平成26年6月定例会 第15回岩手県議会定例会会議録

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〇10番(佐々木朋和君) 民主党の佐々木朋和でございます。
 3度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員に感謝を申し上げ、質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 まずは、人口減少対策について伺います。
 5月8日に日本創成会議人口減少問題検討分科会が発表した2040年全国市町村別、20歳から39歳女性の将来推計人口は、岩手県だけではなく全国的に大きな衝撃を与えました。前提となる数字に議論の余地はあると思いますが、岩手県内27市町で若年女性が50%以上減少し、人口が15市町で1万人を割るという分析結果は、無視できるものではありません。
 岩手県では、震災復興に、そして被災地を支えるべく全県一丸となって県勢の発展に取り組んでいるところでありますが、人口減少がもたらす地域崩壊は、それらさまざまな施策を無効化してしまうものであるからでございます。
 今回のこの分析結果を不安に思う県民も多く、今こそ、岩手県には、この人口減少問題に真っ向から向き合い、全庁挙げて取り組んでいくべきとの思いから質問をさせていただきます。
 日本創成会議では、人口減少の最大の要因を若者の大都市への流出にあるとしており、本県にも、若者が地域に残れる、残りたいと思う施策が期待されております。
 また、日本創成会議では、一つには、若者が結婚し、子供を産み育てやすい環境をつくるストップ少子化戦略、二つには、地方の立て直し、再興を図る地方元気戦略、そして三つ目に、女性、高齢者など人材の活躍を推進する女性・人材活躍戦略という三つの戦略を宣言していますが、県としても検討、分析をする必要があると思います。
 県は、これまで、岩手県民計画アクションプランにおいて社会減に歯どめをかける取り組みを行い、社会減のストップまでは行きませんが、その幅が減少しており、一定の成果を挙げてきています。その取り組みと効果をどのように分析しているのか伺います。また、今般、県では人口問題対策本部を設置したとのことでありますが、日本創成会議の三つの戦略を参考にしつつ戦略を立てていくべきと考えますが、御所見を伺います。
 また、人口の自然減については、結婚、妊娠、出産、育児の切れ目ない支援が重要であると考えます。県には、国の施策と市町村の施策を研究し、その中で、切れ目があるところに的確に施策を打っていく必要があります。現在、各市町村は、例えば一関市においては、小学校以下の子供の医療費を全額補助するなど、独自の政策を打っており、市町村からの意見の聞き取りや、このような独自の取り組みの補助をしていく必要もあると思います。
 また、実際に子育て世代のお母さんやお父さんの生の声を聞き、施策の決定やPDCAサイクルを回して、より子育て世代の立場に立った制度運用を目指していかなければなりません。
 今般、6月定例会補正予算に地域少子化対策推進事業費が計上されておりますが、これらの施策が選ばれた前提として、現状をどのように分析しているのか、市町村との連携体制はどうなっているのか、また、子育て世代の意見が反映されているのか伺います。
 次に、国際リニアコライダー計画について質問いたします。
 本計画は、人口減少が叫ばれる中、貴重な交流人口増加の契機であり、県として、東北として、何としても誘致を成功させなければならないと思っております。しかし、人口減少が進む中、この誘致活動を通して協働のまちづくりや産業振興に努め、魅力ある地域づくりを推進していかなければ、研究施設に寄りかからなければ立っていられないような地域になりかねないとの懸念もございます。大きなプロジェクトを呼び込むためには地域にも力がなければならない、そのような思いから質問をさせていただきます。
 2月定例会の予算特別委員会において今後の推進体制について質問した際、県では、平成25年に庁内横断的にワーキンググループを設置して、生活環境の整備、ILCを活用した産業振興、農林水産業の振興、アクセス道路のあり方を検討している、また、今後、必要に応じて関係市町の職員をワーキンググループに招いて議論を行う旨、答弁されておりますが、現状はどうなっているのかお伺いいたします。また、地域の盛り上がり、誘致活動を継続させていく工夫が必要と指摘させていただきましたが、その後、取り組んでいることがあれば教えてください。
 次に、ILC関係市の取り組みの支援について伺います。
 ILC各関係市では、独自の誘致活動、環境整備を展開しており、奥州市では、日本在住の外国人を巻き込んでのソフト面の環境づくりに力を入れておりますし、一関市では、産業界に働きかけをして、加速器関連産業の集積の準備を進めています。
 県として、関係市で具体化が進んでいるこのような取り組みを支援していくことも推進策と考えますが、御所見を伺います。
 また、気仙沼市を含む宮城県北の自治体では、東北における加速器施設のロードマップを共有し、動き始めているとお聞きしております。県境を挟んだ候補地でいかにして連携していくかが課題として挙げられますが、市、町を主役に隣接する自治体同士の連携する動きを支援することで地域としての一体感を醸成していく、このような方法も考えられると思います。
 岩手県は、国際リニアコライダー計画の推進に関して、市の役割、県の役割をどのように考えているのか伺います。また、このような隣接する自治体同士が連携する動きを県は支援するべきと思いますが、御所見を伺います。
 次に、加速器関連産業の集積、企業支援について伺います。
 例えば、超伝導加速空洞というILCの部品は、日本国内で1企業しか生産できないという技術で、その生産能力も、ILC建設の3分の1程度であると計算でき、海外から3分の1を輸入しても、残りの3分の1は現地の東北、岩手で生産するのが望ましいと言われております。一関市も産業集積に向けた取り組みを始めていますが、まだまだ産業界の新事業に対する動きは鈍く、その原因は、ILCがまだ先の話であるというイメージや高い技術の習得が壁になっていると考えられます。
 しかしながら、東北に目をやると、福島県のBNCT、山形県の重粒子線治療は2014年から2018年期に治療を開始しますし、宮城の東北放射光、青森のIFMIFは2019年から2023年期にそれぞれ供用、運転開始となっており、東北における加速器施設の集積、実用化が始まっております。
 国内を見ても、300兆円と言われる工業産業のうち加速器関連産業が70兆円を占めるまでに成長してきており、ILCの実験開始を待たずに、東北が加速器関連産業の集積地となる可能性も見えてきていると思います。岩手県もその流れに乗りおくれず、自動車産業に次ぐ加速器の産業集積地を目指すべきだと思います。そこでネックになるのが高い技術習得という壁であり、県には、各企業が新事業に手を上げやすい環境づくりをする役割が求められていると思います。
 県は、まずはこのような東北の加速器施設実用化の状況を県内企業に周知するとともに、若者の加速器関連産業の起業支援策や高い技術を持つ県外企業と県内企業の協業化や技術誘導策、のれん分けなど、技術習得に向けた具体策を打ち出すべきだと思いますが、御所見を伺います。東北の加速器関連産業の現在の状況とともにお示しください。
 続いて、観光振興策について伺います。
 まず初めに、観光と定住施策の連携について伺います。
 現在、お客様のニーズとして、観光には、単なる物見遊山ではなく、グリーンツーリズムに代表される現地の生活に根差したプログラムが求められてきており、いかに平素の地域のよさを伝えるかということがキーワードとなっています。それを突き詰めていくと、行きたい、また来たい、住みたいとつながり、定住、交流施策という人口減少対策とリンクしてくると思います。
 観光振興策として定住施策との共通のイメージ戦略の構築や観光施設への定住施策パンフレットの配布、定住を念頭に置いたモデルコースの試行など、定住施策との連携強化をすることは、人口増加に寄与するだけではなく、岩手の観光をより深化させる効果も期待されます。検討すべきと思いますが、御所見を伺います。
 続いて、各圏域ごとの魅力アップ、リピーター対策について伺います。
 平成25年度の交流人口データを見ると、平泉町への入り込み客数が前年比81%となっており、世界遺産登録前の水準以上ではあるものの、集客効果の薄れが懸念されております。今年度のゴールデンウイーク中の久慈市内の入り込み状況は昨年と同等で、三陸鉄道全線開通効果もあったと思いますが、あまちゃん効果の継続に安堵しております。
 しかし、世界遺産は、富士山に続き、ことしは富岡製糸場が登録され、連続テレビ小説は、あまちゃん後2作とも大ヒットということで、次々に新しい話題があり、さらに、この7月には大阪ユニバーサルスタジオジャパンにハリーポッターのアトラクションができるということで、例年の四、五倍の予約が殺到しているとのニュースもありました。今年度の県内の観光客の入り込み数を狙う上で、夏休み、お盆シーズンは注視が必要だろうと思います。
 県では、平泉、あまちゃん効果を全県に広げるべく御努力されており、敬意を表しているところでございますが、肝心のキーとなる平泉やあまちゃんなどの主要観光地の集客力を維持する取り組みが必須であり、特に、リピーター増加に向けての取り組みが不十分であると考えます。
 東京ディズニーランドやさきに挙げた大阪のUSJは、毎年のように新しいアトラクションを追加してリピーターの維持に努めています。中小企業が多い岩手の観光業者が、このような大資本とお客様に比較され、選ばれていかなければならないということは大変なことです。
 私は、そこで、官民一体となって、その観光圏域に新たな魅力が年々加わっていき、リピーターにつながるような圏域ごとの観光推進計画をつくるべきだと思いますが、御所見を伺います。
 また、いわてデスティネーションキャンペーンに続き、昨年は仙台・宮城DCが、ことしは山形DCが今まさに開催中でありますが、岩手県への波及効果はどの程度であったでありましょうか。私は、各振興局ごとに隣接県と連携を高めて、一体の観光圏として魅力のアップに努めていく、また、隣県からの集客に力を入れていくべきだと思います。
 そこで、それら施策の司令塔として、広域振興局に観光面においてもっと大きな権限と予算を持たせ、圏域ごとの売り込みを強化すべきであり、ひいてはそれが、岩手県全体の観光振興につながると思いますが、御所見をお願いいたします。
 続いて、日本一のおもてなしについて伺います。
 本年は、みちのく岩手観光立県第2期基本計画の初年度であり、その中で、岩手県は日本一のおもてなしを目指すことを宣言しており、その取り組みが注目されています。
 オリンピック誘致のプレゼンで日本のおもてなしというフレーズが世界で通ずる言葉となり、岩手はすばらしくタイムリーな目標立てをしたと思う一方で、日本国内各県が、東京オリンピックに向けておもてなしの充実を目指してくることが予想され、ハードルの高さも実感します。
 そのような中、2月の予算特別委員会のときも質問しましたが、具体的にどのようにして観光業者に、そして県民に岩手の日本一のおもてなしを浸透させていくのか、また、その前提として、やはりこれが岩手の日本一のおもてなしだというイメージ、具体像が必要だと思いますが、どのようにつくり上げていく所存であるか、知事の御意見を伺います。
 台湾直行便利用継続策について伺います。
 花巻空港と台湾を結ぶ国際定期チャーター便は、目標の利用率80%を超え、来春の定期便実現への機運も高まっています。台湾からのインバウンド増加には、東京、大阪、名古屋のゴールデンルートや九州を初めとする日本各地との競争に打ち勝つ必要があり、前に述べた県境を越えた連携により観光圏を創出し、魅力アップに努めていくことが必要だと思われます。
 また、アウトバウンドについても、今回は県民の台湾へのアウトバウンド意識も高まり、民間企業の社員旅行や企業、各団体視察利用が多くありましたが、大型連休期間は逆に空席があったとお聞きしております。
 定期便を維持していくには、県内各市と台湾の姉妹都市の締結など、岩手と台湾の自治体、市民同士の交流の促進やビジネスマッチングの推進などの環境整備を進めるべきと思いますが、今後の計画はどのようになっているのか伺います。
 みちのく潮風トレイル、三陸復興国立公園、ジオパークの連携について伺います。
 現在、県では三陸ジオパークに取り組んでおり、環境省所管の三陸復興国立公園、みちのく潮風トレイルというハードを生かす取り組みとして期待しております。
 先日、環境福祉委員会視察で、震災メモリアルパーク中の浜を視察させていただきましたが、環境省の職員の方も、ガイドをしてくれる地元の方を探すなど準備を進めており、頼もしく思いました。しかしながら、三陸国立公園、潮風トレイルともに、どのくらいの集客を見込んでいるのか全体像が見えていません。
 県には、主導的に、みちのく潮風トレイル、三陸復興国立公園、ジオパークの資源を生かし、これらを一体とした三陸観光の目玉づくりを期待していますが、今後どのように連携を深め、また、いつまでに、どれくらいの集客を目指していくつもりなのか、構想を伺います。
 次に、農業振興について伺います。
 先日、環境福祉委員会の調査で紫波町の循環型社会の取り組みを視察してまいりました。グローバル化の中にあっても、地域内での循環型社会を目指す、できるだけ町内、県内でお金が回る内需拡大型の経済政策をとっていくという紫波町の姿勢に、地方元気戦略につながるヒントを感じてまいりました。
 日本創成会議地方元気戦略の中でも6次産業化と輸出促進による農林水産業の再生を掲げていますが、その下支えとして、給食への県産食材利用を推進していくべきだと思います。
 みちのく岩手観光立県第2期基本計画でも、観光を総合産業として捉え、地域への波及効果、県産食材の利用を推奨していますが、コスト面や安定供給に課題があるのが現状でございます。そこで、給食による県産食材の利用を進めることでロット数を確保し低コスト化する効果と、安定供給に向けた県内各地の連携体制の構築に効果があると思います。
 県内の給食の県産食材利用率はどのぐらいなのか、また、県として目標を設定して取り組んでいると思いますが、現状と課題をお示しください。
 次に、原木シイタケの再生産の推進についてお伺いします。
 震災以来、放射性物質の影響に苦しんできたシイタケの再生産でありますが、全国的な生シイタケ市場価格の持ち直しも出てきており、昨年度は、県内でも施設栽培の原木シイタケの出荷自粛要請が解除され、やっと明るい話題も聞こえてきました。これまでの県の御努力に感謝を申し上げます。
 また、昨年度からは、露地ものの出荷制限解除へ向けた取り組みを行っていると聞いております。しかしながら、乾シイタケの市場価格はいまだ戻らず、出荷できない生産者は、震災より3年、東京電力からの賠償以外無収入であり、その東京電力からの賠償も、早まっては来ていますが、請求から二、三カ月のタイムラグがあるということで資金繰りが厳しい状態も続いています。県では、そのためにつなぎ融資を行っていますが、東京電力からの賠償が決定していないものには使えない現状であります。
 県は、出荷制限解除へ向け厳しい工程管理を行っていく生産者に、岩手のシイタケ産業が県にとってなくてはならない産業であり、産地として本気で再生を目指していることを生産者に伝え、ともに歩んでいく姿勢を見せるときだと思います。
 県として、東京電力からの賠償ありきではなく、独自財源を出してでも産地再生へ向けた取り組みを打ち出し、県として再生産を推し進めるのだという強いメッセージを出すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、太陽光発電について伺います。
 資源エネルギー庁では、平成26年2月に、平成24年申請分の400キロワット以上の太陽光発電設備の進捗状況を発表しましたが、運転開始済みが22%、設置断念が9%、いまだ運転開始に至っていないものが67%という状況でありました。
 県内の状況も、平成26年6月17日公表のデータで、メガソーラー認定状況、176件中、運用開始は15件であり、計画どおり整備が進んでいるのか不安が残ります。
 太陽光発電事業は、エネルギーの地産地消を目指した意義のある事業で、地域の空き地を生かせることもメリットでありますが、20年の長きにわたる事業であり、新規参入の県外業者も多い中、継続性や後始末に不安の声もあります。
 現在、国は、各事業ごとのデータ発表を控えており、県としても実態の把握に苦慮しているとお聞きしておりますが、県として、県民の不安を払拭していくために事業のフォローアップをしていく必要があると思いますが、御所見を伺います。
 次に、水害対策について伺います。
 昨年7月から9月にかけての豪雨、ゲリラ豪雨災害を受け、被災河川では、現在、河道掘削、雑木の処理を行っております。震災対応のマンパワー不足の中、復旧作業に当たる職員の皆さんや民間事業者の皆さんには、頭が下がる思いでございます。
 昨夜も一関市東山地域の里前において―床上浸水をした地域でございますが―河道掘削の説明会がありました。現場の職員の皆さんには、住民の皆さんの声を聞く姿勢を持っていただき大変感謝をしているところでありますが、7月の水害から1年がたつというときになってもまだ、河道掘削の説明のままであるということに、住民の皆さんからは不安の声が上がっております。
 住民の皆さんからは、河道掘削後、また雑木の処理後の状態をどうやって維持していくのかと不安の声も上がっております。県では河川のパトロールを強化すると方針を出していますが、河川管理について、県では、土砂がどのぐらいたまったら掘削をするのか、雑木がどのぐらい繁茂したら切るとか、明確な基準を有しておらず、そのパトロールが本当に有効なのか疑問が残ります。また、民有地の雑木の処理をどのようにしていくのかという課題もあります。
 今般の水害で私の地元も被災し、10年に2度の床上浸水を経験した住民の方からは、10年ごとに家財道具も何も全部だめになったのでは、とても生活できないという声をお聞きしましたし、水害が原因で撤退した企業もございました。防災対策が機能しなければ、どんなに人口減少対策をしても無意味であり、安全・安心が基本だということを思い知らされた出来事でございました。
 県としては、この水害を教訓に、住民に不安感を与えることのない河川管理の考え方や具体的な基準を設けるなど、前進した姿を見せるべきだと思いますが、御所見を伺います。
 次に、今後の高等学校の教育の基本的方向の見直しについて伺います。
 震災後凍結していた高校再編の議論がスタートいたしました。人口減少に歯どめをかけ、復興の担い手に多くふるさとに残ってもらうためにも、高校と地域がかかわる仕組み、産業界がかかわる仕組みをより一層強化していかなければならないと思います。
 例えば、現在、県立病院を守るために地域のボランティア組織が結成されていますが、同じように学校と地域を近くする取り組み、子供たちが地域に残りたいと思えるような関係性をつくる取り組みを行うことも必要だと思いますし、授業内容や学科も地元企業が必要とする内容となるようにしていく必要があると思います。
 現在もそのような取り組みをしているとは思いますが、学科などのあり方について、地域や産業界がもっとかかわれるような工夫が必要と思いますが、御所見を伺います。
 また、地域の担い手を育成していくには、小規模校でも、地域に高校が必要な場合があると思いますが、考え方を伺います。
 そして、さらに、これからの高校教育には、今よりもさらに教育の質を保障しながら、人件費や運営費などのコスト面のハードルを越えていく必要があると思いますが、どう対処していくのか伺います。
 また、今回の高校再編の前に、前回の高校再編で積み残しになっている課題もございます。例えば、千厩高校のグラウンドの整備がそうです。現在、小学校の統合問題と絡んで地域住民の皆さんの関心も高まっております。沿岸被災地の教育施設の復旧が最優先ではありますが、今後のスケジューリングなどどのようにしていこうとしているのか、お考えを伺います。
 以上質問を終わりますが、場合によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、人口減少対策についてでありますが、これまで、平成21年度に策定したいわて県民計画に基づく第1期、第2期アクションプランにおきまして、人口の社会減を減らすことを目標に掲げ、若者の雇用対策などさまざまな取り組みを進めてまいりました。
 こうした取り組みによる本県の有効求人倍率の改善とともに、人口の社会減は、平成19年の6、881人から平成25年の2、226人に6年連続で縮小してまいりました。このように、本県の人口の社会減を減らす取り組みは一定の成果を上げ、施策の方向性に道筋が見えてきたところであります。
 一方、今後も少子化による人口減少が見込まれますことから、人口問題に総合的に対応する取り組みをさらに強化するため、知事を本部長とする人口問題対策本部を設置したところであります。今後、対策本部において、日本創生会議の提言も参考としながら、本県の人口構造や地域特性について詳細な分析を行い、拡充すべき施策の検討、立案を進め、本県の状況に即した実効性ある施策を打ち出してまいります。
 次に、ILC―国際リニアコライダー計画の県と市の役割分担についてでありますが、県の役割としては、ILCの早期建設実現に向けて、東北各県との連携など広域的な取り組みが求められていることから、北海道東北地方知事会や東北ILC推進協議会を通じた積極的な要望活動を進めているところであります。
 一方、市においては、県と連携した誘致活動のほか、住民に対する普及啓発活動や外国人研究者等の受け入れ環境整備、参入可能な企業の発掘などの活動を期待しています。
 また、一関市を中心に、気仙沼市を初めとする宮城県境の市との連携強化が進められていることから、広域振興局の進める県際連携と歩調を合わせながら、市の動きを支援してまいりたいと思います。
 次に、加速器関連産業の集積、起業支援についてでありますが、東北地域には、放射光施設や重粒子線治療装置など、加速器を使った施設の整備が次々と計画されており、今後、加速器に関連する企業の集積が期待されるところであります。現在、加速器製造に携わる企業は多くないと聞いておりますが、自動車関連産業や電気、電子産業などは加速器製造に通ずる技術を有することから、将来、多くの企業の参入が期待できます。
 県では、加速器製造に必要な技術の分析や企業の参入可能性調査を進めており、工業技術センターやいわて産業振興センターでは、既に企業訪問を行うなど着実に準備を進めています。
 一方、県の推進協議会などでは、高エネルギー加速器研究機構や企業への視察を実施するなど、企業の参入意欲醸成に努めているところであります。
 県としては、これまで、自動車関連産業の集積に向けて人材育成や研究開発に対する支援などさまざまな取り組みを行ってきており、これを基本にしながら、企業の参入に向けた取り組みを検討してまいりたいと思います。
 次に、各圏域ごとの魅力アップ、リピーター対策についてでありますが、観光におけるリピーターの確保は交流人口の拡大を図る上でも重要であり、引き続き、魅力ある観光地づくりに向けた取り組みを進めていく必要があります。
 また、昨年のあまちゃんの放映により、地域資源を掘り起こし、磨き上げていくことの重要性を再認識したところであり、観光コーディネーターの設置や、地域の観光地づくりを担う人材育成などの取り組みを通じて、地域と連携を図りながら、魅力ある観光地づくり活動が各地で活発に展開されるよう支援してまいります。
 圏域ごとの観光の推進については、復興計画あるいはいわて県民計画において、地域の代表者等で構成される圏域懇談会等の意見を踏まえて地域編を策定するなどして、圏域の特性を生かした観光振興策に取り組んできたところであります。
 今後も、地域の意見を十分に反映させながら、固有の地域資源を生かしたストーリー性のある旅行商品づくりなど、圏域ごとに新たな魅力づくりに取り組み、リピーターの増加につなげてまいります。
 次に、県境をまたいだ観光圏の取り組みについてでありますが、国内外から本県への誘客を拡大していくためには、隣県を含めた広域的な連携のもと、旅行者ニーズに沿った魅力的な観光ルートの形成や効果的な情報発信などの取り組みを進めていくことが重要であります。これまでも、県南及び沿岸広域振興局が宮城県栗原市などの4市町と連携し、南いわて・北みやぎ圏域の回遊モデルコースの設定や観光ガイドブックの作成などを行っています。
 また、盛岡広域振興局と秋田県鹿角市が、春の桜と雪、秋の紅葉を核に連携しているほか、県北広域振興局では、八戸市との合同により首都圏での観光PRイベントを実施するなど、県境をまたいだ観光振興に積極的に取り組んでいるところであります。
 各広域振興局では、広域振興事業などを有効に活用しながら、県境連携の取り組みや魅力ある観光地づくりなど、地域のそれぞれの特色を生かした観光振興を図っているところであります。
 今後とも、隣県や管内市町村等との密接な連携のもと、県境を越えて豊富ですぐれた観光資源を組み合わせた魅力ある旅行商品の造成などに取り組んでまいります。
 次に、日本一のおもてなしについてでありますが、本年3月に策定したみちのく岩手観光立県第2期基本計画においては、観光によるいわての復興と日本一のおもてなしを目指す姿として掲げています。
 おもてなしは、本県を訪れたお客様に御満足いただき、来てよかったと思っていただけること、特にも本県にあっては、東日本大震災津波からの復興に際して、全国各地、さらには、海外から寄せられた支援に対する感謝の気持ちをおもてなしという形でしっかりと伝えていくことが重要であります。このため、観光関係者へのおもてなし研修の実施や、おもてなしのプロとしてのおもてなしマイスターのレベルアップを図るほか、地域の人との触れ合いもリピーターの大きな要素となっていますことから、震災ガイドを中心とした観光人材の育成や、地元案内人による体験型観光の推進に取り組んでまいります。
 また、平成28年に開催される希望郷いわて国体・いわて大会では、広げよう感動。伝えよう感謝。をスローガンに掲げているところであり、その成功に向けた受け入れ環境の整備とあわせて、あなわん運動の展開において、地域の主体的なおもてなしの取り組み事例を紹介するなど、県民総参加のおもてなしの一層の推進に取り組んでまいります。
 次に、原木シイタケの再生産の推進についてでありますが、本県の原木シイタケは、原子力発電所事故に伴う放射性物質の影響により、国からの出荷制限指示や風評被害など、生産から流通、販売に至るまで大きな影響を受けておりますが、原木シイタケは山村地域のなりわいを支える重要な栽培品目であり、一日も早く産地の再生を図ることが重要であります。このため、まずは出荷制限の解除に向けて、県単独事業により、指標値を超過したほだ木の処分や落葉層の除去などのほだ場環境の整備や生産過程での管理の徹底に取り組むとともに、放射性物質の影響を受けにくい簡易ハウスの導入など、栽培方法の転換への支援にも取り組んでおります。
 また、再生産に向けて、生産者が必要とする資金の貸し付けや新たなほだ木造成に対する支援に加え、不足する原木の全県的な需給調整などの取り組みを進めています。
 今後は、これまでの生産再開に向けた取り組みへの支援に加え、生産者団体等が首都圏の量販店などで行うPR活動を支援するほか、生産者の結束を強めるための生産者大会を開催するなど、頑張っている生産者の皆様が希望と意欲を持って産地の再生に取り組んでいただけるよう、全力で支援してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) 人口の自然減対策についてでありますが、本県の現状は、晩婚化、非婚化や出生数の7年連続減少などにより、少子化が進んでおります。このような現状を踏まえ、これまで県では、結婚、妊娠、出産、育児の各ライフステージに応じた施策として、未婚男女の出会いの場創出事業への助成、特定不妊治療費助成、産後うつスクリーニング事例検討会の開催、地域力を生かした子育て支援などを行ってきました。また、今年度は新たに結婚支援に係る機運醸成を図るためのフォーラムの開催などを計画しております。
 これらの取り組みに加え、今議会に、今般国が創設した地域少子化対策強化交付金を活用する地域少子化対策推進事業費を提案しており、この内容の検討に当たっては、昨年度立ち上げたいわて結婚支援ネットワーク会議での市町村の意見、県環境保健研究センターで実施している子育て世代のアンケート調査結果などを参考にし、結婚支援を重点事項として少子化対策の強化を図ろうとするものであります。
 また、さきに発表された経済財政運営と改革の基本方針2014―骨太の方針においても、初めて人口減少問題に言及し少子化対策が重要課題と位置づけられたところであり、県としても、今後さらに、子ども・子育て会議のメンバーである市町村や子育て世代の代表者の声をよく聞きながら、結婚から妊娠、出産、育児までの切れ目ない支援の充実に向けて取り組んでいきます。
〔政策地域部長齋藤淳夫君登壇〕
〇政策地域部長(齋藤淳夫君) まず、県のILCの推進体制についてでありますが、県では、ILCの受け入れ環境整備などの課題に取り組むため、昨年7月に、県庁内に、子弟の教育、医療、まちづくり・インフラ、産業振興の四つのワーキンググループを設置し、現状分析や課題の検討を行っているところであります。
 今年度においても、それぞれの分野において、平成25年度の課題を踏まえ検討を進めており、特に子弟の教育や医療の分野については、関係市と連携して協議を進めていくこととしております。
 また、地域の盛り上がりや誘致活動を継続させていくためには、ILCに関する普及啓発を図り、県民の理解を促進していくことが重要であることから、県、関係市、関係団体が連携を図りつつ、一般県民向けの講演会の開催や、中学生を対象とした出前授業の実施、県内全ての小学校への普及啓発のDVDの配布などの取り組みを行ったところであります。
 さらには、6月26日に開催されました岩手県国際リニアコライダー推進協議会主催の県民集会では、ILCの建設実現に向けた県民決議が行われたところであります。また、8月23日には、奥州市において、全国規模の団体の主催による講演会が予定されております。
 次に、ILC関係市の取り組みの支援についてでありますが、先ほど知事が申し上げたとおり、現在、県では、加速器製造に必要な技術の分析と企業の参入可能性調査を実施しており、必要に応じて、一関市、奥州市に関係企業の情報を提供しているところであります。
 県、一関市、奥州市は、毎月連絡会議を開催し、普及啓発活動や産業支援、外国人研究者等の受け入れ環境整備を進めるための情報交換を行いながら、施策の企画、立案に向けた議論を重ねております。引き続き、ILC推進に関する情報や課題を共有し、両市の取り組みを支援してまいりたいと思います。
〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、観光と定住施策との連携についてでありますが、観光を通して岩手の魅力に触れ、来てよかった、また来たいと感じ、岩手ファンになっていただくことは交流人口の拡大や定住の促進にもつながるものであり、観光振興と定住促進の取り組みの連携を図ることは重要であると認識をしております。
 県では、これまでも、定住対策として実施している首都圏でのイベントなどにおいて、定住に関する情報とあわせて、本県の観光の魅力やグリーンツーリズムによる農山漁村体験などの情報も発信してきたところでございます。
 今後においても、関係部局と連携しながら、本県ならではの魅力ある観光地づくりや、体験型観光による地元住民との触れ合いの場づくりなどの取り組みを進めて、定住につながるリピーターの確保や岩手ファン層の拡大を目指してまいります。
 次に、みちのく潮風トレイル、三陸復興国立公園、ジオパークとの連携についてでありますが、それぞれの対象エリアや観光素材が重なることから、これまでも合同の学習会やガイド養成を実施するなど、連携を図ってきたところであります。特に、三陸ジオパークの取り組みは、三陸地域全体に体験型観光や教育旅行の受け皿をつくる活動であり、さらには復興ツーリズムも大きなテーマとしていることから、観光面からも誘客に向けた観光情報発信や震災ガイドの育成、教育旅行の誘致等に連携して取り組んでいるところであり、サッパ船や観光遊覧船での海から見るジオパークガイドプログラムのモデル化や、ジオサイトや観光素材を組み合わせたみちのく潮風トレイルや、三陸復興国立公園でのウォーキングイベントの開催など、今後も体験型観光の一層の推進に向けて連携を強化してまいります。
 沿岸地域の観光入り込み客数は震災前の約7割の水準にとどまっておりますが、こうした取り組みを三陸観光の大きな柱として、三陸地域の豊かな食やロケツーリズム、三陸鉄道、SL銀河など、多様な素材と組み合わせながら沿岸地域への誘客を強化し、早期回復を目指してまいりたいと考えております。
〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、台湾直行便の利用継続対策についてでありますが、この春の定期チャーター便では、個人客利用が中心となる大型連休期間中は利用が落ち込む傾向にありましたものの、一方で、県内旅行会社からは、座席の不足により個人客からの需要に対応し切れなかったケースもあったと聞いております。
 現在、この秋の定期チャーター便運航に向け関係者間の調整を進めておりますが、定期便化実現に向けても、日本側、台湾側双方から、バランスのとれた需要を継続的に確保していく必要があると認識しております。
 県を含め、県内自治体と台湾との間で姉妹都市を締結している例はございませんが、震災を契機として、岩泉町と台湾嘉義県との交流や、46年にわたる盛岡青年会議所と台湾羅東青年会議所などの民間レベルでの交流の例などもあり、これらに加え、幅広い団体需要や個人需要の掘り起こし、関係部局等と連携したビジネス機会の創出などに取り組み、安定的な需要の確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、水害対策についてでありますが、河道内の堆積土砂は出水などにより絶えず状況が変化するため、定期的な河川巡視に加え洪水後の河川巡視、さらには、住民の方々からの情報等を参考にしながら河川状況を把握してきておりますが、昨年の大雨により河道内の土砂堆積状況に変化がありましたことから、ことし4月に、全県的に河道内の土砂堆積等の調査を行っております。
 今後は、この結果を参考としながら、背後の土地利用や土砂堆積の状況などを勘案して、緊急性の高いところから河道掘削や樹木の伐採を行ってまいります。
 なお、河道掘削等の実施に当たりましては、民有地に係る場合の所有者の方への協力のお願い、自然環境への配慮等に留意しながら、適正な河川管理に努めてまいります。
 また、昨年7月の豪雨で大きな被害のありました砂鉄川流域については、松川地区の河道内の樹木伐採を初めといたしまして、中通川水門対岸の河道掘削や西前橋上下流のかさ上げ盛り土、排水樋門の確実な操作のための照明設置などを実施しており、引き続き、その上流地域の洪水対策に取り組んでいるところであります。
 今後とも、地域住民の方々に説明等を重ねながら、できるだけ早期の洪水対策に取り組んでまいります。
〔農林水産部長小原敏文君登壇〕
〇農林水産部長(小原敏文君) 給食への県産食材の利用拡大についてでありますが、平成24年度の県内の学校、保育所等の給食における県産食材利用率は、重量ベースで42%となっております。
 給食における県産食材の利用でございますが、地産地消推進や食育の観点からも極めて大切と認識しておりまして、いわて県民計画において平成26年度に45%との目標を掲げ、産直施設等を活用した円滑な供給体制の構築支援やいわて地産地消給食実施事業所の認定等に取り組んできております。
 さらなる県産食材の利用拡大に当たりましては、ニーズに対応した食材の安定的な供給や、県産食材を用いた加工品の情報不足等の課題もありますことから、今後、給食事業者へのきめ細かな情報提供、給食事業者と県内加工事業者とのマッチング支援、市町村と連携した学校給食への利用促進の働きかけなど、関係機関と十分に連携を図りながら積極的に取り組んでまいります。
〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 太陽光発電についてでありますが、地域に根差した事業推進が重要であると認識をしておりまして、セミナーなどを通じて、地元住民主体の市民ソーラーや地元企業の取り組み事例の普及を図るとともに、市町村と連携して事業計画の把握や相談に応じているところであります。
 さらに、市町村においては、独自に事業者と協定を結び、雇用の拡大や環境教育の場の提供などの地域貢献を求める事例もあり、県としては、こうした事例の普及も図りながら、地域と共存する事業として持続的に運営が図られるよう、市町村と協力して動向把握に努めてまいります。
 なお、国においては、平成26年度の設備認定の運用を変更し、認定後一定期間を経過してもなお場所及び設備の確保が書類で確認されない場合は認定が失効する取り扱いとしたことから、今後は、熟度の高い事業の認定が多くなっていくものと認識をしております。
〔教育長高橋嘉行君登壇〕
〇教育長(高橋嘉行君) 今後の高等学校教育の基本的方向の見直しについてでありますが、今後の高校教育の方向性につきましては、現在、県立高等学校教育の在り方検討委員会で議論を始めていただいているところでございます。
 議員御指摘の地域産業やその振興方策を踏まえた学科のあり方でございますとか、地域と連携した小規模校のあり方、教育の質の保証に当たっての財政的な負担等の点につきましても第1回検討委員会で委員から御発言をいただいており、今後、検討委員会での議論を踏まえ、県教育委員会としての対応を検討してまいります。
 また、検討委員会における議論に当たりましては、地域のPTA関係者、商工業、農林水産業等の産業関係団体の代表者の方々にも参加していただく地域別懇談会を各ブロックごとに開催する予定といたしておりまして、地域の皆様の御意見も丁寧に伺ってまいります。
 次に、千厩高校のグラウンド整備についてでありますが、県教育委員会といたしましては、平成23年度予算にグラウンドの整備に係る設計費等を計上し、造成工事後の養生期間2年を含む平成28年度までの6年間の予定で整備を計画しておりましたが、東日本大震災津波の発災により、復旧、復興関連事業を最優先に取り組む必要が生じたため、議員御案内のとおり、事業を凍結し現在に至っているものでございます。
 県教育委員会といたしましては、現在、鋭意取り組んでいる高田高校の災害復旧事業や耐震化事業の進捗状況、さらには、ハード事業全体の整備見通しなどを勘案しながら、できるだけ早期に事業実施が可能となるよう、実現に向けた道筋を定めるべく検討してまいります。
 また、旧千厩高校の跡地の活用につきましては、一関市千厩町の小学校統合の議論に関し非公式の打診は受けたことがございますが、今後、一関市とも十分に協議を行いながらその動向を確認しつつ、適切に対応してまいります。
〇10番(佐々木朋和君) 御答弁ありがとうございました。数点、再質問をさせていただきます。
 まず初めに人口減少対策について、被災地の就労人口の不足について御質問をさせていただきます。
 先般、沿岸被災地の若手商工事業者との懇談をする機会を得ましたが、2040年と言わずに、現在、被災地では就労人口不足という大きな課題を抱えています。
 例えば、陸前高田市では、震災前の事業所数に比べてまだ50%程度の復旧率であるにもかかわらず、サービス業から水産業、あらゆる業種でマンパワー不足となっております。若手事業者が新たなビジネスを起こそうと思っても、それがネックとなってスタートできないという現状にあります。流出人口が戻っても、なお、それ以上の求人があると言われていて、これは他県からの流入人口をふやすチャンスでもありますが、住宅がなく、そのチャンスを逸しているという状況にあります。県は、この現状をどのように捉えて、どう対処していくのか伺いたいと思います。
 次に、続いて観光振興策について、あまちゃん効果の継続と体制維持についてでありますけれども、あまちゃん効果の継続と体制維持のためには、これもまたマンパワーの確保が必要であります。
 県民と県議会との意見交換会で久慈市の観光事業者と懇談をしてまいりましたが、シーズンオフの仕事の継続が課題であることや、緊急雇用対策で仕事に従事している方も多く、本制度の縮減が久慈地域のコンテンツの減少、魅力の減退につながると感じてまいりました。県では、新たにできたこの一大観光地の維持をどのように考えているのか伺います。
 続いて、景観に配慮した道路の維持管理についてでありますけれども、現在、道路の雑木処理については交通の妨げになるとか危険性が高いとか、地域からの声が上がったときに適時対応しているのが現状で、幹線道路沿いには樹木が茂り、景観としていかがなものかと思う箇所も少なくなく、新たな道路建設に当たっても、田畑の日照権の問題やのり面の維持管理の不安から、協力しかねるとの住民の声も聞きます。みちのく岩手観光立県条例にも、県民の地域を誇りとする気持ちや、もてなしの心を育みという文言があります。住民の生活空間の中に誇れる景色がなければ、おもてなしの心の醸成にもつながらないと思います。
 岩手県には、平泉世界遺産を初め風光明媚な観光資源が多く、また、沿岸地域においても、みちのく潮風トレイルなどウオーキングをして自然を楽しむコンテンツに取り組もうとしているところでありまして、景勝地以外の幹線道路においても一定の景観を維持することが、観光振興、交流人口の増加、また定住促進につながると思いますが、御所見を伺いたいと思います。
 また、台湾の直行便の利用継続策についてお伺いします。
 先ほど御答弁をいただきましたが、安定的な顧客の確保には、これからは、台湾との定期便が実現すれば、アジアのハブ空港と岩手がアジア、世界とつながるということになります。現に九州や、またゴールデンルートにおいては、県境をまたいで、地域としてお客様に選ばれるような取り組みをしているところでありまして、発想のスケールも、岩手県単体で考えるのではなくて、隣県と協働でインバウンド、アウトバウンド施策を進めていくべきと思いますが、御所見を伺います。
 また、農業振興策について、先ほどは県内の給食の県産食材の利用促進について述べましたが、一方で、首都圏での利用促進策はどうなっているのでしょうか。
 現在、岩手県のアンテナショップ銀河プラザは、あまちゃん効果もあり好調で、全国でも上位の人気であると伝えられております。しかしながら、やはりアンテナショップの好調にとどまることなく、その先には、首都圏での高級料亭や高級百貨店で県産食材を使ってもらいたい、また、アンテナショップを使って農業者や食品加工業者などが新たな商品を試す、そういったことも必要であると思っております。また、それが県産食材のブランド化、高付加価値化にもつながってくると思いますけれども、首都圏での県産食材の利用促進についてどのように考え、どのように取り組んでいるのか伺いたいと思います。
 また、最後になりますが、農商工連携による観光振興についてお伺いしたいと思います。
 観光業者が、リピーター対策としてしっかりと設備投資や研究開発をし、魅力の向上に努めていくには、行政と観光業者の距離を縮め、同じ方向を向いた的確なアドバイス、支援をしていくことが重要でありますし、観光業を観光振興条例にいう真の総合産業にしていくには、農業者や食品加工業を含めた他業種との距離も縮めていかなければならないと思っております。
 現在、中央では農業改革が叫ばれ、本県の農業の行く末が案じられる状況にありますが、一方で、県内では、6次産業化に向けて農業団体や商工業団体双方が活発な取り組みを行おうとしているところでもございます。今こそ、関係者が一緒になって、観光業を真の総合産業に発展させていくためにも、機運を醸成し、県がそのような環境の整備に努めるべきと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇復興局長(中村一郎君) 被災地の就労人口についてでございますが、5月の有効求人倍率は、大船渡地区の1.69倍など、沿岸部では内陸部よりも高い状況で、建設業を初め、水産加工業やサービス業では労働力の確保が大きな課題となっており、また、Uターン、Iターン希望者を受け入れるための住居の確保も厳しい状況にございます。
 このため、県では、市町村や国とも連携しながら、釜石地区の雇用促進住宅の活用や応急仮設住宅の空き室の活用などにより、地域外からの人材確保に取り組んできたところでございます。
 また、大槌町では、まちづくり会社が簡易宿泊施設を開業したほか、陸前高田市では、地元企業が宿泊施設を兼ねた研修施設の建設を行うなど、民間による受け入れ環境の整備も行われてきてございます。
 今後とも、このような宿泊施設の整備とあわせ、本格復興に向けた新たな起業やカイゼンの導入を促進することなどにより、若者や女性にも魅力ある安定的な雇用の場を確保し、住みたい、働きたい、帰りたいと思えるような地域づくりを進めることで、被災地での就業人口の確保につなげてまいります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 観光振興にかかわって2点御質問をいただいたところです。
 まず、あまちゃんの効果の継続と体制維持についてでありますが、あまちゃんの放映により、特色ある地域資源や暮らし、風土が全国に発信され、ロケ地である久慈地域を初め本県への関心が高まったところであり、今後もその効果を持続させていくことが重要と認識しております。
 このため、県では、あまちゃんの効果を一層岩手への興味、関心につなげていくための効果的な情報発信や首都圏等でのPRイベントを実施するほか、地域におきましても、久慈市を中心に、関係市町村や県、関係団体が連携し、観光ガイドの養成やおもてなしなどの受け入れ態勢の強化や誘客宣伝事業を積極的に展開しているところであります。
 このような取り組みを進めるに当たっては、議員御指摘のとおり、マンパワーの確保も重要であり、こうした観点も踏まえつつ、地元市町村や関係団体とさらに連携を強化し、あまちゃんのロケ地として、受け入れ態勢の整備や誘客宣伝など、引き続き地域において主体的な取り組みができるよう支援してまいりたいと考えております。
 次に、農商工連携による観光の振興についてでありますが、観光は、観光施設を初め、運輸業、宿泊業、飲食、物販、製造業、さらには原材料供給としての1次産業に至る総合産業であり、観光と他産業との連携は重要であると認識しております。
 みちのく岩手観光立県第2期基本計画においても、県産品や食の魅力を生かした観光の促進を初め、6次産業化やICT利活用などの他産業との連携を強化することとしております。
 今後においても、本県の基幹産業である農林水産業と商工業、観光業等の産業間で、互いの経営資源を活用し、新たな魅力を創出していく必要があると考えております。
 このため、農商工連携を支援する農商工連携ファンドや希望ファンドの積極的な活用を促進するとともに、食産業を推進するプラットホームであるフード・コミュニケーション・プロジェクト、いわゆるFCPとも連携しながら、観光業の総合産業化を推進してまいります。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 景観に配慮した道路の維持管理についてでありますが、道路の維持管理に当たりましては、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕することにより、一般交通に支障を及ぼさないように努めているところであります。
 日常的には、道路パトロールにより異常箇所の早期発見、早期対応に努めているほか、道路利用者や地域住民の方々などからの情報等により、成長した樹木等が景観を阻害したり、水田など耕作地の日照などに影響する事例等についても、道路の維持管理に与える影響も考慮しながら伐採などの対応をしていきたいと考えております。
 また、道路からの眺望を確保できるようガードレールをより透過性の高いガードパイプに交換するなど、沿道の状況に応じた取り組みも行っております。
 今後とも、危機管理や安全確保の観点に加え、景観にも配慮しながら、適切な道路の維持管理に努めてまいります。
 次に、台湾直行便の利用継続策、県境をまたいだ観光圏の取り組みについてでありますが、台湾を初め、外国人観光客は広域を周遊する傾向にあることから、東北観光推進機構や北東北三県観光立県推進協議会といった枠組みにより、広域での取り組みを今後とも進めてまいります。
 一方、路線の誘致や集客等においては、それぞれの県の空港で競合する面もあり、協働的な取り組みは難しいところもございますが、県外からの需要の取り組みも重要であり、定期便化の動向も踏まえ、隣接県での販売促進方策なども検討してまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(小原敏文君) 首都圏向けの県産食材の振興策についてでありますが、県産農林水産物の利用促進を図るためには、大消費地であります首都圏において、販路を開拓、拡大し、知名度や評価を高めることが重要と考えております。
 このため、県では、首都圏での商談会やシェフ等を対象とした産地見学会などマッチング機会の創出、大型商業施設における岩手フェアの開催、鉄道広告や生活情報誌等を活用した県産農林水産物の安全・安心、魅力の情報発信、さらに、いわて銀河プラザのイベントコーナーにおきまして、生産者団体等によります食関連商品等の販売PRなどに取り組んでいるところであります。
 今後も、生産者を含みます関係団体等と連携しながら、産地との交流や情報発信を積み重ね、県産農林水産物の利用促進を図ってまいります。
〇議長(千葉伝君) 次に、後藤完君。
〔14番後藤完君登壇〕(拍手)

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