平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇21番(高橋元君) 民主党の高橋元であります。
県民の代表として議席を賜り、間もなく丸8年となりますが、初めて会派を代表し一般質問に登壇いたしました。県政諸課題について、少し背伸びをした質問となりますが、達増知事におかれましては、あすに大きな希望を抱く御答弁をお願いいたします。
まず初めに、平成27年度当初予算について伺います。
第1点は、予算執行への対応策についてであります。
平成27年度当初予算案は本格復興邁進予算と名づけられ、震災分で17.7%増の4、487億円と、災害廃棄物処理を除くと過去最大となっており、通常分では4.3%増の6、625億円となっており、総額1兆1、112億円と、かなりの積極予算と見受けられますが、平成26年4月から平成27年1月までの県発注工事で入札不調の発生率が23%に上るなど、各種建設工事において入札不調が常態化しており、また、発注する行政や受注する建設会社にマンパワー不足等の懸念もあり、復興邁進年予算執行についてどのような対応策を講じようとしているのか伺います。
2点目、希望郷いわての実現について伺います。
達増知事は本年秋に任期満了を迎えますが、昨年11月に、引き続き県政を担当したいとの意思表明がなされました。震災前の当初予算は、改選期は骨格予算として編成し、選挙後の6月定例会で補正予算を組み、通年の予算に仕上げるのが通例でありました。震災による半年の任期ずれが生じたことから、改選前でありますが、本格予算を編成されたわけでありますので、知事自身、選挙を挟んで2期目から3期目への継続想定の中で、知事が進める希望郷いわての実現はどの程度の位置にあり、次期県政担当時にはどのような岩手を創造し、どの部門に力と予算を傾注していく考えか伺います。
3点目、ILCの誘致について伺います。
国際リニアコライダー計画を推進する世界的研究者組織リニアコライダー・コラボレーションの最高責任者であるディレクターのリン・エバンス氏ら幹部が1月13日に気仙沼港と本県一関市を訪れ、港や道路など、ILCの部品を建設候補地の北上山地まで輸送するルートを確認され、リン・エバンス氏は問題は見当たらないとの見解を示され、ILC建設に、少しずつではありますが、確実に前に進んでいるように感じております。
このような流れを受け、本年は当初予算にILC誘致に向けて6、500万円を計上いたしました。事業内容では東北大学との共同研究と国内外情報発信とあり、これまでの関係省庁要望や、国民、県民にILCを知っていただくセミナーやシンポジウム開催にとどまらず、一歩踏み込んだ学官連携、地域連携など、誘致候補地の地元としての積極性をアピールする効果は十分と思われますが、国内外への情報発信の進め方、あり方を含め、具体的にどのような事業展開と効果を想定しているのか伺います。
第2の項目、被災地の復興について伺います。
第1点は、被災市町村への支援についてであります。
第2期復興実施計画中間年である平成27年度は本格復興邁進年と位置づけられておりますが、その復興に取り組む体制について、県は先ごろ、被災市町村人財確保連絡会議を開き、2015年度に必要な職員数は776人に上り、充足できる職員数は703人とのことで、復興事業がピークを迎えたことによるマンパワー不足が顕著となっております。現在、被災市町村に県内外から多くの自治体職員の派遣を受け、また、任期付職員の採用などにより災害復興、行政運営が行われておりますが、震災4年を迎えようとしている今、県外自治体派遣職員の生活や心身の健康問題など、応急仮設住宅で暮らしている県民と同様な状態にあるのではないかと危惧されます。震災復興が一段落するまで派遣継続が必要であるわけでありますが、いつの時点かで自前の職員で行政を進めなければならないわけであります。被災市町村の職員について、県として職員の採用支援や事務処理、技能、技術のスキルアップのための職員研修など、どのような支援を行っているのか伺います。
2点目、復興工事等への対応について伺います。
震災復興工事や普通建設工事が全県にわたって行われておりますが、さきにも申し上げましたとおり、県営工事、市町村工事において入札不調が続出し、復興工程1年のおくれなど復興計画に多大な影響が出ており、その対応策として、県外事業者の入札参加も視野に入れているとのことでありますが、工事単価や作業員宿舎確保などの課題に対してどのような方策を考えているのか伺います。
第3の項目、教育政策について伺います。
第1点は、地方教育行政法の改正について伺います。
これまでの教育委員会制度に対して指摘されてきた課題として、教育委員長と教育長のどちらが責任者かわかりにくい、教育委員会の審議が形骸化している、地域住民の民意が十分に反映されていないなどが挙げられておりますが、今般、制度改革が行われまして、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律が本年4月1日より施行されることとなりました。
法改正のポイントとしては、一つ目に教育委員長と教育長を一体化した新教育長の設置、二つ目には教育に関する大綱を首長が策定、三つ目に全ての地方公共団体に首長主宰の総合教育会議を設置、四つ目に新教育長へのチェック機能の強化と会議の透明化とされております。法改正により、教育行政における責任体制の明確化、教育委員会の審議の活性化、迅速な危機管理体制の構築、地域の民意を代表する首長との連携の強化などが図られるとされておりますが、この法律の改正に伴う知事の所感並びに今後の教育行政に直接携わることとなることについての所感を伺います。
2点目、小規模高校におけるICTを活用した教育支援について伺います。
本県は四国4県に匹敵する広大な県土を有しており、教育行政にも広大な県土と少子化が重くのしかかってきております。県教育委員会は、震災で中断していた県立高等学校の第2次再編に向けて、今後の高等学校教育の基本的方向について改訂案をまとめ、県内9ブロックで地域説明会を行い、パブリックコメントとあわせて意見集約を図り、年度内に策定する計画にあります。
私も中部ブロックの説明会に、花巻北上選出議員諸兄ともども出席させていただきました。実施計画はおおむね10年先を見据えた第2次県立学校整備計画ということでありますが、平成26年度の中学卒業者が1万2、556人、10年後の平成36年度卒業生が9、945人と推定され、およそ2、600人の減少で、減少する生徒数は1学年6学級の大規模校3校強、4学級で5校強の消滅に匹敵します。これでは山間部や遠隔地の高校は存続そのものが危ぶまれます。
岩手以上に広大な面積を有する北海道の取り組みについて調査をしてまいりました。北海道では、離島高校や小規模高校の教育支援のため、平成25年度から文部科学省の研究事業を取り入れ、ICTを活用しての遠隔授業や、大規模センター校から小規模キャンパス校へ出張授業を行うなど、学習力の向上や小規模高校の存続と教育格差の生じない取り組みを積極的に実施しておりますが、本県でも地理的な事情と生徒減少を抱える高校が複数存在しており、北海道と同様の取り組みを早急に進めるべきと強く思いますが、知事の所見を伺います。
また、本県のICT教育は緒についたばかりで、立ちおくれの感を極めて強く感じます。先般、ICT教育に関する調査で訪問した文部科学省のICT教育の担当者は、東北全般にICT教育導入事業への問い合わせが少なく、関心が低いように思えると話しておりました。隣県宮城県の私立高校や東京都の高校、商工文教委員会調査で訪問した佐賀県等で、小学校から高校に至るまで、授業にタブレットやテレビモニターを活用し成果を大きく上げつつある状況に、岩手の子供たちは取り残されると強い危機感を覚えます。知事は、このような状況をどのように感じるかお伺いいたします。
第4の項目、岩手県国民保護計画について伺います。
先月、中近東において武装テロリスト集団に拉致されていた邦人2人が惨殺されました。亡くなられた湯川さん、後藤さんの御冥福を祈り、御家族、御親族の皆様に哀悼の意を表するものであります。
さて、昨年来の拉致から殺害されるまで水面下で解放に向けた折衝がなされていたようでありますが、安倍首相の中近東訪問時の人道支援に関係する発言を機に、突如、拉致問題が公になったことや、交渉に応じないとして拉致邦人2名の惨殺、そして、これから先、日本人もテロの対象とするとの武装集団の表明は、海外渡航者や滞在者、これからの海外渡航計画者に大きな脅威となりました。このことは、今後、国内においてもテロの脅威にさらされることであり、その対策は、国のみならず、都道府県、市町村において緊急かつ迅速に取り組まなければならないと思うところであります。
本県においては、国の国民の保護に関する基本方針の改正を受け、昨年11月に岩手県国民保護計画を変更しましたが、この計画の実効性を確保するため、今後どのような取り組みを展開する考えか、市町村の取り組みへの支援も含め伺います。
第5の項目、就業人口減少対策について伺います。
第1点は、人手不足の解消について伺います。
県は、水産加工業の東日本大震災後の人手不足解消に向け、宮城県と共同で外国人技能実習生の受け入れ枠を拡大できる構造改革特区を国に1月末に申請し、3月の認定を目指していると聞いております。
また、県南地区において企業集積が進んでおりますが、コンビニチェーン店に弁当、惣菜などを供給する企業2社が北上南部工業団地に立地し、5月から操業開始予定にあるが、予定従業員がそろわず、100人規模の外国人就労者が検討されているとも聞こえてまいります。団塊の世代の再雇用も終わりに近づき、就業人口の減少期を迎え、地場企業を中心に従業員不足倒産が危惧されますが、県として人手不足の解消にどのような対応を検討しているのか伺います。
2点目、外国人就業者への対応について伺います。
今申し上げた状況から、人手不足を補うため、今後、外国人就業者が増加すると思われ、外国人居住地では、多文化が共生する地域づくりを進めなければなりません。昨年12月に県国際交流協会と県南地域の国際交流組織の意見交換会が持たれ、外国人居住者のサポートや通訳ボランティアの派遣などで意見交換されたとのことでありますが、今後、特に企業集積により多くの外国人就業者が予測される県南広域振興局に、外国人の就業相談と生活支援、地域文化との共生を担当する部署の設置と多言語に対応できる職員を配置すべきと思いますが、所見を伺います。
第6の項目、農業政策について伺います。
第1点、岩手の農業の未来について伺います。
政府・与党は、JA全中の改革案を決定し、農協法の改正案ほか関連法案を今国会に提出するとしております。安倍政権は、いわゆる岩盤規制を打ち砕くと声高に語り、60年ぶりの改革と血気盛んでありますが、ほぼ自民党政権であったこの60年の間に、農業は衰退の一途をたどってきました。担い手不足によって著しい高齢化が進み、今や農家の平均年齢は66.5歳に達して耕作放棄地が拡大しております。岩盤規制を崩すだけで日本の農業は本当によみがえることになるのでしょうか。大いに疑問を感ずるところであります。
安倍首相の農業を元気な産業に変えていくという意気込みは大変すばらしいことですが、問題は、どのようにして農業を元気な産業に変えていくのか、その変化のプロセスが農家に伝わってきません。安倍政権は、JA全中の権限を弱めることで、地域の農家の経営の自由度を高め、農業の大規模経営を目指す企業の参入も促そうとしております。この方針は、自由競争という荒波に地域の農家をいきなり放り込むようなものであり、利益追求となれば、米国で問題視されている農作物の遺伝子操作も心配されるところであります。
どうやれば農産物に付加価値をつけ、農業をもうかる産業に変えていけるのか、政府はその道筋を示そうとせず、具体的なアイデアは、あくまで地域の農家の自主性に任せ切りで、その上、TPP交渉では米国から門戸開放を迫られ、安い輸入農産物が大量に押し寄せてくるおそれが多分にあります。このままでは、一握りの大規模農家が潤うことはあっても、小規模の零細農家は押しつぶされてしまいます。日本の農業が苦境に立たされながら何とか維持してきたのは、本県初め地方の多くの家族経営の零細農家の踏ん張りではなかったでしょうか。零細農家の努力に配慮しなければ、岩盤規制どころか、日本の農業そのものを根こそぎ壊滅させかねない重大な過ちを犯しかねません。
政府の進める農業政策に対する知事の所見と岩手の農業の未来についてどう描いているのか伺います。
2点目、農林水産物の輸出拡大について伺います。
県は、農林水産物、食品の輸出拡大に向けて、ミラノ国際博覧会、南アジア博覧会への出展や中国との連携交流、アジア各地でのフェア、商談会を計画するとのことでありますが、国内全地域が海外展開を進める中にあって、本県農林水産物等の輸出拡大に向けた知事の戦略を伺います。
また、米価下落で稲作は厳しい環境下にありますが、近年の日本食ブームに乗り海外で日本酒が注目を集めており、酒米の品種開発や本県日本酒の販路開拓など、この分野での取り組みがおくれているように見受けられます。2014年の日本酒の輸出額は9.3%増の115億円であり、米国、香港、韓国で売れ行きが好調とのことであります。フランスのワイン輸出額は7、700億円、英国のスコッチウイスキーは5、000億円とのことであり、日本酒の輸出は、まさに始まったばかりと言えます。
本県は、南部杜氏の里であり、酒米の品種開発を積極的に進め、県内酒造会社との連携のもと海外販売に力を入れるべきと思いますが、いかがでしょうか。
第7の項目、高齢者福祉について伺います。
年々増加する要介護者。厚生労働省によると、2012年に約550万人の介護者が2025年には約700万人になると試算されております。それに伴い施設でも在宅でも介護を受けられない、いわゆる介護難民が今後ますます社会問題化していく可能性があります。
本県の特別養護老人ホームと介護老人保健施設について実情を伺いましたが、特養ホーム157施設に7、821人入居、老健65施設に5、665人が入居されており、入所待機者は昨年末の数値で6、642人ということで、早期の入所が必要な方は1、321人とのことであります。
介護保険法の改正により、平成27年度から特養入所者が原則要介護3以上と定められ、このことにより特養の入所はさらに厳しくなると見られます。そして、受け皿となるのは、家族による在宅介護や有料老人ホームなどの民間施設であります。民間施設は特養ホームよりも費用がかかる場合が多く、金銭的に大きな負担となりますし、在宅介護においても、家族の仕事や家庭の状況によって介護の手が足りないケースが多々発生しております。独居高齢者も増加しており、地域での見守り対象者への対応も拡大の一途であります。また、介護報酬の改定により、特別養護老人ホームは、経営が苦しくなるとともに、人材不足によって危機にさらされております。
県民の多くが施設入所を望んでいる中、利用者や家族にとって大きな負担とならない方策や施設の整備について今後どのように進める考えか、知事の所見を伺います。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋元議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、予算執行への対応策についてでありますが、平成27年度当初予算は、復旧、復興事業の本格化に伴い、過去最大規模の予算となっております。一方で、予算執行に当たっては、入札不調や人材不足の影響等が懸念されるところであります。
そのため、来年度におきましても、工事発注規模の拡大や適切な設計労務単価の反映、さらに、入札参加者に係る施工実績や地域要件の緩和など必要な対策を講じてまいります。
また、復興JV制度の活用や主任技術者の兼任要件の緩和、宿泊費や宿舎建設費に対する措置など、人材確保を図るための取り組みも進めてまいります。
あわせまして、県の執行体制の強化を図るため、土木技術職員を中心に定数増を行いますほか、漁港担当技監を新たに配置することとしたところでありまして、引き続き円滑な予算執行が図られるよう関係部局が連携して取り組んでまいります。
次に、希望郷いわての実現についてでありますが、いわて県民計画では、一人一人が希望を抱き、岩手全体に希望があふれる姿を希望郷いわてという言葉に込め、県民一人一人が、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことができる、希望あふれる社会を目指しているところであります。
その実現に向けて、いわて県民計画の第2期アクションプランの政策推進目標に、人口の社会減を減らすこと、県民所得水準の国との乖離を縮小すること、求人不足数を改善することなどを掲げておりますが、これらの取り組みの結果は、おおむね良好に推移しているところであります。
さらに、復興については、被災地や被災者に寄り添いながら取り組みを進めているところであり、三陸鉄道の全線開通が実現しましたほか、海岸保全施設の9割以上、災害公営住宅の約6割が着工されるなど、着実に復興を進めてきております。
今後におきましても、復興を力強く進めるとともに、人口減少対策を進め、さらに、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会の成功やILC―国際リニアコライダーの実現など復興を後押しする取り組みについても注力し、希望郷いわての実現に向けて目の前にある課題に全力で取り組んでまいります。
次に、ILC―国際リニアコライダーの誘致についてでありますが、文部科学省のILCに関する有識者会議は、本年4月にも中間報告を取りまとめ、平成27年度中に一定の結論を出すこととしていますことから、来年度は、ILCの実現に向け正念場の年であると考えております。
このようなことから、県民の熱意や地域の盛り上がりを日本全体の機運醸成につなげることが重要であり、東北ILC推進協議会等、関係機関と連携した首都圏でのシンポジウムの開催やインターネットを活用したイベントの発信などによって、国内外に向けた情報発信を積極的に行ってまいります。
また、加速器関連産業の集積拠点形成に向けて、産学官の交流、連携機会の創出等を行ういわて加速器関連産業研究会を設立しますほか、研究開発に対する補助を設けるなど、企業の加速器関連産業への参入を支援してまいります。
さらに、建設に向けた取り組みを着実に進めるためには、国際的な推進組織であるリニアコライダー・コラボレーションの技術設計に適合した調査を進めることが重要でありますことから、東北大学との共同研究による地質調査などを行うこととしております。
このような取り組みを進めることによって、ILC計画の実現に向けた道筋がより確かなものとなり、政府の誘致表明の後押しにもつながるものと考えております。
次に、被災市町村への支援についてでありますが、被災した市町村においては、復興を最優先に取り組んでおり、まずは、復興に必要なマンパワーを確保することが第一であり、県としては、被災3県が合同で全国への派遣要請を行っていますほか、県職員の派遣や任期付職員を採用して派遣するなどの支援を行っているところです。
また、今後、復興が進捗するにつれて、より地元職員が担うべき分野が拡大しますことから、それぞれの市町村の状況に応じた体制の整備や人材の養成が必要になってくると認識しております。
県といたしましては、市町村に対し、岩手県市町村職員研修協議会が実施する新規採用職員研修や法規、財務、税務等の専門研修の積極的活用を促すほか、県職員を講師として派遣し職員の人材育成を支援しておりまして、今後は、それぞれの市町村の復興状況や職員構成を考慮した人材育成の支援が必要と認識しております。
次に、復興工事等への対応についてでありますが、工事の増加に伴って、労務単価や建設資材が上昇傾向にあり、これまで設計労務単価の機動的見直しやインフレ条項の適用、間接工事費の割り増しを実施するなど、実勢価格を反映した工事費の算定に努めてきております。
また、地域の宿泊施設の状況を考慮しながら、引き続き作業員宿舎の確保に取り組んでまいります。
今後とも、関係機関と連携を図りながら必要な対策を講じてまいります。
次に、地方教育行政法の改正についてでありますが、知事就任以来これまでも、教育委員会との定期的な意見交換の実施などによりまして、認識を共有しながら教育行政にかかわってきているところでありますが、今般の法改正は、総合教育会議の設置などを通じて、知事と教育委員会とが、これまで以上に連携を深める好機であると認識しております。
改正法が施行される本年4月からは、新たに設置する総合教育会議の場において、大綱の策定や教育条件の整備等、重点的に講ずべき施策、緊急の場合に講ずべき措置などについて協議、調整を行って、教育委員会とともに本県の教育振興に努めていく考えであります。
次に、小規模高校におけるICTを活用した教育支援についてでありますが、まず、遠隔授業については、文部科学省が、北海道において一部の高等学校を指定して研究開発を行っておりますが、今後、その有効性や課題を踏まえて対応策等が具体化されるものと承知しております。
教育委員会においては、小規模校における教育環境の整備を図るため、教員の派遣やICTの活用などを検討することとしておりますが、この検討に当たっては、今後の国の研究開発の動向やICT技術の進歩なども十分に踏まえながら、適切な対応が図られるものと考えております。
また、本県のICT教育についてでありますが、本県においては、小学校から高等学校まで、それぞれの段階においてパソコンや電子黒板、デジタル教科書などのICTを活用した教育活動に取り組んでおりまして、沿岸部の学校においては、被災地支援を受けてタブレット型端末等を導入している学校もございます。
特に、特別支援学校におきまして、タブレット型端末を用いた授業に関する教育的効果が高いという評価が定着しておりますので、平成27年度予算において、特別支援学校へのタブレット型端末の配備を計上しているところであります。
次に、岩手県国民保護計画についてでありますが、県では、平成18年1月に岩手県国民保護計画を作成して以来、その実効性を高めるために、国や市町村、関係機関等と共同で国民保護図上訓練を実施してきましたほか、研修会の実施などによって、全ての市町村において市町村国民保護計画が作成されるように支援してまいりました。
平成27年度におきましては、昨年11月に変更した県計画に基づく国民保護措置について図上訓練を行いますとともに、実動訓練の実施や県民を対象としたセミナーの開催等について国との協議を進めるなど、その実効性を一層高め、県民の安全の確保に努めてまいります。
次に、人手不足の解消についてでありますが、県内就業を促進するためには、県内企業の採用力の強化や就職希望者とのマッチングの機会の拡充などを図る必要があります。
そのため、県としては、県内企業の人事担当者を対象に各種セミナーを開催するほか、新卒者等の若年者を対象に県内企業の紹介や就職面接会を実施するなど、さまざまな支援を行っています。
また、特に人手不足が顕著な分野の業界団体に対して、賃金や労働条件等の改善を要請しています。
さらに、平成27年度当初予算におきまして、県内企業が大手就職情報サイトを活用する経費への補助やジョブカフェいわてにUターン・Iターン就職相談窓口を設置する経費を盛り込むなど、取り組みを強化することとしておりまして、今後とも県内企業の人手不足の解消に努めてまいります。
次に、外国人就業者への対応についてでありますが、県では、平成22年2月に策定した岩手県多文化共生推進プランに基づいて、外国人県民に必要な情報等の提供や日本語学習の支援、日本社会のルールや多文化共生等に関する啓発などに取り組んできたところであります。
議員御指摘のとおり、今後、企業における外国人就業者の増加が見込まれますほか、ILC研究者やその家族の受け入れ体制の構築など、外国人県民等に対する支援や多文化共生の地域づくりがますます必要になります。
こうした状況を踏まえて、来年度、若者女性協働推進室に国際人材育成担当の特命課長を配置することとしておりまして、この体制のもと、市町村等と連携を図りながら、県南広域振興局における多文化共生の推進体制について検討してまいります。
次に、本県の農業の未来についてでありますが、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業の一つとして、将来にわたり持続的に発展していくとともに、食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要であります。
また、本県では、多くの農家が中山間地域で生産活動に携わり、農業が地域社会そのものを支えているという実態にありますことから、小規模農家も参画した地域農業、コミュニティが、今後も維持、発展されて、農業、農村が活性化されていくことも重要であります。
今般、国が進めている農協等の改革につきましては、これまで農協が果たしてきた役割を踏まえつつ、中山間地域等の条件不利地域が多い本県の実情などにも十分に配慮して、改革の目的としている農業者の所得向上と農業、農村の活性化につながるように進めてほしいと考えております。
県では、地域農業全体の展開方向を明確にした地域農業マスタープランを基本に据えて、地域農業の中心となる担い手の育成や小規模農家も参画した産地づくり、地域の多彩な資源を生かした6次産業化の取り組みなどを進めています。
今後におきましても、こうした取り組みを進めていくことによって、意欲と希望を持って農業経営に取り組む担い手の育成が図られ、地域づくりに懸命に取り組んでいる小規模兼業農家においても、地域に根差して、暮らしもよくなり、さらには、生産者や消費者がその豊かさ、恵みを実感できる農業の実現に向けて取り組んでまいります。
次に、農林水産物等の輸出拡大についてでありますが、推進に当たりましては、本県の安全・安心で高品質な農林水産物等の魅力を発信し、現地の実需者や消費者から高い信頼と評価をかち取っていくことが重要であります。
このため、経済発展が目覚ましいアジア地域や北米を主なターゲットにして、海外見本市への参加によるマッチング機会の創出や海外量販店等での販売促進活動を通じて、本県が誇る米、牛肉、水産物、日本酒など価値の高い産品を提案するなど、ブランド力の向上と販路の拡大に取り組むとともに、トップセールスによるEU等の市場開拓も進めるなど、戦略的に農林水産物等の輸出拡大を図ってまいります。
次に、日本酒の海外販売についてでありますが、県内酒造会社では、北米やアジアなどに積極的に販路開拓を進め、輸出が着実に拡大しつつあります。
本県の日本酒は、長い伝統と南部杜氏のわざに培われたすぐれた品質が海外で高い評価を受けており、メード・イン・岩手を代表する県産品として、今後の海外販路拡大が大いに見込めるものと期待しております。
また、県では、平成23年度に酒造好適米結の香を開発しておりまして、その特徴を生かした大吟醸酒の発売などにより商品力もさらに高まっています。
本年7月、本県が出展を予定していますミラノ国際博覧会では、岩手の誇る日本酒の展示、試飲などを行いまして、世界に向けて情報発信を行うこととしております。
県といたしましては、今後とも、このような博覧会や商談会などを通じて、酒造関係者と連携しながら、岩手の日本酒のさらなるブランド化を進め、重点的に海外販路の開拓を行ってまいります。
次に、高齢者福祉についてでありますが、介護を要する高齢者の増加に対応して、必要なときに必要な介護サービスが受けられる環境が整備されることが重要であります。
現在、市町村で策定中の第6期介護保険事業計画に関する国の基本指針においては、介護サービス基盤について、在宅と施設のサービス量の均衡を考慮し、サービス基盤全体の整備目標を立てて計画的に整備することとされています。
市町村では、この指針を踏まえて、被保険者のニーズ調査の結果や介護保険料負担等も考慮して、介護サービス基盤の整備を検討しております。
今回の計画は、地域包括ケアシステムの構築を目指すものであり、市町村では、特別養護老人ホームだけではなく、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護などの多様なサービス基盤を充実させることによって、介護を要する高齢者のさまざまなニーズに応えることができるよう策定を進めているところであります。
また、利用者の経済的な負担軽減については、低所得者向け各種負担軽減策の利用や低額な料金負担となる軽費老人ホームへの入所、家族の介護負担軽減については、ショートステイやデイサービスの利用などがございます。
県といたしましては、市町村が計画に基づいて行う各種介護サービスの基盤整備を支援しますとともに、利用者や家族の負担軽減策の活用が図られるように市町村へ働きかけを行って、高齢者が住みなれた地域で必要な介護サービスを受けながら生活を続けることができるよう取り組んでまいります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
本日はこれをもって散会いたします。
午後4時24分 散 会

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