平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇1番(高田一郎君) 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第127号農地中間管理事業等促進基金条例について、反対討論を行います。
 議案第127号は、農用地の利用及び高度化の促進を目的として行われる農地中間管理事業を促進するために促進基金を設置する条例であります。
 反対する第1の理由は、TPPに対応する農政改革の第一歩となるからであります。
 昨年6月に閣議決定した日本再興戦略は、今後10年間で全農地の8割を担い手に集約し、米生産コストを全国平均1万6、000円から4割削減、法人経営体数を2010年度比で約4倍の5万法人にすることを目標といたしました。農業構造の改革と生産コストの削減を強力に推進する手段として農地中間管理機構が位置づけられました。まさにTPP参加を前提としていることは明らかであります。
 第2の理由は、優良農地において大企業が主体の生産法人への農地集中を進めるとともに、耕作放棄地の解消ではなく、荒廃を促進しかねない問題をはらんでいるからであります。
 岩手県は、平成30年までに農地の6割を担い手に集中し、この10年間で8割に集約する計画を策定しようとしております。農地の貸出先について、市町村が農業委員会の意見を聞き、農地利用配分計画を策定するとしておりますが、法が求めているところは、農地の貸出先については、地域の農業者と農外からの参入企業などで公平な扱い、つまり公募になっております。担い手への集積とともに、今、自民党農政が進める新たな米政策により、米価の暴落や、あるいは直接支払交付金などが廃止となり、一番経営が困難になっているのが大規模農家であります。どれだけ地域の担い手に農地の集積が進むか疑問であります。
 農地中間管理機構への貸し出しは、有効に活用されるかどうかの判断であり、借り手がいなければ集積協力金も支給されません。耕作放棄地解消に役立つのかも疑問であります。しかも、農業者が離農し、農地を貸しても、相当の期間経過しても貸し付けを行う見込みのない場合は解除できることになっております。離農した農業者に農地を返還され、機械を手放した離農者は途方に暮れる事態にもなりかねません。
 第3の理由は、農地の番人として戦後から現在まで重要な役割を果たしてきている農業委員会を形骸化させようとしております。
 農業委員会は、効率的な農地利用について、農業者を代表して公正に審査する行政委員会であります。この間も農地利用集積の中心的な役割を果たしてきました。民間同士の農地移動は農地法第4条による委員会の関与がありますが、今回の機構は、公的な団体だからとして、農地利用配分計画をつくり、認可、公告するとしています。農業委員会の関与も位置づけられておりますが、意見聴取を基本にしているというだけであります。農地中間管理機構は、農地、農業、農村のもうけを最優先にする企業論理を持ち込み、話し合いで水路や畦畔を維持してきた農村の崩壊を広げ、食料の安定供給や農業の維持、発展、多面的機能の発揮を後退させるものであります。
 以上が反対する理由であります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第127号農地中間管理事業等促進基金条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立多数であります。よって、議案第127号農地中間管理事業等促進基金条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第103号から議案第126号まで及び議案第128号から議案第164号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(千葉伝君) 起立全員であります。よって、議案第103号から議案第126号まで及び議案第128号から議案第164号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後1時59分 散 会
第14回岩手県議会定例会会議録(第8号)

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