平成26年9月定例会 第16回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(喜多正敏君) 希望・みらいフォーラムの喜多正敏です。
 同僚、先輩議員の御配慮により登壇の機会をいただき、感謝申し上げます。
 広島県などの土砂崩れや御嶽山の噴火による被害を受けた皆様に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 通告順に従って質問してまいりますので、誠意ある前向きな御答弁をお願い申し上げます。答弁によっては再質問をさせていただきます。
 最初に、県政執行の評価と課題及び今後の対応についてお伺いします。
 知事は、平成19年知事就任以来、2期7年余、危機を希望に変えるとして県政に当たってこられました。この間、医師や看護師不足の対応を含め、県立病院問題や岩手競馬の存続、人口流出、減少への対応、予想だにしない東日本大震災津波や集中豪雨などの自然災害からの復興や復旧、平泉の世界遺産登録、自動車産業の集積や国際リニアコライダーの誘致推進などを進めてきましたが、知事は、これまでの県政執行についてどのような思いで臨み、また、どのような成果があり、どう評価しているのかお伺いします。
 復興については、この8月末において、いまだに3万699人が不自由な応急仮設住宅等に住まいし、この9月1日現在での人口は、震災前に比べ、被災地全体で2万3、159人、8.5%の減少、大槌町では実に23.2%と大幅な減少となっており、なりわいの再生など復興も道半ばであり、こうした被災地や少子高齢化も含めた人口減少問題の対応、本県の基幹産業である農業についての最近の国の農業政策や介護保険制度の変更、間近に迫った国体の開催など喫緊の課題が山積しており、一瞬たりとも県政の停滞は許されません。県政の課題をどう捉えているか、改めてお伺いします。
 知事は、平成26年度から平成28年度までの第2期復興計画を策定しており、これらを実行に移すべき立場にあると思われますが、また、平成23年度から平成26年度までのいわて県民計画第2期アクションプランを策定しておりますが、新たな県政課題への対応や次のアクションプランも含め、知事は、今後、県政課題にどのような時間軸で、どのように対処されようとしているのかお伺いします。
 今年度は、本格復興加速元年として、平成26年度の予算編成を行いました。震災からはや3年6カ月を経過しました。道路や港湾など逐次復興が進み、県立病院も再建に着手されていますが、県の災害公営住宅建設は3、011戸に対し、この8月末現在で完成は290戸であり対策が急がれます。
 私の平成25年12月定例会の質問に策定作業を進めると答弁され、このたび発表された平成26年度から平成28年度までの3年間の中期財政見通しでは、平成27年度以降、200億円を超える収支ギャップが生じると試算され、また、現在、実質公債費比率が18%を超えていますが、復興の加速化や喫緊の県政課題に対処するため切れ目のない事業執行も必要であり、県政の停滞は到底許されません。
 そこでお伺いします。10月1日に来年度の予算編成方針が示されましたが、知事は、平成27年度の予算について通常予算に準じて編成するとしていますが、その考え方や、どのような施策に重点を置いて編成しようとしているのかお伺いします。
 次に、給与制度の総合的見直しについて伺います。
 国家公務員においては、民間賃金の低い地域における官民給与の実情を反映させるため、地方に勤務する職員の給与を引き下げ、都市部に勤務する職員に配分することなどを内容とした給与制度の総合的見直しが、本年8月に人事院から勧告されたところであります。また、これを受け、総務省の有識者検討会においては、国家公務員準拠の視点から、地方公務員給与についても、国家公務員給与の見直しの内容を十分に踏まえるべきであるとの中間報告が行われています。
 この給与制度の総合的見直しについて、全国知事会、全国市長会、全国町村会では、地方と都市部の公務員給与水準の格差拡大が生じるばかりでなく、特に地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことも踏まえると、結果として、官民を通じて地域間格差が拡大することとなりかねないと、見直しに伴う影響を懸念するコメントを連名で発表しています。
 こうした中で、給与制度の総合的見直しが行われた場合、本県に勤務する国家公務員、地方公務員の給与水準の低下は避けられず、これに伴う民間事業者への影響も含め、復興に向けた県内経済の回復に大きな影響が生ずることが懸念されるところであります。特にも、本県では、東日本大震災など非常事態の中で懸命に県政を支えており、県政推進のかなめである職員の重ねての給与水準の低下は問題であります。
 職員給与については、人事委員会勧告に基づいて措置されることが基本であるところではありますが、本県の経済、職員の生活にも大きな影響がある給与制度の総合的見直しについて、本県として、現段階でどのような認識を持っているかお伺いします。
 次に、高齢者福祉についてお伺いします。
 介護保険制度が変更され、平成27年4月から施行されます。介護の社会化を目指してきましたが、今回は2025年問題を迎え、給付と介護の財源を調整し、地域包括ケアシステムを早急に構築しようとするもので、効率化と財源抑制、サービスの必要度の高い人への重点化、市町村の自律性を高めるということと理解しております。介護保険制度の変更について、現在までの県、市町村の施行に向けた準備状況と課題についてまずお伺いします。
 また、特別養護老人ホームの新規入所者を原則として要介護3以上とするとしていますが、本県の特養の定員は、平成26年4月1日現在で7、691人、要介護認定者のうち、要介護3以上の方は平成26年3月末現在で2万8、427人おり、そのうち特養には6、927人が入所していますが、要介護別の特養入所待機者数の現状と、今後の見通しと対応についてお伺いします。
 今回の大きな変更点の一つは、介護予防給付の訪問介護と通所介護を、市町村が行う地域支援事業である介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新しい総合事業へ平成29年4月までに全ての市町村で移行することであり、これまで全国一律のサービス内容や運用基準であった給付を、市町村において、地域の実情に応じ多様な主体による柔軟なサービス提供を行えることとするものです。今回、この改正により、市町村の理解や財政状況によって、事業やサービス内容、報酬、事業者の指定や利用者の自己負担額も保険者である市町村が独自に決められることから、県民が住む市町村により、提供を受けられるサービスに格差を生じさせかねないものですが、県の御所見と本県の状況、県の対応についてお伺いします。
 また、高齢者は幾つかの疾患を抱えているなど、高齢者特有の病状があり、診療科目を横断的に見る医師やケアが必要と言われています。一方、在宅医療や介護を進めるためには訪問診療が不可欠であり、訪問診療を行う医師や、高齢者を専門とする医師や医療機関を増加させるとともに、医療機関相互の連携や支援が行われる仕組みが必要です。こうした取り組みが医師不足や地域偏在の緩和にもつながると思われます。
 県は、訪問診療を行う医師や医療機関がどの程度必要と認識されているのか。訪問診療を行う医師と医療機関の連携や支援状況を含め、本県の現状と課題、今後どのように取り組んでいくのかお伺いします。
 高齢者の心身の健康づくりや居場所づくり、社会参加が求められています。高齢者のみの世帯や単身高齢者が増加し、孤立や孤独死の予防が課題となっており、地域で見守る活動やシステムがますます重要となっています。
 岩手県立大学の小川晃子教授は、Lモードを活用した安否確認システムを開発し、さらに平成22年度から、維持費も機器も低廉で済む、高齢者が自分で、きょうも元気ですと家庭用電話機から発信する仕組みを岩手、青森の県社会福祉協議会が支援し、市町村の社会福祉協議会が見守りセンターとなり、民生委員や住民等も協力して事業化され、また、電気使用センサーにより異変把握や認知症、障がい者のためにワンプッシュ型や緊急通報システム一体型のお元気発信なども運用されており、県民の大学、福祉関係団体の御努力を高く評価したいと思います。
 一方、健康状態などに関するアンケート用紙に記入すると、それが使用したデジタルペンでインターネットにより、ヘルパーと医師が即座に情報を共有できるシステムが開発され、これは今回進めようとしている介護事業所と医療機関が連携して総合的に支える地域包括ケアを促進するものであり、函館市の病院とソフトメーカーが開発したということです。
 本県には、優秀な社会福祉学部やソフトウェア情報学部などを擁する岩手県立大学やソフトウエア企業、医療福祉関係者や岩手医大、団体があります。
 そこでお伺いします。医療福祉の充実や情報産業の振興を図る意味からも、これらの知見や技術を生かす小川教授などが開発したシステムのさらなる拡充や、高齢者見守りに関する新たなシステムの開発、医療、福祉の情報共有化などICTの活用などについて、関係機関、団体と連携して研究、普及促進するお考えはないか、改めてお伺いします。
〔議長退席、副議長着席〕
 次に、子ども・子育て支援新制度についてお伺いします。
 現在、本県の公立、私立の保育園は、ことし4月1日現在で364園、定員2万7、145人、入園者数が2万6、426人、待機児童193人、また、国公私立幼稚園は、今年5月1日現在で140園、定員1万9、921人、入園者数は1万1、719人となっています。
 一方、平成25年10月1日現在で、本県のゼロから2歳児は2万8、136人と、平成22年と比較し1、977人、6.6%の減少。同様に、3歳から5歳児は2万9、551人と1、703人、5.4%減少しておりますが、今後5年、10年、保育園、幼稚園の入園対象者数の推移をどう見ておられるか、推移を踏まえた保育園の運営及び保育の課題について伺います。
 また、幼稚園の運営や幼児教育の課題について伺います。
 子ども・子育て支援新制度の平成27年4月実施に向けた準備が進められていますが、作業がおくれ、父兄や関係者に情報が十分伝わらない状況もあるようですが、現在までの市町村や県の準備状況と、今後の見通しについてお伺いします。
 新制度は、保護者は、市町村に支給認定申請し、認定を受けた後、保育所の利用は市町村に、認定こども園や地域型保育事業の利用はその施設や事業所に申し込む必要があり、保育必要量の認定には、就業時間などを記載した証明書などの添付など煩雑で時間がかかり、施設や保護者の負担増加などが懸念されます。
 また、現行の認可保育所の認定こども園の認可基準と、地方裁量型認定こども園や地域型保育事業の認可基準に差があり、同じ保育を必要とする子供と認定されながら、施設や自治体の基準により、施設や保育水準に格差が生じかねず、国の定める保育所最低基準は、平成25年4月までの約60年間、国の省令から県の条例に委任されるまで改善されず、2歳以上の子供の保育室は諸外国に比べて非常に狭いと言われる1.98平米であり、保育環境の低下が懸念されます。
 国は、国基準の保育所運営費から保護者負担部分を除いた2分の1、都道府県と市町村が4分の1ずつを負担していますが、保護者負担割合が45%で、OECD加盟国の保護者平均負担率20%を大幅に上回っていると指摘されています。保育や幼児教育に必要な財源を消費税だけに求めることなく、広く財源の確保に努めるべきです。
 少子化や人口減少対策には、安心して子供を産み育てられる環境づくりが必要であり、県としても使いやすい制度の促進、地域型保育事業の面積要件や職員配置など認可保育所に比べて緩和することにより、保育サービスを低下させることなく、保育や幼児教育に係る人材確保などによる保育水準と保育環境の充実、認可保育所の拡充などに努める必要があると思います。これらを含め、新制度の効果や課題についてどのように捉えているのか。あわせて、保護者や子供の立場に立って国に対する要請活動の強化も含め、県の対応について御所見を伺います。
 次に、産業の振興についてお伺いします。
 初めに、農業の振興について伺います。
 米政策が変更され、飼料用米の作付が奨励されましたが、平成26年は、ホールクロップサイレージの作付が980ヘクタール、飼料用米は専用品種と主食用品種を合わせて2、000ヘクタール、約1万トンの生産量で、公表されている平成24年産を例とした収入は、国の交付金と合わせ約20億円と試算され、県の平成26年産飼料用米需要調査では2万6、000トン、畜種ごとの平成25年産飼料用米取り扱い予定数量は、豚3割、鶏4割、肉用牛3割となっています。本年産食用米価格の下落が予想され、全農も来年の飼料用米生産振興目標を本年の3倍の60万トンとしており、今後、飼料用米の作付が拡大すると思われますが、種子確保や飼料用米保管、需要家である畜産振興などを含め、来年度以降の飼料用米の取り組みについて、実績を踏まえ、課題と対応について伺います。
 米の需要が緩み民間在庫の過剰などから、2014年産米の概算金は、ひとめぼれで60キログラム8、400円、あきたこまちで7、900円と前例のない減少となり、公表されている平成24年産米の15ヘクタール以上の規模の生産費9、077円をも下回っております。戸別所得補償制度の減収補填や米価変動補填金が廃止された中、現行のナラシ対策は継続的な価格下落時には農家の所得を支えられず、再生産ができるか懸念されます。離農者をふやし、大規模農家に農地を集約させようとする目的には合致するかもしれませんが、現場が対応できない急激な農政の転換は、農業や地域の経済、社会を阻害するものと思われます。
 そこでお伺いします。本年の作況も105と見込まれる中で、ひとめぼれの概算金と同等に米価が下落した場合141億円減収となり、一方、主食用米作付面積に対し国のナラシ対策の加入申請面積は38%、ナラシ円滑化対策は54%で、補填額は51億円と見込まれるとのことですが、これで生産費が回収できるのか、減収による本県経済に対する影響額と燃油費や資材値上がりの中、これら米価下落に今後どのように対応しようとしているのかお伺いします。
 山形県では、一定額の生産規模の農家戸数の目標を立てる一方、果実、野菜などの園芸品目を転換作物として戦略的に導入する経営体を育成するなどし、平成19年から平成24年までの過去5年間の農業産出額の増加額が全国第2位になったなど成果を上げており、このような取り組みは本県の今後の施策展開に参考になると思いますが、山形県のような目標設定や新たな作目導入なども含め、農業産出額増加のための県の取り組みについてお伺いします。
 林業の振興についてお伺いします。
 今年7月末に県産材を活用して紫波町のオガールが、9月には住田町の新庁舎が完成し、本県林業の先導的な事例と高く評価したいと思います。木材の需要拡大には、建築用材としての活用が不可欠です。
 岡山県の銘建工業株式会社を視察し、欧米では、板を並べたパネルの繊維方向が交互になるように重ねた集成板を構造材として使用したクロス・ラミネーティッド・ティンバー、すなわちCLTを用いた工法が既に実用化されていると伺い、その後視察した高知県では、産業振興戦略において林業振興戦略にCLT工法を位置づけ、高知県森林組合連合会内にCLT建築推進協議会が置かれ、調査研究を始めており、高知県大豊町には、国土交通大臣認定を受け、この3月に、CLT構造の高知おおとよ製材株式会社の3階建ての社員寮が建設されたと伺ってきました。
 福島県湯川町には、福島県CLT推進協議会が県産の杉材を使い2階建ての集合住宅を、国の2分の1補助を得て来年2月の完成を目指しております。平成24年1月には、日本CLT協会が設立され、本県も含む108社が参加し、技術基準の策定、製造方法の研究や普及活動を行っています。
 CLT工法は施工がシンプルで、工期短縮、断熱性も高く森林資源活用などに効果があり、国や関係企業などで耐震性能など基礎的研究やデータの収集を行っており、建築法規等の改正、製造や建築、施工技術、コスト面、需要がどの程度伸びるかなど課題もありますが、国はオリンピック関連工事などでの活用も含め、これを促進しようとしています。
 林野庁は、来年度の予算の概算要求にCLTの調査研究費や普及に関する費用を盛り込んだと報じられました。新たな技術の導入による本県林業や建設業振興のため、こうした状況に即応して国内外の先発団体や先進事例の情報収集も含め、交流のある高知県や本県林業、合板など、木材産業や建設業、設計関係企業や団体、大学などと連携して調査研究を始めてはどうかと思いますが、本県導入に当たってのメリットや課題、今後の取り組みについて知事の御所見をお伺いします。
 次に、中小企業振興に関する条例についてお伺いします。
 条例制定については議会でも種々質疑が交わされ、達増知事から、中小企業の振興に関する条例の制定について検討するとの答弁があり、大いに期待したいと思います。本県では、岩手県中小企業家同友会が、条例の制定に向け、商工団体の参加も拡大しながら研修会を重ね、これに私も参加し、先進県なども調査してまいりました。
 視察した千葉県では、千葉県中小企業の振興に関する条例に先行して、中小企業の現状を把握し中小企業の振興計画づくりが行われ、中小企業の経済、雇用、地域における重要な役割について広く理解が深まり、経営に対する中小企業者の意識が向上したことが最もよかった、そして、これを受ける形で条例が策定、施行された意義が深いとのお話を伺ってきました。できちゃった条例や単なる理念条例で終わらせるのではなく、広く中小企業者の意見を反映させ、実効ある政策条例とすべきと考えます。
 そこでお伺いします。条例において、本県中小企業の意義や課題、振興の方策を明らかにするため、国や商工団体の調査のみならず、県としても、本県中小企業の現況を把握し公表することや、農林水産業や観光、建設、医療福祉など他産業との連携、資源とエネルギーの域内循環や効率化と事業創出、適切な受発注契約の促進、雇用などの取り組みなども含め、総合的な中小企業振興計画を策定すること。計画の策定や振興事業の立案、評価には、中小企業者も加えた県民の意見を幅広く反映する場を設けること。中小企業が地域づくりに果たす役割などの理解を深め、企業者の努力を促しながら、産学官、金、民で中小企業振興や起業促進を進めることなどを掲げるべきと思いますが、条例制定までのスケジュールも含め、知事の御所見をお伺いします。
 次に、観光振興について伺います。
 昨年は富士山の世界文化遺産登録と和食の無形文化遺産登録が決定し、2020年には東京オリンピック、パラリンピックが開催され、政府は2020年までに訪日外国人を2、000万人にふやすという新たな目標を掲げており、各般の事業展開と効果も期待され、本県でも達増知事のトップセールス等により台湾を初め外国人観光客の誘客に努めており、円安も追い風になっております。
 そこでお伺いします。訪日外国人の岩手への誘客を進める上で大きな課題は、訪日外国人の発着空港や首都圏など人気観光地からの時間やコストです。この解決手法の一つがJRグループのジャパンレールパスですが、本県のIGRや三陸鉄道などは利用できず、JR東日本のJRイーストパスでは、JR東日本の鉄道、IGRなどが利用できますが、三陸鉄道は利用できません。いろいろな課題はあると思いますが、訪日外国人に国立公園、ジオパークであり被災地でもある三陸海岸も含め、岩手に広く誘客、周遊していただくため、これらのパスに地元鉄道の利用について、パスの拡充や新たなシステムの構築、地方交通機関を組み込むための支援措置などについて国やJRなど関係機関に働きかけてはどうかと思いますが、御所見をお伺いします。
 政府は免税店制度の緩和や普及を図り、現在、5、777店舗の免税店を2020年に向けて1万店舗に拡大する目標を掲げています。また、各種支払いにはクレジットカードが使われており、今後、増加が見込まれる中国人観光客などは銀聯カードの利用が多いと聞いています。外国通貨の日本円への両替は、事前に済ませたり、団体旅行客には添乗員が対応している場合も多いと思いますが、今後、増加する個人旅行客への対応も必要であります。こうした免税店や銀聯カードなどの取り扱い施設、両替ができる施設などの拡大は来県外国人の利便性を高め、誘客や地域振興、ILC誘致にもつながると思いますが、以上3点について、本県の現状とメリットや課題、今後の対応について御所見をお伺いします。
 土砂災害防止についてお伺いします。
 最近は、前例のない局地的な集中豪雨などにより土砂災害が頻発しております。御嶽山が突然噴火し大変な被害が出ていますが、この8月に行われた火山噴火に伴う降灰や土石流災害を想定した岩手山周辺地域の総合防災訓練は大変効果的であったと思います。平成26年2月の予算特別委員会の私の質問に対し、2月末時点で土砂災害危険箇所1万4、348カ所に対し、警戒区域指定箇所は3、004カ所、指定率は21%、保全人家が5戸以上、または公共施設を有する土石流危険箇所は2、204渓流、平成25年度末で192渓流の整備が完了すると答弁がありました。整備に時間を要するのであれば災害発生の危険性の周知と早目の避難が欠かせません。
 そこでお伺いします。この基礎となる警戒区域の指定には基礎調査費やマンパワーが必要ですが、基礎調査費は、平成24年3億5、700万円、平成25年1億7、800万円、今年度は2億100万円と減少しており、担当職員も1名と報じられました。震災復興や厳しい財政、人的事情ではありますが、気象の激烈化に対し、基礎調査費やマンパワーの拡充、警戒区域指定を先行させ、住民に情報提供や避難の迅速化を図ることも効果的と思いますが、御所見をお伺いします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 喜多正敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの県政執行の成果と評価についてでありますが、平成19年に知事に就任して以来、県民一人一人が自分の希望を持ち、希望があふれる岩手を実現することを目指しながら県政執行に当たってまいりましたが、平成23年3月に発災した東日本大震災津波以降、その思いに加え、一日も早い復興を願う被災者の皆さんの思いに応えることを常に念頭に置いて県政の推進に努めてまいりました。この間、自動車産業の振興等により1人当たり県民所得の向上が図られるとともに、平泉の文化遺産の世界遺産登録、国際リニアコライダー国内建設候補地の北上山地への一本化など、岩手の未来を切り開く上で多くの希望が持てる成果が上がってきたと考えております。
 次に、県政の課題と今後の対応についてでありますが、まず、復興に関しましては、いまだ道半ばでありますものの、用地取得迅速化のための復興特別区域法の改正を実現するとともに、災害廃棄物の処理完了や三陸鉄道の全面復旧など、着実に復興が進んできているものと考えております。
 今年度からの3年間は本格復興期間と位置づけており、国、県、市町村が被災地、被災者に寄り添いながら、残された課題を一つ一つ解決しつつ、災害公営住宅の早期完成など本格復興への取り組みを着実かつ迅速に推進してまいります。
 また、人口減少問題については、これまで県としても、若者の雇用対策など人口の社会減を減らす取り組みや子育て支援など少子化対策の取り組みを進めてまいりましたが、この6月には人口問題対策本部を立ち上げ、全庁的な体制で総合的な対策の検討を進めることとしたものであります。今後は、先日、公表しました人口問題に関する中間報告に基づいて、市町村や民間の方々と意見交換し、また、総合計画審議会からも意見を聴取しながら内容を充実させ、県の総力を挙げて人口問題に取り組んでまいります。
 今般、国にまち・ひと・しごと創生本部が設置されたところであり、県としては、この機会を捉え、東京一極集中の是正や、若者、女性が生きづらい社会経済システムの改革などを目指し、積極的に国に対して提言をしてまいります。さらに、復興と人口減少問題への取り組みに加え、平成27年度に向けては、希望郷いわて国体、希望郷いわて大会の成功やILCの実現など、復興を後押しする取り組みの推進、また、今後、制定を予定している条例等に基づく新たな取り組みなど、目の前にある課題に全力で取り組んでまいります。
 次に、来年度予算についてでありますが、まず、通常予算に準じて編成することとした考え方についてでありますが、今回、知事の任期がこれまでの4月ではなく平成27年9月までとなっており、震災復興事業や県民生活に必要な事業などを停滞させることなく実施していく必要があるため、通常予算に準じた編成とすることとしたものであります。
 次に、予算編成に当たっての重点施策についてでありますが、先般、策定した岩手県中期財政見通しでお示ししたとおり、本県財政は引き続き厳しい状況が続くと見込まれますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、あわせて、人口問題への対策や地方創生に向けた取り組み、国体やILCなど喫緊の課題に重点的に取り組んでいく必要があると考えております。したがいまして、来年度の予算編成に当たっては、あらゆる手段により歳入確保の取り組みを進める一方、各事業の効果や効率性等を精査し、歳出の見直しを行うなど、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、復興とその先にある希望郷いわての実現に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思います。
 次に、直交集成板、いわゆるCLTの活用に向けた取り組みについてでありますが、CLTは、中高層建築物等の木造化が可能となる新しい木質構造材料であり、現在では欧州各国でさまざまな建築物に利用が進んでいます。我が国においても、CLTは木材の需要を大きく伸ばすものとして注目され、現在、国においては、強度や耐火性、耐久性の試験のほか、地震に対する安全性の検証などを進めており、平成28年度にはCLTを用いた建築物の一般的な設計法を確立することとしています。
 本県は、全国屈指の森林資源を有しており、CLTの活用については、杉、アカマツ、カラマツなど本県の主要樹種の新たな需要を生み出す可能性が大きく、本県の林業振興へさらなる効果が期待できます。一方で、新しい木質構造材料でありますことから、樹種ごとにCLT活用の技術確立が必要であり、また、木材加工業者にとっては、需要の見通しが把握しにくい中で、パネル生産のための設備投資に多額の費用を要することや、必要とする原木の安定的な確保などが課題として指摘されています。
 CLTについては、今年度から林業技術センターにおいて、アカマツによる製造技術の開発に取り組んでいるところであります。今後、国や日本CLT協会など関係団体等と連携し、県産材のCLT活用に向けた取り組みをさらに進めてまいります。
 次に、中小企業振興に関する条例についてでありますが、県では、中小企業や商工業の振興を図り、震災からの本格復興や人口減少問題に対応できる県内経済が実現できるよう、県民の皆様に理解と協力をいただいて、さまざまな施策を総合的に推進するための条例の制定に向けて検討を進めております。これまでに、県内の中小企業が抱える課題や取り組むべき施策などを把握するため、中小企業者、関係団体、支援機関、金融機関、大学等を対象としてヒアリングやアンケートを行い、幅広く御意見を伺ってまいりました。今後におきましては、条例の内容や制定のスケジュールについて、喜多議員からの御提言やヒアリング、アンケートの結果を踏まえるとともに、(仮称)食と農林水産業の振興に関する条例案策定検討会議で検討されている条例案との関係にも留意しながら、条例制定に向けて取り組みを進めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) 給与制度の総合的見直しについてでありますが、国、地方ともに平成18年度から平成22年度にかけて地域における公務員給与の改革に取り組んできたところでありますが、依然として民間賃金の低い地域を中心に公務員給与が高いのではないかとの指摘があり、先般、人事院が国家公務員に係る給与制度の総合的見直しを勧告したものと承知いたしております。これは国家公務員に係る地域間の給与配分の見直しの観点から行われたものでありますが、仮に地方公務員において同様の見直しが行われた場合には、多くの地域で給与水準の引き下げにつながるものと考えています。
 現在、人事委員会において今年度の給与勧告について鋭意検討が進められているところであり、まずは人事委員会の判断を尊重しつつ、他の団体における対応状況のほか、本県を取り巻くさまざまな事情を総合的に勘案の上、今後の対応を検討していく必要があると考えております。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、介護保険制度についてでありますが、今回の制度の見直しは、地域包括ケアシステムの構築と持続可能な介護保険制度の構築を基本的な考え方としております。市町村等においては、制度の見直しに基づいた第6期介護保険事業計画の策定に取り組んでおりますが、医療、介護の連携強化や生活支援サービスの充実などが重要な課題となっており、その解決のためには、介護、医療分野での取り組みだけではなく、多様な生活支援サービスが利用できるような地域づくりなど、市町村全体での取り組みが必要となっております。このため、県では、市町村長のリーダーシップにより取り組みが一層推進されるようトップセミナーを開催したほか、今後の市町村における医療、介護連携の推進に向けて郡市医師会から意見を伺うなどの取り組みを行ってきたところでございます。県では、今後も市町村等に対する情報提供やそれぞれの課題に応じたきめ細やかな支援を行い、円滑な制度移行と安定した制度運営の確保を図っていきます。
 次に、要介護別の特養入所待機者についてでありますが、特別養護老人ホームに入所を申し込まれている方は平成26年3月末時点で6、642人となっており、そのうち早期入所が必要と判断されている待機者は1、321人で、制度改正により原則として新規入所対象となる要介護3以上の方は、うち1、054人となっております。入所待機者の解消に向け市町村では施設整備を進めており、平成26年度中に特別養護老人ホームの開設が561床予定されているところであり、引き続き平成27年度からの第6期介護保険事業計画期間で新たな施設整備を検討しているところです。また、あわせて、認知症グループホーム、小規模多機能型居宅介護、短期入所サービスなどの各種在宅サービスの充実にも努めているところです。
 県としても、中長期的な視点に立った施策の展開が重要であると認識しており、施設整備とともに、地域包括ケアを推進することにより施設と在宅のバランスのとれた介護サービス提供体制が構築され、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けることができるよう取り組んでまいります。
 次に、介護サービスについてでありますが、新しい総合事業は、例えば訪問介護では、これまでの介護事業所による専門的な身体介護、生活援助に加え、NPOや民間事業所等による掃除、洗濯などの生活支援や、住民ボランティアによるごみ出しなど、多様なサービスの提供を可能としております。このため、必要なサービスが提供されるためには、NPOや住民ボランティアなどの担い手の確保や保険料への影響などについて、市町村においてそれぞれの実情を踏まえた十分な検討が必要と考えております。
 新しい総合事業の実施は平成29年4月まで猶予することができることから、本県では、平成27年度における実施予定は二つの町であり、多くの市町村等は一定の時間をかけて実施する意向であり、県としては、先行して新事業を実施する二つの町の取り組みや他県の先進事例の紹介などにより他の市町村の新規事業への円滑な移行を支援し、また、担い手育成等の役割を担う人材確保に取り組むなど、市町村等の体制づくりに努めていきます。
 次に、訪問診療についてでありますが、県では、在宅医療を推進するため、各医療圏への在宅医療連携拠点の整備を目標としているところであり、今年度、市町村や地域の医師会を訪問し実態把握を行っていますが、現時点では、在宅医療のニーズは定量的に把握されていない状況です。また、在宅医療の現状については、地域によって専門医療機関があるほか、複数の開業医グループによる24時間対応や、病院と連携した急変時の病床の確保など、医師や医療、介護関係者が連携した取り組みも行われていますが、在宅医療連携拠点が3カ所にとどまるなど、その取り組みは差がある状況です。このため、市町村や医療従事者に対する在宅医療への意識づけや、介護事業所も含めた連携体制の構築を全県的に進めていくことが課題であり、在宅医療の必要量を踏まえながら取り組みを進めることが必要であると考えております。
 県としては、今般、施行された医療介護総合確保推進法に基づき、平成27年度以降に策定する地域医療ビジョンで市町村ごとに在宅医療の必要量を算定することとしており、その策定段階から市町村や医療従事者とも情報を共有し、先進事例等の紹介や医療、介護関係者の連携強化の支援を通じて市町村の取り組みを促進しながら在宅医療の必要量の確保に向けた人材育成を図っていきます。
 次に、高齢者の見守り等へのICTの活用についてでありますが、県が県立大学、県社会福祉協議会と協働で開発したいわて“おげんき”みまもりシステムは、現在、25市町村で導入され、これまでに900名余の方が利用してきましたが、孤立死の予防など、高齢者等の安心・安全を確保する上で非常に有効な手段であることから、県社会福祉協議会等との連携によりさらなる普及拡大に努めております。
 県立大学では、血圧、心拍数等の測定情報を無線LANで送信する仕組みや既存の複数の見守りシステムを包括するポータルサイトの構築など、ICTを活用した見守りシステムに関する研究に継続して取り組んでおり、県としては、市町村、県社会福祉協議会、民間事業者と連携しながらこの取り組みに協力していきます。
 また、医療と介護の情報共有化については、釜石地域及び宮古市において既に医療情報ネットワークとして導入されており、宮古市では、議員御紹介の北海道函館地域で開発されたシステムを基本にしたソフトウエアが導入されております。県内では、ほかにも気仙地域や久慈地域で同様の医療情報ネットワークの導入が検討されていることから、県としては、各地の先行事例や、必要に応じて大学など研究機関の取り組みも紹介していきます。
 次に、今後の入園対象者数の推移と保育園の運営及び保育の課題についてでありますが、5年後、10年後の入園対象者数に係る統計はないものの、児童数は徐々に減少してきており、仮に平成24年から平成25年にかけての減少率が今後も継続するものとした場合、保育所の入所対象となるゼロ歳から5歳までの児童については、平成25年に5万7、687人であった児童数が、5年後の平成30年には5万3、000人程度、10年後の平成35年には4万9、000人程度まで減少することが見込まれます。このうち、幼稚園の入園対象となる3歳から5歳までの児童については、同様に、平成25年に2万9、551人であった児童数が、5年後の平成30年には2万7、000人程度、10年後の平成35年には2万4、000人程度まで減少することが見込まれます。
 保育所、幼稚園の入園対象者数は減少傾向にあるものの、20歳代後半から30歳代前半の子育て世代の女性の就業率の増加などを背景に保育ニーズの増大や多様化が見込まれることから、それらへの対応が課題となっております。このため、平成27年度から子ども・子育て支援新制度が実施されるところであり、新制度では、保育所の整備や小規模保育事業の推進などの保育体制の充実や、延長保育、乳幼児一時預かりなど多様化する保育ニーズへの対応を図ることとされていることから、その移行に向けた準備を適切に進めていきます。
 次に、新制度への取り組みについてでありますが、市町村においては、市町村子ども・子育て会議において、今後の教育、保育の提供体制等を定める市町村子ども・子育て支援事業計画の策定に向けた検討を進めるとともに、広報誌等を活用した制度の周知や、小規模保育事業など地域型保育事業の認可基準条例等の各種基準の検討などを進めております。県においても、県子ども・子育て支援事業支援計画の策定、検討やいわてグラフ等での広報に努めているほか、施設の認可基準等を定めるために、本議会に幼保連携型認定こども園の整備及び運営の基準を定める条例の制定案ほか3件の条例改正案を提出しております。また、市町村や事業者に対しては、今年度、2度の制度説明会のほか、県内4カ所での情報交換会で課題が見受けられた市町村に対するヒアリングの実施などにより個別具体の支援に努めてきたところです。
 今後、市町村においては、給付対象となる事業者の確認などさまざまな事務が予定されていることから、引き続き情報提供や必要な市町村間の調整等を行い、新制度への円滑な移行ができるよう支援を続けてまいります。
 次に、新制度の効果と課題についてでありますが、効果としては、消費税増税分から必要な財源が確保され、保育の量的拡充、質の改善が図られるほか、保育の場をふやし、待機児童を減らすことや、在宅の子育て家庭も含め、多様な子育て支援サービスの拡充が図られることにより、子育てしやすく、働きやすい社会の実現が期待されます。また、課題としては、全ての子供を対象としていることから制度の内容が多岐にわたり、市町村等の取り組み状況に差が見受けられることや、詳細について現在でも国で検討中の事項もあることから、事業者、保護者への適時適切な周知、広報が進んでいないことなどが挙げられます。
 県としては、保育所等の利用手続の簡素化を図るなど使いやすい制度の促進や、認可保育所の計画的整備、保育士の確保等による保育水準と保育環境の充実に努めていくとともに、市町村の進捗状況の確認や情報提供、県の広報媒体を活用した事業者、保護者への広報等を通じ、引き続き市町村の支援に取り組んでいきます。
 また、新制度の財源確保については、消費税増税分からの充当のほか、保育士等の配置基準の見直しや職員の処遇改善など、一層の質の改善に向けた財源確保について平成27年度政府予算要望を実施したところであり、引き続き新制度に必要な財源が確保されるよう要望を続けてまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、飼料用米の取り組みについてでありますが、県では、国による米の生産数量目標の配分の廃止など、平成30年度からの米政策の見直しに対応するため、本年度から地域の水田と国の交付金制度を最大限に活用した飼料用米等による転作を推進してきております。
 飼料用米の作付に当たりましては、利用希望があった畜産経営体や飼料メーカーとのマッチング等を進めてきたところであり、本年度の作付面積は、昨年度に比べ400ヘクタールほど増加の約2、000ヘクタールとなったところであります。今後、飼料用米のさらなる生産拡大に向けましては、数量払いに対応した単収の向上、主食用米への混入防止、数量の増加に対応した施設の確保等の取り組みが必要と考えております。
 県では、米の需給動向や飼料用米の需要調査等に基づき、これまで以上に飼料用米への転換を進めることとし、単収向上に向けた多収性専用品種の種子増産や、混入防止に向けた団地化の推進、農協ごとの乾燥、調製、保管施設の利用調整など、農業団体と連携し、生産拡大の取り組みを支援してまいります。
 次に、米価下落への対応についてでありますが、平成26年産米による収入は、概算金に米・畑作物の収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策等の補填額と直接支払交付金を加えますと10アール当たり9万3、000円以上となりまして、全国の統計数値を用いて試算しますと、作付規模が5ヘクタール以上の場合は生産費を上回るものと推計されるところでございます。
 また、平成26年産米の販売額の減少等によります本県経済全体に対する影響額でございますが、産業連関表を用いた試算では、ナラシ対策等による補填はあるものの132億円程度と見込まれますことから、農業者の経営への影響はもとより、地域経済に与える影響も大きいと認識してございます。
 このため、県では、農業団体と連携して創設する米価下落緊急対策資金などにより農業者の経営安定を支援するほか、コスト低減などの生産対策、有利販売や消費拡大などの販売対策を内容とします新たないわて純情米生産・販売戦略を策定し、将来にわたって米主産地としての地位が確保できるよう取り組んでまいります。
 次に、本県農業産出額の増加のための取り組みについてでありますが、県では、これまで、広大な大地や多彩な気象条件等の豊かな地域資源を生かした特色のある産地づくりに取り組んできたところであります。
 近年、農業従事者が減少、高齢化している中で、いわて県民計画第2期アクションプランにおいて、農業産出額や生産面積等を指標として土地利用型作物の大規模化や施設園芸の団地化、キャトルセンターを活用した肉用牛の規模拡大を進めてきており、本県の農業産出額は全体として増加の傾向にあるところです。
 今後、農業産出額の増加に向けた新たな目標設定も検討しつつ、新規農業参入者等の確保や、将来の地域農業をリードする先進的な農業経営者の育成を図りますとともに、実需者ニーズに対応した作目や新品種の導入など、地域みずからが生産、販売方式の改善を行う産地づくりを重点的に進めまして、農業産出額の増加に向け取り組んでまいります。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、外国人観光客の誘致についてでありますが、東北地方は航空機の国際線が少ないことから、訪日外国人の本県への誘客を図るためには、首都圏等の空港からの鉄道等による利便性を向上させていくことも重要と認識をしております。
 議員御指摘のジャパンレールパスやJRイーストパスは低料金に設定されており、訪日外国人の国内移動に効果的なものでありますが、地方の交通機関の組み入れに当たっては、民間事業者としてのメリット等、経営戦略に沿った検討がなされるものと伺っております。このため、県といたしましては、県内の交通機関の意向を十分に踏まえながら、その実現の可能性について探ってまいりたいと考えております。
 また、近年、訪日外国人がふえている中、本県を含めた東北地方では訪日外国人が震災前の水準に戻っていないことから、県といたしましては、国に対し、海外からの誘客促進のための新たな補助制度の創設を含め、総合的な支援施策を講じるよう要望しているところであり、引き続き働きかけてまいります。
 次に、外国人観光客の利便性向上についてでありますが、まず、県内の免税店は、平成25年4月時点の観光庁調査によると2店舗となっております。銀聯カードの取り扱い施設は、中国銀聯のホームページによれば、平成23年5月時点で県内では11店舗となっておりますが、これらの施設以外でも、多くの外国人を受け入れている幾つかのホテルなどでは利用が可能と承知しております。
 外貨の両替につきましては、県内の地銀3行に照会した結果、米ドルの両替は51店舗で取り扱われており、台湾ドルの両替は岩手銀行本店のみの扱いになっております。
 また、これらの施設によるサービスのメリットとしては、免税店や銀聯カード等の取り扱い施設は、訪日外国人の買い物などにおける利便性を高めるものであり、岩手県産品の売り上げの増加にもつながるものと考えますが、一方では、免税手続の対応のための負担が増す場合もあるものと考えられます。
 今後の対応につきましては、免税店、銀聯カード及び外貨両替のいずれも訪日外国人の本県への誘客を拡大する上で重要なものであることから、県といたしましても、訪日外国人のニーズの把握に努めるとともに、県内の関係機関等に対して、制度の概要やその効果について広く周知を図りながら、導入の促進に努めてまいります。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 土砂災害防止についてでありますが、土砂災害警戒区域指定のために必要となる基礎調査は、土砂災害危険箇所1万4、348カ所のうち、人家の多い箇所や対策施設未整備の箇所、被災履歴のある箇所などを優先して実施してきており、これまでに約4、600カ所を完了しております。引き続き、警戒区域指定推進の妨げにならないよう、必要な予算を確保しながら取り組んでまいります。
 土砂災害対策に係る体制につきましては、警戒区域の指定事務を直接担当する職員1名を含む担当3名で行っておりますが、さらなる体制の強化について検討するとともに、住民説明会に係る業務等について、外部委託の拡大を図るなど工夫しながら、早期の指定に取り組んでまいります。
 現在、国において土砂災害防止法改正の検討が進められており、基礎調査結果の早期公表の義務化や指定の迅速化に向けた制度面の改善等が見込まれることから、これらの動向も踏まえ、早期の情報提供や迅速な指定に取り組んでまいります。
 近年、記録的な豪雨等が頻発しており、住民の安全・安心を確保していくためには、市町村と連携して警戒避難体制を充実していくことが重要と認識しております。これらに対応していくために、土砂災害警戒情報システムの改善や、土砂災害危険箇所の再確認などの費用を9月補正予算に計上したところであり、砂防ダム等の土砂災害対策施設整備とあわせて、ソフト及びハード対策両面での土砂災害防止の取り組みを着実に進めてまいります。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 幼稚園の運営の課題等についてでありますが、まず、運営の課題につきましては、特別な支援を必要とする幼児への支援のための専門教員の確保や、新制度に基づいたきめ細かな指導のための適正な学級規模の実現などがあり、また、幼児教育の課題につきましては、幼児教育が、幼稚園や保育園など異なる形態によって進められていることから、教育や保育の内容の相互理解、幼稚園と保育園が連携して、小学校就学前の教育の充実を図っていくことなどが課題であるというように捉えております。
 県教委といたしましては、これらの課題に加え、新制度への移行に伴い、幼稚園の教育内容の保育園への導入や幼稚園における保育園機能の導入など、幼稚園、保育園相互の取り組みの共有が一層望まれますので、総合教育センターにおきまして、発達や学びの連続性を踏まえ、幼稚園及び保育園関係者を対象にした指導方法や管理運営に関する研修、小学校との円滑な接続を図るための幼稚園と小学校教員を対象とした研修等を実施してきております。
 今後におきましても、幼児教育の充実を図るため、関係部局と連携しながら、研修機会の設定と研修内容の充実に努めてまいります。
〇27番(喜多正敏君) 御答弁ありがとうございました。何点かお伺いします。
 まず介護保険制度について、準備状況と課題についてお伺いしたわけでありますが、課題についてのお答えがちょっと見当たらなかったような気がいたしましたので、お伺いしたいと思います。
 それから、私は特養入所待機者数について、直ちに入所が必要な人を聞いているわけではなくて、要介護別の特養入所待機者数の現状についてお伺いしたので、その数について再度お答えを願いたいと思います。
 それから、在宅介護や看護を進めるため、24時間、365日体制で定期巡回・随時対応型訪問介護看護が必要だということでありまして、実際は在宅介護を進めるためにもこうしたことがまず手当てされて、それから介護保険制度を変えるとかいろんなことが本来は必要ではなかったかという気がするわけでありますけれども、平成24年に、地域密着型サービスとして創設された中・重度の在宅に大きな効果が期待されるわけでありますけれども、本県の実施保険者や事業所、利用者数を含め、現状と課題、今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 それから、土砂災害についてでありますが、ハザードマップの件でありますけれども、ハザードマップは全市町村で作成をされているか。ハザードマップには土石流、地すべり、急傾斜崩壊などの警戒あるいは特別警戒区域などがあります。主なものは図示されている必要があると思いますが、これについてはどのような状況になっているか。
 さらに、警戒区域の指定については危険箇所があるわけでありますけれども、例えば八幡平市の場合は指定箇所がゼロだと、あるいは矢巾町の場合は非常に進んでいると。地域によってばらつきがあるわけですけれども、その理由についてはどういう状況になっているか、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 介護保険制度の見直しの関係の課題というお話でございました。今回の見直しの大きな考え方は、地域包括ケアシステムの構築ということでございますので、ここで一番大きなのは医療介護の連携、それから生活支援サービスの充実ということでございますが、これに取り組むための市町村について、第6期の計画の中で取り組んでいくわけですけれども、ここが市町村全体で医療介護分野だけではない取り組みが必要だということでございますので、そういったところで市町村長のリーダーシップが大きなところかなということを考えておりまして、そういった中での市町村に対する支援等をやっておりまして、それからあと、県のほうでも、介護保険事業計画を市町村が進める上でのさまざまな個別の課題についていろいろ情報をいただきながら、そういった取り組みを進めていきたいと考えております。
 それから、要介護別の特養待機者数のお話でございました。先ほど要介護3以上だけをお話ししましたが、要介護1については73人、それから要介護2については194人、要介護3についてが421人、それから要介護4についてが376人、要介護5が257人、計1、321人という状況になっております。
 それから、本県での定期巡回・随時対応型訪問介護看護の状況でございますが、三つの市で3事業所が実施しておりまして、利用者は本年8月末現在で3事業所、合計で26人となっております。
 国の社会保障審議会においては、看護職員の確保や訪問看護事業所との連携が当該サービスの事業参入の課題となっていると指摘がございまして、全国的にも普及が十分ではないとされております。
 本県においては、こういった課題のほか、サービス利用者間の移動に時間を要することが支障となっていると考えられておりますが、今後、地域包括ケアを進めるためには必要なサービスだと認識しておりますので、市町村や事業者等に対して、関連情報の提供を行いながら本事業の普及に努めてまいります。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 土砂災害対応のハザードマップ作成についてでありますが、平成25年度末時点で、全33市町村中22市町村で作成済みで、11市町村が未作成となっております。
 作成済みの22市町村における情報記載状況は、土砂災害危険箇所のみの記載が11市町村、土砂災害警戒区域や特別警戒区域を加えて記載しているのは11市町村となっております。
 ハザードマップ未作成の市町村に対しましては、関係部局と連携して、会議等のさまざまな機会を通して早期作成を促していくほか、作成済みの市町村に対しても、最新の情報をハザードマップに反映できるよう、必要な資料を提供するなどの取り組みを進めてまいります。
 次に、土砂災害警戒区域等の指定についてでありますが、市町村によって指定の状況に違いがある要因といたしましては、1点目として、土砂災害危険箇所数が最も多い一関市の1、415カ所から最も少ない矢巾町の9カ所と大きな差があり、多くの危険箇所を抱える市町村の指定率が低い傾向にあること。2点目といたしまして、人家が多い箇所や被災履歴がある箇所、老人ホームなどの要配慮者関連施設、学校等の公共施設がある箇所を優先して指定を進めてきたことから、市町村間でばらつきが生じていること。3点目として、指定により土地の開発規制など制約が生じることから、地域の理解を得ることに時間を要するため、指定が進まない市町村もあることなどが考えられます。
 土砂災害警戒区域、特別警戒区域の指定より、警戒避難体制の整備や一定の行為の制限を行うことは、土砂災害からの住民の安全確保に重要な施策であり、引き続き市町村と連携して、地域の理解を得ながら指定を推進してまいります。
〇27番(喜多正敏君) ありがとうございました。
 地域包括ケアシステムを導入すると。介護利用料の引き上げや要支援1、2の訪問、通所介護が保険から外れてくるような危惧、特別養護老人ホームの入所要件を要介護3以上にすること。さらには、2018年には介護療養病床が廃止され、行き場を失う方が多数出てくるのではないか。そして、我が会派の後藤完議員も6月定例会で質問しましたが、同一建物居住者の診療報酬が在宅診療不適切事例を理由にして大幅に引き下げられて介護現場に混乱が生じているということがあって、これは、ことし6月15日の第37回岩手県保険医協会定期総会のアピールとしても出ているということで、私もそういう疑念を持っているわけであります。県としても実態をよく把握して、今までもしているということでありますが、一層の対策の強化とか、国に対して要請活動、政策の充実を働きかけていただきたいと思います。
 また、特定行為に係る看護師の研修制度が発足したわけでありますけれども、不足している看護師の確保や研修についても配慮願いたいということであります。
 子ども・子育て支援新制度については、きょうも新聞報道が出て、なかなか誤解が多いということで、徹底をするようにという通知が県から出ました。いずれ、子育てについては、人口対策についても重要な観点から、きめ細かな対応をお願いしたいと思いました。
 いろいろ質問、提案をいたしましたが、農業では、5ヘクタール未満の方は生産費をカバーできないとかいろいろあるわけでありますが、こうしたことについては、次の決算特別委員会とか農林水産委員会でまた質疑を重ねていきたいと思います。
 では、私の再質問はこれで終わります。どうもありがとうございます。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
午後3時23分 休憩
出席議員(45名)
1  番        高 田 一 郎 君
2  番        清 水 恭 一 君
3  番        名須川   晋 君
5  番        神 崎 浩 之 君
6  番        城 内 愛 彦 君
7  番        福 井 せいじ 君
8  番        佐々木 茂 光 君
9  番        佐々木   努 君
10  番        佐々木 朋 和 君
11  番        軽 石 義 則 君
13  番        吉 田 敬 子 君
14  番        後 藤   完 君
15  番        岩 渕   誠 君
16  番        郷右近   浩 君
17  番        高 橋 孝 眞 君
18  番        岩 崎 友 一 君
19  番        高 橋 但 馬 君
20  番        小 野   共 君
21  番        高 橋   元 君
22  番        木 村 幸 弘 君
23  番        久 保 孝 喜 君
24  番        小 西 和 子 君
26  番        五日市   王 君
27  番        喜 多 正 敏 君
28  番        工 藤 大 輔 君
29  番        嵯 峨 壱 朗 君
30  番        工 藤 勝 子 君
31  番        工 藤 勝 博 君
32  番        高 橋 昌 造 君
33  番        及 川 あつし 君
34  番        小田島 峰 雄 君
35  番        大 宮 惇 幸 君
36  番        飯 澤   匡 君
37  番        斉 藤   信 君
38  番        佐々木 順 一 君
39  番        及 川 幸 子 君
40  番        伊 藤 勢 至 君
41  番        樋 下 正 信 君
42  番        柳 村 岩 見 君
43  番        千 葉   伝 君
44  番        佐々木 大 和 君
45  番        佐々木   博 君
46  番        渡 辺 幸 貫 君
47  番        田 村   誠 君
48  番        小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時44分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木大和君。
〔44番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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