平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(小田島峰雄君) いわて県民クラブの小田島峰雄でございます。会派を代表して質問させていただきます。
最初に、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
達増知事が就任されて、もうすぐ2期8年が経過しようとしております。この8年の間、本県におきましても実にさまざまなことがありました。東日本大震災津波という未曾有の大災害が発生し、多くの方々が亡くなり、いまだに沿岸被災地あるいは内陸の各地において、不自由な生活を余儀なくされている方々も少なくありません。
知事におかれましては、本県の最高責任者として常に県民の先頭に立ち、あらゆる施策を講じて本県発展のために全力を投じてこられたと承知いたしておりますが、この際、この8年間を振り返り、達増県政を総括していただきたいと思います。
知事は、昨年、2期8年という公約を翻し、3期目に臨まれる決意を表明され、このことをめぐって多くの議論が交わされたところでありますが、改めて、翻意に至った経緯について県民に御説明いただきたくお伺いいたします。
また、その際、それまでの政治スタンスを大きく変え、県民党としてやっていく旨の発言をされておりますが、その後の知事の行動には、いささか言動と異なる点が見受けられるように思いますが、このことについてもお答え願います。
昨年開かれた議会におきまして、平成25年度決算が不認定となりました。この決算不認定は3年連続であり、達増県政におきましては都合5回となるわけであります。全国都道府県議会で3年連続して決算が不認定となった例は、わずかに秋田県、宮崎県に見られるものの、過去10年間に5回以上不認定となった例は見当たりません。決算不認定は、法的には問題ないとはいえ、長に対する不信任にも相当する重いものであります。
平成25年度決算不認定に対する知事の記者会見での御発言は、決算不認定の理由は、議会の側から対外的に説明すべきであり、知事側は説明する立場にはない。また、問題となったDIOジャパンの対応についても、多くの市町、他県でも取り組んでいること、なぜ岩手だけが不認定になるのか疑問とお答えになっておられたと理解いたしておりますが、決算不認定に対する真摯な反省と再発防止のための強い決意がなければ、今後においても繰り返されるものと私は思うのであります。知事の明確なお答えをいただきます。
次に、平成27年度予算についてお尋ねいたします。
本格復興邁進予算と名づけられた新年度予算は、総額1兆1、112億円となっており、平成25年度末で終了した災害廃棄物処理を除いて過去最大とのことであります。大震災津波からの復興対策はもとより、深刻化する人口減少対策や財政の健全化対策など、一定の評価をいたすものでありますが、順次予算の内容についてお聞きいたします。
まず、予算編成方針を見ますと、当初予算は、諸般の情勢を考慮し、通常予算に準じて編成するものとしておりますが、その考え方についてお聞きいたします。通常、首長の改選期にあっては骨格予算とすべきでありますが、改選まで半年余の期間があり、暫定予算、骨格予算では対応できないと判断されたとは思いますが、その真意をお答え願います。
次に、新年度の国の地方財政計画を見ますと、一般財源総額について、地方創生のための財源等を上乗せして、平成26年度の水準から1.2兆円増額したとのことであります。それとともに、地方が従前から要望してきた地方交付税の原資となる国税の法定率が見直されておりますが、このことをどう評価しておられるかお聞きいたします。
また、この法定率改正の考え方と、今後さらなる改正に向けて要望する考えがあるかについてもお答え願います。
次に、本県財政の見通しについてお尋ねいたします。
新年度の県債発行額は、前年度を7.6%下回る737億円、プライマリーバランスも394億円の黒字、平成27年度末の県債残高についても400億円下回る1兆3、600億円となっており、健全化のための努力には敬意を表するものでありますが、このことは、多分に法人事業税や消費税率引き上げに伴う地方消費税等一般財源の大幅な伸びによってもたらされた面があり、経常収支比率や実質公債費比率を見ても東北6県の平均をかなり上回っている現状からは、依然として、本県財政は厳しい状況であることは変わりがありません。今後、どのような方針で財政健全化を維持し、増大する財政需要に対応する所存かお答え願います。
また、それらを達成するためには、中長期にわたる確かな見通しがなければならないことは申し上げるまでもありません。県では、昨年9月、平成26年度から平成28年度までの中期財政見通しを公表したところでありますが、それによれば、平成27年度には収支ギャップが236億円生じ、平成27年度末基金残高が297億円、平成28年度には収支ギャップが272億円、平成28年度末には取り崩すべき財政対策基金も枯渇するという見通しを示されましたが、平成27年度予算を見ますと、基金残高は438億円となっており、わずか半年余りで大きくそごを来すような計画を示すことに何の意味があるのでしょうか。見通しが甘いと断ぜざるを得ません。このことに対しても御見解をお聞きいたします。
次に、医師確保対策についてお尋ねいたします。
このことについては、我が会派の佐々木努議員がたびたび提言を行ってきた問題でありますが、全国的な医師不足が叫ばれる中、本県におきましても、人口10万人当たりの医師数が全国で40位、医師密度も全国46位となっており、医師確保が喫緊の課題となっております。
特にも岩手の急性期医療を担う県立病院等の医師不足は慢性化しており、少ない人員の中で激務に追われる医師の負担が年々増加していることから、団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題を控え、今後患者の増加が見込まれる今、早急に医師を確保し、安定的な医療提供体制を構築しなければならないと考えます。
そのような中、県におかれては、独自の奨学金制度による医師の養成を進めており、いよいよ平成28年度から養成医師が県内の公的医療機関で働くことになりますが、それに先立って、先般、県、県医療局、岩手医科大学、県国保連の4者が、奨学金医師の配属先を決める配置調整システムの導入について協定を締結したとのことでありました。
そこで伺います。この協定に基づき新年度に配置調整会議が設置されるとのことでありますが、制度がそれぞれ異なる中にあって、どのような考え方で配置調整が進められていくのか、協定の意義も含めた基本的な考え方をお示し願います。
若く優秀な医師を確保していくためには、医師のキャリア形成、医療技術向上のための支援も必要であります。それには、若い医師が魅力を感じるような環境の整備が必要であり、患者と向き合いながらも新たな先進医療を学びたいという医師の思いに応えていくことが、若い医師たちの岩手で働きたいという意欲を向上させ、定着も進むと考えます。
このような考え方に立った議論は、これまでも本会議等で交わされてきたところでありますが、知事は、今後どのような考え方で県立病院への先進的な医療機器の導入を進めようとしているのかお伺いします。あわせて、医療局が新年度予算に計上した44億5、000万円の導入費で、どのような医療機器を整備しようとしているのか伺います。
次に、地方創生と人口減少対策についてお尋ねいたします。
政府は、昨年12月、人口減少問題に対応する5カ年間のまち・ひと・しごと創生総合戦略と地域活性化策を柱とする経済対策を決定いたしました。現政権が地方創生を重点政策に掲げ、地方重視の姿勢を打ち出した背景には、日本創成会議が昨年5月に示した2040年には全国約1、800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測があることは明らかでありますが、本来、地方振興、地域政策と人口減少問題は、別途議論するべきであると私は考えております。
このような深刻な事態に至る前に、我が国はもっと真剣に取り組んでこなければならなかった大きな課題があり、その一つが地方分権改革であります。歴代内閣で都市と地方のあり方、地方の活性化がうたわれなかった時代は、私の記憶にはありません。古くは大正末期から地方重視が叫ばれてきたのであります。
しかしながら、今日に至るまで、国が地方を統治する仕組みは、ほとんど変わっておりません。地方を縛る規制の撤廃も、補助金行政も、権限や税財源の移譲も、到底改革が進んでいるとは思えない状況であると断ぜざるを得ません。
さきの政府の地方分権改革推進本部における全国の自治体が寄せた地方分権改革の提案に対する対応も、何ら見るべきものはありません。知事には、地方分権の視点で、このところの国の政策に対する御見解を伺います。
〔議長退席、副議長着席〕
このたびの経済対策の中心となるのが総額4、200億円に上る新たな交付金であります。そもそも金を配る政策は過去にも何例もありましたが、果たして目立った効果を上げることができたのか疑問であります。もらわないよりはもらったほうが得だ式の考え方は、感心できません。県においても、旅行券の発行や県産品の購入費用への助成に活用することを検討しているようでありますが、その狙いと事業の詳細をお答え願います。
人口減少対策を総合的に推進するための主たる取り組みとして、185事業、総額458億円を措置したとのことであります。各部局にまたがり多岐にわたる関連事業をどう結びつけ、成果を上げようとしているのか、また、総合的な評価と検証はどこで行うのか、さらに、行政組織内にふるさと振興監を配置するとのことでありますが、狙いと役割についてもお聞きいたします。
次に、平成の大合併の検証についてお尋ねいたします。
我が国は、平成11年の合併特例法により急激に市町村合併が進み、当時3、200ほどの自治体が現在1、700余の市町村に再編されたことは、御存じのとおりであります。本県におきましても例外ではなく、当時59市町村であったものが、現在は33市町村となっており、その合併市町村のほとんどが、今、おおむね10年という大きな節目を迎えるに当たり、このたびの合併をしっかりと総括し、検証すべきとの観点から質問するものであります。
これまでの合併に関する論文、資料、アンケートなどを見ますと、合併市の首長、議員等は、おおむね現状に対して肯定的であるのに対し、合併を選択しなかった町村のそれは、総じて否定的であります。このように立場の違いによって、合併をどう見るか、見解が著しく相違していることを念頭にお聞きしてまいります。
当時、合併すれば行財政の効率化が図られる、何より権限の移譲や財政基盤の強化が図られ、自立した自治体運営が可能となる、そんなうたい文句に呼応し、合併した市町村も多いと認識いたしておりますが、果たして、合併10年を迎え、期待した結果が得られているのでありましょうか。今、合併市の多くが、合併特例すなわち交付税の合併算定がえによる加算措置の廃止、合併特例債の期限満了と発行済み特例債の多額の償還等の問題に直面しております。
これらの問題は、合併時において当然想定していたこととはいえ、合併効果の発現を急ぐ余り、行政サービスは高いところに、負担は安いところに合わせたことに加え、単独では実現できなかった大型公共施設が合併特例債を財源に次々に建設されたことなどに起因すると考えるものでありますが、合併特例債とて借金には変わりがなく、償還財源に窮することは当然であります。反対に、合併を選択しなかった自治体、とりわけ小規模町村においては、近い将来訪れるであろう財政悪化を予測し、行財政の効率化に真剣に取り組むなど、自治体のスリム化に懸命に努力してきたと認識いたしております。
そこで、この10年間における合併市と自立を選択した町村の財政状況について、どう推移したかお尋ねいたします。恐らく過疎債や辺地債を効果的に活用してきた自立町村のほうが安定しているのではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。合併によって行財政の効率化が図られ、合併のメリットを最大限享受してきたはずの合併市が、今、さまざまな困難に直面しているのは、歴史の大いなる皮肉であります。
次に、この平成の大合併が、何より地方が願いとしてきた権限の移譲や財政基盤の強化などが図られ、真に地方自治の確立に寄与したと評価しておられるか、御見解をお示しいただきます。地方創生などという仰々しい言葉でさまざまな施策が講じられようとしておりますが、これを見ても、地方の自立は依然として道遠しの感を抱いているのは私ひとりではないと思うのであります。
県におきましては、合併後4年ほど経過した平成22年、合併市町の現状に関する調査を行っております。この調査結果を見ますと、合併による効果や課題などを問うているものの、主として中心市からの視点で取りまとめられた感が強く、急激に進行する人口減少や財政悪化など、合併前の諸条件が大きく変化している今、改めて調査すべきときに来ていると思うのでありますが、そのような考えがおありかお聞きいたします。もちろん、調査に当たっては、中心市だけでなく周辺部の住民からも聞き取りすべきことは申し上げるまでもありません。
次に、本県農政の推進についてお尋ねいたします。
最初に、環太平洋パートナーシップ協定いわゆるTPP問題のうち、農業分野に限ってお尋ねいたします。
このほど、交渉参加国12カ国は、首席交渉官会合を終え、今後の事務レベル協議を経て閣僚会合を開催し、今春の合意を目指すなど、一連の交渉は大詰めの段階に入っております。
我が国は、従来から米と牛肉、豚肉、乳製品、小麦、砂糖を重要5項目と位置づけ、関税撤廃を拒み、米国と対立してきたことは御案内のとおりであります。しかしながら、最近の日米間の協議に関する報道を見ますと、牛肉におきましては、現行の38.5%の関税を15年程度で9%まで引き下げることを初め、豚肉においても大幅な譲歩を我が国が提案しているとのことであります。また、米につきましても、関税には手をつけないものの、現在のミニマムアクセス米とは別に米国産主食用米を一定量、低関税もしくは無税で輸入することを検討するなど、本県農業にとって少なからぬ影響を及ぼす懸念があります。
そこで、まず、このような一連の交渉経過をどうごらんになり、どのような御見解をお持ちであるかお聞きいたします。
県におきましては、以前、関税を即時撤廃し、国内対策を講じないとの前提で本県農業への影響額を試算しております。それを見ますと、小麦や乳牛は壊滅、米や牛肉、豚肉においても極めて深刻な影響を及ぼすと見ているようでありますが、当然、交渉妥結をにらんで種々の対策を講じておられると思いますが、その内容と、来年度予算にどう反映されているのかお尋ねいたします。
米価の下落を初め本県農業はかつてない厳しい状況に直面しておりますが、これまで、TPPに関して県も国に対して提言、要望を行ってきたと承知しており、交渉妥結前に緊急にアクションを起こすべきと思いますが、御所見を伺います。
次に、本県の中山間地域の農地集積についてお尋ねいたします。
国では、農林水産業・地域の活力創造プランにおいて、農業を足腰の強い産業としていくための産業政策と、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を図るための地域政策を車の両輪として推進することとし、その中で農地の有効利用の継続や農業経営の効率化を進める担い手への農地利用の集積、集約化を加速化させることが不可欠であるとしております。
このため、本年度から農地中間管理事業が新たにスタートし、本県では、事業主体である農業公社を通じて、このほど貸借農地の取りまとめを行ったところであり、それを見ますと、借り受け希望面積が約1万5、000ヘクタールに対して、貸し付け申し出面積が約2、500ヘクタールと大きな乖離が生じております。制度の周知が不十分であることなどが要因と見られますが、現時点で既に625ヘクタールの転貸実績となっており、制度創設初年度としては大きな成果であると評価するものであります。
しかしながら、転貸された農地のほとんどは平場に集中しており、問題は中山間に存在する農地であります。本県は、私の住んでいる東和地域も含め、約8割の農地が中山間地域に存在しており、これらの農地を耕作している農業者は高齢化とともに減少していくことが予想され、今後、貸し出し希望者が大幅に増加するものと思われます。
一方で、それらの農地を借り受ける担い手が中山間地域に果たしてどの程度存在するのか。まして、区画が狭小といった圃場条件がよくない農地は作業効率も悪く、受け手にも敬遠されるであろうことが容易に想像されます。本県農業の発展のためには、中山間地域の農地における農産物の生産機能を今後もしっかりと維持していくことは必要不可欠であります。
そこで伺いますが、このような状況が危惧される中にあって、中山間地域の農地集積を進めるためどのように取り組んでいくのかお答え願います。
次に、本県主食用米の品種開発についてお尋ねいたします。
昨年、岩手県議会米穀園芸生産流通議員研究会では北海道に赴き、ゆめぴりか、ななつぼしなど北海道米の主力品種に係る生産、流通、販売戦略などをつぶさに研修してまいりました。同時に、水田の区画整理において、1枚の田んぼを7ヘクタールというとてつもない区画に整備する現場も見てきたところであり、近い将来、北海道米が全国を席巻するのではないかとの危惧を抱いてきた次第であります。
本県のあきたこまち、ひとめぼれなど、よそからの借り物でない本物のオリジナル品種の誕生を待望しておりましたところ、このほど県は、岩手107号、岩手118号の2品種を相次いで公表いたしました。米価の下落を初めとして数々の困難に直面している農業者にとって、間違いなく希望を持って迎えられるであろう快挙であり、長年にわたって研究されてこられた皆様に心から敬意を表する次第であります。
岩手107号はあきたこまちの後継品種であり、岩手118号は、あのコシヒカリを超す最高級品種とのことでありますが、改めて両品種の特性、栽培適地、生産の見込み、販売戦略など、県の意気込みと対策をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
8年間を振り返った県政の総括についてでありますが、危機を希望に変えるというスローガンのもと、知事に就任して以来、職員と危機意識を共有し、岩手が直面していた人口の社会減の拡大や国民所得に対する県民所得の水準の乖離など、県政の重要な課題に取り組んでまいりました。
この間、東日本大震災津波が発災しましたことから、東日本大震災津波復興委員会や、いわて未来づくり機構に代表されるオール岩手の力も結集しながら、市町村、国、県が一体となって、被災地や被災者に寄り添う復興に全力を挙げて取り組んでまいりました。さらに、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功やILC―国際リニアコライダーの実現などに向け、復興を後押しする取り組みを先頭に立って推進してきたところであります。復興はいまだ道半ばであり、引き続き課題を一つ一つ着実に解決しながら本格復興に邁進し、復興の先にある希望郷いわての実現を目指してまいります。
次に、知事の任期と県民党についてでありますが、1期目の選挙に当たり、知事の任期は原則2期8年を公約としましたが、東日本大震災津波という未曽有の非常事態が発生し、岩手県として総力を挙げて復興に取り組む中、引き続き知事として県政を担わせていただきたいと考えたものであります。
また、県民党のスタンスについてでありますが、さきの衆議院議員選挙に当たっても選挙運動は一切せず、岩手県の現職8人の衆議院議員に引き続き活躍していただきたいと公言し、県民党のスタンスを貫いたところであります。今後も、オール岩手で復興に取り組むことに賛同する全ての方々とともに県政に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、議会の決算不認定と再発防止についてでありますが、平成25年度決算の認定につきましては、行政、民間が一体となって復興に取り組んできた1年間の決算であり、それが不認定にされたことは残念と受けとめているところであります。
一方、決算不認定の背景には、県行政に対するさまざまな御批判、御意見があってのことと理解しており、県としては、そうした意見をしっかりと受けとめて、よりよい行政を目指して取り組んできたところであります。
再発防止については、県議会からいただいたさまざまな御指摘や御意見を踏まえ、今年度から、組織体制の整備による内部管理体制の強化、基本共通マニュアル策定などによる職員の資質向上など、県組織全体として補助事業の適正執行に努めてきたところであります。今後におきましても、引き続き適正な事務処理の確保に努め、県議会や県民の皆様の信頼に応えられるよう県政を推進してまいります。
次に、平成27年度当初予算編成方針についてでありますが、これまで、知事選挙が予定されている年度においては、年度当初に選挙が実施されるということを踏まえて、当初予算は骨格予算として編成されてきたところでありますが、平成27年度については、選挙まで約半年の期間が生じることとなります。特に、平成27年度は、復興道路の整備や災害公営住宅の建設など復興に向けた取り組みが一層本格化する年であり、復興事業や県民生活に必要な事業を停滞させることなく実施していかなければならないことから、通常予算に準じた予算編成としたところであります。
次に、平成27年度地方財政計画についてでありますが、地方交付税の原資となる国税5税の法定率の引き上げについては、地方財源不足の解消と累増する臨時財政対策債の縮小のため地方がこれまで要望してきたものであります。今回の法定率の見直しは、交付税原資の安定性の向上と充実を目的として実施され、これによりまして交付税原資が約900億円増額されるということになります。この効果額は規模としては小さいものの恒久的な措置でありまして、今回の見直しは大きな前進であると考えています。
一方、平成27年度の地方財政計画においては、今回の法定率の見直しを実施しても、なお多額の財源不足が生じているところでありまして、今後も、引き続き、法定率の引き上げなど安定的な地方財源の確保を強く求めていきたいと考えております。
次に、財政健全化についてでありますが、本県財政は、過去の経済対策に伴い発行した県債の償還が高水準で推移していることにより、経常収支比率や実質公債費比率が高い値となっています。このため平成25年9月に公債費負担適正化計画を策定し、県債発行の適正管理や低利資金の活用に取り組み、平成27年度当初予算編成においても、プライマリーバランスの黒字を維持するなど健全化に努めたところです。今後も、社会保障関係費など増大する財政需要に対応するため、公債費負担の適正化を初め財政の健全化を図りつつ、国に対して適切な財政措置を強く働きかけるなど、安定的な財政運営の実現に向け取り組んでまいります。
次に、中期財政見通しについてでありますが、昨年9月に策定した中期財政見通しでは、平成27年度に236億円の収支ギャップが生じると見込んでおりましたが、平成27年度の地方財政計画におきまして、地方税の伸びなどによって今年度を上回る一般財源総額が確保されたことや、予算編成過程を通じて歳出の見直しに努めましたことなどによって、実際の収支ギャップは192億円に縮小しました。
また、今年度において、見通しの結果も踏まえて予算の効率的な執行に努めたことや、県税収入が伸びたことなどによって見通し策定時点と比較して90億円を超える財源が確保されたところであります。こうしたことによりまして、財源対策基金の残高が中期財政見通しと比較して増加する結果となりましたが、本県財政は依然として厳しい状況が続くと見込まれますことから、今後とも、限られた財源の有効活用を図りつつ、予算の効果的、効率的な執行に努めてまいります。
次に、医師確保対策についてでありますが、先般、県、医療局、国保連及び岩手医科大学により、良医を育て、質の高い地域医療に寄与することを基本理念とした奨学金養成医師の配置調整に係る協定を締結しまして、4者の共通理解のもとに、現行の三つの奨学金制度で養成した医師の配置調整を一体的に運用して、地域に適切に配置することとしたものであります。
この協定では、勤務対象の公的医療機関を基幹病院とその他の中小医療機関とに分けて、それぞれ一定期間勤務することや、中小医療機関での勤務に必要な総合診療スキルの習得などのキャリア形成支援を行うことなどを定めています。今後は、協定に基づく配置調整を円滑に進め、地域医療の核となる奨学金養成医師の県内への定着を着実に推進してまいります。
次に、先進的な医療機器の導入についてでありますが、医療の高度化が進む中、先進的な医療機器を活用し良質な医療を提供することは県立病院の役割の一つと考えておりまして、また、こうした医療機器の導入は医師の意欲向上につながる側面も有していると認識しております。その整備に当たりましては、必要性、緊急性及び経済性の観点から総合的に判断し、財源の確保を図りながら優先度の高いものから導入を進めていく考えです。
新年度予算の医療器械費につきましては、定期的な更新計画に基づき整備するCT装置、MRI装置などの高額医療機器や、被災病院の再建に伴い必要となる医療機器のほか、各病院からの要望を踏まえて選定した機器の整備費を計上しているところです。
次に、地方分権改革についてでありますが、国は今年度、新たに地方からの提案を広く募集する制度を導入し、現在、6割程度の提案について地方の意向が反映されることとなっており、これまでの地方分権改革の取り組みに加え一歩前進したものと評価しております。
しかし、今回の提案の実行段階においては、一部国の関与が残るものがあるなど、提案内容が必ずしも十分に反映されていない点がありますことから、引き続き、地方が真に必要としている権限移譲や規制緩和について、全国知事会と連携し、国に働きかけていきたいと考えております。
次に、新たな交付金の活用についてでありますが、国の経済対策に計上された地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金においては、地方公共団体が実施する地域の消費喚起や生活支援策などに対し国が支援することとしています。交付金の活用に当たって、国から都道府県には、域外消費喚起を目的としたふるさと名物商品券、旅行券等の事業実施が推奨されています。
本県におきましては、インターネットやアンテナショップを通じた県産品の購入費用への助成や、県内宿泊施設で利用できる旅行券の発行などの事業を平成26年度2月補正予算で提案しようと考えておりまして、主に県外からの需要を取り込みながら、県内における消費の喚起を図ってまいります。
次に、人口減少対策の取り組みについてでありますが、来年度は、人口問題に関する報告(案)に盛り込んだ施策を推進するため、各部局や広域振興局にふるさと振興監を配置して、県の総力を挙げて取り組む体制を整備することとしております。
具体的には、各部局の人口減少対策の企画や進捗管理を初め部局横断的な取り組みの連絡調整を担い、庁内の連携強化による相乗効果の発揮を目指していきます。広域振興局においては、市町村との窓口として協働体制や支援の強化を図ってまいります。また、ふるさと振興監が関係機関、関係団体との窓口となり、オール岩手による取り組みを推進していきます。今後、人口減少対策の取り組みを推進するに当たっては、外部有識者からも意見を聴取しながら、評価、検証を進めていくこととしております。
次に、合併市町村と自立を選択した市町村の財政状況の推移についてでありますが、合併以降の実質公債費比率や将来負担比率の推移を見ますと、合併した市町村と、しなかった市町村、いずれも同様に改善しておりまして、現在のところ、両者とも健全な財政運営がなされているものと認識しております。その中におきまして、合併市町村では、合併特例債の活用によって学校や火葬場等の長年懸案となっていた施設を整備するなど、合併のメリットを享受したものと考えております。
次に、権限の移譲と財政基盤の強化に係る評価についてでありますが、合併市町村においては、農地、産業保安分野の許認可事務や高齢福祉分野の事務などが移譲され、行政サービスの向上や市町村事務の高度化などが図られており、合併により、専門職員の配置や専門組織の設置など権限移譲を受けるための体制が整えられたことによるものと評価しております。また、財政面においては、行政資源の集約化や効率化、合併特例債の発行や普通交付税の合併算定がえなどの手厚い財政支援により、財政基盤の強化が図られていると認識しております。
次に、合併市町の現状に関する調査についてでありますが、合併後10年を迎え、合併算定がえの縮減が始まる中で、合併後の実情に応じた地方交付税の算定方法の見直しが進められており、今後の財政運営の見通しを把握する必要があると考えています。
一方、人口減少に伴う行財政規模の縮小や社会資本の老朽化、広域連携などの新たな課題にも直面しており、今後、持続可能な行政サービス体制を構築していく観点からも、合併市町村と連携して調査を実施したいと考えております。
次に、TPPの交渉経過についてでありますが、TPP協定交渉については、十分な情報の提供や説明もない中で、今般、安倍首相が、交渉は出口が見えてきた、早期の妥結を目指すと施政方針演説で述べたほか、牛肉の関税引き下げや米国産米の輸入拡大等の報道がなされるなど、いわゆる重要5項目の取り扱いは予断を許さない状況と捉えています。
TPP協定参加による本県農業への影響を、関税撤廃など一定の条件のもとで試算しますと農業生産額の約4割が減少となり、農業の生産活動や農村社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。このため、交渉を行う政府は、関税撤廃を認めないとした衆参両院の農林水産委員会における決議も踏まえ、地域経済や国民生活に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含めて断固たる姿勢で臨むべきと考えております。
次に、TPP協定と農業対策等についてでありますが、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業として大きな役割を担ってきたところであり、今後においても、TPP協定への参加いかんにかかわらず、その強化を図っていくことが重要と考えております。このため、農業の強化に向けて、地域農業マスタープランに位置づけられた中心経営体の認定農業者への誘導やリーディング経営体の育成とともに、農地中間管理事業等を活用した担い手への農地集積のほか、6次産業化、国内外への販路拡大などを進めることとしております。
また、米については、生産コストの低減や県オリジナル新品種のブランド化、県産米の消費拡大に取り組むほか、畜産については、酪農、肉用牛の飼養管理施設の整備や肥育経営への支援などを行うこととしており、このような施策について、2月補正予算や平成27年度当初予算に盛り込んでいるところであります。
次に、TPP交渉に関しての県の対応についてでありますが、県では、TPP協定交渉について、国に対し、十分な情報開示と説明を行うとともに国益にそぐわない交渉は決して行わないよう繰り返し要請してきたところであり、昨年11月にも北海道及び東北6県の知事の連名で国に要請を行ったところであります。しかしながら、関税を維持するとしていた米、牛肉、豚肉などいわゆる重要5項目の取り扱いも予断を許さない状況となっております。このため、県としましては、今後とも情報収集に一層力を入れるとともに、北海道東北地方知事会や全国知事会などと連携しながら、あらゆる機会を捉えて国に強く要請してまいります。
次に、中山間地域の農地集積についてでありますが、中山間地域の農業が維持、発展していくためには、地域の中心となる担い手の確保とあわせて効率的な営農ができる生産基盤の整備と農地の集積を進め、地域農業の担い手を育成していくことが重要であります。このため県では、地域農業の将来像を描いた地域農業マスタープランの実現に向けた話し合いにより担い手の明確化を促すとともに、急勾配、農地分散など中山間地域特有の条件を勘案しながら、大区画にこだわらない区画形状や排水対策などのきめ細かな基盤整備と、農地中間管理事業による農地集積を一体的に推進してまいります。
こうした取り組みに加えて、各広域振興局に設置した中山間応援隊が、基盤整備や農地中間管理事業の円滑な導入が進むよう市町村へアドバイス等を行い、中山間地域においても農地の有効利用と農業経営の効率化が実現できるよう農地集積を促進してまいります。
次に、主食用米の品種開発についてでありますが、あきたこまちに比べて食味と収量性にすぐれる岩手107号は、県中部を栽培適地とし、栽培面積は1万ヘクタールを目指すこととしています。また、コシヒカリを超える良食味米として開発を進めている岩手118号は非常に食味がすぐれており、今後、全国最高水準の食味を確保できる栽培適地や栽培方法の検討を進め、当面、2、000ヘクタールを目標として普及を図ってまいります。
販売に当たりましては、岩手118号を県産米のフラッグシップに位置づけて、全国トップクラスの販売価格を目指すとともに、両品種のブランドイメージを高めるネーミングやデザイン作成、話題性を高めるプロモーションを展開してまいります。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
午後2時33分 休 憩
出席議員(44名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
26  番 五日市   王 君
28  番 工 藤 大 輔 君
29  番 嵯 峨 壱 朗 君
30  番 工 藤 勝 子 君
31  番 工 藤 勝 博 君
32  番 高 橋 昌 造 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
27  番 喜 多 正 敏 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時53分 再 開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
日程第1、一般質問を継続いたします。郷右近浩君。
〔16番郷右近浩君登壇〕(拍手)

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