平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(喜多正敏君) 希望・みらいフォーラムの喜多正敏でございます。
 認定第1号平成25年度岩手県一般会計歳入歳出決算について、さきの委員長報告に反対の立場から討論を行います。
 平成25年度一般会計歳入歳出予算は、平成25年度を復興加速年として位置づけ、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業を最優先に取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる諸施策を着実に推進するために編成されたいわて復興加速予算であります。最終予算額は前年度から6.1%減の1兆3、496億7、273万円余で編成され、歳入決算額が1兆1、580億2、385万円余、歳出決算額は1兆584億1、382万円余でありました。
 震災関連事業では、安全の確保対策として約584万トンにも及ぶ災害廃棄物の処理を災害廃棄物緊急処理支援事業費等により当初計画どおり平成26年3月に終了したほか、三陸鉄道災害復旧事業費補助等により三陸鉄道全線が平成26年4月に運行を再開され、被災地に希望を与えるなど、復興の原動力となっています。
 暮らしの再建対策として、平成25年度末で被災者住宅再建支援事業費補助により、住宅の建設または購入に対する支援が3、175世帯、平成25年度は1、472世帯、生活再建住宅支援事業費により、被災住宅補修、宅地復旧、復興住宅新築工事などに対する支援が合計で9、380件、平成25年度は4、065件行われるとともに、災害公営住宅整備事業費により災害公営住宅の約3割が完成または着工済みとなるなど、住環境の整備が進んでいます。
 なりわいの再生においては、平成25年度末で共同利用漁船等復旧支援対策事業費により6、324隻、平成25年度は717隻が漁業を再開し、水産業経営基盤復旧支援事業費により1万7、329台、平成25年度は267台の養殖施設が復旧しました。
 また、中小企業等復旧・復興支援事業費、いわゆるグループ補助において、平成25年度末で111グループ1、244者、平成25年度は16グループ85者に対し支援が行われるとともに、中小企業被災資産復旧事業費補助や修繕費補助などにより事業所の早期再開が図られるなど、中小企業の再生に向けた取り組みが着実に進んできております。
 ほかにも、海岸保全施設の復旧、復興道路の整備、公立学校施設の復旧、医療提供施設の復旧など、多くの課題を抱えながらも着実に事業が進んでおります。
 これらは、国との連携をもとにしながら、財源をしっかり確保し、スピード感を持って膨大な事業を執行していくため、今なお不足しているマンパワーの中で職員が2倍、3倍の業務をこなしながら奮闘し、国や全国からの応援をいただきながら県民とともに取り組んだ成果であります。
 今なお非常時にある被災地にあっては、復旧、復興にかける国、県、市町村を大きなよりどころとし、生活の再建や地域経済の再生、防災機能の強化など創造的復興を目指した施策に期待を寄せております。
 決算審査の中で、緊急雇用創出事業について、県の補助で、盛岡市、花巻市、奥州市、一関市、釜石市、二戸市、洋野町が委託するに当たり、県が情報提供し、市町がDIOジャパン関連会社を選定した経緯が適切であったか、この事業に要する機材の取得について、県は、厚生労働省の指導を受け適切に対応したと考えているが、制度上認められたリース以外の制度に反する実際上の買い取りではないか、中間検査や完了検査が適切に行われなかったのではないか、リース料が高額ではなかったか、解雇された従業員への対応なども含め、指摘がありました。
 DIOジャパンがこのような重大な事態を起こし、事業所を相次いで閉鎖し、従業員を解雇し、雇用や賃金の支払いなどを継続しなかったことはまことに遺憾であります。DIOジャパンは本県以外でもかかる事態を発生させており、現在、厚生労働省は事業を行った自治体とともに実態解明を進めており、会計検査も継続している状況にあります。
 言うまでもなく責任を負うべきはDIOジャパンであり、事業実施主体は、補助金を得て事業を行った市町であります。国は、政策を推進するため、各種補助制度を設け、希望する県や市町村がその事業を実施する枠組みとなっており、今回の緊急雇用創出事業については、結果として機材の取得がリースか買い取りかの基準や指導に混乱が見られ、かかる事態を生じたことは、国の制度設計や指導にも課題があったと言わざるを得ません。
 こうした事業実施の中で、県は適正な対応をしてきたのか、中間、完了確認などの県の直接のかかわりの中で落ち度や反省すべき点がなかったかが多く問われました。これらのことを重く鑑み、認定に当たって、附帯意見書案には、善意と税金を食い物にする悪意の当該事業者を指弾し、悪意の業者の排除や制度上の課題に対する十分な対応、一連の事案に対する県の責任を問う声に対し真摯に向き合うべきであること、県議会の決議の趣旨を踏まえ、適切な措置を一刻も早く講じること、進行管理や確認を十分に行い、実効性のある再発防止、明らかになった課題を踏まえた改善の取り組み、とりわけ復興関連事業については、より透明性を高めた効果的、効率的な事業実施に全力を尽くすことの意見を盛り込んだところであります。また、本格復興を強力に推進するため、体制面を強化し、国との連携のもとに一層の財源確保を図るとともに、徹底した歳出の見直しを図り、効果的な事業選択、人口減少対策、地域主権確立のための各種施策を展開し、さらに、平成27年度の予算編成に生かすよう意見を盛り込んだところであります。
 かかる事態の責任は、まずもってDIOジャパンが指弾されるべきであり、県の行政責任が直接に事業を行った市町を超えるものではない中にあって、決算認定における県議会の判断には、事業全体を広く見渡し、評価すべきは評価し、正すべきは正すとの視点が必要であります。未曾有の大災害からの復興や県政推進にかかわる多くの熱意と努力を評価することを決して忘れてはなりません。
 そのことも否定したと受け取れる不認定という判断が適当かどうか、いま一度考え直すべきではないでしょうか。ここは県議会として、県行政に必要な意見を付し、議会の総意として真摯に受けとめ、しっかりと対応させていくことが我々の務めであり、オール岩手で一日も早い復興と県勢発展を望む県民にとっても、県議会の平成25年度一般会計歳入歳出決算に当たっての考えが伝わるものと考えます。
 最後に、被災地と被災住民の一刻も早い復興の願いに全精力をもって一丸となってともに取り組み、乗り越える組織として県議会と県当局がここにあるとの判断がこれからも示されることを強く望み、反対討論といたします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、城内愛彦君。
〔6番城内愛彦君登壇〕

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