平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
 委員長報告に対し、反対の討論を行います。
 受理番号99号、岩手県南3市町の子供たちの甲状腺検査を求める請願については、一関市、平泉町、奥州市の県南3市町において、放射能汚染による子供の健康不安を抱える方々が中心となり、甲状腺検査についても実施を求めているものであります。
 県では、福島県における甲状腺検査結果を踏まえ、放射線内部被曝健康影響調査有識者会議の委員からの意見等を踏まえ、必要な場合に速やかに対処できる体制を整えると要望団体に対して回答され、慎重な姿勢に終始されています。しかし、これらの有識者の意見は検査の必要性について否定しているものではなく、現段階あるいは当面は注視するとの様子見の見解や、そもそも当時のデータが測定されていなかったことから、拡散等の状況から推察し、福島県より被曝量は低い、あるいは少ないとの想定比較に基づき、低線量だから検査の必要なしと判断をしたものであると読み取れます。つまり、当時の不確実な情報から想定し、かつ、福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センターの見解から導き出された意見にすぎないものと解されます。
 一方で、これまでの放射線被曝に対する影響について、低線量被曝の問題でも、閾値がないとする知見において放射線の影響がないとは言い切れないとの見解や、特に感受性の高い低年齢の子供については、その影響の可能性が高いという認識があります。福島県では検査を実施し、結果として、11月11日の福島県立医科大学の報道発表では、9歳から22歳の甲状腺がん24例の結果について、現時点で見つかった甲状腺がんは、成人になってから発症する可能性があったものがこの段階で早期に発見されたとの説明であり、原発事故との関係を否定していますが、むしろ、そうであれば、甲状腺がんの特性からして、今後、発症する可能性が高まるとされる事故から4年目以降の期間を調査することが一層重要であり、原発事故と平常時との起因の違いを比較検討するべきであると考えます。
 甲状腺検査に対する問題は、国連の科学委員会でも、災害発生時の放射性ヨウ素の実測値が不足、被曝線量について不確定要素も多いなど情報不足を指摘しており、また、チェルノブイリ事故に基づく小児甲状腺がんが50ミリシーベルト以下で半数が発症しており、政府と福島県の見解では、100ミリシーベルト以下では甲状腺がんは出ないとする考え方は誤りであるとの指摘もあります。さらに、発症の時期についても、ベラルーシ共和国ゴメリ州では4年目以降の低年齢に症例分布が急増するデータもあり、低線量の問題や、現時点の検査結果では明確な判断ができないものであり、こうした現実に起きた事例やデータからも、本県における子供たちへの健康被害に対する不安は当然のことであり、何の根拠もなく、何もせずに安全・安心を担保することはできません。むしろしっかりと子供たちの健康管理に対して積極的に甲状腺検査も実施し、本県の子供たちの健康と、安心して暮らせる環境を確保するという姿勢こそ求められるものであり、本請願は採択すべきであるとの立場から委員長報告に反対の討論といたします。
 次に、受理番号132号、日米共同訓練とオスプレイの参加に反対し県民の安全確保を求める請願並びに受理番号133号について、本年10月30日、防衛省は、2015年1月下旬から2月上旬に日米共同訓練を滝沢市の陸上自衛隊岩手駐屯地と岩手山演習場において実施すると発表しました。また、沖縄県普天間基地に配備されている米軍輸送機オスプレイの参加についても調整されているとのことであります。この問題については、我が社民党会派の小西和子議員が一般質問でも取り上げ、また、総務委員会でも久保孝喜委員が質疑を行っているところでありますが、県としては、共同訓練の実施に関し、11月28日に東北防衛局長に対し、県民の安全と日常生活に支障を及ぼすことのないよう、適時適切な情報提供とオスプレイ参加の場合の実施内容、駐機場所、飛行ルート、騒音や環境影響の説明、参加に対する事前の調整、協議、県民への説明と不安解消などを求めているとのことであります。しかしながら、これらの要請には現時点で何ら応えられていない状況にあり、ましてや、そもそもオスプレイの飛行訓練については、過去のたび重なる重大事故の実態からしてその機体構造や飛行性能に問題が指摘されており、いまだに安全性に対する懸念が払拭されていない中で、日米共同訓練とオスプレイの参加は認められないものであります。
 特に請願理由にも指摘されているオスプレイの飛行訓練では、岩手の厳寒期に当たる時期で、急激な気象条件の変化など、構造的欠陥が指摘される問題では、フロリダの事故で、前を飛行する同機の後方の気流に巻き込まれ墜落し、パイロットのミスとされましたが、編隊を組む訓練で前後の気流の影響は常にあることを考えれば、単純な操縦ミスというのはごまかしにすぎないとの疑問が指摘されています。2014年2月7日、高知県での日米防災訓練では、天候悪化を理由に直前での飛行中止を初め、2月から3月に群馬県相馬原、新潟県関山の各演習場での日米共同演習への参加も中止とされました。これらは、ともに風雪や寒冷下での演習が予測されていたものであります。さらに、この11月に実施されたみちのくアラート2014でも、参加予定の2機のうち1機は強風を理由に途中で引き返すなど、風などへの安全性の問題が改めて指摘されているのです。こうした実態から見ても、冬期間の風が強い時期に山間地や谷間を低空で飛行することは、相当の危険性が伴うものと考えられ、さらに、寒冷期の訓練が実施された実績が明らかにされていないことからも、本県における訓練参加は、防衛当局が、今後のオスプレイ配備をもくろむ上でのまさに実験台的意味合いが疑われるものであり、県民の安全と命を脅かす以外の何ものでもありません。
 ましてや、こうした軍事防衛に係る情報が、果たして県の求めに応じて適切に、納得いく情報の提供と県民への説明がなされるのか甚だ懸念を抱くのであります。それは、いよいよ本日をもって、1年前の2013年12月に自公政権の強行採決によって制定した特定秘密保護法が施行されることにより、まさしく軍事、防衛上の4分野55項目に、潜水艦、航空機、武器・弾薬の性能などが対象として含まれており、この際に、オスプレイも恣意的に対象事項となることも懸念されます。
 国民の知る権利を奪い、国民を守るための訓練と言いながら、情報も安全も確保されずに実施されることは、断じて認められないものであります。したがって、本請願は採択し、県民の命と暮らし、平和を守るべきであることを申し上げまして、委員長報告に対する反対の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、高田一郎君。
〔1番高田一郎君登壇〕

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