平成27年2月定例会 予算特別委員会会議録

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予算特別委員会会議記録
(第1号)
平成27年3月5日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
事務局長 杉 村   孝
議事調査課
総括課長 高 橋 勝 重
議事管理担当課長 渡 辺 謙 一
主任主査 清 川   勝
主任主査 村 上   聡
主任主査 藤 澤 壮 仁
主査 藤 枝   修
主査 田 内 慎 也
主査 菊 地 友 和
1説明員
知事 達 増 拓 也
副知事 千 葉 茂 樹

秘書広報室長 東大野 潤 一
秘書広報室副室長
兼首席調査監 保   和 衛

総務部長 小田島 智 弥
総務部副部長
兼総務室長 佐 藤   博
人事課総括課長 熊 谷 泰 樹
財政課総括課長 五月女 有 良
税務課総括課長 小 向   哲

政策地域部長 齋 藤 淳 夫
政策地域部副部長
兼政策推進室長 大 平   尚
政策地域部副部長
兼地域振興室長 菊 池   哲
政策監     森   達 也
市町村課総括課長 泉   裕 之

環境生活企画室
企画課長 工 藤 啓一郎

保健福祉企画室
企画課長 伊 藤 信 一

雇用対策・労働室
特命参事兼
雇用対策課長 高 橋 達 也
労働課長 千 田 利 之

農林水産企画室
企画課長 藤 代 克 彦

県土整備企画室
企画課長 佐 藤 隆 浩

復興局長 中 村 一 郎
復興局副局長 大 友 宏 司

国体・障がい者
スポーツ大会局
総務課総括課長 小 友 善 衛

教育企画室
企画課長 蛇 口 秀 人
〇杉村議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
佐々木大和委員、委員長席に御着席願います。
〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 御紹介ありました佐々木大和であります。よろしく御協力お願い申し上げます。
それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
渡辺幸貫委員は欠席とのことでありますので、御了承願います。
これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別委員長に工藤勝子さんを指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました工藤勝子さんを予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤勝子さんが予算特別委員長に当選されました。
ただいま当選されました工藤勝子さんが委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
工藤委員長、委員長席にお着き願います。
〔予算特別委員長工藤勝子君委員長席に着く〕
〇工藤勝子委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました工藤勝子でございます。
御推挙いただき、大変光栄に存じている次第であります。委員各位の御協力をいただきまして、職務を全うしたいと思っておりますので、皆様方の御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。(拍手)
引き続いて、副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより副委員長の互選を行います。
お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
予算特別副委員長に工藤勝博君を指名いたします。
お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました工藤勝博君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました工藤勝博君が予算特別副委員長に当選されました。
ただいま当選されました工藤勝博君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
工藤勝博副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇工藤勝博副委員長 ただいま副委員長に選任いただきまして、まことにありがとうございます。
委員長をしっかり補佐しながら委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇工藤勝子委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案35件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め、総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、9日、10日、12日、13日及び16日から18日まで、関係部局長等の出席を求めて部局ごとの質疑を行うこととし、議案35件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、18日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
なお、8日目の農林水産部の審査につきましては、第1部を農林関係、第2部を林業、水産関係とし、それぞれ区分して審査することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
これより議事に入ります。
議案第1号から議案第20号まで、議案第23号、議案第34号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第52号、議案第56号、議案第58号、議案第59号及び議案第137号の以上35件を一括議題といたします。
総務部長に総括説明を求めます。
〇小田島総務部長 平成27年度当初予算の概要等につきまして総括的に説明申し上げます。
この平成27年度当初予算は、第2期復興実施計画に掲げる参画、つながり、持続性の視点を引き続き重視し、東日本大震災津波からの本格復興に向かって邁進するとともに、希望あふれる岩手を実現するための取り組みを推進することとし、子育て支援、若者、女性の活躍、地域や産業の振興など人口減少対策を総合的に展開するほか、ILCの実現、国体、障害者スポーツ大会の成功など復興を後押しする取り組みを盛り込み、国の経済対策を踏まえた平成26年度2月補正予算と一体的に県内経済、地域の活性化を図ろうとするものであります。
それでは、予算の概要について説明を申し上げます。
お手元の議案その1の1ページをお開きいただきたいと思います。
議案第1号平成27年度岩手県一般会計予算であります。
第1条は、歳入歳出の総額を1兆1、111億9、036万9、000円と定めるものでありますが、これを前年度当初予算と比較いたしますと9.3%の増となるものであります。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は、一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
次に、歳入について御説明いたします。便宜、予算に関する説明書、厚い冊子でございますが、この1ページをお開きいただきたいと思います。
一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに、10財産収入から14諸収入までであり、その総額は4、576億5、000万円余で、前年度当初予算と比べると8.5%の増となっております。これは、主に復興需要等を背景とした法人事業税や消費税率の改正による地方消費税及び地方消費税清算金の増によるものであります。
また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は6、535億3、900万円余で、前年度当初予算と比べて9.8%の増となっておりますが、これは、主に復旧復興事業費の増に伴う震災復興特別交付税や国庫支出金の増によるものであります。
この結果、歳入に占める自主財源の割合は41.2%、依存財源の割合は58.8%と、おおむね前年度並みの割合となっております。
次に、歳入の内容について説明を申し上げます。4ページをお開きいただきたいと思います。
まず、1款県税1項県民税は408億2、200万円で、前年度比4.1%の増となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、給与を中心とした所得の伸びにより増収が見込まれることなどによるものでございます。
2項事業税は243億8、400万円で、28.9%の増となっておりますが、これは、復興需要及び円安による企業収益の改善などにより、法人事業税の増収が見込まれることなどによるものでございます。
次に、6ページの3項地方消費税は、税率の改正により189億8、100万円、58.4%の増を見込んでおります。
4項不動産取得税は25億300万円で、1.1%の減と見込んでおります。
8ページの5項県たばこ税は15億4、800万円で、2.0%の減、6項ゴルフ場利用税は2億8、600万円で、7.1%の減と見込んでおります。
10ページの7項自動車取得税は15億8、700万円で、13.8%の増、8項軽油引取税は181億9、000万円で、4.2%の増と見込んでおります。
次に、12ページの9項自動車税は、高年式の重課割合の引き上げにより177億5、200万円で、1.7%の増と見込んでおります。
10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、800万円を計上しております。
次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により1、700万円を計上、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して9、800万円を計上しております。
16ページの13項は、旧法による税で、100万円を計上いたしております。
以上、県税の合計額は1、261億8、700万円で、前年度当初予算に比べ151億8、400万円、13.7%の増となるものであります。
次に、17ページの2款地方消費税清算金は418億6、600万円で、45.4%の増となっております。
18ページの3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は207億4、900万円、19ページの2項地方揮発油譲与税は36億3、000万円、20ページの3項石油ガス譲与税は2億500万円、21ページの4項地方道路譲与税は100万円、22ページの5項航空機燃料譲与税は1、700万円をそれぞれ計上しております。
23ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための特例交付金でございまして2億6、600万円を見込んでおります。
次に、24ページの5款地方交付税は、国の地方財政対策の内容や復旧復興事業費の増等を総合的に勘案して推計を行いまして3、155億2、937万円余と、前年度当初予算に比べ292億2、601万円余、10.2%の増で計上しております。
25ページの6款交通安全対策特別交付金は4億4、234万円余を見込んでおります。
次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、5億292万円余、27ページから28ページまでの2項負担金は、民生費などの受益者負担金、市町村負担金等を計上しており30億8、920万円余となっております。
29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、30ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、31ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料、9目教育使用料では、32ページの県立学校における授業料などであります。これら使用料の総額は計欄48億9、774万円余で、前年度に比べ86.1%の増となっております。
次に、33ページの2項手数料でありますが、その主なものは、3目衛生手数料、34ページの屠畜検査に係る手数料、36ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許に係る手数料などでありまして、合計は、37ページ、計欄の22億3、132万円余で、前年度並みとなっております。
次に、38ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、生活保護や災害救助など、5目教育費負担金では、40ページの小中学校教職員の人件費に係るものや県立学校の授業料に充てるための就学支援交付金など、6目災害復旧費負担金では、漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、40ページの計欄1、408億1、635万円余で、前年度より11.1%の増となっております。
次に、41ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、52ページまでお進みいただきまして953億1、231万円余で、復旧復興事業費の増などにより29.6%の増となっております。
次に、53ページの3項委託金でありますが、その総額は、55ページまで進んでいただきまして28億5、026万円余で、16.1%の増となっております。
56ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は2億4、609万円余を計上、57ページから58ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでありまして5億9、923万円余を計上いたしております。
59ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄付など1億1、557万円余を見込んでおります。
次に、60ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は3億4、882万円余であります。
61ページ、2項基金繰入金は、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため、1、201億9、348万円余を計上しております。
62ページの13款繰越金は、整理科目であります。
63ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は1億4、020万円余を計上しております。
64ページの2項預金利子は、金利動向等の見込みから1億436万円余を計上しており、65ページ、3項公営企業貸付金元利収入は113億8、800万円を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金が主なものであります。
66ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金及び利子の収入で、合計額は、67ページの計欄1、317億7、623万円余となっております。
68ページ、5項受託事業収入は、次の69ページの計欄のとおり、合計で30億5、006万円余となっております。
次に、70ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収益32億8、959万円余を、71ページの7項利子割精算金収入は484万円を見込んでおります。
72ページ、8項雑入の総額は、75ページまで進んでいただきまして76億1、984万円と見込んでおります。
次に、76ページ、15款県債でありますが、その総額は、78ページの計欄のとおり737億2、116万円余であり、前年度に比較して60億9、800万円、7.6%の減となっております。
この結果、県債の現在高見込みでありますが、一旦294ページまで進んでいただきまして、前年度末現在高見込み額が平成26年度末、右端の当該年度末現在高見込み額が平成27年度末となりますが、295ページの計欄をごらんいただきまして、平成26年度末は1兆3、938億1、600万円余、平成27年度末では、計欄の右端になりますが1兆3、549億6、000万円余の残高になると見込んでおります。
なお、295ページの計欄の下に、県債管理基金への積立金、及びこれを調整した実質的な県債の現在高見込み額をお示ししております。
以上で歳入についての説明を終わります。
次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に説明申し上げます。
款別歳出については説明を省略し、私からは、性質別の主なものについて申し上げます。
お手元の予算に関する資料で御説明申し上げます。3ページをお開きいただきたいと思います。平成27年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと思います。
平成27年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、1の人件費につきましては1.7%の増となっておりまして、職員給や退職手当の増等を見込んでおります。4ページでございます。5の補助費等は、地方消費税清算金や地方消費税交付金の増などにより12.9%の増となっております。6普通建設事業費は、復興道路の整備などの復興事業の増額により26.5%の増となっております。7災害復旧事業費は、河川等災害復旧事業費や中小企業等復旧復興支援事業費、いわゆるグループ補助の増などにより9.8%の増で計上しております。5ページに参りまして、8公債費は2.0%の減、11貸付金は、被災した中小企業者に対する金融支援などを引き続き措置したことにより1.9%の増となっております。
平成27年度岩手県一般会計予算の概要は以上のとおりでございます。特別会計につきましては、所管部局において説明申し上げますので、私からの説明は省略させていただきます。
続きまして、議案第137号平成27年度岩手県一般会計補正予算(第1号)について御説明申し上げます。
議案その5の1ページをお開きいただきたいと思います。この補正につきましては、被災地の障がい者福祉サービス事業所の生産活動等への支援のための雇用に要する経費を増額するものであり、まず、第1条歳入歳出予算の総額に歳入歳出それぞれ1億3、080万4、000円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ1兆1、113億2、117万3、000円とするものであります。
第2項ですが、歳入歳出予算の補正の款項の区分、及びこの区分ごとの金額並びに補正後の歳入歳出予算の金額は、2ページから3ページまでの第1表歳入歳出予算補正のとおりでありますが、内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、予算に関する説明書の3ページをお開きいただきたいと思います。
まず、歳入でございますが、12款繰入金2項基金繰入金につきましては1億3、080万4、000円の増額であり、緊急雇用創出事業臨時特例基金から繰り入れを行おうとするものでございます。
次に、4ページの歳出でありますが、3款民生費1項社会福祉費につきましては1億3、080万4、000円の増額であり、被災地の障がい者福祉サービス事業所の生産活動等への支援のための雇用に要する経費を計上するものであります。
以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようにお願い申し上げます。
〇工藤勝子委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない委員に質疑時間を配分して行うことになっております。
質疑時間につきましては、まず、自由民主クラブが42分、次に、いわて県民クラブが33分、次に、希望・みらいフォーラムが33分、次に、民主党が24分、次に、社民党が15分、次に、日本共産党が12分、次に、一山会が12分、次に、会派に所属しない委員は、公明党小野寺好委員、無所属吉田敬子委員の順に、それぞれ9分となっております。
各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので御了承願います。
なお、総括質疑は、あすの正午までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
これより総括質疑に入ります。嵯峨壱朗委員。
〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
初めに、平成27年度当初予算について、本格復興邁進ということでありますが、平成27年度の当初予算は1兆1、112億円と、平成26年度と比較して944億円の増、災害廃棄物処理分を除く予算額としては過去最高の規模となっております。
知事は、それぞれの年の予算の特徴を捉えて、平成24年度はいわて復興元年予算、平成25年度はいわて復興加速予算、平成26年度は本格復興推進予算、そして平成27年度を本格復興邁進年として、平成27年度当初予算についても本格復興邁進予算と名づけております。それぞれ被災地の状況、復旧、復興のあり方、目指すべき点を踏まえて命名してきたものと思われますが、その違いがよくわからなかったのですが、当然のことながら知事はこれまでも復旧、復興に向けて邁進してきたものと思っておりますが、あえて本年を邁進年、邁進予算としたのはどういった意味があるのか、復旧、復興に向けた姿勢が何か変わったのでしょうか。また、県民の皆さんにどのようなメッセージを伝えようとしたのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 平成27年度は本格復興期間の2年目に当たり、復興を引き続き県政の基軸として、被災者の皆さんが一日も早く恒久的住宅に転居できるよう災害公営住宅の整備や復興まちづくり事業などのさらなる進捗を図り、被災者の皆さんが安心して生活を営むことができるように、引き続きお一人お一人のニーズにきめ細かく対応してまいります。
邁進という言葉の辞書的意味は、勇み立ちひたすら進むということであり、岩手県民は、発災以来、復興に向けて勇み立ちひたすら進んできているわけでありますけれども、来年度は過去最大規模の事業から成る復興をきめ細かく進めていかなければならないという一つの正念場に当たり、ぜひともこれを成功させようという思いを込めて邁進という言葉を用いたところであります。
〇嵯峨壱朗委員 基軸としてずっと邁進してきたと。邁進という言葉に、県民でなく知事がことしは邁進するんだと、そういった手法のほうに力点があるような気がするんです。これまでもずっと邁進してきたというのはそのとおりだと思うんですけれども、もっと強いメッセージがあるからあえて使ったのかなと思っているんですけれども、もしその点、説明できるものならお願いしたいと思います。
〇達増知事 先ほど述べましたとおり、過去最大規模の事業、しかもそれをきめ細かく、復興の長期化ということにも対応して、今まで以上に生活支援というところにも意を用い、また事業も展開しなければならないという意味で、これはもうオール岩手で邁進していかなければならないと。過去の復興加速とか復興元年とかも全てオール岩手としてというつもりで、今回も同様でございます。
〇嵯峨壱朗委員 次に、復旧、復興の進捗状況等についてということで。
一般質問において、知事演述の記載内容について私どもの岩崎友一議員等からも質問がありましたが、復旧、復興事業の状況において、直近の県民ウォッチャー調査とかマスコミ各社のアンケートを見ても、基本的には、住宅の確保等に対する多くの不安、不満をまだまだ多くの被災者が抱いているといった被災者の現状認識から見れば、そうした基本的な共通認識を前提に知事演述があるべきではとの指摘だったと思っております。被災地の現場感覚と知事の認識のずれが何度か取り上げられたところであります。もちろん知事においても、そうした被災地、被災者の実感は承知していることとは思いますが、その年の県政運営の指針となるべき知事演述にそのことが触れられていないということに危惧を感じてあの一般質問でのやりとりになったと私は思っております。
そこで、改めて、被災地の復旧、復興の進捗状況や課題をどのように捉えて、今年度の予算を組んだわけですけれども、解決に向けてどのように取り組んでいくのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 復旧、復興の進捗状況についてでありますが、これまで、災害廃棄物の処理を終了し、海岸保全施設の約9割、災害公営住宅の約6割で着工しましたほか、三陸鉄道の全線運行再開、漁業協同組合を核とした漁船や養殖施設の一括整備や、グループ補助金を活用した事業所の早期再開などを着実に進めてきたところであります。
一方、復興を進める上で、三つの主な課題がございます。人材、財源、事業用地の確保。県や市町村の人材については、来年度は今年度を上回る応援職員が必要と見込まれ、引き続きの派遣を全国の自治体等に要請しているところであります。財源については、現在の国のスキームでは平成27年度までとなっているわけでありまして、平成28年度以降も所要の財源を確保するため、引き続き国に要望を強くしてまいります。用地の確保については、昨年5月の改正復興特区法の制度などを活用しながら、引き続き、円滑かつ迅速な用地の取得を目指してまいります。
そして、質の向上ということが必要な局面でありまして、若者、女性を初めとする皆さんの参画をいただきながら、応急仮設住宅等での生活の長期化に伴う心と体の健康の問題や、将来の生活への不安など、被災者の方々が抱える課題について、被災者一人一人に寄り添って丁寧に対応していくことや、復興まちづくりの進展に合わせ、地域コミュニティの再生や、また、まちのにぎわいの回復に向けた取り組みなどを進めていくことが重要と認識しております。
〇嵯峨壱朗委員 質の向上についても説明いただいたという理解でいいんですよね、多分これは。次に聞く予定でしたけれども。
知事は、年頭の知事訓示の中で、県内ではいまだ3万人の方々が応急仮設住宅等での生活をされています。一日も早く恒久的な住宅に移っていただくことが復興の最重要課題ですと。また、復興に関する意識調査では、依然として多くの県民の皆さんが十分に復興の実感を得られていないという状況にありますので、その現実を真摯に受けとめていかなければなりませんと述べています。こういった部分が演述の中に私はきっちり入るべきだったと思っているんです、こういった認識を持っているのであれば。その上でことしどうするんだということがあってしかるべきじゃないかと私は考えてこの訓示を見ていました。その辺がちょっと演述において残念だったところであります。
次に移りますけれども、知事がよく今回の議会で使われていました、被災地イコール復興地、被災地すなわち復興地とか被災者イコール復興者、被災者すなわち復興者というように使っておりますけれども、これはどのような趣旨で述べられているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 被災した方一人一人が、安全を確保しながら、働きたい人は働き、学びたい人は学び、それぞれの生活の再建を実現していくことが復興であって、被災された方々は、復興の途上にあり、その達成に向かっているという意味で被災者イコール復興者と表現しておりまして、同様に被災地イコール復興地と表現しています。
県としては、一人一人の被災者イコール復興者が置かれた実情に心を配り、一日も早く安心して暮らせる環境を取り戻す人間本位の復興を実現していかなければと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 なぜ私がこの趣旨を聞いたかというと、特に、被災者イコール復興者、被災地イコール復興地もそうですけれども、ともするともう復興がなされたのかとか、そういった印象でとられるような気がするんです。だから、あえてこの復興地、復興者という言葉を使う必要はないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 いわゆる被災者の方々の中に被災者と呼ばれることに抵抗を感じるという声が少なからずあると承知しておりますし、また、被災地という言葉に対しても、いつまでも被災地と呼ばれること、あるいは最初からでもそうですけれども、被災地と呼ばれることに抵抗のある被災地の方々がいらっしゃると承知しております。
そういう中で、ただ被災地、ただ被災者と言うのではなく、復興地としての復興の途上にある被災地、また、復興の途上にある被災者という意味で、この被災地イコール復興地、被災者イコール復興者という言葉を使っているというところもございまして、そこは、いわゆる被災地、被災者の皆さんの思いをしんしゃくしながらやっているところでありますので、そこはそうじゃないほうがいいとか、そういう意見がたくさんあるようであれば、そういったところもしんしゃくしていかなければと思います。
〇嵯峨壱朗委員 最近の竹下復興大臣のああいった発言に対する知事の被災地から見た視点での発言等、私もそう思っておりまして、危惧しているところであります。
そういった点からすると、やはり復興地、復興者、わからないではないです。抵抗のある方もいるでしょう。私は復興という言葉を単独で使うことはほとんどなく、復旧、復興というふうにセットで使うようにしています。なぜかというと、まずゼロに戻したい、戻すべきじゃないかという思いがあるので、まず、復旧、復興。復興だけ使っていくと、もちろん重要なことです、単なる復旧じゃなくて。ですから、そういった誤解をされないような形で使っていただければという気がしております。所見があれば。
〇達増知事 復興という言葉にも抵抗がある、そういう声があることは承知しております。ただ一方で、国の役所も復興庁であり、岩手復興局であり、復興関係の法律の中でも復興という言葉が使われており、そういう中で全面的に復興という言葉を避けることはできないと思っておりますし、また、復興という言葉を使うことが多くなるということについても、ただ、おっしゃるとおり、復興という言葉に抵抗のある被災者の皆さんがいるということはしっかり心にとめて言葉を使っていかなければならないと思います。
〇嵯峨壱朗委員 次に移ります。
ラグビーワールドカップ2019の開催についてお尋ねしたいと思います。
先日、ラグビーワールドカップ2019の開催地に被災地である岩手県釜石市が選ばれました。復興のシンボルとして、被災地の復興がこれまで以上に加速され、被災地に元気や活力がみなぎるような取り組みが期待されているところであります。被災地である釜石市が開催地に選ばれたことについて、知事の所感をお尋ねしたいと思います。また、県は、釜石市に対してどのような支援を行おうとしているのかあわせてお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 まず、釜石市での開催を決定してくださったワールドラグビー、ラグビーワールドカップリミテッド、そして、ラグビーワールドカップ2019組織委員会の皆様、また、地元釜石市を初め、御尽力いただいた全ての皆様に対し敬意を表し、そして心から感謝を申し上げたいと思います。
ラグビーワールドカップ2019が東日本大震災津波の被災地である岩手県釜石市において開催されますことは、全世界からいただいた支援への感謝を伝えるとともに、復興の姿を発信するための絶好の機会となります。釜石市での開催が被災地の復興の力強い後押しとなるように、ラグビーワールドカップ2019の成功に向け、岩手県としても引き続き釜石市の取り組みを支援してまいります。
また、釜石市も県も復興の途上にありますので、まず、復興の取り組みを強力に進め、開催に向けた状況を整えることが重要と考えております。
なお、釜石市においてはスタジアムを新たに建設する必要がありますので、国、スポーツ振興団体など関係機関の支援が得られるよう、引き続き働きかけを行ってまいります。
〇嵯峨壱朗委員 知事の言うとおり復興途上でありますので、県もそうですけれども、釜石市も大変厳しい財政状況の中、進めていかなければならないと思いますので、ぜひ支援をお願いしたい。一緒になって支援しながら、向かって頑張っていただきたいと思います。
その中で、復興に向けてのこういった明るい側面と、被災地は、予定されている場所も含めて、まだ住むところもままならない方もいる中でいろいろな意見もあるやに聞いておりますけれども、そういった方々に対する配慮も含めて考えていかなければならないのではないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
〇達増知事 やはり釜石市も、そして県も復興の途上にありますので、まず、復興の取り組みを強力に進めて開催に向けた状況を整えることが重要と考えます。
ワールドカップの開催が復興の妨げとなることがあってはならないわけでありまして、国、スポーツ振興団体など関係機関の十分な支援が得られるように、釜石市と連携を図りながら引き続き働きかけを行ってまいります。
〇嵯峨壱朗委員 もちろん大歓迎なわけですけれども、そういった途上であるということも十分配慮しながら進めていかなければならないと思っておりました。
次に移ります。
地方創生についてお尋ねしたいと思います。
日本創成会議座長の増田寛也元岩手県知事の著書地方消滅の指摘をまつまでもなく、岩手県、そして県内市町村を初めとする全国の過疎地は、日本全体として、少子高齢化に加えて、これまでもずっと今に至るまで人口減少対策が最大の課題であり続けたと思っております。自治体消滅などの表現は、総務大臣、岩手県知事を務めた増田寛也氏の言とは思えなかったのですが、そんなに簡単にその言葉を使うものかと驚きました。達増知事がどのような考えを持ったものかお聞きしたかったのですが、聞きそびれましたので、どこかの機会でもし感想があったらこの点もお答え願えればと思います。
さて、私どものふるさと岩手を消滅させないための取り組みとして、人口減少対策にもしっかり取り組むことを予算に盛り込んだと思いますけれども、一方で、平成26年度の2月補正においても、国の経済対策に呼応した形で、地方創生先行型として人口減少対策に関する予算を計上しております。平成27年度当初予算と平成26年度2月補正予算において、それぞれ地方創生や人口減少の取り組みをどのような考え方で盛り込んでいるのかお尋ねします。また、特に知事が今回の予算で目玉と考えている取り組みは何でしょうか、お尋ねしたいと思います。
〇達増知事 消滅という言葉についてでありますけれども、人口の著しい減少イコール消滅では決してないわけでありまして、その点は言葉の使い方として問題があると思っております。
島根県の海士町でありますとか西日本の人口減少著しい過疎の地域が、著しい人口減少のゆえに思い切って今までやらなかったことをどんどんやって、定住人口をふやすためには何でもやるというふうにしてかえって定住人口がふえ、年間の人口社会増減が増になったという例もあるわけでありますので、著しい人口減少イコール消滅ではないと思っております。
そして、地方創生予算についてでありますけれども、県では、人口問題に関する報告(案)に掲げた三つの基本目標に基づきまして、人口減少対策を総合的に展開するため、魅力あるまちづくりや産業振興、移住、定住の促進、出会い、結婚、妊娠、出産から子育てに至るライフステージに応じた支援に関する施策等に取り組むこととしております。
平成27年度当初予算におきましては、人口減少問題の主な取り組みとして、特に、若者たちのチャレンジを支援するための創業支援や、結婚支援センターの設置、子供医療費助成の対象拡大と現物給付化など185事業、458億円を措置しているところであります。また、平成26年度補正予算におきましても、国の新たな交付金を活用して、県内企業の設備投資補助、当初予算に盛り込んだ結婚支援センターや医療費助成拡大推進のためのPR経費など18事業、17億円を措置して平成27年度の事業と一体となった人口減少対策に取り組むこととしたものであります。
〇嵯峨壱朗委員 次に、財政の健全化についてお尋ねしたいと思います。
本県の予算は、多額の財源対策基金を取り崩して編成している状況となっております。平成25年度当初予算は160億円、平成26年度当初予算は159億円、そして平成27年度は192億円の財源対策活用基金を取り崩して予算をつくっております。昨年9月に策定した中期財政見通しでは平成28年度に基金が枯渇する可能性を示しているわけでありますが、それよりは若干改善はしてきておりますが、平成28年度以降もこの程度の規模での基金の取り崩しが必要となれば、平成29年度または平成30年度にも基金が枯渇することが懸念されております。知事はこの状況をどのように受けとめ、どのように財政健全化に取り組もうとしているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 昨年9月に策定した中期財政見通しでは、平成27年度末における財源対策基金残高を約297億円と見込んでおりましたが、実際の残高見込みは約438億円と、増加する結果となっております。これは、平成27年度の地方財政計画において、地方税の伸びなどによって今年度を上回る一般財源総額が確保されたことや、予算編成過程を通じて歳出の見直しに努めたことなどによって実際の収支ギャップが縮小し、また、今年度において、予算の効率的な執行に努めたことなどによって財源が確保されたことによるものであります。
本県財政は、社会保障関係費の増加などによって今後も厳しい状況が続くと見込まれますので、財源の確保に向けた不断の取り組みが必要であります。今後とも、引き続き、歳入歳出両面での取り組みを進めつつ、限られた財源の有効活用や効率的な予算執行に努めてまいります。また、国に対し適切な財政措置を求めるなど、安定的な財政運営に取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 次に移ります。
平成27年度第1号補正予算についてであります。
先ほど総務部長から淡々と当たり前のような説明がありましたけれども、2月23日の早朝のニュースを私も見て驚きました。そのときによくわからなかったのですが、当局の説明を聞いているうちに、真面目な岩手県庁において起こり得るものかと我が耳を疑ったところであります。議会でのやりとり、説明を聞くうちに、ますますあり得ないことが起こったと思うようになりました。
その後、国の補助事業が終了すると勘違いしたとか、内容の確認が不十分であったためとか、事業継続できないと誤って認識したためとか、さまざまな言い回しをもって担当者の責任であったと述べてきたわけであります。2月20日の外部の指摘で明らかになったとも述べているようですが、本当でしょうか。
及川あつし議員の一般質問の中で、2週間以上前に、県の担当者にその国の制度の変更について施設からできるのではないかという指摘があったということに対して、具体的な日時は不確かだが、1月下旬以降、担当課に対して幾つかの事業所から問い合わせがあったというやりとりがありました。私は、そういった問い合わせについては、県庁組織の中で、具体的な日時が不明だがといった、不明ということがあり得るのかと思ったところであります。当然最低限の情報としては残しておくべきだと思っております。この点もいかがなものかと思っております。
さて、この被災地の障がい者福祉サービス事業所生産活動支援事業について、2月20日の報道機関の指摘により平成27年度当初予算への計上漏れが明らかになった。そして、これまで述べたように、担当者が国の通知内容を十分理解していなかったということであり、にわかに信じられないということは言いましたけれども、先日、補正予算第1号が提案されたところです。私は、本来的に平成27年度予算が成立していないにもかかわらず、その補正予算はあり得るのかと思いました。審議できるものなのかと素朴な疑問を持ったものですが、当局からの要請もあって、議会運営委員会で平成27年度予算と一体のものとして審議することが決定されましたが、こうした補正予算を出すという異常事態について、平成27年度岩手県一般会計当初予算の提出者としての達増知事はどのように考えているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今般、緊急雇用創出事業に関し、担当課における確認が十分でなかったことによって、本来、平成27年度当初予算に計上すべき事業が計上されない結果となったことについて、申しわけなく思っております。
本事案の発生を受けまして、被災地の各事業所において雇用されている方々の来年度の雇用に支障を来さないようにすることを第一に考えて補正予算を提出したものでありまして、御理解いただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 こういったことがないようにしていただきたいと思いますが、いわゆる事務手続的な処理の問題、例えば、問い合わせがあって、そういったものを日時がわからないような状態でいいのかと。そういうことはないと思うんですけれども、こういった処理はどういうふうにやっているのか、専門家の副知事にぜひお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 まずもって、今回このような補正予算の提出に至ったことについては私からも改めて陳謝したいと思っております。まことに申しわけございませんでした。
今、お尋ねがございました外部からの照会については、事案の軽重にもよりますが、やはり基本的には、メモにとって保存するなり、あるいは案件によっては上司に報告するなり、さまざまな対応があるものと考えております。したがいまして、今回、日時等が確定していないと。4件の問い合わせがあったということについては確認しておるようでございますが、その日時についてまでは確認しかねているという報告を私も受けておりまして、やはりこういう内容について、そういうふうな意見等の照会について、きちんと報告して記録するということを含めて事務処理をより適正にしていかなければならないということで指導を強化しなければならないと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 詳細はまた部局審査でやろうかと思うんですが、事務処理的にいうと、恐らく日時を記録していないということはあり得ないと私は思っているんです。何らかの理由でこの日に聞いたと言いたくなかったのかということはないんでしょうか。もし日時を記録していないとすれば、事務処理の取り扱いの上では非常に問題だと思います、実際に。大変重要なことで、軽重という言葉がありましたけれども、決して軽いことではないと思います。もし本当に記録していないのであれば大変なことだし、この文書事務の手引とかを見ていても、恐らく重要事項に入ると思うんですよね。ですから、そういったことについてはきっちりと全庁挙げて指導していっていただきたいと思います。
このような本来あり得ない事態が生じたわけですけれども、私は、ほかにこういった同様の事例があるのではないかと思ってしまうんです。ほかにこのような事例はないかどうか確認しているのか、また、同様の事例が起きた場合にはどのように対処するのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今回の事案のような、本来、平成27年度当初予算において計上すべき事業が、確認不足等により計上されていなかったというような事例がほかにないかチェックしたところでありますけれども、そのような事例は確認されていないところであります。
〇嵯峨壱朗委員 ないということですね。それは大変よいというか、当たり前のことかもしれませんので、よかったです。
仮にですけれども、同様の事例が起きた場合には、どういった形で対処していくのか。ないということですけれども、今回起きたということは、またあるのかなと思ったりするんですけれども、どういう対処をするのでしょうか。
〇達増知事 個々の事案を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 通告したんですけれども、まあ、いいです。
そもそも、この被災地障がい福祉サービス事業所生産活動等支援事業は、平成24年度から名前を変えながら、中身を多少変更しながらやってきているわけです。
今回、2年間の実施状況を踏まえて事業の必要性というものを検証したのかどうか。当然していると思うんですけれども、中間検査も11月にしているという話です。そこで、どういった成果が上がっているか、きちんと使われているのか、意味があるのかということを検証したのでしょうか、わかるのであればお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 本事業は、緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用して、被災沿岸市町村の障がい福祉サービス事業所を対象に、被災求職者の雇用による人的体制の強化を図り、事業所における創作活動や生産活動等の支援を目的としたものであります。
緊急雇用創出事業が平成26年度限りと誤認していたために、本事業は終了することとして、事業所の支援については、いわて障がい者就労支援振興センターからのアドバイザー派遣等により、製品開発や販路拡大を支援すると担当部が判断したところであります。
〇嵯峨壱朗委員 勘違いとか誤認ということがあるんですかね、本当に。私が不思議なのは、そもそも論ですけれども、1月14日に国のほうから通達があった。そしてそれを、詳しくはわかりませんけれども、総務部財政課ですか、それがそれぞれの部のほうに照会、説明して、それをイントラネットですか、庁内でみんなが共有のものとして見られる仕組みになっているはずです。ですから、担当者だけが勘違いとかどうこうではないんじゃないでしょうか。組織上、私はあり得ないと思うんですよね。その辺についてはどうなんですか。どなたでも構いません。
〇千葉副知事 今、組織的にあり得ないというお話がございまして、まさに組織的に一般的にはちょっとあり得ないことで、今回こういうことになっているわけでございますけれども、今回の事業の計上の過程から申し上げますと、当然、来年度、何の予算を事業として計上していくかということで予算要求が各部局からあり、総務部のほうでその内容を審査しながら予算をつくり上げていくわけですが、今回の事案の最大の問題は、第1過程として予算要求に至っていないと。すなわち、なぜ予算要求をしなかったかというところがやはり最大の問題でありまして、そこを、当然、普通は各部のほうで仕分けをして、この事業は来年度も継続で出す、新規で出す、あるいはそのときの状況に応じて一部組み替えて予算、事業を出すという形にしているわけですが、いろんな効果を確定して終期設定しているものもございますので、それはことしは要求しないとかとなるわけですけれども、その辺の、逆に言えば予算要求をことしはしないという過程について、先ほども申し上げましたが、二重、三重のチェックという話がございましたが、そこが今回の見落としの最大の私どもの反省点ではないかと思っております。
したがいまして、予算要求に上がったものは、全庁的な観点で俎上に上がってくるわけですが、部の段階で予算要求しないという意思決定のところでこういう話が出てきますので、その部だけの判断に委ねていることでいいのかどうか、そこにもチェックを入れるべきかということについて、私どもとしては、今後の反省点として、あるいは教訓として、改善点として考えていく必要があるのかと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 問題なのは、この事業の中身もそうですけれども、中身というよりも流れですよね。補助金が基金で使えるからやるとかやらないとかじゃなくて、本当に効果があったのかとか、国のそういった対象にならないとしても、もし必要であれば、県でも、規模を縮小してもやるんだとかという判断を恐らくしたんじゃないかと思うんですよね。通常するのではないかと思うんですよ。部局で詳しく聞けばいいのかもしれませんけれども、そういう判断は当然あるべきじゃないかと思っているんです。もし、その辺がしっかり判断されていないとするのであれば、今の説明も含めてですけれども、あり得ないことが起こっている、この組織の構造的な問題ではないかという気がするんですけれども、その辺についてどうでしょうか。
〇千葉副知事 まず、本事業につきまして、基金の活用が可能であるのであれば、被災求職者の方々の雇用の確保を図ろうということにしたものでございまして、まず、県単独事業では実施しないということについては部のほうで判断したと私も報告を受けました。
それで、どうするかという話がありまして、少なくとも沿岸の事業所に対する支援については強化していかなければならないということで、事業所の支援については、いわて障がい者就労支援振興センターからのアドバイザー、専門家の派遣などによりまして、製品開発や販路拡大の支援を考えていたということで、その事業については当初予算に盛り込ませていただいているところでございます。
いずれ、本事業、いわゆる今回追加提案したものにつきましては、その基金での活用が可能であるということから、そういう被災求職者の雇用の確保を図ろうとしたものでございまして、県単独事業での雇用については、そこまでは考えていなかったということについて、一昨日も常任委員会で担当部長のほうから御説明申し上げたと報告を受けておりますが、そのような認識であったと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 細かくは部局でまたしたいと思いますけれども、今説明されたいわて障がい者就労支援振興センターの事業は全く違うわけですよね、今回問題になっているものとは。補正で組んでもらって助かったわけですけれども、アドバイザーとかコーディネーターではなくて、実際に現場で障がい者の人たちが生産活動なりに携わるものに対する支援なわけです。全く違う内容ですよね。これをもってかえられない。しかも、今、事業化しようとしていた事業については、この間も問題になりましたよね、社会福祉協議会の委託事業について。それと同様ですから、もっと神経質になるべきだと私は思って見ているんですよね。これを安易に、こういう形でこういうことにしましたというのは担当部の姿勢としてどうかなと。これは部局でやっていきたいと思っています。
あとは、こういったことについての情報の管理とか、外部から来たときにどうするか。これは当然きっちり対応していくべきだと思っております。私は、構造的な問題と言ってしかるべきかなという気がしております。これはまた何かの機会で質問したいと思います。
次に移ります。
震災対応に係る組織体制についてですけれども、平成27年度はさまざまな組織体制の強化を図るということになっているようでありますが、復興に向けた課題がさまざまある中で、今回、さまざま議論がありました。土木職員を中心に47人の定数の配置をするとか、なりわいの再生を図るための特命課長、さまざまなことがありますけれども、どのような判断のもとにこのような体制整備をしたのかお尋ねしたいと思います。
〇小田島総務部長 震災対応に係る組織体制についてでございますけれども、いわて復興ウォッチャー調査の結果などによりますと、応急仮設住宅等での生活が長期化する中、災害公営住宅の整備や復興まちづくり事業などが復興を実感できるという程度までは進捗していない状況にあると認識したところでございます。
こうしたことから、防潮堤等の整備の本格化に対応し、漁港担当技監のもと指揮命令系統を一元化するとともに、災害公営住宅や災害復旧事業を担う土木職員の配置を厚くいたしまして、復興まちづくり等の推進体制を整備したところでございます。
また、本格復興を図るためには、なりわいの再生が重要でありますことから、販路開拓などの産業振興に向けた体制整備を図ったところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 その人員配置についてお尋ねしますが、国体の職員定数を32人増員することとしていますけれども、一方では、知事部局の職員数は30人の増加となる見込みとされております。結局は、国体以外は復興も含めて減となるのではないでしょうか。復興では47名の定数増ということですが、実際に人は配置できるのでしょうか。
また、ふるさと振興監、結婚支援担当特命課長の配置など目立つ組織を整備する一方で、実際に事務を担当する職員は減るのではないかという危惧を感じておりますけれども、いかがでしょうか。
〇小田島総務部長 人員配置についてでございますが、発災後、復旧、復興に対応するために、職員の新規採用をふやしながら対応してきたところでございますが、来年度の復興事業に関して、今、委員から御指摘がありました47人の定数増につきましては、他県からの応援職員や任期付職員により確保しようとする人員数でございまして、そのために、国や全国知事会を通じた派遣要請あるいは任期付職員の採用、こういうところをふやして対応することとしていたところでございます。
しかしながら、他県応援職員の応諾数につきましては今年度並みにとどまる見込みでありますことから、必要な人数がまだ確保できていないということでございまして、今後さらに任期付職員を初めとした職員確保を行うこととしているところでございます。
また、特に国体についてでございますが、業務の見直しや平準化を進めながら、県教育委員会からの派遣等も含めて配置をいたしますほか、人口減少問題等の喫緊の課題に対しましても、課題に対応した職員体制を構築するとともに、優先的に職員を配置していく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 それでは、次に移ります。
緊急雇用創出事業についてですけれども、有罪判決に対する知事の所感についてお尋ねしたいと思います。
これまで知事は、裁判や会計検査院による検査が継続している状況において、一定の結論を導き出すような検証は差し控えるべきだということで一貫してまいりました。
先日、盛岡地方裁判所において、NPO法人大雪りばぁねっと。代表理事の母親に対し、被災者の生活再建に使われるべき公金を着服して生活費などに使った。被災者、復興援助をしようとする国民の思いを踏みにじる身勝手で悪質な犯行と裁判官が断じて、有罪判決が言い渡されたところであります。控訴したやに聞いておりますけれども、このような判決が出たところですけれども、知事の所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 一連の裁判が継続している中でありますので、裁判の内容に関するコメントは差し控えたいと思いますけれども、被告になっている関係者には、今からでも洗いざらい説明して謝罪することを望みます。
〇嵯峨壱朗委員 過程であることには変わりはないかと思いますが、こういった初めての有罪判決が出たということで、この先どうなっていくか、また、その都度都度に質問させていただきたいと思っております。
次に、外部有識者の所見についてお尋ねしたいと思います。
この緊急雇用創出事業の検証報告書については、議会の決議等もあり、また、決算不認定等にかかわる重要な問題だったわけですけれども、外部有識者に報告書について所見を求めたということが発表されておりました。この中で、青森県の弁護士の方が、対応は必ずしも適切だったとは言いがたい。表現は妥当ではないというような指摘があったと。難しい言葉で書いていますけれども、妥当ではないという判断に対する知事の所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 法律に携わる方からいただいた所見でありまして、県としては、補助、委託事業の適正な執行に向けたさらなる改善策の検討の参考にしたいと考えております。
また、私が一読して受けた印象としては、平時における通常の処理と区別し、非常時における通常の処理というもののあり方を考える、そういう所見になっていまして、これは参考になるところがあるなと思っています。
〇嵯峨壱朗委員 すごく難しい言い回しで書かれていますので、私も判じかねるというものが多々あったんすけれども、今後の対応にぜひ参考にしていただきたいと思いますし、議会が求めていたことについても対応できるようにしてもらえればなと思っています。
そこで、補助金等の交付等に関する条例について、改めてお尋ねしたいと思います。
県では、緊急雇用創出事業補助金に係る不正事案の発生を踏まえて、刑法や補助金適正化法といった一般的な抑止力に加え、不正事案発生に対する抑止力の一層の強化が必要として、平成27年4月1日から施行するため、補助金等の交付等に関する条例を提案しようとしておりました。総務委員会等でも各議論があったところでありました。今回、今議会への提案を見送ることとしておるようであります。
知事は、この条例の必要性について、10月の定例記者会見でも、県の動きについては、法律上の根拠を条例できちっと定めることによって、市町村との関係や、県のそれぞれの担当者も、より迷いなく動けるようになる。また、岩手がいち早くそういうものを定めると、岩手は手ごわいぞと、市町村をだましたり食い物にしたりするのはより難しくなるということをアピールする効果もあると思っていると発言しており、この有効性を強調しておりました。そして、積極的な姿勢を示しておりましたが、条例に込める知事の思いについて、改めてお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今般の緊急雇用創出事業補助金に係る不正事案の発生を踏まえ、その再発防止に向けては全庁挙げて取り組んでいくことが必要と認識しております。そのため、今年度当初から組織体制や事務処理マニュアルの整備を行うなど、取り組みを進めてきたところでありますが、不正事案発生に対する抑止力の強化という観点から、補助金適正化法に準じた条例の制定を検討しているものであります。
本条例が制定されれば、より一層適切な補助金執行につながり、不正事案の発生防止が図られることが期待できると考えております。
〇嵯峨壱朗委員 そういった期待ができるということでありましたが、なぜ、今議会への提案を見送ることとしたのか。今後、いつ提案するつもりなのか。提案するつもりであれば、それまでどのような対策を行うつもりかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 当該条例案には、県単独補助金の不正受給や立入検査の拒否等に対して罰則を科す内容が含まれているところであります。条例において罰則を定めようとする場合、その手続として検察庁に対する事前協議が必要でありますが、現在、その協議に時間を要しておりまして、本定例会への条例案の提出は行わないこととしたものであります。
12月の総務委員会におきましても、担当部から、条例の内容について検察協議を要するため、当該協議の状況により提案時期は変更となる場合がある旨、御説明しているところでございます。条例の提案時期については、検察庁との協議結果等を踏まえて検討したいと考えております。
その間の対応といたしましては、今年度新たに設置した事務処理指導担当によるチェックやマニュアルによる留意事項の徹底等を初め全庁的に統一した運用を図るための取り組みを進めるなど、さまざまな御指摘を参考にしながら、補助金のより一層の適切な執行に取り組んでまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 これについては総務委員会等でもいろんな議論があったんです。知事のほうにも耳に入っているかどうかですけれども。ここまでやらなくてもいいんじゃないか、過剰反応じゃないかという意見もありました。その中で、悪意のある事業者を防ぐためということを答弁して、悪意のある事業者というのは最初から対象にならないんじゃないですかという話もしましたけれども、条例による一連の抑止力の効果をうたっているわけでありますが、本当にこの条例ができた場合には、そういったことにうまく対応できるのかということについてどう思っているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 今般、このような事案が発生してしまったことを受けて、県には、再発防止に向けてあらゆる取り組みを行っていくことが求められていると認識しているところであります。
罰則やこれを伴う県の立入検査権を整備することは、補助金に係る不正事案の発生防止に資するものと考えており、また、このような取り組みは他県において例がなく、こうした体制の整備は、悪意を持った事業者の本県における補助金事業への申し込み等に対する一定の抑止力となる効果も期待できると考えております。
〇嵯峨壱朗委員 効果を期待できるということですけれども、私からすると、過剰反応にならないように、事業執行上、かえって萎縮したりしても困るので、そういったことも踏まえて慎重に行っていただければと思います。
次に、包括外部監査への対応についてお尋ねしたいと思いますが、この間、監査結果の報告を拝見させていただきましたが、これは県立の試験研究機関についてでありました。コンピューターデータの管理に対して、コンピューターサーバーに保管すべき情報を明確に定めていない研究機関や、サーバー内の研究データや研究補助データを定期的にバックアップする等の手続が行われていない研究機関が散見されたとの指摘があったようです。岩手県情報セキュリティポリシーに規定されている情報セキュリティー管理も必ずしも十分ではなかったとされておりました。
具体的な対応について、その情報の重要性を加味して各研究機関で管理の方法を決定することとされているようでありますけれども、情報の重要性を加味し、各研究機関で管理の方法を決定することとしたにもかかわらず、逆に情報管理の方法が徹底されていないとすれば、全くもって本末転倒ではないでしょうか。
岩手県情報セキュリティポリシーを策定後、各研究機関がどのように対応しているのか把握していなかったのか伺います。また、このような管理方法で、これまで情報漏えい、情報流失の例はなかったのでしょうか。これは農林水産部の機関が主なようですけれども、どうなっているのかお尋ねしたいと思います。
〇齋藤政策地域部長 これまで私どもは、御案内のありました情報セキュリティポリシーを定めまして情報管理の徹底に努めてまいりました。今回、こういう指摘を受けました研究機関において、このポリシーが遵守されていなかったということはまことに残念であります。所管する私どもの政策地域部では、こうした研究機関の情報管理の現状把握が十分でなかったということもございます。私どもの反省も込めまして、今後改善を図ってまいりたいと思います。
なお、平成20年6月に生物工学研究所におきまして、業者にリース返却したパソコンの中に情報が残ったまま返却されたという事例がございましたが、その後、記録媒体の処分手順を策定いたしまして、全庁に徹底を促したところでございます。現在のところ、ほかの研究機関においては情報漏えい等は発生してございません。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ徹底していただきたいと思います。
各研究機関においても至急対応を検討する必要があるのは言うまでもありませんけれども、この包括外部監査の意見を踏まえて、研究機関のみならず全庁的に対応していくつもりなのかお尋ねしたいと思います。
〇齋藤政策地域部長 今回の外部監査の意見は、現場で情報セキュリティポリシーの運用を任されているそれぞれの所属長のセキュリティーに対する認識が低かったということが指摘されております。私どもといたしましても、セキュリティポリシーの所属長に対する周知というものが不足していたのが要因であるとも認識しております。この包括外部監査の意見を踏まえまして、いま一度、各所属に注意を喚起し、特に所属長の役割を徹底していきたいと考えております。
また、新たに管理職向けの研修の実施や、各所属からセキュリティー遵守状況の定期的な報告を求めるなど、全庁的なセキュリティー対策の強化に努めてまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひ対応していただきたいと思います。
最後になりますけれども、知事の政治姿勢について、特に県民党についてお尋ねしたいと思います。
知事は先日の一般質問で、県民党を掲げた理由として、オール岩手で復興に取り組むために基本的に政党、会派に推薦を求めないという意味で考えている。最近10年、20年の都道府県知事選挙を思い返すと、特定の政党に推薦を求めないというのは広く行われていると説明しております。一般質問等でも議論がありました。小田島議員の質問でしたか、それに対しても答えていましたけれども、昨年の総選挙における知事のスタンスについて説明したと思います。それをもって県民党だと言っておりましたけれども、果たしてそうなのかと思って聞いておりました。
この基準でいくとそうなのかもしれませんけれども、知事のこれまでの政治姿勢と県民党というスタンスが結びつかないという捉え方から、これまで何度となく議論が交わされてきたと思っております。改めて、知事の言うところの県民党とはどういうことなのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 引用いただいた私の発言は、過去のあちこちで行われた県知事選等での特定政党に推薦を求めないということが広く行われていると言いたかったのではなくて、そういうときに県民党という言葉を使うということが広く行われていて、私も、基本的に特定の政党、会派に推薦を求めないという意味で県民党という言葉を使っているものでございます。
そして、具体的にどういうことをやるかで県民党の定義、例えば昨年の衆議院議員選挙のことを言及されましたけれども、私は、現職の8人の衆議院議員の方には、国会議員として岩手のためにみんなで力を合わせて、用地取得迅速化のための復興特区法改正案を実現したようなことをさらにやっていただきたいということを申し上げていて、その結果、残念ながらお一人は当選されなかったわけですけれども、ひょっとしたらそのお一人も当選し、8人全員が当選するためにさまざま動くことが県民党だったと考えることもできるかもしれません。
事ほどさように、具体的な行動をもって県民党を定義するというのはなかなかややこしい。それは結果がどうなるかにもよるわけでありますので、それで、私は、基本的には特定の政党、会派に推薦を求めないということを一種定義としているわけでありまして、国政選挙での振る舞いなどについては県民党的であろうとする中で、質問があれば、いかに県民党的であったかということを答えるような中で、御指摘のような発言もあったというところであります。
〇嵯峨壱朗委員 さっきの総選挙の話は、この間、一般質問で知事が答えたことについて触れたのでありますので。
特定の政党に推薦を求めないというのが知事の言う県民党というのであれば、これまでの2回の選挙からすると、その2回の選挙のときは県民党ではなかったということなんですか。
〇達増知事 自分自身が自分の選挙に当たって、特定の政党、会派に推薦を求めないということをもって県民党としておりますので、そのほかの選挙、例えば国政選挙との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、それが県民党的と言えるかどうかということについては、質問があれば、それにお答えするということであります。
〇嵯峨壱朗委員 私のさっきの質問に対する答えとして理解するとするならば、推薦要請をしなかったけれども、特定の政党から推薦を受けた場合には、要請をしないという意味でいうと、県民党といっても差し支えないんだという認識でいいんですか。
〇達増知事 失礼しました。過去2回の選挙というのは、過去の2回の国政選挙への対応について問われたものと思って先ほどのような答弁をいたしましたけれども、過去2回の自分自身の選挙については、幾つかの政党に推薦を求め、推薦をいただいておりましたので、それは、普通に使われている特定政党に推薦を求めないことをもって県民党とするという定義からすれば、その県民党には当たらないと言っていいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 普通の定義というか、私は、知事の県民党の定義だなと思って聞いておりましたけれども、一般的にそうなのかわかりませんけれども。
今回要請しないと。1回目、2回目は、そういった意味でいうと県民党でなかったということです。では、今回、なぜ、あえて1回目、2回目の知事の選挙のときとは違って県民党という選択をしたのかということもお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 岩手県においてある特定の政党が県議会の過半数を占め、また、国会議員についても、ある特定の政党が、岩手県の比例復活も含め全て占めており、さらに、国政でもその政党が与党であるような場合には、その政党との連携をもって県政を運営するということは、県民党的ではあると言っていいんじゃないかと思います。しかし、現在、そういう状況にはない。また、これは人によって見方はさまざまかとは思いますけれども、近々、そういう状況が実現するようにも見えない中で、文字どおりの県民党という特定政党に推薦を求めないスタンスが、オール岩手の力を結集して復興を力強く進めていくことに適するという、いわばそのような県民党的判断に基づいて県民党のスタンスをとることとしたものであります。
〇嵯峨壱朗委員 きのうの知事記者会見と同様の発言をしているようであります。当選すれば、割合はともかくとして、選ばれたということで、県民から選ばれたから県民党となるのかもしれませんね。それを入れたら、この県民党という言葉というのは非常に微妙な言葉で、候補者みずからが自分は県民党と言うのか、ちょっと僕はよくわからないんですけれども、恐らくその辺は認識の違いかもしれません。いずれ、私どもの会派も過半数をとれなさそうですかね、目指しますけれども。そういった意味でいうと、県民党にはなれないのかなと思いながら聞いておりましたけれども、頑張っていきたいと思っております。
これで私の質問は終わらせていただきます。何かありますか。
〇達増知事 過去のさまざまな選挙において、特定政党に推薦を求めないということをもって県民党といういわば定義というのは私だけのものではなく、広く日本国内に見られるものだと思っておりますし、あえて、それ以上に県民党の定義を広げないほうがややこしくないと思っておりまして、基本的に政党、会派に推薦を求めないという意味で県民党と言っているところであります。
〇嵯峨壱朗委員 主張はわかりました。及川あつし議員の一般質問でしたか、特定の団体に推薦を求めたと。それは特定の政党に近いので、政党に推薦を求めたと同じではないかという指摘があったと思っています。その中で、いろんな団体に求めるので、その一つの団体にすぎないということの説明だったと思うんですけれども、果たしてそうかなと私は思っているんです。同じ団体でも、それぞれ背景とか特徴があるわけで、そういう指摘があることはやむなしだと思うんです。例えばいろんな団体があります。各業界団体、業種団体があります。その方々とまた違うんじゃないかと思うんです、一般質問で出た団体は。そういう意味で指摘したと思うんですけれども、その点のことについてもう一度お答え願えればと思います。
〇達増知事 結構重要な問題だと思うんですけれども、労働団体を含め経済、社会関係の団体というのは、およそ特定の政党と結びついているわけではないというのを基本としていると思います。それは、農協政治連盟とか医師政治連盟とかも、常に必ずどこかの政党と結びついているということではないはずでありますし、およそ経済、社会団体であれば特定政党と結びついているということはないと私は思います。
〇嵯峨壱朗委員 認識の違いですけれども、この間問題になった団体は、恐らく自民党とは組まないですよね。どうなんだろう。組むことがあるのかちょっとわからないけれども、ただ、その政党との距離感はそれぞれの団体によって大分違うし、政権交代で自民党が政権をなくしたときには全然違う。いずれ、慎重な対応をお願いしたいと思います。
残りの時間は佐々木茂光さんに譲ります。
〇工藤勝子委員長 佐々木茂光委員。
〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕
〇佐々木茂光委員 残りの時間は私がいただきましたので、それでは、知事に正面から質問をさせていただきたいと思います。
御案内のとおり、震災から丸4年になるわけでありまして、まだまだ仮設住宅にいて、大変厳しい状況の中におります。
私の近くの仮設には受験生がおりまして、この10日に公立高校の受験をするということで、ずうっとその子供を見ていますと、4年になるわけでありまして、非常に成長の跡はいろいろな形では見えておりますけれども、やはり震災に遭ったという思いが彼から離れないでいるんだなということを思うときもあります。けさのニュースでも風化の話が出たり、子供たちの震災以降の学校でのいろんな行動にも震災の影響が出ているやに報道もされているところでありました。
私は、この場に立つたびに、知事の復興に対する思い、被災地、被災民に対する思いが、知事はトップリーダーとして選ばれたわけでありまして、その知事の進まんとする方向が、被災地では新しい希望なり、新しい夢を気づかされる、知事がそれだけ注目されている立場だと思っております。
そういった中で、4年が過ぎようとしている今、被災地の現在の思いを知事はどのように受けとめているのか、そして、我々にどのようなメッセージを発しようとしているのか、それをまず最初にお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 被災地の現在の思いと、それを踏まえてのメッセージということでございましたけれども、被災者の方々からは、高台造成地に新築の家が建ち並んだ光景を見ると、未来に向けた準備が整ったと実感できるというような声が聞かれる一方で、新居へ移る世帯はまだごく一部、応急仮設住宅入居から3年が過ぎて健康面に影響が出始め、ストレスもピーク、心のケアにも目を向けてほしいというような沈痛な思いも寄せられています。
また、水産加工業者の方々の例でありますけれども、震災を機に事業を再構築し、消費者への直販事業を拡大して震災前を上回る業績となっているというような意欲的な声をお聞きする一方で、事業は再開したものの、風評被害などから販路が戻らず、業績の回復が進まないという切実な声も伺っているところでございます。
被災地の中でも、被災者また事業者ごとに復旧、復興の度合いの違いということも生じており、内陸と沿岸、被災県と被災県以外とで復興に向けた認識に温度差が広がり、また、いわゆる風化の懸念も指摘されているところであります。
このような状況のもとで、県といたしましては、年月の経過とともに一層復旧、復興からの取り残され感を感じる方々がいらっしゃるのだということ、そして、復旧、復興の度合いの違いが拡大していくことで、この思いにも違いが出てくるというところが課題であると認識しておりまして、まず、おくれや不安を感じている方々に手厚く寄り添うこと、そして、さらなる情報共有等によって復興のプロセスを県民的にかつ全国的にも共有しながら、オール岩手またはオールジャパンで復興に邁進していくということを訴えたいと思います。
〇佐々木茂光委員 まさに知事が今申し上げたのが現実そのものであります。ただ、やっぱり被災地の方々には被災地の方々にしか見えない風景、思いというものがあるんです。知事はいつも、そういったものは復旧、復興あわせて答えは常に現場にありますよと。たびたび沿岸被災地のほうにも訪れているようでありますけれども、逆に、まだまだ届いていない部分の声というものをこれからどのようにして拾い上げて、それを政策に反映していくのか、そういうことがある意味求められていると思うんです。まさに時は人のそういう思いを待つことなく、どんどん時間だけが経過しているのが今の現状であろうかと、そのように私は受けとめておりますけれども、知事は、今現在の気持ちではどのように思われているのか、お話しいただきたいと思います。
〇達増知事 本格復興期間の中間年ということで、事業の規模が非常に大きくなってまいります。まず、それをしっかり進めるということで、復興の進捗状況ということを改めて被災地の皆さんと情報共有していかなければと思いますし、同時に、仮設住宅生活等の長期化という中で、これは、時間がたてばたつほど苦しみは増すわけでありますので、そういう被災者、そして復興の途上にあるそうした皆さんと今まで以上に情報共有、特に今後の復興の進め方について共有をしていくよう意を用いたいと思います。
県のほうも、本格復興ということを進めながら、いわて県民計画の新しいアクションプランをつくっていく時期でもございますので、そうしたところにより多くの参画をいただきながら、被災地、復興地の皆さん初め県民的な声を県政の形にしていくように努めていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 言葉を発せられる方々はいろんな場面場面に出て、そうやって思いを伝えることができますけれども、今、私が感じている中では、なかなかそこまで立ち上がれないでいる方がかなり多く出てきているのかなという、そういう非常に届かないところの部分です。今、知事から、いわて県民計画を含めて多くの方々から声を拾い集めてというお話がありましたが、具体的にどのような形でその取りまとめを図ろうとしているのか、もしありましたならばお願いします。
〇達増知事 まず、県は、組織的には担当部においてさまざまな工夫を凝らして県民の声を広くいただく工夫をしていくわけではありますけれども、私といたしましては、特に復興が本格復興のプロセスに入り、市町村のまちづくり部分が住宅と直接結びついているわけでありますけれども、ここが大変重要ということで、平成26年度から、市町村長と一緒に市町村のまちづくり事業を視察する、また、市町村長と、その市町村のまちづくりについて直接意見交換を行うという機会をふやしております。また、最近は、団体のトップの皆さんと会う機会もふやして、各団体を通じて各分野ごとの県民の声をいただくようにも努めていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 今言ったのは、届けられる人は、もう声は届いているんです。今の現状を訴える。私が心配しているというのは、それでない方々が多くいるということなんです。確かに応急仮設住宅から災害公営住宅に移られた方も私たちの周りにもおります。だから、決して復興が進んでいないというのではなく、進みながらも、そういう状況の方々がまだいるということなんです。確かに、住まいを一日でも早く提供するというのも我々も同じ、恐らく知事も同じような思いで今まで復興については取り組んでこられたと思います。それは私も認めるんですが、その後、要するに自分たちが住まいを構え直したときに、これから岩手県はこういうふうに、我々はこういうふうに進めるんだと、私は、そういうものが知事の発する中から実は届いていないのではないかという心配なのであります。
そういった思いに対して、知事はどのようにそれを解消しようとしてこれからの立ち居振る舞いというものをやられていくのか、それもまたお聞きしたいと思います。
〇達増知事 先ほど申し上げた市町村、団体を通じてアプローチしていくというのは、復興について言うと、3万人近い仮設住宅等での生活の皆さんの全てにきちっとアプローチするために組織的にということであったんですけれども、その中でも、特に声を発しないでいる方々に特に目を向けてということにつきましては、これは4月1日の知事の訓示に向け準備してきているところで、4月1日に発表しようかと思っていたことの一端を今述べますと、県職員に、より県民の中に入っていって、直接県民と交わって県政を一緒に進めていく、そういうところを今まで以上に県職員それぞれがやっていくよう促したいと思っております。
知事部局でおよそ4、500人ですけれども、病院とか警察とか、さらに学校、小中学校まで含めますと、いろんな数え方がありますけれども、2万6、000人で岩手の人口を割れば、1人当たり49人という数字が出ます。みんなが1人で49人の人たちに接していけば、全ての岩手県民と接することができるわけでありまして、そういう勢いで県職員が県民に対して全開、フルオープンで当たっていくように、もちろん私もその先頭に立って、そういった市町村長や団体のトップだけではなくて直接県民に当たっていく、そういう知事としても全開、フルオープンな姿勢で特に新年度からはいこうと考えておりました。
〇佐々木茂光委員 それが本当に実現したら、これはすばらしいことですよね。だから、はっきり言えば、今までそれができないでいたわけです。その間、もう4年という歳月がたってしまった。確かに、1年、2年というのは、みんな被災をしたことによって気持ちはまだまだ高ぶりがあって、いろんな場面場面で人も出ることもあったし、口をあけることもありました。去年もちょっとその話に触れましたけれども、だんだん仮設から人の動きが出なくなる、言葉を発することもない、声をかけても声が返ってこない。そういう状況にありながら、今、丸4年を迎えようとしています。それの中で、知事が今お話しされたような形で、本当に被災地に入り込んでお一人お一人に声をかけて、まさにその思いを確かに受けとめてくれるのならば、そういう思いがあるにしては、逆に立ち回りが遅いのではないかと私は思うんです。どんどんみんな下に向いているやつを、いかに早くとめるか、いかにその人たちを引き上げてやるかということが、今、4年目は、もうみんな完全に下についているんですよ。そういうのが今の現実、現場であるということを知事にもしっかりと認識していただきたい。そのような場面に、知事はもしかすると、現場に足を向けていながら、そういうことは目に入らなかったかもしれない。ただ、被災地に残されている方々というのは、自分たちが受けた、まさに体に刻まれしその傷を持っているんです。だから、そこまで本当に知事の思いがあれば、ぜひそれを本当に被災地の方々に届けていただきたいと思います。御所見をお願いします。
〇達増知事 私も県職員も、特に復興に関しては、被災地に入って被災者の皆さんと直接接する機会を持っていくよう工夫はしていたところではあるんですけれども、ただ、一方で、復興の長期化によって、時間がたてばたつほど現場はよりきつくなっていく中で、やはり今のままでは足りないという思いを私も持っておりますので、先ほど、新年度からと申し上げましたけれども、今言いまして、私の言ったことは県職員にも届いていると思いますので、今すぐにでもそういう全開県政で進んでいきたいと思います。
〇中村復興局長 今、委員のほうから、声を上げていない被災者の方々をどういうふうにフォローしていくのかというお話がございました。それにつきましては、例えば仮設住宅、あとは災害公営住宅に移られた方々も含めてでございますけれども、今、被災地のほうには支援員、生活支援相談員が、合わせますと400名を超える方々が配置されてございます。そういった方々にも基本的には全世帯をしっかり回っていただいて、被災者の方々の今抱えている課題を含めてしっかり丁寧に声を聞いていただくようなこともお願いしてございます。県のほうではいろんな相談会とか、そういったこともそれぞれ市町村ごとに現地で開催もしていますが、確かに全員の方がそこに来られるわけでは決してないというのもそのとおりでございますので、そういったところに来られない方々に対してもしっかりフォローしていくように、今後とも継続していきたいと思いますし、今、知事のほうからお話がありました、我々県職員が率先して地域のほうに入っていきながら、また対応していくといったようなことについてもしっかり進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員長 佐々木茂光委員の質疑の途中でありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
佐々木委員、御了承願います。
午前11時57分 休 憩
午後1時2分 再開
〇工藤勝子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇佐々木茂光委員 それでは、引き続きお願いしたいと思います。
先ほどは、復興に対する知事の思いということで聞きました。それで、今現在の第2期復興実施計画の進捗状況についてですが、1期目の復興のおくれ、その辺は知事も存じ上げていると思いますが、その1期目の検証の結果というか、そういったところのおくれている部分をどのようにするかというようなところがこの2期の復興計画の中にどのように検証されてどのように反映されているのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 第1期復興実施計画は、目標に対しまして全体として約8割の指標においておおむね目標達成となり、本格復興に向けた基盤づくりに努めたところでありますが、一方で、防潮堤など海岸保全施設の復旧、整備や港湾機能の復旧、そして災害公営住宅の整備などにおいておくれが生じたところであります。
これらのおくれの主な原因は、復興まちづくり計画との調整や用地確保等に時間を要したことなどでありますので、これまで、知事と市町村長が市町村の復興まちづくり計画について意見交換する場を設けてきたほか、第2期復興実施計画におきましては、復興を担う人材の確保、財源の確保、事業用地の確保の三つの課題を復興を推進する上での共通的課題として位置づけ、全国の自治体からの応援受け入れなど人材の確保等に努めてきたところであり、また、さまざまな機会を捉えて、それらの課題について国に対して要望を行ってきたところであります。
今後においても、工事のピークを迎える海岸保全施設の復旧、整備や、災害公営住宅の整備などを推進する上で、用地の確保、資機材の高騰や作業員の不足などの要因が事業の進捗に影響を及ぼすことが懸念されますので、改正復興特区法の活用による迅速な用地確保や、財源確保を初めとする国への強い働きかけなどを継続して行いながら、市町村との連携も強化して、国、地方の総力を挙げて、被災者の皆様の期待に応えられるよう本格復興に邁進してまいります。
〇佐々木茂光委員 全体で8割の達成感があるということですが、実は、現場から見ますと、その達成感というものが一切伝わっていないというのが現実だと思います。いずれ、計画というものはよほどでない限り早くなるということはないと、恐らく知事もそのように思われていると思いますけれども、そのおくれというものを、そのとき、そのときに何らかの形でつないでいかないと、どこまでもそのおくれというものが最後の最後までいってしまうと思うんです。それらに対する知事の考え方というか、その辺を知事、お持ちでしたらお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 まず、おくれを挽回するためのさまざまな方策については、技術面であれ、また制度面であれ、工夫と努力は諦めずにしていきたいと思っておりますし、また、おくれる場合の理由について、それが地域の中でのさまざまな調整によるものである、あるいは資材、人材の不足によるものである、そういったことを関係者の皆さん、被災者の皆さんにわかっていただきながら、できるだけ納得感を持った形でそういうおくれを乗り越えることが大事だと思っておりますので、そういったところに意を用いていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 知事はトップであるがゆえにその行政の部分を一番上からつかんでいるわけでありますので、とにかくそういう目を切らしていただきたくないと強く思います。
とかく復興計画、これは現場の話になりますけれども、一応復興計画をこういうふうに立てましたと。それが今、実施の段階に入っています。今、土地のお話、用地の問題、いろいろ話が出ましたけれども、現場の声というのは、そこにぶち当たったときに、それをどうやって乗り越えるかということなんですね。けれどもその乗り越え方にもいろいろありまして、もう一度、待てよと、もう一回見直しをする必要もあるのではないかということも一つの見方だと思うんです。とにかく今の姿勢というのは、ここをこういうふうにしたらいいんじゃないかということに対しては、ことごとく切る。確かに、ここで工事の見直しをする。こうすることによってまたここで工事がストップしてしまうということに対して、その分、復興がおくれていきますよという見方でそのままの事業を継続していくやり方と、逆に、方法を変えることによってそれ以上に工事が進むということも考え方の中にあると思うんです。要は、計画だから、決めてしまったからこのまま進めていかなければだめだと、比較的そういう考え方は確かに強いです。だから、本当に急がなければならないものと、もう少し時間をかけても進めることができるもの、その辺のすみ分けというか考え方があると思うんですが、その辺、知事は少し柔軟な発想というか考え方を持ち得ておられますかどうか。
〇達増知事 復興というのは、被災した方々一人一人が復興していくことが眼目でありまして、そのためのいろいろな壊れたものを直すとか、そのための新しいものをつくるとか、そういう復興事業でありますので、被災者、復興者の皆さんの意向を無視した形でいろいろな事業を進めるというのはあってはならないことだと思っております。
復興の途上、さまざまな復興のステージに応じて、被災者、復興者の皆さんの希望、意見、意向、そうしたものを反映させながら事業を進めていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 次に移りたいと思います。
1次産業の振興についてでありますが、1次産業は本県にとっても大変重要な産業であると位置づけしているわけでありますが、まさになりわいである1次産業の復興なくして岩手県の産業の復興はないと私も考えているところでありますが、農林水産業の将来に向けたビジョンを知事はどのように考えられているのかお尋ねいたします。
〇達増知事 東日本大震災津波によって大きな被害に見舞われた岩手県の農林水産業でありますけれども、この復旧、復興が今、進んでおりますが、一方で、担い手の高齢化、不足など、震災前からの課題も顕在化しています。
こうした中にあって、農業では、被災地において、農地の復旧とともに、約300戸の生産者がまとまって、農地集積を進め、効率的な水田農業を再開した取り組みや、林業では、北上市に新設された大型合板工場の本格稼動や木質バイオマス発電施設の立地などによる県産材の需要拡大、森林施業を集約化する地域けん引型林業経営体の増加、そして水産業では、漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理のサプライチェーンが構築されつつあり、販路の拡大や高付加価値化に向けた取り組みが進んできているというような事例がそれぞれあります。
岩手県の農林水産業は地域経済を支える基幹産業でありまして、将来にわたり持続的に発展していくことが重要であります。担い手の確保、育成、生産性、市場性の高い産地形成、そして販路拡大や高付加価値化、そういった取り組みを進めて、生産者が意欲と希望を持って、地域に根差し、暮らしもよくなっていくような農林水産業の実現を目指し、生産者や関係団体と連携して取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 それは私から言わせますとビジョンというものには当たらないのではないかと強く思うんですが、知事がいつも言うように希望郷いわての実現ということで、これはある意味どういうふうに評価していいのか正直伝わっていない部分もあるんですが、やっぱりビジョンというものは、その土地にないものをねだるのではなく、あるものに対して、自分たちがどういうふうに思って、それをどういうふうに届けていくか、どういうふうに先に伸ばしていくかというのが本来持ち得ていなければならないビジョンではないかと思うんですが、知事にもう一度その辺をお話しいただきたいと思います。
〇達増知事 県としての、そして農林水産業としてのビジョンでありますので、どうしても抽象的になる嫌いがあるかもしれません。農林水産業は、農村、山村、そして漁村の地域のあり方と密接に結びついていますので、そういう農村、山村、漁村のあり方のビジョンも相まって具体的なビジョンとなっていくのだと思います。
平成27年度に、まち・ひと・しごと創生の関係で、県のビジョンや戦略、そして市町村のビジョンや戦略を、これは人口減少対策の流れの中でつくっていくわけでありますけれども、それは当然それぞれの市町村ごとに農村、山村、漁村のあり方というものがよりビジュアルといいますか目に浮かぶような個別具体性を持った形でビジョンとして描かれていくことになると思いますし、また、県としても、そこを市町村ときちんとすり合わせながら、それぞれの市町村、また、その市町村内の地域が、例えば、陸前高田市においては、先ほど紹介した、300戸の生産者がまとまって、農地集積を進めての効率的な水田農業がここで行われるとか、エゾイシカゲガイがここで収穫されてどんどん全国に出ていくとか、そういうビジョンをよりわかりやすい、手応えのあるような形で示していくことができると思っておりますので、そういうふうにしていきたいと思います。
〇佐々木茂光委員 今、知事が思われたことを本当に具体の施策の中に踏み込んでこれからも発揮していただきたいと思います。
次に、もう一つは、やっぱり最終的には、担い手。私は漁業に携わっている関係で、漁業の担い手というものを、被災後を含めて就労人口も大分落ち込んで、6割どまりぐらいにまではきているんですが、これからその担い手の確保等に向けましてどのように考えられているのか、もし具体のものがありましたら示しながらいただきたいと思います。
〇達増知事 漁業の担い手対策についてでありますけれども、県では、震災後、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築を図るため、漁船、漁具、養殖施設などの生産基盤の整備を支援してまいりました。また、漁業の担い手確保を図るため、漁協の戦略、戦術となる地域再生営漁計画の策定を支援し、新規就業者の確保、定着を図るために漁業就業フェアの県内での開催支援などを行ってまいりました。
今後、県では、新しい担い手育成ビジョンを策定して、地域再生営漁計画に掲げた担い手の確保対策が着実に進むよう、漁協などの取り組みを支援してまいります。
〇佐々木茂光委員 最後に、JR大船渡線の復旧の見通しについてお尋ねいたします。
〇達増知事 大船渡線については、JR東日本から、乗客の安全を確保するためには、山側にルート変更を行わなければ復旧が難しいという意向が示されたことから、まずは、現行ルートで復旧できない理由を明確に説明するようJR東日本に対して求め、国に対しても、大船渡線復興調整会議を早期に開催するよう要請しております。
JR東日本からの説明をもとに鉄道復旧に係る議論を進めていく必要がありますが、県としては、沿線自治体の考えが重要と認識しておりまして、沿線自治体の意向を踏まえながら進めていきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 議論というのは、相手から来て初めて自分たちが答えるのも進め方だと思いますが、やはりここまで待たされている以上は、まずみずからが大きく踏み出していくことも議論を起こしていく上でも大切と思うんですが、その辺はどうでしょうか。
〇達増知事 県においては、これまで、沿線自治体や宮城県と連携しながら、JR東日本に対して鉄道の早期復旧を求めてまいりました。また、現行ルートで復旧できない理由についても、機会を捉えてJR東日本に対して説明を求めているところであります。引き続き、JR東日本に対して説明を求めていき、また、国に対しても、大船渡線復興調整会議を早期に開催するよう要請してまいります。
〇工藤勝子委員長 時間が超過しておりますので、簡潔に。
〇佐々木茂光委員 最後に知事に、やっぱり鉄道はつながって何ぼだという思いを改めて強く持っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇工藤勝子委員長 次に、佐々木努委員。
〔佐々木努委員質問者席に着く〕
〇佐々木努委員 いわて県民クラブを代表して総括質疑をさせていただきます。
初めに、知事演述について伺いますが、本格復興邁進年に向けた今回の知事演述には知事のどのような思いが込められておりますでしょうかお聞かせください。
〇達増知事 今回の知事演述につきましては、過去の私の知事演述と同様に、過去の成果を踏まえつつ、新年度の主な事業を紹介するものとして作成したわけでありますけれども、ことしは、特に東日本大震災津波からの復旧、復興と人口減少対策に字数を割き、盛りだくさんな事業についてできるだけ多く紹介し、県民一人一人が直面する課題について対応策を知っていただくことで希望につながればという思いを込めたものであります。
〇佐々木努委員 まさに知事がおっしゃっていることはそのとおりだと思いますし、私たちもそういう気持ちを持って知事演述に臨んでほしいと思います。ただ、知事にそういう思いが本当にあれば、先日の一般質問、岩崎議員を初め多くの議員から厳しい意見が出されたと思いますが、そういう意見は出なかったのではないかと思います。なぜそのようになってしまったのか、次の質問の後にまたお伺いしたいと思います。
次に、知事演述はどのようにつくられたのか、作成のプロセスについて伺います。
〇達増知事 プロセスにつきましては、事務方に私の考えを伝えながら、演述に盛り込む必要な事業や事項について、各担当部局で確認しながらつくり上げてきたものであります。
〇佐々木努委員 そうすれば、例えば、さっきもおっしゃいましたが、これまでの4年間の復興についてその演述に盛り込むというふうな、ボリュームをふやすということ、それから、復興の部分のほとんどを4年間をまとめて実績をただ並べるというふうなやり方は、知事が指示を出したということでよろしいでしょうか。
〇達増知事 今回の議会にお諮りしております予算案につきましては、記者会見で記者に説明したときにも、今までで一番長い時間、質問、答弁などがあり、やはり盛りだくさんな内容なので、それにふさわしい分量を知事演述でも確保しなければと私自身思いましたし、また、任期最後の知事演述に当たって、任期中の総まとめのようなことにも言及するというのは4年前にもやりましたし、また、歴代知事もそうしていたということで、歴代知事がそうしていたというのは事務方から聞いた話ではありますけれども、今回、そういうスタイルにするということについては私の決断であります。
〇佐々木努委員 一般質問でも久保議員が話されましたけれども、まさに自画自賛的な演述内容だったと私は思いますけれども、そもそも知事演述というのは知事の所信表明ですよね。どんな思いを持って何にどのように取り組むのか、それを県民にしっかりと伝える、そういうものだと私は思っていまして、決して実績をアピールするものに使われるものではないと思います。しかも、演述の中には、国に先駆けて予算を編成したとか、高率の補助制度を他県に先駆け創設した、そんな表現も使われているわけです。しかし、岩手は、宮城、福島におくれをとった事業もかなりあるはずなんです。加えて、山田のNPO問題、そしてDIOジャパンの問題、それから、今回の予算措置漏れの問題もそうです。そういうことは忘れたかのような中身、私は非常に謙虚さが足りないのではないかと思います。これでは県民に伝わるものも伝わらないと思いますが、いかがですか、知事。
〇達増知事 先ほど嵯峨壱朗委員から、一つ、いまだ多くの方々が仮設住宅等での生活を強いられている、二つ、復興ウォッチャー調査等によれば、被災地の方々がいまだ復興の実感を得られているような状況にない、この二つを、私がほかのところでも述べていることもあり、それを知事演述に盛り込むべきではなかったか、そのように私あるいは県のほうからいろいろなところで言っているそういうこと、その二つの項目について今回の知事演述に盛り込めば、より被災地、被災者の皆さんに寄り添う形になったのではないかということについては、そのとおりだと思います。
一方、今回の演述全体として、被災地、被災者に対する思いが足りなかったのではないか、あるいは謙虚さが足りなかったのではないかということについてでありますけれども、まず、岩手県が国に先駆けてやったということは、例えば、漁協を核とした漁船や養殖器具の復旧については、宮古に国の農林水産政務官がやってきて、大井漁連会長と私からもこれは漁協が核になってやるしかないと。また、そのアイデアのもとになったのは、岩泉町長が、やはり系統が大事だと。燃料不足で酪農、畜産関係は大変だけれども、こういうときは系統が頼りになるということをおっしゃっていて、それを参考にして臨んだものでありまして、被災の現場で苦しむ人たちの力を振り絞る中で、オール岩手として過去4年間こういうことをやってきたということを紹介するつもりで知事演述に盛り込んだものであります。
そして、演述全体が、過去の成果というものを述べ、その後、大きな分量を使ってそれからの新年度1年やっていく事業を紹介するというスタイルについては、震災以降、過去3回、知事演述をやっていますけれども、それと基本的に同じ体裁でありまして、今までもそうでありましたし、今回も特に謙虚さに欠いたというようなことは思っておりません。
〇佐々木努委員 大幅に割いたのは、後半じゃなくて、私は前半の復興の部分だったと理解しています。何々をやった、何々をやった、全て何々をやったということでまとめた。その辺はちょっと私は知事とは認識が違いますけれども、まず、わかりました。
私、自分の感覚がちょっとおかしいのかなとも思って、いろいろな方に聞きました。今回の知事演述、どうかと。もとの職場の同僚なんかにも演述作成に詳しい人間がいましたので聞きましたけれども、ただ成果を並べて、これはおかしいんじゃないかと。そもそも、知事はもう選挙に出ると表明している立場ですから余計そういう所信表明には気を使わなければならないし、それは知事自身もそうだけれども、職員がそういうことに気づいて気を使わなければならないのが本当じゃないかと話していました。
政策地域部長にお伺いします。知事演述がまとまったとき、このような形、このような表現、内容で本当に問題がないか、何の疑念も持たれないであろうという自信があったのかどうか、その辺のところをお聞かせ願えればと思います。
〇齋藤政策地域部長 先ほど知事が御答弁申し上げたとおり、これは、過去の知事演述のスタイル、それから、ことしは選挙の年ということで知事の任期も終わる年でございますが、そういうときの知事演述のスタイルというものは十分参考にしながら構成というものは考えております。
それから、いろいろな御批判をいただいておりますが、いろいろな事業、課題と、それから、今やらなければならないこと、そして新しくやらなければならないこと、−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−実はそれ自体は各部局で確認しながら作業を丁寧にしてきてございますので、ぜひそういうところも担当部長としてはお感じいただければなというふうに考えておりますが、いずれ非常にオーソドックスにつくられた知事演述でございます。
〇佐々木努委員 私、10回以上読みました。読んで、やっぱりちょっとこれはあんまりじゃないかなと思いました。岩崎議員が一般質問で怒った理由は、私はそこにあるんだと思います。別に知事を私、支持するから、しないから、そういうことでこういうことを言っているわけじゃないんですよ。ああいうふうな、職員の方が、さも復興は進んでいるような、そういうことをばんと打ち出してこれから復興に臨もうというふうな、その姿勢が非常に私は心配なんです。だから、私はきょうこれを取り上げさせていただきました。わかりました。
いずれ、多くの議員がやはり疑問を感じています。疑問を感じさせてしまったことについて知事はどう思うのか。それから、この演述、被災して苦しんでいる方々、県民に知事の思いが伝わったのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
〇達増知事 東日本大震災津波発災以来、過去3回、知事演述を行ってまいりまして、今回の知事演述が、過去の成果を振り返りながら今後1年間の主な事業を復興に重点を置いて紹介するという点で、基本的に変わったものではないと。
過去の知事演述についても問題点の掘り下げのようなことはしていなかったわけでありますけれども、なぜ今回これだけ県議会において指摘があるのかということについては、当初戸惑っておりましたけれども、ことしは、なるほど県議会議員の方々にとっても特別な年なのだなと今思っているところであります。
今回の演述は、主な事業の紹介を過去最大の量といたしまして、被災地の直面する課題の一つ一つに対して、それに対応する事業をこれまでよりも丁寧に述べております。過去3回以上に被災地、被災者に寄り添い、また、課題を克服するための事業についても多くを割いて紹介したものでありまして、県として本格復興邁進に全力で取り組むという姿勢を示すことができたのではないかと思います。
例えば、災害公営住宅の整備を確実に進め、円滑に入居していただけるよう、情報提供や相談会を随時開催しています。また、民間住宅工事施工者への簡易宿舎の無償貸与や、住宅再建者と工事施工者のマッチングの強化など、住宅再建に係る人材等の確保に取り組みます。まだ災害公営住宅は整備の途上にある、民間住宅工事施工者が宿舎の問題で困っている、そして人材にも問題がある、それらに対して今述べたような対応をとっていく、こうしたことがあらゆる分野について書かれておりますので、被災した方々初め県民の皆さんには、ぜひ今回の知事演述を実際に読んでいただいて、自分が直面する課題に対してどのような県の施策が実行されるのかを見つけて希望につなげていただきたいと思います。
〇佐々木努委員 次の質問に入ります。
震災復興についてお伺いしたいと思います。
災害公営住宅の現状と課題についてですが、現在、災害公営住宅の建設がハイピッチで進んできておりますけれども、現状は、1月31日現在で工事が完了しているのが県、市町村整備を合わせて1、049戸、計画の17.7%にとどまっているわけです。多くの方が入居できるのは来年度、再来年度になると思いますが、そういう中にあって、既に完成して入居が始まっている釜石市の県営平田団地は、126戸中、空き住戸が24戸です。それから、山田町の県営豊間根団地は、72戸に対して空き住戸が実に22戸、そして、ことし9月に入居が始まる大槌町の県営屋敷前団地にあってはまだ応募が半分程度しか来ていない、そういう状況と聞いています。
その理由としては、県からは、災害公営住宅への入居をいまだ決めかねている人がいるとか、より自分の希望に近い災害公営住宅の完成を待っているということでありました。確かに、被災した方々の希望には可能な限り沿うように努力することが大事だと思いますけれども、せっかくつくっても、入居者がいないということでは意味がなくなってしまうのではないかと思います。そして、何よりも、仮設住宅の多くは小学校の校庭に建っているわけです。このままいくと、子供たちにいつまでたっても校庭を返してあげられないことになってしまいます。先日、陸前高田に行ったんですが、仮設住宅に入っている方が私にこう言ったんです。このままでは、小学校6年間、ついに一度も小学校の校庭で運動会ができない子供が出てしまう、何とかしてあげたいとおっしゃいました。私もそのとおりだと思います。
確かに自分の希望のところに入りたいという気持ちはありますけれども、いち早くそういう子供たちのことに被災者の方々もぜひ配慮してほしいし、県としても積極的に入居を勧めるべきだと思いますが、今後の対応をお聞きしたいと思います。
〇中村復興局長 今、委員から災害公営住宅の空き住戸の関係のお話がございました。確かに、依然として学校のグラウンドに多くの仮設住宅が建っているという現状がございます。我々としても、それは是が非でも早期に子供たちにグラウンドを使えるような状況に持っていかなければならないということで、今、公営住宅が建ち始めて仮設も徐々にあきが出てございますので、一つは、学校グラウンドを早期にあけるためには、仮設を集約させて、特に学校に建っている応急仮設については、できるだけそこに入っている方々にそれ以外の仮設にとりあえず一旦移っていただいて、学校のグラウンドにある仮設についてはできるだけ早く撤去するような形で計画をつくっていただくように、今、強くお願いしております。
もう一つ、災害公営住宅の空き住戸の関係でございますが、委員からお話があったように、被災者の方自身、災害公営住宅の全ての建物が同時期に完成すればその中で自分の希望を言えるわけですけれども、現実問題としてはそこに時間差が生じておりますので、今、先行的に整備されている部分よりももっと後にできる公営住宅に入りたいというふうにお考えの方もやっぱりいらっしゃる。そうすると、そちらは諦めて、今、完成したところに絶対入ってくださいともなかなか我々としても強くは言いにくいというか、強制するわけにもいかないので、できるだけ早期に完成した空き住戸については早く埋めるように努力はしておりますけれども、そこはそういう事情もあるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。
そういった空き住戸を早期に埋めるためにも、今後とも、完成前の内覧会の実施でございますとか、団地近隣の応急仮設住宅の方々へのパンフレット配布でありますとか、そういったことをまた引き続き市町村と協力しながら進めて、できるだけ早期に空き住戸の解消には努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 引き続きよろしくお願いいたします。
災害公営住宅の今後の建設計画を見ますと、全ての建設が終わるのは平成30年度ということで、平成30年といえば今からさらに3年も先の話です。今、このような空き住戸があるという状況で、本当に計画どおり入居が進むのだろうかということをちょっと心配しています。
高齢の方は、高層住宅にはなかなか住みたくない、そういう話も随分と聞こえてきていまして、さまざま土地の制約があるのは十分承知で私、話しているんですけれども、戸建てや長屋に建築方式を変更するとか、あるいは建築戸数の大幅な見直しもこれから行っていくべきではないかと思いますが、その辺のお考えをお伺いいたします。
〇中村復興局長 県では、自力での住宅再建が難しい方々につきましては必要な災害公営住宅を整備するということで、被災者の意向も踏まえまして、市町村と十分協議をしながら、建設する場所でありますとか建設戸数につきましては決めてきてございます。また、被災者の方々にもできるだけ最新の意向を随時確認しながら、応募状況も踏まえまして整備計画そのものの見直しも行ってきてございます。今、委員からお話ありました被災者のニーズということもございますので、一部の団地におきましては、長屋形式でございますとか平屋建てへの見直しを行ったところもございます。
今後も、空き住戸ができるだけ発生しないように、被災者の方々の意向も十分お伺いしながら、必要であれば随時計画の見直しを行ってまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 次に、災害公営住宅のコミュニティづくりについてお伺いします。
災害公営住宅での孤独死については、阪神・淡路大震災の被災地である神戸でも今なお非常に大きな問題になっていまして、岩手でも既に災害公営住宅で4人の孤独死が発生していることは本当に残念であります。今後、応急仮設住宅から災害公営住宅に多くの方が移ると思いますが、私は、災害公営住宅内のコミュニティづくりを県として早急に進めるべきと思いますが、どのように進めていかれるのかお伺いいたします。
〇中村復興局長 災害公営住宅におけるコミュニティづくりについては、我々も非常に重要な課題であると考えてございます。このため、災害公営住宅の住民相互の交流を促すための集会所等を整備してございますし、また、入居募集に当たりましても、グループで募集をするといったことなど、地域ごとのコミュニティができるだけ維持されるようなことにも配慮しているところでございます。
また、被災者の見守り体制ということで、生活支援相談員の活動範囲を、応急仮設住宅のみならず、災害公営住宅でありますとか自宅を自力再建された方々にも対象を拡大いたしまして、地域全体として見守りをしていくことにも努めているところでございます。
さらに、応急仮設住宅から災害公営住宅に転居した後も孤立することのないように、受け入れ先の地域における支援体制づくりといったことも重要な課題でありますことから、生活支援相談員でありますとか、その地域の自治会長等を対象にいたしました災害公営住宅への移行研修といったようなものも行っております。
今後も、引き続きまして、市町村でありますとか社会福祉協議会等関係機関と連携をとりながらコミュニティづくりについては支援してまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 今、生活支援相談員のお話も出てきましたけれども、神戸では、今、LSA、生活援助員という方が一生懸命コミュニティ維持のために被災者のお世話をしていますけれども、今、その方々も、なかなか仕事が大変で、なり手がいないということで大変な状況になっているということを直接お聞きしました。そういうことで、必ず我が県の公営住宅でもそういう問題が出てくると思います。これは単年度事業なので国もいつまで面倒を見てくれるかわかりませんので、私は、災害公営住宅の入居者の中からそういう支援員を養成するとか、県独自でこれからのそういう支援員制度を考えていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇中村復興局長 応急仮設住宅に配置しております支援員につきましては、現在でもその団地の中に住まわれている被災者の方々の中から支援員として雇用して活動していただいている方もいらっしゃいます。
今、委員からお話がありましたが、我々としては、できるだけ国のしっかりした制度のもとでこういった支援員でありますとか相談員を手配していただいて活動していただくのがベストだろうと思っておりますけれども、いずれ、公営住宅に移られても息の長いフォローが必要だということはそのとおりでございますので、それについては、引き続きしっかりと行えるように取り組んでまいりたいと考えています。
〇佐々木努委員 次に、人口減少対策、結婚支援対策についてお伺いしたいと思います。
残念ながら岩手県は結婚率が全国で下から2番目という状況ですけれども、ただ、反対に離婚率は下から7番目。二、三年前は、たしかこれも下から2番目で、結婚はしないけれどもなかなか離婚もしないという県であると認識しています。結婚率は低いけれども合計特殊出生率が全国平均より上ということは、結婚すれば子供をたくさん産む夫婦がいっぱいいるということにもつながると思います。そういう意味では、やはり結婚というのは少子化対策を考える上では非常に重要なことであって、私は、行政としてもこの結婚支援対策を一生懸命やってほしいと思っていましたが、新年度予算に結婚支援センターの設置予算を盛り込んでいただいたことは非常にありがたいことだと思っているし、高く評価しています。
そういうことを申し上げた上で、まず初めに、結婚支援センターはどういう機能を持っているのか、そして、どういう役割を担っていくのかお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 結婚支援センターの役割等についてでございますが、先般取りまとめました人口問題に関する報告案におきましては、自然減対策といたしまして、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てのライフステージに応じた支援の充実を図ることを方向性として示したところでございます。
これを踏まえまして、公益財団法人いきいき岩手支援財団が結婚支援センターを設置して、県、市町村、産業団体等が負担金を拠出し、連携を図りながら、婚活イベント情報の発信、あるいは結婚を望む方々の会員登録、マッチング支援などを行いまして、全県を挙げて県民の結婚に向けた活動を支援しようとするものでございます。
〇佐々木努委員 今、答弁をいただいたことについて幾つか質問させていただきます。
まず、センターの設置場所ですけれども、県では内陸と沿岸の2カ所を検討されているようですけれども、私は、岩手は非常に広いので、2カ所では少な過ぎると思っています。さっきマッチングの話をしましたが、この結婚支援センターの役割で一番大きいのはマッチングだと思っていまして、相手を探しに行くのには直接センターに行かなければならないということで、盛岡にもし設置したとすれば、例えば一関から通わなければならないということになるわけです。しかも、会員の方がセンターにおいでになって、例えば1人30分の制約ですよなんていうこともあって、なかなか会員の方の思うような形にならないというか、思うように探せない、そういうこともあるようです。ですから、広域振興局単位に、四つの地域に一つずつぐらいは設置してほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 まず、このセンターの運営に関しまして、基本的な基盤と申しますか条件といたしまして、運営ノウハウの確立、あるいは習熟した職員の養成、あるいは、複数化した場合、センターの一体的な運営などが図られる体制をまず構築する必要があると考えております。慎重にスタートするとすればまず1カ所からというのが基本ですが、ただ、やはり本県の広い県土、あるいは、できるだけ速やかにスタートさせたいということから、今回はとりあえず2カ所からスタートさせたいと考えているところでございます。
いずれ、将来的には、その運営ノウハウが確立し、センターをさらに増設していっても一体的な運営が可能となる体制を構築できるという段階まで持っていきまして、そういうことを進めながら、増設についても並行的に検討していく必要があろうかと思います。
したがいまして、今お話がありましたマッチング、出会いの場をどこに設けるかということにつきましては、これは私もまだ考えている段階でございますが、マッチングする会場については、それなりの、いろいろな関係団体に御協力いただきますので、そういう場所を例えばセンターのほうでお借りするとか、そういうことも含めて考えなければならないと思いますし、あるいは、なかなか会場が近くに、2時間以内、そういう会場もないという場合は、例えばセンター職員が各地域に出向きまして、モバイル端末などを用いて会員登録の受付、あるいはマッチングシステムによる検索などでサービスを提供するとか、いろいろな工夫をしながら、とりあえず2カ所をセンターにしながら、できるだけ出向いたり、あるいはさまざまな御協力をいただいてカバーしていくということをまず基本に今後に向けた増設についても考えていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 どうぞよろしくお願いいたします。
2点目に、人的体制ですが、県ではセンターの運営をいきいき岩手支援財団の実施事業にするというお考えであると思いますが、私もそれでいいとは思うんですけれども、実際に財団にはノウハウを持っている方が多分いらっしゃらないのではないかと思いますので、県南で一生懸命結婚支援に取り組んでいる、ノウハウもしっかりと持った方がいらっしゃるので、そういう方を活用して円滑にセンターの運営ができるようにしてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 ノウハウを持った人材の活用についてでございますけれども、いきいき岩手支援財団におきましては、これまでも出会い応援事業など一部の事業は実施しているところでございますけれども、今回、主軸としておりますマッチング事業については、今、御指摘のとおり、なかなかノウハウ等を含めて、現在の職員のみでは十分な対応は現時点でできないと考えております。したがいまして、センターの運営に当たりましては、専門的ノウハウを有する人材を、県内からですが結婚アドバイザーとして委嘱するというような形で、さまざまなアドバイスをいただきながら進めることとしたいと考えておりますし、また、全県的な取り組みでございますので、現在、結婚支援員を委嘱されている一部市町村もございますので、例えばそういう方なども含めて、県内で結婚支援に取り組んでいる方々の御協力もいただきながら推進していく必要があると考えております。
〇佐々木努委員 よろしくお願いいたします。
今、結婚相談員ですか、支援員とおっしゃいましたか、話が出ましたが、茨城県の結婚支援センター、出会いサポートセンターですけれども、ここが成功しているのは、センターのマッチングシステムと、それからマリッジサポーターというお世話役、結婚相談員なり支援員なりということになると思うんですが、そういう方との連携がしっかり図られているからだと言われています。そういう意味では県内全域でそういうサポーターを県認定で育成するべきだと思いますが、そのお考えはないかお伺いいたします。
〇千葉副知事 先進県の取り組み事例といたしましては、若者出会いの相談あるいは仲介などを行うサポーターの活動が成果につながっているということは私どもも承知しております。したがいまして、本県におきましても、センターと連携した活動をしていただけるサポーターを育成することが極めて重要と思っております。今後、そのサポーターがこのセンターと連携した中でどういう役割を果たしていただくかということをきちんと整理することも必要でございますが、その上で育成についても検討していかなければならないということを考えております。その候補者といたしましては、例えば先ほど申し上げた結婚支援員の方々や、あるいはさまざまな地域活動をやっていただいてさまざまな人的ネットワークをお持ちの方とか、そういう方で御協力いただける方にそういうふうなサポーターをお願いしていく必要があろうかと思っておるところでございます。
〇佐々木努委員 時間が押しているので一つ質問を飛ばしますが、いずれこの事業に非常に期待しておりますので、ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
次に、子育て支援の取り組みについて伺います。
子育て支援というのは何となく行政が行うものと思われがちですけれども、やはり地域とか民間と一緒になってやらなければ効果が出ないものだと思います。そういう意味で、県では、平成19年度から子育て応援の店登録制度、それから、いわて子育てにやさしい企業等認証制度を行っているわけですが、これは非常に意義のあることだと思います。
初めに、子育て応援の店登録制度ですが、ことし2月20日現在の登録数が1、291店舗と聞いています。これまでの取り組みも含めて事業をどう評価しているのか伺います。
〇千葉副知事 いわて子育て応援の店についてでございますけれども、この登録制度は、子育てを応援する、子育てに優しいという社会貢献を行っていただく店舗、企業として顧客へのイメージアップにつながるほか、登録いただいた店舗、企業を県のホームページなどでPRするということで、子育て家庭のみならず、店舗、企業側にもメリットがある制度ではないかと考えております。
協賛店舗につきましては、これまで、県ホームページによります周知のほか、各広域振興局職員が店舗訪問を行い、登録の拡大をお願いしているところでございます。今年度は、さらに商工団体のさまざまな広報に載せて会員の方々への周知もお願いしておりまして、協賛店舗の登録の拡大に取り組んでいるところでございます。
いずれ、今、委員からお話ありましたように、2期アクションプランの最終年度である平成26年度に1、400店舗をとりあえず目指しておりまして、現在、1、291店舗でございますので、今後におきましても店舗数の拡大に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 先日、富山に勉強に行ってきたんですが、富山では2、400店舗あるということですから、岩手もまだまだ伸ばせると思いますので、引き続き拡大に向けた取り組みをお願いします。
次に、いわて子育てにやさしい企業等認証制度のことですけれども、これも平成19年度から始まってまだ23企業ということで非常に少ないような気がしますが、今後、県としてこの企業をどのようにふやしていくのか、これまでの事業の取り組みの成果と課題もあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 認証制度についてのお尋ねでございますけれども、今、なかなかふえていかないのではないかというお尋ねもございました。この制度、年々着実にふえてはおりますけれども、なかなか数がふえていかないということにつきましては、やはり、その趣旨については一定の理解をいただけると。しかしながら、その認証手続についてはなかなか踏み出しにくいという企業、店舗等の意識があるのではないか。この意識をクリアしていただくことが課題ではないかと思っております。したがって、現在は広域振興局が中心となりましての企業訪問によりましてこの制度をいろいろ御理解いただくとか、あるいは公益財団法人いきいき岩手支援財団が主催しております、企業経営者を対象としたセミナーの場をかりての周知とか、さまざまな周知にも取り組んでいるところでございます。
平成22年度の11社から平成26年度末で21社、10社ふえているわけですけれども、まだまだそういうことでこの取り組みは強化していかなければならないと思っています。したがいまして、今回、御提案しておりますいわての子どもを健やかに育む条例におきましても雇用環境の整備を行う事業主の役割を設けておりますが、そういう趣旨も踏まえて今後行動いただけるようなことも期待しておりますし、私どもも一層取り組みを強化したいと。
例えばでございますけれども、今、いわてイクメンというふうな、民間の方々に御協力もいただいておりますが、その方々にもお願いして企業要請への訪問に行っていただくとか、行政職員だけではなくて、そういう方々にも例えば行っていただくとか、あるいは改めて商工団体に協力要請もきちっとさせていただきたいと考えておりますし、さまざまそういう取り組みを講じまして拡大を図ってまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 国にも同様の子育てサポート企業認定制度というのがあるんですけれども、認定を受けた企業がくるみんというものを取得すると税制優遇などさまざまな支援が受けられるというものですが、似たような制度なので、ぜひこれは県と国と一体となって進めてほしいと思います。これは要望です。
次に、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画についてお伺いしたいと思います。
次世代育成支援対策推進法では、常時雇用労働者101人以上の企業に対して一般事業主行動計画の策定を義務づけていまして、岩手は策定率100%ということであります。また、同法では100人以下の企業は努力義務ということになっていますが、私は、努力義務の企業にも、やはり積極的に策定してもらうようにしてほしいと思っています。
ことし1月に人口減少・少子化対策調査特別委員会で富山に行ってきたんですけれども、富山では平成23年に条例を制定して、51人以上100人以下の企業にも策定を義務づけました。その結果、今、98.1%の策定率ということです。もちろん富山はそういう風土があるのかとも思うんですが、岩手もぜひこういう取り組みをしてほしいと。やはり企業に、少子化対策は大事だと、従業員の方のさまざまな働き方、子育て支援をすることによって自分の会社もよくなるということをしっかりと知ってほしい、そういう意味でもぜひ策定に向けた条例制定も県で取り組んでほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 岩手県の従業者50人以上99人以下の事業所数は、平成24年経済センサス・活動調査によると992ございます。県としましては、今議会にいわての子どもを健やかに育む条例を提案しておりまして、その中で、事業主の役割として、労働者が安心して子供を産み育てることができるようにするため必要な雇用環境の整備を行うことを定めたところであります。
今後、この条例の趣旨を、50人以上99人以下の事業所も含め、事業主の皆さんに理解いただくための啓発を行って、一般事業主行動計画の策定を要件としたいわて子育てにやさしい企業の認証、表彰のほうにも参加していただけるようこれを推進し、公益財団法人いきいき岩手支援財団が計画策定事業所を対象に行う子育てにやさしい企業助成金等の活用促進も通じて、一般事業主行動計画の策定を促していきたいと思います。
〇佐々木努委員 この取り組みはお金がかからない取り組みだし、県が一生懸命、自分たちの県はこういう子育て支援に取り組んでいるという意思を企業の方に示すためにも私は必要だと思いますので、検討をぜひ行ってほしいと思います。
次に、介護についてお伺いしたいと思いますが、1点だけ、介護予防についてお伺いしたいと思います。
先日、一般質問で福井議員も県の介護予防の取り組みについて質問されました。私も、答弁を聞いていたんですが、答弁からは何となく市町村任せのような感じを持ちました。ちょっと残念だったんですけれども。
知事は聞いたことがあると思いますけれども、ロコモティブシンドロームというものがあって、これは運動器症候群という意味で、足とか膝、腰、そういうところの移動能力が低下して要介護になってしまう、そういうものを言うということですけれども、今、山形で県が健康長寿安心やまがた推進本部というものを設置して、知事みずからCMに出演してロコモティブシンドローム予防の必要性を県民に訴えていると。佐賀県でもロコモティブシンドローム対策推進委員会というものを設置して、県が先頭に立ってロコモティブシンドローム予防に取り組んでいるということがあります。
これから介護従事者の確保が非常に厳しくなるという状況にあって、やはり要介護の人を減らすという取り組みは絶対に必要になってくると思いますので、あまちゃんの旗振りもそれは大事だと思いますけれども、ぜひ、こういうことの旗振りも知事に積極的にやってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇達増知事 介護予防は日本全体の課題でもありますけれども、岩手県にとっても大変重要でありますので、県としても、県としての役割をきちっと果たしながら、また、市町村ともしっかり連携して、地域に根差した介護予防の推進についても図っていきたいと思います。
そして、ロコモティブシンドローム予防についても、県としても、そのロコモティブシンドローム予防の重要性について県民の認知度向上に努め、ロコモティブシンドローム予防に積極的に取り組んでいる医師やリハビリ専門職などの意見を参考としながら、市町村と連携し、ロコモティブシンドローム予防のあり方について検討していきたいと思います。
私も地域を訪問したとき、その地域それぞれ、ニギニギ体操とかいろんな体操をやっていて、そういうものを一緒にやったことがありますけれども、ちなみに、県としては、今、来年の岩手国体、そして全国障害者スポーツ大会に向けて、わんこダンスを私も動画撮影し、推奨しているところで、あれはテンポが速くて大変だという声も聞くんですけれども、車椅子の方用の着席のままできるようなタイプのダンスも一緒にありまして、ロコモティブシンドローム予防にもきくと思いますので、来年の希望郷いわて国体、希望郷いわて大会に向けて私のほうから県民の皆さん全体に推奨するダンスとしては、まず、わんこダンスをお薦めしているところであります。
〇佐々木努委員 わかりました。
若者の移住促進について伺います。
国が地方創生の一つの手段として若者の地方への移住を進めているわけでありますけれども、我が県としても積極的に都市部の若者を受け入れる施策に取り組むべきだと思っています。
そこで、県はこれまで都市部からの若者の移住支援をどのように進めてきたのか、どのような実績を上げてきたのかお伺いいたします。
〇齋藤政策地域部長 本県では、これまで、定住・交流サポートセンターや県外事務所に移住者向け相談窓口を設けております。首都圏での移住イベントなどに出展いたしまして、本県への移住に関する各種情報提供や移住相談に応じてきたところであります。
本県への移住者数の最近の情勢でございますが、平成23年度は998人、平成24年度は1、021人、平成25年度は1、098人となっている状況でございます。
〇佐々木努委員 ちょっと質問の順番を変えますが、今、県庁内あるいはいわて銀河プラザ内にそういう相談窓口を設置しているということでした。定住・交流サポートセンター、いわて定住・交流支援センターのことだと思いますが、ここではどのような活動をされてきたのか、この数年どの程度の相談があるのか、どういう内容の相談があるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
〇齋藤政策地域部長 今、御案内のありましたとおり、県庁に定住・交流サポートセンター、東京事務所に移住者向け就職相談窓口としていわて定住・交流支援センターをそれぞれ設置いたしまして、Uターンの就職希望者に対する県内企業情報の提供など、本県の移住に関する各種情報提供や移住相談などに対応しているところでございます。
具体的に申しますと、県庁のサポートセンターでは、相談件数でございますが、平成23年度は46件、平成24年度が70件、平成25年度が79件となってございます。一方、東京事務所の支援センターでは、平成23年度が847件、平成24年度が713件、平成25年度が635件となってございます。
実際にこれがどれだけ移住につながっているかというところまでは把握しておりませんが、具体的な事例を一部紹介いたしますと、例えば、震災の復興支援を契機として大槌町に飲食店を開いたという事例もございますし、あるいは本県の山や自然に興味を持ったことなどをきっかけとして遠野で民宿を経営するという御夫妻が出ていたり、あるいは御主人と一緒に移住してきた後、地元の中学校で学力向上支援員として働いている、こうした事例が出てきております。
〇佐々木努委員 相談件数が年々少なくなっているのは非常に残念なことですけれども、都市部から地方への移住を支援しているNPO法人ふるさと回帰支援センターは県でもつき合いがありまして、新年度に常設ブースを設置するということですけれども、このふるさと回帰支援センターが、先ごろ、2014年の田舎暮らし希望地域ランキングというものを公表しまして、トップは山梨県、第2位が長野県で、岩手県を探したんですけれども、20位以内にはなかった。直接聞いてみたんですが、20位以下はちょっと集計していませんというセンターの話でしたので何位かわかりませんが、そんなに上のほうではないのだろうなと思います。山梨県民には非常に失礼なんですけれども、山梨県は富士山がある程度で、私は、岩手県のほうがもっとずっと田舎暮らしにはいい地域なんだと思いますが、以前は山梨県は下位だったそうです。ところが、最近、ほぼ毎月移住セミナーを開催している。その認知度アップ、就職と一体でワンストップで相談できる体制の整備、さらには出張イベントを数多く開催して、そこからダイレクトに相談を呼び寄せていると、ふるさと回帰支援センターではそういうふうに分析されています。
岩手も頑張っていないとは言いませんけれども、私は、震災前は、岩手の定住策というか、そういう取り組みはもっともっと勢いがあったと記憶しています。特にも平成20年ごろ、総務省が団塊世代をターゲットにして二地域居住というのを進めました。東京と田舎とを行ったり来たりというふうな、結局、物にはならなくて、いつの間にかなくなっていたんですが、総務省でつくったポータルサイトに岩手も参加していて、閲覧数は岩手が常にトップだったんです。そのころは岩手の移住先としての人気も非常に高かったと私は認識していますが、今は、残念ながら何となく岩手も埋もれてしまったということです。もう少し元気に岩手もこの定住支援、移住策に取り組んでほしいと思うんですが、知事、いかがでしょうか。
〇達増知事 これまでも、首都圏での岩手ファン拡大に向けたPRイベントなどを活用した情報発信を展開してきたところでありまして、また、最近においては、移住希望者向け相談対応や首都圏での移住イベントへの出展などを行い、本年度は、市町村との連携した取り組みを強化するため、移住・交流市町村セミナーを開催して、関係機関との意見交換や情報共有を行ったところでありますが、近年、若者が地方へ回帰する傾向が強まってきていると言われていることもございます。そして、東日本大震災を契機に岩手県とのつながりを持った県外の若者もふえてきていますことから、平成27年度におきましては、新たに、県と市町村の共同による首都圏での移住フェアの開催や、移住者獲得に向けたPR動画による情報発信、そして、東京のふるさと回帰支援センターへの移住相談員の配置を行うなど、情報発信の強化、相談体制の拡充を図り、移住希望者のニーズに応じたきめ細かな取り組みを進めながら、若者を岩手県に呼び込むような移住施策を展開してまいります。
〇佐々木努委員 魅力の発信というのは、例えば岩手に来たらこういうことがあるんだよとか、こういう生活支援があるんだよ、こういう仕事があるんだよというものを一体的にきちっと示せる、それがやはり都会から田舎に移って住みたいなという方が一番魅力を感じるものだと思います。そういうところをしっかりしないと、幾ら岩手に来てください、来てくださいとPRしても、誰も寄ってこないのだと思いますので、ぜひその体制を新年度にしっかりと構築していただければと思います。
それから、地域おこし協力隊ですが、これは私は非常に注目しているし、期待もしています。国のほうでも3、000人以上、全国に地域おこし協力隊を拡大したいということでありますけれども、昨年9月の一般質問で、地域おこし協力隊に対する県の支援策について質問させていただきました。その際は、市町村、関係機関と連携を図りながら、活動終了後の定住への誘導をも視野に置いた取り組みを積極的に進めていきたいという答弁で、前向きな答弁でありました。新年度、具体的にどのような支援策を講じていかれるのかお伺いいたします。
〇齋藤政策地域部長 平成27年度の事業でございますが、まず、一般質問でも、まだまだ制度の周知が図られていないという御指摘がありましたので、制度の周知を一生懸命行います。この有効活用を各市町村に促すとともに、県内外で成果を上げている活動事例の情報共有や、県内の隊員間の情報交換を目的とするセミナーの開催を行います。
それから、新たに設置する移住や交流人口拡大のための企画や調整を行う定住・交流促進コーディネーターを活用いたしまして、県内で活躍する隊員や復興支援員などの外部人材や関係機関のネットワークの構築も行います。
それから、隊員の活動終了後を見据えまして、スキルアップのための研修情報の提供や資格習得、住宅の紹介など、定住に向けた仕組みづくりの検討、これらを平成27年度に実施したいと考えております。
〇佐々木努委員 具体的な支援は受け入れ市町村が主体となってやっていくべきだと思うんですが、県としても、例えば隊員としての期間が終わって移住することになったら何年間は家賃は面倒を見るとか、さまざまな取り組みで残ってもらうような形ができると思うんです。市町村だけにということではなくて、県として、市町村と一体となってそういう制度をぜひつくってほしいし、さっき、平成27年度はそういう仕組みづくりを行うということですから、ぜひ議論していただければと思います。
次に、林業振興と森林環境の保全についてお伺いいたします。
岩手の広大な県土の77%は森林ですから、岩手は日本有数の森林県であるということなんだと思いますが、残念ながら、木材価格の低迷によって林業は活力を失っております。今後は、恵まれた森林資源を積極的に活用して林業を再生させて、あわせて森林整備も進めていかなければならないと思います。
そのような中で、北上市に立地した大型の木材加工施設が本格稼働しているということ、それから、宮古市の大型バイオマス発電施設に続いて一戸町、野田村にも建設中、花巻市にもそういう構想があるということで、これからますます県産材の需要はふえてくるものと期待しています。
そこで伺いますけれども、県としては、これらを含めた県産材の活用促進策にどのように取り組んでいくのか。あわせて、平成27年度において県の施設にどの程度の県産材の活用を見込んでいるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 県産材の活用促進策についてでございますけれども、県では、今後拡大が見込まれております木材需要に対応いたしまして、県産材が安定的かつ継続的に供給されるよう、木材の需要者と供給者の安定取引協定の締結に向けましたコーディネートや、木材生産量の拡大に向けた高性能林業機械の導入支援など、体制の整備を進めているところでございます。
また、公共施設につきましては、県では、本年度からの3カ年を期間としております第4期岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定しておりまして、当該計画に基づきまして、率先して公共工事等への木材利用の推進に取り組んでいるところでございます。
民間施設につきましては、県産材を利用した住宅建設に対する助成や、住宅や商業施設への県産材の利用に向けたコーディネートを行っておりますほか、県産材を活用した優良事例集による木材利用のPRや、すぐれた木造建築物等に対する知事賞の創設など、県産材利用の機運が民間企業にも拡大するように取り組んでいるところでございます。
いずれ、こうした取り組みによりまして県産材の地産地消を進めながら、本県の森林から生産されます木材を、製材品から合板、製紙用チップ、木質バイオマス燃料などに余すことなく活用されます、いわゆるカスケード利用を進めてまいりたいと考えております。
平成27年度の県施設等での木材利用量は、災害公営住宅の建設がピークを迎えておりますことから、県の3年間の推進目標のおおむね半分に当たります約1万立方メートルを計画しておりまして、そのうち県産材は約6割程度の活用を見込んでおるところでございます。
〇佐々木努委員 引き続きよろしくお願いしたいと思います。
いわての森林づくり県民税についてお伺いします。
一般質問でも他の議員も取り上げましたけれども、新年度で2期目の最終年度ということになります。総括の年ということになると思いますが、この事業は、地球環境を守る意味で、そしてまた本県の林業振興を図る意味でも、私は非常に意義のある事業だと思います。
ただ、非常に認知度が低いということで、先日、私も地元住民の方々を前に、県民税というものがわかりますかと聞いたら、1割の人しか手を挙げませんでした。皆さん、知らないうちに県民税を納めているということで、本当にすばらしい県民だなと思う一方で、ちょっと残念に思いました。県のほうでも一生懸命頑張っているし、そういうものが伝わっていないというのが非常に残念でした。
そういうことで、新年度は、平成28年度からまたこれを継続するかどうかという議論になる年ですから、県民に対してもしっかりと周知していかなければならない、これまでの実績、必要性を周知していかなければならないと思いますが、普及啓発も含めた平成27年度のいわての森林づくり県民税事業は、どのような方針を持ってどのように行われるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 いわての森林づくり県民税事業についてでございますけれども、平成27年度におきましては、引き続きまして、公益上重要で管理が行き届いていない森林を、公益的機能の高い森林に誘導するための間伐、あるいは地域の方々が主体的に取り組むさまざまな森林環境保全活動の支援に取り組むこととしております。また、これらに加えまして、テレビ、ラジオ、新聞等の媒体でPRを行いますとともに、地域説明会の開催なども取り組むこととしております。
いずれ、今、委員からもお話がございましたように、来年度は第2期の最終年度でございます。こうした取り組みをしっかり進めながら、これまでの実績などにつきましても、県民の皆様に十分御理解をいただけるよう情報発信を行った上で、第3期への事業継続の必要性も含め幅広く検討してまいりたいと考えております。
一言加えさせていただきますと、私は実はこの税制度を創設する際に税務課長を務めまして、当時はいろいろとマスコミ等にも取り上げていただき、さまざま関係方面の方々でも御議論いただいたんですが、創設されて以降、関心とかあるいはPRも含めてまだまだ周知するところがあるなと考えておりますので、来年度、第3期への取り組み、継続するか否かについての重要な時期でございますので、特に情報発信については意を用いていきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 私も大賛成ですので、ぜひよろしくお願いします。
次に、県産材の活用が進めば進むほど森林の伐採はもちろん進んでいきまして、当然ながら、木を切ったら植えるという作業をしませんと、森林はやがて消えてしまうということになります。
平成24年度の県内の人工林の主伐面積1、965ヘクタールに対して、伐採後に再造林された面積は510ヘクタールです。ここ数年、再造林の割合は3割をずっと下回っています。切っても植えないという状況です。
その原因としては、木材価格が安くてもうけがないから森林所有者が再造林をしようという気にならないということですけれども、本当にこのままであればどんどん森林は減っていく、そういう心配をしています。
今、異常気象で全国で大規模な自然災害が発生していますけれども、特にも豪雨による土砂災害はいつどこで起きてもおかしくないという状況で、森林の伐採によって、その危険度もこれから増してくるのだと思いますが、そのような観点からも、伐採後の再造林は、林業振興と災害防止の観点から非常に重要だと私は思います。積極的に取り組んでいってほしいと思いますが、県として、再造林の必要性をどう考えているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 再造林の必要性についてでございますけれども、先ほど委員からお話がございましたが、木質バイオマス発電所の立地あるいは北上市に新設されました合板工場の本格稼働などによりまして、県内の木材需要の拡大が見込まれている中、安定した森林資源を確保していくためには、再造林は極めて不可欠なものだと考えております。再造林を進めていくに当たりましては、今お話がございましたが、できるだけ再造林コストを低減し、森林所有者の負担の軽減を図っていく必要があると考えておりまして、その再造林コストの低減に向けたさまざまな取り組みも、今進めているところでございます。
また、本年1月から、県内の林業、木材産業関係団体の方々と再造林を促進する体制の構築に向けました検討を進めているところでございまして、来年度中には一定の方向を打ち出し、関係機関、団体と連携して再造林の促進に努め、森林資源の循環利用に努めていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 先ほど、いわての森林づくり県民税の話をしましたが、来年度、もしやるとすれば、再来年度はどういう事業から始めるかという話になるんだと思いますが、私は、間伐ももちろん非常に大事だと思いますけれども、県民税を利用した再造林についてもぜひ御検討をお願いしたいと思います。
知事、所感があればお伺いします。
〇達増知事 いわての森林づくり県民税は、本県の豊かな森林環境を次の世代に良好な状態で引き継いでいくために、県民みんなで支える仕組みとして平成18年度に創設したものでありまして、その使途は、森林環境保全に関する施策に要する費用に充てるものとされております。このため、現行制度では、公益上重要で管理が行き届かない森林を対象として、針葉樹と広葉樹の入りまじった、水源の涵養などの公益的機能の高い森林へ誘導するという森林環境保全のための間伐などに限って実施しているところであります。
再造林は、森林資源の循環利用を進め、林業振興を図るために不可欠であるものですけれども、森林環境の保全を目的とした県民税で実施するには慎重な検討が必要と考えております。
現在、いわての森林づくり県民税事業評価委員会において、県民税事業の今後のあり方などについて検討を進めていただいておりまして、今後、評価委員会からの提言を踏まえて、県民の皆さんの意見も伺いながら、事業継続の必要性も含めて幅広く検討してまいります。
〇佐々木努委員 ちょっと私とは考えが違うようなんですが、時間がないのでここで終わりにします。
次に、中国との経済交流についてお伺いします。
近年、中国経済の発展は非常に目覚ましくて、今や中国は日本経済にとってはなくてはならない存在だということでありますけれども、もちろん、岩手にとっても中国は非常につながりが深い国でありまして、今も日本酒とか南部鉄瓶とかの輸出、経済交流が進められているところでありますが、県でも、中国とのそういう経済交流を進めようということで、平成17年4月に大連市に大連経済事務所を設置しました。この3月で丸10年たちますけれども、これまでどのような実績を上げてこられたのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 岩手県大連経済事務所の実績についてでございますけれども、大連経済事務所におきましては、平成17年の事務所設置以降、本県と大連市との地域間連携協定の締結と相互の職員派遣交流を皮切りにいたしまして、岩手、大連間の双方向チャーター便の運航の実現、平成22年には、本県と雲南省プーアル市及び高級茶業者上海大可堂との連携によります上海万博への共同出展の成功など、成果を着実に上げているところだと考えております。特に上海万博につきましては、出展した南部鉄器が中国国内で大きな人気を集めまして、現在では岩手ブランドを代表する輸出品目となっておりまして、また、万博を契機といたしまして、日本の自治体としては初めてとなります雲南省との連携協定締結にもつながったところでございます。
今後とも、大連経済事務所を対中事業展開のゲートウエーといたしまして中国との経済交流を一層進めていきたいと考えております。
〇佐々木努委員 時間がないので単刀直入にお話をしますが、私は、人口600万人の大連よりも、人口2、400万人の上海のほうが岩手の経済交流にとってはいいんじゃないかと思っています。なぜかというと、さっきも副知事がおっしゃいましたが、上海に近いプーアル市と地域間連携協定を結びました。それから、雲南省についても大連よりは上海のほうが近い。そして、上海には南部鉄瓶でつながりのある上海大可堂があるということで、これから、やはりそういうつながりのあるところに事務所を設置して、さらに中国全土に岩手の情報が発信できるような体制をつくるべきだと思いますが、上海に事務所を移すことを検討したことはないか、それから、中国以外に事務所を設置する構想はないかお伺いいたします。
〇達増知事 本県の対中事業については、岩手県大連経済事務所をゲートウエーとして中国全土に展開していくこととしておりまして、現在、大連市はもとより、北京、上海、広州、雲南、香港などに事業ネットワークが広がっているところであります。
経済都市として大きな可能性と拠点性を持つ上海におきましては、上海万博に共同出展し、その後も継続的に連携してきた上海大可堂に対して、昨年12月、いわて上海事務所の活動を委嘱して、本県の情報発信や経済事業などへの協力を得ることとしております。
今後とも、大連経済事務所が培ってきたネットワークを生かしながら本県の対中事業を一層進めるとともに、現時点では具体的な構想はありませんが、事業機会が拡大していくなど大きな進展が見られた場合には、新たな事務所設置の可能性等について探っていきたいと思います。
〇佐々木努委員 最後の質問になります。
職員の資質向上についてお伺いいたします。
先日、一般質問で佐々木朋和議員が県の役割について質問した際に、知事は、市町村行政を支援する役割を担っていると答弁されましたが、残念ながら、山田町のNPO問題、DIOジャパン問題の県の対応を見ると、とても市町村に寄り添っているとは私には思えません。そういうことで、やはりこれから若い方に県職員の役割というものをしっかりと教育すべきだと思いますし、そういう研修の機会もつくるべきだと思いますが、それらのこれまでの取り組みと今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇小田島総務部長 職員、特に若い職員の育成の取り組みの状況と今後の対応についてでございますが、岩手の未来を担い、震災からの早期復興に向けて邁進する職員には、岩手の未来づくりを支える専門集団の一員であるとの自覚のもとに、県民本位の視点でみずから考え行動できる職員であることが必要だと考えてございます。
このため、これまで、所属長と職員の定期的な面談やミーティングなどによりまして組織のミッションの共有を図りますとともに、職位に応じた職責や役割の理解、政策形成能力を習得させる階層別研修や、県民視点で課題を解決する能力の習得を目的とした市町村職員との合同研修などを実施してきたところでございます。
こうした取り組みに加えまして、来年度は、職員の自主企画によります先進地の事例等を調査、研究する研修制度、さらには大学院における修学や資格取得などの自己啓発に取り組む職員を支援する制度を創設するなど、職員のさらなる能力向上に向けて多様な研修環境の整備を予定しているところでございます。
〇佐々木努委員 時間がないので、せっかく準備してもらって大変申しわけないんですけれども、二つほど質問を飛ばします。
最後に、職員の挨拶についてお伺いします。
これは、私は一般質問でも3年前に取り上げました。なかなか職員の方は挨拶ができていないということで知事にお聞きしたんですが、知事は、私にも挨拶をされない。でも、最近になってやっと挨拶をされるようになったと。そして、この調子で頑張っていきたいと答弁されました。何か、答弁になってなかったような気がしたんですが、3年たちました。この調子で頑張っていきたいとあのときおっしゃった知事の現状認識をお聞かせください。
〇達増知事 私に挨拶する職員はかなりふえたと感じておりますけれども、来庁者の方々に挨拶をしない、知らんぷりして通り過ぎる職員がいるとすれば、こうした職員の対応にはいまだ反省すべき点があると考えます。
〇佐々木努委員 知事は、会社でいえば社長ですよね。社長は部下に挨拶を徹底させるというのは私は当然だと思います。違いますか。違うかもしれませんけれども、私は、それを知事は怠ってきたんだと思います。私は、この間も県庁の中を歩きましたけれども、誰ひとり声をかけてくれませんでしたし、通っている方々に誰にも声をかけない。これは、本当にこんなことでいいんでしょうかね。それを申し上げて、私の質問を終わります。
〇達増知事 私も、従来は、そういう職員のあり方、礼儀といったことについては、人事課を中心として職員みずからがきちんとやっていくということが望ましいと思っていたんですけれども、やっぱり私が直接指導しなければならない局面もあるかなというような思いも持っておりましたので、きょう、そういう御提言をいただきましたので、より直接指導するようにしていきたいと思います。
実は、これも実験的にことしに入ってから始めているんですけれども、今まで出たことのない部局単位の会議に顔を出すようにしておりまして、今まで私と直接接することが少なかったような職員にも直接接する機会をふやすようにしております。先ほども佐々木茂光委員の質問に、2万6、000人の県職員がみんなフルオープンで県民に当たっていけば、全ての県民に対して当たっていくことができるということを述べましたけれども、岩手県職員がそういう思いで県民に接していくように、一層指導を強めていきたいと思います。
〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇及川あつし委員 先ほど、佐々木努委員の質疑の中で齋藤政策地域部長が、お言葉は丁寧でしたが、極めて失礼な答弁があったかと思いますので、確認させていただきます。
———————————————————————ということだったんですが、今回の定例会で私も、知事、発言中です。私の発言中です。私は、——————————————という発言はおかしいと思います。私は、一般質問の際に、不祥事案について言及しなかったのはおかしいんじゃないかと。——————書いてないから言っているんですよ。岩崎議員も一般質問で言ったときはそういう趣旨だし、久保議員も一般質問でそう言ったんだと思いますよ。まるで、我々が————————からそういう質問をしているような答弁をされましたけれども、私はおかしいと思うので、きちっと撤回してほしいと思います。委員長、お願いします。
〇工藤勝子委員長 ただいまの件につきまして、本日、委員会終了後、世話人会を開いて協議いたしますので、御了承願います。
次に、後藤完委員。
〔後藤完委員質問者席に着く〕
〇後藤完委員 希望・みらいフォーラムから質問させていただきます。優しい質問でございますので、丁寧な御答弁をいただければありがたいと思います。
まず、平成27年度の予算編成に当たりましての財政状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
平成27年度の国の予算編成は、前年度に引き続き、民需主導の経済成長と財政健全化目標の達成とし、ゼロベースで見直しを行うとしております。施策の優先順位を洗い直し、無駄を排除しながら予算の中身を大胆に重点化するとされております。
また、新たに創設されました国の地方創生事業は、本来、地方の民意を理解し、地方の裁量に十分な配慮をされるべきものと思いますが、本県においては、復興を第一として取り組まれている中でどのような対応をされていかれるのか。あわせて、地方に対する国の経済財政政策について知事はどのように評価されておられるのかお伺いいたします。
〇達増知事 国の予算に対する評価についてでありますが、平成27年度の地方財政計画は、一般財源総額が約62兆円と前年度以上に確保されておりまして、全国知事会等を通じて訴えてまいりました歳出特別枠の堅持についても、新たに創設された地方創生事業費1兆円とあわせて実質的に同水準が確保されております。
また、人口減少対策として本県が要望していた自由度の高い交付金に関しては、地域住民生活等緊急支援のための交付金という形で平成26年度補正予算において措置されておりまして、このようなことから、今回の国の予算は地方に対する一定の配慮がなされているものと考えております。
一方、震災復興につきましては、復興交付金による復興まちづくりや復興道路の整備等の安全の確保のほか、暮らしの再建やなりわいの再生に向けて約4兆円が計上されておりまして、その点については一定の評価をしているところであります。
〇後藤完委員 そこでお伺いいたしますが、本県の平成27年度一般会計当初予算は本格復興邁進予算と位置づけられまして、4年連続で1兆円を超える規模となっております。財政状況は、社会保障費の増加や、国の要請による経済対策の実施に伴う県債の償還が高い水準に依然としてあるところでありますが、サッカーで言えばイエローカードが出されてもおかしくない状況にあると思われますが、公債費負担適正化計画どおり、平成32年度までに実質公債費比率が18%を下回ることは可能なのですか、今後の実質公債費比率の縮小にどのように取り組まれ財政運営を図られていかれるのかお伺いいたします。
〇小田島総務部長 実質公債費比率についてでございますが、本県では、委員御指摘のとおり、過去の経済対策に伴い発行した県債の償還が高水準で推移してございます。平成24年度決算で実質公債費比率が18%以上となったことから、平成25年9月に公債費負担適正化計画を策定したところでございます。
本計画に基づきまして、これまで、新たな県債発行の抑制や、金融機関との交渉や入札の実施による低利での資金調達等に努めますとともに、本年度及び来年度当初予算においてプライマリーバランスの黒字を維持するなど、健全化に取り組んできたところでございます。
こうした取り組みによりまして、現時点では計画どおり進む見通しでございまして、今後とも財政の健全化に向けた取り組みを継続してまいります。
〇後藤完委員 そして、中期財政見通しでは、平成27年度の収支ギャップが236億円、平成28年度の収支ギャップが272億円生じております。平成28年度末には財政調整基金等の財源対策基金が枯渇するとの見通しを示されました。県債の償還に当たりましては、県債管理基金の取り崩しによる対応と思いますが、県債管理基金は今後においても対応できる財源となり得るのかお伺いいたします。
〇小田島総務部長 県債管理基金についてでありますけれども、昨年9月に策定いたしました中期財政見通しでは、財源対策基金の平成27年度末残高を約297億円と見込んだところでございます。平成27年度の地方財政計画において今年度を上回る一般財源総額が確保されたことや、予算編成過程を通じて歳出の見直しに努めたことなどによりまして財源が確保されたところでございます。こうしたことによりまして、実際の平成27年度末基金残高は約438億円となり、このうち県債管理基金の残高は約242億円と見込まれているところでございます。
今後とも、こうした取り組みによりまして財源の確保を図り、県債の償還に適切に対応しつつ、安定的な財政運営に努めてまいります。
〇後藤完委員 次に、介護報酬の引き下げに伴う影響についてお伺いいたします。
政府は、介護サービス事業所に支払う介護報酬を今回の改定で2.27%の引き下げを決定したところであります。特にも、介護従事職員の賃金アップ分は確保したとはしていますが、高い離職率の改善や人材の安定的な確保につながるかは非常に厳しい状況にあると思われます。
また、今回の改定により、特別養護老人ホーム等においては大幅な減収となる見込みであり、事業者としては経費の節減を余儀なくされるものであります。事業者の減収で経営が悪化しサービス低下となれば、この制度への頼みの発想は今後変えていかなければならないと思うものでありますが、介護において地域レベルで解決できる手法を検討する必要があると思われます。県として、今後の対応についてどのように考えておられるかお伺いいたします。
〇千葉副知事 介護報酬引き下げへの対応についてでございますけれども、県におきましては、現在策定中でございます第6期岩手県介護保険事業支援計画におきまして、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型居宅介護などの介護サービス基盤の整備を促進いたしますとともに、医療介護連携、生活支援や介護予防の充実を図り、地域での介護を支える仕組みとして地域包括ケアシステムの構築を目指す市町村の取り組みを支援していくこととしております。
市町村におきましては、ひとり暮らしや認知症などの高齢者の増加に伴い、地域レベルでさまざまな生活支援が求められておりますことから、自治会やボランティア、NPO、老人クラブなどの民間団体によります生活支援の充実や、元気な高齢者の方の参加によります介護予防の推進が必要となってくると考えております。
このための、市町村や民間団体の取り組みを支援していく必要がありますことから、来年度、保健福祉部に地域包括ケア推進担当の特命課長を新設いたしますとともに、県高齢者総合支援センターに専任職員1名の増員を行いまして、今後、市町村の地域包括ケアの取り組みに必要となりますコーディネート機能の強化を図り、地域レベルでの課題解決ができるよう、市町村にきめ細やかな支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
〇後藤完委員 次に、一般質問等でも質問がありまして、重複するところもございますけれども、認知症対策についてお伺いいたします。
政府は、認知症の対策強化に向けまして、今般、認知症施策推進総合戦略を決定したところであります。2025年には認知症の高齢者が700万人前後に達するとも見込まれることから、一般的な病気として環境整備を目指すとしております。当初予算において約161億円を確保したとしております。
団塊の世代が75歳以上となる2025年には、認知症の高齢者が7人に1人から5人に1人になると言われております。早期に予防や診療、治療法等について確立するとされております。私どももまだらぼけ等が日常になってまいりましたが、その予備軍としてはばからないわけでありますけれども、徘回による行方不明を防ぐための見守り体制づくりや詐欺被害の防止などについて、早急な環境整備が今望まれていると思います。
県として、総合戦略を踏まえてどのような対応をされていかれるのか、本予算においてどのような措置等をとられているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 認知症対策についてでございますけれども、国の総合戦略におきましては、認知症高齢者等に優しい地域づくりを目指しまして、認知症の容態に応じた適時適切な医療、介護等の提供、あるいは認知症への理解を深めるための普及啓発の推進など七つの柱により推進することとしております。
県におきましては、現在策定中の、先ほど申し上げました介護保険事業支援計画におきまして、認知症施策の推進を重点施策といたしまして国の総合戦略を踏まえた施策を盛り込み、来年度予算にも必要な事業を計上しているところでございます。
その主なものといたしまして、認知症の容態に応じた適時適切な医療、介護等の提供の柱に対応するものといたしましては、市町村が行います認知症初期集中支援チーム及び認知症地域支援推進員の設置などを支援するため、地域支援事業交付金として、これはその他のものも含まれておりますが、総額といたしまして約4億1、300万円を計上し、また、市町村を対象としました認知症施策推進に係る研修会などへの支援といたしまして、地域包括ケアシステム基盤確立事業費に約170万円を計上しております。このほか、認知症疾患医療センターを中核といたしました専門的医療提供体制を充実するとともに、本人、家族への相談支援や介護実務者の技術向上研修の実施などへの支援といたしまして、認知症対策等総合支援事業費に約1、900万円を計上しているところでございます。
また、認知症への理解を深めるための普及啓発の推進という柱に対応する事業といたしましては、県高齢者総合支援センターが認知症サポーター養成を行いますほか、今後は、サポーターの自主的な活動に関する情報提供を行うことといたしまして、この役割を果たす認知症サポーター事務局経費等といたしましてセンター運営費に約460万円を計上しているところでございます。
〇後藤完委員 次に、自治体病院の役割についてお尋ねいたします。
本来、自治体病院は、僻地医療や救急医療、高度専門医療など、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を担い、地域に必要な医療を提供して、地域住民の健康維持と安心な福祉サービスの充実を図るものとして理解しているところであります。現在、自治体の財政状況や、医師や看護師のスタッフの不足、患者数の減少など厳しい経営環境にあるとは承知いたしております。
基本的に、私は、自治体病院の経営赤字は地域医療を守るためにはやむを得ない面もあると考えているものでありますが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、在宅医療の提供体制など地域における医療提供体制の構築が急務となっている中で、県立病院を初めとした自治体病院は、民間医療機関の状況や患者動向など地域の実情に応じて的確に役割を担っていく必要があると思います。県の基本的なお考えをお伺い申し上げます。
〇千葉副知事 自治体病院の役割についてでございますけれども、自治体病院は、委員御指摘のとおり、民間医療機関による提供が困難な政策的な医療を担うなど、地域に必要な医療を提供していくことがその役割であると認識しているところでございます。
県では、高齢化が一段と進みます2025年に向けまして、効率的かつ質の高い医療提供体制を構築していくために、来年度以降、二次医療圏を基本に、在宅医療を含む将来の医療需要を踏まえ、目指すべき医療提供体制をまとめた地域医療構想を策定し、その実現に向けまして、地域医療関係者等が協議を行う場を設け、具体的な対応策を検討するなどの取り組みを進めていくこととしております。
地域医療構想等を踏まえ、県立病院を初めといたしました自治体病院におきましては、個々の医療機関の機能や地域の実情に応じまして、自治体病院間や民間医療機関との役割分担と連携をより一層図っていくという視点に立ちまして、目指すべき医療提供体制の実現に向けて、積極的にその役割を果たしていくことが必要であると考えております。
〇工藤勝子委員長 後藤委員の質疑の途中ではございますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
後藤完委員、御了承願います。
午後2時53分 休 憩
午後3時13分 再開
〇工藤勝子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。
〇後藤完委員 そこでお伺いいたしますが、在宅医療の取り組みについてお伺いいたします。
2025年に向け、増加する高齢者が安心して暮らしていくためには、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築は極めて重要であります。こうしたことを踏まえ、今後の地域医療を担っていくことが自治体病院を初めとする地域の医療機関が果たすべき重要な役割であると考えます。
昨年12月に開催されました胆江地域県立病院運営協議会に私も出席させていただきましたが、その中では、県立江刺病院を中心に奥州市江刺区地域医療連携福祉懇話会を立ち上げたことが報告されました。積極的な動きが見られました一方で、入院、外来患者のケアで手いっぱいだとし、在宅に回す人材はいないなど、地域の多くの医療者には、医師が不足していて訪問診療を行うことは難しいという声も聞きました。医師や看護師の確保が難しい中で、医療の現場が厳しい状況にあることもまた現実だとは思います。県では、高齢化社会に向けた地域の医療提供体制として在宅医療を推進するということでありますが、こうした地域の実態を踏まえ、どのように対応していかれるのかお尋ねいたします。
〇千葉副知事 在宅医療の取り組みについてでございますけれども、在宅医療につきましては、急性期から在宅に至るまで切れ目のない医療の提供体制を構築するため、平成25年3月に策定いたしました岩手県保健医療計画に新たに位置づけたものでございまして、連携体制の構築、専門人材の育成、確保、在宅医療への理解促進を図りながら進めていくこととしているところでございます。
高齢化が一段と進みます2025年に向けましては、地域包括ケアシステムにおける医療提供体制の構築が必要でございまして、医師等の積極的な参加を促進しながら、それぞれの地域において、医療従事者や介護関係者が役割分担を行い、連携して高齢者を支える在宅医療を推進することが重要であると考えております。
県では、これまでも、医療、介護の連携拠点の整備など、地域包括ケアシステムの構築を担う市町村が行う取り組みを支援してきたところでございますけれども、今年度、在宅医療への参画に向けまして、開業医等を対象とした在宅医療の仕組みや取り組み事例、訪問診療の実務を学ぶ研修や、訪問看護師を対象とした実務的な研修も実施しているところでございます。
平成27年度におきましては、引き続きこうした取り組みを行う予算を計上させていただいておりますけれども、今般設置いたします岩手県在宅医療推進協議会におきまして、担い手の育成、確保など諸課題を検討しながら、市町村の取り組みを一層促進し、在宅医療を推進していきたいと考えているところでございます。
〇後藤完委員 次に、農協、農業委員会のあり方と農業改革についてお尋ねいたします。
政府は、農協法に基づく中央会監査の義務づけ廃止や准組合員の事業利用制限、農業委員会の公選制廃止などの改革を実施する意向でありますが、先般、農協改革については、全国農業協同組合中央会と関連法案の骨格について合意されたと聞いたところであります。今まさに慎重論や異論が噴出しており、意見の集約は厳しい状況にあると言われております。このことは、単位農協の経営の自主性、健全性が保てなくなり、地域農業に悪影響が出るとされております。対応を誤れば地域の営農と暮らしに大きな打撃を与えかねないとされているところであります。
農業委員会の見直しにあっても、委員の公選制を廃止し、市町村議会の同意を要件に市町村長の選任制に一元化する方針を決めているところでありますが、農地は個人の財産であり、地域の信任、信頼なくして農業委員の義務は遂行できないものであります。そして、耕作放棄地の発生や違反転用の防止など、地域営農の持続性確保に不可欠のものであります。
中央会制度の廃止、見直しや農業委員の選任方法の改革が、政府が言う農業所得の倍増や地方創生にどうつながるのか、所得向上の道すら見えない状況にあり、甚だ疑問でもあります。本当の狙いは、TPP交渉の推進や農業、農村への企業の参入促進を図ろうとしているのではないかと思うものであります。現状の改革議論は、成長産業化の比重が大き過ぎて地域の状況を理解していないものであり、地域の実情を踏まえない拙速な改革の推進は現場の生産意欲を失うものであり、ただただ不安や混乱を与えるものと思われますが、県としては、今後どのような対応と要請行動等を考えておられるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 農協、農業委員会のあり方と農業改革についてでありますが、現在、農協は、全国農業協同組合中央会の助言、指導のもとに、経営の健全化を図り、営農指導を初め地域の実情に応じて必要なサービスを総合的に提供しており、また、農業委員会は、農地の集積、集約化、耕作放棄地の発生防止、解消等の農地の適正利用を図るなど、農業、農村の健全な発展を担う重要な役割を果たしていると認識しております。
本県におきましては、農協、農業委員会等の改革に当たり、これまでも、関係団体がみずから実施する改革を尊重することや、地域の特性を生かした農業、農村振興を通じて、その機能を十分に果たせる内容とすることを要望してきたところでございます。
今後、国会への関連法案の提出が予定されておりますが、改革の目的としております農業者の所得向上と農業、農村の活性化につながる内容となるか法案審議等の推移を注視いたしますとともに、必要に応じて北海道東北地方知事会等とも連携しながら国に要請してまいりたいと考えております。
〇後藤完委員 次に、農業の収入保険制度の事業化についてお尋ねしたいと思います。
農林水産省は、さきの政府・与党の農業基本政策検討プロジェクトチームの会合において、昨年11月から実施している事業化調査の概要について説明をしたところであります。制度設計については2017年の通常国会に提案する予定とのことでありますが、収入保険制度は、農業経営者ごとに加入し、全ての農業経営品目の価格低下も含めた収入減少を補填する仕組みとしているものでありますが、事業化調査において模擬的に運営するこの制度では、農業者ごとの過去5年間の平均収入を基本に基準収入を設定し、補償限度額をその9割に設定しているところであります。また、農産物の販売収入のみを対象収入とし、加工による収入は含まないとしているものであります。制度の適正な運営には農業者の収入の正確な把握が前提となり、対象者は、青色申告を5年間継続して行っている農業者としているものであります。事業化調査結果を踏まえた制度設計では、補償水準や保険料とともに国の負担水準なども検討するとされておりますが、課題として、政策的な支援が必要な新規農業者などの取り扱い、あるいは、保険金が支払われるまでの資金繰りの措置をどのようにするのか検討されているところであります。まだ確定ではありませんが、本制度を踏まえて、本県としては今後どのような対応をしていかれるのか、基本的なお考えをお尋ね申し上げます。
〇千葉副知事 農業の収入保険制度についてでございますけれども、現行の農業共済制度におきましては、自然災害によります収量減少が対象であり、価格低下等は対象外であること、対象品目が収穫量を確認できるものに限定されていることなどの課題がありますことから、県といたしましては、これまでも農業経営全体をカバーする新たなセーフティネットの早期創設などにつきまして国に要望してきたところでございます。
国は、現行制度における課題などに対応するため、昨年11月から来年6月までを期間として、平成27年産の農産物を対象に制度の実施方法等を検証する事業化調査を行っており、その結果を踏まえて平成29年の通常国会に関連法案を提出したいと伺っているところでございます。
今後、国では、補償の対象となります農業収入の範囲や、補償の基準となります過去の収入を把握することができない新規就農者の取り扱いなどにつきまして具体的に検討を進めることとしております。
県といたしましては、収入保険制度が農業経営を支える万全なセーフティネットとなるよう、今後の検討の推移を十分注視していく必要があると考えておりますし、必要に応じて国に対して要望していきたいと考えているところでございます。
〇後藤完委員 それでは次に、畜産振興についてお尋ねいたします。
今、政府・与党は、2015年度の畜産物政策価格と関連対策の取りまとめを進めているところであります。特にも、酪農と肉用牛の繁殖は、離農の増加や飼養頭数の減少に歯どめがかからず、生産基盤は過去に例を見ないほど危機的な状況にあると言われております。畜産農家の離農がふえている原因は、TPP交渉などの貿易自由化への先行き不安や生産コストの上昇による収益性の悪化などに加え、経営改善、規模拡大に必要な資金不足等の経営環境の悪化と見ておりますが、どのように捉えておられるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 畜産農家の離農についてでありますが、まず、肉用牛繁殖農家の最近5年間の推移を見ますと、平成21年に約6、900戸であったものが、平成26年には約5、400戸と、約1、500戸、約2割減少しておりまして、規模別には、20頭以上の農家が増加しておりますものの、全体の8割を占めております10頭未満の農家の減少が顕著となっております。また、酪農家におきましても、平成21年に約1、300戸であったものが、平成26年には約1、000戸と、300戸、約2割減少しており、中でも、全体の約6割を占める30頭未満の酪農家の減少が顕著となっております。
こうした減少は、高齢化や後継者不足、飼料代の高騰による収益性の悪化などに加えまして、大震災に起因いたします放射性物質の影響なども要因となっているものと考えているところでございます。
〇後藤完委員 それでは次に、飼料価格の高騰への対応についてお伺いいたします。
畜産や酪農経営を圧迫している飼料価格の高どまりは大きな課題でありますが、配合飼料価格安定制度は、2013年に輸入原料価格の変化を捉えた発動基準の設定や異常補填のための特例の新設など、一定の見直しは行われたものであります。直近1カ年の平均価格を上回った場合に補填される仕組みは維持されてはおりますが、高どまりが続くと補填が減少され、農家負担がふえていくことになっている状況であります。現在の配合飼料価格の高騰はアベノミクスによる急激な円安による影響が大きく、国の責任で畜産農家への影響緩和を図る必要があると思われますが、国への要望等についてどのようにお考えかお伺いいたします。
〇千葉副知事 飼料価格高騰への対応についてでございますけれども、まず、配合飼料価格安定制度は、配合飼料価格が急激に上昇した場合、補填金を交付し、畜産経営への影響を一時的に緩和するための制度でございまして、県といたしましては、飼料購入に係る農家負担が軽減されますよう、これまでも国に対しまして制度の見直しを要望し、国においては、平成26年度に発動基準の変更や予算の拡充を行ったところでございます。
しかしながら、今、委員御指摘のとおり、配合飼料価格は依然として高い水準で推移しておりまして、農家の負担感が高まっておりますことから、配合飼料価格が高どまった場合でも十分な補填金が交付されるよう、引き続き国に対して制度の見直しを強く要望してまいりたいと考えております。
〇後藤完委員 それでは、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会畜産部会で答申される加工原料乳生産者補給金の補給金単価や肉用子牛生産者補給金の保証基準価格や関連対策はどのようにして決定されているのか、御承知であればお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 食料・農業・農村政策審議会の答申を踏まえました平成27年度の畜産物価格についてでありますが、去る1月14日に開催されました同審議会の答申を受けまして、加工原料乳生産者補給金は、脱脂粉乳、バター等が1キログラム当たり10銭引き上げられまして12円90銭に、チーズが12銭引き上げられまして15円53銭となったところでございます。また、肉用子牛生産者補給金の保証基準価格は、黒毛和種で3、000円引き上げられまして33万2、000円となるなど、飼料価格等の生産費や畜産物の需給事情を総合的に勘案し、全ての畜種の保証基準価格等が引き上げられたところでございます。
これらによりまして、平成27年度の国の畜産・酪農経営安定対策予算は1、896億円となりまして、前年度に比べまして125億円の増額となっておると承知しております。
〇後藤完委員 今、御答弁いただきましたように、畜産農家を取り巻く環境が非常に厳しい状況におきまして、畜産、酪農家が安心して経営継続できる環境整備を急がなければ地域営農に支障を来しかねないと思われます。将来にわたって安全・安心な国産畜産物の安定供給を進めるためにも、県内において思い切った財政支援や対策の実行が必要と思われますが、方向性についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 畜産振興における財政支援についてでありますが、本県の畜産、酪農は、小規模農家の減少等によります生産基盤の縮小が極めて懸念されるところでございますので、生産コストの低減や規模拡大を図っていくことが重要であると考えているところでございます。
このため、新たに県単独事業といたしまして、経営拡大意欲の高い肉用牛経営体を対象に、牛舎周辺の放牧地を活用した周年放牧の導入や肥育素牛の導入拡大を支援してまいります。また、新たな国庫補助事業の導入によりまして、地域の中心的経営体を対象に、飼料収穫機械等の導入や家畜飼養施設の整備を支援することとしておりまして、また、こうした取り組みに加えまして、小規模農家も含めた畜産、酪農経営を支援するキャトルセンターやTMRセンター等の外部支援組織の育成により、本県の畜産振興を総合的に図っていきたいと考えております。
〇後藤完委員 丁寧な御答弁、大変ありがとうございます。
以上で私の質問を終わりますが、引き続き、喜多正敏委員から御質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
〔喜多正敏委員質問者席に着く〕
〇喜多正敏委員 希望・みらいフォーラムの喜多正敏です。後藤委員に引き続き、質問いたします。
本県の財政状況は、平成26年9月16日に公表された岩手県の中期財政見通しによれば、多額の県債償還や財源3基金が大幅に減少するなど厳しい状況にあり、こうした中、県は、昨年7月、被災4県が国への共同要望を行うため、本県の復興事業費の総額の再試算を行いました。これによると、復興事業が完了するまで5.7兆円、集中復興期間が終了する平成28年度以降の復興事業費の総額は1.7兆円と試算されています。この額が変わっていないかどうか、まずお伺いします。
〇中村復興局長 今、委員からお話ございましたとおり昨年6月に復興事業費の再試算を行いましたが、委員お話のとおり、現時点では復興事業費の額に変更はございません。
なお、現在、被災4県とともに、復興事業費の再精査を実施してございます。
〇喜多正敏委員 平成28年度以降の事業費1.7兆円について、国、県、市町村別の事業費はどうなっているか。また、県が行う事業で、国から交付税などの財政措置のない事業費は幾らと試算しているのかお伺いします。また、その事業の内容についてもお伺いします。
〇中村復興局長 国分につきましては約4、300億円、県分が約1兆円、市町村分が約3、000億円と見込んでございます。
また、現在、国による財政措置が継続するとして、県分の事業費約1兆円のうち実質的な県負担額は、厳密な算定は困難でございますけれども、応急仮設住宅の維持修繕のほか、被災地の中小企業支援や観光振興に係る事業費の一部などにおきまして、おおむね100億円から300億円程度生じるものと見込んでございます。
〇喜多正敏委員 先日、平成28年度以降の復興事業について、国費による全額負担を全て続けるのは難しいと思う、被災市町村の財政力に配慮しながら慎重に判断すると竹下復興大臣への地元紙のインタビューが伝えられました。国の姿勢に風化を感じますが、これを踏まえ、県が単独で予算措置を講じなければならない復興事業費も含め、財源確保について今後どのように対応していくのか知事にお伺いします。
〇達増知事 県はこれまで、復興交付金や震災復興特別交付税などの国の特例的な財政支援措置を受けて、地方負担を抑えつつ復旧、復興事業を実施しているところでありまして、やはり一日も早い復興を実現するため、復興が終了するまでの間は集中復興期間を延長して平成28年度以降も同様の措置を継続していただき、地方単独事業の負担分も含めた所要の復興財源を確保するよう、被災4県で来年度早々に合同要望を行うなど、あらゆる機会を捉えて、市町村や他県とも連携しながら引き続き強く国に要望してまいります。
〇喜多正敏委員 よろしくお願いします。
次に、農業問題についてお伺いします。
最初に、農林水産物におけるブランドについてお伺いします。
戸別所得補償制度が廃止され、米の需要減少と大幅な米価下落の中で、5ヘクタール未満の農家は生産費を回収できないと懸念されており、飼料米の生産が奨励されておりますが、飼料米販売先の畜産業界では、日本・オーストラリア経済連携協定において、段階的に18年目に冷凍牛肉の関税が38.5%から19.5%、冷蔵牛肉は同様に15年目に23.5%に引き下げられるとし、TPP交渉も予断を許さない状況にあります。
このような中で、県は、良食味新品種岩手107号を平成28年産から、県オリジナル極良食味新品種岩手118号を平成29年産から、県産米戦略室を設置し、ブランド化を進め、販売するとしています。岩手の農林水産物や米のブランドに対する評価、知名度、課題をどう評価しているかお伺いします。
〇千葉副知事 岩手の農林水産物や米のブランドについてでございますけれども、まず、本県農林水産物への評価についてでございますが、民間リサーチ会社が主催しております地域ブランド大賞2013で本県が産品魅力度躍進賞を受賞いたしましたほか、料理専門誌のトップシェフへの牛肉アンケートにおきまして県産牛が旨い牛肉第1位を獲得するなど、高品質な県産農林水産物に対する消費者や実需者の高い評価は着実に定着してきていると受けとめております。
県といたしましては、消費者等の評価を踏まえ、知名度をこれまで以上に高めていくことが課題であると考えておりまして、県産農林水産物のさらなるブランド化に向けまして、おいしさや魅力を積極的に発信していきたいと考えております。
次に、米への評価についてでございますが、先般、県南ひとめぼれが食味ランキングで20回目の最高位特Aを獲得するなど、品質や食味への評価は高いものと認識しております。
一方、県産米の相対取引価格が全国平均を下回るなど、品質の高さやおいしさが必ずしも価格に反映されていないことが課題であると受けとめておりまして、現在、開発中の岩手118号をフラッグシップとし、話題性を高めるプロモーション活動を展開するなど、県産米のブランド化を高めていきたいと考えているところでございます。
〇喜多正敏委員 先般、米穀園芸生産流通議員研究会で招聘した米のプロモーションについて講演された福井智明氏によれば、米のブランド化を図るためには、まずその前に県全体のブランドを確立し、そのサブブランドとして米やほかの農畜産物などのブランドを連動する形で形成すべきとのお話があり、私も同感であります。
高知県では、人と人のつながり、高知県は、ひとつの大家族やき、高知のええもん、ぜんぶおすそわけやきとして、特産品、観光、移住など高知県を売り出しており、中小企業の商品展示会や築地市場に小売店舗を構え、水産物の販売などにおいても高知家という桃太郎旗や統一マークで行っており、目立っております。京都のブランドも、工芸品や菓子、歴史や文化、人の営みなどが京都全体のイメージを形成しており、逆に京都のイメージが各産品や観光地のイメージを高めていると思います。
平成20年2月の予算特別委員会で、私の同趣旨の質問に対して、委員御指摘のように、それぞれのブランド、個別というよりは、相まって相乗効果を生むということが必要であると思います。したがいまして、今後、庁内関係部局が連携しながら、本県独自の総合的なブランド戦略の検討に着手してまいりたいと考えていると答弁がありました。
そこで、本県全体のブランド確立について知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 本県全体のブランド確立のため、まず、さまざまな地域資源の発掘と磨き上げ、個別の商品の高品質化、高付加価値化を進めて個々のブランド価値を高めながら、その集合体としての本県のイメージを確立し、それが岩手のイメージとなって、全国、さらに世界に幅広く認識されるという方向性の中、来年度は、県オリジナルの良食味米の平成29年度の市場供給に向けたいわての美味しいお米生産・販売戦略をスタートさせ、来年度配置するふるさと振興監において、三陸地域のポテンシャルについて調査検討を進めつつ三陸ブランドの確立を目指すというふうに、規模の大きなところでのブランド確立も目指していくこととしております。
さらに、本県全体のブランド確立ということで、県産品の販路拡大や観光客の増加、定住交流の促進等に向けた部局横断的、戦略的な取り組みを推進するため、副知事を本部長とした推進本部を平成27年度に設置することとしたところでありまして、この推進本部を核とした効果的な情報発信等により、岩手を丸ごと売り込む取り組みを工夫していきたいと思います。
〇喜多正敏委員 これは人口減少対策の岩手丸ごと売り込み体制の構築の基礎となるものだと思いますし、私も盛岡市のブランディングに携わり、もりおか暮らし物語としてプロモーションいたしました。ぜひ本県のブランディングの確立に努めていただきたいと思います。
先ほど知事から庁内の組織がということがありましたが、外部の各種専門家の意見を聞くなどして総合的な取り組みが必要と思いますが、本県のブランド戦略について、こうした観点からどのように進めていかれるかお伺いします。
〇齋藤政策地域部長 ただいま知事が申し上げましたとおり、ブランドの確立のためには、地域資源や県産品など個別の磨き上げを行って、その上で本県全体の一体的なイメージを発信していくことが重要と考えております。
このため、副知事を本部長とした推進本部を平成27年度に設置いたしまして、現在、具体的な検討を進めているところでございます。この推進本部を核としまして、県産品の販路拡大や観光客の増加などに向けて、各分野の対外的売り込み活動情報を共有し、部局横断的な取り組みを推進するための体制整備を行うこととしており、今後、外部の専門家の意見なども踏まえながら、効果的、積極的に取り組みを展開していく考えでございます。
〇喜多正敏委員 当然、極良食味米岩手118号についても部局横断的な取り組みが必要と思いますが、具体的にどのように進めていかれるかお伺いします。
〇千葉副知事 現在、県が開発を進めております新品種岩手118号のブランド化につきましては、地域活性化、産業振興、観光など、農業分野にとどまらず、総合的な観点から全庁挙げて取り組んでいく必要があると考えているところでございます。
このため、庁内の広報や商工、観光に精通する職員で構成いたしておりますいわての美味しいお米ブランド化特命チームを設置し、商品づくりや効果的な販売促進方策等の検討を始めたところであり、今後、その検討成果も活用しながら、新たな推進本部の岩手を丸ごと売り込む取り組みの一つとして、部局横断的に県産米の評価と知名度の向上に取り組んでまいります。
〇喜多正敏委員 どうぞよろしくお願いします。
極良食味米を生産するために、品種の開発とともに種子確保や実際の栽培技術の向上や一定の品質の保持が不可欠であります。その土台の一つが土づくりであります。よく稲は土で、小麦は肥料でと、こういう言葉もあるわけでありますが、また、ことしは国際土壌年であります。
青森県では、晴天の霹靂の専用ホームページを開設し、米の特徴や系統図、開発の経緯、プロモーション動画が閲覧でき、また、従来からも、つがるロマン、まっしぐらの安全・安心な米づくり、そして、健康な土づくり運動などもPRしております。
極良食味米の種子確保、土づくりなど、品質保持に向けた今後の取り組みについてお伺いします。また、その販売額や増収額、耕作農家数などの見込みについてお伺いします。そしてまた、岩手107号の販売額、増収額、耕作農家数の見込みについてもお伺いします。
〇千葉副知事 極良食味米に係る今後の取り組みについてでございますが、県オリジナル新品種でございます岩手118号の種子の生産、供給につきましては、可能な限り早期に市場供給できますよう、栽培1年目でございます平成29年度は、種子4トン、100ヘクタール相当を県農業研究センターで生産し、作付農家に供給することとしております。2年目以降は、県農業研究センターが生産いたしましたもと種でございます原種を用いまして、公益社団法人岩手県農産物改良種苗センターが指定採取圃で種子を生産し、供給する予定でございます。
また、岩手118号の品質保持の取り組みにつきましては、全国最高水準の品質と食味を確保できる栽培地域と栽培方法を明確にするため、平成27年度、平成28年度に現地試験を実施し、その結果に基づき栽培適地を設定いたしますとともに、これまでも取り組んでまいりました土づくりを含めた栽培マニュアルを作成し、栽培適地内の農協と連携して作付農家に徹底を図ることとしております。
さらに、平成32年における栽培面積は2、000ヘクタールを予定しており、その販売額は、仮に現時点における相対取引価格をもとに試算いたしますと約30億円で、現在のひとめぼれに比べて約7億円の増収が見込まれ、作付農家については、今後、設定する基準に基づき、特定することといたしております。
岩手107号の関係について申し上げますと、平成32年における栽培面積は1万ヘクタールを予定しておりまして、その販売額は、仮に現時点におけます相対取引価格をもとに試算いたしますと約100億円でございまして、現在のあきたこまちに比べて7億円の増収が見込まれております。作付農家につきましては、本県の平均耕作面積が約1ヘクタールでありますことから、約1万経営体と見込んでいるところでございます。
〇喜多正敏委員 作付面積、生産量では約二十二、三%、販売額では3割を占めるということで、大いに期待いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、医療政策についてお伺いします。
医師不足は本県の医療、福祉、介護に深刻な影響を及ぼしており、県でもいろいろな対策を講じておりますが、多数の専門医を直ちに充足させることは困難なことから、高齢化や生活習慣病に対応し、複数の臓器を診る総合診療医を育てることが重要と思います。大学病院は専門医療を志向していると言われる中で、地域病院や、地域病院と連携して医師研修機能を高めることも効果的であり、本県での研修が本県への赴任につながると思います。また一方、在宅復帰の促進が掲げられていることから、この対応からも必要と思われます。
本県の日本内科学会の教育病院と教育関連病院の認定取得状況、本県の初期臨床研修について、1カ月の地域医療実習の状況、研修医の引き受け拡大の可能性、県内の地域枠の研修状況、これらについて、課題と、今年度も含め、今後の取り組みについてお伺いします。
〇千葉副知事 医師の初期臨床研修等につきまして4点お尋ねがございましたので、順次お答えいたします。
まず、現在、県内の日本内科学会の教育病院は、岩手医科大学等4病院、教育関連病院は、県立中央病院等6病院となっておりまして、本県は東北6県の中で認定教育施設が少ない状況にございます。
施設の認定を受けるための要件といたしまして、教育病院では5名以上、教育関連病院では3名以上の内科指導医が必要でありますことから、今後、県内各病院と連携して、これら指導医の養成、確保を進め、総合診療医の育成に努めてまいりたいと考えております。
次に、初期臨床研修医の1カ月の地域医療実習につきましては、平成26年度は、県内24の中小病院、診療所等におきまして69名の研修医が延べ84カ月の実習を行ったところでございます。地域医療実習は、御案内のとおり、国の研修プログラム認定基準に位置づけられておるものでございますが、研修医が僻地や中小病院、診療所等において地域医療の現場を経験する貴重な機会となっておりますことから、今後も引き続き、臨床研修病院と地域医療実習を行う地域の中小病院、診療所等との連携強化に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、研修医の引き受け拡大の可能性についてでありますが、本県の初期臨床研修医の採用数はここ数年60人台で推移し、残念ながら募集定員を下回っている状況にございます。
今後は、平成20年度以降に定員増となりました岩手医科大学の卒業生が増加することから、一定程度の採用数の増加が期待されるところでございますが、引き続き、全国の医学生を対象といたしました合同説明会を実施いたしますとともに、県内12の研修病院で構成いたしておりますいわてイーハトーヴ臨床研修病院群が全国に先駆けて取り組んでおります、病院の枠を超えて相互に研修医を受け入れる、いわゆるたすきがけ研修など、本県の多様で質の高い独自の研修医育成プログラムをさらに全国にPRしながら初期研修医の受け入れ拡大を図っていきたいと考えております。
次に、県内の地域枠の初期臨床研修の状況につきましては、平成27年3月の卒業予定者を含めた24名中19名が県内で初期研修を行う見込みとなっております。地域枠の奨学生に対しましては、県内の医療機関で初期臨床研修を行うことを推奨しているところでございまして、可能な限り県内で研修を行うよう、例年開催しておりますいわて奨学生地域医療セミナー等の場において働きかけているところでございます。
〇喜多正敏委員 ぜひ教育関連病院、教育病院の拡大、それから、本県の臨床研修病院は、12病院が募集して、募集定員は平成23年から平成27年までの合計で615人、マッチングしたのが349人で56%しか来ていないということで、ぜひこの拡大についてお取り組みをいただきたいと思います。
次に、平成26年度の診療報酬の改定は、県立病院、その他本県の公立病院や民間病院にどのような影響を与え、県立病院や本県医療体制の確保のため、県はどのように対応しようとしているかお伺いします。
〇千葉副知事 診療報酬改定の影響についてでございますが、平成26年度の診療報酬改定率は0.10%でございますが、消費税対応分の1.36%が含まれておりますことから、実質的にはマイナス1.26%の改定率となっているところでございます。
この改定によります本県の医療機関への影響につきましては、国が診療報酬改定の検証にかかわる調査を平成27年度に実施する予定でございまして、現時点では詳細な分析は難しいところではございますが、県立病院におけます影響を収支動向で見ますと、昨年4月から本年1月までの入院、外来収益は前年度と比較してほぼ横ばいとなっている一方、費用につきましては消費税増税の影響により増加しておりまして、診療報酬改定率の傾向と同様の傾向が認められ、県内の他の公立病院や民間病院においても同様の傾向にあるものと推察しております。
県では、これまで、本県の医療提供体制を確保していくため、救急医療などの政策医療を担う公立病院の運営に配慮した診療報酬の改定を行うよう国に要望してきたところでございますけれども、民間病院を含む診療報酬の改定の影響や評価について、国の診療報酬改定に係る検証結果なども注視いたしますとともに、医療関係団体等の意見をお伺いしながら、必要に応じて国に要望を行うことも検討したいと考えております。
なお、県医療局におきましても、消費税増税は県立病院経営に与える影響が大きいことから、医療に係る消費税の課税のあり方を抜本的に見直すよう国に要望してきているところでございます。現在、医療局では、後発医薬品の使用拡大や医療材料の廉価購入に向けた取り組みなどにより費用の抑制に努めているところでございますが、今後予定されております消費税増税による経営への影響も懸念されますことから、引き続き国に対して要望を行っていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 診療報酬の改定は、医療提供体制に大きな変革が収支のほかにあると思いますので、民間病院も含めて適切な情報把握と対応をお願いしたいと思います。
昨年6月、2025年を見据えて医療介護総合確保推進法が成立し、都道府県が大きな役割を果たすことになりました。今年度公表される厚生労働省のガイドラインと詳細データに基づき、来年度、地域医療構想を策定する予定ですが、医療機関が県に病床の医療機能等を報告し、これに基づいた構想を医療計画において策定するとしていますが、現時点で想定される医療介護総合確保推進法の本県医療、福祉に与える影響と、どう構想策定に取り組んでいくのかお伺いします。
〇千葉副知事 地域医療構想についてでございますけれども、国においては、現在、都道府県が地域医療構想を策定するためのガイドラインの検討が行われておりまして、現時点では、具体的な医療需要の推計結果や病床機能報告制度による報告結果が示されておりませんことから、本県医療への影響について定量的に評価することは難しいところでございますが、急性期病床機能を回復期病床機能に転換していくことや、慢性期病床機能を在宅医療に転換していくことなどの方向が示されているところでございます。
本県におきましても、一層高齢化の進みます2025年に向けました医療提供体制の改革は必要であると考えておりまして、ガイドラインを踏まえた病床の機能分化、連携や在宅医療、介護サービスの充実などの取り組みを進めていく必要があるものと認識しております。
しかしながら、こうした取り組みを進めていくためには、各医療機関が担っております医療機能の変更や、医療機関を受診する住民に対しても受療行動の変化を求めることとなりますことから、医療機関の経営面への影響や本県の医療資源を踏まえた柔軟な対応も必要であると考えているところでございます。
こうしたことから、県といたしましては、公的医療機関が地域医療に大きな役割を担っている本県の特殊性や、広大な県土を有し、県内各地において高齢化や医療、介護資源の状況が異なることなどを踏まえ、地域の医療関係団体などの御意見もお伺いしながら、来年度からの地域医療構想策定に取り組んでいくこととしております。
〇喜多正敏委員 医療費節減の話が一方であるわけでありますけれども、大変大きな変革を求められるということで、しかも、先ほど後藤委員からもお話がありましたけれども、在宅医療や在宅へ、地域へと、これが果たして成り立つかどうかということですね。余りにも急で現場が対応できないのではないかという懸念がありますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、県立病院の医療機能に関して、現状と、どのような方向性を目指しているのか。高度急性期病院の総合入院体制加算1、2の取得の見込み、7対1入院基本料の厳格化にどのように対応しようとしているかお伺いします。
〇千葉副知事 県立病院の対応につきまして3点お尋ねがございましたので、順次お答えをさせていただきます。
まず、平成26年10月から施行されました病床機能報告におきまして、大槌、山田及び南光病院を除く17の県立病院の稼動病床4、019床のうち、現状の病床機能として高度急性期を担う病床が995床、急性期機能は2、809床、回復期機能は123床、慢性期は92床と報告しているところでございます。
当該報告の中で求められております6年後の機能につきましては、現時点ではほぼ現在の病床機能を引き続き担うこととして報告しているところでございますが、先ほど申し上げました、今後策定されます地域医療構想を踏まえ、関係機関との協議の上で、県立病院の機能、役割のあり方について必要な見直しを行っていく考えでございます。
次に、総合入院体制加算につきましては、診療報酬において、総合的かつ専門的な急性期医療を担う医療機関を評価するために設けられております施設基準でございますが、今回新設されました総合入院体制加算1は、精神科救急の入院診療も含めた診療体制や、一定の手術、治療件数を満たすなど厳しい要件となっておりまして、全国でも数施設の届け出状況でありまして、東北6県でも現時点で届け出医療機関はないものと承知しております。県立病院として取得するにはかなりハードルが高い状況であると認識しております。
また、従来から設定されております総合入院体制加算2につきましては、県立中央病院で平成26年12月から届け出ているところでございます。他の県立病院では、紹介患者や治癒患者の割合などの要件を満たしていない状況でありますが、今後、地域医療連携のより一層の推進を図る中で取得につながっていくものと考えております。
3点目の7対1入院基本料への対応につきましては、昨年の診療報酬改定におきまして、看護必要度項目の見直しや在宅復帰率の新設など要件が厳格化されたところでありますが、県立病院のうち、既に取得していた中央、中部、胆沢及び磐井の4病院はいずれもその要件を満たしており、現在も7対1入院基本料を維持しているところでございます。
〇喜多正敏委員 先ほど県の医療ビジョンを作成するということでありましたが、実際住民と接している市町村においても、市町村医療ビジョンの策定が医療、介護施策を検討、推進する上で効果的であると思いますが、御所見をお伺いします。
〇千葉副知事 市町村医療ビジョンの策定についてでございますけれども、医療と介護を総合的に確保して地域包括ケアシステムを構築していくためには、委員御指摘のとおり、市町村の役割が非常に重要であると認識しております。県内の市町村におきましては、奥州市では、昨年度、病院・診療所改革プランを、花巻市におきましては、今年度、地域医療ビジョンを策定するなどの動きがあると承知しております。
医療法におきましては市町村が地域医療構想を策定することは定められておりませんが、県が策定した医療計画や、二次医療圏を基本として来年度以降に策定いたします地域医療構想と整合した市町村の医療ビジョンを策定することは、地域の医療提供体制を確保していく上で極めて有益と考えており、県としても市町村の取り組みに対して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 病院経営にあっては、関係法令等の改正、診療報酬制度の改正、医師、看護師、薬剤師等の確保等により経営収支が大きく異なることから、病院経営の専門的な人材の養成が必要と考えます。本県の病院経営の人材養成の状況について、現状と今後の取り組みについてお伺いします。
〇千葉副知事 病院経営の人材養成についてでありますが、病院を安定的に経営していくためには、医療法や診療報酬の改定などの医療政策の動向を踏まえた、病院経営に参画できる専門的人材を育成することが極めて重要であると認識しております。
そのため、県医療局におきましては、病院管理運営を円滑に行う能力等を備えました病院経営管理士を15名養成するなどの取り組みを進めているところでありまして、今後も病院経営に参画できる専門的な人材を計画的に養成し、県立病院の経営の安定に努めてまいります。
また、県内全体では病院経営管理士22名が養成されておりまして、県立病院以外の公的医療機関や民間医療機関におきましても、個々の医療機関の判断で養成されているものと承知しております。
県では、先ほどから申し上げております地域医療構想を実現していくために、新たな基金を造成し、医療関係団体の御意見を伺いながら、医療提供体制を支えます医療従事者の確保、養成等を進めていくこととしており、病院経営に関する人材養成につきましても、その取り組みの中で検討していきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 よろしくお願いします。
次に、介護についてお伺いします。
先ほど後藤委員からも質疑が交わされましたが、介護報酬が平成15年、小泉内閣のときにはマイナス2.3%、第1次安倍内閣のときにはマイナス0.5%、鳩山内閣においてはプラス3%の改定後、今回の安倍内閣においては、中小企業を上回る利益率を上げ内部留保をため込んでいることを理由としてマイナス2.27%と介護報酬が切り下げられましたが、本県の特別養護老人ホームの経営実態はどうなっているかお伺いします。
〇千葉副知事 特別養護老人ホームの経営実態についてでありますが、本県の特別養護老人ホームに関する経営データは残念ながら持ち合わせてございませんが、厚生労働省が3年ごとに実施しております全国の平成26年度介護事業経営実態調査によりますと、企業の利益率に相当する収支差率、これは収入と支出の差額が収入に占める割合でございますけれども、これは全国平均で広域型特別養護老人ホームでは8.7%、地域密着型では8.0%となっているところでございます。これは、財務省が財政制度等審議会に提出いたしました収支差率に関するデータなどを拝見いたしますと、全ての介護サービス加重平均の収支差率とおおむね同様の数値となっているところでございます。
一方、今回の介護報酬改定では、特別養護老人ホームの基本料が約6%引き下げられておりますことから、全国老人福祉施設協議会では1施設当たり平均1、500万円程度の減収になるとの試算もございます。
県といたしましては、今後、介護施設、事業者団体等から介護報酬改定による影響の把握に努めまして、現場の声を聞きながら、適切な水準の介護報酬を設定するよう、国に対して必要な要望をしてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 これについては、平成22年9月定例会において、私は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの健全な運営を確保するための県の取り組みについてお伺いしました。そのとき、千葉副知事は保健福祉部長でありました。健全な施設運営のための取り組みについてでありますが、まず、特別養護老人ホームの運営主体であります社会福祉法人に対しましては、社会福祉法に基づく監督として定期的な監査や随時の指導、助言を実施しているほか、県社会福祉協議会が実施する社会福祉法人への経営指導事業に補助を行うなど、健全な施設運営に対する支援を行っているところでありますということでありますので、県は個別には把握されていると思いますので、ぜひその実態をつかんで適切に対処していただきたいと思います。
次に、現在の仕事を長期間継続していくために重要と考えるものは責任年齢に応じた賃金となっており、将来的にやめたい、転職したい理由も第1位が賃金です。これは、岩手県立大学の調査によって明らかにされています。昨年12月に公表したいわていきいきプラン2017中間案の重点施策の中で介護人材の確保及び介護サービスの向上を掲げていますが、職場のイメージアップや環境の整備も重要ですが、介護人材の確保に向けて、賃金の改善や職員のニーズに合わせた雇用形態等の確保に取り組む必要があると考えますが、新年度も含め、こうした処遇改善に今後どのように取り組むのかお伺いします。
〇千葉副知事 介護人材の確保に向けた取り組みでございますけれども、まず、賃金の改善につきましては、国では、今回の介護報酬改定において介護職員処遇改善加算を拡充したことにより介護職員の給与が引き上げられると説明しておりますけれども、この加算は、賃金改善に関する計画策定など事業者の取り組みが支給要件となっておりますことから、県といたしましても、説明会の開催などにより制度、手続を事業者に周知し、その取り組みを促していきたいと考えております。
次に、職員のニーズに合わせた雇用形態等の確保につきましては、介護の現場には、若者、他産業からの転職者、現在、就業していない女性あるいは中高年齢者などさまざまな方々が就労されておりますことから、就労実態に対応した取り組みが求められると考えております。
このため、県では、介護人材キャリア支援員を全県に7名配置し、介護職員のスキルアップを図るセミナーの開催や、働きながら資格を取得する事業などを実施しているところでございます。
介護人材不足への対応は、県のみならず、事業者、関係機関、団体、市町村等それぞれの取り組みが重要でございまして、国、県、関係団体及び養成施設で構成しております岩手県介護労働懇談会などを通じ、関係機関とさらに連携しながら介護人材の確保、定着に努めていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 もっとも、処遇は事業主と雇用契約の中で決定していくわけでありますけれども、いずれ具体的にこういうことをすれば処遇改善につながるということを明確にしてお取り組みをいただきたいと思います。
次に、人口減少対策としての中小企業、観光振興についてお伺いします。
県は、岩手県人口問題対策本部を立ち上げ、発表いたしました報告案の中で、日本創成会議の新たな集積構造に人口流出ダム機能を持たせる考え方は、地方において人口減少対策を立案する基本的な考え方としては不十分であること、住民一人一人の暮らしに目を向けなければならないという視点は同感であります。人口減少対策の一つとして、商工業の振興、雇用の創出、農林水産業の振興が掲げられ、このときに当たり、中小企業振興条例や食と農林水産業の振興に関する条例が提案されていることはまことに時宜を得たものと思います。
まず、中小企業の振興には、本県中小企業の強み、弱み、業種、業界の伸ばすところ、補強するところなどを的確に把握して振興策を明確にし、いわば岩手県版中小企業白書として公表し、事業者や団体、県民が共通の認識のもとに中小企業振興基本計画の策定や実施計画が策定されるべきと思いますが、こうした本県中小企業に対する認識、白書の作成、公表、基本計画や実施計画の策定等について知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 委員御指摘のとおり、中小企業の現状や直面している課題等を的確に把握し、それらに基づいたきめ細かい振興策を講じることが重要であります。
このような認識のもと、県といたしましては、中小企業振興条例に基づく基本計画の策定に当たって、本県中小企業を分析した結果をもとに、中小企業者や中小企業関係団体の方々と意見交換をしながら具体的な施策に反映したいと考えております。
また、毎年度、施策の実施状況等をまとめたものを公表し、その成果を評価の上、必要な施策を講じる等、従来にも増して総合的、計画的に中小企業振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 ところで、人口問題に関する報告案においては、やりがいと生活を支える所得が得られる仕事を創出し、人口の社会減を食いとめる施策の中で商工業の振興を掲げておりますが、交流人口拡大や裾野の広い波及効果を持つ観光業を加え、商工業、観光業の振興とすべきと思いますが、あわせてお伺いします。
〇達増知事 観光は、裾野が広く、地域経済や雇用の創出に効果があることに加え、交流人口の拡大の点からも人口減少対策の大きな柱の一つであると捉えているところであります。
このようなことから、人口問題に関する報告案においては、観光を通じた国内外との人的交流や経済交流の拡大のほか、体験型観光など、移住、交流体験の推進や、地域滞在型、交流型観光の展開、さらには、三陸ジオパークの推進や平泉の世界遺産、三陸鉄道を活用した取り組みなどを盛り込んでいるところであります。
商工業の振興と観光の振興は密接な関係があることから今後とも一体的に推進してまいりますが、人口減少対策としての観光の重要性については、委員の御意見も参考にしながら、人口問題に関する報告案における位置づけを工夫してまいりたいと思います。
〇喜多正敏委員 本県でも商工部ではなく商工労働観光部でございますので、よろしくお願いしたいと思います。
観光振興の効果が大きい宿泊観光客を伸ばすため、北陸新幹線の開通も迎え、本県の温泉振興をどのように考えているか、来年度も含め、これらの今後の取り組みをお伺いします。
〇千葉副知事 温泉振興についてでございますけれども、温泉は、癒やし、安らぎといった保養や、その土地ならではの食、おもてなしの提供などさまざまな魅力を有し、経済効果の大きい滞在型観光の誘致にとって大きなセールスポイントとなりますことから、温泉の振興は本県の観光振興にとって極めて重要であると認識しております。
したがいまして、これまで、温泉を主要テーマといたしました観光キャンペーンによる情報発信や、温泉地の魅力を生かした旅行商品の造成支援など、温泉地が主体的に取り組む地域資源を活用した魅力づくりへの支援、いわて三陸観光応援バスツアーの運行による温泉地と沿岸地域を結ぶ観光ルートの構築など、温泉を核としたさまざまな誘客の取り組みを進めてきたところでございます。
来年度におきましては、これまでの取り組みに加えまして、割引旅行券の発行や情報発信の強化などにより本県への宿泊旅行を促進し誘客の拡大を図りますとともに、公衆無線LANなどの環境整備や、速やかな対応が現在求められております宿泊施設の耐震化対応への支援などによりまして受け入れ態勢の充実を図り、温泉振興につなげていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 日本一の湧出量を誇る大分県とは比べられないのでありますが、大分県は温泉県だという看板を立てて宣伝しておりますし、秋田県では温泉団体の設立の話もあるようでありますけれども、温泉団体や地元旅行会社等々と組織をつくるなどして、ぜひ推進していただきたいと思います。
具体的な商工業の振興策についてお伺いします。
商工業や観光の振興においては、抱える課題、強みが共通なものや、それぞれが異なるものもあると思います。十把一からげの中小企業対策ではなく、市町村や業界団体などと連携し、業種や地域、観光地ごと、あるいは温泉地ごとの振興計画や振興施策などをきめ細かく策定して実施していく必要もあると思いますが、どのように具体的に振興を図っていくかお伺いします。
〇千葉副知事 商工業や観光の振興についてでございますけれども、県では、これまでも、いわて県民計画に基づきまして、ものづくり産業、食産業、観光産業等分野別に振興施策を展開いたしますとともに、広域振興圏ごとにそれぞれの地域特性に応じた施策を推進してきているところでございます。
さらに、ものづくり産業につきましては自動車関連産業振興アクションプランの策定、食産業につきましてはフード・コミュニケーション・プロジェクトの推進、観光産業につきましてはみちのく岩手観光立県基本計画の策定等、必要に応じまして振興計画の策定や連携組織の構築などの取り組みも行いながら、具体的な事業を展開してきているところでございます。
今後におきましても、このような新たな取り組みも進めていきたいと考えておりまして、先ほどからお話が出ておりますが、具体的には、今定例会に提案しております中小企業振興条例に基づく基本計画も策定することとしております。委員御提言の趣旨を踏まえ、その策定段階から中小企業者等や関係団体と十分に意見交換を行い、より一層連携して実効性のある施策を推進してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 製造業といっても、自動車産業から伝統工芸とか印刷業とか、あるいは商店街といっても、中心商店街もあれば近隣商店街もある。卸においても、観光地においても、立地によって異なるわけです。したがいまして、立地や業種、業態などの実態に即した計画の振興策を、一気にはつくれないでしょうけれども、きめ細かくつくって実施していただきたいと思います。
こうした中小企業や観光振興のため、中小企業診断士の養成が効果的と思われますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 中小企業振興を図る上で、企業経営や中小企業支援に関する専門知識、経験を有する職員の養成は重要であると考えております。
県では、これまで、中小企業振興の担当部署に中小企業診断士の資格を有する職員を配置するとともに、中小企業大学校の研修等への派遣や業務を通じた外部の専門家からのノウハウの吸収など、職員の専門性を高めるための取り組みを行っているところであります。
今後とも、さまざまな研修等を通じて専門知識を有する職員の養成に努めるとともに、商工団体、金融機関、大学、中小企業診断士等の専門家との連携も図りながら、中小企業振興に取り組んでいきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 最後は人が宝だということでありまして、県の職員は頑張っているわけでありますけれども、やはり目ききが必要だと。外部の方の活用も当然でありますが、これは中小企業のみならず農林水産業においても非常に役に立つと思いますので、ぜひ、前向きに検討していただきたいと思います。
次に、国際リニアコライダーについてお伺いいたします。
平成25年8月に、ILC立地評価会議が国内候補地一本化の後、ILCの国際推進組織であるリニアコライダー・コラボレーションが北上サイトに限ってILCの詳細設計を行う方針が示され、さらに、この1月にはLCCの最高責任者であるリン・エバンス氏などが来県し、北上山地の地形やインフラなどを視察しました。
政府は、文部科学省にILCタスクフォースを設立するとともに、平成25年の日本学術会議の答申を受け、専門的見地から議論を行うため、昨年5月、ILCに関する有識者会議を設置し、計画の科学的意義や役割、事業費などを検証する部会で検討を進めると聞いております。
また、平成26年度、調査、設計に要する経費5、000万円を措置しましたが、これらを含め、政府の平成27年度予算案の内容並びに国の取り組みの進捗状況についてお伺いします。
〇齋藤政策地域部長 政府の平成27年度予算につきましては、国際リニアコライダー計画の実施の可否判断に関する調査検討費として、平成26年度と同額の5、000万円を計上いたしまして、技術的な実現可能性に関する調査などを実施すると聞いております。
また、文部科学省が昨年5月に設置いたしましたILCに関する有識者会議においては幅広い分野の専門家による議論が行われまして、この4月にも中間取りまとめが出される予定であり、平成27年度中に一定の結論を出すこととしていると聞いております。
〇喜多正敏委員 本県でも新年度に調査費が要求されておりますが、その具体的な内容、調査日程、調査方法やその活用、国の調査事業や検討の取り組みとの関係、全体的な計画を含め、今後どのようにILC誘致について取り組むのか、課題も含めお伺いします。
〇齋藤政策地域部長 主な取り組み内容についてであります。
建設に向けた取り組みを着実に進めるためには、国際的な推進組織であるリニアコライダー・コラボレーション、通称LCCの技術設計に適合した調査を進めることが重要であることから、東北大学と共同研究いたしましてボーリングによる地質調査などを行うこととしております。今後、東北大学において調査の日程や内容などについて検討を行うこととしておりまして、調査結果は、関係研究者等への資料提供や地域の受け入れ環境整備などに活用していく予定でございます。
県といたしましては、国の有識者会議や調査事業などの動向を注視しながら、東北ILC推進協議会等関係機関と連携した要望活動や、首都圏でのシンポジウム開催などによる国内外への情報発信、いわて加速器関連産業研究会の設立などによる加速器関連産業への企業参入支援などの取り組みを進め、ILCの実現を目指していきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 岩手県立大学次期学長に高エネルギー加速器研究機構長の鈴木厚人氏が就任予定と報じられておりました。県立大学の教育、研究の充実はもとより、ILC推進にも御尽力、御指導いただけると期待しておりますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 高エネルギー加速器研究機構の鈴木厚人機構長には、これまでの実績や豊かな識見を生かして、大学の教育や研究の発展及び地域貢献などの分野でリーダーシップを発揮されることを期待しております。また、鈴木機構長はILC推進の牽引役として尽力されておいでであり、今後においてもILC計画を実現する意義などを広く国内外に情報発信していただくとともに、身近な相談役として、引き続き本県などの活動に御助言をいただくことを期待しております。
〇喜多正敏委員 ぜひ、ILCについては、政府関係機関、関係団体と連携して実務的に進めていっていただきたいと思います。
これで私の質問を終わります。丁寧な御答弁ありがとうございました。
難局の中、いろいろ課題もありますが、知事を先頭にして積極的な県政を期待して、終わります。
〇工藤勝子委員長 お諮りいたします。予定の5時までにはまだ若干時間がございますが、区切りの関係から、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇工藤勝子委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時22分 散 会

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