平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党を代表して、達増知事に質問いたします。
東日本大震災津波から4年が経過しようとしています。今、被災地では、災害公営住宅の整備や区画整理事業など、復興事業がピークを迎えようとしています。
一方で、被災者は、1月末現在で、応急仮設住宅に2万2、300人、ピーク時の70.2%の方々が生活しています。みなし仮設を含めると2万8、511人、ピーク時の64.5%であります。狭い仮設での生活で、心身ともに疲労が限界に達しています。釜石のある仮設団地では、自殺者が5人も出たと訴えられました。
災害公営住宅の入居者は825世帯、1、649人にとどまっています。いまだに住宅の再建、確保の見通しが立たず、眠れない夜を過ごしています。手を伸ばして寝ることができるところへ早く行きたいと言っていた母親が仮設で亡くなったなど、被災者の置かれた状況は深刻であります。
岩手で6、251人の犠牲者を出した戦後最大の大災害、東日本大震災津波からの復興は県政最大の課題であり、国政の最優先課題であります。復興の最大の課題は、被災者一人一人の生活の再建であり、産業の再生と安定した雇用の確保であります。被災者の命と健康を守り、生活再建を支援することは復興の緊急課題であります。
知事に具体的に質問します。
第1に、この間、震災関連死は450人に達し、内閣府と県警本部の調べでは、震災関連の自殺は32人、仮設住宅での孤独死は27人となっています。被災者の命、心も健康も脅かされています。津波で助かった命、再び犠牲にしてはならないという立場で、あらゆる対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。
阪神・淡路大震災から20年がたちました。その最大の酌み取るべき教訓は、1、097人にも及ぶ孤独死を出したことであります。東日本大震災では、決して繰り返してはならないことだと考えます。そのために、一つ、被災者の命綱となっている医療費、介護保険利用料等の免除措置を12月末で打ち切るのではなく、被災者が基本的に自立できるまで継続することが必要と考えます。
二つ、仮設から災害公営住宅に大規模に移転が行われる年となります。残された仮設団地でも、災害公営住宅の集会所にも支援員を配置し、机や椅子、カラオケセットも設備し、新たなきずなとコミュニティの確立に特別の取り組みを行うべきと考えますが、具体的な対応を含め、知事の答弁を求めます。
第2に、住宅の再建は被災者の最も切実な要望です。しかし、住宅の建設費が高騰し、地元の大工さんに頼んだ場合でも坪55万円、震災前と比べて約7万円も引き上がっています。30坪の住宅で200万円以上の高騰です。大手ハウスメーカーの場合は、坪70万円以上と言われています。
住宅再建の最大の不安が資金問題であります。国に被災者生活再建支援金の500万円への引き上げを求めるとともに、住宅再建がピークを迎える今こそ、県独自にもさらなる支援策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。
第3に、災害公営住宅の整備は、ことし3月末で1、574戸、5、933戸の計画の27%にとどまります。来年3月末までに2、121戸整備され3、695戸、計画の62%が整備される予定です。木造の戸建て、長屋形式の公営住宅が1、268戸整備される計画となっていることは評価したいと思います。大事なことは、被災者の希望を踏まえた公営住宅の整備を進めることであります。
大槌町では、町営の公営住宅は、基本的には木造戸建て、長屋の住宅を整備することにしています。最近のニーズ調査では、戸建てよりも長屋形式の希望が増加しており、長屋形式の住宅を整備するとしています。また、高齢者のみの世帯やひとり暮らしで生活に不安のある高齢者向けに支え合いハウス―仮称でありますけれども整備をするとしています。
現在の災害公営住宅の整備の状況はどうなっているでしょうか。市町村はもとより、県が整備する災害公営住宅も被災者のニーズをしっかり把握し、それに応えた整備をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
第4に、防災集団移転事業によって、津波浸水地域の宅地等を自治体が買い上げることができることとなっています。しかし、土地の売却代金が被災者の所得とみなされ、住民税、国保税、介護保険料、利用料が増税、負担増となり、特に介護施設入居者が非課税だった場合、課税世帯となって居住費、食事代の軽減措置がなくなり80万円から100万円余の増税、負担増となっています。土地の売却代金は、高台移転の土地代であり生活再建の貴重な費用であります。
被災者に対するこうした増税、負担増に対して、特別の減免の措置が必要と考えますが、県は実態をどう把握しているでしょうか。国に対してどのように要望し、その回答はどうなっているでしょうか。
第5に、被災地の産業の再生と安定した雇用の確保は被災地で暮らし続ける不可欠の課題であり、復興の中心課題でもあります。漁業、水産加工業、商工業など、中小企業の復興の状況、売り上げの状況と課題についてお聞きします。
グループ補助の決定状況と事業者の再建の状況はどうなっているでしょうか。小規模事業者も参加できるように手続も簡素化すべきと考えますが、いかがでしょうか。
仮設店舗、仮設商店街の本設への抜本的な支援が必要です。本設希望、仮設店舗での営業継続の希望等の状況は、どう把握されているでしょうか。
沿岸被災地での雇用保険被保険者は、全体で2、550人増加しています。しかし、基幹産業である食料品製造業では1、450人減少しています。地場産業の雇用、人材の確保にさらに一層取り組むべきですが、県の対策はどうなっているでしょうか。
今議会に中小企業振興条例が提案されています。昨年末示された商工業振興条例素案の内容が大きく見直され、条例の制定を求めてきた中小企業関係者が歓迎する条例案となったことを評価したいと思います。見直した経過と条例制定に基づく取り組みの基本方向と推進体制を示していただきたい。
第6に、JR山田線、大船渡線の早期復旧について質問します。
JR山田線は、30億円の移管協力金と車両の無償譲渡等の条件で三陸鉄道に移管されることになり、3月7日にやっと起工式が行われることになりました。三陸鉄道が昨年4月5日、6日に全線開通したことと比べると、余りにも遅きに失したJR東日本の対応と言わなければなりません。今後の復旧の見通しはどうなっているでしょうか。運賃等が被災者にとって新たな負担とならないよう対応すべきですが、どう検討されているでしょうか。
JR大船渡線については、昨年2月19日、突然、山側ルートへの変更案が示され、総事業費が400億円、うち地元負担が270億円という無謀な提案がなされました。ところが、その後、1年以上にわたって、その根拠を示すことなく何の動きもないことは、JR東日本の不誠実さを示すものではないでしょうか。
JR東日本は、昨年3月期末決算で、経常利益が3、325億円、内部留保が2兆6、075億円となる超優良企業であります。こうした利益は、本来、東日本大震災津波からの早期の復旧にこそ最優先で使うべきではないでしょうか。これまでの県の取り組み、JR東日本、政府の対応を示していただきたい。
次に、子供の医療費助成の拡充について知事に質問します。
12月県議会で全会一致の請願採択と3万筆を超える署名など、県民運動の広がりの中で、県は10年ぶりに子供の医療費助成について、一部負担があるものの、窓口無料化の現物給付と、入院に限定されましたが小学校卒業まで対象年齢を拡充することになりました。遅きに失したとはいえ、評価したいと思います。
現物給付化は、いつから実施できるのか。その対象はどこまでか。入院限定の小学校卒業までの拡充はいつから実施するのか。財源を含めて示していただきたい。
県民の願いは、中学校卒業までの拡充です。県内市町村の子供の医療費助成の状況、来年度拡充の状況をどう把握しているでしょうか。県として、さらなる子供の医療費拡充の見通しは持っているのでしょうか。既に全国では、通院を含めた小学校卒業以上までが11都府県、うち中学校卒業までが5都県となっています。年次計画でさらなる拡充を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
高過ぎる国保税の引き下げは、県民の最も切実な課題であります。平成24年度の国保税の平均課税所得額は78万9、000円であります。国保税調定額は13万9、000円となっており、負担率は17.62%と、過去最大となっています。耐えがたい国保税の負担は、国庫負担率削減によるものと思いますが、負担増の実態とその要因をどう捉えているでしょうか。
この間、被災地に対する特別調整交付金の交付と、来年度からは低所得者対策の支援金が交付されます。それぞれどれだけの交付金になるのでしょうか。
〔議長退席、副議長着席〕
一関市や花巻市では、来年度国保税の引き下げを実施しますが、交付金を活用して引き下げるよう指導すべきではないでしょうか。
滞納者に対するペナルティーである資格証明書と短期保険証の発行、給与など生活を破壊する資産の差し押さえは中止すべきと考えますが、実態を含めて県の対応を示していただきたい。
介護保険の大改悪によって、要支援の高齢者の介護予防サービスが切り捨てられ、市町村の総合事業に変えられます。しかし、全国的にも、来年度から市町村が総合事業を実施しようとしているのはわずか7%、県内では住田町と西和賀町だけとのことであります。既に破綻していると言わなければなりません。実施できない要因は何でしょうか。県内2町はどのように実施しようとしているのでしょうか。
介護報酬が2.27%削減されます。介護職員の待遇改善を除けば、特養ホームでは6%の削減と過去最大規模の削減であります。特養ホームの待機者が全国52万人、県内でも6、642人に及び、介護職員の確保ができない状況で、介護報酬を削減すれば特養ホームの整備も介護職員の確保もできなくなるのではないでしょうか。介護職員は、必要数に対してどれだけ不足をしているのでしょうか。
私は、先日、陸前高田市の特養ホームから話を聞いてきました。年間で2、000万円の減収になるとのことでした。介護報酬削減の県内介護施設への影響を具体的にどう把握されているでしょうか。介護保険法の改悪と介護報酬の引き下げの撤回、見直しを強く求めるべきではないでしょうか。
被災した高田、大槌、山田の県立病院の再建整備に、来年度予算では62億円余が盛り込まれました。県立大槌病院と県立山田病院は、再来年には新病院で開業の予定であります。医師、看護師の確保の見通しはどうなっているでしょうか。県立高田病院は計画どおりに進んでいるのでしょうか。
今年度から、新しい県立病院の経営計画に基づいて、医師、看護師等の増員計画が進められていますが、増員の実績はどうなっているでしょうか。その結果、看護師の9日夜勤や年次休暇の取得率は改善されたのでしょうか。
私は、先日、県立中央病院、県立胆沢病院の看護師さん等から実態を聞いてきました。7対1看護体制のために看護師が不足し、外来から病棟に引き上げるとともに、それでも足りなくて、他病院からの応援が増加しています。ますます年次休暇がとりにくく、労働強化となったと訴えられました。看護師確保のためにも、大幅な増員と労働条件の改善が必要と考えますが、来年度の見通しを含めて示していただきたい。
次に、教育の課題について教育委員長に質問します。
学力テストの実施によって、学校では、学力テストのための朝学習や過去問題の取り組みが強化されています。こうした実態をどう把握されているでしょうか。
県教育委員会は、さらに、中学校1年生でも来年度は4月に独自の学力テストを実施します。これでは小学校の序列化になると危惧の声も聞かれます。学校もゆとりがなくなっています。
国連子どもの権利委員会の日本政府に対する第3回勧告では、高度に競争主義的な学校環境が、就学年齢にある子供の間のいじめ、精神的障がい、不登校、登校拒否、中退及び自殺に寄与し得ることを懸念する。極端に競争的な環境による悪影響を回避することを目的とし、学校及び教育制度を見直すことを勧告すると指摘しました。この指摘を踏まえて改善を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。県の教育委員会は、この勧告について、協議、検討したことがあるのでしょうか。
教育長に質問します。
昨年、県内でもいじめがかかわるのではないかと思われる中学生の自殺事件がありました。残念ながら、市教育委員会や中学校の調査では解明されず、第三者委員会での調査、検討が行われています。こうした事態をどう受けとめているでしょうか。
いじめはどの学校でも起こり得る、いじめの問題は許されない人権侵害の問題として全校挙げて対応するという原則を、全ての学校で研修と討議を踏まえて確立すべきと考えますが、いじめの実態と学校における対応を示していただきたい。
今後の高等学校教育の基本的方向改訂案が示され、地域説明会も開かれました。日本共産党は具体的な提案を行いました。その内容は、第1に、東日本大震災津波の教訓を踏まえて、地域に必要な高校、地域に支えられ、地域に貢献する高校を目指すべきこと。第2に、高校授業料無償化の実施を踏まえ、全ての青少年に高校教育を保障し、成長を支える高校、高校中退をつくらず、中退しても再教育が可能な体制の構築。第3に、1学年3学級以下の高校が42%を占めている中で、4ないし6学級が望ましい学校規模とすることは実態に合わないこと。地域によって望ましい学校規模を多様に検討すること。第4に、地域に必要な小規模校は存続し、多様な支援を強化することを明記すること。第5に、特別に支援が必要な生徒が急増しており、教員の大幅な増員とともに、特別支援学校及び高等部の整備を進めることが必要と提起をいたしました。こうした課題について、具体的な対応と答弁を求めます。
文部科学省は1月27日、公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を示しました。その中で必要とされる学級数は、小学校では1学年1学級以上、中学校については1学年2学級以上、望ましい学級数は小学校で1学年2学級以上、中学校で3学級以上とされています。県内の学校で、この基準に達しない学校はどれぐらいあるでしょうか。広大な岩手県では、全国一律の基準で統廃合を進めることなく、特に小学校の場合は、地域と文化のきずな、コミュニティの拠点であり、地域の中で教育を進めることが特に重要と考えますが、県教育委員会の基本的な考えをお聞きします。
県警本部の不祥事の実態と対応について県公安委員長に質問します。
昨年度の県警本部の不祥事件数は全国最悪でありました。過去5年間における懲戒処分者の状況はどうなっているでしょうか。公安委員会として、その実態と要因をどう検討し、具体的にどう対応してきたでしょうか。
また、県警本部職員のサービス残業の改善を私は繰り返し指摘をしてきましたが、その実態をどう認識し、解決しようとしているのでしょうか。
県警本部長に質問します。
新任の本部長となりましたが、東日本大震災津波からの復興が県政最大の課題であります。被災地の状況と被災地の住民の安全の確保等について、どのように受けとめているでしょうか。来年度の課題をどう設定し取り組もうとしているのか、示していただきたい。
次に、安倍政権の暴走政治が、国民の暮らしと地域経済、平和を脅かしています。国の悪政から県民の暮らしと地域経済を守ることは、福祉の増進を目的とする県政、地方自治体の重要な課題であります。
知事に質問いたします。
第1に、昨年4月に強行された消費税8%増税によって、経済の6割を占める個人消費は昨年1年間、過去20年間で最大の落ち込みとなりました。日本経済は深刻な危機に陥っています。県民の暮らしと県内経済への影響はどうなっているでしょうか。
消費税の10%増税の中止を求める請願、意見書が、昨年9月県議会で採択をされました。知事としても消費税10%増税の中止を求めるべきではないでしょうか。
第2に、非正規雇用が4割近くまで広がり、不安定雇用と賃金が落ち込んでいる中で、安倍政権は、国会に、生涯派遣、正社員ゼロに結びつく労働者派遣法の大改悪と残業代ゼロ法案を提出し、強行しようとしています。今必要なことは、非正規から正社員への流れをつくることではないでしょうか。サービス残業とブラック企業を根絶し、残業は月45時間までと定めた大臣告示を法制化し、異常な長時間労働を正すことではないでしょうか。中小企業への支援を強化し、最低賃金を時給1、000円以上に引き上げることも必要であります。
東京都は、昨年12月に示した東京ビジョンで、非正規から正社員へ年間5、000人、3年間で1万5、000人ふやす計画を示しました。県内における非正規労働者の実態を含めて、知事の見解を求めます。また、岩手県としても、非正規から正社員化の計画と目標を持って県政の重大課題として取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
県内最大の工場となっているトヨタ自動車東日本岩手工場は、フル生産体制となっています。しかし、2、750人の従業員のうち、正社員は1、880人、68.4%にとどまり、期間社員が596人、21.7%、派遣社員等が274人、10.0%となっています。リーマンショック前の2008年度には、期間社員から106人が正社員となりましたが、その後は10名前後で低迷をしています。現状、実績を示していただきたい。トヨタ自動車東日本に強く正社員化を求めるべきと考えますが、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか。
第3に、安倍政権は、農協改革を戦後以来の大改革の冒頭に挙げました。しかし、この改革は、農協と農業の現場から出たものではありません。TPP反対の中心となってきたJA全中、農協を潰すことがその狙いではないでしょうか。その背景には、120兆円とも言われるJAバンク、JA共済の運用資金を狙っているアメリカと日本の大銀行、大保険会社の圧力があるのではないでしょうか。農協の改革は、協同組合にふさわしく自主的に行うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
当面の最大の課題は、米価暴落対策であります。円安による生産費の高騰も懸念され、農村は未曾有の危機に直面しています。山形県は、独自に種もみに対する補助を実施します。岩手県としても、国に必要な対策を求めるとともに、県独自に具体的な支援策を講じるべきではないでしょうか。
第4に、戦後70年の歴史的節目に当たって、ことしが日本とアジア諸国との和解と友好に向かう新たな第一歩となることが求められています。
安倍政権の集団的自衛権の行使が目指すものは、戦争をする国づくりであり、若者を戦場に駆り立てるものであります。世界に誇る憲法9条を、事実上、改悪するものであります。県議会は、昨年6月議会で、集団的自衛権の行使容認に反対する意見書を採択しました。知事としても反対すべきと考えますが、答弁を求めます。
教育長に質問しますが、高校生の自衛隊、防衛大学校等へ入隊、進学の状況はどうなっているでしょうか。安倍政権が海外で戦争をする国づくりを進めようとしている中では、自衛隊への進路指導を慎重に行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
アジア諸国との和解と友好のためには、次の五つの点が必要です。一つ、村山談話、河野談話の核心的内容である植民地支配と侵略への痛切な反省と心からのおわびを引き継ぐこと。二つ、日本軍従軍慰安婦問題について、被害者への謝罪と賠償など人間としての尊厳が回復される解決に踏み出すこと。三つ、少なくとも、首相や閣僚による靖国参拝は行わないことを日本の政治のルールとして確立すること。四つ、民族差別をあおるヘイトスピーチを根絶する断固たる立場に立つこと。五つ、村山談話、河野談話で政府が表明してきた過去の誤りへの反省の立場を、学校の教科書に、誠実かつ真剣に反映させる努力を尽くすことが必要と考えますが、知事の見解を求めます。
壇上からの質問は以上でありますが、答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災者への健康支援等の取り組みについてでありますが、被災者の皆さんは、震災後の厳しい生活環境の長期化による心身の健康状態の悪化が懸念されております。県では、心のケアや要支援者への訪問などにより、健康支援を行っています。
また、被災地においては、いまだに応急仮設住宅での生活を余儀なくされている方々がおられる一方で、災害公営住宅への転居等により生活環境が著しく変化する方々もおられることから、民生委員や生活支援相談員等による見守り活動など、きめ細かな支援を行っております。
今後におきましても、市町村や関係機関等と連携を図りながら、被災者一人一人に寄り添った包括的な支援を継続してまいります。
次に、医療費、介護保険利用料等の免除措置についてでありますが、県では、多くの被災者の皆さんがいまだ応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされ、健康面や経済面に不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要があることから、県内統一した免除措置を講じるための財政支援を平成27年12月末まで継続することといたしました。平成28年1月以降の対応につきましては、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を勘案し、改めて検討したいと考えております。
次に、応急仮設住宅団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立についてでありますが、支援員については、現在、応急仮設住宅団地では復興支援員制度や緊急雇用創出事業などさまざまな財源を活用し配置しているところであり、また、災害公営住宅についても、生活支援相談員による見守り支援の対象としているところであります。
今後においても、応急仮設住宅での生活の長期化や災害公営住宅への移転の本格化に対応するため、平成27年度に復興庁が創設する被災者健康・生活支援総合交付金を活用するなど、応急仮設住宅団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立に取り組んでまいります。
また、災害公営住宅の集会所の机や椅子などの備品については、復興交付金を活用して配備できないか、現在、国と協議をしているところでありまして、災害公営住宅を初め、地域におけるコミュニティが維持されるよう今後も適切に対応してまいります。
次に、住宅再建の支援策についてでありますが、県では、これまで国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望してきたところでありますが、国では、個人の資産形成につながるさらなる支援については慎重な姿勢をとっているところであります。
このため、県では、要望の実現に向けて、限られた財源の中で100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を市町村と共同で実施してきたところであります。加えて、県が国に要望し、増額交付された震災復興特別交付税215億円を全額、沿岸被災市町村に配分し、それぞれ各市町村の実情に応じた住宅再建支援策が講じられているところであります。
県としては、国に対して、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と、震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を引き続き強く要望してまいります。なお、厳しい財政状況の中で、県独自でのさらなる支援の拡充は極めて難しいものと考えております。
次に、県の医療費助成の拡充についてでありますが、現物給付化の対象は、県が実施している子供医療費助成のほか、重度心身障がい児、ひとり親家庭の各医療費助成事業を含めた未就学児及び妊産婦とし、実施時期は、県や市町村のシステム改修、受給者証の様式改正などの準備期間を考慮し、市町村等と協議の上、受給者証の更新時期に合わせて平成28年8月を目途に県内統一して実施したいと考えております。また、入院の小学校卒業までの対象拡大は、県のシステム改修や市町村が発行する受給者証の更新時期等を考慮し、平成27年8月からの実施を想定しています。
今回の現物給付化及び対象拡大に要する経費として、小学生の入院分の県費負担額及び県医療費助成システムの改修経費と合わせて、一般財源により約9、300万円を当初予算案に計上しています。
次に、市町村の医療費助成の拡充状況についてでありますが、昨年10月1日現在、子供の医療費助成の対象年齢を拡大しているのは28市町村で、その内訳は、高校卒業までが5町村、中学校卒業までが11市町、小学校卒業までが10市、うち1市が入院のみ、小学校3年生までが1市、小学校1年生までが1町となっています。また、来年度拡大する市町村は、現在、調査中ですが、現時点では7市町が4月から拡大予定と聞いています。
次に、今後の拡充予定についてでありますが、県としては、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、市町村と協議の上、今回、窓口負担の現物給付とあわせて、入院のみではありますが小学校卒業まで拡大することとしました。子供の医療費助成の対象をさらに拡大するためには多額の県費負担が見込まれるところであり、県単独政策において、県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから、現在の厳しい財政状況の中では助成対象をさらに拡大することは直ちには難しいと考えております。
次に、消費税の増税についてでありますが、昨年の県内経済は、復興需要や内陸部を中心に製造業の生産活動が活発化していることなどを背景として上向いてきたところですが、実質賃金については、円安に伴う物価上昇や消費税引き上げの影響により低下したところであります。
消費税の増税については、被災地の経済の再建や復興の推進に影響を及ぼすことも懸念されますことから、これまでも国に対しては慎重に判断するよう要望してきたところであります。今後におきましても、国に対しては、復興の進捗や被災地の経済状況を十分に見きわめ、適切に対応するよう求めてまいります。
次に、正規雇用の拡大の取り組み等についてでありますが、本県における平成25年の1人平均年間総労働時間は1、908時間と、全国平均の1、791時間より117時間長く、また、平成24年の正規従業者等の割合は62.4%と、5年前の平成19年と比較し4ポイント低下しているところであります。こうした状況から、賃金や労働条件の改善、正規雇用の拡大など、雇用の質の向上を図る必要があると考えます。
このため、平成27年度の経済・雇用対策の取り組み方針において、長期、安定的な雇用の創出、拡大と、正規雇用の拡大を掲げたところであります。この方針に基づいて、産業振興施策や雇用対策基金を活用した雇用の創出、拡大を図るとともに、今後とも、岩手労働局などと連携しながら、働き方改革の推進、雇用管理改善等の促進及び雇用の維持、確保等について関係団体に要請してまいります。
次に、トヨタ自動車東日本岩手工場における期間社員の正社員化についてでありますが、平成21年度からこれまで、おおむね毎年度10名から十数名の期間社員を正社員に登用していると聞いています。トヨタ自動車東日本には、企業訪問や各種会合など、機会を捉え期間社員の正社員化を要請してきているところであり、今後とも、安定的な雇用を確保するため、さまざまな機会を捉えて要請してまいります。
次に、農協改革についてでありますが、本来、農協は、組合員の相互扶助の精神に基づく自律、自助の独立した組織であり、組合員の意思と責任により、自主的、自律的に、みずからの手で組織、事業改革を進めていくことが基本と考えています。今後、国会への関連法案の提出が予定されていますが、これまで農協が果たしてきた役割や、当事者である農業者、関係団体など現場の意見、地域の実情をしっかり踏まえ、改革の目的としている農業者の所得向上と農業・農村の活性化につながるように進めてほしいと考えております。
次に、米価下落への支援策についてでありますが、今般の米価下落は全国的な米の需給の緩和によるものでありますことから、国による対策が必要と考え、北海道東北地方知事会等を通じて過剰米の市場からの隔離などを要望してきたところであり、国では、米価下落対策として、平成26年度補正予算で資材費の低減等を支援する総額200億円の稲作農業体質強化緊急対策事業を創設したところであります。
一方、米の需給は引き続き緩和しており、県では、これまで以上に高品質、良食味米の生産や販売対策の取り組みを強化するため、いわての美味しいお米生産・販売戦略に基づいて、新たに設置する県産米戦略室を中心に、国の事業も活用しながら直播栽培の導入拡大による生産コスト低減に向けた取り組みや県産米の消費拡大の取り組みを支援してまいります。
次に、集団的自衛権についてでありますが、政府においては、昨年7月の集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定を踏まえ、今国会で、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする安全保障法制の整備を進める方針を表明し、関連法案を提出すべく準備を始めたと認識しております。安全保障法制への整備については、集団的自衛権の行使の是非も含めさまざまな議論がなされ、今なお慎重論や反対論が多いことから、政府において、国民的な議論を十分に尽くし、国民が納得の上で行われることが必要だと受けとめております。
次に、アジア諸国との和解と友好に向けた見解についてでありますが、アジア諸国との関係は我が国にとって大変重要であり、岩手県としてもアジア諸国との地域間交流を発展させており、これが国同士の友好にも資すればと思っております。政府の施策や姿勢についてはさまざまな考え方ややり方があろうとは思いますが、地方自治体による地域間交流発展への努力が実を結ぶよう進めていっていただきたいと考えております。
また、ヘイトスピーチについてでありますが、本県においては、国籍や民族等の違いにかかわらず、全ての県民がお互いの文化的背景や考え方を理解し、地域社会を支える主体として、ともに生きる多文化共生社会の実現を目指した岩手県多文化共生推進プランを推進しており、これと相反するものでありますので、あってはならないと考えます。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 災害公営住宅の整備状況についてでありますが、今年度末で1、574戸、進捗率で27%、来年度末で3、695戸、62%、平成28年度末で5、605戸、94%が完成する予定であり、平成30年度末までに全5、933戸の整備を終える予定となっております。
次に、被災者のニーズに応じた災害公営住宅の整備についてでありますが、県におきましても、市町村が行った最新の意向調査等を踏まえ、適宜、整備計画の見直しを行い、大槌町の柾内団地においては、鉄筋コンクリート造の集合住宅から木造長屋建てへの変更を行ったほか、漁業従事者用のかっぱ置き場の設置、ペット飼育に対応した災害公営住宅の整備、支援員等が活用できる事務室の設置などに取り組んできているところです。今後とも、被災者のニーズにできるだけ対応しながら、災害公営住宅の整備を進めてまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、防災集団移転事業による土地売却代金の介護保険料、利用料への影響についてでありますが、県としても、防災集団移転事業による土地売却代金には特別控除が適用されず、介護保険料や施設入所者の食費、居住費等の負担が増加する事例が生じていることは承知しており、市町村に対し、土地の買い上げの際には、事前にその影響を詳しく説明するよう働きかけてきました。
県では、介護保険料については、市町村みずからの判断で減免を行うことが可能であることを情報提供しており、また、現行制度の中では市町村が対応できない食費、居住費への補足給付については、国に対し、土地譲渡代金等を含まない所得に応じた段階を適用し、給付を可能とする特例的な取り扱いを要望しております。国からは、制度的な対応は困難との回答があったところですが、県としては、国に対して被災者を取り巻く厳しい実情を伝えるとともに、要介護者の負担軽減を図るための特例的な取り扱いの必要性について、引き続き要望していきます。
次に、国保税についてでありますが、国保税の負担率は年々増加の傾向にありますが、その要因は、医療の高度化や高齢化の進展等により保険給付費が増加している一方で、震災の影響や厳しい経済状況により県民の収入が伸びない状況にあるためと認識しております。
岩手、宮城、福島の被災3県に対する国の特別調整交付金による追加財政支援について、平成25年度の本県分の実績は約10億4、000万円となっています。また、低所得者が多い保険者の財政基盤をさらに強化するため、来年度から全国で約1、700億円の財政支援が拡充される予定です。国保財政は、市町村みずからが責任を持って運営するものであることから、交付金の使途や国保税額についても市町村の判断で決定するものであり、県としては、市町村からの求めに応じて助言等を行うなどにより国保財政の適正な運営を支援していきます。
県内市町村における資格証明書及び短期被保険者証の交付対象世帯は、平成27年2月1日現在、資格証明書が220世帯、短期被保険者証が8、353世帯、また、差し押さえは、平成25年度実績で3、820件、約13億円となっております。県としては、市町村に対し、滞納者個々の事情に十分配慮し、きめ細やかな対応をするよう要請しております。
次に、介護保険制度と介護報酬についてでありますが、新しい総合事業について、多くの市町村が平成27年度に移行できない要因としてサービスの担い手確保などがあるとしており、平成29年4月までに一定の時間をかけて実施する意向です。
来年度から移行予定の二つの町のうち、4月に移行する住田町では、既存の介護事業所に加え、シルバー人材センター等の活用により担い手を確保し事業を推進する予定であり、来年1月移行予定の西和賀町では、現在、検討中と伺っております。
介護報酬改定により、県内の特別養護老人ホーム整備が取りやめられるという動きは現在のところはない状況であり、介護人材については、介護職員処遇改善加算が拡充され、賃金改善が図られるとされていますが、今後、動向を注視する必要があると考えております。
また、介護人材不足については、市町村の介護サービス見込み量をもとに県が需給推計を行った結果、次期計画最終年度となる平成29年度の需要数は2万7、667人、供給数が2万3、943人と推計され、県内全域で3、724人、うち沿岸被災地では823人の介護人材不足が見込まれております。
介護報酬改定による県内の介護施設への影響について、現時点では把握していませんが、全国老人福祉施設協議会では、1施設当たり全国平均で1、500万円程度の減収になると試算しております。今後、介護施設、事業者団体等から介護報酬改定による影響の把握に努め、現場の声を聞きながら国に対して必要な要望を行っていきます。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、グループ補助金の決定状況についてでありますが、平成26年度は3回の公募を行い、10グループ25事業者に対し8億円を交付決定し、平成23年度以降、これまでに121グループ1、269者に対し790億円を交付決定しているところです。また、沿岸地区の商工会議所、商工会の調査によりますと、平成27年2月1日現在、被災した会員事業所の74%が事業再開しております。
小規模事業者につきましては、新たにグループを組成することが難しい場合でも、既に計画認定したグループに加わることにより補助金の利用が可能となっており、引き続き商工団体と連携して、小規模事業者がグループ補助金を活用できるよう支援してまいります。
次に、仮設店舗、商店街の本設移行等の希望状況についてでありますが、県が昨年8月に実施した被災事業所復興状況調査によりますと、仮設店舗や仮設事務所で再開した事業所のうち、約7割が本設での再開を予定していると回答しております。また、仮設店舗での営業継続の希望状況につきましては、平成25年10月に岩手県産業復興相談センターが実施した調査によりますと、約8割の事業者が仮設店舗での営業継続を希望していると回答しております。
このようなことから、県といたしましては、市町村や商工団体と連携しながら、本設店舗への移行を希望する事業者に対しては、グループ補助金や津波立地補助金などの補助制度の活用を促すなどの支援をするとともに、仮設商店街に対しては、いわて希望ファンドや国の助成金などの活用を促すなどにより、売り上げ向上やにぎわいの創出を支援してまいります。
次に、沿岸被災地における地場産業の人材の確保についてでありますが、県といたしましては、これまで、関係機関と連携した企業見学会や面接会の開催など企業と求職者とのマッチングの促進や、DVDを活用し水産加工現場のイメージアップを図るとともに、企業向けセミナーの開催により職場定着を支援してきたところです。また、本年度は、水産加工業への就業意欲を高めるため、業界団体に対し賃金や労働条件等の改善を要請するとともに、U・Iターンを呼びかけるメッセージムービーの作成等により人材確保に取り組んでいるところです。
こうした取り組みに加え、平成27年度の当初予算案においては、県内中小企業が大手就職情報サイトを活用するための経費への補助や、ジョブカフェいわてへのU・Iターン就職相談窓口の設置経費、さらに、水産加工業者が新たに人材を確保するために必要な宿舎整備等への補助を盛り込むなど、人材確保の取り組みを強化することとしております。
次に、中小企業振興条例についてでありますが、中小企業振興により商工業の振興を図り、持続可能で活力ある地域経済の振興を目指すという観点から、岩手県商工業振興条例(仮称)として骨子案を取りまとめたところでありますが、その後、県議会及びパブリックコメント等での御意見を踏まえて、中小企業の振興がより明確となるよう中小企業振興条例としたものであります。
この条例に基づく取り組みの基本方向といたしましては、中小企業者の自主的な努力が促進されるよう、人材の確保、育成を初め、地域資源を活用した新商品の開発や生産、販路の開拓、雇用環境の整備等への支援を行うこととしております。
また、条例制定後に、長期的目標や具体的な施策等について、中小企業者や県商工観光審議会等の御意見を伺いながら基本計画を策定するとともに、毎年度、施策の実施状況を公表することとしており、従来にも増して総合的、計画的に中小企業振興に取り組んでまいりたいと考えております。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) JR山田線の復旧見通しについてでありますが、去る2月6日に県、沿線市町、三陸鉄道及びJR東日本の4者で基本合意したことを受け、JR東日本では、3月7日に復旧工事に着工することとなったところであります。県といたしましては、一日も早い全線の復旧、運行再開を目指し、引き続きJR東日本に対し働きかけていくこととしております。
具体的な復旧スケジュール等につきましては、沿線市町や三陸鉄道の意向が重要であることから、現在、沿線市町の復興まちづくり事業の状況等も踏まえながら、関係者間で協議、調整を行っているところであります。
次に、被災者の新たな負担についてでありますが、沿線市町は、JR山田線の運営が三陸鉄道に移行することに伴い運賃差額が生じることに懸念を示していたことから、今回のJR東日本との協議の中で、一定の配慮を行うよう強く要請してきたところであります。鋭意交渉を進めた結果、JR東日本では、赤字想定額の補填及び災害時、施設設備更新時の費用負担のほか、沿線市町が行う運賃差額の補填を総合的に勘案した上で移管協力金の中に反映させたものであります。
なお、具体の運賃差額の補填方法につきましては、利用者の負担増を回避する観点に立って、今後、県、関係市町及び三陸鉄道において協働して、検討していくこととしております。
次に、JR大船渡線に係る県の取り組みとJR東日本、政府の対応についてであります。
JR大船渡線につきましては、これまで、被災前のルートで復旧させることを前提に、地元市、県、JR東日本との間で箇所ごとに復興事業と鉄道との整合性について調整を進めてきたところであります。ルート変更は、その区間に新線を引くことに等しいと受けとめておりまして、用地取得等に大幅な時間がかかること、また、JR東日本がかかり増し分の費用負担を地元に求めるなど、復興やまちづくりに与える影響は非常に大きいと認識しております。
そのため、県としては、地元市の意向も踏まえながら、JR東日本に対して、現行ルートでは乗客の安全の確保が困難とする理由について復興調整会議の場で説明するよう働きかけてきたところであります。しかし、いまだJR東日本からの説明を受けていないところであることから、引き続き、明確な説明を行うよう求めてまいりたいと考えております。
国に対しては、折に触れJR東日本に要請している内容等について説明を行い、復興調整会議の開催を要請しているところであり、同様に早期開催を求めてまいりたいと考えております。
〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) まず、被災した県立病院の再建整備についてでありますが、医師については、現在、県立大槌病院は常勤医師4名体制、県立山田病院は常勤医師3名体制となっており、新病院における入院再開に向けて、引き続き関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘に努めるとともに、新たに導入した医師の任期付職員採用制度を活用し、必要な医師の確保に努めてまいります。
看護師については、岩手県立病院等の経営計画に基づき、再建後の入院機能の再開等に伴い必要となる職員数を確保することとしており、県立大槌病院分として、本年度の職員採用選考試験において21名を確保したところです。県立山田病院分については、来年度の職員採用選考試験により必要となる人員を確保していく考えであり、具体的な配置については、県立病院全体の職員の配置がえの中で対応していきます。また、県立高田病院の建設については、本年度中に病院設計プロポーザルを実施し、平成27年度において設計委託を行うこととしています。引き続き、地元陸前高田市とも密接に連携を図りながら、予定する平成29年度の開院を目指して取り組んでまいります。
次に、経営計画における職員配置計画に対する本年度の増員実績についてでありますが、医師については、勤務医は14名、初期研修医は12名の増員を計画したところ、初期研修医及び後期研修医の採用が計画数を下回ったことや、過去に招聘した医師の退職などにより、平成26年度末において、勤務医は19名、初期研修医は11名それぞれ計画数を下回る見込みであり、大変厳しい状況となっています。
一方、看護職員については、県立大東病院の入院再開や退院調整に携わる看護師の専従配置など36名の増員計画に対し、年度当初においては、国家試験不合格による採用辞退などの欠員が生じたものの、特別募集の実施により、最終的には計画を2名上回る38名を増員したところです。
次に、看護師の月9回夜勤と年次休暇の取得状況についてでありますが、平成26年度の月9回夜勤は、第3四半期までの実績で延べ350人となっており、前年同期比で164人減少しています。年次休暇の取得状況は、平成26年は7.8日となっており、平成25年と比較して0.3日減少しています。
次に、看護師の増員等に係る来年度の見通しについてでありますが、先ほど申し上げた被災病院の再建に係る増員のほか、7対1入院基本料に係る施設基準の維持に必要な人員として11名を追加配置するとともに、産前産後休暇や育児休業等の取得者に係る代替職員についても可能な限り正規職員で補充することとしており、こうした取り組みを通じて、勤務環境の改善を図ってまいります。
〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 学力についてでありますが、学力調査はあくまで明らかになった課題をもとに指導改善を行い、児童生徒の学力保障につなげるために実施するものでありますので、いわゆる調査直前のテスト対策を主眼とした取り組みは厳に慎むように指導しているところであります。このことについては、議員から昨年も御指摘いただいたことを受けまして、年度当初の校長研修会等において改めて指導するとともに、昨年12月には、各市町村教育委員会を通じて各学校に指導したところであります。
また、平成27年度から中学1年生の4月に実施する新入生学習状況調査は、これまで10月に実施していた調査を4月に実施するものであり、中学校入学当初の生徒一人一人の学習状況を把握するとともに、小学校での学習や生活習慣に関するアンケート調査をもとに、小中学校における指導の一層の連携を図り、児童生徒の学力保障に役立てるものであります。
調査結果の取り扱いにつきましては、他の調査と同様に、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮してまいります。
国連子どもの権利委員会の勧告につきましては、子ども権利条約にある生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利は、子供だけでなく、その親や学校教育現場、社会全体で実現、確保されるものと認識しております。
教育委員会といたしましては、国の見解やこの条約の理念を尊重し、例えば、今議会に提案されているいわての子どもを健やかに育む条例案について異存がない旨を申し上げましたし、個々のいじめや不登校問題等についても十分協議し、対応してきたところです。
また、教育委員会会議では、過去に議員から勧告に係る質問があったことも報告しておりますし、今後とも、しっかりと情報共有しながら勉強し、取り組んでまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) いじめの問題についてでございますけれども、まず、この第三者委員会は、生徒の自殺という重大事案の発生、当該生徒の保護者等からの要請を踏まえまして、いじめ防止対策推進法に基づき、医療の専門家や弁護士など有識者5人で構成されているものでございます。昨年9月に設置以来、これまで15回の委員会が開催されていると承知いたしております。
この間、第三者委員会におきましては、生徒アンケートや保護者など学校関係者からの意見聴取も行いながら、専門的知見からの調査や協議が進められていると聞いております。
県教育委員会といたしましては、事の重大性に鑑み、事案発生以来これまで、市教育委員会からの求めに応じて、スクールカウンセラーの緊急派遣や情報提供などを含め、必要な助言を行ってきているところでありますが、現在、第三者委員会での調査が進んできているところでありますので、まずは、この調査の動向を注視してまいります。
次に、各学校におけるいじめ防止等についてでありますが、法施行以来これまで、各学校に対して、昨年7月に策定した本県のいじめ防止等のための基本的な方針などを参考に、学校いじめ防止基本方針の策定を指導してきたところでありますが、ほぼ全ての公立学校において策定が完了しており、現在は、各学校においてこの方針に基づく取り組みが行われているところでございます。
なお、いじめの実態につきましては、平成25年度問題行動等調査によりますと、小学校で467件、中学校で241件、高等学校で120件、特別支援学校で9件、合わせて837件と把握いたしております。
県教育委員会といたしましては、さまざまな取り組みをした中においても、児童生徒が集団生活を営む中で、いじめやトラブルは常に起こり得るとの認識を持ちながら、市町村教育委員会や関係機関とも十分に連携しつつ、不断に未然防止の推進に取り組むとともに、事案が発生した場合においては、適切かつ丁寧な対応を図ってまいる考えでございます。
次に、高校再編等についてでありますが、それぞれの高校が地域と結びつき、支えられながら、地域に貢献することは大事な視点と認識しており、地域との連携、協力のあり方については、今後におきましても、それぞれの地域、市町村等からの御意見も伺いながら、その具体化を進めてまいりたいというように考えております。
まず、高校教育の保障につきましては、県教育委員会においては、生徒たちが安心して高校教育を受けられるよう、経済的理由で修学が困難な生徒に対して、岩手育英奨学会の奨学金制度などを通じて支援に努めてきており、また、本年度からは、授業料以外の教育費の負担を軽減するため、低所得者世帯の生徒に対して、奨学のための給付金の支給を行ってきているところであり、今後も引き続き支援してまいりたいというように考えております。
基本的方向改訂案における望ましい学校規模については、生徒自身の進路目標をより一層実現できる体制として、一定の学校規模が必要であること等を考慮し、検討委員会からの報告等を踏まえ、原則1学年4から6学級としているものでございます。
また、この学校規模につきましては、1学年3学級以下の小規模校であっても、地域の意見を丁寧に伺いながら、そのあり方を慎重に検討する考えでございます。
一方、今後、入学生の減少が一層進行し、極端に生徒数が減少した場合には統廃合を検討せざるを得ない状況等も想定されますが、小規模校の地域における重要性については、さまざまな意見をいただいているところであり、人口減少社会への対応も見据え、小規模校の教育の質を維持するため、教員配置のあり方やICTの活用など多面的な対応を検討してまいります。
高校における特別な支援が必要な生徒への対応につきましては、こうした生徒への個別の支援を行う特別支援教育支援員の配置のほか、特別支援学校との人事交流による専門教員の配置、学校個々の実情に応じた柔軟な定数配置など、適切な教職員の配置に努めているところです。
また、特別支援学校の整備につきましては、現在、地元自治体や教育関係者などとの協議をしながら具体的な検討を進めているところであり、今後も特別支援教育環境の充実に努めてまいります。
次に、小中学校の統廃合についてでありますが、まず、今般、文部科学省が策定した公立小学校・中学校の適正規模・適正配置に関する手引において、検討の対象としている学校数については、少なくとも1学年に必要とされる学級数は、小学校で1学級以上、中学校で2学級以上とされており、こうした学級数に達していない県内の学校は、小学校で101校、29.6%、中学校で78校、39.1%となっております。また、1学年に望ましいとされる学級数につきましては、小学校で2学級以上、中学校で3学級以上とされておりますが、県内の小学校では264校、76.5%、中学校では114校、67.5%が達していないと把握いたしております。
統廃合における基本的な考え方についてでありますが、学校配置を具体的に検討する場合においては、通学距離や通学時間も含め、児童生徒の教育条件をよりよくすることを基本とした上で、学校が地域のコミュニティの核としての性格を有する場合も多いことから、県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会に対して魅力ある学校づくりの視点を踏まえながら、保護者や地域の十分な理解と協力のもとに、丁寧に進められるよう助言しているところでございます。
次に、自衛隊、防衛大学校等への入隊、進学の状況などについてでありますが、高校生の入隊、進学の状況につきましては、平成23年度は自衛隊が81名、防衛大学校が2名、防衛医科大学校が2名、平成24年度は自衛隊が93名、防衛大学校が2名、平成25年度は自衛隊が92名、防衛大学校が6名となっております。
また、高校教育におきましては、発達段階に応じた全ての教育活動を通じて、みずからの人生観や世界観、価値観を形成し、主体性を持って生きる意欲を高める教育を推進しております。
進路指導に当たりましては、こうした点をも十分に踏まえつつ、職業選択の自由の中で特定の分野に偏った誘導をすることなく、あくまでも生徒本人の意欲や能力、関心とともに、保護者の思いなどを受けとめながら対応しているところでございます。今後とも丁寧に対応してまいります。
〔公安委員会委員長高橋真裕君登壇〕
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 初めに、県警察の不祥事の実態と対応についてであります。
平成22年から平成26年までの間における県警察の懲戒処分者数は、合計23名となっております。処分種別では、5年間で、免職が3名、停職が6名、減給が7名、戒告が7名となっております。
具体的対応についてですが、公安委員会といたしましては、特に平成25年において懲戒処分者数が10名を数え危機的状況となったことから、その防止のため最大限の対策に努めてまいりました。
公安委員会では、都度、事案の背景、経緯及び要因等について報告を受け、発生要因等を踏まえながら議論を行い、県警察に対しては、非違事案の発生要因を踏まえた再発防止対策の徹底について機会あるごとに指示してきているところであり、特に職員の心に響く教養、指導の実施について助言するなどの対応をしてまいりました。
公安委員会といたしましては、非違事案発生の背景、要因は、法令遵守の模範となるべき立場の警察職員としての職務倫理意識、自覚の欠如、幹部による業務管理、身上監督、指導が十分ではなかったことにあると考えており、それらを踏まえた具体的な防止対策として、各警察署総合監察において、警察署長に対する各種取り組みの確認と督励、幹部との非違事案防止座談会陪席による助言、指導、公安委員が直接警察署や警察学校等に出向いての職務倫理講話の実施などを行い、これらを継続しながら再発防止策に取り組んでいるところであります。
その結果、そもそも非違事案はあってはならないものでありますが、平成26年中の懲戒処分者数は2名と、前年の10名と比べ大幅に減少し、一定の成果があったものと考えております。引き続き緊張感を持ちながら、非違事案の絶無を図るべく、県警察を管理してまいりたいと考えております。
次に、県警察職員の超過勤務についてであります。
平成25年度における県警察職員1人当たりの超過勤務の状況は、月平均超過勤務時間数が約22.2時間、月平均支給時間数が約17.6時間、平均超過勤務時間数に占める平均支給時間数の割合は約79%であり、年々改善が図られてきていると県警察から報告を受けております。
公安委員会といたしましては、超過勤務を縮減することが公務能率の向上、職員の健康の保持などの観点からも重要であると認識しておりますことから、引き続き、県警察から超過勤務縮減の取り組み状況の報告を受けつつ、警察職員に適正な処遇が図られるよう督励をしてまいりたいと考えております。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 初めに、被災地の状況と住民の安全確保についてであります。
先日申し上げましたとおり、まちづくりや生活再建自体がいまだ途上であることに照らし、県警察といたしましては、被災地の安心・安全の確保を図り、復旧、復興に寄与することが極めて重要であると考えております。
ここで、被災地の犯罪そして交通事故の発生状況につきましてかいつまんで申し上げます。
被災地を管轄いたします大船渡、釜石、宮古、岩泉、久慈の5警察署管内における昨年中の刑法犯認知件数は764件、前年比マイナス134件、率にして14.9%減少しております。これは、震災前の平成22年と比較しましても、マイナス268件、26%減少しております。
次に、昨年中の交通事故発生件数、同一の5警察署管内でありますが、合計で355件、前年比マイナス80件、率にして18.4%減少しております。ただし、死者数は19人でありまして、前年に比べて6人増加となっております。また、同様に震災前の平成22年と比較いたしますと、発生件数はマイナス183件、34%の減少でありますが、死者数は4人の増加となっております。
次に、主たる今後の課題とそれへの取り組みについてであります。
1点目は、やはり震災による行方不明者の捜索活動の継続と犠牲者の身元確認であります。関係機関と連携を図りながら、節目節目の捜索を継続してまいります。それとともに、DNA鑑定、似顔絵、御遺体の特徴、所持品等の情報公開を進め、一日も早く御家族に御遺体をお返しできるよう身元確認に努めております。
2点目は、被災地の交通安全対策についてであります。
先ほど申し上げましたとおり、被災地におけます交通事故死者数は残念ながら増加しております。したがいまして、交通機動隊の集中投入など街頭活動を強化いたします。それとともに、死者の中でも高齢者が約7割を占めている実態を踏まえまして、関係機関、団体と連携しつつ、高齢者宅への家庭訪問等の対策を推進してまいります。
また、被災地におきましては、御承知のとおり、土地のかさ上げ、区画整理事業のほか、復興道路の整備等、新たな交通環境が構築されておりますことから、これに対応いたします交通安全施設の整備なども計画的に実施して、交通事故防止に努めてまいります。
このほか、引き続き、応急仮設住宅への巡回、そして刑法犯が減少傾向にあるとはいえ犯罪抑止対策に取り組むほか、復旧、復興事業に介入をもくろむ暴力団の排除対策、警察施設の早期復旧による治安基盤の強化などに努めてまいります。
〇37番(斉藤信君) まず、最初に知事に、私は阪神・淡路大震災の教訓ということで、1、097人に及ぶ孤独死を、岩手では絶対繰り返してはならないということを指摘しました。実は、災害公営住宅に入ってからの孤独死というのが800人以上を占めるんです。毎年40人から四十数人、阪神では今でも孤独死が続いています。それで、仮設団地の場合は、これから大規模に移動して、取り残されるという方々が今まで以上に大変厳しい状況に置かれます。だから、数が減るからということで支援員の体制を絶対弱めてはならない。
もう一つは、新しい災害公営住宅に生活支援相談員が巡回するのは、それはいいのです。それだけでは、きずなをつくれないのです。私は一定規模の災害公営住宅には支援員を配置して、いつでもそこに被災者が行けるようにしないと、きずなというのは簡単にできないのですよ。
阪神・淡路大震災の最大の教訓ということで、災害公営住宅でコミュニティが崩壊したということが言われているのです。いわば、震災でコミュニティが崩壊し、避難場所から仮設でまたコミュニティが崩壊し、仮設から公営住宅でまたコミュニティが崩壊する、これが被災者の現状なのです。そして、最も困難なのは、災害公営住宅でのきずななのです。コミュニティの確立が最も困難です。復興というのは箱物ではできないんです。人と人の関係なのです。だから、ぜひ災害公営住宅にきちんと支援員を配置して、机、椅子はさきの政府交渉で、復興交付金の対象になると聞いてきました。そしてカラオケセットも仮設団地はみんなあります。仮設にあるものはみんな配備すると。あらゆることをして、私は災害公営住宅の新たなきずな、コミュニティの確立に取り組むべきだと。阪神の場合、確かに共用スペースでつくったのです。ところが、誰が電気代払うのだ、誰が維持管理するのだと。結局は使われなかったというのが、これまた阪神の教訓ですから。そのことをぜひ―いろんな事業がありますので、市町村はそこまでまだ目が行き届かない、思いが行き渡らないということもあります。しかし、ことし、来年が災害公営住宅建設のピークです。ことしが勝負なんです。そういう手だてをぜひとっていただきたい。
それと、被災者の医療費、介護保険利用料の免除措置の継続ですが、恐らく夏明けにかけて現状を検討するということになりますが、これまた私はさきの2月13日の政府交渉で、県、市町村が免除措置をやった場合には、国は10分の8の補助をやりますと明確な回答をいただいてきました。これは制度としてあるのだと、期限はないのだと、こういうことですから。実際にこの1年かかっても、災害公営住宅は2、121戸、土地区画整理や高台移転で整備される区画は2、316戸です。いわば4、437戸が整備される計画だけれども、これはマックスです。ここまで行かないと思うけれども、これだけが整備されても応急仮設住宅は半分以上残りますよ。私はそういう意味で、被災者の状況に変化は起きるけれども、本当に生活苦が深刻になっている中で、私は早く被災者の医療費、介護保険利用料の免除措置というのは継続を検討すべきだと。12月末というのは年度途中なのです。これでは不安は解消されないのです。そのことをぜひ2番目にお聞きをしたい。
3番目に、これも知事ですが、住宅再建のさらなる支援ですけれども、坪70万円、大手ハウスメーカーの場合、30坪の家で660万円負担増なのです。住宅金融支援機構がありますけれども、自力再建の費用は平均して2、829万円、2年間で380万円ふえたと。借入額は1、533万円から1、866万円。333万円借入額もふえていると。建築費も借入額も300万円、400万円近くふえているんです。県の支援、市町村のさらなる支援というのは、私、貴重で評価しています。しかし、それでは自力再建が果たせないというのが今の被災者の状況です。実際に大槌町では、防集の希望が減って、災害公営住宅が計画の110%になったという話もあります。全体的にそういう状況をどう把握しているのか。
災害公営住宅の建設がことしピークです。今、支援しなかったら自力再建を諦めるということになって、災害公営住宅にさらに移動することになりはしないか。財源の問題があるので、大変私は困難な課題だと思うけれども、緊急性、必要性、私はどこかで判断して支援をしなければだめなのではないか。
4番目、これは県土整備部長にお聞きしましょう。
被災者の実態と希望に対応した災害公営住宅の建設を私は質問いたしました。県営住宅の空き室が多いのです。その具体的理由は3DK、これは家賃が高くて入れない人が多いのです。そして、木造長屋に見直したということもありましたが、被災者のニーズというのは絶えず変化しています。私はそういう間取りにしても形式にしても、絶えず被災者のニーズに合った災害公営住宅の建設に取り組むべきではないか。
大槌町では、支え合いハウスをつくるということも私は指摘しました。いわば介護施設に入るまでにはいかないけれども、自分たちだけでは不安だという80代、90代の高齢者がいます。私は釜石で聞いてきたら、90歳になる高齢者世帯が、仮設から命がけで車を運転して買い物に行っているのです。だから、そういう高齢者が入れるような住宅が必要だと。災害公営住宅にそういうメニューもあるのですから、ぜひそういうニーズもしっかり受けとめる必要があるのではないか。
知事に改めて聞きますが、子供の医療費拡充、10年ぶりの拡充でありました。ことしはシステム更新費に5、660万円かかっているのです。これは来年からなくなるのです。私はこのシステム更新費にさらにプラスして、小学校卒業までの通院まではぜひ拡充をする必要があるのではないか。そのための必要な財源も示していただきたい。やっぱりそれを検討していくということでないと、人口減少、少子化対策に私は対応できないと思いますよ。
公安委員長にお聞きいたします。
不祥事対策に取り組まれているという答弁でした。私は、平成26年度は本当に減ったのなら評価したい。しかし、不祥事隠しがあるのではないか。
ことしの1月末に県警本部の警察官が簗川大橋から飛びおり自殺を図った事件がありました。数日後に死亡しました。公安委員長は、この報告は受けているでしょうか。私に対する指摘では、裏金帳簿の作成の強要に異議を唱えて、逆にいじめられた結果だと。32歳の警察官ですよ。若い警察官がみずから命を絶つなんてことは簡単なことではないのですよ。この報告は受けましたか。受けていたとしたら、公安委員会としてどう検討、対応したか示していただきたい。
〇知事(達増拓也君) まず、仮設団地や災害公営住宅におけるコミュニティの確立についてでありますけれども、私も、ことし、阪神・淡路大震災から20周年ということで神戸へ行きまして、井戸知事や神戸の皆さんに会い、やはり仮設、災害公営住宅段階でのコミュニティの確立が非常に重要だと。そういう生活復興の観点が非常に重要だということを改めて思い、改めてそういうことを伝えられたところであります。岩手県としても生活復興の視点に立った復興を進めていかなければならないと考えておりまして、御意見を参考にしながら、特に災害公営住宅段階でのコミュニティの確立に努めていきたいと思います。
次に、医療費、介護保険、利用料等の免除措置についてでありますけれども、まずは今、必要で措置された免除への財政支援を続けさせていただきたいということでございまして、これは県の医療費助成の拡充についても同様でございますけれども、平成27年8月、平成28年8月からのそれぞれの実施、対象拡大、現物給付化、まずは、今、決めたことについてしっかり取り組ませていただきたいと考えております。
住宅再建の支援策については、建設費の上昇、まさにそのとおりでございまして、こういった被災地の実態をきちんと国に伝えながら、単なる個人資産の増大に税金を投入するということではないんだということを国に対して理解を求めていきたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 被災者のニーズに沿った災害公営住宅の整備についてでありますが、入居の希望地区あるいは間取り等については、意向が変化していく中で、私どもといたしましては、最新の意向調査等を踏まえてできる限り整備戸数や間取りを見直ししていくとともに、入居要件等の緩和も含め、できる限り柔軟な対応に努めてまいります。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 先ほど、子供の医療費の関係で、小学校を卒業するまで拡大した場合の県費負担額の御質問がございましたが、粗い試算でございますけれども、約3億1、000万円と試算しております。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 職員の自殺事案があったとして県警本部から報告を受けております。
自殺事案については、個人のプライバシー及び死者の尊厳にかかわることでございますので、原則、非公表であると承知しております。よって、報告の内容につきましては答弁を差し控えさせていただきます。
〇37番(斉藤信君) 災害公営住宅への支援員の配置とコミュニティの確立、これは本当に来年度の大変重要な課題で、思い切って、応急仮設住宅に配置したように取り組まないと本当に大変なことになるし、実際に今、つくられた災害公営住宅の集会室は使われていません。人もいない、何もありません。これじゃだめなんです。そういう実態も踏まえて、さまざまな事業を活用できることも示されていますので、ぜひこの点については機敏に、徹底して復興の最優先の課題として私は取り組んでいただきたいと思います。
被災者の医療費、介護保険、利用料の免除措置は、恐らく今年度であれば9月定例会で知事が表明した、そういうところの判断になると思うけれども、国の制度は変わりませんから。国の制度で切られるということはないので、県、市町村が判断すれば被災者の医療費の免除措置は継続できるので。そして、私たちが被災者と懇談して一番切実に言われるのがこの医療費、介護保険、利用料の免除措置です。命綱だと。
陸前高田市の住宅再建推進協議会というのが最近、意向調査をやって、これが東海新報の2月15日に出ましたけれども、現在、抱えている不安、生活資金の不安が59.0%で第1位です。いわば仮設で避難している方々は、生活資金で一番困っているのですよ。そのときに、病院にだけは、介護だけは安心して使えるというのがまさに命綱になっている。私は、これが孤独死を防止する最大の防波堤にもなっていると思うので、ぜひそういう立場で、できるだけ早く、来年度ではない、年度途中の話ですから、そういう方向性をぜひ示していただきたいと思います。
住宅再建へのさらなる支援の問題については、なかなかここで知事がやりますと言うわけにはいかないかもしれませんけれども、しかし、緊急性、必要性、そして、本当にこの1年、2年が勝負だと。ここを逃せば本当に諦めざるを得ないという状況に、諦めつつあると言ってもいいですよ。
これはちょっと聞きますけれども、防集や区画整理などで希望者は減っていると思いますけれども、この1年間で希望者がどう減っているか把握しているでしょうか。
それと、子供の医療費については、先ほども指摘しましたシステム更新費、来年度分の予算の5、660万円はなくなるわけですから、私、これはなくなるので終わりというのではなく、やっぱり県がさらにそこに補充して、例えば小学校6年生までいかなかったら小学校3年生までとか、県の経費は次の年度は減りましたということでなく、この経費をさらに積み増しして何ぼでも拡充するということも考えるべきではないのか。これは実務担当の部長に聞きましょう。経費を減らすんじゃなくて、さらに拡充に検討していくことが必要ではないのか。
それと、公安委員長、報告は受けているということでした。私は、単なる自殺案件じゃないから聞いたのですよ。そういうことがあるのではないかと、そういうことで聞いたんですよ。そういう件数がたくさんあったら不祥事が減ったことにはならないのですよ。そういうことで聞きましたので、どういう報告を受けているのか、不祥事にかかわらないのかかかわるのか答えていただきたい。
せっかくですから、教育委員長に。
子どもの権利条約というのは、法制的には法律の上位にある憲法に次ぐものです。この3回にわたる勧告というのは極めて重要なものですよ。世界のグローバルスタンダードから見て、日本の教育は異常だと指摘しているのですよ。その典型が学力テスト体制なのですよ。教育委員長はさまざまな場でそうあってはならないと言ってきたけれども、現場は変わっていません。そして、中1で学力テストをやったら小学校の序列化になるんですよ。あなたの小学校は1番でした、5番でした、こういうふうになっているのが実態なのです。そういうことを、国連子どもの権利委員会の感覚を私はきちっと教育委員会として検討、協議して生かすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇復興局長(中村一郎君) 今、斉藤議員から何点かお話ございましたが、住宅再建の支援については、我々も非常にこれは喫緊の課題と認識しております。議員からお話があったように、災害公営住宅の整備も今、急ピッチで進んでおりますが、一方では面整備もかなり進んできておりますので、そうしますと被災者の方々が自力再建で御自宅を建設するというような段階に次、移りますので、そういったときに資金手当てがしっかりしていないと建てられないというお話は、そのとおりだと思っております。今、国で被災者生活再建支援金の制度があり、あと、県と市町村で100万円の補助をしております。別途、市町村に交付いたしました震災特別交付税を活用して、市町村では、金額の多寡はありますけれども、多いところでは300万円、そういった独自の支援制度もございます。ただ、それで十分かというお話はございますので、資材の値上がりがかなり進んでいるという状況もございますので、我々としては、引き続き国に対して早急な対応を求めていきたいと思います。
それから、防災集団移転事業の希望者が減っているのではないかということで、今、その資料は持ち合わせてはおりませんが、大槌町でも先般、防集のいわゆる高台移転の希望者が減って災害公営住宅に一部流れている、そういった報道もされております。今、我々から各市町村に、改めて被災者全員の住宅再建の最新の意向をまた1人ずつ全員しっかり把握してほしいとお願いをしてございます。そういったデータも踏まえながら、災害公営住宅の数であるとか、自力再建が一体どれぐらいになるのかといったようなところをしっかり押さえて、被災者の方々をしっかり支援してまいりたいと考えています。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 被災者の医療費等の一部負担金免除でございます。
知事からも答弁ありましたとおり、被災地の生活環境、それから被災者の受療動向等を勘案しながら改めて検討させていただきたいと思います。
それから、子供の医療費についてでございますけれども、これについても、平成27年8月の実施を想定しながら、今、拡充を進めておりますので、まずはこれに取り組ませていただきたいと考えております。
〇公安委員会委員長(高橋真裕君) 斉藤議員から県警が隠蔽しようとしているのではないかというようなニュアンスの話がございましたけれども、繰り返しになりますけれども、公安委員会として、事案の詳細、あるいは原因、動機等も含めて報告を受けております。不正行為等がないことも調査の上、確認していると承知しているところであります。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 斉藤議員がおっしゃるとおり、子どもの権利条約は上位の法であるということについて、十分に認識しております。先ほども答弁いたしましたけれども、いろいろなテストをやる場合、過度の競争に陥らないように、あるいは序列化にならないようにということは再三指導しているところでありますし、もし徹底していないとすれば、私の不徳とは言いませんけれども、指導の足りなさでもあると思います。
ただ、学校の取り組みとして、テストの結果をもとに、落ち込んでいるところとか弱いところがあれば、それを伸ばしてやりたいと思うのが教師の愛情でありますし、子供たちは力をつけたいと思い、親は力をつけてほしいと願うのは、これは当たり前じゃないかと思っています。
小学校から中学校に行く子供たちのいろいろなインタビューを今聞きますと、中学校に行って勉強を一生懸命やりたい―もちろん部活もやりたいんですけれども―と言っているわけです。子供たちは本来、勉強したいと思っていると。中学校に入って、教科もふえます。人もふえます。その中で頑張らなければならない。そして、その先には高等学校があります。高等学校に行きたい、これは親も子供もそうだと。その先に、さらには大学に行きたいという子もいるんじゃないかと。工藤議員の質問にもありましたけれども、医者になりたい子もいる。医学部に行きたい。こうなると全国との競争をしなければならないと。ですから、我々はやっぱり力をつけさせる。それがもし過度の競争に陥るというのであれば、今後ともきちんと指導してまいりたいと思います。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
午後4時34分 休 憩
出席議員(44名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 高 橋 昌 造 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
27  番 喜 多 正 敏 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時52分 再 開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(大宮惇幸君) 本日の会議時間は議事の都合により、あらかじめ延長いたします。
〇副議長(大宮惇幸君) 日程第1、一般質問を継続いたします。五日市王君。
〔26番五日市王君登壇〕(拍手)

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