平成27年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(川村伸浩君) 自由民主クラブの川村伸浩でございます。
本日は、一般質問の機会を与えていただきました先輩議員、同僚議員に心から感謝を申し上げます。6番目の登壇ということで、前に登壇されている議員の方々とかなり重複した質問もございますが、私なりの目線で質問させていただきますので、答弁をよろしくお願いいたします。
最初に、達増県政の3期目の運営についてお伺いいたします。
知事は、これから4年間、県政を担うわけでありますが、先日の演述では、東日本大震災津波からの復旧、復興、そして、ふるさと振興は岩手にとって喫緊の課題であり、同時に、岩手が主体的に取り組む地方自治の改革である。これまでの復興、人口減少対策の取り組みの成果を土台に、県の総力を挙げ強力に推進していくと述べられ、今後4年間の県政運営の基本的な考え方として、復興の推進、ふるさと振興の展開など6項目にわたり演述されました。しかしながら、内容は具体性を欠き、国への働きかけを強めると述べるのみでは未来ある県勢発展は望めるはずもありません。県民からは、知事は何をやってくれるのかわかりにくい。
そこで知事にお伺いいたします。今後4年間の県政運営における主要な施策について具体的にお答えを願います。
次に、人口減少対策についてお伺いいたします。
国においては、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンを昨年12月に閣議決定し、それを踏まえた5カ年計画を策定したところであります。また、地方創生元年となることし6月には、まち・ひと・しごと創生基本方針2015が示されたところであり、その中では、現状認識として、我が国の人口減少は歯どめがかかっておらず、東京圏への人口流入も続いているなど、厳しさを増しているとのことであります。全国の状況を見ますと、平成18年度から上昇傾向にあった15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した合計特殊出生率は平成26年に1.42となり、9年ぶりに低下に転じており、年間出生数も100万3、532人と過去最低とのことであります。
これらの要因としては、晩婚化、晩産化がさらに進行したことなどに伴い、20歳代の出生率の低下の一方、30代の出生率の向上が鈍化したことが挙げられます。また、近年、地方を中心に出生率が向上する傾向にありましたが、そうした動きにも鈍化が見られるようであります。
人口移動の状況においては、転入から転出を引いた転入超過数は、平成26年は東京都が7万3、000人と最多で、埼玉、千葉、神奈川を加えた東京圏では約11万人の転入超過となっており、東京一極集中の傾向が加速しているとの状況にあります。
こうした東京一極集中を是正するためには、企業の本社機能や政府関係機関の移転など、地方への新しい人の流れをつくる施策を推進する必要を強く感じております。岩手県では、国による政府関係機関の地方移転について、防災科学技術研究所災害リスク研究ユニットや森林技術総合研修所などの提案を行っているとお聞きしているところであります。
地域経済においては、有効求人倍率や1人当たりの賃金、就業者数などの雇用、所得面で改善が見られますが、消費の回復が大都市圏に比べおくれており、人材不足も顕在化しているようであります。
一方、岩手県の状況を見ますと、人口は1997年以降減少し続けており、1999年以降死亡率が出生率を上回る自然減の状況にあり、この原因は、若年女性の減少と出生率の低迷とされております。若年女性は全国的に減少していませんが、岩手では減少しております。平成26年の合計特殊出生率は1.44と、人口規模が長期的に維持される水準である置換水準の2.07を割り込んでおります。男女とも未婚率も上昇し、特に男性の未婚率が高い状況とのことであります。また、人口の社会減は雇用情勢と関係が深いほか、進学、就職期の若者の転出による影響が大きく、特に就職期の女性の転出が多くなっているようです。
現在、県では、岩手県人口ビジョン及び岩手県ふるさと振興総合戦略を策定中とのことであり、人口減少問題の克服など、地方創生に向け、平成28年度より具体的な事業を本格的に推進する段階に入るものと考えております。このような状況の中で、岩手県は人口をふやしていけるのでしょうか。さまざまな対策を講じて人口減少に歯どめをかけなければならないと思いますが、減少は免れないのではないでしょうか。岩手県は拡大都市を目指していけるのか、それとも、縮小都市として人口が減少する中にあっても元気な岩手を目指していくのかお伺いいたします。
人口減少対策については総合的な対策が必要であると考えますが、岩手の魅力の発信についてお伺いします。
県内での自治体間競争であってはなりませんが、他県との競合に勝つ岩手とならなければなりません。定住人口を増加させる方策は、岩手の総合力と県内市町村のそれぞれの魅力アップ及びブランド化であります。県外に移住している方々に、SNS等の利用拡大により県や市町村が岩手の魅力を発信し、岩手をアピールして、岩手を好きになってもらう方々をふやす。I・Jターンをふやすことにつながり、人口をふやす手だてとなるのではないでしょうか。情報交流人口の拡大が広く岩手県ファンをつくり出していくと考えますが、どのように対応していくのかお伺いいたします。
次に、農業振興についてお伺いします。
今月5日、TPP交渉が大筋で合意されました。今後、協定調印や批准手続が必要であり、協定を批准するには国会承認が必要で、発効時期は定まっていないということでありますが、日本は、米国産とオーストラリア産の米の無関税枠を7.8万トンに設定いたしました。協定発効から13年目に設定とのことでありますが、米の輸入枠の拡大により、コスト削減、大規模化を求められるとなると、農家は相当打撃を受けるのではないでしょうか。農家からは、海外からの米が流入して収入減となることを懸念する声が聞こえてきます。知事は、本県の農業等に大きな影響を及ぼすことのないよう、国の責任において必要な対策を十分に講ずることなどを強く求めるとしております。
このような局面の中、昨年、大幅な米価下落となり、販売額を生産費が上回り、いわゆる再生産が不可能な状態になっております。ことしの概算払いは、昨年に比べるとひとめぼれ60キログラム当たり8、400円から1万円と上がってはおりますが、再生産がかなう価格とはなっておりません。その影響は大規模に取り組んでいる農家ほどダメージが大きく、岩手県の農業を担う方々が大変な経営をされております。また、中小規模の農家にあっては、年金や兼業農家としての収入を経営に振り向けなければならない状況であります。米の生産コスト対策が必要と考えますが、集落営農組織、担い手農家及び中小規模農家に対してどのような対策を講じていくのかお伺いいたします。
圃場整備についてお伺いします。
米に限らず、転作作物など水田を利用しての農業は、作業効率を上げることが重要であります。そのためには、水田を効率的で働きやすくする圃場整備を進める必要があります。本県の水田整備は余り進んでいないと伺っております。また、新たな農政改革への対応の必要性などから、圃場整備に対する地域からの要望が増加しているようでありますが、平成27年度予算で見ますと、県で措置した圃場整備の予算に対して国の予算が少なく、当初計画していたものが遅延していると伺っております。TPP交渉の大筋合意に伴い、今後、水田農業の国際競争にさらされる中にあって、生産コストの低減が喫緊の課題であり、その重要な対策として圃場整備の推進は急務でありますが、県は圃場整備の推進をどのように図っていくのかお伺いいたします。
米のオリジナル品種についてお伺いいたします。
北海道はゆめぴりか、山形県はつや姫を発売し、魚沼産コシヒカリに次ぐ相対取引を実現いたしました。東北各県を初め、各産地とも良食味新品種の市場供給に向けて開発中であり、今後、ブランド米による産地間競争の激化が懸念されるところであります。
そのような中、農家、農業関係者にとって待望久しい県のオリジナル品種岩手107号と岩手118号の市場への供給が予定されているところであります。県中部向けの良食味品種岩手107号は平成28年産から、県産米フラッグシップとなる岩手118号は平成29年産からの市場供給と聞いていますが、スピードアップして、市場に投入できる体制を構築すべきと考えます。また、岩手のおいしいお米として県内外の消費者に広くPRし、認知してもらうこと、ひいては高価でも購入してもらえることが重要ではないでしょうか。
そこで、ある程度の供給量がないと新商品として認知されにくいと考えますが、現在、投入しようとしている供給量をふやしていく考えはないか。また、良食味は販売価格にも反映されなければならないと考えますが、販売戦略はどうなっているのかお伺いいたします。
6次産業化についてお伺いいたします。
6次産業化は、御存じのとおり、農業を1次産業としてだけでなく、加工などの2次産業、さらにはサービスや販売などの3次産業まで含め、1次から3次まで一体化した産業としての農業の可能性を広げようとするものであります。
国では、6次産業化の市場規模拡大を平成25年度4.7兆円から平成32年度には10兆円、6次産業化による加工直売分野における市場規模の拡大を平成25年度1.9兆円から3.2兆円とすべく政策目標をうたっております。6次産業化を推進するための支援策には、6次産業化プランナーの派遣や各種法律の特例措置、6次産業化ネットワーク活動交付金などがありますが、6次産業化に取り組む農林漁業者等に対しまして、新商品の販売開拓など、6次産業化の事業の構想、総合化事業計画の作成方法等をアドバイスするプランナーの役割は非常に重要と考えます。
そこで、6次産業化プランナーの配置はどうなっているのかお伺いいたします。
次に、全国の農業の現状を見ますと、農業生産額、農業所得は近年大きく減少しており、農業所得は、平成2年の約6兆円から平成23年は3兆円と半減しているとのこと。基幹的農業従事者も年々減少する中、平均年齢は平成22年で66.1歳となっているとのことであります。また、農地面積が減少している中、耕作放棄地は40万ヘクタールに拡大していますが、一方、世界の食料需給は、穀物の収量の伸びの鈍化や人口増加などにより不安定になりつつあります。中期的には逼迫基調で推移する見込みと言われております。
〔副議長退席、議長着席〕
このような現状の中、日本の農山漁村は、農林水産物を初め、バイオマス、土地、水などさまざまな地域資源が豊富であり、今後の経済成長へ向けた希少資源として、我が国、そして本県においても最大の強みの一つであります。農林水産業と他産業との新たな連携を構築し、生産、加工、販売、観光等が一体化したアグリビジネスの展開や、先端技術を活用した新産業の育成、再生可能エネルギーの導入により農山漁村に技術革新を起こし、農林水産業の成長産業化を図る必要があると考えております。
そこで、県が進めようとしている6次産業化の推進方策についてお伺いいたします。
次に、林業振興についてお伺いします。
本県は全国有数の森林県であり、県土の77%を占める森林約118万ヘクタールは、水源の涵養、県土の保全、生物多様性の保全など、県民の暮らしにさまざまな恩恵をもたらす県民共有の財産であり、森林環境を維持保全し、有効な状態で次の世代に引き継いでいくことが私たちの使命であると考えます。しかし、山村地域では、長期的な木材価格の低迷や過疎化の進行などにより森林整備の担い手の減少、高齢化が進み、管理の行き届かない森林が増加しています。
このため、県では、平成18年にいわての森林づくり県民税を創設し、これまで約1万3、000ヘクタールの森林の整備を行ってきたところでありますが、依然として整備が必要な森林が約1万ヘクタールほど残されていると聞いております。
そこで、いわて森林づくり県民税を活用したこれまでの取り組みを県ではどのように評価し、今後どのように取り組んでいくのかお伺いいたします。
県産材の利用拡大についてお伺いします。
震災から4年7カ月が過ぎ、沿岸被災地では市街地のかさ上げや高台移転が着実に進んでいるようであります。また、被災した木材加工施設もほとんど復旧が終了し、本県の林業、木材産業は震災前の状況に戻りつつあるとの話をお聞きします。
さて、こうなりますと、沿岸地域での建設が進む災害公営住宅や、これから建設が本格化する復興住宅などの震災復興に伴う木材の需要がふえるほか、北上市に新たに建設された合板工場の本格稼動、さらには、大量に木材を使用する木質バイオマス発電施設も県内に複数建設されるようであり、今後ますます木材需要が高まるものと予想されます。この需要の高まりに対し、当然のことながら県産材の利用も拡大させていく必要があると思うのですが、県ではどのように取り組んでいこうとしているのかお伺いいたします。
次に、観光産業の振興についてお伺いします。
本県の観光を取り巻く状況は、東日本大震災津波以前の岩手・宮城内陸地震やリーマンショック後の経済の低迷、観光客の落ち込みから徐々に回復し、さまざまな観光振興に関する取り組みが順調に進んできたところでありましたが、平成23年3月の震災による津波被害や原子力発電の事故により甚大な影響を受け、観光客の入り込みも大幅に減少いたしました。
そんな中、県では、平成25年度にみちのく岩手観光立県第2期基本計画を策定し、被災地の観光産業の復興加速により沿岸地域経済の活性化を図り、観光による岩手の復興を目指すことを掲げました。震災後、多くの宿泊施設は休業を余儀なくされ、また、観光施設なども津波により壊滅的な打撃を受け、観光地としての魅力が著しく低下した地域も見受けられたことは周知のとおりであります。また、外国人観光客の入り込みも、震災、津波及び原子力発電事故に伴う風評被害により減少しました。震災等で一時減少した本県の観光客の入り込み客数は、平泉の世界文化遺産登録やいわてDC、東北観光博覧会など大型観光キャンペーンの実施により、国内旅行はおおむね震災前の水準に戻ってきてはおりますが、地域によっては十分に回復していないところもあるとお聞きしております。
そこで、震災で大きく落ち込んだ観光客の状況はどうなっているのか。また、外国人観光客は一般的に国内旅行客より旅行支出額が大きく、産業界や観光地ではその経済効果に期待するところは大きいと言われておりますが、岩手県を訪れる外国人の観光客の動向はどうかお伺いいたします。
中国からの観光客呼び込みについてお伺いいたします。
日本を訪れた外国人旅行者が9月10日までで1、342万人を超え、過去最多だった昨年1年の実績1、341万人を上回りました。観光庁は、ことしの年間旅行者数が1、900万人に達するとの見通しを明らかにいたしました。政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに訪日外国人の数を2、000万人にするとの目標を掲げています。特に中国からの観光客は首都圏や有名観光地に急増していると聞いており、他国からの観光客よりも消費意欲が旺盛であり、他県では、ショッピングセンターにバスを横づけして買い物を楽しんでもらう取り組みも行われているとのことであります。地域観光の活性化とともに、地域経済の底上げも期待できるのではないでしょうか。中国からの観光客をいかに岩手に呼び込むかは今後の観光産業の振興にも大きく影響するものと思いますが、岩手県での実績と誘導策についてお伺いいたします。
次に、いわて花巻空港の利用促進についてお伺いします。
昨年、開港50周年を迎えたいわて花巻空港は、本県唯一の空の玄関口で、1964年に滑走路1、200メートル、羽田便で供用開始され、1983年には滑走路が2、000メートルとなり、さらに2005年には大型ジェット機にも対応できる2、500メートルまで拡張されました。混雑時や国際線のチャーター便の対応が難しくなったことから、滑走路東側に大型旅客機の乗り入れにも対応した新しいターミナルビルが2009年完成し、2011年には平行誘導路と国際チェックインカウンターの供用が開始され、現在の姿となっております。
そこで、いわて花巻空港の国内線定期便、国内チャーター便、国際チャーター便の運航状況と搭乗客の状況の推移についてお伺いします。
台湾便の定期便化についてお伺いします。
台湾は歴史的にも本県とのつながりが深く、台湾総督府民政長官として台湾の近代化を進めた後藤新平や、台湾総督府臨時台湾糖務局長として農業振興に尽力した新渡戸稲造など、多くの岩手県人が台湾とのかけ橋となって台湾の発展に寄与してきました。こうした縁があったためと思いますが、震災では台湾から多くの支援が寄せられました。緊張が続く東アジアの隣国の中では、本県とつながりが深い台湾との友好関係がさらに深まることを期待するところであります。
今月もいわて花巻空港と台湾を結ぶ秋季国際プログラムチャーター便の運航が決定され、台北と高雄からの各3往復、計12便が運航されると報道されましたが、県内では、各方面から台湾定期便の実現に向けて期待が寄せられております。また、地方空港の国際定期便数が、中国などのアジア便を中心に、2010年に比べ2015年は約6割増加したとの報道もありました。定期便化が実現すれば、本県の国際化は大きく前進し、また、地域の活性化にもつながるものではないでしょうか。
そこで、現在、定期チャーター便として運航されている台湾便の定期便化の可能性についてお伺いします。
次に、空港を活用した物流を促進するためにはさまざまな条件をクリアする必要があると思いますが、しかしながら、人の輸送だけでなく、物流面においても空港が活用されることは地域の活性化につながるものと考えます。将来を見据えた空港行政の推進が求められるのではないでしょうか。
そこで、貨物の取扱量の推移と今後の動向についてお伺いします。
次に、道路整備についてお伺いします。
震災により沿岸部の基幹道路である国道45号が各地で寸断された中、三陸縦貫自動車道、東北横断自動車道釜石秋田線等の高規格道路ネットワークの開通済み区間については損傷がほとんどなく、津波襲来時の避難道路や緊急物資の輸送道路として有効に機能するなど、まさしく命の道として大きな効果を発揮しました。道路整備は、命の道の整備として震災以降大きく変化し、注目され、結果、高規格道路の整備は年次計画で進められております。復興道路を早期に完成することは多くの県民の願いであると思いますが、一方、復興道路と同じように安全で安心な生活を守る幹線道路の整備も、多くの路線について市町村から要望が出されております。
そこで、要望が出されている路線の取り組み状況についてはどうなっているのかお伺いいたします。
主要地方道の整備についてお伺いします。
主要地方道花巻大曲線は、岩手県にとっては、西和賀地区と内陸を結ぶいわゆる8の字ルート交通網に位置づけられ、事業展開が図られてきたところであります。
本路線は、花巻市と西和賀町を最短距離で結ぶとともに、岩手県内陸部と秋田県内陸部を接続する広域な重要路線であります。
〇議長(田村誠君) 川村伸浩君に申し上げます。
申し合わせの時間を超過いたしております。議事進行に御協力をお願いします。
〇10番(川村伸浩君)(続) また、近年発生している地震や集中豪雨等に備え、安全で安心できる地域づくりのため、災害に強い道路のネットワークの整備を図ることが喫緊の課題となっておりますが、本年3月の土砂崩れにより西和賀町と北上市を結ぶ国道107号が寸断され、改めて迂回路や代替道路の重要性が認識されたところであります。
このような交流、連携や防災、減災の機能を十分発揮するためには、整備が必要であります。一刻も早い本路線の整備完了が待たれているところでありますが、整備状況と完了予定についてお伺いいたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 川村伸浩議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、今後4年間の県政運営についてでありますが、私は、今回の知事選におきまして、復興とふるさと振興を進め、希望郷いわての実現を目指すことをマニフェストに掲げました。
東日本大震災津波からの復興事業は、海岸保全施設や災害公営住宅の整備など社会資本の復旧、復興のピークを迎えており、今後も、こうした復興の量を確保しながら、被災者の心のケアや地域に根差したコミュニティーの再生、まちのにぎわい創出など、復興の質の向上を一層進めてまいります。
また、ふるさと振興につきましては、今月策定する岩手県ふるさと振興総合戦略の三つの柱に基づいて、岩手で働くについては、若者や女性などの創業支援の充実やきめ細かな移住、定住施策の推進など、岩手で育てるについては、今月オープンしました“いきいき岩手”結婚サポートセンター、i-サポによる出会いや結婚の支援の強化など、岩手で暮らすについては、県内高校生の地元大学等への進学と学卒者の地元就職の促進などの取り組みを展開してまいります。
これからの4年間、復興の推進とふるさと振興に県の総力挙げて取り組み、いわて県民計画に掲げます希望郷いわての実現を目指してまいります。
次に、人口減少の中で県が目指す姿についてでありますが、本県の人口は、社会減と自然減が相まって毎年1万人程度の減少が続いており、平成27年の国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、このまま何ら対策を講じなかった場合に、2040年には93万人程度になり、その後も減少が続くと見込まれております。
こうした人口減少を食いとめるために、今月策定予定の岩手県人口ビジョンにおきましては、人口減少を引き起こすさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、岩手への新しい人の流れを生み出すふるさと振興を展開することにより、出生率の向上と社会減ゼロを実現し、2040年に100万人程度の人口を目指すよう展望しています。
こうした人口の展望を実現させることで、将来、あらゆる世代の人口が安定し、子供からお年寄りまで、あらゆる世代が生き生きと暮らす岩手、県外とつながり、新しい発想にあふれる岩手が実現できるものと考えております。
次に、情報交流人口の拡大についてでありますが、交流人口の拡大を図るためには、本県が持つ多彩な魅力を県内外に積極的に発信し、岩手に関心を持っていただくことが重要であります。
このため、フォロワー数が東北1位の5万人を超える岩手県公式ツイッターにおいて、本県の多彩な魅力を発信するとともに、他県等から岩手に応援やボランティアに来ていただいた方などを対象に開発したスマートフォン向け情報発信アプリe!いわてにおいて、復興を初め、さまざまな情報を提供するなど、独自の取り組みも行っております。
また、移住、定住の促進に向けては、今年度、専用のホームページをリニューアルするとともに、PR動画の制作や、いわて復興応援隊のフェイスブック等、SNSを活用した情報発信、総務省のホームページ、全国移住ナビや移住情報誌への移住者インタビュー記事の掲載など、さまざまな媒体を活用し情報発信の取り組みを強化しています。
この結果、全国移住ナビで本県ページへのアクセス数が全国上位にランキングされるとともに、定住関連のSNSのフォロワー等が6、600人余りとなるなど、本県への関心が高まってきているものと考えております。
また、本年4月から、東京のふるさと回帰支援センターに移住相談員を配置して、相談窓口を整備し、情報発信にも努めているところです。
引き続き、市町村や関係機関と連携しながら、情報発信及び相談機能を強化し、岩手ファンの拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、米の生産コスト対策についてでありますが、主食用米の需給が緩和状態にあり、米の価格が低迷している中で、一層の生産コストの低減に取り組む必要がありますことから、県は、農業団体と連携して、平成27年2月に、いわての美味しいお米生産・販売戦略を策定し、この戦略に基づき、生産コストの低減などに取り組んでおります。
具体的には、市町村や農協等の参画のもと、県内9地域で作成したコスト低減に向けた計画に基づきまして、集落営農組織や担い手に対して、農地利用集積による経営規模の拡大や直播栽培の導入による労働費の低減を進めますとともに、地域の農業者に対して、鶏ふんの活用等を啓発するチラシを作成、配布するなど資材費の低減を進めており、今後も一層の生産コストの低減に取り組んでまいります。
次に、圃場整備の推進についてでありますが、本県の水田整備率は東北の中で最も低く、生産コストの低減や麦、大豆等の品質、単収の向上を図るためには、大区画化や排水対策等の水田整備を着実に進めることが必要であります。
このため、国の補助事業により圃場整備を計画的に実施しているところでありますが、全国的な整備ニーズの高まりなどにより、昨年度から国の予算配分額が県の予算額を下回っており、特に平成27年度は県の予算額を約20億円、率にして33%下回ったことから、地域の整備要望に応えることが困難な状況になっております。
県としましては、水田整備がおくれております本県の実情を強く訴えながら、引き続き、国に対して十分な予算措置を求めますとともに、生産コストの縮減などに努めながら、農地集積との一体的な推進に取り組んでまいります。
次に、米のオリジナル新品種についてでありますが、県オリジナル水稲新品種の岩手107号、岩手118号は、主食用米の産地間競争が激化している中、生産者等の期待に応え、実需者や消費者の評価をかち取るため、可能な限り早期に市場供給することとし、生産可能な種子量をもとに、供給初年度は100ヘクタールで作付し、500トンを供給する予定としております。
2年目以降につきましては、高い食味と品質を確保し、認知度や価値を高めながら計画的に出荷量を拡大していくこととしており、平成32年には、岩手107号が作付面積1万ヘクタール、供給量は5万トン、岩手118号は作付面積2、000ヘクタール、供給量1万トンを計画しております。
また、販売戦略につきましては、本年6月に、生産、販売等の戦略を実践する組織として、いわてオリジナル品種ブランド化戦略実践本部を設立し、県産米の生産、流通、消費などにかかわる県内外の関係団体等が一丸となって、新品種の早期ブランド化に取り組んでおります。
現在、新品種のブランド化に向けまして、首都圏の米穀専門店や消費者を対象にマーケット調査を実施しており、今後、米流通の専門家のアドバイス等もいただきながら、平成28年2月にブランド化戦略を策定し、高価格での取引の実現に向け、販路の開拓などに強力に取り組んでまいります。
次に、6次産業化の推進についてでありますが、農林漁業者が6次産業化に取り組むに当たりましては、総合化事業計画の作成支援や事業展開に向けたアドバイスなどを行います6次産業化プランナーの役割は重要でありますことから、県では、県中小企業団体中央会と共同で設置しております、いわて6次産業化支援センターに6次産業化プランナーを7名登録し、6次産業化に向けた取り組みを支援しております。
さらに、県独自に、流通や商品開発などの専門家であります食のプロフェッショナルチームアドバイザーを6名登録しまして、商品開発や販路開拓への助言を行うなど、6次産業化に取り組む農林漁業者に対し、きめ細かな支援を行っております。
次に、6次産業化の推進方策についてでありますが、県では、これまで、農林漁業者による6次産業化の定着と拡大に向け、商品開発や販路開拓のための専門家の派遣や商談機会の提供、施設整備への補助等の支援を行ってきたところであります。
こうした取り組みによりまして、6次産業化による販売額は、平成22年度の131億円から平成25年度は148億円と順調に伸びるなど、6次産業化の取り組みは着実に進展してきております。
県では、6次産業化のさらなる拡大に向けまして、地域の関係者が一体となった地域ぐるみでの商品開発や、多様な事業者との連携による生産者の事業拡大等の取り組みを重点的に支援することとしておりまして、今後、市町村、地域関係者との協働による地域の特色ある農林水産物を生かした商品、レシピの開発や販売の促進、若手、女性生産者等による新たな6次産業化の活動支援や商工、観光業者等との交流、商談機会の提供などに取り組んでまいります。
次に、いわての森林づくり県民税事業についてでありますが、いわての森林づくり県民税は、多様な公益的機能を有する森林環境を保全し、良好な状態で次の世代に引き継ぐため平成18年度に創設したものであり、平成23年度からは第2期がスタートし、今年度が最終年度となっております。
平成26年度までの実績は、制度創設時に見込んだ公益上重要で緊急に整備が必要な森林約2万6、000ヘクタールのうち、約1万2、900ヘクタールについて、針葉樹と広葉樹が入りまじった公益的機能の高い森林へ誘導するための間伐を実施しました。
また、県民が行う森林を守り育てる活動などを支援するソフト事業にも、延べ4万2、000人余りの参加があったところであります。
こうした取り組みにより着実に森林の整備が進んでいるほか、森林環境保全に対する県民の理解の醸成が図られてきているものと認識しております。
今後につきましては、第2期が終了します今年度末におきましても、整備が必要な森林が約1万ヘクタール残ると見込まれますことから、いわての森林づくり県民税事業評価委員会からの提言なども踏まえ、いわての森林づくり県民税の制度を継続し、森林環境保全の取り組みを実施していきたいと考えております。
次に、県産材の利用拡大についてでありますが、本県の木材需要は、合板工場や木質バイオマス発電施設の整備等により近年増加してきており、こうした需要の高まりを好機と捉え、本県の林業、木材産業の一層の振興を図っていくことが重要であります。
そのためには、県産材を安定的に供給していくことが必要であり、県では、素材生産者と木材加工業者等との需給コーディネート、生産現場における高性能林業機械の導入や路網整備への支援、素材生産を行う現場技能者の育成等に努めております。
また、建設が本格化しております災害公営住宅等への需要に対しましては、製材業者などで組織します岩手県木材産業協同組合が、必要とされます県産製材品を共同受注し、迅速かつ円滑に供給する体制を構築したところであり、県としましても、発注者とのマッチングなどを支援することとしております。
こうした関係者が一体となった取り組みを通じ、今後も増加が見込まれます木材需要に向け、県産材のさらなる利用拡大に取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、観光客の推移についてでありますが、東日本大震災津波の発災により、平成23年の観光客入り込み数は2、271万人と、前年の2、896万人に比べ大幅に落ち込みましたが、翌平成24年のいわてデスティネーションキャンペーン開催など入り込みの回復に取り組んだ結果、平成26年には2、886万人と、ほぼ震災前の水準まで回復してきたところです。
これを地域別に見ますと、県央、県南、県北エリアでは、震災前以上あるいはほぼ同程度となっておりますが、沿岸エリアは、震災前の9割に届いていない状況となっております。
また、平成26年の外国人観光客の入り込みについては、韓国、中国、香港からの宿泊者数は1万860人泊で、震災前の3割程度となっていますが、本県の外国人観光客の半数以上を占めます台湾からの宿泊者数は4万5、560人泊で、震災前の水準を上回っており、県全体では7万3、220人泊、震災前の9割程度となっております。
次に、中国からの観光客呼び込みについてでありますが、10億人を超える人口を有し、訪日観光客の中でも高い旅行支出額となっている中国からの誘客は本県の観光振興にとって重要なことと認識しておりますが、中国からの観光客入り込みについては、平成26年の宿泊実績は2、570人泊で、震災前の平成22年の4、940人泊の約半分まで減少しております。
このことから、中国からの入り込みの回復と拡大を図るため、これまで、本県が中国大連市に設置しています大連経済事務所を中心に、中国人に人気がある南部鉄瓶や、2022年の冬季オリンピック中国開催を控え人気が高まることが予想されるスキーなど、ニーズ等を踏まえた観光プロモーションを展開してまいりました。
今後は、大連経済事務所が有するネットワークも活用しながら、地元中国のメディアも利用し、一層強力な情報発信に努めるとともに、中国人観光客に人気がある北海道を初め、北日本全体が一体となったプロモーションを展開し、本県への誘客拡大につなげてまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) まず、いわて花巻空港の運航状況等の推移についてでありますが、国内定期便は、平成22年度には1日5往復まで減少しましたが、本年度上期ダイヤにおいては過去最高の1日12往復となっており、季節による増減はありますが、路線は定着しつつあるものと認識しております。
国内チャーター便は、年度による増減はありますが、平成26年度は13便、本年度はこれまで12便となっております。
国際チャーター便は、東日本大震災津波の影響などにより平成23年度に年間22便まで減少しましたが、平成26年度は、台湾との初の国際定期チャーター便が運航されたことなどにより、年間102便となりました。
搭乗客については、国内定期便及び国内、国際チャーター便を合計した搭乗客数は、平成22年度に約25万2、000人にまで落ち込みましたが、名古屋線、福岡線の復活などにより、平成26年度は約39万7、000人まで増加いたしました。
県では、いわて花巻空港の利便性を県民及び就航地先に広くPRするなどの取り組みを進めながら、利用者増につなげてまいります。
次に、台湾便の定期便化についてでありますが、昨年度、本県初の台湾との国際定期チャーター便が運航され、春は82.6%、秋は90.8%という高い利用率となりました。また、本年春も定期チャーター便が継続運航され82.2%の利用率となり、この実績は、定期便化に向けて一定の成果を得られたものと認識しております。
さらに、本年6月17日、知事のトップセールスにおいて、チャーター便を運航する中華航空に対し早期の定期便化を要請したところ、来年話を進めて、2017年を目標に定期便化したいとの発言があり、定期便化に向けて大きな進展があったものと受けとめております。
なお、定期便化に向けては、夏、冬を含めた通年での需要の確保が課題とされていることから、引き続きプログラムチャーター便、定期チャーター便の実績を重ねることによって、定期便化の実現につなげていきたいと考えております。
次に、貨物の取扱量の推移と今後の動向についてでありますが、近年の全国的な機材の小型化と多頻度運航化といった変化を受けて、いわて花巻空港においても、国内定期便の機材が小型化したことにより、航空貨物の取扱量は、平成21年度は784トンあったものが、平成26年度には147トンと減少しております。
県としては、当面、現状の運航形態が続くものと考えていますが、今後、より一層の利用促進の取り組みにより路線の定着化に努めるとともに、将来的には、利用者増による機材の大型化につなげ、物流面でも空港がさらに活用されるよう取り組んでまいります。
次に、幹線道路整備の取り組み状況についてでありますが、毎年、市町村や地域の関係団体の皆様から、道路整備に関する要望を数多くいただいているところです。
平成26年度には、県管理道路106路線について443件の整備要望を受けており、このうち事業中箇所に関するものなど実現に向けて努力しているものが183件、当面は実現が難しいとしているものが260件となっております。
幹線道路の整備につきましては、いまだ十分とは言えない状況にある一方で、橋梁を初めとする社会資本の老朽化等に伴い、維持更新費用の増大が見込まれるなど、新たな道路整備に投入できる予算は限られてくるものと考えております。
このため、道路整備に当たっては、利用状況等も考慮しながら、県の公共事業評価制度に基づき、箇所の選定や重点化を図っているところです。
今後とも、御要望に丁寧に耳を傾けながら、効率的、効果的な道路整備を推進してまいります。
次に、主要地方道花巻大曲線の整備促進についてでありますが、本路線は、花巻-西和賀間の交流の促進や観光振興を支援する重要な路線であり、昭和61年度より、花巻市中山地区から西和賀町川舟地区間の約8.5キロメートルについて、交通不能区間の解消等を目指し整備を進めてきたところです。
平成19年度までに約7キロメートル区間を供用し、現在は、残る小倉山の2工区において未整備となっている約1.5キロメートルの区間の改良工事を進めており、平成26年度末における事業費ベースでの全体進捗率は86%となっているところです。
今年度は橋梁の下部工を施工中であり、今後は延長1キロメートルを超えるトンネルなどの大規模工事を進めることとしておりますが、それらの整備工程については、道路事業全体の予算推移を見きわめる必要があることから、事業予算の確保に努め、当該工区の早期の完成を目指してまいります。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時10分 散 会

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