平成26年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇8番(佐々木茂光君) 自由民主クラブの佐々木茂光でございます。
 平成26年6月定例会に当たり一般質問を行います。登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝を申し上げます。
 初めに、東日本大震災津波からの復興についてお尋ねいたします。
 東日本大震災津波から3年3カ月が過ぎ、はや4回目の夏を迎えようとしております。今なお3万2、000人を超える方が応急仮設住宅やみなし仮設住宅での大変不自由な暮らしを余儀なくされております。同じ応急仮設住宅に住む私のもとには、早く家族みんなで一緒に暮らしたい、家を建てるまでまだまだ達者でいたいといった切実な声も聞こえてくるところであります。被災者の方々に一日も早く安住の地を提供することこそが県の最大の使命であります。
 私の住む陸前高田市では、ようやく大規模な宅地の造成工事が始まりましたが、住宅が再建され、新しい町並みが形成されるためには、まだまだかなりの時間を要することが予想されております。住民の中には、まちづくり計画に必ずしも納得していないものの、復興を早く進めるため協力している方も少なくありません。復興をなし得たときに、実際に住む人がいないというような事態を避けるためにも、復興を急がなければなりません。時は人を待たず、まさに復興は時間との勝負であります。
 被災地は震災により多くのものを失い、深い傷を負いました。復興は、このいわばマイナス部分を単に埋めるだけでなく、震災前の状態より1歩でも2歩でも前に進まなければなりません。高台移転一つとってみても、単なる移転ではなく、震災前よりも住みよいまちづくりが実現されるように進めていかなければなりません。
 知事にお尋ねいたします。知事は、今年度を本格復興推進年と位置づけられております。また、知事は常々、答えは現場にあるとおっしゃっておられます。4回目の夏を迎えようとする復興の現状をどのように捉え、被災者の声をどう受けとめ、どのような決意のもとに復興に取り組まれているのでしょうか。震災前よりもプラスの状態になるように復興するお考えはあるのでしょうか。
 また、復興ロードマップの工程が、前倒しどころか後ろに延びてきております。財源を含め、本当に計画どおりできるのでしょうか、お尋ねいたします。被災者の方々が希望を持てるように、知事自身の言葉で明確にお示しいただきたいと思うのであります。
 次に、住宅再建への支援についてお尋ねいたします。
 復興がおくれ、それにより住宅再建に影響が生じるようでは、新たなまちづくりはおぼつきません。住宅再建については、これまでさまざまの支援策が講じられておりますが、資材の高騰もあり、これから住宅を再建しようとしている方々は、果たして現在の支援額で住宅を再建できるのか不安に思っております。住宅再建のための支援金について、今後、状況の変化に応じて額の見直し等を行っていく考えはあるのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、被災地域の企業への支援と企業誘致についてお尋ねいたします。
 被災された方の中には、やむなく見知らぬ土地に生活の場を求めた方も少なくありません。そのような方々に戻ってきていただくためには、住まいなどのハード面はもちろんのこと、将来の生活設計を描くことができるように支援することも重要であります。そのためには雇用を確保することが必要であり、企業誘致のほか、被災地域において必死になって頑張っている企業を支援することが極めて重要であります。被災地域の企業への支援と企業誘致の現状はどうなっているのでしょうか。今後、施策を展開するに当たっての基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 次に、被災した児童生徒に対するケア等についてお尋ねいたします。
 被災地では、震災により親を失った児童生徒も少なくありません。それら心に傷を負った子供たちは、震災直後は気丈に振る舞っていても、時間の経過とともに心に変化が生じている子供もいると聞いております。また、被災した児童生徒を教える先生方も子供への接し方について悩み、抱え込んでしまっている先生もいると聞いております。先生方の精神的負担も大きいと思いますが、先生方が健康を害したのでは、教育にも大きなマイナスであります。被災した児童生徒に対しては、ある程度長期にわたりケアしていく必要があると考えますが、県の取り組みについて伺います。あわせて、指導する先生方の健康状態についてどのように気を配り、児童生徒への指導についてどのようにサポートしているのかについてもお尋ねいたします。
 次に、第1次産業の振興についてお尋ねいたします。
 初めに、農業、林業、水産業に対する知事のビジョンについてお尋ねいたします。
 私は、昨年の6月定例会の一般質問において、農業、林業、漁業それぞれの将来ビジョンについて知事にお尋ねいたしました。そのときの知事の御答弁は、経営の強化が最も重要であり、地域地域に丁寧に当たっていくとのことで、後は政策の羅列でありました。それはそれで大変必要でありますが、県の将来を方向づける知事の答弁としてはいささか拍子抜けいたしました。第1次産業を取り巻く状況はTPP問題を初め非常に厳しく、農業、林業、水産業に従事する方は先々に不安を感じております。そのような状況であるからこそ、政策の根底にあるビジョンについて知事にお尋ねしたのでありますが、その答えがなく、残念な気持ちがいたしました。
 昨年の一般質問でも指摘しましたが、本県の基幹産業である第1次産業をしっかりとした形で振興していくことは、地域を守るという観点からも非常に重要であり、再度申し上げますが、第1次産業の活力なくして本県の発展はあり得ません。今こそ、岩手の誇る資源、海、山、川に目を向け、それらの資源を利活用し、既成概念に捉われない抜本的な施策を打ち出すことが急務であります。組織が目標に向かって進んでいくためには、トップが明確なビジョンを示す必要があります。ぜひ、知事から、第1次産業に従事している方、あるいはこれから従事しようと考えている若い世代に対し、本県の農業、林業、水産業の将来の姿を示すとともに、そのために県はどのように取り組んでいくのか、決意を込めてお示し願います。
 次に、水産業の振興についてお尋ねいたします。
 初めに、水産業の販路拡大についてでありますが、県内の水産業は、国、県、市町村の支援もあり、震災後、回復傾向にあります。しかし、水産加工業者の販路回復のおくれ、生産物の価格の低迷、買いたたきなど漁業者にとって深刻な状況が生じております。このような状況の中で、生産者みずから海外に販路を見出すべく活動を始めている事例もあると聞いております。震災で落ち込んだ水産物の販路を回復するためにも、海外への輸出も視野に入れて取り組むべきと考えますが、県はどのように支援していくのでしょうか、お尋ねいたします。
 次に、地先漁場の有効活用についてお尋ねいたします。
 震災によって多くの漁業者が高台移転を余儀なくされております。また、震災後3年を経過し、漁船や養殖漁場及び漁港などの生産基盤が整備されつつありますが、このままでは施設等が十分に利用されず、生産が回復しないため、地域の活力が失われかねません。
 震災前から漁業者の高齢化が課題となっておりましたが、これに対応するためにも、世界に誇れる生産力を有する地先漁場を有効に活用することが重要であります。県北地域には、かつて利用できなかった地先の岩盤域を効率的な漁場に生まれ変わらせ、漁業生産を拡大した事例もあると聞いております。地先漁場で容易に水揚げができるように、漁場をより有効に活用する養殖や増殖を進めていくことが重要と考えますが、地先漁場の有効活用についての県の所見を伺います。
 次に、漁業作業の省力化についてお尋ねいたします。
 収穫したワカメや昆布、ホタテ、カキなどの養殖生産物を漁港の岸壁から陸揚げする作業は大変な労力を必要としております。現在、各漁港では災害復旧工事が盛んに行われておりますが、震災を乗り越え、これからの漁業を支える担い手を支援するためには、漁業作業の省力化を図り、効率的な漁業生産が可能な漁港施設等の整備も同時に進めていかなければならないと考えますが、県の取り組みについてお尋ねいたします。
 次に、林業の振興についてお尋ねいたします。
 住田町や紫波町では、現在、木造による役場庁舎を建設中でありますが、木造建築としてはかなり大規模であり、木材活用のシンボルとして極めて有効であります。また、県立花巻農業高等学校ではことし3月に木造の校舎が完成しておりますが、宮沢賢治ゆかりの学校であり、宣伝効果も大きいと考えられております。復興事業において、このように積極的に地元の木材を活用することは、地元に目を向けた、地域の財産を使ったまちづくりに切りかわるいいタイミングとなり得ると考えられます。
 県は、岩手の山を宝の山に変えるとしておりますが、地域の山を動かすという仕組みづくり、すなわち木質バイオマスを含めた木材振興策をどのように進めていくのかお尋ねいたします。
 次に、人口減少対策についてお尋ねいたします。
 日本創成会議・人口減少問題検討分科会が本年5月に公表した、成長を続ける21世紀のために「ストップ少子化・地方元気戦略」によりますと、今後、特に地方において急激な人口減少と大都市への人口集中が進み、地方が消滅する時代を迎えるとしております。
 この人口推計によりますと、人口移動が収束しない場合、本県の人口は、2010年の約133万人から2040年には約88万7、000人と約44万3、000人、3割以上も減少するとしております。特に20代、30代の若年女性人口の減少が著しく、2010年の約13万7、000人から、同じく人口移動が収束しない場合、2040年には約6万8、500人と、約半分にまで減少すると見込んでおります。
 被災地では、震災前から人口減少が続いておりましたが、東日本大震災津波がそれに大きな拍車をかけました。ことしの5月末現在で、災害関連死を含めて5、113名ものとうとい命が奪われ、いまだ1、132名の方が行方不明となっております。また、震災後、故郷を離れて暮らしている方も多く、沿岸部では人口減少が急激に進んでおります。県の復興計画の中に、失われた人口を取り戻すための施策は見当たらないのであります。日本創成会議では東京への一極集中の是正を提言しておりますが、地元に残りたくても、また、都会から故郷へ戻りたくても、働く場がなければ戻ってこられないのであります。
 県では、先ごろ、知事を本部長とする人口問題対策本部を設置し、課題解決に取り組むとしておりますが、本県の人口減少、特に被災地における人口減少についてどのように認識され、人口減少に歯どめをかけるためどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 日本全国に共通する人口減少という課題に被災地が先行して直面している状況であり、本県が率先して有効な手を打つことが日本を救うことにもつながると思うのであります。いかがなものでしょうか。
 次に、小中学校の統廃合、高等学校の再編についてお尋ねいたします。
 人口の減少、少子化は、必然的に学校規模の縮小はおろか、存立自体を危うくしております。子供たちの遊ぶ声を聞かなくなって久しくなっております。私の住む地域でも、小学校が統合したにもかかわらず、新入生がわずか6名と、地方の消滅を現実のものとして感じざるを得ない状況にあります。少子化に加え、震災後の新たなまちづくりもあり、学校の統廃合は避けられないと思う一方、学校は地域のシンボルであり、地域の方々が集まる場所であり、学校により地域のコミュニティが維持されている面もあることを考えると、安易に数のみをもって統廃合するべきものではありません。
 一方、高等学校について、県教育委員会では、平成12年度に県立高等学校新整備計画を策定し、高等学校の再編を行ってきましたが、ことしになって新たに県立高等学校教育の在り方検討委員会を設置し、教育長から諮問された、岩手の教育の基本的な考え方について、県立高校配置のグランドデザインについて、そして、東日本大震災からの復興に向けた人財育成についての三つについて検討すると伺っております。
 高等学校の再編に当たっても、小中学校と同様、単に生徒数のみによって決めるのではなく、特徴ある学校をどうつくっていくのか、これこそが重要であります。学校の統廃合は地域の消滅に拍車をかける結果につながりかねません。小中学校の統廃合に対する基本的な考え方についてお尋ねするとともに、県立高等学校教育の在り方検討委員会では、ことしの12月には報告案を取りまとめると聞いておりますが、高等学校再編に当たっての県の基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 あわせて、小規模な高等学校においては、中学校と併設したほうが専門の教員を配置できるメリットもあると考えられますが、中高一貫教育に対する県の見解について、また、住田町からは中高一貫教育校モデル校の設置についての要望が出されていると伺っておりますが、この要望への対応についてもお尋ねいたします。
 次に、道路網の整備についてお尋ねいたします。
 私は、昨年の一般質問において、内陸部と沿岸部のネットワーク化と強固な物流路線整備の観点から、東北縦貫自動車道から気仙沿岸部に至る道路の整備、また、東北横断自動車道釜石秋田線の滝観洞インターチェンジへのアクセス道路となる県道釜石住田線のさらなる整備が必要であると指摘しております。これに対する県の答弁は、東北横断自動車道釜石秋田線と宮古盛岡横断道路の整備を優先させ、東北縦貫自動車道と気仙地域をつなぐ道路については、国道284号、343号、397号を改良することにより、また、滝観洞インターチェンジへのアクセス道路については今後検討するとの答弁でした。
 大船渡地区も物流の拠点であります。そこに東北縦貫自動車道とつなぐ高規格道路を整備することによって、震災から早く立ち直れるわけであります。また、滝観洞インターチェンジへのアクセス道路につきましても、釜石秋田線と気仙地区をつなぐことによって高速道路の効果が気仙地区にも波及し、新たな交通の流れが生じるわけであります。このままでは県内の道路ネットワークから気仙地区が取り残される、そのような危惧を抱いております。
 県は、今、ILCの誘致活動を進めております。また、三陸地域はジオパークに認定され、高田松原にはメモリアルパークが計画されております。これらと世界遺産である平泉をつなぐことが、今後期待される観光振興の観点からも重要であります。東北縦貫自動車道から気仙地区へとつながる高規格道路の整備に向けて今から動き出すべきであり、国道343号の整備も急ぐべきでありますが、所見を伺うものであります。また、あわせて、東北横断自動車道釜石秋田線の効果を波及させるため、宮守インターチェンジや滝観洞インターチェンジから気仙地区をつなぐアクセス道路を整備する必要があると考えますが、県の見解を伺います。
 お隣の宮城県では、県の事業として、三陸沿岸道路と東北縦貫自動車道を接続するみやぎ県北高速幹線道路の整備を進めております。また、気仙沼市では、三陸沿岸道路が気仙沼湾に橋をかけるルートで進められており、夢であった話が現実のものになろうとしております。県土の均衡ある発展を願うなら、空白地域はつくるべきでないと考えますが、知事の御所見を伺うものであります。
 次に、治水対策についてお尋ねいたします。
 初めに、昨年の大雨、洪水被害からの復旧状況についてでありますが、昨年は7月から9月にかけて、本県では3度にわたり、かつてないような豪雨に見舞われました。7月26日から27日にかけての大雨、8月9日、そして9月の台風18号、県が管理する河川関係だけでも合わせて62億6、897万円の被害が発生しております。今や県内のどこでもいわゆるゲリラ豪雨に見舞われる可能性があり、これまで洪水等が発生していなかった中小河川でも氾濫の危険性があります。大雨で被災した河川の復旧状況はいかがでしょうか、お尋ねいたします。また、県は、河川の氾濫に対しどのような対策を講じているのでしょうか。被災箇所の中には、一関市の砂鉄川のようにしばしば洪水に見舞われている箇所もあります。対策は十分にとられているのでしょうか、お尋ねいたします。
 このような中、県当局は昨年8月に、住田町に計画していた県営津付ダムの建設中止の方針を示しました。
 県営津付ダムは、昭和56年4月に、国庫補助により実施計画、調査ダムとして採択。これを受け、以来、40年の長きにわたり、先祖伝来の土地を提供した地権者を含む流域住民、県、関係市町が一体となって建設促進に取り組んできた歴史を有しております。
 建設中止の方針は、これまで幾度となく洪水被害に悩まされてきた気仙川流域住民にとってはまさに寝耳に水。これまでの歴史を振り返ったとき、憂慮にたえないのであります。この間、気仙川の抜本的な改修は見送られてきた経緯もあります。それも、全てダム建設が前提にあったからにほかならないのであります。
 それが一転、ダム建設を中止し、代替案として河川改修による治水安全度を確保するとの説明では、全く整合性が図られておりません。気仙川流域住民に対し不誠実であると言わざるを得ないのであります。
 河川改修がダム建設中止の代替策となり得ず、気仙川流域住民の安全・安心が担保されるとは言いがたく、県当局の姿勢に対し、気仙川流域住民は憤りを感じているのであります。津付ダムの建設を含む気仙川の治水対策が費用対効果のみの視点で議論されていることに対しても、住民は大変な不信感を抱いております。40年来の取り組みに対し、費用対効果の視点だけで論じられるべきではありません。住田町の置かれた状況は震災前と変わっておらず、地元は中止を受け入れたわけではありません。
 県は、さきに住民との意見交換会を開催しましたが、住民の意見はどうだったのでしょうか。仮にダムを中止した場合、住田町の治水対策はどうなるのでしょうか。安全性は確保されるのでしょうか。住民の意見を踏まえ、県は今後どのように対応するのでしょうか。報道によりますと、今月14日に、県の大規模事業評価専門委員会においてその答申案がまとめられるとのことですが、住民の不安を払拭するためにも、明快な答弁をお願いいたします。
 次に、JR線の復旧に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
 この4月、三陸鉄道の全線が復旧され、沿岸住民に大きな希望を与えました。三陸鉄道が疾走する姿は復興の象徴ともなっております。しかしながら、JR山田線、大船渡線は、震災から3年以上が経過しても、いまだJR東日本との協議が続いている状態であり、せっかく三陸鉄道が復旧したにもかかわらず分断され、本来の鉄道の機能を発揮できない状態にあります。沿岸部はこれから交流人口の拡大に活路を見出していかなければなりません。また、鉄道は、駅を中心に町が発達してきた歴史もあり、人との交流を促す文化的資産でもあります。三陸地域に観光客を呼び込む交通手段として、また、観光資源としても、ぜひともJR山田線、大船渡線を鉄路により復旧し、三陸鉄道とあわせて鉄道のネットワークを形成することが必要と考えますが、鉄路による復旧の必要性について、県はどのように認識しているのかお尋ねいたします。
 最後に、地域の医療と福祉についてお尋ねいたします。
 初めに、被災した県立病院の再建の状況についてお尋ねいたします。
 陸前高田市には県立高田病院という地域の財産があります。県立高田病院は、震災前から医療と福祉の連携など全国に誇れる病院でありました。また、震災後は、院長先生を初め職員の方々の献身的な御努力により、仮設であるにもかかわらず、地域医療のかなめとして重責を果たしております。県立高田病院に限らず、被災地の県立病院は、医師、看護師はもとより、職員の献身的な努力により支えられております。被災地における病院再建は最も急ぐべき課題の一つでありますが、被災した県立山田病院、大槌病院、高田病院のそれぞれの再建の状況についてお尋ねいたします。
 次に、認知症対策についてお尋ねいたします。
 陸前高田市では、震災後から保健、医療、福祉の関係者が一堂に会し、介護予防の推進、健康づくり、地域包括ケアの実践によって、元気な高齢者の増加、介護が必要になってもお互いを支える地域づくりを目指す陸前高田市保健医療福祉未来図会議を開催しております。この会議では、最近の高齢者に関する現状として、認知症の周辺症状が強くなった人がふえている、高齢者の1人世帯、2人世帯がふえている、看護師、介護士が不足しているという報告がなされております。
 認知症対策には、陸前高田市のように住民主体で支え合うケアを目指す取り組みが必要であり、住民も参加した形でのいわゆるポピュレーションアプローチが有効と考えられますが、県の認知症対策の現状及び地域に対する取り組みへの支援策についてお尋ねいたします。
 昨年は復興加速年、ことしは本格復興推進年、今定例会も被災地から多くの方々が傍聴に来ております。被災地住民に希望の持てる復興が示されることに御期待を申し上げ、一般質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございます。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木茂光議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復興にかける決意についてでありますが、東日本大震災津波からの一日も早い復興の実現に向け、県政史上かつてない規模の事業に全力で取り組み、これまで、災害廃棄物の処理を終了させ、災害公営住宅は全体の3割を超える戸数で着工しておりますが、他方、被災された多くの方々は、いまだ応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされています。
 私は、本年のスタートを大船渡市の応急仮設住宅に入居されている皆様のお話を伺うところから始めさせていただきましたが、今後も、被災された皆様の声に耳を傾けながら、復興のプロセスを共有して、単なる復旧にとどまらない復興を目指してまいります。
 被災市町村においては、それぞれの復興計画に基づいて、地域の安全を確保しながら、新しい時代にふさわしい交流やにぎわいが生まれるまちづくりを目指しています。県としては、市町村、そして国とも連携をしながら、被災市町村の復興計画の実現に向けて、将来の世代に誇りを持って引き継ぐことができるふるさとづくりに全力を尽くしてまいります。
 また、海岸保全施設や災害公営住宅などの復興事業を推進する上では、用地の確保、資機材、作業員の不足など、工程に影響を及ぼすさまざまな要因がありますが、これらの課題に対して適切、迅速に対応しながら、一日も早い復興に取り組んでまいります。
 復興財源については、平成27年度までとされている国の集中復興期間の延長を強く求めているところであり、今月10日には、被災4県合同による政府への要望も行うこととしております。
 次に、農業、林業、水産業のビジョンについてでありますが、本県の農林水産業は、豊かな大地や豊富な森林資源、世界有数の漁場である三陸の海を生かしながら、多様な農林水産物が生産され、全国でも有数の地位を築いてきたところでありますが、従事者の減少、高齢化、価格低迷による所得の減少など、さまざまな課題も生じてきております。
 我が国の農林水産業を取り巻く環境が、人口の減少や少子化、高齢化、食生活の多様化、経済のグローバル化など大きく変化する中にあって、このような環境変化に対応しつつ、農林漁業者が、意欲と希望を持って生産活動にいそしむことができる農林水産業、未来を担う若者が積極的に参入できる農林水産業、そして、国内外の消費者等から信頼、支持される農林水産業、これを築いていかなければなりません。
 このため、復興計画に基づく漁業と流通、加工業の一体的な再生、県民計画に基づく地域の核となる経営体や新規就業者等の担い手の確保育成、地域特性を生かした生産性、市場性の高い産地形成、農林水産物の高付加価値化や販路拡大などの取り組みを進めていきますほか、生産者や産地みずからが地域の将来の姿を描いて、実現に向け取り組んでいくことが重要でありますことから、地域再生営漁計画などの作成、実践を支援してまいります。
 このような取り組みを通じて、元気な農林水産業を県民と力を合わせ築いてまいりたいと思います。
 次に、人口減少に対する認識と対応についてでありますが、本県の人口は、社会減と自然減により減少が続いているところであり、沿岸被災市町村においては、震災後拡大した社会減が、直近1年間は、人口減少に歯どめがかかってきた震災前と同水準にまで縮小していますものの、依然として1、300人以上の人口が流出しておりまして、被災地の人口減少は重要な課題であります。
 復興計画においては、復興を果たしたふるさとが、一人一人にとって生き生きと暮らすことのできるふるさとであり続けることのできるような地域社会づくりを通じた復興を目指すこととしています。
 このように、復興とは、まさにふるさとを消滅させないことでありまして、第2期復興実施計画で掲げた参画、つながり、持続性の視点に基づいて、多重防災型まちづくりや災害公営住宅の早期完成、漁業と水産加工業の一体的な振興などによって本格復興を進めることにより、沿岸被災地ひいては全県において、住みたい、働きたい、帰りたいと思える地域づくりを展開し、人口減少に歯どめをかけてまいります。
 次に、津付ダムの中止についてでありますが、気仙川・大股川の治水対策に係る意見交換会を5月下旬から6月上旬にかけて、住田町内の気仙川流域8地区を対象に開催いたしました。
 県の説明に対し、出席者からは、ダム中止に反対などの声がある一方で、今となっては中止も仕方がないとの声もあり、これまでの説明会等に比べると、県の説明に耳を傾けていただいていると感じられるところであります。また、ダムを中止するのであれば、早急に河川改修を進め、安全な地域にしてほしいという意見もいただいているところであります。
 昨年7月豪雨においても住田町の一部で浸水被害が発生するなど、気仙川における治水対策の必要性は変わるものではなく、浸水被害の防止を早期に図ることが重要であります。
 まずは、近年の洪水による浸水被害を防止するよう、おおむね30年に1度の洪水に対応する河川改修を早急に進めることとし、その後、将来目標とするおおむね70年に1度の洪水に対応する河川改修を着実に進めていくことが、気仙川流域の治水対策として必要なことと考えております。
 今後とも、機会あるごとに地域の皆様と対話を重ねながら、気仙川流域の治水対策を進め、安全・安心な地域の実現を目指してまいります。
 次に、JR線の復旧に向けた取り組みについてでありますが、JR山田線及び大船渡線は、通学や通院など地域において欠くことのできない重要な生活の足であるとともに、全国から観光の誘客をできる地域振興の基盤でもあり、三陸鉄道とつながることにより、さまざまな相乗効果が発揮されるものであります。
 このため、被災地の復興を加速するためには、JR線が一日も早く復旧し、三陸沿岸の鉄道が一つにつながることが極めて重要であります。また、三陸鉄道の全線運行再開が沿線の方々に希望と勇気を与えてくれたように、JR線が鉄路復旧を果たすことは復興の重要な要素でありますことから、引き続き、沿線自治体と連携しながら、JR東日本に早期復旧を働きかけてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
〔復興局長中村一郎君登壇〕
〇復興局長(中村一郎君) 住宅再建への支援についてでありますが、県としては、被災された方々が持ち家で再建されることが、震災復興に弾みをつけることにつながるものと考えており、このため、100万円を限度に補助する被災者住宅再建支援事業を市町村と共同で実施しているところでございます。
 また、沿岸各市町村においては、追加配分された震災復興特別交付税215億円を活用しながら、それぞれの実情に応じた独自の住宅再建の支援策を実施しているところであります。例えば、陸前高田市においては、被災者住宅再建支援事業の補助を、市で100万円上乗せして合計200万円としたり、独自の利子補給補助を行ってございます。
 東日本大震災のような広域災害におきましては、本来、国において被災者の住宅再建を含めた生活再建が十分に図られるよう制度設計を行うべきと考えており、被災者生活再建支援金の増額や震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を、引き続き国に対して強く要望してまいります。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 被災地域の企業への支援と企業誘致についてでありますが、企業支援については、これまでグループ補助金により約1、200事業者の復旧費用を補助するとともに、専門家による助言、商談会の開催や商品開発のための指導などを行ってきております。
 企業誘致につきましては、震災後の平成23年度からこれまでに沿岸被災地域へ立地した企業は、水産加工業や造船業など13社で、これらの最終雇用計画数は586人となっております。
 現在、グループ補助金等により再開した事業者の中には、売り上げの減少、利益率の低下、あるいは取引先数の減少などの課題を抱えている企業もあることから、収益改善や取引先拡大に向けた取り組みが重要と考えております。
 今後につきましては、本年6月に国の事業により、いわて産業振興センターによろず支援拠点が開設され、より専門性の高い経営課題の解決からフォローアップまで一貫して支援する体制が強化されたことから、これを活用するなど支援機関と連携して、引き続き、企業のニーズに応じたきめ細やかな支援を行ってまいります。
 また、新たな企業の誘致や地場企業の増設に当たりましては、国が津波浸水地域の産業振興を加速するため創設した津波・原子力被災地域雇用創出企業立地補助金や、国税、地方税が減免となる復興特区制度を活用しながら、雇用の場の拡大を図ってまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) まず、水産物の販路拡大についてでありますが、県では、震災の影響で失われた水産物等の販路の回復、拡大を図るため、国内においては、商談会、産地見学会等を通じました実需者とのマッチングや商品開発等を支援しております。
 一方で、水産物の国内市場が成熟化する中にありまして、より規模が大きい世界市場への販路拡大は、生産者の所得向上や生産者の経営に対する意識改革につながるものであり、沿岸地域の本格復興を推進する上でも、重要な取り組みであると認識しております。
 このため、県では、輸出先国での商談会の開催や海外バイヤーの招聘、輸出コーディネーターの活用を通じましたマッチングのほか、海外量販店でのフェア開催などによります販売機会創出などを行い、水産物の輸出の回復、拡大を支援しているところであります。
 また、本年度は、新たに水産物の輸出拡大が期待されますベトナム、フィリピンの現地ニーズを把握する市場調査を行いまして、販売チャネルの拡大を進めることとしており、こうした取り組みを重ねまして水産物の販路拡大を支援してまいります。
 次に、地先漁場の有効活用についてでありますが、県内の地先漁場は、アワビ等の生息に適した岩礁域や養殖に適しております内湾の静穏域が多いことから、県では、漁協や漁業者と連携しながら、アワビ、ウニの栽培漁業やワカメ、カキ等の養殖漁業を推進し、漁業生産の増大に努めてきたところであります。その結果、アワビやワカメの生産量は全国第1位を誇るなど、地先漁場は、本県沿岸漁業の振興に大きな役割を担っていると認識しております。
 県では、地先漁場を有効に活用するため、これまで、生産性の低い地先の岩盤を掘削し、ウニの増殖に適した新たな漁場の造成や、漁港に隣接しました海面にコンクリート壁で囲んだ新たなアワビ養殖池の造成などに取り組み、漁業収入の向上を図ってきたところであります。
 県としましては、地域によって地形や対象とします漁業が異なりますことから、今後も、漁協や漁業者から意見を伺いながら、それぞれの地域の創意工夫を生かした形で、新たな増養殖場を造成していくなど、地先漁場の有効活用を続けてまいります。
 次に、漁業作業の省力化についてでありますが、収穫したワカメ、昆布、カキなどの養殖生産物を漁港の岸壁から陸揚げする作業は、漁業者の体力的な負担が大きく、特に干潮時におきましては、漁船と岸壁の高低差が大きくなることによる作業効率の低下が課題であると認識しております。
 この漁業作業の省力化を図りますため、これまで、漁港施設の復旧工事とあわせ、漁協等におきましては、国庫補助事業を活用し、養殖生産物等の陸揚げを容易にしますクレーンを岸壁に設置し、県におきましては、陸揚げや漁船への乗りおりが容易にできるよう、潮位の変化に合わせて上下します浮き桟橋を漁港内に整備してきております。
 今後も、養殖生産物等の陸揚げにおける省力化に向けまして、漁港施設の復旧工事とあわせたクレーンの整備が進むよう支援していくとともに、浮き桟橋の整備につきましても、漁協等の要望を踏まえながら検討してまいります。
 次に、林業の振興についてでありますが、本県の森林資源は、戦後、造成した人工林が成熟しつつあり、本格的な利用時期を迎えております。この豊富な森林資源を最大限生かし、川上から川下に至る一貫した取り組みを通じまして、製材向けのいわゆるA材、合板向けのB材、製紙用チップ向けのC材、さらには、低質材のD材まで、森林から生産される木材を無駄なく活用し山村地域の活性化を図ることが重要であると認識しております。
 このため、県では、川上においては、低コストな素材生産を可能とします路網の整備や高性能林業機械の導入、川中、川下におきましては、建築ニーズに対応した品質、性能の確かな木材製品の供給や被災した合板工場等の木材加工施設の再建、木質バイオマスの利用促進に向けた施設の導入などを支援しておりますほか、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画に基づきまして、県立学校などの公共施設等におきます木材利用を推進しますとともに、市町村等が行います図書館や集会施設等の木造施設整備への支援などに取り組んでおります。
 今後は、こうした木材加工施設や木質バイオマス利用施設などへ木材の安定供給を図り、木材利用を推進していくことが重要となりますことから、木材の供給者と需要者の合意形成や安定的に取引を行うための協定の締結の促進などに取り組みますほか、公共施設や復興住宅などへの木材利用の促進など、本県の豊富な森林資源の有効活用を図ってまいります。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、気仙地区の道路網の整備についてでありますが、東北縦貫自動車道から気仙地区へとつながる高規格道路の整備については、高規格幹線道路が既に全国で約1万4、000キロメートルの道路網計画が決定されているほか、地域高規格道路については約7、000キロメートルが計画路線として指定されており、これに加え、候補路線として110路線が指定されている中で、新たな指定を受けることは難しい状況にあると認識しております。
 国道343号につきましては、今回の震災において内陸部と気仙地区をつなぐ道路として大きな役割を果たしたことから、復興実施計画において復興支援道路に位置づけ、重点的に整備を進め、ことし3月には、大原バイパスが全線開通したところであります。
 今後、国際リニアコライダーに関連して本路線の重要度がさらに増すものと認識しており、計画の進展に合わせて、具体的なまちづくりや周辺施設計画を考慮しながら必要な検討をしていきたいと考えております。
 宮守インターチェンジと気仙地区を結ぶ幹線道路である国道107号及び国道340号については、復興実施計画において復興支援道路として位置づけ、国道340号山谷地区などの交通隘路の解消に取り組んでいるほか、防災対策、橋梁耐震化等も進めているところであります。
 滝観洞インターチェンジから気仙地区へのアクセス道路については、県道釜石住田線や県道上有住日頃市線の利用が考えられますが、この区間のインターアクセス道路としての抜本的整備については、険しい地形条件からトンネルなどの大規模構造物が必要となり、多額の事業費が見込まれるため、県全体の道路整備計画の中で、交通量の推移などを見きわめながら検討していきたいと考えております。
 空白地域はつくるべきではないとのお尋ねでありますが、気仙地区におきましても、三陸沿岸道路の整備が、国により、復興のリーディングプロジェクトとしてかつてないスピードで進められており、3月には高田道路が全線開通し、平成27年度に吉浜道路の開通が予定されているなど、高規格道路ネットワーク整備が着実に進展しているものと認識しております。
 県といたしましても、これら復興道路を軸に、内陸部から三陸沿岸各都市にアクセスする道路及び横断軸間を南北に連絡する道路などを復興支援道路と位置づけ、整備を推進してまいります。
 次に、昨年の大雨洪水被害の復旧状況についてでありますが、河川関係施設の被災は、県と市町村合わせて886カ所、その査定決定額は105億8、000万円余となっております。背後に人家や道路等があり被害の拡大が懸念されるなど緊急の対策が必要な箇所については、大型土のうの設置や仮道の整備など応急工事を実施するとともに、速やかな工事発注に努めてきております。
 この5月末時点で、県と市町村合わせて367カ所、48億7、000万円余を工事発注済みであり、箇所ベースで41%の着手率となっております。
 引き続き、地元の農業や淡水漁業関係者等との調整を密にして工事発注を進め、早期復旧に向けて取り組んでまいります。
 次に、河川の氾濫対策についてでありますが、現在、県で改修事業を行っている河川は19河川21カ所であり、平成25年度時点での河川整備率は48.4%となっております。
 河川改修を行うに当たりましては、近年、洪水により被害実績がある区間や資産の集中している箇所、今後資産の増大が見込まれる箇所、区画整理事業等、他事業との関連がある区間について優先的に進めております。
 昨年7月から9月にかけて3回の記録的豪雨に見舞われ、砂鉄川を初め、県内の各河川で家屋や農地の浸水被害が発生したところであり、災害復旧事業による早急な復旧とあわせ、再度、災害防止のための計画的な改修計画を検討しながら、順次、事業に着手しており、早期の完成に努めてまいります。
 さらに、降雨の強さや継続時間等によっては、改修を行った場合でも氾濫のおそれがあることから、水防体制や避難などのソフト対策も重要と考えており、県といたしましては、雨量や水位などの河川情報の提供とあわせ、避難勧告等が適切に行われるよう水位周知河川の指定にも取り組んでおり、昨年度は、浸水被害のあった砂鉄川や松川などを指定したところであります。
 今後とも、必要な予算の確保に努めながら、ハードとソフトを組み合わせて効果的な治水対策に取り組んでまいります。
〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) 被災した県立病院の再建状況についてでありますが、さきに公表した再建方針に基づき、大槌病院及び山田病院は平成28年度、高田病院は平成29年度の開院を目指し取り組みを進めております。
 大槌病院につきましては、本年度、建築工事に着手することとしており、昨年度末に病院設計業務を終え、現在、入札、契約の手続を進めています。
 山田病院につきましては、地元山田町において用地造成を進めており、これと並行して、医療局において、本年4月に設計委託業者を決定し、現在、病院とともに設計作業を進めております。
 高田病院につきましては、本年度、地元陸前高田市において用地買収及び造成を進め、その進捗も踏まえながら、医療局において病院設計を行うこととしており、現在、それに向けた検討を市や病院とともに進めているところです。
 現在のところ、3病院とも計画どおり進捗しており、早期再建に向けて、引き続き、各市町と緊密に連携しながら取り組みを進めてまいります。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) 認知症対策についてでありますが、認知症対策の推進には地域住民の理解、協力と参加が重要であり、県では、市町村と連携し、認知症の正しい理解を普及するための認知症サポーターの養成や、県民を対象としたセミナーの開催などに取り組んできたところでございます。今後は、地域住民の運営による認知症予防のための地域サロン活動など、高齢者が気軽に集える場をふやすことや、地域住民の参加による見守りネットワーク構築の一層の推進等が特に重要であると考えております。
 御紹介のありました陸前高田市における取り組みは、震災からの復興に向け、保健、医療、福祉の中長期的展望を探るとともに、住民が主体となって認知症の方を含めた高齢者を支える地域づくりを進めるものであり、県としても注目をしております。
 県としては、地域が一体となって高齢者を支える体制が構築され、認知症の方が地域で安心して暮らし続けられるよう、国等の交付金の活用等も図り、市町村の取り組みを支援していきます。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 被災した児童生徒及び教員に対するケアについてでございますけれども、まず、児童生徒の心のサポートにつきましては、被災地の実情に加え、阪神・淡路大震災後の状況などを振り返りましても、長いスパンで丁寧に取り組んでいかなければならないと捉えております。
 こうした認識のもと、全国からの支援もいただきながら、本年度におきましては、通常のスクールカウンセラーに加え、臨床心理士資格を有する巡回型カウンセラーと、福祉的な視点で支援を行うスクールソーシャルワーカーを増員したところであり、今後におきましても児童生徒や保護者へのカウンセリングやサポートに努めてまいります。
 また、特に医療的ケアを要する児童生徒につきましては、いわてこどもケアセンターを初めとする医療機関と連携するなど、適切な支援を引き続き行ってまいります。
 また、教職員につきましては、被災にかかわるメンタルの不調に対応するため、県教育委員会の保健師と看護師が各学校を訪問して、体調のチェックやメンタルヘルスチェックの事後指導、震災にかかわる心のケアを実施いたしております。あわせて、災害時の心のケアに精通した専門医による個別相談なども行っているところでございます。
 児童生徒への指導面では、教職員がスクールカウンセラーによる専門的なアドバイスを受けながら、児童生徒への教育相談等に対応する体制の整備に努めているほか、ストレス対処法、トラウマ反応の理解と支援など、各学校のニーズに合わせた教員研修も実施しているところでございます。
 次に、学校の統廃合及び中高一貫教育についてでございますが、まず、公立小中学校の統廃合につきましては、少子化の進展による小規模化に伴い統廃合が進んできているところであり、設置者である市町村において、それぞれの実情や子供たちの状況に応じて必要な教育環境の整備と教育効果の向上等を目指し、地域住民の方々の意向をも反映させながら、統廃合に取り組んできているものと承知いたしております。
 県教育委員会といたしましては、将来にわたり義務教育の機会均等、教育水準の維持、向上を図り、子供の学校教育を保障する観点から、市町村教育委員会に対して、先行事例等の情報提供など適切な指導、助言を行うとともに、市町村において総合的に判断した結果、統廃合を選択した場合にありましては、統合後の学校への教員加配や通学手段の確保など必要な支援を行ってまいります。
 県立高校の再編につきましては、現在、県教育委員会としての方向性の決定に向け、外部有識者による検討委員会での議論を始めていただいております。
 再編の基本的な考え方といたしましては、東日本大震災津波の影響や少子化のさらなる進行など社会環境の変化を踏まえ、岩手の子供たちの確かな成長を支え、よりよい社会を形成し得る有為な人材、復興に寄与する人材を育成できる高等学校教育を目指していくものでございます。
 次に、中高一貫教育についてでありますが、御案内のとおり、その実施形態には、中等教育学校のほかに、県と市町村がそれぞれの設置者となって、中高が授業指導や入学生の枠等で連携する連携型と、中高の設置者が同一で、ほとんどの中学生が同じ高校に進学する併設型がございます。
 小規模な高校における中高一貫教育につきましては、本県では軽米高校と葛巻高校において連携型の中高一貫教育に取り組んでおりますが、併設型で設置する場合は、生徒の学校選択の幅を狭くする等の課題がございますことから、中高一貫教育を導入する場合においては連携型が望ましいものと考えております。
 住田町からの併設型の県立中高一貫校の設置につきましては、これまでさまざまな機会に要望いただいているところでありますが、県教育委員会といたしましては、県と市町村の役割分担とあわせて生徒の学校選択の幅を確保すること等を考慮し、県立で中山間地域のモデル校として設置してほしいという要望の趣旨に沿った対応は困難である旨、お伝えしてきているところでございます。
〇8番(佐々木茂光君) 答弁どうもありがとうございます。
 知事に再度、再質問というか、復興計画もことしは元年から加速して本格復興ということで、4回目の夏を迎えるわけでありますが、人口問題を取り上げますと、あの時点で急激に5、000人、6、000人の方々が人口減少したわけであります。それでなくても沿岸部―岩手県ばかりでなく、これは全国どこでもそうなんでしょうけれども、人口が減少傾向の中でどんどん下がってきた。その中で、震災が起きたことによって、5、000人、6、000人の方々が岩手県の場合は急激に落ちたわけであります。私は、なぜそのときに、それらに対する取り組み、対策というものが復興計画の中に盛り込まれることがなかったのかということを実は思っておりました。
 この間、県のほうでもそういった対策本部を立ち上げたということになりますが、私は、本当に遅かったんじゃないかと思います。これは、例えば、きょう生まれたからといって、あしたに社会のためになるというか、少なくとも社会に出てくるまでも20年かかるわけだし、それの落ち込んだ分をどのような形で取り戻すのかということを、実はその復興計画の中にうたってほしかったというのは思います。それはやっぱり復興に向けた知事の一つの思いでもあったかと思うんですが、この期に及んで、これは全国的に例えば市町村の消滅、人口が減っていくということに対する対策の中で、今、動き出したわけでありますけれども、私たちはその以前に動き出している、本来ならば。だから、そこを私は知事に欲しかったということを思います。
 これまでの復興計画の検証といいますか、その検証が今回の推進年に向けた計画にどのように大方反映されているのか、それをまず聞きたいと思います。
 今、人口問題に触れたというのはそういうことなんですが、やはりリーダーである以上は、その先を歩んでいくのが本来の姿ではないかと思います。私は、ここに来て1年目から、知事、岩手県で一人、あなたは選ばれた方なんですよと。そういった意味で、知事には、岩手県の復興をどう立ち上げていくのか、まさに岩手がこのような形からどうやって立ち上がっていくのかということを、全て正直なことを申し上げますと、それが知事に全部背負わされた一つの大きなテーマではなかったのかと思うんです。
 今、少し、話が残土の話になってしまいますけれども、我々は今―応急仮設住宅もそうです。今度、5年まで延長できますよというような話が通知の中で下りてきておりますけれども、本来、おまえさんたちは2年で私をここから出すと言ったでしょということが、知事が一生懸命沿岸被災地のほうを歩いておると思いますけれども、なかなか本当の気持ちが知事の中には届いていないのではないかと思います。もう、半分諦めの境地でいるのも事実であります。やっぱりそういうところを、知事がみずから酌み取るという一つの行動の中にそういったものも示していただきたいと思うところであります。
 復興計画、本当にこれができてしまったときに、どれだけの人たちが地域に残るのかというのが、正直なところ、被災地の人たちはそういう気持ちもみんな抱えております。いろんな復興施策の中でいろいろ取り組んでいただいていることに対しては、誰も遊んでいる人はいないというのは、みんなこれは承知しております。ただ、結果的にこうやって延び延びになっていくということに対しては、みんなもやっぱりこれから将来の先が見えないという状態にありますことを、知事にももう一度しっかりとそこを心していただきたいと思います。
 今の率直な知事のこれからの復興に対する気持ちを、きょうは被災地からもまた大勢の方々が傍聴に来ておりますので、そういった思いをも皆さんにもわかるように伝えていただければと思います。
 それから、まず、道路の問題になりますけれども、私たち被災地というのは、費用対効果という言葉を出されては、はかるものがないということなんです。BバイCを言われても、はかるものがないです。だから、道路網の整備、例えば岩手県をこれから交流人口でいかにして盛り上げていくかということを考えたときに、前にも言ったように、平泉は岩手の遺産だけでなく世界遺産だと。そういった中で、被災地がこれから起き上がろうとしているための道路を私は引いてほしい。例えば宮古、釜石、これはもう港湾としての指定もあります。もちろん大船渡だって、そういうことを考えれば、港湾としての役割をこれから果たしていくわけですから、そういったところに対する手だてとして道路を何とかお願いしたいと。これは、確かに既定の路線で、今までの計画はこうでしたよと。その中で、これから道路をその中に入れていくということは難しいと、これは承知します。だけども、これは知事ですよ。やはり岩手にはこれだけの道路をつくらなければならないというものを知事が持つか、持たないかでしょう。金は後から来るんでしょう。その形を出すか、出さないかだと私は思います。これは県土整備部長が答弁できる話では恐らくないと思います。これもあわせて知事のほうから、本当にこういう道路網を整備して岩手をこんな感じで盛り上げていくぞというものを言葉の中から示していただければと思います。
 それから、学校のほうになりますけれども、住田町はこれまで、そういった中高一貫を含めて、まさに地域の特色を生かした学校づくり、地域の子供たちを地域で育てようという学校づくり、それを目指しての提案というか、提言だったかと思います。
 今、確かに被災地を含めて子供の数が少ない中での学校運営、学校経営というのは、これは大変だと思います。やはり地域の中から子供たちを社会に出してやるとなると、本当にそこの方々がやるという気持ちがあるのであれば、これは組んでやるのも一つの進め方ではないかと思いますが、改めてその辺の考え方をお示し願えればと思います。
 あとは、やっぱり私たちも被災地だということもありまして、子供たちは成長とともに受け方というものは変わっていくと私は思うんです。受け方というか、それはちょっと言葉はどうかは別にしても、ただ、先生たちは、そういう子供たちの中で教育に入っていくということが、先生たちの苦労というもの、これも半端でないぐらいの負担がすごくかかっているのではないかと思うんです。もちろん、子供のサポートも大事ですけれども、教える側の先生たちのサポートを一番しっかりして―しっかりというのは、これは何というのか、ある程度プライベートといえばおかしいんですけれども、先生たち同士でも、入り込めないところというのはあります、お互いに。だけども、教育現場で学校、例えば校長先生を中心にした中での縦とか横のつながりを密にすることによって、先生たちの負担というものを取り除いてやるということはできるかと思うんです。だから、そういった取り組みを、もし、何か今、具体的にこういう取り組みも含めてやっていますよというのをお教えいただけるのであれば、お示しを願いたいと思います。
 子供たちの変化というのも、あれから3年、3年生だった子供は中学校に行くだろうし、入学してきた子供は、今、3年生か4年生ということになります。だから、その子供たちの変化がどういうふうに今なっているのかということも、どこかの学校、例えばこういう学校がありますとか、もしありましたならば、それもお示し願いたいと思います。
 それから、また津付ダムの話に戻しますけれども、今までの取り組みを、これはことしの3月にも実はお話をしたわけでありますけれども、それでは、津付ダムに、これまでダムでなければなりませんよとして執行部が動いてきた、それをまたひっくり返すんですよ。そのひっくり返したことに対して、どうやってわかってもらうんですかということを私は実は聞きたいです。いろいろ説明の中で、だって県がそう言うんだもの、しようがないでしょうという、これはもう諦めですよ、本当に。これ以上言ったってわからない、そういう思いが出ている。その思いをどういう気持ちで酌んでいるか、そこをまず私は知りたいです。そこもあわせて答弁願いたいと思います。
 それから、木造のあり方。今、住田町、紫波町の役場、花巻の宮沢賢治の里、母校もそのような形で県産材をふんだんに使った学校づくりをされている。これは、これからもそれにもっともっと加速して、復旧、復興される公共物の再建等については、そういったものを導入した考えの中で、まさに岩手県が林業、山の県であるぞというものを世界に知らしめていくいい機会ではないかと思いますので、そういったところにも力を入れていただきますようにお願いをするというよりも、ただお願いしたってわからないので、ならば、その気持ちを私のほうにもお伝え願えればと思います。
 これは最後になりますけれども、今、まちづくりということで―失礼、もう一つありますけれども、まちづくりを行っていく中で、いろんな誘致企業もあります。地元企業が、今、それに向けて立ち上がっているところもあります。ところが、その働く場所に人がなかなかそろわない、スタッフがそろわないという現状も実はあるわけであります。特にも、まちづくりの中でいろんな商店街も、デパートもということで立ち上がってはくるんですが、なかなかそれにかかわる従業員の方々がそろわないという問題も実は抱えている現状でもありますので、それらの人手不足等に対する対策等を県のほうでいかように考えているのか、ありましたらお示しを願いたいと思います。
 それから、最後に福祉のほうの先ほど言った認知症の取り組み方なんですが、やはり医者が足りなかったり、看護師が足りなかったり、介護に携わる方が本当に足りない状態であります。今、福祉ということで、認知症も問題、高齢化とともに応急仮設住宅の中の1世帯、2世帯の限られた方々が認知症になりかけている。それをやっぱり予防するためにも、そういった介護に携わる方々の人手が欲しいのが現状であります。よそからいろいろお手伝いに来てはいただきますけれども、その方々は、専門職の方々は来ますけれども、それをサポートする人たちが現地にいないものですから、実際、センターをやったり何かしていろいろ取り組むんですが、その中にお手伝いをする人たちも実は現地から、現地の人たちが採用される形でやっているということで、総じて人が足りないということも認識いただきたいと思います。そういった対策もありましたならばお願いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、復興と人口問題の関係でありますけれども、ある意味、復興計画の全てが人口問題対策であるということが言えると思っております。復興というのは、ふるさとを消滅させないことでありますので、津波の被害を受けて消滅しそうになった、そういうふるさとをしっかり直して、そして生活や仕事を再建させていく。また、この復興のためのさまざまな施策、それはコミュニティの強化、医療や福祉で言えば地域包括ケアの体制の充実、そして、さまざまななりわいの再生、地域資源を活用するような形でのなりわいの再生、観光の強化もそうであります。また、一旦ふるさとを離れた人との連絡という新しい課題への対応、こういったことが全て被災地以外のところのふるさとを消滅させないという人口減少対策に、これはそのまま使うことができるということで、むしろ、先ごろ、県のほうで人口問題対策本部を立ち上げましたのは、被災地復興向けに、今からということではなく、逆に、被災地復興の現場で3年間にわたって国と地方、民間と行政が今までにないぐらい力を合わせてふるさとを消滅させないということに取り組んできたその成果をオール岩手に活用して、岩手全体においてふるさとを消滅させないということを目指そうという発想から行っているものでございます。
 そして、今、現場で半分諦めのムードもあるという話でございますけれども、農林水産業でも今までにないような大きな区画の水田ができました。今までにないような野菜工場、キノコ工場、また、陸前高田市に園芸の研究施設もあります。今までにないような園芸についても発展が期待されます。そして、宮城県の大きな水産加工工場が陸前高田市に移ってくる。イオンもできる。そしてスポーツ関係の県の施設も岩手の中で陸前高田市に集積しているわけでありますし、また、震災復興のメモリアル―今現在、計画されている中では、日本全体、東日本大震災の全体の象徴になるようなメモリアル施設が陸前高田市に計画されている。県の計画では8年間というそのぐらいの長い時間はかかるんですけれども、この陸前高田市の復興がなった暁には、これはもう目の覚めるような、今までにないような、これからの世代に誇りを持って引き継ぐことができるような陸前高田市ができるのだということで、決して諦めずに復興、みんなで力を合わせ、市町村、県、国、民間と行政が力を合わせて進んでいくということを改めて申し上げたいと思います。
 道路については、これは復興の計画の中では、既に計画のあった高規格道路、地域高規格道路の整備ということで、全く新しい、計画のない高規格道路、地域高規格道路というのを入れることは困難というか、まず、今、計画のあるものを整備しようということで、国と合意して進めているところでありますが、ただ、これにしても、毎年度の予算を獲得するのは容易なことではございませんし、平成27年度、来年度までの集中期間の5年間を過ぎた後の予算ということについては、これはもう必死に、今、国にお願いしているところでありますので、議員にもぜひ、国のほうにしっかり県としてお願いするところはお助けいただきたいとむしろ思っているところであります。
 そして、津付ダムについてでありますけれども、これは、先ほども述べさせていただきましたけれども、やはり機会あるごとに地域の皆様との対話を重ねながら気仙川流域の治水対策を進めていくということで、安全・安心な地域の実現を目指していくという地域の皆様の思いを共有しながら、県として事業を進めていくということが肝要と考えております。
〇教育長(高橋嘉行君) まず、住田高校の関係でございますけれども、一貫校も含めましてでございますけれども、これは住田町からの長年の強い要望だということは我々は十分承知いたしております。
 そういう中で、住田高校に対しましては、町のほうから、学校給食でございますとか生徒たちへの活動支援という形で、おらほの学校だという熱い気持ちでエールを送って、実質的な御支援もいただいております。
 それで、中高一貫校の話につきましては、これは平成17年度ごろからいただいておる話でございますけれども、県立高校の再編に当たりまして、新しいタイプの学校のあり方という議論をする中で、第三者の方を含めました検討委員会を設置した経緯がございます。その席に住田町長にもおいでいただいて、熱い気持ちを語っていただいたんですけれども、その当時は1学年2学級、現在は1学年1学級になっておりますけれども、この併設型の一貫校というのは、学校規模が極端に小さい規模ですと、なかなかそれは効果があらわれず、むしろ問題のほうが多いというような中で、そういう結論にも至っておりまして、そういう点で、先ほど申し上げたような御回答をさせていただいたということでございます。
 それで、今回の検討の中にありましては、あの当時と違いますのは、大震災津波を経たという大きな社会変化がございます。それらも踏まえまして高校のあり方について御議論をいただくことといたしておりますので、一貫校とは話は別の問題ですけれども、高校のあり方、4学級から6学級が望ましい規模としたこれまでの方向性というものを含めて、その妥当性も含めて検討させていただきたいと思っております。
 それから、先生のサポートということでございますけれども、これは、議員からただいま学校現場に対して温かいお言葉をいただいたというように思っております。まさにおっしゃるとおりでございまして、これは個々の教員が自分のクラスの子供たちを見るということでは、学校を挙げて、それから県教育委員会も含めまして組織的に対応するということが極めて大事だというように思っております。
 それで、現在、教育委員長も、私どももですけれども、県内の義務教育の小中学校の校長先生が全員集まる研修講座というものをブロック単位で開いております。そこでは、やはり先生方の動きをきちんと見ていただいて、組織的な対応をしてほしいというようなことで、それがまた子供たち一人一人をよく見きわめることになるのだというようなことを直接お願いいたしておりまして、そういう中で、学校で先生たち、子供たちと正面から向き合ったような教育、それから教職員への支援というものにも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、いい形で進んでいる学校ということなんですけれども、先般、大船渡市のある中学校にお邪魔いたしました。そこは校庭全体が応急仮設住宅になっておりまして、通常の体育活動や部活動がグラウンドではできないという学校でございましたけれども、そういう中で不登校が一人もいないという学校でございました。生徒が一生懸命前を向いて頑張っているという姿を熱く心に感じさせていただきましたし、それから、その応急仮設住宅に住んでいる方々との生徒たちの触れ合いというようなことで、お互いに支え合って、そういう中で、子供たちがそこでまた将来に向けて自分たちのありようを考えているというような姿も直接目にさせていただきました。そういうようなところで、厳しい生活環境ではありますけれども、生徒たちは総じて前を向いている。一方、仮設住まいが長くなって、さらに新たな問題が出てくるという子供もおりますけれども、総体的には前を向いている子供のこの力に大きく期待したいし、我々は支援していかなければならないと思っております。
〇農林水産部長(小原敏文君) 木材利用の推進でございますけれども、県では、高度利用計画の中での木材利用の目標を定め、推進してございますが、平成22年に国のほうで公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が制定、施行されました。これに基づきまして、県内全市町村において平成24年度末に方針を策定して推進を図ることとしてございます。これらの機運の中で、県としましても、関係部局と連携しながら、これまで以上に県産材の利用拡大に向けて取り組んでまいります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 被災地における事業所の人手不足ということについてのお尋ねについてお答え申し上げます。
 まず、先ほど御答弁申し上げましたように、これまで、グループ補助金等の活用によって事業所の再開という形、あるいは企業誘致によって新たな雇用の場の創出といったことに努めてまいりました。そういう状況下にあって、本年5月の沿岸地域における有効求人倍率を見てみますと平均で1.17倍ということで、これは23カ月連続で1倍を超えるという高い水準が続いておりまして、企業の労働力の確保が大変難しい環境になっているのは、議員御指摘のとおりだと思っております。
 私どもといたしましては、これまで、業務形態、賃金面などでの求人、求職双方のニーズが合っていないのではないかというようなこと、さらには、震災によって生活環境が変化したことによって、働きたくても働けない方々がまだいらっしゃるのではないかと考えておりまして、これまで、企業見学会、さらには就職面接会といったものを地道に継続実施してきているところでございます。一気にマッチングが進むという状況にはなっておりませんけれども、これにまず取り組むと。
 さらには、雇用条件に関しても非常に重要な要素の一つではないかと考えておりまして、事業復興型雇用創出助成金というものがございますが、これの活用、さらには、事業所に対しての要請活動ということをしっかりと行いながら、正規雇用などの安定的な雇用条件への改善が図られるよう、そういった取り組みもあわせて進めていきたいと考えております。
 岩手労働局とも沿岸被災地の労働力の確保等に向けての協定も結ばせていただきました。今後におきましても、そういった関係機関とも一層連携いたしまして、求職者への情報提供などによりまして、マッチングの促進、それから、あわせて企業向けセミナーの開催によって、職場への定着をさらに一層支援して、企業の人材確保に努めてまいりたいと考えております。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 介護職員の不足の関係でございます。
 介護職員の不足については全県的な問題だと認識しておりますが、特にも沿岸部が厳しい状況だというのは承知しております。
 そのため、県では、介護職の資格取得の支援事業、あるいは沿岸部の住宅確保事業、こういった事業は組んでおりますけれども、昨年、労働局、県といった行政、それから介護関係の団体等を含めて介護の職員確保の連絡会を組織しておりますので、ここの中でいろいろな情報交換、議論をしながら、それぞれの主体が何をすればいいのか、あるいは連携して何ができるのかといったようなことの中から、岩手県の介護職をどういう形で確保するかということを議論してまいりたいと思っております。
 なかなか厳しい状況ではございますけれども、それぞれがいろいろな知恵を出しながら進めてまいりたいと思っております。
〇8番(佐々木茂光君) どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
〔「議長、関連」と呼ぶ者あり〕

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