平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇9番(佐々木努君) いわて県民クラブの佐々木努です。
 昨年の2月定例会以来、1年ぶり、4度目の一般質問になりますが、登壇の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員に、心から感謝を申し上げます。
 東日本大震災津波から早いもので3年がたとうとしていますが、沿岸被災地で今もなお不自由な生活を送られている多くの方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
 沿岸被災地では、復旧のつち音が響いてはいるものの、復興住宅建設のおくれなど、いまだ復興にはほど遠い状況にあり、改めて被害の甚大さと復旧、復興の難しさを感じています。
 県には、被災地にしっかりと寄り添い、一日も早い復興に向け全力で取り組んでいただくとともに、県全体が明るさを取り戻せるよう、いわて県民計画の着実な推進に御努力いただきますようお願いいたします。
 そのような思いを込め、質問に入ります。
 初めに、人口減少対策について質問いたします。
 国立社会保障・人口問題研究所の日本の将来推計人口によりますと、日本の人口は、2010年を100とすると、2040年には84%に、2060年には68%、2090年には45%にまで減少すると推計されています。我が県のように、過疎地域が多い都道府県においてはその減少率はさらに大きくなると言われ、特にも、ゼロ歳から14歳までの年少人口の減り幅は、都市部に比べて大きくなると予想され、2040年には2010年比47%、つまり、26年後は子供が今の半分以下になってしまうという衝撃的な推計となっています。
 このように、人口が減っていくこと、特にも、出生数の減少は我が国の衰退につながる重大な問題であり、少子化対策は、国が最も力を入れなければならない重要課題であると考えます。しかしながら、国は、子育て支援と経済対策だけに特化したかわりばえのしない政策を繰り返すばかりで、本質的な人口増加策に踏み込もうとせず、いら立ちを感じます。
 国が検討を始めているとされる移民の受け入れ以外で我が国が人口をふやしていける方法は、出生数をふやすことしかないわけでありますが、そのためには、若い人たちに結婚して子供を産んでもらわなくてはなりません。しかしながら、結婚は個人のプライバシーの問題であると、これまで全くと言っていいほど結婚支援に取り組んでこなかった国には、少子化を急加速させたという重大な責任があると思っています。
 国がそのような姿勢であるがゆえに、我が県の結婚支援への取り組みの消極さを一方的に責めることはできませんが、県には、未婚化、晩婚化が急速に進み、婚姻率が全国で下から2番目に低いという厳しい状況に危機感を持ち、その対応策となる結婚支援に積極的に取り組んでほしいと思っています。
 そこで最初の質問です。
 県などが出捐して創設したいわて子ども希望基金を使い、いきいき岩手支援財団が行ってきた未婚の男女の出会いの場を創出する事業に助成をするi・出合い応援事業が始まって5年が経過しようとしています。これまでの成婚の実績はどうなっているのか、また、この事業は来年度も継続されるのか伺います。
 昨年2月の一般質問で、県内の自治体や結婚支援団体で組織する協議会の設置を提案したところ、県からは、市町村と関係団体等との意見交換の場を設け、支援団体間のネットワークを構築するとの答弁をいただきました。意見交換会は、どのような形で何度開催されたのか、どんな意見が出されたのか、支援団体間のネットワークはどのように構築されたのか伺います。
 また、意識啓発のための結婚支援セミナーを開催するとの答弁もいただきましたが、その実績についても伺います。
 県では、若者が家庭や子育てに夢を持てる環境を整備するため、若者出会い応援推進事業を創設し、新年度予算案に280万円余を計上いたしました。県が若者支援策の一つとして結婚支援を始めようとしていることは、これまでの結婚支援に対する消極的な姿勢から大きく転換したものと評価するところではありますが、この事業の具体的な内容はどうなっているのか伺います。
 私は、県が目指すべき結婚支援の最終到達点は、出会いから結婚までをサポートする結婚支援センターの設置であると思っています。その実現を目指し、既に支援システムを構築し実績を上げている茨城県のいばらき出会いサポートセンターと愛媛県のえひめ結婚支援センターを訪問し、両県の取り組みについて学んできました。
 その茨城県では、平成18年のセンター設置後、わずか7年でセンター利用者の成婚数が1、000組を超えました。昨年7月には盛大に記念式典が開催され、さらなる事業の推進を誓い合ったと聞いています。
 愛媛県でも、愛媛県法人会連合会が県から事業委託を受けて平成20年にセンターを設置、運営し、官民一体となった取り組みで大きな成果を上げています。
 その愛媛県に調査に伺った際は、センターの事務局長さんから、愛媛のノウハウを全て提供するから、岩手でもぜひやってほしいと激励され、受け皿となっていただける岩手県内の団体まで紹介をいただきました。
 このように、茨城県、愛媛県が実績を上げ、山形県や長野県などでもセンターを設置するなど、その動きが全国に広がっている中、岩手もおくれをとることなく、結婚を望む多くの人たちのために結婚支援センターを設置すべきと思います。
 4度目の質問になりますが、改めてそのお考えはないか伺います。
 次に、人口の社会増の観点から、過疎化対策にもつながる若者の定住化促進策について伺います。
 過疎地域における高齢化と人口流出はとまらず、限界集落と呼ばれ、消滅の危機に瀕している集落が岩手でもふえ続けています。
 私が住む奥州市にも、そのような集落が存在しますが、そこに住むある方から、このままではこの集落はなくなってしまう。何とかしてほしいとの相談を受けました。ふだんからさまざまな相談を受けている中で、これほど難しく、そしてつらく悲しい相談はありません。
 そのような過疎地域の再生を目指し、国と地方自治体が取り組んできた中に地域おこし協力隊があります。この事業は、地方自治体が都市住民を受け入れて委嘱し、地域おこし活動の支援や農林漁業の応援、住民の生活支援などの地域協力活動に従事してもらい、あわせて、その定住、定着を図りながら地域を活性化させるという制度ですが、平成21年度に、全国31自治体、隊員数89名で始まったこの事業は、本年度318自治体978名まで拡大し、岩手県でも、一関市、二戸市、八幡平市、西和賀町で、合わせて7名の隊員が活動しており、地域の活性化に大きく貢献していると聞いています。
 昨年、北海道北部にある下川町を視察した際、偶然、夫婦で活動している隊員の方に出会いましたが、間もなく3年の活動期間を終え、定住するための準備を進めていると、うれしそうに話していたことが印象に残っています。
 このように、若者に来てほしいと願っている地域、田舎に移り住みたいと思っている若者は年々増加していると言われており、今後の過疎化対策を考えた場合に、都市部の若者を受け入れることは有効な手段ではないか。というよりも、限界集落を救う方法はそれしかないと考えます。
 そこでお聞きします。
 県は、定住、交流人口をふやすため、政策地域部地域振興室内に定住・交流サポートセンターを設置していますが、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、その成果はどうなっているのか伺います。
 また、これまで県内の過疎地域に移住してきた若者はどの程度いると把握しているのか伺います。
 県には、これから過疎化に苦しむ多くの地域を再生させるために、これまで以上に市町村との連携を図るとともに、さまざまな支援策を講じ、都市部の若者を受け入れる取り組みを進めてほしいと思いますが、県の今後の取り組み方針について伺います。
 次に、医療における諸課題について質問いたします。
 昨日、渡辺幸貫議員も取り上げましたが、私からも医師確保対策について伺います。
 全国的に医師不足が叫ばれ、さらに都道府県間で医師数に最大2倍の格差があるなど、医師の地域偏在化が深刻な状況となっている中、我が岩手県においては、人口10万人当たりの医師数が199.8人で、全国で下から8番目に低い状況となっています。
 県では、医師不足を解消するため、県外からの医師の招聘に取り組む方針ですが、昨年は招聘数が大きく落ち込むなど、今後の医師確保が心配されています。そのような状況下にあって、県は、医師の絶対数の不足や地域偏在の解消に向けて今後どのように取り組む方針なのか、初めに伺います。
 医師の招聘とあわせて、県が取り組んでいる医師奨学金事業による養成医師が、平成28年度から県内の公立病院に配属されることになり、医師不足に歯どめがかかるものと期待しているところです。県は、奨学金養成医師の適切な配置調整のあり方について昨年から有識者による検討を行い、最終報告を取りまとめたとうかがっていますが、今後、どのような考え方と仕組みで養成医師の配置調整を進めていくのか伺います。
 岩手に根差す医師をふやしていくためには、医師を目指す子供たちをふやすことが必要です。例年、岩手の子供たちで大学医学部や医大に進学するのは50名程度と聞いており、他県に比べて少ないと言われていますが、今後、その数をふやしていくためにどのような取り組みをしていくのか伺います。
 次に、先進的な医療機器の導入について伺います。
 優秀な若い医師を確保するためには、医師たちが安心して働くことができる職場環境の整備、そして新たな医療技術習得のための先進的な医療機器の導入が不可欠と考えます。
 近年、医療技術の高度化が急速に進み、今や手術がロボットを使って行われる時代になりました。アメリカでは、既に前立腺がんの手術の99%がダヴィンチという手術用ロボットで行われており、その流れは全世界に広がっています。日本国内でも既に130台ほどが導入され、岩手でも2年前に岩手医大に導入が図られました。このロボットは、現在、保険適用となる前立腺がんの治療に使われていますが、今後、安全性と優位性が確認されればさまざまな手術が保険の対象となり、多くの手術がロボットを使って行われるであろうと言われています。
 医師不足の中、県立病院にこのような最先端の機器を導入することは、県内の病院に働く医師たちの励みになるばかりでなく、若く優秀な人材を確保するためにも必要なことと思いますが、医療局として導入のお考えはないか伺います。
 医療問題の最後に、ドクターヘリ事業について伺います。
 ドクターヘリの運航上大事なことの一つに、受け入れ病院におけるヘリポートの確保があり、県立中央病院を初めとするヘリポート未整備の災害拠点病院への設置について、昨年2月の一般質問で要望させていただきました。その後、9月に、県立大船渡病院の敷地内に高架式のヘリポートができ、年末には患者搬送数の最も多い盛岡地区へのヘリポート設置方針が打ち出されるなど、県の素早い対応には感謝しています。
 今後も、安定したドクターヘリ事業を推進していくため、そして県民に安心感を与えるためにも、引き続き災害拠点病院へのヘリポート設置に取り組んでいただきたいと思っています。
 そこでお聞きします。
 県は、新年度においてもヘリポートの整備を進める方針ですが、どのように整備をされるのか伺います。
 次に、教育における諸課題について5項目質問いたします。
 初めに、沿岸被災地の教育環境の改善について伺います。
 阪神・淡路大震災で被災した兵庫県では、発災の3年後、児童生徒のPTSD―心的外傷後ストレス障害がピークに達したと報告されています。そのことを聞いて子供たちが心配になり、先日、宮古市のある中学校に、子供たちの様子をうかがいに行ってきました。
 震災時、宮古市内の小学校に勤務していて、みずからも被災し、その後、現在の中学校に移られたという校長先生は、子供たちの現状についてこう語りました。
 震災後3年がたって、子供たちに変化があらわれてきた。体の調子が悪いからとすぐに休みたがったり、簡単に部活をやめたり、学校に来なくなったりといった行動がふえてきた。ここ数年は丁寧なケアが必要になってくるだろう。
 心配したとおりでありました。家族など身近な人を亡くした悲しみ、長引く応急仮設住宅での不自由な暮らし、校庭が使えないことによる運動不足、友達が転校でいなくなってしまった寂しさなど、子供たちは発災当時と変わらない大きなストレスと闘いながら日々を暮らしています。中学、高校時代は、人間形成の過程において大事な時期であり、今まで以上に子供たちの心に寄り添っていかなければならないことを改めて強く感じました。
 校長先生は、子供たちへの対応の現状について、自分たち教師は、心のケアの専門家ではないから対応は難しい。やはりスクールカウンセラーのような専門家の指導が必要。ただ、今は週に1回しか来てもらえず、いてほしいときにカウンセラーはいない、何とかならないだろうかと話していました。それが沿岸被災地の教育現場の実情であり、切実な願いではないでしょうか。
 県では、新年度もスクールカウンセラーを配置するとともに、新たにスクールソーシャルワーカーも配置して、被災した子供たちからのさまざまな相談に対応していくこととしていますが、現状では人員が不足していると聞いています。この大事な時期を乗り切るために、人員確保も含めた体制強化が必要と思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。
 次に、いじめ対策についてお聞きします。
 滋賀県大津市の中学2年生が自殺した事件など、いじめによって子供の命が失われる深刻な事件が相次いだことがきっかけとなり、昨年6月、いじめ防止対策推進法が成立しました。しかしながら、法律ができてからも7月に長崎県で小学校6年生が、ことしになっても山形県の中学2年生がいじめを苦に自殺するなど、いじめによる事件は後を絶ちません。
 いじめ問題に関して国の法律ができた意義は確かに大きいのですが、いじめが減らなければ法律をつくった意味はなく、実効性のある対策を早急に進めていかなければならないと思っています。
 そこでお聞きします。
 一昨年、文部科学省が行った全国の公立学校を対象としたいじめ緊急調査で、我が県では2、000件を超えるいじめが起きていたことがわかり、それを受け、県では、いじめ根絶緊急研修会などを行ってきたと承知していますが、それらの開催状況も含め、いじめ防止に向け、これまでどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
 いじめ緊急調査から1年半がたちましたが、この間のいじめの発生状況はどうなっているのか、あわせて伺います。
 また、警察本部長には、この間、いじめが原因で摘発、補導した少年事件の発生状況について伺います。
 ことしになって、地元の方から、子供がいじめに遭っているとの相談を受けました。相変わらずいじめは存在しています。県は、これまでの取り組みが効果的であったのかを検証するために、また、いじめはいけないという意識づけをするためにも、学校や子供たちに対して定期的にいじめの実態調査を行うべきではないかと思いますが、そのお考えはないか伺います。
 3点目に、情報モラル教育、特にもスマートフォンの問題について伺います。
 昨年7月に起きた広島県の女子中学生殺人死体遺棄事件は国民に大きな衝撃を与えましたが、この事件にはLINEと言われるスマートフォンのアプリケーションが使われていたと言われています。最近、このLINEによるいじめが増加したり、見知らぬ人と交流ができるコミュニティサイトを利用して事件に巻き込まれる子供たちがふえたりと、スマートフォンによるさまざまな事件が問題化し対策が求められています。また、スマートフォンの使用による睡眠障害や視力の低下、精神的不安の増長など健康面での害も問題視されており、便利である一方で、子供たちにとってはマイナス要素が多過ぎるこのような機器の脅威が、低年齢層にまで拡大していることに恐ろしさを感じます。
 昨年の9月定例会では、五日市議員と城内議員がこの問題を取り上げましたが、中学校の息子さんにスマートフォンを持たせたくないと訴えた五日市議員の主張は、多くの保護者の共通した思いではないでしょうか。実際に、私も何人かの保護者の方々に話を聞いてみたところ、全員が、本当は持たせたくないけれども、仲間外れにされるのが心配だから仕方なく持たせていると言い、子供がスマートフォンで何を見ているのか、誰とどんなやりとりをしているのか心配だとも話していました。
 そんな心配になるようなものを子供たちに簡単に持たせて本当にいいのでしょうか。私たち大人は、もっとしっかりこの問題に向き合わなければならないと思います。
 そこでお聞きします。
 今起きているスマートフォンのさまざまな問題を県はどのように捉えているのか、今後どのような対応策を講じていくのか伺います。
 また、私は、子供たちにスマートフォンを持たせるべきではないと思っていますが、私一人が騒いでもどうにもなりません。県教委として、子供にスマートフォンは持たせるべきではない。100歩譲って、子供たちにはスマートフォンを薦めないという強いメッセージを発信してほしいと思っていますが、私と同じアナログ時代に育った教育委員長の所感を伺います。
 4点目に、子供たちの学力向上の観点から、高校教育のあり方について質問します。
 全国学力テストやセンター試験の結果を見ても、我が県の子供たちの学力は、学年が上がっていくほど低くなっていく傾向にあることは残念でなりません。一体、何が原因なのでしょうか。私は、学力が全てとはもちろん思っていませんが、社会に出るためにはある程度の学力は必要であり、何よりも、嫌いな勉強でも頑張るという姿勢が忍耐力を生み、厳しい社会を生きていく力になるのだと思っています。
 また、国際リニアコライダーの国内建設候補地となった我が県にとっては、英語力の向上も含めた全体的な学力の底上げが必要であると思っており、県には、学力向上にこれまで以上に力を入れていただきたいと思っています。
 そのような中、先日、進学校と言われる県南の高校に通う生徒の親御さんからある相談を受けました。
 子供さんは成績優秀な上にスポーツも万能で、部活でも中心選手として活躍してきたそうですが、2年生になり、進学のために勉強にも集中したいと思ったところ、夜は遅くまで、朝は早くからの部活動があり、勉強の時間がなかなかとれず精神的に参っている、何とかならないものかという相談でした。
 そんなに勉強をやりたければ部活をやめればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、子供たちにとっては部活も大切なものであり、大人のように簡単に割り切れるものではありません。このような状況で、医者になりたいという彼の夢が果たして実現できるのでしょうか。
 岩手国体が2年後に迫り、競技力の向上は必要です。子供たちにとって、部活動が大事な教育の一環であることも理解しています。しかしながら、勉強と部活のバランスの崩れによって、子供たちの未来が狭まってしまうことは絶対に避けなければなりません。教育の理想である文武両道を目指していくためにも、学校に対する県教委の適切な指導が必要と思いますが、所感を伺います。
 教育問題の最後に、キャリア教育について伺います。
 最近、自分に目標がない、自分の未来が見通せない、そんな若者がふえていると聞いています。確かに、バブル経済の崩壊後、就職難の時代が長く続き、若者にとってはつらい時代になっています。しかし、そういう時代だからこそ、前向きな気持ちで生きていける若者を育てていかなければならないと思います。
 そんな若者を育てていくために何かいい方法はないかと考えていたときに、1枚の画用紙に自分の未来の姿を描くドリームマップというプログラムに出会いました。小学校高学年の児童を対象に、1日がかりで行う授業です。実際に、盛岡市内の小学校で授業を拝見させていただきましたが、自分に目標を与え、目標に向かって努力する力を育てるこのような授業に触れたのは初めてで、目を輝かせながら授業を受ける子供たちの姿を見て、今の子供たちに必要なのはこのような授業ではないか。特にも、沿岸被災地の子供たちには、より必要ではないかと感じました。
 今年度、岩手では、盛岡を中心に、11校24クラス、784名の子供たちがこのドリームマップ授業を受けていますが、学校側の評価も非常に高いと聞いています。県が進めるキャリア教育にもつながる効果的なプログラムであると思いますが、新たな岩手型教育の一つとして取り組んでいく考えはないか伺います。
 最後に、職員の資質向上についてお聞します。
 先月、東京駅構内の本屋で、県庁おもてなし課という本を目にし、タイトルにひかれて思わず買ってしまいました。フリーター家を買うなどで有名な有川浩さんが東日本大震災の直前に書いた本で、既に映画化もされており、我が県の観光課にも取材に来られたといいますから、職員にも読んだ方はいらっしゃると思います。
 この本は、県庁ルールという、凝り固まった古い慣習に流されながら仕事をしていた一人の若い職員が、多くの人たちとの出会いから大切なことを学び、県庁ルールを打ち破って県政を大きく変えていくといったドラマチックな内容で、若い職員たちが変わっていく姿、それを理解し支え続けたすばらしい上司の姿に、フィクションであることを忘れ感動を覚えました。
 我が岩手には、県庁ルールというものが存在しているのでしょうか。もしかしたら、職員皆さんが気がついていないルールが存在し、新しいことに向かう道がルールという大きな壁に阻まれているのかもしれません。その壁に囲まれて安心して暮らすことも生きる道かもしれませんが、職員の皆さんには、130万県民の幸せのためにその壁を打ち壊し、その先にある明るい岩手の未来を目指して課題解決に挑んでほしいと思っています。
 最後になりますが、県は、そのようなやる気を持って課題解決にチャレンジしていく職員をこれからどのように育てていこうとしているのか、御自身も長年にわたって県職員として活躍してこられた副知事にその思いを伺い、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、過疎地域への都市部の若者の受け入れについてでありますが、過疎化が進む地域においては、人口の減少や高齢化の進展により農林水産業など産業の担い手の不足や地域の活力が低下し、地域コミュニティの維持が困難になってきているなど、さまざまな課題に直面しています。このような地域については、これまで、生活環境の整備など総合的、計画的な過疎対策を実施して、地域の自立促進や住民福祉の向上等に努めてきたところであります。
 このような中で、近年の個人のライフスタイルや価値観の多様化を背景とした地方志向の高まりを捉えて、県外からの定住者や交流者を着実にふやすとともに、移住された方々が地域の担い手として活躍できる環境づくりについても推進してまいりました。
 これまで、総合的な相談窓口の開設や首都圏での移住イベントへの出展などによって移住希望者に対する相談や情報発信などに取り組んできましたが、来年度においては、定住人口のさらなる拡大を図ることに重点を置いて、あまちゃん効果による本県への関心を向上させ、首都圏からの移住を積極的に進める取り組みを展開することとしています。
 今後においても、地域おこし協力隊や復興支援隊など国の支援制度についても有効に活用するなど、より一層、市町村、関係機関と連携を図りながら、県外からの若者を地域に呼び込む定住化促進のための取り組みを進めてまいります。
 次に、医師の絶対数の確保と地域偏在の解消についてでありますが、県外からの招聘医師は、被災地への応援医師が減少したことによって被災前の水準に戻るなど、県内の医療機関では依然として深刻な医師不足の状態が続いておりまして、議員御指摘のとおり、医師不足と地域偏在への実効性ある対応は県政の重要課題であります。
 地域医療の危機が深刻化する中、県としては、医師養成奨学金制度の運用や県民総参加型の地域医療体制づくり、県外からの医師の招聘など医師確保対策に全力を挙げているところでありますが、こうした県レベルの取り組みだけでは都道府県間の偏在の解消は難しいと考えております。また、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる10年後、都市部においても入院を伴う医療需要が急増することが見込まれますので、全国区レベルでこの問題に取り組む必要があります。
 国においては、2025年の医療需要に応じた医療提供体制の構築を目指して今国会で医療法等の改正を行う予定でありますが、県としては、医療崩壊の危機を全国民が共有して、安心で持続可能な医療提供体制を構築していくために、国と地方の役割分担のもと、医師不足や地域偏在の解消に向け、医師の計画的な養成と適正な配置を図ることを目的とした地域医療基本法の制定を提言しておりまして、引き続き、地域医療を再生させるための取り組みを展開してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) やる気を持って課題解決にチャレンジしていく職員の育成についてでありますが、岩手の未来を担い、震災からの早期復興に向け活動する職員は、何よりもまず岩手の未来づくりを支える専門集団の一員として、県民本位の視点でみずから考え行動できる職員であるということが必要だと考えております。
 また、平成20年に策定いたしました岩手県職員憲章の中では、県職員としてあるべき姿として、創意工夫を凝らし、柔軟な発想で新たな課題に果敢に挑戦することを信条の一つに掲げているところであります。こうした職員を育成するため、いわて県民計画第2期アクションプラン改革編等に基づきまして、これまでも、各種研修はもとより人事異動における庁内公募の実施や、国や民間企業への派遣などを初めとするさまざまな取り組みを行っているところであります。
 こうした取り組みに加えまして、本年度は、日ごろの担当業務に捉われず、主体的に若者の活躍を促進する施策を立案するための組織でございます若手ゼミを庁内の若手職員を中心に設置し、庁外からの意見も踏まえたさまざまな提案を求めたところでありまして、それらのうち、新たなコミュニティサークルや交流ポータルサイトの構築といった提案につきましては、来年度、具体的な事業化を図っているところでございます。
 また、各地域の振興のため、地域の方々とともに、地域資源、地域の宝を活用したさまざまな取り組みを行うことにつきましても積極的に奨励しているところでありまして、一例を申し上げますと、私も先日参加してまいりましたが、県北広域振興局が中心となりまして、二戸市、九戸村や民間団体等と連携いたしまして、九戸政実公をテーマに据えました地域おこし活動として九戸政実プロジェクトに取り組んでいるところでもございます。
 今後におきましても、チャレンジ精神を持って課題解決に取り組んでいく職員を育成するため、さまざまな取り組みを幅広く展開してまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、出会いの場を創出する事業の実績等についてでありますが、未婚男女の出会いの場を創出するi・出会い応援事業のこれまでの実施状況は、37団体62事業に助成しています。本事業は、未婚男女に緩やかな出会い、交流の場を提供することを主な目的としていることから、成婚に至ったかまでは全てを把握しておりませんが、この事業がきっかけとなって結婚に結びついた事例は、承知している範囲では13組となっております。
 本事業の先駆けとして各地において市町村や各団体の主催による結婚支援事業が展開され、少子化の要因である未婚化、晩婚化が課題となっている本県において、本事業は若い世代の支援策の一つとして意義があるものと考えており、事業の実施団体であるいきいき岩手支援財団では来年度も実施する予定であることから、県としても連携して取り組んでいきます。
 次に、意見交換の場の開催状況等についてでありますが、県では、結婚支援に取り組む市町村間の情報共有や意見交換の場として、いわて結婚支援ネットワーク会議を平成25年6月に盛岡市内で開催いたしました。会議には24市町村が参加し、市町村間の情報交換の場があるのはありがたい、結婚支援センターの設置を会議の議題にしてほしい、行政と民間が一体となって実施していくべき等の意見が出されております。本会議は今年度初めて開催したものでございますが、市町村が一堂に会して結婚支援事業に関する意見交換を行うとともに、各市町村内で開催される結婚支援事業の情報をいきいき岩手支援財団に提供、集約し、結婚支援情報のポータルサイトの開設につながったものでございます。結婚支援事業に当たっては、市町村との連携が重要でありますことから、来年度も引き続き情報共有や意見交換の場を設けることとしております。
 次に、結婚支援セミナーの開催実績についてでありますが、平成26年1月にいきいき岩手支援財団が、全国的に活躍している結婚問題アドバイザーを講師に迎え、結婚支援に関するイベントを盛岡市内で開催しております。午前は結婚支援団体を対象とし、出会いのイベントを実施する際の基本的な留意点を内容としたコーディネーター研修会、午後は、結婚を考えている方やその家族、結婚支援団体等を対象とし、講師のこれまでの経験を踏まえて、結婚を希望する人や支援者の心構えなどを内容とした結婚支援セミナーを開催し、午前、午後合わせて80名余が参加いたしております。
 研修会参加者からは、全国各地のさまざまな事例を知り、とても勉強になった、セミナー参加者からは、カップルになる際のいろいろなきっかけの事例が参考になったなどの感想が寄せられるなど好評であり、意義があったものと考えております。
 次に、若者出会い応援推進事業の具体的内容についてでありますが、本事業は、少子化の進行に歯どめがかからない状況を踏まえて、県として若者の結婚支援に係る取り組みを推進するため、社会全体で結婚を応援する機運の醸成や、地域のニーズや課題を踏まえながら、広域的視点に立った結婚支援のあり方の検討を行うというものでございます。
 具体的には、結婚支援の機運醸成を図るため、結婚支援関係者が、各地の取り組み事例等も参考にしながら、若者の結婚に係る地域や企業等の支援のあり方について理解を深めるフォーラムの開催や、イベント活動団体と、それを支援する関係者で構成する若者出会い応援推進会議を開催することとしております。
 次に、結婚支援センターの設置についてでありますが、今年度、全国や県内の結婚支援事業の実施状況を把握するとともに、愛媛県を含む先進県に職員を派遣し、その取り組み状況を実地調査いたしました。先進県調査では、会員登録制のお見合い仲介により成婚が相当数あることや、結婚支援情報の一元化による総合的な情報発信等が成果として挙げられる一方、専門スキルを有する人材の確保や運営財源の安定的確保などによる中長期的な運営体制の維持、確立等が課題として挙げられております。
 先進県調査やいわて結婚支援ネットワーク会議での市町村の意見を踏まえ、結婚支援センターの設置についても検討を行ったところでありますが、まずは、結婚を望む若者が結婚できるよう地域が一体となって支援する機運醸成を図ることが重要であるということから、来年度、結婚支援関係者が支援のあり方について理解を深めるフォーラムの開催や、地域ニーズや課題を把握し、今後の県の結婚支援のあり方を検討することとしたところでございます。その上で、結婚支援センターの設置については、人材や財源確保の検討とともに、市町村等関係者の声、地域の具体的なニーズや課題等を十分把握しつつ、さらに検討していきたいと考えております。
 次に、奨学金養成医師の配置調整についてでありますが、有識者によるワーキンググループの最終報告書では、良医を育て、質の高い地域医療の確保に貢献する医師を育てるという基本理念のもと、医師不足の顕著な公的医療機関への対応と養成医師のキャリア形成支援による県内定着の観点から、現在、三つの奨学金について共通の配置基本ルールを定め、配置先医療機関や医育機関と連携して、養成医師の医療機関勤務とキャリア形成の支援を図っていくこととしております。
 また、配置調整の実効性を確保するため、奨学金の運営主体である県や国保連、県内の医育機関である岩手医科大学が養成医師の育成と配置調整について協定を締結し、これに基づき設置する調整組織において養成医師の配置を一元的に行うこととしております。平成28年度から本格化する養成医師の配置に向けて、今後、これらの仕組みの構築に取り組んでいきます。
 次に、医学部等への進学についてでありますが、県では、医学部の進学を希望する高校生の拡大に向け、ふだんの学校生活では得ることのできない医師の仕事の内容や医師になるためのプロセスを説明し、医学部進学の動機づけを行う医学部進学セミナーを平成16年度から開催しておりまして、毎年100名前後の高校生が参加しております。
 平成20年度以降、全国の医学部入学定員が拡大されてきていますが、医学部入試は引き続き難易度が高く、学校現場からは、医学部入試に対応した取り組みが必要であるといった声も聞かれております。医学部進学者の一層の拡大を図るため、教育委員会と連携し、高校教員を対象とした指導講習会や、保護者を対象とした医学部進学に係る講演会を開催するなど、医学部進学者の拡大に向けた支援策を講じるための経費について当初予算に盛り込んだところでございます。
 次に、ドクターヘリ事業についてでありますが、本県ドクターヘリは運航開始から間もなく2年となり、運航実績が積み重なってきていることから、円滑な患者搬送の実施に向けて、現在、改めて県内のヘリポートに関する調査を専門機関に委託し、実施しております。
 調査内容は、搬送される患者の6割を受け入れている盛岡地域において、降雪期の離着陸場の確保等の課題が明らかとなっていることから、その具体的な整備案について検討し、盛岡以外の地域については、敷地内にヘリポートを有していない災害拠点病院を中心に、救命救急の有効性の観点から、ヘリポート整備の必要性と、必要な場合の具体的な整備案の検討を行っております。
 今後のヘリポート整備については、出動状況や患者搬送実績、近傍の離着陸場の状況に加え、進入路等の空域条件や騒音、砂じんの影響などを総合的に考慮する必要があり、今年度末までに出されるこの調査結果を踏まえて対応することとしております。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) 定住・交流サポートセンターについてでございますが、本県では、定住、交流人口の拡大を図るため、平成19年2月に県庁に定住・交流サポートセンターを設置し、東京事務所など三つの県外事務所には移住者向け就職相談窓口を設けて移住相談等に対応してまいりました。また、市町村やふるさといわて定住財団等と連携し、首都圏でのふるさと回帰フェアや移住・交流フェアなどの移住イベントへの出展や、実際に移住した方の体験談を掲載したパンフレットの配布などにより、移住希望者に対する相談や情報発信に取り組んでまいりました。これらの取り組みなども含め、定住・交流サポートセンター設置後の平成19年度から平成24年度までの6年間で、県全体で5、781名の移住者を受け入れております。
 また、県内の過疎地域へ移住してきた若者の数は具体的には把握はしておりませんが、例えば過疎地域に移住し、カフェを起業したり、大学時代に本県への関心を持ち、卒業後、県内企業へ就職し、その地域に溶け込んで地域づくり活動に取り組むなど、地域の活性化に貢献している活動などの事例があらわれてございます。
   〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) 県立病院への先進的な医療機器の導入についてでありますが、県立病院における医療器械につきましては、特定の政策目的や病院の移転新築などに伴う整備のほか、各病院からの要望を踏まえ、必要性、緊急性及び経済性の観点から総合的に判断し、優先度の高いものから整備しているところです。
 御提言いただいた内視鏡手術支援ロボットにつきましては、現在の診療報酬では対象となる手術が1項目のみであり、今回の改定におきましても、現時点で把握しているところでは、対象手術の拡大は見込まれていない模様です。
 一方で、このような先進的な医療機器の導入は、医療の質の向上に資するとともに医師確保につながる側面も有していると認識しております。
 医療局といたしましては、今後とも、限られた医療器械整備予算の中で、他の医療器械との優先度を精査しつつ、財源の確保を図りながら、しかるべき時期に整備できるよう取り組んでいく考えです。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) スマートフォンの問題についてでありますが、文部科学省が、平成21年1月31日付、学校における携帯電話の取り扱い等についての通知において、携帯電話は、学校における教育活動に直接必要のない物との認識を示しておりますが、この認識は、現在においても生徒指導上の考え方として全国共通のものと捉えております。
 一方で、スマートフォンが、大人はもとより子供たちにも急激に普及している現状があり、このことを踏まえて、児童生徒や保護者に対して、情報化の影の部分についても粘り強く啓発していくことが大切であると考えております。
 なお、各家庭においても、携帯電話が子供たちの生活にとって本当に必要なのかどうかきちんと検討し、仮に持つとしたらどのようなルールを取り決めるかなど、親子で十分に話し合っていただきたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、スクールカウンセラー等の人員確保を含めた体制強化についてでありますが、現在、通常のスクールカウンセラー配置に加え、全国のカウンセラーの支援をいただきながら、沿岸部の教育事務所に11名の巡回型カウンセラーを配置し、4人のスーパーバイザー派遣とあわせて重層的な支援体制を整備しているところでございます。
 沿岸地域では、住宅環境や通学状況などの変化により、児童生徒が抱えるストレスは震災直後に比べて複雑多様化しているものと考えております。
 教育委員会といたしましては、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員など人的体制の整備に努めているところではありますが、専門的な知見を有する方の絶対数が限られているという現状もございます。このため、学校自体の対応力を向上させることが必要でありますことから、震災後に重点的に教員に対する研修を実施しているほか、総合教育センターの長期研修において、教育相談の専門性を高めた教員を養成し、学校現場に配置する取り組みを進めております。さらに、児童生徒の支援を目的とした教員の加配や県単独事業による非常勤講師の配置などを行い、学校の教育相談体制の充実に努めてまいります。
 次に、いじめ防止に向けたこれまでの取り組みについてでありますが、平成24年度には、大津市のいじめ自殺問題を受けて、秋にはいじめに関する緊急研修会を実施いたしました。本年度も引き続きこれを実施し、小中学校では532名が、高等学校及び特別支援学校では116名が受講いたしております。研修会の実施を通じて、いじめ問題に対し真剣に向き合うための学校の体制づくりを促進することができたと考えておりまして、今後も継続的かつ計画的に研修会を実施してまいります。また、国の事業を活用し、奥州市と二戸市でいじめ問題に関する調査研究事業を行いました。両市においては、教育委員会、行政等関係機関等が連携し、子供の問題行動に対する指導や支援を行ってきたところでございます。
 県におきましては、専門家からなるいじめ問題等総合対策協議会を設置して、両市の取り組みへの支援と、県の施策についての意見をいただいております。さらに、平成24年度、25年度にはいじめ相談電話の紹介カードを県内全児童生徒に配布し、相談窓口の周知を図ったところでありますが、この取り組みは平成26年度も継続して実施してまいりたいと考えております。
 次に、いじめの発生状況についてでありますが、平成24年度、年度途中に実施した緊急調査においては、公立小、中、高及び特別支援学校を合わせて2、004件が認知されております。その後、年度末までに282件の認知があり、平成24年度では年間で2、286件となりました。平成25年度のいじめの状況につきましては、各学校において定期的なアンケートや面談を通じて実態を把握し、それぞれ対応しているところでありますが、県といたしましては、3月に調査を行って全体像を把握する予定でございます。
 次に、いじめの実態調査についてでありますが、県では、毎年度末に実施しております児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査により、各学校におけるいじめの認知状況及びその対応等について調査を行っております。
 児童生徒の個別の状況につきましては、各学校においてアンケート等を定期的に実施するよう指導しており、平成24年度には、県内全ての公立学校においてアンケート等を実施したという結果が得られております。今後とも定期的に調査を行い、実態把握に努めてまいります。
 次に、スマートフォン等の問題についてでありますが、昨年9月、県高等学校長協会が実施した携帯電話に関するアンケート調査の結果によりますと、高校生のスマートフォンの所持率は約8割となっております。また、内閣府による平成25年度の実態調査では、スマートフォンを所有している小、中、高校生の割合が全国で58.4%となっております。
 これらの調査結果から見ますと、近年、スマートフォン等の情報機器が子供たちの家庭における生活時間の使い方等に大きな影響を与えるようになってきているものと考えております。さまざまなメディアや有識者等から、情報化の影の部分として、ネット上のいじめの問題や健康面での問題が指摘されていることも踏まえ、今後とも情報モラル教育の充実に取り組んでいくことが重要な課題でございます。
 具体的には、昨年、総合教育センターに整備いたしました、スマートフォンやタブレット等を用いて、携帯電話を操作しながら情報化の影の部分を体感する研修を行うなど、児童生徒はもちろん、指導する教職員や保護者の啓発等も推進してまいりたいと考えております。
 次に、高校教育のあり方についてでありますが、本県の高校教育においては、知、徳、体を備え調和のとれた子供たちの育成を目指しており、授業、学校行事、部活動の持つ教育的な意義を踏まえ、バランスのとれた教育活動を行っていくことが大切であると考えております。
 例えば、各学校においては、下校時間の遵守や部活動休養日の設定など、学業と部活動のバランスに留意しながら教育活動に取り組んでいるところでございます。今後とも、特定の活動に偏重することのないよう教育活動を行い、本県の目指す知、徳、体を備え、調和のとれた人材の育成に努め、高校教育の充実を図ってまいります。
 次に、キャリア教育についてでありますが、本県では平成22年3月にいわてキャリア教育指針を策定し、社会人、職業人としての自立を図るために必要な力の育成に努めているところでございます。
 これを受け、各学校や市町村教育委員会においては、御紹介のありました取り組みを初めさまざまな外郭団体、NPOや企業等からの御支援をいただきながらキャリア教育に取り組んでおります。児童生徒を社会全体で育成するという観点からも、多様な団体と連携し、キャリア教育に取り組むことは大切なことと考えております。
 教育委員会といたしましては、効果的な取り組み等については、研修会や研究発表会においてその実践を紹介するなど積極的に情報を提供し、キャリア教育の一層の充実に努めてまいります。
   〔警察本部長田中俊恵君登壇〕
〇警察本部長(田中俊恵君) いじめが原因となる少年事件の発生状況についてでありますが、当県においては、平成25年中、3件6名の高校生を傷害、暴行で検挙しております。また、平成24年中は2件2名の中学生を傷害、脅迫で検挙、補導しております。
 県警察におきましては、今後とも学校や教育委員会等と連携の上、事案の内容を踏まえて対応してまいります。
〇9番(佐々木努君) 御丁寧な答弁、ありがとうございました。
 何点か再質問をさせていただきます。
 まず、定住化対策、若者の受け入れについてであります。
 今から六、七年前になるのでしょうか、団塊世代の一斉退職が始まるということで、総務省が音頭をとって、その方々を地方に呼び戻そうという取り組みがございました。国のほうでは、かなりの人が退職後、自分の出身地に戻ってくるんじゃないかと見ていたようですが、残念ながら、国の思惑どおりにはいかずに、国の政策が失敗に終わったと私は認識しています。その後、何となく移住政策というものについての国の取り組み、そして自治体の取り組みが停滞してきたんじゃないかと思っています。その当時は、岩手も一生懸命市町村の先頭に立って頑張ってこられたと認識しておりますが、県の支援センターでつくっているホームページ、移住支援サイト、これを見ても、当時のまま全く変わっていません。そういうことで、いまひとつ、国もそうなんですが、県の取り組み、自治体の取り組みがここ数年進んでいないような気がしますが、私は団塊の世代の方を呼ぶというよりも、もう若者に、都会の田舎暮らしをしたいという方々にターゲットを絞って来ていただく、そういう魅力的な制度をつくっていく必要があるんじゃないかと思っています。
 先ほど言ったセンターのホームページを部長はごらんになったことがあると思うんですが、ほかの都道府県と比べると非常に貧弱といいますか、見てそこに行きたいなとは思わないような残念なホームページであります。そういうものも影響してか、地域おこし協力隊、この受け入れも、先ほどお話をしましたが、岩手は7名しか受け入れていませんが、長野県では88人受け入れしていますし、山形県でも44人も受け入れています。そういう差が出てきているんじゃないかと思いますが、これからさらに若者を移住させるための施策をどう講じていこうとしているのか、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
 それからスマホ対策について、先ほど教育委員長から、家庭の中で本当に必要なのか、そういうルールづけをしてほしいという話がありましたが、私が期待するのは、話をしてほしいということではなくて、県のほうで働きかけをしてほしいということなんですね。具体的に、これまで県教委として家庭にどういう働きかけをしてきたのか、働きかけをしてほしいということを私は質問の趣旨としてお話をしたわけなんですが、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
 それから、結婚支援対策についてでありますが、私、過去3度の一般質問で、このセンターの必要性はずっと訴え続けてきました。そのたびに答弁をいただいていますが、全く答弁の内容は変わっていません。体制が構築されていないとか、中長期的な、予算的なことが心配だというお話がありますが、実際に茨城とか愛媛では、予算的なものもしっかりと確保して、つまり、県の予算、そして市町村からの負担金、会員の年会費、それから企業からの協賛金、そういうものを集めてこれまでずっと運営してきているわけです。予算的な言いわけは私は通用しないと思いますし、それから、人員体制も、県内では、それぞれの自治体で一生懸命結婚支援に取り組んでいる人たちがいるわけです。そういう方を私は活用すべきではないかと思っていますから、人員的なことも問題にはならないと思います。そして、受け皿についてもですが、これもさっきお話をしましたが、県内の公益法人でこの事業を受けてもいいと。愛媛のように、自分たちがその事業を県から受けてやってもいいというところもあるわけです。それなのに、なかなか前に進まないというのは、これはどういうことなのか私には理解できません。県として、結婚支援というのはそんなに重要なものではないという認識であれば別ですけれども、もし、なかなか人口がふえない、子供がふえないという状況で県が危機感を持っているのであれば、私はもっと積極的にこの問題に取り組むべきじゃないかと思います。
 実際に、茨城も愛媛も取り組んでいる、ずっと前から取り組んでいるわけです。そこにできて岩手にできないわけはないと私は思うんですが、再度御答弁をお願いします。
〇政策地域部長(中村一郎君) 定住、交流の県のホームページのお尋ねがございました。私もこのホームページについては何度か見てございます。確かに議員お話のように、必ずしも頻繁に情報が更新されてないのではないかとお話がございました。実際には、確かに今回の大震災によりまして、平成23年度以降の更新回数がそれまでよりもかなり低くなっているという現状はございます。ただ、議員からお話がございましたように、この問題も我々としては非常に重要な課題であると認識をしてございます。
 来年度、この定住、交流対策で、新たな事業としてふるさといわて推進事業というものを考えてございますが、これは実際に岩手のほうに移住をされた方々の声を広く紹介するような冊子等を作成しながら、広く情報発信をしていこうと考えてございますが、そういった情報も県のホームページに合わせてアップするような取り組み、また、お話がございました地域おこし協力隊でありますとか、あと、本県の場合は復興応援隊ということで、別に30名の方々が今県内で活動していただいております。この方々が、実はリアルタイムで、フェイスブックでそれぞれの活動、発信をしてございますが、そういった情報についても、この県のホーページとうまくリンクをさせて情報発信できるような取り組みについても、あわせて考えてまいります。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 結婚支援センターの関係でございます。
 結婚問題でございますけれども、個人の価値観にかかわってくる問題だということで、行政がどこまで結婚支援にかかわっていくかということは、さまざまな御意見があるのではないかと私も考えております。
 それで、今回、県が直接、結婚支援に関する事業に取り組むというのはほぼ初めてではないかと思っておりまして、まず地域や企業などが一体となって支援していく機運の醸成を図るということから、その辺が重要ではないかと考えまして、啓発事業やあるいは県が広域的視点に立って、どういった結婚支援がどうあるべきなのかといったようなところも少しいろいろ御意見も伺いながら進めたいと考えております。
 来年度の事業の実施結果も踏まえながら、県としての結婚支援にどう取り組むのかについてさまざま御意見をいただきながら、さらに検討してまいりたいと考えております。
〇教育長(菅野洋樹君) いわゆるスマホ対策につきましては、学校はもちろんですが、家庭や地域と一緒になって取り組まなければならない非常に大きな課題だろうと思ってございます。
 例えば、昨年度、岩手県PTA連合会におきましては、ネット社会における子供の現状認識と保護者の果たすべき役割ということで、パネルディスカッションを行ってございます。また、高等学校PTA連合会におきましては、岩手県警察のサイバー犯罪対策室長を講師として、そういうサイバー犯罪等に対する講演会等も行ってございます。それから、もちろん、県で行ってございます、先ほど申し上げた総合教育センターにおけるスマートフォン、タブレットを使いました実際の取り組みにつきましても、御家庭や地域の皆様にも参加いただいております。
 こういったさまざまな取り組みを通じまして、学校と家庭、地域が情報を共有し、思いを同じくしながら、子供たちの健全育成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇9番(佐々木努君) 結婚支援についてもうちょっと質問させてください。
 今、部長から地域の意識啓発という話も出てまいりましたが、私はもうそういう段階ではないと思っているんですね。奥州市もそうですが、一関市も金ケ崎町でも県南のほうでは、一生懸命民間の方々がこの結婚支援に取り組んでいるわけです。もう何年も前から取り組んでいるんですが、実績が全然上がっていないんです。成功数に結びついていなくて、もう全然やっても意味ないから、おら、やめたという人たちがどんどん今出てきているという状況なんですね。地域地域でそういう事業をやっていくというのはもう限界にあって、県全体でやっていくからこそ初めて効果が上がるというのは、他県が実証しているわけです。ですから、私は県の認識がかなり、2年も3年もおくれているんじゃないかと思うわけです。
 確かに、今回新しい事業を入れて、県が初めて結婚支援に取り組む姿勢を見せたというのは、私は非常にありがたいことだと思いますが、それだけでこの問題は絶対に解決しないし、さらにもっと高いところにステップアップしていかないと、いつまでたってもこの問題は前には進んでいかないと私は思っています。
 プライバシーの問題とか価値観の問題もおっしゃいますけれども、何もぎりぎり結婚しろと言っているわけじゃなくて、結婚を望んでいる人を対象にした事業をやってほしいと私は思っているわけですね。ですから、その辺のところを何とか理解をしていただいて、岩手全体としての結婚支援センターの設置について前向きに検討をお願いしたいと思います。これは要望だけにしておきます。
 それから、ちょっと別な質問になりますが、職員の資質向上についてであります。
 先ほどは副知事のほうから力強い御答弁をいただきましてありがとうございました。今、私がお話をした結婚支援センターの問題や、それから定住化策の問題とも関連しますけれども、職員の方々はさまざまな思いを持って県の職員になったんだと私は理解していますが、この間ある職員の方に、何で県職員を選んだんですかとお聞きしましたら、大学でそういう勉強をしてきたと、そういうものを生かすために県職員になったと話してくださいまして、その希望はかなったんですかと聞いたら、いや、まだかなっていないと。身上調書というんですか、それは毎年出しているけれども、なかなかその希望がかなえられないという話がありました。私はそういうふうに県の職員になって何かをやりたいという思いを持って来た方が、自分がやりたいセクションに入って仕事をするというのは、一番事業がどんどん進んでいく、そういうものにつながっていくんだと思いますが、県が行っている身上調書ですか、これは現在、人事上にどの程度反映をされているのか、そこをお聞きしたいと思います。
 それから、結婚支援センターの話をある県の若い職員の方に話をしたことがあるんですが、その若い職員の方は、私の話を聞いて非常に関心を持ってくれて、いや、私、その事業をぜひやりたいと話してくれたんですね。その方は、農林水産部の職員でしたから何ともならないわけなんですが、私はそういうふうに前向きに考えてくれる職員がいるということを非常にうれしく感じました。もしそういう方が、しかるべきそういう部署に配属になったら、よし、俺はやってやろうと前向きに取り組んでくれるんじゃないかという明るい気持ちにもなりました。そういう職員をぜひ1人でも2人でも育てていってほしいなと思います。
 最後に、知事はどのような思いでそういう職員を育てていかれようとしているのか、知事にもお伺いして私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 私は外務省で働いていたときに、シンガポールの大使館で働きたいというのも希望どおりになりましたし、国連局科学課、今の国際科学協力室で働きたいというのもその希望のとおりになりました。
 一つは、余り大勢の人がそれをやりたいと言っているようなところはなかなか競争率が高い。一方で、それはやっぱり非常に大事な仕事で、それがいかに大事な仕事かというのをわかって、じゃ、やってみたまえと関係者とか人事担当の人にも納得してもらえるような、そういうやり方で自分のやりたいことをどんどんやっていくといいんじゃないかなと思います。
〇総務部長(小田島智弥君) 職員の能力や意欲の人事異動への反映の仕組み、身上調書等を通じたその仕組みについてでございますが、人事異動に当たりましては、毎年度、これまでの職員の経験、適性、意欲等を踏まえまして、職員の育成、能力向上にも十分配慮しつつ、業績等を重視した任用を行っているところでございます。特に、若手職員の方々に対しましては、複数分野の業務を経験させるジョブローテーションに配慮することとしています。
 具体的な人事異動に当たっての進め方でありますけれども、議員がお話になりましたような、例えば職員の方が、どういう意欲をどういう分野で活躍したいというような希望を身上調書に記載いたしまして、そういうことについて所属長との面談の中で十分やりとりをし、その身上調書を完成させながら配置先等の検討を行っております。これをもとにいたしまして、所属と各部局の人事主管課、それから総務部の人事課が綿密に連携をしながら、職員個々の育成や能力向上、さらには、家庭事情等にも十分配慮した異動を行っているところでございます。
 いずれ、議員御指摘のとおり、職員の方がぜひこういう仕事をやりたいというような意欲を生かせるような人事異動について、今後も十分配慮し進めていきたいと考えております。
〇議長(千葉伝君) 次に、高橋孝眞君。
   〔17番高橋孝眞君登壇〕(拍手)

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