平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一でございます。
東日本大震災津波発災から間もなく4年という月日が経過いたします。改めて、お亡くなりになられたお一人お一人の御冥福を心からお祈り申し上げます。
それでは、今回6回目の一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、県政の最大かつ最優先の課題である東日本大震災津波からの復旧、復興を中心に質問いたします。
東日本大震災津波からの復旧、復興に対する知事の所感について伺います。
発災から4年が経過しようとする中で、この間、災害廃棄物の処理や漁業施設の再建など復興が着実に進められる一方、今なお約3万人もの方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされており、長期化する仮設暮らしにより、体力的にも精神的にも限界を迎える中で、不安や不満を抱えながら日々を過ごしています。
また、県が行った第4回ウォッチャー調査においても、被災者の生活の回復度に対する実感や地域経済の回復度に対する実感について、回復したと答えた人の割合が前回9月の調査を下回るなど、復興への道のりはまだまだ遠いものがあります。さらには、社会資本の復旧・復興ロードマップにおいても、多くの事業においておくれが生じていることは明らかであります。
そういった中、今定例会に当たっての知事の演述では、復興のおくれについて全く言及がなく、まるで復興が順調に進んでいるかのような演述でありました。また、こうした内容の演述を県のホームページに掲載するなど、被災地の実態とかけ離れた情報発信は、ただただ大震災の風化を加速させるだけのものであり、被災地で暮らす者の一人として大変遺憾であります。
知事に伺います。
知事は、被災地の現状をどのように捉えているのか、復興がおくれているという認識はないのでしょうか。また、演述において、復興のおくれについて全く言及しなかった理由、みずからの演述が風化を加速させるという認識はあったのかどうかについても明確に説明をしていただきたいと思います。
本格復興期間の見直しについて伺います。
先月、県が公表した復旧・復興ロードマップでは、前回の昨年9月末時点と比べ、海岸保全施設など63カ所で完成時期が1年以上延期となり、道路事業の中には3年延伸されるものもあることが示されました。当たり前でありますが、事業のおくれもさることながら、おくれている現実を直視し、その原因を把握しなければ対策の打ちようがありません。ことしは、復興実施計画の中で第2期本格復興期間の2年目に当たります。本格復興期間は平成28年度までとされておりますが、このような復興の実態に合わせ、本格復興期間も延長すべきと思いますが、知事の考えを伺います。
国においては、用地確保の加速化のため、東日本大震災復興特別区域法の一部改正を行い、昨年5月1日に施行したほか、地元に戻りたいが、実家が被災し戻る家がない方々などのために応急仮設住宅の目的外使用を可能としたところであり、1月31日現在、155戸の入居があったところであります。被災した地元事業者向けの制度であるグループ補助金においては、資材、人件費等の高騰により事業者の本格再建におくれが生じないようグループ補助金の交付額の増額が決定し、また、店舗兼住宅を再建する場合の住宅ローン借り入れのための抵当権設定が可能となりました。また、復興交付金の効果促進事業を活用し、防集移転元地を生かした地域資源活用型復興の推進を可能とするなど、昨年1年間だけをとっても多くの法改正、運用見直しが行われたところでありますが、そういった国の姿勢をどのように考えているのか伺います。
以下、県の復興計画に沿って、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生について具体的に取り上げます。
まずは、安全の確保について4点伺います。
復興事業用地の確保状況について伺います。
先ほど申し上げたとおり、国において東日本大震災復興特別区域法の一部改正法が施行され、より用地を取得しやすい環境が整いました。県においては、この間、県事業での活用促進と市町村事業での活用のための支援に取り組んできたと思いますが、復旧、復興事業に係る用地の取得状況はどのようになっているのでしょうか。特に、持ち家の再建、災害公営住宅の建設、事業者の本格再建のための面整備事業の取得率は現段階でどのようになっているのでしょうか。
用地の取得率は市町村によって異なります。昨年末時点では、防災集団移転促進事業において山田町、大槌町、釜石市の取得率が70%台と他市町村に比べてもかなり低かったわけでありますが、現段階での取得率が、今なお低いのであれば、その原因と対策、用地取得完了の見通しについて伺います。
交通ネットワークについて伺います。
国においては、発災後、被災地域の復旧、復興等に資するため、社会資本整備交付金事業の復興枠を設け、市町村事業においても事業の対象と位置づけました。この復興枠により、平成23年度から平成26年度までに道路、河川、海岸、港湾など、県事業、市町村事業合わせて336カ所、金額にして国費ベースで417億円余が採択されたところであります。
道路の事業においては、その対象事業として、著しい被害を受けた地域において、復興まちづくりに必要となる被災地と内陸拠点、防災拠点、医療拠点、産業地域を結ぶ道路とされております。発災後、土坂峠は、盛岡市や後方支援拠点である遠野市から大槌町、山田町への自衛隊や警察等による救援活動、救援物資の輸送ルートとして、まさに被災地の生命線として重要な役割を担ってきたものでありますが、急勾配、急カーブが連続し、普通車でもすれ違いが困難であるなど、その活動は困難をきわめました。これからの沿岸部の産業振興を考える上でも欠かせない土坂峠のトンネル化は、まさに国土交通省が示す社会資本整備総合交付金事業の復興枠としての採択要件を満たしているものと思いますが、まずはその要件を満たしているかどうかについて伺います。また、要件を満たしているのであれば、国に対して申請をしていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。
三陸鉄道への移管が決定したJR山田線について伺います。
JR山田線の三陸鉄道による運営については、昨年12月26日にJR東日本と大筋合意をし、今月2月6日にJR東日本と覚書を締結、来月3月7日には宮古市にて復旧式典が開催される運びとなりました。発災からこの間、全く手つかずだった路線が復旧へ向け大きな一歩を踏み出したことは、沿線住民の一人としても大きな喜びであります。
そこで伺いますが、今後の復旧スケジュールはどのようになっているのか、復旧の完了した路線から順次運行を開始するのかどうかの方針も含めて伺います。
また、今後の利用促進策や観光振興への取り組みなど、県と沿線市町村が一体となって進めていかなければならない課題であると思いますが、基本的な考え方や方針について伺います。
防災文化の醸成について伺います。
東日本大震災津波において、私どもは、より高い場所へ逃げることの重要性を改めて認識させられました。例えば、本県の各保育所では、常日ごろの避難訓練の実施など災害時への備えがなされていたことや職員の適切な対応等により、保育中の園児や勤務中の職員への被害は生じませんでした。このことは、まさに日常の教育、訓練の重要性を示してくれたものであります。その教訓を無駄にすることなく、後世に引き継いでいくこと、今後、同様の大津波に襲われようとも、犠牲者を出さないための取り組みは、大震災で悔しくも命を失ってしまった方々へ報いる手段の一つでもあると思います。
そこで伺います。防災文化の醸成などに向け、今後の教育の基本方針はどのようになっているのでしょうか。大震災前後の子供たちへの教育のあり方がどのように変わったのでしょうか。また、地域の避難訓練への住民の参加状況と、逃げる文化醸成のための県の取り組みについて伺います。
次に、暮らしの再建について2点伺います。
応急仮設住宅の現状について伺います。
応急仮設団地内を見ていますと、空き室が目立ち始め、私の暮らす団地でも家を再建されて引っ越しをされた方々も出始めたところでありますが、現段階の応急仮設住宅の空き室の状況はどのようになっているのでしょうか。また、空き室が生じることにより、治安の悪化やコミュニケーションの低下などが懸念されるわけでありますが、県はこうした状況をどのように捉え、どのような対策をとられているのか伺います。
持ち家再建補助金の増額について伺います。
小さな家であっても、庭や畑があって花や野菜を育てられる環境、そして、お盆やお正月には家族や親戚が集まって笑顔や笑い声が生まれる環境が持ち家であり、それを望む一人でも多くの方々に再建をしてほしいと思います。しかしながら、聞くところによると、建設費が坪80万円を超え、坪100万円を提示するメーカーも出始めているようであり、再建を諦める方々も出てきております。
現在、持ち家を再建するか、災害公営住宅に入居するか最終意向調査の段階に入った大槌町の仮申し込みの状況を見ると、防災集団移転促進事業で整備する団地での持ち家再建の希望者は募集の約半分にとどまる一方、災害公営住宅への入居を望む方々が予想以上に多く、計画の見直しを余儀なくされています。持ち家再建は、定住促進、そして市町村財政における固定資産税の確保といった観点からも重要であり、これから最終意向調査に入る市町村も多いことから、増額のタイミングは今しかありません。国に要望し続けることも必要ですが、知事として、持ち家再建のための被災者住宅再建支援事業においてさらに100万円の増額を今、決断すべきと思いますが、知事の覚悟のほどを伺います。
次に、なりわいの再生について2点伺います。
復興に向けた沿岸部の産業政策について伺います。
一昨年の決算特別委員会の総括質疑でも取り上げたところでもありますが、県の第2期復興実施計画における重視すべき三つの視点の一つに掲げる持続性に関する重要な点であり、また、現在、国の進める地方創生にもつながってきますから、改めて取り上げます。
市町村の自主財源の基幹的な税として約9割を占めているのが個人住民税、法人住民税から成る住民税と固定資産税であり、その確保が今後の被災市町村の財政運営を大きく左右し、存続にもかかわってきます。発災前の平成22年度と平成25年度の沿岸市町村の税収を比較しますと、法人住民税は、引き続き建設業などの牽引により発災前と比べ6割増となっておりますが、個人住民税は、沿岸北部において税収増の地域はあるものの、市街地が甚大な被害を受けた大槌町では約マイナス31%、陸前高田市、山田町でも約マイナス19%と依然大きな減少が続いております。また、固定資産税についても、洋野町と田野畑村を除く沿岸の全市町村で減収が続き、震災復興特別交付税による補填分を除けば、沿岸部の市町村全体で約マイナス20%となっています。
総括質疑でも答弁があったように、当面の措置としては震災復興特別交付税の継続が求められるところでありますが、持続性という観点からは、市町村の税源を涵養し、長期的に税収をふやしていく取り組みを推進していかなければなりません。その取り組みを進める上で、被災地域の長期的な意味での復興に向けた産業政策は欠かせませんが、県として、沿岸部の産業政策の方向についてどのように考え、どのような取り組みを展開しようとしているのか知事に伺います。
サケ資源回復への取り組みについて伺います。
本県のサケは漁業生産額の約4分の1を占めており、漁協経営の基盤であるとともに、水産加工業を初めとした地域産業を支える重要な漁業となっております。このことから、サケの漁獲量を早期に回復させるため、震災直後からサケふ化場施設の復旧が進められてきたところでありますが、現在の復旧状況はどのようになっているのでしょうか。
今期のサケの水揚げは、震災年に放流した稚魚が4年魚として回帰することから水揚げの減少が懸念されていましたが、1月31日現在、約530万尾、約1万7、600トン、金額では約80億円となり、重量では昨年並み、金額では前年比140%ほどとなっております。サケの年齢構成別の回帰状況は、例年に比較して震災の影響を受けた4年魚が少なくなったものの、一方で5年魚が多く、また、大型であったことから、今期のサケ水揚げ量の大幅な減少を緩和させたと聞いております。
そこで、サケ資源回復のために必要な稚魚生産に係る種卵も計画どおり確保できる見込みと聞いておりますが、種卵確保への取り組み状況と、稚魚放流に向けて現在どのように取り組んでいるのか伺います。
また、今期のサケの水揚げにおいて4年魚が少なくなっている要因をどのように捉えているのか、また、今後の回帰の見込みについてあわせて伺います。
次に、三陸創造プロジェクトについて伺います。
国際研究交流拠点形成プロジェクトについて伺います。
県の復興計画では、長期的な視点に立ち、世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指し、そのリーディングプロジェクトとして三陸創造プロジェクトを掲げており、そのプロジェクトの中で、海洋環境、生態系の研究、海洋エネルギー実証研究の拠点形成に関する取り組みが行われております。
昨年9月、独立行政法人海洋研究開発機構―ジャムステック所有の調査研究船新青丸が母港である大槌港に寄港し、一般公開が行われました。一般公開では、大槌町を中心に漁業者の皆さんから子供たちまで多数参加し、船内に搭載された世界最先端の調査機器などが関心を集めておりました。この調査研究船を利用し、大槌町に立地している東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センターを初め、国内外の研究者が巨大津波で激変した海洋環境や生態系等の調査研究に取り組まれていると聞いておりますが、被災地の漁業の復興にはこうした調査研究の成果を活用していく必要があると考えます。現在の県の取り組み状況と今後の方針について伺います。
昨年12月、波力発電、釜石で開発との新聞報道がありました。報道によると、釜石・大槌地域産業育成センターが東京大学等と連携し、本年度から波力発電システムの開発を目指して研究に取り組むとのことであります。
そういった中、県では、昨年、国が公募した海洋再生可能エネルギー実証フィールドに釜石沖を候補海域として提案したところでありますが、昨年秋には選定には至りませんでした。今後、利用者との連携が調い次第、順次選定していくといった国の方針も示されたところでありますが、利用者との連携状況を含め、選定に向けた取り組み状況はどのようになっているでしょうか。
また、沿岸地域が将来にわたって持続するための取り組みが今後一層重要になると考えます。こうした観点から、被災地の新たな産業の柱として海洋エネルギーの活用は重要であると考えますが、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
さまざまな三陸創造プロジェクトを推進する上での一つの基盤となる釜石港へのガントリークレーンの導入について伺います。
発災後の平成23年7月、釜石港では、新たに開設された国際フィーダーコンテナ定期航路により、開設した年の平成23年と比べ、平成25年はコンテナ取扱量が約9倍となる2、000TEUを超えるなど、飛躍的な伸びを示しております。さらなる伸びを期待したいところではありますが、現在のジブクレーンでは、その性能限界により、船社が望む停泊時間内に荷役作業を終了できないなど不都合が生じ、釜石港の利便性が低いと評価されかねない状況に陥りつつあります。今後、平成30年代前半には東北横断自動車道釜石秋田線も全線開通の見込みであり、さらなる取扱量の増加が期待されるとともに、釜石市も、荷主の獲得など、その取り組みを全力で推し進めております。発災後に生まれた新しい産業を大きく育てるためにも早期にガントリークレーンを導入すべきと思いますが、県の見解を伺います。
東日本大震災津波からの復旧、復興に関する質問の最後に、行方不明者の捜索状況と今後の方針について警察本部長に伺います。
東日本大震災津波発災時においては、発災直後から自衛隊、警察、消防、海上保安庁、さらには海外のレスキュー隊により救助活動が展開され、また、今も毎月11日には警察やボランティアの方々により行方不明の方々の集中捜索が継続して行われているところであります。こうした活動に改めて感謝申し上げます。
しかしながら、ことし1月31日現在、1、129人もの方々が今なお行方不明であります。発災から間もなく4年の月日が経過しようとする中で、捜索活動もこれまで以上に困難をきわめていると思いますが、一日でも早く、一人でも多く御家族のもとに戻っていただきたいという思いは今も変わりありません。
警察本部長は、就任後、早速沿岸部を回られたと聞いておりますが、まず、被災地を視察しての所感について伺います。
また、これまでの捜索活動の状況と今後の活動の方針について、さらには、関係機関による懸命の捜索により発見された遺体の中で、ことし1月31日現在、64人の方が身元不明となっておりますが、照合への取り組み状況についても伺います。
最後に、人口減少対策について伺います。
足元では回復の兆しの見える日本の経済ですが、人口減少問題という構造的な課題の解決を先送りすると、国、地方の持続可能性は低下し、その存続そのものを揺るがしかねません。人口減少対策は、まさに今ここにある喫緊の課題であります。
こうした状況を踏まえ、昨年12月27日、政府においては、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンと、これを実現するため、今後5カ年の目標や基本的な方向を提示するまち・ひと・しごと創生総合戦略の閣議決定がされました。これは、日本の人口の現状と将来の姿を示し、人口問題に関する国民の認識の共有を目指すとともに、今後取り組むべき将来の方向を提示するものであり、長期ビジョンにおいては、目指すべき将来の方向として、若い世代の希望が実現すれば出生率は1.8程度に向上、2030年から2040年ころに出生率が2.07まで回復した場合、2060年には1億人程度の人口を確保すると見込まれるといった方向性が示されております。
今後、これに基づき、全国の地方自治体において地方版総合戦略が策定されることとなっておりますが、2008年以降、我が国全体で人口減少が進む中、自治体間での限られたパイの奪い合いに陥ることなく、中長期的な視点に立った取り組みが求められております。つまり、それぞれの地域の人口減少の状況と要因を踏まえた的確な戦略を立て、社会減対策とあわせて、人口減少への根本的なアプローチとしての自然減対策、とりわけ子供を産み育てるための施策をポイントを絞って推し進めていくことが重要であると考えます。
そこで、本県における子ども・子育て支援施策の基本的な考え方について知事の所見を伺います。
また、条例の制定により、新たにどのような施策を展開し、具体的にどのような成果を上げようとしているのか、来年度予算にどのように反映されているのか伺います。
また、子ども・子育ては単なる理念で終わることなく、本腰を入れて県の総合的な政策と位置づけ、取り組まなければならないと思います。その上で、今後、条例に基づき定める基本計画などにおいて出生率などに関する方向性や数値的目標を定め、各部局で共有していくことが重要と考えますが、いかがでしょうか。
以上をもちまして私の質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災地の現状認識についてでありますが、復興計画に掲げる取り組みは着実に進んでいる一方で、応急仮設住宅等での生活が長期化する中、災害公営住宅の整備や復興まちづくり事業などが被災地の方々にとって復興を実感できるという程度までは進捗していない状況にあると認識しております。
私の演述においては、これまでの4年間の復旧、復興の取り組みや本格復興邁進のための課題、平成27年度の主要な取り組みなどについて申し上げたところでありますが、復旧、復興の進捗状況や見通しにつきましては、社会資本の復旧・復興ロードマップなどにより被災者の皆さんに丁寧にお伝えするとともに、復興を進める上での課題や今後の方向性についてはいわて復興レポートとして明らかにしてまいります。
今後におきましても、被災地すなわち復興地、被災者すなわち復興者の皆さんに寄り添い、復興に携わる全ての人々とともに本格復興に邁進してまいります。
次に、本格復興期間の見直しについてでありますが、復興計画では、復興期間を8年間とした上で、平成25年度までの3年間で復興の基盤づくりを集中的に行い、それらの成果を踏まえて平成28年度までの3年間で本格的な復興の取り組みを推進し、最後の2年間でさらなる展開へつなげ、新しい三陸の創造を目指すこととしております。
震災から間もなく4年が経過しようとしておりますが、地元との合意形成や関係機関との調整等を経て、海岸保全施設の9割、復興道路を初めとする道路整備では8割で着工されるなど、本格復興に向けてこれから大きく進展していく見込みであります。
今後も、復興計画の実現に向けて、市町村、県、国が一体となって復興の動きをさらに加速させてまいります。
次に、復興に係る国の取り組みの評価についてでありますが、議員御指摘のとおり、これまで、市町村や県が現場の課題を踏まえて要望、提言を重ねてきた事項について、国ではその必要性を理解し、法改正や運用の見直し等を行っていただいたところでありまして、その姿勢は評価すべきものと考えております。
今後におきましても、被災者の皆さんや市町村などの現場の声を丁寧に伺いながら、被災地のニーズに対応した復旧、復興対策を、国に対してタイムリーに要望してまいります。
次に、交通ネットワークについてでありますが、東日本大震災津波において、主要地方道大槌小国線は、後方支援拠点であった遠野市など、内陸からの被災地への緊急物資の輸送や救援ルートとして重要な役割を果たしました。
社会資本整備総合交付金の復興枠の対象事業については、著しい被害を受けた地域において、復興まちづくりに必要となる被災地と内陸拠点、防災拠点、医療拠点、産業地域を結ぶ道路とされております。
一方、具体的な事業化に当たりましては、それぞれの路線や区間について、必要性や重要性、緊急性などを勘案して検討を行い、県の公共事業評価制度に基づき、事業を進めているところであります。
大槌町や山田町等と東日本大震災津波で後方支援拠点となった遠野市等を結ぶ道路につきましては、三陸沿岸道路や東北横断自動車道等の災害に強く信頼性の高い高規格道路の整備が、国において、かつてないスピードで進められているところであり、安全・安心の確保や、産業振興を支える物流を担う、骨格となる道路ネットワークが形成されるものと考えております。
土坂峠の抜本的な改良については、険しい地形条件等を勘案しますと長大なトンネルが必要となり、大規模な事業になることから、道路の果たすさまざまな役割を十分勘案するとともに、事業の規模や交通量、将来の周辺の道路ネットワーク状況等も考慮しながら、総合的に判断してまいります。
次に、持ち家再建補助金の増額についてでありますが、県では、これまで、国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望してきたところでありますが、国では、個人の資産形成につながるさらなる支援については、慎重な姿勢をとっているところであります。このため、県では、要望の実現に向けて、限られた財源の中で、100万円を補助する被災者住宅再建支援事業を市町村と共同で実施してまいりました。
加えて、県が国に要望し、増額交付された震災復興特別交付税215億円を、全額、沿岸被災市町村に配分し、それぞれ各市町村の実情に応じた住宅再建支援策が講じられているところであります。
厳しい財政状況の中で、県独自でのさらなる支援の拡充は極めて難しいものと認識しており、国に対して、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と、震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を、引き続き強く要望してまいります。
次に、復興に向けた沿岸部の産業政策についてでありますが、復興計画に基づき、基幹産業である水産業の復旧や被災事業所の再建を進めるほか、魅力ある商品づくりや生産性の向上、高付加価値化の推進など、なりわいの再生に向けた取り組みを展開しております。さらに、津波浸水跡地などへの幅広い業種を対象とする新たな企業の誘致や、既存企業の成長の積極的な後押しなどを通じて、地域の雇用の場の創出に努めているところであります。
また、中長期的視点に立った三陸創造プロジェクトでは、産業振興策として、三陸地域の農林水産物などの資源を生かした地場産業の振興や新たな産業の創出、三陸ジオパークの推進による広域観光振興、三陸の海洋資源を生かした国際海洋研究拠点の形成などの取り組みを、沿岸市町村や民間事業者、大学、NPO等と連携しながら進めているところであります。
これらの取り組みに加えて、かつてないスピードで進められている復興道路の整備や沿岸部を貫く三陸鉄道の一貫運営など、交通網の整備による物流や交流人口の拡大などを見据え、有識者や市町村等の意見も伺いながら、長期的な視点に立って、物流や観光を含めた三陸地域の振興方策について本格的に検討してまいります。
次に、本県における子ども・子育て支援施策の基本的な考え方等についてでありますが、子供や家庭を取り巻く環境は大きく変化していることから、全ての県民が、子供の権利を尊重しながら、子供を健やかに育むことの重要性について認識し、社会全体で県民の就労、結婚、妊娠、出産及び子育てを支えていくことが重要であります。このため、誰もが子供を健やかに育みやすいと実感できる岩手の実現を目指し、今議会に、いわての子どもを健やかに育む条例を提案しておりまして、これに基づく基本計画を策定した上で施策を展開し、県民の意向を把握しながら実施状況を検証し公表してまいります。
また、条例で定める、1、子どもの健やかな成長を支援するため、生きる力を育むための教育環境の整備を推進すること。2、子育て家庭を支援するため、子育てに関する相談体制及び保育サービスの充実を図ること。3、子どもを生み、育てようとする者を支援するため、家庭や子育ての大切さについて理解の促進を図ることなどを内容とする基本的施策を展開し、県民が安心して子供を生み、育てることができる環境の整備を図り、婚姻数、出生数の増加などにより、人口の自然減を食いとめることを目指しています。
来年度は、子ども・子育て支援新制度による保育の量の拡充及び質の向上とあわせて、結婚支援センターの設置を初め、男性不妊治療への助成、子供医療費助成の対象拡大、現物給付化など、ライフステージに応じた新たな支援に取り組むこととしております。
そして、子ども・子育て支援施策に係る目標の設定についてでありますが、議員御指摘のとおり、国においては、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンを策定して、若い世代の希望が実現すると合計特殊出生率は1.8程度に向上するとしているほか、人口減少に歯どめがかかると2060年に1億人程度の人口が確保されるとしていますが、さまざまな議論がある中で、現段階では目標値とはせずに、目指すべき将来の方向として定めていると理解しております。
来年度は、各都道府県で地方版人口ビジョンや総合戦略を策定することとなっていますので、国のビジョンや戦略を参考にしながら検討してまいります。
その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) まず、事業用地の確保についてでありますが、県事業では、1月末現在、用地取得が必要な事業箇所173カ所のうち、用地交渉が完了または実施中が141カ所、82%であり、うち用地取得完了が73カ所、42%となっております。
事業別の用地取得状況は、海岸事業では28%、道路事業では31%、災害公営住宅では83%などとなっております。
次に、市町村の面整備事業については、面積ベースで、防災集団移転促進事業では89%、漁業集落防災機能強化事業では87%、津波復興拠点整備事業では60%となっております。
なお、山田町、大槌町、釜石市における防災集団移転促進事業の1月末現在での用地取得率は、12月末現在と比べ約2%から6%、それぞれ進捗をしてございます。
各市町村では、箇所ごとにさまざまな課題のある事業用地の取得を同時期に進めるため、専門性を有する人材の確保が重要課題となっております。そのため、全国の自治体や県内市町村からの協力を得ながら、各市町村において、大幅に用地職員を増員し対応しております。
また、相続未処理土地などの任意取得が困難な事業用地については、県と国が共同し、改正復興特区法の活用のためのきめ細かな実務支援を行っております。
今後とも、国や市町村との連携を強化しながら、早期に用地取得を完了できるように支援をしてまいります。
次に、応急仮設住宅の現状についてでありますが、応急仮設住宅の空き室は、倉庫や応援職員の宿舎としての活用や、目的外使用を除き、1月末時点で、建設戸数1万3、830戸のうち2、420戸が空き室となっております。
県といたしましては、今後、応急仮設住宅の空き室の増加が見込まれることから、団地内のコミュニティの維持や、安心・安全の確保のため、市町村に対して、被災された方々の住宅再建の意向把握の徹底と応急仮設住宅の集約化計画の策定を要請するとともに、応急仮設住宅の集約を行う場合は、応急仮設住宅間の移転費用について、市町村を通じて補助する経費を平成27年度当初予算案に計上しております。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、JR山田線についてでありますが、去る2月6日に、県、沿線市町、三陸鉄道及びJR東日本の4者で基本合意したことを受け、JR東日本では、3月7日に復旧工事に着工することとなったところであります。
県といたしましては、一日も早い全線の復旧、運行再開を目指し、引き続き、JR東日本に対しまして働きかけていくこととしておりますが、具体的な復旧スケジュールなどにつきましては、沿線市町や三陸鉄道の意向が重要であることから、現在、沿線市町の復興まちづくり事業の状況等も踏まえながら、関係者の間で協議、調整を行っているところであります。
また、利用促進などの取り組みにつきましては、まずもって、沿線市町において、鉄道を活用した駅を中心としたまちづくりを計画し推進しているところであります。県におきましても、こうした沿線市町の取り組みを今後とも支援してまいります。
なお、山田線が復旧後も持続的な運行を行っていくためには、三陸鉄道と同様に、沿線住民のマイレール意識の醸成が重要であることから、沿線市町とともに、その取り組みを進めていきたいと考えております。
さらに、山田線が南北リアス線と一つにつながることにより、三陸ジオパーク等の地域資源を活用した観光振興や、なりわいの再生による産業、経済交流等を通じた交流人口の拡大により三陸沿岸地域の活性化も期待されることから、沿線市町のみならず、南北リアス線関係市町村とも連携しながら、山田線を含む三陸鉄道全線の利用促進に向けた取り組みを検討、実施していきたいと考えております。
次に、海洋環境、生態系の研究成果の活用についてであります。
現在、三陸沿岸では、国の東北マリンサイエンス拠点形成事業などの調査研究プロジェクトが展開されており、巨大津波が湾内の水質環境や漁場に与えた影響、震災後の海藻、ウニなどの漁業資源の回復過程などが明らかになってきております。このため、県では、県内に立地する海洋研究機関等が参画するいわて海洋研究コンソーシアムの取り組みとして、漁業関係者を対象に、研究成果を地域に還元するためのセミナーを久慈市や釜石市などで開催しているところであります。
また、海洋研究開発機構―JAMSTECなどが運用する調査研究船の寄港、公開イベントについても、地域住民に対する海洋科学研究の普及啓発に有効な取り組みであることから、来年度は、大槌港に加え、宮古港と大船渡港での実施を予定しております。
県といたしましては、今後とも、海洋研究コンソーシアムに参画する研究機関等のネットワークの一層の強化を図るとともに、それぞれの活動や研究成果などが地域の漁業者や産業に活用されるよう、取り組みを進めてまいります。
次に、海洋再生エネルギーの活用についてであります。
釜石沖の実証フィールドにつきましては、昨年7月の国の発表では、利用者の見込みが不確定であるため、利用者の確保を条件として選定が見送りになったところであります。このため、釜石市を初め、地元企業、産業支援機関などの関係者や東京大学などと連携しながら、釜石湾を試験海域とした波力発電の研究開発プロジェクトの導入を進めてきました。昨年12月に、新エネルギー・産業技術総合開発機構―NEDOから、波力発電の研究開発プロジェクトが事業採択され、利用者の確保についてもめどが立ったことから、現在、国に対しまして、改めて実証フィールドの選定を行うよう協議を進めております。
釜石地域においては、港湾等の関連インフラのほか、造船や海洋土木などの関連企業が集積していることから、海洋エネルギー関連産業は被災地の新たな産業の柱として期待できるものと考えております。
今後とも、地元自治体や関係団体が一体となった取り組みを推進して、沿岸地域における新たな産業の創出や地域振興につなげてまいります。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) 地域における逃げる文化醸成のための取り組みについてでありますが、まず、避難訓練への住民の参加状況でありますが、沿岸12市町村に確認したところ、今後実施されるものも含め、今年度は、市町村主催の防災訓練に関係機関等を含めて約2万人が参加し、このうち、住民参加者数は約1万3、000人となっています。
また、逃げる文化醸成のための県の取り組みでありますが、県では、平成24年度から、総合防災訓練を住民参加型に見直し、住民や児童生徒等が参加した避難訓練を毎年度実施するとともに、いわての復興教育と連携した防災教育の推進などを通じ、県民がみずからの身をみずからが守る意識の醸成に取り組んでいます。
県といたしましては、今後とも、市町村等と連携しながら、総合防災訓練や防災教育、自主防災組織の育成、強化などに取り組み、防災意識や避難行動の徹底が地域に溶け込む防災文化の醸成に努めてまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、サケふ化場施設の復旧状況についてでありますが、本県沿岸では、東日本大震災津波前は、28のふ化場で4億尾を超えるサケ稚魚を生産しておりましたが、震災により21のふ化場が壊滅的な被害を受けました。このため、県では、サケ稚魚放流体制の再構築に当たり、漁業関係団体、国の研究機関及び県で構成します岩手県ふ化放流事業復興検討会を立ち上げ、ふ化場の整備や稚魚放流のあり方などを検討し、被災していないふ化場も含め、20のふ化場で4億尾の稚魚放流を目指すこととしたところであります。
平成25年度には、施設の一部完成を含め、20のふ化場全てで稼働しており、約4億尾の生産が行われております。来年度には、全てのふ化場が完成いたしますことから、計画どおりの放流が行われる見込みでございます。
次に、サケ資源回復の取り組みについてでありますが、平成26年に回帰する秋サケは、震災年に放流された稚魚が主群となるため、採卵用親魚の不足が懸念されたことから、種卵確保の対策として、定置網で捕獲した秋サケをふ化場に搬送し適期まで蓄養し採卵したほか、ふ化場間の種卵の移出入調整を行うなどによりまして、県内で採卵計画数を上回ります4億7、000万粒の種卵が確保できたところであります。
県では、この種卵につきまして、国の研究機関や漁業関係団体と連携し、全てのふ化場に対し、飼育池ごとに密度を適正に保つなど、飼育管理の徹底を指導し、健康な稚魚飼育に努めております。
また、今後の回帰見込みでございますが、平成22年度から平成25年度まで稚魚の放流数が計画数を下回っておりますことから、今後4年程度は、回帰尾数が震災前の水準に達しないと予測しております。特に、平成27年度は、回帰の主群となります平成23年度に放流しました稚魚が計画の4億尾に対し2億9、000万尾にとどまりましたことから、回帰尾数は今年度並みに厳しくなるものと予測しております。このため、県では、漁業関係団体と連携し、引き続き、種卵確保などの対策に取り組むこととしております。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 釜石港へのクレーンの整備についてでありますが、釜石港におきましては、平成23年7月に、京浜港との国際フィーダーコンテナ定期航路が開設され、これまで、県、市及び荷役業者が連携し、積極的にポートセールスを行ってきた結果、紙類や水産品を中心に、コンテナ取扱量が順調に伸びてきております。
現在稼働しているジブクレーンにつきましては、コンテナ貨物が集中した際には荷役に時間を要する場合があると伺っておりますが、一時的なものであり、通年では大きな支障はないものと認識しております。
今後、復興道路等の整備による物流環境の改善などにより、コンテナ取扱量が大幅に増加することも考えられますことから、コンテナ取扱量の推移や採算性等を見きめながら、ジブクレーンでの荷役の課題やガントリークレーンの整備の必要性について検討してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 防災文化の醸成に向けた教育のあり方についてでありますが、まず、基本方針につきましては、東日本大震災津波発災以降、県教育委員会におきましては、学校、家庭、地域、関係機関が連携した地域連携型の防災教育を推進することを基本的な方針として位置づけ、児童生徒が自他の命を主体的に守り抜く態度の育成に取り組んできております。
次に、大震災前と後の子供たちへの教育のあり方についてでありますが、大震災前におきましては、学校安全計画に基づく防災、安全教育の推進に取り組み、特に沿岸部におきましては、教職員を対象とした悉皆による津波防災研修会の開催などにも取り組んできたところでございます。
大震災後におきましては、大震災を教訓に、岩手の子供たちがさまざまな自然災害に対する備えや郷土を愛する意識、行動を高めるため、三つの教育的価値、いきる、かかわる、そなえるを育むいわての復興教育プログラムを策定し、児童生徒が有事に際してみずから情報を把握し、それをもとに判断し、行動するといった思考力や実践力の育成を図ってきております。
現在、各学校におきましては、児童生徒の心身の状況、地域の実情等を踏まえながら復興教育に取り組んでいるところでありますが、具体的には、家庭、地域と連携した避難訓練や防災マップづくり、いわての復興教育副読本を活用した危険予測など、自分で自分の身を守るための防災知識、技能の習得を図るとともに、ボランティア活動などにも取り組んできております。
県教育委員会といたしましては、今後におきましても、家庭、地域、関係機関とも十分に連携しながら、児童生徒がみずからの命を主体的に守ることや共助の精神を育むため、学校における防災教育の充実に努めてまいりたいというように考えております。
〔警察本部長堀誠司君登壇〕
〇警察本部長(堀誠司君) 初めに、被災地を視察しての私の所感について申し上げます。
本県警察本部長として着任後、できるだけ早く被災地の状況をこの目で確かめたいとの思いから、本日までに宮古市から陸前高田市までの沿岸部を訪れました。多くの方が、応急仮設住宅での生活を余儀なくされており、また、まちづくりについては、生活の再建自体がいまだ途上である状況を目の当たりにし、改めて被害の甚大さを痛感したところであります。
被災地の復旧、復興には、安全・安心の確保が必須でございます。したがいまして、県警察としては、引き続き、応急仮設住宅の巡回、犯罪抑止、交通事故防止を初めとする各種対策に取り組んでまいります。
次に、これまでの捜索活動の状況と今後の活動の方針についてであります。
東日本大震災津波から間もなく4年目を迎えますが、この間、県警察といたしましては、月命日を中心として、毎月、集中的に捜索活動を行ってまいりました。昨年は、延べ58回、約1、300人を動員して捜索活動を行っております。残念ながら、御遺体の発見はなかったものの、震災で亡くなられた方の名前が記載されたヘルメットを発見し、御家族に返しております。
被災地の復興工事の進捗に伴い、海岸線における捜索は困難な状況となってきておりますが、本年1月末現在で1、129人の方がいまだ行方不明となっている現状から、地域や御家族の要望を十分に踏まえながら、引き続き、自治体、関係機関と連携を図りつつ、節目節目の捜索活動を継続してまいります。
なお、来る3月11日には、約300人の体制での捜索を予定しております。
次に、身元不明者の照合への取り組み状況についてであります。
東日本大震災津波による御遺体は、これまでに4、672人を収容し、そのうち4、608人、率にして98.6%の身元が判明しております。
県警察では、これまで身元を確認するために、行方不明者の御家族等から提供していただいたDNA資料の鑑定、歯科カルテとの照合、医療関係機関で保管する検体資料のDNA鑑定、似顔絵や御遺体の特徴あるいは所持品等の情報公開などの活動を進め、昨年は3人の方、本年に入って1人の方の身元を確認しております。
また、昨年2月以降、沿岸部を中心とする11カ所で、行方不明者を探しておられる御家族等にお集まりいただき、行方不明者の情報収集と身元不明者の情報提供を行ってまいりました。このうち、本年1月には、内陸部で生活されている御家族等がいらっしゃることに照らし、盛岡市内でも実施したところであります。
今後も、これらの活動を継続しながら、1人でも多く、また1日でも早く御遺体を引き渡せるよう、身元確認に努めてまいります。
〇18番(岩崎友一君) 何点か再質問をさせていただきたいと思います。
まず、1点目でありますけれども、これはおかしいと思うのですが、知事にお聞きしますけれども、復興がおくれているという点について。
おくれているという認識はあると。ただ、そのおくれに関しては社会資本のロードマップ等で示しているので、それでよいのではないかという話でありましたけれども、やはり知事の所信として話す中に現実が全く含まれないというのはおかしな話であって、正直な話、3万人弱ですが応急仮設住宅で今も生活している方々にとっては寂しいと思いますよ、取り残されたような感じがして。いい部分ばかり取り上げている、そして、現実逃避している。こういった考え方は、センスがちょっと、かなり大きな問題だと思うんですが、その辺、知事はどう思うのか。
それと、その演述自体が震災からの風化を招くという質問、私、聞き逃したかもしれませんが、再度その認識についてお伺いしたいと思います。
それと、持ち家再建の補助金増額の件についてでありますけれども、知事の答弁を簡単に言いますと、県として県単でやるのは非常に厳しいというような答弁であったかと思います。必要性に関しては私も登壇して申し上げましたし、この件はこれまでも多くの議員が取り上げてきた問題であります。知事として、県では苦しいので国としてやってほしいということで要望していくということでありますが、では、この件に関して、県の中でできる、できないの議論というのはどの程度しっかり行われたのかどうかという点と、それと、国に要望していると言いますけれども、もしこれが本当に知事が必要だと思うのであれば、やっぱり知事みずからが国に行ってその必要性を訴えるべきだと思うのですが、知事自身が実際に何回行ってどういった要望を行ったのかどうかについてお聞きしたいと思います。
それと、産業政策についてでありますけれども、いろいろと答弁をいただきましたが、その中には幅広い業種という言葉がございましたけれども、私が思うに、特にも若者を定住、定着させる上で、やはり沿岸部の賃金が県の内陸部の企業と比べても低い、収入が低いということが一つの問題だと思っていまして、沿岸部の産業政策を考える上では、やはりその給与体系というものに関しても同時に考えていっていただきたいというのと、もし知事の頭の中にあれば聞きたいんですけれども、企業誘致と地場産業というものの考え方についてお尋ねしたいと思います。
それと、4点目、釜石港のガントリークレーンの件でありますけれども、部長からの答弁がありましたけれども、かなり伸びてきていますね、今。せっかく伸びてきまして、これから検討していくと。これまでもかなり要望はあったと思うのですけれども、せっかくここまでいいところまで来て、そういう時間内に積み込めなかった云々とあると、何か本当にもったいない気がするんです。本当に縦貫道、横断道がつながって、物流が大きく変わります。そういった中で、内陸の企業から、釜石から物を出したいという事業者もいろいろと聞いていますと多いようですし、本当に大きく飛躍するチャンスでありますので、この機会を逃すことなく、とにかく早い段階で導入を決めていただきたいと思いますけれども、部長の答弁をお願いします。
以上、4点、お願いします。
〇知事(達増拓也君) 知事演述に取り上げなかったからといって、そのことを軽視したりしているわけではありません。
それから、みずからの演述が風化を加速させるという認識はあったかということについては、ありませんでした。
次に、持ち家再建補助金の増額については、人手不足、資材不足等によって、さまざま当初予定された以上にお金がかかるということは多々いろいろなところであるんですけれども、基本的に国において配慮されていると認識しております。
また、物価スライド的な、物価の変動に対しては、例えば大きな災害で物価に急な変動があったときは、国においてさまざま統制的に価格をコントロールするという権限も法律上認められているわけでありまして、さまざまな値段、物価の高騰によって生活再建というものが難しくなっている場合、やはり国においてそこに対処すべきではないかということを考えております。
これについては、だから、そもそも既存の仕組み以上に、特に津波は、個々の家の被害や、また連担した地域全体の被害が地震のみの災害よりも大きいのであるから、東日本大震災に関しては、持ち家再建支援については国によって手厚い支援をということを、これはもう発災直後からずっと繰り返し国に対しては訴えてきたところでありまして、現在もそうであります。
確かに、今の政府・与党において、国においてさらなる持ち家支援をすることについて消極的な向きがあるということは承知しておりますけれども、それが政府・与党の決定したスタンスではないと理解しておりますので、ぜひここは国においてさらなる持ち家支援、これは岩手県内でも多くの署名も集められていると聞いております。それが県民の願いでもあると思っておりますので、引き続き、強く国に対して要望してまいりたいと思います。
そして、なりわいの再生の関係で、沿岸部の賃金の問題については、これは岩手労働局と県が協力しまして、賃金の問題も含め、復興の現場における労働環境の改善ということを働きかけているところでありますし、また、賃金が高くなるような、それは裏を返すと一人一人の働く人の生産性が高まるということですが、そういった方向性が地方経済をよくしていく、いわゆる地方創生的な文脈からも重要だということを、県のさまざまな機会にも、そういう論の冨山和彦氏に県内の金融機関にもそういったことを伝えていただくとか、そういうことをしておりまして、沿岸部のみならず、県を挙げて、より高い賃金、それを可能にする生産性の向上というものを目指していくようにしております。
誘致と地場産業の関係についてでありますけれども、基本的に、被災者イコール復興者本位に、その人たちが自己実現、働いて稼いでふるさとで生活できるためにはやれることは何でもやるということで、誘致も地場もということで考えております。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 先ほども申し上げましたけれども、復興道路等の整備によりまして、本県の沿岸地域の物流環境に大幅に改善が見込まれております。私どもといたしましては、このような交通インフラをしっかり有効に活用していくことが非常に大事だと思っております。
そういう中で、私どもといたしましては、引き続き釜石市や荷役業者等と連携しながらポートセールスを行うほか、船会社に対しましても航路拡充を要請するなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
また、今後のコンテナ貨物量の伸びをしっかりと把握しながら、釜石港でのコンテナ取り扱いに支障が生じないように対応してまいります。
〇18番(岩崎友一君) 再度聞きますけれども、まず、復興のおくれの件に関してですけれども、あるべき姿といいますか、やったことはやったこと、進んでいることは進んでいること。ただ、現実、進んでいない部分、おくれている部分があると。その原因はこうだから、それに向かってこういった方向で解決していきたいと思うとか、何か現実から目をそらすというのは、やはり私は理解できない部分がありますし、知事は、自身の演述が震災の風化にはつながらないということでありましたけれども、普通に考えて、ただでさえ風化していますけれども、ホームページに載ります。ホームページに載ったものを全国の誰かが見れば、明らかにあれはおくれているというのは一切ないので、復興は進んでいるんだなと捉えるものだと思うんです。ですから、そういうのを考えれば、演述が震災の風化につながらないというのは、全く私はおかしな話だと思うのです。全国に復興は順調に進んでいますよというアピールにしか見えないんです。
そういった中において、順調に進んでいるという部分だけ出して、おくれている点は内部資料でロードマップ等に示しているからそれでいいというわけにはいかないと思いますので、知事にその辺の、いつも被災者に寄り添うと言っていますけれども、何か見放したような演述だと思いますよ。ですから、しっかりと本当の意味で寄り添うとか、演述でも答えは現場にあったとか言っていましたけれども、やっぱりもうちょっと寄り添ったような形で演述、情報発信していただきたいと思います。知事、何かありましたらそれについても答弁をお願いします。
それと、ガントリークレーンの件です。
さっき部長に聞きましたけれども、知事にお聞きします。せっかく震災後に大きく伸びてきました。やっぱり港湾という観点からも、かなり仙台、秋田でどんどんコンテナ取扱量もふえていて岩手がなかなか伸び悩んでいると。いろいろな要因もあるんでしょうけれども、せっかく現実的にこれだけ伸びてきましたので、背中を後押ししてどんどん伸ばしていってほしいと思うんですが、これは知事の考えをお聞きしたいと思います。
2点、よろしくお願いします。
〇知事(達増拓也君) 私の演述では、まず、4年間の復旧、復興の取り組みについて冒頭でまとめて、そしてその後、年に1度の知事演述でありますので、平成27年度予算による事業を中心に、これから1年間どういうことをやっていくのかということを述べたわけであります。
そして、短い時間の中で4年間の復旧、復興の総括をするに当たっては、戦後、今までかつてなかったような形で、市町村と県、そして県と国、国が復興庁をつくって、そして復興局という地方支部局が災害において地方につくられるということは今回初めてのことであります。そういった国と県と市町村が連携して一体となって取り組んでいること。また、行政のみならず、さまざまな主体、民間の主体も一緒になって4年間やってきたということを明らかにするところに主眼を置いていたものであります。
そして、現実逃避という御指摘がありましたけれども、社会資本の復旧・復興ロードマップというのは、岩手県が、これからの見通しと、また、おくれているのであればどこがどれだけおくれているのかを定期的にはっきりさせておこうということを他県、国に先駆けて実行したものでありまして、それは、仮設住宅生活をしている被災者の皆さんに自分がこれからどういうふうになっていくかということをいち早くお知らせしたい、現状どうなっているかということをそれぞれの皆さんにきちっとお知らせしたいという思いからのものでありまして、被災者の皆さんに対して何かそっぽを向いているとか、そういうことはございません。
それから、風化の問題についてでありますけれども、今回の私の知事演述は今までで一番長いものでありました。そして、復興についても、まだまだこれからこれだけやらなければならないことがある。平成27年度においてもこれだけやらなければならないことがあるということをはっきりお示しし、ホームページで全国誰でも見ることができるようになっています。
神戸でありますとか、あるいは首都圏でありますとか、そういったところで、本格復興期間、この3年が事業のピーク、特に平成27年度がその中でもピークという話をしますと、復興はこれからなのかということで、聞いた皆さんは顔色を変えて姿勢を正します。そういう意味で、復興はまだまだこれからやることがあるということをきちっと示し、また、その具体的な内容を紹介して、なるほど、では、ここからはこういう支援が可能だな、こういう連携が可能だなということを全国の皆さんに知っていただくことは意義あることと考えます。
それから、釜石港クレーンについては、県土整備部長の答弁のとおりであります。現在稼動しているジブクレーンがコンテナ貨物が集中した際に荷役に時間を要する場合があると承知はしておりますけれども、一時的なものであり、通年では大きな支障はないという県の認識です。

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