平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 発議案第22号山田町災害復興支援事業等の第三者委員会での再検証を求める決議案に賛成の討論を行います。
 山田町災害復興支援事業等検証委員会の報告書について商工文教委員会と予算特別委員会に報告があり、それぞれ審議で具体的な課題についてただしましたが、一言で言って県の言いわけに終始、県の責任を回避するものであり、とても県議会はもとより県民の理解と納得が得られないものであります。
 山田町がNPO法人大雪りばぁねっと。に委託した山田町災害復興支援事業は、2年間で6億7、000万円余が不適正支出として返還が求められた、異常で重大な問題でありました。大雪りばぁねっと。の異常な行動を放置してきた山田町とともに、それをチェックできなかった県の責任も厳しく問われなければならない問題であります。
 県の対応のどこに問題があったのか、残念ながら商工労働観光部内で設置された検証委員会では十分な検証が行われなかったどころか、県の対応を容認する内容となりました。
 検証されなかった第1の問題は、御蔵の湯建設を容認したことであります。
 無料入浴施設の整備については、平成23年8月に1、000万円の事業費で被災者支援事業として計上されたものであります。ところが、実際に建設されたのはその規模を大幅に超える入浴施設でありました。11月15日に担当した県職員はそのことに気づき、山田町に問い合わせをし、翌日、実際の工事現場を見ましたが、改善の措置がとられませんでした。12月26日には御蔵の湯の開所式が行われましたが、リース会社のオール・ブリッジは出席していませんでした。翌日の新聞では総事業費2億円の事業と報道されましたが、県は、リース物件との山田町の説明をうのみにして、そのごまかしに気づくことができませんでした。
 平成24年3月31日の完了検査は実態がなく、完了検査の中で御蔵の湯を補助事業として認めるかどうかが検討されました。一時は、県は建設土木事業に当たると山田町に伝えましたが、5月7日になって補助事業の対象にしようと、山田町と合作で、御蔵の湯はリース物件で、所有者はオール・ブリッジとする4項目のでたらめな確認事項で認めてしまったのであります。このときもオール・ブリッジの実態を確認することはありませんでした。そもそも緊急雇用創出事業の要綱では、重機を使った事業は建設土木事業であり、その確認さえも怠ったと言わなければなりません。
 検証委員会報告書では、ごまかしの4項目の確認事項を理由に、県の対応は一概に不適切であるとまでは言いがたいと、県の対応を擁護していることは極めて問題であります。
 第2の問題は、平成23年度に山田町災害復興支援事業は5回にわたって契約変更がなされ、当初1、500万円の事業費が4億3、000万円に28倍にも膨れ上がったことであります。
 特に、5回目の契約変更は平成24年1月15日に山田町とNPOとの間で行われましたが、年度末だというのに1億6、900万円もの増額補正でありました。その内容は、雇用人員に変化がなく、人件費に7、146万円、材料費に3、566万円等を増額するなど、実質不足払いの内容でありました。このやり方が平成24年度にさらに拡大して行われることになったのであります。この契約変更については、検証委員会報告では全く検証されていないことは異常であります。検証に値しない内容と言わなければなりません。
 第3の問題は、県の完了検査の問題であります。
 県は、3月16日に大雪りばぁねっと。を直接指導しました。その内容は、領収書も伝票もない、会計等書類の整備状況ができていない、よって検査確認することは不可能という異常で厳しいものでありました。3月31日の完了検査は、実態のない雇用が終了したことを確認するだけのものでありました。4月にも完了検査が継続して行われましたが、終了せず、5月の連休明けまで行われたのが実態であります。
 こうした異常な中で、翌年度の7億9、000万円の事業費が3月23日に内定通知されていることは完全なミスと言わなければなりません。ずさんな完了検査が翌年度の5億円に及ぶ不正支出の傷を広げたのであります。
 検証委員会報告では、さらにもう一歩踏み込んだ取り組みがあれば異なる結果になった可能性があると述べながら、県の補助事業の進捗管理は他道県に比べて踏み込んだ方法で行っていると、県の全く不十分な対応を容認しているのは極めて問題であります。
 第4に、こうした異常な事態の根本に、山田町が委託したNPO法人大雪りばぁねっと。の実態を確認しなかったという初歩的なミスがありました。大雪りばぁねっと。の代表の履歴書も自動車免許証のコピーもとらず、NPO法人の実績も調べず、2年間で総額12億2、000万円の事業を委託したことは異常なことであります。委託事業者の適格性について、県は山田町に早い時期に確認させるべきでありました。
 この問題では、平成23年5月2日に県地域福祉課総括課長と県社協の専務理事、災害ボランティアの3名が山田町長に、大雪りばぁねっと。については問題があり、北海道に帰ってもらったほうがよいと直訴していた事実は重いものがあります。県全体でこの情報と対応を共有していたなら県の対応も違ったものになったのではないでしょうか。この問題も全く検証されていないことは問題であります。
 以上、山田町災害復興支援事業に係る県の対応の具体的な問題点と検証委員会報告書の問題を指摘しました。内部検証という限界と問題があらわれたと言うべきであります。第三者による検証が必要なことは極めて明らかではないでしょうか。このことを心から訴えて私の賛成討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、発議案第22号山田町災害復興支援事業等の第三者委員会での再検証を求める決議を採決いたします。
 本案は、原案のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立多数であります。よって、発議案第22号山田町災害復興支援事業等の第三者委員会での再検証を求める決議は、原案のとおり可決されました。
   日程第138 臨時的な協議等の場の設置の件
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第138、臨時的な協議等の場の設置の件を議題といたします。
〔参照〕
 議事日程第8号中 日程第138 臨時的な協議等の場の設置の件
名称目的構成員招集権者
(仮称)食と農林水産業の振興に関する条例案策定検討会議(仮称)食と農林水産業の振興に関する条例案の策定について協議又は調整を行うため交渉団体である会派において指名した議員最初に行われるものにあっては議会運営委員会委員長、その他のものにあっては座長

〇議長(千葉伝君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしておりますとおりでありますが、会議規則第115条第2項の規定により、(仮称)食と農林水産業の振興に関する条例案策定検討会議を設置いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   日程第139 議員派遣の件
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第139、議員派遣の件を議題といたします。
〔参照〕
議事日程第8号中 日程第139 議員派遣の件の議員派遣一覧
派遣の目的派遣場所期間派遣議員
平成26年度「県民と県議会との意見交換会」(前期)盛岡市平成26年4月25日福  井  せいじ 議員
神  崎  浩 之 議員
飯  澤    匡  議員
高  橋  昌 造 議員
喜  多  正 敏 議員
高  橋  但 馬 議員
斉  藤    信  議員
吉  田  敬 子 議員
平成26年度「県民と県議会との意見交換会」(前期)久慈市平成26年4月25日樋  下  正 信 議員
嵯  峨  壱 朗 議員
渡  辺  幸 貫 議員
佐々木    博  議員
伊  藤  勢 至 議員
名須川    晋  議員
佐々木  朋 和 議員
小  西  和 子 議員

〇議長(千葉伝君) お諮りいたします。本件は、お手元に配付いたしました2件についてでありますが、会議規則第116条第1項の規定により議員を派遣いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
   閉 会
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 これをもって本日の会議を閉じ、第14回県議会定例会を閉会いたします。(拍手)
   午後6時25分 閉 会

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