平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。通告に従い、順次質問をいたします。
 最初に、公務員賃金について伺います。
 本県では、国や他の都道府県と同様に、2006年4月、職員の給与について、地域の民間給与水準をより一層的確に反映したものとするためとして、全給料表の級、号給の構成を見直すとともに、給料月額を平均4.8%引き下げる改正、いわゆる給与構造改革を実施しました。その際、急激な不利益変更をせずに何らかの経過措置を講じつつ漸進的に見直しが行われていることなどから、給与構造改革後の給料の額が、昇任や昇級に伴い既に支給されていた給料の額を上回るようになるまでの間は、既に支給されていた給料の額を支給することとしたものです。
 ところが、人事委員会は、この現給保障を今年度で廃止する勧告を行いました。現給保障対象者は、50歳以上の職員で24%、55歳以上で44%となり、50歳代、特に55歳以上の場合は、多くの職員が賃金削減となります。現給保障の廃止が平均9、000円程度の賃下げ、率にしてマイナス2.4%と同様であり、生活への影響は深刻です。対象者の多くが既に最高号給に到達しているケースが多いため、退職まで現行給与額を上回れず、既に8年間給与が上がらない状況の中、職場をリードし、職場の中心となって忍耐強く働いてきました。このことから、勤務意欲の維持の面からも影響は大きいと考えられます。
 給与制度について、民間は上昇機運であり、公務員も同様の措置を求めていますが、50歳代の賃金が全く上がらない状況になっています。このような状況について知事の見解を伺います。
 2014年度と2015年度見込みの現給保障適用者の割合、2014年度の現給保障適用の適用者人数、平均額及び最高額について伺います。
 現給保障対象者は、組織のリーダーとして業務を牽引する年代であることから、安心して復興に専念できる人員確保や労働条件改善など、勤務意欲維持のための方策を伺います。
 次に、オスプレイの県内訓練について伺います。
 陸上自衛隊第9師団は、10月30日、アメリカ海兵隊と2015年1月下旬から2月上旬に岩手山演習場で行う日米共同訓練で、米軍新型輸送機オスプレイの参加に向けて調整していると発表しました。北東北3県の同師団管内で初の訓練飛行となることが危惧されます。
 オスプレイは、開発段階から墜落事故が多発し、30人以上の人命を奪った欠陥機であり、その安全性が懸念されています。ニューメキシコ州では、オスプレイの低空飛行訓練計画に住民から反発が出て、訓練計画が延期されています。
 2012年10月、沖縄普天間基地への配備後は、住宅地上空の低空飛行、深夜飛行など、日米合意すら違反する危険な飛行訓練が常態化しています。
 岩手県内では、1964年8月に新里村の山林に炎上して墜落。1988年9月に川井村の山中に墜落。1999年1月に釜石市橋野の山林に墜落と、幾度となく米軍機の墜落事故が起きています。
 1999年1月に米軍三沢基地所属のF−16戦闘機が釜石市橋野の山中に墜落、炎上した事故は、山林火災を発生させ、墜落現場から約1キロメートルしか離れていないところには、小学校や保育園もある住宅密集地があり、地域住民に大きな恐怖を与えました。墜落の原因は、パイロットが制服のファスナーに気をとられている間の脇見運転が原因と発表されています。
 日米両政府は、オスプレイの全国展開を進め、オスプレイが参加する日米共同訓練も各地で行われています。岩手県上空は、米軍機の訓練区域グリーンルートに含まれており、自衛隊岩手山演習場は、オスプレイの全国5カ所の分散訓練の候補地の一つとなっているとの報道もあります。
 オスプレイの全国展開や岩手を訓練地として危険な飛行訓練を行うことは、国民、そして岩手県民の生命と安全を危険にさらすものです。また、基地機能の固定化も懸念されます。
 さらに危惧されることは、今回予定されている日米共同訓練は、岩手県の1月下旬から2月上旬と1年の中で最も気温の低い厳寒期であることです。これまで厳寒期のオスプレイの飛行訓練が行われていたのか伺います。
 知事に伺いますが、岩手山演習場で行う日米共同訓練で、米軍新型輸送機オスプレイの参加に向けて調整していることから、岩手県民の生命と安全を危険にさらす日米共同訓練の反対を申し入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、豊かな教育の実現について伺います。
 財務省は、10月27日の財務制度等審議会で、公立の小学校1年生で導入されている35人以下学級を従来の40人学級に戻すよう求める方針を提示しました。35人以下学級は、中央教育審議会が少人数学級化の方向を提言したのを受けて、2011年度から、小学校1年、2年で順次実現してきたものです。
 これに対して財務省は、2012年度の1年生において、いじめや暴力行為が占める割合がむしろ増加しており、2013年度の全国学力・学習状況調査、いわゆる全国学力テストの結果についても平均正答率が悪化するなど、明確な効果があったとは認められないとして、40人に戻すよう求めました。40人学級に戻した場合には、教職員数を4、000人減らすことができ、約86億円の財政削減効果があるとしています。
 しかし、全国学力テストは、毎年の出題レベルが一定ではなく、単純に比較することには意味がありません。また、いじめの件数は、発生件数ではなく、学校がどれだけ認知したかの認知件数であり、いじめ自殺事件の社会問題化を受けて丁寧な把握が行われた結果、認知件数が増加したとも考えられます。そもそも、わずか数年のデータで傾向を導き出すのは、余りにも乱暴な考え方です。
 義務教育の始まりである小学校低学年は、特にきめ細かな対応が必要な時期です。教育上の配慮としても、中教審の方向に照らしても、1学級の人数を膨らませることはあり得ません。
 そもそも日本の公立学校の学級規模は、国際的に見ても大き過ぎます。35人以下学級を他の学年にも広げていくことこそが国際的な動きであり、教育現場において最も求められているものです。我が国のGDP国内総生産に占める公的教育費の割合は、加盟国中最低であり、政府は、教育予算の引き上げにこそ取り組むべきです。
 また、6月定例会で少人数学級の推進などの定数改善と義務教育費国庫負担制度2分の1の復元を図るための請願が採択され、国に意見書を送付したことからも、流れに逆行する財務省の方針です。
 従来の40人学級に戻すよう求める財務省の方針について、見解を伺います。あわせて、今後の本県の少人数学級推進の見通しを伺います。
 次に、子供の権利について伺います。
 2014年4月22日で、日本政府が子どもの権利条約を批准し、この条約の実現を法的に約束してから20年を迎えました。この条約は、子供にかかわる取り組み、活動の世界基準です。
 子どもの権利条約の提案国はポーランドです。第2次世界大戦で200万人以上の子供を失ったポーランドは、子どもの権利条約を平和への有効な礎とするべく、その提案国となりました。
 子供の権利の保障は、平和と不可分であり、また、子供の人間としての意思と要求を社会的に承認していく取り組みであり、人間社会の存続に向けた課題であると認識されてきました。
 子どもの権利条約は、子供をもっぱら保護の対象にしてきた子供観を転換し、権利の主体として尊重することを求めています。子供は、命、暮らし、遊び、学びの権利を初め、自分らしく生きていくための権利が尊重されなければなりません。
 しかしながら、日本では、いまだに子供の権利の保障は、子供のわがままを助長する、権利より義務という意見が世論を支配しています。大人の意思や要求を押しつけることで、多くの子供が受け身になり、自信を失っている状況を変えていかなければなりません。
 日本においては、子どもの権利条約が十分に受け入れられていません。国連子どもの権利委員会からの1998年、2004年、2010年の3回の勧告も、誠実に実施しているとは言えません。子どもの権利条約が、20周年を節目として日本の子供の問題を解決していくために生かされることが必要です。
 まず、子供の最善の利益の優先については、子どもの権利条約が、日本における子供の幸福追求のために国内法として活用されることが必要です。子供にかかわるあらゆる活動において、条約の原則である子供の最善の利益の原則が優先されることが求められています。
 子供の自己形成と参加の支援については、子どもの権利条約を生かすことによって、大人が子供に向き合う姿勢、態度を見直す機会となることを願います。導いてやる、守ってやる、教えてやるといった態度ではなく、子供の人間としての意思と力を信頼し、能動的な活動を支える力をつけることが大切です。そのために、子供の自己肯定感の向上と共感的な関係づくりのために子供の自己形成と参加が支援され、子供の声が受けとめられ、思いや願いが尊重されなければなりません。
 子供が安心して生きる権利の保障については、子どもの権利条約は、虐待、体罰、いじめなどの暴力、権利侵害から子供が保護されることを求めています。子供が安心して生きる権利、相談でき救済される権利が保障されるためにも、子供には安心できる居場所、第三者的な相談、救済機関が必要です。
 本県の子供の貧困及び児童虐待の現状をどう捉え、どのような対策を講じているのか伺います。また、学校現場における体罰及びいじめの現状と対策についても伺います。
 東日本大震災、福島原発と子どもにやさしいまちづくりについては、東日本大震災、福島原発事故の被災者支援、被災地復興において、当事者である子供の意見を聞きながら、安心・安全な子供の居場所が確保され、遊びや学びの権利が保障されることなどが不可欠です。そのためには、子どもの権利条約の理念や規定が十分に生かされ、子供にやさしいまちづくりが必要です。
 本県でも、被災地復興に向けて、子供の意見をまちづくりに取り入れている例があるのか伺います。
 子どもの権利条約の広報と普及については、子どもの権利条約は、その趣旨や規定を子供と大人の双方に周知することを国に義務づけています。さまざまな方法で、とりわけ関係省庁、行政機関、裁判所、警察、学校や子供施設などに広報していき、子供にかかわる人たちが条約を理解することが求められています。また、何よりも子供たちが、子どもの権利条約を学び、知る機会が保障されなければなりません。
 本県の子どもの権利条約の広報と普及について、今後どのように取り組むのか伺います。
 国連子どもの権利委員会からの勧告の実現については、国連子どもの権利委員会が3回にわたって日本における子どもの権利条約の実施状況を審査し、条約の実現に向けて勧告を出しています。特に日本政府は、これらの勧告を受けとめ、誠実に履行しなければなりません。そのことが、国際基準に基づき、日本における子供の状況をよりよくすることにつながると考えます。
 知事に伺います。日本政府が子どもの権利条約を批准し、この条約の実現を法的に約束してから20年を迎えましたが、これまでの取り組みを踏まえ、今後、子どもの権利条約の理念を生かした取り組みについて、どのように進めるのか伺います。
〔副議長退席、議長着席〕
 次に、男女が互いに尊重し合い、ともに参画する社会実現について伺います。
 人口減少問題がクローズアップされる昨今、女性の社会参加への期待が一層高まるとともに、女性、男性を問わず、仕事と子育て、介護の両立、働き方の見直しなどが大きく求められています。
 岩手県においても、若者や女性の活躍支援に取り組んでおり、2014年5月には、いわて女性の活躍促進連携会議を設立して、経済団体や産業団体等と連携した取り組みを進めています。
 女性が活躍するためには、男性の理解と協力が必要です。また、女性にとって暮らしやすい社会は、男性にとっても暮らしやすい社会です。男女が互いの人権を尊重し、あらゆる分野において対等に参画する社会を実現することが求められています。
 本年10月28日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は142カ国中104位で、前年から一つ順位を上げたものの、依然として低水準で、主要7カ国中最下位でした。識字率や高校までの教育水準では世界1位ですが、女性の就労者や政治家が少ないことが全体の評価を下げています。
 2013年度の岩手県のDV相談件数は、配偶者暴力相談支援センター1、639件となり、前年に比べ135件増加しています。警察署における2013年相談件数は368件となり、70件増加しています。一時保護の状況は39人と前年と比べ6人ふえていますが、保護命令発令件数は59件とほぼ横ばいです。
 DVは、配偶者間だけではなく、若い人たちの間でも多く起こっていることが明らかになってきています。若年層への教育、啓発が重要です。県内の中学校や高校においてデートDVに関する講座が開催され、その講師を大学生が務めるなど、若年層のDV防止に向けた取り組みが進められています。受講者のアンケートによれば、小学校高学年からの講座受講を求める結果が出ていることから、講座の対象者についての見直しが必要と思われます。
 改正DV防止法の施行に合わせて、緊急避難のための宿泊場所確保、提供事業に、交際相手からの身体的暴力被害者やストーカー行為等の被害者を保護対象者に加えたとのことでしたが、現状と課題について伺います。あわせて、DV相談件数が増加傾向にあることから、DV防止対策の課題について伺います。
 今年度から、復興に女性の視点を反映させる復興委員会女性参画推進専門委員会が活動を始めました。6月5日に現地調査を実施し、意見交換を行っています。7月11日には第1回復興委員会女性参画推進専門委員会を開催し、その審議内容を復興委員会へ報告していますが、その内容と復興委員会女性参画推進専門委員会からの意見の政策への反映について伺います。また、女性参画による被災地のなりわいの再生ワーキンググループが設置されましたが、経緯や目的、施策の方向性について伺います。
 国の防災基本計画の内容は、男女共同参画の視点を取り入れた記述になっています。また、国の防災基本計画の内容から、意思決定の場に必ず女性が参画すべきであり、県や市町村の地域防災計画にも女性の意見が反映されるようにすべきと考えます。
 市町村防災会議における女性委員数は、2014年4月1日現在、1、101人中48人で、その割合は4.4%です。女性委員数ゼロの市町村が九つあります。男女共同参画の視点を生かした地域防災計画の修正が行われるためには大幅な女性委員の登用が必要であると考えますが、直近の数値と今後の取り組みについて伺います。あわせて数値目標もお示しください。
 男女共同参画の推進は、子供のころからの取り組みが重要です。とりわけDVの加害者にも被害者にもさせない取り組みが求められています。小学校、中学校、高等学校において、性別で分けない名簿を使用している学校の割合は全国的に多くなっています。男女共同参画推進条例に基づき行政主導で推進する自治体が多い中、岩手県は東北でも最下位、全国でも最下位グループです。このような状況について教育長の御所見を伺います。
 男女共同参画とは、単に女性の地位向上のみではなく、性別にかかわりなく居心地のよい社会をつくり、誰もが安全で安心な生活を営む権利を確保する人権保障の問題であると考えますが、知事の男女共同参画社会実現への決意を伺います。
 最後に、公共交通政策について伺います。
 交通政策基本法が昨年12月4日に公布、施行されました。この法律は、交通に関する施策について、基本理念及びその実現を図るために基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることにより、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって国民生活の安定、向上及び国民経済の健全な発展を図ることを目的としています。
 この基本法を受けて、国土交通省は9月に交通政策基本計画原案を公表し、基本方針として、豊かな国民生活に資する使いやすい交通の実現、成長と繁栄の基盤となる国際・地域間の旅客交通・物流ネットワークの構築、持続可能で安心・安全な交通に向けた基盤づくりの三つの施策を推進していくこととしています。
 各基本方針の中で目標を掲げており、特に、自治体を中心に、コンパクトシティ化等まちづくり施策と連携し、地域交通ネットワークを再構築する、地域の実情を踏まえた多様な交通サービスの展開を後押しすることとしています。
 交通政策基本法の施行を受けて、本年5月に改正された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が11月20日に施行され、同法の規則、政令も改正されたところです。
 活性化再生法に基づく地域公共交通網形成計画、地域公共交通再編実施計画については、市町村だけではなく、市町村と連携し都道府県も策定できるとされています。そして、国土交通大臣が認定した地域公共交通再編実施計画に基づく地域公共交通ネットワークを再構築する取り組みに対して、国は、重点的に支援するとしています。具体的には、バス路線、輸送力の設定などに関する許認可の審査基準の緩和、バスの運賃、料金の規制緩和、計画の維持を困難とするような行為の防止などの支援が示されています。
 このような法改正に伴い、岩手県として地域公共交通網形成計画の早期策定が求められると考えられますが、取り組み状況をお示しください。
 さらには、県の計画をもとに各市町村の取り組みが求められてきますが、今後の見通しを伺います。
 国土交通省は、9月に交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会豊かな未来社会に向けた自動車行政の新たな展開に関する小委員会を開催しています。その中で、国土のグランドデザイン2050の実現、観光立国の実現、国際競争力の強化等に向けて、自動車行政において速やかに講ずべき施策を整理するとともに、将来を見据え、今後10年ほど先までの自動車行政の新たな展開の方向を取りまとめるとしています。
 その中では、地場産業としての自動車輸送事業等において、深刻な労働力不足問題に対応して、現場を支える技能人材の確保、育成についてが課題として上げられています。
 岩手県内においても、震災復興事業による人材の奪い合いによる運転士不足問題があり、大きな課題となっており、もはや事業者任せでは限界に来ているとの声が多く聞かれる中で、県としての対応策、支援策を打ち出すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 震災復興のインフラ整備において、唯一手つかずだったJR山田線宮古―釜石間55.4キロメートルの復旧に向けた県と沿岸市町村首長会議が、11月25日、盛岡市内で開かれました。会議では、JR東日本が提案している三陸鉄道への運営移管に関し、JR側と県の協議結果が明らかにされるとともに、住民に対する説明などを経て、年内に再度会議を開いて移管に関する方向の決定を目指していくこととされたところです。
 なお、県によると、JR東日本からは、県から要請していた赤字想定額の補填、運賃差額の補填、災害時施設、設備更新時の費用負担を勘案した移管協力金30億円を支援する意向が示されているとのことです。
 また、移管協力金に加えて、運行に必要な車両の無償譲渡や、レールや枕木交換などの軌道強化、検修庫・施設管理拠点の整備、人的支援、観光キャンペーンなどによる地域活性化や利用促進への協力を行う意向も示されているとのことです。
 そこで伺いますが、JR東日本から示されているさまざまな支援のうち、人的支援の具体的な内容についてお示しください。あわせて、今後の課題についても伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、給与制度についてでありますが、近年、高齢層における給与水準は、国、地方とも公務員給与が民間給与を上回っている状況にあり、これまでの給与改定においても、高齢層の職員に係る昇級制度の見直しなど、これを是正する方向で進められてきているところであります。
 また、給与構造改革における経過措置、いわゆる現給保障については、平成27年3月末での廃止が人事委員会から勧告されたところでありますが、この背景として、経過措置適用者の多くは高齢層の職員であり、高齢層における公民の給与差の一因となっていることなどから、世代間の給与配分の観点からも廃止が適当との判断があったものと承知しておりまして、こうした人事委員会の勧告を尊重し、関係条例案を提出させていただいているところであります。
 このような中にありまして、本格復興に向けて、職場の中心的な役割を担っている高齢層の職員の勤務意欲の維持、確保に向けましては、さまざまな視点からの取り組みを進めてまいります。
 次に、日米共同訓練反対の申し入れについてでありますが、県としては、岩手山演習場における日米共同訓練の実施により、県民の生命、健康、財産等に影響を及ぼすことがあってはならないものと考えておりまして、特にオスプレイの飛行が伴う訓練については、これまでの経緯を踏まえれば、その安全性等に対する県民の不安を払拭することが必要と考えております。
 このため、先日、県から東北防衛局長に対し、日米共同訓練の実施等に関し、県民の安全と日常生活に支障を及ぼすことがないよう十分に配慮すること、訓練内容等については、調整中のものを含め適時適切に情報を提供すること、オスプレイが参加することとなった場合には、訓練内容や飛行ルート等を明らかにした上であらかじめ説明を行うとともに、国の責任においてオスプレイの安全性に対する県民不安の払拭に向けた十分な対応を行うことなどを要請したところであります。
 県としては、引き続き、日米共同訓練へのオスプレイの参加の有無を含め訓練概要の情報収集に努めるとともに、本県の要請に対する国の対応状況も注視し、関係市と連携しながら、県として必要な対応を行ってまいります。
 次に、子どもの権利条約の理念を生かした取り組みについてでありますが、子どもの権利条約は、世界的な視野から子供の人権の尊重、保護の促進を目指したものであり、子供への措置に当たっては最善の利益を考慮するとともに、子供のさまざまな権利が定められています。これまで国においては、条約を踏まえ、児童虐待の防止等に関する法律や次世代育成支援対策推進法の制定などにより、子供の権利の擁護や子供の健全な育成への取り組みを進めてきたところであり、県においても、国の政策に呼応しながら、いわて子どもプランなどを策定し、取り組みを進めてきたところであります。
 県では、条約の趣旨も踏まえ、今年度、制定を予定している子供、子育てへの支援に関する基本的な理念を定める条例に、子供の権利を尊重することを基本として、子供の最善の利益を考慮することを盛り込むことを検討していますほか、施策の推進に当たっては、子供の権利に関する意識啓発や、子供の貧困への対応などの新たな取り組みも検討しているところであります。
 次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなくその能力を十分に発揮できることが重要であります。県では、第2期復興実施計画において重視する視点として参画を掲げ、若者、女性を初めとした地域住民の幅広い参画により復興の取り組みを推進しているところであります。
 また、本年5月に設立した経済団体、産業団体等と連携したいわて女性の活躍促進連携会議では、経営者や管理職を対象とした女性も男性も働きやすい職場づくりを考えるセミナーを行うなど、官民連携した取り組みを進めているところであります。
 今後とも、女性、男性、誰もが生きやすい社会となるよう、また、地域社会が活性化するとともに、人を大切にした社会の形成、生活の質の豊かさにつながるよう、男女共同参画の一層の推進を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 子どもにやさしいまちづくりについてでありますが、被災地の復興に向けて、子供の意見をまちづくりに取り入れる例といたしましては、大槌高校の生徒が、自分たちのまちは自分たちで決めようとの基本方針のもと、具体的なまちづくりに向けたコミュニティ戦略案を大槌町に提案し、これが町民大運動会の開催や首都圏在住の方が集まるふるさと大槌会でのひっつみの振る舞いなどの取り組みに結びついた事例がございます。
 また、山田町の子供たちと公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンが立ち上げた子どもまちづくりクラブが住民の皆さんと話し合う中で生まれたアイデアをもとに、子供たちの居場所と図書館機能を備えた施設子ども交流センターが今後建設される予定となっている事例もございます。
 今後におきましても、関係部局や市町村、関係団体などと連携しながら、子供を含めた若者の意見を本格的復興に生かしてまいるよう努めてまいります。
 次に、復興委員会女性参画推進専門委員会についてでありますが、本年7月に開催した第1回委員会におきましては、被災地においては、保健、福祉、教育などの分野をつなぐ取り組みが必要といった意見や、震災によって、女性、子供、障がい者などに多くのしわ寄せが来ている。さらには、女性グループによる起業への支援が必要などといった御意見が出されてございます。これらの御意見につきましては、庁内関係部局におきましても今後の施策、事業を展開する上で参考とさせていただいてございます。
 また、女性参画による被災地のなりわいの再生ワーキンググループは、専門委員会の委員長からの提案を踏まえ設置したものであり、被災地における女性のなりわいに関する現状や課題について、現地調査も行いながら共通認識を図り、女性の就労環境づくりや人口流出防止対策、U・Iターンの促進などについて検討していただくこととしております。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、公務員給与における現給保障の適用状況についてでありますが、今年度当初において、給与構造改革における経過措置、いわゆる現給保障が適用されている職員の割合は、普通会計職員で9%程度となっております。また、経過措置が来年度も存置されるとした場合の割合についてでありますが、職員の昇級や昇格の状況によって影響があるため、正確な数値を捉えることは難しいところでありますが、今年度の職員数をもとに、経過措置適用者のうち、今年度、定年退職となる職員を除いて試算しますと、7%程度となると推計されます。
 なお、今年度における経過措置適用者の状況でありますが、行政職の職員を例にした場合、経過措置の適用者数は500名程度、経過措置額は平均で9、000円程度、最高額では2万8、000円程度となっているところでございます。
 次に、勤務意欲の維持のための方策についてでありますが、本格復興の推進に当たり、これまでも、任期付職員も含めた職員採用の拡大、他県からの応援職員の確保などに努めてきたところでありますが、特に来年度におきましては新規採用職員の増加を図ることとしており、さらなるマンパワー確保に取り組んでいくこととしております。
 また、職員の勤務意欲の維持、確保、職員負担の軽減に向け、これまでにも単身赴任手当の拡充、夏季休暇の拡大など勤務条件の改善に取り組んできたところであり、今議会におきましても通勤手当の引き上げを提案しております。
 なお、特に経過措置の廃止による影響を受ける職員の勤務意欲の維持、確保に当たりましては、能力や意欲の適正な評価のほか、処遇全般を通じて個々の職員の状況を勘案した対応に意を用いてまいりたいと考えております。
 次に、厳寒期のオスプレイの飛行訓練についてでありますが、その実績について東北防衛局に確認したところ、具体的な情報は入手できなかったところであります。
 なお、陸上自衛隊東北方面総監部に確認したところ、オスプレイも回転翼機の一つとして捉えることができるが、自衛隊が運用する回転翼機は厳寒期の北海道でも運用されているとの回答があったところであります。
 次に、市町村防災会議の女性委員についてでありますが、平成26年11月30日現在の市町村防災会議の女性委員数は、4月1日現在と比べて全体で3名ふえて51人となり、割合についても0.2ポイント増加して4.6%となった一方、人事異動等により女性委員のいない市町村数が二つふえて11市町村となったところであります。
 また、市町村防災会議の女性委員数の数値目標につきましては、国の男女共同参画会議監視専門調査会が政府に対し女性委員のいない市町村防災会議の数をゼロとするよう提言しているところであり、県としても、この提言に沿って取り組みを進めていきたいと考えています。
 県としては、市町村がさまざまな被災者に配慮した防災対策を進めるためにも、男女共同参画など多様な視点を取り入れた防災体制を確立していくことが必要であると考えており、今後とも、女性委員の積極的な活用を促すとともに、各市町村の女性委員の登用状況等を周知することなどにより、全ての市町村で女性委員が登用されるよう強く働きかけてまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、子供の貧困の現状と対策についてでありますが、本県における公的支援の対象となっている子供の状況については、例えば、子供の総数に占める生活保護を受給している子供の割合や学校教育法の就学援助を受けている子供の割合について、最近3カ年の状況を見るとおおむね横ばいの状況ではありますが、依然として経済的支援を必要とする家庭があることから、子供の貧困対策は重要な課題であると認識しております。
 そのため、例えば、盛岡地域において学習支援等として低所得世帯の中学生を対象とした学習会を実施しているところですが、平成27年度に子供の貧困対策に係る計画を策定し、関係機関や団体と連携を図りながら総合的に対策を推進していきます。
 次に、児童虐待の現状と対策についてでありますが、児童相談所における児童虐待対応件数は、平成23年度を境に減少してきているものの、依然として高い水準にあると認識しております。そのため、児童相談所においては、24時間、児童虐待の相談を受け付けるとともに、虐待対応専門チームを設置して、虐待相談や児童の安全確保、保護者対応等の一連の対応に取り組んでいます。引き続き、市町村等と緊密に連携を図りながら、児童虐待防止アクションプランに基づき、総合的な取り組みを推進していきます。
 次に、子どもの権利条約の広報と普及についてでありますが、県では、市町村や児童養護施設等に入所した子供に対して、入所児童の権利のほか、子どもの権利条約の条文や、条約に定める子供の権利などを記載したいわてこどものけんりノートを配付しながら、子どもの権利条約の普及啓発を図ってきたところです。今後、この取り組みに加え、広く県民の方々が子供の権利について理解しやすいような形で、県のホームページなども活用し広報の充実を図るほか、国や市町村、教育関係機関等との連携を図りながら、その普及に努めてまいります。
〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) DVの現状と課題についてですが、ことし1月の改正DV防止法の施行に合わせ、緊急避難のための宿泊場所確保・提供事業により、安全確保のための宿泊場所が提供される対象者を拡大した結果、これまでにストーカー行為等の被害者による本事業の利用が3件あり、本事業は被害者の安全確保に一定の役割を果たしているところであります。
 また、DV相談件数については、基本的には緩やかな増加傾向にあり、この要因としては、DV防止対策についての周知が図られたことによる面もあると考えております。
 今後も、将来のDV被害者、加害者をつくらないよう、若年層を対象とした予防啓発に努めるとともに、DV被害者等からの相談に適切に対応し、DV相談支援センターや警察など関係機関との連携のもと、被害者の安全確保、経済的自立など、個々の被害者に応じた支援を行ってまいります。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、地域公共交通網形成計画の策定についてでありますが、この計画は、地域全体を見渡した面的な公共交通ネットワークの再構築を図るものでありまして、市町村が単独または共同して策定するほか、新たに、県も市町村と連携、協力しながら、協同で策定することが可能となったところであります。この計画に基づく事業に対する財政措置など具体的な施策については、国の平成27年度予算が成立した後に示されるものと考えております。
 県内市町村の一部では、この計画の策定について検討を進めたいとの意向があることから、県といたしましては、国の動向の把握に努め、市町村に対して的確に情報提供するとともに、市町村との連携のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 次に、自動車運送事業における人材不足問題についてであります。
 バス事業者の厳しい経営環境、大型二種免許取得者の減少、高齢化に伴う退職者の増加などを背景として、全国的にバス運転士の不足が問題となっているところであります。また、本県におきましては、議員御指摘のとおり、震災復興事業等による大型免許保有者の需要の増加もその一因と考えております。
 地域の生活交通を支えるバス輸送の維持の観点から、バス運転士の安定的な確保や育成は喫緊の課題であると認識しております。国においては、昨年度、有識者や関係団体で構成される検討会を立ち上げまして、その対策について検討の上、本年7月に報告を取りまとめたところであります。対策の方向性を示した総括的な対応にとどまっておりまして、今後における国の具体的な方策を注視していきたいと考えております。
 また、県といたしまして、バス事業者の状況の把握に努めているところであります。バス事業者や国との意見交換などを通じまして、どのような支援が可能か検討してまいりたいと考えております。
 次に、JR山田線の復旧についてであります。
 JR東日本が行うこととしている人的支援については、三陸鉄道が山田線を引き受ける場合、山田線の運行に係る技術的なノウハウの継承や、新規に採用した社員の育成などが必要になることから、JR東日本の社員の出向等による支援を受けることを想定しているものと聞いております。
 なお、詳細につきましては、今後、復旧の方針が固まり次第、JR東日本と三陸鉄道が協議していくこととなるものと考えております。
 今後の課題といたしまして、山田線が一日も早い鉄道復旧を果たし、復旧後も持続的な運営を図る上で、山田線を支えていく地元住民や関係者のコンセンサスの形成が欠かせないものと考えております。当面、地元市町村におきまして、しっかりとした意思形成を行った上で、年内に予定している沿岸市町村首長会議において、まずは方針の決定を行うことが重要と考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 少人数学級についてでありますが、財務省におきましては、いじめの発生や不登校の改善への貢献度等を根拠に、小学校1年生を40人学級に戻すことによる教職員定数の削減を文部科学省に求める案を財政制度等審議会に提示したと承知いたしております。県教委といたしましては、今般の財務省の方針については、実際の学校現場や地域、保護者の声が反映されていないなど、極めて一面的な見方であると考えております。また、先般、文部科学省初等中等教育局の幹部に時間をいただき意見交換を行ってまいりましたが、文部科学省においても県教委と同様の考えであるとの感触を得ております。
 本県で実施している少人数教育に関する調査によりますと、市町村教育委員会や学校からは、きめ細やかな指導により、基本的生活習慣の定着、学習意欲の向上に効果があると高い評価を得ており、今後も継続して実施してほしいという強い要望があると承知いたしております。
 本県におきましては、35人学級を小学校では4年生までと中学校では1年生に拡大して実施し、大きな成果につながっているところであり、今後においても、国に対し、地域の実情や学校の現状に応じて弾力的に運用できる安定的な定数改善を強く求めてまいります。
 また、今後の本県の少人数学級推進の見通しにつきましては、現在、国において来年度予算を調製しており、この結果や、国の制度改変の動向を注視しつつ、現在の実施状況を基本としながら今後のあり方を検討してまいります。
 次に、体罰及びいじめについてでありますが、教職員による体罰はあってはならないものであり、いじめについては常に起こり得るとの考えのもとに、でき得る限りの発生防止に不断に取り組んでいかなければならないものと考えております。県教委といたしましては、これまで、各県立学校及び市町村教委に対してこれらの防止について関係通知を発出するとともに、校長会議の場等において未然防止の指導に取り組んできているところでございます。
 まず、体罰についてでありますが、平成24年度に全国的に実施された体罰実態調査におきましては、同年度中に県内の公立学校で発生した体罰が64件確認されたところでありまして、この結果を見ますと、体罰の相当数が感情的になされたものであることが判明したことから、県教委におきましては、昨年度から感情をコントロールするスキルを身につけるための新たな研修―アンガーマネジメント研修というものを導入いたしまして体罰の発生防止に取り組んできております。実態調査実施時の注意喚起やこうした研修の効果もあり、昨年度における体罰の発生件数は8件と減少していることから、引き続き体罰の根絶に向け、取り組んでまいります。
 次に、いじめについてでありますが、本県における昨年度のいじめの認知件数は合計で837件となっており、これは、平成24年度に比較して1、449件の減少となっております。
 なお、認知されたいじめのうち、当事者への指導や保護者への状況説明等により、解消済み、または一定の解消が図られた割合は、全体では96.9%となっております。
 県教委といたしましては、いじめ防止対策推進法に基づき各学校が策定している学校いじめ防止基本方針といじめ防止等のための対策のための組織を機能させること、特に各学校が日ごろからいじめを許さない学校づくりを進める中で、児童生徒の好ましい人間関係づくりや職員間の共通理解など、いじめの未然防止及び早期発見、早期対応の取り組みの充実を図るよう引き続き取り組んでまいります。
 次に、男女混合名簿についてでありますが、学校において、授業や行事などの教育活動全体を通じて児童生徒に男女平等の意識を高める指導を行っていくことは、男女共同参画社会を形成していく上で重要であります。各学校で使用される児童生徒の出席簿、学級名簿、入学生名簿などの名前の順番は、用途及び利便性などを考慮しながら各学校が主体的に判断して作成しておりますが、男女混合名簿については、平成20年9月に、岩手県男女共同参画調整委員から県教委に対して、各学校が男女混合名簿の使用について主体的に判断するための資料の情報提供を行うよう勧告された経緯がございます。県教委におきましては、この勧告を踏まえまして、毎年度、市町村教委及び各県立学校への通知や必要な情報提供を行っているところでありますが、男女混合名簿を使用している本年度の学校の割合は、5年前と比較いたしまして、小学校で1.5ポイント、中学校で2.7ポイント、高等学校で3.7ポイント増加してきております。
 しかしながら、議員御案内のとおり、本県の男女混合名簿の使用割合は全国的に見ると低い状況にあると把握いたしておりますので、全国的な動向の推移等も踏まえながら、今後とも必要な情報提供などに努めてまいります。
〇24番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
 では、男女共同参画、それから子供の権利にかかわって再質問させていただきます。
 先ほど答弁の中にもございましたけれども、第1回復興委員会女性参画推進委員会の審議概要から、女性の場合は担保がないと融資を受けられない場合が多いとか、こんなリスクの高い女性、子供、ひとり親家庭の方々などに多くの困難、しわ寄せが来ているとか、震災が原因で女性が不利益をこうむっていないか、人口減少がなぜ進んでいるのかを検証するためにもジェンダー統計を徹底してほしいなど、被災地において女性が生きにくいといった意見が委員から出されております。
 それから、社会的包摂サポートセンターの電話相談、よりそいホットラインには、かなり多くの相談が寄せられております。特に被災3県から驚くほどの件数の相談がありました。自殺防止ラインには、全国の割合と比較しますと約3倍もの相談が寄せられております。貧困によるものが大多数ということです。
 このような実態をどのように捉えているかお伺いします。それから、人口減少と大いにかかわってきますが、その課題と対策を伺います。
 二つ目ですが、このような被災地の女性の実態が、直接子供の貧困に、そして、被災地の女性が貧困であれば、ダブルワークとかトリプルワークをしなければ収入が得られないわけです。そうしますと、子供だけで家で留守番ということにもなりかねません。それは、虐待で言うとネグレクトに当たります。教育現場とか福祉の関係者からも深刻な報告がありますが、このような実態をどう捉えているか伺います。課題と対策もあわせて伺います。
 先ほど、福祉と保健と教育をつなぐということが被災地では重要という御答弁がありましたけれども、被災地を中心に、教育と福祉をつなぐ重要な役割を担うスクールソーシャルワーカーが配置されております。どのような配置になっているのかお伺いします。
 それから、子供だけじゃなくて、保護者からの相談もふえているという報告が沿岸部の学校からありますが、要請に見合う訪問回数なのかお伺いします。
 それから、事案一つ一つを解決するには、スクールソーシャルワーカーと自治体、それから学校、あとは関係機関との密な連携が欠かせませんが、実態はいかがでしょうか。課題をどう捉え、どのような対策を講じるのかお伺いいたします。
〇復興局長(中村一郎君) 第1点目の、被災地において女性が生きにくいという問題のお話がございました。この問題につきましては、女性参画推進専門委員会の中でも、震災前から潜在的にあった課題が、震災後によりはっきりと出てきているのではないかといったような御意見も頂戴してございます。また、沿岸部では、共稼ぎで、女性の方が働きに出たいんだけれども、なかなか保育所の空きがないといったような声も伺ってございます。
 議員からお話のあった委員会でのいろいろな御意見を踏まえて、一つは、復興に関する調査、統計データのお話もございましたけれども、これにつきましては、可能なものについては、男女別にできるだけ公表していくということで考えてございますし、専門委員会に設置いたしましたワーキンググループでは、今月中旬に沿岸での現地調査を予定してございます。その中で、被災地の女性経営者でありますとか企業家の方々から直接お話をお伺いする予定にしてございますので、これまでいろいろお伺いしている御意見でありますとか、今後いろいろな機会にお伺いする声なども踏まえまして、課題の把握に努めるとともに、今後の対応策についてもしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、沿岸部の子供の貧困の実態等でございますが、先ほど答弁した生活保護を受給している子供の割合については、内陸部が0.89%、沿岸部が0.62%となっておりまして、内陸部のほうが高い状況ではありますが、母子世帯の状況を見ますと、就労収入が月額15万円未満の世帯の割合が、内陸部が65%であるのに対して、沿岸部が71%となっており、沿岸部がやはり高い状況になっておりまして、子供の貧困対策は県全体の重要な課題だと認識しております。
 そのため、県では、児童扶養手当の支給、母子福祉資金の貸し付け、教科書購入費等の給付事業など経済的支援を行っておりますけれども、先ほど答弁したとおり、来年度において子供の貧困対策に係る計画を策定しますので、これで総合的な取り組みを推進してまいりたいと思っております。
 それから、次に、沿岸部の児童虐待の実態等でございますが、平成25年度の児童相談所における児童虐待対応件数のうち、沿岸の12市町村は69件でございまして、前年度の79件に比較して10件、12.6%減少しているところでございますが、沿岸部においては震災後の生活環境の変化に伴う家庭へのさまざまなストレスが、虐待につながることが懸念されているということを課題として認識しております。
 そのため、先ほど申し上げました児童虐待防止アクションプランに基づいた取り組みを行っているほか、さらに、沿岸部においては、児童虐待の発生予防に重点的に取り組むため、新たに三陸鉄道の駅舎にポスター掲示を実施したほか、バスの広告台数を大幅にふやすなど広報活動に取り組んでいるところでございまして、今後においても、児童虐待防止に向けた総合的な取り組みを進めてまいります。
〇教育長(高橋嘉行君) スクールソーシャルワーカーについてでございます。この職は、子供たちや保護者に寄り添い、学校教育と福祉関係機関等との間に立って諸課題の解決を図っていく役目を担っておりますけれども、その配置数は、現在、県内の6教育事務所に12人の配置となっております。
 その内訳は、盛岡と中部が3人、県南と沿岸南部が2人、それから、宮古と県北が1人となっておりまして、本年度においては、沿岸の3教育事務所に1人ずつの増員をしたということになっております。
 訪問回数についてでございますけれども、スクールソーシャルワーカーが相談を受けるケースは、東日本大震災津波などによって経済的に困難な家庭でございますとか、さまざまな事情を持つ家庭などが抱える課題など、多岐にわたっております。
 スクールソーシャルワーカーの勤務体系につきましては、従来は、1週間当たり12時間以内、年間420時間以内としておりましたけれども、本年11月からは、年間総時間数は変更しておりませんが、週当たりの勤務時間を12時間以内から29時間以内に弾力化いたしまして、多様な要請に応じてきているところでございます。
 また、関係機関との連携についてでございますけれども、課題といたしましては、社会福祉士等の資格を有する人材が不足していることでありますとか、具体的な支援のためのネットワークのさらなる充実等があるものと捉えております。
 この対策といたしましては、県、社会福祉士会との連携による人材確保や、市町村の要保護児童対策地域協議会の一員としてスクールソーシャルワーカーも加えていただくことなどを通じて、県教委と市町村教委との十分な連携を図りながら、引き続き丁寧な対応を図ってまいりたいと考えております。
〇24番(小西和子君) ありがとうございました。
 国も県も指導的な地位にある女性の割合を高め、女性の活躍をうたうのであれば、シングルマザーや非正規で働く女性も含めた全ての女性の待遇改善を行うべきと考えます。
 多くの働く女性が改善してほしいと考えていることは、長時間労働、それから、性別役割分業意識、雇用における男女間格差などです。このことを改善していくことが子供の権利を守ることにもつながると考えますので、取り組みの強化を要望して、終わります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
日程第2 議案第1号平成26年度岩手県一般会計補正予算(第5号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第67 議案第66号災害公営住宅(山田町北浜地区)新築(建築)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(千葉伝君) この際、日程第2、議案第1号から日程第67、議案第66号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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