平成26年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇24番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
 通告に従い、順次質問をいたします。
 最初に、安倍政権の政策と県政について伺います。
 集団的自衛権について、歴代政府は、国際法上、当然に集団的自衛権を有しているが、これを行使して、我が国が直接攻撃されていないにもかかわらず、他国に加えられた武力攻撃を実力で阻止することは、憲法第9条のもとで許容される実力の行使の範囲を超えるものであり、許されないとしてきました。
 5月15日、安倍首相の私的諮問機関、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会は報告書を提出し、集団的自衛権行使を容認する見解を明らかにしました。与党内で調整が行われ、昨日7月1日、安倍内閣は、歴代政府が積み上げてきた集団的自衛権行使は憲法上容認されないという見解を変更し、容認するという閣議決定を行いました。日本は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、国民主権、戦争の放棄、基本的人権の保障を三大原則とする日本国憲法を制定して戦後の歩みを始めました。憲法前文や第9条によって禁じられている集団的自衛権の行使を、時々の政府や国会の判断で解釈を変更することによって180度転換し、また、集団的自衛権の行使を認める新たな法律を制定し、いわば法の下克上によって根本的に変更することは、立憲主義に違反する極めて危険な動きです。マスコミ各社の世論調査でも、議論が十分ではない、集団的自衛権行使容認反対が過半数を超えています。
 そこで知事に、安倍政権の集団的自衛権行使容認に向けた動きについて見解を伺います。また、県政や県民に与える影響をお示しください。
 次に、昨年12月6日に参議院本会議で、国民の強い反対の声がある中で、与党の強行採決で成立した特定秘密保護法について伺います。
 この法律は、政府が安全保障上重要と考える情報を特定秘密とし、それを漏らした公務員や、それを知ろうとする行為を行ったジャーナリストや市民に厳罰を科し、情報を隠そうとするものです。特定秘密保護法の危険性は、秘密を管理するのにふさわしい人物か適性評価を実施し、行政の情報の徹底的な隠蔽を図ろうとしていることです。さらに、この法律は三権分立を根本から破壊し、内閣の行政権の圧倒的優位を確保しようとするものです。
 そこで知事にお伺いしますが、特定秘密保護法に対する見解と、県政や県民に与える影響をお示しください。
 次に、教育委員会制度改革について伺います。
 安倍政権は、戦後教育の総決算の柱の一つとして、今国会において、1948年から続く教育委員会制度を改革し、教育委員会委員長と教育長を一本化させる新教育長を設け、自治体の首長に新教育長の任命、罷免権を与えるなど首長の意向を強く反映させるとともに、教育行政全般への国の統制を強めようとしています。今でも、学力調査の点数発表など越権的に独走する首長がいる中、時々の政治権力が都合のよい形で学校教育に圧力を加えてはならないことは歴史の教訓であり、これが実現されると教育の中立性が大きく崩壊することから、極めて問題であります。
 そこで教育委員会委員長に伺います。教育委員会制度改革についての見解と、岩手県教育に与える影響について伺います。
 次に、安心して生活できる地域づくりについて伺います。
 ことし5月8日、日本創成会議が今後の人口減少に関する予測を公表しました。今のペースで地方から人口流出が進めば、2040年に本県の27市町村を含む896市町村で20代から30代の女性人口が半分以下に減り、将来的に自治体が消滅する可能性があるとの試算でした。
 この問題は、子育て支援だけではなく、社会全体で、女性が子育てと仕事を両立できる仕組みに変えていくことと、若い世代の経済状況を改善することなどの取り組みが不可欠です。2013年の岩手県の合計特殊出生率は1.46でした。持ちたい子供の人数よりも低い率です。少子化の背景には晩婚化や核家族化などがあり、個人の価値観や社会の変化が複雑に影響していると言われます。人口減少に対する総合的な取り組みが急務と考えますが、知事の御所見を伺います。
 また、教育環境も重要です。小学校、中学校、高等学校が地域にあることが定住の一つの条件と言えます。この5月に、今後の高等学校教育の在り方検討委員会の活動が再開しました。100%近い高校進学率の中で、入学する生徒の多様化、多様な進路選択への対応、高校における特別支援教育の必要性、岩手の広域性や小規模校の多さ、大規模災害への対応など、現在の高校教育の役割を考えた場合、全県一律での40人学級とするのではなく、中山間地域、震災被害の沿岸部地域など各地域事情を考慮した学級定数の見直しを図り、県独自での措置をすることにも配慮すべきであると考えますが、御所見を伺います。
 震災直後や復旧の対応において、高校生の果たした役割は大変大きいものでした。復興に寄与する人材を育成する取り組みが求められています。地域産業、地場産業発展のためには、地域の産業に対応した高校教育の存在が不可欠であり、地元の高校の卒業生が地域を支える構造をつくり上げなければ地域振興にはつながらず、人口流出が続くと考えられます。
 また、ポスト高校再編について、知事は、地域産業の活性化の視点を十分に踏まえた上で、将来を担う人材をどのように育てていくかという視点を重視すると答弁しております。地域に住み、地域の高校へ通うことにより地域への思いが育ち、地域のために尽くす人間が育つと考えますが、知事の御見解を伺います。
 定住促進には交通基盤も欠かせない要素です。4月6日、三陸鉄道が全線で運転を再開し、全国から祝福され、観光客も増加しました。対照的にJR山田線は3年間何の動きもありませんでした。JRの経営理念の一節に、私たちは、お客様とともに歩み、信頼される生活サービス創造グループとして、豊かな生活実現、地域社会の文化の向上と地球環境の保護に貢献してまいりますと記されています。にもかかわらず、JR東日本は、突然、1月31日、不通になっているJR山田線について、三陸鉄道に移管する案を明らかにしました。
 沿岸部のまちづくりと住民生活に直結する交通アクセスのかなめが鉄路の復旧であることから、岩手県議会は2月議会で国に対し、JR東日本が責任を持ってJR山田線、JR大船渡線を早期に鉄路復旧するよう、直ちに指導、助言を行うことを求める意見書を全会一致で採択し、国に送付しました。
 そこで、その後の国の動き、県としてのJR東日本への要請、沿線自治体との調整について伺います。今後の取り組みについてもあわせて伺います。
 次に、豊かな教育の実現について伺います。
 初めに、高等学校等就学支援金制度について伺います。
 2010年にスタートした高校授業料無償制度は、家庭の経済状況にかかわらず、国が全ての希望する子供に後期中等教育を保障するという理念の具現化であり、高等教育が受益者負担から公的負担に転換したことになります。政府は、2012年9月、国際人権A規約の中等・高等教育の漸進的無償化条項に対する留保を撤回し、高校はもちろん、高等教育に関しても徐々に無償化していくことを国際社会に宣言しました。ところが、昨年の11月27日、国会での議論も十分尽くさないまま改正案が参議院本会議で可決されました。この改正により、高校授業料無償制度に所得制限が導入されました。高校教育を再び家庭の責任に帰したことになります。国際人権A規約に対する重大な違反であります。
 就学支援金の受給資格の認定は、高等学校等就学支援金の支給に関する法律に基づき、保護者等の市町村民所得割額の合算で判断しており、この額が30万4、200円以上の世帯は対象とはなりません。
〔議長退席、副議長着席〕
 ことし5月1日現在、就学支援金制度対象生徒9、537人、うち認定者は8、329人、87.3%となっています。学校現場からは、新制度であるにもかかわらず保護者への周知が不十分で、誤解による未申請があった。申請書式記載内容の家族状況確認の際、プライバシーの配慮に苦慮した。本来、就学支援金の受給権を持つ生徒が、家庭の事情で申請書の書類が未提出なために認定されないケースも何件かある。急な家計変動が生じた生徒に対して、授業料減免の早急の実施等により、教育の継続に支障がないよう特段の配慮が必要ではないかといった報告があります。
 そこで教育長に伺いますが、高等学校等就学支援金制度に対する所見と、生徒に与える影響をお示しください。
 次に、学校におけるフッ化物洗口について伺います。
 2011年8月、歯科口腔保健の推進に関する法律の施行を受けて、本県でも2013年4月1日、岩手県口腔の健康づくり推進条例が施行されました。今定例会に、推進計画であるイー歯トーブ8020プランの策定に関し議決を求めることの議案が提出されています。このプランには、ライフステージに応じた歯の健康づくりということで、学齢期の虫歯予防方法の一つとして、学校におけるフッ化物洗口の活用がうたわれています。現在、県内31校の小中学校で集団フッ化物洗口が行われています。
 しかし、フッ化物による健康被害も懸念されることから、問題があると考えます。フッ化物による健康への影響は、歯のエナメル質が剥がれ黄色い筋が入るフッ素症や、骨に蓄積されることによる関節痛、甲状腺機能の低下によるホルモン減少や無気力等の報告が多くの研究者からあります。さらに、南デンマーク大学環境医学医師らが2006年に鉛、水銀など5種を、2014年には新たにマグネシウム、フッ化物など6種を、発育中の脳神経に影響する毒性物質と報告しました。また、希釈してあるとはいえ薬物であり、アレルギー体質の子供が多くなっている昨今、顔面蒼白や吐き気、じんま疹などの拒否反応を起こす可能性を否定できません。このように、洗口に使用されるフッ化物の健康被害を危惧する歯科医師、学者、研究者もおり、子供たちの健康への影響が心配されます。
 日本弁護士連合会の意見書によれば、2005年、日本学校歯科医師会は、学校での集団フッ化物洗口を積極的に勧めてはいない。2006年、文部科学省は、参考までにガイドラインを配付したが、積極的に取り組みを進めてはいない。厚生労働省も2006年に、学校としての判断があるので、実施は要請していない。2008年には、国でフッ素洗口を強制してはいないし、推奨もしていないと記述されています。さらに、世界中のたくさんの論文を検証して出されたコクランレビューに、フッ素入り歯磨き剤を使っている場合、さらにフッ化物洗口をしても効果の上乗せはないと結論づけられたとしています。にもかかわらず、強制力の働く学校で、安全性が疑われるフッ化物洗口を一律に行うことは疑問があります。学校教育上、薬物による予防ではなく、歯磨き習慣を身につけることが本来の指導であります。子供たちの虫歯は年々減少傾向にあり、薬物を使用してまで予防しなければならない状況ではありません。学校は教育の場です。そして、最も優先されるべきは子供たちの命と健康と権利です。学校でのフッ化物洗口導入に当たっては、各学校で賛成派、反対派の主張を両論併記した資料を用い、十分な協議を行うべきです。実施に当たっては、保護者の同意書には副作用やリスクを明記すべきです。インフォームド・コンセントの権利は最低限行うべき必須条件で、保護者と子供たちにあります。このことから、小中学校等での集団フッ化物洗口については慎重に行うべきと考えますが、御所見を伺います。
 次に、沿岸部の復興と心のケアについて伺います。
 いわて復興ウォッチャー調査によると、被災者の生活の回復度については、回復した、やや回復したの合計が55.8%と前回と同水準となり、余り回復していない、回復していないの合計は17.8%と、前回を3.1ポイント下回りました。新築や公営住宅への転居がふえたという前向きな声がある一方、緊急雇用対策終了への懸念や、今なお応急仮設住宅に住む方々を心配する声もありました。
 県が公表した、震災復興のための施策をまとめた第1期復興実施計画の進みぐあいの進捗率8割を超えた事業が約80%に達し、おおむねの目標は達成できたとの公表とは対照的です。県の公表では、進捗率に実質的なおくれが出ているのは全体の7.8%で、防潮堤や港湾施設、災害公営住宅の建設、商店街の仮設から本設への移転などです。おくれの最大の要因は、復興まちづくり計画との調整に時間がかかっているためで、背景には、用地取得が難航していることや、復興現場で人材が不足していることなどがあります。県復興局は、5月に施行された改正復興特区法を積極的に活用したり、応援職員を増強したりすることで、おくれを取り戻そうとしています。
 そこで伺いますが、現時点での職員の不足人員数をお示しください。それに対する今後の取り組みもあわせて伺います。
 住民に対する支援のみならず、住民を支援する対人サービスにかかわる全ての人々に対する支援が不可欠と思われます。現場では、支援する公務員自体が疲弊し切っている状況もあります。また、今後、長期的に住民に対する支援を継続していくためには、人材不足も懸念されるところです。
 市町村における支援者支援に関し、心のケアなどについて、被災市町村においては、地方公務員災害補償基金の助成事業等を活用して、メンタルヘルスチェックや産業医等による面談、カウンセリングなどに取り組んでいます。また、全国からの派遣職員に対しては、県の職員が被災市町村を年3回訪問し、業務や生活状況に関する個別面談を実施しているほか、昨年度から新たに派遣職員向けのメンタルへルスケア研修会を開催するとともに、メール等による個別相談窓口を設置するなど、さまざまな手法により市町村におけるメンタルへルスケアを支援しているとのことでした。しかし、慢性的な人材不足から市町村職員の健康状況が危惧されるところですが、実態をどう把握し、対策を講じていくのか伺います。
 東日本大震災からの一刻も早い復興、再生はもとより、解決を迫られるさまざまな課題に的確に対処し、住民生活の安心と安全を確保していくためには、公務員にふさわしい労働条件の維持、改善が、そのための地方交付税確保が不可欠です。
 ところが、人事院は昨年の報告で、地域間、世代間配分の見直しを初めとする給与制度の総合的見直しの検討を示唆し、政府は総人件費の抑制など行政改革に取り組むことを閣議決定し、給与体系の抜本的改革について人事院に検討を要請しました。人事院はこれを踏まえて総合的見直しに向けた検討を早急に進め、必要な勧告を行うとの総裁談話を発表しています。既に2006年の給与構造改革において地方公務員の給与水準は大幅に引き下げられています。この間、地方経済は極めて厳しい環境に置かれ、あらゆる分野において大都市圏との格差が拡大しています。今回の見直しは、地方公務員給与のさらなる引き下げと地方交付税削減、そして地方切り捨てです。このことは、職員のモチベーションを下げ、震災復興に水を差すものです。
 人事委員会委員長に伺います。給与制度の総合的見直しへの対応と、あわせて復興に与える影響をお示しください。
 いまだに応急仮設住宅での生活を余儀なくされている方が、ことし5月31日現在2万4、987人もいます。関係者の必死の努力にもかかわらず、被災地における孤立死や自殺が後を絶ちません。被災地における孤立死や自殺の現状を伺います。
 今年度は、応急仮設住宅からの転居等による被災者の生活の変化、長引く応急仮設住宅生活からのストレス等により、求められる相談支援内容が多様化し、専門的知識が必要な相談ケースも増加することも考えられることから、引き続き相談員の資質向上のための研修などにも取り組んでいく方針と聞いています。
 また、被災地の自殺対策においても、地域の人材育成やネットワークづくりを重点的に行い、一人でも多くの方に支援が届く体制づくりを推進する必要があると聞いています。孤立死、自殺対策の取り組みの状況と課題について伺います。
 学校では、仮設校舎での授業や、校庭に応急仮設住宅があるため、教育の場としての当たり前の活動が制限されています。そのような学校からは、子供たちの心身の変化や教職員の疲労の常態化などが報告されています。授業に集中できない子、ささいなことでけんかになる子、いじめや言葉の暴力から不登校になる子、朝食を食べずに登校する子、肥満傾向の子、以前にも増して保健室に来る子供たちが増加しています。
 教職員の中にも、応急仮設住宅での生活や長距離通勤者が依然として多いことから、メンタル面を含めた体調不良者がふえていると聞いております。特に被災当初からの職員の中には、鬱やPTSDや燃え尽き症候群が心配される教職員も少なくありません。子供たちや教職員の心と体のケアに長期的な視点で取り組む必要があると考えますが、現状をどのように把握し、今後どのような対策を講じるのか伺います。
 次に、子供の貧困対策等について伺います。
 日本の子供の貧困率は15.7%で、6人に1人に及びます。貧困率とは、標準の半分に満たない所得で暮らす世帯の割合です。ひとり親家庭の窮状はさらに際立ちます。50.8%、2人に1人は貧困状態にあり、先進国で最悪のレベルです。経済的に苦しい家庭の小中学生に学用品費や給食費、修学旅行費などを支給する就学援助制度を利用する岩手県の児童生徒は、被災就学援助を含めると1万4、625人、14.1%です。地域別の状況は、震災の影響から沿岸12市町村で6、138人、30.7%にも上ります。多くの市町村は準要保護者に対する就学援助の支給枠設定に生活保護基準を参考としており、影響が危惧されております。縮小される可能性のある全国71自治体には岩手県の市町村は含まれませんが、就学援助について市町村でどのような違いがあるのか伺います。あわせて、2010年度から就学援助の追加費目になったクラブ活動費や生徒会費、PTA会費についての各市町村の現状を伺います。
 貧困の連鎖の防止の観点の取り組みで、滝沢市、矢巾町などで生活保護世帯を対象に学習の場の提供を行っておりますが、現状と今後の取り組みの拡大について伺います。
 子供が問題にぶつかったときに、粘り強くトライする力。頑張ればきっと報われるという自信。わからなかったことがわかったときの喜び。このような力は、就学期、幼児期の家庭教育から育まれると言われております。特に、乳幼児期の貧困が最も子供に長期的な悪影響を与えることがわかっています。乳幼児のいる低所得世帯への支援の状況と、あわせて、子どもの貧困対策法に基づき、県でも関係部局が取り組むこととなりますが、その進め方とスケジュールについて伺います。
 新聞やテレビでは毎日のように児童虐待の事件が報じられています。岩手県の昨年度の児童虐待対応件数は363件で、身体的虐待40.2%、性的虐待2.8%、ネグレクト20.4%、心理的虐待36.6%です。高水準の要因としては、家庭養育機能の脆弱化や子育ての孤立化、妊娠期からの育児不安の増大などが挙げられます。このような要因を解決するための児童虐待防止の取り組みと課題、あわせて相談対応体制について伺います。
 最後に、男女が互いに尊重し合い、ともに参画する社会について伺います。
 昨年10月25日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は136カ国中105位で、前年から4位後退しました。識字率や高校までの教育水準では世界一ですが、女性の就労者や政治家が少ないことが全体の評価を下げています。
 2013年度の岩手県のDV相談件数は、配偶者暴力相談支援センター1、639件、警察署における2013年相談件数は368件と、ともに増加しています。一時保護の状況は39人と、前年と比べ6人ふえていますが、保護命令発令件数は59件とほぼ横ばいです。DVは、配偶者間だけではなく、若い人たちの間でも多く起こっていることが明らかになってきています。若年層への教育啓発が重要です。
 改正DV防止法の施行に合わせて、緊急避難のための宿泊場所確保・提供事業に、交際相手からの身体的暴力被害者やストーカー行為等の被害者を保護対象者に加えたとのことでしたが、現状と課題について伺います。
 今年度から、復興に女性の視点を反映させる復興委員会女性参画推進専門委員会が活動を始めました。6月5日に現地調査を実施し、意見交換を行っていますが、その内容と復興委員会女性参画推進専門委員会の意見の政策への反映について伺います。
 国の防災基本計画の内容は男女共同参画の視点を取り入れた記述になっています。また、国の防災基本計画の内容から、意思決定の場に必ず女性が参画すべきであり、県や市町村の地域防災計画にも女性の意見が反映されるようにすべきと考えます。
 市町村防災会議における女性委員数は、2014年4月1日現在1、101人中48人で、その割合は4.4%です。女性委員数ゼロの市町村が9あります。男女共同参画の視点を生かした地域防災計画の修正が行われるためには大幅な女性委員の登用が必要であると考えますが、御所見と今後の取り組みについて伺います。
 男女共同参画とは、単に女性の地位向上のみではなく、性別にかかわりなく居心地のよい社会をつくり、誰もが安全で安心な生活を営む権利を確保する人権保障の問題であると考えますが、知事の男女共同参画社会実現への決意を伺います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、集団的自衛権行使容認についてでありますが、政府においては、日本を取り巻く安全保障環境の根本的な変化を理由に、集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定がなされたところでありますが、国際情勢の認識、我が国の安全保障のあり方、また、閣議決定による憲法解釈変更の是非などについて十分に議論されたとは言えず、国民の広範な支持が得られている状況にはないと思われます。
 現在、日本にとっての喫緊の課題は地域経済の活性化や人口減少への対応であり、特にも、東日本大震災津波により甚大な被害をこうむった本県を初めとする被災県においては、被災者の生活再建を初めとした被災地の復興に全力で取り組んでおり、今、政府が行うべきことは、震災復興や原発事故の収束問題を初めとする国内の深刻な課題に優先してエネルギーを注ぐことだと考えております。
 次に、特定秘密保護法についてでありますが、本法律については、国民の知る権利が損なわれるおそれがあるなど、国会の審議過程において国民の間に懸念する意見が数多くあり、そのような懸念が残る中で本法律が性急に制定されたことは、好ましくないものと考えております。
 現在、内閣総理大臣のもとに情報保全諮問会議が開催され、有識者から意見を聞いた上で、特定秘密保護法の運用基準の策定等を検討している段階であり、現時点において、県政や県民への影響について申し述べることは困難でありますが、いずれにせよ、国民の基本的人権が侵害されることがないようにする必要があると考えております。
 次に、人口減少への対応に関する基本的考えについてでありますが、本県においては、社会減と自然減により人口減少が続いているものでありますが、その背景には、過度の東京一極集中や晩婚化、未婚化の進行など、さまざまな要因が考えられるところであり、地元において、安心して働くことができ、より子供を産み育てやすい社会を実現していく必要があると認識しております。
 県としては、人口減少を将来の問題ではなく、今、目の前にある課題と捉え、全庁挙げてこの問題に取り組むため、先月、人口問題対策本部を立ち上げたところであります。現在、対策本部において社会減や自然減の詳細な分析を行っているところであり、今後、分析をもとに、定住や少子化対策など、現在の施策の点検や拡充すべき施策の検討、立案を進め、総合的に取り組みを強化していくこととしております。
 次に、地域振興のための人材育成についてでありますが、少子化に伴い生徒の減少が急速に進む中にあって、地域に根差し、産業や地域づくりを先導し、さらには復興に寄与する人を育んでいくことは、ふるさとを守る上で重要と考えます。
 教育委員会においては、現在、このような視点等を踏まえ、今後の県立高校における教育の基本的な考え方と方向性について、県立高等学校教育の在り方検討委員会で議論を始めたと承知しております。
 今後、検討委員会で集約した意見を踏まえるとともに、地域とも意見交換を行いながら、議員からお示しいただいた視点も含め、教育委員会として十分に議論を尽くしてほしいと考えております。
 次に、男女共同参画社会の実現についてでありますが、男女が、互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなくその能力を十分に発揮できることが重要であります。
 県では、第2期復興実施計画において重視する視点として参画を掲げ、若者、女性を初めとした地域住民の幅広い参画により復興の取り組みを推進していくとともに、本年5月には、経済団体、産業団体等と連携して、いわて女性の活躍促進連携会議を設立し、官民連携した取り組みを進めているところであります。
 今後とも、女性、男性、誰もが生きやすい社会となるように、また、地域社会が活性化するとともに、人を大切にした社会の形成、生活の質の豊かさにつながるよう、男女共同参画の一層の推進を図ってまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 復興委員会の女性参画推進専門委員会についてでありますが、この委員会は、女性の意見を幅広く取り入れながら第2期実施計画を推進していくため、本年4月に設置し、先月には、宮古市の重茂漁港及び大槌町の仮設団地に併設された高齢者等サポート拠点施設を現地調査いたしました。
 重茂漁協では、組合女性部と、漁協の運営への参画や水産業を担う新規就労者の確保における女性の役割の重要性などについて意見交換をし、大槌町では、社会福祉協議会の職員や生活支援相談員の方々と、長期化する応急仮設住宅でのひとり暮らし男性の引きこもりや父子家庭の実態、地域コミュニティの再生支援に必要な生活支援相談員の人材の不足や財源の確保などについて意見交換をしたところでございます。
 今月中旬には、第1回委員会を開催し、女性の参画の視点から、第2期実施計画の推進に当たって御意見、御提言をいただくこととしており、本格復興に向けた今後の施策や取り組みに反映してまいります。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、JR線の復旧についてでありますが、県及び沿線市町村としては、早期にJR東日本による鉄路復旧の方針を表明してもらうべく、国には、JR東日本に対し、協議を加速するよう働きかけていただいております。
 山田線につきましては、JR東日本からの三陸鉄道による運営の提案を受け、県が窓口となり、沿線市町、三陸鉄道と検討、協議しながら、仮に三陸鉄道が山田線を運営することになった場合、地元の負担を極力軽減する観点から、赤字補填の額や期間等の条件面について、JR東日本と協議を行っているところであります。
 また、JR東日本に対しましては、三陸鉄道が引き受ける場合の設備強化や人員面などの重要な経営要素について、赤字を低減するための十分な支援方策の提示を求めているところであります。
 今後も、県、沿線市町、三陸鉄道が連携し、JRとしっかり協議を進めてまいります。
 一方、大船渡線につきましては、2月19日の大船渡線復興調整会議におきまして、JR東日本から、乗客の安全を確保するためには、山側にルート変更を行わなければ復旧が難しいとの意向が示されたところであります。
 地元といたしましては、ルート変更は新線の建設に等しいと受けとめており、さらに復旧に時間がかかること、また、JR東日本は、かかり増しとなる270億円もの負担を地元に求めているなど、問題が大きいものと認識しております。
 県におきましては、JR東日本に対し、現行ルートでの復旧にどこに問題があるのか明確な説明を求めるとともに、国に対しても、大船渡線復興調整会議を早期に開催するよう要請しているところであります。
 次に、被災市町村現場の人材不足とその対策についてであります。
 本年度は、6月1日現在で、昨年度の確保数を155人上回る751人の要請があり、これまで、その91%に当たる683人を確保しました。しかし、いまだ68人が不足している状況であります。
 不足している人材の確保につきましては、7月以降に神奈川県から任期付職員6人を追加派遣していただくほか、復興庁による随時採用や県の任期付職員の前倒し採用、さらに、民間企業に対する派遣の要請などの取り組みを継続するとともに、本年度から、家屋評価に関して内陸市町村から短期派遣による新たな取り組みが実施されております。
 今後も、被災市町村の要望に応えられるよう、国を初めとして、全国市長会、町村会など関係団体への要請を強力に行ってまいります。
 次に、市町村職員の健康状態についてでありますが、平成24年度の沿岸12市町村における職員の病気休暇、休職のうち精神疾患を原因とするものは59人となっております。この数値は、震災後の平成23年度は一時増加しましたが、平成24年度は震災前と同程度になっております。
 県では、これまでと同様、メンタルヘルスチェックや専門医等によるカウンセリング、メンタルヘルスケアの研修など、被災した市町村の実情に合わせて、きめ細かな取り組みが展開されるよう、総務省などの関係機関と連携して、市町村の職員の健康を維持する取り組みを支援してまいります。
 こうした支援と合わせ、職員の健康維持に当たっては、人材不足の解消による業務負担の軽減が重要と認識していることから、先ほど申し上げましたとおり、引き続き復興に必要な人材の確保に全力を尽くしてまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、小中学校等でのフッ化物洗口についてでありますが、フッ化物洗口は、1970年代に新潟県の小学校で始まり、平成23年度には、全国の保育所、幼稚園、小中学校等で約89万人の子供に対して実施されていますが、これまで健康被害は報告されていないと承知しております。
 フッ素症などの症状は、フッ化物の継続的な過剰摂取によるものであり、用法、用量を守って実施するフッ化物洗口は、安全性が確立しており、副作用の心配はないものとして、厚生労働省を初め、日本歯科医師会、日本学校歯科医会などの専門機関等が一致して安全性を認め、推進しております。
 学齢期の子供の虫歯は年々減少しておりますが、フッ化物洗口は、永久歯が生えてくる時期に歯質を強化することで成人の虫歯予防にも寄与できることから、生涯にわたる口腔の健康増進のために重要であると考えております。
 なお、小中学校等におけるフッ化物洗口を強制しているものではなく、実施に際しては、各学校において協議や研修を十分に行い、さらに、保護者に対しても事前に説明を行い、同意を得た上で実施しているところであり、今後も同様に対応することとしております。
 次に、被災地における孤立死や自殺の現状についてでありますが、沿岸被災地の応急仮設住宅でひとり暮らしをされ、自宅内で亡くなられた後に発見された方は、県警の調査によると、発災から本年5月末までで22人となっております。
 また、沿岸5警察署管内における自殺者数は、平成23年は91人、平成24年は72人、平成25年は58人、平成26年は5月末までで33人となっております。
 なお、震災関連の本県の自殺者については、内閣府が平成23年6月以降行っている調査によれば、平成23年は17人、平成24年は8人、平成25年は4人、平成26年は5月末までで1人となっております。
 次に、孤立死、自殺対策の取り組みの状況と課題についてでありますが、被災者の孤立死を防ぐための取り組みとしては、民生委員や生活支援相談員等が被災者宅を戸別訪問し、安否確認や相談、見守りを行うとともに、住民同士の交流機会の提供に取り組んでおります。
 特に今年度は、生活支援相談員の資質向上に向け、専門知識が必要なケースをテーマとした研修や応急仮設住宅からの転居による生活の変化に対応するための災害公営住宅への移行研修を開催しているほか、相談員同士による情報交換会を開催することとしております。
 また、自殺対策としては、被災した全12市町村でゲートキーパー等の人材養成を実施しているほか、県では、関係機関のネットワーク未設置の市町村に対して設置支援を行うこととしており、また、地域こころのケアセンターでは、相談支援や関係者への研修を行っております。
 今後は、応急仮設住宅から災害公営住宅まで切れ目ない見守り、相談支援体制の構築や、中長期的には、地域が主体となった支援の提供体制の構築が課題と認識しており、関係機関等との連携による地域における包括的な支援体制づくりの推進に努めていきます。
 次に、学習支援及び悩み相談プログラムについてでありますが、本県では、平成25年度から盛岡広域振興局において、県立大学の協力を得て、低所得世帯の中学生を対象として、滝沢市及び矢巾町で高校進学に向けた学力向上を図るための学習会を実施しております。平成25年度は、受講生13人のうち中学3年生の5人全員が高校に進学しており、本年度は、管内の5町全域に拡大し実施することとしております。
 また、滝沢市では、本年5月から独自に県立大学に事業を委託し、市内2会場で月2回程度の学習会を実施しているほか、盛岡市では、平成24年度から中学、高校生のいる生活保護世帯に対して、巡回訪問による進路相談を実施しております。
 学習支援の取り組みは、平成27年度から施行される生活困窮者自立支援法において、福祉事務所設置自治体で任意に実施する事業として位置づけられており、県としては、対象地域の拡大に向けて検討を行うとともに、各市においても事業の取り組みが進むよう働きかけていきます。
 次に、子供の貧困対策についてでありますが、乳幼児のいる世帯に対する主な支援策として、県では、市町村が乳幼児の医療費を助成した場合に、その経費の一部を補助しており、市町村民税が非課税である場合には、医療費の一部負担が生じないこととなっております。
 また、乳幼児のいる生活保護世帯については、生活保護の基準額として、乳幼児1人につき1万円または1万5、000円を加算しているところです。
 市町村では、保育料について、国が定めた徴収基準額に対し、世帯の状況により独自に軽減策を講じております。
 また、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく県の今後の進め方とスケジュールについてでありますが、国においては7月中に大綱を策定する予定であり、この大綱における基本方針や施策等を踏まえ、関係部局と連携を図りながら、法律に基づく県の子どもの貧困対策計画を策定することとしております。
 なお、今後のスケジュールについては、国の動きを注視しながら適切に対応していきます。
 次に、児童虐待防止の取り組みと課題、相談対応体制についてでありますが、子育て中の親の孤立化や不安感に対応するため、県では、親子の交流、子育て支援の情報発信や子育て相談を行う子育てサポートセンターを運営しているほか、市町村が妊娠期への育児不安に対応するため実施する、乳児家庭の全戸訪問事業や養育支援が必要な保護者への相談事業について支援しております。
 平成25年度の児童虐待対応件数は363件であり、平成24年度より13件減少しているものの、依然として高水準にあることから、引き続き、関係機関と緊密に連携を図りながら、児童虐待防止アクションプランに基づき、発生予防や早期発見などの取り組みを進めていく必要があります。
 相談対応体制については、これまで、児童相談所に虐待対応専門チームを設置し、児童福祉司を順次増員するなどの相談体制の強化を図るとともに、虐待対応研修の受講等により職員の資質向上にも努めてきたところであり、今後においても必要な体制の整備に努めていきます。
〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) DVの現状と課題についてですが、今年1月の改正DV防止法の施行に合わせ、緊急避難のための宿泊場所確保・提供事業により、安全確保のための宿泊場所が提供される対象者を拡大した結果、約半年間にストーカー行為等の被害者による本事業の利用が2件ありまして、本事業は、被害者の安全確保に一定の役割を果たしているところであります。
 今後も、DV被害者等からの相談に適切に対応し、DV相談支援センターや警察等、関係機関との連携のもと、被害者の安全確保、シェルターでの一時保護、一時保護中の心身のケア、経済的自立などの生活再建支援等、個々の被害者に応じたさまざまな分野の支援を行ってまいります。
〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) 市町村防災会議の女性委員数についてでありますが、地域防災力の向上を図るためには、女性を初め、地域における多様な視点を取り入れていくことが重要であると考えています。
 市町村防災会議において女性委員の割合が少なくなっている大きな要因の一つには、防災関係機関の長等を委員とする充て職が大半を占めていることが挙げられますが、一昨年の災害対策基本法の一部改正により、市町村長が地域の防災関係者や学識経験者を委員に任命することができることとなり、従前に比較し女性委員を任命しやすい制度的枠組みが整ったところであります。
 このような中、今年度、女性委員がゼロである市町村は、昨年度に比べ3市町村減ったところであり、少しずつではありますが女性委員の登用が進んでいるものと認識しております。
 県といたしましては、これまでも市町村に対し、通知などにより市町村防災会議への女性委員の積極的な登用について働きかけを行ってきたところでありますが、今後におきましても、さまざまな機会を捉えて女性委員のさらなる登用を促してまいります。
〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 教育委員会制度改革についてお答えいたします。
 教育委員会制度の見直しにつきましては、これまで、中央教育審議会などの場において、さまざまな議論がされてきたものと承知しておりますが、岩手県では、知事との円滑な関係のもと、認識の共有を図りながら教育行政を推進しております。
 今般の法改正におきましては、首長が議会の同意を得て教育長を直接任命、罷免することや、首長が総合教育会議を開催し、大綱を策定するなど、法律上、教育行政に対する首長の権限が強化された一方、教育の中立性、継続性、安定性を確保するため、教育委員会を引き続き合議制の執行機関として、職務権限は従来どおりとされていることから、これまでの本県の教育委員会の運営を大きく転換させるものではないと認識しております。
 私といたしましては、法改正の趣旨を踏まえ、総合教育会議における協議、調整など、知事とより一層、十分に連携を図りつつ、これまでどおり、震災からの教育の復興といわて県民計画の着実な推進を柱に据え、心豊かで、たくましい人間形成などに向けて、本県教育行政を推進してまいりたいと考えております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 高校教育のあり方についてでありますが、高等学校の学級編制の標準は、高校標準法上40人と定められており、本県におきましても40人学級を標準としておりますが、これは、現行法令上における教職員配置や給与費等の制度的、財政的な制約等を踏まえ、40人定員として運用しているものでございます。
 現在、県立高等学校教育の在り方検討委員会において、今後の高校教育の方向性について議論を行っていただいているところでございまして、1学級の定員のあり方につきましても、検討委員会での議論等をも踏まえ、県教育委員会としての対応を検討してまいります。
 次に、高等学校等就学支援金制度についてでありますが、今般の国の制度の見直しは、一定の所得基準以上の世帯に授業料を負担いただき、これにより生み出された財源で奨学のための給付金制度を創設するなど、低所得者世帯の生徒等に対する教育費の負担を軽減し、教育の機会均等を促進するために行われたものと認識いたしております。
 県教育委員会におきまして、本年5月に行った受給資格の認定に当たりましては、入学説明会や入学式など、機会あるごとに制度の周知に努め、保護者の誤解等による申請漏れがないよう手続を進めてきたところでありますが、今後におきましても、保護者からの相談等に丁寧に対応するなどして制度の円滑な運用を図ってまいります。
 また、この認定手続におきましては、家族や収入の状況などの個人情報を扱うということから、これらの情報が漏れることによる生徒への影響を避けるため、プライバシーの保護を徹底しているところでございまして、支援を受けるべき生徒が適切に認定され、家庭の経済状況にかかわらず、生徒の希望に沿った進路選択ができるよう努めてまいります。
 次に、被災地の子供たちや教職員の心と体のケアについてでありますが、昨年度の心とからだの健康観察の結果によれば、要サポートの児童生徒の割合は県全体で12.0%であり、発災以降、回復傾向に推移しておりますが、沿岸部の小学生は0.9ポイント、中学生については0.4ポイントの増加ということで、前年度に比較しまして、そういう増加になってございます。
 沿岸部では、経済状況になお困難を抱える家庭を初め、住宅環境や通学状況などの変化により、児童生徒のストレスの質が複雑多様化していることが、その要因であると認識しているところでございます。このような状況にございますことから、通常のスクールカウンセラーに加え、全国からの支援を受け、本年度は沿岸部の教育事務所に配置する巡回型カウンセラーを2人増員して13人に、教育事務所に配置するスクールソーシャルワーカーを3人増員いたしまして計12人とするなどして、児童生徒や保護者へのカウンセリング、教員へのコンサルテーション等のニーズに対応してきております。
 次に、教職員についてでございますが、これまでの定期健康診断では、注意や治療が必要とされる教職員の割合が増加傾向にございます。これらの教職員に対しましては、産業医による指導管理票を通知し、医療機関での受診や日常の健康管理等について随時指導を行っております。
 また、メンタルヘルス対策では、メンタルヘルスチェックを全教職員に実施いたしまして、事後指導、保健師等による巡回健康相談の周知に努め、相談機会の拡大を図っているところでございます。
 本年度におきましては、新たに、職務環境の変化による心身の不調を予防するため、人事異動の該当者を対象としたメンタルヘルスセミナーを開催するほか、管理監督者セミナーでは、鬱、燃え尽きを防ぐための理解と援助をテーマとすることとしておりまして、今後におきましても、内容の見直しを図りながら、教職員の心と体のケアの充実を図ってまいります。
 次に、就学援助についてでありますが、準要保護者に対する就学援助につきましては市町村単独事業として実施されており、認定につきましても、各市町村で基準を定め、実施されているところでございます。
 国の調査によりますと、県内市町村の状況につきましては、生活保護の基準額をもとにした要件を設定している市町村が29市町村ございまして、その全ての市町村で係数を引き上げたり、見直し前の基準額をもとに認定を行うなど、基準額の見直しによる影響が出ないよう対応を図ったところでございます。
 また、基準額をもとにした要件を設定していないため影響がない市町村が4町村ございますけれども、全ての市町村で、生活扶助基準の見直しによる影響が出ないよう、適切に対応しているところでございます。
 準要保護者に対する就学援助制度における要保護の追加費目の現状についてでございますけれども、平成25年度では23市町村で補助対象としておりまして、平成24年度と比較すると3市町村増加しており、各市町村においては就学援助の充実に努められているというように認識いたしております。
 県教育委員会といたしましては、就学援助制度の適切な運用が行われるよう、引き続き市町村教育委員会に対し助言してまいります。
〔人事委員会委員長熊谷隆司君登壇〕
〇人事委員会委員長(熊谷隆司君) 給与制度の総合的見直しへの対応と復興に与える影響についてでありますが、地方公務員の給与は、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に従い、社会一般の情勢に適応するよう県内の民間事業所従業員の給与を重視しつつ、国及び他の都道府県の職員の給与、その他の諸事情を総合的に勘案して定めなければならないと考えております。
 議員御指摘のとおり、人事院は、昨年の報告に基づき、社会経済情勢の変化のもと、国家公務員の給与に対する国民の理解を得るとともに、公務に必要な人材を確保し、職員の士気や組織の活力を維持、向上していくため、国家公務員に係る給与制度の総合的見直しの検討を進めているところであります。
 また、総務省においては、公務員の給与改定に関する取り扱いについての閣議決定を踏まえ、地方公務員の給与制度の総合的見直しに関する検討会を設置し、検討を行っておりますが、それぞれの具体的な内容については明らかになっていないところであります。
 一方、本県におきましては、東日本大震災津波発生後、全ての職員が復旧、復興を初め職務に精励しており、その状況は十分に認識しております。したがいまして、給与制度の総合的見直しへの対応につきましては、給与決定の諸原則を踏まえ、国などの動向を注視するとともに、東日本大震災津波から本格復興の推進に向けて取り組んでいる職員の状況を考慮しながら、県民の理解が得られるよう総合的に検討してまいりたいと考えております。
〇24番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、一つだけですけれども、学校におけるフッ化物洗口についてお伺いいたします。
 イー歯トーブ8020プランの策定に関するパブリックコメントを行ったのですけれども、パブリックコメントというのはそもそもどのようなものなのか。そして、今回、パブリックコメントを実施した際に寄せられた意見の状況とその対応についてまず伺います。
 それから、WHO―世界保健機関は1994年に、テクニカルレポートにおいて、6歳未満の児童を対象にしたフッ化物洗口は禁忌であるとしました。禁忌というのは、医学用語で、してはならないこととして禁止されているという意味で、強い規制を示します。効果よりリスクが上回るとしております。心配なのは、岩手県内の幾つかの幼稚園、保育園でもフッ化物洗口を実施していると聞いておりますが、まず、このことに関する見解を伺います。
 それから、世界4大医学誌の一つであるイギリスの医学誌ランセット2014年3月号に、フッ化物が発育中の脳への障害物質の一つとして掲載されております。また、ハーバード大学疫学の刊行物には、フッ化物が発育中の脳神経に影響し、IQを下げるとの報告もあります。フッ素は日常生活の中に深く入り込んでおりまして、歯磨き剤の大体90%近くはフッ素入りということになっておりますし、フッ素入りのお菓子もあると聞いております。歯科医によっては、フッ素入りでない歯磨き剤を勧めているという話も聞いております。アメリカでは歯磨き剤に警告表示が義務づけられております。日本でも妊産婦や幼児のフッ素入り歯磨き剤使用について危惧を示す学者もおります。まず、こういうことについてはどのようにお考えかということです。
 最後ですけれども、集団によるフッ化物洗口により、水質汚濁防止法や下水道法などの排水規制違反など環境汚染のおそれがあります。これらのことについての見解を伺います。
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、イー歯トーブ8020プランの策定に関するパブリックコメントについてでございますが、本計画の策定に当たっては、パブリック・コメント制度の実施に関する要綱に基づきまして広く県民に計画案を公表し、手続の公正性と透明性の向上を図るとともに、それに対して提出された県民の意見を考慮して意思決定を行うためにパブリックコメント等を実施したものでございます。
 本計画に関しましては、平成26年4月1日から4月30日まで意見を募集したほか、関係機関等へ意見聴取したところ、全部で409件の意見が寄せられました。そのうち381件が学校におけるフッ化物洗口の推進に対する懸念等であったことから、その内容を精査したところ、その多くが安全性への疑問及び学校現場の多忙化への懸念に関するものでございました。
 県としては、フッ化物洗口は、厚生労働省を初め日本歯科医師会などの専門機関等が一致して安全性を認め推進していること、また、週1回程度、フッ化物洗口液を1分程度口に含んで吐き出すという簡便なものということでありますことから、計画については原案のとおりということにしたところでございます。ただし、実施に際して各学校において協議や研修を実施するなど理解の醸成に努め、保護者や関係者の同意を得てほしいといったような要望もございますものですから、これらの要望を踏まえまして、引き続き、厚生労働省が作成したガイドラインに沿って適切に運用していきたいと思っております。
 それから、安全性について何点かお話がありましたけれども、先ほど申し上げましたように、これまで用法、用量を守って行ったフッ化物洗口について、これまでその健康被害が報告されていないと承知しております。
 それから、先ほどの繰り返しになりますけれども、フッ素症などの症状については、フッ化物の継続的な過剰摂取によるものだということで、厚生労働省、日本歯科医師会等関係機関については、安全性を認め、推進しているものだと理解しております。
〇環境生活部長(風早正毅君) 水質汚濁防止法の関係で御質問いただきました。水質汚濁防止法は、建物の外に排水等が出るときの基準を定めておりまして、お子さんたちがフッ素で洗浄されても、十分に低い値になると考えております。
〔「議長、議事進行」と呼ぶ者あり〕

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