平成27年2月定例会 第18回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
本定例会において代表質問をする機会を与えられましたことに感謝を申し上げます。
初めに、平成27年度当初予算への計上漏れについてお伺いします。
報道によりますと、国の緊急雇用創出事業を活用し、被災地の障がい者の就労施設を支援するため被災者を雇用している事業について、1年間延長する方針であるものを、県が確認を怠り、当初予算に計上していなかったと伝えられております。今年度は8市町村の18施設において合わせて28人が雇用されておりますが、一部の施設では事業の打ち切りが伝えられることにより解雇を申し出たとも伝えられております。
県は、平成27年度の補正予算として追加提案する意向とのことですが、なぜこのような事態が発生したのでしょうか。チェック体制はどのようになっており、今後どのように改善するのかお伺いします。また、各事業所に対して大きな不安を与えたと考えられますが、各事業所に対しどのように対応されるのでしょうか。あわせて、知事は、この情報を聞いたときにどのような指示を出されたのかお伺いします。
次に、知事演述についてお伺いします。
まず、東日本大震災津波からの復興についてでありますが、知事は、市町村、県、国が一体となって被災地、復興地に寄り添う体制を構築することができた、被災現場のニーズを直ちに吸い上げ、必要な施策を県みずからの判断で制度化してきたと自己評価されました。
また、平成27年度の当初予算を本格復興邁進予算と銘打ち、本格復興に邁進するための予算を最優先で措置したとしております。安全の確保のため、被災した河川、海岸の復旧はもとより、暮らしの再建の礎となる災害公営住宅の整備促進、なりわいの再生のための中小企業への支援など、本格復興期間の中間年として、これらに全力を挙げて取り組んでいかなければならないことは言うまでもありません。全県的に復興を進めるため、用地の確保、人材、マンパワーの確保、入札不調や資材不足の対策など、被災市町村が抱える課題に対して支援と連携を一層進めていくべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
さて、震災から間もなく4年の歳月が流れようとしています。被災地の現状といえば、今もって約1万3、000世帯が応急仮設住宅等において不便な生活を余儀なくされております。知事も演述において、一日も早く全ての方々が恒久的な住宅に転居することができるよう、市町村のまちづくりとあわせ災害公営住宅の整備に全力を注ぐと約束されました。いつ災害公営住宅に入居することができるか、あるいはいつ宅地が造成され自宅を再建することができるかがわかれば、それに向けて不便さに耐えて頑張ることができるかと思います。被災者の方々が目標を持てるようにすることが生活再建の第一歩であります。
知事は、復興まちづくりの現状を調査されている中で、希望郷いわてとはほど遠い現実を目の当たりにされていると思いますが、今後の復興の見通しについて、どのように被災者の方々に情報発信しようとしているのかお伺いします。
次に、復興に関する国の予算についてお伺いします。
東日本大震災津波に係る平成27年度の復興予算は3.9兆円となり、前年度の当初予算に比べ7.2%増となっています。一方で、県における復興計画は平成30年度までであり、現在は平成28年度までの第2期本格復興期間に入っておりますが、国の復興財源は、平成27年度までの集中復興期間に全体で25兆円が確保されているものの、その後については、平成23年7月に東日本大震災復興対策本部が定めた東日本大震災からの復興の基本方針によりますと、事業の進捗等を踏まえて復旧・復興事業の規模の見込みと財源について見直しを行い、集中復興期間後の施策のあり方も定めることとするとしております。
県は、平成27年度を本格復興邁進年とする中で、おくれているまちづくり事業の推進や暮らしの再建、住まいの確保、インフラの整備等を計画どおり進捗できる予算となっているのかお伺いします。また、平成30年度までの復興期間における復興予算をどのぐらいと試算されているのでしょうか、お示し願います。あわせて、予算確保に向けて、知事は政府に対してどのように働きかけていこうとしているのかお伺いします。
次に、若者や女性の活躍についてお伺いします。
知事は、若者や女性の活躍を力強く後押しすると宣言されました。安倍総理大臣も、さきの国会における所信表明演説において、女性が輝く社会を目指すと述べられております。
女性の社会参加については、戦後、婦人参政権が認められ、昭和21年4月に行われた戦後初の衆議院議員総選挙では日本初の女性議員39名が誕生し、また、同じ年に公布された日本国憲法では男女平等が規定されました。しかしながら、実態は、社会や地域、家庭において男女平等と言うにはほど遠い現実があったと思われます。
国連においては、1979年に女子差別撤廃条約が採択され、1981年に発効されましたが、日本が条約を締結したのは1985年、昭和60年になってからでありました。同じ昭和60年にいわゆる男女雇用機会均等法が、平成11年6月に男女共同参画社会基本法が施行され、21世紀の我が国の社会を決定する最重要課題に位置づけられるなど、ようやく今日になってさまざまな分野において女性が活躍できる社会が構築されてきたと思っております。
現在、国では、新たに経済の成長戦略の一つとして、少子高齢化によって労働人口減少が懸念される中で、女性が働きやすい環境を整え、女性の力を最大限発揮することで、新たな成長分野を支える人材として位置づけるとともに、若い世代の就労、結婚、子育てを応援する総合的な少子化対策に力を入れていこうとしております。女性が輝いて活躍するために光を当てようとするならば、社会全体の理解と意識改革、女性を取り巻く環境づくりが求められていると思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。
また、男女共同参画社会は、男性も女性もともに持っている力を発揮することで女性が輝いて活躍できると考えますが、知事の、女性の活躍に対する期待についてお伺いいたします。あわせて、女性が積極的に役職に登用される社会とするためどのようにすべきか、所見をお伺いします。
また、知事は演述の中で、若者、女性の生きにくさの解消を重点対策として、やれることは何でもやるとの覚悟のもと、総力を挙げて取り組むとの姿勢を示されました。
率直に伺います。生きにくさとは何でしょうか。思うに、生きにくさの中には、特に県内で働く女性の多くがパート、アルバイト等非正規社員という身分で仕事についており、経済的に安定しないということも挙げられると思われます。県は、このような現状に対しどのような対策を講じられるのかお伺いします。
加えて、仕事、育児、家事、子育ての両立への支援のために、出産から育児まで、市町村が関係機関や団体と相互に連携しながら切れ目のない支援を行う必要がありますが、今後、市町村にどのような支援を行っていくのかお伺いします。
次に、人口減少問題についてお伺いします。
知事は、人口減少は、将来の危機というよりも、今、目の前にある危機と捉え、減少の要因となっている問題に正面から取り組み、克服していかなければならないとの認識を示されました。
昨年の5月に日本創成会議・人口減少問題検討分科会が発表したストップ少子化・地方元気戦略、いわゆる増田レポートが発表されて以来、にわかに人口減少問題がクローズアップされておりますが、地方における人口減少は今に始まったことではありません。知事御自身も、8年前の知事就任に当たり、岩手の危機として、県民所得、雇用環境、人口減少、地域医療の四つを挙げられました。さらに、人口減少に伴って危惧される県民の声として、税収減による社会保障サービスの低下、労働力の減少による産業の低迷、消費の減少による経済の低迷、地域、集落の消滅による農地、森林、ふるさとの荒廃などを挙げられております。
人口減少問題に対しては、今日まで、国においても、県においても、子育て支援を初め地域活性化対策、中山間地域活性化対策、過疎対策等さまざまな手が打たれてきました。知事は、岩手の危機を希望郷いわてとするために、最大の課題である人口減少問題に対し、選択と集中の中でどのような取り組みを行い、結果をどのように検証し、課題をどのように捉えているのかお伺いします。
進学や就職のため多くの若者が県外に流出しております。特に22歳前後では男性よりも女性が多く流出している現状にあり、この女性の県外への流れをとめ、県内で就職できるようにしなければなりません。知事はこの現状をどのように捉え、今後どのような対策をとろうとしていらっしゃるのかお伺いします。
また、東日本大震災津波を受けて、沿岸被災地から内陸部や県外へ避難した被災者を対象に県が行ったアンケートによりますと、家族全員の住民票を移動したと答えた世帯が、内陸61.2%、県外67.6%と、ともに6割を超え、被災地からの人口流出の懸念がまさに現実のものとなっています。岩手県毎月人口推計によりますと、平成26年10月1日現在の人口は、震災前の平成22年10月現在と比べ、大槌町では23.5%減の1万1、690人、陸前高田市では17%減の1万9、333人、山田町でも14.6%減の1万5、903人と軒並み2桁の減少率となっております。知事は、ふるさとを消滅させないと言われておりますが、被災地の人口減少に歯どめをかけるため今何をすべきと考え、どのような対策を始めようとしているのかお伺いします。
また、国においては、これら人口減少問題に対応するため、昨年12月に、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンと、これを実現するためのまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、閣議決定されました。このまち・ひと・しごと創生総合戦略によりますと、各地方公共団体は、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案し、遅くても平成27年度中に、中長期を見通した地方人口ビジョンと5カ年の地方版総合戦略を策定し、実行するよう努めるものとするとされております。さらに、地方の積極的な取り組みを支援する自由度の高い交付金が平成26年度補正予算で先行的に創設され、国は各市町村自治体に対して計画の提出を求めていると伺っております。
地方創生の基本課題は、地方経済の衰退と人口減少の悪循環からの脱却を図り、魅力あふれる地方創生事業によって地方への人の流れをつくることにあります。今後、新たな交付金により地方自治体等が主体的に取り組むことを基本とし、効果の高い政策を集中的に実施することになると思われますが、知事は、まち・ひと・しごと創生総合戦略の効果をどのように予測し、どのような期待を持たれているのかお伺いします。また、岩手の地域特性として何を取り上げ、何を提言し、地方創生事業によって活性化を進めようとしているのか、あわせてお伺いします。
次に、本県農業のあるべき姿についてお伺いします。
知事は演述において、農業に関し、オリジナル新品種のブランド化、地域農業の核となる経営体の育成、国の農地中間管理機構や圃場整備事業等を活用した担い手への農地集積、農林水産物の6次産業化について触れられましたが、知事御自身の本県の農業に対する認識、いわば哲学をお聞きすることはできませんでした。言うまでもなく、農業は本県の基幹産業であります。個々の農家の所得が向上しない限り、本県の経済状況も好転しません。知事は、本県における農業のあるべき姿をどのように捉えていらっしゃるのかお伺いします。
次に、農地中間管理事業についてお伺いします。
昨年の代表質問において、知事からは、農地中間管理事業の実施により、担い手の経営規模の拡大やコストの低減などの効果が期待される一方、農地の出し手と受け手の円滑な調整や、基盤整備がおくれている中山間地域等での農地集積の難しさが懸念されるとの御答弁がありました。
制度が始まってまだ1年であり、評価を出すには早過ぎるとは思いますが、稲作主体の農家の方からは、米だけでは生きられない、農地を借りる際に支払う賃料もままならない、コスト削減にも限界があるとの声も聞かれるところです。国では、今後10年間で、担い手の農地利用が全農地の8割を占める農業構造を実現し、農地の集積、集約化によりコスト削減を図るとしておりますが、本県において、農地中間管理事業にどのように取り組んでいくのかお伺いします。
また、知事は、オリジナル新品種のブランド化に取り組む旨、宣言されました。昨年の質問においても、知事は、コシヒカリを超える良食味品種を目指して開発を進めている旨、答弁されております。先ごろ、岩手118号を本県最高品種と位置づけ、相対取引価格も全国で5位以内を目指すとの報道がありました。平成26年度産米の相対取引価格を見ますと、1位は新潟魚沼産コシヒカリ、2位は山形産つや姫、3位は北海道産ゆめぴりかと、上位3位のうち二つが東北と北海道のブランド米となっております。
コシヒカリを超える良食味品種であるならば、岩手ブランド米として、5位以内とかではなく、もっと高い目標としないのか。腰が引けているように思いますが、知事はどのように考えているのでしょうか。また、どこに的を絞って栽培し、どこに的を絞って販売戦略を立てようとしているのかお伺いします。
次に、昨年の12月14日に投開票が行われた第47回衆議院議員総選挙の結果に対する所感と期待についてお伺いします。
昨年末の衆議院議員総選挙は、突然の解散でもあり、知事は流行語を使って反対するメッセージを出されました。景気回復のための成長戦略の評価や、消費税10%を平成29年4月まで先送りしたことへの国民の審判とも言われましたが、結果として、全国的に自由民主党の圧勝となりました。
知事は、今回の総選挙の結果をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。戦後70年を迎え、外交、防災、教育、食料問題等課題が山積する中で、国政運営に対する期待について、あわせてお伺いいたします。
次に、国の予算編成の評価と岩手経済の現状、方向性についてお伺いします。
平成27年度の国の予算案は総額96兆3、420億円と、当初予算としては過去最大であり、特に地域経済活性化、中小企業支援に力を入れた予算案となっております。また、2月16日に発表された平成26年10月から12月期の実質GDPは525兆7、549億円と、前期に比べ2兆9、028億円、0.6%の増となり、3・四半期ぶりにプラスに転じ、長引いた景気の冷え込みからようやく日本経済が脱する兆しを見せてまいりました。ローカル・アベノミクスの推進により、景気回復が感じられないとする地方を活性化し、経済の好循環を拡大する方針とされておりますが、知事は、岩手の経済の現状と今後の方向性をどのように捉えているのか、一連のいわゆるアベノミクスにより県内経済に明るさがあらわれているのかお伺いします。あわせて、経済の活性化には、県民所得の向上や若者の定着による人口減少の歯どめ、消費の向上などへの期待が大きいと思われますが、国の平成26年度補正予算及び平成27年度政府予算案に対する知事の評価をお伺いします。
次に、本県の財政運営についてお伺いします。
平成27年度の一般会計当初予算は総額1兆1、112億円となり、前年当初に比べ944億円、9.3%上回りました。東日本大震災津波における復興予算は4、487億円と、前年度に比べ674億円、17.7%の増となっておりますが、その財源については、さきに申し上げたとおり、平成27年度については、震災復興特別交付税や国庫支出金などにより、おおむね措置される見込みとなっております。
一方、通常分の予算については、県税収入が伸びるものの、社会保障関係経費の増などにより財源不足が生じており、財源対策基金を192億円取り崩した結果、平成27年度末の基金残高は483億円と見込まれております。今後もこうした傾向が続くことが危惧されますが、財源対策基金の減少など厳しい財政運営に対する知事の所感をお伺いします。
最後に、決算不認定を受けての県の対応状況についてお伺いします。
平成25年度決算審議において議会が不認定とした件について、知事は12月の定例記者会見において、決算不認定の理由については議会の側から説明が対外的になされれば助かる。なぜ岩手だけ決算が不認定になるのかという疑問に対して、知事、執行部の側としてはそれに答える立場にないと答えられております。私からすれば、決算を不認定とする議会の意思を理解せずに、なぜ岩手だけがと発言することが疑問であります。
県庁内部による検証のあり方そのものを問題にしているにもかかわらず、その報告書について外部有識者に意見を聞いたこと自体、そもそも議会の求めた検証ではないと考えます。また、DIOジャパンについては、いまだその全容が見えない中、市町村にのみ責任をとらせようとしているような姿勢に見られますが、これらのことについて知事はどのように考えているのかお伺いいたします。
平成25年度一般会計決算も不認定となり、これら緊急雇用創出事業に係る一連の行政のあり方に警鐘を鳴らし続けたにもかかわらず、知事演述では一切言及がありませんでした。こうした一連の知事の姿勢は議会軽視と言わざるを得ないと私は思いますが、御所見をお伺いします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、被災地の障がい福祉サービス事業所への支援に係る予算についてでありますが、今回の事案につきましては、緊急雇用創出事業に関し、被災3県に限り、来年度においても事業継続が可能とする国からの通知について、担当課における確認が十分でなかったことにより生じたものであり、申しわけなく思います。
今回の事案を受け、私からは、被災地の各事業所の事情を至急確認するとともに、現在雇用されている方々の来年度の雇用に支障を来さないようにするため、補正予算案の準備を直ちに進めるよう指示しました。あわせて、再発防止を図るため、複数の者による確認の徹底とチェック体制の構築を厳命したところであり、今後、適切な事務執行が図られるよう取り組んでまいります。
次に、復興の促進についてでありますが、迅速な用地の確保については、改正復興特区法を積極的に活用していくため、市町村に対して申請書類の作成等の業務支援を行っています。また、被災地での人材確保に向けては、被災市町村へ派遣する任期付職員等の採用や、全国の自治体等に対する一層の職員派遣の要請を行うほか、沿岸地域の水産加工業者が新たに人材を確保するための宿舎整備の支援などを市町村とともに進めていきます。
さらに、資材不足への対応としては、企業や国による生コンクリートの増産体制の構築などを進め、入札不調の解消に向けて、国、県、市町村や業界団体を構成員とします連絡調整会議を開催し、工事情報を共有しております。今度とも、復興のステージの変化に伴って生じる諸課題の解決に向けて、市町村、県、国が連携を密にしながら、一日も早い回復に取り組んでまいります。
次に、復興の今後の見通しについてでありますが、災害公営住宅については、全体計画約6、000戸のうち、今年度末完成見込み約3割から来年度末には約6割に、また、面整備事業による宅地供給についても、全体計画約8、300区画のうち、今年度末の約1割から来年度末には約4割に、これからの1年で大きく進む見込みとなっています。
住まいの再建に係るこれらの事業の進捗状況については、市町村と連携しながら、3カ月ごとに公表している社会資本の復旧・復興ロードマップや市町村広報によって、今後も被災者の方々に適時にお伝えしてまいります。また、県内各地で実施している住宅再建相談会を来年度も継続して実施します。今後とも、被災者の皆さんに寄り添った丁寧な情報発信に努め、一日も早く住まいの再建が果たせるよう支援を行ってまいります。
次に、復興関係予算についてでありますが、県の平成27年度予算は、本格復興期間の中間年に当たり、災害廃棄物処理分を除くと過去最大規模であり、復興道路や災害公営住宅の整備、被災者支援や心のケア、中小企業や商店街の再生など復興計画の実現を図り、本格復興に向けて邁進する予算として編成しました。また、本県における平成30年度までの復興予算については、国、市町村も含めた復興事業費総額を約5兆1、000億円と見込んでおります。
今後、本格復興を進める上で復興財源の確保が最重要課題でありますことから、復興が完了するまでの間、復興交付金や震災復興特別交付税などの特例的な財政措置をこれまでと同様に継続し、新たな地方負担が生じることがないように、被災4県で来年度早々に合同要望を行うなど、あらゆる機会を捉え、市町村や他県とも連携しながら、引き続き強く国に要望してまいります。
次に、女性が活躍するための環境づくりについてでありますが、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その能力を十分に発揮できる状況にあることが重要であります。
また、女性の活躍をより一層推進することにより、復興の加速化や地域経済の活性化にもつながっていくことが期待されます。
県では、第2期復興実施計画において重視する視点として参画を掲げ、若者、女性を初めとした地域住民の幅広い参画により復興の取り組みを推進していくとともに、昨年5月には、県内の産業団体、経済団体等といわて女性の活躍促進連携会議を立ち上げて、官民連携した取り組みを進めているところです。
女性が活躍するためには、周囲の理解を進め支援する体制を整備していくことが必要であり、今後とも、関係団体とさらに連携して、経営者や管理職を対象とした研修やワーク・ライフ・バランスを推進するセミナーを実施するなど、女性の活躍支援に向けて取り組んでまいります。
次に、若者や女性の生きにくさについてでありますが、合計特殊出生率は、全国的に1980年代以降、低下傾向にあります。
このような状況は、育児や子育てに要する支出の上昇や出産と育児の両立を可能とする制度や慣行の不十分さ、非正規就業の拡大などの雇用情勢の悪化等によって引き起こされているとの指摘がされているところであり、こうしたことを若者、女性の生きにくさと表現しています。
これらの生きにくさを一つ一つ丁寧に解消していくことが、出生率の回復につながり、また、本県が率先して若者や女性の生きにくさに対して取り組んでいくことが、人口の流出防止にもつながっていくものと考えております。
次に、女性の非正規雇用対策についてでありますが、総務省の就業構造基本調査によると、県内の女性の雇用者に占める非正規雇用者の割合は、平成24年度で55.0%、男性の22.9%と比べ大きく上回っています。
このため、県では、非正規雇用として現在働いている女性への対策として、事業主等に対し、本年4月に施行される改正パートタイム労働法などの非正規雇用の処遇改善に関する法令や、正規雇用への転換を目的とした国の助成金制度などについて周知しています。
また、岩手労働局等と連携し、経済団体等に対し、安定的な雇用の確保や職場における女性の活躍推進などについての要請活動を行っています。
今後も、こうした取り組みを通じて、女性の労働環境の改善を図ってまいります。
次に、子ども・子育て支援についてでありますが、子ども・子育て支援新制度においては、市町村が、保育サービスや放課後児童クラブなどの子育て支援を総合的に提供することになり、施策の決定に当たっては、保護者や教育、保育関係者等による市町村子ども・子育て会議が、重要な役割を果たすこととされております。
そのため、県では、新制度の活用の促進や保護者等への周知の強化を図るほか、市町村子ども・子育て会議の機能が十分に発揮されるよう助言を行ってまいります。
さらに、今議会に、いわての子どもを健やかに育む条例を提案し、来年度、新たに結婚支援センターの設置を初め、子供医療費助成の対象拡大や現物給付化などに取り組む予定であり、結婚、妊娠、出産及び子育ての各段階に応じた切れ目のない支援を市町村と相互に連携して行ってまいります。
次に、人口減少問題に対する取り組みについてでありますが、岩手県においては、若者の進学期や就職期における県外転出が、人口の社会減の大きな要因となり、このことが、若年女性人口の減少にもつながり、人口の自然減にも影響を及ぼしています。
若者の県外転出を食いとめるためには、安定した雇用の場の確保が重要であり、これまでも、国際競争力の高いものづくり産業の振興や就業支援などに取り組んできました。
このような取り組みや復興効果もあり、県人口の社会減は、平成25年まで6年連続で減少してまいりました。しかし、昨年は、有効求人倍率の全国平均の上昇などもあり、本県の社会減は7年ぶりの増加となりました。これは、多くの道府県に見られる傾向であり、国の経済状況や経済財政政策の影響を地方が強く受けることを示しております。
このため、県としても、創意と工夫を凝らした積極的な産業振興等の取り組みを行いつつ、国に対しても、地方重視の経済財政政策の実施を強く働きかけてまいります。
また、若者や女性の県外転出については、希望に沿う就職先が地元に少ないことも要因の一つと考えております。このようなことから、県としては、正規雇用職員としての採用増加や雇用環境の改善を要請するなど、若者や女性にとって魅力ある雇用の場の確保に努めてまいります。
次に、国による地方創生についてでありますが、国は、東京一極集中の流れに歯どめをかけるため、地方移住の推進や企業の地方拠点強化、企業等における地方採用、就労の拡大、地方大学の活性化を図るなど、地方創生に取り組むこととしています。
こうした施策の多くは、一朝一夕に成果が出るものではなく、国とともに粘り強く取り組んでいくことが重要であると考えており、こうした取り組みの継続を通じ地方創生が実現されるよう期待しています。
また、先ほど申し上げましたように、岩手は、国の経済状況や経済財政政策の影響を強く受ける地域特性を持っており、地方経済が活性化するような施策が効果的でありますことから、引き続き国に対し、その実施について強く働きかけてまいります。
県としても、こうした国の取り組みと呼応しながら、県の総力を挙げて人口減少対策に取り組んでまいります。
次に、本県農業のあるべき姿についてですが、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業の一つとして、持続的に発展を図っていくとともに、食料供給基地としての役割をしっかり果たしていくことが重要と考えます。
このため、県では、地域農業全体の展開方向を明確にした地域農業マスタープランを基本に据え、担い手の経営力強化や生産性、市場性の高い産地づくりなどを推進しています。
今後におきましても、こうした取り組みを県内各地でさらに進め、農業の担い手が意欲と希望を持って農業経営に取り組み、小規模兼業農家においても、地域に根差した生産活動にいそしむことで、暮らしもよくなっていくような農業の実現を目指し、農業者の皆さんや関係団体の方々と一体となって取り組んでまいります。
次に、農地中間管理事業についてでありますが、県では、農地の有効利用や農業経営の効率化に向け、農地中間管理機構や市町村等との緊密な連携のもと、推進体制を整備し事業を進めてきた結果、初年度の機構による農地の貸付面積は、目標を上回る見込みとなっています。
その一方、農地の出し手が少ないことや、中山間地域において農地の受け手が効率的に作業を行える基盤の整備等が進んでいないことが課題となっています。
このため、引き続き機構や市町村等と連携し、全ての農地所有者への制度周知により農地の貸し出しを促すとともに、中山間地域の地形などを勘案したきめ細かな基盤整備と農地中間管理事業による農地集積を一体的に進め、効率的な農業生産が可能な経営体の育成を図ってまいります。
次に、県産米のブランド化についてでありますが、県では現在、コシヒカリを超える良食味米として、平成29年度の市場供給に向け開発を進めている岩手118号をフラッグシップに位置づけて、県産米全体の評価と知名度の向上を図ることとしています。
そのため、平成27年度からの生産、販売戦略に基づいて、生産面については、今後、全国最高水準の品質、食味を確保できる栽培適地や栽培方法の検討を進め、販売面については、百貨店や高級飲食店、おいしさにこだわる消費者等の高価格帯マーケットを主なターゲットにプロモーション等を展開してまいります。
なお、指標については、市場供給初年度である平成29年度のものでありますことから、全国5位以内としたところであります。
次に、衆議院議員総選挙結果に対する所感と期待についてでありますが、さきの総選挙は、消費税増税の実施時期の先送りについて民意を問うとして行われ、結果として、予定どおりに消費増税すべきではないという民意を確認することができたと思います。
政府においては、景気回復及び地方経済の活性化を実現していただきたいと考えております。
また、政府は、特に東日本大震災からの復興を最優先課題に据えて、着実に推進し、それを地方創生につなげて、人口減少問題等にもしっかり取り組んでいただきたいと考えております。
次に、岩手県の経済の現状についてでありますが、復興需要や自動車関連産業の伸びなどにより、本県経済は上向いているものと考えております。この傾向が持続的なものとなるように、地域資源を活用した産業振興などに注力しつつ、ILC―国際リニアコライダーの実現など未来を見据えた取り組みも進めてまいります。
次に、国の予算についての評価についてでありますが、本県が要望していた自由度の高い交付金が創設されたことや、地方財政計画として地方創生事業費1兆円が措置されたことについては、評価できるものと考えております。
県としても、国の予算を活用しながら、地域経済の活性化や人口減少などの対策を積極的に推進してまいります。
次に、本県の財政運営についてでありますが、平成27年度当初予算編成に当たっては、本県の厳しい財政状況を踏まえ、事務事業を1件ごとに精査するなど歳出の見直しに努めつつ、一層の歳入確保に取り組んだところですが、社会保障関係費の伸びなどにより、最終的に192億円の収支ギャップが生じたところであります。
今後も、社会保障関係費の増が続くことなどにより収支ギャップが生じると見込まれるため、こうした状況が震災からの復興等に影響を与えることにならないよう、引き続き、歳入歳出両面での見直しを行いつつ、国に対して適切な財政措置を強く働きかけるなど、安定的な財政運営の実現に向け取り組んでまいります。
次に、緊急雇用創出事業についてでありますが、NPO法人大雪りばぁねっとの事案については、議会の決議に具体的に対応しなければならないと考えておりますが、裁判や会計検査が継続している状況にありますことから、現時点で対応できる方策として、外部の方々から所見をいただいたところであります。
県といたしましては、これらの所見を事業の適正な執行に向けたさらなる改善策の検討の参考にしたいと考えております。
DIOジャパン関連コールセンターについては、現在、立地市町が返還請求額の確定に向けて調査を行っており、県としても、対象経費の取り扱いについて国と協議を行うなど、立地市町を支援しているところであります。
今後とも、立地市町と連携を密にしながら、適切に対応していきたいと考えております。
緊急雇用創出事業のあり方については、これまでも議会の御質問への答弁や説明など、御理解を得られるよう対応してきたところであり、今後も真摯に対応していく考えであります。
失礼いたしました。被災地の人口減少対策について答弁させていただきます。
沿岸被災地の人口減少、特に震災後拡大した社会減は、近年、震災前の平成22年と同水準にまで縮小していますものの、昨年は1、100人以上の人口が流出しています。
被災地においては、復興事業を迅速に進めることが人口流出対策であるという認識のもと、これまで、多重防災型まちづくりの推進、災害公営住宅の早期整備、漁業と流通加工業の一体的な再生などに全力で取り組んでまいりました。
こうしたハード整備等に加えて、新年度予算におきましては、水産加工業者が新たに人材を確保するための受け入れ環境の整備や住宅再建に向けた相談体制や支援体制の拡充など、被災者一人一人の暮らしの再建や産業振興による雇用の確保などのなりわいの再生がなし遂げられるよう、ソフト面の支援も一層充実させてまいります。
〇議長(千葉伝君) 次に、小田島峰雄君。
〔34番小田島峰雄君登壇〕(拍手)

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