平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(飯澤匡君) 地域政党いわての飯澤匡でございます。
 東日本大震災から約1年、いまだに仮設住宅等で不便な生活を強いられている県民がおります。私たちは、創造的復興を果たすために、おのおのの立場で精いっぱいの努力を傾けなければなりません。その決意を胸に、これから質問をしてまいります。
 最初に、知事の県政運営ガバナンスについて伺います。
 経済の停滞、高齢化と人口減少、円高、そして大震災津波からの復興と、我が国は四重苦のさなかにあります。とりわけ、長期債務973兆円にまで膨張した財政赤字は、財政収支のGDP比率比較においてEU諸国平均より悪い指標を示し、2017年には、ギリシャ同様にデフォルトになる可能性すら指摘されております。来年度予算にあっては、東日本大震災津波からの復興のための財源が必要になることから、国債発行の増加は免れない状況をかんがみれば、本県の復興に向けた対応は、被災者のためはもとより、国の財政基盤も見据えながら、常にスピードを最重視していかなければなりません。
 復興元年と位置づけられた復興のスタートラインに立つ平成24年度の重要性は、言うまでもありません。特に、県庁チームの編成は、ミッションに基づいた機能的な課題解決型に強化することは必要不可欠と考えます。また、国からの多額な復興支援予算に対して県が主体的に対応していくには、しっかりと自治体としての県の立ち位置を明確にすることが求められると考えます。そのためには、地方分権改革推進委員会で示された自治行政権、自治財政権、自治立法権を十分に具備した中央政府と対等、協力の関係にある地方政府を確立することを目指すとした方向を強く意識することが重要と考えます。また、その意識づけを土台とすることで、先般、国において創設された復興庁との連携スタンスにおいては、県がより主体性を発揮され、被災以前よりも豊かな岩手の実現が果たされるのだと私は思います。
 多額な予算の執行に当たっては、従来の国に対する要請型から提案型へ、まさに岩手の復興と未来の分権型自治体の実現には、今、中長期的な戦略性を持った県庁内のガバナンスをどのように構築していくかにもかかっていると言っても過言ではありません。
 以上、申し上げました提案に対して、知事はいかなる見解であるのか、来年度以降、どのような震災復興に向けて、人、組織を動かしていくのか、知事の明快な姿勢をお示し願います。
 一昨年9月以降、副知事2人制体制をしき、知事の言葉を借りれば、トップマネジメントの強化に努めてきたとされています。知事は、3人のトップマネジメントを強調していますが、県民から見れば、3人という体制の意味するところがよくわからないのではないかというのが実情でないかと思われます。県民とともに復旧、復興を目指していく上で、副知事の権限と使命の付与の範囲を明確にする必要があるとも考えますが、副知事は、所轄範囲を示した上で議会の同意を得ていることから、3人という数を強調していることは、副知事の権限拡大の意図があるのかどうか、3という数字の意味するところは鼎立なのか、一つの柱の二つの足、一柱二脚なのか、あわせて具体的にお示し願います。
 次に、東日本大震災からの復興について伺います。
 今回の未曾有の災害は、津波被害の大きさだけでなく、確実に進行していた過疎化、少子高齢化、農林水産業の限界、原発依存、医師不足、経済、雇用などの諸問題をさらに大きく提起した形となりました。
 明治、昭和の津波被害と明らかに異なるのは、生産年齢人口帯の幅であり、当時は経済が地域で完結した背景から、漁業を中心としたなりわいの復活は、生産活動を支える人口の活動量により、復旧の速度と自然に歩調を合わせることを可能にしました。これから復興公営住宅を建設すること自体は困難ではありませんが、建設してみたものの、若年層は生活の糧を求めて流出したままになっていたのでは、震災からの教訓を生かしたことにはなりません。
 発災後、我々地域政党いわてが最も力を入れているのは、被災地における産業振興、新産業の植えつけであり、地方政府に合致した県の担うべき役割であると主張しています。
 新しいビジネスモデルを、大胆にしかも最先端のことをやることにより、今日まで中央に従属的な立場であった東北地方の大転換につながるパラダイムシフトを、みずからの手で創造することにもつながります。停滞中にありながらも、技術立国日本、人材資産国日本は健在であり、世界に誇れる技術、人材がある限り、問題を解決する力はあるとの識者の指摘を、私たちは信じて前に進んでいきたいと思います。
 そこで大きなかぎを握るのは、特区制度の活用であります。県では、復興特別区域法に基づき、産業集積区域の形成による雇用創出などを目的とした産業再生特区の創設を国に申請したとされています。
 最初に認定を受けた保健・医療・福祉特区では、私が思うに、規制緩和の域を出ず、創造的な復興にどれだけ寄与するのか疑問な点がございます。本県の産業再生は何を目的にするのか、確たるものの部分をお示し願いたいと思います。
 本県全体の産業の底上げについては、内陸部の活性化も重要であり、特区制度を県全体の起爆剤として生かしていくべきと考えますが、どのような対応をお考えでしょうか。
 あわせて、さきに認定を受けた宮城県の民間投資促進特区との差別化はどのように図るのか、検討内容をお知らせください。
 再生可能エネルギーの推進について、県が積極的に対応することを知事演述で明らかにされたことは評価をいたしたいと思います。現在策定中の岩手県地球温暖化対策実行計画において再生可能エネルギーの地産地消を明記しており、実現に向けたエネルギー資源に合った戦略的な拠点化を目指し、施策として反映させていくことは大事なポイントと考えます。特に、木質バイオマス資源の活用は、本県の特色を発信する特異な原石であり、有効活用する必要があります。再生可能エネルギーの十分な利用促進を図るには、スマートグリッド─次世代送電網の整備促進と、それを可能にする発送電分離も特区制度に盛り込んで推進すべきと考えますが、現時点でどのようにお考えか、方向性をお示しください。
 次に、国際リニアコライダーの誘致について伺います。
 国際リニアコライダー、いわゆるILC計画について、NHKの朝のニュースで全国放送されたこともあり、俄然、周辺の地域住民の関心が高まってきました。政府が昨年12月に、サイト─建設候補地に対する地質調査費に5億円余を3次補正予算で計上し、いよいよ我が国への誘致活動に助走路が引かれたように思います。
 また、本年1月18日に、ILCの国際共同設計チーム責任者のバリー・バリッシュ氏ら、ILC計画の研究者5人が本県の一関市大東町を訪れ、北上高地を視察し、自然環境もすばらしく、サイトとして適地であるとの認識を示しました。バリッシュ氏が、技術的な問題もさることながら、地元の受け入れ態勢がサイト決定の大きな要素であると強調して述べたことは、地元からの熱意と期待感の発信が求められることを示唆したものであります。
 本年は、国際共同設計チームが技術設計報告書をつくる期限である重要な節目の年であることから、民間レベルでの意識の醸成や具体的な受け入れ態勢の充実に加速的に取り組んでいく必要があります。既に、県内経済5団体が誘致組織を立ち上げることを言明し、準備に取りかかっているほか、奥州市でも市民組織を立ち上げるなど、市民レベルでの誘致に向けての鼓動が聞こえてきました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県では、ILC計画をTOHOKU国際科学研究特区の構想の中に位置づけており、適宜推進に努めておられますが、今後、東北全体の復興の象徴となる国が認めるグランドデザインの策定の作業に早急に着手する必要があります。何より、地元にとっては、地域住民の正しい理解と共通認識が必要でもあり、意識啓発を高めるためにも、グランドデザインの意味するものは重大であります。
 私は、グランドデザインの策定に当たっては、県南地域、とりわけ、一関市、奥州市、平泉町の広域的連携に深く入り込んだ指針、さらに、自治の仕組み、地域内分権のあり方まで踏み込んだ県の姿勢が必要と考えます。
 そこで伺いますが、県は、グランドデザインの策定の期限をいつまでに設定しようとしているのでしょうか。世界最先端の技術を駆使するサイト誘致の千載一遇の機会を実現するためには、県と一関市、奥州市との連携も視野に入れたプロジェクトチームの創設が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 民間組織をサポートする県の助力も不可欠であると考えますが、どのような援助を考えているのか、以上、お知らせ願います。
 また、次世代の国際科学研究都市は、自然との調和が必須のテーマとなっております。さらに、平泉世界文化遺産との文化の融合も包含した国際科学研究文化都市の形成を目指すべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、地域医療の再生について伺います。
 地域医療とは何なのか。地域へ差し伸べる医療なのか、地域で完結させる医療なのか、供給側と需要側のとらえ方で大きく意味が違ってきます。そもそも地域医療という言葉自体の汎用性が広く、定義が明確に定まっていないことが要因と考えられますが、これからサービスの受け手側、すなわち、県民が地域医療と聞いてしっかりとしたイメージをつくれるまで本県の医療政策を根づかせていく必要があると考えます。既に、県内では、自治体と連携し、遠野市や一関市藤沢町などで発展的に実践し成功している地域包括ケアのすばらしい事例もあることから、地域のニーズに合致した医療提供のあり方を追求すべきであります。
 厚生労働省は、平成24年度を新生在宅医療・介護元年と位置づけ、拠点事業を柱に、在宅医療・介護推進プロジェクトを進めることとしております。国は、年々増大していく医療費を抑制することも政策の転換の大きな目的と思料されますが、医療政策が在宅医療へ方向を定めたことについて、本県も機動的に十分に呼応していく必要があります。
 一方、本県においては、県立病院の勤務医の恒常的な不足について抜本的な解決を見出せない状況が続いており、問題の打開には、責任を明確化した組織形成や地域医療に資する人材の育成を考える時期に来ているのではないでしょうか。また、二次保健医療圏内における地域病院の存在意義が明確でないことから、花泉事案のような県当局の焦りから強行に踏み切り、結果として失敗につながったのではないかと思っております。
 そこで伺います。平成25年度からの次期医療計画では、この国の指針を踏まえ、在宅医療の体制構築に係る指針が盛り込まれることになっていると聞いておりますが、策定に向けた現時点での県の基本的姿勢をお示し願います。
 また、国の医療政策に沿った高齢化社会に適応した、市や地域リハビリテーションの推進もあわせた地域病院のあり方を明確にすべきと考えますが、地域医療の創造の観点に立った知事の考えをあわせて伺います。
 昨年の2月の代表質問において、私は医療局と保健福祉部の一元的な管理体制について提案したところ、医師確保に向けた組織のあり方を検討する必要があるとの答弁でありました。その後、どのような検討がなされたのか、お知らせ願います。
 文部科学省が全国的な医師不足に向けて、大学医学部の新設について論点整理をするため、国民からのパブリックコメントを始めました。東北では、財団法人厚生会仙台厚生病院と東北福祉大学が合同で、仙台市内での医学部の新設を目指しているとされています。地域医療に資する人材の育成のためにモデル的に設置する条件であれば、本県にとっても歓迎すべき動きと考えますが、知事の認識をお示しください。
 以上で壇上からの質問を終わり、以降は質問席から質問をさせていただきます。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県政運営のガバナンスについてありますが、平成24年度は、復興を軌道に乗せ加速させる重要な年であり、復興計画に基づく着実な事業推進を図ることが最重要課題であります。また、いわて県民計画に掲げる希望郷いわてを実現するため、オール岩手による取り組みを強力に推進していく必要があり、緊急かつ重要な課題に人的資源を重点配置する姿勢で体制整備を図っております。
 復興の推進に当たっては、県として復興計画を策定する中であるべき姿を描き、必要な施策や事業を整理した上で、国に対して予算措置や新たな制度の創設などを求めております。その際、被災地ニーズを丁寧に把握し、現場での課題とその解決策について十分検討を重ね、復興特区申請を初め既存の制度、枠組みにとらわれない積極的な施策提案に努めております。
 現場の要望、提言が、国の復興基本方針や復興関連の予算、制度等に反映されるなど、一定の手ごたえを感じているところであります。
 今後も、復興庁を初めとする国の機関と向き合い、連携を強化するこうした取り組みをたゆまず行い、地域としての主体性を発揮してまいります。
 次に、震災からの復興に向けた組織運営等の姿勢についてでありますが、復旧、復興という喫緊の課題に加え、岩手の未来を見据え、限られた人的資源や財源の効果的な活用を図りながら、県民の負託にこたえるべく、全職員一丸となって県政の諸課題に立ち向かっていく姿勢が求められています。こうした組織風土を醸成するため、組織運営に当たって、岩手県職員憲章の理念が具現化するよう努めてまいります。
 次に、副知事の権限と体制についてでありますが、地方公共団体におけるトップマネジメントについては、直接選挙で選ばれた知事をトップとする執行体制が採用されています。その上で、知事を支えるトップマネジメント体制については、地方公共団体がみずからの判断で適切な体制を構築することができることとされておりますが、本県では、条例により、副知事の定数を2人としているところであります。
 平成22年9月からの副知事2人体制については、県政を取り巻くさまざまな課題に的確に対応するため、知事のリーダーシップのもと、副知事が支え、ともに連携を図りながら、トップマネジメントを一層強化する必要があると判断し、導入したものであります。
 両副知事は、その趣旨やみずからの役割をよく理解し職務に当たっており、副知事2人体制の効果が上がりつつあるものと考えております。
 さらに、震災からの復旧、復興を着実に推進するためには、副知事2人体制の継続がますます重要と考えております。引き続き、知事と知事を支える副知事2人が、力を合わせて県政の推進に当たっていく考えであります。
 次に、産業再生特区についてでありますが、県では、産業の集積等による雇用機会の確保、創出を図るとともに、地域の特性を生かした産業を振興することにより、被災地域の経済の活性化を図ることを目的として、東日本大震災復興特別区域法に基づく岩手県産業再生復興推進計画を2月6日に国に申請しました。
 これまで、本県においては、内陸地域における自動車、半導体関連産業を中核としたものづくり産業の振興を進めてきたところであり、これらの産業を牽引役として沿岸地域と内陸地域とが連携することにより、沿岸地域の再生、復興や本県経済の向上を図っていくことが重要と考えております。そのため、沿岸地域の産業と内陸地域の産業との取引関係のさらなる拡大により、沿岸地域の製造業や水産加工業などの産業が再生、発展することを目指し、雇用等に甚大な被害を受けた沿岸地域に加えて、内陸地域も含む県内全市町村に復興産業集積区域を設定いたしました。
 また、特例の内容については、新規立地企業への法人税の優遇措置など、被災地の雇用創出の促進に寄与する税制特例措置のほか、今後拡大が見込まれる医療機器関連産業の集積に向け、医療機器製造販売業等の許可基準の緩和を盛り込んだことが、本県の産業再生復興推進計画の特徴の一つであります。
 県としては、早急に計画の認定を受け、復興特区制度に基づく特例措置を有効に活用しながら、被災地域の経済の活性化を図っていく考えであります。
 次に、再生可能エネルギーの推進についてでありますが、復興特区制度の活用は重要なことであり、このため、事業化を検討している民間事業者や市町村から、事業実施に当たっての課題を踏まえた具体的な規制緩和措置について提案をいただきながら、速やかな国との協議に向けた準備を進めております。
 県では、復興計画にさんりくエコタウン形成プロジェクトを掲げ、太陽光などの再生可能エネルギーとスマートグリッド等を組み合わせ、災害時においても一定のエネルギーを賄える自立・分散型のスマートコミュニティの構築に向けた調査研究を進めることとしており、市町村においても同様の取り組みが行われていると承知しております。
 今後、スマートコミュニティの構築などを進めるに当たり、スマートグリッドや発送電分離に関する具体的な規制緩和措置が必要となった場合、国に対して追加提案を行ってまいります。
 次に、国際リニアコライダーの誘致にかかわるグランドデザインの策定等についてでありますが、国際リニアコライダー─ILC計画については、現在、国家プロジェクトとして位置づけられていないという課題がありますことから、ILCを核とした東北の産業復興に向けたグランドデザインの策定を通じ、国として位置づけるよう、積極的な働きかけを行うこととしています。そのため、平成25年度の国の概算要求を見据え、グランドデザインのうち基本的な構想に当たるものについて、新年度の早い時期を目途として策定に取り組みたいと考えております。
 なお、この東北全体のグランドデザインをもとに地域で具体化していくに当たっては、市町村や民間組織のみならず、地域住民も巻き込んでいくことが重要と考えます。
 一関市及び奥州市との連携についてでありますが、両市とはこれまでも、地質調査や講演会の実施など、ILC誘致のための取り組みを連携しながら推進してまいりました。現在、両市との連携を一層強化するための人的体制について検討しているところであり、今後も密接な関係を構築していきたいと考えております。
 お尋ねのありましたプロジェクトチームの創設については、ILC計画の今後の進展等を見据えながら、必要に応じて検討してまいります。
 また、民間組織等への支援については、その活動の主体性を尊重しながら、情報の提供や勉強会等について、県としても支援してまいりたいと思います。
 次に、国際科学研究文化都市の形成についてでありますが、国の復興構想会議に提案したILC誘致を中核とするTOHOKU国際科学技術研究特区構想は、進出企業の法人税減免や外国人研究者の受け入れ促進に係るビザ取得手続の迅速化等を内容としたものです。この構想の実現のためには、外国人研究者等にとっての居住環境の整備はもとより、誘致地域がさまざまな面で魅力ある地域として、国際的に認知されるように取り組んでいかなければならないと考えています。
 これらの取り組みの推進に当たり、東北の豊かな自然や人と自然との共生を理念とする平泉の世界文化遺産などはILC誘致の重要な要因になることも考えられることから、議員御提案の国際科学研究文化都市の形成についても、グランドデザインの策定等を通じ検討してまいりたいと思います。
 次に、次期医療計画と地域医療についてでありますが、本格的な高齢社会の到来に伴い、地域においては、生活の質を高めつつ、必要な在宅医療が受けられる体制を構築していくことが必要であります。こうした中、本県においても、地域における在宅ケア推進のための医療や介護などの多職種の連携や、患者情報を共有するシステムの導入などの取り組みが進められてきたところであり、また、昨年12月、在宅医療の体制構築を含めた医療計画の見直しを岩手県医療審議会に諮問したところです。
 今後、新計画の策定に向けては、これまでの取り組みについての検証を行い、質の高い在宅医療を効果的に提供するための人材育成や、地域における医療機関等のネットワーク化などの推進方策等を計画に盛り込み、本県における在宅医療の体制構築のための全県的な取り組みを推進していきたい考えです。
 また、地域病院のあり方についてでありますが、本県においていわゆる地域病院は、二次保健医療圏において必要な医療提供体制を確保する観点から、二次救急、高度・専門医療等を担う圏域の中核的な病院との役割分担と連携などを踏まえながら、圏域内において必要な役割を果たしているものと認識しております。
 今後においても、地域病院は、疾病の予防、維持期を中心とする日常的な医療機能を基本としつつ、地域の実情に応じて、みずからがその役割を見直していくことが必要であり、例えばリハビリテーションや在宅医療等の分野において、関係施設、機関等のコーディネートや支援、研修、地域住民の啓発など、地元自治体と連携しながら、多様な役割を担うことが期待されるものと考えております。
 次に、医療局と保健福祉部の一元的な管理体制についてでありますが、医師確保対策については、今年度、国の地域医療支援センター運営事業の創設に伴い、本県でも本年1月に同支援センターを設置し、初期臨床研修体制の強化や医師奨学金制度の広報などを実施しています。
 さらに、来年度からは、地域医療支援センター事業の一部である医師が不足する地域医療機関への医師派遣事業を岩手医科大学に委託し、医療局及び保健福祉部と連携した支援を充実させることとしています。
 こうした中、各奨学金制度による養成医師の統一的な配置システムについては、平成20年度の奨学金制度拡充時に貸し付けた貸与者が臨床研修を修了する平成28年度から本格稼働することから、これに対応して、配置調整を一元的に管理する組織のあり方について検討を進めてまいります。
 次に、医学部新設と人材の育成についてでありますが、仙台厚生病院と東北福祉大学による医学部新設構想における東北地方の深刻な医師不足の解消を目指し、地方に根づく医師を育成したいという当該関係者の思いについては敬意を表するものであります。国では、医学部新設を含む入学定員のあり方について、平成22年から検討会を設置し議論を行っていますが、医学部の新設により、中長期的には、医師の養成数が増加することが期待される一方、短期的には、指導力のある勤務医を大学教員として確保する必要があることから、地域病院で勤務する医師の不足が助長されるとの指摘もあるなど、その評価が分かれており、今後の動向については不透明な状況にあると認識しております。
 県としては、医師不足の解消に向けた医学部定員増について、その必要は認めるものの、医学部新設については、関係者から出されているさまざまな課題について議論を尽くすべきであることから、今後の国の議論の方向や本構想の動きを注視していく考えであります。
〇27番(飯澤匡君) 答弁ありがとうございます。
 それでは、順次項目に従って、再質問とそれから新たな質問がございます。順番等、時間の都合で入れかわる場合もありますので、御留意をいただきたいと思います。
 まず、最初に、県政運営ガバナンスについてでありますが、今回大震災という、こういう未曾有の災害を経て国の大きな予算措置がございます。これは来年の復旧のためです。多くは復旧のためと理解をしています。この多額な予算が来ることにより、より近い場所で、復興庁の創設などにより、近くの自治体、被災地自治体は大きな期待感が寄せられると思いますけれども、ただ、県の主体性が失われる可能性もあるのではないかと。要は、大きな額の中で、額の流れに驚いてしまって、そこに県が、じゃ、その広域的な地域をどう組み立てていくのか、どういう仕掛けをするのかということを明確にしないと、これは県の存在意義が問われる形となると思います。そのために、私はあえて地方政府というものを意識して、しっかりとした自治体の責任そしてまた自治意識を高めながら、特にも財政運営の面、そこら辺は留意をしながらやっていかなければならないんだということを指摘したところでございます。
 平野大臣が、復興交付金について、やはり被災地自治体もコスト意識を持ってやっていただきたいという言葉は、本当に私は的を得ていると思っております。県のいわゆる立ち位置、それをやっぱり被災地の方々に、被災地のための復旧、復興は、これは絶対必要不可欠でありますけれども、県としてこの岩手県をどうしていくのかというのが、なかなか私は今のところ見えてこない。その主体性が見えてこないというところがちょっと残念でございますので、その点について、もう一度お伺いをしたいところでございます。
 知事が震災前より進んだ県を目指すということは、大変よいことだと思っております。ただ、現場で働いている県職員の方々は人数が減っている上に、そして県の方針もなかなかはっきりしないというところで、被災地自治体から県は一体どうなんだという声も聞こえてくると聞いております。という意味で、職員のモチベーションを高めるということがさらに重要なことになると思います。
 そこで、県の戦略性という意味から一つのお話を紹介しますが、私はラグビーを経験しておりましたので、大西鐡之祐さんという監督が、展開、接近、連続といった戦術を、彼がジャパンを率いたときにこれは用いた言葉です。小柄ながら、持久力と瞬発力、器用さにフィットした理論として日本代表の戦術に大きな影響を及ぼした。〇〇ジャパン、これは寄せ集めの集団ではないんだと。君たちは日本を代表してやるんだと。まさに知事が言っているオール岩手、オール東北、オールジャパンの元祖。オールジャパンという思想の中で、そういう具体的な戦術を明らかにしてチームをいい方向に導いていった。私は、岩手も岩手らしい復興に向けた戦略をしっかり県民に示すべきだと思いますけれども、その点について。
 以上申し上げて、大変長くなりましたけれども、知事の心得を改めてお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私はソフトテニスを学生時代やっておりましたので、ソフトテニスからいきますと、ソフトテニスというのは基本的に、私のころは前衛、後衛、今これが入れかわるようなルールになっているんですが、2人でやるものであります。守るのも2人、勝利を得るのも2人。
 復興ということも、それぞれ1人ではできないことだと思っております。まず、私が2人の副知事それぞれと1対1の信頼関係を持って仕事を進めていく。また、私とそれぞれの部局長、そしてそれぞれの副知事や部局長は担当の課長、そういった1対1の関係というものを広くつなげ、被災地においてだれも1人で孤立していない状態をつくり、そして岩手全体においてもすべての人が何らかの形で復興に参画していく状態をつくっていく。そのコーディネートをしていくのが県職員ということで、発災以来、県職員、それぞれの現場でそうした1対1のつながりということを県の中で、また県の外でつくり、これはおととしやっていたI援隊運動ということともつながるんですが、そういうチームの中で問題を解決していく、そういう形で進めていければと思います。
〇27番(飯澤匡君) その辺がちょっと認識の違うところで、私はコーディネート以上のモチベーション、新しい岩手、新生岩手をこうしてつくっていくんだというものをやはり県職員にももう少し知事の言葉で知らしめる必要があるんだと思っております。
 記者会見等では、常に進歩、改善を意識して情報発信していくということも伝えられておりますので、今後、注視してまいりたいと思います。
 次に、東日本大震災からの復興に関して、被災地の産業再生と創造についてお伺いします。
 最初に、宮城県との特区の差別化について答弁を聞き逃しましたので、それはどういう姿勢であるのか、産業特区の申請についてはどの辺を意識されたのかされないのか、それだけでも結構ですから部長にお伺いします。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) お答えします。
 宮城県の場合はどちらかというと産業を絞っておりますが、地域的には全県的な波及効果というものを考えています。自動車みたいなものが中心になっております。
 本県の場合は沿岸地域の復興というものを念頭に置いておりまして、沿岸地域の産業を中心に復興を図っていこうというのが大きな目的の違いでございます。
 それにさらに加えて医療機器というものを我々その振興の柱に据えておりますが、医療機器の場合は大変縛りが厳しいということがございます。この規制を外していただいて、そしてそれも含めてやっていこうというところが一番大きな違いでございます。
〇27番(飯澤匡君) 突然そういうような指名がございますので、常に準備していただきたいと思います。
 私は、産業再生、この震災により、東北地方というのはかなり今まで予算的には硬直していた部分が、確かに国の財政がこういう破綻寸前といいますか、かなり負債が増嵩している中で我々が創造的な復興をできる機会を与えられたと。それを私は最大限生かすべきだと思っております。
 その点において今回大変残念だったのは、最初に認定をいただいた医療、保健、介護の問題ですが、あれは最初に県が想定していた総合特区の考え方からどうも矮小化しているのではないか、そういう印象を得ましたので、こういうことであってはならんなと。だからこそもっと提案型で岩手県は今こそやっていかなければならないのだ、そういう観点でこれからお聞きします。
 特に再生エネルギーについてお伺いしますけれども、私は、きのうの代表質問の知事の答弁でも、かなりの民間の会社に興味を示していただいている、これは大変ありがたいことだと思っております。
 ただし、系統立てた立地根拠、やっぱり県がそういうところをちゃんと仕組んで、そしてしっかりとした戦略を描いていく。戦略という言葉を何回も使って大変恐縮ですけれども、それをするのが県の仕事だと思います。
 コスモ石油が久慈市洋上での洋上発電、また、さまざまな会社がその投資に興味を示している。ただし、民間会社というのは、やはり利益を求めて最終的にはいろいろな参入をしてくるわけでございます。合わなくなったときには去ってしまう。こういうことを避けるためには、やはり私は、よほど県の中でその戦略、そしてもっと発展性を描いた、その地域に企業が来るだけではなくて、研究機関も被災地に根づくような、そういう発想が大事ではないかと。
 一つ例を申し上げますと、私は電気自動車─EVについて大変これから発展性があると考えております。燃料電池、これらは生命線でございますし、リチウム電池は日本の技術が詰まっている。他の国にはなかなか技術の追随を許さない大変重要な分野でございます。そしてまた、これは住宅産業への波及効果もある。私は、思い切ってEV用の急速充電器を被災地、また内陸に渡すように、そういう発想も必要ではないか。
 またさらに、最近はワイヤレス充電という技術も開発されつつあると聞いております。そういうエネルギーの地産地消基地、陸前高田市などは本当に何もなくなってしまいました。そういう地域の首長さん方やいろいろな方々と話し合って創造的な再生エネルギーの可能性を追求していく、これが私は県に課せられた使命だと思うんですが、これは上野副知事に、産業振興の担当でございますのでお聞きしたいと思います。
〇副知事(上野善晴君) 被災地の産業再生と創造についてのお尋ねでありますけれども、県では、復興計画の三陸創造プロジェクトというのがあるわけですが、その中にさんりくエコタウン形成プロジェクトというのを掲げておりまして、地域資源を活用いたしました再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入、こうしたものを促進いたしまして、環境と共生したエコタウンの実現に向けた取り組みを進めることといたしております。
 また、議員御指摘のように、被災市町村におきましても、その復興に向けまして、再生可能エネルギーや新たな技術に基づく産業の再生など、多くの構想や提案というものが打ち出されているところであります。議員、EVのお話を先ほどおっしゃいましたが、EVのような新しい技術も含めました、こうした再生可能エネルギーを初めとする新しい産業の創造と定着ということは非常に大事だと思っております。
 こうしたことをきちんとやっていくためには、それぞれの地域の有する資源や特徴を十分に生かす必要がまずあると思っています。あわせまして、その拠点性を高めるということが非常に重要だと思っておりまして、当該地域におけます適性や優位性など、そうしたことの調査分析や資金の確保、優遇制度など必要な制度の国への要請、それから関連企業の誘致など、こうしたことにつきまして県として積極的に取り組んでまいります。
〇27番(飯澤匡君) ぜひお願いしたいと思います。
 岩手県で足りないのは、やはり県民が、特に若い世代の方が、被災地の雇用環境が非常に悪い中で、自分のふるさとにどういう産業がこれからなるんだろうか、そういう期待感を私は早く沸き立たせるような県の施策を期待したいわけです。どうもがつんとくるようなものがなかなか出てこない。確かに積み上げ型でやっていくのも大変結構なことですが、より一層県が先導的、主導的に動くことを期待したいと思います。
 次の質問に移ります。
 先ほど、内陸地の国内の立地産業も大事な視点だというお話を私はしました。現在、国の3次補正で、経済産業省が募集しております国内立地推進事業費補助、これは、産業の空洞化を防ぎ、雇用を維持、創出すること、この前提となっているのは東日本大震災を受けてということです。その創出することを目的としている事業でありますが、今般公表した平成23年度事業の採択結果において、全国の採択数245件のうち、本県はわずか1企業のみとなっています。その原因。内陸地域の先進的な、特にBの─A、B、Cと要件があるんですが─付加価値のある産業育成のために県は今までいろいろな手だてを尽くしてやってきたわけですが、1社にとどまっているその原因と今後の県の対応について伺います。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) 今回の国内立地推進事業費補助の採択状況を見ますと、全国で245件ございますが、ブロック別に見ますと、関東地方が91件、近畿地方が56件ということで、大企業が集積している地域の案件が多くなっております。国としましては、円高対策を念頭に置きまして、サプライチェーンや国際競争力の強化の観点から、国内から国外に産業が出ていかないように、エコカーや機能性材料に対する大型の投資案件を中心に採択したものと受けとめております。
 残念ながら、今回非常に、私どもいろいろ出しましたが、1件にとどまったわけでございます。いずれ2次募集がございますので、2次募集に向けまして、有力な企業の動向を機敏に察知いたしまして、そうした企業と緊密に連携しながら、できるだけ多くの県内企業がこの事業を活用して新しい工場の立地や増設につなげる努力をしてまいります。
〇27番(飯澤匡君) それでは、一つお伺いします。
 被災地の中小企業についてですが、被害が甚大過ぎて、被災地の企業が再建に動けないと。金融機関も、復興絡みの資金需要がなかなか出ないと。地方銀行は国内のみで、収益の環境が悪化するということが予想されています。中小企業円滑化法が2012年3月で期限切れをします。再び倒産件数が増加するのではないか。金融機関が企業選別の動きを強める可能性があると指摘されているところですが、本県として、中小企業の育成、特に被災地の企業の再建に向けたこういう動きを受けて本県はどういった対応をいたしますか、お聞きします。
〇商工労働観光部長(齋藤淳夫君) これは再三答弁をいろいろなところでしておりますが、まず、被災地の企業に対しましては直接的な補助金というものを出してきております。一つは、4分の3の事業費補助金、グループ補助金というものがございます。それからもう一つは、昨年4月に立ち上げました県単のいわゆる修繕費補助金、そして、今度の2月定例会で提案を予定しておりますが、グループ補助金の対象とならない個別の企業向けの復興のための県単の補助金というものを用意しています。こうしたものでまず対応しておりますし、今、御指摘にもありました資金繰りということでございますが、これも震災直後に融資制度をつくりました。それからさらに、次の補正で500億円もの企業に対する県単の融資制度もつくっております。そのほか国の融資制度も順次創設されておりまして、いわゆる金融的な部分につきましてはかなり準備が整っております。
 また、二重債務の解消というものもございまして、こちらにつきましては岩手産業復興機構というものを立ち上げまして、債権の買い取り等について今一生懸命準備を進めているということでございます。
〇27番(飯澤匡君) そういう制度資金は県のほうで準備していると言われますけれども、需要側でしっかりとした再建に向けた体制づくりができるように、広域振興局等もあわせて機動的な体制をお願いしたいと思います。
 話はがらっと変わりまして、新しい公共という言葉、これは鳩山首相が─もう退任されましたけれども─出しまして、脚光を浴びました。今回の野田総理は新しい公共について一言も就任当時の演述で触れなかったということで残念だというようなコメントもありましたが、岩手県でも、知事が9月定例会の知事演述、また2月定例会の知事演述でこの点について強調されていますが、具体的な新しい公共の姿というのがなかなか見えてこないわけでございます。今、県が想定している新しい公共の姿、簡潔でいいですので、これは千葉副知事にお伺いします。
〇副知事(千葉茂樹君) 新しい公共と被災地対応についてでありますが、現在、御案内のとおり、被災地におきましては復旧、復興のために多種多様な支援サービスの提供が求められていると考えております。
 これまで、行政サービスの支援につきましては、県内市町村あるいは県外自治体からの被災市町村への職員派遣なども行われてきたところでございますけれども、特に行政が担うべきとまでは言えないものの、公共的な価値の高い支援サービスについては、新しい公共の理念に基づきまして、被災地内外の民間の方々のお力もおかりしながら取り組んでいく必要があるものと考えております。
 具体的には、今年度から国の交付金を活用いたしまして被災地内外のNPO等と市町村が連携して実施します支援活動を助成しているところでございまして、現在さまざまな活動が被災地で実施されております。
 また、来年度につきましては、国から追加交付金により事業規模を拡大して取り組むこととしておりまして、昨年12月に県内各地域で説明会を開催いたしまして、市町村、NPO等からも御意見を伺い、今回は県外からの団体の支援活動も助成の対象とする新しい事業スキームを定めているところでございます。
 いずれ県といたしましては、この復興支援の取り組みが効果を上げていくためには、被災地のニーズ、市町村の復興計画、さらには現地で既に行われているさまざまな活動と整合性を図りながら取り組みを進めていくことが重要であると考えております。
 このため、助成先の団体につきましては、活動先の市町村と十分連携を図るとともに、被災地における地元調達あるいは被災者雇用にも配慮するよう要請しているところでございます。
〇27番(飯澤匡君) それでは、ILCについて1点だけお伺いします。
 私は、ことしが本当に正念場だと思っております。北上高地に誘致になるかならないかというのは、最終的には政府の判断、その前に政府間協議ということで、国際的にもそういう手順が生まれるわけでありまして、主体的に決定の中に我々は加われないわけでありますが、私の考え、また地域政党いわてとしても、あらゆる努力をする。今回、設計チームの方がおっしゃったように地元の熱意が大変大事だということであれば、しっかりそれに備えるということが大事だと思っております。
 そこでちょっと視点を変えて聞きますが、これからの国際的な人材を養成するために、今、文部科学省で国際バカロレア資格認定校ということで、特に中高一貫校でこの認定校を目指すというようなことが進んでおるわけですが、当地の中高一貫校は一関一高があるわけですが、その認定に向けた動きも視野に入れてやったらいかがかと思うわけですが、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
〇教育長(菅野洋樹君) いわゆる国際リニアコライダー計画については、本県の高校生に大きな夢を与えるものだと思っていまして、理数科教育ですとか英語教育、そういったものの大きな動機づけになると思っています。県内の高校におきましても各種の取り組みが行われております。例えば水沢高校、盛岡三高におけるSSH─スーパーサイエンスハイスクール、これはかなり高度な数学とか理科に関する教育を行っているわけでございます。これに加えまして、平成24年度は文部科学省の英語力の指導改善事業の拠点校として、今お話のありました一関一高と花巻南高が選定されます。こういった取り組みによりましてグローバル人材の育成に資する、このようにも考えております。
 御提言のありました国際バカロレア資格認定校につきましては、文部科学省が3年をかけて今後調査研究をすることになっております。カリキュラム等がどうあるべきかということ、こういった国の動向等も踏まえながら、どのような対応が私どもとして可能なのか研究してまいりたいと考えております。
〇27番(飯澤匡君) それでは次に、地域医療の再生について具体的にお伺いしたいと思います。
 先ほど、知事に一元的な医療の管理体制について、組織の変更を含んだ体制強化について質問いたしました。今、県の考えているのは、やはり医師確保を中心にしたそういうあり方、その目的を達成するために連携をやるという視点だと思うんですが、きょう私が申し上げた、国が医療政策の中で在宅の方向に今度は強化していく方向が定まったということで、特に高齢化の進んでいく地域病院、これらについてしっかりとした位置づけを考えながら、県民の命と健康を守る医療政策をしっかりつくっていくということが私は今求められると思うんです。今、医療局の体制を見てみますと、大変経営状況も厳しいものがございますし、自分たちの組織の中で医師の人事権も付与されていない、そして医療政策の中で保健福祉部との連携を果たしていく上でもなかなか、後で指摘しますけれども、自分たちが主体的に動けるような体制ではない。やはりここは、しっかり岩手県の医療政策、その上で県立病院、そしてまた特に過疎化が進んでいる地域病院をどうやって維持、発展をさせていくかという視点がなければ、これはいつまでたっても同じことの繰り返しになるのではないかと思っているわけです。
 今回、新しく医療、保健担当になりました千葉副知事、この点について副知事の考えを改めてお聞きしますとともに、大変残念な事案であった花泉診療所の件について、この問題についてどういった収拾をする考えか、この2点についてお伺いしたいと思います。
〇副知事(千葉茂樹君) まず、1点目の一元的な体制のお話についてでございますが、まずもって、当面につきましては、先ほど知事から御答弁申し上げましたとおり、いわゆる医師の配置調整を一元的に管理する組織のあり方、これをまず検討していきたいというのが基本であります。
 ただし、来年度、新しい保健医療計画の策定に向けまして、県医療審議会計画部会等でこれから本県の医療提供体制あるいは医療政策のあり方について幅広い御議論をいただくこととしているところでございます。これまでも県立病院のあり方懇談会等での御報告もちょうだいしているところでございますし、今回このような機会を活用し、保健福祉部及び医療局が共同で取り組む内容等についてもいろいろと御意見をちょうだいしながら検討を進めたいと考えているところでございます。
 花泉診療所等についてでございます。
 まず、事実関係等について御説明させていただきたいと思いますが、医療局におきましては、医療法人に対して、有床診療所として使用しない場合は賃貸借契約を3月末で終了し、県営による無床診療所を4月に開設する方針を示し、協議してきたところでございますが、弁護士とも相談の上、3月末で賃貸借契約を解除する通知を発出したところでございます。
 現在、滞納賃貸料の支払いや3月末での明け渡しが行われるよう医療局において医療法人と話し合いを継続しており、県営の無床診療所の開設に向けての所要の準備を進めているところでございます。
 次に、無床診療所開設後の対応についてでありますが、昨年12月に医療局と一関市が協議した際に、一関市からは、一たん民間移管前の医療局による無床診療所に戻し、その後、県と一体となって、地域の意見を聞き、地域に必要な医療を考えていきたいという考えが示されたところでございまして、県といたしましても一関市と連携して検討すべき課題と考えているところでございます。
 現在、一関市におきましては、自宅や地域で安心して生活できる地域医療、保健福祉体制の整備を関係者と進めているところでございまして、県といたしましても、本年度から地域医療・介護連携モデル事業による支援を行っているところでございます。
 初年度の取り組みとしては、これまで、医療、介護従事者を対象としたアンケート調査などに取り組んでいるほか、今後、連携を促進するためのワークショップの開催、関係者による検討組織の立ち上げを予定していると聞いております。
 また、来年度以降もこの事業を継続し、医療連携の仕組みづくりや医療、介護の連携体制づくりに取り組むこととされておりますので、県といたしましては、この事業の取り組み等も踏まえながら、花泉を含む両磐圏域の医療提供体制について、一関市との連携のもと、医療関係団体や地域住民の御意見も伺いながらさらに検討を進めていきたいと考えているところでございます。
〇27番(飯澤匡君) この件については、予算特別委員会もございますので、この辺にしておきます。
 次に、大東病院について、先ほど知事から平成24年度の早い時期においてその方針を明らかにしたいという答弁がありました。地域の方々は大変早期の機能回復を望んでおります。10日間という短期間でありながら1万2、687名の署名が集まりました。この再開に向けてのスケジュールを改めて私は医療局長に示していただきたいと思います。
 また、私は、地域住民への説明、地域医療をどうやって育てていくかという観点に立った説明というものも必要だと思うわけですが、どのような形式で行うのかお聞きしたいと思います。
〇医療局長(遠藤達雄君) 大東病院につきましては、被災して入院機能が現在機能していないということで、地域の皆様方には大変御不便をおかけしております。
 大東病院を御利用いただいております地元の皆様方からは、昨年6月、大東町の振興会の会長さん方初め、診療機能の回復ということで御要望を直接いただいておりますし、今、議員御指摘されました去る2月7日には、大東地域の住民で組織しております県立大東病院早期復旧対策委員会の皆様方から1万2、687名の署名をもとに診療体制の早期復旧について要望をいただいたところでございます。
 そのほかに、先般開催された医療関係者や地元市町、地域住民団体等から構成されます両磐保健医療圏の地域医療を守る懇談会等におきまして、大東病院には一定程度の病床が必要であるなどの意見も出されているところでございます。
 医療局といたしましては、来年度早い時期に、まずは御利用していただいております地域の方々とのお話し合いと申しますか、直接お話を聞く機会を設けたいと考えております。また、地元一関市からも、保健、福祉との連携あるいは地域医療提供体制の確保、こういったことについても御意見を伺いながら、来年度前半を目途に、大東病院の規模、機能等につきまして検討を進めてまいりたいと考えております。
〇27番(飯澤匡君) 先ほど御紹介のあった地域医療を守る懇談会の中でそういう方向性が示されたわけですが、その中で、大東病院が有しているリハビリ機能については、前は地域総合病院というカテゴリーの中にあった千厩病院が、そのほうが望ましいのではないかというような意見もありました。ただ、これは大東病院の院長先生とも私は何回もお話をしているわけですが、そのリハビリというカテゴリーを単純に切ってしまうと、それはちょっと間違いがあるよと。今、千厩病院に移転しようという考えが、そういう意見がある中で、それは回復期リハビリ、これは急性期のリハビリに当たると。維持期のリハビリは高齢者にとってこれは必要であると。維持期リハビリは、在宅で再度生活機能が低下してきた方に、短期集中的なリハビリにより、生活の機能の回復を図り再び在宅へ復帰を支援すると。大東病院でも、脳卒中などの病気にかかった方、現在も奥州市へのリハビリ施設に通院している患者さんもいらっしゃいます。今後、さらに増加が見込まれることから、大東地区にも必要な機能であるというような考えも持っております。こういうこともしっかり勘案した中で、大東病院が地域病院として、これからその地域のニーズに合った地域病院として、その存立を、存在意義を明らかにしていく必要があると思うんですが、再度この点について、現時点でどういうお考えか、医療局長にお聞きをしたいと思います。
〇医療局長(遠藤達雄君) 東磐井地域全般としましても、やはり高齢化率というのは非常に高い地域でございますので、リハビリも含めまして、いわゆる高齢者医療と申しましょうか、そういった観点で、東磐井地域全般のところで、どういった機能分担なり役割分担が最も限られた医療資源の中で適当なのかといった点も含めまして、まずは地域の意見もいろいろ伺いながら、今後検討してまいりたいと考えております。
〇27番(飯澤匡君) ありがとうございます。
 それでは、最後に残しておいた放射線対策について伺います。
 2点質問を用意しておったんですが、最初に、これは答弁は要りませんが、瓦れき処理について、我々地域政党いわては、提携をしている地域政党・京都党といろいろな情報交換をしている中で、陸前高田市が、京都の五山の送り火を、陸前高田市の被災した松の木を利用したいということで最初取りかかったわけですが、なかなかこれはうまくいかなかった。そういうような事象も受けて、余りにニュース性が高いので、私どもの及川幹事長が京都市役所まで出向いて、全国の自治体が瓦れき受け入れが慎重になっていると。市の積極的な対応を要請したというような行動をしております。私たちは早い時点からその瓦れき処理については、広域的な処理について県の対応を促しておりましたが、なかなかうまくいっていないというところ、もう少し幅広くいろんな方面へと情報発信をしていただくこと、これをさらに要望したいと思います。
 それでは、第1点目、子供の内部被曝について伺います。
 一関市では、放射線健康影響調査、尿中の放射線物質サンプリング調査に2、000人以上の応募があったと聞いております。一関市は、昨年12月に、汚染状況重点調査地域の指定も受けております。あとは平泉町、奥州市。特に、この地域に住む子供を持つ親の不安は大変大きいものがあると。この調査の結果の公表はいつになるのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 放射線健康影響調査の結果の公表時期についてでありますけれども、昨年12月以降、この内部被曝の健康影響調査として、主に県南地域の15歳以下の小児132人の尿中放射性物質の測定を環境保健研究センターで実施しているところでございまして、この調査結果については、岩手県放射線内部被ばく健康影響調査有識者会議において評価を実施した上で、3月上旬をめどに結果を公表する予定としており、現在、作業を進めているところでございます。
〇27番(飯澤匡君) それから、もう一回確認をしたいんですが、その健康調査の目的について、県はこういうことを言っているわけです。
 放射線の影響を心配する声も大きいと。ただし、被曝医療的な観点からの内部被曝の検査の必要性は乏しいと。そういうことで、本県で健康に影響を及ぼすレベルにないことも確認する意味も含めて実施すると述べていますが、本来、被曝量の低減化に努め、軽微な兆候も見逃すことなく丁寧に健診を行うなどして、疾病の未然防止に全力を傾注するべきであると私は考えております。住民の不安に対して、殊さらに安全を強調するだけでは不安が解消するわけではございません。尿中放射性物質サンプリング調査の目的、これは県民の疾病の未然防止であって、そのための被曝量の低減化が目的ではないのか、その点を再度確認をしたいと思います。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 健康影響調査の目的についてでありますけれども、確かにこの目的につきましては、今回の事故による住民の内部被曝の健康影響については、これまで福島県等におけるさまざまな調査結果で、健康に影響が及ぶ数値ではないことが示されていること。それらを踏まえまして、本県の県南部を含む空間線量率については、この福島県で調査を行った地域よりもかなり低レベルにあることから、現時点で被曝医療的な観点からの調査の必要性は高くないのではないかと考えて、そういうような形でお話をしておったところでございますが、議員御指摘のとおり、今後の健康影響の発生防止のためにも、現時点での県民の内部被曝の状況を正確に測定し評価をするということが重要でありますので、比較的空間線量率の高い県南地域を中心とした子供の内部被曝状況を把握するため、放射線の健康影響調査を実施することとしたということでございまして、いずれ、正確に測定をし、評価をするという考え方に立って調査をするということでございます。
〇27番(飯澤匡君) まだ質問を用意していたんですが、ちょっと時間なので、あと常任委員会での質疑に変えたいと思いますが、一つだけ申し上げておきたいのは、ICRPやがん発生率だけなど、偏った評価をもとにするのではなく、岩手県の子供たちの疾病の未然防止の観点から、やはりさまざまな評価を行うべきだと考えます。これは後で、ちょっと時間がないので、きょうはその点を指摘するだけにします。
 最後に、干しシイタケについてお伺いをしたいと思います。
 昨日来、県がこれから全戸検査をするというように、一歩踏み込んだ答弁が知事からもありました。そこで、2月22日に、3市1町が、シイタケ生産に係る緊急要望を行いました。私はこの要望をもとに質問をしたいと思っております。
 そこの要望の中に、当初の段階から早期の対応を求めてきたにもかかわらず、今日の事態を迎えたことは遺憾であると。これは異例のコメントが要望書に添付、書かれておるわけです。これは、県の対応の遅さを真っ向から指摘するということ、これはまさに異常なことだと思っておりますが、もう過ぎたことではございますが、この間、県の対応について妥当なものであったと考えているのかどうか、農林水産部長、お待たせしました、よろしくお願いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) シイタケの放射線被害のこれまでの県の対応についてでございますが、本県、昨年の8月以来、シイタケに関しても市町村と関係団体との検査実施の打ち合わせ、あるいは生産者懇談会への参加、これを通じまして、市町村、関係団体への情報提供あるいは情報共有に努めてまいりました。ただ、干しの検査方法について、本県、昨年7月に、国に対して、摂食する状態の水戻しで検査するのが妥当ではないかという意見を伝えてございました。ただ、国からは、11月に、当面の間、乾燥状態での取り扱いにするようにという提示がございましたが、水戻しの状態というのがほぼ生に相当しますけれども、生の検査結果は暫定規制値以下と、本県の状態でございましたし、昨年末、国の審議会が、4月以降の検査方法は、生または水戻しの状態で検査するという案を取りまとめたこともございまして、検査方法について、国と関係団体との調整に時間を要したという経過がございます。ただ、2月初旬に、他県で本県産生シイタケを乾燥状態で検査するという事例が発生いたしましたので、産地としての信用保持等の観点から、当面の検査方法とされてございました乾燥状態で検査を実施いたしました。
 こういった経過ではございますが、干しシイタケについて、県としては、産地としての適切な評価としたいという考えで調整してまいりましたが、県の考え方あるいはその経過について、市町村の皆さんに理解が十分得られていなかったものと受けとめてございます。
〇27番(飯澤匡君) きのうも一関市議会で、本会議で質疑が交わされたようで、市長の答弁は県より一歩進んで、人工ほだ場の創設等、非常に意欲的に生産地を守るというような答弁がありました。これからやはり早期に、東京電力への賠償請求にはしっかりとした検査のスキームをつくる必要があると考えます。
 聞いたところによると、県は、生シイタケの部分での検査を考えていると。ところが、生産者はなかなか、一回にシイタケが出たときに、生でやられてはこれはたまったもんじゃないというような話で、非常にそこら辺もまだ調整がとられていないと聞いております。その検査スキームについてどう対応するのか。
 それから、県南地域の県南広域振興局内に担当部署を設置してほしいと、強い要望があります。やはり県庁では遠過ぎると。しっかりとした迅速な判断のもとに、東京電力の賠償請求なり迅速なる対応を求めているということでございますが、この点についてどのように対応なされるつもりなのか、お聞きをします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 安全確認のための検査につきましては簡易検査でスクリーニングをし、一定レベルを超えたものを精密検査という方法を想定してございますが、これから国あるいは関係団体、市町村との調整を順次進めてまいります。これとあわせて、検査スキームに対応できる検査体制もあわせて準備を取り進めてまいります。
 仕組みの詳細につきましては、これから詰めていくという段階でございます。
 それから、県南広域振興局への総合窓口の設置でございますが、特に要望の際には、生産者が迷わずに相談できるようなところという指摘も受けました。相談窓口などを明らかにするといったような方法も考えられますので、生産者の視点に立った対応となるように、県南広域振興局と検討してまいります。
〇27番(飯澤匡君) どうも、齋藤部長済みませんでした。2回とも原稿にないものの質問でした。
 ちょっと一問一答は時間が足りないと思いますので、これは議会運営委員会で少し是正を求めて私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(柳村岩見君) 以上をもって、飯澤匡君の一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
   午後4時7分 休 憩
出席議員(48名)
1番 高 田 一 郎 君
2番 佐々木 茂 光 君
3番 小 泉 光 男 君
4番 清 水 恭 一 君
5番 佐々木 朋 和 君
6番 名須川   晋 君
7番 佐々木   努 君
8番 軽 石 義 則 君
9番 後 藤   完 君
10番 神 崎 浩 之 君
11番 城 内 愛 彦 君
12番 福 井 せいじ 君
13番 吉 田 敬 子 君
14番 木 村 幸 弘 君
15番 久 保 孝 喜 君
16番 小 西 和 子 君
17番 高 橋 但 馬 君
18番 岩 渕   誠 君
19番 小 野   共 君
20番 郷右近   浩 君
21番 高 橋   元 君
22番 喜 多 正 敏 君
23番 高 橋 孝 眞 君
24番 岩 崎 友 一 君
25番 工 藤 勝 博 君
26番 及 川 あつし 君
27番 飯 澤   匡 君
28番 高 橋 昌 造 君
29番 五日市   王 君
30番 関 根 敏 伸 君
31番 小田島 峰 雄 君
32番 大 宮 惇 幸 君
33番 工 藤 大 輔 君
34番 熊 谷   泉 君
35番 嵯 峨 壱 朗 君
36番 工 藤 勝 子 君
37番 斉 藤   信 君
38番 小野寺   好 君
39番 佐々木 順 一 君
40番 佐々木   博 君
41番 田 村   誠 君
42番 及 川 幸 子 君
43番 伊 藤 勢 至 君
44番 渡 辺 幸 貫 君
45番 樋 下 正 信 君
46番 柳 村 岩 見 君
47番 千 葉   伝 君
48番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時23分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
   〔16番小西和子君登壇〕(拍手)

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