平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(神崎浩之君) 自由民主クラブの神崎浩之です。
 先輩議員に御配慮いただきまして4回目の一般質問の機会をいただき、感謝を申し上げ、順次質問してまいります。
 私の今回の質問内容は、地方創生については11月21日に通ったばかり、空き家対策についても11月19日、先般の解散直前の国会でぎりぎり成立したものであります。また、介護、障がい福祉などは、来年度からの法律改正に伴う対応など、今後の県の対応について問うものであります。したがいまして、抽象的な答弁にならないよう、知事を初め当局の皆様には、具体的かつ踏み込んだ答弁をお願いいたします。
 初めに、本県におけるまち・ひと・しごと創生について伺います。
 安倍総理は、2014年9月臨時国会を地方創生国会と位置づけ、地方が直面する人口減少、高齢化問題について、若者が将来に夢や希望を持てる地方の創生に向けて力強いスタートを切るとしました。地方が成長する活力を取り戻すべく、人口減少問題の克服に取り組む、内閣府にまち・ひと・しごと創生本部を創設いたしました。まち・ひと・しごと創生本部は、地方へ新しい人の流れをつくり、地方でも就職、結婚、出産、子育てなどの希望を実現できるよう環境づくりに取り組むとしております。
 また、国は、地方創生の関連法案として、人口減対策の基本理念を定めたまち・ひと・しごと創生法案や、自治体支援の窓口を一本化する地域再生法改正案が成立したことを受けて、人口減少の抑制や東京一極集中の是正に向けた具体策についての取り組みを本格化させるとして1兆円超の予算措置を検討していると聞いております。地方創生にはさまざまな課題があり、国の長期ビジョンや総合戦略策定もこれからだと思いますが、県も人口減少が進行する現状を鑑み、率先して計画策定、具体的かつ有効な施策の実現に取り組むべきと考えます。
 そこで伺います。国の地方創生に対しては、県はこの事業を積極的に活用し、活用に当たっては、縦割りではなく各部局連携した取り組みが必要であり、事業推進に当たっては知事のリーダーシップと積極姿勢が望まれますが、県の基本姿勢をお示し願います。
 また、県と市町村との関係において、市町村任せにするのではなく、どう組み立てればよいか困っている市町村に国の情報を早く伝え、積極的に意見交換し、アドバイスするなど、県が主導すべきであると考えます。県は、市町村からこれまで毎年度さまざまな地域課題等について要望を受けておりますが、今回のこの地方創生の取り組みについては、今まで市町村が予算や仕組みの制約がありできなかったことを実現できるように積極的に市町村を支援すべきであり、市町村の要望、声を真摯に受けとめ、県として一歩踏み込んだ対策をとるべきではないかと思いますが、県の基本的な考えについてお伺いいたします。
 次に、新たな広域連携についてお伺いいたします。
 市民、町民、村民が安心して快適な暮らしを営んでいくためには基礎的な行政サービスの提供が不可欠でありますが、市町村で人口減少が進むということは、役所の職員も減少するということであります。専門的人材がいない等の人事面、予算面の制約が生じます。今までの広域行政の流れとしては、県は、広域連合や広域事務組合を設立するよう支援したり、広域で消防、介護等の事務の共同処理が行われるよう助言、指導したり、さらには、近隣市町村との合併を促進し、広域振興局から職員を派遣し事務の応援をするなど、自治体が持続可能な行政サービスを提供できるように取り組んできたと思います。
 しかしながら、近年は、被災地に限らず、県北、中山間などの小規模自治体は、専門性が要求される生活保護、精神保健など各種社会福祉関連業務やインフラ維持に関する業務、地域振興等の企画業務等について、人材不足、体制が不十分な状況が続き、予算も年々縮小され厳しい状況であり、行政サービスに格差が生じる懸念が生じております。
 ことし5月30日に第30次地方制度調査会答申を受け地方自治法の一部改正が行われ、地方圏のうち、地方中枢拠点都市以外の地域において、中心都市と近隣の基礎自治体との間で都市機能の集約とネットワークを進めることにより住民が安心して生活できる基盤を維持していくこととし、新たな広域連携の制度が創設され、連携協約の制度、事務の代替執行の制度が盛り込まれました。しかしながら、連携、協力できる市と物理的距離があるなどの課題を持つ条件不利地域における町村の行政サービスの課題解決は、近隣市町村との連携だけでは難しいと考えます。地域の中心市にのみ周辺町村の支援を任せるのではなく、県が中心となり人的、技術的支援を強化することが不可欠であり、個別課題ごとに、地域の実情に応じて、新たに県と小規模自治体との連携協約や事務の代替執行などにより解決を考えていく必要があります。
 ここ数年の県のスタンスは、地方分権の流れから県の業務の市町村への権限移譲を進め、それは市町村の役割だ、仕事だとしてきた経過があります。いま一度考え直し、職員の意識改革に取り組んでいく必要があるものと考えます。
 そこで伺いますが、新たな広域連携モデルを構築し、小規模自治体への支援についての御所見を伺います。
 また、知事は、県職員の意識改革を促す必要性についてどう認識しているのかを伺います。
 次に、中小企業の活力強化、県の支援についてお伺いいたします。
 中小企業は、理由を挙げれば切りがないのですが、収益確保が厳しい状況に置かれております。本県の中小企業者からは、経営環境は年々厳しさを増していることへの県の対応、それとともに、従業員不足、後継者不足への対応について強く要望されております。まずは中小企業を支える担い手の確保を支援するとともに、本県経済を支える中小企業の活力強化について、個々の中小企業の経営実態に実効性のある支援を行っていく必要があると考えます。
 そこで伺いますが、中小企業の人材確保への支援について、これまでは就職支援の対象として高卒の就職あっせんの取り組みが中心であり、大卒へのアプローチ、支援が十分ではなかったと感じております。また、支援の目的として、時代の変遷にかかわらず、就職難時代への求職支援という観点から、人材不足時代の求人支援の観点への変更が必要と思われます。わかりにくい表現で申しわけございませんが、東京や名古屋への就職は必ずしも求職者が全て望んでいるわけではなく、できれば地元にという希望もあり、また、地元にそういう企業もあったのかと後々わかるケースもあるようであります。このように、県内中小企業は情報発信の面でも大企業の学生への求職情報に負けている状況で、十分に求職情報が提供されているとは思えません。
 そこで、大卒者と本県中小企業とのマッチングにもっと力を入れるべきではないかと考えますが、県の中小企業の人材確保に対する支援のあり方についてお伺いいたします。
 次に、県内大学の県内中小企業への就職の支援についてですが、岩手県立大学では、県内就職率が昨年は49.2%からことしは36.5%と大幅に低下しております。しかしながら、岩手大学のことしの県内就職率は42.6%であり、もともと県外の全国から来ている岩手大学の学生に比べて、県内生が多い県立大学のほうが負けているのは腑に落ちないのですが、大幅に低い理由と、県立大学での学生に対する就職支援についてお伺いいたします。
 次に、中小、小規模企業への支援についてお伺いいたします。
 国において、成長戦略に欠かせないものづくり、商業、サービスの革新的取り組みに挑戦する中小企業等に対して、ものづくり・商業・サービス革新事業補助金を設けて支援を行い、地域の中小企業の活性化を図ろうとしております。しかしながら、本県中小企業が採択されたのは、福島県の248件、山形県の211件に比べて半分程度の111件にとどまります。国のものづくり・商業・サービス革新事業補助金の内容、予算規模、全国や東北での応募、採択状況はどうなっているのかお伺いいたします。
 また、県段階でも、中小企業等の競争力強化、雇用の拡大等の支援を強化していく必要があると思われます。
〔議長退席、副議長着席〕
 既に東北では山形県が、いわゆる県版ものづくり・商業・サービス革新事業補助金制度を設け、中小企業等の支援を行っております。本県の中小企業の競争力強化等の取り組みと、新たな中小企業支援策を講じていく考えはないのかお伺いいたします。
 空き家対策についてお伺いいたします。
 本県においても、さまざまな分野に人口減を要因とする課題が出ております。その一つに空き家問題があります。居住者が高齢になり、自宅を空き家にしたまま引っ越したり、居住者が亡くなり、空き家のまま放置されたりするなど、人口減少地域を中心に空き家はふえております。空き家は、倒壊事故を起こしたりという建造物の問題だけではなく、樹木、雑草、動物、ごみ投棄の場所となるなど、防犯、生活環境等でも周辺住民にさまざまな迷惑をかけるため、対策に乗り出す自治体もふえてきております。
 例えば秋田県大仙市は、空き家の倒壊等の事故、犯罪、火災等を防止し、安全で安心な暮らしを実現するため、立入調査、措置命令、行政代執行まで規定した条例を制定しております。盛岡市においても空き家に対する措置を盛り込んだ空き家等の適正管理に関する条例をことし9月に制定し、取り組み出しております。また、国においても、11月19日、空き家等対策の推進に関する特別措置法が成立するなど、全国的に具体的な取り組みが始まっております。
 しかしながら、本県での取り組みはいまだおくれており、市町村ではどこが担当するのか担当課すら決まっていないところもあり、ごみに着目すると環境担当課が、住宅倒壊だと住宅担当課が対応するなどさまざまであり、計画的、総合的な対策がとられているとは言いがたい状況であります。
 また、空き家の倒壊の判定、所有者の確定、行政指導、行政代執行、そして空き家問題には、解体費用の回収など、市町村ではやったことのない専門的な業務や課題が多くあるのが実情であります。県としても空き家対策に取り組む必要があると考えますが、県の空き家対策についてお伺いいたします。
 次に、11月28日、ユネスコの無形文化遺産に和紙、日本の手漉和紙技術が登録される見通しとの報道がありました。地元一関にも、東山和紙と800年受け継がれている手すき和紙の文化があり、そこの小学校の卒業証書は市販の紙に印刷されたものではなく、地元の手すき和紙に書かれたもので、私はとても感動し、見事なものでありました。国や地元では、今後の日本文化の海外への発信強化や地域の活性化、伝統技術の継承に弾みがつくと期待しております。本県、そして一関でも、餅の食文化や、世界に情報を発信し、地域活性化することで保存、継承につながるすばらしい資産が数々あると思います。
 そこで、遺産といっても、これはユネスコの世界遺産ではありませんが、かんがい施設遺産についてお伺いいたします。
 国際かんがい排水委員会が、1950年、かんがい、排水、治水等の分野で、科学技術の研究開発、経験、知見等の交流の奨励及び促進を図ることを目的にインドで設立されております。この国際かんがい排水委員会においては、世界的、歴史的、技術的、社会的に価値のある、建設から100年以上経過したかんがい施設について登録、表彰することで、かんがい施設の持続的な活用、保全方法の蓄積、研究者、県民等への教育機会の提供、施設の維持管理に関する意識啓発、かんがい施設を核とした地域づくりに資するため、ことし新たにかんがい施設遺産制度を創設したところであります。既に世界では、ことし、5カ国17施設、うち日本でも9施設、東北では青森県の稲生川の1施設がかんがい施設遺産に登録されました。
 本県のかんがい施設も、稲作農業を営む上で不可欠な施設であり、地域を豊かにしようという先人たちの並々ならぬ思いと技術が結集して苦難の末に造成されたもので、今も脈々と地域に受け継がれております。私の地元一関においても、800年以上の歴史を持つ照井堰用水があります。本県にはかんがい施設遺産にふさわしい施設が数多くあります。この制度を活用してかんがい施設の保全に取り組み、意識啓発や国際交流等にもつなげていくべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
 次に、福祉課題について、介護と障がいの2点でありますが、少子高齢化と叫ばれる中、持続的な社会保障のため、福祉も聖域ではなく、さまざまな改革が行われております。国民皆保険、皆年金制度は、日本が世界に誇るすばらしい制度であります。社会保障費の全体の予算規模は大きくなっておりますが、一方、一人一人の保障は狭められていきます。しかし、日本が誇る社会保障制度を守るためには仕方がないとも考えます。
 消費税10%への延期がありましたが、10%後に予定していた介護職員の賃金アップもどうなっていくのか心配であります。前回の8%の増税分で本県は10億2、000万円の配分で今年度基金を積み立て、来年度から介護分野で特に深刻な介護職員の人材確保に活用されます。今議会の補正予算で、地域医療介護総合確保基金が上程されているのは議員御案内のとおりであります。しかし、社会保障はセーフティネットである以上、心配なところは指摘し、工夫を凝らして乗り越えなければならないのであります。
 平成12年にスタートした介護保険、介護保険法は走りながらつくり、不備なままスタートする画期的な法律と言われているとおり、3年ごとに制度改正が行われ、来年4月から5回目の制度改正が行われます。しかし、今回は、いまだかつてない最大規模の法改正となります。私は、業界の方、それから県、自治体の方々に、介護保険の黒船来航だと注意を喚起しております。特別養護老人ホームへの入所は介護度3以上からとか、所得により2割負担の導入等々さまざま変更がありますが、ここでは、特に心配な要支援者の訪問介護、通所介護が介護保険の介護予防給付から市町村の地域支援事業へ移行することへの対応についてお尋ねいたします。
 今回の介護保険制度改正により要支援者が受ける影響はどのようなものがあるのか、今回の改正に当たり要支援者対策をどう推進していくのか、今後の対応についてもお伺いいたします。
 次に、県は、岩手県障がい者プランにより、障がい福祉施策の基本的な考え方や具体的推進方策等を定めるとして、障害福祉サービスの種類と目標量を障害福祉計画として定めることとし、現在、第4期障がい福祉計画を策定中と伺っております。一昔前に比べ、確かに障がい者のサービスの量と種類は格段にふえております。が、しかし、ソフト面では十分な対応が行われていないと感じております。いわゆる相談体制であります。そこがうまく機能できないと、サービスがあってもそれにつながらない。障がいがあっても地域で安心して暮らせるには、地域の相談体制が重要であります。
 いよいよ平成27年度から、障がい者がサービスを利用する場合には指定特定相談支援事業所の相談支援専門員によるサービス利用計画案の提出が求められます。必要な相談支援専門員の配置などの体制整備を進める必要があります。県の相談体制の重要性についての認識と、この指定特定相談支援事業所の相談支援専門員の確保は十分であるのかお伺いいたします。
 また、今、進めている第4期障がい福祉計画に相談体制の充実を盛り込むべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、最後の項目になりますが、放射能問題についてお伺いいたします。
 一関市大東町のシイタケ農家の生産現場をお伺いし、東日本大震災原子力発電所事故による影響のほだ場の環境整備の状況、今なお続く露地栽培シイタケの出荷制限等の状況について調査を行いました。生産者の方からは、露地栽培の原木シイタケは、平成24年4月25日の国の出荷制限指示以来、現在も出荷できない状況が続いております、施設栽培の原木シイタケも、安全が確認できた5名のみ出荷再開が認められた、そういう状況であると説明をお受けいたしました。
 そこで伺いますが、原発事故は今なお本県の農林水産物の生産に大きな影響を与えており、中でも原木シイタケの生産再開のためには、ほだ場の環境整備が必要です。汚染ほだ木の排除、落葉層の除去、泥のはね返り防止等によるほだ場の環境整備を継続して行うことが必要と聞きますが、ほだ場の環境整備として、落葉層の除去、ほだ木の処理、一時保管はどの程度進んでいるのかお伺いいたします。また、今後のほだ場環境整備事業の継続はどうなるかもお伺いいたします。
 次に、シイタケ産地再生の取り組みについてお伺いいたします。
 原木シイタケの国による出荷制限が13市町で続いております。シイタケ産地再生に向け、出荷制限の解除は安全性を確認するための検査が必要とされますが、現在の進捗状況を伺います。また、山菜の産地の再生の取り組みについてもお伺いいたします。
 次に、生活環境分野における除染の課題と対応についてでありますが、内陸南部における生活環境分野における除染のうち、特に県内陸南部では道路側溝の土砂等についてはほとんど作業が進まず、住民が不安から解消される道筋がなかなか見えてこない状況であります。
 奥州市、平泉町、一関市では、放射性物質対処特措法に基づき除染実施計画を策定し、現在、生活環境における除染に対応しております。住宅や事業所の汚染については、3市町とも全域で地域の住民の方々の協力を得ながらホットスポットがある住宅等の除染を進め、平成25年度末で除染を完了したとする一方、道路側溝の土砂についてはほとんど進んでいない状況であります。
 一関市では道路側溝土砂にかかわるサンプリング調査を行ったと聞きますが、その検査結果とともに、今後、市町村が撤去、処理を進めるに当たり、県としてどのように支援していくのかお伺いいたします。
 次に、放射性物質除去・低減技術実証事業についてでありますが、県内における放射線の影響に関し、身近な生活圏の除染や、除染に伴い生じた廃棄物及び道路側溝の処理など、市町村ごとに抱える課題も変化している中で、平成25年度、市町村と密接に連携をとりながら情報収集や必要な実証試験を行っていると聞いております。また、効果が認められた技術については、市町村と調整の上、具体的な事業の導入につなげていくと昨年答弁をいただいておりますが、今年度のこの事業についてお伺いいたします。
 東日本大震災以前の安全で豊かな暮らし、自然に囲まれた環境を取り戻すためには、放射性物質に汚染された廃棄物の処理を最優先の重要課題として取り組む必要があります。
 一関市及び平泉町には、放射性物質に汚染された稲わら、堆肥、ほだ木などの農林業系廃棄物約2万トンが農家等に保管されている状況であります。これらについては早急に処理していく必要があり、国では、稲わら、堆肥、ほだ木などの農林業系廃棄物について、一関市狐禅寺地区に仮設焼却施設を建設し、処理したいと考えておりますが、国の仮設焼却施設建設計画について、これまでの経緯、課題、所見をお伺いいたします。また、一関市もなかなか進まず苦慮している状況でありますが、県としての支援についてをお伺いいたしまして、この場からの質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
〔5番神崎浩之君質問席に移動〕
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 神崎浩之議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、地方創生に対する県の基本姿勢についてでありますが、国のまち・ひと・しごと創生本部では、人口減少の克服を基本目標に、若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現、東京一極集中の歯どめ、地域の特性に即した地域課題の解決を基本的視点とし、現在、総合戦略の策定作業が進められています。
 これに先駆けて、県では、9月に公表した中間報告におきまして、出生率の低迷や若年層の人口流出対策に関する施策の方向性等を取りまとめたところです。
 県の人口問題に対する方向性は、創生本部が掲げる地方創生の基本的視点とほぼ一致していますことから、国の施策にも本県の考え方が反映されるよう、11月末にも創生本部に対し、使途の自由度の高い交付金の創設や地方重視の経済財政政策を内容とする要望を行ってきたところであります。
 県としても、現在、全部局で構成する人口問題対策本部を中心に総合的な施策を練り上げているところであり、できる限り来年度予算に反映することとしております。
 次に、新たな広域連携についてでありますが、小規模自治体における行政サービスを維持していくため、県としても、その方策を検討し、必要な支援を行っていく必要があると認識しております。
 東日本大震災津波の対応に見るように、県が、被災した市町村の行政機能回復や復興に対する職員派遣による支援を行っていますほか、内陸市町村が連携して沿岸市町村を支援するなど、新たな連携の取り組みが一部で始まっています。
 このような連携の取り組みも一つのモデルとして、連携協約等の新たな制度も活用しながら、近隣の自治体のみならず、広域的な自治体間の連携や県と小規模自治体との連携に取り組む必要があると考えています。
 また、県職員の意識改革についてですが、震災を契機として、沿岸被災地を中心に、県が市町村の事務を直接的に支援する取り組みが既に行われておりまして、こうした取り組みを通じて、職員の意識も変化してきていると感じております。
 今後、具体的なノウハウを積み重ねながら、県職員全体の広域連携に対する意識をより一層高めるように努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 地方創生における市町村支援についてでありますが、県内の各市町村は、これまでも少子化対策や社会減対策に鋭意取り組んできたところであります。東京一極集中を是正し、若者や女性が暮らしやすい岩手を実現していくためには、県と市町村が、これまで以上に連携して全県的な取り組みを進めていく必要があると考えております。
 県は、市町村との緊密な連携を図っていくため、7月には、県・市町村人口問題連絡会議を設置し、人口問題について副市町村長と意見交換を行ったところであります。また、10月中旬からは、人口問題に関する中間報告をたたき台に、県内各地において、市町村長や担当課長等と意見交換を行ったところであります。
 さらに、11月18日に、市町村の担当課長に対しまして、まち・ひと・しごと創生に関する説明会も開催したところであります。
 県といたしましては、人口減少が進む中にあって、県、市町村が協働する取り組みや複数の市町村による広域での取り組みが、今後ますます重要になるものと考えております。
 現在、県、市町村の共通課題である人口問題を主要課題の一つとして来年度予算の検討を進めているところであり、市町村との協力体制のさらなる強化とともに、支援の充実についても検討を進めてまいります。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、中小企業の人材の確保と育成についてでありますが、岩手労働局、県、商工団体及び県内大学等では、県内の大学生の県内企業への就職やキャリア教育を促進するため、各種会議を開催し意見交換を行っているところです。
 また、県内中小企業へ大学生が就職するよう促すためには、県内中小企業の周知が重要であることから、各大学やジョブカフェいわてを初めとする関係機関において、冊子やウエブによる県内中小企業の紹介、企業見学会や各種セミナーを開催しているほか、各大学において、関係機関の支援を得て県内企業でのインターンシップを実施するとともに、ふるさといわて定住財団や岩手県中小企業団体中央会などが、就職面接会を開催しているところです。
 県といたしましては、今後も、関係機関と連携しながら中小企業と大学生のマッチングを促進していくとともに、県内中小企業の採用力の強化を図ってまいります。
 次に、ものづくり・商業・サービス革新事業補助金についてでありますが、この補助金は、革新的なものづくり、サービスの提供等にチャレンジする中小企業、小規模事業者に対し、試作品開発、設備投資等を支援するため、中小企業庁が平成25年度補正予算で創設したものであり、補助率は3分の2、補助上限額は、一般型で1、000万円、環境分野等への参入を対象とする成長分野型で1、500万円であり、予算規模は全国で1、400億円であります。
 また、応募、採択状況につきましては、今年度、これまで2次にわたる公募が行われ、全国で3万6、917件の応募があり、1万4、431件が採択されております。
 地域別の応募件数は公表されておりませんが、東北では919件が採択されております。
 次に、県の中小企業の競争力強化等の取り組み等についてでありますが、県ではこれまで、本県経済を牽引するものづくり産業において、企業の連携による自動車部品の製造等に関する設備整備や研究開発に対する助成を行うなど、企業の技術力や競争力の強化に努めてきているところであります。
 また、県内企業における新たな商品やサービスの開発、新分野への進出、販路開拓、生産工程の改善などの競争力の強化を目指す取り組みに対して、商工団体や金融機関などと連携し、専門家によるアドバイスや事業に要する経費に対する助成を行うなど、きめ細かく支援しているところであります。
 今後、人口減少や国内市場の縮小等、企業を取り巻く環境が大きく変化していく中で、活力ある地域経済を実現していくため、(仮称)岩手県商工業振興条例を制定し、商工業の振興施策をこれまで以上に総合的かつ計画的に推進し、県内企業の生産力や競争力を高めてまいりたいと考えております。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、県立大学の県内就職状況についてでありますが、4学部卒業生のうち県内の企業に就職する割合は、平成19年度の32.6%を底に、近年は40%台で推移してきましたが、平成25年度は36.5%と、6年ぶりに40%を割り込む結果となりました。
 一方、岩手大学におきましては、30%台で推移していた県内就職率が、平成25年度は42.6%と40%を超え、過去5年間では最も高い割合となったところであります。
 その理由については、両大学の学部構成の違いにより一概に比較することはできませんが、教員等に卒業生が多い岩手大学に比べ、県立大学の場合、ソフトウェア情報学部のように県内に就職先が少ないことが背景にあるほか、平成25年度は、人手不足等を背景に首都圏企業等の採用意欲が高まり、県外企業等からの求人件数が大幅に増加したことなどが挙げられます。
 県立大学での学生に対する就職支援につきましては、学生のキャリア形成支援と県内就職を促進するため、キャリアプランニングのための講義や地元企業見学会、インターンシップを実施しているところであります。
 次に、放射性物質除去・低減技術実証事業についてでありますが、この事業は、放射線影響対策に関する市町村の課題に対応するため、関係各部及び県の試験研究機関により検討チームを構成し、市町村と連携を図りながら、放射性物質の除去、低減等に関する技術の情報収集や必要な実証試験等を行っているものであります。
 平成26年度は、平成25年度に引き続き、原木シイタケほだ場の管理に関する技術や生活圏等の放射線量低減に関する技術などを重点課題として取り組んでいます。
 具体的には、原木シイタケほだ場の落葉層の除去に関する技術の試験や落葉層を除去した後のほだ場の環境調査を実施しているほか、放射性物質を含む廃棄物等の保管に関する技術について、現在、試験を実施しているところであります。
 実証試験等の結果につきましては、外部有識者による評価を行った上で、市町村等に情報を提供し、これまでに5技術が利用されており、引き続き、市町村と調整の上、具体的な導入につなげてまいります。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 空き家対策についてでありますが、ことし11月に空き家等対策の推進に関する特別措置法が成立し、危険な空き家等について市町村が調査、勧告、命令などを行うことができるようになるとともに、都道府県は、市町村に対する情報提供、技術的助言、連絡調整等の援助に努めることなどが定められたところであります。
 また、平成25年住宅・土地統計調査によりますと、岩手県においては、全住宅ストックのうち空き家が13.8%を占め、その中には、適切に管理されていない空き家も相当数あるものと考えられます。
 これらのことから、県としても空き家対策の取り組みは重要なことと考えており、今後、市町村が空き家対策を進めていくに当たり、全国の取り組み状況など必要な情報提供や技術的助言、連絡調整などの支援を通じて、空き家対策が着実に進むように取り組んでまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、かんがい施設遺産についてでありますが、かんがい施設遺産は、かんがいの歴史、発展を明らかにし、その理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資することを目的として、自発的非営利・非政府機関であります国際かんがい排水委員会が今年度創設したもので、国内では、申請された23施設のうち9施設が登録されたところであります。
 本県には、古い歴史を有し、地域の農業を支え、今もなお、かんがい用水の安定供給の役割を果たしている施設が数多くあります。
 県としましては、申請者が対象施設の管理者、所有者とされておりますことから、まずもって、土地改良区等の施設管理者に制度内容の周知を図るとともに、施設管理者の意向を尊重しながら、地域の取り組みを支援していきたいと考えております。
 次に、ほだ場の環境整備についてでありますが、出荷制限が指示されております13市町の9月末時点の実績は、指標値を上回ったほだ木の7割に当たります約481万本の一時保管が終了したほか、生産再開を行うほだ場の3割に当たる約13万平方メートルの落葉層除去や、はね返り防止資材の敷設が終了しているところであります。
 ほだ場環境の整備につきましては、平成26年度内に完了するよう全力で取り組んでいるところでありますが、やむを得ない事情により来年度以降も事業が必要とされる場合には、引き続き、原子力発電所事故の原因者であります東京電力に対応を求めるなど、生産者に新たな負担が生じないよう支援を行ってまいります。
 次に、シイタケ生産者の生産再開の見込み等についてでありますが、現在、出荷制限が指示されている13市町のうち、生産過程で管理の徹底に取り組み、放射性物質濃度が十分に低いことが確認できた花巻市、北上市及び山田町の生産者について、平成26年10月7日に出荷制限が一部解除され、生産が再開されたところであります。
 今後も、13市町で生産、出荷を希望する生産者については、シイタケが発生する段階で順次検査を実施し、数値が十分に低いことを確認した上で国と協議を進め、一日も早く出荷制限を解除することにより、本県のシイタケ産業の再生を図ってまいります。
 また、山菜等につきましては、現在、出荷制限等の対象となっている品目の放射性物質濃度の経年変化を継続調査しておりまして、検査結果が安定して基準値を下回ることが確認できた段階で、国と協議を進めてまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、介護保険制度改正の要支援者への影響についてでありますが、地域支援事業に移行するサービスの利用者は、直近の本年7月末時点では、要支援認定者1万7、466人のうち、訪問介護サービス利用者3、072人、通所介護サービス利用者6、633人となっております。
 地域支援事業への移行後は、これまでの介護事業所による専門的サービスに加え、例えば訪問介護では、NPOや民間事業者等による掃除、洗濯などの生活支援や住民ボランティアによるごみ出しなど多様な主体によるサービスの提供を可能としているが、介護事業所以外のサービス資源の不足などから、市町村間でサービスに格差が生じることなどの影響を懸念する意見もあるところです。
 次に、要支援者対策を進める上での県、市町村の課題についてでありますが、市町村においては、利用者や家族、事業者に対する制度の周知、生活支援サービスの充実を図るため、NPOや住民ボランティアなど担い手の養成、不足するサービスの創出、サービスの担い手がふえることによる多様化する介護予防ケアマネジメントの具体的な実施方法の策定などが重要な課題と認識しております。
 県においては、県民や事業者への制度の周知、生活支援サービスの担い手養成等のため、市町村が新たに配置する生活支援コーディネーターの養成、新たな制度に対応した介護予防ケアマネジメントを推進するため、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の制度に対する理解の促進などが重要な課題と認識しており、新たな制度への早期かつ円滑な移行及び安定した運営に対する市町村の支援が必要と考えております。
 次に、今後の対応についてでありますが、県民等への制度の周知については、今後、第6期介護保険事業支援計画、いわていきいきプラン2017に係る地域説明会を開催する予定であり、そうした場を通じて制度改正の内容や今後の対応について情報提供を行うほか、市町村においても、住民、事業者に対する情報提供が適切に行われるよう助言していきます。
 生活支援コーディネーターについては、平成27年度から県で養成研修を実施することとなることから、今年度、養成研修講師の育成を目的に国が実施した研修に関係団体の職員を派遣したところであり、今後、本研修の受講者を講師として養成研修を実施していきます。
 介護予防ケアマネジメントについては、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の職員を対象として現在実施している研修を、新たな制度に対応した内容に見直しの上、実施していきます。
 また、市町村の新たな制度への円滑な移行と安定した制度運営のため、これまで、市町村介護保険担当者会議や第6期介護保険事業計画の市町村ヒアリングを通じ、制度改正に係る情報提供などの支援を行ってきたところです。
 今後は、先行して新たな制度に移行する県内外の取り組み事例などの情報提供や市町村の準備状況を把握しながら、それぞれの課題に応じたきめ細やかな助言などの支援を行ってまいります。
 次に、障がい者の相談対応の現状と課題についてでありますが、障がい者が地域において自立した日常生活または社会生活を営むためには、一人一人が抱える課題の解決や希望するサービスの利用に向け、きめ細かく継続的なケアマネジメントを行う相談支援体制の充実は、大変重要であると認識しております。
 県においては、これまで、相談支援従事者初任者研修等を実施し、本年度までに相談支援専門員を1、466名養成していますが、県内の指定特定相談支援事業所は76カ所あり、計画作成に携わっている相談支援専門員は115名となっています。
 一方、障がい福祉サービス受給者のうち、サービス等利用計画案が作成された者の割合は58.6%にとどまっていることから、相談支援専門員の人数は必ずしも十分でないと認識しており、これまで、市町村に対し、必要な指定特定相談支援事業所及び相談支援専門員の確保について助言してきております。
 また、第4期障がい福祉計画の策定に当たって、県や市町村が参酌する国の基本指針において、計画相談体制の整備、充実について求められていることから、県では、来年度以降、市町村において必要な計画相談体制が整備されるよう、相談支援体制の充実について障がい福祉計画に記載することとしているほか、各市町村が設定する計画相談の目標件数については、必要量が確保されるよう、各市町村の状況に応じ個別に助言を行ってまいります。
〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 生活環境分野における除染の課題と対応についてでありますが、一関市が平成26年11月に発表した市内114カ所の道路側溝土砂に係る空間線量率及び放射性物質濃度の測定結果によりますと、ほとんどの箇所で空間線量率が国の基準を下回ることが確認され、また、放射性物質濃度についても着実に減衰するなど、日常生活への影響は少なくなってきているものと認識しております。
 県といたしましては、県南3市町が行う道路側溝土砂等の撤去及び一時保管に当たり、必要に応じて住民説明会に職員を派遣するとともに、国庫補助対象とならない一時保管場所の整備に要する経費への財政支援をこれまで継続しているところであります。
 国に対しても、早期に処理基準を示し、財政支援を拡充することを引き続き要望してまいります。
 次に、仮設焼却施設の建設についてでありますが、一関市は、放射性物質濃度が8、000ベクレル・パー・キログラム超のものを含め、汚染された農林業系副産物の早期の処理を進めるため、環境省との間で仮設焼却炉施設の整備について協議を進め、狐禅寺地区に整備する方針をことしの3月に明らかにしたところであります。
 市では、環境省と連携して、平成26年4月及び7月に狐禅寺地区住民への説明会を開催するとともに、専門家を招聘して放射性物質のリスクコミュニケーションを実施するなど、理解醸成に努めているところであります。住民の皆様からは、整備候補地選定過程に対するさまざまな御意見があると伺っております。
 県としては、仮設焼却施設の建設は、農林業系汚染廃棄物の安全かつ適切な処理の推進に寄与するものと認識しており、環境省、市と連携を密にし、必要に応じて住民説明会等において仮設焼却施設の安全性等についての説明を行うなど、円滑な処理に向けて引き続き支援を行ってまいります。
〇5番(神崎浩之君) いつになく知事の答弁の量が少ないような感じがして、傍聴者も寂しがっているのかなと思っておりますので、知事に再質問をさせていただきたいと思います。
 まず、1番目の地方創生についてでありますが、これは、国も縦割りを排除しようということでありました。そこで、行政というのは、縦割りということでありますが、市町村より県、県より国のほうが、縦割りが強いような感じがしております。
 そこで、国の機関にもおられた知事におかれましては、行政の縦割りの弊害について1点お伺いしたいと思います。
 また、震災を受けて、岩手県は、知事は、先んじて部局横断の復興局を立ち上げたわけなのですが、これは、やはり部局横断で取り組むというようなことのあらわれだと思っておりますが、この復興局体制というか横断的な取り組みについての評価についてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 大分根本的な質問をいただいたと思っておりますけれども、縦割りの弊害は、国で言えば総理大臣に代表される内閣、県で言えば知事、そこが行政については全て権限を持っていると憲法や地方自治法で定められているものを、手分けして進めるために、役割分担をして、それぞれ担当して進めていくのが縦割りでありますから、それをきちっとトップが把握して、役割分担がきちっと進んでいればいいと思うのですけれども、やがて、トップのグリップ、コントロールから離れてそれぞれが勝手に動き出しますと、憲法あるいは地方自治法が想定するような行政のあるべき姿から離れていくというところに問題があると考えます。
 復興局につきましては、復興という業務が部局横断的になるということと、それから、復興特有の固有事務、義援金の問題でありますとか、また、生活再建支援でありますとか、そういう既存の部局の固有事務にない復興特有の業務に対して対応する必要があり、機能してきたと思います。
〇5番(神崎浩之君) 今回の地域創生ですが、各省庁の予算の要望があるわけで、新しい日本のための優先課題推進枠ということがあって、これも国が縦割りとか窓口一本化と言っているわけですが、おのおの省庁ごとの要望ということになって、私は、今回のが、たまたま今までの省庁の予算が省庁の分だけふえていってしまう、それだけで終わるのではないかという心配をしているわけで、県も復興局的な部局横断の体制でこれを活用していただきたいという思いで質問させていただいているところであります。
 例えば子育て支援をするといいましても、これは保健福祉部だけではなく、例えば教育委員会が絡んでいたり、商工とか地域振興とかいろいろとまたがる部分があると思うのですけれども、それらをやはり今までどおり縦割りだけで済ませないで部局横断でやっていただきたいということで、知事もリーダーシップをとってやっていただきたいと思っております。
 もう一つ心配なのは、これは部長にですけれども、本庁があって、広域振興局があるわけです。そのすみ分け、これについて、一つは本庁の窓口、それから広域振興局との関係、これについて整理して取り組んでいただきたいと思いますが、その点についてお伺いいたしたいと思います。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 本庁と広域振興局の関係でございます。
 私もこの3月まで広域振興局におりました。現場からまた本庁に戻りまして、そういうことの実感的なお話で恐縮でございますけれども、やはり4局体制になりまして、現場の責任者というのは広域振興局のそれぞれの立場だと思います。そのため、広域振興局には枠予算として地域経営推進費というものをつけまして、局長の判断で柔軟に予算を措置いたしまして対処できる、こういうそれぞれの地域経営という概念で4局を設置しておりまして、これは、本庁が追いつかないところ、それから地域に対して十分寄り添って業務をしてほしいということでこの4局があるものと思っております。私もそのような気持ちでやってまいりました。
 一方、本庁のほうは、この4局から十分に意見を吸い上げて、そして情報を共有することによって、県全体、広域振興局間にまたがる課題、こうしたものを的確に解決して、そして共通して問題に立ち向かっていく、こういう役割分担。大変大ざっぱな説明でございますが、そういうふうに理解しております。
〇5番(神崎浩之君) いずれにしても、市町村の今までの課題を地域創生のお金で何とか実現して市町村を応援する、そのためには、やはり県が知事をリーダーに部局横断的な体制で支援するということを検討していただきたいと思います。
 次に、新たな広域連携であります。
 合併が一段落いたしまして、その中で、盛岡市は中枢都市、それから一関市は平泉と定住圏ということでやっておりますが、先ほどお話ししたとおり、近くにそういう中核となる市がない場合の県の支援でありますが、実際に鳥取県が新たな広域連携モデルということで、定住自立圏外にある町村に対して、県が直接、技術職員等々を応援しているという例があります。
 そこで、今後、県も市町村から要望があった場合にはどういうふうに対応していくのか。市町村が県の支援を求めたとき、県はどういうふうに対応していくのかお伺いしたいと思います。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) 人口減社会に当たりまして、やはり一番、我々今後、懸念されますのは、マンパワーというものが、県もそうでございますが、特に小規模の市町村において顕著になっていくだろうという部分でございます。ところが、業務におきましては、ますます細分化、専門化という様相を呈しておりまして、恐らく今の特に小規模の町村では、この細分化、それから専門化というニーズに十分応えられないというものが既に起こっている部分もありますし、この災害を通じまして、私も現場におりましたが、特に町村部では専門的な業務というのは大変行き届かないという状況が生じつつあります。ですので、これにつきましては、やはりこのマンパワーをいかにうまく使うかということでございます。片や専門家が多いところの力をいかに使っていくかということでございまして、これはもちろん県の専門家もおります。それから、御指摘のありましたとおり、大きな市にはそれぞれ専門家がございますので、この力をいかに活用するかということが大きな鍵だと思います。
 私どもも、既に求めに応じまして市町村にも多くの職員を派遣しておりますが、まず、現場のニーズが大事だと思っております。現場でどういう業務が必要なのか、これに応じまして、その都度まずお話を聞く。私も、先ほど来、経験談で恐縮でございますが、広域振興局におりまして、選挙事務でございますが、選挙の受け付けの人数が町村で足りないという要望を受けました。私たち広域振興局の職員を直接町村に派遣いたしまして選挙事務の応援をやっています。こういう事例も既に生じております。いずれ、こういう形で、ニーズに応じた対応というのが今後大事だと思っております。
〇5番(神崎浩之君) 知事にお話ししておきたいのですけれども、やはり、平成15年ぐらいからの地方分権に伴いまして、県の職員は、私が接していると、それは市町村の仕事なのだ、市町村にやらせろというような言葉も結構出てくるのですよね。その中で、先ほどの答弁のように震災の事務において県が市町村の応援をしたということ、そういうことが伝われば、やはりまた再確認して県の役割ということも再認識していただけると思っているわけですが、引き続き意識改革にも取り組んでいただきたいと思っております。
 次に、中小企業の支援策でありますけれども、まず、中小企業の支援ということで、今、条例をということで(仮称)岩手県商工振興条例を軸に検討しております。まず、名称ですけれども、この名称だと、商工業振興ということで、商工業全体、大企業も含まれる、そういうふうなイメージがあると思います。そんなことで、対象としているのは、中小企業、小規模企業は事業所の99.8%、さらに就業人口は77%ということで、中小企業、それから小規模企業を支援するという条例だと思っておりますが、この名称について、中小企業、小規模企業というふうに変更し、それから内容についてももっと踏み込んだ―今、骨子案が出ておりますけれども―内容にすべきだと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) (仮称)岩手県商工業振興条例についてでございますけれども、この条例につきましては、人口減少問題、さらには震災からの本格復興に対応しまして、持続的な経済社会を実現していくためには、県内経済の発展に大きな役割を果たしている商工業を振興する必要があると考えております。
 条例の骨子案におきまして、基本理念ですが、商工業の主な担い手である中小企業の振興を掲げますとともに、基本的施策の中で、中小企業の経営基盤の強化あるいは創業の促進、支援体制の整備、これらに加えまして、小規模企業者への配慮ということを盛り込んでいるところでございます。また、そういうふうな形の中で、小規模事業者についても配慮するという事項を盛り込むことで対応してまいりたいと考えているところでございます。
〇5番(神崎浩之君) これは決まったことではなくてこれから決めていくことなので、ぜひとも名称から中小企業、小規模企業を支援する条例なのだということ、それから、現場の意見を聞く。これはただ聞くのではなく、つくった後も年に3回とか定例的に事業者の方の声を聞きながら、この条例を実のあるものにしていただきたいと思います。
 知事にお伺いするわけですが、今回、この中小企業、小規模企業の振興条例をつくるわけですが、これは単なる理念条例ではなくて実効性のある条例にしなければならない。そのためには、なるべく条例に具体的な施策を盛り込むとともに、しっかりとした財源の裏づけを確保するべきだと思います。でないと絵にかいたもちになっていくということで、条例をつくって何をやるか、そして、しっかりとした財源的な裏づけを確保するよう求めるものでありますが、知事の所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) よくよく県民の皆さんの意見を伺いながら決めていきたいと思っておりますし、また、条例制定後には、基本計画を策定して具体的な取り組みを盛り込んでいきたいと考えております。
〇5番(神崎浩之君) ぜひ財源的な裏づけもお願いしたいと思います。
 次に、大卒者の地元企業への就職支援でありますけれども、これもいろいろありますが、知事にお伺いいたします。
 やはり県立大学が岩手大学よりも低いというのは非常に寂しいことだと思っております。県民も恐らくそう思うと思うのですけれども、県立大学にかかわらず、やはり県内就職率を50%にしようとか、それから、県に就職しようキャンペーンみたいなものをやっていったほうがいいのではないかと思うのです。知事はこういうのは得意ではないかと思っているのですけれども、農産物の地産地消とか言いますよね、地元というふうなことで。県に就職しようキャンペーンとか、それから県内就職率50%目標とか、そういうことをみんなでかけ声をかけていかないと県内に就職する方がなかなかふえないのではないかと思いますが、この点について知事の所見をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) リーマンショックで岩手県の雇用情勢が一気に悪化したときには、県の全ての高校の卒業生に対しまして、私からの直接のメッセージということで、岩手で働いて稼いで住んでいくということを県はしっかり支えます、一旦岩手を離れる人たちもそのことをよくわかっていてくださいというようなメッセージを発したことがありますので、やはりそういう働きかけをしなければならないときにはしていかなければならないと思っております。
 また、岩手県はことしの夏に有効求人倍率が国の平均を下回り、そして、ことし10月1日の人口流出が数年ぶりに悪化するという事態に陥ったわけですけれども、岩手以外の地方は去年、おととしから人口流出が悪化していて、さっき総務部長が答弁したように、都会のほうの人口吸収圧力といいますか、これがかなり強くなっている、そういう現実的な問題が今、目の前にあると思いますので、これに対しては、先ごろ人口問題対策関係で要望活動を国に行った際にも、地方に必要な経済、財政政策を行うようにということを言ってきたところでありますし、地方は地方で、地方に就職できるような経済、雇用対策をしっかりやっていかなければと思います。
〇5番(神崎浩之君) 知事はさまざまな場面でいろいろ情報発信しておりますので、やはり県内就職率50%とか地元に就職しようキャンペーンみたいなものをツイッター等で若者に発信していただければと思います。うちの次女も知事のツイッターを見ているようで、びっくりしていました。いろいろな機会にキャンペーンを張っていただきたいと思っております。
 次に、ものづくりですけれども、先ほど、採択が少ないのは申請が少ないからだということをお話ししたんですけれども、山形県では県独自で助成制度を持っているというようなことなので、国に採択されなくても、県で救える対策があるので手を挙げる人が多いということを聞いてきました。
 そこで、県も独自にものづくりの支援策について取り組んでいただきたいと思うわけですが、部長にお聞きしたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) ものづくり・商業・サービス革新事業費補助金についてでございますけれども、山形県におきましては、議員からの御指摘のとおり、県単独事業として、採択にならなかった事業を対象とする事業を立ち上げて実施しているということは承知しております。
 この補助事業ですけれども、まず、中小企業庁から全国の中小企業団体中央会が委託を受けまして、岩手県では、県の中小企業団体中央会が地域事務局となって募集、審査を行ってきているという経過がございまして、これらの中央会と連動いたしまして、補助金の事業計画作成のポイントを解説するセミナーの開催、あるいは各種協議会の総会などを通じまして、また、企業訪問、そういった際にもこの事業の活用について紹介しながら普及促進を図ってきているところでございます。
 全国の採択率の平均を見てみますと、40%台でございます。したがいまして、県としては、まず、岩手県もほぼ同様の傾向が見られますので、採択率の向上につながるような案件のブラッシュアップの支援にしっかり取り組むことによって採択件数が上がってくると一つは考えておりますし、もう一つは、業種的にさらに幅広い業種への周知を図っていく。利用促進を図る対象業種であるということをしっかりと周知徹底していくことによってこの事業に応募する件数もさらに上がり、採択率も上がっていくのではないかと考えております。
〇5番(神崎浩之君) いずれ山形県の数が多いというのは、やっぱりそういう県の支援がバックにあるということがありますので、ものづくり、知事も聞いていただいたと思いますけれども、県独自の支援策についても検討していただきたいと思います。
 次に、空き家対策でありますけれども、これは本当に市町村はやったことがないことがいっぱいあるんです。行政代執行について、それから費用の面について、回収について、さまざまやったことがない業務がいっぱいあるので、通ったばかりの法律ですが、ぜひ県のノウハウを市町村に、市町村の連絡会議等を含めて、やはり西和賀を含めて豪雪地帯では喫緊の課題となっておりますので、よろしく動いていただきたいと思います。
 質問は、国際かんがい排水委員会のかんがい施設遺産についてですけれども、岩手県は立派な資産があるのですけれども、なぜゼロだったのか。ことし初めてなのですが、きちんと市町村なりに周知、それから各土地改良区に周知していなかったのではないかと思うのですが、それについてのお尋ねと、それから、来年度に向けてすぐに急いでいただいて、我が一関の800年の照井堰もあります。あそこは平泉とつながっているのです。ですから、平泉の世界遺産とこのかんがい遺産と観光の面でも取り組んでいただきたいのですが、その点について部長からお伺いしたいと思います。
〇農林水産部長(小原敏文君) このかんがい施設遺産でございますけれども、この周知に関しましては、本年5月に農林水産省のほうから会議で資料が1枚入ってきたということで、都道府県に対する説明はございませんでした。また、岩手県土地改良事業団体連合会に対しても、全国土地改良事業団体連合会からことしの5月にメールが入ったということでございまして、細かな周知はなされていない状況でございます。
 議員から御指摘いただいたとおり、本県には、平泉世界遺産ともかかわりのあります一関市や平泉町を流れる照井堰用水など、歴史的価値の高い施設が数多くあります。ただ、この制度が創設されたばかりであり、また、審査基準の詳細が明らかになっていないということで、なかなか登録の可能性が判断できない状況にございます。
 県では、この登録がかんがいへの理解醸成なり施設の適切な保全に資すると考えておりまして、施設管理者に周知の徹底を図りますとともに、施設管理者の意向を踏まえまして、登録の可能性を調査するなど、その地域の取り組みを支援していきたいと考えております。
〇5番(神崎浩之君) こういう状況にあってもそういう状況にあっても、世界で5カ国が採択になったと。そのうち日本でもということで、世界で17のうち日本が9施設、半分以上やっているのですよね。にもかかわらず隣の青森もそういう状況の中でも登録されたということでありますので、ぜひ踏ん張っていただいて、県内にも立派なかんがい施設、かんがい用水というのは先人の苦労ですよね。そういうことで、ぜひ実現していただきたいと思っております。
 それから、保健、福祉について、介護については直接いろいろと御提言、御意見しておりますので、介護保険については、要支援者の方が来年、デイサービスに通えなくなるのではないかと心配しているわけです。引き続き、今、通っているデイサービスに通うこともできるわけですけれども、うわさが広がって、デイサービスに来ているおばあちゃんが、おら、もう来年から来れねと言って泣いているんですよ。そういうおばあちゃんもいますし、デイサービスでおじいちゃんが、おめ、来年からここさ来れねんだぞというふうに、そういう間違った誤解を生んでいる。それに対して市町村ではデイサービスもきちんと説明できていないということがありますので、来年からの話ではなく、今現在そういうふうに誤解で泣いているおばあちゃんたちがいますので、その周知をして安心させていただきたいと思います。
 最後に、放射能の関係で2点ですけれども、一つは、知事にですけれども、これだけ農林業系、環境、それから一関市の国の焼却施設ということがあるわけですけれども、まず、この点について、知事はどういう認識でいらっしゃるのか。震災復興の関係で沿岸には行かれると思いますけれども、知事は、この放射能関係で、シイタケの現場とか、そういうところには行かれているのか。それから、県南の放射能被害、なかなか見えないのですけれども、それについてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) それぞれ節目節目に視察をし、現場の皆さんの声も伺いながら対応しているところであります。シイタケについてもそうでありまして、また、ことし10月には、全県の生産者が一堂に会した生産者大会に私も出席しまして、岩手が誇る原木シイタケの産地再生にオール岩手で、全力で取り組むということを述べたところであります。
〇5番(神崎浩之君) 終わります。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時28分 休 憩
出席議員(45名)
1  番        高  田  一  郎 君
2  番        清  水  恭  一 君
3  番        名須川     晋 君
5  番        神  崎  浩  之 君
6  番        城  内  愛  彦 君
7  番        福  井  せいじ 君
8  番        佐々木  茂  光 君
9  番        佐々木     努 君
10  番        佐々木  朋  和 君
11  番        軽  石  義  則 君
13  番        吉  田  敬  子 君
14  番        後  藤     完 君
15  番        岩  渕     誠 君
16  番        郷右近     浩 君
17  番        高  橋  孝  眞 君
18  番        岩  崎  友  一 君
19  番        高  橋  但  馬 君
20  番        小  野     共 君
21  番        高  橋     元 君
22  番        木  村  幸  弘 君
23  番        久  保  孝  喜 君
24  番        小  西  和  子 君
26  番        五日市     王 君
27  番        喜  多  正  敏 君
28  番        工  藤  大  輔 君
29  番        嵯  峨  壱  朗 君
30  番        工  藤  勝  子 君
31  番        工  藤  勝  博 君
32  番        高  橋  昌  造 君
33  番        及  川  あつし 君
34  番        小田島  峰  雄 君
35  番        大  宮  惇  幸 君
36  番        飯  澤     匡 君
37  番        斉  藤     信 君
38  番        佐々木  順  一 君
39  番        及  川  幸  子 君
40  番        伊  藤  勢  至 君
41  番        樋  下  正  信 君
42  番        柳  村  岩  見 君
43  番        千  葉     伝 君
44  番        佐々木  大  和 君
45  番        佐々木     博 君
46  番        渡  辺  幸  貫 君
47  番        田  村     誠 君
48  番        小野寺     好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時53分 再 開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。小西和子さん。
〔24番小西和子君登壇〕(拍手)

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