平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 日本共産党を代表して、認定第1号2013年度岩手県一般会計歳入歳出決算について不認定とする決算特別委員長報告に反対の討論を行い、決算認定に賛成の立場を表明するものであります。
 東日本大震災津波から3年9カ月が経過しました。11月末現在の犠牲者は、死者4、672人、震災関連死449人、行方不明者1、130人、合計6、251人となっています。震災関連の自殺が32人、孤独死は25人に及んでいます。まさに戦後最大の大災害であります。
 東日本大震災津波からの復興は、県政最大の課題であり、国政の最優先課題であります。2013年度一般会計歳入歳出決算、県政を評価する最大の基準は、東日本大震災津波からの復興の取り組みが被災者の立場に立った取り組みだったのかどうかであります。県政の東日本大震災津波からの復興の取り組みは、被災者から見て不十分さやおくれはあるものの、基本的に被災者の生活再建となりわいの再生を重視する前向きのものだったと評価できるものであります。
 2013年度一般会計決算は、歳出総額で1兆584億円、うち震災関連が4、012億円に及びます。その主なものは、被災者の命綱とも言うべき被災者の医療費、介護保険利用料等の免除措置を継続実施してきたことであります。この事業は来年12月まで継続実施されることになりました。特筆すべき成果であります。
 住宅再建に市町村とともに100万円の補助を行う被災者住宅再建事業は、昨年度末で3、175件、11月末では4、219件となっています。これらの取り組みは、被災県では岩手県のみで実施している事業であります。新築のバリアフリーや県産材の活用に限度額130万円の補助、被災住宅の改修等に補助する生活再建支援事業は、昨年度4、436件、18億6、543万円の補助額となっています。被災市町村独自にも住宅再建に100万円から300万円の補助、住宅ローンの利子補給に250万円から700万円の補助が実施されています。住宅の二重ローンの解消は354件となっています。
 被災地福祉灯油も、昨年度は1万7、158世帯に4、289万円の県補助で1億884万円の補助額となっています。今年度も合わせますと4年連続の実施となるものであります。
 なりわいの再生の分野では、昨年度末で漁船の確保が6、324隻で目標の93%、稼動可能漁船数では1万282隻となり、震災前の77.4%まで復旧しました。養殖施設の整備は1万7、329台で目標の87.1%、震災前の67%の復旧であります。魚市場の水揚げ量は震災前の63.9%、水揚げ金額は87.3%となっています。
 県独自の被災資産復旧費補助は、昨年度82件、2億8、537万円、累積では274件、8億9、355万円余の補助となっております。グループ補助は、昨年度16グループ85企業に29億円の補助を決定し、累積では115グループ1、248企業、782億円の補助決定額となっています。事故繰越再交付の運用の改善も図られました。建設費の高騰にも6割まで加算措置がとられるようになったことも重要であります。
 二重ローンの解消では、県産業復興センターで98件、東日本大震災事業者再生支援機構で128件、合計226件の債権買い取りが実現しています。
 三陸鉄道は、91億円の事業費でことし4月5日、6日に全線が開通しました。被災地を励ます復興のシンボルにもなりました。
 584万トンに及ぶ瓦れき、災害廃棄物の処理が計画どおり完了したことも重要な成果でありました。
 災害公営住宅の建設のおくれや高台移転、区画整理事業などのおくれがあるものの、岩手県の復興の取り組みは基本的に評価できるものであります。
 復興のおくれの最大の原因は、民主党政権下で、復興の本格的な補正予算が震災から8カ月後の11月とおくれたことにあります。安倍自公政権になっても、戦後最大の大災害にもかかわらず、従来の法制度から一歩も出ない消極的な取り組みが復興の障害となってきたことも明らかであります。
 昨年連続した豪雨災害に対しても、県は被災者に独自に全壊の場合は住宅の建設、購入で基礎支援金100万円、加算支援金200万円、大規模半壊には基礎支援金50万円、加算支援金200万円、半壊世帯には20万円、床上浸水には5万円の、国の支援金の対象を上回る支援を行いました。温泉、観光施設等の被害に対しても特定被災地域緊急支援交付金を実施し、18件に7、070万円余の補助を行いました。これらも評価できるものであります。
 復興以外の従来の県政では、簗川ダム建設などの不要不急の大型開発優先、全国的にも東北でもおくれている子供医療費助成の問題があることは率直に指摘しておきます。請願採択の見通しでありますので、抜本的な改善を子供の医療費助成では強く求めておきます。
 この間、緊急雇用創出事業にかかわって、山田町が事業主体となる山田町災害復興支援事業で6億7、000万円の事業費の返還を求める不祥事が発生しました。県の検証委員会による報告書が出されましたが、御蔵の湯建設や不足払いだった事業計画の変更における県のチェック、完了検査がまともに検証されない極めて不十分なもので、言いわけと責任回避に終始するものでありました。第三者機関による検証が求められます。
 DIOジャパンによるコールセンターの企業誘致は、全ての事業が破綻し、解雇と賃金未払いが発生したことは重大でありました。市町が事業主体の緊急雇用創出事業における不適正支出、高額のリース料による事実上の買い取り、実態のない研修、県外出張などによる仕事と収入の未申告、業務日誌の改ざんなど、山田町のNPO問題の二の舞とも言うべき事態を引き起こしたことは重大であり、県の対応と責任が厳しく問われるものであります。
 しかしながら、こうした緊急雇用創出事業における不祥事があったとしても、県政最大の課題である東日本大震災津波からの復興の取り組みを否定するものではないことも明らかではないでしょうか。東日本大震災津波からの復興には、全国からの大きな支援を受けて取り組まれています。県への応援職員は、昨年度163人、今年度170人余、被災市町への応援職員は、昨年度596人、今年度は703人となっています。こうした全国からの支援に背を向けることはいかがなものでしょうか。決算の認定に当たっては、県政全体の評価、とりわけ復興事業の評価が問われていると厳しく指摘しておきます。
 以上申し上げ、2013年度岩手県一般会計歳入歳出決算を不認定とする決算特別委員長報告に反対し、2013年度岩手県一般会計歳入歳出決算の認定に賛成の討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、飯澤匡君。
〔36番飯澤匡君登壇〕

前へ 次へ