平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇36番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 会派を代表して、認定第1号平成25年度岩手県一般会計歳入歳出決算に対し、不認定とする委員長報告に賛成討論をいたします。
 今回、3年連続の不認定となれば、3年連続の不認定は県政史上例を見ない事態でありますが、達増県政7年のうち5回目となる不認定の数を刻んだことは、後世の人々が県政を検証する上で、いかなる岩手県政であったかの歴史を審査するに余りある数字でありましょう。全国都道府県議長会に照会したところ、平成元年から平成25年までの期間の3年連続不認定となった事例は、秋田県の4年連続、平成6年度から平成9年度決算、宮崎県の3年連続、平成17年度から平成19年度決算の2例しかなく、また、参考までに、過去10年間で、一つの都道府県で決算が5回以上不認定となった事例は皆無とのことでした。ただし、本県の3年連続の不認定は、花泉診療センター民間移管、特定非営利法人大雪りばぁねっと。、DIOジャパン問題等、政策運営上の失態により議会が不認定と決したものであり、数のみならず、質ともに問題は深刻であります。
 平成25年度決算が不認定とする理由を述べる前に、当局は、当認定議案を提出するに当たり、2年連続不認定を踏まえて、議会に誠実な姿勢をもって周到な準備をしたのかを指摘せねばなりません。特に、昨年に引き続いて問題となった特定非営利法人大雪りばぁねっと。事案は、議会がこの間2度にわたる決議等、指摘したものに応えていないまま漫然と議案を提出していることは、当局の姿勢として議会を軽視していると断じざるを得ません。
 達増知事は、決算の認定ということは、数字の正確さを認定していただいて、政府の統計にも反映されますし、さまざまな学者の皆さんや一般の皆さんにも、岩手の決算は幾らだった、内訳は幾らだったということに基づいて、研究や仕事にも生かし、生活にも役立てていく、そういうものとしての決算をオール岩手として力を合わせてつくって世間にお示しするのが決算の目的ですので、そういう決算の趣旨に沿った形での取り組みが行われればいいと、決算審議の前に決算の認定についての考えを記者会見で申されておりますが、県行政の最高責任者が、このような認識の前提で議案提出をされたのであれば、不認定は、みずから引き起こしたとも私は言えると思います。議案提出以前の問題であります。
 そもそも議会に与えられた決算認定の権限は、歳入歳出予算の執行の実績である決算について、その内容が、適法かつ正当に行われたかどうかを確認することであります。執行の実績、結果を含めて、議会に批判、監視の機会を与え、当該地方公共団体への財政運営の適正を期することとしているからであります。
 したがって、決算審議に当たって、議会としては、法令、条例、規則等の関係法規に対する適合関係、計数的正誤の精査にとどまらず、過去の財政運営を通じて問題点を発見し、将来の財政運営にこれを反映させるといった視点からの検討も期待されるのであります。このことは、昨年も、一昨年も申し上げております。議会の権能を十分に発揮するために、我々は議案審査に臨んでおり、知事の認識と大きくかけ離れていることに愕然とするものであります。
 不認定とする理由の第1は、県の補助を受け、山田町が特定非営利法人大雪りばぁねっと。に委託した緊急雇用創出事業に関し、同法人の不正な経理と支出により多額の事業費が消費され、結果として、事業の実施を打ち切らざるを得ない事態に陥った問題であります。
 この問題は、さきに申し上げたとおり、議会は、当局の内部検証を検証に十分足りるものとして認めず、2度の決議をもって抜本的な県関与部分、具体的には、御蔵の湯が一転して認められた件等、意思決定の経過を検証し県の責任を明らかにすべしといたしたところですが、県は、真摯に受けとめるとはしながら、顧問弁護士の見解を盾に解明に努力しておりません。第三者による検証ができない根拠について、一般質問で会派の同僚の佐々木博議員が問いただしましたが、答弁不能となったことから、明確な根拠がなく、ただただ問題を先送りしていることが明らかになりました。
 県は内部検証を外部の有識者に評価してもらうとの対応を検討しているとのことですが、これは、議会が求めるものとは全く質を異にしており、議会を冒涜するものです。無駄な作業はやめていただきたい。このような不誠実な県の対応は、昨年の不認定の教訓を全く生かしていないに等しく、厳しく糾弾されるべきものであります。
 不認定とする第2の理由は、DIOジャパン破綻にかかわる問題であります。
 この問題も、大雪りばぁねっと事案と同様に、国の緊急雇用創出事業でありました。当初430人を雇用する計画も、達成率は32%にとどまりました。あまつさえ、事業期間を超えたら、雇いどめ、給料の未払い、たった1年でリース物件の無償譲渡が行われた事実が判明しました。
 議会は、緊急雇用対策が継続的な雇用に結びつけられるかを計画的に行っていたのか、中間検査において雇用現場で起こっている中身を是正することができなかったのか、これらの問題についても厳しい追及がありましたが、明快な答弁はありませんでした。また、議会は徹底した中間検査を要請したのに、県はやらなかった。秋田県は、DIOジャパン社を訪問した際に、被害の状況を克明に把握したのに、なぜか岩手県はやらなかった。中間検査も、平時のチェックリストで済ませて問題を掘り起こさなかった。これらは県行政の怠慢です。
 それでも、県側の答弁は、事業そのものについては問題がなかった、事業主体は市町であり、県は事業をつないだにすぎない、このような答弁を関係市町の関係者が聞いたら、どのように思うでしょうか。
 また、達増知事の一瀉千里にわたる公募前のDIO社へのトップセールス、国体協力金の受領、一連にわたる行動は、DIO社のホームページ上でも喧伝され、県内の市町が県の熱意をしんしゃくするに十分な報道内容でありました。
 DIOジャパン問題は全国的に社会問題となっており、岩手県はその中で最大の被害県です。秋田県の佐竹知事は7月の記者会見で、TDKの撤退などで県は雇用であせっていた。結果、県民に御迷惑をかけて大変申しわけないと陳謝しました。事業が失敗し、結果、苦しんでいる県民がここにいます。なぜ本県の知事はそのような行動をとれないのでしょうか。謝るということになれば、当該市町も謝らなければならないとの本会議における知事答弁は、当事者意識の希薄さを物語っています。
 この二つの緊急雇用創出事業に県の責任回避が目立ちます。反省なくして改善策なし。大雪りばぁねっと問題の原因究明に真っ正面から全庁挙げて取り組んでおれば、DIOジャパン問題は発生しなかった、真剣に取り組まなかったから、DIOジャパン問題が発生したという因果関係にあると思います。問題を本質的に解決しない限り、延々と問題を先送りするだけでは問題の根本的な解決にはなりません。
 これらの事業展開をめぐって補助金返還が生じ、山田町では、既になけなしの自主財源で返済。DIO社に絡んでは、当該市町が、県の今後の出方を注視しています。これから県が他の事業展開をするに当たり、県の信頼性が問われる状況を県がつくり出しているということは、極めて憂慮すべき事態です。
 このような状態で、知事のよく言うオール岩手とは、何をどう動かすのか、その言葉の重さは空虚なものと私は感じます。同僚議員の皆さんは、どのように感じていらっしゃるでしょうか。二つの事案とも、会計検査院や国の調査が進行中であり、これからも逐次、議会も調査をしながらフォローしていく必要があります。
 これらの指摘した問題は、単一の問題にあらず、県政政策推進全般のマネジメントにかかわる大問題です。最大の県政課題である今後の東日本大震災復興にかかわる政策推進エンジンの質が問われているものであり、木を見て森を見ずとの見解は当たりません。
 不認定となっても法的拘束力がないことから、地方制度調査会では、決算不認定の場合、首長の対応措置について、次の議会にはこういうことを講じますということを自治法上、制度化すべきという議論があり、この議論が進むのが停滞となった場合、我々も条例化を視野に検討する必要があると思います。
 もし本決算を認定することとなれば、その意義は、知事が執行した予算の政治責任を解除することになります。私たちは、知事の政治責任の解除を認めず、さらに再度十分な検証と今後の震災復興を市町村と一体となって行うことを強く求める立場から、平成25年度一般会計歳入歳出決算を認定できないことを表明します。
 以上の不認定とする理由を述べ、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、田村誠君
〔47番田村誠君登壇〕

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