平成27年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇17番(佐々木朋和君) 改革岩手の佐々木朋和でございます。
改選後、初めてとなる定例会において質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様方に感謝を申し上げます。
それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
初めに、人口減少対策について伺います。
県では、国のまち・ひと・しごと創生法に基づき岩手県人口ビジョンを作成し、岩手県ふるさと振興総合戦略の最終案を公表されました。人口減少に立ち向かう施策として、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの3本を柱に、5年間の具体的な数値目標を定めました。
地域を回っておりますと、地域の担い手が結婚をし子育てをしていくためには、まず第一に、安定した雇用の確保が必要であるとの声をお聞きします。地域の担い手である40代、50代に手が届こうかとする男性が、十数人こぞって安定した職業がなく独身で家にいる。同世代の女性は、皆、域外に出ていってしまった。そのような集落もあります。これは珍しいことではなく、県内の郡部の集落ではよくある現状であり、あと5年この状態を放置すれば、その集落は限界集落となるというほどに深刻な状況で、県で示した人口ビジョンの現状を現場感覚で申し上げれば、これが偽らざる姿であります。
県では、これまでも、商工業や観光振興、企業誘致、農林水産業振興、グリーンツーリズムや6次産業化、再生可能エネルギー、新産業の創出などなど、さまざまな分野で雇用の創出を行ってきましたが、その生み出した雇用の質については検証をしてきたのでしょうか。また、さきに述べた地域の担い手世代に届いていたのでしょうか。
人口減少が進む中では、年収100万円から200万円の非正規雇用ではなく、夫婦共働きで500万円から600万円の収入が得られるような、いわゆる中間層と呼ばれる世帯を創出する雇用の確保が望まれます。また、雇用形態も、夫婦ともに不安定な派遣や臨時などの非正規ではなく、少なくとも、どちらかは正規雇用となるような雇用の確保が必要であります。しかし、岩手県ふるさと振興総合戦略の指標を見ても、県民所得水準の目標値はありますが、正規雇用を目指す目標値は見つかりません。
県は、正規雇用の拡大に向けて、どのような戦略で取り組みを進めようとしているのか伺います。
また、県では、平成26年度における人口の社会減2、975人を、平成32年までの5年間でゼロにするとの目標を立てていますが、そのためには、県内の若者の流出に歯どめをかけるとともに、定住促進を促す必要があります。
例えば、県内で2人の子供を育てるのに家計収入は幾ら必要か、そのような生活をするには、東京ではどのぐらいの収入が必要なのかなどの定量分析を行い、公表するなど、県民に対してよりわかりやすい指標を提示することが必要と考えますが、御所見を伺います。
また、本県における最低賃金はことし10月から695円となり、過去最高の17円の上げ幅となりましたが、全国的に見ればDランクの水準であり、地域格差は広がっています。平成26年の労働時間も、年間総実労働時間が全国平均より104時間長い1、892時間で、岩手県では働く時間が多いというデータもあり、これでは、首都圏からの人材還流の流れはつくれないのではないでしょうか。また、女性の社会進出を促すような働き方の多様化も大企業では進んでおり、ことし上半期の全国の出生数は5年ぶりに前年を上回りました。このような取り組みが本県の中小企業でもなされるようにしなければ、より首都圏への一極集中は強まってしまうと考えます。
そこでお伺いしますが、県は、本県の長時間労働の原因をどのように捉えているのでしょうか。また、ワーク・ライフ・バランスの確立に向け、長時間労働の是正、働き方の多様化の推進のための戦略をお示し願います。
次に、人口減少対策における市町村との連携について伺います。
本県の県南地域においては、岩手県ふるさと振興総合戦略におけるまちづくりにおいても、ILCの誘致を念頭に置いた施策の展開が予想されます。ILCの誘致を進める上では、まちづくりにおいて、県と市町村との連携、市町村間の連携、さらには、宮城県北エリアとの県境連携が重要であり、具体的にそれを進めていくためには、県のリーダーシップの発揮が期待されます。
今後の誘致に向けた市町村連携や県境連携について、県としてどのように進めていくのか伺います。
次に、中小企業振興について伺います。
本県に占める企業の99.8%が中小企業であり、雇用の質の向上を図っていくためには、中小企業振興が重要であります。本県では、中小企業振興条例が制定され、知事は、中小企業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るとしており、地方創生の視点からも、若者が魅力を感じられる企業の育成が望まれます。条例では、中小企業の振興に関する総合的かつ長期的な目標と施策の方向を基本計画として定めることとされていますが、事業者、関係団体、市町村の十分な意見を基本計画に反映させていく必要があると考えます。
県では、この計画の策定をどのように進めていくのか、タイムスケジュールを含めてお示し願います。
また、中小企業においては人材不足も深刻で、特に社長や後継者を支えるプロフェッショナル人材の不在も問題です。政府は、地方創生の柱の一つとして、地域を支える人の育成と確保を掲げ、経営やマーケティング、技術開発、海外営業といった分野で、高度な経験や知識を持つプロフェッショナルな人材が地方企業で活躍できるようにする施策を打ち出しています。しかし、年収格差をどう埋めるかなどの課題があり、現在、国が示している3カ月から6カ月の試用期間の給与の半分助成では、不十分であると考えます。
今後、プロフェッショナル人材の環流を生んでいくための工夫が必要と思いますが、県としてどのように取り組んでいくのか、考えを伺います。
また、人材の環流、魅力ある雇用の創出には、ここで働きたいと思われるような企業の育成にも努めていかなければなりません。そういった意味では、創業支援も重要ですが、既存の中小企業の経営強化策に力を入れるべきと考えますが、御所見を伺います。
次に、地域医療、介護、福祉について伺います。
国では、2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、入院、在宅医療などサービスの需要増加が予想される中、平成26年6月に成立した医療介護総合確保推進法により医療法が改正され、都道府県は、2025年における構想区域ごとの医療需要の推計を踏まえた将来の医療供給体制に関する地域医療構想を策定することとされました。これによって、構想区域ごとに将来の病床機能の区分ごとの必要病床数を厚生労働省令で定める算出式により算出するため、地域の病床数は制限され、在宅医療へとシフトしていくのではないかと言われています。しかし、看護師養成施設の卒業者数は減少傾向にある上、看護師の高度化、専門化、都心での需要の増加などの懸念材料もあり、報道によると、本年度、必要人数に対して、全国で約1万5、000人もの不足があるとの推計も見られます。
また、医師不足も深刻で、来年度から奨学金医師が誕生することや、東北薬科大学の医学部創設などのプラス材料もありますが、そもそも診療科の偏り、地域偏在の根本原因の解消には至っておりません。
地域の中核病院においても、小児科医師、産科医師、泌尿器科医師などの確保が難しく、医師会に所属する地域の医師も高齢化が進んでおり、夜間診療などに取り組んでいただいておりますが、在宅医療への対応には不安の声が上がっています。国は、このような地方の状況を踏まえて指針を出しているのか疑問に感じるところであり、机上の空論ではない現実的な指針が必要と考えます。
県は、今後どのような方向で地域医療を守っていこうと考えているのか、お伺いいたします。
また、2025年までの10年で、公的医療機関、民間病院を含めて、在宅対応に必要な医師、看護師の人材を確保していけるのか、国が進める方向で医療供給体制を実現するために、医師、看護師をどの程度増員しなければならないのか、あわせてお示し願います。
また、このような状況に対応するため、各自治体では、訪問看護師を地域で育てる動きも活発化してきております。自治体と大学が連携して、潜在看護師も含めた訪問看護師の養成に当たっている事例や、都市部から地域医療に関心のある医師や看護師を招いての体験ツアーを企画している自治体もあります。10月から特定行為に係る看護師の研修制度がスタートし、医師からの手順書を受け取れば、みずからの判断で看護師が高齢者の慢性病患者に診療行為ができるようになります。
このような看護師の役割を広げる取り組みや医師の遠隔診療も議論の場に上げて、訪問看護師の育成と遠隔診療について検討するべきと考えますが、御所見を伺います。
また、政府は、介護についても、介護保険制度の見直しにより、特別養護老人ホームの利用者を要介護3以上に限定し、結果、在宅介護への流れを強めようとしています。
一方で、政府は、来年度の当初予算から特別養護老人ホームの整備費を拡充し、全国に52万人いる待機者のうち、要介護3以上の15万人をゼロにすると方針を出しましたが、介護報酬のマイナス改定により、介護事業者の倒産は過去最多の1月から8月までで55件となっており、施設の経営を圧迫しています。また、結果、介護従事者の賃金も上がらず人材不足となっております。さらには、2025年には、全国で介護職が37万7、000人不足すると推計されています。このままでは、整備の予算がついても、人材不足と経営の圧迫から、事業者で手を挙げる者が出てこないのではないかと懸念をしております。
そこで伺いますが、県は、2025年に向けてどの程度要介護者の増加を見込み、施設やデイサービスの利用を見込んでいるのか、また、それに必要な介護人材の数をどのように試算しているのか伺います。
また、介護職員の人材確保のためには、給与面やスキルアップのための研修を含めた待遇の改善が必要であり、そのためには経営体の強化が必須です。
特別養護老人ホームの内部留保が問題視されたことが介護報酬のマイナス改定にも影響が出たと思われますが、内部留保している施設は県内でどの程度あるのか疑問です。施設の修繕や改修、介護従事者の負担軽減のための設備投資にも一定の内部留保は必要ですし、経営体には同地域に複数の施設の運営も期待したいところであり、検討すべきは、内部留保をしっかりと設備投資に促す制度の構築であると考えます。
県は、県内事業者の現状をしっかりと把握し、3年後の介護保険制度の改定には、地方の実態に合った改定がなされるよう国に対して要望すべきと思いますが、御所見を伺います。また、県では、今後、どのように介護事業者の経営体強化に取り組んでいくのか、あわせて伺います。
また、在宅介護に対応する上で、家庭の負担を軽減し介護離職を防いでいくには、家庭へのサポートが重要です。地域包括ケアシステムを構築し、いざというときに預かってくれる施設や入院できる病院の確保が求められる一方、介護や医療の人材が限られている中で、介護予防、生活支援サービスの主体をどう育てていくかも大きな課題と考えます。いわていきいきプランでは、その主体を老人クラブ、自治会、ボランティア、NPOなどとしていますが、これらのサービスは新たなビジネスモデルであり、交通弱者対策、食事、洗濯などの生活支援など高齢者支援に、学校、部活動への送り迎えや食事支援などの子育て支援の視点も加えたダブルケア対策として取り組んでいくことも有効と考えられます。
高齢者の生活支援サービスを担う主体の育成についてどのように取り組んでいくのか、お考えを伺います。
続いて、待機児童に対する問題について伺います。
子ども・子育て支援新制度は、大都市部においては、潜在的なニーズに応える待機児童対策、人口減少地域においては、その中でも小規模保育などで対応できるよう支援を展開することを目的としてスタートしましたが、全国的に待機児童が5年ぶりに増加し、6万9、000人の保育士不足が表面化してきております。雇用環境の改善で共働き家庭がふえる中、待機児童問題は親の職場復帰に大きな影響を及ぼしており、年度途中に、三、四カ月入園を待たされる場合も多いと聞きます。待機児童の解消のためにも、しっかりとした保育士や保育所のニーズ把握を行うべきと考えますが、県ではどの程度現状を把握されているのでしょうか。
待機児童数の推移の実態と、今後の保育士の確保に向けた対応についてお示し願います。
次に、ダブルケアへの対応についてお聞きします。
晩婚化、晩産化が進む中、育児、介護を同時期に迎えるダブルケアについて政府が実態調査へ動き出すとの報道がありました。育児と介護だけでなく、障がい者や生活困窮者など、複合的な福祉課題をお持ちの世帯は相談する窓口もそれぞれ異なるために、ダブルケアの苦境に気づかれにくいなどの問題も考えられるところでありますが、現在の国の動向を踏まえ、県としての認識について伺います。
次に、観光振興について伺います。
観光振興については、観光庁の平成27年度新規事業である広域観光周遊ルート形成事業に東北観光推進機構が応募し、日本の奥の院・東北探訪ルートとして認定されました。しかし、全国の他地域も認定されており、観光庁の宿泊旅行統計調査で、外国人実宿泊者数が全国の約1%程度にとどまる東北が埋没することのないよう、魅力あるコースの設定を望むものであります。また、来春に控えた新幹線の函館延伸は、インバウンド、修学旅行両面からの効果も期待できます。
今後のコース設定に当たっての東北各県との連携、新幹線の函館延伸に当たっての北海道との連携や取り組みについてお示し願います。
また、本県において、釜石市の橋野鉄鉱山が世界遺産に登録されました。今後は、平泉と二つの世界遺産がある優位性を生かした観光振興が望まれます。また、県北の縄文文化遺跡群も登録されれば県内に三つの世界遺産を持つこととなり、国内では奈良県と並んで最多となり、県北、沿岸、内陸の周遊を促す大きな力となることも期待されております。
本年度、内陸と沿岸が世界遺産のキーワードで結ばれたことは、観光振興を進める上で大きな核となると考えられ、県内周遊観光の起爆剤とすべきと思いますが、今後、どのように世界遺産を生かした誘客と県内の周遊を進めていくか、お考えを伺います。
また、世界遺産効果を持続させていくには、世界遺産のブラッシュアップも必要です。平泉世界遺産の効果を持続させるため、拡張登録の推進、柳之御所遺跡隣接のガイダンス施設の早期完成を目指すべきと思いますが、御所見を伺います。
続いて、農業施策についてお伺いします。
まず、農業の担い手の経営についてですが、平成26年度の本県の新規就業者は246人で、3年連続で増加傾向にあり、このうち40歳未満の就農者は194人で、平成以降最多となっております。
平成24年度から始まった国の青年就農給付金による、準備型、経営開始型合わせて7年間、毎年150万円の支給や農業法人への就職する形での就農がふえたことが要因と考えられ、担い手対策に明るい兆しと言えますが、全国の農家の年間平均農業所得は、国の統計数値によると130万円程度となっています。また、一部報道によると、若い新規就農者の離農率は約3割に上り、生計が不安定なことから、5年以内で離農しているのが現状とのことであります。
県は、地方創生の面からも、農業分野においてもなりわいの質の向上を目指し、市町村や関係団体と連携しながら、若い農業者が早期に生計が安定するよう、お手本として目指していけるモデルとなる経営体を育成すべきと思いますが、県の担い手育成の認識と今後の取り組みについてお示し願います。
次に、米及び県産品の販売戦略について伺います。
本県のひとめぼれの相対取引価格は60キログラム当たり1万1、836円で、全国50位となっております。全国第1位の魚沼産コシヒカリは1万9、408円で、全国平均の1万2、142円にも届いていない状況です。だからこそ、新品種岩手107号、118号には大きな期待がかかり、都心で行われる米のPRイベントには、県産品と一体となったイベントが行われることも多く、特にも、118号には、米だけでなく岩手の1次産業の牽引役として大きな期待がかかっております。昨今、全国の特A米競争は過熱しており、山形のつや姫も、軌道に乗るまで年間1億8、000万円もの宣伝広告費を費やしたそうであります。
県は、この特A米競争にどのような戦略で臨むのか伺います。
また、先日、盛岡市で、矢巾町の地場産品を学校や病院給食に導入した事例を学び、介護、医療分野での地元食材の活用を目指すセミナーが開催されたとお聞きしておりますが、週4日から5日の米飯給食の実現など、地域内での消費を高める全県運動をするべきと思いますが、御所見を伺います。
平成27年上半期の農林水産品の輸出額は、過去最高の前年比24%増であります。その要因として日本食ブームがあり、世界にある8万店を超える日本食レストランや日本食の無形文化遺産登録も後押しになっているとお聞きします。また、日本への観光客増加も大きな要因となっており、日本で食べた食材を帰国後購入する動きがふえていると伺います。
本県においても、いわてまるごと売り込みを展開していますが、観光の場での一層の県産食材の消費拡大と、帰国後の消費につなげることに取り組むべきと思いますが、御所見を伺います。
次に、飼料用米の生産について伺います。
現在の米価の安定は、飼料用米への移行が功を奏した結果ともいえ、裏を返せば、飼料用米の生産、販売促進も米価の安定には不可欠であると思います。畜産業者からも、飼料については、震災の経験から海外産に頼り切ることへの不安の声もあり、輸入とは異なり、安定して供給可能な国産の飼料への関心が高まっております。
今後、飼料用米の生産拡大に力を入れるべきと思いますが、平成27年度の作付状況と今後の取り組み方向について伺います。
次に、高校再編について伺います。
地方創生の観点から、地域に高等学校のありなしが、その地域の人口減に大きな影響を及ぼすことから、高等学校の再編において、小規模校の存続に議論の多くが割かれております。また、同じく地方創生の観点からは、地域の産業を担う人材育成の役割も求められております。
宮城県登米市には、新たに6クラス制の総合産業高校が誕生したと聞いております。電気、工業、農業など、さまざまな専門科があった県北の高校を統合し、地元企業の技術者を講師に迎えて、地域の担い手の育成を目指す。よく農商工連携と言われますが、学生の時代からそのような人間関係の構築も期待でき、思い切った一手だと思われます。また、併設型中高一貫校においても、本県では一関一高の1校で行っていますが、宮城県では、公立、私学ともに多くの高校で実施をしており、学力の底上げに寄与していると言われております。
地方創生を進める中で、地域間の人材の環流を目指すには、小規模校に配慮しながらも、他県と比して遜色のない魅力ある学校の創出が必要であります。
高等学校の再編においては、こうした観点から、魅力ある高校づくりも念頭に置いて進めていく必要があると思いますが、新たな高等学校再編計画の具体的な考え方と公表の時期をお示し願います。
最後になりますが、災害に強いまちづくりについて伺います。
一昨年、本県はゲリラ豪雨被害に見舞われましたが、本年は宮城県、福島県で大変な水害があり、気象条件によっては2年前の豪雨被害箇所が再び被災するおそれもありました。災害は人口減少に拍車をかける要因となり得るものです。今後の豪雨災害を未然に防止する上でも、本県の最近10カ年の降水量、気象状況の変化や全国的なゲリラ豪雨被害などを勘案して河川改修計画を検証し直す必要があると考えますが、御所見を伺います。
以上で一般質問を終わりますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、正規雇用の拡大についてでありますが、5年ごとに調査が行われます就業構造基本調査によりますと、本県における正規の従業員等の割合が、平成24年は62.4%と、平成19年の66.4%から4ポイント低下しております。こうしたことから、正規雇用の拡大等により雇用の質の向上を図ることは重要であり、現在策定中のふるさと振興総合戦略におきましても、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事の創出を実現するために、一層強化すべき取り組みの一つとして位置づけたところであります。
県では、これまでも、岩手労働局等と連携しながら、安定的な雇用の確保や働き方改革の推進などについて関係団体に要請するとともに、産業振興施策や雇用対策基金を活用した雇用の創出、拡大を図ってきたところであります。また、雇用の質を上げるためには、個々の企業の収益性の向上を図ることも重要でありますので、設備等の高度化への支援やカイゼンの導入などを進めてきており、今後も正規雇用の拡大や賃金等処遇の改善につなげていくよう取り組んでまいります。
次に、2025年に向けた医療人材の確保についてでありますが、県では、地域に必要な医師等が確保され、県民が必要な医療を適切に受けることができる効率的かつ質の高い医療提供体制の構築に向けて、地域の医療関係者などの意見も伺いながら、地域医療構想の策定に取り組んでいるところであります。
構想の策定後は、その実現に向けて、構想区域ごとに医療関係者や市町村等を構成員とする協議の場を設置して、構想で定める病床機能ごとの必要病床数や在宅医療体制等を確保していくための具体的な方策について協議を行ってまいります。
また、地域医療介護総合確保基金を活用して、病床機能の分化、連携や在宅医療の推進、医療介護従事者の確保などに取り組み、医療需要の変化に応じた医療提供体制の確保に努めてまいります。
構想実現に必要な医療従事者数については、法令や国のガイドラインにおいては医療従事者の需給見込みやその推計方法が示されておらず、現状では推計が困難でありますが、今後、厚生労働省が医療従事者の需給状況を議論する検討会を立ち上げると聞いており、その検討状況を注視しながら、さらなる人材確保や在宅医療への移行も含めた医療提供体制の構築に取り組んでまいります。
次に、広域観光周遊ルートについてでありますが、新幹線など高速交通体系の整備等により地域間の誘客競争が厳しさを増していることから、東北各県が連携して広域観光振興に取り組むことが重要であります。このため、県では、東北各県や民間企業で構成します東北観光推進機構と連携して、国内外でのプロモーション活動等を展開しております。
今般、この機構を中心に取り組む東北のモデルルートであります日本の奥の院・東北探訪ルートのコース設定につきましては、平泉など集客力のある観光地を核として、テーマ性、ストーリー性を持って、各県の観光資源を組み合わせることで、誘客効果を最大限に発揮できるよう進めていきたいと考えております。
また、新幹線の函館延伸に向けて、これまで北海道と連携して首都圏等での誘客活動を展開してきたところであります。今後は、外国人観光客の人気が高い北海道からの誘引を図るため、二つの世界遺産を有する優位性など本県の特性を生かしながら、北海道と一体的な海外プロモーションを展開しますとともに、震災学習と歴史、文化学習などを組み合わせた本県ならではの教育旅行の北海道内での売り込みを強化して、本県への誘客拡大につなげていきたいと思います。
次に、世界遺産を生かした誘客と県内の周遊促進についてでありますが、本県が世界遺産を二つ有する全国でも数少ない県である優位性を生かしまして集客力を高めますとともに、世界遺産を核として県内各地の魅力ある観光資源を組み合わせて売り込むことによって、何度も本県を訪れるファンの拡大につなげていくことが肝要であります。
このため、今月から来年3月まで展開しますいわて秋冬期観光キャンペーンを中心に、本県が世界遺産の県であることを強くアピールするPRを首都圏等で展開するとともに、内陸と沿岸をつなぐバスツアーの運行を支援するなど、全県への周遊促進に取り組んでいるところであります。今後も、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会や平泉の世界遺産登録5周年に向けた取り組みとも連動し、市町村、関係機関と連携して、地域の魅力向上や受け入れ態勢の充実、情報発信の強化を進めて、世界遺産を核とした広域周遊の促進とリピーターの拡大を図ってまいります。
次に、担い手の経営確立についてでありますが、本県農業の持続的な発展を図るとともに、食料供給基地としての役割を果たしていくためには、地域農業を支え、産地の核となる担い手の育成が重要であります。このため、県では、意欲ある農業者の経営改善に向けて経営力向上のための研修会を開催するとともに、農地集積や農業機械、施設の整備を支援しています。さらに、経営の規模拡大や多角化を目指す農業者に対しましては、岩手大学等と連携したいわてアグリフロンティアスクールによるマーケティングやビジネススキルの習得など、経営発展に向けた支援を行っています。
今後も、こうした取り組みによって、若い農業者の目標となるリーディング経営体などを育成してまいります。
その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長大平尚君登壇〕
〇政策地域部長(大平尚君) 定住促進のための指標のあり方についてでありますが、人口の社会減対策として、若者の県内定着のための産業振興や雇用機会の確保を図るとともに、県内就職の促進やU・Iターン等の取り組みを重点的に推進する必要があります。このため、県では、これまで県内ではいわて就職面接会を、首都圏においてはU・Iターンフェア等を開催してきたところであり、今年度からは東京のふるさと回帰支援センターに移住相談員を配置し、県内に就職を希望する若者などに対して各種情報提供等を行っているところです。
現在、定住交流ホームページのリニューアルや新たな移住パンフレットの作成を進めておりますが、その中では、議員から御提言のあった、首都圏と比較した家賃、生活費などの物価水準や、通勤、余暇時間の比較など、定住に向けての本県での暮らしが具体的にイメージできるよう定量的な統計データも掲載することとしております。
引き続き、市町村や関係機関と連携し、工夫を凝らした効果的な県内外への情報発信に努めるとともに、ただいま申し上げたような統計データも活用しながら、若者の県内への定住の促進に向けて取り組んでまいります。
次に、ILCの誘致に向けた市町村、県境連携についてでありますが、ILCの実現には関係者間の連携が重要であり、一関市や奥州市などの関係市とは随時連絡をとり合い、情報共有を図っております。また、県南広域振興局では、管内市町で構成される政策課題研究会の場で情報交換を行っているほか、岩手・宮城県境連絡会議において、岩手・宮城県境の振興局、地方振興事務所が、ILCの動向や誘致に向けた取り組み状況について情報を共有しております。
ILCを契機とした広域的なまちづくりについては、本年4月に、岩手県、宮城県、一関市、奥州市、気仙沼市の2県3市で構成されるILCまちづくりの検討会を設置し、里山との調和や多文化共生など、まちづくりのコンセプトや、地域の交通、住居などのインフラから、教育、医療、産業振興までを含めた広域的な将来方向について検討を進めているところです。今後とも、関係者間の連携を密にしながら、これらの活動を発展させ、ILCの実現につなげてまいります。
〔商工労働観光部長菅原和弘君登壇〕
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) まず、ワーク・ライフ・バランスの確立についてでありますが、本県の平成26年の1人当たり年間総実労働時間は、全国平均に比べ、所定外の時間はやや短いのに対し、所定内の時間が100時間以上も長くなっており、その原因としては、全国平均より出勤日数が多いこと、年次有給休暇取得率が低いこと、非正規労働者割合が低いことなどの要因が考えられ、長時間労働につながる職場の意識や労働慣行も一因であると推測されます。
そのため、県では、事業者や労働者の意識や労働慣行を変えていくことが必要であると考え、ワーク・ライフ・バランスに関する企業の優良な取り組み事例の紹介を含めたセミナーの開催などの普及啓発や、労働時間の短縮等に取り組む事業主に対する国の助成制度の活用の促進などに取り組んでおります。
また、岩手労働局と連携し、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、多様な働き方などの働き方改革に向けた取り組みについて、関係団体への要請活動を行っております。今後も、国や関係団体等と連携しながら、一層こうした活動に取り組んでいくことにより、ワーク・ライフ・バランスの実現を図ってまいります。
次に、中小企業振興条例と基本計画についてでありますが、条例第12条により、中小企業の振興に関する基本的な計画を定めることとしており、現在、策定作業を進めております。策定に当たっては、中小企業者及び中小企業関係団体で構成する中小企業振興基本計画検討委員会を設置し、計画内容の検討を行っていただいております。今後は、この委員会でのさらなる検討に加え、商工観光審議会での意見やパブリックコメントの内容等を踏まえて計画案を取りまとめ、県議会において御審議をいただき、今年度内に基本計画を策定することとしております。
次に、プロフェッショナル人材の還流についてでありますが、中小企業を支える人材の育成と確保を図るためには、プロフェッショナル人材のU・Iターンを促進していくことも必要であるとの認識のもと、国の制度を活用したプロフェッショナル人材の地方への就職支援を行っているところです。
具体的には、プロフェッショナル人材が正式採用前に、一定期間、受け入れ企業で就業した場合、受け入れ費用の一部を助成するU・Iターン中核人材お試し就業補助金を今年度開始し、さらに、今般の補正予算案に、プロフェッショナル人材の求人ニーズを掘り起し、マッチングにつなげる活動拠点の設置運営に要する経費を計上しているところです。このように、国の制度を有効に活用して、中小企業の求めるプロフェッショナル人材の確保を支援し、中小企業の経営力の向上等につながるよう取り組むこととしており、当面は、これらの対応を通じ、中小企業のニーズの把握に努めてまいります。
次に、中小企業の経営強化についてでありますが、本県では、常用雇用者の約85%が中小企業で働いており、雇用の受け皿となる魅力ある企業づくりといった観点からも、中小企業の経営力を高めていくことが重要と認識しております。このため、県では、商工団体等と連携し、企業からの相談対応や経営課題に応じた専門家の派遣、県の融資制度を通じた事業資金の供給などを行い、中小企業の経営力強化に向けた取り組みを支援しているところでございます。
また、東日本大震災津波による被害や人口減少社会の進行など、県内企業は厳しい経営環境に直面していることから、持続的に事業活動を展開していくためには、将来を見据えた新たな戦略を練り、環境の変化に柔軟に対応していくことが重要と考えます。
県では、こうした取り組みが促進されるよう、新たな商品の開発や販売など経営革新に取り組む中小企業の計画策定や事業実施を支援しております。さらに、今年度内に策定を予定しております中小企業振興基本計画に基づき、中小企業振興施策を総合的、計画的に推進することにより、中小企業の経営力向上に向けた取り組みを支援してまいります。
〔保健福祉部長佐々木信君登壇〕
〇保健福祉部長(佐々木信君) まず、訪問看護師の育成と遠隔診療についてでありますが、広大な県土を有し、医療人材が不足している本県においては、ICT技術を活用した遠隔診療やチーム医療の一翼を担う看護職員の資質向上が重要であると認識しております。
遠隔診療については、県立病院間や岩手医科大学との間で、いわて情報ハイウェイを活用し、遠隔画像診断や病理診断などが行われているほか、現在、岩手医科大学と沿岸の中核病院を結ぶ医療情報連携システムの構築に取り組んでいます。
看護職員の資質向上については、新人から管理者までの各段階に応じた研修の実施や認定看護師の育成に対する補助に取り組んできたところであり、訪問看護師についても、基礎から管理までの各段階に応じ研修を実施し、育成に努めております。
次に、2025年に向けた介護人材の確保についてでありますが、市町村では、国から提供された推計ソフトを用い、要介護認定者数等の推計を行っています。それによると、県内の要介護認定者は2025年には7万3、000人余で、2014年に比較し、約1万6、000人増加します。同様に、施設サービスの利用者は2025年には1万7、000人弱で約2、700人の増、デイサービスについては、利用回数でのデータとなりますが、2025年には約238万回で、約34万回の増と推計されています。こうした介護サービス需要の増加を受け、2025年における介護職員の需要推計数は約3万1、000人となり、供給推計数に対し約5、000人不足すると見込まれています。これは、近年の入職、離職や人口動態を反映したシナリオに基づく機械的な推計であり、平成27年度以降の新たな取り組みの効果は見込んでいないものです。
県では、需給ギャップを埋めるため、関係機関とも連携しながら人材確保の取り組みを進めているところであります。
次に、介護事業者の経営体強化策についてでありますが、介護サービスについては、その内容により、社会福祉法人のほか、株式会社などを含む多様な民間事業者がサービス提供を行っており、その経営規模もさまざまです。
今回の介護報酬改定については、法人形態や運営規模にかかわらず一様に厳しいとの意見を伺っており、本年6月の政府予算提言、要望において適切な水準の介護報酬の設定を要望しておりますが、今後も事業者の実態を的確に把握し、要望に反映させていきます。
県では、安定的な経営のもとでのサービス提供が重要であると認識しており、社会福祉法人については、社会福祉経営サポート事業により経営指導や研修等を実施しているところでありますが、現在、国会において社会福祉法人に係る制度改革が継続審査となっており、その動向を踏まえて対応してまいります。
さらに、小規模な事業者を重点的に支援する労働環境整備・改善セミナーや合同研修などの取り組みを行っており、今後とも多様な介護サービス事業者の経営体強化を支援していきます。
次に、高齢者の生活支援を担う主体の育成についてでありますが、県では、老人クラブが行う定期的な訪問による見守り活動などを支援しているほか、いきいき岩手支援財団のいわて保健福祉基金を通じて、高齢者団体やボランティアが行う介護予防の取り組みなどに助成し、団体の活動を支援しています。
また、高齢者社会貢献活動サポートセンターを設置し、高齢者団体の立ち上げや運営について助言するなど、自主的な取り組みを行う高齢者団体を育成しております。今後とも、このような取り組みにより、高齢者の生活支援サービスを担うことができる主体の育成に努めてまいります。
さらに、市町村が配置する生活支援コーディネーターを対象に、地域アセスメントやサービス開発手法などのカリキュラムを取り入れた研修を実施し、生活支援サービスの担い手の発掘やサービス供給の仕組みづくりを担う人材の養成に取り組んでまいります。
次に、保育所の待機児童の実態と保育士の確保についてでありますが、本年4月1日現在の待機児童数は13市町村で128人となっており、昨年4月1日現在の8市町村193人に対し、市町村数は5カ所の増となっているものの、待機児童数は65人の減となっています。
県におきましては、市町村子ども・子育て支援事業計画の策定に当たり、待機児童の解消に向け、計画的な施設整備や小規模保育事業の活用等について助言を行ってきたところです。
また、保育士の人材確保のため、岩手県保育士・保育所支援センターを平成25年10月に設置し、潜在保育士の掘り起しやマッチング支援、保育士や保育所に対する相談、支援等を実施しております。今後とも、保育士等の賃金改善に係る処遇改善加算措置について周知するとともに、保育士資格取得を目指す者に対する支援など、保育士の人材確保に向け、引き続き取り組んでまいります。
次に、育児と介護のダブルケアなど複合的な福祉課題への対応についてでありますが、少子高齢化の進行等に伴い、住民が抱える福祉課題は多様化、複雑化しており、これらの課題に迅速、適切に対応するためには、地域の各相談機関等が領域を超えたネットワークを構築するとともに、ふさわしい相談機関につなぐコーディネート機能を強化していく必要があると認識しております。
県といたしましては、複合的な福祉課題に対する支援内容や方法を調整し、適切な福祉サービスに結びつける地域福祉活動コーディネーターの育成に取り組んできたところですが、先般、厚生労働省のプロジェクトチームにより、新しい包括的な相談支援システムの構築や、これを担う人材の育成、確保等についてのビジョンが取りまとめられましたことから、こうした国の動向を踏まえ、地域の総合的な相談、支援体制の整備を促進してまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、特A米競争、県オリジナル水稲新品種の販売戦略についてでありますが、全国の米産地から食味レベルの高い新品種がデビューしている中で、県オリジナル水稲新品種の岩手107号、岩手118号のブランドを確立するためには、穀物検定協会が実施しております食味ランキングで特A評価を取得し、さらに品質や食味を安定させることにより、米卸業者、小売店、消費者の信頼をかち取ることが重要であります。このため、現地試験の結果等に基づく栽培マニュアルの作成や栽培研究会の設置による栽培管理の統一など、全国トップクラスの品質と食味の実現に向けた取り組みを進めることとしております。
さらに、米流通やマーケティングの専門家、米穀専門店、料理研究家等から意見をいただきながら、平成28年2月には、話題性を高めるプロモーションの展開等を内容とした販売戦略を策定し、生産、流通、消費などにかかわる県内外の機関、団体等が一丸となって早期ブランド化に取り組んでまいります。
次に、地域内での消費拡大についてでありますが、県では、いわて食財の日の取り組みや、県内の民間団体や大学等で構成するいわて未来づくり機構などの協力を得て、県民一丸となった食べよう!いわての美味しいお米。運動を展開するなど、県産食材の利用拡大に取り組んでおります。
このような取り組みにより、本県における地産地消は着実に進展してきており、平成26年度の小中学校での米飯給食の実施は、全国平均を0.5回上回る週3.8回まで増加しております。今後も、市町村の地産地消促進計画の策定支援等を通じ、学校や医療、福祉施設等での地元食材の利用促進に取り組みますほか、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会を契機に、県産食材を提供する飲食店、小売店を拡大するなど、県民の地産地消に向けた意識の醸成と県産食材の一層の消費拡大に、県、市町村、関係団体が一体となって取り組んでまいります。
次に、観光と連携した県産食材の消費拡大についてでありますが、平成26年の本県の外国人宿泊者数は約7万3、000人泊で、平成23年の約2.3倍に増加してきており、今後も増加が見込まれます外国人観光客に対し、品質やおいしさ等にこだわった県産食材の魅力を実感していただき、さらに、帰国後も県産食材を味わっていただく取り組みが重要であります。このため、県産食材を提供します宿泊施設やレストランを拡大しますとともに、外国人観光客をターゲットにした県産食材の外国語版パンフレットの作成や海外での販売促進活動などに取り組んできましたが、今後、県産食材を外国語で紹介する動画を制作するなど情報発信の強化に努め、県産食材の消費と輸出の拡大につなげてまいります。
次に、飼料用米の作付状況と今後の取り組み方向についてでありますが、県では、国の交付金等を最大限に活用した飼料用米の生産拡大に向けて、これまで、畜産経営体や飼料メーカーとのマッチングや単収向上に向けた専用品種の導入拡大、作付の団地化、保管施設の整備支援などに取り組んでまいりました。この結果、平成27年産の飼料用米の作付面積は4、155ヘクタールとなり、前年産の約2倍に増加したところであります。今後も、米の需給動向等を踏まえ、飼料用米の需給調査等に基づくマッチングを進めますとともに、主食用米への混入防止や数量の増加に対応した保管施設の確保に向け、一層の団地化の推進、保管施設の整備支援など、市町村や農業団体と連携しながら、飼料用米の生産拡大に取り組んでまいります。
〔県土整備部長蓮見有敏君登壇〕
〇県土整備部長(蓮見有敏君) 災害に強いまちづくりについてですが、本年も宮城県、福島県を初め、全国各地で大雨による洪水被害が相次いでおり、治水対策の重要性はますます高まってきているものと認識しています。
本県においても、一昨年には、7月から9月にかけて3回の記録的な豪雨に見舞われ、大きな被害が生じましたが、一方で、北上川本川や県管理の中小河川において治水対策を講じてきたところについては、一定の効果があったところです。
本県の管理河川の整備率は現在48.6%にとどまっており、また、改修済み区間においても、堆積土砂等の影響で十分な機能が発揮されない場合もあることから、まずは、未整備区間の改修の推進と、適切な維持管理や水門等が確実に機能する体制づくりなどに努めていくことが重要であると考えています。
なお、新たな河川改修計画を策定する際には、直近の観測雨量データについても考慮した計画となるよう進めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 平泉世界遺産の拡張登録に向けた取り組みについてでありますが、拡張登録につきましては、平成24年度に開催した国内専門家会議において、基礎的な調査研究等の不足が指摘されたことから、県及び関係市町が連携し、平成25年度から当面5年間、集中的に調査研究に取り組むこととしたところであります。
調査研究の3年目である本年度は、アジアにおける平泉文化をテーマとして学術研究集会を開催するとともに、遺跡の価値を明確にするための発掘調査を継続的に実施するなど、拡張する構成資産を含めた平泉の世界遺産としての価値を証明するための取り組みを推進してまいりました。
また、ガイダンス機能については、現在、平泉町の平泉文化遺産センターがその役割を担っておりますが、展示、収蔵等の機能が不足していることから、平泉町からは、新たなガイダンス施設の整備の要望を受けております。
このガイダンス施設については、平成21年度にユネスコへ提出した推薦書において位置づけているところであり、今後、この整備を含め、拡張登録に向けた検討を進めてまいります。
次に、新たな高校再編計画の具体的な考え方についてでありますが、再編計画の具体化に向け、本年5月以降、県内9ブロックごとに、今後の県立高校のあり方に関しての地域検討会議や意見交換会を開催し、4月に改訂した今後の高等学校教育の基本的方向等を御説明し、県民の皆様や市町村長等地域団体を代表する方々から、多くの貴重な意見を伺ってきているところです。
地域検討会議などにおきましては、それぞれの地域における高校の重要性に鑑み、できる限り、高校を存続してほしいといった御意見や、地域と連携した魅力ある学校づくりに取り組んでほしいといった声を多くいただいております。
引き続き、地域検討会議や意見交換会を開催し御意見を伺ってまいりますが、これまでいただいた御意見も十分に踏まえ、ふるさとを守る人材の育成に向け、魅力ある学校づくりや学校規模の維持による教育の質の保証に加え、教育の機会の保障の観点も重視していくことなどを柱に、さらには、平成21年度までの高校再編の経緯等も踏まえながら、新たな計画の策定を進める考えであります。
また、計画の公表等の時期については、今後の意見交換の状況等により流動的な面はありますが、可能であれば本年末までに計画案を公表し、パブリック・コメント、その一環としての地域説明会も実施した上で、本年度中を目途に計画を策定したいと考えております。
〇17番(佐々木朋和君) それでは、何点かお答えをいただいたものに対して再質問をさせていただきたいと思います。
今、高校再編について教育長から御答弁をいただきました。さまざまな点に配慮しながら進めていくということでありまして、その中でも、地域を守る人材を育成していくということで御答弁をいただいたと理解をしております。その中で、私も質問の中で事例を挙げさせていただきましたが、宮城県登米市の総合産業高校では、1年次に、社会人、職業人としての基礎づくりとして、いわば社会人教育の場を設けているということでございました。
親御さんに話を聞くと、社会人としてのスタートは、やはり大企業もしくはこういった社会人としてのスキルを学べるような企業で働かせたいというのが親心であるという話をよくお聞きいたします。そういった中で、本県は99.8%が中小企業だということがありまして、社会人教育をどうやってこの岩手県内で進めていくかというのが、大きな課題であると私は認識をしております。
教育委員会において、この高校再編にも絡めてでありますけれども、社会人教育について、どのように検討しているのかお伺いをしたいと思います。
また、同じく総合産業高校では、二、三年次には、自分の専門以外にもほかの専攻科目も学んだり、また、課題研究、総合実践の場として、例えば、福祉分野掛ける工業分野で福祉機器の開発であるとか、農業系掛ける商業系で地域の観光旅行企画を開発したり、また、福祉、商業、工業を掛け合わせて介護サービスの高度化をねらうなど、そういったことを地域の産業間と連携しながら実践をしていくという計画を立てております。
先ほど教育長が言われたように、地域を守っていく人材を育てていくというのであれば、こういったような人口減少社会に必要なイノベーションと雇用を生み出すような取り組みと一緒に人材を確保していかなければいけないのではないかと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。
また、先ほど高度プロフェッショナル人材の環流という話の中で、私は、岩手県の県民性を見れば、岩手県人は観光の分野でおもてなしについてはすばらしいと。一方で、シャイな面があって、県外から人を招いていくには、そういった土壌づくりもしっかりと進めていかなければならないのではないかと思っております。
これは商工業の話だけではなくて、例えばILCについても、今のうちから、海外の皆さんと地域の皆さん、そして例えば店舗の店員さんが交流をしていく場をつくっていかなければならないと思いますし、また、地域においても、定住促進を図っていくためには、今のうちから県外の皆さんと交流を図れるような事業を進めていかなければいけない。地域のお祭りや行事についても、今は県民だけでやっておりますけれども、そういった中で、県外の皆さんも一緒に含めた中での活動を応援していくでありますとか、そういったことも進めていかなければならないと思っております。
そういった意味で、岩手県ふるさと振興総合戦略の中に落とし込むときには、ぜひとも、交流事業により一層力を入れていただきたいと思いますけれども、この点についてお聞きをしたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) まず初めに、社会人教育、キャリア教育の関係でございます。
高校に限らず、キャリア教育につきましては、子供たちには近い将来、社会人になってその地域を支えるといういわば次代を担う大きな役割がございますので、できる限り、早い時期からキャリア教育を推進していくということが、まずもって大事だなというように思っています。
そういうことで、小学校から高校まで、子供たちのそれぞれ発達段階に応じてキャリア教育を推進してきておりまして、特に、高校においては、まさに大学か就職かという、より身近な、社会への出口に近い存在でございますので、そういう取り組みを強化していく必要がなお求められているというように考えております。そういう意味で、教員からの指導ということはもちろん大事でございますけれども、産業界との連携によって、経営者から具体的に企業活動をどうなされているかというようなお話を伺い、生徒自身が身につけるということも大事でございますし、それを指導する教員もまたその地域を理解するということが極めて大事だと思いますので、そういう取り組みを、今後なお一層、推進してまいりたいというように考えております。
それから、宮城県北の高校再編の御紹介がございました。登米市における高校再編につきましては、それぞれ近接する高校がございまして、それは普通高校それから専門高校もございました。この人口減に対応してどう再編するかということで取り組まれたのが、その事例だというように承知しております。
その検討段階においては、岩手県が平成21年度までに一関市に総合学科校を設置したり、県全体でも総合学科校それから総合的な専門高校を設置したというような経緯もございまして、そういうことも含めて、まさに岩手県と一体の地域でございますので、そういう選択をされたのかなというように承知いたしております。
いずれ、議員からは、それぞれの高校において、複数の学科を超えた形でのキャリア形成というようなことも大事だというような御意見を賜りました。今後の高校再編のあり方について、そういう視点も含めながら、十分に検討させていただきたいというように思っております。
〇商工労働観光部長(菅原和弘君) プロフェッショナル人材の環流についての土壌づくりが大事ではないかという御指摘でございます。
今般の9月補正予算で、そのプロフェッショナル人材の求人ニーズの掘り起こし、そして、マッチングにつなげる活動拠点をつくるというお話を申し上げました。その中で、プロフェッショナル人材戦略マネジャーというものを置くことにしてございまして、このマネジャーにつきましては、県内の中小企業に対しまして、外部から積極的に人材を取り入れていくように攻めの経営、経営改善への意欲を喚起するところから手がけていただきたいと思っておりますので、そのような取り組みの中で、鋭意、留意をしてまいりたいと思います。
また、それから関連いたしまして、例えば県外との交流の促進というお話がございました。これにつきましては、岩手県ふるさと振興総合戦略の中におきましても、例えば観光の面では、交流人口の拡大ということでの取り組みをいたしたいと思っておりますし、その観光を通じた触れ合いをもとに、その先々の話ではありますが、それをまた移住、定住のほうにつなげていくと、そのようなストーリーで戦略を描いていきたいと考えてございます。
〇政策地域部長(大平尚君) 交流人口の拡大に関連いたしまして、ILCの海外の研究者、海外の方との交流を今から準備すればよろしいじゃないかという御提言がございました。
現在、奥州市のILCサポート委員会の方々を中心として、そのような視点でできないかということで、県も一緒に相談に乗りながら、県内在住の外国人の方々が地域に出向くというような取り組みについて検討しているところであります。
先ほど商工労働観光部長から申しました交流人口の拡大とあわせまして、このような取り組みを実際に進めて、事業実施に当たっては、そういうところも含めて進めてまいりたいと思います。
〇議長(田村誠君) 次に、福井せいじ君。
〔22番福井せいじ君登壇〕(拍手)

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