平成26年12月定例会 第17回岩手県議会定例会会議録

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〇45番(佐々木博君) いわて県民クラブの佐々木博です。
 通告に従い順次質問いたしますので、前向きで、そして具体的な答弁をお願いいたします。また、前壇者と一部重複する点もありますが、そのまま質問いたしますので、あらかじめ御了承賜りますようお願いします。
 最初に、消費税増税の先送りと、本県及び県内各市町村に与える影響について伺います。
 安倍首相は、消費税の引き上げを先送りすることを表明し、11月21日、衆議院を解散しました。この消費税の10%への引き上げは社会保障と一体をなすものであり、昨年12月には、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律、いわゆる社会保障制度改革プログラム法が成立し、既に社会保障の再構築に向け動き出しております。
 さて、今回の見送りにより、消費税1%が約2兆8、000億円とすると、地方消費税分0.5%と交付税分0.12%を足した0.62%、金額にして約1兆7、000億円が他の財源で補填されない限り地方全体の社会保障の財源として不足することとなります。そして、このことが、地方が直接関与しない年金を除いても、子育て、医療や介護などにどのような影響を与えるのか強く懸念されるところであります。
 第1に伺いますが、この消費税率引き上げが先送りされ、他の財源で補填されないとすると、本県及び県内市町村の減収はどの程度となるでしょうか。
 次に、子ども・子育て支援新制度について伺います。
 子ども・子育て支援新制度は予定どおり平成27年度から実施するとされ、本県においても、国から示されている公定価格をもとに園児募集等が既に行われるなど、動き出しております。新制度では、認定こども園の定員増、小規模保育の推進、放課後児童クラブに6年生まで行けるようにすること、児童養護施設の受け入れ児童数の拡大などの量と、施設職員の増加や給与引き上げなどの質の両面を改善することが柱となっております。
 実は、当初、この制度には約1兆円を超える財源が必要と見込まれていたのですが、3、000億円を超える財源が確保できず、消費増税分から確保できる7、000億円でできるメニューに絞り込んだ支援制度としてスタートすることとなりました。それが増税先送りによりさらに財源が確保できないこととなると、来年度、この制度が混乱なく船出できるのか危惧されるのですが、その見通しについて伺います。
 次に、医療と介護について伺います。
 医療と介護においては、病床の機能分化、連携、在宅医療の推進、地域包括ケアシステムの構築、医療保険制度の財政基盤の安定化、保険料に係る国民の負担に関する公平の確保、難病、小児慢性特定疾病に係る公平かつ安定的な制度の確立など、消費税率が10%となった場合には、医療、介護の充実に1兆5、000億円程度を充当されることとしておりましたが、今度の見送りで、平成27年度は社会保障全体で約4、500億円が縮小すると見込まれております。したがって、市町村国保では低所得者の保険料軽減の拡大に500億円程度、国保への財政支援に1、700億円程度、介護保険では低所得者の負担軽減に1、300億円程度充当するとされていましたが、現実にどの程度確保できるのか不明なほか、地域医療介護総合確保基金や介護職員の処遇改善を前提とした介護報酬改定、高額療養費制度の見直し、難病、小児慢性特定疾患の医療費助成対象の拡大など、予定どおり実行できるのか不安視されるところであります。ほかにも懸念される事項が多々あると思われますが、それらを含めて、現時点でどのような課題が想定されるか指摘していただきたいと思います。
 次に、消費税増税の先送りにつき、知事に伺います。
 共同通信社のアンケートに対し、知事は再増税に反対の立場を明確にしたと報じられています。4月の増税後、消費が低迷しており、世論も増税反対が多数だろうと私も推察しています。しかしながら、現在、我が国の財政状況は、国と地方を合わせた長期債務残高がついに1、000兆円を超え、また、平成26年度を見ても、一般会計の歳入総額95兆8、000億円のうち税収は約50兆円で、残りの4割強は借金に頼らざるを得ない状況、しかも毎年、社会保障費が1兆円ふえるなど、まさに危機的状況にあり、財政再建は待ったなしです。
 知事は以前から消費税の税率引き上げには反対を主張されていたと思いますが、当然、対案をお持ちのことと思います。知事は、社会保障の財源の確保と財政再建にどう対処すべきとお考えか、対案をお聞かせください。
 次に、県財政と今後の見通しについて伺います。
 県では、本年9月に平成28年度までの3カ年の中期財政見通しを公表しました。歳出面では、社会保障関係経費や国体等準備経費、退職手当等の増、歳入面では、公債費負担適正化計画に基づく県債発行額の抑制等により、平成27年度以降、200億円を超える収支ギャップが生じる見込みが示され、仮に収支ギャップの全額を財源対策基金の取り崩しで賄うとすると、基金は平成28年度末には25億円しか残らなくなるというものです。
〔副議長退席、議長着席〕
 また、震災分を除いた通常分の年度ごとの収支ギャップの見通しを見ても、平成26年度が129億円、平成27年度が211億円、平成28年度が248億円とマイナスが増加する見通しで、財源対策基金が枯渇する平成29年度以降がどうなるのか非常に危惧されます。しかも、この中期財政見通しでは、震災分については平成28年度以降も現在の財政支援制度が継続されることを前提としていますが、現時点ではその保証もなく、加えて財務省は、平成27年度予算において、リーマンショック後に景気対策として設けられた地方交付税の別枠加算や地方財政計画における歳出特別枠の廃止を目指していると報じられており、もしこれらが実現すると、地方交付税など地方の歳入が平成26年度より1兆8、000億円減額されることとなります。地方創生が語られ、さきの国会で地方創生関連二法が成立しましたが、国の財政を考えると、地方が期待する自由度の高い交付金は期待できず、国に今以上の財政支援を求めることは不可能と思いますが、いかがでしょうか。知事の御所見を伺います。
 国が無理なら、内部努力で克服するしか道はありません。しかしながら、歳入をふやすために、県税徴収の強化や県税以外の収入未済金の回収強化、未利用資産の売却など、あらゆる手段を講じても多くは期待できません。したがって、歳出の徹底した見直しで対応するしかありませんが、収支ギャップを埋めるだけの削減が可能なのでしょうか。
 本県では、厳しい財政状況に対応するため、平成15年度から平成18年度まで岩手県行財政構造改革プログラム、平成19年度から平成22年度までは集中改革プログラム、平成21年度から平成22年度まではいわて県民計画第1期アクションプラン改革編、平成23年度から平成26年度までは同第2期アクションプラン改革編と途切れることなく行財政構造改革を行い、総人件費の抑制や投資的経費の見直し、補助金、負担金の見直しなど、徹底した歳出の見直しに努めてきました。もう既にタオルが絞りに絞られ乾き切った状態で、これ以上絞ってもさほど効果がないのではと思うのですが、どの程度削減可能と見込んでいるのか伺います。
 復興はもちろん最優先で進めなければなりません。また、高齢化社会を背景に、毎年、社会保障費は増大します。国際リニアコライダーの誘致が決まれば、基盤整備に多額の投資が必要になると見込まれます。本当に現在の財政でこれらのことが可能なのか、多くの県民は期待と不安の入りまじった目で見ていますから、少なくとも平成29年度以降平成32年度ぐらいまでの中期財政見通しを速やかに作成、公表し、県民の不安に応えるべきと考えますが、知事の御所見を伺います。
 また、県民のさまざまな要望や期待に十分応えることができないのですから、地方公会計に基づく県の財務諸表などに理解しやすい説明を加えて公表するなど、効果的でわかりやすい情報提供を通じて財政に関する県民の理解を深める取り組みを進めることも必要と思われますが、あわせて御所見を伺います。
 以上で登壇しての質問を終わります。
〔45番佐々木博君質問席に移動〕
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木博議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、社会保障の財源確保と財政再建についてでありますが、これまで、消費税の再増税については、本格復興を進める本県にとりまして、被災地の経済再生や復興の推進に影響を及ぼすことを懸念する趣旨から、国に対して慎重に判断するよう求めてきたものであります。
 社会保障の充実については、消費税率引き上げの先送りに伴い、平成27年度以降の事業実施について、現在、財源を含め国において検討されているところでありまして、これら社会保障の充実分を含めて、地方の財政運営に必要な一般財源総額が確保されるよう、今後の国の地方財政計画の議論を注視しつつ、適切な措置を国に求めてまいります。
 次に、国の財政支援についてでありますが、中期財政見通しでお示ししたとおり本県財政は厳しい状況にあり、今後、国が策定する地方財政計画において、雇用対策や地域経済の活性化等のため、地方税や地方交付税等の必要な一般財源総額が確保されることが重要であります。このことについて、先月開催されました全国知事会議において、安倍総理大臣も、来年度の地方財政計画において、必要な経費を適切に歳出に計上し、地方の一般財源総額をしっかりと確保していくとの考えを表明しており、適切な措置が図られるものと考えております。
 また、地方創生に係る使途の自由度の高い交付金についても、先般、本県から国に要望し、石破地方創生担当大臣も早期導入を目指す考えを示しているところでありますが、依然として国の支援の詳細は明らかになっておりませんので、引き続き、国に対して本県の実情を丁寧に説明しながら必要な支援を求めてまいりたいと思います。
 次に、平成29年度以降の財政見通しについてでありますが、今回策定しました中期財政見通しでは、平成26年度から平成28年度までの3年間の見通しを示したところであります。これは、集中復興期間後の復興財源が未定でありますこと、また、社会保障改革や法人税改革が途中段階にありますことなどから、長期的な財政収支の試算が難しかったものであります。平成29年度以降の財政見通しについては、集中復興期間後の復興財源の動向等も踏まえながら検討してまいりたいと思います。
 次に、県財政に関する県民理解の醸成についてでありますが、県民の皆さんに対しわかりやすい説明を行って理解を深めていただくことは重要であります。現在でも、例えば財務諸表の公表に当たっては、用語の解説を行うとともに、各種指標を他団体と比較するなどの工夫を行っているところであります。また、国においても、これまで団体ごとに異なっていた財務書類の作成基準を統一し、団体間の比較可能性を高めるなど、財務情報のわかりやすい開示に向けた取り組みを進めているところであり、本県においてもこの趣旨を踏まえ、しっかり対応してまいります。このほか、予算や決算の公表に当たっても、県民の目線に立ち、よりわかりやすい情報提供に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、消費税率引き上げが先送りされることによる影響についてでありますが、消費税率が8%から10%に引き上げられる場合、地方消費税相当分は1.7%から2.2%に引き上げられ、その影響額は地方全体で約1.4兆円、本県分は約125億円と見込まれ、その半分が市町村に交付金として支出されます。
 また、交付税相当部分は1.40%から1.52%に引き上げられ、交付税原資が増額することとなります。なお、その本県分の影響額につきましては、地方財政対策や交付税算定等の動向によるため、試算は困難でありますが、地方全体では交付税原資が約0.3兆円増額する見込みであります。今回の消費税率の引き上げの先送りにより、これらの額の収入時期が先送りされることとなるものであります。
 次に、収支ギャップの解消についてでありますが、議員御指摘のとおり、本県ではこれまでも収支ギャップの解消に向け徹底した行革の取り組みを行ってきたところでありますが、本県の財政状況を踏まえると、引き続き歳入と歳出の両面からの取り組みが必要であると認識しているところであります。
 歳出削減につきましては、現時点で明確な数字をお示しすることは難しいわけでありますが、来年度の予算編成に当たり、大震災からの復興等に影響を与えることにならないように配慮しつつ、各事業の効果や効率性等を精査し、さらなる歳出の徹底した見直しを行うなど、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めることとしております。
 収支ギャップの解消に向けましては、自助努力のほか、国の財政支援が不可欠であり、今後とも地方の実情を丁寧に説明し、適切な財政措置が図られるよう取り組んでまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、子ども・子育て支援新制度についてでありますが、消費税率引き上げの先送りの影響について、11月25日に東京都で開催された自治体の少子化対策に関するシンポジウムにおいて、国は、子ども・子育て支援新制度を予定どおり来年4月から実施する方針であり、消費税増税見送りにより不足が見込まれる財源については予算編成過程で議論するとの説明をしたところでございます。県としては、本県の重要課題である人口減少対策を進める上で、少子化対策が極めて重要であることから、教育、保育の量の拡充や質の向上を図ることとされている子ども・子育て支援新制度を着実に推進するためには必要な財源が確保されることを期待しており、国の動向を注視していきます。
 仮に予算編成過程で十分な予算が確保されないとすれば、その財源をもとに実施することとされている施策の一部、例えば、職員配置の改善、職員の処遇改善などの質の改善、平成29年度を目標としている待機児童の解消、3歳未満児の保育の受け皿として期待されている小規模保育事業等の整備、在宅での子育てを支援する地域子育て支援拠点の計画的な整備などに影響が生じることが懸念されます。
 次に、医療と介護についてでありますが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向けて、地域包括ケアシステムの構築など、持続可能な社会保障制度の確立を図るための取り組みは重要と考えており、今後、消費税率の引き上げが見送られた場合でも、こうした施策を推進していくためには国の予算が確保されることが必要であることから、平成27年度政府予算の編成状況を今後も注視していきます。
 仮に国の予算編成過程で十分な予算が確保されないとすれば、その財源をもとに実施することとされている施策の一部、例えば、国民健康保険等の低所得者保険料軽減措置、財政支援の拡充、介護保険制度における低所得者軽減対策、医療、介護従事者の勤務環境改善、低所得者に配慮した高額療養費の見直し、難病、小児慢性特定疾患に係る医療費助成の拡充のほか、平成27年度から地域医療介護総合確保基金の対象となる介護サービスの施設設備の整備などに影響が生じることが懸念されます。
〇45番(佐々木博君) 中期財政見通しについてですけれども、要するに平成28年度までで財源が枯渇するわけですよね。そうなれば、それはもう心配になりますから、その先がみんなは見たいわけです。ドラマでいえば一番いいところの手前で切られているような話で、やっぱりその先がみんなは見たい。
 例えば集中復興期間が終わるからとか前提がいろいろあるでしょうけれども、今の平成28年度までの前提だって、例えば国の制度が継続することを前提につくっているわけでしょう。確たるものでつくるということは、それは見通しですからできませんけれども、しかしながら、できるだけさまざまなシミュレーションをして、やはり示すべきではないでしょうか。財源が枯渇するということ、もう25億円しかなくなるというそういったものを出している以上、それから先のものがどうなるか、みんなはやはり心配になりますし、何とか知りたいと思うのは当然だと思うんです。これはできるだけ速やかにぜひとも出していただきたいと思いますけれども、まずそのことについてお伺いしたいと思います。
 それから、国の財源の問題ですけれども、現実に今、国はどうかといいますと、こういう言い方をしているわけです。ここ10年、地方の長期債務残高というのは大体200兆円で、一定額です。国の長期債務残高というのはどんどんふえて、今、811兆円ぐらいになっているのかな、すごく伸びてきているわけですね。ですから、国、特に財務省の主張は、地方のほうが豊かだと、借金もふえていないと。国はどんどん借金がふえていると。だから、もう地方に渡す財源はないから、例えば交付税の特別枠、これなんか去年も随分やり合ったのですね。去年はたしか4、000億円の削減で、6、000億円は残ったと思いますけれども、来年度は全部なくせと。それから歳出特別枠も認めるわけにはいかない。かなり私は強硬だというふうに実は聞いていまして、実際、例えば平成26年度の国の一般会計を見たって、社会保障関係費だけで30兆円ぐらいかかっているでしょう。税収が50兆円しかないのに社会保障関係費だけで30兆円もかかっているわけですから、それは国だって私はない袖は振れないのではないかと。だから、国に期待する期待すると言っていますけれども、国に期待はできないのではないか、そのように思うのですが、まず、このことについて御所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 平成29年度以降の財政見通しを県民に示したほうがいいというのはそのとおりで、県民の皆さんの不安も、平成29年度以降の見通しがかちっとした数字で出てこないというところだという御指摘をいただいているわけであります。やはり何といっても、岩手が6、000億円とか7、000億円とか、そういう水準の予算が今、1兆円以上の予算規模になっているのはひとえに東日本大震災津波からの復興なわけでありまして、その部分について、集中復興期間5年間を超えたところの財源を国がそれはしっかりやるということを明らかにしてもらえば、それはもうその時点で不安は解消されるのではないかと私は思っておりまして、それで、先ごろもその旨、政府要望を行っているところであります。国が国民を不安にしている中で、県だけが県民を安心させることはやはり難しいわけでありまして、国と県が力を合わせて復興を進める中で、この予算の問題についてもしっかり国民イコール県民に伝えていくということが肝要かと思っております。
 また、国に頼れないのではないかということにつきましては、一方では、今、地方の経済は総体的に非常に弱くなっております。人口減少ではっきり出ているわけでありまして、おととし、去年の2年間、日本中、地方からの人口流出が悪化しています。岩手は、復興効果等もあって、おととし、去年は人口流出が減り続けていたのですけれども、ことしになってついに人口流出がふえてしまった。これは、ことしの夏に岩手の有効求人倍率が国の平均を震災後初めて下回ってしまったということがあり、これで日本全体の地方の人口流出傾向と同じパターンになったんですが、地方も頑張らなければならないんですけれども、国としてもやはりそういう地方をきちっと下支えしていかなければならない。そういう中で、今回、決められたとおりに消費税増税をしなかったというのは正解だったと思っております。
 一方、それでも何兆円分、国がやらなければならないことをやらなければならないというのはそのとおりであって、それはやはり国としてやらなければならないことだと思います。財源についてはさまざまなやりようがあるわけでありまして、これは、今、この場の思いつきで大変恐縮でありますけれども、復興財源を増税で賄った部分がございます。私は、あのとき、あれだけの大震災からの復旧、復興の財源を手当てするのだから、それは国債の発行でいいはずだと言いました。個人だって、大災害からの復旧に当たっては、お金を借りて復旧をするわけです。持ち家再建もそうですし、個人、企業もそうでありますし、国全体としてあれだけの被害を受けたのだから、国債の発行でよかったはずなのです。それを増税で、何兆円分かになるのではなかったでしょうか。まさに今回の消費税増税先送り分をそのままファイナンスすることができましょうし、それ以外にも、ここ数年間、地方は総体的に経済が悪化しているのですけれども、よくなっているところがあるわけでありまして、さまざまな負担の仕方というのは国全体で工夫できると思います。
〇45番(佐々木博君) 知事、今、震災分のお話をされたけれども、この中期財政見通し、よく見てください。私、さっきも論じましたけれども、震災分を除いた通常分の収支ギャップが129億円、211億円、248億円とふえていくのですよ。これは震災を除いた分ですよ。これはあなたたちがつくったものですよ。ですから、震災分が云々の話ではないです。通常分がこうなのだから、通常分の見通しをつくって出してくださいと言っているのですよ、まず一つは。違いますよ、今のお話は。
 それから、復興予算を国債でやれということについては基本的に私も賛成です。それはなぜかというと、インフラの整備というのは次世代の方々も使いますから、だからそれは応分に負担していただくということで、そういったものについては国債の発行でやってもらっても構わないと思う。だけど、めちゃくちゃもう発行しているわけですよ、全体として。その分はいいかもしれないけれども、だけど、やはりもっと発行を抑えないと、次の世代どころか何代後までかかっても返せないような金額になっていますよ、今の日本の借金というのは。御案内のとおり、今、日本銀行は見たことがないような金融緩和をやっていますよ。ですから、日本の国債は、今、すごく金利も低いですし、大体、マイナス金利なんていうものまであるんですよ、国債の流通量が少ないから。だけど、これはいずれ出口を迎えなければいけません。ムーディーズも、何か、日本の国債の格下げをしたようですけれども、そういったときに一気に金利が上がる可能性があります。私は、そういった点では、今の日本の財政というのは非常に難しいところに来ていると思いますし、今は本当にグローバルの時代ですから、地方の岩手県のこととか、あるいは日本のこととか、そういった範囲だけで見ていたってだめなんです。岩手県の財政を見るにしたって、やっぱりグローバルで、全体を見ながら県財政というものも位置づけていかなければだめな、そういった時代になっていると思いますよ。
 それで、どうしたって税収がこれしかないわけですから、まず、4割ぐらい借金でやっているなんてことは、家計だって絶対異常なわけですから、いわば親が貧乏して借金しているのに、もっと仕送りを寄こせと息子が言っているような話で、こんなものは続くわけがない。やはり抜本的な改革というものが必要だと思うし、行政の長として、今、さまざまな問題に直面しているわけですから、県の皆さんと協議してでもいいですけれども、もし、消費税が反対ならば、新たにどういったものを対案にするか、そういったものをきちんと地方は地方として打ち出していかなければいけないのではないかなと私は思います。
 いずれ、今の通常分だけでこういうギャップが出るのだと。震災分を除いてのことだということについては御答弁をいただきたい。
 あわせて、私は決算特別委員会でも言いましたけれども、要する臨時財政対策債の償還財源を県は302億円ぐらい別途に使っているわけです。これは地方交付税で来るわけですから、私は、あえて流用しているとは言いませんが、マスコミによっては流用しているという言い方をしているところもあります。いずれ、これだって将来世代の負担になっているわけですから、財源が枯渇する、目に見えない借金もこういうものもあるわけですから、これらも含めてどう考えているのか、もう一度御所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 岩手の震災以降の予算は、震災分といわゆる通常分とでやっているわけでありますけれども、予算書を見ていただきますと、個別の予算については、震災とか、そうでないとか、色がついているわけではございませんで、一体的に運用されております。また、震災関係の経費で対応できる部分については、そうでなければ、通常分の予算を平時確保しているようなところを、今はそうしなくてもいいような形になっていますので、そこで、もう数百億円単位の数字というのは大きく動いてくるものですから、平成29年度以降の見通しを確定することがなかなか難しい状況でございます。
〇45番(佐々木博君) そんなことを言ったって、通常分と震災分と分けてつくっているじゃないですか。何で平成29年度以降はそうならないんですか、答弁を。
〇総務部長(小田島智弥君) 中期財政見通しは、通常分と震災分に区分をした形で最終的に仕上げているものでありますけれども、いずれの部分につきましても、歳入と歳出につきましては三角が立っているものでございます。
 復興関係につきましては、平成28年度以降も同様の手当てがされるということを前提としておりますが、それ自体が今どうなるかわからないという状況にあるということ。それから、通常分につきましては、社会保障制度や法人税改革、さまざまな改革についての動向が見えないというような状況の中で、県としては、まさに議員御指摘のとおり、乾いた雑巾を絞るお話が引き合いにありましたけれども、いろんな努力をやってきております。しかしながら、国の地方財政に与える影響というのが非常に大きいと。そのために一般財源の確保を図るための交付税等もきちんと手当てをしてもらう必要がある。そうでなければ、この財源の差というのは地方の努力だけでは埋めれないというのが実情でありますので、そこのところを、まさに知事が国のほうに何度も要望しているわけでありまして、それについて、総理大臣のほうから、一般財源は確保するというお話を全国知事会でいただいたところでございます。
 いずれ、今、そういう状況にありますので、平成28年度のところまでは組みましたが、平成29年度以降については、そういう見通しも勘案しながら、策定について検討していきたいということでございます。
〇45番(佐々木博君) いずれ、見通しですから、いろんな前提で変わって当然ですけれども、やっぱりこういう前提でこういうふうに見積もったという見通しは出すべきだと私は思いますよ。そのことだけ申し上げておきたいと思います。
 それから、一つは、今の制度で、地方というのは、国と違って赤字公債の発行が認められていないから、臨時財政対策債が赤字公債と言えば言えるかもしれませんが、基本的にその制度がないから、したがって、どうしても国に頼らざるを得ない。ここの分は確かにあるのですけれども、これは、財政制度自体として、地方がまとまって、この改革はやっぱり訴えていかなければいけない、そういうものではないかと思います。
 まだまだ聞きたいんですが、時間がなくなりますので、次に行きます。
 緊急雇用創出事業に対する県の関与のあり方について伺いたいと思います。
 山田町の災害復興支援事業等の第三者委員会での再検証を求める決議は、議会では2月、さらに6月でも再決議しているわけですけれども、いまだ行われていないというのは議会軽視も甚だしいと言わざるを得ないと思います。
 それで、顧問弁護士の意見や、現在、会計検査院の検査中であるということを理由にしていますけれども、私は不思議でしようがないのですけれども、なぜ、刑事や民事で訴訟中であることが第三者委員会の立ち上げに影響があるのでしょうか、具体的にどういう影響があるということを示していただきたい。あわせて、会計検査への悪影響についても具体的に示していただきたい。
 加えまして、外部の有識者による所見など別に我々は求めていませんから、中途半端なことはしないで、そういうことはもう必要ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 第三者委員会での再検証を求める決議についてでありますけれども、議会の決議については、議会の御意思として真摯に受けとめているところでございます。
 議会の決議が求めます県民への説明責任を果たすためには、事実関係の全容につきまして、より客観的な形で究明することが必要と考えておりますが、現在、刑事、民事の裁判により徹底した事実関係の解明が行われているところでございます。また、県では会計検査院による実地検査を受検しておりまして、会計検査院からのさまざまな照会に対応してきているところであり、今後も、会計検査院の求めに応じて必要な協力や対応を行っていく立場にあると認識しております。
 このような状況下におきまして、新たな検証委員会を設置して、一定の結論を導き出すような検証を進めることは差し控えるべきであると考えております。
 一方で、議会の決議に具体に対応しなければならないと考えておりまして、現時点で対応できる方法として、外部の方に検証結果の内容について個々に所見をいただく方向で調整を進めているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 私は、どういうふうに悪影響があるか、具体的に示せと言ったのですよ。ちゃんと質問に答弁してくださいよ。全然答弁になってないよ。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) ただいま御答弁申し上げましたけれども、県では、実地検査を受検いたしましたけれども、会計検査院では検査を継続しておりまして、検査結果を公表するまでは、検査内容等を一切お示しすることはできない取り扱いとなっているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 全然、質問に対する答弁になっていない。例えば訴訟をやっていれば、どうして立ち上げできないんですか。民事訴訟というのは、お互い自分たちの主張をして、裁判官がそれを認定してやるだけだし、刑事訴訟というのは、刑事事件になるか、構成要件に該当するかどうかだけの裁判でしょう。第三者委員会を立ち上げて検証して、どこがどういうふうに影響があるのですか、具体的に答えてください。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 決議が求める県民への説明責任を果たすためには、本事業に係る県や県職員だけの関与のみならず、事業実施主体の市町村、事業受託者であるNPO法人といった一連の事業関係者の関与も含め、事実関係全体を究明する必要があると考えております。現在、刑事、民事裁判によりまして、市町村やNPO関係者の関与も含め、徹底した事実関係の解明が行われておりまして、このような状況下において、新たな検証委員会を設置して一定の結論を導き出すような検証を進めることは差し控えるべきであると考えているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 我々が求めているのは、県の事務が適正だったかどうか求めるので、NPO法人がどうだったとか、そんなことを求めているわけではないのですよ。全然話にならないから、先に行きます。
 まず、この緊急雇用創出事業ですけれども、この事業について、県はどういった責務があると考えているのですか。決算特別委員会の議論なんかをずっと聞いていると、第三者的な答弁ばかりですけれども、どうなのでしょうか、県の責務についてどう認識しているか伺いたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 緊急雇用創出事業における県の役割についてでございますけれども、市町村は、事業主体として事業を企画し、事業受託者に対しましては的確に事業を実施するよう指導、監督し、事業進捗を管理し、事業完了を確認する役割があるということです。
 また、県は、補助事業者として、この補助金の目的を達成するため、間接補助事業者である市町村を指導する役割があると考えております。
 また、複数の市町村で同様な事業を行う場合、共通的な取り扱いが行われるように調整することや、市町村がこの補助事業の制度に関し疑問が生じた場合、国へ照会することも、市町村を指導する県の役割であると考えているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 今回の決算特別委員会でもいろいろ出ていますけれども、私は、疑問点は二つなのです。
 一つは、やはり委託業者の選定です。競争性のある選定をしろということになっていますけれども、例えば奥州市なんかは、予算の範囲内で順次業者を決定するということだったようですけれども、いずれ、公募期間中なのに決定しているのですね。通常ですと、そういった場合、1次募集とか2次募集とか期限を限って、そして、何回かに分けて募集するというのなら競争性は担保されると思いますけれども、そうではない。
 それから、これも出ましたけれども、釜石市なんか、公募期間は3日です。3日というのは、やはり形ばかりの公募だと言われてもしようがないと思うのですけれども、これは適法な公募だったと思いますか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 業者選定についてでございますけれども、公募方法につきましては、市町村が財務規則等に定めるところにより決定するものでありまして、既存企業や進出企業の見込みなどの地域の諸事情を踏まえて、市町村は公募期間を決定するものと理解しております。
 奥州市の公募につきましては、コールセンターに限らず広く人材育成事業に資する事業を公募したものでありまして、応募事業者が希望する事業開始時期や事業規模、同市の予算額を勘案し、同市として実施することが適当と認めた事業について、予算の範囲内で業者選定を進めたものでありまして、公募開始から内定日まで一定程度の日数がとられておりまして、競争性は確保されていると奥州市から聞いているところです。
 また、釜石市の公募につきましては、12月から緊急雇用創出事業を開始するためには、11月上旬に受託者を決定し、求人などの準備を行う必要があることや、既存企業や進出企業の見込みなどの地域の諸事情を踏まえて公募期間等を定めたものと釜石市から聞いております。
〇45番(佐々木博君) 基本的には、多分これは民法が該当するんですね、私のほうで言えば。例えば申し込みの期間が短いものについては、相当な期間がたったならば有効になるとか、民法上はそういった解釈はあるわけですけれども、いずれ、合法だとはとても言えないと思いますよ。私は、かなり怪しげだなと思っています。
 いずれ、先に進みます。高額リースと無償譲渡について伺いたいと思います。
 県では、厚生労働省が平成24年度分についてはリース料を認めたと盛んに言っていますけれども、厚生労働省の見解は次第にトーンダウンしてきているのではないですか。11月13日のあのメール、配付されましたけれども、個々の事案ごとの判断と聞いているので、必ずしも全てが返還対象になるということではないと理解していると書いているのですね。原則返還とも読める内容ですよ。補助金を活用して建設したり、あるいは物品を購入したりする場合、入札もしくは見積もり合わせなど競争性のある手続でやれというのが一般的ですよね。緊急雇用創出事業でそのことについて特段触れていなかったというのは、もともと50万円未満の財産取得しか認めていないから、その必要がないということで、多分なかったのだと思うのですよ。リースを悪用して実質売買するなんていうことは全く想定外だったのですよ。県は、そのことに気づいて、平成25年4月ですか、厚生労働省に問い合わせをした。私は、それは正解だったと思います。ただ、その後の厚生労働省の助言というか返事を、ちょっとうのみにし過ぎたのではないでしょうかね。通常で考えてみれば、このリースは、私は、リース業者とDIOジャパンの共同による詐欺の共同正犯が成立すると思いますよ。本当は告訴するべきくらいのことだと思いますよ。それを、厚生労働省がいいと言ったからということだけで認めてしまうというのでは、余りにも県の独自の判断というものがそこに入っていない。それが、私がさっき言った、県はどういった責務でこれに関与するのだということなのだけれども、県は、その辺はもう少し自主的な判断をして進めるべきだったのではなかろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) リースと無償譲渡についてでありますけれども、平成26年11月13日現在の厚生労働省の見解は、平成24年度事業について、実施要領上の財産取得制限と契約制度の経済性の原則を定めた会計法の趣旨に基づき、個々の事案ごとに判断する。必ずしも全てが返還対象になるということではないというものでありますけれども、厚生労働省の解釈については、これまでも変遷が見られるところでございます。
 県といたしましては、平成24年度分について、平成25年4月、高額リース及び無償譲渡について疑義を持ちまして厚生労働省に照会したところ、同年5月13日付の通知があり、平成24年度分については補助対象外とする記載がなかったことから、補助対象として認めざるを得なかったものという、この考え方を引き続き厚生労働省に伝え、理解を求めていく考えであります。
〇45番(佐々木博君) 私は、委員会の審査を聞いていて不思議に思ったのは、こういうこともあるわけです。市町村が業者に委託しますね。そこは会計規則が適用になる。だけど、受託した企業が、あとはどこと取引しようが、それは何の制限もないのだといった答弁が再三ありました。そんなばかなことがあるわけないではないですか、税金を使って勝手に何をやってもいいって。そこには、当然、税金を使うわけですから、きちんと適正な価格で使うという暗黙の了解がなければいけない。それを、あとは何も言わないから自由にやっていいのだなんていう答弁はおかしいと思いますけれども、どうですか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 平成25年5月13日付の通知については、補助対象とするという記載がなかったということについて、その反対解釈として、岩手県としては認めざるを得ないものと解釈しているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 何か、質問したことの答弁になっていないのですが、これだけやっていても進みませんからあれですけれども、あともう一点、要するに、これが緊急雇用創出事業としては意義があったという答弁もありました。今でもそう思っていますか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 緊急雇用創出事業につきましては、一定の雇用の創出という意味では、事業を実施した意味というものはあったと考えるわけでありますけれども、その後におけるさまざまな事案が起きていることに鑑みますと、非常に遺憾であると思っております。
〇45番(佐々木博君) 次に、リニアコライダー誘致への県の取り組みについて伺いたいと思います。
 知事はことしの11月にCERNを訪問しまして、同行取材した地元紙の記者が、そのCERNのロルフ・ホイヤー所長並びにリニアコライダー計画の最高責任者のリン・エバンス氏にそれぞれ単独インタビューを行って、両氏とも強い危機感を表明したと。黄信号が点滅とも言える現状で、時間的にそんなに猶予はないという印象を受けたという記事を掲載しました。知事も両氏と会談したわけですけれども、同じような印象を持たれたのでしょうか、どうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) CERNを訪問した際のホイヤー所長とエバンス氏との会談では、ILCの意義と北上サイトのすばらしさについて言及があり、岩手でのILCの実現に強く期待しているということが印象的でありました。
 一方、日本政府の早期の決断が必要であるという話を聞き、私も同様の所感を持ったところであります。
〇45番(佐々木博君) 実は私もことしの8月にCERNを訪問しました。それで、リン・エバンス氏とか、あるいはKEKから派遣されています近藤博士とか山本明博士と会談する機会もいただきました。やっぱりそのときも、正直申し上げて、随分急いでいるなといった印象を受けました。それから、具体的なお話もありまして、そのことは県の担当には伝えているところでもあります。
 昨年の8月にILC立地評価会議が北上山地を候補地に選定したわけですけれども、その後、9月に日本学術会議から、国際リニアコライダー計画に対して、2年ないし3年をかけて、当該分野以外の有識者及び関係政府機関も含めて集中的な調査、検討を進めるべきだという答申がなされました。それを受けて、現在、ILCに関する有識者会議が設置され、検討が進められているわけですが、同会議の設置期間は平成28年3月31日までで、しかも、必要に応じて延長することができるとなっているのですね。この有識者会議の検討結果を踏まえて政府が最終判断することになっているわけですけれども、CERNの意向なども踏まえますと、少し時間のかけ過ぎではないかと。本当にそれまで待ってもらえるのか、計画が白紙にならないか、そういったことが心配になるわけですが、県では、政府の最終判断の時期をいつごろと見込んでいるでしょうか。そして、それで計画に支障がないと考えているでしょうか、所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 文部科学省が設置したILCに関する有識者会議においては、来年度までに一定の結論を出すこととしておりまして、それを踏まえた政府の意思表示が平成28年度にも行われることを期待しております。この日程についてはILCにかかわる研究者が想定しているものでもありまして、ILCの計画への支障はないと伺っております。
〇45番(佐々木博君) 支障はないということですね。そういうふうに聞いているということですね。
 学術会議の答申を見て、ILCの必要性と意義は認めているものの、国家財政が逼迫している中での長期にわたる巨額の財政負担がほかの学術分野の進歩に停滞を招かないか、このことが一番大きく懸念されているなと思いました。
 我が国の科学技術振興費というものを私は調べてみましたら、平成13年度以降本年度までずっと1兆3、000億円台で、全然伸びてないのですね。ですから、この中からILCの予算を割くことは難しいのだろうなと。誘致実現のためには別枠での予算の確保が必要不可欠だなと、そのように思うわけでありますが、実は、消費税の増税の見送りを受けて、財務省は、今後、非常に財布のひもが固くなるだろうと見込まれております。ですから、ILCの我が国への誘致の一日も早い決定と、それから、別枠予算の確保はまさに政治マターだと私は思っておりまして、そういった点では知事の政治手腕がまさに問われるのではないかなと思いますが、どう対処されようとしているのか、御所見があれば伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) ILC計画は国際研究プロジェクトでもありまして、文部科学省の有識者会議においては、費用の国際分担や運営体制のあり方等も今後検討されるということで、政府の方針決定の際には、必要な予算措置についても検討されるものと考えております。
 ILCの実現は、学術の振興はもちろんなのですけれども、イノベーションの促進、人材の育成、グローバル化の一層の推進など多くの方面にその影響が及び、日本全体にとって変革をもたらす大きな意義のあるものでありますので、今後とも、東北ILC推進協議会、また、宮城県などの関係機関と連携した要望活動を実施して、国の早期決断と予算の確保を求めていきたいと思います。
〇45番(佐々木博君) 議会でも議員連盟をつくって今までも対処してきているのですけれども、やっぱりこれは東北全体がまとまることが大切です。特に宮城県との連携は非常に大切だと思いますので、そこは本当に宮城県としっかりと連携をとって進めていただきたいと思います。
 次に、受け入れ態勢の整備なのですが、まず一つは、やはり日常会話ができなければ、外国人が住んでも生活に大変差しさわりがあるだろうと思うのです。私らもジュネーブに行って思ったことは、ほとんどの方が3カ国語を話します。あそこはフランス語ですけれども、英語も話すし、ドイツ語も話します。聞くところによりますと、国際機関が200以上あって、国際会議が毎年9、000回以上あるそうですから、自然とそういったことになっているのだと思いますが、いずれ、そこまでは無理でも、やはり英語を話せる方をどんどん養成していく必要があるだろうと。岩手県として真剣に英語教育に取り組んでいく必要があるんじゃないかと思います。
 そういった中にあって、今、文部科学省では英語教育を小学校の早い段階からやるといったことで、具体的な諮問を行いました。私は大変いいことではないかなと思っているのですが、ただ、問題は教わる子供たちもそうですけれども、教える先生たちに問題があるのではないかなと実は思っているのです。
 文部科学省が昨年度実施した調査によりますと、本県の英検準1級などの力を持つ英語の先生は、小学校で英語を教える教員で0.6%、中学校英語科教員で10.4%、高校で44%です。今、この10.4%というのは中学では全国最下位なのです。ですから、児童生徒の英語力向上以前に、まず教員のレベル向上を図る必要があると思うのですが、英語教員の英語力向上に向けての県教委の対策について伺いたいと思います。
 それから、文部科学省はこれを平成32年度から実施したいという意向のようですが、前倒しして本県は実施することができないか、あわせて伺いたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) まず、教員の英語力についてでございますけれども、英検準1級と同等以上の資格を有する教員の割合は議員御案内のとおりでございますけれども、県教委におきましては、現在、英語の指導力の向上に向けまして、英語担当指導主事による学校訪問におきまして、英語担当教員に対し個別に指導、助言を行うとともに、授業を英語で進められる力をより多くの教員が身につけられるよう、研修の充実に努めているところでございます。
 特に本年度からは、従来の研修に加えまして、新たに、県内の各教育事務所で中核となって研修を行う英語教育推進リーダーを養成し、教員の英語運用能力を含めた研修機会の充実に向け取り組んでいるところでございます。また、英語で授業を行う能力を有する教員は着実にふえてきておりまして、英語力をより一層高めるためにも、英語検定等の資格取得についても奨励し、教員の主体的な自己研さんが促進されるよう、さまざまな機会を通じて働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、英語学習の改革に向けた取り組みについてでございますけれども、本県におきましては、本年度から、文部科学省の英語教育強化地域拠点事業に紫波町内の学校を指定し、小学校3、4年生から外国語活動の実施を行うということとあわせまして、5、6年生における教科化に向けて、今後の英語教育のあり方を見据えた先進的な指導について研究、開発を行う取り組みを始めたところでございます。
 県教委といたしましては、こうした研究成果を県内の各学校に広く普及させるとともに、各学校種における研修会の実施などを通じまして外国語教育の充実に努めつつ、文部科学省が現在示している平成32年の新学習指導要領の全面実施を視野に、英語教育の一部前倒しを含めまして、所要の準備を進めてまいりたいと考えております。
〇45番(佐々木博君) 前倒しを含めて、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それで、英語といいますと、よくALT、外国人の指導助手ですね、コミュニケーションがなかなかうまくいかなかったりして難しい事例もあるということで、今、外国人ではなくて日本人の英語の指導者を、例えば東京の品川区などは特区になりまして、どんどん入れて、そして、まず、先生たちと発音の打ち合わせなんかをやって、それをしながら指導しているといった事例も聞いていますので、そういったことも参考にしながら、できるだけ前倒しで、幾らでも前倒しして上手になったほうがいいわけですから、よろしく取り組みをお願いしたいと思います。
 もう一つは、よくこのILCの関係でインターナショナルスクールと言いますけれども、行ってみて思ったのですが、案外研究職の方々の子弟というのはインターナショナルスクールに入っていないのです。それはなぜかといいますと、学費が200万円ぐらいするのですね。めちゃくちゃ高い。研究者の方々というのは結構若くて、そんなに所得は高くないですから、とてもインターナショナルスクールには入れられないということで、スイスは物価が高いですから、フランスに居住して、そしてフランスの公立学校に入れているという方が非常に多いようでした。
 もちろん場所柄だと思いますが、公立の小学校でも、1クラス28名ぐらいのうち平均10人ぐらいは外国人だというんですね。そういった環境の中でやっているので余り抵抗はないようだし、むしろ子供たちはすぐフランス語を覚えるんだけれども、親が覚えられないので、親子面談のときにはわざわざ通訳をつけてやっている、そんなお話も実は聞いてまいりました。
 いずれ本県も、恐らく研究者の子弟はインターナショナルスクールではなくて、私は相当の部分が公立の学校に入学することを希望されるのではないかと見込んでいるのですけれども、受け入れ態勢について何か検討されていることがあれば伺いたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 公立学校におけるILCにかかわっての外国人子弟の受け入れについてでございます。
 県教育委員会におきましては、現在、庁内関係部局で構成しているワーキンググループにも参加いたしまして、先進事例調査等を行いながら、その実現に向けた諸課題への対応の検討を始めたところでございます。本年度におきましては、公立小中学校の設置者である自治体関係者とともに外国人を多く受け入れている県外の公立学校を視察いたしまして、教室数やサポート教員等の現状について調査を行ったところでございます。
 今後におきましては、これまで調査等において明らかとなった課題や検討すべき内容を整理いたしまして、関係部局等とも十分に連携しながら受け入れ態勢の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
〇45番(佐々木博君) 次に、高校生の理数教育について伺いたいと思います。
 せっかくILCの研究機関が来ても、海外とか、あるいは国内のほかからばかり来て、地元の研究職が全然いないというのでは寂しい限りであります。ぜひともそういった研究室に当然本県からも多くの研究者が輩出できるようにしていかなければいけないだろうと思っていますし、そのためにも本県高校の理数教育をしっかりやっていかなければいけないのではないかと思います。
 そこで、現状について伺いたいわけですが、本県では、今、盛岡一高、一関一高、水沢高校、釜石高校に理数科があり、加えて、盛岡三高、水沢高校、釜石高校がスーパーサイエンスハイスクールに指定されております。水沢高校と釜石高校は両方なわけでありますけれども、こういった学校では、科学技術、理科、数学教育を重点的に行っていまして、将来、有為な科学技術系の人材の育成を目指して努力されているんだろうと思いますが、現状どのような成果が上がっているか。
 また、あわせて、理系学科の大学への進学の実績がどうなっているか、そのことについてお知らせいただきたいと思います。
〇教育長(高橋嘉行君) 高校生の理数教育についてでございます。
 スーパーサイエンスハイスクール指定校、それから理数科設置校では、大学や研究機関等との連携を密にいたしまして、生徒が主体的に探求活動をできるよう特色ある教育を展開してきております。
 その成果といたしましては、科学技術への興味、関心、それから、科学的、数学的に考察し表現する能力が向上しているというように捉えておりまして、全国のSSH指定校約200校による研究発表会におきましても、本県の高校が、昨年度は上位8校、本年度は上位12校に入るなど2年連続で入賞を果たしておりまして、県全体で研究内容の向上が図られてきているというように認識いたしております。
 探求活動等で培った資質、能力、興味、関心に対する大学からの評価も極めて高いということでございまして、大学入学後におきましても大学のゼミ等で牽引的な役割を担ったり、文部科学省主催の研究発表会でベスト16相当の入賞を果たすなど、目覚ましい活躍をする卒業生もふえてきております。
 また、理系学科の大学への進学実績についてでございますけれども、昨年度の本県高校生の理系学科への大学進学率は、県全体では40.3%となっておりますが、理数系設置校及びSSH指定校5校の平均を見ますと48.2%と、全体と比較いたしまして8ポイントほど高くなっております。このことは、理数系教育における特色ある取り組みが生徒の資質、能力、興味、関心を高めていることとあわせまして、科学技術人材の育成にも将来的には、なおつながっていくというように考えております。
〇45番(佐々木博君) リニアコライダーの最後ですけれども、欧米では専業主婦というのはほとんどいないです。それで、研究者も共稼ぎが当然と考えているようでありました。そこで、先ほども若い女性の就業機会の問題が出ていましたけれども、この研究者の配偶者に対する就業の支援というものも強く期待されていると思ったところでありますが、こういったことは検討されているのかどうか伺いたいと思います。
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) CERNにおきましても家族で赴任するケースが多くて、実は配偶者の就業希望は多いのですが、就労先の確保にやはりCERNでも大変苦労しているという話を伺っております。
 一方、日本におきましては、実は外国人研究者の配偶者の就業者に対しましては、制約がございます。入国管理法という制約がございますが、まず、この法律による制限を何とかしたいということで、就業要件の緩和につきまして、特区制度の活用を検討しております。また、地域における配偶者の方々が活躍する場につきましても、今後、広く調査研究していきたいと考えております。
〇45番(佐々木博君) 次に、乳幼児の医療費助成の現物給付化について伺いたいと思います。乳幼児―子供ですね。
 本県の乳幼児医療費助成制度に対して、本議会でも現物給付方式の導入と助成対象の拡大についてたびたび議論されているところでありますけれども、人口減少、少子化対策の一環としてもやはり現物給付化すべきではないか、そういった観点から質問させていただきたいと思います。
 人口問題対策本部において、人口減少対策として総合的な子育て支援施策について検討中だと。そして、窓口負担の現物給付と助成対象の拡充につき市町村と協議を開始したと聞いておりますが、協議の進捗状況について伺いたいと思います。
 もちろん現物給付化と助成対象の拡充と両方できればいいわけでありますが、どちらか一方しか選択できないとなった場合、どちらへの要望が強いのか、どのように感じているか、そのことについてももし意向を把握しておればお示しいただきたいと思います。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 乳幼児医療費助成の市町村との協議の状況についてでありますが、11月14日に市町村との意見交換会を実施しております。その中で、現物給付の実施と助成対象の拡大についていろいろ協議を行っているという状況であります。
 その市町村との協議の内容でございますが、現物給付について実施の意向があるか、それからまた、助成対象の拡大とあわせて現物給付を実施することはできないかといったことなど今後の取り組みに向けた協議を行っておりますが、市町村の意向としてどちらへの要望が強いかという観点からは把握していない状況でございます。
〇45番(佐々木博君) ぜひその辺も含めて把握しておいていただければありがたいと思います。
 助成対象を拡大する場合、県費負担は、小学校6年生までやると約3億9、000万円、中学校卒業までで約6億円ふえると聞いております。県では今まで何度もこの問題に対しては答弁されておりますけれども、それはどういう中身かといいますと、県立病院等事業会計負担が多額になっていることなどから直ちに実施することは難しい、その答弁の繰り返しだったというふうに思っておりますが、現時点でもやはりそういった認識をお持ちでしょうか。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 助成対象を拡大した場合の県の財政負担の関係でございますけれども、本県は、他県と比較しても県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから現在の県財政は厳しい状況でございます。助成対象の大幅な拡大を実施することは難しいのではないかと考えておりまして、ただ、本県の重要課題である人口減少対策、それから子育て支援の観点から、窓口負担の現物給付と、あわせて助成対象の拡大について、市町村等と今、協議しているところでございます。
〇45番(佐々木博君) 県が現物給付化に踏み込めない一番の大きな要因というのは、結局、現物給付化しますとペナルティーがありますね。市町村に交付される国民健康保険の国庫負担金が7億3、000万円ぐらい減額されるのではないかと、ペナルティーですけれども。それが多分現物給付化に踏み込めない一番大きな要因ではないかと考えているのですが、いかがでしょうか。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 市町村と今いろいろ協議しておりますが、やはりペナルティーがある中でなかなかそういったことが難しいということで、そういう回答をいただいている市町村もございます。
〇45番(佐々木博君) しかしながら、今、償還払いしているのは、実は東北では本県だけなのですね。全国的にも今や10道県のみ。石川県が来年から現物給付化すると聞いていますから、いずれ9道県のみになってしまうわけでありまして、やはり現物給付化しているところというのは全てペナルティーを受けて、それを覚悟でやっているわけでありますから、本県もやはり決断すべきではないかと私は思います。少子化対策の面からも、子供が病気になったときに、お金の心配なく必要な治療が受けられるということはやっぱり大切なことで、金がないから病院に行けないというのでは、余りにも私は非人道的なのではないかと思います。
 実は、県内の市町村の取り組み状況を見ますと、26市町村がそれぞれ差はありますけれども対象年齢を拡大しているのですね。これはなぜかというと、住民に身近な市町村はやはり住民の意向に一番敏感なわけでありますから、その意向を受けて独自に助成の拡大をしている。厳しい財政にあってもその必要性を認めているのだと。それでやっているということだろうと思います。
 財政的に今すぐ県として助成対象の拡大に踏み込めないにしても、少なくとも私は現物給付化だけは早期に決断すべきではないかと思いますが、このことについては知事に所見を求めたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 現行の償還払いは市町村等と協議をした上で実施しているところでありまして、現物給付を導入した場合、市町村国保の国庫支出金の減額の問題もありますので、助成対象の拡大とあわせて市町村等と協議を行っているところであります。市町村からは、県内一律に現物給付化するのであれば実施したいという意見がありますが、一方で、国による国庫支出金の減額措置が継続されている状況では現物給付の実施は困難という意見もあるところであります。
 県といたしましては、人口減少対策としての総合的な子育て支援施策の一環として、現物給付化について、県内で統一した方向で実施できるかということを市町村を初め、実施に当たって調整が必要な関係機関、医療関係団体等との協議を進めてまいります。
〇45番(佐々木博君) 市町村もそれぞれだという御答弁ですけれども、私は、本当に人道上からもこの現物給付化だけはぜひとも進めていただきたい、そのことを要望したいと思います。
 最後に、知事の3選出馬について伺いたいと思います。
 知事は、11月15日に3選出馬の表明をされました。最近の知事の言動から確実に出馬すると思っていたので特に驚きもないわけでありますが、2期8年の公約を捨てて出馬に踏み切った真意を改めて伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 現在の2期目の県政におきましては、公約として掲げました岩手県東日本大震災津波復興計画、そしていわて県民計画の実現に向け全力で取り組んでいるわけでございますけれども、1期目の選挙に当たって、知事の任期は原則2期8年を公約といたしましたが、東日本大震災津波という未曽有の非常事態が発生し、岩手県として総力を挙げて復興に取り組む中で、引き続き知事として県政を担わせていただきたいと考えたものであります。
〇45番(佐々木博君) 記者会見の中でも出馬については今の答弁のようなお話をされたようでありますが、退職金についても何か語られているのですね。最初に出馬したときの公約では、私は、大きい公約というのは二つだったと思っています。一つは、2期8年、それから退職金は受け取らない。これが幾つかあった公約の中でも大きな公約だったと私は思っているのです。最初の公約というのはやはりそれなりに重いものだと私は思っています。今回、退職金の公約も撤回するようですけれども、その理由について伺いたいと思います。
 私は、知事とか、あるいは市町村長でもそうですけれども、退職金を受け取ることに住民はそう抵抗はないというふうに以前から思っています。激務ですし、退職金を受け取ってもそう抵抗はないと思うのです。ただ、1期だけで4、000万円近い退職金、やはりこれには大方の住民感情が許さないものがあるのではないかと。ですから、退職金を受け取ることについて方針を変更されようが私自身は特段抵抗がないわけですが、ただ、退職金の金額についてどのようにお考えか、そのことについて伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 来年の知事選挙までまだ時間がありますので、公約の詳細については、さまざまな意見もいただきながら今後まとめていきたいと考えているところではありますけれども、退職金につきましては、まず、1期目、2期目はいただかないということについては変更はございません。総合的に判断し、3期目立候補に当たっては、1期目、2期目でやったような、当選の暁には最初の議会で知事退職金をなしにするような条例の提案についてはしないつもりであるところであります。
〇45番(佐々木博君) まだ出馬まで時間もありますから検討されるということですし、当選するかどうかもまた別個の問題でありますからあれですけれども、ただ、いずれこの問題は、出馬の時期までにはできればやはりはっきり明らかにしていただいたほうがいいのかなと思っております。
 次に、県民党というものについて伺いたいと思います。
 今回の知事の出馬表明で驚いたのは、県民党で出馬したいということなのですよ。小沢チルドレンの代表格と言われ、常に小沢氏と行動をともにしてきた知事から県民党というような言葉が出るとは私は本当に思いもよりませんでした。ことし8月、知事公舎でバーベキューなんか催したようでありますが、そのときも小沢氏が参加していたようで、参加者の一人から、小沢氏がいてびっくりしましたと。やはり知事と小沢氏は切れないのですねと、そのような話をされましたけれども、多分多くの県民はそのように思っているだろうと思います。なぜ今、県民党なのか、真意を伺いたいと思います。
 あわせて、政務秘書についても伺いたいと思います。
 知事の今の政務秘書というのは、前歴、小沢さんの秘書であります。県民党を標榜するなら、知事の政務秘書には私はふさわしくないと思いますけれども、いかがでしょうか。このことについても所見を伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 来年の知事選挙に出馬することを決めたということに当たって、これはもうひとえに東日本大震災津波という未曽有の非常事態が岩手を襲い、そこからの復旧、復興にオール岩手で今、取り組んでいるということ、そこが2期8年という公約があったにもかかわらず来年の選挙に立候補しようと決めた原点でありますので、岩手の復興を着実に進め、また、これはもう絶対に成功させなければなりませんので、そのためにどのような知事のスタンスがいいのか、どのような体制がいいのかということをよくよく考えて県民党としたところであります。
 そして、政務秘書を含めた人事については、特定の政党とのつながりや、また、12年前にどういう政治的な職についていたかというような、そういう政治関係の前歴を問うことなく、適材適所で決めていきたいと考えております。
 私は、人を切っていくとかという発想はなく、排除の論理という言葉もありますけれども、その反対の結集の論理こそ東日本大震災津波からの復興には必要だと思っていまして、その結集の論理ということを県民の皆さんに訴えていきたいと思っています。
〇45番(佐々木博君) この政務秘書というのは、全国的には置いていないところのほうが多いのですよ。多分3分の1ぐらいでしょうか、置いているところは。私は、なくてもいいポジションだと思っているのです。これは県の条例で、知事と議長は置けるという条例があって、それに従って置いているわけでありますが、県の条例で決めているわけですから、本来、必要ないとなれば議会で条例を廃止してもいいわけであります。しかしながら、やはりせっかくある条例ですし、その時々の知事の判断に任せて、置く、置かないは任せて、判断していただいて私は構わないと思っています。ただ、県民党でやるということと、今、排除の論理とか結集の論理とか言いましたけれども、多くの県民は少なくともそう思わないし、私もそうは思いません。
 一つだけ県民党のことについて知事に申し上げまして、答弁は要りませんから、私、質問を終わらせていただきたいと思います。
 工藤巌さんが知事に当選されたとき、もちろんそれまで衆議院議員でしたから、後援会があったわけであります。それで知事になったときに、後援会の方々は、工藤さんにも何人かの秘書がいましたから、そのうちの誰かに政務秘書で入っていただきたい、みんなそのように希望しました。だけど工藤さんは、それはだめだと言って誰も連れていかなかった。なぜかといいますと、衆議院議員をやっていましたから、後援会がある。誰か政務秘書で連れていくと、ずっと衆議院のときの後援会との縁が切れないでしまうのだと。知事は、県民党でやる以上は全県民が自分の後援会だと、そういうつもりでやらなければいけないから、したがって、僕は政務秘書は連れていかないと。それで政務秘書を設けなかった。そういったことがありました。
 私は、県民党というのはそういうものだと思いますし、県民党でやる以上はそういう覚悟でもってやらなければいけないのではないかということを申し上げまして、若干時間が残っていますけれども、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上をもって佐々木博君の一般質問を終わります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
午後5時30分 散 会

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