平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(後藤完君) 希望・みらいフォーラムの後藤完でございます。
 本定例会におきまして一般質問の機会を与えていただきましたこと、感謝申し上げるものであります。
 さて、政府のエネルギー基本計画においては、政策の柱となる再生可能エネルギーの目標数値を明確に示さないばかりか、原発の再稼動を進める方針を明記した内容となっているところであります。再稼動につきましては、立地周辺の住民を初め国民の視線が厳しさを増す中、原発の老朽化や核のごみ処分も未解決のまま、原発を重要ベースロード電源として位置づけ、進めようとしているところであります。
 我が国で発生した原発事故は、3年半たった今日においても10万人以上の故郷に戻れない方々を生み出しており、かつての公害をも上回る史上最悪の環境汚染をもたらしていることを憂慮しているものであります。事故収拾も進まない、賠償支払いも除染も進んでおらず、被災者を置き去りにした現状は、かつての公害病問題を初めとする負の歴史を忘れてしまったかのようであります。今般、九州電力川内原子力発電所が来春以降にも再稼動する見通しとなったところでありますが、将来世代への負担を積み残さないためにも、脱原発への十分な議論を改めて望むものであります。
 それでは、通告順に質問させていただきます。
 まず、再生可能エネルギー対策についてお伺いします。
 今般、固定価格買取制度に基づく契約について、電力会社が接続申し込みに対する回答の一時保留を行うという再生可能エネルギー普及にとって思わぬ事態が発生したところであります。理由といたしましては、太陽光発電の急増に伴い需給バランスがとれない可能性があるとのことであります。申し込みのあった設備が全て接続し、フル稼働した場合、供給量が需要を大幅に上回り、停電に至る可能性があるということであります。背景には、4月以降の買い取り単価が引き下げられたことに加え、認定取り消しの制度が厳格化されたことが挙げられます。契約中断の措置は、買い取りを前提に多額の投資をした企業等に波紋を広げ、導入促進をしている自治体においても困惑を隠せない状況にあります。再生可能エネルギー普及政策に支障を来すものであります。
 今になってみますと、価格設定や認定方法など制度設計に甘さがあったことは否めないところでありますが、当面急ぐべきことは、導入のための対応として、送電網の拡充や電力会社間の広域的な系統の運営が必要とされております。ベースロード電源とされている原発と変動性のある太陽光との調整が今後重要と考えますが、今後の再生可能エネルギーの普及、導入に当たり、県としてどのように進めようとしておられるのか知事の所見をお伺いします。
 あわせて、今、日本はエネルギー消費大国であり、自給率はわずか6%とされ、エネルギー資源のほとんどが海外依存であります。特に石油など化石燃料が過半数を占め、そのうち90%を輸入している現状にあります。世界では、2035年には2010年の約1.5倍にエネルギー消費量が増大し、資源獲得競争が激化するとさえ言われております。暮らしや経済を支えるエネルギー資源の安定的供給が今後の重要な課題であることは御案内のとおりであります。持続的な経済社会の発展を目指すには、エネルギーの多様化がキーワードとされ、石油、石炭、天然ガス、地熱、太陽光、風力、水力が活用の中心となってくるものと思われます。
 今、環境に安全・安心な次世代型燃料として水素エネルギーの活用環境が整備されつつあると認識しているところであります。エネルギー基本計画においても、初めて本格的に水素社会の実現が盛り込まれたと言われております。この水素社会の実現には時間がかかるものと思われますが、水素が新たな基幹エネルギー候補として浮上し、認識されてきたことに意義があると思われます。本県においても、このような水素エネルギーに関する情報等についてどのように分析し、捉えておられるのか、知事の所見をお伺いします。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定について再度お伺いします。
 先般、北京で開催されましたTPP交渉を受け、終局は明確になりつつあるとの関係首脳の声明が発表されておりますが、依然として日米間の溝は大きく、決着はほど遠いものと報道されているところであります。交渉ではまだまだ多くの問題を残しており、今後の交渉の行方を注視していく必要があります。
 そもそもTPPの協定は、当地方の基幹産業である農林水産業のみならず、食の安全や投資、労働、医療など、我々国民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすものであります。このTPPへの参加が本当に日本の国益になるのか、いまだ説得力のないまま交渉が進められているとしか考えられないのであります。
 これまで、政府・与党に対し、十分な情報提供はもちろんのこと、TPP協定が地方経済や国民生活全般に与える影響等について、県や関係機関から再三にわたって明確に説明するよう求めてきましたことは御案内のとおりであります。いまだにTPP、EPA等経済連携による影響について情報が十分に開示されておらず、農業関連にあっては、小規模経営農家の切り捨て、今後の担い手として、企業等を含む新しい経営体の参入を想定しているとしか考えられないのであります。
 政府・与党は、TPPの交渉に当たっては、農林水産物の生産減少額と比較しても工業製品等の輸出拡大等によりGDPにプラスの影響があると見て、国全体としてのメリットは大きいとの考え方に立っているものであります。このことにより、今確かに言えますことは、TPPの推進により、小規模農家どころか、一定規模以上の担い手経営体でさえも農業から撤退していく可能性があるということであり、目的が薄れてきているTPPのために、安易な譲歩をし、国内農業を崩壊の危機にさらすことだけは回避しなければならないと思うものであります。今後の交渉に当たっては、国会決議を遵守し、毅然とした対応を貫くとともに、国民への十分な情報提供と説明を行い、農林水産分野における重要品目の関税を維持するなど、万全な対応をとるべきと考えます。
 そこでお伺いします。交渉参加12カ国の経済規模や異なる産業構造、そして各国それぞれの政治、社会情勢や歴史、文化の違いや今の日本の体力を考えた場合、この交渉を続けることが妥当なのか。本県への影響を考えた場合、政府は今後どのように交渉を進めていくべきか、改めて知事の所見をお伺いいたします。
 次に、社会保障費予算の削減についてお伺いします。
 先般、国は、社会保障費への切り込みが財政再建に欠かせないとし、財務省は、2015年度予算編成において医療や年金、介護などの歳出を大幅に削減する社会保障費の削減案を提案したところであります。高齢化で年々膨らむ社会保障費の自然増の抑制としておりますが、このように福祉の充実に今、地方、国が一体となって取り組んでおられるときに、いかがなものかと思うものであります。
 財務省が提示した削減案は、介護では、介護報酬の改定年に当たることもあり、6%引き下げ、約6、000億円圧縮したい考えとのことであります。医療では、生活保護受給者を対象に処方される薬を後発医薬品に切りかえ、490億円の削減を目指すとしております。また、国の社会保障審議会医療保険部会においては、地域によって差がある医療費を適正な水準に抑えるため、都道府県ごとの支出目標を定め、病床数や平均在院日数に係る指標を設定することも議論されているところであります。年金では、今までの年金額決定に物価や賃金を勘案していたものに、人口減や平均寿命の延びを勘案して額の増加を抑制するとしております。あくまでも消費増税率を法で定めた10%まで引き上げることを前提とした試算ではありますが、保育所の待機児童ゼロに向けた取り組みや子育て支援等の予算に十分な対応ができるのか懸念されるものであります。このような国の予算編成と相まって、まだ確定ではありませんが、県の福祉政策推進にどのような影響が考えられるのかお伺いします。
 次に、介護報酬の見直しについてお伺いします。
 政府は、来年4月に予定される改定に合わせて、介護つき有料老人ホームの空き部屋を有効に活用するため、高齢者の一時宿泊に対する介護保険の適用を拡大する方針を打ち出したところであります。日帰り利用が原則とされる通所介護施設での介護保険外の一時宿泊サービス、いわゆるお泊りデイの増加のための措置とされております。介護つき有料老人ホームでのショートステイと言われる短期利用特定施設入居者生活介護サービスには、施設が開設してから3年経過していること、定員の80%以上の入居者がいること、ショートステイの利用者が定員の10%以下であること等の条件が満たされる場合に限り介護保険の適用を認めるという規制があるものであります。このことから、政府は、今後、定員の80%以上の入居者がいることの条件を廃止する方向で検討されているところでありますが、この規制緩和によって対象施設がふえることになれば、経済的な理由で格安のお泊りデイを利用していた高齢者の皆さんが老人ホームを利用しやすくなる状況にもなると言われております。
 今、特別養護老人ホームの入居待ちは恒常的になっており、ショートステイに使われる事業所もベッドにあきが少ない状況であり、在宅で介護する家族が急用時に高齢者の宿泊先に困るケースが非常に多くなってきているところであります。この規制緩和によって介護つき有料老人ホームの空き部屋での一時宿泊が可能となれば、一定程度の施設利用者が救済され、増加するものと見込まれるところであります。
 そこでお伺いします。現在、県内での介護つき有料老人ホームはどの程度の施設が設置されているのか。その施設の入所割合はどの程度となっているのか。空き部屋があるとすれば、どの程度の活用範囲があるものかお伺いします。
 次に、廃校舎等未利用財産の有効活用についてお伺いします。
 文部科学省は、先般、全国の公立学校の廃校が2002年度から2013年度までに5、801校であり、うち校舎等が現存するのが5、100校とされ、その2割は再利用される見通しがないと発表したところであります。少子化による児童生徒の減少や市町村合併に伴い統廃合されたことが原因とされておりますが、本県においても2012年度から2013年度の2年間で50校が統廃合となったと報告されているところであります。施設の利用方法につきましては、老朽化や施設の活用の要望がないことから、未定とされているところであります。既に活用されている廃校は、スポーツ施設や社会教育施設、老人福祉施設への転用が多いとされており、中には企業の工場や事務所への活用も見られるということであります。
 そこでお伺いしますが、現在、本県において廃校後の未利用施設はどの程度現存しているのか、また、県では、県立校の廃止施設を今後どのように活用していかれるのか、市町村と活用方針についてどのように協議していかれるのかお伺いします。
 あわせて、老朽化の著しい施設につきましては、今後どのように対応していかれるのかお伺いします。
 次に、農業振興についてお伺いします。
 最初に、農業振興のための基本的な考え方についてお伺いします。
 近年、世界の食料価格が大きく乱高下を繰り返していることが食と農を取り巻く環境に新しい時代を迎えていると言われております。2006年以降の価格高騰は食料危機の再来と騒がれ、2008年9月のリーマンショックで急落したものの、高い水準でとどまり、2012年に入ってからは、歴史的な米国の大干ばつの影響等によって食料価格が逼迫し、トウモロコシ、大豆を中心に国際価格が高騰していますことは御案内のとおりであります。
 農業の生産性が工業に比べ比較劣位化した結果、我が国のこの50年における供給熱量ベースの食料自給率で見ますと、1960年の80%近い水準から1998年の40%水準に急速に下落し、その後は同水準で推移している状況であります。特にデフレ経済に突入して以降は、農産物価格が下落していく一方で石油価格の上昇等により生産資材価格が上昇を続け、国内生産の縮小と収益性の悪化によりまして、農業はもうからない産業とさえ言われている状況にあります。その結果、若者などの参入が少なくなったこと等から、農業従事者の異常なほどの高齢化や耕作放棄地の増大といった事態となってきているところであります。
 今、日本では、農業者が生き残るには農業だけをやる農業者の経営規模をできるだけ大きくすればいい、それが農業の国際競争力を高める道であるという常識がまかり通っているところであります。政府もメディアも、一部の学者もこの常識を疑うことなしに農業政策が進められています。それで日本の農業は本当に生き残れるのでしょうか。大規模、専業農家以外に成り立つ道はないのか、これは、担い手の高齢化が進む農業、農家にとっても、安全な農作物を安心して食べたいと思っている消費者にとりましても一番重要な問題だと、食と農の政策アナリストであります武本俊彦氏が警鐘を鳴らしているところであります。実際、将来にわたって日本の農業は存続し得るのかどうか、岐路に立たされていると思われます。
 そこでお伺いします。このような農業情勢の中で、今、岩手の農業振興のために何が重要なのか、基本的な考え方について知事にお伺いします。
 次に、米価引き下げによる稲作農家への対応についてお伺いします。
 2014年産米概算金におきまして、60キログラム当たり前年比2、000円から3、000円の引き下げが示されましたのは御案内のとおりであります。稲作農家の資金繰りなど経営への影響が懸念されるところであり、収入減少影響緩和対策、通称ナラシ対策はあるものの、加入者が限定されておりますことから厳しい局面にあると言われております。そして補填額も来年度にならないと明らかにされないと言われております。生産現場においては、つなぎ資金の措置や需給緩和対策の要望が強まっているところであります。
 一方、2014年度からの米政策の見直しに伴い、10アール当たり1万5、000円の米の直接支払交付金は7、500円に半減されたところであり、米価下落に対応した経営安定対策は、ナラシとナラシ移行円滑化対策が基本となっております。ナラシは、米、麦、大豆などの収入が標準的収入額を下回った場合に差額の9割が補填されるものでありますが、ただ、加入には一定規模以上の認定農業者などの要件を満たす必要があり、全国では2014年は約7万人で、米販売農家の7%程度にすぎないところであります。また、補填は、来年3月までの米価と麦、大豆の価格を織り込んで決定されるもので、支払いは来年5月以降となるものであります。このことから、経済安定対策ではナラシの補填対象範囲の拡充や支払いまでのつなぎ資金の措置が課題とされ、さらには、需給安定に向けた過剰米対策では政府備蓄米の棚上げ方式の見直しなどが求められてきているところであります。
 そこでお伺いします。県においては、つなぎ資金として無利子の融資を創設されました。JAが事業主体となりますが、系統外利用の農業者であっても融資を受けることは可能なのか。今回の米価下落は一過性のものではなく、今後も想定されるものであります。つなぎ融資を受けても短期間での償還は厳しくなると思われますが、どのように捉えておられるのでしょうかお伺いします。
 また、県では、米価下落の長期化が懸念される中で、どのような対策を検討しておられるのかお伺いします。
 次に、農業関係団体の改革についてお伺いします。
 今、政府においては、生産現場や地域の実情を置き去りにした農業改革議論が加速し、農政の大転換を初めTPPへの交渉参加など、大変な農政の方向転換を進めていることは御案内のとおりであります。農協改革においては、全中は中央会制度を自律的な新たな制度に移行するものとして、形式的には残すこととはしておりますが、事実上廃止の方向であります。また、全農については株式会社も可能としており、今後は民間企業と対等な競争をしていくこととされております。単位農協においては、経営の基盤をなす金融部門を農林中金に移管され、経営の赤字部門である営農で経営活動することとされており、農業者のための組織が存続できるかどうか甚だ疑問であります。農業委員会においても、選挙制度を廃止するとともに市町村長の選任委員とし、委員の定数は現行の半分程度の規模とするものであります。このことは、農協組織や農業委員会の事実上の解体を意味するものであり、この改革が農林水産業と地域の活力創造を進めるものであれば、地域で培われてきました営農や暮らしを脅かすものであってはならないと思うものであります。特に農協等の組織のあり方は、自主自律が協同組合としての大原則であり、精神でもあります。地域の総意に基づき継続していかれるべきものと思います。
 地域農業や農村の暮らしを守るためには、今回の農業関係団体の改革について、その目的、狙いの明確化や農政改革の推進との整合性など、国に対する提言、要請活動が重要と考えられます。さきの知事要望等にも明記されておりますが、引き続きの国に対する要望を含めて知事の見解をお伺いいたすものであります。
 次に、農地の集積、集約化についてお伺いします。
 今般、各都道府県に整備されました農地中間管理機構は、高齢化等により耕作をやめたい農業者から農地を借り上げ、運営可能な経営体に転貸していくことで農地の保全を図っていくこととしておりますが、実態は、大規模経営体の企業への農地の集積、集約化を進めていくことが根底にあるものと思われるものであります。
 そこで問題となりますのが、本当に農地の集約化が進むかということであります。日本の農地の多くが中山間地域であることにおいては、もともと集約化にもコストの低減効果は期待できないのが実態であります。この機構において借り手の見つからない農地は一定期間後には提供した農業者に返還されることから、結局、条件不利な農地の借り手は見つからず、耕作放棄地化する可能性は大きいのであります。つまり、農地中間管理機構が機能するのは一部の平野部であり、耕作放棄地や問題の根本的な解決には至らないと考えるものであります。
 しかし、だからといって規模拡大をしなくてもいいというわけにはいきません。現在の日本の農業者の経営規模は、平均で2ヘクタール程度と言われております。零細過ぎるのは事実であります。少なくとも、今後の少子高齢化を考えるとき、担い手に農地を集積しないと農地の荒廃が進んでしまうことは御案内のとおりであります。
 そこでお伺いしますが、農地中間管理事業では、リタイアするなどにより農地の貸し付けを希望する農業者から機構が農地を借り受けるとともに、今後、規模拡大などを志向する農業者の借り受け希望を募集し、それらの農地貸借のマッチングを行い作成した配分計画について、県の認可を得て決定するとされております。そこで、今年度想定されます集積面積及び地域集積協力金と経営転換協力金はどのぐらいと見込まれますのかお伺いします。
 次に、農業生産基盤整備の進め方についてお伺いします。
 本県の水田整備率は51%と東北で最も低い状況であり、未整備の水田では作業効率が悪いことから、担い手への農地の集積、集約化が進みにくいのではないかと思っております。また、農業従事者が減少し、高齢化が進行する中、地域の農業者からは、農地が未整備であるがゆえ、誰かにお願いしたくても農地の借り受け手が見つからないのではないかという不安の声が高まっております。今般の米価下落など厳しい農業情勢の中にあっても、本県が我が国の食料供給基地の役割を果たしていくためには、まずもって効率的で働きやすい生産基盤が必要と考えますが、県として農業生産基盤の整備にどのように取り組もうとしておられるのかお伺いいたします。
 次に、野菜、花卉の振興についてお伺いします。
 県においては、消費者から信頼される食料・木材供給基地を確立するため、県北地域のキャベツやホウレンソウ、レタス、胆江地域など県南のピーマンやトマト、アスパラガスなど、野菜、花卉について、生産性、市場性の高い産地づくりに取り組まれているところであります。こうした中、産地では、若手農業者がトマトやピーマン、アスパラガスの規模拡大に意欲的に取り組むなど、新たな動きも見られ始めております。米価が下落する中、農業が地域の基幹産業として維持発展していくためには、米、畜産に加え野菜や花卉などの園芸特産の重要性が増していくものと思われますが、県では園芸産地の強化にどのように取り組んでいかれるのかお伺いします。
 最後に、家畜の最終処理施設閉鎖に伴う今後の対応についてお伺いします。
 先般、家畜の処分を行っていた処分場と化製事業協同組合が破産申請をし、事実上、稼動停止したところであります。この施設では、盛岡以南を中心に年間3、000頭ほどの死亡牛の処理をしていたところであり、同様の施設は東北では八戸市にしかない状況になったところであります。以前から悪臭問題で地元住民とトラブルがあったところであり、県が10月3日に水質汚濁防止法に基づき排水の一時停止などの行政処分を実施しており、市においては、悪臭公害防止条例に基づく改善命令が出されていたところであります。このことにより死亡牛等の処分については県外等への搬送を余儀なくされ、畜産農家においては輸送費の大幅な負担増となることは必至であります。経営を圧迫しかねない大変な事態になるものであります。
 死亡牛の処理方法については、県外搬送のほか、24カ月齢未満の牛は、周辺環境など県条例をクリアすれば埋め立て可能となりますが、周辺住民の目が厳しくなることを懸念すれば、今後、慎重な対応が望まれるものであります。現在、24カ月齢以上の死亡牛はBSE検査を経て群馬県内の化製場へ搬送され処理されているところでありますが、先般、県では、自治体や農協で構成する協議会を設置し、24カ月齢未満の牛を対象とする一時的に保管する地域保管庫を運営するとともに、24カ月齢以上の牛においては、BSE検査を行う間、仮置く保冷庫を県で設置する方向を提案したところであります。
 そこでお伺いしますが、本県の畜産振興のため、今後、県では死亡牛の処理経費等についてどのように対応されていかれるのかお伺いします。
 あわせて、今回の破産申請に伴い、施設の従業員に対して解雇通知が出されたところでありますが、県では、解雇された元従業員の早期再就職について、どのような支援をされていくのかお伺いします。
 本県においては、重要な課題が山積しております。知事におかれましては、県勢発展のために、さらなる御尽力をいただきますよう御期待申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 後藤完議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、再生可能エネルギーの普及導入についてでありますが、県では、東日本大震災津波からの復興に当たり、自立・分散型のエネルギー供給体制や環境と共生した持続可能な地域社会の構築を進めるため、再生可能エネルギーを有効活用することが重要であると考えており、積極的に取り組んでいるところであります。
 回答の一時保留に関しては、国において、年内を目途として接続可能量の検証や拡大方策の検討を行っており、電源種別のエネルギーミックスについても、再生可能エネルギーの最大限の導入という方針を踏まえて、来年夏までに示す予定と聞いています。
 県といたしましては、これまで、国に対し、系統接続に係る検証などの速やかな検討や広域的な系統運用の一層の推進など、最大限の導入を図る施策の展開を要望してきたところであります。
 引き続き、全国的にも賦存量が優位にある風力と地熱のさらなる活用など、再生可能エネルギーによる電力自給率の倍増目標の達成に向けて取り組んでまいります。
 次に、水素エネルギーの活用等についてでありますが、水素については、取扱時の安全性の確保が必要でありますが、利便性やエネルギー効率の高さなど多くのすぐれた特徴があると認識しておりまして、また、国においては、本年4月に閣議決定したエネルギー基本計画において、水素をエネルギーとして利用する水素社会の実現を盛り込んだところであります。
 水素の活用については、これまで、家庭用燃料電池、いわゆるエネファームの普及が進んできており、また、本年中に燃料電池自動車の一般販売が予定されるなど、身近なものとなりつつあります。
 さらなる活用を促進するためには、技術面、コスト面などでいまだ多くの課題が存在すると聞いておりますけれども、県におきましては、エネルギーとしての水素の活用は、温室効果ガス削減対策や非常時の電源確保などの効果が期待できると考えておりまして、今後の動向について、引き続き情報収集等を進めてまいりたいと思います。
 次に、環太平洋パートナーシップ協定についてでありますが、TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業のみならず、投資、医療、労働など県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
 このため、国は、TPP協定交渉に当たって、国民に対する十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くした上で慎重に判断するべきであり、地域経済や国民経済に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含めて断固たる姿勢で臨む必要があると考えております。
 こういう考え方に立ち、これまでも国に対し繰り返し要請してきたところであり、去る11月6日にも、北海道及び東北6県の知事の連名で国に対して要請を行ったところであります。
 今後におきましても、交渉の動向を注視しながら、あらゆる機会を捉えて国に強く要請してまいります。
 次に、農業振興の基本的考え方についてでありますが、農業は、食品産業、流通業等の他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、本県の地域経済を支える基幹産業の一つとして持続的に発展を図っていくことが重要であります。
 また、本県では、多くの農家が中山間地域で生産活動に携わり、農業が地域社会そのものを支えているという実態にありますことから、小規模農家も参画した地域農業、コミュニティの維持、発展により、農業、農村の活性化を図っていくことも重要であります。
 このため、県では、地域農業全体の展開方向を明確にした地域農業マスタープランを県内全域で作成し、地域農業の中心となる経営体の育成や小規模農家も参画した産地づくり、そして、地域の多彩な資源を生かした6次産業化の取り組みを進めております。
 あわせて、兼業農家も参加した農地の保全管理や都市住民との交流など、多面的機能の維持、増進や地域づくりの活動を支援し、農業、農村の活性化に取り組んでおります。
 今後におきましても、こうした取り組みが進むよう、意欲と希望を持って農業経営に取り組む担い手の育成を図り、地域づくりに懸命に取り組んでいる小規模、兼業農家においても、地域に根差して、暮らしもよくなっていくような農業政策を進めてまいります。
 次に、農業関係団体の改革についてでありますが、国においては、農業の成長産業化を実現するため、農業委員会や農協の見直しなどの改革を進めています。このような改革に当たりましては、農業者が、意欲と希望を持って農業経営に携わり、所得向上が図られ、そして、地域も豊かになっていくということが重要であります。
 現在、農協のあり方に関しては、JAグループにおいて自己改革に関する中間取りまとめが行われ、地域段階の意見も踏まえつつ最終案を取りまとめる予定と聞いておりますが、本県におきましては、これまでも、北海道東北地方知事会を通じて、国に対し、農業者など現場の意見を広く聞き、議論を尽くすことなどを要望してきたところであり、先月にも、農業団体みずから行う改革を尊重することや、農協等が地域の特性を生かした農業、農村振興を通じて、その機能を十分に果たせる内容とするよう要望したところであります。
 今後、法改正が行われていくこととされていますが、国においては、農業団体が果たす役割を踏まえつつ、中山間地域の実情にも配慮して、地域の農業、農村の振興につながるような見直しを進めるべきであると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、社会保障費予算についてでありますが、財務省が設置する財政制度等審議会は、本年10月、平成27年度の社会保障制度について、介護報酬の引き下げ、公的保険の給付対象や生活保護制度の見直しのほか、医療、介護の一部負担金の引き上げ、各種保険料負担による支え合いの維持、強化などの提言をまとめております。
 この提言は、高齢化の進展など社会情勢の変化に伴い、社会保障費が年々増加している現状から、給付と負担の均衡を図る改革を進めるべきとの考えでありますが、その一方、社会保障制度を利用する住民にとっては、医療、介護サービス利用時の一部負担金がふえるなどの影響が考えられるほか、介護報酬のマイナス改定による介護事業所の運営や各種保険料負担による支え合いの維持、強化による保険料の引き上げへの影響などが考えられるところです。
 このため、提言が具体化されることとなれば、住民のニーズに対応した医療、介護、子育て支援などのサービスの提供に影響が生ずることも懸念されることから、引き続き予算編成の動向等を注視してまいります。
 次に、介護報酬の改定についてでありますが、県内の介護付有料老人ホームは、平成26年11月1日現在で7施設設置されており、その定員数は230名、入居者数は207名、入居率は90%となっております。
 介護付有料老人ホームでのショートステイは、平成24年4月から制度化されており、社団法人全国有料老人ホーム協会の調査によれば、同年7月時点での介護付有料老人ホームの平均入居率は87.7%と、一定の空き室があるものの、要件が厳しいこともあり、ショートステイとしての活用は進んでいない状況です。
 このため、同協会では、国に対しショートステイ活用の要件となっている、初めて指定を受けた日から起算して3年以上を経過していること、本来の入居者の数が入居定員の80%以上であることの廃止を要望し、現在、社会保障審議会介護給付費分科会において議論が行われているところであり、県としては、議論の推移を見守り、要件が緩和された場合には、ショートステイが有効活用されるよう、事業者に対して情報提供等を行ってまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、県がJAグループと連携して創設したつなぎ資金についてでありますが、ことし10月に創設した米価下落緊急対策資金の貸付対象者は、米価下落による影響を受ける農業者としており、農協以外に米を出荷している系統外利用の農業者も含め、広く利用できる制度としております。
 今回のつなぎ資金は、平成26年産米の価格下落により影響を受ける農業者に対し、国の経営所得安定対策交付金等が支払われるまでの当面の資金繰りに緊急的に対応したものであり、長期の資金が必要な場合には、農業近代化資金や農林漁業セーフティネット資金等が用意されております。
 また、先月、国の緊急対策として、農林漁業セーフティネット資金について、貸し付け当初1年間の実質無利子化措置が講じられたところであり、農業者のそれぞれの状況に応じた償還への対応が強化されております。
 県では、米価下落に関する相談窓口を広域振興局農政部、農林振興センター、農業改良普及センターなど県内22カ所に設置し、稲作農家の今後の資金繰りや農業経営の進め方など営農全般に関する相談に対応しているところであり、今後とも、農協等と連携しながら、個々の農業者の状況に応じた支援をきめ細かく行ってまいります。
 次に、米価下落への対策についてでありますが、県では、今後の稲作経営の安定を図るため、県農協中央会や全農県本部等と連携し、本年度内のいわての美味しいお米生産・販売戦略の策定に向け検討を進めているところであり、この戦略に即した生産、販売対策を推進することとしております。
 生産戦略では、米・畑作物の収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策への加入を促進するとともに、経営規模の拡大や直播栽培の導入等による生産コストの低減、食味向上に向けた施肥等管理技術の実践に加え、需要調査に基づく飼料用米等への転換などの取り組みを一層進めていきます。
 また、販売戦略では、県オリジナル新品種のブランド化により、県産米全体の評価と知名度の向上を図るとともに、県民一丸となった、食べよう!いわての美味しいお米。運動の展開により、県産米の一層の消費拡大に取り組むなど、農業者が安心して米づくりを行えるよう、農業者や農業団体等と連携して取り組んでまいります。
 次に、農地の集積、集約化についてでありますが、今年度の農地中間管理事業による集積面積は、県の集積目標である約2、000ヘクタールが見込まれており、現在、市町村の事業推進チームや機構の農地コーディネーターが、出し手と受け手とのマッチングを進め、担い手の経営基盤の強化に向けた農地の集積、集約化を図っているところであります。
 また、今年度の農地を機構に貸し付けた地域や所有者に支払われる機構集積協力金の交付見込み額でありますが、農地を機構にまとめて貸し付けた地域に交付する地域集積協力金が約5億5、000万円、離農等により農地を貸し付けた所有者に交付する経営転換協力金が約4億9、000万円、機構が借り入れている農地の隣接農地を貸し付けた所有者などに交付する耕作者集積協力金が約3、000万円で、合計額は現時点で約10億7、000万円が見込まれております。
 県では、今後、各地域から申請される事業実施計画の内容を精査した上で、市町村を通じて年度内に交付していくこととしております。
 次に、農業生産基盤整備の進め方についてでありますが、本県の水田整備率は東北の中で最も低く、生産コストの低減や麦、大豆等の品質、単収の向上を図るためには、さらなる水田の大区画化や排水対策が必要と考えております。
 このため、水田の整備と水利施設の補修、更新に重点的に取り組んでおり、ローカルスタンダードの導入による建設コストの縮減に努めながら、地域のニーズを踏まえた生産基盤の整備を進めているところであります。
 今後においても、本県の地形条件に応じた圃場整備とあわせ、経営体の育成や農地集積を一体的に進めるとともに、機能診断に基づく農業水利施設の長寿命化などにより、農地の有効活用や農業経営の効率化が図られるよう取り組んでまいります。
 次に、野菜、花卉の振興についてでありますが、本県では、各地域の気象や立地条件を生かしながら野菜、花卉の産地形成を図ってきましたが、近年、農業者の高齢化の進行などに伴い栽培面積が減少しており、産地を維持、発展させていくためには、生産性向上と規模拡大、意欲ある担い手の確保、育成が必要と考えております。
 このため、野菜の簡易かん水装置等の省力機械や雨よけハウスの団地的な整備、リンドウの盆需要期向け品種の新植等の支援、また、若い農業者等を対象とした施設園芸の研修会の開催等の取り組みを進めており、産地によっては、野菜、花卉の専作を志向する農業者が、規模の拡大を進めるなど新たな動きが出てきております。
 これらの取り組みに加え、リンドウの最需要期向け品種の開発や果菜類の栽培期間を延長する技術などの普及により、市場から求められている長期安定出荷体制の構築を支援し、産地の強化に取り組んでまいります。
 次に、死亡牛の処理経費についてでありますが、東北油化株式会社の破産に伴い、県南地域等の畜産農家で発生する死亡牛は、現在、運搬業者が収集し、中央家畜保健衛生所でBSE検査等を行った後、県外業者に搬出し、処理しております。
 これに伴い、県南地域等の畜産農家では、従来と比べ1頭当たり最大で、24カ月齢以上で2万20円、24カ月齢未満で1万7、820円の負担が生じております。
 こうしたことから、以前から県外業者で処理を行っている県北地域の農家の負担額を基準として、県南地域等の農家負担額との差額を、県と市町、生産者等がそれぞれ3分の1ずつ負担する仕組みを11月下旬に県南地域の市町等に対して提案し、現在、検討をいただいているところであります。この協議が調い次第、県外処理が開始された10月4日までさかのぼって、これを適用することを考えております。
 また、県南地域に県北地域同様、死亡牛を一時的に保管する地域保管施設が整備されることにより、農家の運搬コストの低減が図られることから、これについても、県南地域の市町等に提案し、検討していただいているところであります。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 家畜の最終処理施設閉鎖に伴い解雇された従業員の早期再就職に向けた支援についてでありますが、本年10月10日、当該事業所は破産申請を行い、従業員の方々に解雇を通知したところです。
 これに対応し、県は、同月16日、ハローワークからの離職票の送付にあわせて、解雇された方々に、岩手県労働者等生活安定支援資金や相談窓口の紹介をしたほか、同月21日及び29日に、ハローワークや関係市町と連携して離職者説明会を行ったところです。
 今後も、ハローワークや関係市町と連携を図りながら、早期再就職に向けて、就職相談への対応や各種情報の提供などの支援を行ってまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 廃校舎等未利用財産の有効活用についてでありますが、廃校後の未利用施設の状況につきましては、本年11月に公表された文部科学省の廃校施設活用状況調査の結果によりますと、平成14年度から平成25年度までに廃校となった県内の公立の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のうち、本年5月1日現在で未利用状態にあるのは、小学校が48校、中学校が13校、高等学校が7校、特別支援学校が1校、合わせて69校となっております。
 次に、県立学校の未利用施設の活用方針に係る市町村との協議についてでありますが、廃校となった県立学校につきましては、県において活用の予定がない施設につきましては、所在市町村における活用を促し、なお活用の予定がない場合は、民間における活用を推進してきております。
 このような基本的な方針のもとに、県教委におきましては、毎年度、廃校舎の所在する市町村を訪問し、その利活用について意見交換を行うとともに、情報収集や必要な協議を行ってきております。
 今後におきましても、他県における空き校舎の活用事例等を参考としながら、できるだけ多くの廃校施設の利活用が図られるよう対応してまいりたいと考えております。
 次に、老朽化の著しい未利用施設の対応についてでありますが、廃校舎のうち、老朽化が著しい未利用施設につきましては、所管学校職員による定期巡回を行うとともに、危険防止等のための必要な措置を行ってきておりますが、解体等の方針を決定するまでの間におきましては、適切な維持管理に努めてまいります。
〇14番(後藤完君) 御答弁大変ありがとうございます。
 1点だけお伺いしたいと思います。農業基盤整備の進め方についてでありますけれども、本県の水田整備率は、御案内のとおり、50%台と非常に低い状況にあります。今後、さらに整備を促進していくことが肝要かと思われるわけですが、しかしながら、高齢化や後継者の不足あるいは事業費の負担など、将来に向けた不安等によりまして、圃場整備事業への参加をちゅうちょしている受益者が多くおられます。
 このことにつきましては、圃場整備事業の促進に当たって、県あるいは関係機関等も含めてどのような対応をしていくべきか、改めてお伺いいたします。
〇農林水産部長(小原敏文君) 圃場整備の促進についてでありますが、将来にわたって農地を有効に活用していくためには、大型機械の導入や水管理労力の軽減など、生産コストの低減が可能となる生産基盤が必要と考えております。
 県としては、高齢化や後継者不足の中にあっても、基盤整備とあわせて地域ぐるみの営農体制を確立することなどにより、将来に向けた対応が可能であると考えており、圃場整備事業の推進に当たりましては、受益農家へのアンケート調査や地域での話し合いを重ねながら、ハード整備後の営農ビジョンづくりを支援し、地域の合意形成を図ってまいります。
 また、建設コストの縮減に努めながら、農地集積の達成度合いに応じて地域に交付されます促進費の活用などによりまして、農家負担の軽減を図っていくこととしております。
〇議長(千葉伝君) 傍聴者への配慮から、しばらくお待ち願います。
 次に、神崎浩之君。
〔5番神崎浩之君登壇〕(拍手)

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