平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇27番(工藤大輔君) 希望・みらいフォーラムの工藤大輔でございます。
 質問に入るに先立ち、去る2月15日から16日にかけての記録的な大雪により犠牲になられた方々に心からの御冥福を申し上げますとともに、被害に遭われました皆様にはお見舞いを申し上げます。
 県内各地において、農業用ハウスや畜舎など農林水産業への被害が2月24日現在1億7、000万円余となっており、さらなる被害状況を早期に把握するとともに、被災された方々のニーズを踏まえ、生産再開に向けた力強い支援をお願いいたします。
 それでは、質問に入ります。
 知事は、さきの知事演述の中で、平成26年度の当初予算は、本格復興推進予算として、本格復興の着実な推進やILCの実現、国体、全国障害者スポーツ大会の成功に向けた取り組み、地域資源を活用した地域づくりなどの施策に留意して編成を行ったと述べられており、岩手の未来を切り開く力として、若者や女性の力を引き出すことに取り組む姿勢を強く打ち出しているとの印象を受けました。若者がふるさとを築く確かな力として輝けるよう、未来を担う若者に着目した事業に期待しており、その実現を望むものであります。
 一方において、本県財政の実情は、社会保障関係経費の自然増に加え多額の県債残高を抱えており、公債費負担が高い水準で推移し、復旧、復興に向け引き続き多くの財源が必要になるなど、非常に厳しい財政状況が続くことが懸念されております。
 来月の3月11日で東日本大震災津波から3年がたち、被災地では生活者や事業者の再建が本格化し、復興推進に向かおうとしております。こうした中、社会保障の安定財源の確保などを図る税制の抜本的な改革を行うため、17年ぶりに消費税改正が行われ、消費税率はことしの4月に8%となり、来年10月には10%に引き上げられる見通しであります。平成26年2月19日、内閣府が公表した月例経済報告によると、国内景気は緩やかに回復しているとの判断が示され、県が2月6日に公表した県内景気の動向においても総じて着実な回復が続いているとしておりますが、消費税率引き上げ前後の駆け込み需要及びその反動減の影響を受けると考えられており、不透明な状況であります。
 そこでお伺いしますが、消費税増税に伴い、平成26年度県予算では歳入、歳出に適切に計上されたのでしょうか、その影響額についてお示し願います。
 先月、国が発表した地方財政対策では、地方公共団体においては引き上げ分の地方消費税収を全て社会保障施策に要する経費に充てることとし、引き上げ分に係る地方消費税収の使途の明確化について示されています。本県の消費税率引き上げに伴って見込まれる平成26年度以降の県税収入の見通しと、具体的にどのような施策に充当されるのか、その使途についてお伺いします。
 また、地方財政対策の中では、本経済対策の効果が速やかに発現し、消費税率引き上げに伴う反動減に適切に対応できるよう、政府を挙げて迅速に対策の具体化を図るとともに、地方公共団体に対しても速やかな対応を要請するとされています。消費税増税の導入に当たり、特にも、復興に向けて頑張っている被災地で生活する方々に配慮も必要と思いますが、被災県としてどのような経済対策を講じようとしているのでしょうか、具体的な取り組みも含め、知事にお伺いします。
 次に、合併市町村の行政運営と今後の見通しについてお伺いします。
 平成の大合併は、人口減少、少子高齢化等の社会経済情勢の変化や地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤の確立を目的として、平成11年以来、国は全国的に市町村合併を積極的に推進してきました。本県においても、平成13年の大船渡市と三陸町の合併に始まり、平成17年度には内陸部も含め多くの市町村で合併が行われ、県内自治体数は平成13年の59市町村から33市町村となりました。
 市町村合併の推進に当たっては、合併から10年間、幅広く活用可能で、かつ償還に当たり手厚い交付税措置のある合併特例債や、合併後の一定期間、普通交付税が合併前の旧市町村ごとに算定した額を下回らないように増額される合併算定がえなど、多くの財政支援がなされたところであります。合併特例債については、東日本大震災を踏まえ、活用可能期間が合併後10年から20年に延長されましたが、もう一つの特例措置である普通交付税の合併算定がえについては、県内において、平成28年度以降、その縮減が本格化していきます。
 そこでお伺いしますが、県内合併市町村における合併算定がえが終了した場合の影響額はどの程度と見込まれるのかお示し願います。
 合併市町村には、久慈市、宮古市、大船渡市、洋野町といった沿岸被災市町村が含まれており、当該合併算定がえの終了による交付税の縮減が今後、復旧、復興の進捗に悪影響を及ぼすことにならないか懸念されますが、県はこの問題に対しどのように対応していくのかお伺いします。
 また、今回の大震災では市町村職員も被災した中、復旧、復興に向け日々膨大な業務に当たっていますが、プロパー職員だけでは手が回らず、県内外からの多数の応援職員の協力によって行政運営を行っている状況であります。特にも町村においては職員体制もより厳しく、今後、復興を成し遂げ、その後も充実した行政サービスを継続できる体制をどう維持できるかが課題であり、震災で見られたような連携やつながりが大切になってくると思います。こうした広域的な連携に対する県の認識と、今後、沿岸市町村に対しどのように支援を行っていくのか、その考え方をお伺いします。
 次に、JR山田線の復旧問題についてお伺いします。
 JR東日本から、さきの復興調整会議において、不通が続く山田線の一部となる宮古−釜石間55.4キロ部分の業務運行を第三セクター三陸鉄道に無償譲渡したいという提案がなされました。JR山田線は、1923年に盛岡−上米内間で開業後、延伸を続けながら1934年に宮古まで、1935年に陸中山田、1936年に岩手船越、1938年に大槌、そして1939年に釜石まで延伸し、現在の路線になりました。東日本大震災津波が発災するまでの88年間、地域の公共交通機関として沿線住民の生活を支えてきました。JR東日本の今回の提案は、復旧させても赤字幅が拡大し続けるとの判断によるものであり、当時の社長であった清野会長の被災した路線は責任を持って復旧させるとの宣言に期待を寄せ、必ずその日が来ると信じていただけに、驚きと残念な気持ちが湧き出てきます。
 JR山田線沿線首長会議において、JRから示された提案に対し、その後の県や沿線4市町、三陸鉄道は検討を進め、地上設備、用地は引き続きJR東日本が保有されたいこと、赤字想定額の補填の期間は持続的な鉄路の維持が可能となる期間とされたいことなど、受け入れる前提として7項目を記し、先週、JR側に回答しました。JRはこの回答をどのように受けとめたと感じたのでしょうか。
 仮に三陸鉄道に南北リアス線と一体運営によるメリットがあるとしても、いわて銀河鉄道のような安定した貨物収入がないなど、鉄道本体の利用実績が即、経営に直結します。沿線4市町の意向として、地元の負担を可能な限り生じさせないことを目指すとしていますが、JRからの提案を受け、県は4市町と三陸鉄道とどのような検討をし、回答したのでしょうか。提案を受け入れた際の三陸鉄道の中期経営見通しをお示し願います。
 また、県と沿線4市町等のJRへの回答では、施設保有や長期にわたる赤字補填を求めているなど両者の隔たりが大きいと思われますが、早期再開を願う沿線住民の思いに立って、今後どのように協議を進めていくのかお伺いします。
 次に、再生可能エネルギーについてお伺いします。
 県では、平成23年8月に策定した岩手県東日本大震災津波復興計画の三陸創造プロジェクトのうちの国際研究交流拠点形成プロジェクトに三陸沿岸をフィールドとした海洋再生可能エネルギー研究を位置づけ、研究拠点の形成と導入の促進を進めるべく、国への要望を行ってきました。平成24年5月、国では海洋再生可能エネルギー利用促進に関する今後の取組方針を決定し、新たな実証フィールドを設置する方針を明確にしました。このことを受けて、本県沿岸北部では事業者による着床式洋上風車実証機の整備による事業化を検討し、将来的には大規模洋上ウインドファームを目指すとともに、沿岸中南部では、多様な海底地形や海象を利用し、浮体式洋上風力及び波力の発電等による新エネルギー技術の実証フィールドとして採択されることを目指しています。
 先般、銚子沖で行われている洋上風力発電実証研究の実機と茨城県神栖沖と波崎漁業協同組合の風力発電施設の導入効果をいわて沿岸北部海洋再生可能エネルギー研究会のメンバーと一緒に視察してきました。年間の設備利用率が20%を超えれば優秀と言われる風力発電事業の中でいずれの施設も25%から30%台の実績を残しており、安定した風況による洋上発電のポテンシャルを感じました。茨城県神栖沖での民間事業者の取り組みは、港湾区域内での事業であるため漁業権の設定がなく、操業権を行使する漁業者とは海域を共有できているため、100基の風車の建設を目指した事業に地域の期待が寄せられていると感じました。
 一方、本県の課題は、技術やコスト面だけではなく、漁協経営を大きく左右するサケの漁獲に影響がないことを示すなど、漁業操業上の障害を取り除く必要があります。国が都道府県を対象に公募している海洋再生エネルギー実証フィールド―日本版EMECに釜石沖を適地として応募するとのことですが、こうした海洋再生エネルギーに関する取り組みの復興に果たす役割と三陸沿岸にもたらす効果について知事の所見をお伺いします。
 平成25年度の新規事業である洋上ウインドファーム事業化促進事業についての進捗状況と得られた成果、事業化に向けた今後の課題と展開についてお伺いします。
 また、実証フィールドの誘致による地域への経済波及効果についてどのように見込んでいるのかあわせてお伺いします。
 次に、新たな農業政策についてお伺いします。
 新たな農業政策では、1970年に始まった減反政策を2018年に廃止することや、米価変動補填交付金など従来の補助金制度を見直し、主食用米の過剰生産を防止するため米の直接支払交付金を2014年度から半減させることとし、生産農家への補助金も段階的に廃止されます。一方、飼料用米については、現行の10アール当たり8万円の補助金を収量に応じて5万5、000円から10万5、000円を補助する仕組みとし、専用品種を作付すると1万2、000円が上乗せされるなど、転作補助金の拡充を図ろうとしています。これにより作付面積に飼料用米を取り入れるケースは増すものと思いますが、実際に農家の所得にどのような変化が起こるのか、特色を持った営農を推し進めようとする本県農家へ試算を用いての納得のいく丁寧な説明が求められます。国の農政施策の見直しを受け、地域ごとの特色もあわせて、営農モデルごとの所得への影響はどのようになるのでしょうかお伺いします。
 また、農地の集積を図り、生産規模の拡大や新規就農者への貸し付けを行う機関として、農地中間管理機構を設置することとしています。生産効率を高めるために担い手ごとに農地利用を集約したり耕作放棄地を有効に活用するなど、出し手と受け手のニーズがマッチすることが課題となりますが、所有者不明の耕作放棄地への対応や、中山間地の中で、もともと圃場整備が進まない地域での集約と集約後の営農が、一連の農政の改革において十分に機能するかどうか未知数であります。
   〔副議長退席、議長着席〕
 新たに設置する農地中間管理機構の体制をどのようにつくり、国が目安としている10ヘクタールという農地の集積をコーディネートしていくのかお伺いします。
 また、主食用米の産地間競争は、需給バランスをとろうとする新たな農政が展開されても激しくなるものと思います。近年、財団法人日本穀物検定協会の食味官能試験において特Aを受賞する銘柄がふえており、今年度は、9銘柄増となる過去最高の38銘柄が受賞しました。
 品種改良の技術の向上に伴い、都道府県の売れる米づくりの戦略は、コシヒカリをしのぐ品種の開発による秀でた銘柄を柱としたブランド化へと進んでおります。山形県の奨励品種つや姫は、栽培適地、生産者認定、特別栽培、品質基準といった栽培、品質管理手法を導入し、積極的なブランド化への取り組みによる流通販売体制の強化に努めています。
 本県での一体性を持った戦略は、どのように進めているのでしょうかお伺いします。
 次に、水産業の振興についてお伺いします。
 東日本大震災津波から3年が経過しようとする中、県全体の漁船、養殖施設、ふ化放流等の共同利用施設、水産加工業など水産関連の復旧は約8割を超えており、着実に進んでおります。特にも、県北地域では、漁船や共同利用施設などが震災前と同程度に復旧しており、今後は、本格的な復興に向けた取り組みを推進し、水産業の振興、発展に結びつけることが求められています。
 県北地域は、静穏域を確保できないという地形的な条件により養殖漁業に取り組みにくいため、適正な資源管理を行いながら、小型漁船漁業の振興策について検討していく必要があると考えます。
 小型漁船漁業の現状は1隻当たりの水揚げ量が少なく、魚価の低迷や、燃油や資材の高騰により厳しい経営を余儀なくされており、1経営体当たりの漁業生産額は、養殖の盛んな県南沿岸地域の漁業生産額の6割程度と低い状況が続いています。
 これまで、県は、県北広域振興局管内において、漁場整備の一環として、ヒラメ、イカ、タラなどを蝟集させて漁獲効果を上げる漁礁を1977年から設置するなど、資源の増大に努めてきました。このような漁場整備については、大震災津波により休止状態になっていると思いますが、さらなる本格復興に向け、漁業者の意向を踏まえながら、漁礁設置による豊かな漁場整備を進めていくべきと考えます。
 県は、県北地域における本格的な水産業の復興に向け、漁場整備の将来計画についてどのように考えているのかお伺いします。
 次に、最終処分場についてお伺いします。
 平成7年に、県内最初の公共関与方式によって地域住民の特段の理解を得て建設されたいわてクリーンセンターは、焼却と埋め立ての機能を有し、県内、自圏内から発生した廃棄物を適正に処理しながら大きな役割を果たしてきました。東日本大震災津波によって排出された災害廃棄物の積極的な処理により、埋め立て終了時期が4年程度早まり、平成33年中に終了と見込まれることから、新たな処分場を建設すべく、昨年度末に産業廃棄物最終処分場整備基本方針を策定し検討が進められています。
 整備の基本的な考えとして、年間必要埋設容量は4万1、000立方メートルとし、計画年数は1期当たり15年、1期当たりの埋設容量は66万立方メートルと、段階的に拡張できるよう3期分の予定地と、将来の焼却施設の機能など各種需要の用地を見込み、県全域をカバーするいわてクリーンセンターの後継施設として選定作業が進められています。
 今年度は調査地点の絞り込みを行い、来年度は候補地を決定し、基本計画の策定や事業主体の選定を行いながら地域の了解を得るスケジュールとなっていますが、検討状況をお示しください。
 また、県内焼却施設の能力が需要を上回っていることから、附帯焼却施設の建設は処分場と同時期の整備は不要とのことであります。いわてクリーンセンターは、焼却施設の余熱利用施設の併設や周辺環境整備をしたことから、地域の受け入れに対する理解が進んだものと考えます。新たな処分場は埋め立て機能のみとなり、地域住民の了解を得るには苦労を要することも懸念されますが、タイトな日程の中でどのように進めるお考えでしょうか。
 あわせて、いわてクリーンセンターの役割がどうなっていくのかお伺いします。
 次に、農林水産物を含めた県産品の海外展開についてお伺いします。
 農林水産物を含めた県産品の海外展開については、人口減少により縮小し続ける国内マーケットや、自由貿易によるグローバル化の進展を見据え、市場規模の大きい海外に活路を見出すための経済拡大策の一つであり、積極的な取り組みが期待されています。人気が高まっている和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、日本の伝統的な食文化や四季折々の食材に、世界の人々が関心を寄せる絶好の機会に恵まれることとなりました。
 県では、これまで、大連、ソウル、シンガポールに海外事務所を設置し、本県への誘客促進、知名度の向上、マーケティングを行いながら商談会やフェアの開催を行い、販路の開拓と企業の取引支援などを行ってきました。
 2012年岩手県貿易等実態調査によると、重点県産品の輸出額は、加工品で5億500万円、南部鉄器2億5、800万円、日本酒は1億円であり、リーマンショックや震災の影響を受けながらも着実な伸びを見せています。
 そこでお伺いしますが、今後の県産品の海外展開をどのように進め、他産品の販路の拡大につなげていこうとしているのでしょうか。
 また、農林水産物においては、国内の輸出業者などと関係を深めながら輸出量の拡大に努めてきました。主要品目の実績は、いわて農林水産物輸出促進協議会の会員等からの聞き取りによると、平成24年度において、米が123トンで3、000万円、牛肉が8.8トンで4、400万円、水産物は5億1、400万円、リンゴは10トンで300万円でありました。国では、2020年までに農林水産物と食品の輸出額を1兆円規模に拡大させる構想を立てております。
 高い経済成長が進む東アジア、東南アジア等は魅力あるマーケットであり、国の輸出戦略に対応した本県の輸出目標をどのように設定し、新たな販路の開拓を行おうとしているのでしょうか。
 また、岩手のブランド力の位置づけをどう認識し、向上に取り組むお考えかお伺いします。
 最後に、県立高校のあり方についてお伺いします。
 県立高校のあり方については、これまでも平成12年に県立高等学校新整備計画を策定し、特色ある学校や学科の設置を行いながら、時代にふさわしい教育環境の整備を目指してきました。
 県政の諸課題を見たとき、いわての復興教育を新たに取り入れながら、ILCの本県誘致を視野に入れた国際化に対応し得る人材、人口減少の中であっても、地域の産業、経済を担い、コミュニティを支える未来のリーダーの育成など、日本や岩手を牽引する人材の育成が求められております。特にも、大震災からの復興をなし遂げようとする被災地においては、地域を担う人材の育成と確保が急務であり、今まで以上に県立高校の役割が重要になります。
 新しいタイプの高校として新設した総合学科高校と総合的な専門高校や導入を進めた総合選択制高校、中高一貫教育校、定時制に設置をした多部制、単位制高校など、これらの取り組みに対しどのような評価をしながら、より教育効果のある高校として定着を図ろうとしているのかお伺いします。
 また、同時に、県立高等学校新整備計画では、少子化の影響により、県立高校の募集定員数の調整と統廃合による再編を行ってきました。
 本県の中学校卒業者数の推移は、平成元年の2万2、833人を境に減少に転じ、本年3月には1万2、551人となる見込みであります。平成元年と比べると、実に1万人の卒業者が減少することとなり、現在の小学1年生が卒業を迎える平成34年3月には1万498人となり、さらなる減少が続くこととなります。それにより、今後、高等学校においても小規模校が増加することが予想されますが、小規模校については、生徒一人一人に対応したきめ細かい指導ができる等のメリットもあると認識をしています。
 県立高校の次期整備計画については、第2次県立高等学校長期構想検討委員会の報告を踏まえ検討を進めてきましたが、東日本大震災津波の被害とその影響を考慮し、策定を見合わせている状況にあります。
 さきの教育委員会委員長演述では、震災の影響や少子化の進行など社会状況が大きく変化する中で、本県にとって望ましい高等学校のあり方について検討すべきと考える旨の発言がありましたが、高等学校教育の課題についてどのように認識を持っているのでしょうか。あわせて、具体的な検討をどのように進めていくのかお伺いします。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤大輔議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費税増税に伴う経済対策についてでありますが、消費税増税が実施される本年4月は、本県の本格復興のスタートの時期でもあり、被災された方々や企業が生活再建、事業再建のため、本格的に消費や投資を始める時期に税負担がふえますと、被災地の経済再生や復興の阻害要因となるおそれがあります。国においては、被災者の住宅再建に係る給付措置や臨時福祉給付金など、被災者や生活弱者に対する措置を講じることとしていますが、県としても国の経済対策に呼応し、今般、2月補正予算において、国の経済対策の対応分として347億円、そのうち震災分として278億円を計上しているところであり、これらの予算を速やかに執行することによって、被災した中小企業等の施設、設備の復旧、整備に対する支援や、漁港の復旧、雇用の創出などを進め、被災地の方々の生活の再建やなりわいの再生が一日でも早くなし遂げられるように努めてまいります。
 さらに、消費税増税によって、経済的に弱い立場にある方々が困窮することのないように、また、地域に根差した産業に十分配慮し、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招くことのないよう、今後ともしっかりとした対応を国に対して求めてまいります。
 次に、沿岸市町村の広域連携への認識と今後の支援についてでありますが、今回の震災対応に当たっては、発災後の行政機能回復支援からその後の復興支援のため、県と沿岸市町村あるいは県内外の自治体と沿岸市町村との連携により、職員派遣を初めとしたさまざまな支援が行われ、自治の力を高めていくという、いわば地方自治の進化の姿があらわれたものと感じております。
 こうした自治体間の連携は、復興にとどまらず、地域におけるさまざまな課題解決や、変化する行政需要などに的確に対応するためにも有効なものと考えております。
 今後の人口減少、少子高齢化社会においては、市町村が単独であらゆるサービスを提供するいわゆるフルセットの行政から脱却し、近隣の自治体が役割を分担しながら広域的に連携していく必要性が指摘されており、国においても、今般、連携協約と呼ばれる新たな広域連携の制度の創設を予定しているところであります。
 こうした制度を適切に活用し、近隣の市町村と柔軟に連携することによって地域に必要な行政サービスを維持するとともに、活力ある地域づくりも可能となると考えられることから、県としても、関係市町村の意向を十分に踏まえながら、必要な支援を行ってまいりたいと思います。
 次に、海洋再生可能エネルギーに関する今後の展望についてでありますが、海洋再生可能エネルギーに関する取り組みは、岩手の強みや岩手らしさを生かす新たな発想のもと、世界に誇る新しい三陸の創造につながるものであります。
 この実証フィールドはアジアで初めて整備されるもので、最先端の技術、世界中の研究者や企業などによる知の拠点形成が進むとともに、研究機関や企業の誘致、地域産業の活性化や雇用の創出等による人材の定着が期待されるなど、その波及効果は大きく、沿岸地域全体にとって重要な取り組みであり、本日、国に対して提案書を提出いたしました。
 今後、県といたしましては、沿岸南部の実証フィールドにおける発電装置などの技術開発と沿岸北部の着床式洋上風力発電の事業化との連携を図り、将来の海洋エネルギー事業の導入を視野に入れながら、新産業創出の基盤づくりに積極的に努めてまいります。
 次に、県産品の今後の海外展開についてでありますが、海外展開を効果的に進め、本県経済の活性化につなげるためには岩手の認知度を高め、市場に参入しやすい環境を整備するとともに、多くの県産品が広く販路を構築できる仕組みづくりを行うことが重要であります。このことから、引き続き、重点県産品による市場開拓の取り組みを進め、岩手の認知度を高めるとともに、県産品を製造する事業者が海外に挑戦しやすい環境を整えるため、岩手県産株式会社を通じて、事業者が容易に海外商談会などに出品できる体制づくりを支援してまいります。
 また、本年度創設しました県内支援機関の連携組織でありますいわて海外展開支援コンソーシアムによって、バイヤーあっせんや商品開発、改良の支援などの販路構築のための支援も行って、これらの取り組みを通じて、県産品の海外展開のより一層の強化、加速につなげてまいります。
 次に、国の輸出戦略に対応した本県の目標設定と新たな販路の開拓についてでありますが、現在、県としての農林水産物の輸出目標は、県民計画第2期アクションプランにおいて平成26年度で10億円と設定しておりますが、目標を見直す際には、御指摘のあった国の新たな輸出戦略の目標達成に向けた取り組みの展開や、東日本大震災津波で被災した本県農林水産業、食品加工業の輸出の回復状況などを十分に踏まえて設定する必要があります。
 本県農林水産物の輸出につきましては、輸出全体の9割を占める水産物の輸出拡大が重要であり、来年度は水産物の販路開拓に向けて、新たな輸出先として期待できる東南アジアで市場調査に取り組むほか、米、リンゴ、牛肉については現地輸入関係者との一層の関係強化に努め、農林水産物の輸出拡大を図ってまいります。
 次に、岩手のブランド力の位置づけについてでありますが、上海万博への出展を契機に、南部鉄器は中国を初め東アジアにおいて相当の知名度を得ているほか、シンガポール、マレーシア、香港、米国などの日系小売店で実施のいわてフェアでは、牛肉や米、リンゴ等の農林水産物、日本酒や特色ある加工食品などに多くの人気が集まっているところです。
 本県の海外市場におけるブランド力については、これまでの南部鉄器の成功例や県産品への高い関心を踏まえながら、戦略的な取り組みを一層進めることにより、今後大きく高めていくことが可能であります。このことから、これまで培ってきた現地日系小売業者や経済界とのネットワーク等を活用しながら、効果的なマーケティング活動を強化するとともに、インターネットや博覧会等を活用し、より発信力の高いプロモーションを展開してまいります。
 また、このような取り組みに加え、機会を捉え、戦略的にトップセールスを行いまして、広く世界に向けて岩手の県産品のブランド力を強力にアピールし、その向上に取り組んでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、消費税増税に伴う平成26年度当初予算への影響についてでありますが、歳出において、委託料や工事請負費など、課税取引対象となる経費の増加を推計すると約78億円の増となっています。これに加え、市町村に対して交付する地方消費税交付金は、地方消費税の引き上げにより16億円程度増加すると見込んでおり、合わせて94億円余が県の歳出増となります。また、消費税率の改定に伴う県の使用料、手数料の改定による増収額については、170万円程度と見込んでいるところであります。
 次に、平成26年度以降の県税収入の見通しについてでありますが、消費税率の引き上げに伴い、地方消費税率についても、税率換算で1%から1.7%に引き上げられることになりますが、地方消費税と地方消費税清算金収入、支出を合わせた地方消費税実収入額は、平年度ベースで試算すると約416億円となり、平成24年度実収入額と比較し172億円程度の増収と見込まれます。これに対し、平成26年度当初予算では、地方消費税実収入額を294億円余、平成25年度当初予算額に対し36億円余の増と見込むものであります。
 平年度ベースの増収見込み額を下回る理由でありますが、導入初年度におきましては、法人の事業活動期間により、改正前の旧税率分が相当額納入されることによるものであります。
 次に、その使途でありますが、今般の消費税率の引き上げに伴う増収分は、社会保障4経費その他社会保障施策に要する経費に充てることとされたところであります。
 税収が平年度化しない平成26年度につきましては、社会保障施策に要する経費に充てることとされる額は、地方税法上、地方消費税収の12分の2とされており、本県の場合は約25億円と見込んでおります。
 当初予算におきましては、生活保護、児童福祉、障がい者福祉などの社会福祉費に約9億円、国民健康保険、介護保険などの社会保険費に約14億円、医療、健康増進対策などの保健衛生費に約2億円を充当したところであります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、合併算定がえの終了と被災市町村への影響についてでありますが、合併をした12市町村の本年度の普通交付税の総額1、286億円のうち、合併算定がえによる増額分は193億円と、およそ15%を占めている状況でございます。そのうち、久慈市など沿岸被災4市町村では、総額298億円のうち増額分は38億円と、およそ13%となってございます。今後、この増額分が徐々に縮減していくことになりますが、合併市町村においては、これまで、合併時から合併算定がえの縮減を見込んだ財政計画を策定し、職員の削減など行財政改革に取り組んできており、県としても必要な支援を行ってまいりました。
 沿岸被災市町村においては、復旧、復興事業の増大により、財政規模はかつてないほど増大をしておりますが、復興交付金や震災復興特別交付税により市町村負担が生じないよう措置をされており、当面、財政運営に大きな支障は生じないと見込まれております。
 今般、合併算定がえの終了を踏まえ、国において、合併後の支所に係る経費などを適切に措置すべく算定方法を見直すこととされたところであり、県としても、この見直しが県内の市町村の実情を反映したものとなるよう国に強く働きかけてまいるとともに、引き続き、復旧、復興に必要な財源が確実に措置されるよう取り組んでまいります。
 次に、JR山田線についてでありますが、JR東日本の提案に対する地元の考え方については、先般、JR東日本に提示をしたところでありますが、JR東日本においては、議論の進展が図られるよう、今後、地元の意見を聞きながら協議を進めていきたいとの考えと聞いてございます。
 JR東日本へ提示した内容につきましては、南北リアス線関係市町村の意見も伺いながら、沿線市町、三陸鉄道とともに、早期の鉄道復旧や自治体の負担増を回避するといった観点から協議をし、取りまとめを行ったものであります。
 JR東日本からの提案につきましては、今後、必要な人員、収支の状況などの検討を進めていく中で、将来的な三陸鉄道の経営にどのような影響があるのかを見定めてまいりたいと考えております。
 次に、今後の協議の進め方についてでありますが、鉄道を早期に復旧させたいという思いは、県、沿線市町村とも共通しているものの、JR東日本から提案のあった三陸鉄道による運営には、鉄道施設の自治体所有や赤字補填の内容など、さまざまな課題があるものと認識をしております。このため、早期の鉄道復旧を目指す一方、関係自治体の負担増につながることのないようにすることが重要と認識をしており、今後の協議の進め方については、沿線市町のみならず、南北リアス線関係市町村や三陸鉄道とも十分連携を図って協議をし、対応してまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 海洋再生エネルギーの具体的な取り組みについてでありますが、まず、洋上ウインドファーム事業化促進事業は、県北沿岸地域における漁業協同組合や自治体、有識者等から成る研究会で挙げられた洋上風車によるサケへの影響、漁業との協調のあり方などの具体的な課題について調査検討を行っているものでございます。
 このうち、サケへの影響については、サケの音感を調査し、現在、専門家が解析をしているところです。また、漁業協調のあり方については、地元漁業者によるワークショップなどを行い、風車の基礎部を活用した漁場づくりやメンテナンスに伴う漁船活用、密漁監視カメラの設置など、漁業者の提案を踏まえながら検討を進めております。これらの取り組みについては、地元の漁業者や自治体等の協力を得ながら継続実施する必要があると考えており、平成26年度予算案に盛り込んでいるところです。
 事業化に向けた今後の課題としては、事業者によれば、本格運用には、環境アセス、送電網への連系、建設等に係る時間やコストを多く要することから、まずは海域における漁業影響の検証もあわせて行うための実機実証が必要と聞いております。県としては、本年度に調査した現場海域の地形等のデータの提供、事業者による外部資金獲得への支援や国等への要望など、着実に取り組みを進めてまいります。
 次に、実証フィールドの経済波及効果については、先進地である英国スコットランドのEMECの例では、施設整備費に50億円程度、開発企業による投資額は1社当たり年間1億円程度で、現在、十数社が実証試験を実施しており、地元の雇用創出は、研究者、技術者など約250名程度と聞いているところです。
 本県におきましても、実証フィールドの建設に関連する造船業や海洋土木業、運用後の発電装置の保守管理等に係る電気工事や船舶作業に係る雇用の創出などが見込まれるほか、開発企業の関係者の駐在や視察訪問なども想定され、幅広い経済効果が期待されるところです。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、営農モデルごとの所得への影響についてでありますが、県では、国の新たな農業政策への取り組みのあり方等を検討するため、関係機関、団体で構成する岩手県元気な地域農業推進本部を設置し、このワーキングチームで代表的な営農類型別に経営所得安定対策の見直しによる所得への影響を試算し、今後、関係機関、団体が行う各地域での営農指導の参考とすることとしております。
 この試算では、県南、県央部の水稲と小麦を生産する大規模経営の試算例で所得が16%減少、水稲への依存度が低い県北・沿岸部の水稲と園芸品目との複合経営の試算例で3%減少、また、主食用米と新たに設けられた多収性専用品種の取り組み加算がある飼料用米を生産する大規模経営の試算例では、飼料用米の単収が飼料用向けの県平均単収10アール当たり498キロの場合には12%減少、主食用米並みの県平均単収の10アール当たり533キロの場合には2%減少すると試算されております。
 次に、農地中間管理機構の体制と農地集積のコーディネートについてでありますが、県といたしましては、農地の借り受けや貸し付け、借り受けた農地の管理、農地の条件整備などを行う農地中間管理機構での専門部署の設置等のほか、地域で農地中間管理事業に円滑に取り組めるよう、関係機関、団体が参画する現地推進体制の構築が必要と考えており、現在、関係機関、団体の意見を聞きながら、県段階と地域段階の体制づくりの検討を進めております。
 また、農地集積のコーディネートにつきましては、中心的役割を担う機構として、各地域に地域事情に精通した専門的な農地コーディネーターを配置する予定としておりますが、御指摘のとおり、地域ごとに農地利用の集積、集約化に向けた事情が異なることから、市町村や農業委員会、農協、土地改良区などの関係機関、団体と十分連携しながら、地域の実情に即した利用調整に取り組んでいく考えです。
 次に、米のブランド化への取り組み戦略についてでありますが、県では、農業団体等と連携し、食味向上の生産技術の徹底、知名度の向上などによる高品質、良食味米の産地づくりを進めており、全国トップレベルの1等米比率や19回の特A獲得のほか、中京圏での取り扱い拡大などの成果が得られております。また、農薬使用回数の大幅削減や窒素成分を低減した施肥など、高品質、良食味の県産米を象徴するプレミアムブランド米の生産、販売にも取り組み、百貨店や高級飲食店への売り込みに努めておりますが、米産地としての存在感を高めていくためには一層の努力が必要と認識しております。このため、現在、開発中の良食味品種の生産、販売に当たっては、栽培地域や取り組み面積、売り込み方法などについて、米産地としての存在感を高める品種に育てていくことを念頭に置きながら、生産、販売を通じた戦略を構築していきたいと考えております。
 次に、水産振興についてでありますが、これまで、県北地域におきましては、漁船漁業の振興の一環として、ヒラメやマダラなどの漁獲量の安定確保等を目的に、種市沖など17漁場に大型魚礁を計画的に整備してまいりました。大震災津波発災以降は漁場の瓦れき撤去や漁港などの生産基盤の復旧に優先的に取り組んでまいりましたが、今後は、水産業の本格的な復興を推進するため、長期的視点に立って漁港や漁場などの整備計画を策定することといたしております。魚礁等の漁場の整備につきましてもこの整備計画に盛り込むこととしており、今後、漁協や漁業者の方々と意見を交換しながら、具体的な内容の検討を進めてまいります。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 次期最終処分場について、整備の検討状況についてでありますが、第1回候補地選定委員会で調査対象地の抽出条件が決定され、第2回委員会で115カ所の調査対象地が抽出されたところであります。さらに、去る12月に開催された第3回委員会においては、自然環境や生活環境の保全、災害防止、土地利用状況の観点での審議が行われ、調査対象地が39カ所に絞り込まれたところであります。今後、数次の選定過程を経て複数の整備候補地を御提言いただく予定としております。調査対象地の選定条件の設定に当たっては、市町村へも丁寧に説明を行うとともに、御意見を伺うなど、慎重に選定作業を進めております。
 次に、整備の進め方についてでありますが、まず、現在進めている整備候補地の選定作業につきましては、地域住民との合意形成を視野に入れ、その選定の方法や基準、さらにはその選定結果について公表してきております。また、市町村へは選定過程について情報を適宜提供するとともに、御意見を伺いながら進めてきており、御理解をいただいているところであります。さらに、複数の整備候補地が決定した後には、処分場整備の必要性や地域経済への波及効果などを丁寧に御説明するとともに、さまざまな御意見や御要望については真摯に拝聴し、対応してまいります。
 なお、事業方式につきましては、これまでの議論を踏まえ、PFI方式ではない公共関与とする方針であります。
 今後のいわてクリーンセンターの役割についてでありますが、焼却施設については、県内の産業廃棄物焼却能力に余剰が見込まれること、加えて施設の老朽化が進んでいる状況から、休止に向けた検討が行われているところであります。
 管理型最終処分場については、次期処分場が稼動するまでの間、引き続き実質的に県内唯一の施設としての役割を担っていくこととしております。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 新しいタイプの高校の評価と定着化についてお答えいたします。
 本県の高校生は、東日本大震災津波でさまざまな困難に直面しましたが、地域や岩手の将来を考え、復興に向け積極的に取り組んでおり、学習活動はもちろん、スポーツや部活動等、さまざまな分野で活躍してくれております。
 高校生に対し多様な選択肢を提供するということでこれまで新しいタイプの高校を設置してきたところであり、高校生やその保護者へのアンケート調査結果から見ますと、生徒や保護者の満足度は概して高く、それぞれの高校の設置目的に応じて生徒の選択の幅が広がり、学習意欲の向上や進路実現に貢献していると評価しております。
 一方、総合学科高校等では、配置する教員数により選択科目に制約が出てくるなど、それぞれの学校において課題もありますので、今後も引き続き評価を行いながら課題の解消に努めてまいります。
 次に、高等学校のあり方の検討に向けた高等学校教育の課題についてでありますが、少子化の一層の進行や東日本大震災津波の発生による甚大な被害等、このような中で岩手の子供たちは、地域や日本、世界とのつながりを感じながら、自分たちが岩手の復興を担うという思いを強くしております。その思いに応え、子供たちがそれぞれに目指す目標を達成できるよう、どういった環境でどのように育てていくのかが課題であると考えております。また、ILCの誘致等、グローバル化に対応できる子供たちの育成も課題であると認識しております。加えて、国における高等学校教育のあり方の方向性を視野に入れるとともに、支援が必要な生徒への対応や新学習指導要領の本格実施等への対応も必要と考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 高等学校教育のあり方についての検討の進め方についてでありますが、東日本大震災津波により沿岸部の人口、産業構造等に大きな変化が生じていることに加え、少子化の一層の進行等、生徒及び学校を取り巻く環境も大きく変化していることから、そうした変化も踏まえ、本県にとって望ましい高等学校教育のあり方を検討する必要があると考えております。
 この検討に当たりましては、来年度の早い時期に外部有識者による検討委員会を立ち上げ、同年度に時間をかけてしっかりと議論していくとともに、地域の方々からも広く御意見、御提言をいただきながら進めてまいりたいと考えております。
〇27番(工藤大輔君) 各般にわたる答弁、ありがとうございます。
 それでは、再質問をさせていただきます。
 最初に、合併特例債の関係についてお伺いしますが、合併特例債の使用期間の延長に伴って、大船渡市においては、平成23年度までの計画終期が来るということもあり、平成23年度から平成28年度まで5年間、建設計画を延長するとの計画が出されております。他の県内の合併市町村の建設計画延長の動きはどのように進もうとしているのかお伺いしたいと思います。
 次に、農業の関係についてお伺いします。
 先ほど経営所得安定対策等の見直しによる試算が示されたわけでありますが、経営所得安定対策の見直しによって、来年度、本県へ交付される交付金の見通しと地域へ交付される多面的機能支払の推計はどのようになっているのかお伺いします。
 また、本県の代表的な営農類型における試算の傾向では、所得に占める水稲の割合が大きいほど直接交付金半減の影響を受け、水稲の割合が低いほど所得への影響が小さくなること、また、飼料用米を取り入れる場合であっても、県飼料用米平均単収や県主食用米平均単収相当の収量であっても所得は減少するとの見通しが先ほど示されました。現状において、所得をふやしていくためにはとにかく飼料用米の収量をふやす方法以外にないのでしょうかお伺いします。
〇政策地域部長(中村一郎君) 合併特例債のお尋ねがございました。大船渡市のお話がございましたが、大船渡市につきましては、他の市町村と比べまして合併の時期が早かったということもありまして、今回、いち早くその計画を見直して延長後の計画を策定したという状況でございます。
 その他の市町村の状況につきましては、申しわけございません、今、手元に資料を持ち合わせてございませんけれども、今回の大震災によりましてその活用期間が延長されたということもございまして、他の市町村でも活用計画について現在見直しを進めているものと考えてございます。県としては、適切に支援をしながら、合併市町村の今後の振興等に活用していただくように指導してまいりたいというように考えてございます。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 新たな農業政策にかかわる交付金の支払いの試算でございます。
 県内への交付金の試算でございますけれども、まず、水田活用の米の直接支払交付金、それから、畑作の直接支払交付金、これを合わせまして本県への支払交付金は16億円ほど減少すると試算できます。一方で、多面的機能支払―地域に支払われる交付金ですが、これについて、農地・水保全管理支払、それから農地維持支払、さらに資源向上支払を合わせまして、条件として、農地維持支払の取り組みが、現在、農地・水保全管理支払では4万ヘクタールほど取り組みが既にありますが、これに2万ヘクタールほどの拡大を見込んで、プラス16億円と試算できます。
 それからもう一点、米政策経営所得安定対策の見直しの中で、営農類型、飼料用米の取り組みのほかに増収の方策はないのかというお尋ねがありました。これについては、水田活用の中で、飼料用米だけではなく、ほかの作目の導入によって、作目の体系によってはこれを上回ることも試算できますが、ただ、市場価格の動向もございますので、直ちに確かにこの体系であれば増額できるとかできないというのはここで申し上げられないので、御理解いただきたいと思います。
〇27番(工藤大輔君) 飼料用米の関係ですけれども、平成19年から軽米町では全国に先駆けて飼料用米を作付し、耕畜連携を進めてきました。栽培体系や出荷方法の統一、助成金の一括受給、実需者との契約など全町での取り組みを一元化するため全ての飼料用米生産者で組織する生産組織を立ち上げ、専用品種つぶみのりの導入や環境に優しい資源循環型農業に取り組んできています。そのような先進事例の中にあっても、10アール当たり700キロの収量が可能と言われながら、実際には平均500キロあるいは農地によっては400キロを下回る水田もある。そしてまた価格についても、25円から35円の販売の実績があることから、恐らく今回の試算は30円で試算していると思いますが、30円を下回ることによってさらなる農家の所得減になってしまうのではないかということも懸念されるところであります。
 部長からは今、さまざまその他の品目についてという話もございましたが、確かに所得向上につながる品目の選択や、これから一層のコスト削減も重要になってくると思いますので、農家の所得が減額とならないような対策をしっかりと講じるように、また、生産者と向き合って、さまざまな指導ができるように積極的な支援をよろしくお願いしたいと思います。
 また、農林水産省は年末になってからさまざまな農業政策についての概要を示し、一連の農政改革の詳細については年度末に要綱を配布することとしています。新年度の営農の準備がスタートしてからの説明に、生産現場では混乱が予想されています。どのような取り組みが制度の有効活用や所得の向上につながるのか、生産拡大が見込まれる飼料用米の栽培技術など、生産者の経営安定に向けたきめ細かいサポートが必要と考えます。特にも、土地改良区や集落営農組織に入らない生産者への支援など、農業政策の見直しに係る営農相談窓口を広域振興局等にも設置すべきではないかと思いますが、考え方をお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 新たな農業政策の周知等についてのお尋ねでございますが、新たな農業政策に関する周知につきましては、御指摘のとおり、農業者が新たな制度を理解し、そして制度を有効に活用して営農に取り組んでいく、これが必要だと考えてございますので、現在、市町村等の協力もいただきながら、集落座談会などの機会を活用させていただいて新たな制度の周知徹底と営農相談の取り組みを進めてございます。
 引き続き、新たな制度につきまして全ての農業者の方々に周知できるように努めてまいりますし、それとあわせて、飼料用の専用品種の多収栽培実証圃場での技術指導、さらに営農計画の策定の経営指導、これのほかに、今お話ございました広域振興局、地域振興センター、それから農業改良普及所では相談窓口が明確になるように取り組んでまいります。
   日程第2 議案第103号平成25年度岩手県一般会計補正予算(第5号)から日程第66 報告第7号岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認に関する報告についてまで
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第2、議案第103号から日程第66、報告第7号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。小田島総務部長。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第103号は、平成25年度岩手県一般会計補正予算(第5号)であります。
 これは、国の経済対策に呼応し、復興、防災・安全対策、競争力強化策、女性、若者、高齢者、障がい者向け施策を推進するとともに、県税等の歳入の最終見込みや事業費の確定等に伴う所要の補正を行うものであり、総額923億7、400万円余の減額補正をするものであります。
 補正の主なものは、第71回国民体育大会開催準備費10億9、300万円余、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金79億1、600万円余、農地中間管理事業等促進基金積立金12億8、300万円余、地域連携道路整備事業費39億5、100万円余、校舎建設事業費3億2、600万円余、漁港災害復旧事業費14億2、600万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、漁港災害復旧事業ほか192事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、道路維持修繕ほか13件を新たに追加するとともに、12件について限度額の変更を行おうとするものであります。
 また、地方債の追加及び変更は、特別支援学校整備事業を新たに追加するとともに、8件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第104号から議案第117号までは、平成25年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計ほか10特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画の変更等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第118号から議案第124号までの7件は、建設事業等に要する経費の一部負担及びその変更に関し、それぞれ議決を求めようとするものであります。
 議案第125号から議案第129号までと、議案第165号及び議案第166号の7件は、条例議案でありますが、これは、農地中間管理事業等促進基金条例など2条例を新たに制定し、岩手県防災会議条例など5条例の一部をそれぞれ改正しようとするものであります。
 議案第130号から議案第163号までの34件は、災害復旧工事などの請負契約29件及び変更請負契約5件の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第164号は、いわてリハビリテーションセンターの指定管理者を指定することに関し議決を求めようとするものであります。
 報告第7号は、岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認について報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時54分 散 会
第14回岩手県議会定例会会議録(第4号)

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