平成27年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成27年10月21日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 杉 村   孝
議事調査課
総括課長 菊 池   満
議事管理担当課長 渡 辺 謙 一
主任主査 中 村 佳 和
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 柳 原   悟
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
主査 菊 池   智
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹
企画理事 齋 藤 淳 夫
会計管理者 紺 野 由 夫
出納指導監 田 中 耕 平

秘書広報室長 木 村 卓 也

総務部長 風 早 正 毅
総務部副部長兼
総務室長 佐 藤   博
財政課総括課長 熊 谷 泰 樹

政策地域部長 大 平   尚
政策地域部副部長
兼政策推進室長
兼首席ふるさと
振興監 大 槻 英 毅
政策地域部副部長
兼地域振興室長 宮 野 孝 志
       
環境生活企画室
企画課長 小野寺 宏 和

保健福祉企画室
企画課長 小 川   修

商工企画室
企画課長 鈴 木 俊 昭

農林水産企画室
企画課長 中 村 善 光

県土整備部
副部長兼
県土整備企画室長 鈴 木 浩 之
県土整備企画室
企画課長 小 原 由 香

復興局長 中 村 一 郎
復興局副局長 大 友 宏 司

国体・障がい者
スポーツ大会局
副局長兼
総務課総括課長 小 友 善 衛

経営管理課
総括課長 小 原   勝

教育企画室
特命参事兼
企画課長 菊 池 正 勝

監査委員 吉 田 政 司
監査委員 工 藤 洋 子
監査委員事務局長 菊 池   寛
監査第一課
総括課長 小 倉   茂
監査第二課
総括課長 村 上 博 和
〇杉村議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
出席委員中、工藤勝子委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
工藤勝子委員、委員長席に御着席願います。
〔年長委員工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子年長委員 ただいま御紹介されました工藤勝子です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名したいと思いますが、これに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別委員長に郷右近浩君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名した郷右近浩君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました郷右近浩君が決算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました郷右近浩君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
郷右近浩委員長、委員長席にお着き願います。
〔決算特別委員長郷右近浩君委員長席に着く〕
〇郷右近浩委員長 ただいま委員各位の御推挙により決算特別委員長に御指名いただきまして、大変光栄に存じている次第であります。
委員各位の御協力によって責務を全うしてまいりたいと思っておりますので、御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
決算特別副委員長に佐々木茂光君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名した佐々木茂光君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました佐々木茂光君が決算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました佐々木茂光君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
佐々木茂光副委員長、御挨拶を願います。
〇佐々木茂光副委員長 ただいま副委員長に選出いただきました。まことにありがとうございます。佐々木茂光でございます。
郷右近委員長を補佐して円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
〇郷右近浩委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事、企画理事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から23日まで、及び26日から30日までの7日間は、会計管理者及び関係部局長等の出席を求め質疑を行うこととし、決算15件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月30日の県土整備部関係の質疑が終わった後、世話人会の意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、6日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
これより議事に入ります。
認定第1号から認定第15号まで、並びに議案第47号及び議案第48号の以上17件を一括議題といたします。
これより、会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇紺野会計管理者 それでは、平成26年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
お手元に平成26年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしております。
決算の概況につきましては、便宜、この平成26年度歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。第1平成26年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る取り組みを重点的に進めるとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成26年度歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりであります。
まず、平成26年度一般会計当初予算は、本格復興推進予算として1兆167億4、964万円が措置され、前年度の当初予算に比べまして1、349億5、273万円、11.7%の減となっております。
また、この当初予算に、6月補正予算以降におきまして、本格復興を推進するための経費や、国の地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策に対応した事業を中心に、6億5、336万円の増額補正が行われたところでございます。これに前年度からの繰越額2、193億9、433万円を加えた結果、最終予算額は1兆2、367億9、733万円となり、前年度と比べますと1、128億7、541万円、8.4%の減となったものであります。
次に、この予算に対する決算についてでありますが、歳入につきましては、44ページ及び45ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況の表の合計欄をごらん願います。
まず、平成26年度の収入済額(A)は1兆875億7、794万円余で、前年度と比べますと、表の右側(A)-(B)の欄でございますが、704億4、591万円余、6.1%減少し、収入率は、予算現額に対して87.9%、調定額に対して97.7%となっております。
なお、収入未済額は253億2、529万円余で、前年度に比べまして5億9、120万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入でございます。
次に、歳出についてでありますが、少し飛びまして、52ページ及び53ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況の表の合計欄をごらん願います。
平成26年度の支出済額(A)は9、829億7、756万円余で、前年度に比べまして754億3、625万円余、7.1%減少し、執行率は、予算現額に対して79.5%となっております。また、翌年度繰越額は2、048億5、036万円余で、前年度に比べまして145億4、396万円余減少いたしましたが、この繰越額の主なものは災害復旧費や土木費であります。
なお、不用額は489億6、939万円余で、前年度に比べまして228億9、519万円余減少しております。
次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、42ページ及び43ページをお開き願います。第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入決算額は1兆875億7、794万円余、歳出決算額は9、829億7、756万円余であり、歳入歳出差引額は1、046億37万円余となったものであります。
また、歳入歳出差引額(A)から翌年度へ繰り越すべき財源(B)784億2、872万円余を差し引いた実質収支額(C)は261億7、165万円の黒字となっております。
次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、再度、1ページをお開き願います。中段の2決算の特色をごらん願います。
一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、決算規模が前年度を下回ったことであります。決算規模は、災害廃棄物、瓦れき処理完了に伴いまして、歳入におきましては、諸収入、県債、国庫支出金等の減少により、前年度を704億4、591万円、6.1%下回り、歳出におきましては、衛生費、災害復旧費、労働費等の減少により、前年度を754億3、626万円、7.1%下回ったものであります。
第2には、自主財源、依存財源ともに減少したことであります。自主財源は、災害廃棄物処理関連事業の終了に伴う諸収入等の減により、前年度に比べ514億7、317万円、9.2%減少し、5、066億7、048万円となっております。また、依存財源は、県債、国庫支出金等の減により、前年度に比べ189億7、274万円、3.2%減少し、5、809億747万円となっております。
この結果、歳入総額に占める自主財源の構成割合は、前年度に比べ1.6ポイント減少し、46.6%となり、依存財源は1.6ポイント増加し、53.4%となっております。
第3には、投資的経費が減少したことであります。投資的経費は、災害廃棄物処理関連事業の終了に伴う災害復旧事業費の減により、前年度に比べ675億9、345万円、20.2%減少し、2、678億2、019万円となっております。一方、義務的経費は、公債費や人件費の増により、前年度に比べ74億8、521万円、2.4%増加し、3、187億4、815万円となっております。
この結果、歳出総額に占める投資的経費の構成割合は前年度に比べ4.4ポイント減少し、27.3%となり、義務的経費は3.0ポイント増加し、32.4%となっております。
第4には、普通建設事業費が増加したことであります。普通建設事業費は、道路、橋梁、住宅、港湾等の整備事業の増により、前年度に比べ198億7、001万円、14.7%増加し、1、549億4、686万円となっております。
第5には、県債発行額、県債残高がともに減少したことであります。県債発行額は臨時財政対策債の減などにより、前年度に比べ149億7、546万円、17.2%減少し、719億6、202万円となっております。また、平成26年度末の県債残高は前年度に比べ423億3、449万円、3.0%減少し、1兆3、841億8、445万円となっております。
以上、一般会計の特色を申し上げました。
次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、33ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況をごらん願います。特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入総額は2、731億8、755万円余であり、前年度に比べまして161億7、929万円余の増となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の増などであります。また、歳出総額は2、669億2、343万円余であり、前年度に比べまして188億4、176万円余の増となりましたが、その主なものは公債管理特別会計の増などであります。
なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
以上で決算の概要説明とさせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
よろしく御審議くださいますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。
〇郷右近浩委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、改革岩手が37分、次に、自由民主クラブが31分、次に、いわて県民クラブが17分、次に、創成いわてが15分、次に、日本共産党が11分、次に、社民党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員、無所属臼澤勉委員の順に、それぞれ7分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うことになっておりますので、御了承願います。
なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
これより総括質疑に入ります。小野共委員。
〔小野共委員質問者席に着く〕
〇小野共委員 改革岩手の小野共でございます。会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきたいと思います。きょうは、前半の部分を私がやりまして、後半の部分を軽石委員のほうにお願いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、先月の台風18号によります関東・東北豪雨により亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
最初に、オール岩手の取り組みについて、通告に従い質問させていただきますので、答弁をよろしくお願いします。
知事の言うオール岩手の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
9月11日から3期目の任期が始まりました。2期目の4年間は、復興事業におきまして、知事は、特に体力的にも精神的にも厳しかったんだろうと思います。知事の言う県民全体、オール岩手でこの困難、難局に立ち向かわなくてはいけないと私も思います。被災県岩手の県民がばらばらでこの難局を動かせるほど、岩手県政の最優先課題であります復興事業は甘くはないと思っております。
そこで質問するわけですが、今回の知事選の際、知事に対しましてさまざまな指摘、さまざまな批判がありました。知事は現場との距離が遠いでありますとか、県民との対話が不足している、あるいは市町村と一緒になって問題解決に取り組む姿勢が弱いでありますとか、知事の、県民、県内市町村長、さまざまな業界、政党とのコミュニケーションの不足に関する指摘、批判がありました。知事は、この批判をどう受けとめ、今後どのように対処していくのか、まず聞かせていただきたいと思います。
〇達増知事 さきの知事選におきましては、私も精力的に県内各地を回りまして、復興とふるさと振興を進め、希望郷いわての実現を目指すことを、多くの県民の皆様、企業や業界団体の皆様に訴えて、幅広い御理解と大きな御支持をいただいているという手応えを得たところであります。
また、これまでも、答えは現場にありということで、県政懇談会や復興行事、各種イベント等の機会も含めまして、できるだけ被災地初め県内各地へと足を運んで、現場で頑張っている県民の方々と意見交換を行い、現地の市町村長とも可能な限りお会いするよう努めているところであります。
今後とも、引き続き、県民の皆さん、市町村長、企業や業界の皆さんとの対話、連携を進め、オール岩手で復興とふるさと振興を推し進めていきたいと思います。
〇小野共委員 今後とも進めていきたいということでございました。この批判をどう受けとめるかといったような私の質問に対する答弁はなかったのかという気がしておりますが、いずれにいたしましても、ここでは知事の認識、客観的事実を議論するつもりはありません。ただ、冒頭でも申し上げましたように、復興事業を実施するに当たってオール岩手の体制を築く、それが一番大切なことなんだろうと思います。今後とも、オール岩手の体制を築くために、私は、多少格好悪くてもいいと思うんです。何よりも、政党あるいは業界、県民、首長の方々のさまざまな批判もあるところでありましたので、そういった批判が出ないように、とにかく、文字通りオール岩手の体制を築いていただきたいと、そのことを申し上げたいと思いまして、きょう、この質問をさせていただきました。
続きまして、2番の中期財政見通しについては飛ばしたいと思います。
三つ目の復興事業費の見直しについてを質問させていただきたいと思います。
5月に政府のほうから平成28年度以降の自治体の負担割合の方針が発表されまして、6月に県は、県と被災12市町村の5年間の自己負担額を、県が73億円、12市町村が16億円、合計90億円との試算を公表いたしました。しかし、一部の自治体では、現在、自己負担額を精査し、全く違う額を算出している自治体もあります。県の試算した額より多くなった自治体もあるようでありますし、少なくなった自治体もあるようです。陸前高田市でありますとか釜石市、あるいは大槌町もそのとおりであります。自治体の自己負担の政府の方針を受け、被災自治体が事業費全体をもう一度精査したということなのだろうと思います。
そこでお伺いしたいわけですが、この合計90億円、次の5年間の自治体を含めた総事業費が平成28年度以降2.2兆円と、県負担の73億円の事業費を、私は、もう一回精査する必要があるのではないかと思うんですが、認識を聞かせていただきたいと思います。
〇中村復興局長 県や市町村の一部負担のベースとなっております復興事業費につきましては、3月末時点におきまして、国、県事業については県において、市町村事業につきましては市町村が、それぞれ平成28年度以降の事業を見込んで積み上げたものでございますけれども、今、委員のほうからお話があったとおり、一部の市町村におきましては、今年度までに配分されます復興交付金効果促進事業の活用でありますとか、その後の事業規模の見直しといったことなどによりまして、事業費や、それに伴います地方負担額に増減が生じているということでございます。
今後におきましても、状況変化などを踏まえまして、復興事業費や地方負担額につきましては、定期的に、市町村と連携しながら再試算を行い、必要に応じ国に対して要望を行うなど、毎年度の財源の確保にも努めてまいりたいと考えております。
〇小野共委員 この73億円という数字は本当に大切な数字だと思うんです。県負担の73億円という数字が、地方債の中期財政見通しでありますとか公債費負担計画のほうに直接影響していくと思いますので、見直すのなら見直すということで、随時、きっちりと精査してやっていただきたいと思うものでございます。
もう一点お聞きしたいんですが、冒頭でも申し上げましたとおり、例えば陸前高田市などは、報道等によりますと、県が試算した金額の1億5、000万円に対して3億8、000万円、釜石市なども4億2、000万円の県の試算に対し5、000万円、あるいは大槌町なども、県の試算の1億円に対し2億円という数字が、これは公式に発表したわけではありませんが、コメントの中でそういう話をしているわけでございます。
16億円という数字が根本から崩れていくことになるわけですが、直近の数字というものを出して公表すべきではないのかと思うところでありますが、その方針を聞かせてください。
〇中村復興局長 3月末時点でいろいろ調査したものにつきましては、今後5年間の事業費の数値というものを、各市町村ごとに、その時点で報告いただける数値を報告いただいておるわけですが、その後、事業そのものを市町村でも精査しながら事業費がかなり動いてきているという状況もございますので、これにつきましては、しかるべき時期に、市町村のほうにも照会しながら、そこは精査してまいりたいと考えています。
〇小野共委員 この数字は、そもそも3月時点で─政府の方針が5月に発表されて、その負担割合の方針が5月に発表される前の数字です。平成32年度の復興計画終了までの被災市町村からのある程度の計画に基づいて、5月に政府の方針が発表された負担割合を掛け合わせて出たのがこの16億円という数字なはずなんです。だから、当然、被災市町村でも精査をし直しているところでありますし、自治体負担というものが出た途端に、ちょっと言い方が乱暴ですけれども、県のほうもきっちりと精査してやっていただきたいと思うものでありますし、公表のほうも考えていただきたいと思います。
続きまして、公債費の負担適正化計画についてお伺いしたいと思います。
2年前の平成25年9月に公債費負担適正化計画を策定しておりますが、9月の改定版が出ておりました。9月の改定版は、今回、平成26年度の決算を受けて幾つかの計画の変更があったようであります。確かに、当初、2年前の計画では、実質公債費比率の3年間の平均が17.8%だったのが、今回、16.4%と聞きました。今回、平成32年度に3年間の平均が18%を割るという計画だったものが、平成31年度に何とかなるような見通しが出てまいりました。
そこで聞きたいわけでありますが、先ほど来話をしております復興事業費の県負担の73億円は、常任委員会でもその質問が出ましたが、改めてお聞きしたいと思います。県負担の73億円は、果たしてどのぐらいを起債で賄う方針なのか。当然、公債費負担適正化計画にも影響していくわけでありますが、方針を聞かせてください。
〇風早総務部長 公債費負担適正化計画についてでございますが、復興事業に係る新たな自治体負担につきましては、国から、地方債の発行を認めるという方針が示されております。
具体的な発行額につきましては、毎年度の予算編成過程において、収支ギャップや公債費負担適正化計画への影響などを考慮して検討していくこととなりますが、決して復興をおくらせることがないよう取り組んでまいります。
なお、先月改定いたしました公債費負担適正化計画においては、平成28年度から平成32年度までに新たに生じる県負担の合計73億円について、全額県債で対応すると仮定いたしまして実質公債費比率の将来推計を行ったところであります。負担の平準化により、実質公債費比率への影響は単年度当たり0.1ポイント程度の上昇に抑えられることから、計画の達成時期に影響はないものと見込んでおります。
〇小野共委員 私もそこが不思議に思ったんです。この9月に発表された公債費負担適正化計画では、確かに、部長がおっしゃるとおり、最終ページに、現時点で新たに生じると見込まれる県負担額73億円全額を地方債で対応するものと仮定して推計しているとあるものですから、私は、これは73億円全額を起債で賄うととっておったのですが、今の説明だと、結局どっちなんだと思うわけでありますけれども、その辺をもう一回、明確に聞かせてもらってもいいですか。
〇風早総務部長 毎年度の予算編成過程におきまして、単年度にどれだけ起債を発行するかというのは、あくまでも毎年度の予算編成過程において決めていくものだと考えております。ただ、公債費負担適正化計画につきましては、この73億円について、一応、現時点では、事業費が復興事業費試算ベースで、平成28年度から平成32年度まで、73億円をどういう事業に、どういう年度、どれほどの負担が出てくるのかということを計画に基づいて置きまして、それを全額県債で対応すると仮定して将来推計を行ったところでございます。
〇小野共委員 わかりました。
続きまして、復興事業である内陸への避難者の生活再建についてお伺いしたいと思います。
沿岸被災自治体から内陸へ避難されている被災者の今後の生活再建は、8月31日現在で内陸の応急仮設住宅等に避難されている被災者が791世帯、1、687人いらっしゃいます。
県では、この1月から2月で、内陸への避難者の方々に今後の住宅再建のアンケート調査をしております。今後、地元の自治体に戻ると回答したのは18.5%、約2割弱です。避難先を含め内陸部での居住を考えている人が4割を超えております。避難先自治体での仕事あるいは生活になれた方々も多いのだろうと思います。
内陸でも、震災から3年を超えたあたりから、内陸への避難者がとどまりやすい施策を考える自治体も出てきたようです。私は当然だと思います。仮設住宅を恒久的な市営住宅に用途変更することを検討する内陸の遠野市などの自治体も出てきております。沿岸被災自治体は当然だろうと思いますけれども、内陸への避難者による人口減少を懸念しておりますけれども、私は、これは、最終的には内陸への避難者の生活再建を最優先に考えるべきだろうと思います。
お聞きしたいのですが、震災から4年7カ月が過ぎております。そもそも県では、内陸への避難者の生活再建をどのように考えているのか。それぞれの自治体が、被災者が内陸にとどまる施策をしてもいいのか、あるいは内陸の自治体が地元に戻らせる施策をとるべきなのか。内陸の自治体がばらばらで、それぞれがどうやってもいいですよというわけにはいかないのだろうと私は思います。自治体にしても困っていると思います。県の出方は果たしてどうなんだろうか、県は果たしてどう思っているのだろうかという話なのだろうと思います。
ここに来て、私は、県はある程度の方針を示すべきときなのだろうと思います。その見解を聞かせていただきたいと思います。
〇中村復興局長 県としては、被災者の方々はもとの居住市町村にできるだけ戻っていただくことが望ましいと考えておりまして、こういった考え方は県内の市町村のほうにもお伝えしてございます。そういったことで、これまでも、被災地のまちづくりでありますとか災害公営住宅の進捗状況などにつきまして、定期的な情報提供でありますとか、内陸市町村と連携した交流会での相談対応といったようなことも行ってきてございます。
しかしながら、先ほどのお話がありましたアンケート調査の結果などを見ましても、さまざまな理由で内陸にとどまるということを選択した方も出てきているという現状もございまして、内陸に災害公営住宅をつくるといったような選択肢も含めて、沿岸の市町村のほうにも、それぞれ個別に、今後の対応について、今、協議をさせていただいているという状況でございます。被災者一人一人の意向に、基本的には最終的に沿うような形で結論を出していく必要があると考えておりますので、被災元でありますとか避難先の自治体とも十分連携いたしまして、被災者に寄り添った生活再建が実現できるように今後とも対応してまいりたいと考えております。
〇小野共委員 誰のための復興なのかという視点をもう少し入れていただきたいと思います。果たして、自治体の存続のための人口減少対策として戻らせるのかといったことよりも、今、復興局長がおっしゃるような被災者の生活再建、内陸で暮らしたいと。その生活、あるいは仕事なりがある程度落ちついたところで暮らしたいというのは当然だろうと私は思います。そういったことも、もっとそちらの施策のほうにも比重を置いていただきたいと思うわけであります。
質問で通告しておりました災害公営住宅の件に対しましては、先日の復興特別委員会で斉藤委員のほうから質問があったことに答弁がありましたので割愛させていただきますが、慎重にというか、きっちりと被災市町村のほうとも連携をとりながら、意見交換をしながら、誤解のないように、みんなにとっていいようにきっちりと施策を進めていっていただきたいと思います。
復興道路と支援道路の進捗状況についてお伺いしたいと思います。
三陸沿岸道路と東北横断自動車道、宮古盛岡横断道路について聞きたいわけですが、5月15日に東北地方整備局のほうで発表した資料が手元にあります。完成予定が、三陸沿岸道路が最短で平成32年度完成、東北横断自動車道が最短で平成30年度、宮古盛岡横断道路が最短で平成32年度の完成という見込みでありました。
また、開通の見通しが確定していない箇所が同時に公表されておりまして、6カ所あると。北縦貫道が3カ所、縦貫道が1カ所、宮古盛岡横断道が2カ所。田野畑北インターから普代村第11地割でありますとか、普代村第16地割から久慈インター、あるいは釜石北インターから大槌インター、茂市腹帯工区あるいは川井箱石工区というところで、6カ所、未確定な場所が公表されております。この工事の進捗状況によって、復興道路あるいは支援道路の完成がさらにおくれていく可能性というのも当然あるわけです。
工事区間が数多くありますけれども、開通の見通しが立っていないこの6カ所というのはどのようになっているのか。見通しが立たない原因がわからないと、国への要望のしようがないはずなのだろうと思います。そもそもなぜ見通しが立っていないのか、そして、国への早期の完成の働きかけというのはどうなっているのか聞かせていただきたいと思います。
〇中村復興局長 復興道路等につきましては、着手後おおむね10年程度の開通を目指すということで、今、国によりまして、かつてないスピードで事業が進められている状況にございます。用地取得に一定の進捗が見られるなど、完成に向けた円滑な事業実施環境が整った箇所につきましては、先ほど委員のほうからお話があったとおり、開通の見通しが公表されているということでございます。
ことし5月には、県内の復興道路等におきまして、新たな開通見通しが10カ所公表された一方で、開通見通しが確定していない主な箇所が6カ所挙げられてございますが、これにつきましては、地権者との用地交渉に時間を要しているということが課題と伺ってございます。
県や市町村におきましては、復興道路等の用地取得を促進するために用地取得事務を一部受託するとともに、代替地の確保などについても協力しているところでございます。
国に対しては、復興道路等の早期完成に向けまして、6月の政府要望でありますとか被災3県での要望、東北4県での合同要望といったさまざまな機会を捉えて、これまでも強く働きかけているところでございまして、今後とも、国や市町村とも一体になって整備促進に努めてまいりたいと考えております。
〇小野共委員 ちょっと細かい話なんですが、この6月の知事の国への予算要望、本格復興に当たっての提言、要望書というものが手元にあるんですが、直轄事業の着実な推進と全面的な財政支援の要望の中で、この6カ所の話は触れられていないんです。知事の要望ですから、果たしてこの6カ所は、いわば乱暴な言い方ですけれども、個別の事業だから入っていないのか。具体的な話の詰めというのは、果たしてどの場所でやられているんですか。
〇中村復興局長 知事が国に要望いたしました6月の要望につきましては、確かに、包括的に三陸沿岸道路等を早期に完成してほしいという表現ぶりでの要望書になってございます。ただ、それは、今、委員のほうからお話があったように、まだはっきりしていない部分の早期の見通しの提示も含めて進めていただきたいという趣旨で国のほうにはお願いしておりますし、具体に6カ所のお話については、別途、現場のほうの三陸国道事務所等と、今、県のほうでも十分調整しながら進めている状況でございます。
〇小野共委員 了解しました。いずれにいたしましても、震災以降の沿岸被災地の企業誘致はかなりうまくやっているところもあります。沿岸被災地に来る大きなメリットの一つとして、交通網が格段に改善されたというところもかなり大きい要因なのだろうと思います。入ってきた誘致企業の人たちも、新規の業者の人たちもかなり期待しておりますので、おくれるということがないように─おくれるというか、きっちりと進めていただきたい、開通をできるだけ早くということを申し上げておきたいと思います。
続きまして、地域医療構想についてお伺いしたいと思います。
県では、国の法律に基づいて、今から10年後の平成37年の県の医療提供体制であります地域医療構想の策定を進めておるところでありますが、具体的には、今から10年後の医療機関の病床機能ごとの必要病床数と在宅医療の需要等を定めるものであります。その法律によりますと、今後2年以内に策定するという予定であるようですが、本県では今年度中の策定を目指しているという話を伺っております。
政府のほうで、この7月に、大学教授らでつくる専門調査会が、同じく県の地域医療計画、地域医療構想に先立ちまして、10年後の全国47都道府県の必要病床数を試算したものがマスコミで報道されました。
これによりますと、岩手県が、平成25年現在での許可病床数1万5、000床をこの10年で3割、4、400床ほどの入院ベッドを削減するというものであります。国のこのような動きがある中で、本県におけます地域医療構想策定の進捗というのはどうなっているのかというのを聞かせていただきたいと思いますし、現在進行中の地域医療構想の取り組みを進めるに当たり、県内の入院ベッドの削減について基本的にどう考えているのか。そして、この取り組みは介護分野との連携が不可欠であると思うわけでありますが、地域医療構想を踏まえ、介護施設の整備、在宅介護をどのように進めていくのかを聞かせていただきたいと思います。
〇千葉副知事 3点ほどお尋ねをいただいております。
まず、地域医療構想の策定の進捗状況についてでございますが、県におきましては、将来の目指すべき医療提供体制などを定める地域医療構想を策定するため、本年4月に県医療審議会に諮問いたしまして、同審議会の医療計画部会で策定作業を進めております。
現在の状況でございますが、将来の病床機能ごとの必要病床数を算定するための前提となります構想区域の設定の考え方や、構想区域間の入院患者の流入や流出見込みなどを主な論点といたしまして、二次保健医療圏ごとの医療関係者等の意見もお伺いしながら検討しているところでございます。
今後策定いたします素案におきましては、構想区域ごとの必要病床数と、その履行のための施策を取りまとめることとしておりまして、改めて、二次保健医療圏の医療、介護関係者や市町村、住民代表の方々の御意見を伺いながら、また、パブリックコメント等も行った上で、今年度中の策定を目指していくものとしております。
次に、構想実現に向けた取り組みについてでございますが、構想の策定後は、構想区域ごとに医療関係者等を構成員とします協議の場を設けまして、地域で不足する病床機能への転換や在宅医療への参入などについて協議を行いながら、医療機関が自主的に取り組むことを基本として、今後10年程度をかけて、地域の医療提供体制が次第に目指す姿に収れんされていくように取り組むものでございまして、単に病床の削減等を行うものではないと認識いたしております。
今、委員からの御指摘の中で、4、400床の病床削減についてのお話もございましたが、これは、実は本年6月に内閣官房の専門調査会が、2025年には全国で約15万床、本県では、お話にありました約4、400床が過剰になるとの必要病床数の推計を公表したところでありまして、この公表が、報道機関におきまして、4、400床が削減されるというような報道に至ったものでございます。
一方、この報道を受けまして、厚生労働省からは、今回の試算は参考値であることや、現行の医療法におきましては、都道府県知事は稼働している病床を削減させる権限を有していないこと、地域医療構想の実現に向けましては、医療関係者等の話し合いを通じた医療機関の自主的な取り組みが基本であるということについて、改めて理解を求める通知が出されているところでございます。
次に、構想を踏まえた介護施設の整備等についてでございますが、市町村におきましては、地域医療構想の協議の場での検討状況を踏まえて、平成30年度からの第7期介護保険事業計画を策定し、各地域で必要とされます医療や介護のサービス基盤の充実を図ることとしております。
県といたしましては、地域医療構想の取り組みを進める中で、高齢化の進展等に伴います医療、介護需要の変化にも対応できるよう、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築に努めますとともに、在宅医療や介護を担う人材の育成、施設整備等に対する補助等によりまして、市町村におけます医療と介護の連携、あるいはサービス基盤の整備を支援してまいりたいと考えております。
〇小野共委員 地域医療構想の策定に当たって、まず第一に病床の削減ありきということではないという話を聞いて、安心いたしました。平成21年の当県の病院の無床化計画のときにかなり混乱を来してやったものでありますから、あれよりかなり大きい話になっていくのだろうと思います。いずれにいたしましても、今回の病床削減の本音は国の医療費の削減というところが何か見え隠れしているようでありますが、そもそも、年々増加する医療費を削減するために、それでは病院をなくせであったりとか病床をなくしてしまえというのは、私は、かなり乱暴な議論なのだろうと思います。
県立病院は、今、20病院ありますが、4、400床削るとなると、数からいけば平均220のベッドを削減していくという話なのでしょうから、これが果たして現実的な数字なのかと思っておりましたし、介護施設や介護職員だって、今、絶対的に不足しておりますし、人手不足が県内で最も深刻なのが介護です。介護のベッドをふやすといったって、本当にそれが現実的にできるのかと懸念しておりましたので、さまざまな研究機関、マスコミ報道等でもありますように、日本創成会議の推計とは別に、実は中央でも介護施設が不足するという研究結果を発表しているところもあったようであります。先日、マスコミでも報道されておりました。国の方向性に従わなければいけないというのも、当然そのとおりだと思いますが、常識的に慎重に対応していただきたいと思います。
時間的に最後の質問になりました。
ラグビーワールドカップ2019日本大会について、これは知事にお伺いしたいと思います。
飯澤議員の代表質問でも取り上げました。イングランドで開催中の第8回ワールドカップで日本の快進撃が取り沙汰されております。
先日の記者会見で、竹下前復興大臣が、釜石での開催の課題を三つ挙げております。スタジアムの建設費、宿泊施設、会場までの輸送手段、どれをとっても知事の言うオール岩手で当たらなければいけない課題であります。
スポーツのすばらしさは、勝利するという一つの目的に向かってみんなで協力するんだと。これは本当にすばらしいことだと思います。南アフリカもそのとおりであります。平成7年にラグビーワールドカップで南アフリカが優勝しているわけでありますが、その当時のアパルトヘイトを乗り越えて、みんなで協力して優勝したんだと。すごくいい話だと思います。
本県での開催が平成31年で、知事の今任期3期目の最終年であります。最初で最後のビッグイベントになるはずであります。是が非でも成功させなければいけないと思います。知事の決意を聞かせていただきたいと思います。
〇達増知事 イングランド大会での日本代表チームの歴史的な偉業によって国内も盛り上がり、次回、日本大会の開催機運が大いに高まっていると思います。
ラグビーワールドカップが東日本大震災津波の被災地である釜石市において開催されるということは、全世界からいただいた復興支援への感謝を伝えるとともに、復興の姿を発信するための絶好の機会となります。また、イングランド大会を見ますと、観客は比較的長期にわたって現地に滞在し、飲食や市内観光を楽しむ傾向にあることがうかがえます。
このことから、国内外観光客等の来県による交流人口の拡大や地域経済の活性化が期待されるところでありまして、県としては、この機会を捉えて、釜石市と連携し、世界に向けた情報発信、PRを行って、おもてなしの充実等により誘客促進と受け入れ態勢の整備に取り組んでまいります。
一方、大会の成功に向けましては、釜石市のスタジアム建設を初め、選手、観客等の宿泊施設や輸送手段の確保など課題も多くありますことから、今後、国やラグビーワールドカップ組織委員会等の関係機関と連携を図りながら、県内市町村、民間、そして県民がオール岩手でスクラムを組み、万全の体制で大会を迎えることができるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
〇小野共委員 了解しました。県の皆様方にはきっちりと応援のほうよろしくお願いしたいと思います。
それでは、私の質問はこれで終わりまして、軽石委員に引き続き渡したいと思います。ありがとうございます。
〇郷右近浩委員長 次に、軽石義則委員。
〔軽石義則委員質問者席に着く〕
〇軽石義則委員 改革岩手の軽石義則でございます。会派の皆様の御配慮によりまして、小野委員の会派代表としての総括質疑の継続の機会をいただきました。感謝を申し上げ、これまでの一般質問と重複するところもありますけれども、確認の意味を込めまして、通告に従い順次質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
1点目として、平成26年度事業執行全般についてお伺いいたします。
私は、平成26年2月定例会での予算特別委員会におきまして、当時の会派を代表し、総括質疑をさせていただきました。その際、山田町災害復興支援事業等検証委員会からの検証結果の報告について、議会の中でも多くの議論が重ねられた上での委員会設置であり、報告された検証結果は、今後の予算執行において、県としての事業の適切な執行管理のあり方に大事な取り組みでもあるとの考えから、議会のみならず県民からも理解をいただかなければならないと思い、委員会設置から検証結果が報告されるまでの経過と、検証結果の取り扱いを含めて知事の所感をお伺いいたしました。
知事からは、報告書では今後の事業の適切な執行のあり方にも具体的に言及されており、その内容は、緊急雇用創出事業のみならず県の補助事業全般にかかわるものでありますことから、庁内関係部局においてしっかりと全庁的に取り組むようにしてまいりますとの答弁をいただいております。
このことを踏まえた上で、具体的にどのような取り組みをされてきたのかお伺いいたします。あわせて、取り組みに対する成果や反省についてもお示し願います。
〇達増知事 補助事業及び委託事業の適正執行の確保や職員の資質向上を図り、内部管理体制を強化するために、平成26年4月1日から新たに事務処理指導体制を整備するとともに県組織全体としてさまざまな取り組みを実施し、補助事業等の適正執行に努めたところであります。
具体的には、補助事業及び委託事業に係る自己点検の実施や、各種会議での事務処理適正化策の周知徹底、事務処理基本研修の開催、事務処理基本共通マニュアルの策定、よろず相談所での相談対応などに取り組んだところであります。
これらの取り組みを通じて、チェック機能が強化されたことや補助事業等の事務の流れ、事業目的の重要性の認識が深まったこと、事務処理の軽減や効率化が図られたことなどが成果として挙げられます。
さらに、平成27年度から、補助事業の適正執行に向けた取り組みをより強化するために、補助事業等の適正執行のための内部考査を実施しているところであります。
〇軽石義則委員 適正な進め方をしっかりと組み立てて体制も整えてきていただいているということだと思いますので、その上で仕事をされてきたわけでありますけれども、それにのっとってやられた仕事の成果などにつきましては、平成26年度の主要施策の成果に関する説明書並びにいわて県民計画実施状況報告書において報告をされているものと思われます。
知事からのメッセージとして、その報告書の中には、これまでにも増して、県民の皆様方の御意見を県政運営に的確に反映させていくことが必要であり、また、本県の政策について考えていただくための資料として広く活用をされております。このことは、知事が県民党として選挙に挑んだことの発信でもあると考えております。
では、知事として、具体的に、県民の皆様からの御意見をどのような形で把握をし的確に反映されたことが実感できるようにしていくのか、お伺いをいたします。
加えて、この説明書並びに報告書が、どのような方法で、どれぐらいの範囲に周知をされているのかについてもお示しを願います。
〇達増知事 この主要施策の成果に関する説明書等は、いわて県民計画第2期アクションプランに関する平成26年度の県の取り組み状況や達成度等について県議会に報告するとともに、県民の皆様にお伝えし、県政への御意見をいただくことを目的に作成したもので、県行政情報センターやサブセンター、県立図書館、各市町村図書館等に配架するとともに、県のホームページに掲載し、その旨、いわてグラフでお知らせをしているところであります。
県といたしましては、希望郷いわての実現に向け、県民を初めとした地域の多様な主体による地域経営の考えに基づく取り組みを推進しており、県民の皆様からの幅広い御意見を県政に反映させていくことが重要と認識しております。
このため、県政に関する御意見について、県政提言や県政懇談会、パブリックコメント、県民意識調査、また、個別の事業実施における説明会等を通じて広くお伺いし、それらについて、政策評価の結果なども踏まえ、施策、事務事業等の見直しに反映させているところであります。
これら政策評価結果等を踏まえた施策、事業等の見直しの状況については、毎年2月に、政策評価結果等の政策等への反映状況報告書として取りまとめ、県議会に御報告するとともに、県のホームページ等で公表しているところであります。
また、県に寄せられた意見、提言については関係部局で検討し、可能な限り、積極的に県政に反映させていくこととしており、意見、提言の内容と県の取り組み状況について、県のホームページ等を通じてお知らせしております。
〇軽石義則委員 具体的にそのような形でしっかりと県民に伝わっていくことも大事だと思いますので、引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。
それらを進める上では、事業を適切に執行するための職員の適正配置や、教育訓練などの人事政策を確立しなければならないと考えております。現在は、全国からの派遣応援により対応せざるを得ない状況についての理解はできますけれども、復興後を見据え、正規職員の採用や育成を計画的に進めていかなければならないと考えておりますが、人員配置における現状と課題、適正な人員配置、人員確保に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。
〇風早総務部長 東日本大震災津波からの復興事業に最優先で取り組むため、任期付職員の採用や他県からの応援職員の派遣受け入れなどにより人員確保に努めるとともに、復興後の県政推進も見据え、正規職員の採用を計画的に進めているところであります。しかしながら、総合土木職を初め、技術系の職種を中心に民間企業等との競合もありまして、採用予定数を確保しにくい状況となっております。このため、大震災津波以降、新規卒業者向けとして県内外の大学を訪問し、県職員の業務内容、やりがいや魅力をアピールする説明会の開催に取り組んでおります。
こうした取り組みが、採用試験受験者の確保に一定の効果があることから、より一層、学生向けの取り組みを強化し、有為な人材を確保しながら、業務量に応じた職員配置に努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 やはり魅力ある職場であることも大事だと思いますし、それぞれの個々の能力もしっかりと発揮していただく力の引き出しというのも大事だと思います。
教育訓練のところで、少し具体的にお示しを願いたいと思います。
〇風早総務部長 研修面におきましても、昨年度に職員研修メニューの見直しに取り組んでおります。また、平成27年度からは、新たに女性職員の活躍を推進するための研修ですとか、職員のキャリア形成を支援する研修のほか、若手職員の育成を支援するメンター制度を開始したところであります。
こうした研修の充実なども図りながら、優秀な人材の確保、そして育成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 しっかり職員の皆さんの能力も発揮できるような態勢にすることも大事だと思いますので、引き続き、それらについても精力的に取り組みをいただきたいと思います。しかし、限られた人員で業務を適正に推進する上では、人のみならず、業務改善を図り、効率化をしていくことも必要であると考えております。当然、公共サービスの低下を招くようなことがあってはならないと思いますけれども、これまでの取り組み経過と、成果や課題などについてお伺いをいたします。また、成果を上げた具体的な実績などがあれば、それらについても具体的にお示しを願います。
〇風早総務部長 県民本位の視点に立ち、仕事の仕組みや進め方を不断に改善することにより、質の高いサービスを提供するため、平成12年度から、職員の意識改革、全庁的な仕組みの構築、職場での改革改善運動などを柱とする行政品質向上の取り組みを推進しております。
具体的な取り組みとしては、現在、岩手県職員憲章を具現化するため、庁内イントラネットで優良事例を情報共有するG・Iグランプリや130万人県民誰もが笑顔にをスローガンに、復興に向けた県民と一体感のある取り組みを展開するスマイル130プロジェクトなどを実施し、個人または組織が日々の業務の中で、工夫、改善に取り組んだ事例を募集し、業務改善を促しているところであります。
また、県民サービスの利便性向上を図る取り組みとして、電子申請システム利用手続の拡充や、インターネットを利用して地方税の手続を行うeLTAXの利用促進により、コンビニエンスストアやインターネットでの県税納付実績が高まるなど、成果が上がっているところであります。
これらの取り組みを通じまして、業務方針に基づくPDCA型の業務運営スタイルの定着、全庁的な業務見直しによる効果的な業務プロセスの構築など、改革改善する組織風土が定着しつつあると考えております。
課題としましては、本格復興の推進やふるさと振興といった行政課題に対応するために、既存業務の一層の効率化に加え、職員のやりがいや組織パフォーマンスを高めていくことが重要と考えております。
引き続き、行政品質向上に継続的に取り組んでまいります。
〇軽石義則委員 引き続き、それらがしっかりと県民の皆さんにも伝わっていくものでなければならないと思いますし、内部だけが充実をすることではなくて、岩手県全体が充実をしていくものにしていくよう、お願いをしたいと思います。
そういう意味におきまして、いわて県民計画におきましては、地域コミュニティー団体及び集落については、地域活動を行う最も基幹的な組織である。人口減少や若者の流出、後継者育成などの課題を抱えているが、これらの組織が地域活性化に向けた取り組みを自活的に行うことが健全な地域活動を進める上で重要であり、市町村及び県では側面から支援を行う事で、地域活性化を進めていくこととしているとあります。
私も県の職員の皆様も、地域で生活する上では、これらの組織の一員であります。仕事として側面から支援するためには、個人としても参画並びに参加することも必要であると考えます。あくまで、参加は個人の意思であることは前提としておりますけれども、新しい公共を求めていくのであれば、地域との一体感を共有並びに実感していかなければ、求められている支援にはなりません。
地域活動への参加実態をどのように把握をされているのか、お伺いをいたします。
また、盛岡市においては、新規採用職員の希望者に消防団への入団を勧める取り組みがされているとお聞きをしておりますが、岩手県として、地域活動への参加促進など、今後の具体的な取り組みについてお示しを願います。
〇風早総務部長 平成20年度に策定した岩手県職員憲章において、地域社会の一員としての自覚を持ち、地域活動に積極的に参加することをうたっております。
地域活動への参加は、職員が自由な立場で自主的、自発的に行っており、その参加実態は正確には把握しておりませんが、スポーツ少年団やPTA活動等、さまざまな地域活動に参加している職員も数多くいるほか、新採用職員研修においては、消防団への参加を促すメッセージを伝えているところであります。
県職員が、地域社会への一因として地域活動に参加し、地域課題の解決に取り組むことは望ましいことであり、今後とも、より一層、地域社会とのかかわりを深めていくよう、職員に促してまいります。
〇軽石義則委員 伝えていただいているということでありますので、それらについても、ぜひ見えるように示してもらえることが、さらにやる気にもつながっていくと思っておりますし、地域においては、しっかりと活躍されている職員の皆さんも承知をしておりますので、さらにそこのバックアップといいますか、後押しも必要ではないかと思いますので、対応をお願いしておきます。
次に移ります。2点目としまして、国体・全国障害者スポーツ大会の開催準備についてお伺いをいたします。
国体・全国障害者スポーツ大会の準備状況については、県民共通の理解により、各種準備が進んでいるものと考えております。各市町村を含めた多くの県民が、総参加により盛り上げを図るために努力されていることに敬意を表しますし、いよいよ年明け早々には、冬季大会が開幕する予定となっておりますが、会場整備や宿泊の受け入れ態勢の状況についてお伺いをいたしますし、10月6日まで開催された和歌山国体の総合開会・閉会式は非常に印象に残る内容であり、運営に当たっては、ボランティアが活躍をしていたと聞いております。
県でも視察されたと思いますが、来年の開催に向け、ボランティアも含めた総合開・閉会式運営の準備状況などについてお伺いをいたします。
また、市町村が担うこととなる競技会について、その会場整備や運営の準備状況などについても、あわせてお伺いをいたします。
〇千葉副知事 まず、冬季大会に係る受け入れ準備についてでございますが、まず、競技会場につきましては、新設の盛岡市アイスリンクは本年8月に完成し、また、改修を要する5施設のうち、田山クロスカントリーコースなど3施設は昨年度中に整備を終え、残る2施設も、今月末までに改修工事を完了する予定であります。
仮設による整備を含めまして、大会前に全ての整備を終え、支障なく大会を開催できる見込みでございます。
また、スケート、アイスホッケー競技会で延べ1万1、000人、スキー競技会で延べ1万4、000人と見込まれます選手、監督など、大会関係者の宿泊の受け入れにつきましては、昨年度から宿泊施設確保の取り組みを進めておりまして、全ての大会関係者の各会場地市内への宿泊が可能となるよう、今般、最終的な宿泊施設割り当てのシミュレーションを実施したところでございます。
今後、県実行委員会が今月1日に開設いたしました希望郷いわて国体配宿センターを拠点といたしまして、宿泊施設や会場地市との詳細な調整を進めることとしておりまして、12月からのスケート、アイスホッケー競技会に係ります宿泊申し込み受付に備えることとしております。
また、スキー競技会の宿泊業務につきましては八幡平市で実施することとなりますが、同市におきましても配宿センターを設置し、来年1月からの宿泊申し込み受付に向けての準備を進めており、同市とも緊密に連携し、万全の受け入れ態勢を整えていきたいと考えております。
次に、本大会開催に向けた準備状況についてでございますが、まず、両大会の開・閉会式では、希望の郷からありがとうをテーマといたします式典前演技のほか、小中学生約4、500人規模での都道府県応援団による歓迎、復興の現状を伝える写真展や物産など、本県の魅力を発信いたしますおもてなしの場としてのわんこ広場の設置など、全国に復興支援への感謝を伝えるため、趣向を凝らした空間を創出することとし、現在、その詳細を検討しているところでございます。
なお、本大会の開・閉会式の運営に携わりますボランティアは、募集人員1、800名に対し、現在の申し込みが約7割の水準に達しているところでございまして、引き続き、応募の呼びかけに注力していく考えでございます。
一方、競技会場につきましては、施設整備計画に基づき、会場地市町村が順調に整備を進めておりまして、改修が必要な41施設のうち38施設が本年度末までに整備を終える見込みであり、来年度に行います残り3施設と大会直前に行います仮設整備を含めまして、本大会開催前に全ての整備が完了するよう、会場地市町村と調整を図ってまいります。
また、競技会運営を行います市町村では、今年度、競技団体とともに開催しております競技別リハーサル大会の運営を通じまして、関係者間での相互の連携や、あるいは人員配置のあり方の具体的な課題の抽出あるいは共有がなされておりますほか、役員や補助員など関係者の意識が高まるなど、本番に向け、確かな成果が得られているところでございます。
いずれ、本番までの1年間は、これまで積み上げてきたものを形にする集大成の期間でございまして、県、市町村が一定の役割分担のもと、緊密に連携しながら準備に取り組み、両大会の成功に向けまして万全を期したいという決意であります。
〇軽石義則委員 順調に進んでいるということですので、しっかりさらに進めていただきたいと思いますし、その中で、特に競技会場の部分につきましては、以前に私も質疑を交わさせていただいておりますが、県営体育施設が全体的に老朽化をしていて、それらについては、復旧、復興の進展も見ながら総合的に今後検討していくと、答弁をいただいております。
先日、新聞で、県営体育館の天井の剥落などの報道もされておりましたが、きょうは知事のコメントも新聞等では載っておりましたけれども、具体的に、国体後、スポーツ大会後の県営施設のあり方については、今、既に進めているとは思いますけれども、どの程度検討されてきたのか、現段階で今後の見通しなどもあればお示しを願いたいと思います。
〇千葉副知事 県営体育施設の今後のあり方についてでありますけれども、さきの国体時に整備されました県営体育施設につきましては、委員御指摘のとおり、全体的に老朽化しておりますことから、安全対策や定期点検を行い、財政面なども考慮しながら、計画的な維持修繕などに努めてきているところでございます。
委員から御指摘のございました県営体育館につきましては、現在、改修に向けた事前調査の方法について、本体育館の設計事業者と協議を行っているところでございまして、今後、修繕方法を検討した上で設計を行い、できるだけ早期に改修工事を行いたいと考えております。
現在、希望郷いわて国体・スポーツ大会に向けまして、競技会場となる県営体育施設の改修に注力しているところでございますが、今後、国体の競技会場として、県営運動公園内に新たに整備されました山岳施設のリード施設などもありますことから、これらを含めた県営施設のあり方について、総合的に検討していくことが肝要であると考えております。
現在、教育委員会におきまして具体的な検討を始めたところでございますが、まずは、希望郷いわて国体の成功に全力で取り組むことが重要であると考えておりまして、国体終了後、できるだけ速やかに、東日本大震災からの復興状況や県と市町村との役割分担等をも考慮しつつ、さらには、外部有識者の御意見なども頂戴しながら、総合的な検討を行っていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 早急にそれらの計画についてもぜひしっかりと立てていただきたいということですし、以前からお話をしているとおり、県営であったり市町村営であったり、それぞれがそれぞれでするよりは総合的に力を合わせていくこと、民間の力も活用していくことが大事だと思いますから、それらも含めて、今後検討の中に入れていただくことをお願いしたいと思います。
国体を含めまして、特に全国障害者スポーツ大会の準備の対応については、ユニバーサルデザインに基づいた視点で対応することが求められております。その取り組みは、ラグビーワールドカップも2019年にありますし、2020年には東京オリンピックも意識をし、全国、全世界から、この岩手に多くのお客様を招き入れるものにしていくことが大事だと思いますが、ハード、ソフト両面で、具体的な取り組みをしているのであればお伺いをいたします。
〇千葉副知事 全国障害者スポーツ大会の対応状況についてでありますが、大会に参加されます選手など、大会関係者を初め高齢者や障がい者など、全ての人が不自由を感じることなく、快適に過ごすことができる環境を整備していくことが重要であると考えております。
このため、開・閉会式会場への身がい者用トイレや身がい者席の増設、情報保障席や音声ガイドの設置、わかりやすいデザインや見やすい配色による会場案内板の設置などを進めますとともに、選手団の宿泊が見込めます施設に対するバリアフリー調査や、各都道府県の大会参加団体に対する宿泊支援用具の希望調査を踏まえ、宿泊施設への仮設スロープの設置や浴室マット、シャワーチェアなどの配備を計画的に行うこととしております。また、パンフレットなど、広告宣伝物に音声コードを表示することや、配色や書体に配慮もしたいと考えております。
こうした取り組みとあわせまして、実施本部員とボランティア1、800人体制により、選手団を来県から離県まで帯同してサポートいたしますほか、交通機関と連携し、来県や離県の際に利用する主要駅等において、昇降のサポートや車いす動線の確保などの支援を行い、支障なく移動できるように対応したいと考えております。また、手話や要約筆記を行います約600人の情報支援ボランティアを各会場に配置する予定としております。
この大会を契機といたしまして、より一層、ユニバーサルデザインに配慮した環境整備が進むように、ソフト、ハード面を含めまして、きめ細やかな対応をしていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひとも、それらをしっかりと含めて対応をお願いしたいと思います。
次に移ります。3点目、官公需契約の状況についてお伺いをいたします。
岩手県における官公需契約の状況は、平成26年度は契約総件数9万3、704件で、うち、中小企業向け契約は8万4、740件となっており、中小企業向け比率は横ばいで90.4%であります。しかし、契約総金額は、平成25年度3、512億4、900万円余から平成26年度は2、543億1、200万円余にあり、中小企業向け契約は49.6%から63.3%まで一気に上がりました。
東日本大震災津波からの復旧、復興が始まり、平成24年度から契約総金額における中小企業向け比率が低下しておりましたが、平成26年度の契約額は下がり、比率は上がりました。限られた財源を有効に岩手県内の中小企業に配慮していくことが必要と考えております。
このような状況の変化を契約分類ごとにどのように分析をし、現場で努力をされている県民に成果が実感できる対応をされてきたのか、お伺いをいたします。
また、これまでの中小企業組合や市町村に対してどのように対応し、その上で、具体的な県内中小企業への受注の確保についてもお示しを願います。
〇千葉副知事 まず、本県の官公需契約におけます契約分類ごとの中小企業の受注状況でありますが、建設工事等の分野におきましては、復興事業の本格化に伴いまして、中小企業の契約額は、平成22年度の524億円余から平成26年度の1、252億円余と、2倍以上の増加となっております。ただし、県内企業への優先発注ができない、いわゆるWTO対象工事も増加しておりまして、中小企業の契約額の割合は、震災以前に比べて低くなっているところでございます。
役務の提供の分野におきましては、震災復興関連業務などによりまして、中小企業の契約額は、平成22年度の138億円余から平成26年度の195億円余となり、震災以前と比較いたしまして約1.4倍となっております。
また、物件の納入の分野におきましては、平成23年度は、震災関連の緊急物資の調達などにより、中小企業の契約額が大きく伸びたところでございますが、以降におきましては、震災以前と比べてほぼ横ばいの状況となっております。
全体といたしましては、平成26年度の契約額は平成22年度と比較して増加しており、また、前年度と比較いたしますと、委員御指摘のとおり、中小企業の契約額は減少したものの、契約額の割合は高まっているところでございます。
次に、県の対応についてでございますが、これまでも、県内企業への発注を優先する地域要件の設定や、少額工事におけます参加要件を小規模な事業者とする条件付一般競争入札の実施など、中小企業に配慮してきたところであります。
これらの取り組みに加えまして、市町村に対しましても、事業協同組合等で共同受注体制が整っている官公需適格組合の活用を含め、中小企業の受注機会の確保を要請しているところでございます。
さらに、先般、御案内のとおり、県が締結する契約に関する条例が制定されましたことから、条例の趣旨を踏まえ、中小企業の受注機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 各団体からもいろいろな要望等が出されていると思いますので、しっかりそれらについても対応をしていただき、その声が伝わることが大事だと思いますので、引き続き対応をお願いしたいと思いますし、復興後の岩手県のイメージをしながら、今後の中小企業をどう振興していくかということも大事な視点かと思いますが、将来を見据えた今後の取り組みについて、現段階で示すものがあればお示しを願いたいと思います。
〇千葉副知事 中小企業の振興策についてでございますけれども、県におきましては、東日本大震災津波からの本格復興や人口減少への対策が急務となります中、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために、先般、中小企業振興条例を制定させていただいたところでございまして、現在、条例に定める基本計画の策定作業を進めております。
この基本計画におきましては、中小企業の経営力向上に向け、その事業活動を支える人材の育成や地域資源を活用した商品の販路拡大の支援など、条例で掲げた施策について具体的な振興策を盛り込む予定としているところでございます。
県といたしましては、中小企業者の方々、行政、関係団体が一体となった振興策を推進することによりまして、中小企業の活発な事業活動が展開され、持続可能で活力ある地域経済の振興が図られますよう、取り組んでいきたいと考えております。
〇軽石義則委員 ぜひ、現場の声をしっかりとお酌み取りいただいた上で、対応することも含めてお願いをしたいと思います。
次に4点目としまして、難病対策についてお伺いをいたします。
先日、岩手県難病連の結成15周年一般財団法人設立記念、難病を考える岩手県民の集いがありまして、私も参加をさせていただきました。
難病は、非常に重圧を受けながら、患者の皆さんには明るく前向きに頑張っていただいておりますし、御家族にもそれをしっかり支えていただいておりますけれども、しかし、その対策がまだまだ不足している部分もあることも現実でございます。この間、法律等が施行されてきておりますけれども、まだまだその内容がしっかり周知をされていない、そして、市町村を含めて実態や課題がまだ明確にされていないところもありますが、市町村を含めて、その実態や課題などについてどのように把握をされているのか、お伺いをいたしますし、難病相談支援事業を活用されておりまして、かなりの件数、少人数で対応しております。それらの体制強化が求められておりますが、具体的に、それらに対応する状況、今後の取り組みなどをお示し願います。
〇千葉副知事 まず、難病患者への支援制度の周知についてでございますけれども、国におきましては、難病患者の療養生活の質の維持向上を図るために、本年1月に施行されましたいわゆる難病法に基づきまして、医療費助成の拡大を図りますとともに、障害者総合支援法にあっては、平成25年4月の施行の際に、障がい福祉サービスの対象に難病患者が追加され、さらに、本年1月及び7月に順次対象疾病が拡大され、難病患者に対します障がい福祉サービスの充実が図られてきたところでございます。
医療費助成の拡充につきましては、県では、従来からの医療費助成認定患者の方々に、昨年10月と12月に制度改正の内容を個別に通知いたしますとともに、新たな医療費助成の対象患者には、医療機関を通じて申請について周知をしておりますほか、県政広報誌や県政番組などの広報媒体も活用して、周知を図ってきているところでございます。
また、医療関係者に対しましては、昨年9月に制度概要説明会を実施いたしましたほか、本年度は、対象疾病の拡大及び運用上の留意点等を通知し、円滑な運用について協力依頼を行っております。
加えて、市町村に対しましては、昨年度来、国の通知発出に合わせて、制度改正内容について情報提供を行ってきましたほか、本年度におきましても、担当課長会議の場で改めて制度改正概要の周知を図りますとともに、円滑な制度実施に向けた保健所との連携について協力依頼を行っているところでございます。
障害者総合支援法の対象となります疾病の拡大につきましては、新たに対象となります患者の方々が受療する医療機関に対しまして、昨年12月と本年6月に、制度の拡充の周知と診断書等の作成の依頼を行いましたほか、保健所の窓口に障がい福祉サービスのチラシを配架するなど、さまざまな手段で周知に努めているところでございます。また、市町村及び障がい福祉サービス事業者に対しましても、制度説明会や各種研修会などで周知を図っております。しかしながら、医療機関やサービス事業者、市町村など、難病患者を支援しております機関の一部においては、難病や制度に対する理解がまだ十分とは言えないのではないかというような御意見、また、患者への周知が不足しているのではないかという御意見なども、患者団体のほうから伺っているところでございます。
県といたしましては、医療機関やサービス事業者、市町村などが制度の理解を一層深め、難病患者の方々の制度の利用促進が図られるよう、引き続き、さまざまな機会を通じて、一層の周知を図っていきたいと考えております。
次に、難病支援の今後の取り組みについてでございますが、まず、相談体制の強化につきましては、県では、難病患者の方々に対します相談体制といたしまして、岩手医科大学附属病院を難病医療拠点病院に指定し、難病医療コーディネーターを配置いたしますとともに、ふれあいランド岩手内に岩手県難病相談・支援センターを設置しているところでございます。さらに、各保健所におきましても、難病患者の方々を対象とした医療相談などを実施しているところでございます。
今後におきましては、難病の患者さんへの支援体制の強化を図りますため、難病法に規定された難病対策地域協議会の保健所ごとの設置に向け、取り組んでいくこととしております。
また、障がい福祉サービスの実施主体であります市町村において、窓口における相談体制の充実や保健所等関係機関との円滑な連携が図られますよう、県としても市町村の取り組みを支援してまいります。
次に、難病患者の方々に対します社会的な理解と支援の促進についてでございますが、委員御指摘のとおり、難病患者は外見から障がいがわかりにくいような場合もありますことから、例えば内部障がい者への理解を促進するため、岩手県難病・疾病団体連絡協議会が取り組みを進めていますハート・プラスマークの普及啓発の支援を行っていくなど、県や市町村の広報媒体を通じて、広く県民に対して、難病や支援制度についての理解を深める取り組みを進めてまいります。
なお、県といたしましても、公共施設等にあります車いす用の駐車場の適正利用を図るため施行しております、ひとにやさしい駐車場利用証にハート・プラスマークを既に表示しておりますし、その普及啓発にも支援してまいりたいと考えております。
〇軽石義則委員 時間となりましたので、通告はしておりますがこれで終わります。
ありがとうございます。
〇郷右近浩委員長 次に、岩崎友一委員。
〔岩崎友一委員質問者席に着く〕
〇岩崎友一委員 自由民主クラブの岩崎友一でございます。
会派を代表して総括質疑をさせていただきます。知事以下、よろしくお願いを申し上げます。
まず、県財政につきまして、大きく4点お伺いをしたいと思います。
まず一つ目が、財源対策3基金についてであります。
県では、財源対策3基金として、財政調整基金、県債管理基金、地域振興基金がございます。その中で東日本大震災津波発災後、財政調整基金と県債管理基金については、大幅な増加が見られるところであります。
そこで、確認をさせていただきたいのですが、県の財政調整基金は、発災直後の平成22年度末残高が約140億円、昨年度末残高が約291億円と、150億円ほどの伸びが見られます。しかしながら、これは震災復興特別交付税の後年度精算予定額を積み立てているものであり、事業完了後に精算しなければならないものであるかと思います。
また、沿岸部の被災12市町村の財政調整基金を見ても、全体で平成22年度末残高が約129億円、昨年度末残高が約472億円と約4倍に増加をしておりまして、中には15倍以上増加している市町村もございます。同時に、事業完了後に精算しなければならないと思いますが、県、沿岸市町村それぞれの精算予定額、精算後の基金残高について現段階でどの程度と見込んでいるのか。そしてまた、発災前と比較してどう変わるのか、県債管理基金の増加の要因とあわせてお伺いをします。
〇風早総務部長 委員御指摘のとおり、震災前に比べ財政調整基金の残高は、県、沿岸市町村ともに増加しておりますが、これは、主に震災復興特別交付税の精算予定額を一時的に基金に積み立てていることによるものであり、後年度に精算がなされるものであります。この精算予定額は、復旧、復興事業の進捗と毎年度の震災復興特別交付税の算定額等により変動するため、現時点で正確な積算は困難でありますが、県において、現時点で150億円から200億円程度、沿岸市町村の合計額も同程度の額と見込んでいるところであります。
精算予定額の見込みに幅があるため、これを除いた基金残高について正確にお答えすることは困難でございますが、いずれにしても、引き続き、厳しい財政状況が続くと考えております。
次に、県債管理基金の増加の要因についてでありますが、本県は、近年、公債費が高水準で推移していることから、公債費負担適正化計画に基づく公債費の適正管理に努めるとともに、将来の公債費負担に備えて、県債管理基金への積み立てを行っていることによるものであります。
〇岩崎友一委員 本当におおよその見込みであるかと思いますが、県、市町村の財政調整基金に関しましては、150億円ほど返還しなければならないことになると思います。
総務省のデータを見ていますと、そのまま数字が出ていますので全額使えるように思うんですが、このくらい返還があるということで確認をさせていただきました。
この財源対策3基金、財政調整基金に関しましては法律で定められて積み立てていると。残りの二つに関しましては、県独自で行っている基金、設置している基金であるかと思いますけれども、非常に重要な対策であるかと思いますので、引き続き、しっかりとよろしくお願いしたいと思います。
次に、安定的財源確保のための施策の展開についてお伺いします。
知事は、財源確保について、さきの一般質問の答弁で、地方創生のための新型交付金等を有効活用するほか、県税徴収の強化や未利用資産の売却など、あらゆる手法により歳入の確保に努めるとしています。しかしながら、昨年度98%近くの徴収率がある県税のさらなる徴収強化や、13億円程度の売却額があった未利用資産にも限りがあり、今後の歳入確保策としては実効性が乏しいものと考えます。
こうした状況を踏まえれば、県内経済の好循環を促し、個人所得、法人所得を向上させる施策を展開し、県民税や事業税をしっかり確保していくことが、財源の安定性、継続性の観点からも重要であると思いますが、知事の見解について伺います。
〇達増知事 県民税や事業税は県税の過半を占める重要な財源であり、産業振興によって法人所得等の向上を図り税源を確保していくことは、今後も岩手県が地方主導の政策を進めていく上で重要であります。
今般策定の総合戦略におきましても、ふるさと振興の三つの柱の一つに岩手で働くを掲げて、商工業、観光産業の振興や農林水産業の振興を総合的に推進することとしております。
自動車関連産業を初めとしたものづくり産業や食産業、伝統産業など、仕事につながる産業の振興に加えまして、水産加工業等へのカイゼン手法の導入によって生産性を上げるなど、個人所得や法人所得の向上につながる取り組みを進めてまいります。
また、法人県民税の法人税割の特例措置の延長につきましてもさきに議決をいただいたところであり、引き続き、税源の充実、涵養に努めてまいります。
〇岩崎友一委員 知事から今産業という、一つこれは大きなキーワードになるものだと思います。産業に関しては私もこの後取り上げるところでございますけれども、やはり岩手の企業がしっかりと利益を得る、利益を得て、それを従業員に還元したり設備投資に回すということで県内経済を回していくということが非常に重要であるかと思いますので、この県民税、事業税を確保していく産業の施策、具体性が一番求められるところでございますから、この辺しっかりとお願いをしたいと思います。
次に、政策実現のための財源確保対策についてお伺いをいたします。
中期財政見通しによると、平成28年度当初予算では272億円の収支ギャップが見込まれており、今後も厳しい財政状況が続くというのは一般質問でも取り上げられたところでありますが、この収支ギャップを埋めることはもちろんでありますけれども、知事は政治家として、みずからの政策の柱に沿って投資する部分もあると思います。その知事の政策の柱、軸は何なのか。また、その事業費と財源はどのように確保しようと考えているのか伺います。
〇達増知事 私は今回の選挙におきまして、復興とふるさと振興を進め、希望郷いわてを実現するということをマニフェストに掲げました。このうち、復興の推進については、ことし6月の財源フレームの見直しにおいて、おおむね本県の主張をくんだ形で、平成28年度以降、5年間の復興財源が確保されたところであり、引き続き、市町村、県、国が一体となって復興に邁進してまいります。
また、ふるさと振興については、今般策定しますふるさと振興総合戦略に基づいて取り組んでいくこととなりますが、こうした総合戦略の推進には、とりわけ安定的な財源の確保が重要でありますので、今後5年間の戦略期間を通じた継続的な施策展開を図ることができるように、一般財源総額や地方創生のための新型交付金など、必要な財源の確保について、全国知事会や北海道東北知事会と連動して、国に対して強く訴えてまいります。
具体的な予算額につきましては、毎年度の予算編成過程において検討していくこととなりますが、県の総力を挙げて強力に推進し、希望郷いわての実現に向けて取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 復興とふるさと振興という大きな2本の柱のように聞きましたけれども、ふるさと振興と言っても、物すごい多くの事業があるわけであります。例えば自分は、復興は復興で、県政の最大かつ最優先の課題でありますから進めなければならないと。同時に、産業と子育てが特にも重要であるというような思いがあるんですが、知事もこのふるさと振興というものは、すごいばふっという感じなんですね。この中でもこれだという、俺はこれをやりたいんだというような政策がございましたら、お示しをいただきたいと思います。
〇達増知事 今の日本の経済情勢からしますと、民間で投資をしたいという場合に、かなり低コストで資金を調達することができる。お金はもうだぶついてあり余っているような状態で、それが使い道がなくて、結局国債の購入に回っているということでありますので、民間部門において、何かこれをしたい、あれをしたいということがあれば、そこはどんどん投資ができる状態ではあると思っておりまして、一方で、行政というのは公共財、普通にしていたのでは民間主体は投資をしないような部門、それは道路、港湾等のインフラ整備でありますとか医療、福祉、そして教育等の公共分野に投資をしていかなければならない。ふるさと振興を考える場合にも、やはりそのようなさまざまな民間の主体、それらに共通する地域的な基盤、いわばふるさと振興基盤というようなところに投資をしていくことが基本になっていくと考えておりますけれども、一方で、それぞれ農林水産業、ものづくり産業、それに携わる皆さんや、関係団体と県が常にさまざま情報の共有をしたり方向性のすり合わせなどをする中で、呼び水的なモデル事業でありますとか、そういった事業を県においてやってもらえばということについてはそれほど大きな額ではありませんけれども、きめ細かに対応していくという形で、産業振興のほうに県も一定の役割を果たしていきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 想定していた答弁と全く違うといいますかあれなんですが、知事は政治家なわけであります。全部大事なのはわかるんですけれども、それであれば知事を誰がやってもいいわけであって、政治家達増拓也として、これは何とか自分が知事の時代に解決をしたいとか、そういった具体的な政策軸についてお聞きしたかったんですけれども、全部大事なのはもちろんそうなんですけれども、全部公平にやってもあれで、知事も一般質問の答弁で選択と集中というようなお話もされておりましたけれども、その集中という部分は、では、具体的に何なのか、それについてちょっとお聞きしたいと思います。
〇達増知事 いろいろありますので特徴的というか象徴的なもので個人的にも力を入れなければと思っているのは、超重度障がい者、障がい児対策などで、これもなかなか民間の自由な活動に任せていたのではうまく進まないところで、県としても矢巾に新しい施設をつくって、県の中でも一番困っている人たちをまずきちっと県として対応することによって、県全体が希望が持てる県になっていくというあたりが個人的なこだわりではあります。
〇岩崎友一委員 それも一つの大きな部分であると思いますし、知事が選択と集中という、集中の分野の大きな部分の一つになるかと思います。わかりました。
〇郷右近浩委員長 岩崎委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
岩崎委員、御了承願います。
午前11時54分 休 憩
午後1時2分 再開
〇郷右近浩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇岩崎友一委員 県財政につきまして、午前中に三つ質問させていただきまして、一つ残っておりますので、その続きから質問させていただきます。
地方消費税率引き上げに伴う対応についてお伺いしたいと思います。
日本の高齢化は先進国の中でも最も速く進行し、今後もどの国よりも高い水準で上昇を続け、高齢者数の増大により、現在の年金、医療、介護のサービス水準を維持するだけでも税金投入を毎年1兆円規模で増加させる必要があると言われております。この財源を確保できなければ社会保障の維持が困難になることから、政府は、全世代対応型の社会保障の機能強化を図るとともに、高齢化により毎年増加する必要経費を確保し、社会保障の安定化を図るために、消費税5%から10%への増税を決定したところであります。
まず、平成26年4月に5%から8%へと引き上げられました。消費税は、国の歳入となる消費税と、地方の歳入となる地方消費税とに分けられますが、その内訳は、税率5%時は国が4%、地方が1%でありましたが、8%への増税以後の内訳は国が6.3%、地方が1.7%となり、その使途は、国と同様に、地方においても、増税分に当たる0.7%については社会保障施策に要する経費に充てることが法律で義務づけられているものであります。
そこで伺います。県においては、地方消費税率引き上げ後、どれだけの税収となったのか。また、社会保障施策に要する経費に充てるための0.7%分の金額、具体的にどのような事業に使われ、どのような効果があったのか伺います。
〇達増知事 平成26年度の地方消費税の収入額は298億8、400万円余で、前年度と比較して48億1、700万円余の増収となっています。このうち、地方消費税率引き上げ分は25億800万円余となっています。
地方消費税の増収分については、地方税法の規定により社会保障施策に要する経費に充てることとされていますことから、平成26年度は、国の社会保障改革として実施された子供・子育て支援の充実、医療保険制度の見直し、難病対策への対応や、病床の機能分化、在宅医療の推進などの社会保障の充実分として約9億円、高齢化の進展などに伴う義務負担の増額への対応など、社会保障の安定化分として約16億円を充当したところであります。
これによりまして、保育所や地域子育て支援センターへの運営費補助などによる地域の子育て機能の充実や待機児童解消に向けた取り組みの推進、保育士等の処遇改善、国民健康保険等の医療保険制度の見直しによる低所得者の保険料の軽減措置、地域包括ケアシステムの構築に向けた在宅医療の取り組みの推進などが図られたところであります。
〇岩崎友一委員 今、知事から答弁がありましたように、地方消費税率引き上げによる増収分は県民の社会保障の充実のために活用されまして、今後も重要な財源であるということは明らかであります。先ほど、知事の政策の柱でありました難病対策にも使われているということで、大きな役割を果たしていると思います。
現在の我が国の財政状況は、国と地方ともに危機的状況にあり、財政再建は待ったなしであります。以前、知事は、消費税の税率引き上げについて後ろ向きな発言をしていたように記憶しておりますけれども、平成27年度税制改正を踏まえて、さきの6月定例会におきまして、地方消費税の税率引き上げ等に対応するための県税条例改正案を提案されて、可決されたところでございますけれども、この提案をされたということは、知事自身、増税に賛成という意味で提案されたものと理解しておりますけれども、よろしいでしょうか。
〇達増知事 昨年度までの税制抜本改革法には、景気が悪化したときに税率の引き上げを停止するいわゆる景気判断条項が付されていましたことから、本格復興を進める本県にとりまして、被災地の経済再生や復興の推進に影響を及ぼすことを懸念する趣旨から、国に対し、消費税率の引き上げについては慎重に判断するよう求めてきたものであります。
しかし、平成27年3月の税制改正によって、この景気判断条項は撤廃され、税率改定の時期が確定しましたことから、県税条例改正案をさきの6月議会に提案し、議決いただいたところであります。
社会保障関係費は今後も増加が見込まれますことから、地方の財政運営に必要な一般財源総額が確保されるよう、今後の地方財政制度に係る議論を注視しつつ、適切な措置を国に求めてまいります。
〇岩崎友一委員 増税に賛成かという問いに関してはお答えはいただけなかったのですが、特段反対もなかったので、賛成ということで理解したいと思います。
次の質問に参ります。次は、先ほども申し上げました県政の最大かつ最優先の課題でございます東日本大震災津波からの復旧、復興につきまして取り上げたいと思います。
私は、これまで、仮設団地の集会所、談話室等をお借りしまして、復興懇話会という形で入居者の方々の声を聞く活動を行ってまいりましたけれども、きょうは、その中でいただきました切実な声であったり、要望等も踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
まず一つ目が、東日本大震災津波復興基金の今後の活用の方針と計画についてお伺いいたします。
発災後、県では、国からの特別交付税210億円、クウェートからの支援金84億円、寄附金6億円、合計300億円の基金を設置し、復興にかかわるさまざまな事業を進められてきたと思います。市町村と共同で補助する持ち家再建のための被災者住宅再建支援事業費や、被災住宅の補修、被災宅地復旧支援事業を初めとしまして中小企業被災資産復旧事業費補助、浄化槽設置整備事業費補助、そして東日本大震災津波犠牲者合同追悼式の開催費などが挙げられるかと思います。
これまでの活用状況は、初年度の平成23年度が15億円と少なかったものの、平成24年度以降は35億円から55億円の活用が見られ、平成27年度末の残高見込みは106億円となっているところでございます。
さけ・ます増殖費や卸売市場施設災害復旧事業費補助のように既に基金の充当を終えた事業、被災者住宅再建支援事業費補助のように継続中の事業、そして、応急仮設住宅移転費用負担金のように今年度から始まった事業もあるわけでございますが、今後の基金の活用の方針、計画はどのようになっているのかお伺いいたします。
〇中村復興局長 県では、東日本大震災津波からの復興に向けまして、被災地域の実情に応じ、暮らしの再建やなりわいの再生等に弾力的かつきめ細かに対処できるよう復興基金を設置し、既存の制度では対応が難しい支援を行ってきたところでございます。今後におきましても、復興のステージの変化による新たなニーズ等に対応できるように、毎年度の予算編成作業の中で復興基金の活用について検討してまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 となると、平成27年度末の106億円まではわかりますが、それ以降、例えば数カ年、向こう5カ年とかの運用計画というようなもの、方針も含めて、そういったものはまだ決定されていないということでしょうか。
〇中村復興局長 具体的に各年度ごとにこれぐらい使うということは決定してございません。また、先ほどお話しいたしましたように、新たなニーズが出てくるということも十分想定されますので、そういった全体の事業を勘案した上で、もう一つは基金の残高を見比べながら、そこについては、活用の額等は年度ごとに決定していくということになると思います。
〇岩崎友一委員 大体の事業一覧表をいただいていますけれども、見ていますと、終わった事業、継続中、今、復興局長から答弁がありましたとおり、今後新たに発生というか、生じてくるような課題への対応分ということもあるかと思いますが、今後、不足するのであれば国への要望等々も必要であると思いますし、大体その方向性も見えないわけでもないかとも思いますので、その方針であったり計画というものを事前に決めていただいてお示しいただければ、私どもも、こういった事業にもこういった基金を充てられないのかとか、そういった議論もまたできるわけでございますので、その辺をお願いしたいと思います。
次に、持ち家再建費用の増額についてお伺いします。
持ち家再建に係る建設費の高騰につきましては、一般質問でもありまして、答弁もあったところでございますが、私も、そういった事情を鑑みて、過去に、平成25年2月定例会、平成26年の2月定例会、平成27年の2月定例会、これらの一般質問と、平成25年の決算特別委員会の総括質疑でも取り上げさせていただいたところでありますし、私以外にも多くの議員が取り上げてきた重要な課題でございます。
現在活用されている被災者生活再建支援制度は、自然災害により、その生活基盤に著しい被害を受けた者に対して、都道府県が相互扶助の観点から拠出した基金を活用し、各都道府県が支給事務を委託している公益財団法人都道府県会館が支給しているものでありますから、そういった性質上、今すぐの増額は非常に厳しいものと考えます。これは、この制度の拡充を諦めるという判断ではなくて、住宅を再建するか、災害公営住宅に入居するかという意向を示すタイミングから見て、時間的にこれ以上の猶予がないことから、現実性を重視したものでございますけれども、そうなりますと、災害復興特別交付税などの地方財政措置による支援を求めることが中心になるかと思いますが、今年度の国への要望の状況、要望回数、知事みずから行ったのかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 国への要望の状況についてということでありますけれども、今年度は、これまで、6月に行った平成28年度政府予算に係る提言、要望など、3回にわたり私が国に出向き、被災者生活再建支援金の増額や震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援について要望しましたし、また、復興大臣など政府関係者が来県した際にも、直接要望を行っているところであります。
〇岩崎友一委員 再度というか、確認なんですけれども、これだけ建設費が高騰していて、家を建てたいけれども、高いので、災害公営住宅に入居するという判断をせざるを得ないような方々もいるわけでございます。私は、これまでも増額の必要性につきましては言ってまいりましたけれども、知事も、率直にやはり増額は必要だという判断をされているということでよろしいのですか、どうでしょうか。
〇達増知事 ほかの復興関係の分野では、資材の高騰などに対応して物価スライド的に単価をふやすとか、そういったことを国においてやっていただいているわけでありまして、被災者生活再建支援金の増額というのは国においてやるべき理屈があると思っております。
〇岩崎友一委員 国に言うべきこと、やっていただきたいというのはわかりますけれども、これは、国がやらなければ県もやらないという判断ではないかと思うのですが、知事は、ことしの2月定例会で、県としての増額は厳しいということで国に求めていくという判断をされていましたが、私が、きょう、先に質問をさせていただいた中で、まず、財政調整基金の県と市町村の残高をお聞きしたのと、先ほど、復興基金の活用状況についてなぜ質問したかといいますと、県と市町村が共同で行っている複数世帯100万円の補助もこの基金の中から繰り出されているわけでありますけれども、国がやらなければ県もやらないという姿勢ではなくて、県としても、本当にできないのかということを、そういった財源の確保も含めて、しっかりと検討していく必要があると思います。そういったことから、先ほどそういった質問をしましたし、基金の計画もなければ、実際幾ら出せるのかという判断もできないと思いますので、ですから、知事が、家を建てるに当たり増額しなければならないという思いが本当に強いのであれば、県としても、財源の確保を含めてこれから進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 国の方でやらないからこそ、既に県が独自の支援を市町村とともに行っているわけでありまして、いずれにせよ、国は、これ以上持ち家再建支援の財政的な支出をしないということを前提にして物を考えてはいけないと思っています。
〇岩崎友一委員 質問に答えていただいていないような気がするんですが、そもそもこの基金は国からも210億円ですか、来ているものでありますし、さらに国からは追加で来まして、制度を埋めるためにということで、県経由で市町村に210億円だか215億円配られておりますので、国が何もしないということはないかと思うんですが、県としてしっかりやるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県として、被災者イコール復興者の皆さん一人一人の復興、生活の再建をしっかり実現していくということはやっていかなければならないと思っておりますので、今までもかつて例がないような支援を行っておりますし、県独自の支援も行っているところであります。
〇岩崎友一委員 私が申し上げているのは、さらなる支援を、増額を求めているのでありまして、先ほど私が提案させていただきましたのは、県単独でもいいですし、市町村と共同でもいいんですけれども、さらなる増額、上積みができないかという提案をさせていただいているのですが、それに対してしっかりと答弁をいただきたいと思います。
〇達増知事 国が、これ以上びた一文も出さないということを前提とせず、国もさらなる支援をするということを前提にし、さまざま調整することは可能だと思います。
〇岩崎友一委員 もちろんそうです。国にもしっかりやっていただかなければならないんですが、逆を言いますと、もし、国がやらなければ、県ももうやらないという考えでよろしいんですか。
〇達増知事 国がもうやらないということはあり得ないと思います。これだけの被害が出ている、戦後、国にとって最大、最悪のこれだけの震災が起こって、国がこれ以上しないということはあり得ないと思います。
〇岩崎友一委員 国は、もちろん見捨てることもしませんし、必要に応じてこれまでも、さまざまな法改正も含めまして、お金の手当てもしてきたわけでありますが、時期的にも各市町村では意向調査も進んでいますし、今の段階を逃してしまえば、家を建てたい人も建てれずに災害公営住宅に入居してしまう。結果、市町村としても固定資産税の減収等々、今後にも大きな影響を及ぼしてくるわけでありますから、これ以上議論してもなかなか進まないと思いますけれども、そういった県としての単独での財源の確保も含めて御検討いただきたいということを提案申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
次に、復興用地の確保についてでありますけれども、平成26年5月1日、国において土地収用手続のさらなる迅速化を図るための復興特区法が改正され、復興を進める上で一番の基礎である用地の確保という課題解決に向けて大きく前進したところであります。
県ではこれまで、改正復興特区法を活用しまして、県事業については、宮古市の金浜海岸、津軽石川河川等災害復旧事業でありましたり、市町村事業については、大船渡市赤崎小学校の改築工事や大槌町安渡地区の防災集団移転先の用地について収用裁決申請を行ったところであります。
しかしながら、用地の取得率は、県事業で現段階で50%、市町村事業でも、防災集団移転促進事業における取得率は100%となっている市町村がある一方で、釜石市が80.7%、山田町では80.2%、大槌町では94.7%となっている状況でございます。
発災から4年7カ月が経過したわけでありますが、復興の中でも特にも最優先で進めるべき恒久住宅の確保のための用地取得が完了していないということは、私自身、非常に大きな問題であると思いますけれども、知事の見解をお伺いします。
〇達増知事 恒久住宅確保のための用地取得は、住まいの再建の大前提となる大変重要な課題であります。このため、昨年5月の改正復興特区法施行後、県では、県事業の計画的な制度活用に向けた進捗管理と市町村への実務支援のために、部局横断の用地取得特例制度活用会議を設置して、全庁的に取り組みを進めているところです。
また、震災前に沿岸市町村では土地収用制度の活用事例がほとんどありませんでしたので、県としては、国の用地加速化支援隊と共同で市町村に出向いて、収用裁決申請書の作成などきめ細かな実務支援を行っているところであり、今後もできるだけ早期に用地取得が完了できるよう、引き続き積極的に取り組んでまいります。
〇岩崎友一委員 ちょっと確認というか、知事のお考えを聞きたいのは、そもそも4年7カ月がたって、住宅を建てる防災集団移転先の用地がまだ確保されていないという現実があります。そのことについて、用地交渉が終わらなければ造成もできないわけでありまして、家も建てられないということで、これからまだまだやるべきことがあるのですが、その基本となる用地の取得が4年7カ月がたっても終わっていない。そのことについて、知事本人はどういう感想を持つのかお伺いします。
〇達増知事 それぞれ個別の事情があって、移転予定先の土地所有者がなかなか売る決断をしていないとか、そういう事情があると思いますので、一概に、そういった個人の経済活動とか取引の自由を全面的に否定するようなことは知事として言えないとは思っているんですけれども、ただ、先ほども申し上げましたように、戦後日本が経験したことがないようなこれだけの大きな災害でありますので、関係者それぞれ協力し合って、できるだけ早く進めるようにすることが肝要と思います。
〇岩崎友一委員 私は地元にいますからですけれども、かなり危機的状況だと思っていまして、応急仮設住宅にまだ住んでいらっしゃる方は、もう既に家を建てたり災害公営住宅に入った方々がいる一方、自分が移転する先の用地取得もまだ終わっていないという現実を知っているわけでありまして、非常に多くの焦りと、あすさえ見えない不安といいますか、そういったものを覚えているわけでありますので、危機的な状況にあると思うんです。やはりしっかり目標を立てて用地取得を進めていかなければならないと思います。
県のいろいろな取り組みに関しては私も承知しているところでございますが、用地取得完了のめど、また、目的達成のためには、これまで以上に人的配置などの工夫も行っていかなければ進んでいかないと思うのですが、その具体的な手段についてお伺いしたいと思います。
〇中村復興局長 沿岸部の用地職員につきましては、これまで用地業務の経験を有する職員を中心に増員してまいりましたほか、都道府県職務経験者等を任期付職員として採用するとともに、他の自治体からの職員派遣をいただき、震災前の3倍を超える約60名の職員を配置して対応しているところであります。
そのほか、民間活用ということで、補償コンサルタントへの用地交渉の委託でありますとか、岩手弁護士会へ相続人間の権利調整を委託するなど、専門家の活用による用地取得のさらなる迅速化にも努めているところであります。
また、任意の用地取得が困難と見込まれる事業につきましては、用地取得特例制度活用会議におきまして関係部局間の調整、整理を行うなど、用地交渉と並行いたしまして土地収用の手続を進めているところであります。
用地取得につきましては今年度がピークになると考えておりますが、各事業の完成目標におくれが生じないように、一日も早い復旧、復興に努めてまいりたいと考えております。
〇岩崎友一委員 目標を決めて何とか行っていただきたい。特に高齢者になればなるほど、いろいろな議員の方からもこれまでもお話がありましたが、自分の人生から逆算するわけでありまして、全く先が見えないというのは本当に悲しい現実があると思いますので、目標を設定するということと、公平性の観点からも、既に入っている人と3年、5年というギャップが生じると思いますので、そういったことからもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次の質問に行きます。応急仮設住宅、災害公営住宅における支援員の活動のあり方についてお伺いしたいと思います。
支援員の問題に関しましては一般質問でも取り上げられていたようでありますが、支援員については、増員云々の前に、活動のあり方をしっかりと考えていかなければならないと思います。市町村によってルールが異なるのかもしれませんけれども、支援員が回ってきても、例えばひとり暮らしのおばあちゃんが電球が切れてかえてほしいというお願いをしても、私どもは部屋に入れないんですということで、結局、かえずに行ってしまうといった例や、もともと巡回ではなくて常駐だったのに、今は巡回になってしまって、何か用があって行ってもいないというような話であったり、支援員が数名配置されているんですけれども、週末はみんな休んでしまっていないので、交代で休んで週末も常駐してほしいというような声が非常に多いわけでありますけれども、まず、県ではこのような状況を把握しているのかどうか伺います。
〇中村復興局長 我々のほうも各市町村のほうから支援員の活動ルール等については確認いたしてございます。委員からお話があったように、市町村によっては、支援員は、原則、家の中に入らないで玄関先で被災者の方々とお話をして、健康状態なり、そういったことを確認するということを主な任務にしている市町村もございますが、例えば大槌町におきましては、発災当初は支援員は家の中に入らないというルールにしていたようですが、現在は複数で回るようにして、被災者の御希望があれば、そこはある程度弾力的に対応するようなルールに変えているとも伺ってございます。
〇岩崎友一委員 支援員については、市町村で独自に配置している支援員─これは緊急雇用対策か何か使っているんですか─それと社会福祉協議会で行っている生活支援相談員の2種類あると思うんですけれども、本当の意味で生活支援をするのであれば、支援される側に立って、しっかりと連携や役割分担を図りながら支援体制を改めて構築し直す必要があるかと思うのですが、いかがでしょうか。
〇中村復興局長 支援員と生活支援相談員の活動の整理といいますか、分担をしっかりする必要があるということは我々も認識を持っておりまして、それにつきましては、市町村のほうとも十分協議しながら、会議等でその課題の共有を図るとともに、役割分担についてもいろいろ検討、協議を進めてございます。
特に、応急仮設住宅から災害公営住宅への移行期におきましては、支援員による支援といったもののほかに、同じ地域で暮らす方々がお互いに助け合う仕組みづくりといったものがまた一方で非常に重要だとも考えておりますので、被災された方々が新たな居住環境で安心して生活できるように、市町村や関係団体とも十分連携してコミュニティーの形成が図れるように、そこは支援員、生活支援相談員等とも十分連携しながら取り組んでまいりたいと考えています。
〇岩崎友一委員 了解しました。よろしくお願いします。支援員は質と量の確保も両方必要かと思いますが、お願いしたいと思います。
復興関係でグループ補助金等の状況と砂浜再生の取り組みを出しておりましたが、時間の関係で飛ばさせていただきます。
次に、産業、観光政策と労働力の確保対策についてお伺いします。
発災後、国は、10年内に三陸沿岸道路を完成すべく、東北横断自動車道、宮古盛岡横断道路とともに急ピッチでその整備を進めてきたところでありまして、先ほど類似の質問が小野委員からもありましたが、今年度は、三陸沿岸道路の吉浜道路が来月29日、東北横断自動車道釜石秋田線では遠野-宮守間が12月5日、宮古盛岡横断道路では都南川目道路の一部区間が供用開始となる予定であります。
広い県土を持ち、これまで、所得を初めとする多くの分野で、県央、県南部と格差のあった沿岸部では、これらの全線開通によりまして、人、物、金の流れを大きく変えて、県土の均衡ある発展に向けて大きな期待が寄せられているところでありまして、また、岩手県全体の発展においても、同様に期待が寄せられているところでもあります。
しかしながら、この全線開通は、決してプラスの側面のみではなくて、産業、観光政策いかんではマイナスの側面もあわせ持っていると思います。
そこで知事にお伺いしたいのですが、これら高規格道路等の全線開通をどのように捉えて、今後、どのような政策を展開していくおつもりなのか伺います。
〇達増知事 岩手の沿岸地方の一体化、そして岩手の沿岸と内陸の一体化は明治近代化以来の悲観であり、明治の三陸大津波の際にもその必要性が強く訴えられたものであります。今般、委員御指摘の道路整備によりまして、それが実現するということは、極めて歴史的、そして画期的なことと捉えております。
三陸沿岸道路等の交通ネットワークの整備は、迅速かつ確実な救急搬送が可能となるなど、安心して暮らせる地域づくりに貢献します。そして、時間距離の短縮など交通環境が大きく向上しますことから、産業面では、海産物を初め生鮮品等の販路拡大、広域的なアクセス向上による物流のハブ機能の形成、企業集積の促進、観光面では、沿岸周遊の利便性が高まることにより、観光客の増加や旅行消費の拡大など、沿岸地域の活性化に大きく寄与することが期待されます。既に釜石港のコンテナ貨物量の増加、宮古-室蘭間の定期フェリー航路開設に向けた動きなどが見られているところであります。
一方、県境を越えた広域的な地域間競争が激しくなってくるという懸念も指摘されていることから、県といたしましては、これら環境変化に的確に対応するため、復興計画に掲げるなりわいの再生や三陸創造プロジェクトの取り組みを強力に推進しますほか、現在策定中のふるさと振興総合戦略においても、復興道路や港湾機能等を活用した産業振興を展開しようとしているところであります。
さらに、世界遺産橋野鉄鉱山やラグビーワールドカップ2019日本大会開催などを生かして、国内外からの誘客拡大を図っていくため、三陸鉄道、三陸ジオパークなど魅力ある観光資源を一層磨き上げ、滞在周遊型観光を推進してまいります。
このような取り組みを通じて、物流の活発化や交流人口の拡大を最大限生かしながら、市町村が行う施策と連携しつつ、三陸の未来を見据えた総合的な振興を図っていく考えであります。
〇岩崎友一委員 この道路の開通は、今、答弁にもありましたが、プラス、マイナス、チャンスでもあり、その逆でもあるわけでありまして、岩手の発展に大きく生かせるように、通勤圏も全然変わりますし、観光圏も全然変わりますので、産業政策をしっかりと大きな絵を描いていただきたいと思います。国土交通省でも気を使いまして、道路が通った後に、全部上を通れば、これまでの下におりて買い物をしたり何なりもなくなるので、あえてサービスエリアというものを設けずに、道の駅なりをつくって、わざわざ下におろす仕組みを国道交通省では提案して、今、それを実践している最中でありますが、観光面でも、目的地にならなければ、ただ通り過ぎてしまって、どんどん衰退していくという懸念もありますので、その辺も考慮していただいて政策を進めていただきたいと思います。
次に、労働力の確保についてお伺いしたいと思います。
岩手県内の有効求人数、有効求職者数の推移を見ると、平成22年8月は求職者数3万4、000人に対して、求人数1万6、000人と、圧倒的に職を求める人が多かったのに対しまして、発災後の平成25年8月は、求職者数2万6、400人に対し、求人数2万8、800人と、求人者数が求職者数を上回って以降、その傾向が続き、ことし8月段階でも求職者数2万2、000人に対して、求人数が2万8、000人という状況であります。これは地域によって若干違う部分もございますけれども、求人者数が求職者数を上回っていることについて、復興需要に支えられている傾向とも考えられますが、企業誘致が進む北上市などでは、求職者数1、890人に対して求人数4、000人と、倍以上のギャップがあることから、一概に復興需要のみが要因ではないと考えられるところであります。
労働力不足については、全国的にもそのような傾向があると聞きますけれども、全国の状況も含めて、県ではこの状況をどのように捉えているのか、また、今後の傾向についてどのように分析しているのかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 労働力不足の現状と今後の見通し等についてでありますけれども、全国の状況は、平成22年8月が、有効求職者数266万6、000人、有効求人数141万7、000人となっておりましたが、平成27年8月には、有効求職者数194万3、000人、有効求人数235万4、000人となっておりまして、求職者数が減少する一方、それを大幅に上回る求人数の増加となっております。有効求人倍率は、東京都の1.82倍を最高に、福井県や愛知県、本県を含む被災3県など18都県が全国平均の1.23倍を上回り、また、38の道府県で1倍を超える状況にあります。
国の調査などによりますと、全国的な状況の背景といたしましては、景気回復による労働力需要の高まりと、少子高齢化による労働人口の減少という社会的要因があり、経済情勢の動向にもよりますが、全国的に有効求人倍率が高い状況は続くものと捉えられているところであります。
本県におきましても基本的な背景は全国と同様でありまして、復興需要も含め、県内の経済は穏やかな回復を続けておりますことから、しばらくは有効求人倍率が1倍を超える状況が続くものと考えております。
県では、労働力の確保を重要な課題の一つと考えておりまして、その対策といたしましては幾つかのものがございますけれども、女性や高齢者を含めた全ての人が安心して就労できる環境を整備するため、長時間労働の抑制、休暇取得の促進など、働き方改革への取り組みを関係団体に要請しているところでございます。
また、企業収益を上げて正規雇用の拡大や賃金等の処遇の改善につなげていくという観点から、労働生産性の向上につながる設備等の高度化への支援やカイゼンの導入を進めておりますほか、高校生、大学生の県内定着やU・Iターンの促進などを一層進めることで、労働力の確保に引き続き取り組んでいきたいと考えております。
〇岩崎友一委員 今、答弁もありましたが、求人数の増加が背景となっているかどうかはあれですが、高校生の卒業後の県内就職率も、徐々にではありますけれども、向上しているようでありますので、これもしっかり進めていただきたいと思います。高校生も志があって都会に出たいという人もいますから、それは仕方ないのでしょうが、県内に残りたいけれども、条件が合わない云々というのは、いろいろ解決することができるかと思いますので、しっかりした取り組みを進めていただきたいと思います。
きょうは、大学等へ進学後の若者の県内就職について取り上げたいのですが、先日、新聞報道にありました奨学金の返済減免についてであります。香川県、福井県が先行し、国も、人口減少対策の一つとして今年度から後押しを始めたこともあり、富山県、鳥取県、山口県、鹿児島県でも新たに導入した模様でありますけれども、これは、地元で就職した学生は奨学金の返還を減免する制度で、香川県の例だと、奨学金を受ける条件は、保護者らが県内に在住、保護者らの所得が県が定める基準額以下、高校の成績が5段階評価で3.5以上などで、大学などに在学中は月額3万円から13万2、000円を貸与されると。卒業後に学生らが県内で就職し、3年間働くなどした場合に、貸付月額のうち1万5、000円または2万5、000円分の返還が免除されるというようなものでありまして、これまで奨学金を受け取った人が475名、ことしの春までの卒業者99名のうち減免対象者が33名と載っておりましたけれども、県におきましても、医師や看護師などを対象に奨学金の返還免除を行っているところでありますけれども、今の副知事の答弁にあったように、労働力の確保というのは今も全産業の大きな課題であります。
東北地方の秋田県、山形県を含む13県が人口減少対策として策定する総合戦略などに盛り込み、検討を始めているようでありますけれども、県の考え方、今後の取り組みについて伺います。
〇大平政策地域部長 奨学金制度についてでありますが、奨学金を活用した大学生等の地元定着は、有能な産業人材の岩手への就職促進を図る上で一つの有効な手段と考えてございます。
現在、総務省、文部科学省が提案している手法は、自治体が日本学生支援機構の奨学金貸与者の償還に対し支援を行う場合に、その一部に特別交付税が措置されるというスキームであります。ただ、条件といたしましては、無利子奨学金の推薦対象者の人数に100名という上限が設けられていること、その実施に当たっては、就職先となる産業や、学位、資格の指定、大学卒業後の就業地域などの要件を定めること、また、奨学金免除を行う原資についても地元産業界等の出捐を求めておりますので、それをどの程度にするかなどを決めていく必要がございます。
委員から御指摘のありました他県の先行例なども参考に、県では、この仕組みをどのように活用していくか、庁内で検討しているところであります。
取り組みに当たりましては、まずもって産業界、経済界との連携が必要であることから、今後、具体化に向け協議を進めてまいりたいと考えてございます。
〇岩崎友一委員 協議を進めるというのは、今、総合戦略の地方版をつくっている最中ですが、それに盛り込むという方向で協議を進めるのかどうか伺います。
〇大平政策地域部長 どのような文言にするかはこれから検討いたしますが、そのような方向で進めたいと思っております。
〇岩崎友一委員 知事もその方向でよろしいでしょうか。
〇達増知事 いいです。
〇岩崎友一委員 多くの県がやりますと、うちの県だけやらないとなりますと、どうしてもあれなので、やらなければならないというような性質のものでもあるかと思いますので、ぜひ前向きに早急にお願いしたいと思います。
最後に、出産、子育て支援についてお伺いします。
まず、二つお伺いしますが、一つが周産期医療体制の充実についてであります。
本県では人口10万人当たりの医師数が、盛岡圏域以外の全ての二次医療圏で全国平均を下回るなど、医師不足と地域偏在は大きな問題であり、中でも周産期医療体制は特に厳しい状況に置かれているところでございます。
こういった中、9月定例会でも取り上げておりましたが、いわゆる地域枠を含む奨学金制度を活用した医師が、来年度から順次地域の医療機関等で勤務するとのことであり、期待するところではありますが、一方、過酷な勤務や訴訟リスクなどにより、産科医の志望者が減少しているという話もあり、県内の産科医が実際にどれだけ増加するかは不透明な状況でございます。
県の周産期医療については、限られた医療資源の中で、現在、四つの周産期医療圏単位で行われていることは承知しておりますけれども、出産する母親の不安の軽減という観点からも、まずは、せめて九つの二次医療圏それぞれの基幹病院でも安心して産めるような体制を構築すべきと思いますが、産科医の確保対策を含めた周産期医療体制充実に向けての県の考え方について伺います。
〇達増知事 県では、本県の周産期医療を取り巻く厳しい環境に対応するため、産科医、小児科医などを構成員とする岩手県周産期医療協議会での検討を経て、平成20年度に県内四つの周産期医療圏を設定して、医療機関の機能分担と連携のもと、分娩リスクに応じた適切な医療提供体制の整備を進めてきたところであります。
また、医師の絶対数の確保のため、即戦力医師の招聘や奨学金による医師の養成などに取り組んできておりますものの、現在の医療資源の中で安全で質の高い医療を提供するためには、全ての二次医療圏の基幹病院において出産できる体制を確保することは非常に難しいと考えております。
奨学金養成医師の配置によって、将来的には医師不足の解消に向かっていく見通しでありますけれども、個々の養成医師の診療科や配置時期を現時点で申し上げることは難しく、全国的な産科医不足の中、当分の間は厳しい状況が続くものと認識しております。
県といたしましては、限られた医療資源を効率的に活用するため、総合周産期母子医療センターに配置している救急搬送コーディネーターによる緊急時の搬送、連携体制の確保や、妊産婦等の情報を共有する周産期医療情報ネットワークによる医療機関と市町村の連携強化のほか、平成27年度におきまして、地域における安全・安心な出産を支援する超音波画像伝送システムを導入するなど、ICTを活用した医療連携を推進して、周産期医療体制の充実に努めていくこととしております。
〇岩崎友一委員 厳しい状況はわかります。時間もないので保育環境の整備は取り上げませんけれども、これから多くの子供が産まれる環境を整備するという意味では、お母さん方であったり、御家族であったりのそもそもの不安があるんです。生まれても子供を預けられないとか、子供を産むにしても、近くの病院で産めないので、早産だったりすれば、遠くの病院に行かなければならないといった不安を払拭しないと、なかなか出生率も上がってこないのではないかと。そうすると、今、策定中の戦略にも大きく影響するかと思いますので、そういった視点をしっかりと持ち合わせていただいて頑張っていただきたいと思います。
終わります。
〇郷右近浩委員長 次に、佐々木努委員。
〔佐々木努委員質問者席に着く〕
〇佐々木努委員 いわて県民クラブの佐々木努です。会派を代表し、総括質疑を行います。
冒頭に、3期目の当選を果たされました達増知事にお祝いを申し上げます。私の地元にも知事の支援者がたくさんいらっしゃいますので、その方々の思いにしっかり応えるような県政運営を行っていただきたいと思いますし、一方で、知事に反旗を掲げた方もいらっしゃるわけです。その方々の意も酌みながら、これからの4年間、しっかりと県政を担っていってほしいとお願いを申し上げて、質問に入りたいと思います。
決算審査でありますから、初めに平成26年度の取り組みについてどうだったのか、その成果をお聞きしたいと思いますが、時間が限られておりますので、平成26年度の重点施策1点のみについてお聞きしたいと思います。
知事は、平成26年度に新たに若者と女性の活躍支援を打ち出しました。そして、昨年2月の知事演述では、二つの取り組みについて方針を述べられました。一つは若者の活躍支援、もう一つは女性の活躍支援。若者の活躍支援ではこう述べられています。未来を担う若者が一歩前に踏み出すことを後押しすることが、全ての世代を元気にし、地域の活力を引き出す。このために、若者女性協働推進室を設置し、若者施策等の推進体制の強化を図りながら、若者の交流の輪を構築し、具体的な行動を起こす若者の育成、支援を行うことなどにより、若者の主体的な活動を活発化させる、このように述べられています。
決して新しい取り組みではないと私も思っていますが、今、人口減少、少子化社会に突入したこの岩手にとっては、若者の活躍、若者の力というのは非常に重要でありまして、そういうものを県が支援していくということは非常に大事なことで、私は、県の取り組みに対して素直に期待したところであります。
しかし、せっかくの取り組みですが、残念ながら、今の時点で私にはその効果が見えていません。確かに若者女性協働推進室ができました。県主導で若者文化祭も開催されましたし、いわて若者会議も開催され、若者交流ポータルサイトというものもできたようです。ただ、それが、私としては、若者の主体的、自主的な活動の促進、定着につながっているとはどうしても感じられないわけです。少なくとも、私の地元では、そのような県が取り組んできた成果があらわれていないと思っています。何よりも、県がそういう若者と女性を支援するという取り組み、そのようなさまざまな県の事業について、地域の方が全く認識がない、知らないという状況でありまして、何となく、県は、頑張っている人だけをただ集めて、その方々で話をして、お互いの活躍について確認し合う、そういう場になってしまっているのではないかと思うわけであります。
それから、若者の活躍支援と同様に、女性の活躍支援についても、知事はこう述べています。女性の力が復興と豊かな地域づくりには必要不可欠で、女性が社会的な活動の場等に、より一層積極的に参加しやすい環境の整備などを図りながら、男女共同参画の取り組みを進めますということでありまして、そのとおりです。このために行われたのが、いわて女性の活躍促進連携会議の設置、経営者、管理職向けの講演会、ロールモデル提供事業というんですか、これだと思いますが、これも、若者の支援同様、どのように変わってきたのかということが私には見えていません。
そこで質問するわけですが、改めて、平成26年度の若者と女性の活躍支援の取り組みが、知事が思い描いていたものだったのか、そして、知事が思うとおりの成果につながっているのか、知事の評価というものをお聞きしたいと思います。
〇達増知事 復興や地域振興の現場で若者や女性の活躍が著しく、岩手の未来のために、その活躍へのさらなる支援が重要であるということで、若者、女性の活躍支援に取り組んできたところであります。
若者の活躍支援については、若者の交流を促進するため、いわて若者文化祭のほか、いわて若者会議や、その地域版の地域サロン会議を開催して、地域でさまざまな活動を行う若者の交流を図りました。また、いわて若者交流ポータルサイトを構築、運用し、若者の活動を情報発信することによって、若者の地域活動等への参加促進と若者関連情報の共有を図り、若者の交流の輪が広がったところであります。
さらに、若者の活動への支援として、いわて若者アイディア実現補助で、若者団体の震災復興や地域づくりなどに資する企画提案を募集して、よりすぐれた取り組みに対して補助を行ったことによりまして、若者みずからが積極的に地域づくりに参加する動きが見られております。
女性の活躍支援については、昨年5月に、官民連携組織であるいわて女性の活躍促進連携会議を設置して、産業団体や経済団体と連携しながら、女性の活躍に関する講演会やロールモデル提供事業などを実施したことによって、女性の活躍を推進する機運の醸成や関係団体との連携の強化が図られたところであります。
このような取り組みによりまして、その成果が出始めており、今後とも、若者と女性の活躍が岩手を盛り上げ、ふるさとの振興につながっていくよう、ネットワークのさらなる拡大や、意欲ある若者、女性に対し、地域の課題解決に資する事業、就業、起業を支援する取り組みを進めてまいります。
〇佐々木努委員 具体的にどう変わってきたのかというのをお聞きしたいんですが。
〇達増知事 さまざまな場の設定によって、そうでなければお互いの活動内容等を知り得ない異なる地域、異なる分野の若者が情報を共有することによって、それぞれのその後の活動に好影響を与えていくという形が出ておりますし、いわて若者交流ポータルサイトについては、若者の企画、設計、そして運用が図られており、また、それが既存のさまざまな若者主導のNPOの活動、クラウドファンディングをやるようなNPOの活動がさらに発展していくことと相乗効果を果たしているところであります。
また、いわて若者アイディア実現補助は、東日本大震災の被災地沿岸で同時に花火を打ち上げるといったような具体的な事業に若者たちが参加するといったところにも使われているところでありまして、そういった具体的な若者による事業の成果というものがどんどんふえているところであります。
〇佐々木努委員 まず、わかりました。これ以上聞いてもあれなので。
私に成果が見えないというのは、多分、私の勉強不足もあるのだと思いますけれども、市町村の動きが全然見えていないというのが、私は、その大きな理由ではないかと思います。県が例えば若者を支援する、女性を支援するということであれば、これは市町村が同じような思いを持って頑張らなければ、県の思うとおりになかなか事業が進まないということだと思いますが、何となく市町村を無視して、県だけがそういうものを打ち出して取り組んでいるという気がしてならないわけであります。
そもそも県が推し進めようとした若者、女性の活躍支援は県民にきちんと伝わっているのでしょうか。県だけで若者や女性を支援しよう、男女共同参画を進めようと。さっきも言いましたけれども、市町村がそれをちゃんと理解して、同じ思いを持って動かなければ、県民にも、市町村民にももちろん伝わらないし、結果として効果が出ないと私は思うわけであります。
知事は、県が若者と女性の活躍支援を全県を挙げて取り組むという平成26年度の主要事業ですから、どのようにして市町村あるいは県民に伝えたのか、また、市町村や県民の理解は十分に得られたとお思いなのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 いわて若者文化祭、いわて若者会議、男女共同参画フェスティバルなどが、それ自体、発信の場になっておりますし、また、その内容等をホームページやリーフレット、県の広報などで伝えているところであります。
また、いわての女性活躍促進連携会議については、経済団体や産業団体が構成団体となり、それぞれの構成団体を通じて広く女性活躍支援の重要性の理解が図られてきていると考えております。
また、市町村でも、若者、女性の活躍支援の取り組みが重要であるという理解のもと、滝沢市の〜夢・絆・生きがい〜プレゼンコンテスト、盛岡市のいしがきミュージックフェスティバル、金ケ崎町の金ケ崎町女性百人会の設立など、さまざまな取り組みが進められていると認識しております。
岩手にとって大きな課題であります復興とふるさと振興を進めるためにも、今後も、県民の皆さんや市町村とともに、若者と女性の活躍支援に取り組んでいきたいと思います。
〇佐々木努委員 市町村にどのような形で、知事みずから、あるいは県が、若者と女性の活躍支援を強力にやっていきますよということを伝えたかということをお伺いしたかったんです。
〇達増知事 県の姿勢については、県議会での私の知事演述に始まり、さまざまな公文書によって市町村にも伝えられているところでありますし、いわてグラフでありますとか県政広報の主要なものは市町村のほうにも届けられているところであります。
また、市町村と限定せず、広く県内の皆さんに広報しているやり方、テレビによる放送などもあるわけでありまして、そういったことを通じて市町村のほうにも伝えるべきことを伝えていると理解しております。
〇佐々木努委員 そうすると、それを理解していない市町村のほうに問題があるという認識なのかなとも思いますが、私は、本当に市町村は理解を示されていないと思います。
若者の支援の中で、私は、県の結婚支援事業、今度、10月に立ち上がりました結婚サポートセンター─i-サポは非常に高く評価しているわけであります。県の平成26年度の取り組みが、今年度、このような形で実を結んだと思っていて、私も喜んでいるわけでありますが、先日、新聞を見て実は驚きました。大船渡市でも、どの程度のマッチングシステムを設けるかわかりませんけれども、このi-サポとほぼ同じようなセンターを新たに設置すると。しかも、今月なので、もう設置になったかどうかちょっとわからないのですが、設置するというものでありました。県が全県を網羅した形でやろうとしているこの事業を大船渡市がやるという記事を見て、何でこういうことになるのだろうかと思いまして、正直、がっかりしました。どっちがどうだということは私は言いませんけれども、これこそが、県がせっかく若者と女性を支援するということを頑張ろうとしていることが市町村に伝わっていないということのあらわれではないかと思います。
男女共同参画についてもそうでありまして、女性の活躍支援のために平成26年度は男女共同参画に一生懸命取り組むと知事は演述で述べたわけでありますけれども、平成26年度の男女共同参画サポーターの認定者数は50人が目標だったわけですが、36人しか集まらなかった。一生懸命やろうとしているのに、市町村の、あるいは県民の理解が得られなかった。これが県民に、市町村に理解されていないというあらわれではないかと私は思っています。
県が、もっと明確にこのことを市町村あるいは県民に伝えれば、もっと実績が上がったはずだし、こういう問題は出なかったのではないかと─問題ではないですけれども、こういうことが起きなかったのではないかと思います。
こういう大事な事業こそ、私は、最初から市町村もしっかりと巻き込んで連携してやらなければならないと思うんです。県政課題と市町村の課題はほぼ一緒です。若者と女性の活躍支援に限らず、復興、ふるさと振興、自殺、脳卒中死亡率ワーストワンからの脱却、いじめの撲滅、これらは県の主要政策であって、これを市町村と一緒にやっていかなければ、課題は絶対に解決しないわけであります。だからそこ、市町村との連携が必要なのに、何となく、その辺のところがおろそかになっているような気がします。
知事には、県のこのような主要施策を着実に進めるために、市町村との連携強化にもっと取り組むべきと思いますが、所感があれば伺います。
〇達増知事 大船渡市を含め、県内市町村とはかなりやりとりをしながら、結婚マッチングシステムi-サポは構築しましたし、また、その途中で、そういう婚活マッチング等は一つの市町村の中でやるより広域でやったほうがいい、あるいは全県規模でやったほうがいいという声もあれば、いや、今、市町村の中でやっている事業が軌道に乗っているから、それも続けていきたいという意見もあったと承知しておりますので、大船渡市も大船渡市として、戦略的にそういったことに取り組んでいるのだと思います。
県も市町村もそれぞれ対等な関係であって、市町村としてこれをやりたいということがあれば、それは県に一々お伺いを立てないでも市町村がやっていいわけでありますから、まして、さまざま情報共有をし、それぞれの方向性も確認した上で、市町村は市町村なりの判断で動くということについては、それはあることかなと思います。
〇佐々木努委員 質問の趣旨がちょっと違いましたが、かみ合わないのでやめます。
このように、達増知事に対しては、議会からもそして多くの県民からも、市町村とのコミュニケーション不足というのが大分指摘されました。それは知事もおわかりだと思います。特にも、市町村長からは、今回の選挙戦も通じて、なかなか意思疎通ができないという話が数多く聞かれて、私は、結果として、それが市町村との連携不足につながっているんじゃないかと思います。午前中も、県政与党の小野委員からもそんな指摘があったのも、それも、これは知事を心配してのことだと思います。知事をというよりも、この岩手を心配してのことだと思います。
私は知事に、そういう意見にもっと耳を傾けてもらいたいと思うんです。そして、もっと市町村長と意思疎通を図って、県はこういうことをやりたいんだと、市町村はどういうことをやりたいのか、知事がみずからしっかりと聞いて、そしてお互いの理解を深めて、県政あるいは市町村政を進めていくということが最終的には県政の発展につながることになりますから、もっとその辺のところを知事には謙虚になって私は取り組んでほしいと思いますが、所感をお伺いいたします。
〇達増知事 選挙の際にさまざま意見があったというのは、恐らく、選挙本番は基本的になかったわけでありますので、この4月、5月のころ、対立候補擁立という動きの中で、その周辺からさまざま意見が出たことを申し上げているのかなと思いますけれども、私もいろいろ新聞などで見ましたけれども、ある市長は、達増知事は8年間、市町村長と一度も会っていないみたいなことを言ったというのが地元新聞に書かれているのを見ましたし、これは私も、当時、そういった批判が多いなということについては、定例記者会見ではっきり、それは、達増拓也に関する実態と異なる虚像をつくり上げてそれを攻撃する手法であるけれども、それは4年前の選挙のときも同じような手法がとられてうまくいかなかった。今回もうまくいかないだろうと申し上げたんですけれども、やはり今回も、そういうやり方は県民の広い支持は得られなかったんだと思います。
いろんな例はありますけれども、象徴的なものとしては、去年本格復興期間に入りまして、知事と沿岸市町村長が、市町村の事業であるまちづくり関係のこの事業について一緒に視察をし、そして県の担当者、市の担当者が両方いる中で、市の職員から知事も直接説明を受けて、市町村と県が一体となって、本格復興期間というのは市町村の事業がどんどんメーンになっていくわけでありますから、それにあわせて、県と市町村の連携、一体化をより深めていこうというような努力、今まで岩手県でやったことがないような、今、他の都道府県でもやっていないような、そういう市町村と県の一体的な取り組みというものを展開しているところです。
〇佐々木努委員 33の首長さん方が今の知事の答弁を聞いたら、私は怒ると思いますよ。少し考え方というか、もう少し謙虚に、真摯になって、市町村長さん方の話に耳を傾けるべきだと思います。これ以上は時間がないのでやめます。
次に、平成25年度の決算不認定の要因となったDIOジャパン関連コールセンターに係る緊急雇用創出事業についてお伺いをしていきたいと思います。
この問題につきましては、DIOジャパン関連コールセンターを誘致したことの是非、それから、緊急雇用創出事業の進め方についての県の責任について議論をされてきました。改めて、この問題が発生したことに対する知事の所感を伺います。
〇達増知事 DIOジャパン関連コールセンターは、緊急雇用創出事業終了後間もなく、事業所の閉鎖や事業譲渡、給与の未払いが相次いだところであります。また、当該事業に関して、未申告の収入があるなど不適切とされる指摘がなされ、国の指示によって、立地市町において現在調査を行っているところであります。
今回の事態は、DIOジャパンそのものに大きな問題があると考えておりまして、また、国の調査では、11県19市町で国の緊急雇用創出事業が導入され、各地で同様の事態が起きており、全国的な問題でもあると認識しております。
こうした中で、従業員など関係者にしっかりとした説明がないままに、DIOジャパン関連コールセンターの破産手続が進められ、債権回収ができないという事態に至っていることは極めて遺憾であると認識しております。
〇佐々木努委員 この問題につきましては、昨年の9月定例会の決算特別委員会で審議が尽くされなくて、12月まで延長され、長時間にわたって議論されましたけれども、会計検査院が入ったということで、それ以降は議論がされていないと認識をしています。
そのことから、初めに、昨年12月以降、実施市町それから厚生労働省とはどのようなやりとりが行われてきたのか、お伺いをしたいと思います。
また、現在どのような状況になっているのか、これからどのような流れで事務処理が進むことを想定しているのか、見通しも含めてお伺いをいたします。
〇千葉副知事 市町、厚生労働省とのやりとりについてでありますけれども、立地市町では、国の指示で調査を進めているところでありまして、県といたしましては、補助対象経費の考え方等について国と協議を行うなど、立地市町を支援しているところであります。
主な内容といたしましては、短期の契約となっておりますリース料の取り扱い、事業費から控除する収入額の取り扱い、OJTとして認める判断基準等補助対象経費の考え方などについて、国の理解が得られるよう協議しているところであります。
現時点で国の調査が継続して行われているところでありまして、立地市町の調査結果は確定していない状況であります。
今後の対応についてでございますが、まずもって、国が示してくるものと認識しておりますが、県といたしましては、立地市町と連携して、補助対象経費の考え方などについて理解が得られるよう、国に改めてしっかりと説明を行うなど、できる限り、立地市町の負担とならないよう進めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 これまでの経緯から、最終的には国の判断といいますか、国の指示を待っているということになると思いますが、最終的には補助金返還ということも出てくるのではないかと思いまして、私も昨年の12月の決算特別委員会で補助金返還について県の考え方をお聞きしました。その際、当時の担当部長からは、しっかりと自覚を持った上で、市町に返還という問題が生じないような方策について検討を進めてまいりたいと思っているとの答弁をいただいております。これは当然のことだと思いますが、その考え方については今もお変わりがないのか、お伺いをしたいと思います。
〇達増知事 県といたしましては、立地市町と連携して補助対象経費の考え方について国と協議をしておりまして、できる限り、立地市町の負担とならないよう努めていくものであります。
〇佐々木努委員 できる限りということでありますが、断言はされなかったということでありますが、この問題を私なりに簡単に整理をさせていただきますと、まず、一義的な責任は間違いなくこれはDIO側にあります。そして、事業実施市町は被害者であって、責任はないと私は理解をしています。なぜなら、市町は県の押しつけでこの事業をやらされたということがこれまでの議論で明らかになっておりますし、特にも、緊急雇用創出事業、これは誘致とセットで行われたということ、これも明らかになっています。
さらに、この緊急雇用創出事業は、補助対象となる経費や業務、これも県の統一基準で示されて市町はそれに従った。事業の中間検査、完了検査においても、検査項目、検査内容、検査方法について、県の指導により行って額も決定した。つまり、市町の考えが入り込む余地は全くなく、この事業は県の主導のもとで行われたものであって、市には責任がない、補助金返還も行う必要がないと私は思っています。そして、この事業を主導的に進めてきた県にはしっかりと事業実施市町を守ってもらう、そういう義務があると私は思っています。
改めてお聞きしますが、補助金返還を求めないという考え方で私はいくべきだと思いますが、知事のお考えを改めてお伺いします。
〇達増知事 今現在、国も市町村を事業主体として、国は市町村とやりとりをしているところなわけでありますけれども、その状況は県も情報共有をしているところでありまして、立地市町における補助対象経費の考え方について、国の理解が得られるように県としてもしっかり説明を行って、立地市町にできるだけ負担とならないよう取り組んでいくということでございます。
〇佐々木努委員 国からの通知がまだだということで、この質問はここまでにしておきたいと思いますが、くれぐれも、市町との信頼関係を損なうような対応はなさらないようにお願いをしたいと思います。
最後に、平成の大合併について、ちょっと時間がないんですが質問をさせていただきます。
多くの平成の合併市町村は、ことし10年目を迎えるわけです。非常にそれぞれの合併市町村は、今、財政的に厳しい状況に陥っておりまして、住民の中には、本当に合併してよかったのかということをおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
知事は、当時は国会議員としてこの合併問題に携わってきたと思いますが、この平成の合併の意義についてどうだったのかという、知事の評価についてお伺いしたいと思います。
〇達増知事 旧町村役場が支所になったことにより、以前のようなきめ細かなサポートを享受できないといった住民の声があることも承知しておりますが、合併後に事務の権限移譲が大幅に増加したほか、専門職員の配置や専門組織の設置などが行われ、行政サービスの向上が図られてきたものと認識しております。
また、財政面においては、合併特例債の発行や普通交付税の合併算定がえなどの手厚い財政支援によって財政基盤の強化が図られ、長年懸案となっていた施設が整備されるなど、合併の効果があったものと認識しております。
このように、本県においては、平成の大合併によって市町村の規模の拡大による行財政基盤の強化が図られ、分権型社会に、よりふさわしい体制が整えられてきたものと評価しております。
〇佐々木努委員 今、知事はいいことばっかりおっしゃいましたが、弊害もたくさん出ていると思います。私は、県が国と一緒に市町村合併を進めたという立場から、県として、しっかりとこの合併後10年の検証を行うべきだと思いますが、そのおつもりはありませんか。
〇大平政策地域部長 合併後10年余りを経過しようとしておりますので、その間に人口減少に伴う行財政規模の縮小、広域連携など、市町村を取り巻く新たな課題への対応が必要となってきております。また、普通交付税の合併算定がえの縮減が始まる中、合併後の実情に応じた地方交付税の算定方法の見直しといった新たな措置も行われているところであります。
このような状況の変化を踏まえまして、県として、今年度改めて、合併による効果と課題等について調査を行うこととしたところであります。
調査方法といたしましては、合併市町及びその住民の方々から書面や聞き取りを行うこととしておりまして、現在調査を行っているところでありまして、調査結果につきましては、年度内に取りまとめの上、公表する予定としております。
調査の結果、得られた課題につきましては、合併市町と共有しながら、今後の持続可能な行政サービス体制の構築に向けた取り組みに生かしていきたいと考えてございます。
〇佐々木努委員 よろしくお願いをいたします。
最後に、非常に厳しい状況にある合併市町村を、県はこれからどのような形で支援をしていくのか、支援すべきだと思いますが、その方向性についてお示しをいただきたいと思います。
〇大平政策地域部長 先ほど申しましたように、市町村合併の特例措置であります合併算定がえなどにつきましては、縮減していくことになります。そのため、合併市町村は、交付税などの財源確保を懸念していたところであります。国におきましては、合併市町村の支所に要する経費を新たにその対象とするほか、標準団体の面積を合併後の実態に合わせたものにするなど、普通交付税の算定方法について見直しを進めているところであります。
合併市町は、これまで、合併時から合併算定がえの縮減を見込んだ財政計画を策定するとともに、職員の削減など行財政改革にも取り組んできております。
こうした中、県では、毎年度、いわて市町村行財政コンサルティングで全市町村を訪問し、その中で、財政指標の推移に留意しつつ、各市町村の財政見通しを確認し、必要な助言を行っております。
今後、平成28年度以降の交付税の縮減が本格化することとなりますので、普通交付税の算定方法が合併市町の実情を適切に反映したものになるように、引き続き、合併市町と連携して国に強く働きかけてまいります。
〇佐々木努委員 国に対しての働きかけも引き続きよろしくお願いをいたします。
終わります。ありがとうございました。
〇郷右近浩委員長 次に、中平均委員。
〔中平均委員質問者席に着く〕
〇中平均委員 創成いわての中平均でございます。
会派を代表して、平成26年度決算について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
県では、平成26年度を本格復興推進年と位置づけ、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けた事業を最優先に、一日も早い復興に向けて取り組まれてきたと認識しております。
平成26年度決算について質問してまいりますが、まず初めに、平成26年度決算に係る監査審査意見が出ておりますけれども、これに対して知事はどのような所感を持っておられるか、まずお聞きします。
〇達増知事 平成26年度歳入歳出決算につきまして、復興を担う人材や財源の確保、財源の重点的かつ効率的な活用や適時適切な行財政運営及び中長期的な健全かつ計画的な財政運営、留意改善を要する事項など、復興、財政運営、適正な事務執行の観点から御意見をいただいたところでありまして、県として重く受けとめなければならないものと認識しております。
これまでも御意見等を踏まえ対応を進めてきたところであり、例えば補助事業、委託事業の適正執行を図るため、内部管理体制の強化、基本共通マニュアル整備、各種研修会の充実による職員の資質向上などに取り組んでまいりましたほか、今年度からは、内部考査の実施や補助金等審査委員会の設置など、適正な事務執行に向けて、県組織全体として努めてきたところであります。
今後におきましても、引き続き、適正な事務処理の確保に努めて、県民の皆様や県議会の信頼に応えられるよう、県政を推進してまいります。
〇中平均委員 私もこの歳入歳出決算の審査の意見書を見ていて、今の知事の答弁はそのとおりだとは思うんです。あとは、補助金事務委託契約の執行に当たり、県民から厳しい視線が向けられていると。また、発注者側に起因する工事の入札取りやめも発生しているという文言もございます。そういった点を、資料をいただいて見ると、入札取りやめも平成24年度は21件、平成25年度は14件、平成26年度は8件と、年々減ってはきている。震災時の大変ばたばたとした、すぐやらなければならないといったときからは減ってはきていますけれども、原因は、設計の当初の誤りであったり、入札事務処理の誤りだったともあります。
先般の県土整備委員会のほうでも、工事を早期に発注しなければならないといった中で、変更契約が倍額以上になっているという事例も出てきているというところを踏まえて、平成26年度決算、そういった点の反省点を踏まえながら、そして、これからそういうところをどのように平成28年度に向けて予算を、これから恐らく決算審議が終わった後の予算、平成28年度の当初予算編成に入っていくんだとは思うんですが、そこをどのように考えているか、どのように作成していく予定なのかを伺います。
〇達増知事 平成28年度当初予算は、引き続き、復興事業については優先的に実施するとともに、第3期アクションプランの実質的初年度となりますことから、ふるさと振興総合戦略に基づく取り組みを積極的に展開するなど、希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成することとしております。
しかしながら、本県の財政は、社会保障関係費の増や高水準で推移する公債費等により、引き続き厳しい状況が続くと見込まれております。このため、あらゆる手段によって歳入確保の取り組みを進める一方、政策評価結果等を踏まえて事業効果や効率性等を検証し、歳出の徹底した見直しを行うとともに、一層の選択と集中を進め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
〇中平均委員 ただいま答弁をいただいて、東日本大震からの復旧、復興に向けていくということを重点的にと、財源も厳しいということでございました。
それで、ことしは平成27年で、震災以降4年半以上たっている中で県の各種施策を見ていくと、復興を邁進していく、復興を進めていくという言葉が非常に多く、それは当然なんですけれども、代表質問から始まって一般質問、さまざまな議論の中で、仮設住宅がまだまだたくさんあるという中、その一例をとっても、復興というよりは復旧というところがまだなっていないのではないかという感じを受けるんですね。
久慈、野田、私の選挙区のほうでも、一番被災地の中では比較的復旧、復興が進んでいるという地域でも、やっと高台移転が始まって、造成が始まってきているという現状であります。そういった中で、その点を踏まえて、本当の意味で復興というふうにしていかなければならないと。これにどのように知事は取り組むつもりであるのかお聞きします。
〇達増知事 これまで、東日本大震災津波からの一日も早い復興の実現のため、県政史上、かつてない規模の事業に全力で取り組んできており、これまで災害廃棄物の処理を終了させ、災害公営住宅は全体の7割を超える戸数で着工しておりますけれども、被災された多くの方々は、応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされているところであり、復興はいまだ道半ばであると認識しております。
現在、海岸保全施設や災害公営住宅などの復興事業を推進する上で、用地の確保、資機材の高騰、作業員の不足などの要因が事業の進捗に影響を及ぼすことが懸念されますことから、県は、これらの課題に対して適切、迅速に対応するとともに、今後も被災された皆様の声に耳を傾けながら、復興のプロセスを共有して、単なる復旧にとどまらない復興を目指してまいります。
〇中平均委員 そのとおり、単なる復旧に終わらない復興ということでもございますし、まず、復旧もまだ道半ばということの認識を改めて、また私たちも含めてこれから進んでいかなければならないと思っております。
知事は、当選されてから報道等のインタビューの中で、復興なり復旧の実感が伴っていないのではないかという質問に対して、この3年で実感は伴うようにしていきたいという発言があったと思います。そういうところを踏まえて、具体的にどういうところが復旧して復興していけば実感を取り戻せるようになるのか。恐らくあと3年すれば、今の応急仮設住宅からは、何とか皆さんが災害公営住宅なりに移れる、小中学校の敷地はグラウンドとして生徒が使えるようになるんだろうと思うんですが、そこは何となくそうなんだろうなとみんなわかっておりますが、それ以外の点で、具体的にどういう点を実現していって実感できるようにと考えているのか、ちょっと急ではございますけれどもお願いします。
〇達増知事 今年度、瓦れきの処理を除いた部分の実質的な予算、建設関係の復興予算がピークになるということで、事業量も大変多く、まさに沿岸地方で土音が響き渡る状態の中、ああ、復興が進んでいると感じるという声も、そういった意味で聞こえてくるようになったと思いますので、この本格復興期間というものを、今年度も含めそして来年度まで、しっかり復興の量の確保をしていくということがまず一つ大事だと思っております。
そしてもう一つ、一方で、住宅に関して、仮設住宅生活の長期化という問題がございますので、生活の支援、そしてコミュニティー支援といった復興の質の向上を図っていくことで、長期化する中でも復興の実感を感じていただけるようにと考えております。
〇中平均委員 今御答弁がありましたが、具体に感じていけるように、実際、復興ウォッチャーの調査結果でも、やはり少しずつではありますけれどもよくなってきているという、数字も伸びてきているということもありますので、これを一日も早く進めていくことをまた今後に期待します。
続きまして、地域医療の関係についてお伺いします。
先般、久慈市内の民間病院で、来年3月、年度末で、出産の取り扱いをやめるという報道がありました。本当に医師不足、医療の不足、医療資源のきつさ、そして地域医療の体制の厳しさが改めて見えてきているところでありますけれども、まず最初に、医療圏ごと、周産期医療圏ごと、産科病院の分布状況等についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 医療圏ごとの産科医療機関の分布状況についてでありますが、県では、産科医や小児科医の不足など、限られた医療資源の中、医療機関の機能分担と連携のもと、安全・安心な出産環境を確保するため、御案内のとおりでございますが、県内四つの周産期医療圏を設定しており、平成27年10月1日現在の県の調査におきましては、まず、盛岡・宮古圏域では、分娩を取り扱っている病院が4カ所で診療所が9カ所、岩手中部・胆江・両磐圏域では、病院が4カ所で診療所が10カ所、気仙・釜石圏域では、病院が2カ所で分娩を取り扱っている診療所はないところであり、久慈・二戸圏域では、病院が2カ所で診療所が2カ所となっております。
〇中平均委員 その中で、これから久慈地域もまた減ると、取りやめるという報道がありましたけれども、県として、この久慈・二戸周産期医療圏ということの今後の─今、久慈が2、二戸が2ある中で、これが減っていくというところをどのように課題というものを認識しているんでしょうか。また、その課題にどう対応していく予定でしょうか、お伺いします。
〇千葉副知事 久慈医療圏の産科医療の課題と対応についてでございますけれども、久慈医療圏におきましては、これまで、年間約300件の分娩を取り扱ってきた民間医療機関が、来年の3月でその取り扱いを停止することとなり、以後、久慈地域において分娩を取り扱える医療機関は県立久慈病院のみになりますことから、同地域における出産の場の確保が大きな課題であると認識しておりますし、また、憂慮しているところでもございます。また、この事案につきまして、市議会でも取り上げられたということも承知しているところでございます。
県におきましては、本来であれば、九つの保健医療圏で計画をつくって対応しているところでございますが、周産期医療につきましてはなかなか医療資源の関係で、先ほども申しましたが四つの周産期医療圏を設定いたしまして、県立久慈、二戸の両病院を県北地域周産期母子医療センターとして位置づけまして、その機能分担と連携による一体的な診療体制に取り組んできているところでございます。
今後、県立久慈病院の分娩取り扱い件数の増加が見込まれるところでございますので、県北地域の周産期医療体制の強化に向けまして、現在、関係大学との協議を進めているところでございます。
また、県では、県、市町村、医療機関とICTを活用いたしました周産期医療情報ネットワークシステムを構築しておりますが、今年度、周産期母子医療センター等12カ所に超音波画像伝送システムを導入するなど、ICTを活用した医療連携をさらに推進したいと考えております。
久慈市におかれましても、本年10月からこのネットワークの本格的な運用を図るということで、妊婦の健康診査情報や胎児の情報を市と医療機関が共有してリスク管理を図るとともに、県立久慈病院や二戸病院との連携をさらに強化しながら、安全・安心な妊娠、出産を支援していると聞いております。
また、現在、国におきましては、周産期医療のあり方に関する検討を進めておりまして、今年度中に指針を示すという予定であると聞いております。
県といたしましては、その指針に基づいて新たな周産期医療体制整備計画を策定した中で、医療関係者等さまざまな方々の意見も伺いながら、本県において持続可能な周産期医療体制のあり方の検討を行いまして、限られた医療資源を効率的に活用しながら、県内どこの地域でも、安心して出産できるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
〇中平均委員 先ほど岩崎委員の質問とも重複していますので、答弁が重複しているところはカットしていただいて結構です。
それで、今の御答弁の中で、現在協議中であるということになっています。この主要施策の成果の説明書、報告書を見ると、医療関係とか医師確保、こう見ていくとほとんどがA評価なんですね。これはその時々の数値を県のほうで設定して、そこに達成したからAだということでは理解するんですが、今回のこういう医療の問題、久慈の医療圏だけに限らず、これは全県の問題だと思うんです。まずは今の答弁に関しては協議中ということでありますけれども、今まで年間300件扱っていて、久慈病院はたしか70件、80件くらいなんですね。ハイリスクの出産は二戸のほうにお願いしているという現状で、それが来年3月以降、300件の出産はどこでやるのか、具体的に全部久慈の県立病院で対応できるような体制を組むための協議をしているものなのか、どういう方向性を持っているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
〇千葉副知事 今、協議中でありまして、まだ確定したものが出ていないところでございます。いずれ、できるだけ現在の状況に可能な限り近い環境で対応できるように、県としては大学のほうには要請したいと思っておりますが、あと関係大学のほうの考え方、これからも調整することになると思いますので、その中で方向性を見出していきたいと考えている次第でございます。
〇中平均委員 来年の3月というと、もう5カ月ですね。一刻も早く、いい方向に向かってのものが出てくるように協議をお願いしていかなければならないですし、これは先ほど言いましたけれども、久慈の医療圏、久慈の産科医療、周産期だけに限らず、これは岩手県全域の問題なんだろうと思っています、この医師不足の問題は。これは正直、医師不足の医療崩壊という言葉が出てもう大分、10年以上たつんだと認識していますけれども、その間、各地域においてもいわゆるコンビニ受診はやめましょう、そしてかかりつけ医をみんなで持って、県立病院に集中して、負担させて、疲弊させてやめるということがないようにしようと。また、クリティカルパスとか医師のクラークをやって、事務的な医師の負担を軽減することによって県立病院を何とかしていこうと、地域医療を支えていこうという活動をずっとやってきているわけです。実際いろいろ病院のお医者さんとかに聞いても、減ってきていると。いろんなデータを見てもコンビニ受診等も減ってきているし、これで言うと、ちょうど震災後のときだったのでちょっとそこは若干ふえているけれども、全体的にはその成果も出てきていると。そして一般質問等でもありましたけれども、奨学金で来年からいよいよ学生たちが医師になって入ってくるというところで、医師不足というものを何とかしようと、地域地域においてみんなも協力しているわけですね。それをいつまで我慢しなければ、我慢といいますか、いつの段階で皆さん安心してくださいという県からの答えが出せるのかというのをお聞きします。
〇千葉副知事 現在、医師不足の解消についての見通しということでお尋ねだと思いますが、本県におきましては、現在、医師修学資金、あるいは医療局の医師奨学資金、あるいは国保連の市町村医師養成修学資金と三つの制度を使って55名の貸付枠をつくって、これらの奨学金で養成した医師が来年度から順次出てくる、今、委員のお話があったとおりでございます。
いずれ、過去の奨学金実績等を踏まえた県の試算では、平成40年度ごろに、これら養成医師の配置によりまして、厚生労働省の調査によります本県の必要医師数293名を満たす結果となっておりまして、将来的には医師不足の解消に向かっていくという見通しは、一応持っているところでございます。
一方、ここ数年の間は、奨学生医師がいよいよ現場に出てくるという話もありますが、まだ養成医師のキャリアアップのための大学院入学などの義務履行の猶予なども折り込みながら配置を進めていく必要がございますので、まだ当面は厳しい状況が続くのではないかと考えているところでございます。
いずれ、県といたしましては、今後とも、奨学金による医師の養成に加えまして、即戦力医師の招聘あるいは関係大学への派遣要請などにより、絶対数の確保について引き続き努めてまいりたいと考えている次第でございます。
〇中平均委員 産科、小児科もそうなんですけれども、例えば眼科とかでも、病院で白内障の手術をするというと半年待ちですよとか、もっと先なんですね。盛岡に来て手術する方とか、ほかに行って手術できる方はいいんですけれども、やはり地元の県立病院でやらざるを得ない方もいるわけですね。高齢化が進んでいくとともに、どうしてもこういった各診療科ごとの問題もまた出てくるということも見越した上で、当面という話はもうずっとなので、これもわかるんです、当面としか言えないと。当面は何とか、医師不足というのはわかるんですが、先ほど知事からもありましたが、復興の関係も、この3年でやはりきちんと実感が見えるようにしていきたいと。何年でとまで本当は区切って言ってもらいたいところはあるんですが、いつまで不安を抱えていくのか、今から奨学金の医師が出てきて、例えば診療科によるけれども、ある程度充足というか安心できる体制がこれからできてくるんだというのを県として出していかないと、結局、岩手県の人口が減っていて、そしてさらに医療体制が厳しいところはまた人口が減っていくということにもなりかねない。その辺を含めて知事、ちょっと所見をいただきたい。
〇達増知事 平成40年度ごろに、厚生労働省の基準で定める病院勤務医の必要医師数を満たす。平成40年度というのは、一見はるか未来みたいな感じもするんですけれども、でも、13年後というか12年半後でありますので、かつ、12年半後、必要医師数を満たすというのは、過去、厚生労働省が調査を行ったとき、必要数を満たしている都道府県はありませんでしたので、必要数を満たすというのはこれはすごいことであります。12年半後にそこまでということは、どのくらい前の段階で基本的に多くの県民の皆さんに満足というか、必要な医療が得られるこの地域医療体制が確保できるかということになってくるわけでありますけれども、病気になっても大丈夫という希望が持てるような県づくりというのは決して非現実的なものではなく、そういう10年とかというくらいのスパンで手が届くところにありますので、それをいかに早く持ってくるかということで頑張ってまいりたいと思います。
〇中平均委員 一刻も早くお願いします。
続きまして、人材育成の関係について聞きます。
これも奨学金の関係ですので、岩崎委員と重複するところは割愛して聞きます。
今現在、平成26年度の各奨学金を活用した人数、そして貸与型と給付型の金額の割合をまず教えてください。
〇千葉副知事 高校、大学等、進学に係る各種奨学金についてでございますけれども、まず、県が実施しております高校生に対する各種奨学金は、公益財団法人岩手育英奨学会が行っております育英資金の貸与が1、400人余、高校生の授業料を支援するための高等学校等就学支援金の給付が8、700人余、東日本大震災津波により親御さんを失われた生徒に対するいわての学び希望基金奨学金の給付が140人、その他3、000人余ということで、合わせて延べ1万3、000人余が活用しているところでございます。
大学生等への奨学金についてでございますが、最も規模が大きいのは独立行政法人日本学生支援機構のものでございますけれども、同機構では、県別の貸与人数を公表していないところでございます。
県が実施しております大学生等に対する主な奨学金は、将来、県内で医療に従事する学生を対象とした医師養成奨学金の貸与が250人余、看護職員修学資金の貸与が330人余、獣医学生修学資金の貸与が5人、県内で介護福祉士等を目指す学生を対象とした介護福祉等修学資金の貸与が100人余、いわての学び希望基金奨学金の給付が120人余でありまして、合わせて延べ820人余が活用しております。
県が行っております各種奨学金を貸与型と給付型で区分いたしますと、高校生を対象とするものは、貸与型が24%、給付型が76%となっており、大学生等を対象とするものは、貸与型が93%、給付型が7%となっております。
なお、先ほど申し上げました大学生等を対象といたします日本学生支援機構の奨学金は全て貸与型でございます。
〇中平均委員 今のお話を受けて、高校を卒業して進学しようとする場合、必ず地元以外に出ていかなければならない地域というのは圧倒的に多いわけです。そういった中で、さまざまな教育の機会、そして自分自身の努力で解決し得ない問題、地域性の問題であり経済的な状況であり、そういったところを考えて選択肢を狭めていかないために、積極的な選択をしてもらうためにも、義務履行のある貸与型というのは除いたとしても、給付型の奨学金というところをもっとふやしていくべきではないかと思いますけれども、その点について御所見をお伺いします。
〇達増知事 旧日本育英会が実施していた高校生、大学生を対象とする奨学金貸与事業は、平成13年12月閣議決定の特殊法人等整理合理化計画で、高校生を対象とした事業が都道府県に移管されました。
一方、大学生等にかかわる奨学金は、日本育英会を廃止した上で、新たに学生支援業務を実施する独立行政法人日本学生支援機構が行うものとされ、現在はこのような国と地方の役割分担のもとで、大学生等に対する奨学金貸与事業は国が担っているというところであります。
県といたしましては、高校卒業後の教育の機会均等を図る上からも、学生への経済的支援は重要であると考えておりまして、繰り返し、給付型奨学金の創設など国が行う奨学金事業が充実したものとなるよう、要望しているところであります。
今後においても、意欲と能力のある学生が経済的理由によって進学を断念することがないように、大学生等の奨学金制度の充実に向けて、必要な提言、要望を行ってまいります。
〇中平均委員 国に提言、要望を行っていくと。まず、国でも当然やっていかなければならない施策であります。県としても、いきなり全員分というのは無理かもしれませんが、少しでも給付型であって、将来、地域で活躍する人材また地域以外に出て国際的に活躍する人材、そういう方々を育てていくということが、岩手の未来につながっていくことじゃないかと思うんです。そういった点を踏まえて、今後、厳しい財政状況というのは重々承知していますが、未来への投資という意味でも、給付型の県独自での奨学金制度、少額でも、少人数でもまずは始めるということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 地方創生の枠組みの中での例の100人を上限とする新たな奨学金制度ということについて、今検討しているということは、先ほど答弁があったとおりでありますし、委員御指摘のとおり、地元に残って働くあるいは全国的、国際的に活躍する、そういう人材育成のための、そうした奨学金制度を県としてもやっていくということについては検討していきたいと思います。
〇中平均委員 続きまして、産業振興についてお伺いします。
まず1点、水産振興ということで、アワビの関係についてお聞きします。
震災以降、平成26年度の漁獲量が260トンということで、震災前の7割ということでしたが、稚貝の放流数は、今年度が890万個ということで報道されているところでもございます。アワビ種苗施設の復旧、昨年度からの種苗生産も再開されているという点を踏まえて、この漁獲量はまだ回復していないと。そういった中において、県では、アワビ資源の状況をどのように把握しているのか。また、今後の増大に向けて、どのような取り組みを行っていこうとしているのかをお伺いします。
〇中村復興局長 アワビ資源につきましては、東日本大震災津波によりまして、漁場に生息する稚貝等の流失が認められましたほか、種苗生産施設の損壊によりまして、種苗が放流できなかったといったことなどによりまして、平成26年度の漁獲量が259トンということで、震災前の約75%という状況になっております。このため、県では、種苗生産施設の整備とともに、漁協が行う種苗の生産や購入に係る経費の支援を進めておりまして、今年度は、震災前を上回る890万個の放流が見込まれております。
来年度以降も、漁協が行う種苗放流への経費支援を継続できるよう国へ要望しているところであり、また、増殖場の整備につきましても、漁協の要望を踏まえながら計画的に進め、アワビ資源の増大に向けた取り組みを支援してまいります。
〇中平均委員 ぜひ、継続してやっていけるような行動、活動を続けていっていただきたいと思います。
続きまして、観光振興についてお伺いします。
主要施策の説明書の16ページにも出ているんですが、今回、ふるさと振興にも取り組むということで県ではやっておりますけれども、その推進のためにも、国内外からの誘客、いわゆる交流人口の拡大や県内、域内観光などもまた必要であろうと考えますが、より多く観光消費、来ていただいた人、また、県内の人が県内に移動して観光する場合の観光消費を促すために県の施策はどのような形で、どれほどの効果があったのか、見込んでいるのかを伺います。
〇千葉副知事 観光振興についてでありますが、観光消費の拡大を促進するためには、滞在時間が長く、より多くの観光地と周辺地域をめぐる滞在周遊型観光の推進が重要であると考えております。そのため、県におきましては、これまで、市町村、観光関係団体などと構成いたしますいわて観光キャンペーン推進協議会を中心といたしまして、世界遺産平泉やあまちゃんの北三陸など、集客力のある観光地を核に、各地域をめぐる宿泊旅行の売り込みや、ガイドブック、ポスター、広告などでの各地域の特産品や食の魅力のPRの展開、内陸と沿岸をつなぎ、その土地ならではの特産品の買い物や食事を楽しむいわて三陸観光応援バスツアーの運行支援など、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
なお、これらの施策の効果といたしましては、観光統計によりますと、平成26年度の県内観光消費額は前年度を6.2%上回る約1、625億円となっておりまして、今年度はさらに宿泊需要の喚起を目的として、5割引きの定額旅行券の発行などを行いますいわてに泊まろう誘客促進事業を実施しているところでございまして、さらなる観光消費の拡大を期待しているところでございます。
〇中平均委員 また、6.24%上がって今年度はさらに上がっていくだろうということですので、より多くということと、あとは、本年度は半額補助ですか、5、000円でしたか、単発で終わらないための取り組みというのも必要なんだと思うんですね。
また、リピーター的なことをふやしていくと、その点についてどのような施策を今後やっていこうと考えているのか、お伺いします。
〇千葉副知事 今、いわてに泊まろう誘客促進事業のお話を若干申し上げましたが、今回の事業の実施によりまして、今回についての試算もいろいろと考えられるところでございますが、国が示しております交付金実施計画記載要領では、直接的な消費喚起想定額などを期待しており、個人消費が全て新たに喚起されると仮定すると、その消費喚起額は約16億円程度となっているところでございます。
このような制度を想定しておりますが、さまざまな取り組みを含めまして、さらに上回るような消費喚起ができるように頑張っていきたいと考えております。
〇中平均委員 続きまして、中小企業の新規創業、起業についてお伺いします。
平成26年度の県内における新規創業の実績、また、創業、起業のための制度融資の事業実績をまず教えてください。
〇千葉副知事 中小企業の新規創業についてでございますが、新規創業を直接対象とした統計データはちょっと持ち合わせてございませんが、平成26年の経済センサスの速報値によりますと、県内で新規に開設した事業所数は、平成24年から平成26年まで3カ年で4、500となっておりまして、平均すると、1年間で1、500程度となっているところでございます。
県では、沿岸地域の創業者を対象としたさんりく未来産業起業促進事業や全県を対象としておりますいわて希望ファンド地域活性化支援事業などによる助成制度とともに、創業者の円滑な資金調達を支援いたしますいわて起業家育成支援による融資制度を設けておりますほか、国においても、創業促進補助金により創業者を支援しているところでございます。
平成26年度、これら創業支援制度の利用は194事業者でございまして、飲食、サービス業の利用が多くなってきているところでございます。
〇中平均委員 時間がなくなったので、最後に、国道281号の整備状況と今後の方針についてお伺いします。
〇千葉副知事 国道281号の整備についてでございますが、国道281号は、久慈-盛岡間の交流連携や、観光振興等に欠くことのできない重要な路線でございまして、これまで、久慈市の下川井道路や葛巻町の繋バイパスなどの整備を行ってきたところでございます。
東日本大震災津波の発災後におきましては、県の復興計画におきまして、復興支援道路と位置づけ整備を推進しているところでございまして、現在、久慈市案内地区で平成29年度の完成を目指し、トンネル等の整備を行いますとともに、岩手町大坊地区で交通隘路の解消を進めているところであります。
今後につきましても、これら事業箇所の早期完成に努めますとともに、地域からの要望等を踏まえながら、沿岸地域と内陸地域を結ぶ物流や産業振興を支える重要な幹線道路として、整備を推進してまいりたいと考えております。
〇中平均委員 復興支援道路ということであれば、さまざまなこういう交通ネットワークの資料とかにもちゃんと記載をいただきたいと思います。
あと、今残っている281号の隘路は、そうすると平庭トンネルという認識でよろしいでしょうか。
〇千葉副知事 今委員のお話も含め、まださまざまな箇所についていろんな御要望は頂戴しているところでございます。
〇中平均委員 その平庭峠を含めて、この281号の復興をいろんな資料にも復興支援道路ということで、きちんと記載した上でやっていただきたいと思います。
さまざまな社会減の要因があります。そういった中で、医療の関係、教育の関係、産業の関係ということで質問させていただきました。
今の時期に決算をやるということは、来年度に向けての予算をつくるための決算だと認識しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。終わります。
〇郷右近浩委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
午後2時59分 休 憩
午後3時17分 再開
〇郷右近浩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。次に、斉藤信委員。
〔斉藤信委員質問者席に着く〕
〇斉藤信委員 達増知事におかれましては、第3期目の当選おめでとうございます。復興与党として自主的な支援をして頑張りました。心からお祝いを申し上げます。
さて、昨年度の決算と震災復興についてお聞きします。
普通会計決算額9、751億円に対して震災復興対応分はどうなっているでしょうか。震災復興分の中で県単独事業の主な内容と決算額、その財源、累積決算額はどうなっているでしょうか。
〇達増知事 平成26年度の普通会計歳出決算額は約9、751億円であり、このうち震災対応分は3、321億円、全体に占める割合は約34%となっております。
震災復興における県単独事業でありますが、平成26年度における震災対応分事業のうち、国費等を原資とする基金事業を除く県単独事業の決算額は約980億円であり、その主な財源は、貸付金の償還金762億円、震災復興特別交付税等80億円、東京電力からの賠償金46億円、寄附金11億円、その他の一般財源45億円となっています。
主な事業としては、中小企業者に対して事業を再建するために必要な資金を融資する中小企業東日本大震災復旧・復興資金貸付金が約762億円、県産畜産物の安全性確保のため飼料の放射性物質調査や牧草地の除染等を行う放射性物質被害畜産総合対策事業が約42億円、応急仮設住宅の維持修繕や保守点検などを実施する災害救助費が約7億円、国内外の皆様からの寄附金を基金として積み立て、被災した児童生徒の暮らしと学びを支援するいわての学び希望基金奨学金給付事業費補助が約2億円などとなっています。
また、震災対応分県単独事業の平成23年度以降の累積決算額は約4、405億円となっています。
〇斉藤信委員 震災復興の取り組みは県政最大の課題でありますけれども、全額が国の負担で行われているのではなくて、県独自の事業もやられているということをしっかり把握しておくべきだと私は思います。
こうした中で、安倍政権による一部負担の導入について、県は73億円と試算していますが、発表されてから数カ月がたっていますので、これは精査されているのでしょうか。現段階で精査された額があるのかどうかお聞きします。
〇達増知事 本年6月に決定された復興事業に係る地方負担拡大の方針と、その時点の県の復興事業費試算に基づいて新たな県負担額を73億円と試算したところでありますが、復興事業費はさまざまな要因によって常に変動しておりますので、今後も定期的に見直しを行ってまいります。
また、新たな負担分については、国から地方債の発行を認める方針が示されているので、この活用を視野に入れつつ、復興事業や財政運営に支障を来すことのないよう対応してまいります。
〇斉藤信委員 先ほどもあったように、4、400億円余の県単独事業をやりながら復興に取り組んでいるというときに、73億円の負担を押しつけて、借金で賄えという安倍政権のやり方というのは許せないと私は思います。これだけの財源があったら、もっと多様な対策がとれるわけで、このことは指摘だけにとどめておきます。
次に、大きな二つ目でありますけれども、被災者の命と暮らしを守ることは復興の中心課題であります。この間、震災関連死、震災関連の自殺、仮設住宅、災害公営住宅での孤独死はどうなっているでしょうか。そして、その現状について知事はどう受けとめているでしょうか。
〇達増知事 震災関連死や応急仮設住宅等での孤独死についてでありますが、東日本大震災津波の発災から平成27年8月末までに、震災関連死が454人、震災関連の自殺者が34人、応急仮設住宅、災害公営住宅での孤独死が34人となっています。
震災後においても貴重な命が失われていることは極めて残念なことでありまして、重く受けとめるとともに、引き続き、被災者の方々の見守りや心のケアなどに丁寧に取り組んでいく必要があると考えております。
〇斉藤信委員 震災関連死は9月末で言いますと455人になっているんですけれども、今言われた震災関連の自殺34人、仮設住宅での孤独死が30人、災害公営住宅で既に4人が孤独死されている。私は、これ自身がまず大災害だと思うんです。いわば震災後も災害は続いているという立場で対応しなければならないのではないかと私は思います。
そこで、阪神・淡路大震災からことし1月で20年が経過しました。この阪神・淡路大震災の最大の教訓の一つが孤独死でありました。20年間で1、097人、昨年1年間でも約40人が孤独死しているんです。これは復興公営住宅での孤独死です。
これから岩手県は災害公営住宅への入居が進むわけでありますけれども、災害公営住宅での孤独死を出さない対策をどう講じるのか。一定規模の公営住宅には、仮設住宅のように支援員の配置が必要だと私は考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 阪神・淡路大震災の発災から20年が経過した現在まで、毎年多くの方が孤独死されているという現状を踏まえますと、災害公営住宅入居後において、被災者同士あるいは周辺住民とのコミュニティーを確立して被災者の孤立を防ぐ取り組みが重要であると認識しております。
本県では、生活支援相談員等が災害公営住宅の被災者も戸別訪問し、安否確認や相談、見守りなどを行ってきたほか、地域との交流の機会をつくるためのイベント開催などにも協力してきたところであります。
災害公営住宅における見守りについては、生活相談支援員等による個別支援に加えて、同じ地域で暮らす方々が互いに助け合う仕組みづくりが重要でありますので、被災された方々が新たな居住環境で安心して生活できるよう、市町村や関係団体と連携してコミュニティー形成支援についても取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 私は、1月に孤独死を出した陸前高田市の災害公営住宅に行って話を聞いてきました。住まいは立派なんだけれども、隣に誰が住んでいるかわからない、同じ階に誰が住んでいるかわからない、重い扉を閉めたら本当に孤立してしまう。
9月には、私は、釜石市の災害公営住宅で被災者の方々と懇談してきました。やはり同じフロアに誰が住んでいるかわからない。本当に孤独感、人とのつき合いがなくなっている。これが生活再建にとって本当に重要な問題で、大船渡市の仮設住宅というのは、支援員が2名ずつ配置されているんです。仮設住宅の人たちの状況を一番知っているのは支援員だと自治会長も言っています。私は、災害公営住宅の初期の時期には、そういう形で支援員を配置して、一人一人を見守るし、人と人との関係をつくる、コミュニティーをつくるということに真剣に取り組む必要があるのではないと。それが阪神・淡路大震災の教訓を生かす道ではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 生活支援相談員の配置に当たりましては、これまでも、県社協が、市町村社協の意向を踏まえながら、地域の実情を踏まえて適正な配置に努めてきたところであります。今後においても、被災者の生活の変化に伴う見守りや相談のニーズに応じた配置となるように、県としても必要な助言を行っていきたいと思います。
なお、国では、来年度、被災者支援総合交付金によって、被災者の生活再建のステージに応じた切れ目のない支援の実現を図るとしていますので、市町村における支援員の配置についても連携して対応し、しっかりとした見守り体制の構築に努めてまいります。
〇斉藤信委員 県は、復興支援制度も活用できるとか、さまざまな形で市町村にも通知しているんですが、私は、まだ県と沿岸市町村との認識、受けとめというものにかなりの落差といいますか、乖離があるのではないかと。ひとつ丁寧にこの問題をやって、今の時期が大変大事なので、ぜひ、これまで以上に取り組んでいただきたい。
次に、在宅被災者の実態をどう把握しているかお聞きします。
大船渡市のNPOによる在宅被災者調査では、700世帯のうち160世帯が健康や家計に不安を抱えており、見守りが必要だと判断されました。在宅被災者というのは1万5、000人、7、000世帯あるんです。ここは震災直後から支援がなかったと。今でもないと言われている実態もありますが、この実態と対策をどう考えていますか。
〇達増知事 在宅被災者の実態等についてでありますが、大規模半壊によって生活再建支援金の加算支援金を受けて自宅を補修した世帯は約3、000世帯であり、生活支援相談員が訪問して、支援が必要と判断された660世帯について見守りや生活相談等を行っているところであります。
訪問の結果、健康や家計に不安を抱いている世帯に対しては、生活支援相談員が必要な支援を担当する機関につないでいますほか、保健師も被災者の健康状態の把握を目的とした健康調査や家庭訪問を行っているところであります。
今後も、市町村や社会福祉協議会等の関係機関と連携して、支援を必要とする在宅の被災者の方々に対しても的確な支援が行われるようにしてまいります。
〇斉藤信委員 ぜひ、市町村と協力して実態調査を行って、これは取り組むようにしていただきたい。
大きな三つ目ですが、子供の医療費助成について、私は、せめて小学校通院まで拡充すべきだと考えますが、ふるさと振興総合戦略の三つの柱の中で、岩手で育てるという取り組みにとって、子供の医療費助成をさらに拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 子供の医療費助成の拡充についてでありますが、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、県では、厳しい財政状況にはありますが、市町村等と協議の上で、本年8月から助成対象を小学校卒業の入院まで拡大するとともに、来年8月から未就学児及び妊産婦を対象とした窓口負担の現物給付を行うとしたところであります。
総合的な子育て支援施策については、今般策定しますふるさと振興総合戦略における重要なテーマであると考えております。また、国においても、子育て支援や地方創生の観点から、子供の医療制度のあり方等に関して、有識者で構成する子どもの医療制度の在り方等に関する検討会を設置し、見直しに向けた検討を開始したところです。
本来、子供の医療費助成は、自治体の財政力の差などによらず、全国どこの地域においても同等な水準で行われるべきであり、本年6月に実施した県の政府予算提言、要望において、全国一律の制度を創設するよう要望しています。
全国知事会からも、子供に対する医療費の全国一律の助成を要請しているところでありまして、今後とも国に対する働きかけに積極的に参加していきたいと思います。
〇斉藤信委員 岩手県知事選挙のアンケートで知事はこう答えているんです。ことし8月から助成対象を小学校卒業までの入院のみ。来年、現物給付にしますが、現時点でさらに助成を拡充するお考えはありますか。拡充したいと知事が答えている。もう一つは、全ての子供の医療費を中学校卒業まで現物給付とし、全額無料とすることを求めていますが、賛同しますか。賛同しますと知事が答えているんです。これは知事の公約と受けとめてよろしいですか。
〇達増知事 そのアンケートの質問者の質問にあったような、そういう状況が実現することを私も望んでおります。
〇斉藤信委員 これは選挙での公約ですからね。
それで、6月議会の冒頭に、子供の医療費助成の拡充を求めるお母さん方が7万人の署名を集めて、知事に直接お届けしました。本当に切実な課題で、私は、小学校入院まで拡充し、現物給付に戻したということは前進として評価したい。しかし、小学校入院までというのは本当にわずかなんです。せめて小学校通院まで拡充し、現物給付化もそこまでやる、私は、ぜひ、ふるさと振興総合戦略の中でその実現を目指すべきではないかと。残念ながら、この文書の中には県が決めたことしか書かれていないんです。拡充を目指すと書かれていない。これだったら中身がないということになるのではないでしょうか。
〇達増知事 今、今年度からの実施、また来年度からの実施について、これをしっかり市町村と協力しながらやっていくことが重要と考えておりますし、また、国のほうでは、地方創生ということで、新3本の矢、1億総活躍ということで、国全体として出生率の向上、子育て支援に取り組んでいくという新機軸を今出そうとしているような状況でもありますので、国に対する要望、提案に力を入れていくべき局面と考えておりますけれども、いずれにいたしましても、日本の出生率の低さというのは異常でありまして、若い世代、子供を産む世代、育てる世代が多くの困難に直面していることは国を挙げて克服していかなければならないと思っておりますし、また、岩手においても、そこは岩手独自の努力をしていかなければならないと思っております。
〇斉藤信委員 県内市町村ではかなり独自に、沿岸被災地を含めて、高校まで、中学校まで、そして、おくれているところも小学校卒業までやっていますが、知事は、この状況と県内市町村の取り組みをどう受けとめているでしょうか。
〇達増知事 県内市町村の取り組みについては、本年8月1日現在、対象年齢を小学校卒業の通院まで拡大しているのが6市、中学校卒業まで拡大しているのが、入院、通院とも12市町、高校卒業まで拡大しているのが、入院、通院とも10町村となっています。
これらの市町村においては、医療、福祉政策全体の中で検討した上で、総合的な子育て支援施策の一環として、地域の実情に応じた取り組みをそれぞれの判断で実施しているものと認識しております。
〇斉藤信委員 やはり切実な課題だから、県内市町村が、小学校卒業以上で見ますと、33市町村のうち28市町村で、8割を超えているんです。私は、県が小学校卒業までやれば、市町村はさらに拡充できる条件が出てくると思います。
そこで、例えば平成26年度末決算は261億円の黒字でした。その半分は基金に繰り入れるとしても、財政課から聞いても、40億円から60億円は県政課題に使えるということですから、私は本気になってこれは取り組むべきではないかと思いますが、改めてお聞きします。
〇達増知事 県として、ふるさと振興あるいは医療、福祉の大きな枠組みの中で、生きにくさを生きやすさに転換していかなければならないという中で、例えば、医療局の県立病院ネットワークを維持していくためには毎年200億円ぐらい、そのうち交付税措置される、国から出る分を引いて80億円ぐらいの規模の予算を県立病院ネットワークに使っているというような、まさに岩手県独自の施策を展開しているということもございます。
そういった中で、今、県内の市町村が判断し、また、努力していること、県として行っていることを、今回、今年度、来年度の子供の医療費支援拡大についても、県と市町村でかなり情報共有、また協議をしたところでありますけれども、そういったことを続けながら、岩手県民が、より生きにくさを生きやすさに転換していくことができるように努めてまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 いわてふるさと振興の大きな柱で岩手で育てると。知事も公約していることですから、小学校通院まで、さらに中学校までという拡充をぜひさらに決断して進めていただきたい。これはお願いにしておきます。
最後ですけれども、高齢者の貧困問題についてお聞きいたします。
高齢者の貧困率は19.7%と、5人に1人という極めて深刻な事態であります。ひとり暮らし高齢者世帯、高齢夫婦世帯の実態はどうなっているでしょうか。その収入、生活実態、ひとり暮らし高齢者の生活保護受給の状況について示していただきたい。
〇達増知事 平成22年国勢調査結果によりますと、本県における65歳以上の高齢単身世帯数は4万3、479世帯、高齢者夫婦世帯数は5万191世帯となっています。
高齢者世帯の収入状況については、厚生労働省の平成26年国民生活基礎調査によると、全国の高齢者世帯の平均所得金額は300万5、000円となっており、このうち公的年金、恩給が67.6%を占めています。
本県の生活保護受給世帯における高齢者単身世帯は、平成16年度が2、922世帯であったのに対し、平成26年度には4、501世帯となっており、10年間で約1、600世帯増加しています。
本県の高齢者の状況については、今後とも、国勢調査や介護保険事業状況報告など各種統計調査等によって動向を把握していきたいと思います。
〇斉藤信委員 今、老後破産とか下流老人とか─下流老人の新書は10万部を突破していると。高齢者の貧困問題が本当に大きな社会、政治問題になっています。
その中で矛盾の集中点になっているのがひとり暮らしの高齢者でありまして、岩手県は、ひとり暮らしの高齢者は、先ほど言ったように、平成22年度は4万3、479人ですが、平成27年度の見込みは5万1、000人なんです。恐らく5万1、000人というのが実態に近いと思います。
この中で、65歳以上の高齢者で生活保護を受給しているのがわずか6、350人です。ひとり暮らし高齢者が600万人いて、その半分は生活保護基準で生活していると。全国的に見て生活保護受給は70万人ですから、そうすると、200万人以上が生活保護を受けずに生活保護基準で生活しているということになるんです。岩手で言ったら、5万1、000人だとすれば、2万人近くが生活保護基準で厳しい生活を強いられているということになると思いますが、ひとり暮らし高齢者の実態調査を行うべきではないかと思いますが、いかがですか。
〇達増知事 先ほど申し上げた国民生活基礎調査では都道府県別のデータが公表されておらず、一方で、介護保険料は市町村民税の課税状況等によって段階が決まりますので、65歳以上の高齢者の各所得階層の分布状況が把握でき、例えば平成25年度の非課税世帯に属する高齢者の割合は岩手県では32%と、全国とほぼ同程度ということがわかります。
また、老齢年金の平均支給月額から高齢者の年金収入状況の傾向をおおむね把握することができ、例えば平成25年度における本県の平均支給月額は約7万6、000円、全国平均より約1万円低いということがわかります。
〇斉藤信委員 ぜひ、ひとり暮らし高齢者の実態を把握して、必要な支援策を検討してほしい。
そこで、最後になりますけれども、ことしの1月、奥州市で親子共倒れの事件が発生しました。NHKスペシャルの老人漂流社会、親子共倒れを防げで真っ先に報道されたのは岩手の深刻な事件でありました。知事はこれを見られたでしょうか。
今、介護が必要な親を仕事をやめて介護をする。親の年金だけで生活する。結局は、月8万円で親子が生活して、息子が先に倒れて、お母さんまで凍死してしまったという事件です。私は、こういう事件は絶対繰り返してはならないと思います。こうした実態もよく把握して、対策をとるべきだと私は思いますが、いかがですか。
〇達増知事 その番組は見てはいなかったのでありますけれども、奥州市の事案を通じ、高齢者が子供と同居したということで、近親者や地域の方が安心してしまって、生活の維持が困難になっていることに気づくことが難しいケースがあるということを私も改めて認識したところであります。
こうしたケースに対応していくためには、地域住民や関係機関、団体、市町村が一体となって協力しながら、さまざまな制度を活用して、支援が必要な高齢者等に寄り添い、支えていく地域ごとの仕組みが必要と考えております。
市町村では、多様な主体による生活支援サービスが重層的に提供されるよう、生活支援コーディネーターの配置や地域福祉活動コーディネーターとの連携に取り組んでおり、県では、その養成研修の実施などによって市町村を支援しているところです。
今後とも、関係機関、団体等と連携しながら、高齢者への生活支援の取り組みを進めていきたいと思います。
〇斉藤信委員 養護老人ホーム、軽費老人ホーム、低所得者が入れる特養ホームの現状と、私は増設が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 本年4月1日現在、県内に養護老人ホームは17施設で定員967人、軽費老人ホームが24施設で定員993人、特別養護老人ホームが160施設で定員8、003人となっています。
平成27年度から平成29年度までの市町村における高齢者福祉・介護保険事業計画において、養護老人ホームについては開設見込みがなく、軽費老人ホームは20床相当、特別養護老人ホームは991床相当の開設見込みとなっています。
今後、単身高齢者や高齢者のみ世帯の一層の増加が推計されますので、市町村は、高齢者の住まいのニーズを的確に把握して施設整備を計画的に行っていく必要があると考えています。県としては、各種施設整備に対して補助を行うことによって、低所得者を含む高齢者の住まいの確保を支援してまいります。
また、各地域で医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムが構築されて、高齢者が住みなれた地域で安心して生活し続けることができるように、関係機関とともに取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 終わります。
〇郷右近浩委員長 次に、木村幸弘委員。
〔木村幸弘委員質問者席に着く〕
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘でございます。
このたびの決算特別委員会の審査に当たりまして、通告しております質問についてお伺いしてまいります。
まず最初に、本格復興推進年としての成果と課題についてでありますが、第2期復興実施計画の初年度の取り組みについて、進捗状況については、復旧、復興事業の本格推進の成果としてどのような内容を評価しているのか。また、第2期計画の事業に対して、おおむね着実に進んでいるとのことでありますけれども、具体的な到達目標と見通しについて伺います。
〇中村復興局長 本格復興期間の初年度であります平成26年度におきましては、第1期の基盤復興の成果を土台といたしまして本格復興の取り組みを進めてきたところであり、平成26年度末におきまして、安全の確保につきましては、海岸保全施設の約9割が着工し、約2割が工事を完了、防災集団移転事業などの復興まちづくりの約9割が着工したほか、三陸鉄道が全線運行を再開したところでございます。
暮らしの再建につきましては、災害公営住宅の約6割が着工し、約3割が完成したほか、県立高田高校の校舎が完成し、被災した県立高校の全ての復旧を終えたところでございます。
なりわいの再生については、漁業協同組合を核とした漁船や養殖施設の一括整備により、産地魚市場の水揚げ量は震災前の約8割まで回復し、グループ補助金を活用した事業者の早期再開に取り組んだ結果、被災した事業所も、一部再開を含め、約8割が再開するなど、復興の取り組みを着実に進めてきたところでございます。
県の第2期復興実施計画に掲げる延べ341指標につきましては、平成26年度の年間目標に対する進捗率が95%以上の指標は約7割となっておりまして、復興実施計画に掲げる取り組みはおおむね計画どおりに進んでいるものと認識してございます。
また、第2期復興実施計画が終わる平成28年度末では、災害公営住宅では約9割、海岸保全施設では約8割、復興まちづくりでは約6割の完成を見込んでございます。
現在ピークを迎えております復興事業の推進に当たっては、資機材の高騰でありますとか沿岸地域での深刻な人手不足などの課題も発生しておりますことから、第2期の計画目標が達成できるよう、引き続き、市町村や国などとも連携を図りながら、着実に推進してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 復興の取り組みとあわせながら、知事演述のこれまでの県政運営という項目の中において、一方の本県におけるさまざまな県政課題への対応などについても述べられているわけでありますけれども、知事は、人口流出あるいは県民所得の低迷、雇用不足、地域医療の崩壊などの危機に対して、産業振興による雇用の創出、奨学金を活用した医師の養成に取り組み、着実に成果を上げているとしております。
また、これまでの復興、人口減少対策の取り組みの成果を土台とし、復旧、復興とふるさと振興に総力を挙げて推進するとしていますが、具体的には、これまでの県政運営の中で述べられた成果、それを土台とするというその内容について、改めて伺いたいと思います。
〇達増知事 本県が直面する危機を希望に変えていくために、いわて希望創造プランといわて県民計画第1期、第2期のアクションプランにおきましてそれぞれ目標を設定し、その解消に向けて取り組みを進めてまいりました。
こうした取り組みによって、人口については、平成18年に6、000人台であった社会減が、平成24年以降、3年連続2、000人台で推移するなど、減少傾向にあります。
県民所得については、県民所得と国民所得の乖離が縮小傾向にあり、比較可能な平成13年度以降で最も乖離が縮小しております。
雇用環境については、求人不足数が大幅に改善し、平成26年度は有効求人数が有効求職者数を2、500人上回るとともに、地域医療については、平成18年に人口10万人当たり112.3人であった病院勤務医師数が、平成24年には124.6人と増加傾向にあるなど、本県が直面する重要課題について、以上のような具体的な成果が出ているところであります。
復興の取り組みにつきましては、海岸保全施設の約9割が着工して、約2割で工事を完了、三陸鉄道が全線運行を再開した。災害公営住宅の約6割が着工し、約3割が完成。産地魚市場の水揚げ量は震災前の約8割まで回復し、被災した事業所も、一部再開を含め、約8割が再開というような状況にございます。
こうした取り組みの成果を土台としながら、引き続き、県の総力を挙げて復興とふるさと振興を強力に推進してまいりたいと思います。
〇木村幸弘委員 今、御答弁をいただいた中で、特に私は、1人当たり県民所得の関係や社会減の評価について、いろいろとこれまでも実は議論してきて、その視点というか、考え方について指摘してきた部分があったんですけれども、例えば県民所得の4年連続の向上というところについて見ますと、確かに平成22年度から平成25年度までの間に、1人当たり県民所得という総枠の中では向上の成果が見られるわけでありますけれども、一方で、それをさらに分配という部分で視点を変えて見ますと、企業所得の向上は大変引き上がっているわけでありますけれども、雇用者報酬としての引き上げ率が低位にとどまっているという点を見ると、これをして4年連続の県民所得の向上だというところでくくってしまうのではなくて、もう少し具体的な課題として分析する上で、そうした具体の分配にかかわるところについても改めてしっかりと示しながら、そこに対する手だてや課題というものをつくり上げていく、あるいは県民にもその実態を知らしめていくということが必要ではないかと思うんですが、その点についてぜひお伺いしたいと思います。
同様に、社会動態の推移についても、知事は、この6年間の減少傾向の評価については、年度で言うと、資料を見れば、平成20年度から平成25年度までの動きに対しての評価と私は見たわけでありますけれども、平成26年度においては、一転して社会動態で流出がふえているという傾向が出てきている。しかも、現在、平成27年度においては、さらにそれを上回る形で人口動態は逆に流出の方向へ向かっているというデータが出ているわけでありまして、そういう意味でいうと、今回の知事演述で申し述べられた、これらの着実な成果という一定の評価に対する視点というか、考え方については、もう少ししっかりとした吟味が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 人口について、1990年代の中ごろには1年に1、000人ぐらいしか社会減がなかったのが、だんだん1、000人から2、000人、3、000人、4、000人、5、000人と毎年1、000人ぐらいずつふえて、平成18年に6、000人台と。そのトレンドが続けば、1万人に向かってどんどん人口流出がふえていく。これは歯どめをかけなければならないということで、当時、人口流出に歯どめをかける、社会減に歯どめをかけるということはできたのだと思います。
また、人口流出の背景として、県内に職がない、雇用がない。また、職がない、雇用がない背景として、県内経済が非常に弱いという中で、県内経済を少しでも強くしよう、そして雇用を創出していこうということで、それらはそれなりの成果はあったのだと思います。
しかし、委員御指摘のとおり、これからは量的拡大、特に経済関係の数字をふやしていけばいいということではなく、より実質的な豊かさというものが大事であり、その中で格差是正的な、県民所得といっても企業所得もあるわけで、その中で、生身の県民の所得というところに着目していくというのはこれから必要なのだと思います。
この機会に、今までのやってきたことについて、これをそのままやればいいということではなく、まさに今までやってきたことをもとにしながらも、これからの時代に必要なことにシフトしていくということを今していかなければならないと思います。
〇木村幸弘委員 ぜひ、そのような視点を持ちながら、今後の具体的な施策に当たって、特に人口減少問題、雇用対策は大変重要な課題ですので、そうした実態に即したというか、あるいは県民との意識の乖離を埋めていくような手だての中で対応を進めてほしいと思います。
次に、知事選無投票による県民評価の捉え方についてですが、知事選挙の無投票によりまして、本来示されるべき県民によるこれまでの県政運営の取り組みの評価、あるいは今後の施策や方針に対する選択といったものの意思表示の機会が失われたことは大変残念だと思っております。
また、そのことが今後の県政運営に対するいわゆる白紙委任となり得るものではなくて、むしろ、知事は、無投票ゆえに、みずから掲げた県政のこれからの方策、あるいは政治姿勢を含めた対応について、一層県民の理解と協力を得るために、丁寧な対応あるいは説明責任を果たすなどの従来にも増した取り組みが求められると思っております。
そのために、これまで以上に自身の2期8年間の県政運営に謙虚に向き合うべきであり、あるいは県議会における議論経過や、その教訓と課題を踏まえて、新たな任期における県政運営に臨むべきであると思いますが、御所見をお伺いします。
〇達増知事 私は、知事就任以来、県民一人一人が希望を持つことができる、そして希望があふれる岩手の実現を目指して、求人不足の解消や1人当たり県民所得の向上、人口の社会減の縮小など、本県が直面する重要課題について、答えは現場にありという考えのもとに、また、地方自治法を初めとする関係法令、条例、規則に従って、真摯に県政運営に当たってきたところであります。
一方で、いまだ道半ばである復興への取り組みや、昨年拡大に転じた人口の社会減への対応など、これまで以上に力を注ぐべき課題もあります。また、今議会は決算を御審議いただく場でもありますし、県としても、政策評価の結果などを十分に分析して、県民の皆さん、議会、関係団体等からの御意見などもしっかり受けとめて、よりよい県政運営を目指していきたいと思います。
〇木村幸弘委員 次に、新たないわゆる幸福度という行政評価の考え方についてお伺いしたいと思います。
希望郷いわての実現をより確かなものとするということで、幸福度を行政評価の指標に取り入れるとのことであります。これまでの評価のあり方に新たに加えることの意味と、その関係性、そして、そもそも何を具体的な根拠として幸福度指標とするのか、改めて御説明をいただきたいと思います。
〇達増知事 まさに今、経済的、物質的な豊かさということに加えて、岩手における生き方、また、岩手ならではの豊かさといったことに着目した政策の展開が必要であると考えておりまして、そのために、これまでの政策評価に新たな視点として幸福度指標というものを導入して、新しい施策の展開に生かしていきたいと考えているところであります。
具体的な指標については、幸福度の度合いをアンケートにより調査する主観的指標や、幸福度に関連する統計データを用いた客観的指標の設定などが考えられますし、また、そもそもどういうときに幸福と感じるか、また、何があなたにとって─聞かれた相手にとっては自分にとって─幸福かといったことを、県民の皆さんのそうした考えも伺いながら、県民へのアンケート調査の結果や、また、有識者等の意見を踏まえて検討していきたいと思います。
〇木村幸弘委員 経済的、物質的という部分に加えてということなんですけれども、幸福度ということの概念の捉え方が非常に難しいのかなと思っています。
知事は、宮沢賢治の農民芸術概論の一説を引用して知事演述で述べておりますけれども、宮沢賢治は、心象的イメージの中でなかなか難解なイメージを一般に広く示す場合もありますし、一方では、科学的根拠に基づいて対応するという部分もあります。私は、具体的に今の県政が抱えている中で、先ほど来お話のある貧困率の問題、あるいは自殺率が日本一高いという実態、いろいろなそうした問題を含めて、科学的な視点からきっちりと幸福度という考え方、概念を整理する必要があるのだろうと思いますし、なかなか難しいかと思いますけれども、そのようなことについて御意見を申し上げておきたいと思います。
次に、時間もありませんので、知事に答弁をお願いしている分について御質問いたします。
今後の政策遂行において、実は一般質問の中でも小西委員のほうから国体を含めた人員の体制についての御質問があって、最大ピークで1、900名を超える県職員の動員が必要だということも明らかになりました。大会期間中の確保を含め、あるいはその相前後する準備、後始末など、職員にかかる労力の負担は大変厳しいものがあると言わざるを得ないわけであります。
一方で、復興を進めるためには、国体以外にその他の行政課題にも対応していくほか、本来業務との関係を含めて、絶対数が不足している実態を知事はどのように想定され、あるいはその事態に対してどのような対策を講じようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 まず、本格復興の推進が県政の最優先課題でありまして、引き続き多様な方策により人員確保に取り組むなど、万全の体制を構築するよう努めてまいります。
そして、復興のシンボルとなる希望郷いわて国体、いわて大会の成功に向けて実施本部を設置し、優先的に職員を配置するなど、全庁的な推進体制によって取り組んでいるところであります。
今後、こうしたマンパワーの確保策を講ずるとともに、より一層、事業の効率化や重点化に配慮しながら、さまざまな県政課題に柔軟かつ適切に対応できる体制を構築してまいります。
〇木村幸弘委員 議論の中であったように、最大ピーク時に1、900名を超える県職員の動員体制が必要だと。つまり今の知事部局の体制の中では4割を超える職員体制が国体に割かれるということが見通されているわけでありますから、そういう意味では大変な負担と対応が求められると思いますので、ここについては、今の絶対的な不足の問題を含めて、行政運営の中でどのような取り組みを進めていくのか、議論がさらに必要ではないかと思っております。
その一方で、任期付職員等の処遇の対策についてもいろいろと議論がされているわけでありますけれども、任期付職員の処遇問題では、いよいよ5年目を迎えるという中で、任期の定めのない職員と同様に雇用保険の適用とならない、任期の終了とともに直ちに経済的保障が断たれることについて早急な対策が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
〇風早総務部長 これまで復興事業などに従事し、任期満了となる任期付職員を、任期の定めのない職員として、選考の上、採用することは、県行政を担う即戦力となる人材を確保できるメリットがあると考えております。
こうした選考採用については、人材確保の見通しなどを踏まえつつ、現在、選考方法や受考資格などの課題を整理し、検討を行っており、任期満了職員の再就職活動に支障を来さないよう、適切な時期に対応方針を示してまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員長 次に、小野寺好委員。
〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党小野寺好です。
自然災害や事件、事故に関し、平成26年度はどのような対策を講じられたかお尋ねいたします。
初めに、防犯関係について伺います。
連日報道されているとおり、全国各地で毎日のように悲惨な刑事事件が発生しております。犯罪に巻き込まれると被害からの回復は困難であることから、具体的な被害が発生していなくても、発生する危険性が極めて高い場合には、行政窓口、特に警察に頼らざるを得ません。
こうした観点で、以下、防犯等に関し数点伺います。
まず、DV、ストーカー等から身の安全を守るために保護を求めるには、相談を受け付ける行政窓口として警察ではどのような体制になっているのでしょうか。この10年間、時限的な緊急増員を除き、本県の増加した警察官の人数、そのうち命にかかわる犯罪の被害が心配されるDV、ストーカー被害防止等にかかわる職務担当者の増減はいかがでしょうか。
次に、子供の世界ですが、いじめ対策について伺います。
幼児、児童生徒が自殺や他殺という形で死という結果に至ってしまう事例に対しては、本県では、これを防ぐためにどのような対策がなされてきたか伺います。
〇達増知事 いじめ対策についてでありますが、滝沢市の事案に続いて矢巾町での事案が発生したことを受けまして、7月14日に開催した総合教育会議における協議を踏まえ、県といたしましては、いじめによる自殺の連鎖を断ち切り、二度とこのような痛ましい事案を発生させないために、できる限りの努力をしていくこととしております。
具体的には、これまで、矢巾町に対する人的支援などのほか、全県を対象に、全児童生徒一人一人に、自他の命の尊重といじめ防止を訴える、知事、教育委員長連名によるメッセージの発出を行いましたほか、学校いじめ防止基本方針の全校調査、6教育事務所単位で全校長を対象に行った臨時研修などに取り組んできたところであります。
加えて、今定例会において議決いただいた岩手県いじめ問題対策委員会条例など3条例に基づく組織の設置によって、いじめ問題に迅速かつ機動的に対応するための体制の整備を行うこととしたところであります。
今後におきましても、滝沢市、矢巾町の両事案を教訓として、子供たちの命を絶対に守るという信念のもとに、いじめ防止の啓発活動の強化や教職員研修の充実などを通じて、いじめのない学校づくりに向けて粘り強く取り組んでまいります。
〇千葉副知事 まず、保護を求める行政窓口についてでありますけれども、DV、ストーカー等の事案に相談の段階から対応に至るまで適切に対処するために、昨年度から全ての警察署に、署長の一元的指揮のもとに、生活安全課及び刑事課を中心とした対処体制を構築した上で、その窓口を生活安全課に置いたところであります。
さらに、警察署の体制をバックアップし、県警察全体として的確に対応するために、平成25年度末に、警察本部に生活安全部と刑事部の5課1隊からなる人身安全関連事案対処プロジェクトチームを立ち上げ、その司令塔として、生活安全部に人身安全対策室を設置したところであります。
この体制により、警察署で相談を受けた事案は、人身安全対策室に速報され、早い段階から本部と警察署が一体となった取り組みがなされますとともに、必要に応じて本部プロジェクトチームの要員を応援派遣するなどし、迅速な被害者保護対策を警察としては講じているところであります。
次に、DV、ストーカー被害防止等にかかわる職員の増減状況についてでありますが、警察本部のこの10年間におけます警察官の増員状況は、東日本大震災津波に伴います緊急増員を除き、治安回復体制の確立やサイバー空間の安全確保等を図るため、平成17年からこれまで、岩手県職員定数条例の改正により、6回にわたって計64名を増員しております。このうち、DV、ストーカー等の被害防止等にかかわるものは、本年7月の条例改正によります8人でございます。
〇小野寺好委員 次に、自然災害に対する防災、減災対策について伺います。
おととしの7月から9月にかけて発生した県内の豪雨災害、そして、昨年は広島土砂災害が発生いたしました。また、ことしの関東・東北豪雨災害では19河川で堤防が決壊し、67河川が氾濫する被害等々、社会全体としての損失、被災者の苦悩ははかり知れません。
昨年の決算特別委員会では、私が、災害に強く、安心して暮らせる県土に関してお伺いしましたところ、計画的な河川改修、市町村の地域防災計画に基づいた警戒避難体制、こうした備えを整えているとの御答弁をいただいたものの、はい、安心しましたとは言い切れないのが現実です。また、過日の一般質問では県内の河川整備率は48.6%という答弁であり、あと何十年かかることか、安心できる状況にはありません。
そこで、まず、避難誘導と水防について伺います。
自然災害に対する新たな警報についてですが、大雨特別警報について、気象庁は、重大な危険が差し迫る異常事態と説明していますが、本県にこの警報が出た場合、どのような対応になるのか伺います。
次に、水防活動についてですが、河川改修による治水対策と並んで水防団による水防活動は車の両輪と言われるほど重要な対策であります。豪雨の際に、国土交通省から水防警報が発令されると、水防の責任を持つ市町村が水防団にお願いし、水防活動を開始いたします。しかし、水防団員の実態は消防団員であり、団員確保が難しくなっている現状では、避難誘導、土のうの作成、運搬がスムーズになされるか心配されます。団員不足の中、本県の水防団員の活動状況はいかがでしょうか。また、県が行う総合防災訓練の際には水防技術が披露されますが、各地の消防団では、消防演習のほかにあのような水防団としての水防訓練も行っているのでしょうか。
他県の例として、2年前の台風18号で最大雨量を更新した京都市伏見区の桂川では、水防団の土のう積みで堤防決壊を免れたとのすぐれた活動報告もありますが、本県の水防活動はどのような状況にあり、実績はいかがであるか伺います。
〇風早総務部長 大雨特別警報などの気象特別警報が発表された場合の対応についてでありますが、県では、直ちに知事を本部長とする災害対策本部を設置し、全庁的な非常時体制を整えることになります。
具体的には、関係部局の指定職員218名が災害対策に取り組む1号配備から、全職員による3号配備までが定められておりまして、災害の状況により順次体制を強化し、災害対策を行うこととなり、地域を所管する広域振興局においても、これにあわせて同様の体制がとられることになります。
なお、災害対策本部には、非常時組織である災害対策本部支援室を設置し、室長以下77名体制で、自衛隊、警察、消防などの関係機関と連携しながら、情報の収集、分析や連絡調整などを行い、必要に応じて、ヘリコプターの運用調整、自衛隊、緊急消防援助隊等の派遣要請などの初動対応や応急対策を行うこととしております。
〇千葉副知事 水防活動についてでありますが、本県におきましては、一昨年の7月から9月にかけまして3回の記録的な豪雨に見舞われたところでございますけれども、この年の水防団員の災害出動につきましては、29市町村で延べ115回、出動人員が延べ1万9、000人となっているところであります。
その内容といたしましては、河川堤防の巡視、越水防止のための土のうの設置、氾濫区域での救難活動、排水ポンプの操作など多岐にわたる活動が行われたところであります。また、常時におきましても、各市町村では、土のう積みなどの水防工法の習得や、士気の高揚を図るための水防訓練を継続的に実施しているところでございます。
なお、今年5月には、国、県、15市町合同によります大規模な水防演習が盛岡市で開催されたところでございまして、県内の水防団員約670人が参加し、日ごろの訓練の成果を披露したところであります。
県におきましては、今後も水防活動が円滑に行われますよう、国や市町村とも連携を図りながら、水防資材の備蓄や、雨量や水位などの河川情報の迅速な提供に努め、水害の未然防止及び軽減に取り組んでまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、被災者支援について伺います。
水害等による被災者にとって、行政に対する補償請求はかなり困難であり、多くの被災者は、自身の損害保険、自己資金及び義援金、見舞金等によって生活再建を図ることになるかと思われます。阪神・淡路大震災後に成立した被災者生活再建支援法による支援金は大変有効ですが、周知のとおり、十分ではありません。
以下、東日本大震災の被災者の関係についての支援はどのように進められているか伺います。
国の被災者生活再建支援制度の申請状況ですが、平成27年8月31日現在、基礎支援金を受けた2万3、229件について、加算支援金を受けたのは43.6%に当たる1万116件と伺っております。加算支援金の期限は本来は37カ月間、平成26年4月まででしたが、実態に合わないということで平成30年まで延長されました。しかし、新たな土地の造成が進んでいるものの、時間の経過とともに蓄えも少なくなり再建が難しくなりますが、今後の申請見込みはいかがでしょうか。
あわせて、県の被災者住宅再建支援制度の利用実績と今後の見通しについてもお伺いいたします。
〇中村復興局長 住宅を建設する場合等に支給される加算支援金の支給実績につきましては、基礎支援金が支給された方の4割強にとどまっておりますことから、今後、防災集団移転促進事業などの面整備の進捗に伴いまして、特に沿岸部におきまして増加していくものと考えてございます。
また、県の被災者住宅再建支援事業の利用実績につきましては、本年9月末時点で5、290件支給をしてございます。
今後の見通しにつきましては、計画では9、518件の支給を見込んでおり、これに対する進捗率は55%となっていることから、面整備の進捗に伴い、今後増加するものと考えてございます。
〇小野寺好委員 最後に、防災集団移転促進事業にかかわる介護保険料等に関する問題について伺います。
防集による土地収用等に伴い、被災者にとっては、用地補償による土地譲渡で一時所得が高額となり、65歳以上の翌年度の介護保険料が大幅に増額する場合があります。この場合、市町村の判断で介護保険料の減免を行うことが可能とされていますが、介護施設に入所している方の食費、居住費に関しては負担増が避けられないとされており、生活費や住宅再建等の生活再建に支障を来すおそれがあります。復興事業全体からすると小さな問題かもしれませんが、当事者にとっては深刻な問題であります。
こうしたことから、復興交付金で造成した自由度のある復興基金で手当てしてもよいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
防集による土地譲渡で一時所得が国保税に影響する懸念もありますので、あわせて、国保税に所得割、資産割をつけている市町村はあるのかどうか、お示しいただきたいと思います。
〇中村復興局長 防災集団移転促進事業による土地売却収入に伴う介護施設入所者の負担増等につきましてでございますが、入所者の食費及び居住費につきましては、補足給付として低所得者に対する負担軽減制度がございまして、所得に応じて給付対象者が定められる仕組みとなってございます。
市町村は、介護保険法の規定によりまして、介護保険料に関しては、特別な理由がある者に対しみずからの判断で減免を行うことができますが、補足給付に関しましてはこうした規定がなく、現行制度では対応できないため、県では国に対し、被災地における特例的な取り扱いといたしまして、所得には土地譲渡代金等を含まない取り扱いとするよう要望しておりますけれども、国からは、制度的に難しいという反応が示されてございます。
被災地における介護サービス利用者の負担免除措置につきましては介護保険制度の枠組みの中で行われ、国、県、市町村における公費負担等により広く財源措置されておりますが、補足給付につきましてはこうした仕組みの対象外であるため、仮に独自減免をする場合、県あるいは市町村が経費全額を負担する必要があることから、市町村の考えも十分に確認した上で、慎重に対応していく必要があると考えております。
なお、本件に関しては、塩崎厚生労働大臣が国会の答弁におきまして、東日本大震災のもとでのことでもあるので、何ができるか考えてみたいということを述べてございます。県といたしましては、介護保険制度の枠内で対応できるよう、国の動向を注視しつつ、引き続き要望してまいりたいと考えております。
次に、国民健康保険税における所得割、資産割についてでございますが、国保税は、医療給付費分である基礎課税額、後期高齢者支援金等課税額及び介護納付金課税額の合算額とされ、それぞれ所得割、資産割、被保険者均等割及び世帯別平等割から構成されてございます。そのうち所得割は、全ての市町村が導入しており、資産割については、基礎分が27市町村、後期高齢者支援金等分及び介護納付金分が26市町村で導入されているところでございます。
〇小野寺好委員 終わります。ありがとうございました。
〇郷右近浩委員長 ただいま総括質疑の最中でありますが、暫時休憩いたします。
午後4時23分 休 憩
午後4時24分 再開
〇郷右近浩委員長 再開いたします。
ただいま世話人の皆様方にお集まりいただきまして世話人会を開催させていただきました。
内容につきましては、本日、今まだ早い時間ではありますが、これからお2人の総括質疑が残されていること、そして、また、その中で今ちょっとマイクの調子が悪いということで、本日、見ておわかりのとおり、質問席のところにワイヤレスマイクを設置しながら対応しているといった現状、そして、それの修理に入っていただくということ、また、当初の予定から考えると、あしたの日程にまだ若干余裕がありそうだと、そうしたことを考え合わせまして、世話人会におきまして、これから残りの総括質疑のお二方の分は、あした行うということで決定させていただきました。それによりまして、本日はまだ5時までには若干の時間がありますけれども、区切りの関係から、続く総括質疑はあした行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時26分 散 会

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