平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇47番(田村誠君) 民主党の田村誠でございます。
 初めに、さきの雪害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われました多くの皆様に心よりお見舞いを申し上げさせていただきます。
 それでは、会派を代表いたしまして、知事演述及び県政の諸課題について順次質問してまいりますので、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 さて、多数のとうとい生命と大切な財産を一瞬にして奪い取ってしまったあの忌まわしい東日本大震災津波から間もなく3年を迎えようとしております。この間、被災地では、各方面からの温かい御支援、御協力に支えられながら、官民一体となり一つ一つ復興への歩みを進めてきたと感じております。
 県では、発災後の応急対応に追われる中、東日本大震災津波からの迅速な復旧、復興をなし遂げるべく、平成23年8月に岩手県東日本大震災津波復興計画の第1期復興実施計画を策定し、これまでの3年間を基盤復興期間と位置づけ、これまでさまざまな事業を県民一丸となり実施してきました。その結果、瓦れきはなくなり、徐々にではありますが、被災地の社会資本整備は進んでいるところであり、このことは多大なる県当局の御尽力によるものであり、その御尽力に対しまして感謝申し上げます。
 先般行われた本県の東日本大震災からの復興の進みぐあいを聞いた世論調査によれば、20%から30%と感じている人が全体の33.2%と最も多く、10%以下、10%から20%も合わせると65.2%となり、6割を超える人が復興は30%にも達していないと感じております。沿岸住民に限ると75.2%にも上り、現地は復興の実感がより乏しいことも浮き彫りになったと報じられております。
 そこでお伺いいたしますが、社会資本整備が進む中で、知事が目標として掲げた県の震災復興計画についてどのように評価し、平成26年度はどのように復興を進めていくお考えなのか、その基本姿勢についてまずお伺いいたします。
 次に、日本経済が、海外経済や消費税増税による腰折れ懸念などのリスク要因はあるものの、先行きが明るい見通しにあり、県内景気も、復興需要による公共事業が景気を下支えし、総じて着実な回復が続いているとされております。日本経済がデフレから脱却し、経済回復の道のりを歩むことは、地域の発展に望ましい姿であるものと考えますが、円安の影響でガソリン価格は1リットル当たりあっという間に150円台にはね上がり、また、発電は輸入エネルギー頼みの状態が続き、円安は輸入エネルギー価格を引き上げ、電気料金やガス等の値上げを通じて家計を直撃し、さらには、食料品のほとんどは輸入に頼っている中で円安により輸入物価が上昇するなど、低所得者ほど生活苦を強いられていることになるのではないかと思います。
 経済の好循環が続くためには、国内総生産の6割を占めると言われる消費が活発化することが必要であり、それには、やはり賃金が上昇していくことが必要であると考えます。しかしながら、雇用情勢を見ると、依然として非正規雇用が多く、雇用構造を抜本的に変えつつ、所得の向上を図っていくことが急務であると考えます。
 知事は、このような経済情勢のもとで県内の雇用構造をどのように捉え、県民所得の向上を図っていくお考えなのか。また、かねてからの地域ごとの所得格差をどのように解消していくお考えなのか、まずお伺いいたします。
 次に、財政運営などについてお伺いいたします。
 平成26年度の予算編成方針によれば、本県財政は、社会保障関係費の自然増に係る経費増や、国の要請に沿って行ってきた経済対策等に伴い発行した県債の償還が、今後、数年間かけて償還ピークに達すること、また、財源対策3基金の残高が大幅に減少する見込みとなっており、今後の財政運営はこれまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれる中で、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業については優先的に実施するとともに、ILC実現に向けた取り組み、国体の成功に向けた取り組み、平泉の文化遺産を核とした地域振興、さまざまな媒体で注目を浴びている地域資源を活用した地域づくり、県民総参加型の地域医療体制づくり及び地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入の六つのテーマに加え、若者と女性の活躍及びスマイル130プロジェクトの趣旨を踏まえた施策の具体化を図ることとされております。公債費の大幅な増は財政の弾力性を失わせるものであり、地方税や地方交付税などの地方一般財源の確保など、より的確な財政運営を図っていくことが喫緊の課題となっているものと思います。
 そこでお伺いいたしますが、平成26年度当初予算はどのような特色があるのでしょうか。また、本県の財政構造をどのように評価し、今後の財政運営をどのようにしていかれるのかお伺いいたします。
 次に、未曽有の大震災により、被災地においてはあすへの希望の糸口すらなかなかつかめず、今なお多くの方々が仮設住宅の劣悪な環境の中で歯を食いしばって生活をしております。このような地域や住民を目の当たりに見るにつけ、また、被災地に暮らす一人として、一刻も早く安寧な生活を取り戻し、安全で安心して暮らせる環境を取り戻していく対策を迅速に進められていくことが求められております。
 県は、昨年12月、東日本大震災からの復旧・復興ロードマップを更新しており、それを見ると、用地取得の難航や入札不調、資機材の不足などを要因として、県内の災害公営住宅やまちづくり、防潮堤などの社会資本整備669カ所のうち、15%に当たる102カ所で8月の前回更新時から完成時期が延びるとしており、災害公営住宅の総計画数6、038戸のうち、完成したのは1月末時点で467戸と、全体の7.7%にとどまっております。住宅確保はなかなか加速の兆しが見えなく、被災者対策として最も急がなければならない施策として沿岸地域では47.4%が住宅の再建を挙げる中で、安寧な暮らしの確保が日一日と延びていくことに危惧しております。おくれの要因はさまざまあるものの、その要因を払拭しながら、一日も早い完成を目指すべきだと考えますが、その対策についてお示し願います。
 次に、被災地の人口減少についてお伺いいたします。
 我が国では、長年の少子化を最大の要因として、2008年以降、人口減少傾向が定着したと言われており、2040年の人口は1億700万人で、2010年の1億2、800万人と比べて16%減少するとされております。全ての都道府県で人口は減少することが見られ、これを都道府県別に見ると、青森、岩手、秋田、山形、福島、和歌山、島根、徳島、高知、長崎の各県では人口が3割程度、つまり日本全体の平均を超えた人口減少が予測されております。
 県内の広域圏別の推移を見ると、県中央部の人口は他の圏域に比べて最も穏やかに減少することが見込まれ、県南人口も県央に次いで穏やかに減少することが見込まれています。
 一方、2010年に21万7、771人であった沿岸人口は、2025年には16万6、044人、2010年の76.2%、2040年に12万4、082人、同57%と、他の圏域に比べて最も急速に減少することが見込まれています。また、県の総人口に占める割合は、2010年の16.4%から2040年には13.2%に低下することが見込まれています。また、県北人口は沿岸に次いで急速に減少することが見込まれています。さらに、沿岸の生産年齢人口は、2025年に2010年の68.4%、2040年に同47.5%と他圏域に比べて最も急速に減少することが見込まれています。就業者数の減少によって所得報酬の減収、消費総額の減少という負のスパイラルが始まり、税収減により、道路、上下水道などの社会インフラのメンテナンスもままならず、ひいては地域社会の維持も困難になることが予測されております。
 知事は、年頭のインタビューにおいて、岩手の沿岸には30万人の人が食べていけるだけの地域資源がある。沿岸の地域資源は域外、県外の人にも開かれている。交流増大社会という傾向もあると述べておられますが、沿岸地域の人口減少を抑え、30万人の人が暮らす地域をどのようにして形成しようとしているのでしょうか。また、人口減少に歯どめをかけ、どのように地域の再生を図っていこうとするのかお伺いいたします。
 また、北里大学海洋生命科学部は、本県沿岸に立地する海洋、水産関係の研究機関と連携して本県の水産業進展に大きく寄与しているのみならず、学生の生活の場として地域経済に大きく寄与し、地域の活性化に大きく貢献してまいりました。
 災害により希薄化していく人口に歯どめをかけ、地域コミュニティを維持、発展させていくためにも、北里大学を交流人口の拡大の一方策として認識し、早期再開に向け県を挙げて働きかけるべきであると考えておりますが、いかがでしょうかお伺いいたします。
 また、若者の県外流出に歯どめをかけるには働く場所の確保が大切と考えますが、これまでの企業誘致の動向とあわせて、今後の取り組み、特にも被災地に対する新たな企業誘致対策についてお示し願います。
 次に、水産業の振興についてお伺いいたします。
 沿岸被災地におけるなりわいの再生については、地域経済の基幹をなす水産業の再生が何よりも重要であることから、漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築、産地魚市場を核とした流通確保体制の構築及び漁港等の整備を3本柱として、一体的な取り組みを進めてこられたものと理解しております。
 その結果、平成26年1月に公表された復興実施計画における主な取り組みの進捗状況によりますと、漁船の整備は、第1期の目標値6、800隻に対し6、224隻、進捗率92%、養殖施設の復旧、整備は、同1万9、885台に対し1万7、139台、進捗率86%、流通、加工関連施設の復旧、整備は、着工131カ所に対し106カ所、潮位にかかわらず陸揚げが可能な漁港数は、31漁港に対して31漁港、進捗率100%となっております。
 また、被災した13魚市場も全て営業を再開し、平成25年度4月から9月までの水揚げ量は4万7、000トン余りと震災前3カ年平均の7割を超えるところであり、第1期復興実施計画期間の取り組み実績については評価できるものであります。
 私は、常に、浜がよければおかもいいと申し上げ、特に沿岸地域の県民所得向上の原動力として、水産業の振興を一貫して主張してまいりました。このような中、先日、復興した県内のすぐれた水産加工品を一堂に集め、震災後初めてとなる平成25年度復興シーフードショーIWATEと銘打った水産加工品のコンクールが開催されました。関係者の御尽力に対し大いに敬意を表するものであります。言うまでもなく、漁業と水産加工業は車の両輪として水産業を支えており、どちらかが欠けても被災地の再生、復興はなし得ないものと考えております。
 そこでお伺いいたしますが、これまでの水産業の復旧、復興状況をどのように評価されているのか、あわせて、さらなる水産業の本格復興の推進に向けてどのように取り組まれる決意か、お考えをお示し願います。
 次に、本県の漁業経営体数は、2008年の5、313から、高齢による廃業や他市町村への転居などにより2割ほど減り2013年3月時点では4、480となり、漁業者は減少の一途をたどっており、なりわいとコミュニティが一体の漁業集落の衰退が深刻化しております。特にも、収穫まで時間を要するカキやホタテなどの養殖業経営体の減少割合が大きく、本県の長年築き上げてきたつくり育てる漁業の基盤が揺らぎ、漁港施設が復旧しても、そこで働く漁業者がいなくなれば、せっかくの施設の復旧も無駄になりはしないかと危惧しております。
 本県では、漁業担い手対策として、担い手の生産規模拡大や付加価値向上、販売対策の推進を柱とする岩手県漁業担い手育成ビジョンを策定し、担い手の確保対策を推進してきたところであります。
 東京築地市場では、三陸産の魚介類の評価は極めて高いものの、北海道や長崎県などの産地に比べると零細な事業経営で、年間を通じた安定供給力に乏しい点が指摘されている中で、復興までの時間差から市場が他の産地からのものに代替され販売市場が狭まっている現状を見るとき、地場産業として生き残りを目指すためには、事業者の自立及びオリジナルのビジネスモデル構築が不可欠であります。
 しっかりとした事業体による後継者の育成、技術の伝承、海洋環境の維持等に取り組むとともに、地域雇用の拡大、安定に意を注ぎ、地域に根差した地場産業として発展させていくこと、さらには、地域の主体的な考えを踏まえ、コミュニティの回復、再生を図りながら、三陸の海が持つ多様な資源や潜在的な可能性などの特性を生かした復興を実現することが肝要と考えます。
 水産業の振興の礎となる漁業担い手の確保をどのように進めていくお考えなのか、担い手の確保により漁村集落の衰退に歯どめをかけていけるのか、お伺いいたします。
 次に、商店街の活性化についてお伺いいたします。
 大震災から丸3年を迎えようとしている今日、今後、仮設商店街は、新たなまちづくりの中で本設に移っていく際にも、超高齢化社会の地域コミュニティとして引き継がれていくべきであると思います。遠方の仮設住宅から来る人や、杖をついて来るお年寄りの姿が多く見られ、体を押してでも仮設商店街に顔を出し、なじみの商店主と立ち話をすることが、不自由を強いられている生活の中で大きな楽しみとなっており、超高齢化社会における地域のコミュニティは、生活の場から近過ぎもせず、遠過ぎもせずの距離にあることが望ましく、仮設住宅に徒歩圏内にある仮設商店街は、そうした条件を備えていることから、お年寄りを主体に多くの人々が集まりやすい場所となっております。
 仮設商店街は、狭い地域空間であるからこそ世代を超えた助け合いの構造が見られ、仮設の立ち上げ、維持、そして撤去、本設に移っていく過程で、被災地の地域社会のありようも変化しつつあり、この進行形のまちづくり、コミュニティづくりから私たちが学ぶべき点は多く、超高齢化社会の未来に示唆を与えてくれるものではないかと思います。
 被災地では、地域と向き合いながら営みを続けることは、再び世代を超え地域で育まれた大切なものを未来に継承していくことにつながっていくものであり、この地域でのコミュニティ形成に重要な役割を果たしている商店街の活性化は、世代を超えた地域創造につながるものと確信しております。
 そこでお伺いいたしますが、災害復興が本格化していく中で、商店街をどのように振興し、地域資源を生かした産業として育てていくお考えなのかお伺いいたします。
 最後に、地域医療の連携についてお伺いいたします。
 東日本大震災の際、多くの医師が被災地支援に従事し、その日夜分かたぬ御尽力に対し改めて敬意を表するものであります。特に、被災地である沿岸地域は、現在においても医療の過疎は解消されず、少ない医師のもとで、患者が地域で安心して暮らしていけるよう、地域医療連携を進めていくことが強く求められております。
 私は、かねてから、かかりつけ医と地域の中核病院の連携をより一層進めていくべきことを主張してまいりましたが、今こそ病診連携を実現し、医療資源がこれ以上過疎化することのないよう、こうした連携を支える各地域の医療情報ネットワークの構築に当たっては、県も主体的に地域にかかわり、運営費用の負担などの課題解決に向け地域とともに対策を講じていくことが肝要であると考えます。
 ICTを活用した地域医療連携について、現状をどのように評価し、今後どのように対策を講じていかれるのかお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 田村誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第1期の復興実施計画期間における取り組みの評価についてでありますが、第1期におきましては、応急仮設住宅の整備、災害廃棄物の処理などの緊急的な取り組みを重点的に進めるとともに、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づく本格的な復興に向けた復興基盤の構築のための施策を実施してまいりました。
 その結果、各構成事業の第1期末目標に対する進捗を見ますと、全体として指標の8割以上でおおむね目標を達成し、本格復興に向けた基盤づくりを進めることができたと評価しているところであります。
 一方で、いまだに3万3、000人を超える方々が、応急仮設住宅などでの不自由な暮らしを余儀なくされ、また、県が実施したウオッチャー調査においても、復興の実感の改善に停滞が見られますことから、復興をより実感していただくよう、着実に、そして迅速に復興を進めていかなければならないと認識しております。
 こうした認識に立ち、次の3年間は、これまでの基盤復興の取り組みの成果を土台とし、課題を踏まえた上で、被災者一人一人が安心して生活を営むことができ、将来にわたって持続可能な地域社会の構築を目指す本格復興の取り組みを強力に進めていく必要があります。特に、その初年度となる平成26年度については、基盤復興から次のステージに進む本格復興推進年と位置づけて、被災者の皆様を初め、県民全体の地元の底力と多様なつながりの力を原動力に、復興を力強く推進してまいります。
 次に、雇用構造と県民所得の向上策等についてでありますが、平成24年就業構造基本調査によりますと、本県の正規従業者等の割合は62.4%と、前回調査の平成19年と比較して4ポイント低下しており、正規従業者等の割合が減少しております。安定的な雇用を望みながらも希望がかなえられない方々も多くいると考えられますことから、県といたしましては、関係機関と協力しながら、雇用の維持、確保等に関する関係団体への要請活動などを通じて、安定的な雇用の確保に向けた取り組みを進めているところであります。
 この安定的な雇用の確保とともに、県民所得の向上を図るためには県内の産業振興を図ることが重要であり、地域経済を牽引するものづくり産業の振興を図るため、自動車や半導体関連産業の集積促進、医療機器関連産業の創出に向けた取り組みなどを進めてまいります。
 加えて、農林水産業や食産業、観光産業など、地域の特性と資源を十分に活用した安定的で持続的な地域資源型の産業振興も、今後一層推進していくこととしており、こうした取り組みをさらに進めることによって、地域の所得の向上も図ってまいりたいと考えております。
 次に、平成26年度当初予算の特色と今後の財政運営についてでありますが、平成26年度当初予算は、本格復興推進予算として、本格復興の着実な推進を図るとともに、ILCの実現、地域資源を活用した地域づくり、若者や女性の活躍支援など、復興とその先にある希望郷いわてを、より確かなものとするための施策に留意して編成したところであります。
 次に、財政構造の評価と今後の財政運営についてでありますが、本県財政は、歳入面では、県税を初めとする自主財源の占める割合が低く、国庫支出金や地方交付税など依存財源の割合が高い状況であり、国の予算や地方財政対策の影響を強く受ける構造となっております。
 一方、歳出面では、社会保障関係経費の自然増や公債費の増大により、義務的経費の割合が高くなっているところであります。また、東日本大震災津波からの復旧、復興を本格的に推進していく上で多額の財源を必要としますことから、国による強力な支援が必要となっており、これまでにも増して厳しい財政状況が見込まれております。
 今後の財政運営においては、あらゆる歳入の確保に努め、自主財源の割合を高めるとともに、歳出においては事務事業の一層の選択と集中に努め、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策の着実な推進に向けて、限られた財源の重点的かつ効果的な活用を図ってまいります。
 次に、被災地の住宅の再建についてでありますが、県では、被災された方々が自力で住宅を再建できるよう支援するとともに、自力での再建が困難な方には、災害公営住宅を提供することで、被災地における住宅の復興を進めているところです。
 まず、住宅再建のための宅地整備についてですが、土地区画整理事業、防災集団移転促進事業及び漁業集落防災機能強化事業は、県内で99地区が計画されており、1月末現在58地区で工事に着手しています。
 また、災害公営住宅の整備については、県全体で6、038戸が計画されており、1月末現在467戸が完成しているほか、1、089戸について工事に着手しているところです。
 これらの早期完成を目指して、市町村が進めている宅地の整備については、UR都市機構への業務委託やCM方式の活用及び起工承諾による早期着工を図ること、県が整備する災害公営住宅については、設計施工一括選定方式や敷地提案型買い取り方式の活用に努めること、施工確保対策連絡調整会議等を通じて、資機材や建設労働者の不足等に対応し円滑な工事の執行に努めることなど、県や市町村、関係機関が連携して対策を進め、被災された方々が一日も早く安心して暮らすことができるよう鋭意取り組んでまいります。
 次に、沿岸部の人口減少についてでありますが、三陸地域は、水産業や農林業など豊かな自然の恵みや日本ジオパークに認定されたさまざまな自然の造形など、有形無形の多様な地域資源を有しております。こうした地域資源をさらに発掘し、磨き上げ、内外に情報を発信し、付加価値を高めていくことで、三陸をさらに豊かな地域とし、将来的には人口減少に歯どめをかけることも目指して取り組んでまいります。
 最近の人口の動向を見ますと、人口減少の要因の一つである社会減は震災前と同水準まで縮小しており、こうした傾向が本格的なものとなるように、今般策定する第2期復興実施計画に基づいて本格復興の取り組みを着実に進めてまいります。
 また、長期的な視点に立ち、ILCの建設や海洋再生可能エネルギー実証フィールドの誘致など三陸創造プロジェクトの具体化に取り組み、定住、交流人口の拡大や国際研究交流拠点の形成などを図ることにより、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指してまいります。
 こうした取り組みを地域の皆さんと力を合わせて進めることによって、活力に満ちた豊かな三陸地域の形成を推進してまいります。
 次に、北里大学の早期再開についてでありますが、これまで、北里大学海洋生命科学部の学生は、大船渡市など地域社会の一員として地域に活力を与えてきたところでありますが、大震災津波後、大学を運営する学校法人北里研究所では、学生の教育環境や入学志願者の確保、長期的な学部運営などの観点から、神奈川県相模原キャンパスを当面の学生教育の拠点に位置づけたと聞いております。
 一方、北里大学海洋生命科学部は、いわて海洋研究コンソーシアムに参画し、研究機関同士の連携を積極的に進めているほか、平成26年度に新設される三陸臨海教育研究センターを学生の実習教育や海洋、水産研究の拠点として運用していくということを表明しており、海洋研究拠点を形成する上で今後とも重要なパートナーであります。
 このため、県としては、この教育研究センターにおける活動の充実を支援するとともに、北里研究所、大船渡市及び県が設置した三陸キャンパス活用検討協議会を初めとするさまざまな機会を捉えて、地元大船渡市などと連携しながら、三陸キャンパスの早期再開について鋭意働きかけてまいります。
 次に、企業誘致についてでありますが、震災後の平成23年度からこれまでに本県が誘致した企業は、自動車関連企業やコールセンター、流通業など80社で、これらの最終雇用計画数は3、232人となっております。
 今後の企業誘致に当たっては、事業誘致の考え方のもと、各地域の強みと特性を踏まえた業種を中心に誘致活動を行うとともに、生産施設の増設や2次展開に向けたフォローアップをより強化してまいりたいと考えております。
 特にも被災地に対する企業誘致については、今年度、国が創設した津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金や国税、地方税が減免となる復興特区制度を活用して、新たな企業の誘致や既存企業の増設を図ってまいります。
 次に、水産業の振興についてでありますが、東日本大震災津波による壊滅的な被害からの復旧、復興に向けて、これまで、漁船や定置網、養殖施設等の再整備、産地魚市場や水産加工等関連施設の復旧、整備への支援のほか、漁港や漁場等の復旧、整備に取り組んできたところであります。
 その結果、各地でワカメ等の養殖業が再開し、アワビの漁獲量は震災前の水準まで戻り、また、被災した水産加工事業所の8割が事業を再開するなど、漁業と流通、加工業の一体的な再生が進んでおり、本格的な水産業の復興に向けて一定の基盤が整ってきたものと認識しております。
 今後は、復旧した漁船や養殖施設等を有効に活用して一層の漁業生産の回復を図るほか、復旧によって震災前よりも衛生的になった産地魚市場や水産加工場の機能を生かし、地域が一体となって取り組む漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生品質管理体制の構築を支援し、消費者から選ばれる産地づくりを進めていきたいと考えております。加えて、生産や生活の基盤となる漁港等の復旧、整備や漁業集落の再建を加速し、将来にわたって持続可能な水産業の再生を図ってまいります。
 次に、漁業集落の復興についてでありますが、震災からの漁業の再生や漁業集落の復興には、漁業の将来を担う若者の確保や生産物の高付加価値化を図る6次産業化の取り組みが重要であります。
 本年度から、漁協ごとに地域漁業の将来の姿を描く地域再生営漁計画の策定を進めておりまして、各地域の実情を踏まえながら、定置網に若者を雇用し地域への定着を進めた上での養殖漁家としての自立や、漁業者と就業希望者とのマッチングなどの新規就業者確保、女性漁業者などによる生産物の直接販売、加工品開発などの6次産業化の取り組みも検討されております。
 県といたしましては、計画に盛り込まれた漁業の将来を担う新規就業者の確保や生産物の高付加価値化のための6次産業化の取り組みを支援し、生産活動や地域コミュニティの活性化を図り、あまちゃんで描かれたような、若者や女性が活躍し、人と人がつながりの中で生き生きと暮らす漁業集落の再生を目指してまいります。
 次に、商店街の活性化についてでありますが、商店街は、買い物をする場所のみならず、地域住民の憩いの場であるほか、イベント活動の主体となるなど、地域の暮らしを支える生活基盤として多様なコミュニティ機能を担っています。
 被災地において、この機能は仮設商店街が担っていますが、復興の本格化にあわせてさらに充実させていくことが重要であり、新たなまちづくりと連動した商店街の整備が必要であります。
 このため、県としては、グループ補助金やいわて希望ファンドなどにより、まちづくりに連動した共同店舗等の整備、交流イベントの開催、地域資源を活用した新商品の開発、販売などの取り組みを支援し、商店街がコミュニティ機能を十分に発揮しながら、住民にとって魅力あるものとなるよう取り組んでまいります。
 次に、地域医療連携についてでありますが、患者の視点に立った切れ目のない医療提供体制を構築していくためには、地域の医療機関が、相互に機能の分担と連携を図ることが重要であります。
 こうした医療提供体制を構築するため、現在、岩手医科大学と沿岸被災地の中核病院をネットワークで結び、診療情報の共有基盤の強化を図るためのシステム整備に向けた具体的な検討を進めているところであります。
 また、各地域における取り組みとして、釜石保健医療圏においては、平成25年5月から、患者情報の共有や診療予約をすることができる、かまいし・おおつち医療情報ネットワークが稼働しております。
 他の二次保健医療圏においても同様の取り組みが進められているところであり、地域の病院や診療所のほか、薬局、介護福祉施設等の関係機関の協働のもと、地域における効果的な医療、介護サービスの提供に向けて、持続可能なネットワークを構築していくことが重要であります。
 こうした取り組みを実効性あるものとするためには、各地域の医療機関や市町村、保健所等が、求められる機能、運用に当たっての体制整備等の課題や方向性を共有しながら、制度設計のための具体的な検討、協議を行っていくことが必要であります。
 県といたしましては、医療情報ネットワークの構築によって地域医療の連携強化が図られるように、今後とも、協議の場への参画や助言、情報提供を行うとともに、地域医療再生等臨時特例基金を活用した支援を行ってまいります。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時31分 散 会
第14回岩手県議会定例会会議録(第3号)

前へ 次へ