平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇31番(工藤勝博君) いわて県民クラブの工藤勝博でございます。会派の先輩、同僚各位の御配慮により登壇の機会をいただき、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、東日本大震災からの復興について何点かお伺いいたします。
 1点目、住宅再建に向けて懸念される課題についてであります。
 被災地で進む盛り土による宅地造成に対し、住民から安全性を懸念する声が出ております。津波の浸水域に膨大な土を盛る前例のない土地造成や、切り土、盛り土の部分が混在している造成地に安心して住宅を再建できるかどうか思い悩む方がおります。住宅再建を予定しているある方からのお話で、分譲地に申し込みをして、盛り土のところであれば家は建てたくない、当分様子を見てからにしたい、津波で家を流され、今度こそは安全・安心な場所に家を建てたいと切実な思いを聞かされました。これらの不安をどのように払拭し、安心して住宅を再建できるよう、どのような対策を講じているのかお伺いいたします。
 2点目は、被災地における人材確保について伺います。
 県が、平成26年度に行った企業・事業所行動調査において、正社員の雇用割合をふやしているとの回答は、調査以来、最高を記録しています。県内の有効求人倍率の季節調整値は18カ月連続で1.0倍を超えており、介護や運輸など業種によって人材確保が大変厳しい状況にあります。
 被災地においては、内陸への人口流出などで労働人口が減少し、業種によっては、正社員を採用したいが集まらないなどの格差が拡大しています。また、人手の奪い合いで人件費の高騰も招いております。なりわいの再生は、資源の確保と人材の確保なくして困難と思われます。
 さらに、国際研修協力機構によると、県内における外国人技能実習制度を活用した実習生の受け入れ状況は平成25年に507人で、職種別では、食料品製造267人、衣服、繊維製品製造103人、農業80人、金属加工18人、その他39人が技能実習を受けていました。
 震災後、水産加工の再建には大きく貢献していますが、ことしになって、受け入れ窓口となる監理団体の他県での不適切な監理、監督により、本県の一部地域においても入国が当初計画から大幅におくれる事態が発生しました。特に、水産加工や農業においては時期も選びます。現下の状況から、なりわいの再生に外国人技能実習生の存在が被災地の大きな支えになります。
 そこで、被災地の抱えている最も重要な課題である雇用、労働力の確保について、外国人技能実習生の受け入れなど多面的な人材確保を図ることも含め、どのような対応をなされるのかお伺いいたします。
 3点目は、岩手大学の取り組みについて伺います。
 岩手大学は、震災後間もなく災害対策本部を開設し、2011年10月に沿岸部の拠点として釜石にサテライトを置き、2013年4月からは、水産研究、教育を担う三陸水産研究センターを開いております。被災地復興の柱である水産業に科学的知見を加え高度化し、さらに生産から加工、販売の全体像を俯瞰でき、専門性を持ったプロモーターを育てることを目的に設置されたと伺っております。
 その研究の柱の一つがサケの遺伝子解析で、サケのふ化放流事業に生かし、回帰率向上、漁獲量の増加に結びつけたいとしています。大学には水産学部がないにもかかわらず、復興に貢献する取り組みに期待したいと思います。
 また、研究に加え教育にも力を入れ、2016年4月から大学院改革で水産業改革コースを新設し、他大学とも連携していくと聞いており、水産業のさらなる発展につながるものと期待しております。
 県として、岩手大学の取り組みをどのように捉え、今後、どのように連携していくのか、知事にお伺いいたします。
 次に、農林業の振興について伺います。
 1点目は、農地中間管理機構による農地集積についてであります。
 国においては、農業者の高齢化の進行や耕作放棄地の増加等の現状を打破し、力強い農業をつくっていくためには、今後10年間で担い手の農地利用を全農地の8割に引き上げていくことが必要であり、そのため、担い手への農地集積、集約化を加速していくために農地中間管理機構を創設しています。県では、農業公社が実施主体となり、第1回目の借り受け希望面積で1万1、820ヘクタールが申し込まれており、2018年度までの集約目標の7割に達したとしています。2回目の公募の締め切りは11月末と伺っておりますが、進捗状況をお伺いいたします。
 また、借り受け希望経営体数や面積は同公社の当初予想を上回り、経営体の規模拡大の意欲の高さがあらわれています。北上川流域の比較的基盤整備が進んでいる作付条件のよい地域の受け手が多いと伺っておりますが、受け手、出し手のマッチングはどのような状況でしょうか、お伺いいたします。
 2点目は、水田の利活用について伺います。
 2014年産米の価格下落は、大規模経営体ほどその影響が大きくなります。生産コストを下回る米価では、再生産する意欲も将来展望も見出せないのが現状です。水田の利活用は岩手の農業振興のかなめと考えますが、県ではどのような施策でこの難局を乗り越えるのか、知事にお伺いいたします。
 3点目は、新規就農者の確保、育成について伺います。
 平成24年度から、青年の就農意欲喚起と就農後の定着を図るため、原則45歳未満で一定の条件を満たす就農希望者、新規就農者を対象として、就農前の研修期間―最長2年間―及び経営が不安定な就農直後―最長5年間―の所得確保を支援する青年就農給付金年間150万円が支給されています。東北農政局の発表では、平成25年度実績で青森県が最多の472人、次いで山形県391人、岩手県は264人となっています。東北農政局では、収益性の高い果樹や施設野菜などが盛んな地域ほど就農者が多いと見ております。また、新規就農者にあっては、施設、機械等の整備や栽培技術の習得などが経営安定を図っていく上で重要なポイントと考えられます。
 地域農業の牽引役になる新規就農者の確保、育成は岩手の将来を展望する礎になります。本県農業の発展に向け、新規就農者の確保、育成を県では今後どのように進めていくのか、知事の所見をお伺いします。
 4点目は、認定農業者の減少と経営所得安定対策について伺います。
 2015年度から経営所得安定対策の一部は認定農業者などを対象とした制度に変わります。15年産で、げた、ナラシに加入するなら、本年度の申請までに認定農業者などの対象要件を満たさなければなりません。加入できない農家が出ますと土地利用型の担い手が失われ、農地集積の受け手がいなくなるおそれもあります。認定農業者の減少傾向をどう捉え、見直しされた制度への加入に向けて今後どう対応されるのかお伺いいたします。
 5点目に、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業について伺います。
 この事業は、県が3分の1、市町村が6分の1を負担し、農業用機械、施設等の整備を支援する事業ですが、農業関係予算が少なく、負担が難しい市町村に居住する生産者が、機械、施設導入に取り組む場合に、市町村の負担がなくても事業実施を可能にすることで、生産者の初期投資の軽減につながり、生産拡大に意欲的に取り組むことができます。農政の大変革の中にあって、従来からの縛りを見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、持続できる畜産、酪農対策について伺います。
 岩手の家畜飼養動向を見ますと、飼養頭数は乳用牛で全国3位、肉用牛で5位。しかし、1戸当たりの飼養頭数で見ますと、乳用牛で41位、肉用牛は最下位の47位であります。一方、養豚、採卵鶏、ブロイラーは、飼養頭数、羽数また1戸当たりの頭数、羽数とも全国上位の産地であり、いかに岩手の畜産が重要な位置にあるかがわかります。
 しかし、急激な円安の進行により飼料価格が高騰し、畜産農家の経営は厳しさを増しています。さらに、政府がTPP交渉を進めていることで、畜産農家は先行きに不安を抱えたまま、今後の動向を固唾をのんで見守っている状況であります。北海道でも酪農家の減少に危機感が広がって、乳業メーカーが酪農家の経営安定を支援する事業に乗り出してきています。旧来型の家族経営ではなく、今の若者が働きやすい酪農モデルです。
 岩手県の酪農地帯でも、その動きが出てきています。このことからも、持続できる畜産、酪農対策は重要課題であります。大規模経営に進む課題と支援策についてお伺いいたします。
 さらに、本県の畜産振興を図る上で屠畜処理、加工施設は不可欠なものであり、牛肉の輸出拡大に向けても岩手畜産流通センターの役割は重要であります。特に、畜産県である本県を初め北東北における生産基盤等を勘案すると、岩手畜産流通センターの機能を強化していく必要があると思いますが、その施設整備について県の考えをお伺いいたします。
 7点目、林業振興についてであります。
 林業を取り巻く情勢は、木材価格の長期低迷と、それに伴う森林所有者の造林意欲の低下や林業労働者の高齢化、東日本大震災による合板工場等の被災に伴う木材利用の低下など、極めて厳しい状況が続いています。
 一方で、震災から3年8カ月が経過し、内陸部において新たに合板工場が建設され、来年3月から稼働する予定になっており、また、県内各地で木質バイオマス発電事業が計画されるなど、明るい兆しが見えつつあります。林業事業者にとっても多くの原木を出荷できる好機を迎えるとともに、林業が再び脚光を浴びるチャンスでもあります。県において、この好機をどう捉え、林業再生を図るのかお伺いします。
 また、このような状況を踏まえた上で、切ったら植えるという木材の循環利用システムを確立していくために再造林の促進が必要と考えますが、再造林に必要な苗木の生産状況と優良種子の確保について、あわせてお伺いいたします。
 次に、医療、福祉に関する取り組みについて伺います。
 1点目は、沼宮内地域診療センターの活用、取り組みについてであります。
 県立沼宮内病院は、開設以来、長年にわたり地域医療の重要な拠点として多大な貢献を果たしてきました。しかし、県立病院改革、再編のもと、平成23年度に地域診療センターへ移行した後に病床が休止状態となり、岩手町内においては入院施設が皆無に近い状態となり、地域住民の医療に対する不安が増大しております。地元では民間移管の方策も協議しておりますが、具体的な進展には至っておりません。人口が減っても高齢者の割合は増加しております。ますます多様な地域医療が求められてきていますが、沼宮内地域診療センターの活用、取り組みについてお伺いいたします。
 次に、本県における平均寿命、健康寿命の延伸についての取り組みについて伺います。
 県民の平均寿命が全国一短い青森県で、短命県返上を全面に打ち出した商品、サービスが出てきました。IT企業は職域向けの管理システムを開発し、イオンは健康増進に励む客に買い物ポイントを付与したりして、短命県返上ビジネスを盛り上げています。長寿日本一の長野県に当てはめて消費や観光交流の経済試算をすると、長寿による経済効果は年100億円の効果が上がると見ています。青森県が日本一を返上すると、次は岩手県か秋田県が短命県日本一になります。そこで、平均寿命、健康寿命の延伸にどう取り組むのかお伺いいたします。
 3点目、脳卒中予防への取り組みについて伺います。
 厚生労働省が5年ごとに実施している死因別死亡率調査によると、岩手県は、2010年、脳卒中で亡くなった人が、人口10万人当たり、男性70.1人、女性37.1人で、ともに全国ワーストワンであります。東北各県とも死亡率が高く、各県でワースト返上を目指し、知恵を絞った運動を展開しています。国内では年間12万人が死亡し、死因の第4位で、寝たきりなど重度の要介護原因の3割、認知症の原因の3割から4割を占めるとされています。平均の入院期間は病気の中で最も長く、後遺症に苦しむ人も多いようです。日本脳卒中協会によると、医療費の総額は1兆7、000億円と、がんに次いで2番目に多い数字であります。
 そこで、医療費の削減に向けても予防対策の推進が急務と考えますが、県の取り組みについてお伺いします。
 次に、認知症対策の取り組みと支援策について伺います。
 我が国の認知症有病者数は、平成22年時点で、65歳以上の高齢者の約15%、439万人と推計されます。10年前の予想を大幅に上回る急増ぶりに、厚生労働省は、認知症対策を急務として、平成24年9月、認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)を策定しました。これは、平成25年度から平成29年度までの認知症施策計画、ケアパスの作成、普及や、認知症の診療を担う医師の養成、地域での医療サービスの構築などであります。
 県内の認知症高齢者数は、要介護、要支援認定者数7万1、211人中4万2、347人で、約60%を占めております。今後においては、さらに増加が見込まれる介護施設の不足、待機者の増加と、イタチごっこが想定されます。
 そこで、認知症対策として早期発見、早期診断が何よりの予防と思いますが、県の取り組み、支援策についてお伺いいたします。
 次に、学校教育の取り組みについて伺います。
 農林水産にかかわる県立高校の取り組みについて、県教育委員会が定めている今後の高等学校教育の基本的方向に示している職業教育を主とする専門学科において、専門知識を確実に習得するとともに実践力を身につけることにより、社会においても、高い付加価値の創出や生産性の向上、地域の産業振興に寄与することができる人材を育成するとあります。
 そこで、今回は農林水産にかかわる高校教育について伺います。
 平成26年度の入学者数は、募集定員680人に対し614人で、充足率は90%であり、中には競争率1.5倍強の学科もあります。農林漁業者の減少が続く中にあって、まさしく金の卵であります。
 一方、平成25年度の卒業者の進路先を見ますと、580人のうち195人が大学、短大、専門学校等に進学しています。卒業と同時に農林漁業に進んだ生徒はわずか23人、4%です。この進路状況についてどのように捉えているのか、また、職業教育の課題についてもお聞かせください。
 また、岩手の農林漁業の次代を担う人材育成の第一歩は高校教育にあります。特に職業教育ではさまざまな実習が伴います。有能な人材を育むのも、すぐれた実習現場が必要です。
 そこで、センタースクールである盛岡農業高校の実習環境の整備状況についてお伺いいたします。
 次に、学校給食について伺います。
 学校給食法が1954年に施行され、ことしで60年を迎えました。現在はパンから米飯給食が中心になり、アレルギー対応、民間委託など学校給食は大きく変わってきました。その一つに、新潟県において米飯給食に牛乳はなじまないとして廃止を打ち出している自治体があります。牛乳の消費拡大を進めている本県にとってはゆゆしき問題です。県においては、学校給食に牛乳の是非についてどのように捉えているのかお伺いいたします。
 また、学校給食などでの集団食中毒が後を絶たず発生しております。読売新聞によれば、2013年、全国の学校現場で16件、2014年の本年は静岡県浜松市の小学校で1、000人以上の児童が発症しました。原因はノロウイルスが最も多く、特に11月から2月の冬季に流行しやすい時期を迎えています。学校給食の対応策についてお伺いいたします。
 次に、食育について伺います。
 県民が健全な心身と豊かな人間性を育むとともに食と農の大切さを理解し、郷土の食文化を次代につなげるため、平成17年に公布された食育基本法に基づき食育に取り組んでいるところであります。近年は、その関心の高まりから学童農園等の広がりが見られることから、食育活動に十分な支援が必要ではないでしょうか。平成25年には第2次食育推進基本計画の一部が改定され、学校給食における国産食材を使用する割合を80%以上とする目標が追加されました。地場産品の活用は、児童生徒に産業や文化に関心を持たせる効果があります。また、意識調査によると、食育に関する取り組みに参加したい人は約7割に及んでいます。その内訳を見ますと、生活習慣病の予防、健康づくりのための食生活に関する活動などの取り組みが望まれています。
 そこで、県内31市町村が食育推進計画を作成していますが、その活動と成果についてお伺いいたします。
 次に、観光振興について伺います。
 盛岡広域の観光客入り込み数を見ますと、平成25年度の目標値831万人に対し、実績値約1、000万人と目標を上回って推移している状況であります。そのうち、八幡平も目標値139万人に対し、実績値200万人となっております。
 一方、外国人の観光客入り込み数について、震災前の平成22年度5万3、000人回に対し、平成25年度が3万3、000人回と、震災前の水準にはまだまだ戻っておりません。ことしは、台湾との国際定期チャーター便の増便等もあり、インバウンドも上向きの状況であります。また、八幡平市は、台湾の次に東南アジアのタイに注目しているところです。全国的に外国人観光客が増加しており、その受け入れ態勢の構築が急務と考えます。
 スマートフォンを使用する外国人の受け入れのための通信環境整備や、北東北広域周遊観光のため、英語、中国語、ハングル語等の外国語表記のガイドマップ、また、案内表示の充実などを推進すべきではないでしょうか、県の考えをお伺いいたします。
 次に、盛岡広域地域では、スポーツと観光旅行を融合させたスポーツツーリズムの推進に向け、2016年、協議会を設立する方針であります。2019年、ラグビーワールドカップ、2020年、東京オリンピックなどの国際大会を含め、事前合宿や予選会の誘致を大きな目標に掲げ、広域連携による取り組みを進めるとしています。スポーツを通した交流人口の拡大により、競技力の強化、地域の観光振興などの波及効果が期待されるところであります。岩手の魅力を高める千載一遇のチャンスでありますが、県はどのように捉えて支援されるのかお伺いいたします。
 最後に、DIOジャパンに関連した事業についてお伺いいたします。
 緊急雇用創出事業を活用した株式会社DIOジャパンに関しては、決算特別委員会等で長時間に及ぶ審議をしたところであります。
 企業誘致から撤退、事後処理に関して何点か伺います。
 緊急雇用創出事業は原則1年の補助事業でありますが、知事がトップセールスを行った必要性についてお伺いします。また、撤退の理由として、仕事がとれなかったこと、本社の資金が回らなかったことなどが要因と言われていますが、事業本来の目的をどう捉えていたのかお伺いいたします。
 また、営業停止したコールセンターの後継企業に、県の企業立地促進奨励事業費補助制度を一部改正して施設整備費や事業所賃借料の補助制度を創設した経緯についても、あわせてお伺いいたします。
 以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東日本大震災津波からの復興に係る岩手大学の取り組みについてでありますが、岩手大学では、東日本大震災津波の発災後、震災からの早期復旧と復興を支援する組織として学内に三陸復興推進機構を立ち上げ、水産部門においては、平成25年4月に三陸水産研究センターを設置し、水産業の高度化、三陸水産品のブランド化を目指す研究に取り組んでいます。この中で、本県の主要魚種であるサケの資源回復や水産資源の高付加価値化に向けた技術開発などを進めており、今後、本県水産業の復興に向け成果が期待されます。
 また、平成28年4月には、学部再編の一環として、農学部及び大学院に水産系教育研究組織を新設する予定とされており、このことは、三陸沿岸の振興と水産業の発展に大きく寄与するものと認識しております。
 県では、既に岩手大学との共同研究を進めており、加えて、学生の研修受け入れや研究フィールドとしての沿岸漁場の紹介など、連携を一層強化しながら、本県水産業の振興に取り組んでまいります。
 次に、水田の利活用についてでありますが、県では、水田を有効に活用し農業者の所得を確保していくため、気象や立地条件などを生かした地域の重点推進作物を設定し、主食用米と転作作物を組み合わせた取り組みを推進してきており、平成25年の作付状況は、水田面積の約6割が主食用米で、次いで飼料作物、麦、大豆、野菜などとなっています。
 主食用米については、今後も、国から配分された生産数量目標に沿って生産コストの低減と食味の向上を図り、消費者や実需者に支持される米づくりを進めるとともに、転作作物については、国の産地交付金を最大限に活用し、需要調査等に基づく飼料用米への転換や、野菜、花卉の拡大など不作付地も活用しながら、農業者の所得が確保できるよう推進してまいります。
 次に、新規就農者の確保、育成についてでありますが、本県農業を持続的に発展させていくためには、農業に意欲を持って取り組み、地域をリードできる若い就農者を確保、育成していくことが重要であります。このため、県内外における就農相談会の開催や、農業法人への雇用就農の促進等により就農者を確保するとともに、若い農業者の夢や希望を実現するための販売戦略などを含めたビジネス計画の作成と、その実現に向けた生産技術の習得や機械、施設の導入の支援などにより、就農者の育成に取り組んでいるところであります。また、就農に当たっては、青年就農給付金制度の活用を促しており、収益性の高い園芸部門を中心に、青年新規就農者が増加しています。
 今後におきましては、こうした取り組みに加え、経営管理能力の向上や青年農業者同士のネットワーク化を図るなど、意欲を持って就農した方々が地域の担い手として定着できるよう支援してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 住宅再建についてでありますが、復興まちづくりを進めている市町村では、宅地造成に当たって、国土交通省の宅地防災マニュアルや、公益社団法人日本道路協会の道路土工指針等の各種基準を参考に、現地の条件に応じて、ボーリングによる地盤調査や盛り土材料の土質試験を行うとともに、盛り土材の敷きならし厚や締め固め等について適切な施工管理をしながら造成工事を進めているところであります。特に、大規模な盛り土工事となる陸前高田市や大槌町では、試験的に盛り土を施工して地盤の沈下量や強度等を測定し、設計や施工方法が適正であるかどうかの検証も行っております。
 また、被災者の方の不安を払拭し、安心して住宅を再建していただくため、工事の進捗状況に応じた現地見学会の開催や宅地造成に係るパンフレットの配布等により、宅地の安全性確保の考え方や工事の内容についてわかりやすい説明に努めております。
 県としても、市町村に対する再建者への丁寧な情報提供や相談対応の要請等を通じて円滑な住宅再建が進むよう努めており、引き続き必要な支援を行ってまいります。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、被災地における人材確保についてでありますが、県としては、これまで、地域内からの人材確保を図るため、関係機関と連携した企業見学会や面接会の開催など、企業と求職者とのマッチングの促進、水産加工現場のイメージアップ、企業向けセミナーの開催による職場定着の支援をしてきたところです。また、人材確保が課題となっている水産加工業や建設業などの業界団体に対して、岩手労働局と連携し、雇用管理改善の要請活動に取り組んできたところです。
 今後は、これらの取り組みに加え、地域外からの人材確保を図るため、U・Iターン経験者へのアンケート結果等を踏まえて作成するメッセージムービーやウエブサイトなどを活用した人材確保に取り組むこととしております。また、県内企業向けに求職者のニーズを伝えるレポートを配布し、企業の採用力の強化に努めてまいります。特に水産加工業については、外国人技能実習生の受け入れ枠を拡大できるよう、構造改革特区の活用に向けて、本県と同様の課題を抱えている宮城県とも連携しながら、国へ申請する準備を進めているところでございます。
 次に、外国人観光客の受け入れ態勢の充実についてでありますが、外国人観光客の誘客拡大を図るには、プロモーションの強化とともに、宿泊施設や観光施設の受け入れ環境の向上が重要と認識しております。Wi-Fiなど通信環境の向上も重要な要素の一つと考えており、県としても、昨年12月から、東北観光推進機構、通信事業者と連携し、外国人旅行者向けの無料Wi-Fiサービスの導入を推進しております。こういった受け入れ環境の向上の取り組みを通じて、宿泊施設や観光施設に、Wi-Fi環境の積極的な導入を働きかけてまいります。
 また、県では、全県観光案内板の多言語化を順次進めるとともに、6カ国語でパンフレットを作成しているところですが、本県外国人観光客の延べ入り込み数の約5割を占める盛岡地域の市町村においても、訪日客が増加しているタイ向けのパンフレットの作成や外国人観光客受け入れセミナーの実施など、受け入れ態勢を充実する取り組みを強化しております。
 県では、こういった市町村の取り組みとも連携しながら多言語化での情報発信に取り組み、北東北を初めとした広域観光の推進を図ってまいります。
 次に、スポーツツーリズムの推進についてでありますが、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会を初め、2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどのスポーツイベントは多くの方々に本県を訪れてもらう絶好の機会であり、こういった機会を捉えて、本県が全国に誇る豊かな自然や世界遺産平泉に代表される歴史文化、特色ある食文化など、本県の多彩な魅力を強力に発信しながら、誘客促進に取り組んでいくことが重要であると認識しております。
 県といたしましては、これまでも、本年3月に策定したみちのく岩手観光立県第2期基本計画に、国内、国際大会の観戦等を含めたスポーツツーリズムの創出を新たに盛り込むとともに、市町村、観光協会、スポーツ関係団体などからなるスポーツツーリズム推進連絡会議を設置し、研修会の開催などに取り組んでおります。
 また、盛岡地域の8市町がスポーツツーリズム推進のため、合宿や観光客誘致のためのパンフレットを作成しておりますが、県といたしましても、こういった取り組みを支援するとともに、今後も一層、連携を強化しながらスポーツツーリズムを推進してまいります。
 次に、DIOジャパンについてでありますが、知事のトップセールスについては、同社から東北地区にコールセンターを開設したいとの意向が示され、盛岡市及び花巻市への立地がほぼ決まりかけていたことから、本県への進出を促すため、知事に同社の社長と面談していただいたものです。
 DIOジャパンの東北への進出目的につきましては、同社から宿泊関連などの新規の依頼に対応するため、東北に新たな拠点を設置したいと聞いていたことから、県としては、同社の事業拡大の一環によるものではないかと考えていたところです。
 また、企業立地促進奨励事業費補助制度の改正については、DIOジャパン関連コールセンターの撤退に伴う離職者等の一日でも早い雇用確保を図るため、新たに進出するコールセンター企業に対し、立地市町と連携して支援措置を講ずることとしたものであります。
 支援する対象経費は、平成14年度に創設したコールセンター補助制度を基本とし、立地市町と協議の上、施設、設備整備費及び事業所等賃借料の経費の一部を支援することとしたものであります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、農地中間管理機構による農地集積についてでありますが、第2回目の借り受け希望者の募集は11月1日から30日まで行ったところであり、11月21日現在で、経営体数は155経営体、面積は延べ1、471ヘクタールの応募となり、第1回目の募集結果と合わせますと、借り受け希望の経営体数は822経営体、面積は延べ1万3、291ヘクタールとなっております。
 第1回目の募集結果を地域別で見ますと、経営体数、面積ともに北上川流域の借り受け希望が多く、全体の約9割を占めております。
 一方、機構が借り入れている面積は約1、000ヘクタールとなっており、このうち126ヘクタールにつきましては、金ケ崎町や一戸町、岩手町など、6市町村の36経営体とのマッチングが整い、今月2日に、本県で初めて機構からの貸し付けが行われたところであります。
 今年度の機構の借り入れ農地は、県の集積目標である約2、000ヘクタールが見込まれており、この農地につきまして、市町村の事業推進チームや、機構が県内各地域に配置した農地コーディネーターが受け手とのマッチングを進め、担い手の経営基盤の強化に向けた農地の集積、集約化を図ってまいります。
 次に、認定農業者の減少と経営所得安定対策についてでありますが、認定農業者は、高齢化に伴い、経営規模の縮小等による再認定の見送りや、再認定前の離農などにより平成22年度以降減少し続け、平成25年度は約7、300経営体となっております。
 認定農業者の確保に向けては、県内全地域で作成された地域農業マスタープランに位置づけられております地域の中心となる経営体のうち、認定農業者になっていない経営体が2、000ほどありますことから、こうした経営体に対し、農業経営改善計画の作成を促し、認定農業者への誘導を図ってまいります。
 来年度からは、経営所得安定対策の交付対象が認定農業者や集落営農などとされておりますことから、営農座談会等において制度の変更内容の周知に努め認定農業者への誘導を図るほか、集落営農組織への参加を促すなど、多くの農業者が本対策の対象となるよう取り組んでまいります。
 次に、いわて地域農業マスタープラン実践支援事業についてでありますが、この事業は、地域みずからの話し合いに基づき、市町村が策定する地域農業マスタープランの実践を支援するために平成25年度から県単独で実施している事業であり、農業者の経営発展や地域農業の振興に生かしていくため、県と市町村が一体となって支援することにより、より高い事業効果の発揮につなげてきたところであります。
 今後も、地域農業の持続的発展に向け、地域の中心となる経営体の規模拡大や、体質の強い園芸、畜産の産地づくりを進めるため、市町村と連携しながら事業を実施してまいります。
 次に、畜産、酪農対策についてでありますが、経営を持続していくためには、生産コストの低減に向けた規模拡大等が重要であり、畜舎整備等に加えて、自給飼料の確保と供給体制の確立、作業の省力化や労働力の確保等が課題と認識しております。このため、県では、国の補助事業の導入による畜舎、堆肥舎の整備や、優良雌牛の導入、草地造成等の飼料基盤の整備を促進しますとともに、肉用牛については、キャトルセンターを整備し公共牧場との一体的活用を、酪農については、TMRセンターやコントラクター等外部支援組織の育成などにより、飼料供給体制の構築と省力化を推進しているところであります。
 県内でも、酪農メガファームのような若者の雇用の受け皿ともなる大規模経営体が育ってきており、これに続く経営体の育成にも積極的に取り組んでまいります。
 次に、岩手畜産流通センターの施設整備についてでありますが、岩手畜産流通センターにおいては、食肉の消費動向を踏まえ策定する販売計画に基づき屠畜処理や食肉製造処理が行われており、販売計画に見合った頭数が処理されているものと認識しております。現時点では、牛の施設につきましては屠畜処理能力に余力があり、また、豚の施設については傷みが見られるとは聞いておりますものの、岩手畜産流通センターから、販売計画の見直しやそれに伴う新たな施設、設備の整備や更新に向けた構想等が示されておりません。
 施設の整備に当たりましては、国内の食肉の消費、販売状況や牛肉の輸出動向、さらには、岩手畜産流通センターにおける長期的な経営見通しなども踏まえた検討が必要と考えております。
 次に、林業の振興についてでありますが、県内では、戦後造林した人工林が本格的な利用期を迎えており、合板工場の再建や木質バイオマス発電施設の稼働、復興住宅への県産材の供給など、今後見込まれる木材需要の拡大を好機と捉え、豊富な森林資源の循環利用を進めることが本県林業の再生につながるものと考えております。このため、県では、需要の拡大に対応する木材の安定供給体制の構築に加え、伐採から造林まで持続的な森林経営を担う地域牽引型経営体の育成や、再造林の促進に向けた造林コスト削減などに対する支援を行うとともに、森林から生産される木材を製材品や合板、製紙用チップ、木質バイオマス燃料などに余すことなく活用する、いわゆるカスケード利用を一層促進するなど、川上から川下に至る総合的な取り組みを進め、本県林業のさらなる成長産業化を図っていくこととしております。
 また、苗木の生産状況につきましては、直近3カ年の苗木の平均需要量約200万本に対し県内での生産量は約300万本と、需要に見合う十分な量の苗木が確保、供給されており、種子につきましては、本県の気候に適した形質のすぐれた品種系統の種子を県が必要量を全量生産しているところであります。
〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) 沼宮内地域診療センターの活用等についてでありますが、地元の岩手町が民間医療法人と覚書を締結し、有床診療所としての民間移管に向けた協議を進めてきているところですが、深刻な医師、看護師不足等を背景に、現在においても具体的な進展には至っておりません。
 医療局といたしましては、随時、民間移管に向けた取り組み状況等について情報共有を行っているところであり、今後も引き続き、岩手町と連携を図り、必要な情報提供など取り組みを支援してまいります。
 また、地域診療センター移行後も、常勤医師2名の確保と診療応援等により外来機能を維持するとともに、検診実施体制についても、臨床検査技師や診療放射線技師等の必要な医療技術者を配置し、その体制を確保するなど岩手町との連携を図ってきたところです。
 地域診療センターの患者が入院を必要とする場合は、二次保健医療圏の基幹病院を中心に受け入れ先を確保するなど、今後とも、県立病院間や他の医療機関も含めた役割分担と連携を図りながら、限られた医療資源の中にあっても、地域における医療提供体制の確保に努めていく考えです。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、平均寿命、健康寿命の延伸への取り組みについてでありますが、本県では、平成22年調査において、男性の平均寿命が全国45位、健康寿命が43位、女性の平均寿命が43位、健康寿命が32位となっております。平均寿命、健康寿命の延伸を図るためには、三大生活習慣病であるがん、心疾患、脳卒中の予防が重要と考えておりますが、中でも脳卒中は、がんや心疾患に比べて死亡率が低いものの後遺症が残り、医療や介護が必要となる割合が高く、健康寿命への影響が大きいと考えております。
 県としては、がんの早期発見のために、検診機関等と連携して、休日、夜間帯の健診実施など、働く世代が受診しやすい環境の整備を行うなど、今後とも、がん検診受診率の向上のための取り組みを行っていきます。
 また、脳卒中及び心疾患の予防のために、検診機関と連携した禁煙サポート事業、保健所によるバランスのとれた食生活に改善するための調理実習や講演、市町村やNPOで実施している健康運動教室への支援、特定健診受診率及び特定保健指導実施率向上対策などに継続的に取り組んでいきます。
 次に、脳卒中予防対策の推進についてでありますが、脳卒中予防のためには、個人に対する意識啓発に加え、社会全体として県民が主体的に行う健康づくりの取り組みを総合的に支援する環境の整備が必要と考え、本年7月に、医療、福祉分野を初め、産学官、金融、報道機関などからなる岩手県脳卒中予防県民会議を設立し、構成団体は、設立当初の約100団体から約200団体に拡大しております。
 県民会議では、啓発活動の一環として、11月に岩手県脳卒中予防県民大会を開催し、脳卒中の予防に関する県民への意識啓発を行ったほか、ホームページによる優良事例を紹介する取り組みや、構成団体の広報誌などを通じて、脳卒中の予防に関する啓発を従業員とその家族に対して行うこととしております。
 また、減塩の取り組みを推進するため、保健所では、食生活改善教室や街頭での啓発活動や外食栄養成分表示登録店等の拡大を行っているほか、県民会議としても、構成団体と連携して、食生活改善に関するイベントや家庭を訪問してみそ汁の塩分濃度測定を行う事業などに取り組んでまいります。
 次に、認知症対策の取り組みと支援策についてでありますが、認知症は、物忘れなどの初期段階での気づきや対応のおくれが悪化につながることから、市町村では、介護予防の基本チェックリストを活用し、認知症の前兆となる物忘れなどの症状もあわせて把握することにより、早期発見から早期診断に結びつけるよう努めております。
 県においては、かかりつけ医が認知症を早期に発見し適切に対応できるよう対応力向上研修を実施しているほか、かかりつけ医への助言等を行う認知症サポート医の養成の推進や、岩手医科大学附属病院を岩手県認知症疾患医療センターとして指定し、認知症の専門医療相談や専門診断への対応などを行っております。
 今後は、県内のどこに住んでいても適切な診断と医療が受けられるよう、地域型の認知症疾患医療センターの設置を推進するほか、市町村が新たに取り組む認知症サポート医を中心に、保健師や介護福祉士などの専門職が、初期段階の支援を包括的、集中的に行う初期集中支援チームの設置を支援するなど、早期発見、早期診断への取り組みを一層推進していきます。
〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 県内市町村における食育の活動と成果についてでありますが、県では、平成23年に策定した岩手県食育推進計画において、地域に根差した食育の推進を掲げ、市町村との連絡会議の開催等を通じて、食育に関する情報の共有や先進的な事例の紹介を行うなど、市町村における計画的な食育の展開を支援してまいりました。
 県内の市町村においては、食育推進計画の策定とともに、毎年6月の食育月間や毎月19日の食育の日も活用しながら、地域住民への広報活動や講習会の実施、郷土食料理教室の開催、保育園や学校における給食への地場産品の活用の促進など、地域の特性に応じた食育活動が行われています。これらの取り組みにより、県が実施した食育に関する意識調査においても、食育に関心がある県民の割合が9割を超えるなど、食育に対する意識も徐々に高まっているところであります。食育の充実のためには普及、啓発を継続して行う必要があることから、昨年度に取りまとめた岩手県食育取組事例集も活用しながら、市町村の食育活動を積極的に支援してまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 農林水産にかかわる県立高校における生徒の進路状況についてでありますが、平成25年度の就職者379人のうち、第1次産業に従事した生徒は、議員御案内のとおり23人と少ない状況となっておりますが、食品製造など農林漁業に関連した他の業種を含めますと、173人がそれぞれの学科に関連した就職をしており、これは就職者の45.6%となっております。また、進学者195人のうち51.8%の101人が学科に関連した専攻科や大学などに進学しており、就職、進学ともおおむね半数が学科に関連した進路を選択しております。
 卒業と同時に農林漁業に従事することは、農林水産物の主産県である本県にあって望ましい姿と存じますけれども、一方、他の業種において専門高校での学びを生かしたり、進学してさらに専門性を高めた上で就職したりすることなどを通じて、地域を支える人材として活躍することも、また望ましい姿であるというように考えております。
 次に、職業教育の課題についてでありますが、第一次産業の分野におきましても、時代の変化や技術の高度化等に柔軟に対応していくために、生涯にわたって学び続けることが一層求められており、その基盤となる能力をさらに向上させていくことが課題というように捉えております。
 このような観点から、県教育委員会といたしましては、関係部局とも連携し、インターンシップなどの体験的な学習活動を通じて職業に関する興味、関心を高めるとともに、地域産業の意義や役割について理解を図り、学習に対する目的意識の明確化に一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、盛岡農業高校の実習環境の整備状況についてでありますが、農業高校などの専門高校におきましては、基礎的な資格取得や技能、技術の習得のための実践的な教育プログラムや施設整備の充実が大事であると認識いたしております。盛岡農業高校におきましては、現在、施設の老朽化等を踏まえ更新整備を進めているところであり、具体的には、昭和40年代に整備した、特別教室棟として使用している第三校舎や、乳用牛、肉用牛を飼育している牛舎・分娩育成舎の平成28年度の改築工事の完成に向け、実施設計に着手したところでございます。また、これらの老朽施設の改築と並行して、設備の不具合により支障が生じていた花卉育成等園芸実習用の温室につきましても、実施設計に着手したところでございます。今後におきましても、状況の変化に対応した計画的な施設整備の充実に努めてまいります。
 次に、学校給食についてでありますが、学校給食は、児童及び生徒の心身の健全な発達に資するとともに、食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすものでありますが、本県教育においては、この一環として、牛乳の食物アレルギーと診断されている児童生徒等を除き、県内全ての小中学校の給食において牛乳が提供されております。
 県教育委員会といたしましては、今後におきましても、成長期の子供たちに必要な栄養の適切な摂取とあわせ、本県の豊かな農林水産物の活用、さらには本県食文化の理解を深めるというような観点から、学校給食における牛乳の提供を推進してまいりたいと考えております。
 また、学校給食における食中毒対策についてでありますが、給食の実施に当たっては、実施者である市町村教育委員会に対し、学校給食衛生管理基準を遵守した衛生管理の徹底を図るとともに、毎年度開催する岩手県衛生管理推進等研修会など各種の研修の場をも活用しながら食中毒対策に取り組んでおり、本県の学校給食による食中毒発生事案は、平成19年度にノロウイルスによる食中毒が1件発生して以来、新たな事案は発生していないところでございます。
 県教育委員会といたしましては、引き続き、市町村教育委員会と連携の上、安全・安心な学校給食の提供に努めてまいります。
〇31番(工藤勝博君) それぞれ御答弁をありがとうございます。答弁を踏まえた中で、何点か再質問させていただきます。
 まず初めに、農林業関係に関してお伺いいたします。
 本県の2015年産米の主食用米の生産目標数量が発表されております。過去最少だった2014産米の27万5、540トンからさらに4、330トンの減少ということで、面積にいたしますと、前年比820ヘクタールの削減になります。
 そこで、来年度に向けての市町村の配分はこれからなされると思いますけれども、県はどのようなお考えで配分なされるのか、まず最初にお伺いします。
 次に、県が開発を進めておった新品種―きのうの一般質問でもありました―岩手107号、そしてフラッグシップ米と。私もこの中身はよくわからないんですけれども、その生産、販売戦略についてお伺いしたいと思います。
 本年の米価下落の中であっても、比較的有利に販売されております山形県のつや姫や北海道のゆめぴりかは、まさにそのブランド力を発揮しているところでもあります。遅ればせながら、岩手でもこのように良食味の開発ができたということは、本当にこれからの一筋の道が開けたのかなという思いもしておりますが、いずれ、各県とも、何といいますか、開発された良食味米でそれぞれ産地間競争をやっております。まさに、今、米の品種は戦国時代と言ってもいいだろうと思いますが、そこで、これらの開発した良食味米をどのように生産、販売なされるのか伺います。
 三つ目として、水田の利活用の大きな柱は飼料用米だと思います。また来年度も、何といいますか、転作で主食用米から外れる面積があるわけですけれども、それらを考えますと、この飼料用米の交付金が現制度ではかなり有利な状況でありますけれども、所得を最大化するためには、飼料用米とても多収穫を目指した生産技術、品種の開発が求められると思います。また、当然、畜産事業者との連携、そしてまた流通、保管などの課題もあると思います。米の消費量が縮小する構造的な中で、どうしてもこの生産構造を転換しなければ、今後とも水田活用がうまくいかないだろうと思います。このことからも、飼料用米の生産にかかわる課題を県ではどのように把握し、これからどのように対策を講じていくのかお伺いいたします。
 四つ目として、新規就農者の育成に向けた中で、県立農業大学校があります。農業高校のさらにまた専門的な分野で農業大学校があるわけですけれども、その農業大学校は即戦力としての新規就農者の育成ということだと思いますけれども、この取り組みの状況についてもお伺いしたいと思います。
 また、前政権の民主党政権で、国で行っておりました農業者大学校があったわけですけれども、それが、事業仕分けで廃止になったということがありました。その中でも、良識ある民間の方々が、何といいますか、協賛いたしまして、次代の農業を担う新たなそういう人材育成の場を設けております。日本農業経営者大学校ということで、昨年から開校されておりますが、私も先だっての農林水産委員会の調査でお話を伺いました。まさに少数精鋭ではありますが、地域のリーダーとしての、何といいますか、素質を備えさせるような教育環境ということで、本当に感激といいますか、すばらしいなという思いで見させてもらいました。
 そのような状況の中で、残念ながら、岩手県からは誰ひとり行っていないということがありまして、農業高校なり、あるいは農業大学校なりからも、ぜひともそういう先進的な育成の場に進めていってもらいたいなと思います。
 とりあえず、この4点をお伺いします。
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、主食用米の生産数量目標の配分についてでありますが、国では、平成27年産米の生産数量目標を、これまでと同様に需要実績や在庫状況をもとに算出し、本県には、平成26年産米と比べ1.6%減の27万1、210トンが示されたところであります。
 県から市町村への配分についてでありますが、関係機関、団体の意見も聞きながら、これまでと同様に、米の品質や実需者との結びつきなどを要素とした方式により算定し、今月中旬には市町村にお示ししたいと考えております。
 次に、県オリジナル新品種の生産、販売戦略についてでありますが、県が現在開発を進めておりますコシヒカリを超える良食味品種につきましては、全国最高水準の食味評価が得られる主食用米として、平成29年度の市場供給を目指し、来年度から現地栽培試験を行うこととしております。また、あきたこまちより食味、収量性等にすぐれた岩手107号につきましては、平成28年度から市場供給を予定しており、来年度は種子の増殖を行うこととしております。
 これら新品種の生産、販売戦略につきましては、現在、県と関係団体等で構成しますいわての美味しいお米生産・販売戦略推進会議におきまして検討を進めているところでありまして、今年度内に策定します戦略に即して、農業者や関係団体と連携して取り組んでいくこととしてございます。
 次に、飼料用米の生産、保管等の課題についてでありますが、飼料用米の推進に当たりましては、数量払いに対応した単収の向上や、数量の増加に対応した保管施設の確保などの課題があると認識してございます。このため、単収向上に向けては、県オリジナル多収性品種の種子増産や新品種の開発に努めておりますほか、多収実証圃を活用した多収栽培技術の普及に取り組んでおります。
 また、保管施設の確保に向けましては、各農協が所有します乾燥、調製、保管施設の利用調整や、国の事業を活用した新たな施設整備など、市町村や農業団体と連携しながら、飼料用米の生産拡大に取り組んでまいります。
 次に、新規就農者の育成に向けた県立農業大学校の取り組みについてでありますが、農業大学校では、農業経営の実践に必要な高度専門的知識と実践的技術を習得するカリキュラムとしておりますほか、就農予定の学生に対しては、農業改良普及センター等と連携した就農計画の作成を通じて、着実に経営発展できるような経営ビジョンやその実現に向けたプロセスの明確化を指導しておりまして、卒業生は青年農業士など各地域の若いリーダーとして活躍しております。
 お話のございました日本農業経営大学校でございますが、一般社団法人アグリフューチャージャパンが運営します、昨年4月に開学した農業経営者を志す者を対象とした教育機関でありまして、農業大学校では、同法人が主催します農業経営力養成講座に数名の学生を派遣しておりまして、経営者として必要な知識の習得を図っております。また、学生等の進路選択の一つとして情報提供しておりまして、これらについても、その必要な情報提供を積極的にしてまいりたいと考えております。
〇31番(工藤勝博君) もう2点お伺いいたします。
 教育長にお伺いいたします。
 先ほど、盛岡農業高校も含めて、農林水産関係の卒業生の中で食品製造関連会社に就職した方が大分おったという話がありました。そこで、高校の中で、6次産業にかかわるような、実習あるいはカリキュラムが考えられておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
 もう一つ、DIOジャパンに関してお伺いいたします。部長の報告にもありました、DIOジャパンは東北の拠点を設けるということで進出したいと。それに関して、知事あるいは副知事がセールスをしたわけですけれども、受け入れた市町によっては、緊急雇用対策の事業ということで、ほとんどが税金、補助事業でございます。そしてまた、1年を一応基準といいますか、やっておったわけですけれども、知事、副知事が行ってセールスしたということで、市町にとっては、これはやっぱり大した優秀な企業だろうという思いがあっただろうと思います。ただ、DIOジャパンの社長は、あくまでも緊急雇用創出事業であって、将来的にそういう事業展開をするというのは、あの状況の中で私は感じなかったわけですけれども、それらをどのように捉えておったのか、これは部長からお聞きします。
 そしてまた、事業所が閉鎖されましたが、従事した皆さんは、やっぱり最初は大変期待しただろうと思うんです。少なくても1年間は雇用されると。その中で、それぞれのスキルアップを図れるという目的もあって仕事に取り組んだと思いますけれども、それら離職された方のその後の状況、そしてまた、閉鎖した子会社が別な企業に譲渡した場合、さらに企業立地促進奨励事業費補助制度を改正してまでもやらなければならない実態、また、この制度を、実際後継した企業が、8年でしたか、実際、果たしてそれを継続して事業ができるような事業者が見込まれるのかどうか、その2点をお願いいたします。
〇教育長(高橋嘉行君) 県立高校における6次産業化についてでございます。
 生産者が、農林水産物の生産にとどまらず、加工や流通、販売分野に進出し、農林水産物の高付加価値化と総体的な所得の向上を図ることは極めて大事な視点であり、県教育委員会といたしましても、県内の専門高校の生徒が6次産業化への理解を深め、その知識と実践的なスキルを身につけることは重要と考えております。
 こうした考えのもとに、県内の専門高校におきましては、例えば現行の教科活動といたしまして、内閣府の国家認定制度である食の6次産業化プロデューサーの資格を取得したり、地元で生産される食材のほか、ホップのつるでございますとか、サケの中骨などの農水産物の未利用資源を食品メーカーや生産者組合などと連携の上活用し、新商品を開発、販売するなどの実践的な取り組みも行われております。
 こうした取り組みをさらに力強いものとするため、県教育委員会におきましては、専門高校の教職員を対象に行っている農工商専門研修講座におきまして、本年度から新たに6次産業化の講座を取り入れ、教職員の知識の向上を図るとともに、学校の授業や実習の場で、生徒への新しい価値観の提供や意識啓発に取り組んでいるところでございます。
 今後におきましても、学校現場における6次産業化のさまざまな取り組みが生徒の将来の進路選択に資するように、創意工夫を凝らしながら引き続き取り組んでまいります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) DIOジャパンの本県への進出に当たりまして知事等のトップセールスも行う中で、さまざまな県内各市町に立地が決定したという経緯については、これまでも御説明申し上げてきたとおりでございますが、申し上げるまでもなく、DIOジャパンに対する知事のトップセールスということにつきましては、通常の企業誘致と同様に対応してきたものということでありまして、市町が事業を企画、公募する中で、誘致を希望し、操業を開始したというような形になっているものでございます。
 また、緊急雇用創出事業を活用するということで、期間は1年ということになっておりますけれども、その後の継続した雇用を期待していただけに、大変短期間のうちに閉鎖、撤退に至ったということは遺憾なことであると考えているところでございます。
 県といたしましては、立地市町と連絡会議等も開催する中で、しっかりと協力、連携し、支援をしていく考えでございます。
 それから、立地したにもかかわらず撤退した後に進出した企業については、新たに補助要綱等を改正する中で誘致も図ったわけでございます。立地後、また操業を8年間というような形の制約、撤退した場合には補助金の返還を求めるというような形の中で立地が決まったものでございますので、また、業界におけるこれまでの操業状況、信用度においても、引き続き継続してしっかりと今後も雇用をさらに今まで以上に拡大して操業していただけることを期待できる企業と考えておりまして、今後につきまして、そういう形での企業の誘致、それから、離職を余儀なくされた方々についての就職支援については、さらに万全を期してまいりたいと考えております。
〇31番(工藤勝博君) 最後に1点お伺いいたします。
 緊急雇用創出事業はまだまだ今後も続くだろうと思います。特に震災のあった岩手、宮城、福島も含めて、東京にいる事業者が、震災とかいろんな、何といいますか、弱みにつけ込んだそういう事業を持ってくる。みずから手を挙げてきたから、それはいいなという、そんな話じゃないだろうと思うのです。これからも、やっぱりそういう点ではかなり気をつけないと、十分調査しながら、そしてまた、今回、一番問題になったのは入り口だろうと思います。各市町とのそういう連携も含めて、今後の信頼をどう築いていくのかだろうと思いますけれども、その1点を最後にお聞きして、終わります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、県外からの企業の立地に際しましての信用調査、業界における位置づけ、さらには、そういう業界動向に詳しい方々等の情報等も逐一入手しながら、新たな事業者については、今後とも適切にしっかりと調査する中で誘致活動を行ってまいりたいと考えております。
 また、今回、入り口の部分ということでの県としてのかかわりが全くなかったというわけではありませんので、県に照会があり、県からまた物件照会もしたという経緯もありますので、今後ともそういう形の中で、市町村とは、先ほども御答弁申し上げましたとおり、しっかりと連携、連絡会議等も今後とも開催する中で対応させていただきたいと考えております。
〇議長(千葉伝君) 次に、伊藤勢至君。
〔40番伊藤勢至君登壇〕(拍手)

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