平成24年2月定例会 第4回岩手県議会定例会会議録

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〇知事(達増拓也君) 本日、ここに第4回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し上げます。
 冒頭、改めて、東日本大震災津波によって亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された皆様に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 また、発災以降、国内外から多大な御支援や励ましをいただいておりますことに対し、厚く御礼を申し上げます。
 この大震災津波により、沿岸地域を中心に、死者、行方不明者が5、900人を超え、家屋の倒壊が2万4、700棟を超えるなど、昨年は本県にとって未曾有の大災害に見舞われた年となりました。
 一方で、かつてない大災害の中で、かつてない県民の底力の発揮と、かつてない連携、協働の輪の広がりによって、復旧、復興に向け力強く第一歩を踏み出した年となりました。さらに、平泉が世界遺産に登録され、復興の象徴、希望の光となった年でもありました。
 今後、市町村、県、国が、復興計画等をもとに一体となって復興を進めていくこととなりますが、その際、被災者一人一人が復興の主役として、自分自身の安全と健康を守りながら、相互に助け合い、さまざまな主体の協力を得て、生活再建や地域の社会経済活動の充実に向けて力強く前進できるよう、積極的に支援していくことが重要であります。このため、今後においても、県民がともに痛みを分かち合い、心を一つにして、被災以前よりも安全、被災以前よりも安心、そして、被災以前よりも豊かな岩手の実現に向けてまい進することができるよう、私も力を尽くしてまいります。
 大震災津波からの復興の円滑かつ迅速な推進を図るため、規制、手続や税制、財政、金融上の特例を総合的に適用する仕組みを盛り込んだ東日本大震災復興特別区域法が昨年施行されました。
 復興特別区域制度の活用については復興特区プロジェクト・チームを設置し、国に提案した10の岩手復興特区の具体化を基本としつつ、被災市町村の意向を踏まえ、市町村と共同での計画作成や市町村計画の作成支援を通じて、本県の復興特区の早急な実現を図ります。
 また、同じ法律に位置づけられた復興交付金事業についても、被災市町村と密接に連携し、速やかな計画作成を支援して、復興へ向けた取り組みを加速していきます。
 こうした制度の運用に当たっては、今般、国に創設された復興庁と、その地方機関として本県に設置された復興局や支所との緊密な連携を図り、本県の実情に応じた提言や要望を適切に行ってまいります。
 さらに、さきの議会で承認いただいた東日本大震災津波復興基金も活用し、被災地における幅広い分野にわたるさまざまなニーズに対し、きめ細かな対応を図っていきます。
 被災者が希望を持ってふるさとに住み続けることができるよう、復興計画で掲げた、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造の実現のため、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づき、復興に取り組んでまいります。その際、人間本位の復興の考え方からも、被災者一人一人に寄り添いながら、ソーシャルインクルージョン、すなわち、社会的包摂の観点に立ち、高齢者や女性、障がい者、子供など、だれもが社会の中でつながりを持つような形で、復興計画に掲げる取り組みを着実に推進します。
 被災者一人一人の復興のためには、まずは、早期に被災者の生活再建を図り、被災市町村と連携しながら、安全で良質な災害復興公営住宅を整備し、住宅再建を支援します。
 加えて、多様化する被災者からの相談に一元的に対応するため、被災者相談支援センターにおける相談、支援の充実を図り、被災者の状況に応じた効果的な支援を行うため、被災者台帳システムを整備し、被災市町村による運用を進めます。
 また、復興計画の進捗状況や被災者の意識を的確に把握し、効果的な施策の展開を図るため、全県的な県民意識調査や被災した事業所を対象とした調査を定期的に実施し、被災者の視点に立った施策の検証を行います。
 さらに、思いを形にし、善意を支援につなげる開かれた復興を推進するため、復興に関する提案を公募するいわて未来づくり機構の取り組みを初め、県民、NPO、企業などの新しい公共を担う多様な主体による復興支援を進めます。
 発災1年目となる3月11日には、大震災津波で犠牲になられた方々を追悼し、犠牲者のふるさとへの思いをしっかりと受け継ぎ、県民が心を一つにして、復興に向けた決意を新たにするため、被災地において追悼式典を挙行することとしております。
 これからも、哀悼の思いを復興の起点とし、復興計画に掲げる三つの原則に基づく取り組みを進め、さまざまなつながりを力としながら、復興を進めてまいります。
 現在、原子力発電所の事故によって放出された放射性物質の影響が懸念されております。
 放射性物質の影響については、まずは原因者である東京電力と国の責任において万全の対策を講じるべきものでありますが、県としても、県民の不安を払拭するため、学校、公共施設など、県民が日常生活で利用する施設の除染を進めるほか、全県における環境放射能モニタリング体制を充実させ、測定結果を迅速に公表します。特に、県南地域における重点的な除染等の措置が円滑に進むよう、関係市町を支援します。
 また、農林水産物や牧草の放射性物質濃度の計画的な検査、学校給食に使用されている食材の検査を実施し、県産食材の安全・安心の確保に取り組み、検査結果の速やかな公表を通じて、風評被害の防止を図ります。
 さらに、観光面においては、国内外に本県観光地の正確な情報を発信し、旅行需要の回復に努めます。
 災害廃棄物の広域処理については、東京都の受け入れを初め、全国の自治体から受け入れに関する申し出をいただいており、心から感謝申し上げます。今後も、国に対してさらなる広域的な調整、支援の強化を要請し、広域処理の必要性と放射性物質の影響に関する安全性について、国が責任を持って住民理解を得るよう求めてまいります。
 発災以降、我が国の経済情勢は依然として厳しい状況にあります。緩やかな持ち直しの傾向が続いている一方で、欧州各国の財政金融危機を背景とした株価の低迷、円高の進行による企業の業績悪化や海外移転の加速に伴う国内産業の空洞化、雇用の減少など、景気後退への懸念が広がりつつあります。また、原子力発電所の事故に伴う電力供給の制約が、企業活動や県民生活に大きな影響を及ぼしています。
 このような発災を契機とする社会経済情勢の変化の中においても、発災以前から本県において取り組んできたような地域資源を発掘し、磨き上げ、高付加価値を生み出すという地域に根差した振興策を積み上げていくことが、地域経済を盛んにし、真の豊かさを得るための基本であると考えます。地域資源をもとにした地域振興の流れを復活させることこそ、復興の基本ではないでしょうか。
 世界全体が先を見通しにくい状況にある中で、このような地域に根差した取り組みを通じて、あるべき社会の姿やあるべき経済政策を復興の現場から世界に示し、発信していこうではありませんか。
 今回の大震災津波からの復興の取り組みとあわせ、いわて県民計画に掲げる希望郷いわてを実現するため、これからの4年間に、重点的、優先的に取り組む施策や目標を盛り込んだいわて県民計画第2期アクションプランを策定しました。
 このプランは、復興計画に掲げる具体的取り組みを含めて、県行政の全般にわたる施策を盛り込んだ計画であります。特に、大震災津波からの復興は、岩手全体の復興でなければならないとの認識のもと、内陸地域と沿岸地域が一体となって、各種施策を推進していくこととしております。
 全力を傾注すべき政策推進目標としては、これまでも喫緊の課題と位置づけてきた、人口、県民所得、雇用環境、地域医療の各分野の取り組みに加え、発災を踏まえ、新たに再生可能エネルギーと防災の分野における取り組みを掲げました。
 各広域振興圏の主体性や創意を十分に発揮させながら、目指す将来像の実現に向けた取り組みを推進します。
 県民の底力を引き出し、つながりをつくり、豊かな岩手を創造しながら、大震災津波からの復興と、その先にある希望郷いわての実現を目指してまいります。
 大震災津波からの復興に集中的に取り組み、県民本位の行政サービスを提供していくためには、限られた人的資源や財源の効果的な活用を図りながら、岩手県職員憲章を基本理念とし、全職員が一丸となって行動していく必要があります。
 今後、復興事業が本格化する中で、専門的知識を有する人材の不足が懸念されることから、任期付職員の採用や退職職員の再雇用を進めるほか、国による一層の職員派遣や、県内外の自治体間の連携強化によるさらなる人的支援など、引き続き外部の協力も求めながら、多様な方策によるマンパワーの確保を図ります。
 さらに、復興を最優先としつつ、歳入確保の強化や徹底した歳出の見直しにより、財政の健全化にも配慮した財政運営を行ってまいります。
 平成24年度の当初予算は、被災者一人一人の復興を支援し、地域の復興の流れを加速させることに意を用いながら、いわて復興元年予算として、大震災津波からの復興を着実に推進する予算として編成を行いました。
 一方で、本県財政は、公債費の増大に加え、復旧、復興に向けた経費に多額の財源が必要となるなど、非常に厳しい状況が見込まれます。引き続き、国に対して既存の枠組みを超える強力な支援や、復興費用の地方負担分に対するさらなる財源措置の充実、確保を要請してまいります。
 平成24年度における主要施策についてでありますが、いわて県民計画と第2期アクションプランに掲げる岩手の未来をつくる七つの政策に沿って、以下、具体的な施策の内容を申し上げます。
 まず、政策の第1は、産業創造県いわての実現であります。
 ものづくり産業の振興については、自動車、半導体、医療機器関連の中核産業を中心に、地場企業の技術力や競争力の強化と企業誘致の両面から、強固なものづくり基盤の形成や一層の産業集積を促進するとともに、被災地の早期復興に引き続き取り組みます。
 また、被災した中小企業の事業再開を積極的に支援するため、国が今年度内に設立する東日本大震災事業者再生支援機構と連携しながら、本県の産業復興機構による二重債務の解消に向けた取り組みを推進するほか、設備等の導入による事業基盤の再構築を図ります。
 こうした中小企業への早期再建に向けた支援と並行して、安定した雇用の維持、確保を図るため、産業振興施策と一体となった雇用対策の実施や雇用対策基金を活用した雇用の場の創出のほか、企業と求職者とのマッチング支援や、就業に向けた必要な知識、技術を習得するための職業訓練に取り組みます。
 県北・沿岸地域においては、製造品出荷額に占める割合が最も高いのが食料品です。そこで、地域経済の復興に向けて、水産加工業を初めとした食産業に対し、その早期の生産回復に加え、高い付加価値や生産性を有する産業の高度化に向けた取り組みを進め、総合的な支援を行います。
 観光産業の振興については、本年4月からのいわてデスティネーションキャンペーンにおいて、本県の魅力あふれる観光資源を国内外に情報発信し、全県を挙げたおもてなしの取り組みを進め、旅行需要の喚起と誘客の拡大、定着を図ります。その際、世界遺産平泉を中心として、沿岸地域を含めた県内全域への誘客を促進し、被災地の観光振興にも結びつくよう取り組みます。
 また、国際的な会議、学会や教育旅行を積極的に誘致するほか、県北・沿岸地域におけるエコツーリズムやジオツーリズムなど、地域資源を生かした着地型旅行商品の企画、造成を促進します。
 国際観光の振興については、東北観光推進機構と連携しながら、主に東アジア圏を重点市場として、情報発信や旅行業者の招聘を実施し、旅行需要の回復に努めます。
 さらに、世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指し、国際的な海洋研究拠点の形成や、国際リニアコライダーの誘致に向けた条件整備、普及啓発活動に取り組みます。
 政策の第2は、食と緑の創造県いわての実現であります。
 沿岸地域の基幹産業である水産業については、漁業、養殖業と流通、加工業の一体的な再生を推進するため、引き続き、漁船や養殖施設、共同利用施設、漁港、漁場施設の復旧、整備に取り組み、被災した漁業者の経営再建を進め、漁業の再生を担う経営体の確保、育成を図るとともに、産地魚市場、水産加工施設の復旧、整備を支援し、流通、加工体制の再構築を進めます。
 また、被災地における防災対策や地域づくりの方向性を踏まえ、海岸保全施設、集落排水施設の復旧、整備を推進します。
 農業については、認定農業者や集落営農組織の経営規模の拡大、経営の多角化、新規就農者の確保を進め、新たに年間3、000万円以上の販売額の実現を目指す先導的な経営体の育成に取り組みます。
 また、葉たばこ廃作地への収益性の高い園芸品目の導入や、発災に伴い減少した生乳生産量の回復に向け、酪農家の乳用牛導入を支援します。
 被災した沿岸地域においては、早期の営農再開を目指し、農地の復旧を進めるほか、農地の利用集積に向けて、農地の復旧と一体となった圃場整備を推進します。加えて、野菜のハウス団地の形成を支援し、生産性、収益性の高い産地づくりを進めます。
 林業においては、住宅再建など今後の木材需要において県産材の利用を拡大するため、木材生産の低コスト化の促進や建築業者と木材供給業者との連携促進を図りながら、県産材の安定供給体制の強化に取り組みます。
 地域資源を活用した農林漁業者等による6次産業化の推進については、いわて6次産業支援センターを中心として、農業法人を初め、被災した事業者を対象に、起業や新規ビジネスの展開、事業者と食品企業とのマッチングを支援します。
 農林水産業を基点とした再生可能エネルギーの利活用の促進に向けては、産業分野における木質バイオマスエネルギーの新規需要の開拓や、農業水利施設を活用した小水力発電の導入可能性の調査を実施します。
 政策の第3は、共に生きるいわての実現であります。
 医療を担うひとづくりを進めるため、岩手県医師確保対策アクションプランに基づき、病院勤務医の勤務環境の改善や医学生に対する奨学金の貸与、臨床研修医の受け入れ体制の充実に取り組むほか、被災地を重点に県外の即戦力医師の招聘を推進し、医師の確保と県内への定着を図ります。加えて、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、新卒者の県内就業率の向上や離職防止、Uターン対策の取り組みを進め、看護職員の確保、定着を図ります。
 また、被災地における医療提供体制の整備については、まちづくりと連動した医療機関の診療機能の回復支援、情報通信機器を活用した遠隔地からの診療支援、災害拠点病院の機能強化を進めます。
 さらに、来年度のドクターヘリの本格運航に向けて、安全かつ円滑な運航体制の確立を推進します。
 本県の地域医療を守っていくためには、県民も医療の担い手であるという意識を共有し、症状や医療機関の役割に応じた受診行動を喚起していく必要があります。このため、県民一人一人が支える県民総参加型の地域医療体制づくりを進めます。
 今回の大震災津波によりひとり親家庭となった世帯や、被災した子供たち及び関係者に対しては、各種制度の周知を図り、生活の安定に向けた自立支援を進め、心理面のケアを担う子どものこころのケアセンターにおいて、子供の健全育成と心の健康回復に向けた支援を行います。
 大震災津波により親を失った子供たちに対しては、安定した養育環境の確保や成長に応じた相談支援に取り組み、いわての学び希望基金を活用した給付金や奨学金の給付を行います。また、県内の障がい児療育の拠点となる県立療育センターについて、来年度整備に着手します。
 被災地を初め、地域コミュニティにおける新たな支え合いの仕組みづくりに向けては、新たに設置する福祉コミュニティサポートセンターを中心とした支援や、地域福祉活動コーディネーターの育成と実践力の強化を進めます。
 今後、被災によるストレスに起因する精神疾患の発症や自殺リスクの増大が懸念されることから、岩手県こころのケアセンターや地域こころのケアセンターにおいて、被災者に対するきめ細かな心のケアを行うとともに、自殺対策アクションプランに基づき、ハイリスク者への支援体制づくりや相談窓口のネットワーク化、相談、見守りを行う人材の養成に取り組み、総合的な自殺対策を推進します。
 政策の第4は、安心して、心豊かに暮らせるいわての実現であります。
 今回の大震災津波では、これまでの防災教育や防災訓練の取り組みが一定程度実を結んだことが注目され、正しい防災知識の普及啓発や防災意識の高揚を図ることの重要性が再認識されたところであります。
 今後も、大震災津波における災害対応の検証を行いながら、さらなる防災対策の構築を推進してまいります。その際、県民が主体的に避難力と備えを身につけ、みずからの身をみずから守る自助に加え、地域における自主防災組織の育成支援や消防団の強化による共助、広域的な防災体制の構築による公助を推進し、一層の地域防災力の強化に取り組みます。
 さらに、大震災津波の教訓を踏まえた地域防災計画の大幅な見直しにより、市町村や防災関係機関と連携しながら、大規模災害時にも対応可能な防災体制の充実強化を図ります。
 発災以降、新しい公共を担う多様な主体によるさまざまな復旧、復興活動が活発に行われており、新しい公共支援基金も活用しながら、今後も多様な主体が協働する取り組みを積極的に推進します。
 また、地域コミュニティの機能低下が危惧される中で、地域住民が主体となったコミュニティ活動や、被災地における新たなまちづくりと連動したコミュニティ再生を支援します。
 被災地における安全の確保に向けては、被災した警察施設の復旧、整備や、警察官の緊急増員による治安基盤の強化、交通安全施設の整備を進めます。
 青少年の健全育成については、いわて希望塾の開催やニート等の青少年の自立支援を行います。
 また、対等なパートナーシップに向けた意識啓発やDV防止対策に取り組み、家庭、地域、職場において、個性と能力を発揮できる男女共同参画社会の実現を目指します。
 政策の第5は、人材・文化芸術の宝庫いわての実現であります。
 知・徳・体を備え調和のとれた人間形成を目指し、学校と家庭、地域との協働による目標達成型の学校経営を推進し、いわて型コミュニティ・スクールと教育振興運動との連携による取り組みを進めるとともに、私立学校における特色ある教育活動を支援します。
 今回の大震災津波を乗り越え、将来の本県の復興を担う子供たちをはぐくむため、いわての復興教育プログラムを構築し、家庭、地域と連携しながら、県内すべての公立学校が主体性や特色を持って取り組むことができるよう、各学校の取り組みを支援します。
 児童生徒一人一人が目指す進路を実現するための知識や技能の定着に向けては、教員の授業力の向上や家庭学習の充実を図り、学力の向上に取り組むほか、キャリア教育を通じ、社会人、職業人として自立するための能力を育成します。
 また、豊かな心をはぐくむ教育や特別支援教育の充実、体力の向上、望ましい生活習慣の確立に向けた取り組みを進めます。
 特に、被災により子供たちが受けた心のダメージが大きいことから、県内すべての児童生徒を対象に毎年実施する健康観察調査を踏まえ、臨床心理士の派遣やこころのファイルの作成、活用を行い、中長期にわたって子供たちの心のサポートの充実を図ります。
 さらに、いわての学び希望基金を活用し、被災した児童生徒を対象として、教科書等の購入や文化活動、運動部活動に対する支援を行います。
 今回の大震災津波により甚大な被害を受けた県立高田高等学校の復旧については、主要施設の平成26年度末までの完成を目指し、施設を整備します。
 郷土への誇りと愛着をもたらす世界遺産登録や伝統文化の保存継承については、世界遺産平泉の追加登録を初め、北海道、北東北を中心とした縄文遺跡群などの登録に向けた取り組みを着実に推進するほか、被災地における民俗芸能団体の活動再開に向けた支援を行います。また、被災地における復興事業の進捗を促進するため、埋蔵文化財調査体制を強化します。
 平成28年の国民体育大会に向けては、復興の象徴として国体を位置づけ、オール岩手の視点に立ち、県民、企業、団体との協働を基本とし、必要な業務についてゼロからのスタートという発想に基づき構築する、新しい岩手型国体の開催を目指してまいります。
 さらに、国体終了後に開催される全国障害者スポーツ大会についても、県民や関係機関との協働により準備を進めます。
 政策の第6は、環境王国いわての実現であります。
 東日本大震災津波を契機として、再生可能エネルギーの導入に対する社会的関心が高まっています。本県においては、エネルギー安定供給の確保や地球温暖化の防止、災害に強い自立、分散型のエネルギー供給体制の構築を図るため、今議会に提案しております岩手県地球温暖化対策実行計画に基づき、再生可能エネルギーの積極的な導入に向けて、さまざまな施策を展開してまいります。
 具体的には、再生可能エネルギー推進本部を設置し、防災拠点となる公共施設や住宅への太陽光発電設備の設置など、再生可能エネルギーの導入を支援します。
 本県は、多様で豊富な再生可能エネルギー資源を有しています。そこで、大規模太陽光、風力発電設備の設置に対する低利融資制度を創設するなど、地熱、水力を含めた発電施設の立地を促進し、また、地域資源を活用した自立、分散型のエネルギー供給体制の構築に向けた調査研究を推進します。
 災害廃棄物については、今年度内をめどに被災現場からの移動を完了し、リサイクルを推進しながら、着実に処理を進めます。
 青森、岩手県境の不法投棄産業廃棄物については、来年度末までに撤去し、汚染土壌の浄化と排出事業者への責任追及を進めます。
 発災により損壊した自然公園施設については、その早期復旧、整備を国と連携して推進します。
 政策の第7は、いわてを支える基盤の実現であります。
 大震災津波からの復興に向け、被災地における安全の確保を図るため、おおむね5年以内の完成を目指す防潮堤の復旧、整備や、水門の遠隔操作化とともに、最大規模の津波の発生を想定した避難体制の構築に取り組み、多重防災型まちづくりを推進します。
 また、被災市町村の復興まちづくりが計画的に進み、防災機能の向上に加え、生活の利便性や快適性を兼ね備えた都市基盤の再生、整備が実現されるよう、必要な支援を行ってまいります。
 沿岸地域の復興を力強く牽引する復興道路の整備については、引き続き、国や関係者と一丸となって、早期の全線開通に向けて取り組み、復興支援道路や復興関連道路も含め、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築を進めます。
 さらに、港湾の物流機能の早期回復を図り、復興道路の整備を見据えたポートセールスを展開します。
 また、地域産業の振興や、世界遺産平泉を中心とした観光振興を支援するため、いわて花巻空港の利便性の向上や、主要な観光地を結ぶ道路整備に取り組みます。
 今後、いわてを支える基盤となる社会資本を整備し維持していくためには、災害時にも迅速に対応できる地域の建設企業が、その担い手として役割を果たしていくことが求められることから、技術と経営にすぐれた建設企業を育成、確保してまいります。
 沿岸地域における鉄道路線については、現在多くの区間が運行できない状況にありますので、鉄道の早期運行再開へ向けた取り組みや代替輸送確保の取り組みを支援します。
 地上デジタル放送の完全移行への対応については、被災地における難視地区の対策を支援するほか、情報通信基盤の復旧や情報通信技術の利活用を促進します。
 昨年11月、野田村内において、三陸鉄道の復旧工事の起工式が行われ、平成26年4月の全線運転再開に向け、本格的な再建に着手いたしました。
 三陸鉄道は、今回の大震災津波によって、線路、橋梁、駅舎が流失、損壊し、甚大な被害を受けましたが、発災からわずか5日後の3月16日に、一部の区間で復興支援列車として運転を再開いたしました。多くの住民が家や車を失い、燃料も不足する中、乗車運賃無料での運転再開は、地域の生活の足としての使命を果たすとともに、多くの住民に、復興に向けた希望を与えました。
 被災地においては、地域に根差した経営を続け、長年住民から親しまれてきたしにせの企業などが壊滅的な被害を受けました。しかし、こうした倒産や廃業の危機に直面しながらも、地元や全国からの多くの励ましや支援を受け、人とのつながりやきずなを力にして復興を決意し、事業の再生に立ち上がる人々の姿がありました。
 そして、発災により病院機能を喪失した県立病院においては、病院関係者の懸命な努力と、医療機関相互の連携や全国からの迅速な医療支援により、医療の復興に向けて、力強く第一歩を踏み出しました。
 私は、県民がこの未曾有の大災害の中で、心に大きな傷を負いながらも、優しさと志を共有し、新たなつながりを生み出しながら、大きな、大きな底力を発揮しているのを実感しております。
 こうした復興に向けた希望の芽や支援の輪を大切にはぐくみ、被災者に寄り添い、一人一人の復興を着実に進めるとともに、希望郷いわての実現に向け、県民とともに、オール岩手による復興を強力に推進していく決意であります。
 本年が復興元年として、復興を軌道に乗せ、加速させる1年となるよう、議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解とさらなる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   教育委員会委員長の演述
〇議長(佐々木博君) この際、教育委員会委員長から発言を求められておりますので、発言を許します。八重樫教育委員会委員長。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 第4回県議会定例会が開催されるに当たりまして、平成24年度の教育行政推進の基本的な考え方と施策の大要について申し上げます。
 まず、東日本大震災津波により、お亡くなりになられました方々に対し、改めて哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に、心からお見舞い申し上げます。
 また、本県の子供たちに国内外の皆様方からいただきました数多くの御支援や励ましに対し、心から感謝申し上げます。
 このたびの大震災津波により児童生徒や教職員のとうとい命が失われました。また、多数の学校施設が被災するなど、教育環境は大きく損なわれました。
 県教育委員会といたしましては、発災当初、避難場所となっていた学校への支援や市町村教育委員会への職員派遣、学校の早期再開を支援するための各種取り組みを実施したほか、学校の機能回復に向け、学校施設の復旧、整備、心のサポート、いわての復興教育プログラムの作成、いわての学び希望基金を活用した給付型奨学金制度の創設などに取り組んできたところであります。しかし、発災から間もなく1年が経過しようとしておりますが、いまだに間借りをして授業を行っていたり、校庭が十分に使えないなど、教育活動が制限されている学校も多くあり、一刻も早い学びやの正常化が求められております。
 未曾有の被害を受けた本県の復旧、復興の担い手は子供たちであります。その子供たちに、岩手の未来を切り開き、変容する社会の中を生き抜く力を身につけさせるために、教育の果たす役割は極めて大きいものがあると考えております。このため、まずは、最優先課題である大震災からの学びの場の復興に全力で取り組んでまいります。
 また、県民の教育に対する関心、期待もますます多様化、高度化しておりますことから、知・徳・体を備え、調和のとれた人間形成という教育目的の実現に向けて、いわて県民計画及び岩手の教育振興をもとに中長期的展望に立ち、学校教育の施策の重点化を図りながら、時代のニーズに的確に対応し、社会教育、生涯学習、文化芸術、スポーツの振興を図ってまいります。
 以下、教育施策の重点事項について申し述べます。
 まず、震災からの教育の復興の取り組みについて申し上げます。
 第1に、きめ細かな学校教育の実践と教育環境の整備、充実の取り組みであります。
 今回の大震災津波の体験を踏まえ、災害の知識や身の守り方、復興における自分自身の役割、地域とのかかわりなどを総合的に学ぶいわての復興教育について、市町村教育委員会と連携しながら全県で取り組み、10年後、20年後の岩手の復興、発展を担う子供たちを育成してまいります。
 幼児児童生徒の心のサポートにつきましては、臨床心理士などの派遣や専門家で構成する県内大学チームによる支援に引き続き取り組むとともに、心と体の健康観察結果を記録するこころのファイルの作成、活用により、中長期にわたる支援をしてまいります。
 児童生徒の安全で安心な教育環境の確保の第1として、学校施設につきましては、甚大な被害を受けた県立高田高等学校の正常な教育環境の早期復旧に向け計画的に取り組むとともに、市町村立学校施設の早期復旧整備への支援、県立学校施設の耐震化などに取り組んでまいります。
 学校における放射線対策につきましては、県立学校の放射線の空間線量率を定期的に測定し公表するとともに、必要に応じて土壌などの除染作業を実施してまいります。
 また、学校給食を実施する県立学校で、食材の放射性物質濃度検査を実施するとともに、市町村が行う検査体制の整備への支援を引き続き行うなど、放射線検査体制の充実により、学校給食食材に対する安全・安心の確保に努めてまいります。
 被災児童生徒の支援につきましては、いわての学び希望基金を活用し、親を失った児童生徒に対して、奨学金を給付する取り組みを継続するほか、新たに、生活基盤を失った生徒への教科書、制服、修学旅行に要する経費の給付に取り組んでまいります。
 また、学習のおくれや心のサポートなどに対応するため、引き続き加配教職員を配置するとともに、児童生徒の学習支援などを行う居場所づくりを推進してまいります。
 第2に、文化芸術環境の整備や伝統文化等の保存と継承の取り組みであります。
 被災地における文化芸術活動の再興につきましては、文化芸術施設の機能回復を支援し、すぐれた文化芸術鑑賞機会を確保するとともに、いわての学び希望基金を活用し、被災した児童生徒に対し文化活動の大会参加を支援してまいります。
 また、被災地における国、県の復興関連開発事業に伴う埋蔵文化財調査を推進するとともに、市町村における復興関連の埋蔵文化財調査についても支援してまいります。
 さらに、被災地から救出した文化財などについて、修復及び適切な保存、管理がなされるよう、積極的に支援してまいります。
 第3に、社会教育、生涯学習環境の整備の取り組みでありますが、社会教育施設の復旧、再開を支援するとともに、国の学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業を活用し、市町村の社会教育事業の推進を支援してまいります。
 第4に、スポーツ、レクリエーション環境の整備の取り組みでありますが、被災市町村やスポーツ団体の推進体制の整備を支援するとともに、校庭が十分に使えない学校に対して、限られた環境でも実施できる運動プログラムや活動の場を提供するなどの支援を行ってまいります。また、いわての学び希望基金を活用し、被災した生徒に対し、運動部の大会参加を支援してまいります。
 次に、いわて県民計画第2期アクションプランの着実な推進の取り組みについて申し上げます。
 第1に、学校教育の充実の取り組みであります。
 まず、家庭、地域との協働による学校経営の推進についてでありますが、各学校が、全教職員の参加のもとに学校経営計画を策定し、設定した目標や具体的な取り組みの達成状況などについて自己評価を行い、その結果と今後の改善方策について広く公表、報告する取り組みを一層進めてまいります。
 さらに、自己評価の結果について、保護者や学校評議員、地域住民などにより構成された学校関係者が、教育活動の観察や意見交換を通じて評価する学校関係者評価の実施率向上と、その公表に取り組んでまいります。
 また、各小中学校では、地域の実情に応じながら、いわて型コミュニティ・スクールを見直し、充実を図っていくとともに、まなびフェストと目標の共有化を図るなど、教育振興運動と連携した取り組みを一層進めてまいります。
 次に、児童生徒の学力向上についてでありますが、授業力向上セミナーや指導主事による学校訪問を拡大し、教員の授業力の向上を図るとともに、中学校の数学や英語においては、諸調査の結果を踏まえ、重点的に指導を要する内容を各学校に示し、児童生徒の確かな学力を育成してまいります。
 また、岩手の歴史、文化を学ぶ教育や、情報教育、環境教育、国際理解教育などを通じて、変化の激しい社会を生きる人間として必要な力の育成に取り組んでまいります。
 少人数学級の推進につきましては、地域や学校の実情に応じた学級編制に係る市町村裁量の拡大に適切に対応しながら、小学校1年生及び2年生での35人以下学級編制や、中学校1年生での35人学級を完全実施し、児童生徒一人一人に目の届く環境を整え、基礎学力の向上を図ってまいります。
 中学校における学校生活サポートにつきましては、学習定着上の課題や生徒指導上の諸課題に対応するため、引き続き、経験豊かな非常勤講師などを配置してまいります。
 次に、キャリア教育についてでありますが、各学校において、キャリア教育全体計画を作成し、学校教育活動全体で、小・中・高等学校の発達段階に応じて体系的、計画的に取り組むことにより、児童生徒が、将来、社会人、職業人として自立できるための能力を育成してまいります。
 また、生徒一人一人の多様な進路希望の達成と、将来の本県を支える人材育成に向けた各高等学校の取り組みを支援してまいります。
 次に、豊かな心をはぐくむ教育の推進についてでありますが、各学校の道徳教育の充実に取り組むとともに、ボランティア活動などの体験活動や自然体験活動、文化芸術体験活動、読書活動などを通して、好ましい人間関係づくりや規範意識の醸成に取り組んでまいります。特に、高等学校においては、新たに作成した高等学校道徳副読本を活用した道徳教育の推進を図ってまいります。
 また、学校不適応の未然防止、早期発見、早期対応のためにスクールカウンセラーを配置するとともに、学校心理士の資格を有する教員を養成するなど、教育相談体制の充実を図ってまいります。
 次に、健やかな体をはぐくむ教育の推進についてでありますが、県内小中学校の特徴的な取り組みを紹介する体力向上事例集などを活用するとともに、小学校体育実技アシスタントの派遣により、体育授業の充実を図ってまいります。また、中学、高校運動部の指導者として、地域のスポーツ人材を活用し、活動の活性化を図ってまいります。
 健康教育につきましては、児童生徒の肥満傾向や運動習慣、体力低下の改善などに向けて、関係部局との連携を図りながら、家庭における生活習慣の改善や食育の充実を図ってまいります。
 次に、特別支援教育の充実についてでありますが、共に学び、共に育つ教育を理念としたいわて特別支援教育推進プランの推進に当たり、保健、福祉、労働など、関係する機関との連携を一層促進してまいります。
 また、地域の幼稚園や保育所を継続的に訪問し、指導方法に関する相談や支援を行うとともに、幼稚園、小中学校、高等学校のすべての教員が、特別支援教育に関する研修を受講できる環境を整えてまいります。
 県民と協働した支援体制づくりにつきましては、特別支援教育ボランティアの養成や活用により、啓発活動に取り組むとともに、公的機関における現場実習の受け入れの促進や特別支援学校についての理解浸透を図るため、企業関係者などとの連携の場を設置し、職業教育の充実や職域の拡大に取り組んでまいります。
 第2に、生涯を通じた学びの環境づくりについて申し上げます。
 家庭教育の充実につきましては、悩みを抱え、孤立しがちな保護者と地域とを結び、地域全体で子育てを支援する体制づくりに取り組むとともに、学習情報の提供や相談体制の充実を図ってまいります。
 読書活動の推進につきましては、いわての中高生のためのおすすめ図書100選の活用を一層促進してまいります。
 第3に、文化芸術の振興について申し上げます。
 昨年の平泉の文化遺産の世界遺産登録は、復興に向け、県民を元気づける希望のともしびとなりました。今後は、適切な保存管理と普及啓発を促進しつつ、追加登録に向け取り組んでまいります。
 さらに、北海道、北東北を中心とした縄文遺跡群及び九州、山口の近代化産業遺産群については、関係自治体と連携し、共同で世界遺産登録に向け取り組んでまいります。
 また、地域の特色ある文化芸術をテーマとした住民参加型のまちづくりや新進、若手芸術家を支援するとともに、文化芸術情報を発信してまいります。
 第4に、豊かなスポーツライフの振興について申し上げます。
 復興のシンボルとして位置づけられる2巡目岩手国体に向け、岩手県体育協会の体制を強化するとともに、選手強化事業を精選して再構築を図り、より効率的な競技力向上に取り組んでまいります。
 また、トップアスリートの輩出を目指すスーパーキッズ発掘・育成事業を推進し、ジュニア層のレベル向上に計画的に取り組んでまいります。
 スポーツ医、科学サポート体制の充実につきましては、サポートを受けながら、計画的、継続的なトレーニングを行うことが可能となるよう環境整備を推進し、岩手県全体の競技スポーツの強化や県民の健康づくりに取り組んでまいります。
 生涯スポーツの振興につきましては、総合型地域スポーツクラブの創設、育成支援など、県民の生涯スポーツへの取り組みを推進してまいります。
 以上、基本的な考え方と施策の大要について申し上げましたが、冒頭申し上げましたように、大震災津波により学校現場は大変な困難に直面いたしました。しかし、そうした状況の中でも、教職員の懸命な避難誘導などにより、子供や地域住民を守った多くの事例は、岩手の教育の誇りでもあります。
 また、中学生がお年寄りや小学生を無事に避難誘導した事例、避難所において高校生が避難している方々のお世話をした事例、被災した母校の泥出しを自主的に行った高校生の事例など、本県の子供たちの強さやたくましさ、成長ぶりを強く感じさせる事例は枚挙にいとまがありません。これはまた、我慢や譲り合いの精神、岐路に立ったときの判断力、防災に対する意識などを学校が子供たちに身につけさせてきたあかしであります。また、避難の際に消防団の方から声をかけていただくなど、地域の皆様から多大な御支援をいただいた事例も数多くありますが、これまで、学校、家庭、地域が連携して、コミュニティ・スクールや教育振興運動に取り組み、開かれた学校づくり、親や地域に見える学校づくりを行ってきた成果でもあると考えております。
 このたびの大震災によって、計り知れない多くの大切なものを失いました。このつらさや悲しみは、容易に乗り越えられないかもしれません。しかし、人の持つ温かさやつながり、きずなの強さなど、人間として大切なものを得ることができました。
 ここに改めて教育の持つ力と可能性に思いをいたし、今後、より一層、学校、保護者、地域、行政が一体となって、岩手の教育の復興と発展に全力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、議員の皆様並びに県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手) 
   日程第4 議案第1号平成24年度岩手県一般会計予算から日程第68 報告第2号道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分の報告についてまで
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第4、議案第1号から日程第68、報告第2号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。加藤総務部長。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 本日提案いたしました各案件について説明申し上げます。
 議案第1号は、平成24年度岩手県一般会計予算であります。
 この平成24年度当初予算は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するための予算として編成したものであり、復興計画に掲げた安全、暮らし、なりわいの基盤を復興する取り組みを迅速に実施しつつ、復興計画と軌を一にしたいわて県民計画第2期アクションプランの着実な推進を図るものであります。
 以下、予算の概要について説明申し上げます。
 第1条は、歳入歳出予算の総額を、それぞれ1兆1、183億2、900万円余とするものであります。これを前年度当初予算と比較しますと、64.1%の増、平成23年度当初予算と6月の第4号補正予算を合わせました実質的な当初予算と比較しますと、60.9%の増となっております。
 次に、歳入の主なものについて説明申し上げます。
 第1款県税につきましては1、009億2、000万円を計上しており、前年度当初予算と比較しますと、5億500万円の増となっております。
 第5款地方交付税につきましては3、134億1、800万円余を計上しており、前年度に比較して865億9、500万円余の増となっております。
 第9款国庫支出金につきましては、災害復旧事業の大幅増などにより2、122億3、800万円余を計上しており、前年度と比較して1、377億3、400万円余の増となっております。
 第12款繰入金につきましては916億4、300万円余を計上しておりますが、これは、震災からの復旧、復興や急激な内外の金融、経済情勢の変化に対応するため、国の補正予算に基づき設置いたしました各種基金などから繰り入れするものであり、前年度に比較して584億1、600万円余の増となっております。
 第14款諸収入につきましては2、495億1、500万円余を計上しておりますが、これは、被災市町村から災害廃棄物処理を受託したことに伴う増などによるものであり、前年度に比較して1、648億1、800万円余の増となっております。
 第15款県債につきましては938億7、800万円余を計上しており、前年度に比較して39億8、400万円余の減となっております。
 次に、歳出の主なものについて説明申し上げます。
 第2款総務費につきましては249億6、400万円余を計上しておりますが、その主なものは、消防救急無線デジタル化整備事業費2億2、200万円余、地域経営推進費5億2、000万円、三陸鉄道運営支援事業費14億1、100万円余等であります。
 第3款民生費につきましては953億2、400万円余を計上しておりますが、その主なものは、生活福祉資金貸付事業推進費補助14億3、100万円余、地域支え合い体制づくり事業費11億1、600万円余、介護保険財政安定化対策費28億7、700万円余等であります。
 第4款衛生費につきましては1、355億4、700万円余を計上しておりますが、その主なものは、防災拠点等再生可能エネルギー導入事業費34億6、000万円余、県境不法投棄現場環境再生事業費30億3、200万円余、災害廃棄物緊急処理支援事業費1、073億3、500万円余等であります。
 第6款農林水産業費につきましては664億9、200万円余を計上しておりますが、その主なものは、経営体育成基盤整備事業費44億5、100万円余、森林整備加速化・林業再生事業費20億5、900万円余、漁業担い手確保・育成総合対策事業費5億5、500万円余等であります。
 第7款商工費につきましては1、272億9、600万円余を計上しておりますが、その主なものは、革新的医療機器創出・開発促進事業費3億1、500万円、中小企業東日本大震災復興資金貸付金488億9、900万円余、中小企業被災資産復旧事業費補助20億円等であります。
 第8款土木費につきましては1、074億5、800万円余を計上しておりますが、その主なものは、道路環境改善事業費96億8、100万円余、地域連携道路整備事業費87億1、000万円余、災害公営住宅整備事業費228億3、300万円余等であります。
 第10款教育費につきましては1、496億8、100万円余を計上しておりますが、その主なものは、児童生徒健全育成推進費3億9、900万円余、公立大学法人岩手県立大学運営費交付金38億6、900万円余、私立学校運営費補助46億3、300万円余等であります。
 第11款災害復旧費につきましては1、791億2、000万円余を計上しており、漁港災害復旧事業費396億2、100万円余、河川等災害復旧事業費509億5、000万円余、港湾災害復旧事業費181億5、700万円余等であります。
 第12款公債費につきましては1、226億500万円余を計上しております。
 第13款諸支出金につきましては548億7、900万円余を計上しておりますが、その主な内容は、公営企業負担金191億8、200万円余、地方消費税交付金123億2、200万円余等であります。
 第2条債務負担行為は、療育センター整備ほか36件について、債務を負担しようとするものであります。
 第3条地方債は、道路橋りょう維持事業ほか41件について、限度額、起債の方法、利率及び償還の方法を定めようとするものであります。
 第4条一時借入金及び第5条歳出予算の流用は、それぞれ所要の措置を講じようとするものであります。
 議案第2号から議案第12号までは、平成24年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計予算ほか10件の特別会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、その所要額を計上したものであります。
 議案第13号から議案第15号までは、平成24年度岩手県立病院等事業会計予算ほか2件の公営企業会計予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画に基づき、収益的収支及び資本的収支の所要額を計上したものであります。
 議案第16号から議案第20号までの5件は、建設事業等に要する経費の一部を受益市町村に負担させることに関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第21号から議案第54号までの34件は条例議案でありますが、これは、岩手県職員定数条例の一部を改正する条例など、34件の条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第55号は、一関市と西磐井郡平泉町の境界変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第56号から議案第59号までは、権利の放棄に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第60号は、岩手県立陸中海岸青少年の家の指定管理者を指定することに関し議決を求めようとするものであります。
 議案第61号は、全国自治宝くじ事務協議会への熊本市の加入及び全国自治宝くじ事務協議会委員の増員並びにこれらに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部を変更することの協議に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第62号は、包括外部監査契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第63号は、岩手県地球温暖化対策実行計画の策定に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第1号は、職員による自動車事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 報告第2号は、道路の管理に関する事故に係る損害賠償事件に関する専決処分について報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
   日程第69 議案第64号副知事の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第69、議案第64号副知事の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。達増知事。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第64号は、宮舘壽喜副知事の任期が来る2月20日をもって満了いたしますので、新たに副知事として千葉茂樹氏を選任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
 千葉氏は現在政策地域部長であり、また、これまで、総務部、保健福祉部、総合政策室など、県職員として長年の経験を有しております。加えて、保健福祉部長及び首席政策監などの枢要な職を経験し、県民福祉の向上などの諸課題に対する十分な知見を有しているものと考えております。
 千葉氏には、基本的には、宮舘副知事の職務である総務部などの内部管理部門や保健福祉環境部門を引き継ぐことを想定しており、申し上げたとおり、県政全般にわたり、すぐれた知見を有する千葉茂樹氏が宮舘副知事の後任の副知事として適任と判断したところであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(佐々木博君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木博君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第64号副知事の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第64号副知事の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立全員であります。よって、議案第64号副知事の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
   退任者のあいさつ
〇議長(佐々木博君) この際、副知事宮舘壽喜君から発言を求められておりますので、発言を許します。宮舘副知事。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) お許しをいただきまして退任のごあいさつを申し上げます。
 昭和49年入庁以来、38年の長きにわたりまして県職員としての職務を全うすることができました。特に、この4年間は、副知事として、達増知事のリーダーシップのもとで、厳しい財政環境にはありましたが、いわて県民計画の推進や県北・沿岸地域の振興など、県政の諸課題に、微力でありますが誠心誠意取り組んでまいりました。この間、平泉の世界文化遺産の登録など、うれしい話題もございました。これらはひとえに、議員の皆様の御指導、御鞭撻のおかげと、深く感謝を申し上げるところでございます。
 昨年3月11日の東日本大震災津波によりまして、多くのとうとい人命や築き上げてきました財産、社会資本が失われました。このことは、これまでの職員生活の中で最も衝撃的なことでありましたが、今、岩手は復旧、復興に向けて動き出しております。この大事なときに職を去るのは後ろ髪を引かれる思いではありますが、これからは一県民として復興を応援してまいりたい、このように考えております。
 議員の皆様方におかれましては、どうか、一丸となって、一日も早い岩手の復興に御尽力を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
 最後に、県勢の一層の発展と130万人県民の福祉の向上、そして議員各位のますますの御健勝、御活躍をお祈り申し上げまして、退任のごあいさつといたします。
 本当に長い間ありがとうございました。(拍手) 
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後2時25分 散 会
第4回岩手県議会定例会会議録(第2号)

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