平成27年9月定例会 第2回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(五日市王君) 創成いわての五日市王でございます。
初めての代表質問の機会を与えていただきました会派の皆様並びに先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、以下質問をいたします。
と、その前に、我が会派創成いわての御紹介を申し上げます。
創成いわては、さきの県議選において無所属で当選をさせていただきました工藤大輔議員、中平均議員、工藤誠議員、田村勝則議員と私の計5名で、去る9月14日に結成をいたしました。
私ども5名は、本県を取り巻く人口減少や格差の広がりなど、地域の活力低下が進んでいることに加え、東日本大震災津波からの復興はいまだ途上の重要な時期に直面している今こそ、県民主体の新しい時代の岩手を創生するときであるとの思いを共有した同志であります。
今後は、創成いわての基本理念である、県民の皆様が未来に希望を持てる社会、地域に自信と誇りを持って住み続けられる社会の実現のため九つの基本政策を推進し、岩手全体の底上げ、並びに県政の限りない発展と県民の幸福を追求していくため、積極果敢に活動をしてまいりますので、県民の皆様、県議会並びに執行部の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは質問に入ります。最初に、達増知事3期目の抱負とマニフェスト実現についてお伺いいたします。
御案内のとおり、達増知事は、戦後の県政史上初の知事選無投票で3選を果たされました。これまで2度の選挙と違うところは、選挙戦を政党の推薦は受けず、無所属、県民党として挑んだことであります。
同日に行われました県議会議員選挙においても、立候補した63人中、政党推薦を含む無所属候補は26人、結果は、定数48人中、18人の無所属議員が誕生いたしました。これは、全体の実に38%を占める結果となり、また、改選前の無所属議員が13人であったことから、大幅に議席をふやしたのは無所属の議員ということになります。この要因は、社会情勢や政党不信、選挙区事情などさまざまであるとは思いますが、我々創成いわての所属議員のように、政党の枠に捉われることなく、県民目線、県民主体の県政推進を掲げたことに、多くの県民の皆様が賛同をしていただいた結果であると受けとめてございます。
このような選挙結果を見通せたものか否かはわかりませんが、選挙期間中、特にも政権与党のある候補は、無所属の知事や県議では、閣僚や国の幹部に会ってもらえないとか、予算が来ない、減らされるなどの発言を繰り返し支持を訴えたようでありますが、であれば、知事選は一体誰に投票をすればいいのかというのが、政権与党支持者を初め、多くの県民からの疑問の声であったと認識をいたしてございます。
が、そのことはさておき、こういった発言を聞いた有権者からは、本当に閣僚や国の幹部に会ってもらえないのとか、予算が来ないのと不安の声があることも事実であります。
公平中立で国家の運営をつかさどる行政のトップが、岩手県民の代表である知事や県議の政治的スタンスのいかんでこのような幼稚な態度をとることは考えられませんが、これまで2期8年半の経験をお持ちの達増知事はどのような感想をお持ちなのか、みずからの体験も含めお伺いをいたします。また、現政権が続く限りは、このような喧伝が続くものと思われますが、どのように立ち向かっていかれるのか、決意のほどをお伺いいたします。
次に、今般の選挙戦に当たり、知事は希望マニフェスト2015―2019、希望郷いわて、復興とふるさと振興を掲げ、8項目の政策を示しました。早速、知事演述にも落とし込んだことと思いますが、3期目の抱負と、重点的に取り組む事項について改めてお伺いいたします。
次に、知事演述の中にもございましたが、地域医療の充実と生き生き健康社会の項目の一つに、日本の地域医療を守るための(仮称)地域医療基本法の制定を全国に呼びかけるとありますが、この内容についてと、今後の進め方についてお伺いいたします。
また、行政評価の指針に、新たに幸福度を取り入れるとございます。これは、かつての同僚議員であり、4年前の知事選にも出馬した高橋博之氏が県議会の場で何度か御提案を申し上げておりましたが、岩手ならではの幸福度とは具体的にどのようなことを考えておられるのかお伺いいたします。
さらに、1期目と2期目のマニフェストでは、県北・沿岸振興が高らかとうたわれておりましたが、3期目のマニフェストでは姿が消えました。県北・沿岸振興を会派の重要政策の一つに掲げる創成いわてとしては、まことに残念でなりません。今後の県北・沿岸振興の方向性、意気込みをお聞かせ願います。
次に、復興とふるさと創生についてお伺いいたします。
本県の東日本大震災津波からの復興基本計画は、現在、平成28年度までの第2期本格復興期間にあります。今後、復興計画の最終年度である平成30年度まで残り3年半となりました。知事演述では、ゴールとの表現が使われておりますが、これまでの主な復旧、復興事業の進捗状況と、平成30年度までのゴールの見通しについてお伺いをいたします。
また、被災市町村では、復興計画の長短によりゴールの時期がさまざまですが、これらの進捗状況と見通しについてもあわせてお伺いをいたします。
1993年、北海道南西沖地震による津波で大きな被害をこうむった奥尻島では、5年間の復興計画を立て、計画どおり5年後の1998年に完全復興宣言を行いましたが、奥尻島関係者からは、復興宣言後公共事業は減り、人口が減少、観光客も減少に転じ、地域経済が大きく衰退した。岩手県はそうならないでほしいとの重要な指摘を伺ってまいりました。
被災地の一日も早い復興はそのとおりでありますが、公共事業等はなるべく地元業者を優先させ、30年度以降も持続させながら地域経済を発展させていく必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。
次に、ふるさと創生についてお伺いいたします。
県では、まち・ひと・しごと創生法に基づき、岩手県人口ビジョンと岩手県ふるさと振興総合戦略を策定中であり、先般、案が示されました。岩手県内においては、県を初め全市町村が策定を予定しているとのことですが、全国的にもほとんどの都道府県や市町村で策定が進むものと思います。ここで心配されるのが、このような総合計画的な計画は、限られた時間内に全国一斉に策定に入ることや国のメニューが示されていることなどから、画一的でいわゆる金太郎あめ的な計画になることを大変危惧いたしております。
岩手県ならではの考え方や戦略はどのようになっているのかお伺いいたします。
地方自治ジャーナリスト相川俊英氏の著書である国に頼るからバカを見る反骨の市町村を拝読し、我が意を得たりの思いに至りました。
著書では、日本政治は戦後一貫して国土の均衡ある発展を金看板に掲げ、全国津々浦々でインフラ整備を進めてきた。巨額の税金が投じられたが、おかげで生活基盤の地域差は少なくなり、どこに住んでいても一定の利便性を享受できるようになった。一方で、東京など大都市部に富と人が集まるようになり、地方からの人口流出が加速し、過疎地域が生まれ広がっていったとの認識のもと、国は地方の疲弊を抑えようと、ハード事業を中心とする手厚い支援に加え、地域の事情を横に置いたまま、画一的な政策を採用させ続けてきた。このため、地方は自分たちで創意工夫する努力を怠るようになっていったと指摘しております。こうしたことの積み重ねがいろいろなゆがみとなってあらわれ、その一つが住民や自治体の依存症であります。住民は行政に、自治体は国に依存するようになり、自分たちで地域の課題を解決する策を考えず、しかも、自分たちで行動しなくなっていった。お任せ民主主義が蔓延し、政治、行政に注文や文句を言うばかりの住民がふえていったと指摘しております。さらに、今の地方の衰退は、日本社会を長らく覆っている中央集権、従来主義とお任せ民主主義、規模拡大経済路線などがつくり出したもので、東京一極集中と地方の疲弊はそれらの産物であり、これらの病根を残したまま治療行為を重ねても治療にはつながらないと指摘しております。その上で、二つの大きな流れを地域主権と住民自治に転換することこそが地方創生の第一歩であり、大事なことは、地方創生の主役―担い手は、国―政府ではなく地方であること、それも、地方―行政ではなく、一人一人の住民であるとの指摘であります。まさに最も根本的かつ重要な指摘だと思います。今後の策定に当たっては、この点を十分に留意し戦略を練るべきと思いますが、知事のふるさと振興に対する所感をお伺いいたします。
地方創生の柱の一つであります政府関係機関や企業の地方移転についてお伺いいたします。
都市部から地方への政府関係機関や企業の本社移転は、地方にとっては大いに期待する戦略であります。東京一極集中是正の観点から、政府が東京圏以外の道府県から募った誘致提案が8月で締め切られ、鹿児島県を除く42道府県から計69機関の誘致要望が出されたとのことであります。本県では、北上市、久慈市による森林技術総合研修所や二戸市による森林研究所の漆部門など5機関の誘致が提案されており、政府は来年3月までに移転機関を決定する方針とのことですが、これらの見通しと課題についてお伺いいたします。
また、東京の企業を対象とした経団連の調査では、本社機能を地方に一部移転することを検討していないが9割を超えたとの結果がございます。地方移転のメリットが少ないことが企業の本音のようでございますが、本県としてこの課題にどのように立ち向かうのかお伺いいたします。
1992年、当時の自公政権は、国会等の移転に関する法律を制定し、いわゆる首都機能の移転を打ち出しましたが、あれから20年以上が経過し、見るべき成果は何一つ見当たらないことは残念でありますが、東京一極集中の是正に本気で取り組むのであれば、政府はこの問題にイの一番に取り組み、その姿勢を全国に示すべきと考えます。あわせて、全国知事会、全国都道府県議会議長会などの本部も地方移転の対象にするよう働きかけを行うべきと思いますが、これらに関する知事のお考えをお伺いいたします。
国においては東京一極集中の是正が大きなテーマでありますが、岩手県においては県都一極集中の是正が大きなテーマであります。ことし2月定例会の一般質問において、この観点から広域振興局の機能強化と人材投入について知事の答弁をいただきましたが、県の出先機関、大学、研究機関、出資法人等においても県都から地方へ移転を検討することも必要と思います。今後、県都一極集中の是正にどのように取り組んでいくのか知事のお考えをお伺いいたします。
次に、県北・沿岸振興についてお尋ねいたします。
来年3月26日の北海道新幹線の開業まで半年を切りました。東京-函館間は4時間程度で結ばれるようですが、盛岡-函館間は2時間前後ということで、函館を含む北海道からの誘客には大いにチャンスが来るものと思います。
一方で、民間シンクタンクによる自治体魅力度調査で2年連続第1位の函館の存在は脅威で、本県新幹線沿線の自治体からは、ただの通過駅になるのではないかとの危惧もございます。北海道新幹線開業に向けた本県の観光戦略をどのように描いておられるのか知事の所見をお伺いいたします。
また、北海道新幹線開業に合わせ、上野と札幌を結ぶ寝台特急カシオペアの廃止が決定されました。青い森鉄道ではこの影響額を3億円の減収と試算したようですが、既に廃止された北斗星の減収分を合わせれば、IGRの経営にとって大きな痛手となることは避けられません。このため、利用者からは運賃や定期券の値上げが行われるのではないかとの心配がございます。いわて銀河鉄道への影響と今後の対策についてお伺いいたします。
次に、世界遺産登録についてお伺いいたします。
本年7月に釜石市の橋野鉄鉱山が新たに世界遺産に登録され、本県では平泉に続く2件目の登録となりました。現在、暫定リストに登録され、2017年に本県3件目の世界遺産登録を目指す一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群は、文化審議会で3年連続推薦が見送られました。まことに残念であります。この要因と今後の取り組み強化策についてお伺いいたします。
次に、脳卒中、自殺対策についてお伺いいたします。
脳卒中での死亡率は、岩手県が男女とも全国ワースト1位、とりわけ発症率に関しては県北・沿岸地域が高いというデータがございます。このため、県では、岩手県脳卒中予防県民会議を立ち上げ、全国ワーストワンからの脱却と健康寿命の延伸を目指し、さまざまな施策を展開中であります。県としてのこれまでの対策の評価と今後の取り組み強化策をお伺いいたします。
また、自殺に関しては、2014年、本県の人口10万人当たりの自殺死亡率が26.6となり、全国最悪となりました。自殺死亡率ワーストワンは、1986年以来28年ぶり、統計の残る1955年以降5回目であり、まことに残念であります。
本県の傾向では、二戸保健所管内、県央保健所管内など内陸部の自殺死亡率が高い一方、東日本大震災津波による自殺者数は年々減少しており、沿岸部の自殺死亡率は減少傾向にあります。また、自殺の原因は、健康問題や経済、生活問題が多いとの傾向がございます。このため、県では、傾聴ボランティアの育成や相談、訪問などの支援体制の整備など、総合的に自殺対策に取り組んでまいりました。また、国においては、来年度から全国に(仮称)地域自殺対策推進センターを設置し、自殺防止の推進に向け、相談体制の強化などの対策に本格的に乗り出す方針を打ち出しました。これらを踏まえ、脳卒中死亡率、自殺死亡率ともに全国ワーストワンからの脱却はもちろんですが、脳卒中にかかる人、自殺する人を減らしていかなければなりません。県としてのこれまでの対策の評価と今後の取り組み強化策をお伺いいたします。
次に、風力発電についてお伺いいたします。
県北地域における再生可能エネルギーの導入は、企業局による高森高原風力発電や一戸町の木質バイオマス発電、軽米町のメガソーラー計画や鶏ふんを活用したバイオマス発電等、着実に導入が進められようとしております。このような中、県では、風力発電の導入拡大を目指すため、風力発電導入構想を策定し、導入候補地の選定を行ってまいりました。候補地としては県北地域3カ所と県南地域1カ所が抽出されましたが、今般、岩手、青森の県境8市町村で大規模な風力発電計画があると伺っております。この計画も含め、県北地域における風力発電計画の内容及び今後の取り組み方針をお伺いいたします。
最後に、国体の準備状況についてお伺いいたします。
6日で閉幕した紀の国わかやま国体では、県勢選手の活躍が目覚ましく、天皇杯1、099点で堂々の16位という結果に関係者を初めとする全ての県民が元気をいただき、また、誇りに感じているところでございます。来年の希望郷いわて国体まで1年を切り、また、冬季大会開幕までは残り3カ月となりました。全国各地から選手団や関係者を初め多くのお客様をお迎えし、また、復興のシンボルとして開催される希望郷いわて国体、いわて大会は、県民挙げ、万全の体制のもと、成功に導かなければなりません。ことしの和歌山国体の総括と、来年の完全国体開催に向けての準備状況、課題はどのようになっているのかお伺いいたします。
また、来年度の予算編成方針では、拡張国体作戦など大会を盛り上げる取り組みの推進とありますが、どのような取り組みを行うのかお伺いいたします。
以上で質問を終わりますが、去る10月3日、4日の両日、二戸市において九戸政実の生きざまを描いた市民文士劇、天を衝くの2年目の公演が行われました。政実は、今からおよそ420年前、わずか5、000の兵で6万5、000の秀吉軍と戦いました。万が一にも勝てるはずのない天下人秀吉に少数で挑み、みずから死を選ぶような戦を仕掛けたのはなぜか。天を衝くの原作者である高橋克彦氏は、その答えをふるさとだと語りました。ふるさとこそ自分の軸であり、守り伝えるべき親や子だ。そのふるさとを皆が捨てれば、たとえ土地は同じでも、もはやふるさとではなくなる。秀吉の国土統一は日本全ての民からふるさとを奪おうとしていることにほかならない。勝てぬと知りつつ、政実はそれに気づいていない者ら全てに訴えかけたのだ、高橋氏はこのように述べております。ふるさとを守ろうとした政実の心を我々も受け継いでいくことをここにお誓いし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、私の2期8年半の感想等についてでありますが、岩手県民が選挙を通じて選んだ知事や県議会議員に対し、国の政権与党が政治的スタンスを理由に予算等で差別するということがあるとすれば、それは民主主義に反する決してあってはならないことであり、仮にそういうことがあるとすれば、厳しく糾弾されるべきものと考えます。
なお、私のこれまでの知事としての経験からは、国と県との間で意見の相違は多々ございましたが、多くの場合乗り越えることができており、政治的スタンスを理由に予算等の差別を受けたことはないと考えます。
次に、3期目の抱負と重点的に取り組む事項についてでありますが、私は、今回の知事選において、復興とふるさと振興を進め、希望郷いわての実現を目指す八つの政策を希望マニフェストに掲げたところであります。
復興については、復興道路や災害公営住宅の整備を初め、被災者の見守りやコミュニティー形成支援、復興まちづくりと一体となった中小企業や商店街の再生など、復興計画に掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に沿った取り組みを復興の量の確保と質の向上を図りながら進めてまいります。
また、ふるさと振興については、今月策定を予定しております岩手県ふるさと振興総合戦略に掲げる、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱に基づいて、人々が直面する就職、結婚、出産、育児などの岐路に丁寧に向き合う施策を展開し、誰もが働きやすい、結婚しやすい、子供を産みやすい、子供を育てやすいと感じる社会経済環境の実現を進めてまいります。
今後、ゴールに向かう復興の推進とふるさと振興に県の総力を挙げて取り組み、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現を目指してまいります。
次に、地域医療基本法についてでありますが、医療、介護需要がピークを迎える2025年に向けて、医師の確保と地域偏在の解消が日本全体の課題となっている中、都道府県ごとの取り組みには限界があり、根本的な解決に向けた全国的な取り組みが必要であると認識しております。
地域医療基本法は、住民が地域でひとしく適切な医療を受けられることを基本理念に掲げ、それを実現していくために国や地方公共団体等の責務を定め、全国レベルで医師を計画的に養成し、適正に配置することを主眼とし、本県で草案を作成したものであります。県ではこれまで、政府予算提言、要望やシンポジウムの開催などを通じてその必要性を提言してきたところでありまして、引き続き国民的な議論に向けた情報発信等を継続し、その実現に向けて取り組んでまいります。
次に、行政評価の新たな指標についてでありますが、希望郷いわての実現をより確かなものとするため、経済的、物質的な豊かさに加えて、本県における生き方や岩手ならではの豊かさにも着目し、県民の幸福度を高めていくことが重要と考えています。このため、試行的に幸福度指数の導入と評価等への活用を行うこととしております。その導入に当たりましては、岩手に根差した風土や文化、暮らし、また、東日本大震災津波からの復興に大きな力となっている地域や人のつながりといった岩手ならではの豊かさにも着目したいと考えています。
また、幸福度指標については、幸福度の度合いをアンケートにより調査する主観的指標や、幸福度に関連する統計データを用いた客観的指標の設定などが考えられるところでありまして、今後、有識者等の意見も踏まえて、本県独自の幸福度指標の確立に向けた検討を進めてまいります。
次に、県北・沿岸振興についてでありますが、これまで、県北、沿岸の発展なくして岩手の発展はあり得ないという基本的な考え方のもと、いわて県民計画に基づいて全庁挙げて県北・沿岸振興に取り組んできておりまして、東日本大震災津波の発災以降、沿岸地域については、復興計画に基づいて復旧、復興推進対策を重点的に推進してきたところであります。また、県平均を上回る人口減少が続いている県北・沿岸地域におきましては、若者の地元定着のための産業振興や雇用機会の確保等の取り組みを重点的に推進する必要があると認識しておりまして、人口減少問題に立ち向かうためのふるさと振興の取り組みを展開することは県北・沿岸振興につながるものと考えております。
平成28年度当初予算の検討に当たりましても、県北・沿岸地域の産業振興や交流人口の拡大に積極的に取り組むよう指示したところであり、今後も、引き続き、市町村を初め関係団体、企業等と連携の上、地域資源を最大限に生かしながら県北・沿岸振興に重点的に取り組んでまいります。
次に、復旧、復興事業の進捗状況と見通しについてでありますが、県が公表している社会資本の復旧・復興ロードマップでは、平成27年6月末時点で県事業は307カ所のうち約8割で着工済みであり、約3割が完成しています。平成30年度までには一部の復興支援道路等を除き、おおむね完成するものと見込んでおります。また、市町村事業については、404カ所のうち約8割で着工済みであり、約4割が完成しています。各市町村の復興計画期間は、短いところで平成27年度まで、長いところでは平成32年度までとなっていますが、市町村事業はそれぞれの計画期間内でおおむね完成するものと伺っております。県としては、引き続き被災市町村を積極的に支援しながら、一日も早い復興に努めてまいります。
次に、平成30年度以降の公共工事についてでありますが、これまでも県内業者で施工可能なものは県内業者を優先する発注に努めてきたほか、県外業者が受注した場合でも、下請契約や建設資材の納入に当たっては県内企業から選定することを要請するなど、県内業者の活用に取り組んでまいりました。震災前に比べ大幅に増額した県内の公共事業予算は復興事業が進む中で減少していくものと見込まれますが、復興後におきましても、引き続き、社会資本の整備や維持管理、老朽化対策等を進めていく必要があります。建設業は安全で安心な暮らしの守り手であり、地域に欠かせない重要な役割を担う産業でありますことから、地域経済の発展のためにも、地元優先の発注に努めながら、今後も必要な事業を推進してまいります。
次に、岩手県人口ビジョン、岩手県ふるさと振興総合戦略についてでありますが、本県の人口減少は、若年層を中心とした県外転出や出生率の低迷が相まって進行しています。人口減少を食いとめるために、岩手県人口ビジョンにおいては、人口減少を引き起こすさまざまな生きにくさを生きやすさに転換し、岩手の新しい人の流れを生み出すふるさと振興を推進するため、岩手で働く、岩手で育てる、岩手で暮らすの三つの柱を掲げました。さらに、この三つの柱を実現するため、東日本大震災津波からの復興で得られたさまざまなつながりを生かし、新たな発想で前進することや、県内での独創的な地域おこしや6次産業化の実例を踏まえた小さな地域の小さな取り組みの推進、中小企業が地域の経済社会において重要な役割を果たすローカル経済の振興など、県独自の基本姿勢を掲げたところであります。
このような人口ビジョンの考え方を踏まえて、岩手県ふるさと振興総合戦略では三つの柱に沿った具体的な施策を掲げておりますが、これらの施策を展開するためには、県民の皆さんの理解と参画が必要であります。総合戦略においては、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合い、総力を結集していくという地域経営の考え方のもと、県民、企業、NPO、関係団体、市町村など地域の主体の取り組みを盛り込んでおりまして、県民総参加でふるさと振興を推進してまいります。
次に、ふるさと振興についてでありますが、議員御指摘のとおり、ふるさと振興は、地方が主役になる政策を地方主導で進めることが重要であり、今般公表した人口ビジョン案におきましても、子育てをする若い世代が地方で働き、地方で子育てをすることが当たり前になる、地方が主役になる社会が岩手で実現することを将来の岩手県の姿として示しました。岩手におきましては、東日本大震災津波からの復旧、復興に当たって、用地迅速化のための東日本大震災復興特別区域法の一部改正の実現や、被災企業や被災施設の復旧などの現場において、迅速に被災した方々のニーズを酌み上げ、必要な施策を県みずからの判断で制度化するなど、地方主導の取り組みを率先して進めてきた成果がございます。こうした復興の取り組みの成果も土台として、人々の暮らし方や働き方など、これまでの地方における経済、社会、行政の仕組みを改革し、誰もが働きやすい、結婚しやすい、子供を産みやすいと感じる環境の実現を推進してまいります。
また、先ほども申し上げましたとおり、ふるさと振興の推進には何よりも県民の皆さんの参画が必要でありまして、県民総参加で取り組みを進めてまいります。
次に、政府関係機関の地方移転についてでありますが、県では、東京一極集中の是正を図るため、本年8月、国に対し、政府関係機関の地方移転に関する提案を行いました。さきに行われた国のヒアリングにおきましては、政府関係機関が移転した場合に生じるコストなどのデメリットを上回る客観的なメリットの実証や、当該機関との連携実績などの提示を求められたと報告を受けております。
県といたしましては、引き続き国に対して、関係市町と連携しながら提案した機関の移転を求めていきますとともに、今般の取り組みは、国みずからが率先して政府関係機関を地方に移転することによって民間企業等の地方移転に対して範を示す意義もありますことから、国による主体的な移転について、全国知事会とも連動しながら訴えてまいります。
次に、企業の本社機能の地方移転についてでありますが、地方経済を活性化し、地方への人の流れをつくり出す上で、企業の地方移転や地方拠点の強化を進めることは重要であります。このことから、県では、企業の対応が促進されるよう、雇用や設備等に対する優遇税制に加えまして、施設整備等に対する直接的な支援についても国に要望しているところであります。
また、これまで、県独自の取り組みとして本社機能の一部であります研究開発部門の整備に対する支援を行ってきたところでありまして、さらなる産業の集積と高度化を図るため、引き続き県内への企業の拠点化を推進してまいります。
次に、東京一極集中是正のための首都機能移転についてでありますが、首都機能の移転は、平成4年に施行された国会等の移転に関する法律に基づき、政府において検討が進められ、その後、特段の動きがないものと承知しておりますが、東京一極集中の是正の観点はもとより、地震などの大規模災害への対応等、さまざまな観点から検討されるべきものと考えております。また、全国知事会など地方団体の本部につきましても、首都機能のあり方にあわせて検討されるべきものと考えております。
次に、県都一極集中の是正についてでありますが、広い県土を有する本県にありましては、広域振興局ごとに、地域の特性を生かした産業振興による地域経済の活性化を図るため、各局の判断で実施できる予算を措置するなど、現場主義に立脚した行政経営を展開しているところであります。また、今般お示ししている人口ビジョンにおいては、ふるさと振興の基本姿勢として、小さな地域の小さな取り組みを推進する、地域に根差した価値を生かした産業で地域経済を振興することを掲げているところであり、市町村等と連携し、ふるさと振興に全力で取り組むことによって県内各地の特色を生かした魅力ある地域づくりを進めてまいります。
次に、北海道新幹線開業に向けた本県の観光戦略についてでありますが、本県と北海道との間の移動時間の短縮に加えて、首都圏等から北日本全体が身近になることを生かし、北海道から本県への教育旅行を中心とした誘客拡大と、県内観光地と道内観光地とを組み合わせた広域周遊観光による首都圏等からの誘客拡大を図ることが肝要と認識しております。
このため、これまで、震災学習と歴史、文化学習とを組み合わせた本県ならではの教育旅行のプロモーションを北海道各地で展開するほか、北海道、東北が一体となった首都圏等での観光情報の発信に取り組んできたところであります。
今後も、二つの世界遺産を有する優位性や、北海道と共同で世界遺産登録を目指す縄文遺跡群などの地域資源を生かすとともに、例えば石川啄木をテーマとしてつながる周遊コースの形成など、両地域の観光資源を組み合わせた魅力ある広域観光ルートの構築を進めて、県内各地への誘客拡大を図ってまいります。
次に、寝台特急運行廃止によるIGRへの影響と今後の対策についてでありますが、寝台特急運行から得られるIGRの収入は年間約3億円でありまして、旅客運輸収入のおよそ2割を占め、寝台特急の廃止は、IGRの経営に少なからぬ影響を与えるものと考えております。これに対し、IGRでは、貨物線路使用料により当面安定した収入が見込まれますものの、通学者向けの企画定期券の販売や駅の利便性向上などによる利用促進、また、旅行業、不動産業等関連事業の展開など積極的な増収を図り、経営の強化を図っていくこととしております。
県としても、沿線市町と連携し、いわて銀河鉄道利用促進協議会等を通じて、これらIGRの取り組みを支援するとともに、新たに車両の大規模設備投資に対する基金造成を行うなど、利用者の利便性の確保とIGRの経営の安定化に向けて支援してまいります。
次に、世界遺産登録についてでありますが、一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群については、本年7月、国の文化審議会から、検討を深める必要がある事項として、縄文文化の価値のわかりやすい表現や資産全体の価値と個々の構成資産との関係を学術的に検討することなどが示され、本年度のユネスコへの推薦を見送られたところであります。
本県といたしましては、平泉の文化遺産や橋野鉄鉱山の登録の経験から、誰にでもわかりやすく世界遺産としての価値を提示するため、国内外の専門家の意見に基づいた具体的な議論がなお必要と考えております。
縄文遺跡群の世界遺産登録には、県北地域を初め県民の大きな期待があると承知しておりますので、次年度のユネスコへの推薦に向けて、早期に専門家による会議等を開催して課題が議論されるよう、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部会議の事務局であります青森県など、関係自治体と連携しながら取り組んでまいります。
次に、脳卒中対策についてでありますが、県では、これまで、特定健康診査や特定保健指導等の推進により生活習慣病の予防に取り組んできたところであり、本県の脳卒中死亡率は減少傾向にはありますものの、依然として全国的には高位にあります。このため、昨年7月に設立した岩手県脳卒中予防県民会議の会員と連携しながら、これまでの取り組みに加えて、岩手県脳卒中予防県民大会の開催やいわて減塩・適塩の日の設定による食生活改善の普及啓発など、企業や県民の行動変容を促す取り組みを進めております。
今後も、引き続き、県民会議の会員数を拡大し、官民一体となった取り組みを推進するとともに、会員の自主的な取り組みを促進しながら、脳卒中の予防に努めてまいります。
次に、自殺対策についてでありますが、県では、これまでゲートキーパーの養成、住民への普及啓発、保健師等専門人材に対する研修などを行う久慈モデルと言われる包括的な自殺対策プログラムの普及を図ってまいりました。この結果、本県の自殺死亡率は長期的には減少傾向にありますものの、依然として全国的に高位にあります。このため、本年3月に策定した岩手県自殺対策アクションプランに基づいて、これまでの取り組みに加えて、自殺者の多い年代をターゲットとして、事業所訪問によるメンタルヘルス対策の要請や介護予防事業と連携した高齢者支援に重点的に取り組むなど、地域コミュニティーや企業、団体等、さまざまな主体と力を合わせて県民と一体となって自殺対策を推進してまいります。
次に、風力発電についてでありますが、本県は全国的にもポテンシャルが高いことから、導入促進を図るために、平成27年3月、大規模な風力発電の導入可能性が高い地域として、県北3カ所、県南1カ所を選定した風力発電導入構想を策定したところであります。特に県北地域には有望な地域が多く、民間における開発調査が活発化しておりまして、導入構想に位置づけた折爪岳北側地区や山形基幹牧場周辺地区を含め、最大で合計500メガワットの風力発電計画が検討され、風況や環境影響などの調査が行われていると聞いております。
県では、これらの開発計画が着実に実現するように、県と県北地域の関係市町村で構成する風力発電導入構想連絡会におきまして、それぞれの地域の実情に応じた個別課題の調整を行いながら風力発電の導入促進を図り、電力自給率の倍増目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。
次に、和歌山国体の総括と岩手国体の準備状況についてでありますが、まず、和歌山国体におきましては、県選手団の大活躍によって天皇杯、皇后杯順位ともに16位と、目標としていた天皇杯順位10位台を達成し、来年の希望郷いわて国体に向けて弾みとなる大躍進を遂げましたが、これは、これまで取り組んできた本県の選手強化が結実したものと捉えております。
和歌山国体の総合閉会式で国体旗の引き継ぎを受けましたが、いよいよ来年は岩手という実感と責任の重さを感じ、改めて県民を挙げて全国の皆さんを温かくお迎えしようという気持ちが強まったところであります。
一方、希望郷いわて国体の準備状況についてでありますが、完全国体の幕開けとなる冬季大会に向けましては、10月1日に選手団等の配宿を行う配宿センターを開始するとともに、大会の円滑な運営のために、県組織を挙げた実施本部を設置いたしました。これまで競技会場施設や開始式を初め諸準備を着実に進めてきておりまして、現在、本番に向けて詳細な詰めを行っているところであります。
こうしたことと並行しまして、1年後の国体本大会と全国障害者スポーツ大会の開催に向けて、実施本部の構築や競技、式典、輸送、宿泊等の準備を計画的に進めており、とりわけ節目イベントの開催や5、300人に及ぶ運営ボランティアの募集、130万人で参加宣言、募金、企業協賛の要請など、県民総参加の機運醸成に向けて注力して取り組んでいるところであります。
また、拡張国体・大会推進大作戦としまして、スポーツの枠を超え、文化、芸術イベントや民間事業と連動したおもてなし強化の取り組みなどを全県で展開し、県民意識や地域活動のさらなる盛り上がりを図ることとしております。
これからの1年間は、今まで積み重ねてきたものをしっかりと形にする集大成の期間であり、市町村、関係機関、団体を初め、県民の皆さんとともに岩手の総力を結集して、復興のシンボルとなる両大会の成功に向けて万全を期してまいります。
日程第2 議案第49号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて及び日程第3 議案第50号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについて
〇議長(田村誠君) 次に、日程第2、議案第49号及び日程第3、議案第50号を一括議題といたします。
提出者の説明を求めます。千葉副知事。
〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
議案第49号は、教育委員会の委員であります八重樫勝氏の任期が10月10日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
教育委員会の委員は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定によりなおその効力を有するものとされる同法による改正前の地方教育行政の組織及び運営に関する法律第4条第1項の規定により、人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有する者のうちから任命することとされており、八重樫勝氏は、長年にわたる教育関係での経験で培った見識を有し、精力的な委員会活動で定評があると存じており、いわて県民計画の着実な推進や高等学校再編計画の策定、いじめ問題への対応など、重要かつ喫緊の課題への対応が求められる本県教育を推進する上で必要な方と存じております。
議案第50号は、公安委員会の委員であります高橋真裕氏の任期が10月10日で満了となりますので、同氏を再任するため、議会の同意を求めようとするものであります。
公安委員会の委員は、警察法第39条第1項の規定により、県議会の議員の被選挙権を有する者で、任命前5年間に警察または検察の職務を行う職業的公務員の前歴のない者から任命することとされており、高橋真裕氏は、本県経済団体等の要職に就任しておられ、これまでの委員在任中におかれましては、当該職務の経験を生かした警察本部や警察署職員などへの職務倫理講話の実施や県下警察署長会議などの各種行事への出席など、定例会議以外でも積極的に活動していただいており、引き続き、県警察を管理する公安委員会の業務を適正に行うことができる方と存じております。
よろしく御審議の上、原案に御同意くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(田村誠君) お諮りいたします。ただいま議題となっております各案件は、人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(田村誠君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第49号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
ただいま議題となっております議案第49号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第49号教育委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
次に、議案第50号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについてを採決いたします。
ただいま議題となっております議案第50号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〇議長(田村誠君) 起立全員であります。よって、議案第50号公安委員会の委員の任命に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(田村誠君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時47分 散 会

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