平成27年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇26番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
通告に従い順次質問をいたします。
初めに、安倍政権の政策と県政について伺います。
安倍政権は、集団的自衛権行使に踏み込むための10法一括改正案と外国軍の戦闘を支援するための1法案から成る戦争法案を、9月17日に参議院平和安全法制特別委員会で強行採決し、そして、19日未明、参議院本会議で可決しました。戦後70年の日本の市民社会の平和への営みをほごにし、侵略戦争と植民地支配の反省からつくり出された日本国憲法の平和主義を空洞化する安倍政権を、絶対に許さないという声が広がっています。
この間、平和への思いは全国に大きく広がっていきました。世論調査では常に反対が多数であり、説明不足、今国会での成立は必要ないとする声が圧倒的となっています。国会周辺は、反対する市民で埋め尽くされ、学生が、母親たちが、高校生さえ反対の声を上げてきました。県内各地でも同様でした。
しかし、安倍政権は、これらの声に一切耳を傾けませんでした。民意を無視し法案成立を強行するやり方は、民主主義と言えるものではありません。安倍首相の、成立した暁には間違いなく理解が広がっていくとの発言は、民主主義を否定し、主権者を軽視する傲慢な姿勢を象徴したもので、決して許されません。
この戦争法によって日本の安全保障の抑止力は一段と高まるとする安倍首相の主張は、詭弁以外の何ものでもありません。アメリカと一体化する自衛隊の軍事的活動は、多くの敵対国をつくり、日本人への憎悪さえ生み出すこととなると言われています。日本国内でのテロ行為を誘発する可能性も高まることが懸念されます。安倍首相の言う積極的平和主義は、私たちの命を積極的に脅威へと誘うものでしかありません。
一本木の岩手駐屯地には1、500人の自衛官が勤務しています。80%が岩手県出身と言われています。いつ、この自衛官が米軍とともに海外派遣されるかわかりません。誰も戦地に送ることなく、人を殺すことなく、殺されることのない日本を守り抜くべきであると考えます。
そこで、知事に伺います。戦争法の施行による住民や自治体等への影響について、どのように認識されているのでしょうか。また、9月臨時会で廃止を求める意見書を可決し国に送付していることから、戦争法に加担すべきではないと考えますが、知事の御所見を伺います。
9月12日、東北防衛局から連絡を受けた県は、米軍輸送機MV22、オスプレイ2機が、山口県岩国市の岩国飛行場から離陸した旨、また、青森県三沢市の三沢飛行場に着陸した旨を、それぞれの時点において発表しましたが、その際、本県北部上空の飛行が確認されたと仄聞しております。
オスプレイについては、本年5月17日、アメリカ合衆国ハワイ州の空軍基地において、沖縄県の普天間基地に配備されているものと同型機が、訓練中に着陸に失敗し、搭乗員2人が死亡する痛ましい事故が発生しましたが、米軍は、この事故原因について、いまだに明らかにしていません。これまで30人以上が重大事故で亡くなっています。事故原因も究明されないままオスプレイが国内で飛行を続けることは、飛行ルート下の住民の生命と財産を危険にさらすものであり、断固として認められません。
知事は、9月16日、問題の重要性に鑑み、防衛省東北防衛局長に対し抗議したとのことですが、オスプレイの全国展開や岩手を訓練地として危険な飛行訓練を行うことは、国民、そして岩手県民の生命と安全を危険にさらすものです。
オスプレイの国内配備及び飛行訓練を実施しないこと、オスプレイの飛行プランを関係自治体に情報開示することについて、日本国政府及びアメリカ合衆国政府に対し早急に意見書を出すべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
9月8日の参議院厚生労働委員会で、安倍政権の進める労働法制改悪の大きな柱である労働者派遣法改正案が採決されました。派遣社員の7割近くも改正案に反対であり、正社員希望が6割を超すという調査もあります。派遣法改正案そのものの審議も不十分であり、多くの派遣労働者の持っている不安や懸念に答えないままの採決は、断じて容認できるものではありません。
改正法は、専門26業務という区分や業務単位での期間制限を廃止し、派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れについて3年を上限とするとともに、派遣先の同一の組織単位における同一の派遣労働者の受け入れも3年を上限とするものであります。業務につく人をかえれば3年以上の派遣社員の使用が許されるようになり、多くの派遣労働者が、3年ごとに仕事を失うことも危惧されます。
一方、派遣労働者が求めていた均等待遇原則の導入そのものは見送りとなり、改善策と言われるものも、派遣会社、派遣先の努力や配慮ばかりで、効果がほとんど見込めません。同じ事業所で派遣労働者を3年超えて受け入れるためには、過半数組合等から意見聴取することになっているものの、意見を聞けば足りるだけであり、歯どめにはほど遠いものです。
使用者や派遣業者の立場に立った改正法は、決して派遣労働者の保護やキャリアアップ、雇用の安定につながるものではありません。むしろ、不安定かつ低賃金である派遣労働者をふやすものであり、労働者派遣制度をほぼ全面自由化し、派遣労働者の労働条件の切り下げや地位のさらなる不安定化をもたらすものであります。生涯派遣を固定化する今回の派遣法の改正は、容認できるものではありません。派遣労働者の雇用安定と処遇改善を実現するとともに、正社員への転換を進めるための労働者派遣法の見直しこそ求められています。
そこで、知事に伺いますが、安倍政権の進める労働法制改悪の大きな柱である労働者派遣法の改正についての御所見を伺います。また、本県の雇用環境に与える影響をお示しください。
次に、沿岸の復興について伺います。
多くの命を奪い、ふるさとが失われた東日本大震災津波から4年7カ月が経過しました。道路の復旧などによって、一部では生活の再建に向けた環境が整いつつありますが、今なお応急仮設住宅等には2万4、000人を超える方々が入居しております。県職員を初め関係の方々は身を粉にして復旧、復興に奮闘しておりますが、マンパワーの不足、復興格差の広がりや避難ストレスの増加、財源問題など、今も多くの課題を抱えています。
中でも、マンパワーなくして復旧、復興は進みません。4月2日時点で県職員数4、440人、欠員数は145人と前年の倍増となっております。定数が97人ふえていますが、実際の職員数は23人しかふえていません。人員不足は深刻な状況で、病休者を受け入れる余裕がないため、再度病休に入る職員が目立ちます。
対応として、3月に特別募集を行い、7月、8月に12人を新たに採用していますが、一方で、年度途中の退職者が出たり、国体対応への人事異動があったりなど、人員不足は深刻化しています。復旧、復興業務優先であることから、内陸の職場から人員不足の声が多く上がっています。
国体への対応に向け、冬季大会のスケート、アイスホッケー競技会が2016年1月27日から、スキー競技会が2月20日から始まり、それぞれ県職員の派遣要請が行われています。年度末に向けた業務とも重なる時期ともなり、人員不足の中、厳しい対応を求められることが予測されます。
2016年10月1日から始まる岩手国体本大会と全国障害者スポーツ大会については、さらに多くの要請が見込まれており、これらに対応する人員についても、各職場への派遣要請がなされることになります。人員不足解消のため新たに職員を採用するにしても、県内民間企業でも人手不足との報道もあり、人員確保が困難となる状況が予測されます。
国体冬季大会、国体本大会、全国障害者スポーツ大会、行幸啓等の対応人数とピーク時の人数、職員全体に占める割合を伺います。
現在でもマンパワー不足の状況で、国体開催によって多数の職員対応が見込まれるところですが、復旧、復興を初めとする人員確保のための方策もあわせて伺います。
任期付職員の雇用について、本人希望を尊重して5年まで延長することとし、ことしで4年目となっています。人員確保のため、5年終了後の見合いの人数分の定数補充をどう考えているのか、また、既に県の職場に精通した職員として選考採用等による任期の定めのない職員等への採用など、今後の対応をどのようにしていくのか伺います。任期満了前に次の就職先を探す職員が多いため、人材確保のためにも早急に方針を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
自民党政権となって以降、地方交付税減額など国による地方自治への不当な介入により、職員の勤務労働条件が切り下げられています。制度ありきではなく、県独自の姿勢を明らかにし、国が押しつけようとしている諸制度に対し反対姿勢を明確にすべきと考えます。
給与制度の総合的見直しを初め、公務員給与引き下げが先行し、諸手当改善の議論は消極的であります。復興業務のみでなく、国体もあり、県全体で厳しい状況が続いていることから、各地で奮闘する職員の実態に応える勤務環境改善への努力をするよう人事委員会として必要な指導を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、豊かな教育の実現について伺います。
初めに、高等学校等就学支援金制度について伺います。
2010年にスタートした高校授業料無償制度は、家庭の経済状況にかかわらず、国が全ての希望する子供に後期中等教育を保障するという理念の具現化であり、高等教育が受益者負担から公的負担に転換したことを意味します。政府は2012年9月、国際人権A規約の中等・高等教育の漸進的無償化条項に対する留保を撤回し、高校はもちろん高等教育に関しても徐々に無償化していくことを国際社会に宣言しました。
ところが、一昨年の11月27日、国会での議論も十分尽くさないまま、改正案が参議院本会議で可決されました。この改正により、高校授業料無償制度に所得制限が導入されました。高校教育を再び家庭の責任に帰したことになります。国際人権A規約に対する重大な違反であります。
就学支援金の受給資格の認定は、高等学校等就学支援金の支給に関する法律に基づき、保護者等の市町村民所得割額の合算で判断しており、この額が30万4、200円以上の世帯は対象となりません。ことし5月1日現在、就学支援金制度対象生徒は1万8、552人、うち認定者は1万6、116人、86.9%となっています。学校現場からは、保護者へ周知しているものの、制度が理解されていない。確定申告等の手続をしない場合、支援金が支給されないため、生活が苦しい家庭を救えない。家計が急変した場合の措置が複雑である。緊急な収入減に対する基準を設定できないかといった報告があります。
そこで、教育長に伺いますが、1年経過した高等学校等就学支援金制度の現状と課題、今後の取り組みをお示しください。あわせて、高校生等奨学給付金の現状と課題についても伺います。
東日本大震災を機に始まった本県の小中学校などに毎年約200人の教員を配置している復興加配の人員減を懸念する声が教育現場から上がっています。震災を経験し、被災地で暮らす児童生徒たちへのきめ細かい対応のため、2011年度から国が復興特別会計で措置していますが、本年度末の集中復興期間終了などで、今後の復興加配は不透明と報道されています。
〔副議長退席、議長着席〕
復興加配は、内陸を含め、毎年度200人程度の教諭と講師を小中学校と特別支援学校に配置しています。2013年度は復興特別会計を含む義務教育費国庫負担金約4億4、500万円を充てました。国は、2011年度から2015年度までの集中復興期間後も全額負担とする基幹的な事業に心のケアなどを挙げていますが、加配に関しては明確にしていません。文部科学省担当課は、来年度以降も復興特別会計に入れるかなど、具体的な部分は復興庁と協議中としています。
被災地の児童の中には、今でも地震が起きると落ちつきがなくなる子もいます。震災直後よりも長期的な支援が重要で、教育は根気強さが求められます。子供たちのわずかな異変や問題行動の徴候を捉えるためにも、マンパワーが必要と考えます。
被災した子供たちの現在までの状況、復興加配の実情と果たしてきた役割、今後の見通しについて伺います。
次に、子供の貧困対策等について伺います。
子供の貧困率は、その国の平均的な年収の半分の額を下回る世帯で暮らす17歳以下の子の割合です。子供の教育機会や文化的体験の格差に著しく影響し、子供の成長に大きなマイナスの影響を与えています。
日本の子供の貧困率は、1990年代半ばごろから上昇傾向にあり、この四半世紀で約1.6倍に拡大し、2012年には過去最高の16.3%となりました。子供の6人に1人、約320万人が相対的貧困状態にあります。OECDの子供の貧困率の平均は13.3%ですから、日本の子供の貧困は、国際的な比較でも深刻です。しかも、日本では、この貧困の連鎖が拡大する傾向にあることが問題となっています。
ひとり親家庭の窮状はさらに際立ちます。大人が1人の世帯の子供の貧困率は、2012年には54.6%となり、先進国で最悪の高水準です。特に、ひとり親の約9割を占める母子世帯は増加傾向にあり、2013年には82万世帯を超えています。
日本の母子世帯の特徴は、ワーキングプアが多いことです。他の先進諸国に比べても就労率が高く約8割が就業していますが、働いて得られる収入の年平均は約180万円にとどまっています。岩手県の母子世帯の月の収入は5万円未満から15万円未満が66.0%です。背景には、低賃金の非正規労働者を活用し利益を上げようとする大企業のための労働政策があるためです。非正規労働者の待遇改善、男女の雇用賃金格差、ワーク・ライフ・バランスの改善が問われています。
また、日本では、税や社会保障による所得の再分配が機能していないことも問題です。他の先進諸国が子供の貧困を低く抑えてきたのは、親たちの稼働所得の格差があっても、現金給付が日本に比べて大きいためです。しかし、日本では、新年度の政府予算案も、学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策の推進が目立つ程度で、子供の貧困対策に直結する児童扶養手当の拡充や困窮する保護者への支援の拡充はほとんどありません。
ことしの4月時点で、子供の貧困を解消するために昨年施行の子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づいて独自の行動計画を策定したのは21都府県、うち達成目標を盛り込んだのは14都県、長野県では生活保護世帯の児童の高校等進学率を2017年度に95%に、石川県では母子家庭の母の常用雇用率を2017年度に60%になど具体的な数値や、鳥取県ではスクールソーシャルワーカー配置などの対策を2019年度に全市町村で実施などでありますが、目標項目は限られています。
いわての子どもの貧困対策推進計画(仮称)素案には、子供の貧困を解消するための六つの達成目標が掲げられていますが、どのようにして子供の貧困対策を推進していくのか具体的にお示しください。
多くの自治体で目標設定がなされない背景は、財源確保の問題もありますが、貧困に関する地域別データが不足していることがあると言われています。実態の把握のあり方や地域の経済状況や少子化の実情等を踏まえ、地域の子供の貧困の発現状況に的確に対応していくために、担当部署を設置し、地域の当事者の実態と声を反映させた子供の貧困対策の計画を推進する必要がありますが、いかがでしょうか。
どこで、誰が困っているのかを見える化し、調査、研究によるデータに基づいた政策提言、活動の持続、発展のための支援団体への中間支援、自立に向けた物心両面での子供たちへの直接支援を行い、自治体の子供の貧困対策に当事者の意見が反映され、子どもの権利条約の理念が盛り込まれた実効性のある計画が策定される必要があると考えますが、いかがでしょうか。
経済的に苦しい家庭の小中学生に学用品費や給食費、修学旅行費などを支給する就学援助制度を利用する岩手県の児童生徒は、被災就学援助を含めると1万3、353人、13.4%で、地域別の状況は、震災の影響から沿岸12市町村で5、400人、29.4%に上ります。
就学援助について、市町村でどのような違いがあるのか伺います。あわせて、2010年度から就学援助の追加費目になったクラブ活動や生徒会費、PTA会費についての各市町村の現状を伺います。
貧困の連鎖防止の観点での取り組みで、盛岡市では2012年度から中高生を対象に、2013年度には滝沢市、矢巾町などで生活保護受給世帯や準要保護世帯等の中学生を対象に、2014年度には岩手町など5町で学習の場の提供を行っておりますが、現状と今後の取り組みの拡大について伺います。
子供が問題にぶつかったときに、粘り強くトライする力、頑張ればきっと報われるという自信、わからなかったことがわかったときの喜び、このような力は、就学前、幼児期の家庭教育から育まれると言われております。特に、乳幼児期の貧困が子供に最も長期的な悪影響を与えることがわかっています。
乳幼児のいる低所得世帯への支援については、県でも関係部局が取り組んでおりますが、その現状と今後の取り組みについて伺います。
新聞やテレビでは、毎日のように児童虐待の事件が報じられています。岩手県の昨年度の児童虐待処理件数は390件で7.4%増加しています。身体的虐待36.4%、性的虐待3.3%、ネグレクト25.9%、心理的虐待34.4%です。高水準の要因としては、都市化、核家族化等による家庭養育機能の脆弱化や子育ての孤立化、妊娠期からの育児不安の増大などが挙げられます。
このような要因を解決するための児童虐待防止の取り組みと課題、あわせて相談対応体制について伺います。
最後に、男女が互いに尊重し合い、共に参加する社会について伺います。
昨年10月28日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は142カ国中104位と先進国では最低の順位でした。識字率や高校までの教育水準では世界1位ですが、国会議員や企業の管理職に女性の割合が低いことなどが全体の評価を下げています。
政府は2003年に、社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位に女性が占める割合が少なくとも30%程度になるよう期待するという目標設定をし、女性の力を我が国最大の潜在力として成長戦略の中核に位置づけました。これを受け、303万人と言われる就業を希望する女性が、職業生活において、その個性と能力を十分に発揮して活躍し、豊かで活力ある社会を実現することを目標とした女性活躍推進法が8月に成立しました。
しかし、賃金格差、非正規雇用、仕事と子育てとの両立が困難という高いハードルの対策は見当たりません。男女間の賃金格差等を是正して、女性の権利に関する公正な環境を整えることで、初めて女性が活躍できるのではないでしょうか。
非正規労働者の約7割が女性である中、労働者派遣法の改悪により派遣期間制限がなくなれば、ただでさえ不安定な女性の雇用が、さらに揺らぐことになります。
現在でも、派遣で働く女性の多くは、産休や育休をとることが困難な状況に置かれています。また、妊娠、出産を機に離職せざるを得ない状況やマタニティーハラスメント、長時間労働の是正なくして真の女性の活躍は進みません。一握りの女性の活躍ではなく、シングルマザーや貧困に苦しむ女性を含む全ての女性の底上げによる活躍推進が求められています。
そこで、知事に伺いますが、政府の成長戦略に位置づけられた女性活躍推進法への見解と、岩手県における女性の活躍推進の取り組みの成果と課題についてお示しください。
2014年度の岩手県のDV相談件数は、配偶者暴力相談支援センター1、504件、警察署における2014年相談件数は414件とともに高く推移しています。一時保護の状況は45人と前年と比べ6人ふえ過去最多、保護命令発令件数も77件と18件もふえ過去最多です。
DVは、配偶者間だけでなく、若い人たちの間でも起こっていることが明らかになってきています。若年層への教育啓発が重要です。取り組みと課題について伺います。
改正DV防止法の施行に合わせて、緊急避難のための宿泊場所確保・提供事業に、交際相手からの身体的暴力被害者やストーカー行為等の被害者を保護対象に加えたとのことでしたが、この事業に係る現状と課題について伺います。
昨年度から、復興に女性の視点を反映させる復興委員会女性参画推進専門委員会が活動を始め、政策への意見反映を行っています。7月10日に行われた第3回女性参画推進専門委員会の審議概要について伺います。今後、政策への意見反映を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
知事が演述で述べられているように、岩手県は男女の不平等感がいまだに根強く残っています。生きにくさを生きやすさに変えるには、性別にかかわりなく居心地のよい社会をつくり、誰もが安全で安心な生活を営む権利を確保する人権保障の問題であると考えますが、知事の男女共同参画社会実現への決意を伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、安全保障関連法についてでありますが、安保関連法の関係で、自治体として新たに事務の執行が求められているものは、今のところないと理解しております。
一方、海外における邦人の安全の問題など、日本国民全体にかかわる問題の中で、岩手県民にも関係してくる問題はあると考えられ、安保関連法については、さきの通常国会では議論が足りなかったという指摘も多いことから、法の廃止の是非も含め、一層の議論が必要であると考えます。
次に、オスプレイの飛行に対する所感についてでありますが、オスプレイの飛行訓練等については、安全性に対する地域住民の不安を払拭することが重要であり、国に対し従前から対応を求めてきたところでありますが、住民への十分な説明がない中、飛行ルートも明らかにされないまま、9月12日に本県上空を飛行したことはまことに遺憾であります。
このため、9月16日に東北防衛局長との面談があった際、私から遺憾の意を伝えるとともに、オスプレイの安全性についての県民等に対する十分な説明と、飛行ルートなど具体的な飛行内容の明示について適切な対応をとるよう直接口頭で要請し、その後、改めて文書により申し入れを行ったところであります。
県といたしましては、今後も地域住民の不安が払拭されないままオスプレイの訓練等が実施されないよう、引き続き全国知事会を通じた要請を行うなど、県民の安全を最優先に対応してまいります。
次に、労働者派遣法の改正についてでありますが、今回の法改正では、派遣労働者の一層の雇用の安定、保護等を図るため、派遣労働者の正社員化を含むキャリアアップ、雇用継続等を推進することとされています。
改正により、派遣事業者に対する指導監督体制の強化や制度の簡素化、派遣労働者へのキャリアアップへの配慮等に関する規定は盛り込まれましたが、国会での審議を初め労働界などからも、派遣労働者の処遇が低いまま常態化しないか、専門業務等のいわゆる26業務従事者の雇いどめ等が行われるのではないか等の強い懸念が示されているところであります。
本県の派遣労働者の状況は、国の調査によりますと、平成24年は約7、300人となっていますが、岩手労働局からは、派遣労働に関する相談、問い合わせの状況に目立った動きはないと聞いているところであります。
県といたしましては、今後も岩手労働局と連携しながら、派遣労働者の処遇の改善等が図られていくよう注視してまいりますし、また、現在策定中のふるさと振興総合戦略においても、一層強化すべき取り組みの一つとして雇用の質の向上を位置づけておりまして、引き続き正規雇用の拡大等に取り組んでまいります。
次に、女性の活躍推進の取り組みについてでありますが、本年9月に施行された女性の職業生活における活躍の推進に関する法律は、国、地方公共団体や従業員が300人を超える民間事業主に、女性の活躍に向けた取り組みに係る数値目標を盛り込んだ行動計画の策定と公表を義務づけることなどを定めており、これにより、女性の職業生活における活躍が推進され、豊かで活力ある社会が実現することが期待されています。
本県では、この法律の制定に先立ち、昨年5月に、官民連携組織であるいわて女性の活躍促進連携会議を設置して、新たに産業団体や経済団体と連携しながら、女性の活躍に関する講演会、ロールモデル提供事業などを実施することによって、女性の活躍を支援する機運の醸成や関係団体との連携の強化が図られたと考えております。
女性の活躍推進のためには、企業トップや管理職を含め地域社会全体が女性の活躍支援に関心を高め、性別による役割分担意識の解消や長時間労働の抑制といった働き方の見直しなどを図ることが課題となっているところであります。
次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その能力を十分に発揮できることが重要であります。また、岩手にとって喫緊の課題である東日本大震災津波からの復旧、復興とふるさと振興を進めるためには、女性の活躍支援を初めとする男女共同参画の施策の推進が重要と考えています。
県といたしましては、現在、改訂を進めているいわて男女共同参画プランに、東日本大震災津波からの復興への参画、女性の活躍の促進、ワーク・ライフ・バランスの推進、男女均等の雇用環境の整備、家庭や地域における男女共同参画の推進などの施策を盛り込み、県民の皆さん、市町村、事業者、関係団体等と連携を図りながら施策を推進してまいります。
今後とも、女性、男性、誰もが生きやすい社会となるよう、また、地域社会が活性化するとともに、人を大切にした社会の形成、生活の質の豊かさにつながるよう、男女共同参画の一層の推進を図ってまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 女性参画推進専門委員会についてでありますが、7月の委員会におきましては、復興に係る男女共同参画の取り組みや人口ビジョン、ふるさと振興総合戦略の素案等について御意見を伺ったところであります。
その中では、例えば高台の住宅や災害公営住宅での新しい生活が始まる中で、みんなが寄り添い、助け合う地域をつくっていくべきといった御意見や、交通網が整備されて仙台や北海道が近くなり、子供や女性が住みよいまちになれば人口流入も考えられるといった御意見をいただいております。
女性参画推進専門委員会では、こうした会議のほか、沿岸地域におきまして女性が活躍している状況を把握するため現地調査も行うこととしておりまして、委員の皆さんからいただきました御意見につきましては、関係部局と連携を図りながら、可能なものから、被災者支援を初めとした関連施策に反映してまいります。
〔国体・障がい者スポーツ大会局長岩間隆君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(岩間隆君) 国体、全国障害者スポーツ大会開催に係る対応人数についてでありますが、まず、国体冬季大会実施本部の対応人数は、スケート・アイスホッケー競技会で273人、スキー競技会で255人、そのピークは、スケート・アイスホッケー競技会開始式当日の273人であり、これは、知事部局及び教育委員会事務局の現員数の約6%に当たるものであります。
一方、国体本大会及び全国障害者スポーツ大会の実施本部の対応人数は、それぞれ1、200人余、1、600人余と見込んでいるところであります。
また、行幸啓等につきましては、現時点では御来県される皇室の方々、日程等が未定であることから、対応人数は固まっておりませんが、仮に先催県の例を参考に試算いたしますと、400人程度と見込まれるところであります。
両大会を通じた対応人数のピークは、行幸啓等を含め、全国障害者スポーツ大会開会式当日の1、900人余であり、全庁的な体制で対応する中で、その多くを占める知事部局では約4割の動員となる見込みであります。両大会の開催に向け、実施本部の設置等により、万全の体制で臨んでまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、復旧、復興に係る人員確保についてでありますが、本格復興を着実に進めていくため、これまで任期付職員や再任用職員の採用を行うとともに、全国の都道府県などからの応援職員の受け入れなどによりマンパワーの確保に取り組んでまいりました。今年度においても任期付職員採用試験を5年連続で実施するとともに、幹部職員が応援職員を派遣する都道府県などを訪問し、本県の復興状況等を説明の上、継続的な応援職員の派遣を要請するなど、有為で即戦力となる人材の確保にも取り組んでおります。
また、今年度の正規職員採用試験においては、昨年度よりもさらに採用予定数をふやし採用試験を実施したところであり、引き続き多様な方策による人員確保に取り組み、さまざまな県政課題に対応できる人員体制の確保に努めてまいります。
次に、任期付職員の任期満了に係る今後の対応についてでありますが、復旧、復興人材の確保については、復興事業の進捗状況や応援職員も含めた人材確保の見通しなどを踏まえて検討していく必要があり、今後、こうした事項を総合的に勘案すべきと考えております。
任期満了となる任期付職員を、任期の定めのない職員として選考の上、採用することは、県行政を担う即戦力となる人材を確保できるメリットがあると考えております。こうした選考、採用については、人材確保の見通しなどを踏まえつつ、現在、選考方法や受考資格などの課題を整理し、検討を行っているところであります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、子供の貧困を解消するための具体的取り組みについてでありますが、現在策定を進めているいわての子どもの貧困対策推進計画においては、重点施策として、教育の支援、生活の支援、保護者への就労支援、経済的支援、被災児童等への支援を掲げることとしております。また、具体的な施策として、スクールソーシャルワーカーの配置や生活困窮世帯の子供を対象とした学習支援、広域振興局に配置された就業支援員による高校生への就職支援、ひとり親家庭等就業・自立支援センターによるひとり親家庭への就職支援、児童扶養手当の給付や医療費の助成等による経済的支援、震災により親を亡くした子供たちへの給付金、奨学金による支援などを盛り込むこととしております。
さらに、計画には、その実効性を確保するため、指標を掲げてその目標達成に取り組むこととしており、関係機関や団体との連携のもと、子供の貧困対策に総合的、計画的に取り組んでまいります。
次に、担当部署の設置による計画の推進についてでありますが、子供の貧困対策は、これまでも、保健福祉部門はもとより、教育や労働など各分野において取り組んできたところであり、関係部局が横断的に取り組むことが重要であると認識しております。
このため、本計画の策定に当たり、今年度、庁内に関係部署で構成する連絡会議を設置し、各分野における子供の貧困にかかわるデータ収集と、施策や指標などの検討を行ってきたところです。
さらに、外部有識者や子供の学習支援に携わった大学生等で構成する検討委員会において、現場の実態を踏まえた意見を頂戴してきたほか、今後、パブリック・コメントの実施や、市町村、NPO団体等からの意見聴取により地域の声を反映させ、年度内に計画を策定することとしています。今後の計画の推進に当たっては、引き続き部局横断的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、実効性のある計画の策定についてでありますが、ただいま答弁申し上げましたとおり、本計画には、各分野における子供の貧困にかかわるデータ収集により、本県の現状を把握した上で、パブリック・コメントによる県民の声や、市町村、NPO団体等からの意見を踏まえて施策を盛り込むこととしております。また、計画は、本年4月から施行しているいわての子どもを健やかに育む条例に規定する子供の権利尊重などの理念も踏まえ策定しようとしていますが、議員から御提案のあった内容も含め、今後、検討委員会で幅広く議論いただきながら、実効性のある計画策定に努めてまいります。
次に、生活保護受給世帯等に対する学習の場の提供についてでありますが、平成26年度まで生活保護の事業として実施していた子どもの学習支援事業について、本年度は、新たな生活困窮者自立支援制度に基づく事業として宮古市が新たに実施するなど、8市町で取り組んでおります。
事業の実施に当たっては、NPO法人など子供の支援にかかわる団体に業務委託し、受託団体が支援スタッフを配置して、地域の公民館等を会場に、定期的に学習の場を提供しており、現在、中学3年生を中心として90人が参加しているところです。
県といたしましては、今後とも、先行して実施している取り組み事例の紹介などを通じて、各市において取り組みが進むよう働きかけていくとともに、県が所管する町村部については、支援スタッフの確保の見通しや地元町村の意向等を踏まえながら、参加者や対象地域の拡大に向けて検討していきます。
次に、乳幼児のいる低所得世帯への支援の状況等についてでありますが、県では、子ども医療費助成事業により、市町村が乳幼児の医療費を助成した場合に、その経費の一部を補助しており、市町村民税が非課税である場合には、医療費の負担は生じないようになっています。
また、乳幼児のいる生活保護世帯については、生活保護の基準額として、乳幼児1人につき1万円または1万5、000円の加算を行っております。なお、市町村では、保育所の利用者負担について、国が定める軽減措置に上乗せして世帯の状況に応じた独自の軽減措置を講じているところもございます。
こうした乳幼児のいる低所得世帯に対する支援については、今般策定するいわての子どもの貧困対策推進計画に盛り込み、計画的に取り組みを進めてまいります。
次に、児童虐待防止の取り組みについてでありますが、子育て中の親の孤立化や不安感に対応するため、県では、親子の交流、子育て支援の情報発信や子育て相談を行う子育てサポートセンターを運営しているほか、市町村が妊娠期の育児不安に対応するため実施する乳児家庭の全戸訪問事業や、養育支援が必要な保護者への相談事業について支援しているところです。
本県の児童相談所における児童虐待対応件数は昨年度増加に転じたところであり、引き続き、関係機関と緊密に連携を図りながら、児童虐待防止アクションプランに基づき、発生予防や早期発見などの取り組みを進めていく必要があります。
また、相談対応体制については、各児童相談所に虐待対応専門チームを設置し、児童福祉司を順次増員するなどの体制の強化を図ってきたところであります。虐待対応研修等の受講により職員の資質向上にも取り組んできたところであり、今後とも必要な体制の整備に努めてまいります。
〔環境生活部長根子忠美君登壇〕
〇環境生活部長(根子忠美君) まず、若年層におけるDV対策についてでありますが、平成23年3月に策定したいわて配偶者暴力防止対策推進計画においては、暴力の防止に向けた教育啓発を促進する施策として、子供の発達段階に即した人権教育の充実や、デートDVの予防啓発の推進を掲げております。
これまで、中高生を対象にDV予防啓発に関する出前講座を実施しており、平成26年度は18カ所で、教員や保護者を含め2、050人が参加しております。また、県内の大学の新入生に対し、デートDVに関するリーフレットを配布し、普及啓発に努めております。
県としては、若年層はDVが人権侵害であるという認識が希薄であることや、身体的暴力のほかさまざまな暴力の形態があることを十分に理解していないことなどが依然として課題であると考えており、今後ともDV防止に関する研修会や出前講座を実施するとともに、来月の岩手県女性に対する暴力をなくす運動期間には、DV防止啓発パネル展や地域での街頭啓発活動を実施するなど、若年層に対するDV防止への取り組みを推進してまいります。
次に、交際相手からのDV対策についてでありますが、平成26年1月の改正DV防止法の施行にあわせ、本県独自の緊急避難のための宿泊場所確保・提供事業により、安全確保のための宿泊場所を提供する対象者に、交際相手からの身体的暴力被害者及びストーカー行為等の被害者を加えた結果、拡大された対象者の利用は、平成25年度は1件、平成26年度は3件となっており、本事業は被害者の安全確保に一定の役割を果たしております。今後とも、DV被害者等からの相談に適切に対応し、DV相談支援センターや警察等関係機関との連携のもと、被害者の安全確保、シェルターにおける一時保護、一時保護中の心身のケア、経済的自立など、個々の被害者に応じた支援を行っていく必要があると考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 高等学校等就学支援金制度についてでありますが、この制度は、平成26年4月から、授業料不徴収制度にかわり所得制限を設けて導入されたものでありますが、現在、学年進行により高校2年生までが就学支援金、高校3年生が不徴収交付金の対象とされております。
就学支援金制度の導入当初は、制度変更に伴う不安等の声もあり、本県における運用マニュアルの策定や新制度の周知等に取り組んでまいりましたが、現在では制度の定着が図られつつあるものと認識いたしております。
これまで、入学説明会や入学式など、さまざまな機会を通じて制度の周知等に努めてきておりますが、課題としては手続の簡素化等を求める声があり、国に要望した結果、本年度から申請書におけるひとり親世帯の理由記載の簡略化等が図られたところであります。今後におきましても、保護者や学校現場の声や実情を踏まえ、手続のさらなる簡素化等を国に要望しながら、制度の円滑な運用を図ってまいりたいと考えております。
また、高校生等奨学給付金につきましては、市町村民税所得割非課税世帯等の高校生等の授業料以外の教育費の負担軽減を図るため、昨年度の入学生から給付金の支給を開始し、学年進行で順次対象学年が拡大されてきているものであります。その給付に当たっては、支給対象の生徒が第1子であるか、第2子以降であるかの属性等により支給額が大きく異なるなどの課題があると承知いたしております。
県におきましては、より充実した制度となるよう、繰り返し国に提言、要望を行ってきているところであり、今年度からは通信制高校生等の給付額の見直しが図られたところでありますが、高校生等がこれまで以上に安心して教育を受けられるよう、引き続き必要な提言、要望を行ってまいります。
次に、教員の復興加配についてでありますが、まず、被災した子供たちの現在の状況は、厳しい状況を克服し、元気に学校生活に取り組んでいる子供たちがいる一方で、いまだ多くの学校が再建途上にあることや校庭の使用に制約があることなどのほか、多くの被災者の皆様の生活の再建はこれからが正念場ということなどから、学習面や生活面での手厚い指導を必要としている児童生徒も多くおり、当分の間は現在と同水準の支援がなお必要と考えております。
特に、心のサポートにつきましては、県教育委員会におきまして、発災以降、全校の児童生徒を対象に毎年9月に実施している心とからだの健康観察の結果によりますと、沿岸12市町村における要サポートの児童生徒の割合は、調査開始時である平成23年度の15.8%と比較いたしますと、現在は減少しておりますものの、応急仮設住宅住まいの長期化の影響等もあるとは思いますが、前年度との比較では、平成25年度、平成26年度と増加に転じております。引き続き、中長期的なサポートが必要であると考えております。
次に、復興加配の実情と果たしてきた役割等についてでありますが、本年度は被災児童生徒に対する学習支援等のために、小学校62校に115人、中学校42校に85人、高等学校17校に34人、特別支援学校5校に13人の、全体で247人を復興加配として配置しております。これによりまして、各学校では教職員が児童生徒と向き合う時間を確保し、個々の児童生徒の学力保障や心のサポートに努めているところでありますが、児童生徒の学習環境や生活の安定につながっているなど、復興加配は学びの復興に向け大きな役割を果たしているところであります。
しかしながら、先ほど申し上げたとおり、依然として子供たちと学校への中長期的な支援が不可欠な状況であると認識しており、本年度においても、6月に県が行った政府予算要望において安定した加配措置の継続を要望したほか、さまざまな機会を通じて国に対し働きかけてきているところでございます。
来年度の文部科学省概算要求内容によりますと、本年度と同数の加配措置が要求されているところでありますが、来年度以降も、学びの復興のため中長期的な加配措置がなされるよう、国に対し強く要望してまいります。
次に、就学援助についてでありますが、まず、市町村における相違については、要保護世帯に対する就学援助は、国の交付要綱に基づき行っておりますので、各市町村における認定要件、支給内容等に相違はありません。
準要保護世帯に対する就学援助については、平成17年度、三位一体改革により各市町村の単独事業に移行され、その認定要件などについては、各市町村が独自に定めているところでございます。
本県の各市町村における準要保護者の認定に当たっては、各市町村の実情により、生活保護の基準額に一定の係数をかけた所得基準や児童扶養手当の支給の有無、市町村民税の減免等の複数の要件が設定されております。
また、準要保護者に対する就学援助の追加費目については、平成22年度から要保護世帯への費目の拡大に準じて運用を行っている市町村は、平成22年度が5市町村だったものが、本年度は27市町村と拡大してきており、就学援助の充実が図られてきております。
県教育委員会といたしましては、就学援助は、経済的理由により就学が困難な世帯の子供の学ぶ機会を保障するために極めて重要なものと考えておりますので、今後におきましても、地方財政措置に沿った適切な運用が図られるよう、市町村に対する助言や必要な情報提供を行ってまいります。
〔人事委員会委員長熊谷隆司君登壇〕
〇人事委員会委員長(熊谷隆司君) 職員の勤務環境の改善に向けた当委員会の取り組みについてでありますが、人事委員会は、地方公務員法に基づき、中立かつ専門的な人事機関として、社会一般の情勢に適応した適正な職員の給与、勤務時間その他の勤務条件を確保するため、毎年、調査研究を行い、その結果につきましては、議会と知事に報告及び勧告を行っております。
昨年は、給与に関しまして、民間給与の調査結果を踏まえて7年ぶりの給料表、勤勉手当の引き上げ改定を勧告いたしました。また、公務運営に関しましては、労働基準監督機関として行った事業場調査の結果を踏まえまして、業務等に応じた適切な人員体制の確立、超過勤務の縮減、メンタルヘルス対策の継続等について言及したところであります。本年につきましては、現在、鋭意作業を進めているところでございます。
私も、他の人事委員とともに被災地を初めとした職場を訪問し、職員の方々から業務の状況、職場や生活環境などについて聞いておりまして、職員の皆さんが職務に精励されていることについては、十分に認識しているところであります。
今後とも、職員の勤務環境や生活の実態をしっかりと把握した上で、給与、勤務時間などの勤務条件に関する研究調査を行い、働きやすい職場環境の整備が図られるよう、引き続き人事行政の専門機関としての必要な指導などを行い、その使命を果たしていきたいと考えております。
〇26番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。それでは、3点再質問をさせていただきます。
就学援助というのは、本当に困窮家庭にとってはなくてはならないものなわけです。児童生徒の数、それから割合も減少してきたというような報告もありますけれども、全児童生徒の世帯にそれが周知されているものかどうかということをまずお伺いしたいと思います。100%周知しているのでしょうか。周知方法に問題はないのでしょうか。
また、対象世帯への働きかけ、対象世帯だなと思っても、なかなか就学援助の該当にはということで辞退する方もいらっしゃるわけですけれども、そういうところを、やはり子供の貧困対策の一環からしても、ぜひ該当の世帯には就学援助の制度を適用させるべきだと思います。
就学援助制度における周知及び利用の働きかけについて、現状と課題、また、それに対する対策について伺います。
二つ目ですけれども、高等学校等就学支援金制度でありますが、私も驚きましたが、確かに周知をしてはいるのですが、確定申告等の手続をしない場合は支援金は支給されないということから、本当に、実際貧困家庭でありながらも、その対象になっていない家庭もあるということを聞いております。
高等学校等就学支援金について、本来、受給対象でありながら受給していない世帯があると聞いておりますけれども、どのくらいの世帯があるのか把握されているのでしょうか。高等学校等就学支援金制度の受給について、現状と課題、またはそれに対する対策について伺います。
三つ目ですけれども、男女共同参画社会の実現について、知事から前向きな御答弁を頂戴いたしました。ですけれども、岩手県というところは、長時間労働でいいますと、2年前は全国ワーストツー、平均よりも117時間も年間働いているというような県でありますし、年次有給休暇の取得率も平均を下回っております。さらには、男女の不平等感のまだ残っている県であります。ですから、男は仕事、女性は家庭といった性別役割分業の意識が強い県だと私は捉えております。そういうところで、やはりワーク・ライフ・バランスが重要だと考えます。
女性活躍推進法の施行により、女性の職業生活における活躍が期待されるところですが、男女共同参画社会の実現のためには、男女がともに家事、育児、介護等の家庭生活における責任を果たしながら働くワーク・ライフ・バランスを推進する必要があると考えますが、県はどのように取り組んでいくのかお伺いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
〇環境生活部長(根子忠美君) 男女共同参画社会の実現に向けたワーク・ライフ・バランスの推進についてでありますけれども、推進に当たっては、男性の家事、育児などの家庭生活への参画、それから、ワーク・ライフ・バランスに関する企業トップの意識改革などが重要と考えております。
県では、いわて女性の活躍促進連携会議を設置しておりますが、このメンバーに産業団体あるいは経済団体も入っておりますので、こういった構成団体と連携しながら、今年度新たに男性のためのワーク・ライフ・バランスセミナーや女性活躍のための経営者研修を開催いたしまして、男性がワーク・ライフ・バランスを推進することによるメリットとか、あるいは子育ての楽しさについての講演、それから、先進的な取り組みを行っている事業所の紹介などを行うこととしております。
また、県の男女共同参画センターでは、ワーク・ライフ・バランスをテーマとした出前講座を実施しておりますので、この出前講座について、企業や団体等へ周知を図って開催を促していきたいと思っております。
このような取り組みにより、男女共同参画社会の実現に向けたワーク・ライフ・バランスの推進を図ってまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) 就学援助制度の周知と利用の働きかけについてでございます。
毎年度行っております実施状況調査によりますと、県内市町村におきましては、各学校を通じて、児童生徒の入学時や進級時に、その保護者に書類を配布する方法でございますとか、市町村広報紙やホームページでの制度の掲載による周知など、複数の方法によりまして制度の周知を図ってきていると承知いたしております。
就学援助は、家計の急変や家計の実情に合わせまして適切な対応を図ることが極めて大事でございますので、今後とも、市町村教育委員会に、学校や福祉担当部門との十分な連携のもとに、支援を必要とする家庭の状況などを可能な限り把握し、その適切な運用が行われるように働きかけてまいります。
次に、高等学校就学支援金についてでありますが、平成27年5月1日現在で受給対象外とされた県立高校の生徒2、436人のうち、所得制限により不認定とされた生徒が222人、明らかに所得が高いこと等から申請しない生徒が2、214人というようになっております。
受給対象となる可能性がありながら受給していない生徒数の調査はしておりませんが、受給資格の認定におきましては、誤解等による申請漏れを防ぐため、明らかに所得が高い等の理由により申請しないとする親権者も含めまして、申請の意思はない旨の確認書を提出いただいております。
議員御指摘のように、認定審査に必要な課税証明書の提出ができない等のやむを得ない理由があるような場合には、詳細にその話を聞くなど、きめ細かく相談に乗りながら、申請漏れという事態が生じないように適切に対応してまいりたいと考えております。
〇議長(田村誠君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 認定第1号平成26年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第64 議案第46号損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し議決を求めることについてまで
〇議長(田村誠君) この際、日程第2、認定第1号から日程第64、議案第46号までを一括議題といたします。
これより質疑に入ります。
質疑の通告がありますので、発言を許します。高田一郎君。

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