平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 私は、日本共産党を代表して、達増知事に質問します。
 東日本大震災津波から3年がたとうとしています。今、被災地では、高台移転や区画整理事業によるかさ上げ工事など、大型ダンプが行き交い、復興事業のつち音が聞こえるようになりました。しかし、4畳半2間の応急仮設住宅には、1月末現在で1万1、772戸、戸数ではピーク時の88.9%、2万5、942人が生活しています。みなし仮設住宅を含めると1万4、701戸、3万3、699人が生活しています。災害公営住宅の入居者は277戸、519人にとどまっています。
 東日本大震災津波からの復興は、県政最大の課題であり、国政の最優先課題であります。また、復興の最優先課題は被災者の生活再建であります。大震災津波から3年が経過し、被災者は、狭く、寒い仮設住宅で、大雪も重なり、ストレスをため、心の不安を募らせ、我慢の限界に直面しています。県南の被災地で1月末、津波で夫を亡くした女性が、高台移転が決まっていたにもかかわらず、みずから命を絶つという痛ましい事件がありました。被災者の命と健康を守ることは、最も切実な緊急課題であります。
 県は、来年度予算に5億4、000万円余を計上し、被災者の医療費、介護保険利用料等の免除措置を12月末まで継続することを示したことは、被災者の願いに応えるものでありました。私は、被災者が基本的に住宅を確保し、自立するまでの間、この免除措置を継続すべきと考えますがいかがでしょうか。
 国は、国保の医療費の増額に対して特別調整交付金の増額を決めました。県内ではどれだけの増額となるでしょうか。国の免除措置の動向、宮城県、福島県の動向をどう把握しているでしょうか。
 ことしの灯油価格は史上最高値となりました。県は3年連続で被災地福祉灯油を実施しました。福祉灯油を実施した市町村とその対象者数、被災者支援福祉灯油を実施した市町村とその対象者数はどうなるでしょうか。これからでも、内陸に住民票を移した被災者を含めた福祉灯油を実施すべきではないでしょうか。
 ことしから来年にかけて、被災者の災害公営住宅や高台移転等への移動が大規模に実施されます。格差も、取り残された気持ちも募ります。これまで以上に被災者一人一人に寄り添った見守りや支援が求められますが、具体的にどういう対策が講じられるのでしょうか。
 被災者の住宅再建への支援を強化することは最も切実な課題であります。持ち家再建への県と市町村による100万円の補助、被災市町村による100万円から300万円への上乗せ補助、住宅ローンの利子補給などによって持ち家再建の希望が増加しているところもありますが、時間の経過とともに、被災地での持ち家再建を諦める方も出ています。県としてどう把握しているでしょうか。
 災害公営住宅の1戸当たりの建設費は約1、650万円、造成費用を含めると1、800万円に及ぶことから、持ち家再建に、国はもとより、県、市町村もさらに100万円から200万円以上の支援を強化することは、被災者にとっても、費用対効果、今後の維持管理費にとっても大きな力になると考えますがいかがでしょうか。
 住宅再建の大きな障害となっているのが、津波で流出した住宅のローン問題であります。この間、私的整理ガイドライン運営委員会への県内の申請は1月末現在で911件に対し、債務整理開始申し出件数が115件、債務整理件数が202件、合計317件、32%にとどまっています。申請の3分の2以上が排除されていることは重大であります。
 全国的には1万件の利用が見込まれていましたが、債務整理の申し出、成立件数は1、238件にとどまっています。大きく立ちおくれている具体的な要因、課題は何でしょうか。国、ガイドライン運営委員会、金融機関等への強力な働きかけが必要ですが、この間、具体的にどう取り組んできたでしょうか。
 災害公営住宅の建設は、ロードマップが発表されるたびに完成時期がおくれるという事態となり、来年度中に完成する見込みは累計でも2、128戸、計画戸数の35%にとどまります。被災者の入居希望を見ると、まち中心部の公営住宅に希望が集中し、特に県が建設する集合住宅への希望は、整備戸数を下回る状況となっています。最大限、被災者の希望に沿って建設場所や建設戸数、戸建て、長屋形式の木造住宅に見直すべきと考えますがいかがでしょうか。また、新たな復興住宅のコミュニティの確立に特別の努力を払うべきですが、どうなっているでしょうか。
 被災者の生活再建の土台は安定した雇用の確保であります。1月にハローワーク大船渡の所長から雇用状況について聞いてきました。大船渡管内は有効求人倍率が12月末で1.9倍と県内最高となっていますが、実態は、震災前と比べて、建設関係で雇用保険の被保険者数が1、000人増、一方で製造業は1、000人減となっていました。復興需要で求人倍率は上昇していますが、水産加工業など地場産業が回復していないというのが実態です。
 被災市町村の商工会議所、商工会のことし2月の調査では、被災事業所4、341社に対し、営業継続、再開が3、229社、74.4%となっています。仮設店舗等での営業再開が359カ所、1、804区画・店舗となっています。水産加工事業所、仮設店舗等の営業と本設への支援を強化すべきと考えますが、状況をどう把握し、支援を強化する計画でしょうか。地場産業の雇用確保はどうなっているでしょうか。
 瓦れき処理の事業が3月末でほぼ完了します。1、300人の雇用の継続と再就職が求められます。来年度の緊急雇用創出事業も1、330人余減少します。合わせると2、630人余の新たな雇用確保が必要ですが、この対策はどうなっているでしょうか。
 被災地では、そもそも働き手が不足しています。Uターン、Iターンして復興に取り組みたいと思っても住む場所がありません。復興庁は、やっと2月1日、被災地に応急仮設住宅の目的外使用を認めるとしました。被災地に来て働きたいと願う人たちが、一日も早く応急仮設住宅を活用できるようにすべきと思いますが、時期を含めて県の対応を示していただきたい。
 被災地12市町村では、120地区で8、513区画の宅地造成を目指すまちづくり事業が取り組まれ、57地区、6、302区画で着工しています。しかし、私が調査した大船渡市では、防災集団移転事業の希望者は、1年間で630世帯から392世帯に、238世帯、26%も減少していました。時間の経過とともに被災者の希望、気持ちは揺れ動いています。それだけに、被災者が中心となってどういうまちづくりを進めるのかが特別に重要な段階です。
 知事は、復興の取り組みへの住民の参画を強調しています。まちづくりアドバイザーの派遣を含め、まちづくり事業への地域住民の参画と合意づくりを具体的に進めるべきと考えますがいかがでしょうか。
 まちづくり事業にとって用地確保が大きな課題です。県と弁護士会で検討した用地確保の特例措置について、この間の県の対応と国の動向、各政党、国会の動向、東北3県の共同の取り組みはどうなっているでしょうか。
 JR東日本は、大震災津波から3年が経過しようとしている1月31日になって、突然、JR山田線について三陸鉄道への経営移管案を出してきました。2月11日にはそのための条件についても示しましたが、その本質は、大震災に乗じて赤字路線を切り捨てようとするものではないでしょうか。結局は、自治体と地域住民に将来にわたって負担を押しつけるものではないでしょうか。
 JR東日本は、昨年3月期末決算で、経常利益で3、174億円、内部留保で2兆4、690憶円をため込んでいる超優良企業であります。公共交通機関の使命から見てもJR山田線の切り捨ては許されないものと考えますが、いかがでしょうか。
 JR大船渡線については、2月19日、突然ルート変更案を示し、総事業費が400億円に及ぶと提案してきました。まさに無理難題と時間稼ぎと言うべきものではないでしょうか。関係市町村と地域住民が確固として早期復旧を求めるとともに、JR東日本を包囲するような運動が必要ではないでしょうか。特に、中心市街地のまちづくり事業が既に始まっている中では、早期復旧の実施を求め協議を並行して進めることが必要ではないでしょうか。
 昨年7月、8月、9月と連続した大雨台風災害に見舞われました。県は、大震災に準じた住宅再建への支援策や観光事業者への支援策も講じました。その実績はどうなっているでしょうか。
 農地、農業被害については、被害面積に対して国の補助事業の対象になったのはどれだけか、県の補助事業の対象、補助事業の対象外の面積、件数を示されたい。全体として春の作付に間に合うのはどれだけでしょうか。
 大雨、台風災害の検証と対策、砂鉄川、岩崎川、松川の抜本的な河川改修はどうなっているでしょうか。
 被災した高田、大槌、山田の3県立病院の再建整備に26億円余の予算が計上されています。県立大東病院は4月から40床の病院として再開する予定です。一日も早い病院としての再開が求められていますが、計画より前倒しで整備することはできないでしょうか。また、医師、看護師の確保が必要ですが、どのように確保するのでしょうか。大槌病院の院長からは、医師、看護師の合同宿舎については前倒しで整備してほしいとの強い要望も聞いてきましたが、どう進められるのでしょうか。
 県立病院全体としても看護師の大幅な増員が求められています。看護師不足の中で、今や看護師が病院を選ぶ時代です。せめて年休が自由にとれる、産休や育児休暇等に対応した看護師の体制にすべきと考えますが、現状はどうなっているでしょうか。新しい経営計画では、来年度、看護師36人の増員となっていますが、大東病院、中央病院等を含めどのように増員がなされるでしょうか。医師は14人、初期研修医は12人の増員計画ですが、その見通しはどうなっているでしょうか。
 次に、日本一子育てに優しい岩手を目指しての課題について質問します。
 岩手県総合計画審議会は、2月に今後の岩手県の政策に関する提言を知事に提出しました。提言の中には、日本一子育てしやすい地域をつくることが提起され、学費、医療費の無償化、子育て期間中の子育て経費を一定額継続助成することなどを具体的に提言しています。
 他県から県内、盛岡市に転居してきた若いお母さん方の共通の声は、盛岡市は、子供の医療費が高い、窓口負担が大きいというものであります。県による子供の医療費助成は、平成16年度以来9年間も小学校入学前までにとどまっています。さらに、窓口負担のある償還払いとなっていることが、子育て中の若い世代の大きな負担となっています。
 知事、岩手県総合計画審議会の提言を踏まえ、県としての子供の医療費助成を当面小学校卒業まで拡充すべきではないでしょうか。償還払いは全国10道県、東北では岩手県だけとなっています。償還払いも市町村と共同で見直すべきではないでしょうか。
 県民の所得が減少している中で、高過ぎる国保税は、どの地域でも最も切実な課題となっています。国保加入者の課税所得額は、平成13年度の124万8、000円から平成23年度の81万4、000円に、43万4、000円、34%も減少し、国保税負担率は11.8%から16.2%と急増しています。支払い能力を超えているのではないでしょうか。だからこそ、今年度も県内10市町村で一般会計からの繰り入れ、値上げを抑えているのではないでしょうか。
 払えない滞納者に対して保険証を取り上げる資格証明書や短期保険証の発行はやめるべきではないでしょうか。滞納者に対する給与など資産の差し押さえは中止すべきではないでしょうか。
 また、国は、国保の都道府県を単位とする広域化を進めようとしています。広域化では市町村独自の繰り入れや対策を講じることができず、さらなる国保税の引き上げを招くことになるのではないでしょうか。今必要なことは、国庫負担比率をふやし、高過ぎる国保税の引き下げを行うことではないでしょうか。
 政府は、医療・介護改悪法案を今国会に提出しました。介護保険では、要支援高齢者の介護サービスからの切り捨て、特養ホーム入所者の介護度3以上への制限、年金収入280万円以上の高齢者の利用料2割負担など、高齢者のサービス切り捨てと負担増を押しつけるものであります。岩手県の場合、どれだけの高齢者が影響を受けるか示していただきたい。
 介護保険料は年金から天引きされる一方で、必要な介護サービスは受けられないとしたら、保険あって介護なしと言うべきではないでしょうか。国庫負担を大幅に引き上げるなどの抜本的な改革が必要と考えますが、県は、どういう認識で国に提言、要望をしているでしょうか。
 次に、青年の雇用対策、ブラック企業対策について質問します。
 知事は、知事演述で、若者と女性が躍動する岩手を強調しました。これは重要なことであります。そのためには、若者の実態と要求から出発して課題の解決に取り組むべきであります。
 今、若者、青年の最も切実な実態、課題は、2人に1人が非正規雇用となっていることであります。連合総研の調査では、正社員になっても約2割が、自分の職場はブラック企業ではないかと答えています。岩手労働局の調査では、64事業所中57事業所、89%が、労働基準法違反の状況が指摘されるブラック企業というものでありました。若者が躍動するためには、何よりも安定した雇用の確保とブラック企業の根絶が必要と思いますが、県として、岩手労働局とも連携して取り組みを強化すべきではないでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 トヨタ自動車東日本岩手工場は、県内最大の誘致企業であります。アクアのフル生産体制が続いています。ところが、昨年11月現在で正規社員は1、698人、59.9%にとどまり、半年雇用を継続する期間社員は756人、26.7%、派遣社員は381人、13.4%となっています。リーマンショック前には期間社員から100人を超える正社員化も行われましたが、最近はどうなっているでしょうか。青年を雇用調整弁として使う期間社員や派遣社員の登用は、抜本的に見直すべきであります。期間社員の正社員化、正社員の採用を大幅に増やすよう知事として強力に働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 TPPと米政策についてお聞きします。
 これまでのTPP交渉の経過は、昨年春の日米首脳会談で確認したという聖域なき関税撤廃を前提にするものではないという安倍首相の言明は、全くの偽りであったことを示しているのではないでしょうか。アメリカのフロマン通商代表は、日本側の牛肉、豚肉などの関税維持は考えられないと公言し、米議会に提出されているTPA―大統領貿易促進権限法案には、アメリカ並みの関税と遺伝子組み換え食品の解禁を条件に上げています。TPP交渉は、日本を含む多国籍企業の市場確保のために、国民の暮らしにかかわる規制も関税自主権も放棄させるものであることが鮮明になってきたのではないでしょうか。
 このことは、日本の農業、岩手の農林漁業と地域経済の存立にかかわる問題であります。知事として政府に声を上げるとともに、県民と協働して運動を広げることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 安倍政権は、40年来の米政策を経済界の圧力に屈し大転換しようとしています。その内容は、減反政策を廃止し、米の直接支払交付金を来年度は2分の1に、5年後は廃止する。米の需給から国が撤退すること。米価についても市場任せにするとともに、場当たり的な飼料用米への転換を進めようとするものであります。今、大規模農家ほど将来の見通しを持てないでいます。
 知事は、政府の米政策の岩手の米、農業への影響をどう認識しているでしょうか。結局は、TPPを前提にした米輸入の増大に対応するものではないでしょうか。世界でも異常な食料自給率39%という状況を打開し、安全で安心な食料の確保と農業の抜本的な振興こそ必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に、教育問題について教育委員長に質問いたします。
 被災地の学校では、仮設住宅でのストレス、大人のストレスと生活苦の影響から新たな荒れの状況も見られます。県教委が行った心とからだの健康観察でも、優先的に教育相談をしてほしい児童生徒は、小学校、中学校では、今年度は昨年度よりも増加しています。こうした子供たちの心の痛みをしっかり受けとめて対応を強化することが必要と考えますが、実態をどう把握され、対応しているのでしょうか。
 平成24年度のいじめの実態調査では過去最高の2、286件が報告され、嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりするなど、児童の生命にかかわる深刻ないじめが662件も報告されています。
 いじめ問題について、学校と教職員が一体となって総力を挙げて最優先課題として取り組む認識の一致と体制を構築することが求められています。いじめ問題の研修の実施や体制の構築はどうなっているでしょうか。
 昨年5月には体罰の実態調査結果が明らかにされました。64件、被害生徒は94人と報告されました。残念なことに、先日の2月17日には、校長によるパワハラ、体罰による懲戒処分が3件も明らかにされました。中身を見ると、極めて悪質で常習的な事件ばかりであります。ところが、処分は戒告処分にとどまっています。対策と処分が甘過ぎるのではないでしょうか。どうやって体罰、パワハラの根絶に取り組むのでしょうか。
 全国学力テストは、国連子どもの権利委員会が3度にわたって勧告した異常な競争主義的教育制度の象徴と言うべきものであります。今、学校現場では、学力の向上が最大のキーワードとなって、学力テスト対策の朝学習や6時間授業などが行われています。こうした実態を把握しているでしょうか。
 学力テストは、文部科学省自身が学力の一部を測定するものとしていますが、平均点が発表されれば、ひとり歩きして、学校間の競争、市町村間、都道府県間の競争を激化させます。ところが、文部科学省は、市町村教委の判断で学力テストの結果を公表できるとしました。これは、学力テストの変質と言うべき事態と考えますが、教育委員長はどう認識されているでしょうか。私は、どの市町村でも公表すべきではないと考えますが、県内市町村教育委員会の動向はどうなっているでしょうか。
 子供一人一人に行き届いた教育が求められている中で、最大の障害となっているのが教師の多忙化であります。高等学校では月100時間を超える時間外勤務が7.1%、80時間を超えるものが6%にも及んでいます。具体的な改善の対策はどう講じられているでしょうか。
 安倍政権のもとで、教育再生の名のもとに教育委員会制度の根幹を改変し、国、首長による、いわゆる政治権力による教育支配を歯どめなしに拡大しようとしています。その内容は、第1に、首長に教育行政全体についての大綱的な方針を定める権限を与えるとともに、公立学校の設置、廃止、教職員定数、人員、懲戒の方針など、教育行政の中心的な内容を首長に与えるとしています。第2に、首長に教育長の直接任命権と罷免権を与えること。第3に、文部科学大臣に教育委員会に対する是正要求などの権限を強化するというものであります。
 こうした教育委員会制度の根幹を改変することは、教育への無制限の権力的介入、支配への道を開くものと言わなければなりません。教育委員長の見解を求めるとともに、教育委員会はどうあるべきと考えているか、質問をいたします。
 東日本大震災の救援、復興の取り組みでは、岩手県警察は、人命救助や遺体の捜索など、全国の警察の支援を受けて重要な役割を果たしました。県民の信頼も広がりました。ところが、昨年1年間の県警察本部における不祥事、懲戒処分の件数は、酒気帯び運転や所属長によるパワハラなど10件にも及び、全国最悪と指摘されるような事態となりました。
 公安委員会委員長として、こうした事態をどう受けとめ対策を講じてきたのでしょうか。なぜ、こうした不祥事が続出しているのでしょうか。その構造的問題に踏み込んで対策を講じることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 6億7、000万円余の不正支出が明らかになったNPO法人大雪りばぁねっと。に委託した山田町の緊急雇用創出事業は、復興事業を食い物にした悪質きわまる重大な事件であります。県警察本部が強制捜査に乗り出したことを評価するものでありますが、6億7、000万円に及ぶ不正支出の全貌が明らかになるよう徹底した捜査を求めるものです。どういう構えで取り組んでいるのでしょうか。
 最後に、国民の暮らしと平和、民主主義にかかわる国政上の重要な問題について知事に質問します。
 消費税が4月から8%に大増税される予定です。国民には年間8兆円の大増税を押しつける一方で、内部留保を300兆円もため込んでいる大企業には、復興特別法人税の廃止で年間8、000億円の減税、25年間で20兆円の減税とは、余りにも逆立ちしているのではないでしょうか。
 1人当たりの県民雇用者報酬は、この10年間で435万円から385万円に、50万円も減少しています。労働者の所定内賃金も最低を記録しています。こんなときに大増税を押しつけたら、県民の暮らしも地域経済も、そして税収もますます悪化するのは明らかではないでしょうか。消費税大増税の県民の暮らしと地域経済、県の税収に与える影響をどう見通しているでしょうか。
 安倍首相は、これまで憲法上許されないとしていた集団的自衛権の容認を閣議決定で覆そうとしています。これは事実上、憲法9条を踏みにじるものであり、立憲主義を乱暴に踏みにじるものではないでしょうか。2月24日に報道された全国世論調査でも、51%が憲法解釈による集団的自衛権の容認に反対と答えています。こうした安倍内閣の暴走は許せないものと考えますが、知事の見解を求めます。
 東京電力福島原発事故による放射能汚染の被害は、今でも県内に及び深い傷跡を残しています。汚染水はふえ続けるとともに、高濃度汚染水漏れの事故が相次いでいます。原発の再稼働や輸出の条件は全くないと言うべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 今、稼働している原発はゼロであります。このまま原発ゼロを目指すことが最も現実的な方向ではないでしょうか。高レベル放射性廃棄物の最終処分の方法も場所も明らかにならない中で、自民党の資源・エネルギー戦略調査会の原発から出る核のごみの最終処分を議論する小委員会の会合で、東北地方の北上山地海岸地域も最終処分場の候補地という専門家の意見も出されたと報道がありました。岩手県を放射性廃棄物の最終処分場にさせては絶対にならないし、ILC誘致にも水を差す問題だと考えます。知事としてきっぱりと最終処分場には絶対にしないと意思表示すべきではないでしょうか。
 以上申し上げ壇上からの質問といたします。答弁によっては再質問を行います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、医療費、介護保険料の免除措置についてでありますが、多くの被災者がいまだ応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされ、健康面や経済面で多くの不安を抱えており、引き続き医療や介護サービス等を受ける機会の確保に努める必要がありますことから、平成26年12月まで県内統一した財政支援を継続することとしたところであり、平成27年1月以降については、被災地の生活環境や被災者の受療状況等を勘案し、市町村等との協議を行いながら改めて判断したいと考えております。
 次に、国の特別調整交付金の増額についてでありますが、昨年末、国が公表した市町村国保に対する新たな財政支援は、東日本大震災津波で財政状況が悪化した岩手県、宮城県、福島県の被災3県の市町村国保について、平成25年度から3年間、市町村国保に対する国の特別調整交付金が追加交付されるものであります。
 具体的には、医療費の一部負担金免除に対する直接的なものではなく、医療費の増加に伴う医療給付費の負担増、及び前期高齢者交付金の減少に伴う財政負担増に対する財政支援でありますが、市町村国保に対する交付額の増額分を平成24年度の実績から粗い試算を行った結果、約8億円と推計されるところであります。
 次に、一部負担金等の免除措置の動向についてでありますが、国は、免除に要した費用を全額補填する特別な財政支援を平成24年9月末をもって終了し、それ以降は既存の特別調整交付金の仕組みに変更しており、特別な財政支援措置は行わないものと聞いております。
 宮城県の国民健康保険については、平成25年3月末をもって免除措置を終了しましたが、昨年末に公表された市町村国保に対する国の新たな財政支援を契機として、全ての市町村が、免除対象者を住家が大規模半壊以上の市町村民税非課税世帯に限定した上で、本年4月から免除措置を再開する予定と聞いています。
 福島県の国民健康保険については、原発による避難指示等対象地域における免除措置のほか、現在、3市町で本年3月まで免除措置を継続していますが、4月以降の実施については、現在、県が各市町村の意向を確認中と聞いています。
 次に、住宅再建への支援についてでありますが、被災者生活再建支援金の受給状況をもとに持ち家再建の状況を見ますと、平成26年1月末現在、4、087世帯が持ち家再建に係る加算支援金を受給しており、前年同月に比べ1、600世帯増加しています。県では、今後、持ち家再建が本格化するものと考えておりますが、土地区画整理事業などの面的整備の完了には時間を要することが見込まれますことから、今般、本県独自の被災者住宅再建支援事業の実施期間を平成30年度まで2年間延長することとしたところです。
 なお、持ち家再建に対する支援額の増額については、県としては、今回の大震災のような広域災害においては、本来、国において住宅再建が十分に図られるよう制度設計を行うべきと考えており、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を引き続き国に対して強く要望してまいります。
 次に、まちづくり事業への地域住民の参画と合意づくりについてでありますが、東日本大震災津波からの復興の取り組みについては、県、市町村ともに初期の段階から住民参加による計画づくりに努めてきたところであります。特に土地区画整理事業や防災集団移転促進事業などの面的整備事業については、被災者の生活再建に直結するとともに、将来のまちの姿を形づくるものであることから、市町村では、それぞれの地域の実情に即した手法によって、地域住民の参画を得ながら合意形成を図り、事業を進めています。
 県では、平成24年度に復興まちづくり活動等支援制度を創設して、市町村が進める面的整備事業とあわせて住民等がみずから行うまちづくり活動を支援しており、今後、復興事業の本格化に伴って、まちづくりアドバイザー派遣のニーズも高まるものと考えています。
 今後とも、時間の経過に伴う被災者の意向の変化に対応して、住民の合意形成のもとで計画を見直し、住民や被災者の希望に沿ったまちづくりや住宅再建が実現できるよう市町村を支援していきます。
 次に、子供の医療費助成の拡充についてでありますが、県総合計画審議会の今後の岩手県の政策に関する提言で、日本一子育てしやすい地域をつくるための施策の方向性が提言されたところであります。県では、これまでもいわて子どもプランに基づいて、県民のライフステージに沿って、切れ目のない支援を総合的に推進しているところであります。
 子供の医療費助成について、現在の就学前までの対象を小学校卒業まで拡充するためには多額の県費負担が見込まれるところでありますが、県単独政策において、県立病院等事業会計負担金が多額になっていることなどから、直ちに実施することは難しいと考えています。
 また、現物給付とした場合、市町村の国民健康保険に対する国庫支出金が減額されますことから、市町村等と協議をした上で償還払いとしているところであり、県としては、引き続き国に対してこの減額措置の撤廃を要望してまいります。
 次に、若者の雇用の確保等についてでありますが、平成24年就業構造基本調査によりますと、本県における20代の正規雇用割合は62.0%と、前回調査の平成19年と比較して2.5ポイント低下しており、安定的な雇用の拡大は重要な課題であると考えています。このため県では、事業復興型雇用創出事業の活用や経済団体への要請により正規雇用の拡大を図っています。
 労働基準関係法令違反については、就業支援員等が事案を把握した場合は岩手労働局に連絡するなど緊密な連携を図っていますほか、若者が労働関係法令等を学べるよう、労働教育の一環としてガイドブックを作成し、高校生等に配布しています。
 県においては、平成26年度の経済、雇用対策の取り組み方針に長期、安定的な雇用の創出、拡大や若年層の就業支援を柱と位置づけており、今後さらに岩手労働局との連携を強化して、若者が安心して働ける環境づくりに取り組んでまいります。
 次に、トヨタ自動車東日本岩手工場の期間社員の正社員化についてでありますが、リーマンショック以降の平成21年度から平成24年度までの4年間、毎年度、10名から十数名の期間社員を正社員に登用しており、今年度の登用については現在、検討している段階と聞いています。若者の安定的な雇用を確保するため、今後とも機会を捉えて期間社員の正社員化や正社員の採用の拡大を要請してまいります。
 次に、TPPについてでありますが、今般行われたTPP交渉閣僚会合においては合意に至らず、交渉が継続されることとなりましたが、その交渉内容の詳細については公表されておりません。TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業のみならず、投資、医療、労働など、県民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。このため、交渉を行う政府は、拙速に走ることなく、十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くした上で、慎重に判断し、地方の経済活動や国民生活に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含めて、断固たる姿勢で臨んでもらいたいと考えています。
 県内にはTPP交渉を慎重に進めることを求める活動などが行われていることもありまして、県としては、政府に対し、本県がこれまで要請してきた考えを今後ともあらゆる機会を捉えて要請してまいります。
 次に、米政策及び経営所得安定対策の見直しの影響についてでありますが、国の新たな農業政策では、米政策や経営所得安定対策の見直しのほか、農地中間管理事業や多面的機能支払いが創設されるなど、農家経営に直接かかわるさまざまな政策が見直されますが、対応するための準備期間が短いことや、見直し内容が幅広く、大きいことから、農家経営に及ぼす影響についてさまざまな不安や懸念が示されています。県としては、できる限り早く国の新たな農業政策全体の影響を踏まえた本県での取り組みのあり方を明らかにしていく必要があると考え、関係機関、団体で構成します岩手県元気な地域農業推進本部で経営所得安定対策、農地中間管理事業、多面的機能支払い等について取り組みのあり方などの検討を進めていますが、米の規模拡大のほか、園芸作物の導入、6次産業化への取り組みなども推進して、農家の所得確保や農業、農村の持続的発展を図ってまいります。
 次に、消費税増税の影響についてでありますが、消費税増税が実施される本年4月は本県の本格復興のスタートの時期でもあり、税負担がふえると、被災者の生活再建や被災地の経済再生などの阻害要因となるおそれがあります。また、消費税増税による駆け込み需要やその反動も見込まれるところであり、地域経済への影響を見通すことは困難であります。
 県の地方消費税実収入額については、平成26年度当初予算において294億円余を見込んでおり、平成25年度当初予算に比較して36億円余の増となっています。県としては、消費税増税によって、経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないように、また、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことのないように、今後ともしっかりとした対応を国に求めてまいります。
 次に、集団的自衛権についてでありますが、現在、国会等で集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の見直しについてさまざまな議論がなされているところでありますが、これだけ反対論や慎重論が多いことから、閣議決定をしてから議論するというのではなく、まずは国民的な議論を十分に行うことが必要と認識しております。
 次に、原発の再稼動と輸出についてでありますが、原発事故以降、国民の間で原子力の安全性に対する信頼が大きく揺らぎ、昨年度のエネルギー政策をめぐる国民的議論においても、エネルギーに対する国民の問題意識や再生可能エネルギーへの新たな意欲の高まりがあらわれており、こうした意識の変化を踏まえたエネルギー政策が求められているものと考えます。
 岩手県としては、再生可能エネルギーは、地産地消のエネルギー自給率の向上はもとより、地球温暖化防止や防災のまちづくり、地域振興など多面的な効果をもたらすものと認識しており、再生可能エネルギーによる電力自給率を倍増する目標の達成に向けて力強く導入を推進しているところであります。
 次に、放射性廃棄物の最終処分場についてでありますが、さきに開催された自民党の資源・エネルギー戦略調査会における講演において、本県の北上山地海岸地域を含む数カ所が放射性廃棄物の最終処分場の適地として挙げられたことが報道されたと承知しております。高レベル放射性廃棄物の最終処分場につきましては、従来から本県としては受け入れる考えはないことを表明しております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、福祉灯油等についてでありますが、県の被災地福祉灯油等特別助成事業費補助を活用して福祉灯油を実施したのは沿岸部の12市町村で、助成見込み世帯数は1万9、343世帯となっております。このほか、内陸部では3町村が独自に約1、600世帯を対象に実施していると聞いております。被災者への灯油購入費等の支援については、8市町村が独自に約1、500世帯を対象に実施していると聞いております。
 また、県の被災地福祉灯油等特別助成事業費補助では、内陸に住民票を移した被災者については、事業の対象となる要件を満たし、実施主体である沿岸市町村が助成対象とした場合は本補助事業の対象としております。
 次に、被災者の見守りや支援についてでありますが、来年度も生活支援相談員を社会福祉協議会に継続して配置し、被災世帯の見守りや相談支援活動を行うほか、応急仮設団地等に設置する高齢者等サポート拠点による総合相談や介護予防教室等を引き続き実施します。また、応急仮設住宅からの転居等による被災者の生活の変化や長引く応急仮設住宅生活からのストレスなどにより、求められる相談支援内容は多様化し、専門的な知識が必要な相談件数もあることから、相談員の資質向上のための研修などにも取り組んでいきます。さらに、市町村が行う災害公営住宅等入居者の相談や、見守り等に対し補助する復興住宅ライフサポート事業についても、市町村向け研修会を開催するなど充実に努めていきます。
 次に、大雨洪水災害の住宅再建への支援についてでありますが、昨年7月、8月の大雨洪水災害及び9月の台風災害の被災世帯は14市町で計510世帯であり、このうち、本年1月末現在において、全壊、大規模半壊及び解体を要する半壊世帯39世帯、半壊及び床上浸水世帯467世帯に対し、被災者生活再建支援金計1億815万円を該当市町に補助金交付することとしております。
 なお、年度内に住宅の再建方法が決まらない、あるいは解体が完了しないために今年度の支援金の対象とならない世帯については、平成26年度予算において対応する予定としております。
 次に、国保税についてでありますが、厳しい経済状況や雇用情勢により県民の収入が伸びない状況にあり、県民の国保税に対する負担感は増加しているものと認識しております。資格証明書や短期被保険者証は、国保税滞納者の納付相談の機会を確保するため交付しているものであり、市町村に対し、滞納者個々の事情に十分配慮した、きめ細やかな対応をするよう要請しております。また、滞納処分は、税負担に関する公平性等を確保するため、担税能力がありながら納付していただけない方に対して、市町村において十分な調査を行った上で実施されているものと認識しております。
 国保の都道府県化については、今後、国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議において、国保の財政上の構造問題の解決に向けた方策及び都道府県と市町村の役割分担のあり方などが議論されることとなっており、国保税についてもその協議の中で検討されることから、全国知事会を通じ、意見を述べていきます。
 また、被保険者や地方公共団体の負担が増加し、家計や国保財政を圧迫している状況にあることから、国の公費負担割合を拡大し、これらの負担の軽減が図られるよう国に要望しているところであり、今後も引き続き要望してまいります。
 次に、介護保険についてでありますが、今般の制度改正の一つとして、要支援の方が利用している訪問介護と通所介護の地域支援事業への移行がありますが、昨年11月時点の要支援の方の利用人数は、訪問介護3、022人、通所介護6、569人となっております。また、特別養護老人ホームの入所を原則、要介護3以上とする中・重度者への重点化については、昨年11月時点の広域型特養入所者の状況を見ると、要介護2以下の方は509人となっております。いずれも、既にサービスを受けている方は移行後も既存のサービス相当のサービス利用が可能とされるなど、必要なサービスは継続されるものと考えております。
 一定以上の所得のある方の利用者負担の見直しについては、国が検討している基準に照らし合わせると、本県の第1号被保険者の約13%、約4万9、000人の方が該当すると試算されます。
 国庫負担の大幅な引き上げ等の抜本的な改革については、県でも、報酬改定や基盤整備の促進等に伴い介護給付費が増大していることから、公費負担割合の見直しや財政調整のための交付金制度の創設などが必要と考え、国に対して要望しているところであり、今後も引き続き、被保険者や地方公共団体の負担が過大にならない支援策を要望してまいります。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) まず、個人版私的整理ガイドラインについてでありますが、個人版私的整理ガイドラインに基づく債務整理が進まない原因については、被災者に制度の内容が十分に伝わっていないことに加え、一定額の収入や資産があることにより返済が可能と判断されるケースや、震災前に滞納があったことにより制度利用対象外と判断されるケースなど、利用要件が厳しいことも原因と聞いております。このため、県では、ガイドラインの目的や内容について被災者への周知に努めてきたほか、岩手弁護士会など関係機関と連携し、被災者向けの無料相談会を各地で開催してきました。また、被災者の債務整理を確実に促進するためには、制度の運用の見直しにとどまらず、法整備を含む新たな仕組みを構築していくことが重要であり、昨年11月の復興庁、金融庁への要望も含め、繰り返し要望してきたところであります。今後とも、金融機関等関係機関との緊密な連携のもと、ガイドラインの利用促進に向けた周知とあわせ、あらゆる機会を捉え、国に対し、個人の二重債務解消に向けた支援について要望してまいります。
 次に、応急仮設住宅の目的外使用についてでありますが、現在、県では、県内外からの住みかえを行う被災者からの入居が見込まれるなど、応急仮設住宅としての活用を継続しようとしている場合で、入居を希望する被災者があらわれるまでの期間に限り、本来の応急仮設住宅の供与の妨げにならない範囲で一時的な入居が可能となるよう、市町村に対する財産の目的外使用許可を行う方向で検討を進めております。
 具体的には、市町村においてそれぞれの実情に応じて、地元に戻りたいが、実家が被災し住む家がない方、被災地で就職し定住を希望するが、住む家がない方、漁業集落防災機能強化事業など面的整備事業等のまちづくり事業で一時的な転居を必要とする方などを対象とするほか、期間は原則として1年を超えない範囲とし、使用料については、応急仮設住宅の間取り等に応じた適正な金額を徴収する方向で検討しております。
 運用開始時期につきましては、市町村における予算措置の問題もありますことから、できるだけ早く市町村が対応できるよう運用方法を示したいと考えております。
 次に、用地確保の特例措置についてでありますが、昨年11月に国に用地確保に係る特例制度創設の要望を行いましたが、国においても、復興を進める上で、事業用地の円滑かつ迅速な取得が重要な課題であることを改めて認識をいただいたところです。現在、要望の際に国から課題として示された憲法上の懸念への補足説明を行うとともに、具体の用地取得困難事例を示しながら協議を進めております。
 各政党に対しては、これまで特例制度の創設について要望、説明を行ってきたところであり、その後、県選出の国会議員などを通じて、さまざまな助言や支援をいただきながら制度の実現に取り組んでいるところです。
 また、宮城県及び福島県との間では、事業用地の円滑かつ迅速な取得が復興の重要課題であるという共通認識のもと、今後の連携した取り組みを含め、協議を進めております。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、被災者の希望を踏まえた災害公営住宅の建設についてでありますが、県では、災害公営住宅をより早く、十分な戸数を建設することを重視して、早期に建設可能な土地に集合住宅形式を中心に整備することとし、建設場所や建設戸数等について市町村と調整しながら建設してきたところであります。
 災害公営住宅の一部に空き住戸が発生している要因といたしましては、自力での住宅再建か災害公営住宅への入居かを決めかねている被災者がいること、利便性等の条件がよりよい団地の入居募集を待っている被災者がいることなどが考えられますが、随時募集への切りかえや、被災者へのさらなる周知等により、引き続き入居の促進に努めてまいります。また、これらの取り組みとあわせて、建設戸数については、意向調査等を踏まえながら、市町村と協議して必要な見直しを行ってまいります。
 災害公営住宅におけるコミュニティの確立につきましては、グループ入居や地域住民を特定しての入居を行っていること、通常の公営住宅と比較して広い集会所を確保していることなどの取り組みを進めているところであり、今後も、市町村と連携しながら、災害公営住宅におけるコミュニティの確立に取り組んでまいります。
 次に、大雨災害の検証と対策についてでありますが、本県では、昨年7月から9月にかけて3回の記録的豪雨に見舞われ、内陸部を中心に甚大な被害が発生しております。県では、雨量や流量などの解析、浸水範囲や河道などの調査を実施し、検証を行ってきております。この結果、短時間での非常に強い降雨による河川水位の急激な上昇や、夜間時の出水となり、水門管理など想定していた対応がとれない状況となったこと、土砂の堆積や立ち木の繁茂により河道内の流下能力が低下し水位が高くなったことなどのほか、未改修区間の橋梁に流木が詰まったことなどが洪水被害の要因であったと考えております。このようなことから、住家の浸水対策などを基本的な方針として、沿川の土地利用状況などを勘案しながら、それぞれの河川の特性を踏まえて治水対策の検討を行ってきております。
 現時点では、砂鉄川におきましては、堆積土砂の除去や立ち木の伐採、確実な水門操作のための照明の設置などの対策を進めているほか、昨年11月末に採択された災害対策等緊急事業推進費により屈曲部の改善等を行うこととしております。岩崎川におきましては、今回被災したところまで事業区間を延伸し、平成26年度から延伸区間の事業に着手する予定としております。また、松川におきましては、地域の方々への説明を行いながら、遊水地の整備も含めた治水対策の検討を進めているところであり、できる限り早期に治水計画を取りまとめ、対策を進めてまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、被災事業者の支援強化と雇用確保についてでありますが、水産加工事業所を取り巻く状況については、震災前の売上水準と比べ、いまだ回復していない事業者も多く、依然として厳しいものと認識しております。
 この課題解決には、売り上げに直結する販路開拓や取引拡大に向けた支援が特に重要と認識しており、商品開発を初め、商談会、フェア出展など、被災事業者のニーズに応じたきめ細やかな支援を継続することが必要と考えております。
 仮設店舗については、岩手県産業復興相談センターの昨年10月の調査によりますと、調査事業所482のうち約6割が、震災前に比べて売り上げが減少したと答えており、経営力や集客力の向上が重要と考えております。そのため、専門家による販促活動の指導やイベントへの助成を通じてにぎわいの創出を支援するとともに、本格再開に向けてグループ補助金が活用できるよう、計画づくりを支援してまいります。
 また、雇用の確保については、地場産業の労働力確保が重要と考え、特に水産加工業は、年度当初から事業者や関係機関と意見交換を実施し、住居の確保や工場見学会、面接会によるマッチング支援などに取り組んできたところです。今後も、岩手労働局を初め、関係機関と連携しながら、地場産業の雇用の確保が着実に進むよう対応してまいります。
 次に、緊急雇用創出事業等からの離職者の雇用確保についてでありますが、緊急雇用創出事業の規模縮小と災害廃棄物処理業務の年度内終了に伴い、これらの事業に従事している方々を対象としたアンケート調査を実施し、その結果を踏まえ、平成25年10月から再就職支援に取り組んできたところです。
 具体的には、ハローワークや市町村と連携し、緊急雇用創出事業や災害廃棄物処理事業による雇用者への求人情報の提供や就職説明会、相談会を実施するほか、就職面接会を開催するなど、再就職の支援に努めてきたところです。
 こうしたマッチング支援の取り組みを進めるとともに、平成26年度は、産業振興施策や事業復興型雇用創出事業の活用などにより約5、160人の雇用を創出することとしており、離職者の安定的な雇用の確保に取り組んでまいります。
 次に、観光事業者への支援策の実績についてでありますが、県が9月補正予算で措置した特定被災地域復旧緊急支援交付金に係る関係市からの申請額は、現時点で復旧支援と風評被害対策を含めて、盛岡市が4、721万円余、八幡平市が2、220万円余で、合計6、942万円となっております。
 また、盛岡市による補助事業の対象が10事業者、同じく八幡平市が3事業者、合計13事業者となっております。
 なお、雫石町は、事業者からの補助金申請期限が2月末日までとなっている関係で、今後、申請がなされる予定となっております。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) JR山田線及び大船渡線についてでありますが、JR東日本は、山田線について、先般、三陸鉄道による運営を提案してきましたが、JR東日本には、採算性だけで判断するのではなく、いま一度、地域の公共交通を担う鉄道事業者としての責任を果たす立場にあることを認識すべきと考えております。
 また、大船渡線について、震災から3年がたとうとするこの時期に、JR東日本は、津波からの安全性の確保のために、山側に大きく路線を移設する新ルートでなければ復旧できないとの意向を示してきました。
 しかし、現行ルートの復旧で、具体的にどの箇所が危険で、その回避策がないのかどうか説明がないことから、JR東日本には、現行ルートで復旧できないとする根拠等を丁寧に説明するよう引き続き求めてまいります。
 これまで、県としては、沿線市町と連携しながら、国やJR東日本に対し早期復旧を求めるとともに、JRが提示してきた課題の解決を進め、シンポジウムの開催などで地域住民と意識の共有を図ってまいりました。また、地域住民も、国への署名運動やJR東日本に対する要望、駅周辺の草刈り活動などを実施し、鉄道復旧を求めてきたところであります。
 今後とも、沿線市町と連携しながら、両線の鉄道の早期復旧に向け協議を進めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 農地、農業被害についてでありますが、昨年の大雨、台風によって被災した農地約1、400ヘクタールのうち、国の補助事業で復旧予定の面積は187ヘクタールで、小規模な災害は、市町村起債事業や県の小規模農地等災害復旧事業で対応することとなりますが、その面積等は、現在、事業主体である市町村が精査中です。
 また、今春の作付につきましては、各市町村が鋭意、復旧工事に取り組んでおりますが、河川に隣接し護岸も被災している一部農地を除き1、340ヘクタールは作付が間に合う見込みです。
 農業施設につきましては、被災農業者緊急支援事業により、盛岡市など5市町から要望のあった55件、107施設全ての再整備が年度内に終了する予定です。
   〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) まず、被災した県立病院の再建整備についてでありますが、過般公表した再建方針に基づき、大槌病院及び山田病院は平成28年度、高田病院は平成29年度の開院を目指し取り組みを進めております。
 このうち大槌病院については、本年度用地整備を実施する大槌町と調整を図りながら、医療局において病院建物の設計をまとめる予定であり、現在、設計業者及び病院とともにその作業を進めています。
 山田病院及び高田病院については、本年度から来年度にかけて地元市町において用地整備を進め、これと並行して医療局において病院設計を行うこととしており、それに向けた検討を病院と進めています。
 現在のところ、3病院とも順調に進捗しており、早期再建に向けて、引き続き各市町と緊密に連携しながら取り組みを進めてまいります。
 その中で、被災した大槌病院及び高田病院の職員公舎については、新病院の再建整備にあわせて病院敷地内に整備する予定であり、職員の円滑な配置が可能となるよう早期完成に取り組んでいく考えです。
 また、被災した3県立病院の再建に係る医師及び看護師の確保についてでありますが、医師については、引き続き関係大学への派遣要請、即戦力医師の招聘に努めるとともに、平成28年度以降本格化する奨学金養成医師の効果的な配置などにより、確保に努めていきます。
 看護師については、昨年12月に策定した岩手県立病院等の経営計画において、再建後の入院機能の再開等に伴う増員を計画しているところであり、必要となる人員の確保を図りながら、県立病院全体の職員の配置がえの中で対応してまいります。
 次に、県立病院全体の看護師及び医師の増員についてでありますが、看護職員の産前産後休暇や育児休暇等の取得者に係る代替職員については、正規職員で補充することとしています。平成26年1月1日現在の産育休の取得者は200名ですが、今年度は、年度当初に見込んだ産育休の人数に部分休業等の取得時間分を加え、221名の正規看護師を代替職員としてあらかじめ各病院に配置したところです。
 来年度の看護師の増員については、大東病院の入院再開に必要な人員として23名、地域医療福祉連携の効果が十分に発揮できるよう退院調整に携わる看護師を9名、医療の質の向上を図るため緩和ケア認定看護師の専従配置に3名などを予定しているところであり、職員体制の見直しなども含めて、平成25年度当初と比較して、正規職員及び常勤臨時職員を合わせて、計画どおり36名の増員を見込んでいるところです。
 医師については、現在、関係大学の医局において人事異動の調整等を行っている段階であり、現時点で来年度の具体的な増員数をお答えすることは困難な状況です。また、初期研修医については、昨年10月のマッチングの結果は前年度と同数となったところですが、現在、マッチングに至らなかった医学生を対象とした2次募集を行うなど、最終調整を行っているところです。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 教育の課題についてお答えいたします。
 まず、子供たちの実態とその対応についてでありますが、毎年9月に実施している心とからだの健康観察の結果を見ますと、平成25年度の要サポートの児童生徒の割合は、沿岸部小学校では、平成24年度の14.7%から15.6%、0.9ポイント上昇しております。また、沿岸部中学校では12.6%から13.0%に0.4ポイント上昇いたしました。
 これは、沿岸部では、経済状況になお困難を抱える家庭を初め、住宅環境や通学状況などの変化により、児童生徒が抱えるストレスが、震災直後に比べて複雑多様化していることなどが大きな要因であると認識しております。
 県といたしましては、現在、通常のスクールカウンセラーの配置に加え、全国のカウンセラーの支援をいただき、沿岸部の教育事務所に11名の巡回型カウンセラーを配置し、4人のスーパーバイザー派遣とあわせて、重層的な支援体制を整備しているところであります。
 平成26年度においては、スクールカウンセラーの増員とともに、多様なストレスを抱える児童生徒に福祉的な視点で支援を行うスクールソーシャルワーカーを増員するなど、人的体制の整備をし、児童生徒の心のサポートに努めてまいります。
 次に、いじめ問題の研修についてでありますが、大津市のいじめ自殺問題を受けて、平成24年度には、秋に緊急研修会を実施いたしました。研修会は平成25年度も継続し、小中学校は教育事務所単位で、高等学校及び特別支援学校は、地区別に開催した生徒指導連絡協議会で実施いたしました。また、初任者研修や教職経験者研修の機会にも、いじめ問題を取り上げるなど、教職員の対応力の向上に鋭意努めているところであります。
 これらの研修の機会を通じて各学校の体制ができてきたと考えておりますが、今後なお、継続的、計画的に研修を推進してまいります。
 さらに、昨年9月28日に施行された国のいじめ防止対策推進法に基づき、本年度中に県いじめ防止基本方針を策定することとしており、関係部局や関係機関と連携しながら、いじめの未然防止と根絶に取り組んでまいります。加えて、平成26年度も、全児童生徒にいじめ電話相談の紹介カードを配布し、さまざまな相談窓口の周知を図り、いじめ防止、根絶に努めてまいります。
 次に、体罰、パワハラの根絶についてでありますが、先般、議員の御指摘にありました事案につきまして懲戒処分を行ったところでありますが、こうした事案が発生しましたことは、まことに申しわけなく、残念でなりません。今回の事案の処分に当たりましては、他県や他の任命権者の事案等も参考としつつ、個々の事案の事情等を十分考慮しながら慎重に検討した結果の処分であります。
 体罰につきましては、昨年度に実施した体罰実態調査の結果を踏まえた通知や会議、研修会の場等を通じた趣旨の徹底に加えて、本年度から新たに怒りの感情をコントロールするスキルを身につけるためのアンガーマネジメントという手法の研修を導入し、その根絶に向けた対策を強化したところであります。
 また、パワーハラスメントにつきましては、県教育委員会としては今回が初めての懲戒処分ということになりますが、近年、広く一般的に大きな問題として認知されてきているものでもあり、特にも管理職に対する研修等の機会を通じ、今回の事案も含め、さまざまな事例について共有するとともに、組織運営や部下職員に対する適切なマネジメントを一層徹底することにより、再発防止に努めてまいります。
 次に、全国学力・学習状況調査についてでありますが、結果の公表につきましては、文部科学省では、平成26年度の調査より市町村教育委員会の判断に基づき公表を可能としたものでありますが、その際、序列化や過度な競争が生じないようにするなど、教育上の効果や影響等に配慮すべき点について詳細に示しております。調査結果の取り扱いに関する部分に変更がありましても、本来の調査の目的が変更されるものではないと認識しております。
 次に、教育委員会制度についてでありますが、現在、政府・与党において、首長が主宰する、これは仮の名称でありますけれども、総合教育施策会議を設置するとか、その会議において教育行政の大綱的な方針を定める、あるいは教育長と教育委員長を一本化した新たな責任者を置き、首長が議会の同意を得て直接任命、罷免する、地方の法令違反等に対する国の関与の強化を図るなどの改革案が検討されていると承知しております。
 今後、国会において関連法案が審議される見込みですが、この過程において、学校や児童生徒への影響を第一に考え、教育現場の実情や意見を十分に踏まえた議論がなされることを期待しております。
 なお、本県においては、現行制度においても、知事との意見交換等を通じ同じ思いを持って取り組んできたところであり、制度がいかようになろうとも、いわて県民計画に基づき、今後とも、知事と十分連携して本県の教育行政を推進してまいりたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、全国学力・学習状況調査結果の公表に係る市町村教育委員会の動向についてでありますが、国の方針が示された以後、これまでの取り扱いを変更する旨、表明している市町村教育委員会は聞いておりません。
 次に、教員の多忙化についてでありますが、本県の多忙化解消の取り組みにつきましては、平成21年3月の多忙化解消検討ワーキンググループの提言を踏まえ、調査、照会文書や会議、研修の精選などに取り組んできているところでございまして、各学校では、行事等の見直し、職員会議の時間短縮、開催回数の縮減などが行われてきております。
 また、部活動のあり方につきましては、昨年度実施した調査によりますと、高等学校の7割以上の学校で部活動休養日が徹底されているなど、取り組みが進められている状況にございます。
 さらに、今年度は、学校訪問等を通じて、現場の教職員から直接、各学校の業務多忙の状況や勤務負担軽減の取り組み状況などの聞き取りを行っているところでございます。
 今後、聞き取りの結果等を踏まえ、特に事務的業務の効率化を図ること、優良取り組み事例の共有化などにより学校における業務の改善を促進すること等によりまして、教員の負担軽減に向け一層取り組んでまいります。
   〔公安委員会委員長雫石禮子君登壇〕
〇公安委員会委員長(雫石禮子君) 警察本部における不祥事の根絶についてでありますが、昨年3月の県議会において、公安委員会として、再発防止のため、より厳格な組織管理をしてまいると答弁したにもかかわらず、その後も飲酒運転等の非違事案が続発したことは、県警察を管理する公安委員会として、まことに遺憾であり、重く受けとめております。
 公安委員会では、都度、事案発生の背景、要因等について報告を受け、発生要因等を踏まえながら議論を行っているところであり、県警察に対しては、公安委員会の総意として、県民からの信頼を喪失せしめかねない状況であることを強い危機感を持って受けとめること、非違事案の発生は、職員の倫理観の欠如のあらわれであり、警察は国民の奉仕者であるという原点に立ち返り、綱紀粛正の徹底を図ることを強く要請し、再発防止策の徹底について、全力を挙げて取り組むよう指示してきたところであります。
 昨年の懲戒事案は、飲酒運転等重大な法令違反が6件と半分以上を占めており、その背景、要因は、法令遵守の模範となるべき立場の警察職員としての職務倫理意識、自覚の欠如にあり、また、幹部による身上監督、指導が十分ではなかったことにあると考えております。
 公安委員会としては、非違事案の発生要因を踏まえた再発防止策の徹底について、機会あるごとに指示しておりますが、具体的には、非違事案の再発防止に重点を置いた警察署長会議における指示、警察職員の誇りと使命感を醸成させるため、公安委員が直接警察署や警察学校等に出向いての職務倫理講話の実施、各警察署総合監察における警察署長に対する取り組み状況の確認と督励、幹部との非違事案防止座談会陪席による助言、指導、警察署長に意見を述べる機関である各警察署協議会、同連絡会に対する非違事案防止に関する助言等の協力依頼などを実施して、再発防止に取り組んでいるところでございます。
   〔警察本部長田中俊恵君登壇〕
〇警察本部長(田中俊恵君) NPO法人大雪りばぁねっと。代表理事らによる業務上横領事件に関しては、2月4日、被疑者5名を、共謀の上平成24年10月ごろ、復興山田応援事業委託契約に基づく委託料前払い金を山田町のために業務上預かり保管中、自己らの用途に使用する目的で数千万円を横領した容疑で通常逮捕し、さらに、2月25日、被疑者4名を、同じく同年7月下旬ごろ、数百万円を横領した容疑で再逮捕しているところであります。
 この事件は、被災地における復興事業に絡む不正であり、被災された方を初め、広く県民の関心が高い事件であり、事件の全容解明に向けて捜査を推進してまいります。
〇37番(斉藤信君) それでは、再質問させていただきます。
 最初に、震災関連の課題について再質問いたします。
 大震災から3年を迎えるというのは、被災者にとって最も厳しい時期、そして、なおさら、住宅再建の見通しがまだ立たないということで、私は、これからも長引く避難生活の中で、本当に震災関連死が引き続き出かねないのではないかと思いますが、これまで434名の震災関連死が認定されています。震災から6カ月以内、6カ月以降でどういう認定状況になっているのか示していただきたい。
 さらに、1年、2年以上仮設などでの避難生活が続くとなれば、震災関連死がこれからも出かねない状況ですから、こういう制度があるということを引き続き周知徹底を図る必要があるのではないか。
 残念ながら、今、陸前高田市と釜石市で2件、裁判闘争になっています。あの震災関連死というのは、災害弔慰金というのは、損害賠償じゃないんですね。私は、本当に被災者に寄り添って、大震災がなければ亡くなることはなかった、やっぱりそういう判定の考え方で対応すべきではないのかと。
 山田町は独自に審査をしていますが、山田町の審査は、やっぱり認定率が高いのですよ。6カ月以降の認定率も高いのですよ。私は、被災者に寄り添って、ぜひ今後も対応していただきたいと思います。
 二つ目に、被災者の持ち家再建の支援というのは最も切実な課題です。家を建てるのに大体2、000万円かかるというのが岩手県の平均です。今まで県や市町村の支援策が拡充されているといっても、頑張って500万、600万円なのですね。これでは家は建たない。
 例えば、持ち家再建、まちづくり、面整備の事業で、1年前1万87区画の計画が、1年後は8、405区画に減っているんです。面整備によるいわば宅地の整備は1、682区画、16.6%減少しています。この減少の要因をどう分析されているのか。
 災害公営住宅は、1年前と比べると5、639戸の計画から6、038戸、これは399戸、7%ふえています。私は、やっぱり持ち家再建の希望を最大限支援する、実現させるということを復興の最大の課題にすべきではないのかと。
 実は、民主党が政権をとっていたとき、2011年3月29日、民主党は500万円に引き上げるという提案をしているんですよ。自民党は野党のとき、2011年4月15日、第2次復興提案で、これまた500万円に引き上げると提案していたんですよ。野党のときには。政権をとったらやらないと。これは全く道理がないことで、やっぱり一千年に一回という大震災の中では、本当に住宅再建を支援するためには、300万円から500万円以上。東北弁護士会も昨年7月に決議を挙げていますが、その取り組みをさらに強力に進めるとともに、県や市町村もさらなる支援策を示すべきではないのか。3年目を迎えて、被災者に新たな希望を与えるということが今、本当に大事になっています。今までの継続ではなく、被災者にさらなる支援で希望を与えるという対策が必要ではないのか。
 三つ目に、住宅再建の当面の障害になっているのが二重ローンの問題です。
 そこで私はお聞きしたいんですけれども、大震災で流失、解体となって住宅ローンだけが残った被災者の数をどう把握しているのか。現在もその住宅ローンを払い続けている被災者の数はどうなっているのか。
 12月10日、金融庁東北財務局盛岡財務事務所が金融機関に対する通知を出しました。この中身はこういうものです。元本返済猶予等の返済条件の変更を行っている債務者を含め、ガイドラインの利用を積極的に進めること。これから住宅再建が本格的になって、二重ローンが顕在化する、ふえていくんです。私は、この金融庁東北財務事務所の通知を徹底する、その取り組みはどうなっているのかということをお聞きしたい。
 住宅の二重ローンの問題は、相談件数が少ない。991件にとどまっているということですね。もう一つは、3分の2以上が申請しても排除される。私は収入基準の問題があると思うけれども、やっぱりこの打開を緊急に図っていかないと、とりわけ共稼ぎ世代で、40代、50代の人たちがこの二重ローンの解消から排除されれば被災地で頑張ることができなくなると思うんです。文字どおり緊急の課題としてこれに対応していただきたいと思います。
 四つ目に、応急仮設住宅の活用で、市町村議会で対応できるようにという回答がありました。3月中に入居できるように、そして、3月中に被災地で仕事を探さなければだめなんですよ。大槌町では民間アパートの問い合わせが100件以上あるんです。そして、応急仮設住宅の利用が可能だとなったとき、釜石市には数十件の問い合わせがあったと。本当にこれは切実ですから、働き手がない中で、被災地で働きたいという希望を持っている方が少なくないと思うので、これはできるだけ早く活用方法を示していただきたいと思います。
 水産加工、その他被災地の雇用確保の問題について、事業復興型雇用創出助成金、これは3、522事業所、1万3、827人の方々に適用されています。沿岸被災地にはどれだけ活用されているか、水産加工業にはどれだけ活用されているか、これを示していただきたい。
 JR山田線、大船渡線の早期復旧ですけれども、震災から3年たって、山田線でいけば三鉄への経営移管という、今まで全然考えていない、考えられないような提案がされる。大船渡線については、これは無理難題ですよ。3年たってからルートを変えようとか、その事業費に400億円かかるとか、やれないでしょうというような提案なんですよ。私は、県、市町村が本当に一体となってこういう理不尽な対応を打ち破っていかなければならないと思います。
 私は被災地の首長からも話を聞いてきたけれども、まちづくりが進んでいる中で、もうこれ以上おくらせられないという切実な思いを持っています。しかし、大震災被害を受けたら赤字路線は切り捨てるということを絶対この大震災で私は前例にしてはならないと思うんです。本当に被災地岩手県が一丸となって、行政が対応するだけではない、県民運動で被災地の鉄路を守るということが必要ではないのか、これは知事にお聞きしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) JRの提案についてでありますが、JR東日本は、JR山田線について復旧後の利用者の確保に懸念を示し、自社のみの運行という形では持続的な鉄道の運行が困難としており、南北リアス線との一体運営や経営の効率化といった観点から三陸鉄道による運営を提案してきました。先日開催された山田線沿線首長会議において、沿線首長は、JR東日本に引き続き運行を求めていくこととあわせて、JR東日本の提案についても検討、協議する意向を示しています。
 県としては、この意向を踏まえて、沿線市町及び三陸鉄道と協議を行い、先般、三陸鉄道が運営するとした場合には、鉄道施設をJR東日本が引き続き所有することなどを求めたところであります。今後とも、JR東日本に復旧後の運行を求める姿勢は維持しながら、今回の提案に対しては、自治体の負担増を回避する観点から、沿岸市町村及び三陸鉄道と検討、協議をして対応していきたいと考えています。
 そして、JR大船渡線についてでありますが、沿線の各市では、復興に向け、鉄道を前提としたまちづくりを進めていますが、震災から3年がたとうとするこの時期に、JR東日本は、津波からの安全性の確保のためには山側に大きく路線を移設する新ルートでなければ復旧できないとの意向を示してきました。これまで、現行ルートを前提に検討を重ね、課題もおおむね解決した中、今回の提案がなされたところであり、また、具体的にどの箇所が危険で、他に回避策がないという根拠などが示されていないことから、沿線市も困惑しているところであります。
 沿線市は、BRT仮復旧は鉄道復旧までの当面の交通の確保と位置づけており、県としては、その意向を踏まえ、沿線市と連携しながら、JR東日本に現行ルートで復旧できないとする根拠等を丁寧に説明するよう引き続き求めてまいります。
〇理事(佐々木和延君) 一つは、災害関連死の問題でございます。
 岩手県では、6カ月を経過しても災害関連死の審査を受け付けるということで、6カ月を経過して死亡された方について、52名を災害関連死としてこれまで認定してございます。審査会については、いつ締めるというふうなことにはなっておりませんので、いずれ、これから先も申請がある都度、適正な審査に努めてまいりたいと思ってございます。
 それから、持ち家再建については、議員おっしゃるとおりこれが一番復興の力になるということで、この額の増額については、かねてより国のほうには最大限要望してきたところです。これは各県とも事情が同じですが、非常に被災件数が多いということと、これは推測でございますけれども、政府のほうでも、今度の大震災があった場合、相当青天井の予算措置が必要になるという判断があるのかなというふうに感じておりますけれども、引き続き引き上げの要請はしてまいりたいと思ってございます。
 それから、二重ローンの問題につきましては、やはり第一義的には被災者に対する周知が不足している部分がございますし、それから、金融機関にこれをお願いしても、利害が相反する部分もございまして、なかなか金融機関も一生懸命に地域の債務者のために働きかけ、あるいは情報の周知をしていただけないという事情等もございますので、県としては、できる限りこういう制度を活用していただきたいということで、周知に一生懸命努めてまいりたいと思ってございます。
 それから、応急仮設住宅の目的外使用についてでございますが、これも相当前から大槌町や県で国に求めてきたところですが、急転直下、ようやくその目的外使用ということで、国のほうからそれを認めると、内閣府と復興庁との協議でこの間通知があったばかりでございます。できる限り早く施行したいところでございますが、やはり予算措置、使用料を取るという公金の扱いになって、お金が歳入として市町村をくぐりますので、予算措置も必要だと。さまざまな制度的な部分もしっかり詰めないと扱えないという部分がございますので、できる限り早く、現在、準備中でございますので、そういうことで取り組んでまいりたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 事業復興型雇用創出助成金の活用状況、とりわけ沿岸部における状況、水産加工業の内訳という御質問だったかと思いますけれども、議員御指摘のとおり、この制度は平成23年度から開始しておりまして、これまで3、522の事業所で1万3、827名の申請状況になってございます。このうち沿岸部における申請状況は、事業所数で1、273、人数にいたしまして5、590名ということで、その割合は40.4%ということで、約4割が沿岸地域で利用されているところでございまして、そのうち水産加工業でのという部分については手持ちデータがございませんので、その部分は御了承いただきたいと思いますが、沿岸では約4割の活用状況。事業の再開後の経営部分を支える力となって、また安定的雇用の創出につながっているものと認識しているところでございます。
〇37番(斉藤信君) それでは、これは知事にお聞きしたい。子供の医療費助成の拡充の問題。岩手県の総合計画審議会が、日本一子育てしやすい地域―県、こういう提案をして、学費や医療費は無償化という提案をしているわけです。私は、すばらしい提案だと思うんです。実はこの間、沿岸被災地で、一番困ったところで、子供を大切にする医療費助成の拡充が広がっているんです。ほとんど中学校卒業まで、おくれているところも小学校卒業まで、この震災後にやっているんですよ。私は、この厳しい状況の中だからこそ岩手の子供たちを大切にするということが必要ではないのかと。そして、県外から転勤してきた方々、私、先ほども紹介したけれども、盛岡市は子供の医療費がかかると、高いと。これでは日本一にならないんですよ。今、県レベルでも、小学校卒業、中学校卒業までというのは、かなりの県まで広がっております。
 そして、償還払い―病院の窓口で払わなければならないのはたった10道県なんですよ。東北では岩手県だけなんですね。確かに国の不当なペナルティーはあるけれども、そういう中でも、全国は現物給付にしているんです。今、若いお母さん方は、財布と相談しながら病院に行くんですよ。1万円札を持たないと、子供を連れていったときにどんな検査をするかわからない。不安なままで、残念ながら、医療費助成の制度があっても、償還払いだとそうなるのです。
 私は、岩手県総合計画審議会が、せっかく日本一子育てしやすい岩手を目指そう、こういう提言をしたときに、やっぱりそれを受けて立つ対策が必要ではないのか。盛岡市も、来年度から小学校卒業まで入院は医療費助成の対象にすると。ついに県都もそこまで踏み込む、こういう状況になってきました。
 それと、青年の雇用対策、ブラック企業対策ですけれども、日本民主青年同盟が昨年、生活実態調査というのをやったんです。社会人213人、平均年齢29.6歳ですけれども、平均の手取りの給料は14万6、000円だったと。保育士の資格があるが、正規で働くところがない。正社員だけれども社会保険非加入。社会保険非加入で月収12万円。11時間労働して、休日が欲しいとか、契約社員、月給13万円、社会保険非加入。臨時職員で、週40時間働いて月12万円。本当に多くの青年がこういう形で不安定な雇用。正社員でも、昔考えるような正社員じゃない。社会保険非加入なんていう正社員があるのかと私は思うんだけれども、実際そういう実態が浮き彫りになってきました。岩手労働局の調査でも、調査したら89%が労働基準法違反ですよ。私は、この問題にやっぱり本格的に岩手県としても取り組んでいく必要があるのではないか、こういうふうに思います。ブラック企業は許されないのだと。そういう取り組みをぜひしていく必要があるのではないか。
 それと知事、関東自動車の問題、トヨタ自動車東日本ですけれども、リーマンショック前は40人、70人、100人まで期間工を正社員化したんですよ。これは知事も強く申し入れてそういう変化をつくった。ところが、リーマンショックでそれが途切れて、今、フル生産体制で一番景気のいいときに、七百数十人のうち10人程度しか期間工を正社員にしていないんですよ。岩手を代表する誘致企業が、そういう働き手、青年を調整弁にするようなやり方というのは、私は重大な損失だと思います。岩手で模範になるような働かせ方を岩手工場でこそするべきではないのかと思いますが、改めてお聞きします。
 最後に、教育委員長にお聞きします。
 学力テスト体制、学力テストをやることによって今どうなっているかというと、2月、3月は学力向上月間なんて言ってやっているんですよ。小学校で朝学習ですよ。前は読書をやっていた。今は過去問試験をやっているんですよ。授業が終わった6時間目から学力テストに向けた勉強をやっているんですよ。高校生ならともかく、小学校の段階から学力テスト体制なんですよ。だから、確かに学力テストの結果はよくなるかもしれないが、勉強嫌いがふえているんですよ。文部科学省が言っているように学力の一部でしかないのに、平均点が出ると、それが基準になってひとり歩きしているんですよ。
 あの大震災のときに沿岸の子供たちがすばらしい力を発揮した。生きる力を発揮した。私は、立派な学力がついていると思いますよ。そういう子供たちに、朝から晩まで学力向上だという教育がいいのか。子どもの権利条約、3回にわたる権利委員会の勧告、教育委員会は、教育委員会として本当に議論したことがあるのだろうか。私は、その精神に立って日本の教育のゆがみを正す必要があると思うけれども、これを聞いて終わります。
〇知事(達増拓也君) 岩手県総合計画審議会の今後の岩手県の政策に関する提言でありますけれども、個々の意見については、現時点での実現可能性や他の施策との優先順位などを総合的に勘案して県政への反映を検討していくわけでありますけれども、日本一子育てしやすい地域をつくるための施策の方向性ということは大変いい方向性だと思っておりまして、若者と女性の活躍、少子化対策、そういったところについては、地域の力を最大限発揮し、地域の持続可能性を高める上でも県の取り組みをさらに前に進めていきたいと考えています。
 また、子供の医療費助成について現物給付にすべきということで償還払いの問題について質問をいただきましたけれども、これについては、市町村等と協議をした上で償還払いとしているところでありまして、他方、国に対しては、現物給付が困難である理由になっている減額措置の撤廃について要望してまいります。
 次に、ブラック企業ということは、私もさまざま報道、情報番組、またいろいろなところから耳にしておりまして、これは社会問題であり、あってはならないことだと考えております。
 一方、岩手労働局でありますが、さきの調査に関し、法令違反が見られたことをもってこれらの事業場がいわゆるブラック企業であるとは捉えていないと聞いておりますけれども、いずれにせよ、県としても岩手労働局とこれまで以上に緊密な連携を図りながら、苛酷な労働実態を訴える声が県に寄せられた場合には、速やかにこれを岩手労働局に伝えて改善へとつなげていくなどして、若者が安心して働ける環境づくりを進めていきたいと考えます。
 トヨタ自動車東日本岩手工場の雇用の関係についてでありますけれども、安定した雇用の確保は重要であり、企業訪問など、さまざまな機会を捉えて正規雇用の拡大について要請していきたいと思います。
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 学力向上の捉え方といいますか、考え方について私の考えを申し上げますけれども、朝自習に取り組んでいるとか放課後6時間目からやっていることについて、私は完全に県内を全部把握しているわけではありません、調査すると多忙化と言われるので。そういうことでそのような調査はしておりませんが、数人の校長には聞きました。聞きましたが、そのためにやっているのではないと。いわゆる全国学力検査の結果の順位を上げるためにやっているのではないと。本校の子供たちの読み書きの基礎をつけたい、学習習慣を身につけさせたい等というようなことでやっているのだということもありますし、その結果として学力向上するのならいいのではないかと私は思っていますし、子供が本来、学校に来るのはなぜかと。勉強したいと、できるようになりたいと、テストで100点をとりたいという子供は大勢です。部活もやりたいと、そういうことで来ています。それから、親にも、力をつけてほしいと。もっとびしびしやってほしいと言う親もいます。そういういろいろな人たちの考えを考えながら、子供たちの夢を実現させるために、高校に行きたい子、大学に行きたい子にはそれに見合うだけの力をつけてやらなきゃならないと私は考えていますので、それが学力向上というのであれば、岩手県の課題は学力向上でもいいのではないかと。私どもは学力保障という言葉を使っていますし、授業改善等も使っています。そういうことで、もし順位を上げるためだけの不純な考えをしている学校があるとすれば、私は、いろいろな校長の研修機会に是正するように言っていきます。
 それから、被災地での子供たちがいろいろな力を発揮したこと、これも斉藤議員と全く同じですし、子供の、まさに生きる力、本物の学力をつけていると高く評価しております。引き続き頑張ってまいります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時28分 散 会
第14回岩手県議会定例会会議録(第6号)

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