平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(岩崎友一君) 自由民主クラブの岩崎友一でございます。
 東日本大震災津波発災から間もなく3年という月日が経過いたします。改めてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。また、今月の大雪によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
 それでは、今回5回目の一般質問の機会を与えてくださいました先輩、同僚議員の皆様に感謝を申し上げ、県政の最大かつ最優先の課題である東日本大震災津波からの復旧、復興について質問いたします。
 最初に、東日本大震災津波からの復旧、復興の加速化に向けた知事の思いと課題認識について伺います。
 発災後の3年を振り返ってみると、災害廃棄物の処理については完了のめどがついたものの、復興の過程の中で最優先に取り組むべき住居、職場の確保はおくれているのが実態であります。土地区画整理事業や防災集団移転促進事業などのおくれ等により持ち家再建や災害公営住宅の建設が進展せず、被災事業者においても約8割が事業を再開したといっても、その多くは中小企業基盤整備機構の整備した仮設店舗での再開にとどまっている状況であります。
 復興を加速させるための一番の課題は用地の確保であります。県はこれまで、岩手弁護士会と共同で、第三者機関に補償見積額を納めることにより、個々の地権者への補償金の支払いを待たずに工事着工を可能とする特例制度の創設について要望しております。11月には知事も直接、政府に対して要望を行ったところですが、国からは、憲法第29条の財産権の侵害のおそれがあるとして、なかなか前向きな回答を得られておりません。この件について、私自身も政府への陳情に行っておりますが、知事も何度も足を運び、被災地、被災者の切実な思いを伝えることが重要かと思いますが、これまでの要望等の状況、実現に向けた決意について伺います。
 県では、第1期復興実施計画全体で8割以上の指標について順調に進捗したと評価しておりますが、年末のある新聞の世論調査によると、県内全体で60%、沿岸部に限ると75%以上の住民が復興の実感がないと感じている状態であります。被災地では目に見える変化も少なく、住民も実感がない中で、県の計画の進捗率だけが高いということに違和感を覚えるのは私だけでしょうか。住民の方々、行政、議会が進んでいない現実を真摯に受けとめ、加速化に向けて建設的な議論を積み重ねることが本当の意味での被災者目線であり、知事の言う被災者に寄り添う、答えは現場にあるということなのではないでしょうか。被災地の実態、被災者の実感に伴うような目標設定値にすべきと思いますが、知事の見解を伺います。
 復興がおくれる原因の一つに入札不調があります。県営建設工事の不調率の推移を見ますと、平成22年度3%、平成23年度9%、平成24年度12%、そして平成25年度は1月までで22%となっており、昨年秋以降は30%を超える月も出てきております。このままでは、これから本格的に復興を進めなければならない中で、復興の減速、入札不調の加速という事態にもなりかねません。復興事業については、急ぐべきもの、そうでないものと優先順位を決めて執行すべきである旨は私も昨年の一般質問でも問題提起したところであり、そういった点から見ても、特にも公共工事の発注について平準化すべきと考えますが、知事の考えを伺います。
 また、復興予算は交付金や補助金という形で国から配分されていますが、会計年度独立の原則があるため平準化の障害となっており、明許繰越及び事故繰越の仕組みはあるものの、最長3年間で執行し、仮に3年間で使い切れなければ再予算化を求めざるを得ないわけであります。このような制約から、一定期間に使い切ることを優先する余り、被災地において最優先と考えられている事業とは異なる事業が実施されている実態もかいま見えるところです。このため、復旧、復興に係る公共工事を初めとした各事業については、例えば被災地において特例を設けるであるとか、または複数年度活用可能な基金に積み立てるという形で国から配分され、県、市町村がみずからの判断で、事業の優先度に応じ、必要な時期に必要とされる事業を適時適切に執行していくなどによって各種の復興事業を平準化させ、被災地、被災者のニーズや優先度に合わせた事業実施が重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 以下、具体の課題について質問いたします。
 初めに、応急仮設住宅の入居範囲の拡大について伺います。
 工藤勝子議員の代表質問でも取り上げられたところでありますが、現在、応急仮設住宅については建設戸数1万3、984戸のうち1、326戸が空き室となっているところであり、今後、持ち家の再建や災害公営住宅の整備の進展に伴い、さらに増加していくと思われます。一方、被災地の住宅事情は厳しく、Uターンや復興の担い手として被災地に就労を希望する方々の住まいの不足が指摘されております。そういったことから、応急仮設住宅の入居範囲の拡大については水産加工場などの民間企業から要望を受けているところであり、また、大槌町などが国に対してたびたび要請を行ってきたところであります。応急仮設住宅については、建設のために私有地を提供していただいた方から持ち家再建のため早期の解体撤去を望む声があり、また、学校のグラウンドに建設されているものなどについては早期に解体撤去する必要があることから集約化を図っていかなければなりませんが、それでもなお余裕があるのであれば有効活用すべきであると考えます。
 そういった中、今月1日に根本復興大臣が大槌町に来訪した際、こうした被災者以外の方々への一時的な応急仮設住宅の空き住戸の入居範囲の拡大について、その方針が示されたところであります。現在、県において具体的な運用方針について制度設計を行っている最中かと思いますが、対象者、入居期間、使用料などに対する県の考え方はどうなっているのか、また、早期に運用開始すべきと思いますが、その開始時期はいつを見込んでいるのか伺います。
 次に、持ち家再建、災害公営住宅建設への取り組み状況について伺います。
 これまでも取り上げてきましたが、応急仮設住宅を出た後の恒久住宅として持ち家を再建したい方々がしっかりと再建できるよう、県として背中を押すような支援が求められています。被災地の土地区画整理事業や防災集団移転促進事業のおくれにより持ち家を再建できない環境にあることから、住宅を再建される方等に支給される加算支援金の申請者が件数ベースで33%にとどまっている状況であります。そういったことから、県では、被災者住宅再建支援事業の実施期間を2年間延長し平成31年3月31日までとしたところであり、また、国においても、消費税増税後であっても、再建の妨げにならないよう給付金制度を創設したところでもありますが、資材、人件費の高騰による建設費の増大は、持ち家を再建される方々にとって大きな負担となっております。県としては、被災者生活再建支援金の加算支援金の増額について国に対して要望されているとは思いますが、県単制度である被災者住宅再建支援事業についても知事の英断をもって増額すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 災害公営住宅の整備状況については、県と市町村合わせて6、038戸の建設予定に対して、既に完成したものが1月31日現在、467戸、計画に対して7.7%となっております。おくれの主な要因は用地と職人の確保であるかと思いますが、おくれればおくれるほど、自分が本当に入居できるのかといった不安も募るばかりであります。
 そういった中、先日、大船渡市が行った仮申し込みの取り組みは非常にいい取り組みであると思います。やはり自分がどこの災害公営住宅に入居できるのかということがわかるだけで安心感も生まれてくるわけでありますから、大船渡市の取り組みをほかの市町村とも連携しながら行っていくべきと思いますが、県の見解を伺います。
 次に、被災事業者への支援について伺います。
 まず、グループ補助金についてでありますが、平成23年度から平成25年度の第2回までの8回の公募により、合計で1、193者、金額にして約765億円について事業認定を受け、交付決定がなされてきたところであり、被災事業者の再建に大きく寄与しております。しかし、市町村の復興まちづくりが定まらないこと等の影響により、平成23年度、平成24年度に交付決定を受けた事業者数にして63.2%、金額にして42.5%が平成25年度に繰り越されている状況であります。現在のまちづくりの進捗状況を見るとさらなるおくれが想定されるところでありますが、そのような場合においてもしっかりと予算は確保しなければなりません。現在の予算の獲得状況と、今後に向けた県の取り組みについて伺います。
 また、グループ補助金の補助率は本来4分の3でありますが、資材や人件費の高騰により、実際の事業に要する経費が補助金交付決定の事業費を上回り、実質的に4分の3の補助率を下回る補助となって、事業の縮小や自己負担の増額を強いられている事業者も出てきている現状にあります。このような現状について県はどのように把握しているのか、また、交付決定を受けた事業者が本来の補助率で事業を執行できるよう早急に対応すべきと考えますが、県の見解を伺います。
 次に、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金について伺います。
 この制度は、グループ補助金を受けた事業者であっても新規で事業を展開する場合に使えることや、被災自治体から要望の多い誘致企業の立地支援としても継続して行っていかなければならない制度の一つであります。平成25年度の第1次公募では本県では計12件が採択されたところでありますが、来年度以降の事業の継続の見通しについて伺います。
 また、補助率は、大企業3分の1以内、中小企業2分の1以内とされておりますが、これは上限値であり、個別の投資案件の補助率は外部審査委員の審査によって具体的に決定されることとされております。被災地への企業進出を促進するためにも手厚い支援が必要と考えますが、補助率の上限を下回った場合の影響、対応について伺います。
 次に、事業復興型雇用創出助成金について伺います。
 この制度では、平成23年度から平成25年度までの3年間で3、522事業所、延べ1万3、827人の雇用がなされ、被災地の雇用の場の確保に大きく貢献しております。平成25年度は12月までの募集期間に対し多くの応募があり、10月末で応募が締め切られたこともあって、事業者からは来年度も継続してほしいという声が多数あるところであります。被災地の復興が本格化するのはこれからで、今後も多くの需要があると見込まれますが、平成26年度の予算措置の状況、雇用者の見込みはどのようになっているのか伺います。
 次に、漁業復興への取り組みについて伺います。
 発災後、国において創設されたがんばる漁業復興支援事業では6漁協9計画、がんばる養殖復興支援事業では12漁協39件の養殖復興計画が認定され、施設整備や人件費等への助成により漁業の復興に寄与してきました。しかしながら、この制度はあくまで平成28年度までの事業であり、その後、漁協や漁業者がひとり立ちし、継続してやっていけるかどうかが大きな課題であります。漁業は、発災前から定置網の漁獲高に漁協の収益が左右されることや担い手不足が大きな課題であり、復興の過程においてそれらの課題も同時に解決していかなければならないと考えるわけでありますが、今後の県の取り組みについて伺います。
 次に、道路網の整備状況について伺います。
 今般の大震災においては、国道45号が寸断された一方で、三陸縦貫自動車道等の高規格道路については避難道路や緊急物資の輸送路として重要な役割を果たしたことは周知のとおりであり、沿岸部を結ぶ三陸縦貫道などの三陸沿岸道路や沿岸部と内陸部を結ぶ東北横断自動車道釜石秋田線など、道路ネットワークの構築の重要性が改めて認識されたところであります。現在、三陸沿岸道路と東北横断自動車道釜石秋田線では全ての区間で工事が着工され、既に東北横断自動車道釜石秋田線の宮守−東和間などは供用を開始しているところではありますけれども、全線開通のめども含めて今後の整備計画について伺います。
 次に、治水対策について伺います。
 今年度は、7月26日から28日に県南部を中心とした大雨により一関市や奥州市、陸前高田市などで洪水被害があったところであり、また8月9日には、県央部の記録的な豪雨により、盛岡市、雫石町、矢巾町、紫波町、花巻市などで住家の床上浸水、がけ崩れなどの土砂災害、道路の損壊や冠水による交通障害が生じ、住民の生活に大きな影響を与えました。9月16日の台風18号による大雨では、盛岡市玉山区の松川が氾濫し、住民が孤立する等の被害もありました。平成25年度は、たび重なる大雨や台風により県内各地で河川の氾濫等による災害に見舞われた年であり、こういった状況を受けて、9月定例会においては、河川の掘削、改修等について一般質問、決算特別委員会にて私も含め6名の議員が取り上げたところであります。また、東日本大震災津波発災時においても、津波が河川を遡上し、河川からあふれる形で床上、床下浸水した地域もあり、被害を受けた地域住民からは河川堤防のかさ上げの要望が出ているところです。
 現在の県財政の厳しい状況も踏まえ、治水対策として、費用対効果を考慮すれば河川堤防のかさ上げより河道掘削の手法が現実的であると考えますが、平成26年度の河道掘削、河川しゅんせつ等の河川改修の整備に向けた取り組み、予算の状況について、9月定例会において6名の議員が取り上げたということの認識も含め、伺います。
 また、河川の氾濫等を事前に防ぐ必要があることから、今後の対策として県全体の計画を策定すべきと思いますが、見解を伺います。
 次に、JR山田線の復旧の見通しについてお伺いします。
 鉄道は、これまでも近隣住民の生活の足として重要なインフラであり、また、復興まちづくりの中心として大きな役割が期待されております。そういった中、今般、三陸鉄道の南リアス線釜石−吉浜間が4月5日に、北リアス線田野畑−小友間が4月6日に開通し、三陸鉄道が全線再開することは大きな喜びであります。私たちの記憶に新しいこととして、東日本大震災津波の直後、部分的でありながらも三陸鉄道がいち早く運転を再開し、被災地に復興に向けて大きな希望の光となったように、まさに鉄路の復旧なくして被災地の復興なしと言っても過言ではありません。
 このような中、1月31日に開催されたJR東日本と関係機関による山田線復興調整会議においてJR東日本から山田線復旧後の運行業務を三陸鉄道に譲渡したいとの提案があり、2月11日のJR山田線沿線首長会議においては、その条件として、鉄道設備の無償譲渡、10年分5億円の赤字補填等の追加提案がなされたところであります。この路線については、今回、ただ単に復旧させるのが目的ではなく、継続して運行していくことのできる体制を構築していくことが何よりも重要であると考えます。継続という視点から考えると、仮にJRによる復旧がなされたとしても、赤字路線の一つとして廃線という議論と背中合わせの中で運行していくよりも、県や沿線市町、沿線住民が当事者として、主体性を持ち、沿岸部の南北リアス線と山田線を合わせた約160キロの区間を一体的に運営できるメリットも含めて、新たな観光施策の展開を初めとした黒字化に向けた取り組みを議論していくことが重要であると考えます。地元住民からもスピード感を持った復旧が求められているところでありますが、2月11日のJR山田線沿線首長会議を受けての沿線市町の考え方はどのようであったのか、また、県の見解について、復旧時期を含めた今後のスケジュールの見通しについて伺います。
 次に、行方不明者の捜索状況と今後の方針について伺います。
 今般の大震災においては、発災直後から自衛隊、警察、消防、海上保安庁、さらには海外のレスキュー隊により救助活動が展開され、また、私が知り得る範囲でも、毎月11日には警察やボランティアの方々により行方不明の方々の集中捜索が継続して行われているところであり、こうした活動に改めて感謝申し上げます。
 しかしながら、懸命の捜索活動にもかかわらず、ことし2月14日現在、1、142人もの方々が今なお行方不明であり、行方不明の肉親や友人のことを思い、悔しさや無念さと向き合いながら日々を過ごされている方々も多くいます。発災から間もなく3年の月日が経過しようとする中で、捜索活動も次第に困難をきわめつつあると思いますが、一日でも早く、一人でも多く御家族のもとに戻っていただきたいという思いでいっぱいであります。これまでの捜索活動の状況と今後の活動の方針について伺います。
 また、関係機関による懸命の捜索により発見された御遺体の中で、1月末現在、68人の方が身元不明となっております。何としても身元を判明していただきたいと思いますが、その取り組みについてもお伺いします。
 次に、海洋再生可能エネルギー実証フィールドについて伺います。
 現在、見直しが進められている国のエネルギー基本計画においても、再生可能エネルギーの開発利用を加速させることが求められております。四方を海に囲まれた日本では、再生可能エネルギーの中でも、洋上風力、波力、潮流、海洋温度差など海洋再生可能エネルギーの賦存量がかなり大きく、太陽光やバイオマスなどの陸上の再生可能エネルギー以上のポテンシャルがあるとも言われております。
 現在、政府においては、今後の利用拡大につなげるため実用化に向けた実証フィールドの整備に取り組むこととし、その選定のため、平成24年度に候補地の公募条件を公表し、今年度、最初の選定を行うこととしていると伺っております。本県では、復興基本計画の中に、甚大な被害を受けた三陸地域の復旧、復興はもとより、世界に誇る三陸地域の創造を目指す三陸創造プロジェクトの一つとして国際研究交流拠点形成プロジェクトを掲げ、三陸沿岸をフィールドとした海洋再生可能エネルギー研究の実施を位置づけているところであり、強力に推し進めていただきたいと思います。現在、釜石沖を候補地として実証フィールドの誘致に取り組んでいるところと承知しておりますが、誘致の実現に当たっての課題とその対応状況について伺います。
 また、国への応募後のスケジュール、他県も応募すると聞いておりますが、岩手県の提案する実証フィールドの優位性、選定の可能性についてお伺いします。
 最後に、土坂峠のトンネル化について伺います。
 主要地方道大槌小国線土坂峠につきましては、東日本大震災津波発災時に、盛岡市や後方支援拠点である遠野市から大槌町、山田町への自衛隊や警察等による救援活動、救援物資の輸送ルートとして、まさに被災地の生命線として重要な役割を担ってきたことは何度も申し上げているところであります。また、土坂峠の前後は急勾配、急カーブが連続し、普通車でもすれ違いが困難であるなど、今般の救援活動等においても困難をきわめたところであり、土坂峠のトンネル化は大正時代からの大槌町民の悲願であることも何度も申し上げているところであります。
 しかしながら、これまで県は、交通量の推移等を見ながら費用対効果の観点から判断するとの答弁に終始しております。今般の大震災でこの路線が果たした役割に鑑みれば、トンネル化はただ費用対効果のみからその是非を判断すべきではありません。また、大震災により沿岸地域の人口の流出が一層進行している状況の中にあっては、トンネル化によって、産業、観光振興など地域経済の活性化にもつながるものであります。さらには財政面について見れば、本県が大変厳しい状況にあることは承知しているものの、社会資本整備総合交付金の一般枠の活用が可能かと思いますが、その申請もなされておりません。こういった県の対応には多くの不満があるわけでありますが、土坂峠のトンネル化への取り組みについて改めて知事の見解を伺います。
 以上をもちまして私の質問を終わらせていただきますが、答弁によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩崎友一議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復興を加速するための事業用地の確保についてでありますが、昨年11月、復旧、復興事業用地の確保に係る特例制度創設を国に要望したところであり、現在、要望の際に国から課題として示された憲法上の懸念への補足説明を行うとともに、具体の用地取得困難事例を示しながら協議を進めています。さらに、各政党に対しても要望、説明を行ったほか、県選出国会議員に対しては、情報共有を密にし、さまざまな働きかけに御協力をいただいております。また、学識者から特例制度に関しての意見を聴取するとともに、専門的見地から支援していただくよう要請をしています。今後とも、このような取り組みを展開しながら、多重防災型まちづくりの考え方に基づいて本格復興を推進し、一刻も早い安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生を実現するため、引き続き、国に対して特例制度の創設を強く働きかけてまいります。
 次に、復興の実感についてでありますが、これまで、第1期復興実施計画に基づいて、応急仮設住宅の整備や災害廃棄物の処理など、緊急的な取り組みを重点的に進め、漁場の整備など本格的な復興に向けた基盤の構築を進めてまいりました。その進捗については、計画に基づく施策、事業を迅速、着実に推進するため、第1期復興実施計画の期間である平成25年度末までに達成すべき事業ごとの目標値を設定し、これに基づいて事業の達成度で整理したものであります。
 一方で、新聞の世論調査などを見ますと、県民が十分に復興の実感を得られていない状況となっていますが、これは、防潮堤の整備、災害公営住宅の建設など、今後、ピークを迎える本格復興の主要な取り組みについて、いまだ復興を実感できる程度まで事業が進捗していないことや、応急仮設住宅での生活の長期化、復興まちづくりと合わせた商店街の再建が進んでいないことなどが背景にあると考えております。
 これまで、いわて復興インデックス調査、復興に関する県民意識調査等の実施により、重層的、多面的な復興状況を把握しながら、復興の加速化に努めてまいりました。
 第2期の計画期間においても、今後、本格化する復興まちづくり事業等の進捗を適切に管理するとともに、被災者一人一人の復興につながる暮らしの再建やなりわいの再生に十分に意を用い、被災した方々にこれまで以上に復興を実感していただけるよう、本格復興に向けた取り組みを推進してまいります。
 次に、公共工事の平準化についてでありますが、県では、東日本大震災津波からの復旧、復興に当たって、被災地域の安全の確保や被災者の暮らしの再建を最優先として取り組んでまいりました。津波防災施設等も復旧が本格化しつつありますものの、いまだに、3万3、000人を超える被災者の方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされています。
 このような状況を踏まえまして、県としては、一刻も早い被災地域の安全の確保や被災者の暮らしの再建のために関係機関や業界団体と連携し、津波防災施設等の多重防災型まちづくりや災害公営住宅など、最優先の復興工事を可能な限り迅速に進めていきたいと考えております。
 次に、復興事業と復興予算の関係についてでありますが、復興予算については、東日本大震災津波からの復興を地域の実情に応じ着実に進めるため、これまで、国により事故繰越事務手続を簡素化する特例措置が講じられるなど、その円滑な執行に向けた対応が図られています。しかしながら、今後本格化する復興事業の推進に当たりましては、自治体が被災地のニーズに的確に応えつつ、みずからの判断と責任において事業実施が行えるよう、十分でかつ自由度の高い財源措置が必要であります。
 国においては、いまだ平成28年度以降の復興費用に関する財源フレームを示していないことから、まずもって復興が終わるまでの間の確実な財源措置を求めるとともに、復興交付金制度の拡充や効果促進事業の柔軟な運用、復興基金に積むことが可能な震災復興特別交付税による追加的財源措置等について国に対して強く要請してまいります。
 次に、持ち家再建についてでありますが、県では、これまで、国に対し、被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望してまいりましたが、国では、都道府県によって意向が異なっており、知事会において議論が必要として、その見直しが進んでいない状況にあります。
 限られた財源の中で、被災者住宅再建支援事業を市町村と共同で実施してまいりました。加えて、県が国に要望し、増額交付された震災復興特別交付税215億円を全額沿岸被災市町村に配分して、それぞれ各市町村の実情に応じた住宅再建策が講じられています。
 県としては、このような広域災害においては、本来、国において住宅再建が十分に図られるよう制度設計を行うべきと考えておりまして、被災者生活再建支援制度の支援額の増額と、震災復興特別交付税などの地方財政措置による支援の拡大を引き続き国に対して強く要望してまいります。
 次に、治水対策についてでありますが、河川改修においては、河床の掘り下げや川幅の拡幅を基本としながら、発生した土砂を築堤等に活用するなど、周辺の土地利用状況や経済性を勘案した対策を進めてきております。例えば、矢巾町の岩崎川等では河道拡幅と掘り下げ、そして一関市の夏川等では、河道拡幅と築堤を主体にするなど、それぞれの河川の特性を踏まえて、さまざまな手法を組み合わせながら河川改修を行っております。
 大雨により進行した土砂堆積については、洪水の都度、堆積状況が変化しますことから、日ごろより河川パトロールを行って状況把握に努め、家屋への浸水被害のおそれがある区間など、緊急性の高い箇所から優先的に河道掘削等を進めています。
 また、東日本大震災では、津波が河川を遡上しあふれ、住宅地等への浸水被害が発生したところもあり、これらの被害を防止するため、水門の設置や堤防のかさ上げを行うとともに、必要に応じて河川内の土砂撤去などの対策を講ずることとしています。
 平成26年度におきましても、引き続き、これらの取り組みを進めていくこととしておりまして、当初予算案では、河川改修に要する経費として、前年度比33%増の49億6、000万円余、河道掘削などの維持管理に要する経費として、前年度比6%増の8億2、000万円余を計上しています。
 洪水から県民の生命、財産を守るとともに、県土の保全を図ることは極めて重要な施策であり、今後とも必要な予算の確保に努めながら、計画的な河川改修や維持管理に取り組み、効果的な治水対策を着実に進めてまいります。
 次に、土坂峠のトンネル化についてでありますが、東日本大震災津波において、主要地方道大槌小国線は、後方支援拠点であった遠野市から大槌町への緊急物資の輸送道路や震災時の避難道路として有効に機能しました。
 土坂峠のトンネル化については、険しい地形条件等を勘案しますと長大なトンネルが必要となり、大規模な事業となる見込みであります。
 事業実施の判断に当たりましては、道路の果たすさまざまな役割を十分勘案するとともに、事業の規模や交通量、将来の周辺の道路ネットワーク状況等も考慮する必要があると考えております。
 土坂峠については、当面は、早期に整備効果が発現できる約1.1キロメートルの現道拡幅区間の整備とのり面防災対策を進めて通行の安全を確保することとしております。
 トンネル化については、県全体の道路整備を進める中で、当該路線の利用動向や交通量の推移などを見きわめながら総合的に判断してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) 応急仮設住宅の入居範囲の拡大についてでありますが、被災者以外の方が、応急仮設住宅に一時的な入居を希望するケースに対応するため、県では、国からの回答を受け、本来の応急仮設住宅の供与の妨げにならない範囲で一時的な入居が可能となるよう、現在、応急仮設住宅の入退去管理を行っている市町村に対し、財産の目的外使用許可を行う方向で検討を進めております。
 具体的には、市町村において、それぞれの実情に応じて、地元に戻りたいが実家が被災し住む家がない方、被災地で就職し定住を希望するが住む家がない方、漁業集落防災機能強化事業などの面的整備等のまちづくり事業で一時的な転居を必要とする方などを対象とするほか、期間は、原則として1年を超えない範囲とし、使用料については、応急仮設住宅の間取り等に応じた適正な金額を徴収する方向で検討しております。
 運用開始時期については、できるだけ早く市町村が対応できるよう、運用方法を示したいと考えております。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、災害公営住宅の取り組み状況についてでありますが、大船渡市では、昨年12月20日からことし1月末までの期間、市が管理することとなる災害公営住宅21団地472戸について、入居の仮申し込みを実施しました。1月末時点で549戸の仮申し込みがあり、市ではこの結果を踏まえて、各団地の整備戸数を確定させるとともに、申し込み数が整備戸数を上回った団地については抽選を行い、入居者を選定していくものと聞いております。
 このような仮申し込みを行うメリットといたしましては、どの災害公営住宅に入居できるのか早期に決まるため被災者の方が安心できること、また、入居者の選定を前提とした申し込みとなるため、被災者の意向がより正確に把握できることといったことがあります。
 一方で、課題といたしましては、自立再建の可能性を検討している方は判断を急がなければならないこと、また、全体の整備戸数を減らさなければならない場合、完成時期の遅い団地で調整する必要があるが、その団地の入居希望者が多かったときには調整が難しくなることといったことが考えられます。
 県では、県営となる災害公営住宅について完成前に入居募集を行っておりますほか、ことし春にも、宮古市内の5団地について、設計中のものも含めて入居募集を行う予定としており、今後も、被災者の方々が一日も早く安心して暮らすことができるよう、市町村と連携しながら災害公営住宅の整備や入居を進めてまいります。
 次に、道路網の整備状況についてでありますが、国では、三陸沿岸道路や東北横断自動車道釜石秋田線を復興道路等と位置づけ、復興のリーディングプロジェクトとしてかつてないスピードで整備を進めており、平成25年11月までに、全ての区間で工事に着手したところであります。
 これらの開通時期については、着手後おおむね10年程度を目指すものの、完成に向けた円滑な事業環境が整った段階で確定する予定とされておりますが、三陸沿岸道路につきましては、来月の2日に尾肝要道路、同じく23日に高田道路の開通が予定されているほか、平成27年度には吉浜道路が開通予定と公表されております。また、東北横断自動車道釜石秋田線につきましては、遠野−宮守間が平成27年度に開通予定と公表されております。
 県では、国や関係機関と一体となって整備促進に取り組むとともに、県の復興計画期間である平成30年度までの全線開通を今後とも国に要望してまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、グループ補助金の繰り越し等についてでありますが、これまでに補助金の交付決定を行った事業者の中には、事業用地が確保できないため今年度内に事業が完了できない事業者もいることから、県では、これらの事業者が引き続き事業を実施できるよう、再交付や来年度への繰り越しの手続を進めているところでございます。
 この再交付に必要となる予算は、2月補正予算案に38億8、000万円余を盛り込んでおり、また、来年度への繰り越しについては、それが可能となるよう所要の措置を講じているところでございます。
 今後も、必要に応じ、複数年度にわたって事業が円滑に実施できるよう、国に働きかけてまいります。
 次に、グループ補助金の掛かり増し経費への対応についてでありますが、議員御指摘のとおり、復旧事業に時間がかかっている事業者の中に、資材費高騰などで、自己負担の増額や事業内容の変更を余儀なくされている状況が生じていることは認識しており、これまで、県では、増額分に対して無利子の高度化資金を融資するなどして対応してきたところでございます。また、事業費の大幅な増加により、進捗が相当おくれているケースも生じていることから、本年1月に、事業費増加分に対して相応の支援ができるよう、制度面での柔軟な対応を国に要望したところでございます。
 今後も、宮城、福島両県と情報交換しながら、国にこの課題への早急な対応を求めてまいります。
 次に、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金についてでありますが、今年度、国では、東日本大震災復興特別会計当初予算で1、100億円、補正予算で300億円を措置し、今月24日に2次公募が終了したところです。この補助金は、平成26年度においても国の概算要求に盛り込まれており、継続される見込みとなっております。
 この補助金の採択に当たりましては、工場立地に係る初期投資額と雇用規模等により補助率が決定されますが、事業者は上限の補助率を見込み資金計画を立てる例が多く、仮に中小企業において補助率が2分の1を下回った場合、資金計画に支障を来すことから、採択を辞退することも考えられるところでございます。このため、上限の補助率を下回った場合は、事案に応じて、県及び市町村でかさ上げして支援する方向で検討をしております。
 次に、事業復興型雇用創出助成金についてであります。
 当該事業分の基金296億円による雇用創出見込み約1万3、800人に対し、事業開始した平成23年度から平成25年度までの累計で1万3、827人の申請状況となっております。被災地の復興のためには、平成26年度も事業継続が必要であることから、国に対し、事業実施期間の延長と基金の追加交付を要望してきたところでございます。今回、国の平成25年度第1次補正予算に、事業実施期間の1年延長と基金の追加交付が盛り込まれ、本県分として65億8、000万円の内示があったところです。
 また、平成26年度の県の歳出予算については、国からの追加交付による新規募集約3、500人分と平成25年度までに支給決定した対象労働者合わせて1万7、300人余に係る26年度支給分として、121億円余を計上しているところでございます。
 次に、海洋再生可能エネルギー実証フィールドについてでありますが、実証フィールドの応募に当たりましては、国の示した要件を満たす必要があることから、エネルギーの実測調査や海域利用状況等の社会的制約などの調査を行い、エネルギーポテンシャルなどの諸条件を有している釜石沖を候補地としたところでございます。
 また、実証試験海域の位置や面積を設定するため、漁業者の理解醸成、航行安全や国立公園などの関係者との調整などが課題となったことから、漁業者への説明会や意見交換会、関係機関との協議などを重ね、漁業団体を初め、全ての機関、団体の御理解をいただき調整が完了し、本日、国に対して提案書を提出したところでございます。
 実証フィールドの選定スケジュールにつきましては、国によると、今月末日に公募を締め切った後、現地ヒアリングなどを経て、平成26年度の早い時期に候補地を選定するとのことでございます。
 本県が提案する実証フィールドの優位な点につきましては、第1に、風力や火力エネルギーが豊富な海域が陸域から比較的近距離に位置していること、第2に、比較的浅い海から深いところまで装置開発の多様なニーズに対応できること、第3に、三陸沿岸に特徴的なリアス式海岸ならではの静穏な入り江は発電装置などの組み立てや整備に適していること、第4に、港湾等関連インフラの整備、造船や海洋土木等の関連産業群が集積していることなどが挙げられます。
 県としては、こうした強みを生かし、発電装置等の組み立て、実証、保守などの一連の作業を半径5キロメートルのエリア内で実施可能であり、コンパクトで利便性にすぐれていることを十分アピールするなど、採択に向けて最大限の努力を傾注してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 漁業復興への取り組みについてでありますが、がんばる漁業・養殖復興支援事業では、ワカメの高速塩漬け装置を導入して作業効率を高め、養殖施設台数を県平均の約2倍に拡大した事例もあり、事業期間内に、事業で導入した機器、設備等を活用した効率的な生産活動を実現し、収益性の高い経営体質となるよう支援を強化してまいります。
 また、秋サケの漁獲低迷により漁協の収益低下が懸念されますが、今年度の漁業権の切りかえにおきましては、新たに漁協自営養殖の漁業権を免許し、養殖漁業からの収入も合わせて漁協の経営安定化を図ることとしております。
 担い手確保につきましては、漁業者と就業希望者とのマッチング、現地での実践研修、漁協の自営養殖で若者を雇用し地域へ定着を促すなど、新規就業の窓口と受け入れ体制を整え、担い手の確保を図っていきたいと考えております。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) JR山田線の復旧についてでありますが、先日の山田線沿線首長会議において、沿線の首長は、これまでどおりJR東日本による運行を引き続き求めていくこととあわせ、JR東日本から提案のあった三陸鉄道による運営に関しても、選択肢の一つとして検討、協議をする意向を示しております。
 県としましては、このような沿線市町の意向を尊重したいと考えており、三陸鉄道が運営するとした場合にJR東日本が対応すべきと考えられる事項をまとめ、沿線市町、三陸鉄道とともに、2月21日にJR東日本に提示をしたところであります。
 復旧時期につきましては、JR東日本が復旧を明言していないことから現時点でははっきりしておりませんが、一日も早く鉄道復旧を果たしたいという思いは、県、沿線市町で共有をしているものであり、沿線市町、さらには南北リアス線関係市町村や三陸鉄道とも十分に相談をしながら対応してまいります。
   〔警察本部長田中俊恵君登壇〕
〇警察本部長(田中俊恵君) まず、行方不明者の捜索状況についてでありますが、発災から間もなく3年を迎えますが、いまだに1、142人の方が行方不明となっており、県警察といたしましては、一人でも多く御家族のもとにお返ししたいとの思いで、月命日等に捜索活動を行ってまいりました。
 この捜索活動につきましては、昨年は延べ56回、約1、400人、本年は、これまでに延べ10回、約200人を動員し実施しております。
 御遺体の発見は日がたつにつれて困難をきわめており、残念ながら、平成24年12月以降発見に至っておりませんが、捜索活動の過程で、思い出の詰まったかばん等を発見し、所有者にお返ししております。
 県警察といたしましては、何とか見つけてもらいたいという御家族の期待に応えるため、今後も、自治体や御家族等の捜索要望を踏まえながら、関係機関と連携して、月命日等の捜索活動や節目節目の集中捜索活動を継続する予定でございます。
 なお、3年目の節目に当たる3月11日には、警察本部勤務員、機動隊員及び内陸署員を動員するとともに、海上保安庁等と連携し、約350人体制で捜索を行うこととしております。
 次に、身元不明者の確認についてでありますが、東日本大震災による御遺体はこれまでに4、672人を収容し、そのうち4、604人、率にして98.5%の身元が判明しております。
 県警察では、これまで、身元を確認するために、行方不明者の御家族や親族の方から提供していただいたDNA資料の鑑定や歯科カルテとの照合、医療関係検査機関などの検体資料とのDNA型鑑定、似顔絵を公開しての情報提供などの活動を進め、昨年中9人の身元を確認しております。
 身元確認にはDNA型鑑定が有効ですが、地元に親族が少ない方等については、遠方にお住まいの親族をたどって資料提供をいただいており、時間を要しているところでございます。
 また、本年に入ってからは、描き直した身元不明者の似顔絵を公開したほか、2月21日には、陸前高田市内で、行方不明者を探しておられる御家族等にお集まりいただき、宮城県警と合同の情報交換会を開催いたしました。
 今後も、これらの活動を継続しながら、一人でも多く、一日でも早く御遺体を引き渡せるよう、あらゆる着眼を持って身元確認に努めてまいります。
〇18番(岩崎友一君) 御答弁ありがとうございました。
 再質問したいことはたくさんあるのでありますが、優先度の高いものについて何点か質問したいと思います。
 まず1点目、きのうの代表質問でも何名か取り上げましたが、復興を加速化させるために一番必要なのは用地の確保の問題、今これが一番ネックになっていると思います。知事のきのうの答弁もきょうの答弁もそうでありますけれども、県が一度政府のほうに提案したものに関していろいろと補足説明等を行っているということもございましたけれども、これは大事な問題なのでしっかり整理したいんですが、県が出したそのままのものを通すためにいろいろな補足説明をしたり事例を出しているのか。それとも政府のほうからある程度応答があって、こうやったらどうだ、ああやったらいいという建設的な議論をしている最中なのか、その辺に関しても詳細をお聞きしたいと思います。それが1点目です。
 二つ目は、復興予算の平準化に関しての話でありました。私の質問と答弁がかみ合っていなかったような気がするんですが、今、被災地で、例えば道路の舗装とか落石の工事とか、今やらなくてもいいような工事も結構ばんばんなされているわけであります。それは県とか市町村それぞれの事業だと思うんですが、そうすると被災者の方々からもこれよりもっと早くやることあるべというような声を多く聞きまして、そのためには、ある程度そういった事業は後回しにしてもできるような体制をつくらなければならないという観点からこの制度の件をお尋ねしたのでありますが、やはり急ぐべきもの、急がなくてもいいものがありますので、急がなくていいものを後からできるような体制としてどういったことを県として考えているのかという質問でありますから、その点に関してもう一度お答えをいただきたいというのが2点目です。
 3点目が持ち家再建に対する県の被災者住宅再建支援事業についてでありますけれども、知事の答弁ですと国に対して求めていくということですけれども、県に関しては、どうするというようなお答えはなかったわけであります。国には引き続き要望していくけれども県としては今後増額するつもりはないという解釈でよろしいのかどうか、この3点をお尋ねします。
〇知事(達増拓也君) 現在、県と国との間で補足説明等、協議が進んでいるということで、それぞれの事務方、担当の間で論点に即してやりとりをしている中で今までなかったような理解が深まるなどのような進展があると聞いておりまして、そこは、それぞれ国の側も県の側も用地の手続が迅速に行われていくということについては同じ方向を向いてやろうということですから、そういう中でお互いの理解を深め、そして現実的なというかやらなければならない方法について協議をしているというふうに報告を受けております。
 それから、公共工事、復興事業平準化の問題。今やらなくていい工事を後回しとか、急がなくていいものを後回しとかという御質問でしたけれども、やらなくていい工事はやっていないわけでありまして、必要な工事をやっている。その中で、先ほど答弁いたしましたように、津波防災施設等の多重防災型まちづくりでありますとか、また災害公営住宅でありますとか、最優先の復興工事を可能な限り迅速に進めていくという姿勢で臨んでいるところであります。
 次に、持ち家再建についてでありますけれども、本来、国において住宅再建が十分に図られるよう制度設計を行うべきと考えているので、被災者生活再建支援制度の支援額の増額を求めているわけでありますけれども、また、震災復興特別交付税という地方財政措置による支援の拡大というものも求めているわけでありまして、地方財政措置による支援の拡大といいますのは、財源は国において確保するけれども、市町村、県がそれぞれ実情に応じて住宅再建策を講じるということでありまして、いずれにせよ、予算の額についてはやはり国にお願いしていかなければならないということで、今、国にお願いしているところであります。
〇18番(岩崎友一君) 済みません、なかなかかみ合っていないような気がするんですけれども、さっきと同じ質問です、三つです。
 まず、1点目の用地の確保の件ですけれども、国と担当者の間で今、協議をしているということで、進展しているということですが、知事は具体的にどこまで詰まっているかというのはちょっとわからないのかもしれないんですが、わかっていてもらいたいのは、一番ネックがこれです。用地だけ片づけば住居の問題あるいは本格的再開に向けた産業の問題もどんどん片づいていくので、とにかく大きな問題が用地なんですよ。だから、言葉で言えば協議していてうまくいっているときれいなんですが、それが実際、県が出した土地収用法の改正でしっかりと国が対応するのか、それがだめだから、ここをこう直したらいいというような前向きな話をしているのかというあたりが全然見えないので、その辺に関して答えられれば具体的な部分でお願いしたいのが1点と。
 2点目の平準化の話で、やらなくてもいい工事はやらない、私はそういう質問はしていないんですけれども、今やらなくていいものに関しては時期をずらして後からやればいいと。ですから、例えば道路の舗装工事は、多分凍上災か何かだと思うんですが、普通の交付金、補助金という形で来ていると思うので、行政的には最悪何があっても3年間で執行しなければならないというようなのが働いていると思うんです。ただしその一定のルールの中で、業務を行うのは行政だと思いますので、それが別に安全性とかに問題がなくて3年以内にやらなくてもいい工事であればそれ以降に実施すればいいと。ただ、今の交付金、補助金の制度がどうしてもひっかかってくるので、何とかそういったものを取り払って長期的に使えるような仕組みを県として構築してほしい、もしくは国のほうに要望していっていただきたいというのが二つ目の質問です。
 3点目に関しては、県単としてやる気があるかないかという質問でありますので、その点に具体的にお答えをいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 最後の質問へのお答えからにしますけれども、今、国に要望しているところですので、県としては、国からの財源を必要としているということを今、国に訴えているわけであります。
 次に、2番目の、今やらなくていい工事を後回しにするということについてでありますけれども、具体的にどの工事が緊急性がないのではないかということについて個別に言っていただければ検討することはあるかとは思いますけれども、基本的に、市町村や地域の住民の皆さんからの要望とかニーズとか、その状況に応じて対応している中で、他方、特に急ぐべき優先度の高いものについては早くやっていくというような形で取り組んでいるということであります。
 それから、復興加速のための事業用地の確保についての質問でありますけれども、県としては県の案が日本国憲法に反しているとは全く思っておりませんで、むしろこれがいかに憲法の理念に合致しているかということについて説明し、担当レベルでは御理解をいただき始めているという報告を受けているところであり、政府の中においても、さまざま担当と、それから政務三役というんでしょうか、そういうところとの間のやりとりとかがいろいろあると思いますけれども、いずれそうしたさまざまなレベルでの協議、働きかけ、話し合いなどを通じて、被災地が必要としている特別な措置をできるだけ早く国にも決断していただいて、この用地の問題というのは、それが時間を短縮できるできないでその先の展開が全然違ってきますので、非常に大事なことでありますので、今、丁寧に国と協議を進めているところです。
〇18番(岩崎友一君) 了解しました。
 3点目はまた知事にもう一度考えていただいて、県として、知事として増額するかどうか。
 2点目に関してだけお聞きしたいんですけれども、2点目は制度的な話をしているわけで、例えば今、復興3年を迎えますから、復興の一番最初の年についた予算は、明許繰越をして事故繰越をして、最悪、使えなくてもことしまでに使わなければいけないわけでありますけれども、行政というのはその期間内に使おうとするわけです、3年というルールがありますから。そうでなければ国に戻して再予算化というのが今のルールだと思うんですが、例えばこれが平成30年度までにこの事業については執行すればいいですよという余裕が出てくれば、じゃ、こっちは急ぎだからこっちをやろう、これは後回しでもいいんだといういろいろな優先順位のつけ方ができて平準化が図られていくと思うんです。
 何でこれに結構こだわるかといいますと、平準化を図らない現状でありますと、入札不調の大きな問題、そしてそれに伴う資材や人件費の高騰の問題があります。入札不調の問題というのは、沿岸部のみではなくて、きのう新聞に載っていましたけれども、内陸部にもそういった影響が及んできているというように読みましたので、やはり全県的な大きな課題でもあるかと思います。これは制度設計の仕組みです。国からのお金の配分の仕方にもかかわるので、知事にはしっかり検討していただいて、国に対しては要望が必要と思いますので、国に対して要望していただく。例えば県単事業等に関しても、今、私が話した観点からいろいろと発注の優先順位等々を決めていただければと思います。
 知事、何かあればお伺いして終わります。
〇知事(達増拓也君) 特に復興事業というのを中心に、やはり一日でも、あるいは一刻でも早く進めなければならないと思うんです。さまざま、まさに用地の取得の問題等、あるいはグループ補助金などで、事業主体、当該企業がすぐには店を建てられないとか、そういったやむを得ない事情で繰り越しとかをすることになることはあるわけですけれども、本当は年度内にやはりその事業はやっておきたいし復興は進めておきたいということであります。また、入札不調等の問題については、単価の引き上げでありますとか、実態に合わせた―実態というのは、早く、急いでいつもより多い事業をやらなければならないという実態に合わせて単価を上げる等の措置もされておりますし、それでも人が足りない、物が足りないという場合には、やはり国の指導において、全国、オールジャパンとして人や資材を復興の現場に持ってきていただくというようなことをしていただかなければならないと思っています。
〇議長(千葉伝君) 次に、渡辺幸貫君。
   〔46番渡辺幸貫君登壇〕(拍手)

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