平成27年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成27年10月28日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 渡 辺 謙 一
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
農林水産部長 小 原 敏 文
理事 立 花 良 孝
技監兼
県産米戦略室長 工 藤 昌 男
副部長兼
農林水産企画室長 上 田 幹 也
農村整備担当技監
兼農村計画課
総括課長 伊 藤 千 一
林務担当技監 佐 藤 順 一
水産担当技監
兼水産振興課
総括課長 五日市 周 三
漁港担当技監
兼漁港漁村課
総括課長 藤 本 栄 二
競馬改革推進室長 佐 藤   学
理事心得 高 橋 宏 弥
参事兼団体指導課
総括課長 高 橋   勉
農林水産企画室
特命参事 黒 田 敏 彦
農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光
農林水産企画室
管理課長 瀧 澤 信 一
指導検査課長 菊 池 信 幸
流通課総括課長兼
県産米販売推進監 伊 藤   仁
農業振興課
総括課長 前 田 一 人
担い手対策課長 菊 池 政 洋
農業普及技術課
総括課長 高 橋 昭 子
企画調査課長 鷲 野 健 二
農村建設課
総括課長 伊 藤 栄 悦
農産園芸課
総括課長兼
県産米生産振興監 高 橋 昭 雄
水田農業課長 松 岡 憲 史
畜産課総括課長 小 岩 一 幸
振興・衛生課長 村 田 忠 之
林業振興課
総括課長 佐々木   隆
森林整備課
総括課長 阿 部 義 樹
整備課長 漆 原 隆 一
森林保全課
総括課長 伊 藤 節 夫
漁業調整課長 山 口 浩 史
漁港課長 阿 部 幸 樹
競馬改革推進監 千 葉 義 郎
競馬改革推進室
特命参事 多 田   繁
県産米戦略監 星 野 圭 樹

会計管理者 紺 野 由 夫
出納指導監 田 中 耕 平

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 小 倉   茂
監査第二課
総括課長 村 上 博 和

財政課総括課長 熊 谷 泰 樹
〇郷右近浩委員長 これより本日の会議を開きます。
この際、警察本部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇堀警察本部長 決算特別委員会部局審査を始める前に、警察本部から御報告させていただきたいことがございます。
さきの報道で既に御承知のことと思いますが、10月26日、警察署に勤務する警察官が、小型警ら車で警戒活動中、道路を横断していた女性をはね、死亡させるという交通事故が発生いたしました。この場をお借りいたしまして、亡くなられた被害者の御冥福を心よりお祈りするとともに、御遺族に深くおわび申し上げます。
また、県民の皆様の御協力を得ながら交通安全対策を推進している中、その中心となり、交通事故防止に細心の注意を払うべき立場の警察官が交通死亡事故を起こしたことは、まことに申しわけなく、重く受けとめております。
今後、捜査を進めまして事故原因を明らかにし、その事実に基づき、厳正に対処することとしております。
また、県警察といたしましては、これまでも交通事故防止対策を講じてきたところでありますが、今回の事故原因を検証し、改めて、全職員に安全運転の徹底を指示するなど再発防止を図り、県民の皆様の信頼回復に努めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員長 以上をもって、警察本部長からの報告を終わります。
警察本部の皆様は退席されて結構です。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第15号まで、及び議案第47号から議案第48号までの以上17件を一括議題といたします。
本日は、農林水産部関係について、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇小原農林水産部長 平成26年度の農林水産部関係の決算について御説明申し上げます。
初めに、農林水産部所管の事務事業に係る主な取り組み、成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げます。
平成26年度は、第2期復興実施計画の初年度であり、基盤復興から本格復興の段階に進む本格復興邁進年と位置づけて、一日も早く、もとの生活に戻ることを願う被災者の方々の思いに応えるため事業を展開したところです。
主なものとして、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築や漁港などの整備、地域特性を生かした生産性、収益性の高い農業の実現、地域の木材を活用する加工体制等の再生などのほか、粗飼料生産基盤や原木シイタケ産地の再生、県産農林水産物の風評被害対策などの放射性物質影響対策に取り組みました。
また、本県農林水産業の持続的な発展に向け、復興の取り組みと軌を一にしたいわて県民計画の第2期アクションプランに基づき、未来を拓く経営体の育成や、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立、農林水産物の高付加価値化、販路拡大などに取り組みました。
具体的な内容につきまして御説明申し上げます。
まず、東日本大震災津波からの復旧、復興についてでありますが、水産業関係については、補助事業による新規登録漁船数は第2期復興実施計画に掲げる目標の96%、養殖施設の整備数は99%の進捗となったほか、漁港は、被災した県管理及び市町村管理の計108漁港全てで復旧工事に着手し、うち県管理13漁港、市町村管理41漁港の計54漁港で工事が完了しております。
また、農業関係については、被災した農地は第2期復興実施計画の目標の9割まで復旧したほか、沿岸地域の気象特性を生かした大規模園芸施設の整備の支援に取り組んだところです。
林業関係については、復旧が必要とされた木材加工施設21施設全てにおいて工事が完了しています。
放射性物質影響対策については、牧草地除染の対象面積約1万2、000ヘクタールの全てで除染を完了したほか、原木シイタケの生産再開に向けた原木、ほだ木の処理、落葉層除去などのほだ場環境の整備、露地栽培から施設栽培に転換する際の簡易ハウスの整備の支援などに取り組んだところです。
次に、いわて県民計画の第2期アクションプランに係る取り組み、成果についてでありますが、農林水産業の未来を拓く経営体の育成については、地域農業の核となる経営体、地域森林経営を担う経営体、地域の漁業の再生を担う経営体の育成に取り組み、新規就農者数、法人化した集落営農組織数、地域牽引型林業経営体による経営面積等が増加しました。
また、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立については、県オリジナル新品種を核とした米の主産地としての地位を確立するため、いわての美味しいお米生産・販売戦略を策定したほか、園芸産地みずからが生産拡大や販売方法の改善に向けて策定した計画に基づく取り組みなどへの支援により、生産性、市場性の高い産地づくりが着実に進んでいます。
また、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大については、商品開発などのアドバイスや実需者とのマッチングなどの支援や、フェアなどを通じた情報発信やプロモーションの展開により、生産者の6次産業化への支援や農林水産物の輸出額は着実に拡大しています。
次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けては、引き続き、漁港や海岸保全施設などの復旧、整備、全24漁協が策定した地域再生営漁計画の実行支援を通じた地域漁業の再生を担う経営体の確保、育成や、水産物の高度衛生品質管理地域づくりなどを進めるほか、放射性物質の影響対策として、引き続き、原木シイタケなどの産地再生、風評被害対策などに取り組んでまいります。
さらに、本県農林水産業の振興に向けて、農地中間管理事業による農地の集積、集約化などにより、規模拡大を促進するとともに、就業者の確保、育成に取り組むほか、米の県オリジナル新品種のブランド化などを進め、岩手町のキャベツ春みどりやリンドウの盆向け品種など、地域特性やニーズに応じた品目を中心に生産力強化の取り組みを進めるとともに、6次産業化の取り組み拡大による農林水産物の高付加価値化や、海外市場の開拓と販路の拡大などに取り組んでまいります。
以上、当部所管の事務事業に係る成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
続きまして、当部関係の平成26年度の決算について御説明申し上げます。
まず、一般会計についてでありますが、平成26年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの、及び16ページの11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費のうち当部が所管するもの、並びに3項農林水産施設災害復旧費を合わせて2、395億6、422万円余であります。これに対する支出済額は1、339億6、961万円余となり、前年度に比較して、金額で61億8、714万円余、率にして4.4%の減となっております。
また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業などについて、計画調整や設計、工法の検討などに不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の548億1、713万円余、及び建設資材などの調達が遅延したことなどによる事故繰越の334億8、956万円余を合わせて883億669万円余となっております。
次に、決算の内容につきまして、便宜、お手元に配付しております平成26年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
なお、金額の読み上げは省略させていただき、予算科目ごとに主な内容について簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
歳入歳出決算事項別明細書の236ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であります。2目農業金融対策費の主なものは、農業近代化資金などの制度資金の貸し付けを行う金融機関に対する利子補給、及び平成26年産米の価格下落により影響を受けた農業者の当面の資金繰りに対応するための貸し付けを行う農業協同組合に対する原資の一部預託に要した経費であります。238ページをお開き願います。3目農業改良普及費の主なものは、農業改良普及センターの管理運営に要した経費であります。4目農業振興費の主なものは、機構集積協力金交付事業に係る農地中間管理事業等促進基金への積み立てや、中山間地域等直接支払交付金の交付に要した経費であります。240ページをお開き願います。5目農作物対策費の主なものは、鳥獣被害防止対策や乾燥調製施設などの共同利用施設の整備への補助に要した経費であります。242ページをお開き願います。6目畑作振興費の主なものは、花きセンターの管理運営に要した経費であります。7目植物防疫費の主なものは、病害虫の防除や、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の安全使用の指導に要した経費であります。244ページをお開き願います。8目農業協同組合指導費及び9目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費であります。10目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。246ページをお開き願います。11目農業大学校費は、同校の管理運営及び施設整備に要した経費であります。12目北上奥羽山系開発費は、北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還に補助した経費であります。
次に、2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。248ページをお開き願います。2目畜産振興費の主なものは、家畜飼養管理施設などの整備への補助及び放射性物質の被害対策に要した経費であります。3目草地対策費は、畜産生産基盤などの整備に要した経費であります。250ページをお開き願います。4目家畜保健衛生費の主なものは、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染性疾病の検査、予防に要した経費であります。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究に要した経費であります。
252ページをお開き願います。3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費などの管理運営に要した経費であります。2目土地改良費のうち当部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備や農業水利施設の機能保全計画の策定及び補修、更新、農村環境の保全、農道の整備など、農業の生産基盤と農村の生活環境基盤の総合的な整備に要した経費であります。254ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、ため池や海岸保全施設などの防災施設の整備に要した経費であります。256ページをお開き願います。4目農地調整費の主なものは、農地中間管理事業推進費に係る農地中間管理事業等促進基金の積み立てに要した経費であります。
次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費などの管理運営や、県有林事業特別会計への繰出金であります。258ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものは、いわての森林づくり県民税を財源としたいわての森林づくり基金への積み立てや、木材の加工、流通施設の整備、及び高性能林業機械の導入などへの補助に要した経費であります。260ページをお開き願います。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除に要した経費であります。262ページをお開き願います。4目造林費は、植栽や間伐など森林整備への補助に要した経費であります。5目林道費は、林道整備に要した経費であります。264ページをお開き願います。6目治山費は、治山や地すべりの防止、保安林の管理、整備などに要した経費であります。266ページをお開き願います。7目林業技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。
次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費などの管理運営や水産科学館の管理運営に要した経費であります。268ページをお開き願います。2目水産業振興費の主なものは、サケ稚魚などの放流支援やアワビなどの放流種苗生産など、栽培漁業の推進に要した経費であります。270ページをお開き願います。3目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合などの検査、指導監督や、漁業近代化資金などの貸し付けを行う金融機関に対する利子補給に要した経費であります。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会などの開催や漁業調整に要した経費であります。6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や、老朽化した漁業取締船はやちねの代船建造に要した経費であります。272ページをお開き願います。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営及び試験研究に要した経費であります。274ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であります。9目漁港管理費は、県管理漁港施設の管理運営に要した経費であります。10目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物供給体制の構築や、漁村環境の整備などを重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要した経費であります。
次に、大きく飛びまして、340ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費であります。1目庁公舎等災害復旧費のうち当部関係は、備考欄下二つの事業で、震災により被災した水産技術センター種市研究室、同大船渡研究室及び大雨により被災した林業技術センターの復旧に要した経費であります。
次に、3項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧に要した経費であります。342ページをお開き願います。2目林道災害復旧費は、大雨などにより被害を受けた林道の復旧に要した経費であります。3目治山災害復旧費は、震災及び大雨などにより被害を受けた治山施設の復旧に要した経費であります。344ページをお開き願います。4目水産業用施設等災害復旧費は、震災により被災した漁船、定置網、さけ・ます種苗生産施設及び水産業共同利用施設などの復旧に要した経費であります。5目漁業用施設災害復旧費は、震災により被害を受けた漁場施設の復旧に要した経費であります。6目漁港災害復旧費は、震災などにより被害を受けた漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費であります。
以上で一般会計の説明を終わります。
続いて、特別会計について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成26年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただきまして、32ページをお開き願います。
農業改良資金等特別会計の予算現額は1億7、669万円余であります。これに対する収入済額は1億7、914万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金などであります。次に、支出済額は7、223万円余で、新規就農を促進するための就農支援資金の貸し付けに要した経費、及び回収した資金に係る国庫への返還と一般会計への繰り出しに要した経費であります。
34ページをお開き願います。県有林事業特別会計の予算現額は41億671万円余であります。これに対する収入済額は37億4、444万円余で、一般会計からの繰入金などであります。次に、支出済額は36億4、862万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育などに要した経費であります。
なお、翌年度繰越額は、計画調整に不測の日数を要したことによる繰越明許費の4億1、502万円余であります。
36ページをお開き願います。林業・木材産業資金特別会計の予算現額は12億2、417万円余であります。これに対する収入済額は12億3、787万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金などであります。次に、支出済額は5億5、060万円余で、木材事業者などの経営改善を図るための低利の運転資金の貸し付けを行う金融機関に対する原資の一部預託などに要した経費であります。
38ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の予算現額は8億8、844万円余であります。これに対する収入済額は9億1、033万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金などであります。次に、支出済額は1、891万円余で、青年漁業者などの養成、確保のための資金の貸し付けなどに要した経費であります。
以上で決算についての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇郷右近浩委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いするとともに、決算の審査であることを踏まえ、当該年度の決算に関する質疑とするようお願いいたします。
ただいまの説明のうち、農業関係について質疑はありませんか。
〇千葉進委員 初めてという部分があるのでちょっと戸惑いがあるんですが、よろしくお願いいたします。
最初に、農林水産というよりも全体的な部分でちょっと要望というか意見なんですけれども、説明書というのを初めて読ませていただいたんですけれども、その中で、目指すという言葉の表記がほとんど漢字という形でちょっと気になっているんです。
私は、かつて知的障がい者を対象とする養護学校に勤めていましたけれども、障害という言葉でも、害という漢字を平仮名にしようとしたことがありますし、目指すということについても目を指すということで、当時の盲学校の職員には、非常に不愉快な漢字表記だということがあって、それ以降、いろんな部分では平仮名表記でやってきた経緯があるんですが、ぜひそういう面で、議会においても、この目指すというのを、そういう目の見えない方々にとっては不愉快な部分があるということもあるので、平仮名表記でやってもらえればありがたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
それでは早速、3点にわたって話をさせてもらいますが、1点目は、ニューファーマー支援事業費についてです。
後継者育成ということを考えた場合、このニューファーマーの青年層ということが最初のようですけれども、その前段階として高校生、特にも農業高校が三つ今ありますし、農業系の総合学科というような形がまたあるわけですけれども、その新規卒業生の農業への従事といいますか、就職ではなく農業を選んだ卒業生はどれぐらいいるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 平成26年度の農業高校等の卒業生のうち、農業大学校等に進学して就職する者を除きまして、高校卒業後、すぐに自営就農した方は3名でございます。また、農業法人等へ雇用就農をした方は10名となっております。
高校卒業後、即就農している方については今説明したとおりでございますけれども、農家の後継者の学生は、一旦他産業に従事いたしまして、その後、何らかの機会で就農する例というものが多く見られている状況でございます。
〇千葉進委員 その農業に従事した、卒業した人たちは、今でもやっているんでしょうか。それとも、働きながらそっちのほうもやっているという、兼業的なものですね、完全に農業だけという人たちはいるんでしょうか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農業高校を卒業した方々の進路状況、その後の状況につきましては当部では詳しくは把握していない状況でございますけれども、農家の後継者の方々の多くが、今、このような農業の人口が減少したり高齢化になったりということで、一旦戻って、何とか自分たちでこの地域を盛り上げていこうという、その流れは感じているところでございます。
〇千葉進委員 それでは、この説明書の40ページのところに書かれてあるんですけれども、新規就農者数は、いわてニューファーマー支援事業による青年就農給付金の給付や、地域が主体となった新規就農者確保・育成の取組などにより、246人とあるんですが、その246人の男女別、平均年齢、あるいは既婚率といいますか、家族、子供がいるのかとか、地域的にどういったところが多いか、そういったところを教えてください。
〇高橋農業普及技術課総括課長 平成26年度の246名の新規就農者でございますけれども、性別や年齢等、そういった明確なものについては、青年就農給付金の受給者で平成26年度の状況を見ますと、経営を開始した受給者303名のうち、男性は約8割の244名でございます。女性は2割の59名となっております。また、既婚かどうかという資料は持ち合わせてございませんけれども、夫婦での給付金受給者の方々がこの中に45組いらっしゃるということでございます。
〇千葉進委員 平均年齢はちょっとわからないということなんだろうと思いますけれども、それも後で言っていただいて、地域的にということも、その二つお願いします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 まず、地域別では、市町村で申し上げますと、最も多いところが一関市の41人、続いて奥州市の38人、八幡平市36人、花巻市22人、二戸市18人となってございます。
平均年齢でございますけれども、先ほどの青年就農給付金の受給者で見ますと35歳となっております。
〇千葉進委員 その際に、地域の中に溶け込めているかどうかというのを非常に心配しているんですけれども、Uターン、Iターンの場合特にもそういう部分があろうかと思うんですが、私の教え子の中でも、実際農業に従事していて、今楽しくやっているという者もいるんですけれども、ただ、地域を外れたというか、違う地域に行ったときになかなかその地域に溶け込めないでいると。自治会の中でもなかなか入れないでいるという部分もあったりするんですが、地域的な部分で何かほかの人たちとうまくやっていけないとか、そういう例はありますか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 この新規就農者対策といいますのは、県一本というよりは、各地域地域で担い手育成支援協議会等をつくりまして、市町村、農協、農業委員会そして県が一体となって就農相談に応じたり、またはそのニーズに合わせて適切な農地を探したり、または必要な生産施設、機械等の融資制度を紹介したりということで、懇切丁寧に対応しているものと思われます。したがいまして、入りにくいというような地域については特に把握しているものではございません。
〇千葉進委員 そうした場合、先ほどの41ページのいわてニューファーマー支援事業で、決算額が6億6、000万円と非常に多額なわけですけれども、これについてその方々は、給付状況で何か困っているとかあるいは金額的にもっとふやしてほしいとか、そういう要望等はないんでしょうか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 青年就農給付金といいますのは、就農前後の、研修中の方ですとか、就農した直後5年間の方、若い就農者の方々の生活を安定させるために、年間150万円を限度に生活費という形で支給する制度でございます。
市町村を通じました直近のアンケート調査によりますと、この給付金があるから安心して就農できる、研修できるといった声が数多く聞かれているところでございます。
課題といたしましては、この就農給付金が終了いたしました5年後に、いかにみずからの技術力をもって、経営力をもって自分の農業に取り組んでいくか、そこの5年間の支援を充実することが課題ではないかと考えてございます。
〇千葉進委員 それでは、地域を回らせていただくと、それぞれの農山村の奥のほうに空き家があったりするわけですけれども、そのニューファーマーという形で、もしUターン、Iターンで来られた方々は、そういう家をどう活用できるのか。あるいは老夫婦がいた場合でも、農地等をほとんど耕せない状況の中で、そういう農地等を借りるとか譲ってもらうとかという部分について、県ではどういう対応をしているんですか。
〇高橋農業普及技術課総括課長 基本的に住宅等の情報につきましては、農林関係も含めた市町村のほうで情報を多く持っていると承知しております。
ただいま御説明いただきましたような老夫婦で、これから自分の農地なり農業をどうやって継承するかという、第三者継承というような要望とかも最近はふえてきているところでございます。
こういった自分の農地、施設等を継承したい、例えばIターンの方に多く見られるんですけれども、新しく農地とか家屋がどこかにないかというようなニーズもございますので、先ほど申し上げました地域地域の農業関係の機関、団体で構成しております担い手支援協議会の中でそういう情報を共有いたしまして、一体となって、個別具体的にあっせんするという形になろうかと思いますが、紹介をしたりして相談に乗っているところでございます。
〇千葉進委員 全体的にそういうニューファーマー支援事業についての今ある課題とか、就農者からの要望、あるいは成果、そういったことについてちょっとまとめてお願いしたいんですけれども。
〇郷右近浩委員長 まとめて、済みません……。
〇千葉進委員 はい、わかりました。いいです。
では、二つ目に行きます。後でまた詳しく聞きますので。
いわて6次産業の推進事業についてですけれども、予算のポイントというものの、54ページのところに6次産業についてたくさん書いていますし、それから、説明書のほうでは50ページのところにも書いてあるんですけれども、この6次産業について、これまでどういう形で経営の企業化、推進体制、商品開発、販路開拓とかをやられてきたのかを全体的な部分でお知らせください。
〇伊藤流通課総括課長 県内の6次産業化に取り組む農林漁業者の所得向上と雇用創出に向けまして、県におきましては、6次産業化の事業計画の策定支援、または施設、設備の導入支援、または事業に必要な経営ノウハウの習得のための専門家の派遣、あとは研修会の開催などを通じまして、農林漁業者の6次産業化の企業的な経営展開に向けた支援を総合的に実施しているところでございます。
〇千葉進委員 概略的にはそういうことだと思いますけれども、何かモデルとしてどんなものがあるのかというのを幾つか説明してもらえませんか。
〇伊藤流通課総括課長 例えばですけれども、牛肉を自家生産しております生産者が、直接、ハンバーグの商品開発とか、直営レストランを開設するなどを支援してきたところでございます。また、地域の米でもってどぶろくとか産物の商品開発、または観光農園の開設をしている生産組合なども支援しております。また、産直組合でございますけれども、地域の農産物を、直接、首都圏のレストランチェーンとか惣菜メーカーへの販売展開を私どもで支援した例などございます。
〇千葉進委員 そうした場合、この50ページの説明書ですけれども、この6次産業について5項目書いてあって決算額がそれぞれあるわけですけれども、復興にかかわらない真ん中の二つ、ここのところについて6次産業化の相談件数も多いですし、実績もあるわけですけれども、今話のあったどぶろくとかそういうことでしょうけれども、地域的にどういうところが多くて、そしてまた、それにかかわろうとする人たちの年代層あるいは男女別、そういったことを教えてください。
〇伊藤流通課総括課長 取り組みとしては、農業者の取り組みの例が多いと思っております。年代的には必ずしも特定できませんけれども、若手生産者も、年代のある方も含めまして、6次産業化に意欲的な生産者はたくさんいらっしゃると認識しております。
〇千葉進委員 単純に言えば、今、若者たちが6次産業化にすごく関心を持っているわけですし、ただ、その中で、地域の人たちが結局そこがまだわかりかねているという部分があって、一定の年齢の方々と若手の部分での意識の乖離、特にも、若手の人たちはインターネットとかというものを使ってどんどん出ていこうとするんですけれども、それについていけないでいる年代の人たちがいるわけです。そしてまた、農業経営というものについても農協というのがある関係で、なかなかというような部分があったりするわけですので、そういった乖離の部分をどうしていったらいいのかを考えるために年代とかというところを聞いたんで、もうちょっと深く答えてくれませんか。
〇伊藤流通課総括課長 年代層を私ども正確に捉えているところではございませんが、委員おっしゃるように、インターネットを通じた通販などに取り組んでいる若手グループなどはたくさんございます。あと、一方では、JAみずからが産直とか、あと地域と一体となって商品開発などをしておるJAなどもたくさんございますので、私どもとすると、ターゲットとしては、ある程度総合的な観点でそういった意欲的な生産者を支援してまいりたいと考えておるところです。
〇千葉進委員 意欲的な生産者ということで地域の中でまた話をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
3点目ですが、事項別明細書の中の237ページの右の備考欄のところで一つだけ非常に気になったんですが、いわての幸と馬事文化・絆推進事業費、これはどういうことで使われているのか教えてください。
〇千葉競馬改革推進監 事業の内容についてでありますが、本県の農産物や水産加工品を中心といたしました県産品の販売、馬事文化のPRイベントといたしまして、チャグチャグ馬コの撮影会、写生会、それからパネル等を用いた馬事文化の紹介、こういったことを、馬が好きな方々が集まります県内外の岩手競馬専用場外発売所などにおきまして行ったところでございます。
また、本県の馬事文化を紹介いたしますテレビ番組の放送が全11回、同じくラジオ番組の放送が全4回、これらを行ったところでございます。
〇千葉進委員 きのうの話もあってチャグチャグ馬コかなと思っていたんですけれども、なぜこういう質問をしたかというと、私は千厩の人間ですので、千のうまやということで、馬のものがたくさんあるわけです。今でも馬の展示館みたいなものがあったりするわけですが、そういう意味で、私自身も昔のそういったものに関心を持っていますし、義経の乗っていた太夫黒のところですので、千厩にいた人間としては、全くこういうものがあったというのを知らなかったので、どういう形で知らしめていって、今後どういう形にしようとしているのか教えてください。
〇千葉競馬改革推進監 馬事文化の振興でございますが、この事業の展開ということで、今年度は岩手県立大学とともに、馬事文化の継承と馬資源の利活用というテーマで地域協働研究に取り組んでおりまして、その中でチャグチャグ馬コなど馬が主役となる地域の祭事等におきまして、県の内外から馬を調達する必要に迫られているといった現状を調査いたしまして、馬資源を調達する仕組みづくりなどを提案したいと考えております。
この調査研究の一環といたしまして、県内の馬事文化を今調査してございまして、なかなか日の当たらない馬事文化につきましてもちょっとスポットを当てまして、皆さんにフェイスブックなどを使いまして紹介できればいいなと、ただいまのところ考えてございます。
〇郷右近浩委員長 千葉進委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力願います。
〇千葉進委員 はい、最後です。ぜひ、そういう面では千厩にも来てください。御案内いたしますので。そして一緒に研究したいと思いますので、よろしくお願いします。
〇工藤勝子委員 私からは、農林水産振興ビジョンの策定についてお伺いしたいと思っております。
振興ビジョンは、県民計画第2期アクションプランで、第3期も今後策定されると思いますけれども、示されております。約30ページであります。そういう中において、食と緑の創造県いわてを目指す。そういう中で、1次産業の実現に向けて、私はこういう県民計画、農業計画がこの程度でいいのかといつも疑問に思っているんです。前にもお話を聞きましたけれども、第2期アクションプランで示しているという話でありました。しかし、今農業、農林水産業は非常に大きな転換期を私は迎えていると、そのように思っているところでもあります。そういう中においても、もっと具体性を持って、地域別なり地方別なり、作物、畜産それから6次産業化、食品開発、それから研究、食品開発もそうですけれども、そういう部分において、今後は岩手県の農業として、農林水産業として、攻めるほうに入っていかなければならないんだろうと思っております。攻めの農業です。そういう中において、中長期を目指した新たな戦略プランをきちっとつくるべきではないかという私の思いでありますが、まず、最初から小原農林水産部長に、この件について御答弁をいただきたいと思っております。
〇小原農林水産部長 委員からお話がありましたとおり、岩手県にとっては第1次産業、これは非常に重要な産業でございます。また、裾野の大きい産業でありますし、岩手県は中山間地も多く抱えておりますが、農林水産業が基本と考えています。
一方、いわゆるビジョン、計画についてなんですけれども、現在、県では、御案内のとおり、各行政分野における目指す将来像だとか、政策推進の基本方向については、いわて県民計画に一本化すると一定の方針が出されております。これは全庁的なものでございます。この計画を基本として県の全体の施策を総合的にやっておりまして、今は部門別計画は原則として策定しないといったような状況になってございます。ただ、しかしながら、各部門別、品目ごとの計画。例えば米でいいますと、いわての美味しいお米生産・販売戦略なり、あとは花き振興プランだとか、酪農肉用牛生産近代化計画、おのおの部門部門で計画をつくっておりますので、これらの計画をしっかり充実させることによって、農林水産業の振興にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 わかったような、わからないようなでありますけれども、持っていますけれども、これなんですね。ここに約30ページの政策編で書かれております。できれば、農林水産部として私はこれくらいのものをつくるべきじゃないかと思っているところでもあります。そして、私は、県の計画が市町村をリードしていく計画になるべきだと思いますし、そしてまた、農業で頑張ろうという担い手もふえております。そして、このTPPの大筋の合意を受けて、この厳しい状況の中でも頑張ろうとしている人たちがいるんですね。もっと販路拡大に期待している人たちが多いわけです。そういう声を聞きます。反面、ある程度私たちの年代になった人たちは、いや、農業はできないなと、こういう人たちもおります。確かにそういう現場での声もありますけれども、そういう部分を含めて、こういう計画を示すことによって、これからの担い手そしてまた市町村もそれを見習って、一層、岩手県の1次産業が活性化するんじゃないかと思っておりますので、もう一度その点についてお聞きしたいと思います。
〇小原農林水産部長 計画自体は先ほど答弁したわけでございますが、今、第3期アクションプランの策定に向けて、現在、部内でかなり詰めております。この第3期アクションプランにつきましては、今、量的にも少ないといったような御指摘もいただいたところでございますけれども、その中で進む方向、より具体的なアクションプラン、それをしっかり盛り込むとともに、あと今、委員からもお話がありましたが、TPPの大筋合意だとか、さまざまな要因、外的要因がいろいろ動いております。それらに合わせて、部門別計画もいずれしっかり見直していく必要が今後あろうと思っております。
ただいま委員から御指摘をいただきました趣旨、あとは、いわゆる市町村を引っ張っていくといったような御意見もございましたので、その趣旨を踏まえて、今後しっかり県としても対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 結局、今回このようなことが出まして、例えばTPPの大筋合意ですけれども、各都道府県が一斉に動くんだろうと思っていました。結局、攻めの農業に向かってそれぞれの都道府県が一斉に今までの産地間競争が、より一層激化されるんじゃないかなと、私はそのように思っておりますし、結構、国内、海外戦略を立てていくんだろうと思っておりますので、今後の第3期アクションプランに向かって納得するようなプランが作成されますように期待をしたいと思っております。
そういう部分において、きょう、テレビのニュースを見ていましたら、青森県産米の青天の霹靂が、首都圏で非常に売れているというニュースが伝わってまいりました。私も、いや、岩手にだって岩手107号、岩手118号が、おいしい米ができたんだと。これを何とかいち早く消費者に届けたいと。多分、ネーミングを今募集しているんだろうと思っていましたけれども、その発表がいつごろになるのか、そういうことも聞いてみたいと思っております。
さらに、このTPPの問題が出たときに、何もしなければ岩手県の農林水産業に与える影響は1、000億円という試算もされておりました。そういう中において、岩手県がいち早くこのTPP協定対策本部を立ち上げまして、国へも要請を出されているところでもあります。全庁的な情報共有と総合的な対策を図るということであります。まだまだ国も発表しておりませんので、県で今後試算すると、与える影響の試算はどうなるのか、私もわからないですし、多分、試算もまだできていないんだろうなとは思っておりますけれども、今後、国にもっと具体的に何を要望していくのかという、それは予算的なものもあるんだろうと思いますが、例えば海外戦略を立てるときに、流通コストの部分の支援策を国に求めるとか、もっと規制緩和を進めるとか、そういう方向性を示すべきできないかなと思っていますけれども、いかがでしょうか。
〇星野県産米戦略室戦略監 岩手107号の名称でございますけれども、ことしの7月に一般公募をいたしまして、県内、県外から、全部で8、000点以上の応募がございました。その中から1点に決めまして、11月下旬にブランド化実践本部会議がございますので、その席で発表する予定となってございます。
〇中村農林水産企画室企画課長 TPPの要請についてでございますけれども、10月6日に国に対して緊急要請ということで、本県農業に及ぼす影響について十分説明すること、また、十分な対策を講ずること、それから被災地への配慮といったような要請をしてきたところでございます。
また、国のほうでは、きょうも新聞、マスコミ報道が出てございましたが、11月下旬に対策の政策大綱を示すということで、その中で何らかの形でいろんな対策が出てくるものだろうと思いますけれども、いずれにしましても、そういった対策につきましてはしっかりと本県農業の持続的な発展に資するものになるように、農業者が安心して農業に取り組めるような対策となるよう、しっかりと今後も要望してまいりたいと思います。
〇伊藤流通課総括課長 海外の流通コストの規制緩和というお話でございますけれども、規制につきましては今後いろいろ検討してまいりたいとは思っておりますが、現在、国内におきましては、例えば九州では沖縄の全日空の貨物倉庫を使う形で、新たな海外流通というのをいろいろ取り組みを始めております。各県そういった動きが出ております。あとは、東北農政局においても、関西国際空港を使った形での東南アジアの流通で、鮮度の高いものをいかに低コストで運べるかみたいなことをいろいろ研究しておりますので、私ども、そういった研究に一緒に乗っかる形で、できるだけ流通コスト削減に向けて検討してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 それでは、担い手育成についてお尋ねしたいと思っております。
データをいただきますと、新規就農者、平成23年200人、そして平成26年246人、こういう非常に厳しい中でも新規就農者がふえているということは、岩手県の農業が少しずつ明るい方向に進むのではないかと私は期待しているところでもあります。
そういう中において、特に目立つのは県北です。県北が、平成23年の35人から、平成26年は59人にふえています。私は、ここを、どう自分なりに考えてみたかというと、後から聞くんですけれども、県北・沿岸振興が出たときに、普及員を向こうのほうに多く配置したはずなんです、何人とは申しませんけれども。そういう形の中で、普及員の方々の仕事の大きさというものが、こういう担い手を育成する部分、人材を育成する部分の大きな力になっているのではないかと私は思って、これを分析したところでもありました。
そこで、今、新規就農者がふえている現状を県としてはどのように捉えているのかということ、さらに、今、ニューファーマーにつきましては千葉進委員のほうからいろいろ質問がありましたので、この制度を今後とも岩手県としてしっかり継続していく事業と定めていくのかをお聞きしたいと思っているところであります。
〇高橋農業普及技術課総括課長 新規就農者の現状でございますけれども、新規就農者数は、県内外における就農相談会の開催や研修受け入れ先のあっせん、就農計画の策定支援などの確保対策に取り組んできた結果、委員御指摘のとおり、平成20年以降は毎年200人以上が就農いたしまして、平成26年度におきましては246人が就農してございます。傾向といたしまして、40歳未満の特に若手の就農者の方々が8割の194人と、平成26年度は過去最高になったものでございます。
定着の状況でございますけれども、このような若い新規就農者の定着率、確保数が多くなってきているということは、先ほどからお話にありますいわてニューファーマー支援事業による青年就農給付金制度の活用というものが、今まで県がやってきた取り組みに加えて、平成24年度から始まったこの制度がかなり大きく影響しているものと考えております。したがいまして、県内のそれを必要とする就農者の全ての方々のニーズに即して就農給付金が給付できるよう、国に対しても、予算を確保するよう要望してまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 担い手となっている認定農業者というものもございます。そういう中において、昨年度から農地中間管理機構により認定農業者への農地集積が始まったところであります。その成果と課題について、そして、今後の見通しをどう捉えているかお伺いいたします。
〇菊池担い手対策課長 農地中間管理事業における成果と課題についてでありますが、昨年度、機構による農地の貸付面積は、2、000ヘクタールの目標に対しまして2、359ヘクタールと上回ったところでありまして、このうち約98%、2、306ヘクタールが認定農業者への貸し付けとなってございます。
一方、この事業を進めていく上では、農地の出し手の確保や、中山間地域等における条件不利な農地を認定農業者の方が引き受けやすくするように改善していくといったことが課題となっているところでございます。
このため、引き続き、農地中間管理機構や市町村と連携いたしまして、農地所有者への十分な制度周知を促し、農地の貸し出しを促すとともに、中山間地域等の条件不利地においては、農地耕作条件改善事業や、本議会で可決されました活力ある中山間地域基盤整備事業などを活用した簡易な条件整備などにより、認定農業者の方々への農地集積を進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 今後ともいろいろな形の中で事業を進めていってほしいと思っておりますし、中山間地域の農地のいろいろな改良も進めなければならないのではないかと思っているところであります。
最後に、今後の農業改良普及員における指導体制についてお尋ねいたします。
平成21年度、212人、平成27年度、200人という形になりました。農業改良普及員の定数は、205人となっておりますけれども、私は、県の知事部局の職員削減と一体的に進めるべきではないと思っております。先ほども申し上げましたように、今後の農業は、いろいろな課題を抱えて進めていかなければならない状況の中で、担い手もふえている中で、農業改良普及員の定数をこれ以上削減するべきではないと私は思っているところでもあります。
そういう部分において、農業改良普及員の仕事は、私がここで申し上げるまでもなく、一番の大きな課題は、生産技術とか経営のノウハウを指導することもありますけれども、地域を背負って立つ人材を育成しているということであります。私がここに立っているのも、農業改良普及員の方々のいろいろな指導があってここに出てこられたと思っております。そういうふうに、今後、いろいろな地域の中で、地域をリードしていく人を育てていく、これが農業改良普及員の大きな使命になっていくのではないかと私は思っております。そういう意味も含めて期待をしているわけですが、今後の指導強化の方針についてお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 農業改良普及員は、農業者や消費者が豊かさと恵みを実感できるような食と緑の創造県いわての実現を目指し、未来を拓く経営体の育成、消費者から信頼される食料供給基地の確立、高付加価値化と販路の拡大など、農業者が展望を持って農業経営に取り組むことができるよう、現在、県内に9普及センター及び4サブセンターに205名の農業改良普及員を配置して、それぞれの地域課題の解決に向けて取り組んでいるところでございます。
今後とも、担い手の高齢化や農産物価格の低迷、TPPの基本合意に対応した農業振興を図るために、職場内で切磋琢磨するとともに、普及員には、国の主催する集合研修もございますので、そういったところに参加して最新の技術を習得いたしまして、資質向上を図りながら、地域の方々、農家の方々の課題に対応できるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 本当に最後にしたいと思っております。
県は、若者、女性の活躍を強力に推進するという旗印も上げております。農業改良普及員は現場主義であります。事務的な処理もいっぱいある中で現場に足を運んでいるわけであります。そういう中において、農業改良普及員の重要性、そして今後の普及活動の重要性について、ぜひ、この件だけは、例えば200人になってしまった、これ以上は絶対減らさないんだという決意を私は部長からお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇小原農林水産部長 農林水産部としては、農業改良普及員の役割は非常に大きいものがあると思ってございます。また、その求められる役割も時代とともに、今であれば、6次化といったような面までいろいろ幅広く役割が求められている。
この人数でございますが、震災からの復旧、復興ということで、農林水産部としてもかなりそちらのほうに人員をシフトしてございます。そういったような面で、今現在、これは農林水産部のみならず、なかなか厳しい職員の状況にあるわけでございますけれども、いずれ、今の定数は部としてしっかり維持していきたいと考えておりますし、県のみがこういった業務を担うということでいいのかどうかというあたりも、関係団体とも、これは将来的な話なんですけれども、県としてなかなかふやせる状況にはないということがございますので、では、どのような形でこれを充実、強化していくかということは、また、この定数確保とは別に検討させていただきたいと思っております。
〇佐々木順一委員 関連。ただいまの工藤勝子委員のTPPの大筋合意に関係して、簡潔にお伺いしたいと思います。
まず、TPPの大筋合意の評価について部長の御見解をお聞きしたいと思っております。農産物の大体8割が最終的に関税撤廃になると。それから、国会決議の重要5品目についてもおおむね3割は関税をなくすということが明らかになっております。
一方において、本県としても、国会決議を踏まえてTPPに関する要望を出してきました。復興の妨げになるようなことはやらないようにとか、国会決議を遵守しなさいとか、撤退も辞さずとか、いろいろやってきたわけでありますが、これについて岩手県としてどういう評価をしているのか。この評価をしない限り次の対策は打てないと思いますので、まず、その評価をお聞きしたいと思います。
〇小原農林水産部長 この評価でございますが、これは知事も記者会見等で述べてございますけれども、特に農林水産分野におきましては、畜産物の関税率の引き下げ、撤廃、また、米の無関税輸入枠の設定ということが合意されたと。これについては、本県の農業者、農業団体に強い衝撃を与えてございますし、かなり不安が広がっておるということで、非常に残念であると思ってございます。
その情報についても、影響だとか、その辺についても国からはまだ何ら示されていないと。やはりそれを一刻も早く国が示すことが不安の解消にもつながるものと思いますし、それら全体を明らかにした上で、しっかりと国会で議論していただきたいと思ってございます。
〇佐々木順一委員 もう一つ聞きますが、国会決議に違反しているかどうか、この点について小原農林水産部長の御見解をお伺いしたいと思います。
きょうの日本農業新聞によれば、こうあります。日本農業新聞の意識調査でありますが、決議違反であると回答したものは69%。政府は、一方において、国益にかなう最善の結果を得ることができたと成果を強調しております。また、大筋合意は評価せずが大体8割ということでありますので、農業関係者は失望を超えて、今は絶望のふちに立っていると私は認識するわけでありますが、評価というよりも、そういう認識を農林水産部長は持っているのかどうか。そういう表現でも構いませんので、ぜひここでお考えをお示しいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 これは国会の決議でございますので、やはりこれは国会が御判断するものと思ってございます。
あとは、安倍総理は、重要5品目を中心に関税撤廃の例外を数多く確保することができたなり、あるいは枠外税率の維持やセーフガードの創設など有効な措置を認めさせることができたとは言ってございますが、やはりその影響がどうなのかということが非常に大事だと思ってございます。したがいまして、まず、一刻も早くその影響を国には示していただきたいと思ってございます。
〇佐々木順一委員 直接答えていただけなかったのは残念であります。最後にしますが、農産物の関税の状況とか、削減とか、あるいは撤廃の状況は大体明らかになってきておりますから、これを踏まえて、岩手県の農林水産業にどういう影響があるのか。かつても試算を教えていただきました。あれはたしか国のほうで出したことを前提にしております。さらに、地域経済への影響も出していただきました。合わせて1、400億円ぐらいだったと思います。
加えて、多面的機能の喪失分についても本来は試算していただきたいわけでありますが、国の出方は出方として、これは一つのまた違った試算になると思いますが、まず、何もしない前提で、岩手県の農林水産業に、この関税が削減、撤廃された場合にどういう影響が直接及ぶのか、まずここを押さえない限り、国の前提を待ってやるのも一つの考えであるだろうとは思いますが、そもそも、そういう素朴な試算が私はやはり大事だと思うんです。加えて、また、政府の試算を踏まえた試算とか、いろいろな試算があって構わないと思いますが、私が今申し上げたことをどう受けとめておいでになるのか、それをお伺いしたいと思います。
〇小原農林水産部長 前回はたしか平成25年の試算でございますけれども、その場合の前提は、関税を全て即時撤廃した、何らの国内対策を講じないということでございまして、ある意味、乱暴な試算でございますので、一定程度の試算が可能であると考えてございます。
今回は、いわゆるセーフガードがかなり設けられております。そのあたりがどの程度の影響緩和になるものかといったあたりがなかなか把握が難しいという状況でございます。
あとは、例えば米につきましても、国のほうでは、SBSについては、いわゆる備蓄に回して国内の流通には回さないと。そうであるならば、それだけ見れば影響はないということにもなりますので、その辺は、県で試算して公表するということは、数字のひとり歩きということもありますが、農林水産部としては、これら農林水産物全2、328品目のタリフラインのうち、関税が撤廃されるものは1、885品目、81%ということでございますので、これに対する定性的な影響から、今現在、作業を進めているところでございます。
〇郷右近浩委員長 佐々木順一委員に申し上げます……
〇佐々木順一委員 当該委員でありますから、よくわかっております。前向きの答弁をいただければ私は質問しないわけでありますが、ぜひ、委員長からも執行部のほうに前向きの答弁をするように求めていただきたいと思っております。
それでは、最後になりますが、多面的機能の点だけ。政府の試算を前提にしても、しなくても構いませんが、この分について、岩手県としても、多面的機能の喪失については、政府に対する要望の中にはちゃんと行政の言葉として書き込まれているわけでありますから、これは、我々政治家がいい加減なことを言っているのとはわけが違うわけでありますので、何らかの根拠に基づいてああいう表現をされているわけでありますので、前回は多面的機能の試算はなかったわけでありますから、この分についてぜひ試算していただけますようにお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 私からは、岩手県の農業生産額の3本柱の一つであります園芸振興についてお伺いいたします。
主要施策の成果に関する説明書の中にも、園芸販売額500万円以上の経営体を育成するという大きな指標があるわけですけれども、目標に対する実績が余りにも低いのではないかと思っております。これらの要因とか、いろいろ原因もあるだろうと思いますけれども、その辺はどのような捉え方をしておるのかお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長 園芸の販売額500万円以上の経営体の育成についてでございますが、本県の園芸は、小規模な経営体が多いということから、産地の核となる担い手の育成により産地の構造を強化することとしまして、これまで、パイプハウスの整備、省力機械の導入支援などに取り組んできたところでございます。
この間、今お話がありました販売額500万円以上の経営体につきましては、野菜、花卉では、5年間で1経営体当たりの経営規模は拡大してきているものの、その拡大の伸びは数%程度にとどまってございまして、また、品目によっては単収が目標に達していないものもありますことから、指標の目標値を達成できなかったものと捉えてございます。
〇工藤勝博委員 一つの目標として1経営体当たり500万円というのは、当然、どの農家も、生産者も捉えていると思うんですが、この結果を見ると、生産者の努力が足りないというような捉え方もできるんです。一つの品目の中で、ちょっとすれば1品目で500万円は優に超えるぐらいの生産はできると私は思っているんですけれども、それらを進める中で、生産者任せなのか、また、目標値といいますか、これだけなのか、その辺は今後詰めていかないと、幾らここで、経営体を1、200戸育成するとあるんですけれども、なかなかこれは実現は無理だろうと私は思います。
以前は、各品目を組み合わせて、園芸なら園芸でそれを確保するには、これとこれを組み合わせれば500万円なり1、000万円になるよという指標もあったんです。それらをもっと示すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 いろいろな組み合わせの中でということを今お話いただきましたが、県といたしましても、生産農家が減少している中、産地の維持、発展を図るためには、産地の核となる意欲ある経営体の育成、規模拡大、生産性の向上が重要であると考えてございます。
そのようなことから、県といたしましては、例えば野菜であれば、施設栽培の拡大、いろいろな品目の組み合わせによりまして栽培期間を延長する技術の普及、雇用労力の確保等が課題になっておりますので、ヘルパーの共同利用なども考えてございますし、花卉の生産では、例えば選花機の導入、省力機械の導入、リンドウであれば、盆、彼岸需要期の品種の新植の支援などに取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 この販売額の数字は恐らく全農扱いを基本にされているとは思うんですけれども、全農扱いの実績を見ますと、横ばいなり、あるいは年々低下しているという部分があります。しかし、生産者が減っている分、残っている生産者の本来の売り上げは当然伸びてしかるべきだろうと思うんです。その辺の数字の捉え方をこれからもっと工夫するべきではないかと思います。というのも、今、各地で、産直とかあるいは直接販売する方もふえています。それらもしっかり捉えながら、こういう指標に載せるべきではないかと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
〇高橋農産園芸課総括課長 今の指標の捉え方についてでございますが、私どものほうで捉えている指標においても、1、000万円以上の販売農家は、若干ですが、増加している傾向にあるということで、大規模な経営体は増加傾向にありますし、加えまして、若い農業者のグループ等が各地に出てきてございまして、こういうグループが新たな取り組みを進めている事例も出てきてございます。
したがいまして、これから園芸の産地を担っていく方々のますますの経営発展、若い方々であれば、最初の経営の確立に向けた各種の支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 新規就農者あるいはこれから取り組む経営者に対する支援があるわけですけれども、今、その方々の主な品目といいますのは園芸が多いのですから、これから期待される品目ということも多分あるだろうと思いますし、TPPの問題もあります。TPPに余り影響のない品目をみずから選んでつくるべきだろうと私は思っておりますけれども、それらを含めて、今後、どういう形で取り組まれるかをお聞きいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長 先ほどの指標につきましては、今後、新たなアクションプラン作成の中で、今の委員の御指摘も参考にさせていただきまして、どのような指標がいいかというのを検討してまいりたいと思います。
これからの園芸振興についてでございますが、農業者の高齢化の進行、栽培面積の減少ということは課題としてございます。そのようなところを踏まえまして、これまでも生産性の向上だとか実需者ニーズに基づく生産、販売方式の改善に向けた取り組みなどを支援してまいりましたが、今後は、さらにそれらに加えまして、機械化ですとか、ICTを活用した技術の開発、普及、高規格ハウスなども利用しました長期安定出荷の取り組みなども支援してまいりまして、意欲ある担い手の規模拡大を特に中心に進めまして、生産性、市場性の高い産地づくりに努めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 もう一点、県では花卉振興計画も策定されたと伺っております。岩手県の花卉栽培はなかなか伸長しないわけですけれども、その辺の捉え方、そしてまた、この計画に合わせた取り組みというものがあれば、お聞きしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 花卉の栽培面積につきましては、平成22年が511ヘクタールでしたが、平成26年には430ヘクタールと、5年間で81ヘクタールの減少となってございます。
農家につきましても、20アール未満の農家が約半分を占めてございまして、小規模な農家が多いという現状にございますが、リンドウ、小菊が本県の中心でございますので、リンドウ、小菊を中心に、特にリンドウにつきましては、盆、彼岸需要期の市場の需要に応え切れていないという状況がございますので、市場のニーズに応えられるように、今後、生産の振興支援対策を進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 岩手県の場合、特にも、今お話がありました品目、品種を特化した形で生産性あるいは市場性を高めていかないと、何でもかんでもつくって売れるという時代でもないので、そういうことをしっかり捉えてやっていただければいいなと。実際、平成26年度からリンドウの盆出荷に対する予算も計上されました。平成27年度も計上されておりますけれども、それを裏づけるように、逆に生産性を高めるような仕組みづくりが必要だろうと思います。
そういう中で、特にも、リンドウは一度植えると5年なり7年なり長期間の栽培になります。それらも含めて、きっちりした指導体制、そしてまた、県でも育種しているということで、これからは品種を持っている産地が勝ち残るだろうと思います。それらも十分加味しながらやっていただければと思います。
そしてまた、岩手ブランドという、花に限らず、従来、ブランド品をつくりましょうということが農林水産でもありました。このごろ余り聞かなくなったなという感じもしますけれども、岩手にはあれがあるよ、あそこに行ってあれを食べたよというブランドをもっと強く打ち出していくべきだろうと思います。
そういう中で、新聞報道でもありました、ことしの農林水産祭で、我が八幡平花卉生産部会が天皇杯を取ることができました。農業関係の最高の賞でございます。それらを糧にできるよう、県としてこれは取り組んでほしいと思うんですけれども、部長はその辺をどのように捉えて、これから岩手のそういうブランド品を高める方向づけをなさるのかお聞きして、終わります。
〇小原農林水産部長 1次産品の価格自体が低迷しているということになりますと、まず一つは6次化によって付加価値をつける、もう一つはブランド化によって価値を高める、この二つの取り組みが非常に重要であると思っております。
花卉でありますと、これまで岩手県は、どちらかというとリンドウ一本やりと。リンドウ、小菊があるわけでございますが、ブランドの取り組みは、まさに、先ほどからも御意見が出ていましたが、TPPなり産地間競争、米につきましては岩手107号、岩手118号を核として、これをブランド米として県産米全体の知名度を上げていく。
これは園芸であっても同じと考えております。いずれ、岩手のブランドというものを今後さらに一層進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 冒頭、部長からもお話がありましたけれども、農業の明るい未来というものを考えた場合に、地域であって、地域農業を支える農家、それを支える住民、行政が大きい支援になると思っております。
それを踏まえながら、通告しておりましたとおり、新規就農総合対策についての課題と取り組みをお話しいただければと思っております。
〇高橋農業普及技術課総括課長 新規就農者の現状の課題と取り組みということでございますけれども、本県の農業、農村の持続的な発展を図っていくためには、意欲を持って農業に取り組む若い就農者を確保、育成していくことが重要であると考えております。
このため、これまで、確保対策といたしまして、県内外における就農相談会の開催や研修受け入れ先のあっせんのほか、青年就農給付金の給付による生活安定を支援するとともに、育成対策といたしまして、就農計画の策定支援とその実現に向け、生産技術の習得や機械、設備の導入支援などに取り組んできたところでございます。
一方、新規就農者は技術水準がまだ未熟であるということや、農地の確保が難しくて規模拡大が計画的に進まないといったような課題がございます。
今後は、農業改良普及センター等による生産技術の向上や農地の確保支援等の取り組みに加えまして、経営管理能力の向上、または青年農業者同士のネットワーク化を図るなど、意欲を持って就農した方々が将来の地域の担い手として定着できるよう支援していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 体制的には問題はないと思うんですが、隠れ農家ファンの方が結構存在しているのは事実でございまして、ただ、そういう方々が、では、どうすればいいのと。通常、一般的に考えれば、初期投資が非常にかかるという問題点と、今お話しいただいた農地確保の問題、経営という大きい柱のところ、それと運転資金等です。ですから、そこを一般的にわかりやすく、どなたでも御質問ができるような体制は大きくつくるべきでしょうし、それに伴って、各市町村との連携と、農協との連動も大きく変わってくるかと思うんですが、そのあたりの今後の展開等の考え方があれば、教えていただければと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 例えば資金等の手当てですとか、または各種補助事業の活用ですとか、農地のそういったあっせん等につきましては、基本的には、地域地域に、市町村、農協、農業委員会、そして県が構成機関、団体となっております担い手育成推進協議会がございます。そこに詳しく情報を集めて、関係機関がそれを共有して、その中で、どこでも、いつでも、誰にでも情報を提供するという仕組みをつくってございます。
今後におきましては、県外の方々にも、こういった岩手県の新規就農者を支えている仕組みにつきまして、ホームページ等を通じて、地域の情報を詳しく取り上げて情報発信の強化をしていきまして、こういう取り組みを支援していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 ぜひ、それは大きく宣伝いただくと非常にありがたいと思っております。
もう一点ですが、先ほど、千葉進委員からもお話がありましたけれども、農業高校で、今、農業女子ブームが広まっているとお聞きしております。これは文部科学省の調査によるものですが、今、畜産系の学科がウエート的に57%、加工、栄養科学、食品関係が66.3%、農業土木、環境系学科が3倍以上の伸びも出ているということで、女性農業者が広く報道されて、農業女子を対象としたマーケティングが広がったことが大きな要因であると文部科学省が答えておりますけれども、そのあたりを県としてはどのように捉えて、それはもちろん教育委員会との関係もあるかと思うんですが、その協力体制をお聞きしたいと思います。
〇高橋農業普及技術課総括課長 国では、農業女子プロジェクトを立ち上げまして若い農業者の活躍を広く発信しているところでございます。また、そういった方々の姿を見まして、農業なり農村の生活というのはこんなにいいものなのかと若い方々が関心を寄せてきて、その結果、当県におきましては新規就農者数が過去から2番目に高い数字を平成26年度に確保いたしました。そういったところにも波及しているのかと考えております。
県といたしましても、若い方、女性の方々が、農業、農村においてますます新たな視点での発想といったものを地域の活力の中に取り込んでいくということがすごく重要ではないかと考えております。
このため、今年度初めてでございますけれども、先週の金曜日に、そういった農業に取り組んでいる若い女性たちを集めたいわての農業に関わる女子の大交流会をやったところでございまして、マスコミの方々も関心が高くて、広く新聞等で報道していただきました。こういった取り組みを通じまして、ますます女性の活躍、若者の活躍というものをPRしてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 担い手を考えると、どうしても若い層からどんどん引き上げていかなければいけないというところでございますので、そこは教育委員会との連動も含めながら、よろしくお願いしたいと思っております。
次に移ります。6次産業化については地域経済の活性化に不可欠であるわけでございますけれども、今後の展開をお聞きしたいと思います。
〇伊藤流通課総括課長 県におきましては、これまで、農林漁業者によります6次産業化の定着、拡大に向けまして、商品開発、販路開拓のための専門家派遣、研修会、商品開発への助成、商談会の開催などを展開しております。
6次産業化による販売額でございますが、県の調査では、平成22年度の131億円から、平成25年度においては148億円に伸びておるところでございます。
今後は、こうした取り組みに加えまして、地域の関係者と一体になりまして、まさに地域ぐるみで特産品開発なども支援していきたい。それから、先ほどからもお話があります若手グループ、女性グループの活動を支援していきたい。商工業者、観光業者との連携の機会を図り、農商工連携なども活発にいたしまして、担い手の育成を重点的に進めていきたいと考えておるところでございます。
〇阿部盛重委員 6次産業化に関しましては、販路が一番大きい課題かと思います。これは農協とのネットワークが大きくありますので、そこの協力関係も深くかかわっているかと思いますけれども、それはそれで継続してお願いしたい。
それから、地域と組む地域の6次化、地域でつくって地域が売るバリューチェーン、付加価値の連鎖関係のところと、あとは公式の分野、歴史から文化、観光、福祉等、資源、テーマとの複合的な関連が必要であるかと思うんですが、そのあたりをどのように捉えていらっしゃるかお聞きいたします。
〇伊藤流通課総括課長 まさに6次産業は、市町村におきましても地域創生の取り組みの一環としてかなり重要視されております。国においても、市町村における6次産業戦略の策定を推奨しておるところでございます。
私どもとしては、そういった地域でもって、例えば産直が単に直売するだけではなくて、学校、福祉施設へ納品するとか、そういった取り組みも非常に意欲的になっておるところでございますので、地域の中での地産地消も含めて、あとは地域でのブランド化といったものにも積極的に支援していきたいと考えております。
〇阿部盛重委員 ぜひよろしくお願いいたします。
最後になりますが、環境保全型農業についての現状の取り組みと今後の課題についてお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 環境保全型農業についてでありますが、県では、安全・安心を求める消費者ニーズに対応した農産物の安定供給を図るため、施肥量を低減する技術の実証圃の展示や、環境保全効果の高い営農活動の取り組み事例を紹介するセミナー等を開催し、環境と調和した農業生産活動を推進してきております。
こうした取り組みの結果、県内の米及び野菜の82の産地のうち、68の産地で環境への負荷が少ない補給型施肥が導入されているほか、化学肥料、化学合成農薬を5割以上低減する特別栽培米が約1万ヘクタールで取り組まれているところでございます。今、環境保全型農業直接支払制度というものがございますので、その制度の活用促進を図るなど、一層の取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 その肥料の比率ですけれども、無農薬栽培か、有機栽培かという表現をとられている方もいらっしゃるし、有機栽培をやっている方々が見れば、何言っているの、薬を使っているでしょうというところがあるのですが、そのあたりは県としてはどのような捉え方をされておるかお伺いいたします。
〇高橋農業普及技術課総括課長 県におきましては、有機栽培で取り組まれておる作物といたしましてはソバとか雑穀が多ございます。有機と申しますと、どうしても肥料もやらない、農薬も使わないということで、生産者にとってみれば大変苦労の多い取り組みでございます。ただ、有機農業の推進に向けた取り組みにつきましては、本年4月に設立いたしました岩手県有機農業連絡協議会は、消費者も、生産者も入った組織でございます。ここと連携いたしまして、まず、生産者の技術研さん、消費者等の理解増進に向けた情報交換会の取り組みを通じまして、有機農業についても広く情報発信して、拡大してまいりたいと考えております。
〇阿部盛重委員 2006年には有機農業推進法、去年は、今お話しいただいた有機農業拡大全国推進事業というものが発表されて、環境保全型農業へ今後大いに推移していくのかと思っておりますので、最後になりますけれども、部長の農業に対する御所見をお聞きして、終わりにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇小原農林水産部長 環境保全型農業でございますけれども、岩手は環境王国いわての実現を目指しております。したがいまして、これまでも関係機関、団体と連携しながら環境保全型農業を推進してきております。これは、消費者や実需者のニーズも非常に高いということがございますので、本県の農産物の評価を高め信頼を得るためにも、その取り組みについては積極的に推進してまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 私からは4点お伺いします。
国土調査についてであります。平成26年度の実績についてお伺いしたいと思います。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 国土調査の実績でございますが、国土調査と申しますのは、土地分類調査、水調査、地籍調査の三つに分類されておりまして、本県では、土地分類調査は昭和56年度、水調査は平成6年度にそれぞれ完了しておりまして、現在は地籍調査のみ実施しているところでございます。
地籍調査については、国土の開発及び保全並びにその利用の高度化に資するため、土地1筆ごとの所有者、地目及び境界、さらには地番、地積といった地籍の明確化を図るものでございまして、本県では、市町村が事業主体となって昭和27年度から実施しているものでございます。
平成26年度までに19市町村が調査を完了しておりまして、県全体では、地籍調査が終了した面積は9、445平方キロメートルでございます。調査対象面積が1万1、206平方キロメートルございますので、その進捗率は84.3%となってございます。全国平均が51%でございますので、これを大きく上回っておりまして、調査の進捗率は全国第6位といった状況でございます。
〇城内よしひこ委員 沿岸部がこれまでもおくれているということで、たびたびこの委員会等で指摘されてまいりました。沿岸部の今後の見通し、また、なぜ進まないのかという部分の課題等も含めてお伺いしたいと思います。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 平成27年度は県内11市町で45.8平方キロメートルの調査を実施する予定にしております。沿岸部がおくれているというお話でございますが、沿岸部では、宮古市ほか3市町で取り組んでいただいておりまして、平成27年度の取り組みを含めましても44%程度の進捗率になるという見通しでございます。
調査の進捗に当たりましては、予算の確保と、市町村における調査体制の整備が課題であると考えております。予算につきましては、東日本大震災津波の浸水被害を受けた地域等に配分されます震災対応分を活用して市町村の要望に応えてきたところでございますが、引き続き関係市町と連携して国への要請活動を行うなど、予算確保に努めてまいりたいと考えております。
また、市町村の調査体制の整備につきましては、県といたしましては、研修の実施などを通じて、地籍調査を担当する市町村職員の調査技術ですとか事務処理能力の向上を支援しておりますし、十分な調査体制が整備できない市町村に対しましては、1筆地調査等における外部委託の活用を周知しているところでありまして、引き続き、調査の進捗に向けて支援をしてまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 現状のペースで進めていくと、いつごろ終わるかというのは想定されていますか。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 県内の調査が全て終了するということについての試算になりますが、平成26年度の調査面積が45.8平方キロメートルございます。それに対して、平成27年度以降の調査面積で残っておりますのが1、761平方キロメートルございますので、これを割り戻しますと、今後、39年を要するといったことになります。
〇城内よしひこ委員 ぜひ、39年もかけないで進めるようにお願いしたいと思います。
次に移ります。鳥獣被害についてお伺いしたいと思います。鳥獣被害の状況、平成26年度はどれぐらい被害があったのか、お願いしたいと思います。
〇菊池担い手対策課長 鳥獣被害の状況でございますけれども、平成26年度のニホンジカやツキノワグマによります農産物被害は約4億6、000万円ということで、前年に比べ5、000万円ほど減少しておりますが、依然として大きい状況にございます。
獣種別ですけれども、ニホンジカによる被害額が約2億6、000万円ということで全体の過半を占め、次いでツキノワグマ、ハクビシンがそれぞれ約5、000万円となっておりまして、特にハクビシンにつきましては、平成25年度以降、被害が増大している状況にございます。
また、作目別では、リンゴなどの果樹が約1億3、000万円で全体の3割を占めております。次いで飼料作物、水稲がそれぞれ約1億2、000万円ということになってございます。
〇城内よしひこ委員 私は鹿についてお伺いしたいんですけれども、鹿の頭数が減る傾向にあるということで新聞には出ていました。鹿の被害が2億6、000万円ということなんですが、中山間地域で水稲をつくっている方々が、一晩で全部食われるという話があります。そういったことを考えますと、電気牧柵やいろいろやっても、飛び越えられたりして大変だということなんです。適切な駆除というのはやはり必要になってくると思っています。しっかりと駆除をする、計画的にということなんですけれども、皆さんのほうで適正な計画をお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。
〇菊池担い手対策課長 鹿につきまして適正な目標を持っているかということですけれども、現在、県内の鹿の生息数は、推測ですけれども、平成25年度で約4万579頭、前年度は3万9、977頭で、ほぼ同じぐらいとなっておりまして、これを半分の約2万頭まで抑えていきたいということで、自然保護課と協力しながら、今、鹿の捕獲圧、個体調整を高めているところでございます。
〇城内よしひこ委員 今、自然保護課の話も出ましたけれども、前半で私は自然保護課にもお話をしました。しっかりと数を減らしていかないと大変であります。以前は閉伊川より上には行かないようにという話をしましたが、もう既に行っているという形になっています。どんどん広がっていきますので、これはしっかりと対策をとらないと、ますます大変かと思います。今後、頭数を減らすということをしっかりと目標に上げてほしいと思いますので、関係する猟友会であったり、環境生活部としっかりと連携をとってほしいと思いますが、再度、その思いをお伺いします。
〇菊池担い手対策課長 鳥獣被害の対策でございますけれども、特に鹿でございます。現在、鹿が県下全域に拡散しているという状況がございまして、県では、全市町村におきまして鳥獣被害防止計画というものを策定させていただきました。その計画に基づきまして、実際に鹿の駆除であるとか防除をするための鳥獣被害対策実施隊という、猟友会の方が中心となるような隊を結成していただきまして、そういった中で捕獲圧あるいは防御を高めているところでございます。
また、猟友会の方々も高齢化で人が減ったりしている状況がございますので、これも自然保護課と一緒になりまして、狩猟免許を取るための予備講習であるとか、あるいは取った方の技術を高めるための勉強会であるとかを行っているところです。さらに、鹿は町とか村の境がございませんので、広域振興局ごとに地域連絡会というものもつくりまして、地域が協力し合いながら広域的な捕獲を進めていくという体制をとっておりまして、今後ともそういった取り組みを進めていきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 猟友会の方々も本当に高齢化していますし、狩猟税という項目を見ますと、大分減っている。それを考えますと、若い人たちにも参加していただけるような、特にも集団で山を歩く際に、高齢の方々は立っているだけでも大変だ、待っているだけでも大変だという話をされます。若い方々がせことして山を歩くような体制も含めて、今後、PRはできないものかと思うんですけれども、その辺を最後にお伺いします。
〇菊池担い手対策課長 若い狩猟者の育成ということでございますけれども、現在、県下に狩猟免許を持っている方が2、800人ほどいらっしゃいます。そのうち60歳以上が65%ですけれども、平成23年度が67%ということで、若干下がっている。これは、すなわち若い狩猟者の方が、若干ですけれども、ふえてきています。
この背景といたしましては、各地域で、そういった免許を取りましょうということもやっているんですけれども、特に若いそういった希望する方を対象に、狩猟をもっと理解してもらおうと。取って、それを利用するといったところまで含めてのセミナーを県下あちこちで開催しておりまして、そういったものを受けた若い方が徐々に狩猟免許を取っているといったことがございましたので、今後ともこういった取り組みを進めて、若い狩猟者の確保を急いでいきたいと思っております。
〇郷右近浩委員長 城内よしひこ委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
城内よしひこ委員、御了承願います。
午後0時0分 休 憩
午後1時2分 再開
〇佐々木茂光副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。城内よしひこ委員。
〇城内よしひこ委員 それでは、放射性物質被害についてお伺いしたいと思います。
今、出荷制限がかかっている品目はどれぐらいあるのか、被害状況をお伺いします。
〇中村農林水産企画室企画課長 出荷制限の品目と被害についてでございますが、国による出荷制限の指示がありました県産農林水産物につきましては、9月末現在でございますけれども、牛、キノコ類、山菜類、スズキなどの海産魚種、イワナ、計13品目となってございます。
なお、国の出荷制限指示が出ていないものの、基準値を超過して放射性物質が検出された品目、これは県の出荷自粛を要請している品目がございますが、これにつきましてはキノコ類、コゴミ、タラノメなどの山菜類8品目となってございます。
〇城内よしひこ委員 そこでちょっとお伺いするんですけれども、鹿はそういったものを食べることによって─ニホンジカの検体の調査の依頼というのは来ていますか。
〇菊池担い手対策課長 狩猟で捕獲された動物につきましては、環境生活部のほうで定期的に熊、鹿、イノシシ等について、経年変化を観察しております。
〇城内よしひこ委員 それで、その駆除した鹿を食べられるようになる見通しというのは、今後どのように捉えていらっしゃるか、また、そういう準備をしているのかお伺いしたいと思います。
〇菊池担い手対策課長 鹿に限って申し上げますと、前回の調査で、検査に当たったもの全てが初めて100ベクレル以下に低下したと記憶しております。しかし、その前々回につきましては、数検体から100ベクレルを超えるものが出ておりましたので、最終的には国の判断ということになりますけれども、下がってきているという状況にあるということだけで、確実に全て下がり切らないと、恐らく国のほうで解除は難しいのかなと思っております。
〇城内よしひこ委員 駆除を促進する上でも、そういったことが早く解決するように私は望んでおります。
最後の問題に移ります。農地維持支払交付金事業についてお伺いします。
これまでの実績はどのようになっていますか、お伺いします。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地維持支払交付金の実績についてでありますが、平成26年度の県内における導入実績は、面積が農振農用地の40%に当たる約6万4、000ヘクタール、交付金総額は18億3、000万円余となっておりまして、前身の制度であります農地・水保全管理支払制度の平成25年度実績に比べて、導入面積で約1.5倍に拡大しております。
〇城内よしひこ委員 この農地維持支払交付金事業なんですけれども、いろいろ形が変わってきていますね。今後も多分形が変わっていくのかなと思うんですけれども、交付をされるために書類手続をするやり方というのは、どのようになっていますか。
〇伊藤農村建設課総括課長 まず、制度につきましては、ことしから、日本型直接支払制度として法制化されましたので、制度についてはこれまでに比べて安定的なものになったと考えてございます。
書類手続でございますが、前身の農地・水保全管理支払交付金からこの農地維持支払交付金に変わるに伴って、書類手続等の簡素化については一定程度図られたと認識してございます。ただ、地域からは、この事務手続についてさらなる軽減を要望されてございますので、機会を捉えながら、国に対しまして要望しておるところでございます。
〇城内よしひこ委員 私の地域でも、この交付金事業にチャレンジをしている方々からの声として、大変煩雑で難しいという話でした。制度が変わるたびに講習会が開かれて行くんだけれども、よくわからないという話もされますので、ぜひそういうことを解決して、しっかりと、本業である農業に専念できるような制度にしていただきたいと思って、要望して終わります。
〇千田美津子委員 私は、TPPと米価の下落対策の2点についてお伺いいたします。
まず最初にTPPですが、午前中にいろいろ質疑がございました。TPPについて、影響等は国が出していないからなかなかそれらが出せないという答弁でございました。私としては、できるだけ詳細に影響について、それから影響額も出していただきたいと思ったわけですが、影響額は難しいとしても、当県に対するTPPの影響をどのように捉えているか、その点を一つお伺いをしたいと思います。
それから、午前中の質疑の中で、国会決議に対してどう考えるかということに対する部長の答弁で、国会決議違反ではないかということに対して、国会が判断することという答弁がありました。それを聞いて、私はちょっとおかしいのではないかと感じました。
というのは、国会決議でいろいろあったわけですけれども、主要5品目については関税の撤廃の対象から除外すること、それから、国民に将来不安を生じさせないため情報公開を徹底し、利害関係者等の意見を交渉過程に確実に反映する、このような項目があったわけですが、今回の大筋合意は、これらから全く逸脱した国会決議違反だと言わざるを得ないんですけれども、その点、私は、これを見ただけでも明らかに決議違反と言えるのではないかと思うのですが、その点を一つ。
大筋合意ですから、これから国会で調印するかどうか決めるわけですが、私は当県に対する影響からすれば撤回を迫るべきではないかと思うわけですが、その点をお伺いいたします。
〇中村農林水作企画室企画課長 TPPの影響額でございますが、再三お話が出てございますが、国におきまして、11月下旬をめどに、その影響試算を含む経済効果の分析を行うという方針が示されてございます。これを踏まえまして、県としましても、速やかに県内の影響額なり定性的な影響等につきましても、試算あるいは検討をしてまいりたいと考えてございます。
それから、国会決議違反ではないかというお話でございました。きょうの報道でも、先ほど意見もございましたけれども、いろんな議論がされてございますが、いずれにしましても、それは国のほうで判断すべきということでございます。そういう影響につきまして、きちっと国のほうで、なぜそうなったのかということも踏まえて示すべきだと考えてございます。
〇千田美津子委員 今の国会決議に対する答弁ですけれども、私は県としても、農業県、畜産県岩手を本当に守るという観点からすれば、そういう弱腰ではだめだと思います。
実は一般質問の答弁で、知事のほうがもっと前向きな答弁をされていたように思うんです。というのは、協定の内容や国による必要な対策が示され、それはいいんですけれども、国会を中心に十分な国民的議論に付されるよう政府に求めたいと、そう答弁されているんです。ですから、岩手県に対しても、農家に対する影響等がすごく懸念されるわけで、そういった点から十分に国民的議論をすべきだと、そういう表明を知事はされたと私は思っているんですね。
ですから、担当部としても、そういう姿勢でこれから対応していくべきではないかと考えるわけですが、これは本当に県の農業をどうするかという問題になりますので、農業だけではありませんけれども、それについて、部長にお伺いしたいと思います。
〇小原農林水産部長 知事が答弁したのはまさにそのとおりでございます。これが国会決議違反か否かと、これは知事も触れておりません。これはやっぱりさまざまな意見がございます。ただ、岩手県にとって影響が大きいのはまさにそのとおりでございます。したがいまして、まさにこのTPP協定、それが本当にいいのかどうか、これは国会にしっかりと議論をしていただきたいというのはそのとおりでございます。
本県のみならず、全国知事会も、結局、国のほうでは全品目の関税等の結果については発表したんですけれども、依然としてこれが地方経済だとか国民生活に与える影響というのはまだ行われていないというところです。11月中という報道もございますけれども、したがいまして、政府において速やかな分析、これについては10月26日に全国知事会を通じて要望したところでございますが、これについて繰り返し国のほうに働きかけてまいります。
〇千田美津子委員 いずれ、今、地方説明会が開催されています。その中で、県を初め自治体あるいは団体等から参加をされた方々が、本当に離農を真剣に考えている方々ふえてきたと、先行きを不安視する声が会場では出されているという報道もありました。当局も参加をされていると思いますが、どういう状況だったかお伺いいたします。
〇中村農林水産企画室企画課長 全国会議それから東北会議それぞれに品目ごと、分野ごとに説明会が開催されたと承知してございますが、再三、会場の中でも、影響額等を早急に示すべきという話も出ていたようでございますが、国のほうからは、何らそういう明確な回答が得られていなかったということでございますので、そういうことにつきましては、きちっといろんな機会を通じて強く働きかけてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 TPPについては、ぜひ農家を守る、岩手県を守るという立場で頑張っていただきたいと思っています。
次の米価下落対策に移りたいと思います。
昨年の米価は、再生産ができない価格だと嘆げいています。特に大規模農家ほど赤字経営となっている現状があります。この農家の現状をどのように把握をされているかお伺いいたします。担い手農家は大体15ヘクタールくらいの方々が多いわけですが、15ヘクタールの農家の減収はどうか。それから、集落営農等は30ヘクタールくらいのところが多いわけですが、30ヘクタールの集落営農等の減収はどうなのか、お聞きします。
〇松岡水田農業課長 平成26年県産ひとめぼれの26年9月からことし8月までの相対取引の平均価格と、国が公表した平成25年産米の生産費調査により規模別に試算いたしますと、15ヘクタール規模の経営体の場合、収入額は約1、899万円、生産費は約1、180万円、これを差し引きますと820万円(後刻「720万円」と訂正)となります。
また、30ヘクタール規模の経営体の場合、収入額は3、799万円、生産費は約2、360万円、これを差し引きますと1、439万円となります。
昨年との比較をして減収額を試算いたしますと、15ヘクタール規模の経営体の場合でおよそ315万円の減収、30ヘクタール規模の経営体の場合、およそ630万円の減収となります。
〇千田美津子委員 15ヘクタール、担い手農家と言われる方々が315万円の減収だと、それから30ヘクタールで630万円ということでありました。これは生産費の出し方がちょっと違うかなと思いますので、生産費をどのように捉えているのか、お伺いをいたします。
〇松岡水田農業課長 先ほどの答弁の15ヘクタール規模の収入試算のところで、収入額から生産費を差し引いた金額を820万円と申し上げましたけれども、720万円の間違いです。大変失礼いたしました。
それから生産費でございますけれども、国が公表いたします生産費には何種類かございまして、そのうち物財費、労働費を加えた費用合計から副産物価格を差し引いた生産費を用いて試算しております。都府県の平均で11万4、000円となっております。
〇千田美津子委員 生産費の出し方で、私自身はちょっと違うなと思った部分はありますけれども、しかし、本当に頑張っている担い手農家あるいは集落営農の農家が、減収となっているわけですね。やはりそれらに対応する手だてが必要だと思います。
それで、今後の対応策としてですけれども、今生産費の出し方の御説明ありましたけれども、農機具代あるいは肥料代、農薬代だけでも1俵当たり9、666円と言われているんですね。ですから、今の米価は労賃が全く出ないものだと言われています。これでは農業経営は続けることができない、頑張っている方ほど、そのような声が聞こえています。
私の近くにおられる担い手の方々も、1町歩つくって40万円減収だったと言われております。ですから、先ほどの生産費が非常に低い額で試算をされましたけれども、現状は中山間地を含めたところも担い手の方々は頑張ってやっているわけですから、これらの頑張っている方々を支援する政策が求められているのではないかと思いますので、その対応。
それから、このままですと、耕作放棄地がますますふえてしまうのではないかと思いますので、それらに対応する抜本的な対策が必要だと考えますので、その点をお伺いいたします。
〇工藤技監兼県産米戦略室長 米価の安定に向けた抜本的な対策ということになりますと、米価の安定を見ますと、ことしの動きなんか特に最たるものだと思うんですが、国の役割、これがすごく大きいと思っております。したがいまして、国のほうで主食用米の計画的な生産、これをしまして需給の安定を図る取り組みが必要だと思っています。したがいまして、今後におきましても、こういう状況を見まして、国の需給見通し、そして需要の実績、販売、在庫などの情報を明らかにしていくとともに、これに即した生産が着実に行われるような助言を国がしていくことによりまして需給の安定が図られることを期待しておるところでございます。その上で、農業者の方々が経営所得安定対策に加入するという経営所得安定対策とのセットでやっていただくことが重要だと考えております。
〇千田美津子委員 米の問題で言えば、国の役割が重要なのはそのとおりです。ただ、国に対してどう農家の声を届けていくかという点では、中山間地帯がたくさんある岩手県としても、もっともっと農家の現状を国に示していくことが必要ではないかと思います。
それで、ナラシ対策なんですが、今年度から認定農業者とか絞られるわけですけれども、どれだけの農家に絞られてしまうのか。
それから、今後の県の対応として、この間、さまざまオリジナル品種の開発とか、それらは非常に大事ではありますけれども、抜本的な対応が私は必要ではないかと思いますので、その点お伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 まず、ナラシ対策についてでございます。
本県における平成27年産のナラシ対策の加入申請状況は、件数で、前年に比べ174%の3、602件にふえております。面積は、主食用水稲作付面積4万8、100ヘクタールの49%に当たる2万3、653ヘクタールとなっております。
今後も経営の安定に向け、引き続き、集落営農への参加や農地集積の推進、認定農業者への誘導により、対策への加入を促進してまいりたいと思います。
それとあわせて、そのほかの対策も必要ではないかということでございます。
昨年の米価下落と平成30年産からの米政策の見直しに対応できるよう、平成27年2月に農業団体と連携いたしまして、いわての美味しいお米生産・販売戦略を策定したところでございます。この戦略に基づきまして、直播栽培等の導入による労働費の低減を進めるとともに、地域の農業者に対しましては、鶏ふんの活用などを啓発するチラシを作成、配布することなどにより、資材費の低減を進めているところでございます。
引き続き、一層の生産コストの低減が図られるよう、進めてまいりたいと思います。
〇千田美津子委員 先ほど耕作放棄地がふえてしまうのではないかとお話をしました。今、農家の現状は高齢化して、それから後継者がいない米生産農家も多いわけですけれども、こういう農家は、もう農業をやめてしまっていいのだよと言わんばかりの農業になっているわけですが、これは本当に日本の米の生産基盤を守るという点からすれば、非常に後退しかねない現状ではないかと私は危惧します。そういった点で、担い手農家、大規模な農家も育成していくことが必要ですけれども、小さな農家もやってもらう、そういう農業でなければ自給率も上げることはできないのではないかなと思います。私はそういうためにも、価格保障あるいは所得補償という制度をきちんとつくっていく、これが必要ではないかと思いますが、その点をお伺いいたします。
〇松岡水田農業課長 耕作放棄地がふえるのではないかという懸念があるということは、そのとおりでございます。米の需要が減る中で、需要に応じた米の生産をしていただくこととあわせて、国の助成制度を最大限に活用しながら、園芸品目への誘導とか、飼料作物、ホールクロップサイレージ用稲など、助成を受けながら、米以外の作目への転換も進めてまいりたいと考えております。
〇千田美津子委員 確かに園芸とか他品目への誘導は結構なんですけれども、TPPの中で、野菜等も100品目以上が関税撤廃になるとか、全然保証がないわけですね。そういう中で、米から他の品目に誘導したからといって、本当に農家がやっていけるかという大きな岐路に立っているわけです。ですから、今の耕作地を守って農業を続けられる県にしていく対策が、根本的な対策が求められているのではないかと思いますので、その点を部長に伺って終わりたいと思います。
〇小原農林水産部長 米に関しては全国的な米の需要の減少と。さらに人口の減少に伴って、米自体がなかなかという状況にございます。一方、野菜についてはまだまだ需要がありますし、TPPの場合でも、鮮度なりで一応太刀打ちできると考えてございます。しかしながら、岩手県としては、米の主産地として今後も維持できるようにしっかり努めてまいりたいと思います。あとは、大規模農家は集約化なりいわゆる強い農業でいいんですが、本県の8割は中山間地域でございますので、そこはなかなか圃場整備の進まないといったようなことで集積も進まないということがございますので、今回、9月に新たな県単助成措置も講じたところでございますが、今後とも、岩手県全体の農業がよくなるように努めてまいります。
〇渡辺幸貫委員 今、15ヘクタール以上の人は1、180万円の原価、そういう話を引き算のところでやりました。それを15ヘクタールで単純に割っても、1反歩当たり7万円になるかならんかですよ。そうすると10俵とったって7、000円ですよ。本当にその生産費は、農林統計の数字ですか。その基礎をどの表からとったのか教えてください。
〇松岡水田農業課長 15ヘクタール以上の経営試算に用いました生産費は、農林統計の都府県の生産費のうち、階層別、経営規模別の生産費が国から示されております。そのうちの15ヘクタール以上の規模についての生産費を用いました。
〇渡辺幸貫委員 それは幾らか。ここにいる県議会議員の皆さんは、1俵当たり例えば1万3、000円とか1万2、000円、1俵当たり1万円を切るような生産費というのはほとんどあり得ないと思っていて、危機感を感じて言っているわけですね。けれども、さっきの話だと、7、000円ぐらいで15ヘクタールの人ができているなんてとても思えないですね、私は。その辺、本当に疑問を感じないのか。例えば種苗費だとかいろんなことが抜けているんですよ。この農林統計の欠陥があるんですね。その辺は何も欠陥はないと思っているのか。その統計についての疑問もあれば、それも含めてお答えください。
〇松岡水田農業課長 15ヘクタール規模以上の生産費は、幾つかあるうちの低い額が7万8、662円となっております。また、資本利子、地代全額算入生産費、いわゆる全算入生産費、これで申し上げますと10万71円となっております。
〇臼澤勉委員 私のほうからは、土地改良費についてお伺いいたします。
このたびのTPP協定の交渉、大筋合意を受けて、ますます米を取り巻く環境が厳しくなるという認識の中で、私も総括質疑の中で、これからの農業振興を図っていく上でお米をどこに位置づけるのかということで、知事にもお伺いさせていただきました。その中で、米については基幹的な作物で、本県の農業にとっても重要な位置づけであると、まして、環境保全、国土保全の意味からも、非常に重要な位置づけであると伺っております。
そこで、米、水田農業を支える基盤整備の状況について、まずお伺いさせていただきます。
〇鷲野農村計画課企画調査課長 本県の基盤整備の状況についてでありますが、水田整備につきましては、30アール程度以上の区画の整備率が51.1%と、東北平均の64.4%に対して10ポイント以上下回っております。また、水田整備とあわせて実施されることが多い暗渠排水などの排水改良もおくれており、水田作付が9割を占める小麦や大豆の単位収量が、東北平均を2割程度下回っている状況であります。
また、水田に農業用水を安定的に供給するための農業水利施設につきましては、昭和30年代以降に盛んに整備された施設の老朽化が進行しており、10年後に基幹的な水路の3分の1が耐用年数を超過する状況であります。
〇臼澤勉委員 基盤整備がほかの東北各県に比べてちょっとおくれている現状のようでございますが、私もこの基盤整備を進める上での課題が、大きく二つポイントがあるのかなと思ってございます。
それは、まず一つは、今もお話がありましたけれども、維持管理の面でございます。農業水利施設の老朽化、そういった維持管理のポイント、それから次は低コスト化、農地集積、耕作放棄地の話もございましたけれども、そういった集約化、ここの課題に大きく対応していかなければいけないと思ってございます。
基盤整備についての今後の取り組み方向についてちょっとお伺いいたします。
〇鷲野農村計画課企画調査課長 基盤整備の今後の対応についてでありますが、本県の水田農業が持続的に発展していくためには、生産性の向上や収益性の高い農業の実現に向けまして、水田の大区画化や排水対策、また農業水利施設の老朽化対策など、基盤整備を着実に進めていくことが重要であると考えております。このため、県では、地形勾配や区画形状など、立地条件や地域のニーズを踏まえた圃場条件の整備に取り組んでいます。
また、農業水利施設につきましては、施設管理者である土地改良区等と連携し、定期的な機能診断を実施して、緊急性の高いものから、順次、補修、更新に取り組んでおります。
〇臼澤勉委員 先ほどの米価下落の話もございました。基盤整備を進めていく上で、事業費の賦課金だとかそういった部分も大きなポイントになってまいります。ぜひ、そこら辺の対応も総合的にしっかりと取り組んでいただいて進めていっていただければと思います。
次に、農地防災事業費についてお伺いします。
農業用ダムの安全対策について、私の地元の矢巾町のほうでも煙山ダムがございます。昭和43年に国で整備して、現在、東北農政局が耐震性調査を実施しているところでございますが、調査が終われば、その結果に基づいた耐震対策工事が行われる予定とも聞いてございます。安全・安心の確保対策が非常に求められる一方で、ダム管理を国から委託されている地元自治体のほうで経費負担、そういった部分でも苦しむようではちょっと困ると思ってございまして、国、県の支援を期待するところでございます。
そこでお伺いいたします。
県内の農業用ダムの耐震性調査等、耐震対策の実施状況と今後の取り組み方向、そして施設管理者の対策工事費負担への支援策についてお伺いいたします。
〇伊藤農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 農業用ダムの安全対策ということでございます。
県内には農業用ダムといたしまして、国が所有している施設が8施設、県が所有している施設が19施設の合わせて27施設ございます。それぞれの所有者が安全対策という部分で、耐震性調査などに取り組むことにしております。堤体等の地質調査データ及び地震が発生した場合の堤体や基礎地盤の挙動解析、そういったものでダムの耐震性を確認することにしております。
これまで、国有ダムにつきましては2施設、県有ダムでは4施設の調査が完了しておりまして、これらのダムは、全て耐震性を有することが確認されております。
今後の取り組み方向といたしまして、まずもって、既存施設の耐震性を確認することが重要でございます。
煙山ダムなどの国有ダムにつきましては、東北農政局へ調査の早期完了を要請してまいりますし、県有ダムにつきましては、引き続き、国の補助事業を活用しながら調査を推進してまいります。
調査の結果、耐震対策が必要と判断された施設につきましては、国営事業ですとかあるいは国庫補助事業を導入いたしまして、施設管理者の負担軽減を図りながら、国土強靭化に資するよう対策工事を計画的に進め、安全確保に万全を期してまいりたいと考えております。
〇臼澤勉委員 震災以降地震も多発し、そして大雨洪水等、温暖化の影響もございまして、地元受益者である住民は、そこの安全対策について非常に関心を持ってございます。ぜひ、そこら辺もしっかり対応していただきながら、今後の基盤整備事業、農業の生産者やあるいは消費者の方々が安心して暮らせる地域づくりに取り組んでいただければと思います。
〇佐々木茂光副委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木茂光副委員長 質疑がないようでありますので、第1部、農業関係の質疑をこれで終わります。
次に、第2部、林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 私からは、まず県産材の需要と供給の状況、それから針葉樹、広葉樹等の取引価格の状況の推移についてお伺いをしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、県産材の需要量と供給量についてでございますが、本県における平成26年の素材需要量は129万5、000立方メートルでございまして、この内訳といたしましては、本県産材が102万2、000立方メートル、宮城県や青森県などの県外産材と、外材の合計が27万3、000立方メートルとなっているところでございます。一方、本県の平成26年の素材供給量につきましては139万8、000立方メートルと、県内の需要量を上回っており、余剰分は県外に移出されているところでございます。
二つ目の本県産の針葉樹、広葉樹の取引価格についてでございますが、製材用として取引される針葉樹の本年1月から9月における1立方メートル当たりの平均素材価格につきましては、杉の中丸太が1万2、600円、カラマツの中丸太が1万6、200円、アカマツの中丸太が1万円となっているところでございます。
これら針葉樹の素材価格につきましては、消費税増税前に発生した住宅の駆け込み需要の影響によりまして平成25年末から上昇し、杉、アカマツは平成26年の秋ごろまでに落ちつきを見せたところでございますが、カラマツは集成材や合板への引き合いが強く、その後も高値で推移をしているところでございます。
広葉樹につきましては、ほとんどが製紙向けのチップ用として取引をされておりまして、平成25年末から広葉樹丸太の需要増により緩やかに上昇しておりまして、本年1月から9月におけます1立方メートル当たりの平均素材価格は、1万円ちょうどとなっているという状況でございます。
〇関根敏伸委員 需要に対して供給量が上回っている状況という中で、針葉樹、広葉樹とも、価格は上昇傾向だと聞かせていただいたところであります。
それで、さらにお伺いしたいんですけれども、今後、この需要と供給見込みが、バランスのとれた需給の構築体制といったものが必要になってくると考えるわけでありますが、これからバイオマス発電の稼働などによります需要の拡大が予想されているわけでありますけれども、将来の需要見込みをどのように捉えているのかということ。あわせて、県の森林面積は全国でも第2位ということだと思います。さまざま森林の蓄積というものもどんどん広がっていると理解をしているわけでありますけれども、伐期を迎える森林量などから、岩手の林業という、これは量として捉えたときの供給可能量をどのように捉えていらっしゃるのか、まずお聞きをさせていただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 県内では、北上市内に整備をされました合板工場がことしから稼動を開始したほか、今お話も出ましたけれども、一戸町、花巻市、野田村の3地域で、木質バイオマス発電所の整備が進められているところでございまして、これらの施設が平成28年4月以降、順次稼働することによりまして、今後の木材需要は拡大するものと見込んでいるところでございます。
県産材の供給可能量についてでございますが、昨年の素材生産量が約140万立方メートルと、森林の年間成長量が約400万立方メートルでございまして、その約35%となってございます。
今後の木材需要量の拡大が見込まれるわけではございますが、本県の森林資源につきましては、十分な蓄積があると捉えているところでございます。
〇関根敏伸委員 そうしますと、バイオマス発電が、今後、平成28年の4月以降、順次稼働してくるということでありますが、それらが稼動した際の需要量見込みも含んだ需要量というのは、今、数値では示されていらっしゃらなかったわけでありますけれども、それを把握していらっしゃるのであれば教えていただきたいと思います。
あわせて、県の森林の蓄積量からすると、大体35%が製品として回ってくると理解をすればいいのですか。十分な蓄積、十分な供給が見込まれるということでありますけれども、この需要と供給の見込みの中で、今後の県の林業というものを成長産業として捉えたときに、需要、供給、これをどのようにこれから方向づけていくのがいいのか、どう考えていらっしゃるのかお聞かせをいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 需要見込みということでございますと、例えば、けさの報道もあったところですけれども、花巻のバイオマス発電所におきましては、年間で、燃料として7万2、000トンを使うというような話もございまして、バイオマス発電施設がふえてくるということは、それだけ、その需要がふえてくると捉えているところでございます。
対応ということでございますけれども、木材の生産供給能力を向上させるということが課題と捉えているところでございまして、県といたしましては、素材生産の効率化に向けた高性能林業機械の導入でありますとか、路網整備への支援、それから素材生産を行う事業体や現場技能者の育成ということに取り組んでいるところでございます。
今後も、国や県内の林業関係団体による需要と供給の情報の共有ということを図りながら、今申し上げた取り組みを進めて、県産材の安定供給体制の整備を進めていきたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 県はこれから林業産出額、新年度以降、新しい計画も出てくるんだろうと思いますけれども、おおむね平成26年度で200億円程度、最も森林の生産額があったときが昭和55年の419億円と資料を拝見しておりまして、その半分になっているわけでありますけれども、これは木材価格の低下が要因なのか、供給量が十分達していないのが理由なのか、そういう要因をどのように捉えていけばいいのかと思っております。
先ほどの供給量の話に戻るんですけれども、年間400万立方メートルずつ蓄積をしているのでその35%程度が供給をされるということで、今のところであれば、供給量は需要に見合ったものが安定的に供給されると聞いたわけでありますが、この蓄積の部分をさらに効率的に出していくことによって、供給量をさらにふやすということが実現できれば、岩手の林業の生産額というものも今後もっと大きなものを見込んでいくことができるんじゃないのかと思っているんですけれども、そういった部分も含めて、岩手の林業の産出の可能性というものを、将来的にどのような部分まで見込めることができると考えているのか。それにあわせて、林業というものを、生産額をマックスの昭和55年に近づけていけるぐらいの産業に育てていくことができるのか、ちょっとその辺の見通し、考え方についてお示しいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 今、将来の本県林業の見通しというお話があったところでございます。
全国的な傾向、日本全体ということになるんですけれども、将来的な人口減少というのがありますので、木材需要の中でも重要な位置を占めております住宅分というのが、将来的にはやはり減少するということが見込まれているところでございますので、そういう客観的といいますか、大きな状況の変化の中で、それと全く逆方向のというのはなかなか難しい点があるかとは正直思っておりました。
ただ、先ほど申し上げましたとおり、需要がふえていくという状況はきちっと方向性が見えておりますので、それに対応できるような形での生産の効率化という部分で、コストを抑えてよりよいものを供給するという形で、市場の信頼を得ていくということが必要だと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 県は、今説明があったとおり施業の集約化、効率化ということでさまざまな事業、支援などを行いながら、高性能林業機械等も支援して経営体を育成しているわけであります。これは農業分野と同じような方向性だと思うんですけれども、岩手の林業を考えたときに、これは農業も同じですけれども、集約ができない部分というのも当然出てくるわけであります。そういった集約化できないものにどう手入れをしていくのか、そういったところからさまざまな可能性のある木材の素材を出していくのかということを考えていったときに、大規模化、集約化という方向性の対極にあるわけでありますけれども、いわゆる小さな所有者がみずから森林に手を入れて、伐採をして搬出をして売っていくと、そういった部分も同時並行的に考えていく必要があるのではないのかとも思っております。
岩手は本当にある意味、製材品、合板、チップ、バイオマスからカスケード利用ということが言われているようでありますけれども、木を満遍なく使えるという環境整備が今ようやくできているわけでありますので、そういった需要を、環境整備を整えてきたものを供給側からもさらに細かく整えていく、あわせて森林整備も行っていくと、こういった方向性が必要なのではないのかと今思っているわけであります。そういった意味で、みずから所有している林業家が手を入れて搬出して売っていくという、自伐林家というんですか、こういった人たちを支援していく、そういった動きを促進していくという手だてもひとつ考えていってもいいのではないかと思っております。
国では、まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、林業も位置づけておりますけれども、成長産業化のために、この自伐林家を含めた多様な担い手による木材供給システムの構築というものも挙げているようであります。そういった意味からは、岩手はまさに木材の先進県でもあるわけでありますので、国の動きに呼応した形で、財源の確保はもちろんですけれども、県が独自のこういった自伐林家等々を含めた、県ならではの林業構築に向けた制度の構築ということも考えていく必要があるのではないかと思うのでありますけれども、これに対しての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 県の施策の重点については、先ほど申し上げたような安定供給体制の整備でありますとか、供給能力の向上にあるところでございます。
その一方で、県内でも、小規模林業を実践する団体が、お話がございました国の直接支援の事業も活用しながら、例えば里山の保全活動でありますとか、間伐による森林整備を行うといった事例が出てきておりますので、今後、こうした国の直接支援に加えて、県独自のというお話ございましたが、森林環境保全に取り組む団体等につきましては、いわての森林づくり県民税を活用した研修活動の支援といったことを検討してまいりたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 いわての森林づくり県民税という県独自の税もあるわけでありますので、これは5年に一度、使い道等が検討されると思いますけれども、今後こういった使い方等も含めて、ぜひ多様な角度から、貴重な財源を岩手独自の林業生産県の構築に向けた使い道に向けていただければと思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思っております。
あわせて、もう一つなんですが、これは農林水産部にお聞きするのがいいのかどうかわかりませんけれども、今、国の政府の施設の地方移転ということが取り上げられておりまして、岩手でもさまざまな移転に向けて市町村が手を挙げて、県が取りまとめて国に提案をしているようでありますけれども、森林、林業関係の施設、森林総合研究所でありますとか森林技術総合研修所というんですか、これらに対して県内の三つの市が手を挙げていると理解をしておりますけれども、移転を国に提案している、手を挙げている市町村に対して、県がどのような形で林業施策推進の立場からこれを前進させていこうとしているのか。メリットをどう捉え、課題があれば課題を整理して、どのように実現に結びつけようとしているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 国の林業関連施設の本県への移転ということについてお話が出たところでございます。
県といたしましては、市町村からの要望を受けまして、国に対して、林業関係では、八王子市にあります森林技術総合研修所でありますとか、つくば市にございます森林総合研究所の漆研究部門などの本県への移転を求める提案を行っているところでございます。
施設移転によるメリットといたしましては、森林技術総合研修所については、本県林業の課題であります担い手の育成、森林総合研究所漆研究部門については、本県は全国一の生産量を誇っておりますので、漆産業の発展に資するということが期待されるところでございます。
政策地域部によりますと、さきに行われました国のヒアリングにおきまして、政府機関が移転した場合に生じるコストなどのデメリットを上回る客観的なメリットを実証するといったことや、当該機関との連携の実績などの提示を求められたと聞いているところでございます。
この件につきましては、引き続き、国からの情報収集に努めますとともに、政策地域部とも連携して対応してまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。国の予定では、来年3月までに移転の是非を決定するということでありますので、もう半年だと思っております。コストを上回るメリットを提示するとか、さまざまな課題はあるんだろうと思いますけれども、ぜひ森林政策を推進するという立場から、市町村としっかりと手を組んで、国にメリットなり課題解決に向けたものをしっかりと提示しながら、ぜひ実現に結びつけていただきたいと思っているんですけれども、最後に意気込みも含めた取組方向等を聞かせていただいて終わりたいと思います。
〇小原農林水産部長 この施設移転でございますけれども、先ほど課長から答弁したとおり、本県においても大きなメリットがあると承知してございます。したがいまして、市町村と連携して、また、所管は政策地域部が窓口になっておりますので、政策地域部とも連携しなから、農林水産部としても資料をしっかり提供するなど、誘致に向けて努力してまいります。
〇福井せいじ委員 私も同様に、林業の振興についてお伺いしたいんですが、実は先ほど課長のほうからは需要、供給について将来も供給可能な見通しがあるという話があったのでありますが、実は私、さまざまな林業家の方からお話を伺うと、まず今活用期に入って伐採には入っているんですけれども、その後の再造林については非常にコストが捻出しにくく、再造林に対する取り組みがなされていないということを伺っております。
今、岩手県においては、伐採面積の約4分の1にとどまっていて、伐採跡地の放置による森林の荒廃や将来の森林資源の枯渇が懸念されているというお話を実際に現場の方から伺ってきたのでありますが、そういった意味において、果たしてしっかりとした再造林はなされているのかということについてお聞きしたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 平成26年度の再造林面積は、いわて県民計画のアクションプランに掲げた目標の610ヘクタールに対して592ヘクタール、97%の実績となっております。
〇福井せいじ委員 そうですか。私は、実際に林業関係者のほうからお聞きしてきたんですけれども、先ほど、小さな所有者、つまり自伐林家などにおいては、実際に自分たちは出荷しても再造林するコストが出ないと言われているんですけれども、そういったことはないんですか。
〇阿部森林整備課総括課長 再造林の取り組みでございますが、木材需要が増大している中で、将来に向かって安定した森林資源を確保していくためには、どうしても再造林が必要という認識でございます。
そういった中で、小規模な方々も、昭和40年代に一生懸命頑張っていただいております。今後とも再造林を進めていくためには、再造林コストを低減していく取り組みを進めていくことが必要と考えております。
〇福井せいじ委員 そうすると、コストが必要と考えているということですが、実際の林家、林業経営者にとっては、現在、再造林をするコスト捻出ができているか、それについてお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。
〇阿部森林整備課総括課長 現在の伐採収入で再造林経費を捻出できるのかというお尋ねかと思います。現在の状況では、伐採収入の中である程度確保はできているものと考えておりますが、一層収入を確保していくために、現在、通常より植栽本数を減らした低密度植栽、あるいは伐採から植栽までの作業を連続して行う一貫作業によってコストを下げるという、再造林コストの低減に取り組んでいるところでございます。
〇福井せいじ委員 そうすると、県は、再造林促進のために、そういった補助あるいは助成制度が設けられて、それを提供しているということでよろしいのでしょうか。
〇阿部森林整備課総括課長 委員のお話のとおり、現在、森林整備事業という補助事業がございます。これは、計画的に森林経営計画というものを策定した所有者の方に対しては高率の補助金が出る事業でございますので、そういった小規模の方々にも、団地いわゆる集約化を図って経営計画を策定していただくと、高率の補助事業を活用できるという状況になっております。
〇福井せいじ委員 そこで、今、森林経営計画がどのような形で出されているかということなんですけれども、森林所有者の中には、そういった再造林をする意欲がないということで、森林経営計画さえ出さない方がふえていると私は伺っているわけです。つまり、そういう方がふえていくと裸山がふえていって、実は県の将来的な供給能力は減少していく、そしてまた、治山能力あるいは治水能力も崩壊していくのではないかという懸念を持たれている方が多いと私は伺っているんですけれども、いかがでしょうか。
〇阿部森林整備課総括課長 現在、本県の森林所有者の約8割が10ヘクタール未満の規模の小さい方々が占めております。そうしたことから、その方々個人では、みずから経営するのはなかなか難しい状況にございます。
そうした中で、森林組合とか、あるいは地域を集約化して団地をつくって計画的な森林整備、伐採から植林といったことを行っていただくように指導しているところでございまして、そういった方々に森林経営計画の策定を進めていただいているところでございます。
〇福井せいじ委員 県は、そういった個人の森林所有者と市町村に対する森林整備計画の策定を促しているようでありますが、そういった個人の所有者への働きかけの状況、さらには市町村の森林整備計画の策定の状況をお知らせいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
〇阿部森林整備課総括課長 経営計画の策定への働きかけについてのお尋ねだと思います。岩手県の民有林全体のお話をさせていただきますと、民有林全体の21%が森林経営計画を策定しているところでございます。この中には、市町村有林、県有林、個人有林といったものを全て包含してございます。全国平均では26%ということで、全国平均よりも低い値になっておりますが、今後、森林組合等を中心にして経営計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 皆伐から再造林までの一体的な森林経営ということを視野に入れてその施策を展開していかなければ、岩手県の山は崩壊していくのではないかと私は懸念しております。そしてまた、森林所有者も、森林組合も、さらに市町村もそれを望んでいると思いますので、ぜひ、県が主体となって、岩手県の山を守るという意気込みを持って、それを進めていっていただきたいと思っています。
もう一つ、今度は、森林が整備された後の流通についてお伺いしたいのでありますが、先ほど関根委員からもお話がありましたが、今、材は、製材関係へ流れるのが一つ、合板関係に流れるのが一つ、バイオマス等のチップに流れるのが一つということで、その三つの経路があると伺っております。
今、バイオマスの発電が盛んになってきて、大量に材を使うところに流れてしまい、製材を使う業者になかなか流れないという問題が起きていると言われております。さらに再造林がなされないと、そういった製材業者には今後ますます材が行かないのではないかということを懸念している業者が多いのでありますが、その点については、県はどのようにこれから取り組んでいくかお知らせください。
〇佐々木林業振興課総括課長 材の価格ということで申し上げますと、価格が高騰してなかなか手に入らないというような状況ではないという話は伺っているところでございます。いずれ、将来的に材が足らなくならないようにというのはおっしゃるとおりでございまして、カスケード利用という言い方をするのですけれども、製材用の材、合板用でありますとか、木質バイオマス発電に使うような材というものが、レベル感がいいものから間伐材といったような未利用のものまでというようにバラエティーに富んでおりますので、それぞれの用途に合ったものをきちっと無駄なく使うという形に今後もっていって、本県の森林の蓄積を有効に使っていけるようにもっていきたいと考えてございます。
〇福井せいじ委員 今、答弁にありましたが、そういった意味では、流通の秩序というものもしっかりと構築した上で、それぞれの材の用途についてしっかりと流通させていくことが必要だと思いますので、ぜひともそういった取り組みについてもお願いしたいと思っております。
次にお聞きしたいのは、今、非常に森林に関心を持たなければいけないということを私は思っておりまして、一つ聞きたいのが、全国植樹祭についてであります。この全国植樹祭については、岩手県では前回は1974年に1回目を行っておりまして、これも、各県持ち回りと言っては何ですけれども、各県渡り歩いて全国植樹祭が開催されております。この植樹祭は、岩手県では1度開催されているんですけれども、今後について、この植樹祭についての取り組みというか、受け入れの態勢というか、今、そういったものをお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 全国植樹祭を本県で開催することは、自然豊かな本県のよさ、あるいは震災からの復興の姿を全国に発信できる絶好の機会となるものと認識しておりますが、本県での開催については、天皇皇后両陛下の御臨席のもと開催されるものでございます。主催者である公益社団法人国土緑化推進機構の意向や、さまざまな方々から御意見を伺い、幅広く検討していく必要があるものと考えております。
〇福井せいじ委員 今お話ししたように、さまざまな要件、条件を整備する必要があると私も思っております。そしてまた、経費も非常に多大なものだと伺っております。そういった意味では、新しい植樹祭のあり方を提案しながら岩手県に誘致するということがあってもいいのではないかと私は思っております。こういった点について、部長に何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 全国植樹祭でございますけれども、昭和49年に開催してから既に41年が経過してございます。順番からいけば、本県もいずれ検討すべき時期と考えております。確認しているところ、おおむね平成31年あたりまでは都道府県が決まっているやに伺っておりますので、それ以降の開催について検討していきたいと考えております。
その予算なんですけれども、最近の例をお伺いしますと、県の負担額が約5億円から6億円といったような多額の負担というものもあるわけでございますので、企業からの協賛金、緑の募金、さらにはそのあり方の見直し、いわゆる岩手らしさでの植樹祭というものも含めて、今後検討してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 私からは水産業の振興についてお伺いいたします。
まず1点目、漁業担い手確保・育成総合対策事業費に関連いたしまして、震災前と後の漁業者数の推移、あわせて、この事業の成果が出ているとはお聞きしていますが、改めてこの成果と課題についてもお願いいたします。
〇山口漁業調整課長 震災前後の漁業就業者数等についてでございますが、漁業就業者数は、震災前の平成20年に9、948人であったものが、平成25年には6、289人となっております。
県では、平成26年度、水産業普及指導員等によりまして、18漁協で、39名の新規就業者等の国の漁業研修事業の実施を指導して、担い手の確保、育成に取り組んでおります。また、養殖カキやホタテガイなどの生産の再開と回復に向けましたがんばる養殖復興支援事業等を指導するなど、震災からの漁業、養殖業の早期復旧を支援してきたところであります。
震災前からの漁業就業者数の減少が継続しておりますので、今後は、担い手確保の取り組みが課題と考えております。各漁協の地域再生営漁計画に掲げられました漁業担い手の確保、育成などの取り組みを支援していくこととしております。
〇中平均委員 大きく減っているということでございます。今、新規就業者の支援内容等も含めてお聞きしましたけれども、その支援内容がいまいちはっきり見えてこないというところもあって、もう一度詳しくお聞きしたいのと、あとは、新規に独立した漁業者の方、例えばいろいろな船に乗っていて、今回新しく船を買って独立したという方は、数は少ないですけれども、出てきていると私も実際聞いておりますし、例えば、これからの漁業従事者も、どんどん高齢化が進んでいる中で、30代の方とかが出てきているんですが、そういった方への県としての支援とか、どのようなことを今までやってこられているのかお聞きします。
〇山口漁業調整課長 具体的な支援ということでございますけれども、まずは、国の新規就業者の対策事業につきましては、地域再生営漁計画でも、その参加について掲載しておりますが、漁業就業フェアの県内開催支援、市町村の新規受け入れ態勢の構築を今まで進めてまいりました。
また、新規に独立しました漁業者などの支援につきましては、今まで、地元漁協の青年部もしくは研究会等の活動を通じた新技術などの支援をしてきたところでありまして、今後は、市町村と連携いたしまして、新規就業者の定着が図られますよう、技術指導、住居のあっせんなどの総合的な確保、育成の取り組みを進めてまいります。
〇中平均委員 独立した漁業者の方というのは、先ほどの1部の農業のほうだと、ニューファーマーが何人ふえてということがありましたけれども、例えばこういう数字は県としては把握されているのか。それが1点。
あと、新規独立した方の住居のあっせんとか、新規に従事された方というのは、今までの支援の中でそういうこともやられてきていて、当然だと思うんですが、漁業権の関係もあって、基本的には地元の生産部なり漁協なりに所属しながらやられている方に対する支援としてやっているというのでは、ちょっとピントがずれているのかなという感覚もあるんですけれども、この2点についてお伺いします。
〇山口漁業調整課長 新規の漁業就業につきましては、独立型ですと、初期投資がなかなか大変だということで、基本的にはどこかに雇われるというような形になっておると思います。
新規就業者の数につきましては、毎年度、県で漁協を通じて確認しております。
住居等のあっせんにつきましては、今まではなされておりませんでしたけれども、昨年度、宮古市に受け入れ窓口となります市町村協議会ができましたので、そのようなところと連携しまして、今後取り組んでいきたいと思っております。
〇中平均委員 今お聞きしたのは、新規就業者の方で、例えば学校を終わってとか、Uターン、Iターンで地元のほうに戻られて生産現場に入られる、また、漁協の船に乗って働く方とか、養殖施設のほうに入る方とかという趣旨のことだと思うんです。住居のあっせんがこの間から始まったというのもちょっとびっくりしたところでもありますけれども、そこはもっと充実していくのは当然ですけれども、今言ったのは、そういうところに勤めていて、例えば養殖のところで従業員、漁業従事として働いていて、その方が地域の漁業者の後継者として漁業権を取って新しく養殖をする、新しく船を購入してやるといった際のいろいろな助成であったり、補助であったり、そういうものが漁協からあるのは存じ上げていますけれども、それ以外に県として今まであったのか。ないとすれば、これからそういうところに目を向けていかなければ、震災前の9、900人が、今は6、200人となっている中で、生産量もやはり減ってくるのではないかと思うんですけれども、その点についてもう一度お願いいたします。
〇山口漁業調整課長 県の事業といたしまして、新規に加入された方に対しての例えば生活費等、もしくは初期投資を支援するような事業は今までございませんでした。県内では陸前高田市、山田町など全部で4市町村だと思いましたけれども、独自に研修費として支払う制度がございます。そういうものを今まで新規就業者に対して漁協としては支援したりしておりましたけれども、県としてはやっておりませんでした。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 今、新規就業者の、特に勤めていた方々が、あるいは漁業に従事していた方々が新たに就業して、漁船を整備して、そのための助成等はどうなのかというところでありますが、先ほども申しましたように、直接そういう補助をして新たな漁業者の方々に助成するという制度はございませんが、船を用意する、あるいは設備を用意するという方々に対する融資制度はございます。ですから、今のところ、そういうものを使用していただいている例が多くございます。
また、特に新しい船を整備して漁船漁業を始めるという方々については、新規の漁業許可の枠をそういう方々に配分するという制度もございますし、養殖について、新規に入っていくような場合には、私どものほうでも、そういう新規就業者が参入できるようなことを漁協に助言しております。
〇中平均委員 農業の分野と比べると、どうしてもちょっと薄いのかなと。御存じのとおり、新規に入ってくるというのもなかなか少ない。漁業権の関係もあってという業種でもありますけれども、だからこそ、数が少ない、これからを担っていく人たちのさらなる支援ということを、今後の検討をきちんとしていただいて、次年度以降にこれは取り組んでいただかなければならないと考えておりますので、この点はよろしくお願いしたいと思います。
次に、ただいまのものに関連いたしますけれども、水産業をこれからやっていく、人をふやしていく、産業を発展させるということには、いろいろな技術化、また6次産業化を言われている高度化とか付加価値化というものをつくっていかなければならないのだろうと思うんですが、そこで、水産業の復興を支援するためのということで、省エネ、効率化の技術開発を県のほうで行っているということでありますが、平成26年度までの実績の件数と、代表的な新規技術というものはどういうものを開発してきたのかをお伺いします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 平成26年度までの実績についてでございます。本県の水産業を復興するに当たりまして、持続的に漁業、養殖業の生産体制や水産物の高付加価値化の技術を導入していくことが必要でございますので、県の水産技術センターで、一つはワカメの大規模な養殖をする際に、ワカメを刈り取る装置、これらの省力化機器を開発しておることもございますし、例えばイカの鮮度を保持するために必要な技術の開発などに取り組んで、平成26年度までには5件の新規技術を開発しているところでございます。
このうち、特に漁獲直後にスルメイカの神経を切断することによってエネルギーの消費が抑えられるという生け絞め技術というものがございますが、これは、鮮度保持の期間を、今までの氷などで鮮度を保持する場合に比べて延長を可能にしております。
また、ウニなどについて、電気を通して均一に熱処理することが可能な通電加熱技術というものがございますが、品質の向上を可能にすることから、本県の水産物の付加価値向上あるいは水産物の新たな加工品の開発につながるものだと考えております。
〇中平均委員 いろいろな技術を開発してきているという中で、通電加熱技術も、資料をいただいているものを見ると、解凍しても溶けない冷凍ウニとありますし、これからほかの産地に負けないでやっていくというところをどうやっていくのか。先ほどのイカの件も、ちょうど3年ぐらい前からでしょうか、久慈のほうでやっているということもあります。ただ、なかなかそれが普及していかないという点もあります。そういった点を含めて、今、5件つくったという話もありましたが、水産業の現場に対する実際の普及実態はどういう形になっているのかというのをお願いいたします。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 新技術の普及実態ということでございます。先ほど申しましたスルメイカの生け絞めの技術につきましては、今、委員がお話しになりましたように、久慈地区の漁業者が中心になって取り組んでおるということで、試験販売を行いました東京周辺の量販店におきましては、販売直後にすぐに売り切れるなどの高い評価を受けたところでございます。今後、久慈地区におきましては、都市部での販路開拓、あるいは地元での利用拡大などに取り組むこととしているところでございます。
また、先ほどの通電加熱でございますが、県内の加工業者において、メカブの殺菌処理あるいはイカをすり身にして加工する技術に利用されています。そのほかに、これまで困難とされておりましたウニを冷凍して保存する加工技術も、今後、実用段階で活用されることになっておりまして、本県水産物を原料といたしました新たな加工品開発が進んでいると考えております。
〇中平均委員 ウニの冷凍技術は本当にすごいと思うんですけれども、それも使われなければそのままになってしまう。6次産業化と言われていますけれども、生産の現場もですし、こういった加工をしていくときに、いろいろな整備をするためのお金というのも当然必要になってくるんですが、そのための整備をするのにどういう補助なり助成があって、例えば農林水産部だけでなくて、県の商工労働観光部が持っているさまざまな融資制度もありますけれども、そういったものを連携させていきながら、極力、イニシャルコストの負担を少なくして、軌道に乗せるための行動をしていかなければならないと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 現在開発されている技術を普及するに当たりまして、生産者、加工業者への技術普及というものが一番大事なことだと思っておりますし、さらに、機器を導入することも重要でございます。これについては、国の制度を利用するような仕組みもございますので、この点で助成することは可能であると考えております。
また、そのほかにも、生産いたしました加工品あるいは生鮮物等につきましては、商談会を開催したりとか、あるいは大手量販店と連携するなど、関係者が相互に連携してさまざまな点について取り組むことが非常に重要だと考えております。今後も継続して新たな技術を広く生産、加工現場に普及いたしまして、本県水産物を活用した商品づくり、販路拡大に取り組んでいきたいと思っております。
〇中平均委員 どうやって生産して加工していくかというところも含め、それを流通させて販路を広めていく。販路を広めていくためにはブランドもきちんとつくっていかなければならない。そういった点を含めれば、農林水産部の果たす役割は非常に大きいですし、そのほかにも他部局ともきちんと連携しながらやっていかなければならない。これから、部局間連携をやっていきながら、その点をどのようにきちんとやっていくのかという点、あとは、厳しい予算という中で、県のほうでどうしても予算が足りない中でやってきている。そうすれば、県も含めて、民間の資金をどのように導入していくのか。さまざまな民間の事業団の基金を使ってやっている自治体の例もあります。そして、ブランドをつくっているところもありますので、そういった例を踏まえながら、今後の水産業の振興ということをどのように考えているかお聞きして、終わります。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 生産、加工、販売について、農林水産部関係だけの所管では十分対応し切れない部分も出てくるものと思われます。そこで、商工関係の皆さんとも一緒に連携しながら、例えば、先ほど申しましたような商談会とか、あるいは加工品の開発、新しい技術の開発なども、水産だけではなく、連携していかなければならないと考えております。
製品開発におきましても、工業技術センターとか生物工学研究センターなどと水産技術センターが連携して対応している例もございます。そういうことも拡大して、新しい技術開発をさらに進めてまいりたいと思います。
先ほどの、例えば久慈地域でイカの試験をやる際には民間の資金を導入しているということもございますし、各漁協でも販路開拓のためにさまざまな資金導入をしているという事例もございます。このような取り組みを、私どもとしても一緒になって支援しながら対応していきたいと思っております。
〇小野共委員 私からは、久慈市の水産加工会社大原商店の一連の問題についてお聞きしたいと思います。
この3月、共同利用施設の鳥の残渣処理施設で、補助事業の目的外使用の事案が発覚いたしまして、平成24年度分補助金の一部、これは県としての前払い金でありましたが、2億3、700万円の返還の義務が発生いたしました。続きまして、その翌月の4月、大原商店の債務から、平成23年度の共同利用施設の補助事業によりまして購入した設備は遠心分離機でしたが、競売され、この遠心分離機の補助金の分の返還義務が発生しております。都道府県に対する国の補助金を活用した事業の不祥事という意味では、緊急雇用創出事業の例の大雪りばぁねっと、DIOジャパンと同じような事案かと思っております。
一連の事案の原因をどう思っているのかというのを聞かせてください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 大原商店の補助金返還事案の原因についてでございます。
平成24年度水産業共同利用復旧支援事業につきまして、大原商店が、補助金交付申請時から、補助目的外であります鳥残滓処理機器の導入を計画し、実際に整備を行い、補助金を当該機器の整備に充てたことから、補助金交付契約を解除したところでございます。
また、平成23年度事業につきましては、大原商店から請負業者への工事代金の未払いがございまして、遠心分離機1基が競売によって売却され、財産処分に至ったことが原因でございます。
これらの事業は震災からの復旧事業でございまして、国への事業計画書の提出の際には、国の要綱等で求められている事業内容や事業費の妥当性について審査いたしましたが、そのほかについて、震災からの復旧、復興のための緊急支援の姿勢を最優先としまして、国の要綱等で求められていなかった設備の詳細な内容や事業実施主体の資金調達計画などの審査までは実施しなかったものでございます。
農林水産部では、平成26年度に、補助事業事務処理基本マニュアルを策定いたしまして、補助金交付申請前に事業実施予定者からの事業計画の提出を求めるとともに、必要に応じて事前協議、打ち合わせを行うこととしたところでございます。
また、広域振興局で執行する補助事業につきましては前金払いに当たり、本庁職員が二重にチェックを行うなど、その妥当性について随時確認をしているところでございます。
〇小野共委員 この補助制度は、震災以後、平成23年度の1次補正か何かですぐ始めていただきました事業でありました。平成23年度の1次補正で18億円ですか、同じ2次補正で193億円と、すごく莫大な補助金が国の予算でついております。当時の混乱の状況の中で、すごく素早く対応していただいたと思っております。でも、職員の数は変わっていない中で、この規模の予算を適正に執行することができるほうがおかしいと私は思うんです。それで、農林水産部のほうにも手落ちがあったんだ、これは完璧にできなかったんだということを認めてほしいと思います。少し話を聞かせてください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 震災からの復旧事業でございまして、平成23年度、平成24年度は相当な事業量を一人一人の人間がこなしてまいりました。その中で、今回の事案につきましては、国の要綱、要領が示され、それに基づいて事業内容をチェックし、あるいは事業費の妥当性というものを審査したものではございますが、例えば要綱、要領で求められていない部分につきまして、さらに詳細な設備などの内容を確認といいますか、そういう審査までは行われていなかったというのは、そのとおりでございます。
〇小野共委員 わかりました。
続きまして、返還金支払いの履行延期についてお伺いしたいわけでありますが、鳥の残渣処理施設の2億3、700万円の前払い金は10年の延期ということになっておりますし、競売分のほうが1、635万円の返還金になっておりまして、これは3年の延期となっております。鳥の残渣処理施設の2億3、700万円の前払い金のほうは、3月22日に、久慈市冷凍水産加工業協同組合のほうから本庁に10年の延期の申し入れがありまして、翌日の23日に10年の支払いの延期を承認しております。競売分のほうは、3年の延期に対しまして、5月28日に久慈市冷凍水産加工業協同組合のほうから延期の申請がありまして、その5日後の6月2日に承認しております。
単純に考えまして、どういった審査があったのかと思うところでありますけれども、この10年と3年の期間のそれぞれの根拠を聞かせていただきたいと思います。
〇瀧澤農林水産企画室管理課長 平成23年度事業、平成24年度事業それぞれの返還金の支払いの履行延期についてでありますけれども、久慈市冷凍水産加工業協同組合からの履行延期申請の内容が、債権の管理に関する規則に基づく財務状況の基準に合致していること、返還金の回収には、履行延期を行うことにより久慈市冷凍水産加工業協同組合の経営安定を図ることが必要であると判断いたしまして、履行延期を承認したものであります。
履行延期の期間につきましては、久慈市冷凍水産加工業協同組合が無資力またはこれに近い状況にあることから、債権の管理に関する規則第16条に基づいて、最大10年間の延期が可能であるところであります。
御質問の平成24年度の鳥の事業分に係る返還金につきましては、久慈市冷凍水産加工業協同組合は、大原商店に対し請求している返還金で県への返納を予定しているところであります。大原商店からの支払いに時間を要することが想定されたということで、一定程度の延期期間が必要であると考えられ、申請どおり10年とすることはやむを得ないとしたものでございます。
一方、平成23年度、これは競売にかかった物件なんですけれども、これにつきましては、補助金相当額の納付金についても大原商店からの返還金で県へ納付することを予定しているところであります。その金額が、相対的に平成24年度事業と比べて10分の1以下と小さいことと、久慈市冷凍水産加工業協同組合が弁護士と相談の上、妥当と判断したものであることなどから、申請どおり3年としたものでございます。
〇小野共委員 例えば3月22日に10年の延長を申し出られたと。10年がマックスですので、10年と認めたと。1日で何が審査できるのかという話だと思うんです。3年延期の話も同じ話なのだろうと思います。10年がマックスだからと10年延長しましたと。当然、久慈市冷凍水産加工業協同組合の資力を見ても、大原商店の資力を見ても、今払うということが不可能だというのは誰が見てもそのとおりなんだろうと思います。ただ、それを、なぜ10年で払えるというのを判断できるんですか、3年で払えるというのを判断できるんですかという話になるのだろうと思います。その前に、弁済計画なり経営の改善計画なりを出させて、それを見てからの判断になるはずだと思うんです。それが筋だと思うんです。だから、なぜそれが1日あるいは5日でできたのかと。それをもう一回聞かせていただきたいと思います。
〇瀧澤農林水産企画室管理課長 返済計画があって、初めてそういった判断ができるのではないかということでございますけれども、平成24年度事業分、3月の履行延期の部分につきましては、大原商店は、鳥の残滓処理施設を整備したことはその時点で認めましたけれども、返済計画を作成するような状況にはなかったというのが一つございます。その中で、履行延期を承認しないと、久慈市冷凍水産加工業協同組合からの返還金には年率10.95%の延滞金が発生するといった事情もございまして、県への返還金額がさらに増加することを防ぐ必要があったということで、承認をしたということでございます。
〇上田副部長兼農林水産企画室長 今の答弁につきまして補足をさせていただきます。
手続の日数についてのお尋ねがございました。確かに、書類で残っております日付についてはそうでございますが、こういった事案が発生した当初からさまざまなやりとりを当事者である久慈市冷凍水産加工業協同組合と、大原商店については、残念ですが、間接的なお話になりますけれども、そういった話し合いを通じながら、こういった方向でということでの方向づけをさせていただいたというものでございまして、内部といたしましては、非常に限られた時間でございましたけれども、可能な限り十分な審査をした上で、このような決定をさせていただいたと認識しております。
〇小野共委員 そうすると、言いかえれば、弁済計画に十分な妥当性があったと、それでよろしいんですか。
〇上田副部長兼農林水産企画室長 妥当性につきましては、委員から先ほどお話がございました、例えば通常の場合ですと、返済計画なりを示していただき、それに基づいて審査を進めるという手続を踏むということが望ましいものかと思っております。ただし、今回の場合につきましては、大原商店がそれに協力をしていただけないような事情があり、久慈市冷凍水産加工業協同組合が今回の履行延期の主体でございますので、その中でさまざまなものを、例えば償還計画なりを久慈市冷凍水産加工業協同組合のみで作成するというのは非常に困難であったろうと存じます。といいますのも、久慈市冷凍水産加工業協同組合の償還財源は大原商店の返還金を充てるといった内容でございました。そういったことから、十分かと言われると、なかなかそうは言い切れないところがございますけれども、当時としてはぎりぎりの判断で、このような判断をさせていただいたものと考えております。
さらに、履行延期を認めるに当たりましては、条件として、例えば状況等が変わった場合には、期間の変更なり、あるいは分割納入とか、そういったものも可能であるような条件を付した上で承認を与えたものでございます。
〇小野共委員 一連の説明なり、いただいた資料を見ていると、順番というものを本当に検討してやっているのかという不安を抱かせるような資料だったものですから、こういう質問をさせていただきました。了解です。
次は、何かありましたときには、またさまざまな事情に対応しながら、筋を通して─筋を通すというか、きっちりと審査していただいてやっていただきたいと思います。
続きまして、今回の共同利用施設の制度上の不備というか、そういうものの指摘を1点させていただきたいと思うわけでありますが、共同利用施設は、補助対象者と設備の所有者が違っているんです。例えば、同じ任意の事業者をグループ化して、そこに補助金を入れるという、いわゆるグループ補助金の場合でありますが、グループ補助金の場合だと、グループを便宜上つくっておりますが、補助対象先は個々の事業者で、所有者も個々の事業者です。補助の対象事業者とその設備の所有者が同じであります。だから、今回は、もし、グループ補助金でやるのであれば、個々の事業者の弁済不能、いわゆる大原商店の弁済不能が久慈市冷凍水産加工業協同組合の責任になるということはなかったわけなんです。でも、その共同利用施設の場合は補助の対象者が久慈市冷凍水産加工業協同組合になっておりまして、設備の所有者が大原商店になっているから、所有権を持つ大原商店の設備に競売が打たれたときに、結局、最終的に返還の義務が補助対象先である久慈市冷凍水産加工業協同組合に行ってしまうという、ちょっと複雑な制度になっていると思うんです。この制度のことをどう思いますか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 久慈市冷凍水産加工業協同組合の補助金の返還に関係してでございます。この事業は、東日本大震災津波で被災いたしました水産業共同利用施設の機能回復を支援する目的で設けられた水産庁の補助事業でございまして、震災後に創設されたものでございます。グループ補助金とは異なりまして、被災した大原商店の水産系加工残滓処理施設を久慈市冷凍水産加工業協同組合が借り上げ、その上で修繕あるいは設備の交換を行って、その施設を組合員の間で共同利用するという構成になっております。
このことから、久慈市冷凍水産加工業協同組合が事業主体となって県と補助金交付契約を締結したものでございます。補助金相当額の返還義務は、そういう意味から久慈市冷凍水産加工業協同組合が負うことになるものでございます。
ただ、一方で、久慈市冷凍水産加工業協同組合は、大原商店に対してこの補助金相当額の求償権を有しております。現在、その支払いを求めているところでございます。
〇小野共委員 ほかの都道府県でも同じような事案があったかどうかというのは把握していますか。こういった個々の債務者の債務を、競売されて、補助対象先が返還義務を最終的に負うというような事案というのは私は考えられないわけでもないと思うんです。震災後、ほかの都道府県の何か事例を持っていれば聞いてもいいですか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 他県の事案につきましては承知しておりません。
〇小野共委員 調べていただきたいと思います。
今回の事案が、我々被災県が経験した本当に重要な教訓になると思います。今回、こういったことがありましたので、できるだけ制度はシンプルであるほうがいいといったような話を、今後、制度をつくっていく上で考えてほしいというのをぜひとも国のほうに上げていただきたいと思います。
最後の質問なんですが、大原商店は、現在、国と県と市に負っている債務が、鳥の残渣分の目的外使用の分が2億3、700万円、競売分が1、635万円、合計で2億5、300万円の債務の返還義務を、表に出ているだけでも負っております。マスコミ報道等によりますと、大原商店自体の債務が8億6、000万円であるとか、かなり多額な債務になるわけですが、平成24年6月の決算で売り上げが1億2、000万円でありますとか、先ほど来議論がありますように、恐らく債務の返還がかなり難しいのだろうと。払えないと、これも先ほど来言っておりますが、最終的には補助対象先の久慈市冷凍水産加工業協同組合が払うという義務が発生しているわけですが、久慈市冷凍水産加工業協同組合の売り上げにしても、直近の売上高を見ると5億円で、かなりこれも厳しいのだろうと思っているところでありますが、この返還の実現性をどう考えていますか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 大原商店の債務の返還についてでございます。大原商店につきましては、ことしの8月、税理士に依頼いたしまして、会社の再生スキームといいますか、そういうものの素案を作成して、久慈市とともに各債権者に説明したところでございます。
説明した内容をさらに詰めるということで、現在、大原商店では、久慈市の支援のもとに、公認会計士に再生計画案の作成を依頼しておりまして、年内をめどに、各債権者に改めて説明すると聞いております。県といたしましても、この計画案の内容を注視してまいりたいと考えております。
〇小野共委員 最後にいたします。今後のそれぞれの進捗状況に応じまして、常任委員会等、あるいはこういった機会に逐一報告いただきたいと思います。
〇佐々木茂光副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
午後2時56分 休 憩
午後3時17分 再開
〇郷右近浩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、城内よしひこ委員。
〇城内よしひこ委員 それでは、私から3点についてお伺いします。
まず最初に、松くい虫対策についてであります。平成26年の実績はどのようになっているか、お伺いします。
〇漆原整備課長 松くい虫等防除事業等により、未被害地域への被害の拡大を防ぐため、伐倒薫蒸や焼却等の被害木の駆除を約1万1、000立方メートル、また、毛越寺など重要な松林を守るための予防措置として薬剤散布を68ヘクタール実施するとともに、重要な松の幹に単木的に薬剤を注入する樹幹注入を740本に実施したところであります。
〇城内よしひこ委員 今後、県内に蔓延するようなことはないのか。また、そういう見通しと、課題もあわせてお伺いします。
〇漆原整備課長 被害量は、近年4万立方メートル前後で横ばいとなっているものの、平成26年度は新たに八幡平市と岩手町で被害が確認されるなど、被害先端地域での拡大防止が喫緊の課題となっております。
また、被害が蔓延している地域では、通常の駆除では被害収束が難しいことから、松林を松以外の樹種に植えかえる樹種転換を進めていくことが課題となっております。このため、引き続き、被害先端地域では、松くい虫防除監視員の配置や航空写真による被害木の早期発見、市町村と連携した被害木の徹底駆除に取り組んでまいります。
また、被害が蔓延している地域では、史跡、名勝など、公益性の高い松林を中心に予防対策を徹底するとともに、今後さらに樹種転換を促進するため、木質バイオマス発電施設や大型木材加工施設等に向けた松材の利用を積極的に進めてまいります。
委員からお話のありました被害が北上、蔓延することがないのかという問いに対しては、八幡平市、岩手町では、平成27年度については被害が確認されておりません。引き続き、最先端部地域については、最大限監視を強化し、徹底して駆除してまいりたいと思います。
〇城内よしひこ委員 岩手の山を守る意味でも、ぜひしっかりと対策を講じてほしいと思います。よろしくお願いします。
次に、サケについてお伺いしたいと思います。サケの回帰状況についてお伺いします。
水揚げをされた昨年のサケは、4年魚よりは思いのほか5年魚のほうが多かったということで、単価に助けられたというんですか、そういうことを現場の方々がおっしゃっていましたけれども、ことしの状況はどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 昨年と比較をいたしまして、現在のところ、大体同レベルの回帰状況になっているところでございます。
〇城内よしひこ委員 そこで、同年ということなんですけれども、4年前に震災があって、その時期に放流したサケが少なかったということで、今後メーンになる後期群が少し薄れてくるのではないかと心配をするんですが、回帰状況が昨年同様だということですけれども、これからの本番、シーズンに向けた回帰の状況というのは、どのように捉えているかお伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 今年度のサケの資源の回帰状況につきましては、回帰の主群となります4年魚、これは震災後のふ化場の復旧がまだ整備が途上でございましたので、放流数が2億9、000万尾が放流された群が今年度回帰してくると。そして、震災の年に放流された稚魚が5年魚で回帰してくるということもございまして、回帰尾数で約510万尾、重量では1万7、000トン。若干前年を下回るという予測をしているところでございます。
〇城内よしひこ委員 今シーズンはサンマもイカも不漁で、震災復興した冷蔵庫がなかなか満杯にならないという話をされていました。加工業者もサンマが高くてなかなか加工に回すような状況にはないんだということで、大変皆さん苦慮しております。そこで、やっぱりサケというのは岩手にとっては大事な資源でありますので、サケの資源の造成というんですか、今後どのような見通しになっていくのか。ぜひこれは希望的な答弁が欲しいんですけれどもどうでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの資源造成につきましては、どうしても稚魚を放流してから帰ってくるまで4年間かかります。したがいまして、現在、放流したものが4年後の資源になりますので、とにかく親魚を集め、卵をとり、そして4年後に備えて稚魚を放流していくということが必要になってまいります。そのために、回帰する親魚が昨年と同様、ことしも非常に少ないと予測されておりますので、海の定置網で漁獲したサケをふ化場に運んで、一定期間養成をして卵をとるとか、河川に遡上したサケの親魚からは全部卵をとるということで各ふ化場のほうで進めております。目標としている4億尾の稚魚をしっかりと放流して4年後は、できれば震災前、あるいはさらにそれ以上の漁獲を期待しております。
〇城内よしひこ委員 今の答えは、定置網からということでありましたけれども、昨年はそれに対するいろんな手だてというんですか、補助があったはずでありますが、ことしもそういった補助メニューというのは使えるのか、また、そういうものをもって魚卵の確保ができるのか、ちょっと確認したいと思います。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 昨年度は定置網からサケを導入する場合、1匹当たり幾らという助成が出ておりました。今年度も同様にその予算は組んでおりますので、十分に充当させていきたいと思っております。
〇城内よしひこ委員 いずれ、前浜が元気でないとなかなか、被災地も含めて沿岸部の元気が戻ってこないと私は思っていますので、サンマもイカも不漁だったことしをカバーするとすれば、アワビは若干値段がいいようですのでその辺は期待をしていますけれども、サケにやっぱり期待をしたいなと思っております。ぜひその点についてはお願いします。
次に、漁港整備についてお伺いします。
重茂地区の音部の掘り込み漁港、これは震災直後、掘り込みにしてということで、復興のシンボルとして重茂漁協の方々は大変期待をした整備事業であります。なかなかそれが形になって見えてこないということで、どうなったんだろうということを皆さんおっしゃっていましたので、この進捗状況がどうなっているのかお伺いします。
〇阿部漁港課長 県では、宮古市重茂地区音部漁港におきまして、地元の要望を踏まえまして、掘り込み式の漁港整備計画を平成25年度に策定しました。これまでに必要な護岸道を整備してきたほか、掘り込み部につきましては、測量や用地買収に係る調査がほぼ完了しております。現在、詳細設計を進めているところであります。
〇城内よしひこ委員 完成はいつごろを目途としているのか、お伺いします。
〇阿部漁港課長 本漁港につきましては、平成29年度までの計画となっておりまして、あと残り2年余りとなっておりますけれども、今後、用地測量や地権者との交渉などを鋭意進めまして、早期完成に向け取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内よしひこ委員 なかなか明言をしてもらえないのでちょっと寂しいんですけれども、早期完成ということですので、目標期限内に間に合うようにお願いします。
〇阿部漁港課長 私どもも、地元漁協や漁業者の掘り込み漁港の早期整備にかける熱意は十分承知しております。これに応えるべく、できる限り、早期に完了するよう全力で取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 秋サケに関連をしてお伺いしたいと思います。
沿岸の有力魚種でありますこの秋サケは、トータル100億円産業と言われてまいりました。そういう中で、東日本大震災で111漁港の中の108漁港が被災しまして、それらはおかげさまで全て復旧に向けて着工しているわけです。市場等も改修が進んでおりますが、大事なことは、店をきれいにしてもお客さんが来なければ商売にならない。まず、これが第1点だと思います。
今、城内委員からもありましたが、サンマもそのとおりでございまして、当然これからは秋サケに期待をするわけでありまして、各漁協のまさに有力換金魚種となるわけでありますけれども、平成8年の7万3、000トンを最高にずっと急落をしてまいりまして、東日本大震災の影響を受けた結果、昨年が2万トン弱、ことしも同じ程度ということのようでありますが、私はこの間、いろんな意味でトータルの研究をするべきだということをずっと提案してまいりました。
つまり、人間がふ化放流してあとは海に任せる、海の神様にお願いをしますということでは、いかんともしがたいものがあるのではないかとずっと言ってきたところでありますが、ようやく、このごろになりまして、母なる川を下ったサケは、岩手県沿岸海域で若干暮らした後に津軽海峡を経てオホーツク海に入って、ベーリング海に行って、それから千島に行って、70センチメートルぐらいに成長して戻ってくるということは調査結果が出てきたようであります。ただ、オホーツク海に行って何センチメートルまで成長するかとか、あるいはベーリング海に行って幾らまで成長したとか、そういった研究が一切まだなされていないわけであります。したがいまして、ふ化放流事業にかけるお金の一部を、海のいろんな状況も変わってきていますし、地球上の天候の状況等も変化しているわけでありますので、そういう学術調査も一緒に研究を進めていかなければ、この先、ただふ化放流を一生懸命やって海に放して、帰ってきてくださいだけではいかんともしがたいのではないかと思うわけでありますが、その辺はいかがお考えでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 現在、国の先端技術開発事業を導入いたしまして、サケがどのようなルートを通ってどのように回帰してくるかという観点からの研究もいたしております。
まず、沿岸の流域河川から出た段階で、湾から出た直後の春先の稚魚の移動状況を確認して、海に出たばかりの稚魚がどれくらい生き残っているか、あるいは船で調査した、とられるかというところの数と、4年後の漁獲尾数がある程度リンクしてくるというところまで実態が把握されております。
また、オホーツク海に入るその前後の沿岸での数量、北に行く数量の調査などからも、その数量が多ければまた4年後に帰ってくるということも今明らかになりつつあります。したがいまして、ふ化場から放流してやる稚魚が北洋まで行ける、特に沿岸の流域でしっかりと生き残って北洋まで上がっていけるという稚魚がどうすればできるのかという研究を今進めておりますので、これらを各ふ化場に技術移転をして、4年後の資源造成を進めてまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 20年前に、マグロの養殖ということを言い出した人は誰もおりませんでしたが、十数年前に近畿大学がマグロの養殖事業に乗り出しました。そしてさらに数年前から流通に乗っているわけですね、近大マグロとして。そういう点からいきまして、ふ化放流事業に鮭鱒組合等からいただくお金を割いてひとつ岩手大学あたりに、サケの研究をせいというようなことをやってみたらいかがですか。
成果は4年後、あなたも私もいないかもしれないけれども、しかし、この際、思い切ってそういうことをやっていかなければ、ただ、ふ化放流をやって拝んで帰ってきてくださいでは、劇的な回復にはつながらないと思うんですけれども、思い切ったそういう展開をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 岩手大学におきましては、来年度から水産関係の学生を募集し、水産系の学科ができるということで、現在、釜石市のほうでその準備を進めている、あるいはもう既に研究を始めているということもございます。その中で、サケの研究も始まっておりますので、我々のほうでも水産技術センターとも連携をして、まだ小規模ではありますが、そういう調査を進める準備をしております。これらを拡大して、岩手大学などとも一緒になって研究を進めてまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 今のことにも関連しますけれども、国で一部、そういった調査もしているということですけれども、稚魚がどうなっているかというのもそうですけれども、例えばベーリング海のプランクトンが少なかったとか、いろいろありますね。来る途中に北海道でとられているとか、南下し過ぎて沿岸まで来るとき宮城でもとられているとか、いろいろありますね。実際、いい悪いを別にして、そういったサケの動向調査というものをきっちり、そういった意味でも多角的にやってほしいし、先ほど国の話もありましたけれども、伊藤委員が言ったのとほぼ同様ですけれども、国を巻き込んで、国と一緒になってちょっとダイナミックにやっていかないと、サケの実態がどうなのか。せっかく何億尾も放していて─ということを本当に国に要請してやってほしいなと。そこまでしないと。回帰率は北海道が4%ですか、岩手県は2%前後、何でこんなに違うのか。私は、北海道でとられていると思っているのです、実は。大きい声では言えないけれども。わからないですよ。だから、それも耳石をもってやっていればわかるはずです。そういった意味でも、もっと大きく捉えて。そうしないと、せっかくの努力が生きてこないような気がしますので、ぜひ前向きに考えてもらいたいんですけれども。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 国のほうに対しましては、不漁原因の究明をしっかりまず、全国的なあるいは世界的な規模の観点から調査してほしいということは要望しておりますし、県の水産技術センターの岩手丸も北海道沖まで調査に出かけるということもしております。今までは、自分の県の前浜の調査のみをしていたような状況ですが、現在、国の機関とも一緒になって調査を始めておりますので、その成果を今後待ちたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 あともう一点だけです。放流する稚魚の健康度、元気な健苗ですね。それをどうやって育てるかというのも、放すだけではなくて、過密飼育という言い方も、いっぱい放せばいいというものではなくて、育てるのにも適度な酸素があって、その中で丈夫になった稚魚がやっぱり生き残っていくんだと。そういったことも考えているとは思うんですけれども、放せばいいだけじゃなくて、元気な稚魚を育てるかというところにももっと力を入れていくべきだと思っています。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの卵をとって稚魚を育てて放流していくという中で、やはり今委員がお話になりましたように、水槽の中で余りにも過密になっていますと、非常に弱い稚魚ができ上がり、海に放流した際に、余り生き残りがよくないという結果はもう研究の成果で出ております。そこで我々のほうでも、各ふ化場の技術者といろいろ相談しながら、一つの池の中でどれくらいの密度になっているかというところをしっかり押さえ、余り過密にならないように、あるいは水量がちゃんと流れるようにということで、適切な飼育をするようにという指導をさせていただいております。
〇柳村一委員 サケで盛り上がっているところに済みません、松くい虫に関連します。
徐々に北上しているわけですけれども、松くい虫の被害に関係ないところに飛び地というか、製材所の近くで発生したという事例があるらしいんですけれども、そこら辺は、御確認なさっているのかどうかお伺いします。
〇漆原整備課長 そういう事実はあるんではございますが、実際に被害材が入ってそこで発生したのか、直接的な原因というのははっきりはわかっていません。ここで出てくるように、岩手町とか八幡平市も、被害が定着しているところからかなり距離が離れている場所で発生しておりまして、人為的な理由というのも考えられるわけですけれども、正確には今のところ、不明というのが実際のところでございます。
〇柳村一委員 今のところ監視員が一生懸命やっているという対策だけになっているわけですけれども、これは大変な問題ですので、そういう部分の原因もどういうところが考えられるのかというのを検証しながら、今後対策を進めていただきたいと思いますけれども、最後にお伺いして終わります。
〇漆原整備課長 先ほども御説明申し上げましたけれども、最先端、滝沢市とか盛岡市の北については、航空写真を赤外線で撮らせていただいて、画像で枯れていたり病気にかかっているようなものは別な色に見えるというような手法でも監視をしておりまして、それについてはGPSのデータもとれるようになっておりまして、ピンポイントで確実に駆除するという方法をとらせていただいておりますので、万全を期してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 私からは、特用林産物放射性物質調査事業費、原木しいたけ経営緊急支援事業費、特用林産施設等体制整備事業費についてお伺いをしたいと思います。
まず初めに、原木シイタケの生産、産地の拡大についてお伺いをしたいと思います。
主要施策の成果に関する説明書の46ページに、平成26年度の原木シイタケ関係の事業の成果について載っておりますけれども、新規参入者が1名、幹しいたけの単位収量、植菌本数は不明、一方で、簡易ハウス整備については、6棟目標のところ8棟となっておりまして、これだけでは、この産地復活に向けて産地が拡大しているのかまたは後退をしているのかわからないところでありますけれども、生産者数の増減でありますとか植菌本数、生産量等々、現状をお示しいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、生産者数でございますけれども、県が生産台帳で管理しております県内生産者約1、600名のうち、平成27年9月末現在で、生産継続中または継続の意向がある生産者は900名となってございます。
植菌本数につきましては、平成22年の植菌本数が約256万本に対しまして、平成26年が約144万本となっているところでございます。
生産量のうち干しシイタケにつきましては、平成22年の201万トン(後刻「201トン」と訂正)に対しまして、平成26年が97万トン(後刻「97トン」と訂正)と減少しているというところでございます。
〇佐々木朋和委員 ちょっとお聞きしたかったのは、震災後、生産者の皆さんが放射線の関係でやめてしまったりという中にあって、そこから今にかけてふえてきているのかというところだったんですけれども、その辺をわかればもう一度お願いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 生産者数については減少しているところでございます。
それから、先ほど、生産量につきまして万トンというお答えを申し上げましたけれども、間違いでございまして、トンということでございます。平成22年が201トンで平成26年が97トンでございます。
〇佐々木朋和委員 了解しました。震災後、放射線の関係もあって、なかなか出荷制限解除になりながらも生産者数は減っているという状況だという認識をさせていただきました。
やはり現場でお話を聞いていても、高齢化が進んでいる中で、なかなか生産を再開するという形にはならないというお話を聞いております。県においては、震災後、担い手対策ということではなくて、今やっている皆様方を支援して生産を再開させようということで行ってきたというのは私は英断だったと思っておりますけれども、こうして3年、4年とたってきている中で、私は、今担い手対策を復活させてこれから取り組んでいくべきではないかと思っております。そういった中で、出荷制限のかかっていない産地においては、そういった担い手対策、ほかの生産物についても今一生懸命担い手対策をやっておりますから、例えば高齢生産者から担い手への施設や道具などの受け渡しとか生産場所の集約でありますとか、そういった担い手への集約を行っていく、また、定住促進とあわせて原木シイタケの生産者を募っていく、そういった担い手の育成や確保についてこれから再開をしていくべきではないかと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 これは昨年度の取り組みということになるんですけれども、原木しいたけ新規参入支援事業によりまして、新たに原木シイタケの生産を始めた担い手が所属する六つの組合に対しまして、初期投資の負担軽減のためにほだ木造成に必要な種菌の助成を行っているほか、栽培基本技術研修を3回開催しまして、延べ23人の御参加をいただいて技術習得を支援しているといった取り組みをしているところでございます。
原木シイタケの産地再生のためには、意欲のある担い手の育成が必要だと考えておりまして、引き続き、ほだ木の造成でありますとか技術習得といった形での支援に努めていきたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 私は担い手と申しましたけれども、新規参入ですね、これから新規参入の方々をシイタケの生産者の中にも受け入れていくということで、ぜひとも取り組んでいきたいと思っております。よろしくお願いしたいと思います。
その中で、出荷制限解除も進んできておりますから、風評被害対策、販売促進対策が重要と思っておりますけれども、この点については今後どのように取り組んでいくおつもりか、伺いたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 風評被害対策につきましては、これまで、関係団体と連携をいたしまして、出荷前検査の確実な実施でありますとか、首都圏の量販店等で行う対面販売などを通じまして、消費者の皆さんへのPRに努めてきたところでございますし、商社を訪問いたしまして、取引量の拡大を依頼するといったこともやってございます。
また、さらなる消費拡大を目指しまして、本年の7月には、スーパーマーケットでありますとか、道の駅116店舗におきまして販売促進キャンペーンも開催しているほか、JRや地元企業と新商品の開発といったことも進めておりまして、そういった新たな需要も開拓しながら、販売促進に努めてまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 生産者の皆様からも、原木シイタケということで、食べていただくと違うと、または原木シイタケの違いというのも、一般の消費者の方々には食べてもらわないとなかなかわからないという話も伺っております。対面販売ということで言っていただきましたけれども、ぜひともそういった機会をふやして販売促進に努めていただきたいと思っております。
次に、私も3月の質問のときに、原木しいたけ経営緊急支援事業費で、つなぎ融資等々で栽培管理における必要経費、放射線がつかないように今ビニールシートをしたりということで、生産者の方にはやっていただいているわけでありますけれども、それについての補償状況、賠償に含まれるという話はしたんですけれども、実際に生産者の皆さんの手元に行っているのか、手間分またはビニールシートなどの物品分、この点について、現状はどのようになっているのか伺いたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 栽培管理の実施に伴い発生する費用につきましては、国から損害賠償の基本的な考え方というのを示されているところでございます。この通知に基づきまして、東京電力と具体的な賠償の単価でありますとか、請求方法等を協議しているというところでございます。資材費に加えまして、栽培管理の実施に係る労務費も賠償対象として認めるように申し入れているところでございます。
速やかに合意をして、実際に補償が行われるように、引き続き系統団体と連携しまして、東京電力に対応を求めていくという考えでございます。
〇佐々木朋和委員 私が質問したのは3月だったんですけれども、いまだにそういった意味では、まだ協議をしていて、生産者の皆さん方にはその分については手元に入っていないと。これが明確にならないうちは、このつなぎ融資も使えないということでよかったでしょうか。
〇佐々木林業振興課総括課長 おっしゃるとおりでございます。
〇佐々木朋和委員 今、生産者の皆さん方も、ただでさえ原木の高騰でありますとかそういった状況にありますので、県のほうにも早く動くように、側面的な支援をお願いしたいと思います。
次に、原木対策についてお伺いをしたいと思いますけれども、平成26年度はこの原木について不足分はあったのか。また、平成27年度の状況と来年度の見通しについてお伺いしたいと思いますし、また、今原木の助成も県、国で行っていただいておりますけれども、今後の見通しについてもお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、平成26年度につきましては、41万本を供給したというところでございますし、平成27年度につきましても、40万本を供給するという方向で調整をしている(後刻訂正)ところでございます。
今後の見通しでございますけれども、平成28年度の春の植菌用のキノコ原木ということになりますが、これにつきましても、現在、県や関係団体で連携をして情報共有を図るとともに、他県や県内の森林所有者、国有林、市町村有林等に対して供給の働きかけを行っているところでございます。
国の補助ということでございますけれども、現在、国庫補助事業によりまして、震災前価格の半額について助成を行っているところでございます。
平成28年度以降につきましても、事業を継続するよう、しっかりと働きかけを行ってまいります。
〇佐々木朋和委員 今、原木が高騰しておりますので、単年度と言わず、複数年度の補助を勝ち取るように、ぜひとも力強く要望していただきたいと思っております。
一方で、生産者の皆さん方もいつまでこの補助が続くとは思っていないわけで、安価で安定的な供給体制をいかにつくっていくかということが生産者をふやしていくことだと私も思っております。
その中で、原木の安定供給に向けて、森林所有者と生産者が一体となって供給システムをつくるなど、安定供給のための取り組みをぜひとも進めていくべきだと思いますけれども、この点についてお伺いをしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 シイタケの生産者の方が、森林の所有者と合意の上でみずから原木を生産するというシステムを構築するということは、労働力の確保や適期の伐採によりまして、生産者の求める品質を確保するという点では有効な取り組みと考えているところでございます。
その一方で、森林所有者の方が原木林としてみずからの森林を提供するという場合には、地域での長年にわたる信頼関係が重要だとも聞いているところでございまして、供給側になる森林所有者の方の思いでありますとか、地域で森林所有者と生産者をつなぐ役割を持っている森林組合等から、今お話がありました実現の可能性について御意見を伺ってまいりたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひとも進めていただきたいと思いますし、また、今出荷制限になっているところ、部分解除を目指しているところなどは、地域をまたいで森林所有者の皆さんとよしみを通じていかなければいけないというところもあると思います。そういったところについては、ぜひとも県の皆様にもお力になっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
原木シイタケについての最後になりますが、今、ほだ木、落葉層の一時保管の状況はどのようになっているのか。また、国のほうでは、一時保管の後、それからどのようにするかという方針が出されないままになっておりますけれども、国に動きはないのか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 放射性物質に汚染されましたほだ木や落葉層の保管量は、8月末現在の数字になりますが、ほだ木が2万3、500トン、落葉層が8、300トンとなってございます。
落葉層の処理方針につきましては、国から示されていないということでございまして、国に対しては、これまでも管理基準や処理方針を早期に決定し、必要な経費について全面的に支援することを要望しておりまして、引き続き国に求めてまいります。
〇佐々木朋和委員 ほだ木の状況というのは、今数量は教えていただいたんですけれども、今、一時保管をしながら、一時と言いながら、前も質問で申し上げましたけれども、もう朽ちてしまうんではないかと、動かせなくなってしまうのではないかという不安を抱えているところであります。ほだ木の放射線量というのは、微量ではあるんですけれども、しかしながら放射線という言葉がひとり歩きをして、風評被害のおそれがあるという懸念を、生産者の皆様方も再生産に向けて動いているんだけれどもそういった不安を抱えているというところであります。例えば牧草であればペレット化をするなど、長期保存のための施策はしていたわけですけれども、このほだ木については、そういったこともないまま、このままで進んできたというところがあります。
部長にお聞きをしたいんですけれども、そういった現状の中で、これからほだ木についてどう取り扱っていくのか、この点についてお話をいただきたいと思います。
〇小原農林水産部長 このほだ木、落葉層でございますけれども、今委員から御指摘がありましたとおり、かなりの量であり、そしてまた市町村でもかなりの負担になってございます。これにつきましては、県としましても、国のほうに毎年、数度にわたりまして、早期の管理や処理に係る方針を提示するようにと、また、必要な経費を全面的かつ継続的に支援するようにということで要望しているわけでございますけれども、市町村においての処理が住民感情の問題なり何なりでなかなか進んでおらないということもございます。シイタケの再生が進みますと、ほだ木なり落葉層というものがまた新たに生じてくるわけでございますので、これらの対策につきましては、引き続き強く国のほうに働きかけてまいります。
〇佐々木朋和委員 ぜひとも国に働きかけるとともに、県としても、長期化対策をどうするかということを真剣に今考えないと、そのままになってしまうという心配がありますので、ぜひとも今こそ考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
最後に、野生キノコ、山菜についてお伺いをしたいと思います。
9月の後半に、県では初めてになりますけれども、奥州市産の野生フキの出荷自粛が解除となりました。これは、県内では山菜の解除は初めてということで、私も県南地域でありますから大変喜ばしいことだと思っておりますけれども、この山菜についての出荷制限解除に向けてのこれまでの取り組みと、今後の見通しをお示しいただきたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 山菜と野生キノコの共通の取り組みということで、平成25年度から放射性物質濃度等の経年変化というものを調査しているところでございます。あわせて、その解除に向けた具体的な検査方法などについて、国と事前協議を進めてきたところでございます。
今お話が出ました奥州市の野生フキにつきましては、経年変化の調査、解除に向けた詳細な調査によって、安定して基準値を下回ったことが確認されたということで、9月28日に出荷自粛要請が解除となったということでございます。
今後ということでございますけれども、継続して放射性物質濃度等の経年変化を調査して、基準値を下回ったことが確認された品目については国と協議を行いまして、早期の解除を目指してまいりたいと思います。
〇佐々木宣和委員 林業に関して伺いたいと思います。
昨年度の動向から伺いたいと思います。
昨年の木材生産量と成長量について示してください。あわせて、県の課題でありますアカマツの需要拡大、そして広葉樹林業の動向に関してよろしくお願いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 昨年の素材生産量は139万8、000立方メートルでございまして、木材加工施設の復旧等が進んだことから、近年、増加傾向で推移をしているというところでございます。
本県の森林の年間成長量は、国有林、民有林合わせまして、近年、約400万立方メートルとなってございまして、県内で生産される素材は、年間成長量の35%程度となっているところでございます。
アカマツについてでございますけれども、平成26年の素材生産量は19万立方メートルとなってございまして、その多くが合板、木材チップ、製材向けの素材として供給されているほか、特に久慈地域を中心とする県北地域におきましては、良質なアカマツ材が豊富に存在するということで、住宅用のはりなどの製材品を県内外に供給をしているというところでございます。
広葉樹についてでございますけれども、本県は、北海道に次ぐ全国2位の広葉樹材の生産県でございまして、昨年の素材生産量は30万2、000立方メートルとなっておりまして、そのほとんどを北上市内の製紙工場に高級印画紙向けのチップ用材として供給しております。そのほか、太くて良質な素材につきましては、家具やフローリング向けに、またナラ類についてはシイタケや木炭の原木向けに供給をしてございます。
〇佐々木宣和委員 アカマツそして広葉樹林業を引き続き推進していただきたいと考えております。
続きまして、TPPに関して伺いたいと思います。
午前中も出ましたけれども、先ごろ大筋合意されたTPPに関して、木材でいいますと、戦後の住宅再建のために昭和26年の丸太材の関税撤廃、そして昭和39年の木材関税自由化という流れの中で、木材自給率が一時8割まであったものが2割に落ちて、現在3割ほどで、5割を目指しているという状況かと思いますけれども、今回のTPPにおける木材関連の想定される影響、また、今回のTPPの大筋合意に関する総評に関してよろしくお願いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、今回の大筋合意の林産物関係の概要ということを先に申し上げたいんですけれども、木材製品のうち、輸入額が大きいマレーシアの合板でありますとかカナダ製材等に対しましては、協定発効初年度に関税を50%削減をすると。その後も関税を維持して、16年目に関税を撤廃するということになってございます。
それから、16年目以降につきましても、輸入量が一定水準に達した場合には、発効前の関税率に戻すセーフガードが設定されてございます。
本県への影響につきましては、輸入額が多い合板でありますとか製材等につきましては、長期の関税撤廃期間と、セーフガードが措置されるということでございますが、安価な輸入品が大量に流入すると国産材価格への影響が懸念されるということでございます。
今後、本県への具体的な影響の把握、情報収集しながら努めまして、必要な対応について検討を進めてまいります。
〇佐々木宣和委員 TPPに関して細かく影響を考えていっていただきたいと考えております。
最後の質問になります。セルロースナノファイバー─CNFに関して伺いたいと思います。
植物由来の軽量素材でありますセルロースナノファイバーは、日本製紙が来年、日本初の量産ラインを稼働させまして、また、中越パルプ工業が生産能力を10倍に引き上げる予定であると。この軽くて強いセルロースナノファイバーというものは、自動車部品の軽量化などのさまざまな用途に使えるものでございまして、2030年に1兆円規模の市場に育つとの期待感を持っておるものでございます。経済産業省も、企業交流会を開きましたり、製品化に向けたロードマップの策定というものを恐らく4年、5年前ぐらいからやられているかと思います。この新産業に関しての岩手県の取り組み、所感に関して伺いたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 県内の取り組みの現状ということを申し上げますと、セルロースナノファイバーの研究、あとは今お話がございました製品開発といったものに向けた動きは見られないという状況でございます。ただ、今後、木材の新たな用途として期待をされるということでございまして、本年の6月に、セルロースナノファイバーについての理解を深めるために、京都大学の教授をお招きいたしまして、県内の素材生産事業体等を対象とした講演会を開催したところでございます。
今後も、国でありますとか、研究機関の動向を注視して、情報収集をしっかり行ってまいります。
〇佐々木宣和委員 かなり可能性のある部材だと考えておりまして、また、岩手の素材からたくさんの製品をつくって、県内経済を発展させて若者の雇用機会をつくって、元気な岩手県をつくり出していただきたいと考えております。
そのセルロースナノファイバーなどの最先端技術をもって世界に羽ばたく産業を岩手県に欲しいと思っておりますけれども、部長の御意見をお伺いいたしまして終わりにします。
〇小原農林水産部長 お話がありましたセルロースナノファイバーでございますけれども、これにつきましては、幅広い分野での利用が見込まれてございます。したがいまして、これは本県としてどのような活用が可能であるか、国や研究機関等の動向を注視してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 私も最初にTPPの大筋合意による、林業、水産にかかわる内容と、本県林業、水産業の具体的な影響をお聞きしますが、水産も林業も現状でどれぐらいの国内への輸入額、率になっているかも含めて示していただきたい。
〇中村農林水産企画室企画課長 まず、林産物についてでございますけれども、先ほど質問がございましたとおりでございまして、関税が16年以降に撤廃されるということになってございまして、安価な輸入品が大量に国内の市場に流入されるといった場合には、国産材さらに県産材の価格の下落といったものが懸念されると見てございます。
また、水産物につきましては、TPP参加国から日本に輸入されている、約350品目があるようでございますが、このうちワカメ、昆布などの海藻類を除き、関税が撤廃されるとされてございます。これも同じく安い輸入品が大量に国内の市場に出回るといったような場合には、全体の価格が下落するといったことにもなりますので、漁業経営への影響が心配されるといったような状況でございます。
〇佐々木林業振興課総括課長 平成26年の国の木材用材の輸入量は5、105万4、000立方メートルということでございまして、国内木材総需要のほぼ7割を占めているというところでございます。
これまでの傾向ということを申し上げますと、丸太、製材、合板等、パルプチップ、いずれも10年前と比較すると、減少傾向にあるというような状況でございます。
〇斉藤信委員 私は、農業はもちろんだけれども、林業、水産にかかわっても、本当に致命的な打撃を与えるんじゃないかと思います。
TPP交渉の初期に、岩手県が国の基準に基づいて試算したときは、林産物で10億円の生産額の減少、水産物は106億円の減少、経済波及効果を含めると、合わせると157億円と試算されていましたね。16年たったら全部関税撤廃ですよ。だから、即ということではないけれども、16年たったら撤廃なんですから。私は、ほぼ当初試算した規模での影響が考えられると思いますが、いかがですか。
〇中村農林水産企画室企画課長 影響額につきましては、いろいろとこれから国のほうでも試算するということも言ってございます。関税撤廃ということにゆくゆくはなるということではございますけれども、国の動きなどを見ながら、きちんと試算をしたいと思っております。
〇斉藤信委員 大事なことは、このTPPというのは大筋合意で、決まってもいないんですよ。これからなんですね。
それでアメリカの動向を言えば、ヒラリー・クリントン、大統領候補の一人も反対だと。カナダでは政権交代しちゃったと。アメリカには90日ルールがあって、いわば批准する前に、90日前に国会に、議会に説明しなくちゃならんと。これ雲行き、全く見通しないですよ。
私はこんな状況の中で、日本政府が譲歩に譲歩を重ねて丸裸になったような交渉をしたんだけれども、国内対策を求めるだけではこの問題は解決できない。この影響を徹底して明らかにして、交渉からの撤退、調印の中止を視野に入れて国に対して私は求めていくべきではないかと。
県も対策本部をつくったんですから、私は国内対策だけを求めるなんていう、今までのようなそんなチャチなやり方じゃなくて、調印の中止や撤退も視野に入れて岩手県は対応すべきだと思いますが、これは部長に聞きましょう。
〇小原農林水産部長 このTPPの今後でございますけれども、先ほど委員からお話がありましたとおり、まだ諸外国の動向というものもございます。やはりまず影響がどのようなものなのかということを国がまずしっかり説明すると、これが最初であろうと思ってございます。そこが明らかでない段階で、今、TPPからの脱退、中止を要請すると、それはその次の段階であろうと思ってございます。
〇斉藤信委員 私、視野に入れてと言ったんですよ。この含蓄がわからないと、部長もあれだね。私はすぐそれやめろと言ったんじゃなくて、それを視野に入れてと、ここが大事なところなんですよ。
そもそも、常識的に見たら、農家はみんな、あれは国会決議違反だと思っていますよ。除外もしくは再協議ですよ。除外というのは、関税撤廃という意味ですよ。
農業で、重要5品目でさえ3割、農林水産業で81%、関税撤廃ですよ。こういうのを国会決議違反と言わないで何が違反なんですか。政治的な解決は国会かもしれないけれども、やっぱり地方の立場、農家の立場、漁民の立場から見たら、これは国会決議違反は確かに明らかだと思います。
そして、国は今、食料自給率39%でしょう。5割目指すというんでしょう。食料自給率が上がるわけないじゃないですか。これは国益に反しますよ。
そして地方創生と言っているけれども、農林漁業が衰退して地方創生できますか。私はこんな地方に背を向けた、国益に反したTPPって許せないと思うけれども、改めて部長、そういう国の施策からも逆行する、矛盾するやり方ではないかと。しっかり地方から、さっき言ったように視野に入れて、きちんと提言なり問題提起なりすべきだと思うけれども、改めてお聞きします。
〇小原農林水産部長 先般、県のほうでTPP協定対策本部を設置したところでございます。ここではまず所掌事項としまして影響の調査分析と、それに係る対応ということをわざわざ記載してございます。したがいまして、まず一義的には、影響の調査分析ということが先行されるものだと思ってございます。
TPPにつきましては、いずれさまざまな御意見がございます。確かに農林水産分野に着目しますと、かなり影響、懸念というのは非常に大きいと思ってございます。それらについては幅広く国民的議論の中で、国会で判断していただきたいと思っております。
〇郷右近浩委員長 斉藤信委員に申し上げます。平成26年度決算審査であることの趣旨を踏まえて質疑を行うよう願います。
〇斉藤信委員 委員長、何ばかなことを言っているんですか。TPPというは一貫してこの間やられてきた問題ですよ。そういうことをあなたが言ったらおかしいでしょう。今までみんなTPPのことを聞いているじゃないですか。何で私のときだけ。あなた撤回してください。撤回してください。何で私のときだけそういうことを言うんですか。委員長、おかしいじゃないか、あなた。撤回してください。
時計とめろよ。大体おかしいだろう、おまえ。俺のときだけ何でそんなこと言うんだよ。
〇郷右近浩委員長 斉藤信委員に申し上げます。個人的に斉藤信委員のときだけというものではなく、今回、今質疑の中でTPPの、これからのというか、そうした姿勢について部長等に質疑があったということで私は捉えておりますので、それについて今委員長としての発言をさせていただいたものであります。
〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 同じような議論をしているじゃないですか。決算審議というのは、決算審議を通じて来年度予算のかくある問題を提起するんですよ。それが決算審議なんですよ。極めて偏向的な運営ですよ、あなた。そう思いませんか。
〇郷右近浩委員長 いえ、思いません。
〇斉藤信委員(続) 思わない。おかしいよ。何で私のときだけそう言ったんですか。答えてください。だめだ、こんなことじゃ質問できない。何なんだよ、あんた。私の質問のどこが問題ですか。ほかの人とどこが違うんですか。私だけなぜ指摘されなければだめなんですか。それを答えてください。それまで質問できない。
世話人会開け。だめだよ、そんなのは。なめんじゃねえ、おまえ。世話人会開け。
〇郷右近浩委員長 暫時休憩します。
午後4時16分 休 憩
午後4時21分 再開
〇郷右近浩委員長 大変お待たせいたしました。
それでは、再開いたします。
先ほど、世話人の皆様方に集まっていただきまして世話人会を開催させていただきました。
その中で、本日の決算特別委員会の運営につきまして、これまで、工藤勝子委員、佐々木順一委員のほうからTPPに関してさまざま質疑があったという中にありまして、私の委員長としての差配をする中で、佐々木順一委員に対しましても、本来的にそこの質疑をやめるように申し入れたと。それについては、当該委員だからということで御本人は勘違いをされていた旨ではありますけれども、しかしながら、そうした意味で制止をかけた中で、さらには、本日、先ほど来、斉藤信委員のほうからTPPの質問に対して同趣旨の質問が何度も繰り返される中、決算審査であることの趣旨を踏まえての質疑を行うように促したものでありますので、このまま続行させていただきたいという結果となりました。委員各位、どうぞよろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 私は、決算審議の性格というものをしっかり受けとめてやっていただきたい。決算審議というのは来年度予算に反映させる議論なんです。私のどこに問題がありましたか。これは、必ず議事録を精査してやっていただきたい。私の名誉に係る問題だから。委員長、いいですか。だめだよ、そんなのは。
〔「議事進行について」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 今のやりとりの中に精査をしろとかという話がありましたが、私は、この委員会の進行に関して委員長の瑕疵はないと思っております。斉藤委員からどうのこうの言われるのであれば、むしろ、斉藤委員のほうにこそ不穏当な発言があったと私は思っておりますので、委員会の品位にかけて、もし撤回をということであれば、先にそっちが撤回するのが筋だと思います。
〇郷右近浩委員長 決算審議を続行いたします……
〇斉藤信委員 最悪な議事進行なんです。議事進行について言ったんですよ。進行するか、しないかじゃないんだよ。私は、決算審議の性格というのはそういうものだと。それに私が反しているなどということは、事実に基づいてやってほしいと。そう言って、議事録を精査すべきだと言ったんじゃないですか。議事進行なんだから、しっかり受けとめて対応してください。意見を言っているんじゃないんだ。だめだよ、そんなのは。
〇郷右近浩委員長 斉藤信委員に申し上げます。先ほどの私の発言につきましては、趣旨を踏まえて質疑を行うようお願いしますと言ったものであります。しかしながら、今、斉藤信委員より求めが出ております議事録の精査につきましては、後日行わせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇斉藤信委員 では、質問を再開します。
私は、繰り返し言っているように、決算審議を通じて来年度予算に反映させるというので9月議会でやるようになったんです。そういう経過をしっかり踏まえて、委員長、できるだけ自由な討論を保障してください。
〇郷右近浩委員長 理解しています。
〇斉藤信委員 次に、漁業、水産業の復興状況についてお聞きいたします。
震災前と比べて、漁船の確保、養殖施設の整備、漁獲量、漁獲高はどのように推移しているか示していただきたい。
ワカメ、昆布の生産量と生産額は、これも震災前と比べてどうなっているでしょうか。
サンマ、サケの漁獲量、漁獲高、その状況と今後の見通しについても示していただきたい。
〇山口漁業調整課長 まず、漁船につきまして、震災前の漁船登録数が1万4、303隻に対しまして、本年9月末現在で、補助事業で整備しました漁船と震災を免れました漁船等を合わせまして、現在、稼働可能な漁船数は1万582隻となっております。
養殖施設につきましては、震災前の2万6、514台に対しまして、1万7、383台の整備が完了しております。
魚市場への水揚げにつきましては、震災前、平成20年から平成23年の3カ年平均でございますが、17万トン、227億円に対しまして、平成26年度の実績は13万8、000トン、228億円となっております。
続きまして、ワカメの養殖状況でございますが、平成27年の生産量は1万5、222トン、生産金額は23億1、000万円、震災前3カ年平均と比較しまして、生産量で69%、生産金額で55%となっております。
昆布の養殖につきましては、生産量が6、729トン、生産金額は8億5、000万円、震災前3カ年平均と比較しまして、生産量で59%、生産金額で56%となっております。
次に、サンマにつきましてですが、平成27年10月20日現在の県内の産地魚市場への水揚げでございますが、サンマ棒受け網漁船の水揚げ量は1万2、000トンで、前年同期の対比で45%、水揚げ金額は26億円で、前年同期の80%となっております。
サケにつきましては、水揚げ量が1、300トン、前年同期の95%、水揚げ金額は7億円で、前年同期の102%となっております。
〇斉藤信委員 漁船の確保と養殖施設の整備は、昨年度の実績でどのように整備されたのかを示してください。
ワカメ、昆布については、今年度は3カ年平均の68.8
%で、生産額は55.2%ですから、これは価格がかなり落ち込んでいるのではないか。生産量も落ち込んでいるけれども、価格の落ち込みは、風評被害とあわせて、この原因と対策をどう考えているのか。昆布もそうです。生産量が59.4%で、生産額が56.2%です。これまた、生産量も、そして価格はさらにもっと落ち込むという、この原因と対策はどう考えているか。
ことし、サンマが大不漁です。このサンマの不漁の原因、そして対策、特に、今一番被害を受けているのは、大船渡を中心にした水産加工だと思うんです。これらにどう対応されているか、ここも示してください。
〇山口漁業調整課長 漁船の整備につきましてですが、昨年度事業の詳細な実績は手元にございませんが、平成26年度、平成27年度で極端な動きがなくて、漁業者の要望に基づきまして、ほぼ整備は完了していると認識しております。
ワカメの生産につきましては、ことしと昨年度の収穫シーズンに冷水が沿岸域まで接岸いたしまして、生産面では非常に不利な年であったということで、生産量もそうですけれども、品質的にもよいものではなかったということで、単価が下がっているものと認識しております。
昆布につきましては、同じように、ワカメの施設を使ってほとんど養殖しておるものですけれども、実際には、岩手県の養殖昆布を生産する前に北海道の昆布が出てきまして、それらの影響によりまして、生産量なり生産金額がかなり左右されるということで、このような金額になっていると認識しております。
サンマの不漁原因でございますけれども、基本的にサンマは太平洋に広く分布する魚種でございます。サンマが岩手県なり日本で好不漁になるという大きな原因は、資源量そのものもそうですけれども、一つは、漁場がより陸地に近いところに形成されるのか、魚群、漁場が濃い群れであるのか、もう一つは、魚体の型がいいとか、脂が乗っているとか、そういうもので大きく左右されますので、そういう面がかなり大きいと考えています。ただ、水産庁の報告等では、資源量そのものも減少には向かっているということで、そのようなものが重なって、サンマはかなり不漁という状況になっていると認識しております。
その対策ですけれども、水揚げそのものの対策につきましてはなかなか対応のしようがないということで、要するに、近くに濃い群れのサンマが寄ってこないと岩手県では水揚げが少ないという状況ですので、それについては、なかなか対応法がありません。ただ、岩手県水産技術センターの岩手丸が、先週頭に、陸前高田市約5マイル沖で試験操業しまして、ちょうどそのころにサンマの群れが三陸に近づいてきたことがありまして、5トン強ほど水揚げしました。そうしたならば、小型漁船等が集まってきて水揚げが少し活気づいたということがございますので、そういう情報を漁業者の方々に提供していきたいと思っております。
水産加工業への影響ですけれども、実際にはことしのサンマは魚体も小さく、量も少なくて単価も高い。単価は昨年と比べて約2倍近くに高くなっておりますので、今後、加工業はなかなか厳しい仕事になるのかと考えております。今後、情報をとりまして、加工業者の今後の対応をどうするか、県も一緒になって考えていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 災害復興費で、共同利用漁船復旧支援対策事業費が6億8、000万円なんです。そして、水産業共同利用施設復旧費が16億円です。この中身は何ですか。
それと、サンマの不漁で、河北新報が社説で書いているんだけれども、水産総合研究センターによれば、昨年の北西太平洋のサンマの資源量は約253万トン、2003年の502万トンに比べてほぼ半分の水準に悪化していると。私は、これは深刻だと思います。資源量が半減しているというところに一番の大きな問題があるんじゃないか。こうした中で、台湾が大型漁船で公海で先取りをすると。今、中国もそこに進出し始めていると。国際的な資源管理をやらないと、本当にサンマの未来はなくなってしまうのではないか。そのぐらいのことをちゃんと答えなければだめなんじゃないですか。水産担当技監、どうですか、そこをちゃんと答えてください。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 国のほうのさまざまな調査あるいは報告などを見ておりますと、確かに沖合で台湾漁船あるいは中国の漁船などが漁獲をしているということで、日本の水産庁、あるいは国のほうがサンマを漁獲する各国を集めて、資源管理をこれからやっていこうという動きをつくって進めております。私どもとしても、その辺の動きを、一緒になって、本県のサンマ漁業にどういう影響があるか、そこら辺もしっかりと押さえながら対応していきたいと思います。
〇郷右近浩委員長 斉藤信委員、答弁がまだちょっと出ないようですので、後からということでよろしいでしょうか。
〇斉藤信委員 最後にします。軽米町における大規模な太陽光発電計画で林地開発許可申請、協議書ですか、これが出ているようですが、その中身と─山林を伐採して太陽光発電を大規模にやると。軽米町は、町全体の森林の10%まで開発可能だという計画まで出しているんだけれども、本当にこれは環境影響評価などをきちんとやられているものなのか、やられるものなのか、今後の県の対応についてお聞きします。
〇伊藤森林保全課総括課長 林地開発協議につきましては、軽米町長から、平成27年9月4日付で、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく林地開発に係る同意協議書の提出があったところでございます。
当該協議につきましては、軽米町大字山内地内1地区において太陽光発電施設を設置しようとするものでございまして、事業区域面積は約155ヘクタール、開発行為に係る森林面積は約77ヘクタールとなってございます。
今後の県の対応につきましては、提出があった同意協議につきまして、現在、林地開発により災害が発生しないよう森林法に基づく審査を継続しているところでございます。
また、農山漁村再生可能エネルギー法において、協議に同意する場合は県の森林審議会の意見を聞くことになっていることから、県知事から、今回の同意事案について岩手県森林審議会会長に諮問したところであり、岩手県森林審議会会長からは、岩手県森林審議会林地保全部会を11月19日に開催する旨、通知されているところでございます。
環境影響調査についてでございますが、太陽光発電につきましては、環境影響評価法及び岩手県環境評価条例のいずれにおいても環境評価調査の対象外となってございます。
軽米町が農山漁村再生可能エネルギー法に基づき策定いたしました軽米町再生可能エネルギー発電の農山村活性化計画におきまして、太陽光発電において開発面積が10ヘクタール以上となる場合については、生物の多様性を確保するため独自の環境調査を実施することが明記されてございます。
今回の案件につきましても10ヘクタール以上となることから、土地の造成、森林の伐採、調整池などの設置から周辺環境への影響調査を実施すべく、町から計画業者へ要請し、環境影響調査を実施しております。
〇山口漁業調整課長 先ほどの御質問にお答えいたします。
まず最初に、漁船と養殖施設の実施状況でございますけれども、漁船につきましては、平成25年度末で6、324隻を整備しておりますので、平成26年度は152隻の増となっております。
養殖施設につきましては、平成25年度末で1万7、329台整備されておりますので、平成26年度の整備数は48台となっております。
また、先ほど、事業の中身ということで、水産業経営基盤復旧支援事業費の内容でございますけれども、こちらにつきましては、共同利用施設となります荷さばき施設や養殖施設の整備に係るものでございます。これに対しまして、水産業共同利用施設復旧支援事業につきましては、このような施設の中の機器整備もしくは修繕が中身になっております。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 一番最初にTPPの関係で輸入額の御質問がございました。
水産関係の部分の答弁が漏れておりましたのでお答えいたしますが、これは我が国の全体でございます。平成26年度254万トン、金額で1兆6、569億円でございます。
〇佐々木林業振興課総括課長 先ほど、佐々木朋和委員からの御質問で、シイタケ原木の供給状況という御質問がございました。答弁で、平成26年に41万本、平成27年に40万本と申し上げましたが、これは原木補助の実績でございました。正しくは、平成27年春植菌用として、平成26年に6万2、000本を供給したということでございます。
〇伊藤勢至委員 関連。今、斉藤委員から、サンマの資源枯渇問題が取り上げられましたが、答弁がありませんでしたけれども、そういうときには、水産としてはTAC、いわゆる総量規制が10年前から施行されております。守る守らないはその国々のやり方ですけれども、例えば、イワシ、サバ、サンマ、アジ、ズワイガニ、スケトウダラ、スルメイカの七つの魚種は総量規制が行われておりますというぐらいは答えてもらわなければいけないのではないでしょうか。
〇五日市水産担当技監兼水産振興課総括課長 大変失礼いたしました。サンマにつきましては、現在、県内で今年度4、000トンの規制といいますか、TACがしかれております。全国はもっと多い数字でございますが、県内では4、000トンになっております。
〇小西和子委員 それでは、私は、事項別明細書261ページ、主要施策の成果に関する説明書では54ページから58ページにあります、いわての森林づくり県民税事業についてお伺いいたします。
岩手県は県土の77%が森林であるということで、森林県だと捉えております。森林というのは、木材資源を生み出すだけではなくて、水を蓄えるとか災害を未然に防ぐ、レクリエーションの場であるとか憩いの場である、また、大気中の二酸化炭素の吸収源としても重要な役割を担っていると認識しております。
そこで、平成26年度の実績についてお伺いいたします。いわての森林づくり県民税の税収、事業実績、いわて環境の森整備事業、県民参加の森林づくり促進事業、いわて森のゼミナール推進事業、それと成果と課題について簡潔にお願いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 まず、昨年度の税収につきましては7億7、800万円余となってございます。
昨年度の実績につきましては、お話がありましたいわて環境の森整備事業では739ヘクタールの間伐を実施いたしました。県民参加の森林づくり促進事業につきましては、森林を守り育てる活動に36団体、延べ5、600人余りの県民の皆様に御参加いただいたところございます。いわて森のゼミナール推進事業につきましては、小中学校22校の計440名の児童生徒を対象とした森林学習会を行うとともに、県内3地区で、森林づくり活動の指導者に対する研修会を行う森の実践ゼミナールを開催したところでございます。
最後の、成果と今後の課題というところでございますけれども、成果につきましては、事業開始から昨年度までの9年間で約1万2、900ヘクタールの森林が整備された、それから、県内各地で県民参加による取り組みが進んだということでございまして、森林、林業に関する理解の醸成が進んでいると捉えてございます。
課題につきましては、今年度末までに、いわて環境の森整備事業第2期の整備目標8、000ヘクタールの達成に向け、引き続き、対象森林の確保、着実な整備に努めてまいりたいと考えてございます。
〇小西和子委員 一定の成果があったということでございます。
私が毎回お話をさせていただくのは認知度のことです。毎回お話をして、なかなかそのことにはきちんと答えていただいていないんですけれども、特に20代、30代の女性の認知度が低いということから、平成22年の調査では認知度が4割程度にとどまっているとありますけれども、実は、説明書の58ページに認知度が54%とあります。これは、今年度の調査によるものと捉えていいのでしょうか。平成26年度の認知度を高めるための取り組みと課題についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 認知度につきましては、今年度、改めて県民アンケート調査を行っているところでございます。いわての森林づくり県民税を導入していることを知っていると答えていただいた方が4割弱ということで、目標の7割には届かなかったという状況でございます。この結果につきましては、現在取りまとめを行っているところでございまして、詳細につきましては、まとまり次第、お知らせしたいと考えているところでございます。
〇小西和子委員 58ページの一番上にありますいわての森林づくり県民税認知度というのは何だったのかと思いながら見ておりました。たしか、本年度までの認知度も目標を7割と設定しているわけですけれども、現状というのは、先ほどの54%でいいのかと思いますけれども、今後どのように取り組まれるのか、課題についてもお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 認知度の向上ということでございまして、これは、森林、林業にかかわりの少ない方に効果的にPRするということが課題と考えているところでございます。今年度は、いわての森林づくり県民税事業の中で森林づくり普及啓発事業をやってございまして、テレビ、ラジオ、新聞広告等の媒体によるPR活動に加えまして、今回、今年度末で第2期が終わるということがございますので、地域の説明会を開いて、より多くの県民の皆様に対していわての森林づくり県民税を周知するという取り組みを一生懸命やっているところでございまして、引き続き、年度末まで、認知度が向上するように頑張ってまいりたいと存じます。
〇小西和子委員 平成26年12月から平成27年3月までの4カ月間、いわての森林づくり普及啓発キャンペーンということで、テレビCMとかラジオCMとか新聞広告ということも実施されております。こういうことも本当に効果があると捉えております。
いわての森林づくり県民税というのは、県民一人一人から1、000円ずついただいて事業を行っているわけですから、納得するような説得力のある案でなければならないと考えております。平成28年度以降のいわての森林づくり県民税素案について見させていただきましたけれども、納得するだけの説得力のあるような説明ができるのかどうか、取り組みの成果と課題についてお伺いします。
それから、一部事業について拡充とありますけれども、概要についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 その制度を継続したいということで、今、考えているところでございますけれども、その中で、課題ということが非常に重要と考えております。これは、今まで、公益上重要で緊急に整備が必要な森林の整備を進めてきたところでございますが、平成28年度以降においても、そういった森林が1万ヘクタール存在するという見通しとなっているところでございます。したがいまして、この取り組みをしっかり進めていくということが必要と考えているところでございます。
次の事業を継続する場合のポイントといいますか、大きなところということになってくるかと思いますけれども、これにつきましては、間伐材を地域の公共施設の燃料に活用すると。切った間伐材を搬出するのにもお金がかかりますので、なかなかその利用が進まないという状況にございますので、地域の公共施設の燃料に活用するといったモデル事業の拡大でありますとか、林業従事者以外の方の森林整備を促すような、伐倒でありますとか森林施業の研修活動を支援するといった形で、その取り組みの広がりを図っていきたいと考えてございます。
〇小西和子委員 これは、1年まではいきませんけれども、いただいた資料の中に、いわて環境の森整備事業の事業実施効果を林野公共事業における事前評価マニュアルを用いて試算すると、約392億円と推定されるということがあって、この10年間の税収というのは約71億円と資料にありますけれども、その何倍にも及ぶ効果があったということとか、二酸化炭素の吸収効果が約23億円、水源涵養機能の向上が約269億円、土砂流出防止機能の向上が約100億円とあります。こういうことも、県民の皆様方がこの事業を理解するに当たって効果があるのだということを実感するのではないかと思っておりますので、新しい数値があればいいのかと思います。
先ほどもお話をしたんですけれども、岩手県のこの事業というのは、ほかの県ではこれだけきっちりやっているところはないと事業評価委員の皆様方がお話をしているということですので、よりよい事業として第3期につないでいくように要望いたします。
続きまして、事項別明細書の267ページの防潮林再生緊急調査事業についてお伺いしたいと思います。
4年7カ月がたちましたけれども、防波堤とか防潮堤と三位一体とされる防潮林の再生はようやく緒についたばかりと捉えております。防潮林というものは、津波を防ぐというよりも、もともと防災構造物間に介在し、津波エネルギーの滅殺など緩衝効果が主で、ほかに魚つきとか保健休養などの多面的な効果もあり、まさにふるさとの安らぎの場であると言われております。平成26年度の防潮林再生についての取り組み、成果と課題についてお伺いいたします。
まとめて、平成27年度の進捗状況と成果と課題、今後の見通しについてお伺いいたします。
〇伊藤森林保全課総括課長 平成26年度は、復旧を予定している防潮林20地区の約56ヘクタールのうち8地区、約24ヘクタールに着手し、そのうち1地区、2.8ヘクタール、これは宮古市の摂待地区でございますが、植栽が終了したところでございます。未着手になっている12地区については、他所管等の防潮堤工事やまちづくり計画との調整に時間を要しているところでございます。
平成27年度につきましては、先ほども申し上げましたが、復旧を予定している防潮林20地区、約56ヘクタールのうち、平成26年度に植栽が終了した1地区を除く7地区、約21ヘクタールについて引き続き防潮林の再生を進めており、そのうち7月に1地区、0.5ヘクタール、これは大槌町の浪板地区でございますが、植栽が終了しているところでございます。未着手となっている12地区につきましては、平成26年度と同様に、他所管等の防潮堤工事やまちづくり計画との調整に時間を要している状況でございます。
今後につきましては、引き続き、防潮堤工事やまちづくり計画の進捗状況を踏まえながら、順次着手し、平成30年度までには全ての地区で植栽が終了するよう取り組んでいきます。
〇小西和子委員 おくれがあるのかと心配しておりましたけれども、順調に進んでいるということをお聞きし、ほっといたしました。
高田松原に象徴されるように、かつての風光明媚な白砂青松の美しい風景とか松林は、先人が長い年月、心血を注いで育成したものであると捉えております。それを取り戻すためにも、取り組みをどうぞよろしくお願いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 先ほど、小西委員からのお尋ねの中で、主要施策の成果に関する説明書の中で、昨年度の認知度が54%というお話があったところでございます。これにつきましては、昨年度、平成27年1月から2月でございますが、県民アンケートを実施してございまして、この中で、いわての森林づくり県民税を活用した森林環境保全の取り組みについて、全部あるいは一部を知っていると御回答があった方が53.6%ということで、説明書のほうには54%と記載したということでございます。
〇臼澤勉委員 私のほうからもいわての森林づくり県民税についてお聞きいたします。
まず初めに、他県の導入状況、今後の延長を決めた県、あるいは中止を決めている県の状況をあわせてお伺いいたします。
〇佐々木林業振興課総括課長 森林の整備を目的とした都道府県独自の課税制度の導入状況ということでございまして、平成15年度に高知県が全国初で導入いたしまして、現在、35県で導入されているという状況でございます。また、京都府、大阪府におきましても来年度からの導入に向けて準備が進められているところでございます。
導入した県の多くにつきましては課税期間を5年間と定めてございまして、期限が到来した県の全てで制度の延長を行っているという状況でございます。
〇臼澤勉委員 先ほどの小西委員の質疑応答の中で、県民の皆さんにアンケートを実施しているというお話がございました。平成28年度以降の継続について、参考までに、県民の意向はどのようになっているのかお示しいただければと思います。
〇佐々木林業振興課総括課長 先ほどの小西委員への答弁の中でも触れさせていただいたんですけれども、今年度実施しております県民アンケート調査の結果につきましては、現在、公表に向けた取りまとめ作業を行っているところでございます。その中で、いわての森林づくり県民税を今後も継続するということに、賛成またはどちらかといえば賛成と御回答いただいた方は7割強でございます。
〇臼澤勉委員 いずれにしましても、県民の皆様にこの税制度の普及啓発、そして県民運動的な盛り上がりにぜひとも取り組んでいただければと思います。
私から申すまでもなく、森林の果たす役割、機能、水源の涵養林、森と海は恋人のように、非常に密接な連携を図っておりますので、ぜひ、この辺の普及啓発にしっかり取り組んでいただければと思います。
次に、特用林産施設等整備事業についてお伺いいたします。佐々木朋和委員のほうからも質疑がありましたので、重複しないようにしたいと思います。
私も矢巾町出身でございまして、原木シイタケの生産者の方々が頑張って取り組まれてございます。先日も首都圏の大手量販店のほうに行きまして、市場調査といいますか、一緒に取り組んできましたけれども、岩手の原木シイタケの評価、お客様が定着している様子もしっかり見させていただきました。その上で、震災以降の原木の供給、原木価格の高騰、そういう将来の営農に対する不安といったものを与えない総合的な取り組みをぜひ進めていただければと思います。
そこでお伺いします。生産者に対する生産再開の取り組み実績と今後の見通しについて、よろしくお願いします。
〇佐々木林業振興課総括課長 県では、これまで、シイタケの生産再開に向けまして、ほだ場環境の整備や、放射性物質の影響を受けにくい簡易ハウスの導入、経営資金の貸し付け、原木購入費用に対する支援、出荷制限解除に必要となる生産過程の管理の指導といったことに取り組んできたところでございます。
こういった取り組みによりまして、露地栽培で出荷制限が指示されております13市町のうち、10市町の92名の生産者の方につきまして、国の出荷制限が一部解除され、出荷の再開が可能となっている状況でございます。
今後も、必要な支援を継続しながら、生産、出荷を希望される生産者の方につきましては、シイタケが発生する段階で順次検査を実施しながら、国と協議を進めて、一日も早い出荷制限の解除によりまして、本県のシイタケ産業の再生を図っていきたいと考えてございます。
〇臼澤勉委員 この前の市場調査で私が強く感じたのは、お客様が本当に岩手の原木シイタケを待っているというか、非常に長い間、20年以上、量販店の方々と一緒に信頼関係を築いてきている取り組みがありまして、震災後の今も、お客様が、ほかの産地のシイタケでなく岩手の原木シイタケを、説明もなく、試食もなく手にするという姿を見て、お客様の信頼を非常に得ていると確信しております。ぜひ、引き続き、生産者の方々が不安を抱えないように取り組みをしていただきたいと思います。
最後に、価格の動向といいますか、震災前の価格に戻しているのかどうか、そこだけ、もしおわかりになればお伺いして、終わります。
〇佐々木林業振興課総括課長 原木シイタケの価格につきましては、震災津波以降、大幅に下がったところでございます。本年7月の特別入札会では5、000円を超えるといった形で、震災前の価格まで戻しているものもございます。ただ、その要因といたしましては、商社の品薄感というものもあるやに聞いておりましたので、これが、果たしてこのまま継続するものかどうかということはしっかりと注視していきたいと考えてございます。
〇郷右近浩委員長 ほかに質疑はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。農林水産部の皆様は御苦労さまでした。
以上で本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時6分 散 会

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