、地方債の追加及び変更は、柳之御所遺跡土地公有化事業ほか1件を新たに追加するとともに、7件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第66号から議案第79号までは、平成23年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計ほか10特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画の変更等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第80号から議案第82号までの3件は、建設事業等に要する経費の一部負担及びその変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第83号から議案第98号までと議案第106号の17件は、条例議案でございますが、これらは、東日本大震災復興交付金基金条例ほか2条例を新たに制定するとともに、公共施設等整備基金条例を廃止し、自治振興基金条例ほか12条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第99号から議案第102号までの4件は、建設工事の請負契約及び変更請負契約の締結に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第103号は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めようとするものであります。
 議案第104号は、岩手県立療育センターの指定管理者を指定することに関し議決を求めようとするものであります。
 議案第105号は、北上川水系に係る一級河川を指定することについての意見に関し議決を求めようとするものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時47分 散 会
第4回岩手県議会定例会会議録(第4号)

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