平成27年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(佐藤ケイ子君) 改革岩手の佐藤ケイ子でございます。
初当選後、最初の定例議会におきまして一般質問の機会をいただき、ありがとうございます。これからの4年間、山積する諸課題の解決や県民生活の向上に努める所存でございます。先輩、同僚議員各位の御指導と、達増知事を初め県当局の御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
さきに登壇いたしました佐々木朋和議員、福井せいじ議員と重複する項目もございますけれども、私なりの観点で質問させていただきます。
それでは、通告に従いまして順次質問をいたします。
第1点目は、県と市町村の連携強化について伺います。
私は、市町村職員として、その後、北上市議会議員として、基礎的自治体である市町村の立場から行政にかかわってまいりましたが、さまざまな施策推進については、市町村単位ではなかなか難しい現実を常に感じてまいりました。市町村と県が対等のパートナーとして、相互の信頼関係と行政課題に対する共通認識が必要であることは論をまたず、中でも、トップである知事と市町村長が、お互いの温度や細かいニュアンスを直接酌み取りながら信頼関係を醸成していくことは極めて重要であります。
そこで、市町村要望の実施状況について伺います。
以前は知事が同席され、市町村要望が行われていましたが、平成22年度から各広域振興局長が受理するスタイルに変わりました。地域の状況を熟知する広域振興局長が県行政の責任者として要望を受理し、振興局で対処する課題には直ちに対応されるとともに、全県的な制度改正や予算措置を伴う案件等については、市町村の目線や立場から実現するため、具体的な方策や手段を知事に上申されているものと承知しております。要望の中には実現が難しい事項もあることは理解いたしますが、市町村とすれば歯がゆい思いをすることもございます。広域振興局長が受け取った市町村要望は知事にどのように伝えられ検討されているのかを、要望件数の推移や主な内容を含めて伺います。あわせて、これまで受け取った要望について、どのような形で県政に反映してきたのか伺います。
次に、市町村長とのコミュニケーションについて伺います。これまでも市町村長とはさまざまな場面や会議等で顔を合わせておられますが、これまで以上に積極的にコミュニケートしながら、市町村からのさまざまな要望の実現に取り組んでいただきたいと願うものです。知事の姿勢をお伺いいたします。
第2点目は、地域医療について伺います。
国が昨年6月に策定した地域医療介護総合確保推進法では、2025年における地域医療構想の策定が都道府県に義務づけられたところです。
私の地元である岩手中部保健医療圏は、県立中部病院を基幹病院に、地域内の病院や診療所の医療連携体制が備わりつつありますが、人口10万人当たりの医師数が154人と、全県平均199人を下回るなど、その体制は必ずしも万全とは言いがたい環境にあり、今回の地域医療構想がどのような形で策定され、実現されていくのか注視しているところです。
ついては、今回の構想策定に当たっての本県各圏域の共通の課題や検討論点は何かをお示し願います。また、岩手中部保健医療圏における構想の方向性についても伺います。
次に、奨学金制度と医療従事者の確保策について伺います。
医師養成奨学金制度が平成20年度から拡充され、3種類の奨学金制度が運営され、その効果が来年度から期待されるところです。しかし、平成26年2月の養成医師の配置調整に関するワーキンググループの報告によれば、本県の医師数は全国に比して低い水準にあり、平成24年度、10万人当たりの医師数は、全国238.8人、岩手県199.8人となっており、全国との格差は拡大しています。県内では盛岡保健医療圏に医師が集中しており、地域的な偏在や、ほとんどの診療科で医師が不足している状況ということです。
そこで、養成医師配置調整の現状課題をどう捉えているのか、また、今後の医師確保の見込みについてお伺いいたします。
看護職員養成についても、看護職員修学資金を平成23年度から拡充し、毎年120人以上が活用しており、県内定着率は88%と効果を上げているとのことですが、第7次看護職員需給見通しでは、平成27年末の時点で700人以上の看護職員が不足することが見込まれています。今後も看護師の人材養成と勤務環境の改善による定着促進などが喫緊の課題となっています。看護職員の今後の需給見通しと、看護職員の定着促進策をどう図っていくのかお伺いいたします。
次に、国民健康保険の運営見直しについて伺います。
医療保険制度改革法が、ことし5月27日、自民党、公明党などの賛成多数で可決され、2018年度―平成30年度までに順次施行されることになりました。改定では、国民健康保険の財政運営主体を平成30年度に市町村から都道府県に移すことが柱となっています。また、後期高齢者医療制度を支えるため社保や共済の負担をふやす総報酬割の導入や入院時食事代の引き上げ、紹介状なしの大病院受診時定額負担導入などが盛り込まれ、国民負担増が懸念されるところです。
今後は、県が国保の財政運営を担い、市町村は、今までどおり国保資格の管理、保険料の決定、国保税の賦課徴収などを担うことになります。特に県は、医療費適正化計画を策定し、地域医療構想による病床削減とリンクさせ、新たに導入する県国保運営方針と整合させるよう義務づけられたことにより、都道府県を司令塔にした医療費削減の仕組みをつくるとも言われております。
そこで、地域医療構想、医療費適正化計画、国保の県移行作業、市町村への指導、連携など、県の役割は飛躍的に増大するものと思いますが、国民健康保険の運営見直しに当たっての課題と取り組みを伺います。
第3点目は、子育て支援と子供の貧困対策について伺います。
厚生労働省の平成28年度予算概算要求では、子供の貧困対策等には223億円、ひとり親家庭支援のため、NPOなどと連携し、子供の居場所づくりに取り組む市町村への補助金を創設するほか、子育てや就業の相談窓口の一元化を進めることとしています。児童虐待対策には、児童相談所や市町村の体制強化を図り、また、保育所の待機児童対策には906億円を計上し、施設設備や小規模施設の改修を通じ、受け入れ児童数が拡大されます。これらの施策の県における展開、充実は、今回取りまとめられた岩手県ふるさと振興総合戦略(案)の政策目標の一つ、岩手で育てるそのものであると考えます。
そこで、5点伺います。
まず、保育所等の待機児童対策について伺います。
県内の保育所等の待機児童数は、ことし4月時点で128人、13市町村ということですが、年度途中の毎月の入所申請には対応できず、育休明けの職場復帰ができない状況です。私の住んでいる北上市でも、待機児童が年度末には100人を超える事態です。この状況は県内でも全国でも同様で、臨時、非常勤の保育士を確保できないことが大きな要因となっています。
子ども・子育て支援新制度によって、認定こども園の拡大や小規模保育事業所の整備を進めることになっていますが、新制度の公定価格提示がおくれたことなどもあって、整備が進んでいないように思われます。県内における認定こども園や小規模保育事業所の拡大状況はどうなっているのかお伺いいたします。
また、整備については、国が2分の1、市町村が4分の1、設置主体が4分の1となっており、県の予算措置が見えない状況です。県が独自施策で整備補助を拡充するべきと考えます。認定こども園への移行を進めるため、県単補助などのインセンティブを検討する考えはないかお伺いいたします。
次に、子育て支援センター、ファミリーサポートセンターの状況について伺います。
子育て支援センターは、育児支援を行う拠点として、親子の遊び場、子育て仲間の出会い、情報交換、相談などを行っています。県内30市町村、81カ所で開設されているとのことです。また、ファミリーサポートセンターは、保育園への送迎、出張や残業などのときに援助会員の家庭に預かってもらうもので、依頼会員と援助会員の連絡調整を行うものです。県内では11市町村で運営されています。
この子育て支援センターやファミリーサポートセンターの情報発信支援や広域的な相互利用の支援など、県として支援を拡大すべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
次に、児童虐待について伺います。
県内3カ所の児童相談所で受け付けた平成26年度の虐待相談件数は450件と、5年前に比べると1.5倍となっており、同様に虐待対応件数は390件、前年度比7.4%の増です。市町村でも対応した虐待件数は454件ということでしたが、困難事例が多くなり、児童相談所の役割が増加しています。
本県では3カ所の児童相談所がありますが、1.5倍にも及ぶ相談件数に対し、児童福祉司や児童心理司も不足し、旧来の組織体制のままです。また、一関、宮古の児童相談所では他県からの応援職員の配置で対応している状態で、急増する相談ニーズに的確に対応し、相談後の専門的な対応を進めるために体制強化が急務になっています。
本年度は児童虐待防止アクションプランを改定するとのことですが、保護対策の拡充と人的体制の強化についての御所見を伺います。
次に、生活困窮世帯への支援について伺います。
政府は、昨年8月、子供の貧困対策に関する大綱を策定しており、本県では、いわての子どもの貧困対策推進計画を今年度末に策定するため検討委員会が開かれたところであります。素案には、教育支援、生活支援、保護者への就労支援、経済的支援、被災児童への支援など五つの重点施策、22項目の具体的推進策が示されています。
その中で、子供の居場所づくり、就学援助費の基準緩和について申し上げます。
子供の居場所として、奥州市には、小・中・高生が放課後を自由に過ごせるホワイトキャンバスなどがあり、子供たちが自主的にルールをつくって運営しています。昭和50年代の寺子屋事業から発展し、奥州市の事業として、国、県の補助制度を活用しながらアドバイザーが配置されております。
県として、各市町村に拡大し、学校や家庭に心の居場所がない子供たちも含めて、子供たちが安心していられる場所の提供支援を拡大するべきだと思いますが、その考えはないか伺います。
次に、就学援助費の準要保護の認定基準の緩和について伺います。
経済的理由により就学困難な児童生徒に対し、学用品や給食費などを就学援助費として支給しており、小学生の支給額は平均年間5万数千円、中学生は8万7、000円程度となっています。準要保護は市町村によって認定基準が違っています。収入基準を生活保護基準の120%未満とする自治体や、130%から150%を基準としているところがあります。生活困窮世帯の子供たちに対し、市町村の財政力や自治体施策の違いによって差が生じることはいかがなものかと思います。県として、就学援助費、準要保護の認定基準の緩和を図るよう誘導する財政的支援ができないか、所見を伺います。
第4点目は、介護保険制度について伺います。
ことし4月に改正された介護保険法では、地域包括ケアシステムの構築を目指し、要支援の方が利用するホームヘルプが市町村の地域支援事業に移行されることや、特別養護老人ホームの新規利用者を要介護3以上に制限するなど、重点化、効率化が図られることになり、改正のたびに介護の社会化や個人の尊厳が揺らいできています。
〔副議長退席、議長着席〕
県内の特別養護老人ホーム申込者は、ことし4月1日現在で5、105人、そのうち在宅は1、614人、そのうち早期入所が必要な方は958人ということです。平成27年度から平成29年度の第6期計画では991床の整備が見込まれており、一応、ニーズに対応することになりますが、在宅でデイサービスやショートステイを利用しながら綱渡り状態で介護をしている世帯や介護離職をした方々等、潜在的なニーズは大変大きなものがあります。
一方、介護サービス事業者にとっては、介護報酬が4月から引き下げられたこと等から、全国では経営難を見越して撤退した事例や、倒産など施設運営の厳しさがあらわれています。
そこで、本県における特養ホームや介護老人保健施設、グループホーム等、高齢者福祉施設の今後の動向、県の取り組み方針をお伺いいたします。
次に、介護人材確保対策について伺います。
2015年度―平成27年度の介護職員は全国で約170万人が必要と推計されていますが、団塊の世代が75歳以上となる2025年―平成37年には最大250万人の介護職員が必要と推計されています。現在も介護分野での有効求人倍率は高いものの、給与水準や処遇が厳しいことなどもあり、離職率も高く、慢性的な人手不足となっています。本県においても介護人材確保に強力な取り組みをするべきと考えます。
国では、介護人材確保地域戦略会議において、先進的な取り組み事例の紹介やシンポジウムを実施しています。
奈良県では、福祉人材育成認証制度により、積極的に取り組む事業所の見える化とレベルアップ、ボトムアップを推進しているとのことです。静岡県では、人材定着促進のためモデル給与表とキャリアパス基準例を作成しています。埼玉県、岡山県などでは、地域の法人がともに学ぶ研究会の開催や就職フェアの運営など、人材確保の取り組みを始めています。
本県においては、平成27年度からは、地域医療介護総合確保基金を財源として、参入促進、マッチングの支援を行っていると聞いていますが、現在の取り組み状況と今後の計画をお伺いいたします。
第5点目は、ものづくり産業人材の育成について伺います。
ことし6月に県が取りまとめたいわてものづくり産業人材育成指針は、人口減少への対応、震災復興のさらなる展開、ILCを初めとする新産業の創出に向けた共通指針となるものであり、オール岩手による、企業から求められる人材育成に期待するものです。
内容は、県南広域振興局が取り組んできたモノづくりなでしこに次ぐ技術系女子―ギケジョの育成や企業OB人材バンクの創設、プロフェッショナル人材の活用、企業奨学金の創設の検討など新機軸の企画も見られますが、ものづくり産業人材育成の取り組みに不足していた点や、今後特に力を注ぐべき点など、産学官それぞれについてお示し願います。
次に、いわてデジタルエンジニア育成センターの運営強化について伺います。
いわてデジタルエンジニア育成センター―以下、DEセンターと略します―は平成21年度からスタートし、本県のものづくり産業における三次元設計開発人材の育成拠点として位置づけられ、高度技術人材育成の取り組みが高く評価されております。その運営の安定性を確保していくことは、自動車産業を初めとする本県のものづくり産業の基盤充実に重要と考えます。
DEセンターは、県が、生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業を活用し、北上職業訓練協会に委託し、実施してきたものですが、事業期間が終了したことから、今年度は県費と市費で運営されており、今後の安定運営が課題となっております。DEセンターを県立の施設へ位置づけるなど、三次元設計開発に係る人材育成や企業支援が安定的に行われるよう体制の強化をする必要があると思いますが、運営方針をお伺いいたします。
次に、北上コンピュータ・アカデミーの運営について伺います。
全国の情報処理技術者養成施設等の廃止に伴い国から譲渡された北上コンピュータ・アカデミーは、激変緩和措置として、平成23年度から平成25年度までの3カ年間は、施設修繕費と機器リースが全額国費により対応されました。その後は、県、北上市、職業訓練法人北上情報処理学園が連携して国に対し継続支援を要望し、平成27年度まではリース料の国庫補助が継続されています。平成28年度の国の予算措置については、県と北上市が継続支援を要望していますが、存続が毎年度の予算措置に左右され、見通しが不透明な運営を強いられ、学生や地元は不安を抱えています。
北上コンピュータ・アカデミーの入学生は北上市出身者が30%で、残る70%は県内から広く学生が集まっています。就職先は、県内75%、県外が25%という状況であり、県内で活躍しています。北上コンピュータ・アカデミーが広く県内の人材育成に寄与していることや、県内の産業集積を果たすためにも、今後、県立の施設へ位置づけるなど、県による強力な関与と運営支援が必要ではないでしょうか、御所見をお伺いいたします。
第6点目は、空き家対策等について伺います。
人口の減少等を背景として全国的に空き家が増加しており、岩手県においても住宅の13.8%が空き家となっています。適切に管理されない空き家は、防災や防犯などの観点から周辺の住環境に悪影響を与えることもあり、ことし5月には空き家対策特別措置法が全面施行され、市町村が空き家の所有者に対して除却等の措置を命ずることができるようになりました。
国では、空き家の活用、適正管理、除去に関する相談体制の整備や管理ビジネスの育成等を支援するため、不動産関係団体等の取り組みに対して、空き家管理等基盤強化推進事業による補助事業を実施していますが、市町村単位で取り組みを行うことは難しく、県のリーダーシップが求められております。
そこで、県における空き家対策の取り組みについてお伺いいたします。
次に、中古住宅のインスペクション―住宅診断や認証などについて伺います。
中古住宅が評価されない一因として、耐震性や防水性などの一定品質が確保されているかどうかわからないという問題点があります。そのため、中古住宅の品質を専門家が確認してお墨つきを与えるインスペクションを普及させる必要があり、国においては、平成25年6月に既存住宅インスペクションガイドラインを策定し、専門家の育成などを進めているところです。
そこで、空き家の活用等を進めるため、県においてもインスペクションの普及や専門家の育成に取り組むべきだと考えますが、御所見をお伺いいたします。
7点目は、女性の活躍推進について、関連する2項目を伺います。
まず、県における女性管理職の状況等について伺います。
新聞報道によれば、2015年度女性管理職は全国平均で7.8%と、前年度より0.6ポイント上昇し、最も高い東京都は15.1%で、鳥取県、富山県、神奈川県が10%台ということです。また、2014年―平成26年4月1日現在で内閣府が調査した全国都道府県女性職員の任用状況調査では、女性管理職は2、700人弱で、女性職員総数3万7、000人余りに対する比率は7.2%です。
岩手県の比率は4.2%で、一般行政職員に限ると比率はさらに低下し、わずか1.9%で、47都道府県中最下位、実人数も8人にとどまっています。他都道府県に比べ女性県職員の管理職登用が進んでいない理由は何か、これまで講じてきた女性職員キャリアアップの取り組み内容とあわせてお示し願います。
また、9月4日に施行された女性の職業生活における活躍の推進に関する法律において、地方公共団体に義務づけられた特定事業主行動計画の策定方針や、女性登用についての具体的な数値目標の設定についてお伺いいたします。
最後に、女性への性暴力、性犯罪被害者に対する支援について伺います。
性暴力被害者の心身の負担軽減や回復を図るとともに、さまざまな支援を総合的にサポートするワンストップ支援センターの設置が全国的に進んでおります。内閣府は、平成24年、各都道府県に少なくとも1カ所はワンストップ支援センターが設置されることが望ましいとの見解をまとめ、開設、運営の手引きを作成しております。これを受けて、被害直後における診療やカウンセリング等の心理的支援、法的支援など、可能な限り1カ所で行うようなワンストップ型のほか、ネットワークによる連携型など、地域の実情に合わせた形態により各地で運営されているところがあります。
本県における性犯罪の認知件数は平成26年で57件あり、被害者が精神的、身体的に大きな傷を負っていることは極めて遺憾であります。
そこで、これら性犯罪被害者への支援の取り組み状況と関係機関との連携について伺います。あわせて、ワンストップ支援センター設置についての現時点での考え方をお示し願います。
以上でございます。答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(田村誠君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐藤ケイ子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、市町村長とのコミュニケーションについてでありますが、希望郷いわての実現に向けて、復興とふるさと振興をなし遂げるためにも、県と市町村の信頼関係は極めて重要であります。これまでも、できるだけ、被災地初め県内各地の現場に足を運ぶよう心がけており、市町村長との都合が合えば、可能な限りお会いするよう努めてまいりました。また、市町村長から面談の申し入れがあれば、日程を調整してお会いしているところであります。
今後とも、引き続き、市町村長との対話と連携を進めて、意思疎通を図りながら市町村の実情とニーズの把握に努め、県と市町村が一体となった復興、そしてふるさと振興に取り組んでまいります。
次に、国民健康保険の運営見直しについてでありますが、本年5月に国民健康保険法が一部改正され、平成30年度から都道府県が財政運営の責任主体となり、市町村とともに、国保の運営を担うこととなったところであります。
この制度改正によって、国保に対して毎年3、400億円の財政支援が行われることとなりましたが、今後も医療費の増嵩が見込まれますことから、それに耐え得る財政基盤を確立することなどが課題となっており、将来にわたる国民健康保険制度の安定的な運営について、全国知事会を通じて国に働きかけているところであります。
一方、制度の詳細については、現在、国と地方3団体で構成される国保基盤強化協議会において検討されており、本年度中を目途に、財政運営の仕組みや国保運営方針のガイドライン等が示される見込みです。
本県では、去る9月24日に、市町村及び国民健康保険団体連合会との協議の場として広域化等支援方針推進連携会議を開催し、今後の進め方等について意見交換を行ったところでありまして、引き続き、国の検討状況を踏まえ、関係団体と連携を図りながら準備を進めてまいります。
次に、空き家対策ついてでありますが、ことし5月に施行された空き家対策特別措置法によりまして、市町村は、危険な空き家に対する指導等の措置を行い、都道府県は、市町村に対する情報提供や技術的助言等の支援を行うこととされたところであります。
県においては、国や民間の専門家を講師とする行政職員向けの勉強会の実施、民間事業者も対象とした専門家によるセミナーやトークセッションの実施、市町村が行う勉強会等に対する県職員の派遣といった取り組みを行っているところでありまして、今後も市町村や不動産関係団体等と連携しながら、空き家対策に取り組んでまいります。
その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
〔秘書広報室長木村卓也君登壇〕
〇秘書広報室長(木村卓也君) 市町村要望の実施状況等についてでありますが、市町村要望については、当該市町村を所管する広域振興局長が受理し、特に重要な項目については、本庁関係部局長等同席のもと、広域振興局長から知事へ直接報告しております。本年度は9月末時点で県内全市町村から要望を受けており、その主なものは、道路整備を初めとする社会資本整備、復興関連、地域医療体制整備などでございます。
要望の受理件数は、平成24年度以降600件程度で推移しており、県政への反映状況については、直近の平成26年度は、受理した要望606件のうち、提言に沿って措置したものと実現に向けて努力しているものを合わせますと426件、70.3%となっておりまして、広域振興局と本庁が地域課題を共有し、一体となって県政への反映に努めているところでございます。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、地域医療構想についてでありますが、県では、現在、法令や国の策定ガイドラインを踏まえつつ、広大な県土を有し、限られた医療資源の中で、公的医療機関が地域医療に大きな役割を担っている本県の特殊性なども考慮して策定を進めており、構想区域をどのように設定するかや、患者の将来的な流入や流出の見込みなどを主な論点として検討を行っているところです。
国のデータによりますと、岩手中部圏域の平成25年度における入院医療の完結率は85.8%と県内では中位で、圏域内で一定の入院医療が確保されており、病床機能別に見ると、主に慢性期については盛岡圏域など隣接する保健医療圏との連携により、医療提供体制が構築されています。
こうした現状を踏まえ、引き続き圏域の意見なども伺いながら、医療審議会において構想の策定を進めてまいります。
次に、奨学金制度と医療従事者の確保策についてでありますが、国の医学部入学定員の拡大方針を受け、平成20年度以降拡充した医師奨学金制度では55名の貸付枠を確保し、これまでに351名に貸し付けしております。
これら奨学金養成医師は、来年度から、順次、各地域の病院等で勤務しますが、キャリアの形成と地域への円滑な配置の両立が課題となっており、現在、配置調整会議において、適正な配置に向け調整を進めています。
今後、毎年40名程度の養成医師が輩出され、また、毎年10名を目標に即戦力医師の招聘に取り組んでまいりますが、さらに、平成20年度以降、全国の医学部定員が2割ふえていることから、臨床研修医の採用拡大に努めるなど、これまで以上に医師確保につなげていきたいと考えております。
看護職員については、修学資金制度の拡充などにより毎年増加しておりますが、医療の高度化や高齢化の進展などに伴い需要もふえ、第7次看護職員需給見通しでは、本年の不足数は737人となるなど、当面の間、この状況が続くと認識しています。
県では、修学資金による養成に加え、勤務環境の改善やU・Iターンの促進、看護学生向けの就職説明会の開催に取り組んでおります。
今後は、離職者の潜在化防止や再就業を支援することを目的に、本年10月から開始された看護師等の届け出制度も活用し、看護職員のさらなる確保と定着を推進してまいります。
次に、認定こども園等の設置拡大についてでありますが、平成27年4月1日現在における県内の認定こども園の設置数は39カ所と、平成26年4月1日現在の30カ所に比べ、9カ所の増となっております。
また、子ども・子育て支援新制度において、新たに市町村の認可事業として位置づけられた小規模保育事業については、平成27年4月1日現在で10カ所が設置されているところです。
認定こども園への移行は、子ども・子育て支援新制度における公定価格の動向や利用者の推移等を踏まえ、設置者みずからが判断することを基本としながらも、県においては、これまで、幼稚園、保育所等への説明会などを通じて制度の趣旨を説明し、認定こども園の普及を図ってまいりました。
今後とも、国の補助制度を最大限活用して必要な財政措置を講じるほか、移行手続等の情報提供や相談へのきめ細かな対応などにより、認定こども園の設置の拡大に向けて取り組んでいきます。
次に、子育て支援センター、ファミリーサポートセンターの状況についてでありますが、子育て支援センターの情報発信については、パンフレットの作成送付に要する経費等に対する補助、アイーナに設置した県子育てサポートセンターによる県内各地の子育て支援センターだよりの収集と関係機関への送付及び子育て応援ポータルサイトいわて子育てiらんどへの掲載により、子育て中の家庭への情報提供を支援しているところです。
また、広域的利用については、他市町村の関心ある取り組みを実施しているセンターを利用することは、制度上可能となっているところであります。
ファミリーサポートセンターの情報発信についても、同様に、所要の経費に対する補助を実施しております。その広域的利用については、事業の効果的な実施のために必要な場合には、他の市町村から会員を募ることも可能とされているところです。
こうした制度の効果的な活用方法について、まずは実施主体である市町村の意見を伺っていきたいと考えております。
次に、児童虐待についてでありますが、本県の平成26年度における児童相談所の一時保護児童数は252人で、保護した日数は延べ5、432日となっており、過去5年間の中では最も多くなっています。
本県におきましては、一時保護所の定員を超える状況とはなっていないものの、保護した児童が安心して快適な生活ができるよう、居室の整備を初めとする環境の改善に努めてまいります。
人的体制については、増加する虐待相談に対応するため、これまで児童福祉司を順次増員してきたほか、児童虐待に専門的、機動的に対応できる虐待対応専門チームを整備するなどの強化を図ってきたところであります。
児童相談所は、虐待対応の中核となる機関であることから、今後においても、相談件数の動向や現場の実情等を把握しながら、必要な体制の整備に努めてまいります。
次に、特別養護老人ホーム等の状況と今後についてでありますが、市町村では、中長期的な人口動態やサービス受給の見込み、入所待機者の状況等を踏まえ第6期介護保険事業計画を策定しており、施設サービスや居住系サービスなどの各種介護サービス量の増加に伴い、県全体では、特別養護老人ホームで991床相当、介護老人保健施設で285床相当、認知症グループホームで347床相当の開設が見込まれています。
県では、今後とも、必要なときに必要な介護サービスが受けられる環境が整備されることが重要であるとの認識のもと、市町村が計画に基づいて行う各種介護サービスの基盤整備に対し補助を行うとともに、介護サービスを支える人材確保も重要な課題であることから、市町村に対する助言や事業者に対する支援を行ってまいります。
次に、介護人材確保対策についてでありますが、県では、今年度、地域医療介護総合確保基金を財源に、県内各地に介護人材キャリア支援員7人を配置し、介護人材の新規参入や潜在的有資格者の掘り起こし、求人とのマッチング支援を行っているほか、小規模事業所を対象とした合同面接会の開催、介護の仕事の魅力を発信するテレビ番組によるPRを行うこととしています。
また、国、県、市、事業者団体及び養成機関などをメンバーとする岩手県介護労働懇談会が組織され、介護人材確保の取り組みを連携して行っており、本年11月に、盛岡市内の大型商業施設で開催する介護の日フェスタで、介護の仕事の魅力をPRする予定です。
来年度の取り組みについては、現在、県内の市町村、事業者及び関係団体等を対象に事業案の募集を行っており、今後も、介護労働に関係する多くの方々の参画、協力を得ながら、当該基金を活用した介護人材確保の取り組みを進めてまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、いわてものづくり産業人材育成指針についてでありますが、県では、震災からの復興のさらなる展開、人口減少問題への対応などに向けまして、産学官が今後のものづくり産業人材育成の方向性を共有するため本指針を取りまとめたところであり、現在、これをもとに、ふるさと振興総合戦略やいわて県民計画第3期アクションプランに盛り込むべき内容の検討を進めているところです。
今後、これらの計画策定と並行してさらに内容を吟味し、仕上げていくこととしております。
ものづくり産業人材育成に係るこれまでの取り組みから見えてきた課題としましては、ものづくりや地元企業に対する県民の一層の理解増進、企業が求める人材を効果的に育成するための仕組みづくり、育成した人材の地元企業への定着促進などが挙げられます。このため、今後、特に企業においては、魅力ある就職先となるよう、従業員の成長につながる社内教育や情報発信の強化による知名度の向上、それから教育分野においては、ものづくり教育やキャリア教育を強化するため、小学生から企業人までの各ステージに応じたものづくりへの理解増進や教育、研修の充実、県、市町村等行政においては、各機関の取り組みが効果的に展開されるためのコーディネートや仕組みづくり、支援策の展開などの取り組みを進めることにより、県全体ですぐれたものづくり産業人材を継続的に育成し、定着させていくことが必要と考えております。
次に、いわてデジタルエンジニア育成センターの運営強化についてでありますが、県では、自動車などものづくり産業の競争力強化とともに、付加価値の高いものづくりを促進するため設計開発力の強化が重要と考え、平成21年度から、北上市と連携の上、本センターを開設し、三次元設計開発人材の育成を実施してきております。
三次元設計開発技術は、設計業務の効率化にとどまらず、受注の拡大や生産プロセスの効率化にもつながる技術であり、自動車関連を初めとするものづくり産業の振興を図る上で、ますます重要になると認識しております。
県としては、今後も三次元設計開発人材の育成は必要と考えており、北上市や関係機関等とも相談しながら、いわてデジタルエンジニア育成センターの体制を含め、今後の運営方向等について検討を進めてまいります。
次に、北上コンピュータ・アカデミーの運営についてでありますが、本施設は、平成23年に独立行政法人雇用・能力開発機構から北上市に無償譲渡され、職業訓練法人北上情報処理学園が運営しているものでありますが、平成3年4月の開設以来、多くの人材を輩出し、地域の情報化と経済の発展に寄与しており、継続して運営できるよう、財源の確保が重要であると考えております。
このため、県では、北上市と連携して、国の財政支援の継続を働きかけるなどその運営を支援してきたところであり、平成25年度までの国による激変緩和措置終了後も、今年度までコンピューターのリース料について国の支援が継続されているところです。
平成28年度以降の国の財政支援の継続について、今年度も北上市と連携して国に対して要望を行ったところであり、その結果、国の平成28年度予算概算要求において盛り込まれたとの連絡を受けております。
県としては、今後も、北上市と緊密に連携しながら、国の財政支援が継続され、安定運営が図られるよう支援してまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 中古住宅のインスペクションについてでありますが、中古住宅の品質や性能に不安をお持ちの方々が安心して中古住宅を取得するためにインスペクションは不可欠なものであり、この普及により、中古住宅の流通の活性化につながるものと考えています。
そこで、県におきましては、来年1月に、一般社団法人岩手県建築士会が開催するインスペクター養成講座を応援するなど専門家の育成を支援するほか、不動産団体との意見交換の場などを通じて、インスぺクションの普及に努めてまいります。
〔総務部長風早正毅君登壇〕
〇総務部長(風早正毅君) まず、女性管理職の状況についてでありますが、他都道府県に比べ女性管理職の割合が少ない理由としては、管理職に昇任する年齢層における女性職員の割合が少ないことが要因の一つと考えております。過去においては、採用者に占める女性の割合が少なかったことに加え、結婚や出産、子育て期における女性の離職が男性よりも多かったことが原因と考えられますが、近年は、女性採用者の割合が増加し、育児休業等の制度が整備されるなど、環境も変化してきております。
女性職員のキャリアアップに関しましては、これまでも自治大学校における長期研修のほか、東北自治研修所や民間研修機関が実施するリーダー養成研修等に女性職員を派遣してきたところでありますが、今年度からは、新たに女性リーダーの養成やキャリア形成等に関する県独自の研修を開始するなど、取り組みの充実を図ったところであります。女性職員のキャリアアップに引き続き取り組んでまいります。
次に、特定事業主行動計画の策定についてでありますが、この計画は、県が事業主の立場で女性職員の活躍を図っていくために策定するものであり、女性の採用や管理職比率等の現状を把握、分析した上で、数値目標や具体的な取り組み内容を盛り込み、今年度末までに策定することとされております。
内容の具体的な検討はこれからとなりますが、策定に当たりましては、国が示すガイドラインを参考としながら、女性職員がより一層能力を発揮し、活躍できるような計画となるよう検討を進めてまいります。
〔環境生活部長根子忠美君登壇〕
〇環境生活部長(根子忠美君) ワンストップ支援センターの設置についてでありますが、性犯罪の被害者は心身に大きな負担を抱えているため、救急医療、相談やカウンセリングなど心身両面での支援のほか、訴訟などの法的支援など多岐にわたる支援が必要とされています。
現在、県内では、公益社団法人いわて被害者支援センターが、性暴力等被害相談専用電話はまなすサポートラインを設置し相談対応を行うなど、関係機関が相互に連携しながら支援を行っております。
ワンストップ支援センターは、性犯罪、性暴力の被害者の負担軽減のために必要な支援を可能な限り1カ所で提供するもので、現在のところ、このような形では設置されていませんが、その趣旨については理解しております。
設置に当たってはさまざまな課題が想定されることから、今後、課題の把握を含め、支援を行う関係機関、関係団体と意見交換を行ってまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 子供の居場所づくりについてでありますが、御案内のとおり、奥州市におけるホワイトキャンバス等の子どもの居場所事業は、小学生から高校生までの幅広い年齢集団による交流やジュニアリーダーの育成、子供の主体性を大切にした運営等の先駆的な取り組みであると承知いたしております。
県におきましては、子供の安全・安心な居場所の確保に向け、教育委員会と保健福祉部が連携して、放課後子ども教室や放課後児童クラブ等の公的な居場所を全小学校区に設置することを目指して取り組んできているところであり、平成26年度の設置率は91%となっております。
また、放課後子ども教室の指導者等を対象に、ホワイトキャンバス等の先駆的な取り組みの事例や、指導者からのニーズが高い特別な支援を必要とする児童生徒の指導等に関する研修会を開催し、県内各地の活動の充実に向けた取り組みも進めてきております。
今後におきましても、地域の実態やニーズに応じた児童生徒の安全・安心な居場所確保の取り組みが促進されるよう、必要な財源の確保や研修内容の充実などに努めてまいります。
次に、就学援助費についてでありますが、準要保護世帯に対する就学援助につきましては、平成17年度の三位一体改革により、国庫補助事業から地方への税源移譲と地方交付税措置への移行が行われ、現在は市町村の単独事業として実施されているものであります。
本県におきましては、生活保護の基準額をもとに要件を設定している市町村は、33市町村のうち24市町村あり、最も多い区分といたしましては、その基準額に1.3倍の計数を掛けた所得により認定している市町村が10市町村となっております。
所得要件を設定していない市町村においては、児童扶養手当の支給の有無や市町村民税の減免などを要件として認定しております。
準要保護世帯の就学援助に地方交付税措置などが講じられていることを踏まえますと、県による財政支援を行うことは難しいと考えておりますが、就学援助は、経済的理由により就学が困難な世帯の子供の学ぶ機会を保障するために極めて重要なものでありますので、今後におきましても、市町村への地方財政措置に沿った適切な運用が図られるよう、市町村に対する助言や、県内市町村における制度設計の実態などの必要な情報提供を行ってまいります。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) まず、性犯罪被害者への支援の取り組み状況についてでありますが、県警察では、捜査に伴う被害者の負担を軽減するため、届け出を受理したときから主に女性警察官の支援要員により、病院への付き添い、被害者からの事情聴取及び各種捜査活動への付き添い、そしてパンフレットを配付しての捜査の流れなどについての説明などの支援を行っております。
また、経済的支援といたしましては、病院での診察費用、診断書料、各処置費用、あるいは精神科医によるカウンセリング費用などを公費で負担しております。
次に、関係機関との連携についてでありますが、多くの場合、先ほどお話がございましたが、公益社団法人いわて被害者支援センターと連携しており、同センターにおいては、警察の支援活動を補完する形で、病院、検察庁、裁判所等への付き添い、被害者へのカウンセリング、弁護士への仲介などの支援を行っていただいております。
また、同センターでは、性暴力被害に遭われたものの、警察への届け出などをためらう方にも支援の手を差し伸べる目的で、平成26年4月より、はまなすサポートラインの名称で相談電話を設置し、相談者のニーズに応じた支援を行っております。
〇8番(佐藤ケイ子君) 御答弁ありがとうございました。
割と抽象的な御答弁をいただいたのかなと思っております。さらに前向きな御答弁をいただきたいと思っております3点について再質問をさせていただきます。
1点目は、認定こども園も含めた保育所等の待機児童対策についてです。
待機児童の対策については、保育士の確保とそれから認定こども園、小規模保育も含めた保育施設の確保が必要であります。今回は施設整備の関係を取り上げましたので、その関係について再質問いたしますけれども、答弁では、認定こども園が9カ所ふえている、また、小規模保育所も10カ所ふえているということでございましたけれども、現実的に待機児童は減少しておりません。さらに、こういった施設整備も重要になってくるかと思います。
それで、保育施設の整備には補助金が出ております。国が2分の1、市町村が4分の1、設置者が4分の1というのが基準です。ところが、実際は2分の1程度が設置者負担になっているんです。補助金に限度額があるということ、補助対象外という経費がかなり大きいということで、外溝工事とか備品とか、いろいろな必要な経費でありながら、補助対象外という経費が多いわけです。
北上市でもここ数年間に2カ所の保育施設の整備がありました。保育所の建てかえ、認定こども園の整備がありましたけれども、その1カ所は、総事業費3億7、000万円に対して約半額が法人の負担になりました。やはり補助対象外経費が非常に多かったということです。そのため運営が大変厳しい状況になっておりまして、保育士の処遇改善もなかなか難しい、保育士確保にも支障を来すという悪循環になりつつあるのではないかと見ております。設置者負担をどうやって軽減していくか、この設置者負担の厳しい現状を認識いただければと思います。
また、小規模保育事業所の整備は改修補助のみでありまして、新規の参入が促進されるのか疑問なのです。
そこで、待機児童対策として、補助制度の改善をさらに国に要望する、県単補助を出して誘導しなければ、施設整備はなかなか進まないのではないかと思いますが、再度、認識をお伺いしたいと思います。
次は、児童虐待の対応についてですけれども、先週の10月8日に厚生労働省が児童虐待の件数の速報値を公表したということで、新聞報道があったわけです。全国では8万8、931件ということで、過去最多を更新したと大きく報道されました。この数字はあくまでも児童相談所がかかわった件数で、児童相談所が知らないまま虐待死が刑事事件になったケースも考えると、事態はもっと深刻ではないかと見ている記事でありました。そしてまた、保護した子供を短期滞在させる一時保護所も収容力が全国各地で定員オーバーの状態になっている、職員不足も深刻になっているという状況です。
岩手県の状況は、先ほどの答弁でも、相談件数がかなりふえている、一時保護の児童もふえているということであります。相談件数はふえていますけれども、実際の対応件数は微増とも聞いておりましたけれども、これは対応件数の認識が違うのではないかと思っています。虐待と認定されたものだけが、件数として対応件数とカウントされているわけですけれども、実際は、相談を受けると必ず何らかの対応をしているわけで、虐待と認知されなくても、両親の不和に関連したトラブルとか、対応が完結しなくて翌年度に繰り越されたものもカウントされていないということで、いろんな対応を実際はしているということです。対応件数ではなく、相談件数の増加に応じた職員の配置が必要だということを認識いただけないかと思っています。
児童福祉司の国基準は、人口4万人から7万人に対して1人、交付税の算定基準は人口170万人で36人ということで、岩手県は28人の基準だそうです。3施設で28人配置されていますので、一応基準には達しています。そのうち4人が兼務職員で、課長、次長ということで、兼務している任務がたくさんある。実質的に現場対応できない状況にあります。それから、ほかの県からの応援職員3人も含まれておりますので、いつまで応援職員に頼れるのか、引き揚げられたらどうなるのか懸念されているところです。虐待への的確な対応を早期に図るために、児童相談所の体制強化が必要だということを思っていますけれども、さらに認識を伺いたいと思います。
3点目は、いわてデジタルエンジニア育成センター―DEセンターのことです。DEセンターは、センター長以下8名の体制で、三次元設計開発人材を育成しています。国の補助事業が終わりまして、今年度は予算規模が縮小され、県費が4、300万円余り、北上市が1、000万円余り出して運営しています。大変優秀な講師陣ですけれども、人材の流出も懸念されるという状況になっております。
先ほどの答弁では、北上市と相談しながら今後の検討をしていくということでございましたけれども、自動車産業を初めとするものづくり産業の基盤は人材育成です。岩手県全体の産業を育てる視点で、安定的にDEセンターが維持される方向性を具体的に出していただきたいわけですけれども、改めてお伺いいたします。
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、保育所等の待機児童対策としての整備費補助についてでありますが、県においては、東日本大震災津波以降の工事費の増嵩に伴う補助事業者の超過負担の解消を図るため、平成25年度に国に対して建設費用の高騰に合わせた補助基準額の見直しについて要望いたしました。その結果、平成26年度における国庫補助基準額は、平成25年度に比べ約9.5%の増とされたところでありますが、現時点においても国庫補助の基準が実態に即していないとすれば、県としては、まずは国に対して補助基準額の見直し等について要望していくべきものと考えております。
次に、児童相談所の体制強化についてでありますが、先ほど答弁申し上げましたとおり、これまでも児童福祉司の増員を図ってきたところでありますが、これに加え、虐待対応研修等による職員の知識、能力の向上や、警察と合同での実技訓練による対応力の強化にも努めてきたところです。
議員御指摘のとおり、児童虐待への的確な対応のためには、児童相談所が持つ専門性を十分に発揮できるようにすることが重要であり、私どもも同様に認識しております。今後においても、必要な体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) いわてデジタルエンジニア育成センターの運営強化についてでございます。今後とも、三次元設計開発人材の育成は必要であるという認識でございます。
県としましては、厳しい財政状況にある中、いわてデジタルエンジニア育成センターの体制も含めまして、今後の運営方向等について、北上市等とともに今後検討を進めてまいります。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後5時11分 散 会

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