平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇36番(飯澤匡君) いわて県民クラブの飯澤匡でございます。
 今定例会に質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員各位に感謝を申し上げ、質問させていただきます。
 去る2月11日に伝統の大東大原水かけ祭りが行われました。厄よけの水を浴びた裸男は、過去最高の298名の参加があり、祭りは盛大のうちに終了いたしました。県庁からも多く職員の方々に参加をいただき、祭りを盛り上げていただきました。大原地区は、ILCの中心とも言われ、ILC実現に向けた県職員の意気込みを感じたところです。心から感謝を申し上げるとともに、職員の皆様には、さらなる御活躍を祈念いたします。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 来年度予算は、復興実施計画の第2ステージ初年度に当たり、予算の編成にあっては、本格復興推進予算と銘打ち、参画、つながり、持続性の三つの視点を重視した本格復興の着実な推進を図るとしております。
 第1期実施計画において最大の懸案事項であった瓦れき処理は、全国の多くの自治体の協力により期限内にほぼ解決することができました。
 第2期実施計画を実行するに当たっては、被災地が抱える最も深刻な問題、すなわち生産年齢人口の激減という現実に目をそらさず、果敢に挑戦していく県の決意が求められます。復興住宅は建ったが住む人がいなかったでは、どうにもなりません。創造的復興をなし遂げるための土台づくりのために、生産年齢人口の流出を食いとめ、人材確保のため有効な施策をいかに講じていくか、これらの課題は地域産業復活の肝であり、優先順位の高い中長期的課題と認識をしております。
 しかし、まことに残念ながら、人口減少に立ち向かう知事の気迫が、さきの知事演述では私は感じ取れませんでした。来年度予算には、第2期実施計画の初年度として、この重要な問題にどのような意味づけをされて措置されたのか、知事の考え方をお示し願います。
 当初予算に関連して、歳入確保と県財政問題、県内経済の見通しについてお聞きします。
 平成26年度の国の地財計画において、地方に対する昨年度以上の配慮がされ、必要な財源の確保には、平成26年度分は事なきを得ましたが、来年以降は、国の歳入確保に関して、アベノミクスの要諦であるGDPの伸び率が1%と予想を大きく下回り、財務省が示した2013年の国の経常収支も大幅に悪化し、加えて、4月からの消費税増税の影響も懸念されます。
 県においては、国の地財対策について通常収支分、震災対策分の中期的な見通しをどのように分析しているのかお知らせ願います。
 予算編成に当たっては、プライマリーバランスが黒字を達成するとのことで、編成作業の努力に対し評価をいたします。しかし、いまだ策定されていない財政の健全化の指標となる県財政のシミュレーションを、早期に中期財政見通しを通じて示すことが必要と考えます。その取り組み状況についてお伺いいたします。
 また、地方銀行の業績不振により、金融庁が地銀、第二地銀に対して再編を促す姿勢を強めているとの報道がありました。その動きが本格化すると県内経済に大きな影響を与えることが予想されます。県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出への歯どめをかけなければ、地域経済の発展にはつながらず、県税の歳入や復興の足かせにもなるのではないかと考えますが、知事の所感を伺います。
 次に、復興の加速化に向けた共通的課題への対応について伺います。
 第2期実施計画では、県では次の三つの課題を克服し、復興の歩みを実感できるようにしていくことが必要とされています。それは、被災地復興のための人材の確保、復興財源の確保と自由度の高い財源措置、事業用地の円滑かつ迅速な確保の3点であります。これらおのおのの点について提案を交えて質問いたします。
 人材の確保についてですが、県は、来年度からハード、ソフトとともに、復興の加速化に向けた体制づくりについては留意をされているものと存じます。しかし、被災地現場においては、いまだに労働者の充足の見込みは立たず、大手建設業界は、東京オリンピックの経済効果約3兆円に既に目を奪われ、収益の高い方向へとシフトする気配が感じられます。加えて、建設だけでなく、物流部門も人材確保のコストが上昇し、内陸も、その影響は既に多大に出ているのが現状であります。喫緊のこの課題に対する認識と対応についてお伺いいたします。
 人材の確保と同様に、地域の社会経済発展のための人材の育成については、周到な企画立案と実行が必要と考えます。県では、三陸創造プロジェクトを本格復興の柱として取り組むとされています。三陸創造プランについては、私もその必要性に異議はありません。しかし、復興委員会や総合企画専門委員からも指摘されたように、現状の内容では、三陸創造プロジェクト全体を貫くダイナミズムや地域の一体感を醸成する骨太な三陸ブランドの形成に関して、これについては、かなりの物足りなさを禁じ得ません。従前三陸地域に行ってきた県施策をまとめるだけでなく、発想の転換を図り、民間資本や研究機関の集積を目指すべきと考えます。
 国においては、震災を経て、地方に着目した政策展開、特に地方の産業育成に着目し始めている背景を追い風に、私は、この際、後ほど詳細についてお聞きするILCプロジェクトを中心に据え、その傘下に、一例として再生エネルギーの基地化を具体化させるなど、起業者を促進する取り組みを強調し、大胆に再編し、投入資本の集中化をすべきと考えますが、御所見を伺います。
 復興財源の確保と自由度の高い財源措置については、国においては、集中復興期間後における復興財源スキームが明らかにされていないこと、復興交付金は対象事業が限定されているなど、第2期実施計画を実行するには、財源確保について課題が山積しております。
 そこで、今後、知事は具体的にどのように対処するのかお聞きします。国に対する要望、提言活動には、通常の平時の要望では打開は困難と思料しますが、どのような工夫をされるのかお知らせ願います。
 用地の取得についてお聞きします。
 復興まちづくり事業が本格化する時期に移ってきている中、用地の取得のために必要な契約件数が、県と市町村合わせて約2万件と膨大に上り、かつ、事業予定地には相続手続未処理や多数共有の土地が少なくとも1、900件以上存在することから、県では、岩手弁護士会と共同で特例制度をまとめ、立法化を国に要望してきたところですが、根本復興大臣、復興庁の見解は、憲法第29条及び第31条に抵触するおそれがあるため立法化は困難とのことであり、現状が何も動いていない状況にあります。岩手県の特例制度の本質、中身が国に十分理解されているのかという、本県側のアクションが不十分ではないのかという指摘も聞こえてきます。用地の取得は、復興第2期計画の基礎をなすものであり、早急な対応が求められます。
 そこでお伺いしますが、知事は、さきの12月定例会において、国と協議を継続して行うとの答弁がありましたが、特例制度の実現に向けてどのような対処がなされてきたのか、そして、これからどのような手だてを持ってやるのか、希望や観測だけでなく具体的にお答え願います。
 県が国に提案した以上、特例制度を認めてもらう、成果なくして復興なしとの不退転の決意と行動が求められるのですが、通常の要望活動だけではなく、国会への知事みずからの積極的なロビー活動も必要不可欠と思いますが、いかがでしょうか。やる気はあるのでしょうか、お答え願います。
 次に、JR東日本から提案のあった山田線の三陸鉄道による運行についてお伺いいたします。
 JR東日本から、山田線宮古―釜石間を三陸鉄道に南北リアス線と一体運営を行うことの提案がされました。その主な内容は、復旧工事はJRが負担する、かかり増し分は公的資金を活用して自治体等が負担等の復旧に係る負担配分の件、また、JRからの赤字想定額の補填等の支援内容について示されたところであります。
 被災地自治体が復興まちづくりに本格的に作業に入るこの時期の提案は、協議が長期化することは復興に直接的に影響を与えることであり、交渉をこれから行うにしても、期限が限定的である被災地の立場は不利な状況であることは明らかであります。JRから提案された一時金の額にしても到底納得のいく数字ではなく、協議、交渉は既に難航することが予想されます。JRが巧妙な間合いをはかり、こうした不利の立場に追い込まれることを県はあらかじめ予見できなかったのでしょうか。JRは戦略的に交渉に有利な環境をつくってきたことは、まして否定できません。県は、JRから提案を受ける前に山田線に関してどのような協議をしてきたのか、まずお尋ねいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、これからの交渉内容と過程によっては、現在、一部区間をBRTで代行している大船渡線の復旧にも影響があることから、今後、県には、鉄路のみならず総合的な三陸沿岸地区の交通体系の構築を大局に据えた主体的な協議を進めていくことを要望するものです。
 知事は、JRからの提案に対して、JRによる運行の継続と三陸鉄道運営の両にらみで協議、交渉するとの見解を一部報道で示しておりますが、今後の交渉に当たる知事の決意と方針を伺います。また、不利な交渉テーブルに着くことを余儀なくされた県の責任は重いと考えますが、この件に関していかなる認識かお尋ねいたします。あわせて、大船渡線の全線復旧に対する被災地自治体の現状との県の認識と課題についてもお聞きします。
 次に、ILCプロジェクトについてお伺いいたします。
 昨年8月23日に、研究者で構成される立地評価会議が責任主体となり、ILCサイトの候補地として北上高地が最適であるとの評価がされ、国際レビューで了承されて公表されて以来、2014年度政府予算案が閣議決定された中で、ILC計画に関する調査検討費5、000万円が計上されました。ILCが明示された国家予算が措置されたのは初めてであり、いよいよILC北上サイト実現に向けた動きが加速度を増してきたように感じます。
 技術部門でILCを支えるKEKの鈴木機構長も2014年はILC元年と明言し、KEKの役割も、技術部門だけでなく、研究所のあり方や運営方法の検討も本格化するとの強い意思を示され、プロジェクトとしてILCを推進するILC準備室がKEK内で発足いたしました。
 国、民間組織においても、EUや米国への外交ルートを通じた要請活動が活発になってきており、また、いまだにくすぶっている国内サイト決定にかかわるプロセスに関して、今年度中には終息したいとのILC議連会長の積極的な動きや日本経団連の動きもあります。我が国がILCを受け入れる意思表示をする環境が整備されつつあります。
 県内の民間団体も、実現に向け研究会の設立も盛んになってまいりました。県は来年度に科学ILC推進室を設置し、この動きに対応しようとしておりますが、ILC実現には今後3年間が重要な期間との指摘があり、私は、本県の対応は、復興の第2ステージ期の施策と呼応するだけでなく、ILC実現を見込んだ大胆な戦略的な活動が求められると考えます。
 そこで数点お伺いします。県は庁内にワーキンググループをつくり、まちづくり、医療と教育、産業振興と検討を進めてきたとされていますが、その中身については不明であります。これからどのように進めていこうとするのかお示し願います。
 さきにILCの広報活動を展開するLCCコミュニケーターが現地を視察されましたが、北上サイトが現実味を帯びる中、これからもこのようなケースはますます増加すると思料されますが、世界の研究者へのアピールとともに、広報活動については本県の魅力の発信とともに強化が必要と考えますが、対応策をお示し願います。
 日本初の国際プロジェクトでもあることから、政府とこれまで以上の連携は不可欠でありますが、本県として何が準備できるのか、詳細なグランドデザインの策定と効果的な前広な発信が必要と考えます。
 加えて、産業移転や産業集積の工業系や情報系の側面だけでなく、既存産業である農林業の底上げも同時に考察することは絶対的条件と私は思料します。また、ILCを主軸にしたアクセス道路等の社会資本整備は震災復興とも密接に絡んだ重要な課題と考えますが、グランドデザインの策定の基本的な考え方をお示しいただき、県の具体的な対応についてお伺いいたします。
 放射線対策についてお伺いします。
 東京電力福島第一原発事故から間もなく3年。放射性物質問題はいまだに生活や農林業の各分野に暗い影を落としています。一関市は放射性物質による汚染問題への対応を最優先施策の一つに掲げ、率先した取り組みをしています。一関市、平泉町の両市町で計4、925トンの牧草が利用自粛となっております。
 国の基準の厳格化で利用自粛になった牧草の処理については、減量化も進めていますが、現在は早期焼却に、住民の理解を重視し、解決を急いでいます。8、000ベクレル以下の汚染廃棄物について、県は、一般ごみと混焼し、焼却灰を8、000ベクレルに抑え、既存の最終処分場を活用し、埋め立てる方針でありますが、新たに降りかかる市民の負担を軽減するには、市の努力だけでは追いつかない状況であります。
 一方、いまだに国が処理基準を示していない市道の道路側溝に堆積している汚染土砂の除去については、一関市が年度内にも除去する方針としておりますが、一定期間耐え得る構造の一時保管設備が必要となっております。風評被害の対策や農家の負担軽減、市民生活の安心のための県の支援策を示していただきたいと存じます。
 関連して、宮城県内で発生した指定廃棄物の最終処分場建設について伺います。
 環境省は候補地の選定を早期に決定したいとの考えを示し、具体的に3市町を候補地として提示しました。当該自治体には地質等の詳細調査への協力依頼の段階でありますが、決定したと同時に急速に展開する可能性があります。県では、情報提供のルートを事前に確保することは重要と考えますが、宮城県との連携をどのように検討しているのかお示し願います。
 平泉世界遺産条例制定後の取り組みについてお伺いします。
 今議会で提案されている条例には、これまで多くの方々の御努力が傾注されたことに敬意を表します。ILCが実現可能となっているこの時点で、平泉の普遍的な価値をこれからも広く内外に理解していただく努力を継続していかなければなりません。
 県は、条例制定の目的に対して具体的にどのような事業を展開されるのか、あわせて、追加資産登録の状況と課題についてお知らせ願います。
 最後に、達増知事の県政運営に関して伺います。
 達増知事の2期目の任期もあと1年6カ月となりました。達増知事が希望王国マニフェストで示された、みずからの任期は2期8年という有権者との約束であること。県民計画の後期アクションプランの策定にもかかわる時期であること。以上のことを踏まえ、通算6年6カ月に及ぶ達増県政の成果、検証をする意味も含めて知事に質問いたします。
 何より東日本大震災からの復興が県政の最優先課題ですが、これまでの本日の質問の中で指摘をしたように、国に対して財源の確保や立法措置の申し入れ、JR東日本との協議、並べるだけでもタフな対外交渉をクリアしていかなければなりません。それも短期に、失敗の許されない交渉であります。県政課題を解決するには課題が山積しております。
 最初に、副知事の任命についてお伺いします。
 私は、過去に副知事2人体制について知事に質問したところ、平成22年9月からの副知事2人体制については、県政を取り巻くさまざまな課題に的確に対応するため、知事のリーダーシップのもと、副知事が支え、ともに連携を図りながらトップマネジメントを一層強化する必要があると判断し、導入した。さらに、震災からの復旧、復興を着実に推進するためには、副知事2人体制の継続がますます重要と考えているとの答弁がありました。半年以上も空白になっていることは、知事の答弁ともつじつまが合いません。12月議会で知事が答弁した適材適所の考え方で済む問題ではありません。知事、あなたの政治的指導にもかかわる問題です。過去の答弁と事実背反していることの論理的な説明を求めるとともに、一日も早い復興のために、知事が必要とされる2人目の副知事はいつ任命するのか明確に示していただきたい。
 次に、議会の決算認定と、不認定とされた後の行政施策の推進について伺います。
 達増県政6年のうち4回不認定の判断を議会がしたことは、他の地方議会でも例がなく、全盛期のイチローを超える高打率であります。不認定の行政側に対する法的拘束力がないのをいいことに、知事は自分に都合の悪いことには触れないという発信態度に終始している、私はそのように感じておりますが、議会の不認定に対する知事の積極的な反応はありません。先ほどの答弁の中で計数のみを強調されておりましたが、地方議会に与えられた使命は、県行政に対する政策の方向性も十分に含まれていると私は考えております。二元代表制のもとで、議会の権能を岩手県議会は大いに発揮した成果と私は思っておりますが、これまでの不認定の判断の重みを知事はどのように受けとめ、次年度の行政の執行体制と施策推進に生かしたのかお答え願います。
 達増知事は前回の選挙で、今や標準装備とされているみずからのマニフェストをつくりませんでした。私は、マニフェストをつくらなかったことが、現在の政策の統一性、系統化を妨げている最大の要因と分析します。時として政策選択のたがが緩んでいるのではないかということも散見されます。知事の肝いりで行った施策が、漫画などのサブカルチャーを全面に押し出したものが強調されるほど、復興最優先の中、肌寒い思いをする県民も、私を初め少なからずおります。最近はあまちゃん評論家としての知事の社会的存在も増してきているとの本会議での答弁は、一日も早い復興を願う被災地県民の期待に真に応えるリーダーシップを発揮できるのかと私の疑問の念は深まる一方であります。
 昨年ごろから、3期目の出馬に対して大所高所からの判断をするとの答弁でありますが、大所高所とは、どの時点、どういう判断をする意味なのか教えていただきたい。
 元鳥取県知事の片山善博氏が、1期目でできないものが2期目でできるわけがない、ましてや3期目も同じことが言えると申されました。振り返ってみると、知事が最初の選挙で提示した四つの危機の克服、県民所得、雇用環境、人口転出、地域医療について抜本的に解決しているものは一つもないと思いますが、いかがでしょうか。仮に3期目の出馬を検討されているのなら、1期目で示したマニフェスト破りとなり、県民有権者に対して説明責任を負うと思いますが、御所見を賜ります。
 最後にお聞きしますが、現時点で3期目の立候補を予定されているのでしょうか、お尋ねいたします。
 残された任期1年6カ月余り、私たちも同じ任期であります。これまで東日本大震災を経て、何度も申してきたとおり、この非常時にミッションに基づく組織運営がなされているのか、効果的な予算の執行がなされているのか、いわて県民クラブはあらゆる角度から県行政の監視を強化し、あわせて建設的な施策の提案に努める決意をここで改めて申し上げます。
 以上で質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 飯澤匡議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、沿岸部の生産年齢人口の流出対策についてでありますが、生産年齢人口の流出は、活力ある地域を持続していく上で非常に重要な課題であります。沿岸部は人口の社会減が続いておりますが、平成25年9月までの1年間の社会減は過去10年間においては最少となっており、生産年齢人口の社会減の動向も同様と考えております。
 県といたしましては、こうした社会減の縮小傾向が本格的なものとなるように、今般策定する第2期復興実施計画に基づいて本格復興に向けた取り組みを力強く進めてまいります。また、この取り組みに加え、地域資源を発掘し磨き上げ、付加価値を高める取り組みや、若者や女性の活躍を促進する取り組みを積極的に推進することにより、豊かで活力ある三陸を創造してまいります。
 次に、国における地方財政対策の見通しについてでありますが、昨年8月に策定された中期財政計画においては、地方財政の安定的な運営の観点から、地方の一般財源の総額については、平成26年度及び平成27年度において、平成25年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされたところです。また、東日本大震災からの復興の加速などを最優先に、東日本大震災復興特別会計を活用して必要な事業を着実に実施するとされていることから、平成27年度までの集中復興期間については必要額が措置されるものと認識しております。
 次に、本県の中期財政見通しに対する取り組み状況についてでありますが、東日本大震災津波の影響が本県財政にどの程度影響を及ぼすか不明であったことから、中期財政見通しの作成、公表は見送ってきたところであります。この間、国においては、復旧、復興事業のための復興交付金や震災復興特別交付税、取り崩し型復興基金など特別の財政支援制度が創設されました。今後も、こうした財政支援が継続するとの前提に立てば、中長期的な財政をある程度見通すことが可能となってきています。
 また、第2期復興実施計画の内容や、社会保障、税の一体改革、消費税、地方消費税率の引き上げの影響等、国の地方財政対策の見通しについても一定程度把握可能となったことから、これらを参考にしながら中期財政見通しの策定作業を進めていくこととしています。
 次に、県民所得の向上等についてでありますが、報道でありました金融庁長官の発言については直接説明を受けておらず、詳細は把握していないところであります。なお、地域経済にとって地域金融機関は重要な役割を担っていますことから、国の動向等については注視してまいります。
 県民所得の向上、雇用環境の改善、人口流出の縮小は地域にとって重要な課題でありますことから、県としても、いわて県民計画第2期アクションプランの政策推進目標にこれらを掲げ、鋭意取り組んでいるところであり、今後とも産業の振興を重点的に進め、県内経済を活性化させ、雇用の場を確保し、人口の流出を防ぐ取り組みをさらに進めてまいります。
 次に、被災地復興のための人材確保についてでありますが、復旧、復興工事の増加に伴い入札不調が内陸部にも拡大してきており、労働者不足や人件費の上昇等の影響が大きくなってきています。
 被災地における労働者の確保対策としては、建設部門については、復興JV制度の活用や宿泊費用の実費精算、労働者宿舎建設費用の計上などに取り組んできています。また、今月から設計労務単価の対前年比8.5%引き上げや、現場の作業効率の低下を考慮した間接工事費の割り増しなど、新たな対策にも取り組んでおります。
 物流部門については、岩手県トラック協会が行う労務対策事業等への補助により、運輸事業者が行う運転者の不足解消に向けた取り組みを支援しているところです。今後とも、関係機関と連携を図りながら必要な対策を講じてまいります。
 次に、三陸創造プロジェクトについてでありますが、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指すことを目的としたこのプロジェクトの中で、国際研究交流拠点形成プロジェクトにおいては、ILCを核とした国際学術研究都市の形成や海洋再生可能エネルギー実証フィールドの整備等、研究機関の集積等の施策を、政策地域部内に新たに設置する科学ILC推進室が総合的に推進していくこととしております。このプロジェクトの推進に当たっては、ILCを中心としてさまざまな方々の英知を結集するとともに、個性豊かで競争力のある産業の構築を目指すさんりく産業振興プロジェクトとの連携も図りながら、再生可能エネルギーを初めとしたさまざまな分野への波及効果を生み出すように取り組んでまいります。
 次に、復興財源の確保についてでありますが、国においては、昨年1月、平成27年度までの集中復興期間の財源を見直し、25兆円程度を確保するとしたところでありますが、平成28年度以降の復興財源フレームを明らかにしておりません。また、復興まちづくりの主要な財源である復興交付金は対象事業が限られ、復興計画に位置づけた事業や、多様化する被災地のニーズに十分に対応できない状況となっております。今後、第2期復興実施計画に基づいて本格復興を推進する上で被災地で必要とされる復興予算の確実な措置とともに、被災地が創意工夫できる自由度の高い財源措置がさらに重要となってきます。
 このため、集中復興期間後の復興財源スキームについて早期に示すよう国に求めるとともに、復興が終了するまでの間の確実な予算措置、産業振興など被災地の実情に応じ活用できる自由度の高い財源の確保、地方負担分に対する財源措置の確保など、復興財源が確保されるよう、国、市町村を含めた復興に要する費用の全体を明らかにした上で、被災各県等と連携し、引き続き強く要望してまいります。
 次に、事業用地の円滑かつ迅速な確保についてでありますが、現在は、昨年11月に行った国への要望の際に課題として示された憲法上の懸念についての補足説明を行うとともに、具体の用地取得困難事例を示しながら協議を進めております。さらに、学識者から特例制度に関しての意見を聴取するとともに専門的見地から支援していただくよう要請しています。今後は、他の都道府県に対しても、知事会などを通じて、大規模地震、津波災害への備えとして全国的な共通課題であるとの理解を広めるなどの取り組みを重ねながら、国に対して特例制度の創設を強く働きかけていくこととしております。また、国会への働きかけについては、これまでも各政党に対して要望、説明を行ったほか、県選出国会議員に対しては情報共有を密にし、さまざまな働きかけに御協力をいただいているところであります。
 なお、県が提案する特例制度についての理解を広めるため、国の復興推進委員会や北海道東北地方知事会議において必要性を強く訴え、また、瓦れきの処理の御礼や県外フォーラムで訪問した際に関係自治体の長に対し説明するなど、あらゆる機会を捉えて支援を要請してきたところであります。今後とも、特例制度実現に向けてこのような取り組みを展開してまいります。
 次に、JR山田線に関するJR東日本との協議につてでありますが、県及び沿岸市町は、これまで、山田線復興調整会議やJR東日本との協議の場などにおいて、JR東日本が地域の公共交通を担う鉄道事業者としての責任を果たし、早期に鉄道復旧するよう強く求めてきたところであります。
 JR東日本は、JR山田線の復旧について、これまで、津波からの安全性の確保、まちづくりとの整合性、復旧費用の負担が課題との考えを示していましたことから、県としては、沿線市町と連携しながら課題の解決を図ってまいりました。
 また、JR東日本から要請のあった地元での利用促進についても、山田線利用促進検討会議を立ち上げて、間もなく利用促進策が取りまとまる見込みとなっておりまして、今後も鉄道の早期復旧を目指して、沿線市町とも連携しながら、しっかりと取り組んでまいります。
 そして、今後の交渉についてでありますが、これまで、JR東日本には、復旧とともにその後の運行を求めてきたものであり、その考えに変わりはありません。
 一方、JR山田線の三陸鉄道による運営の提案につきましては、その場合にJR東日本が対応すべきと考えられる事項を、沿線市町、三陸鉄道とともにまとめ、先般、JR東日本に提示したところであり、今後とも、沿線市町のほか南北リアス線関係市町村や三陸鉄道とも十分な検討、協議を重ねながら、関係市町村の負担増につながらないように対応したいと考えております。
 また、JR東日本との交渉については、県としては、これまで、鉄道の早期復旧に向け、沿線市町と協力しながら、JR東日本から提案された津波からの安全性の確保や利用促進策の検討などといった課題の解決に最大限努力をしてきたところでありまして、今回の三陸鉄道による運営の提案については、先日開催された山田線沿線首長会議において、沿線首長は検討を協議する意向を示しており、県としては、これを尊重して、今後とも沿線市町村及び三陸鉄道と協議をして対応してまいります。
 次に、JR大船渡線の復旧については、JR大船渡線はBRT仮復旧により当面の交通が確保されていますが、沿線各市は鉄道復旧を前提としたまちづくりを進めていますことから、鉄道の早期復旧が必要と考えております。
 これまで、県としては、沿線各市と連携しながら大船渡線復旧に向けた協議を進め、課題の解決を図ってきましたが、JR東日本は、昨年9月、津波からの安全の確保のために、現行ルートとともに山側に大きく路線を移設する新ルートについても検討するとの提案を突然行いました。また、先日の大船渡線復興調整会議においては、乗客の安全を守る新ルートでなければ復旧はできないとの意向と、それを前提とした概算事業費を示してきたところです。JR東日本には、現行ルートで復旧できない理由について丁寧に説明するよう求めてまいります。
 次に、ILCプロジェクトについてでありますが、ILCの受け入れ環境整備などの課題に着実に取り組む必要があることから、四つのワーキンググループを組織いたしました。これまでに、建設候補地の周辺環境、県内の病院、学校における外国人の受け入れ状況、つくば市周辺のものづくり企業の取り組み状況などの調査を行っており、本年度分の活動については年度内に取りまとめを行うこととしております。今後は、明らかになった各分野の課題について、関係市や民間団体などの検討組織と情報を共有しながら、さらに掘り下げた検討を行い、具体的な取り組みに反映させていくこととしております。
 次に、ILCの広報活動についてでありますが、さきに建設候補地周辺の視察を行った海外のILC広報担当者から、研究者らが住む場所として完璧とのコメントと、周辺情報の発信強化についてアドバイスもいただいたところです。
 県では、これまで、関係機関と連携し、海外の研究者に向け英語による動画、パンフレット、ホームページによる情報発信を行ってまいりました。また、現在、生活環境情報について、英語版、フランス語版、中国語版の動画を製作しており、インターネットで発信することとしております。来年度には、フランスにおいて、北上サイトの紹介とあわせて平泉やジオパークなどの本県の魅力について情報発信することとしておりまして、今後は、さまざまな機会を捉え、海外に向けた広報活動を展開してまいります。
 次に、ILCのグランドデザインについてでありますが、ILCの受け入れ環境整備などに県の総力を挙げて取り組む覚悟であり、地域の取り組みを明確にし、発信することが、ILCの実現を後押しすることにつながると考えております。
 現時点では、政府のILC日本誘致の方針が決定しておらず、実現の道筋や国との役割分担が明確になっておりませんが、県としては、国の検討状況やILC計画の進捗状況を注視しながら、国内外の研究者やその家族等関係者の皆様が、快適で安心して生活することができる環境整備やILCを核とした産業振興方策等について、関係機関と連携して議論を深め、より具体的なものとしてまいります。
 その中で、例えば、外国人研究者と家族をターゲットとした地域の農林水産物の利用促進と世界への発信等、農林水産業の振興につながるような方策や、新幹線駅や港湾などからの研究施設等へのアクセス道路のあり方についても検討してまいります。
 次に、放射性物質に汚染された廃棄物への県の支援についてでありますが、まず、農林業系汚染廃棄物については、市町村等の焼却処理施設において処理が進められているところであり、国に対し、財政支援を継続するよう要望しているところであります。
 さらに、放射能に関する啓発や住民説明会への職員派遣を行うなど、早期処理に向け、市町村と連携して引き続き取り組んでまいります。
 道路側溝に堆積している土砂については、奥州市において一時保管設備の整備が進められているなど新たな動きが出てきており、重点調査地域に指定された3市町における一時保管設備の整備について、今年度に引き続き、来年度も財政支援することとしております。
 また、農家の負担軽減と産地の再生については、引き続き、牧草地の除染や汚染牧草の中長期保管を可能とするペレット化、シイタケ原木の導入や簡易ハウスの整備などを進めていくこととしております。
 風評被害対策については、県産農林水産物の安全・安心の発信による消費者の信頼回復、商談会の開催等による販路の回復、拡大に取り組んでまいります。
 次に、宮城県内の指定廃棄物の最終処分場建設についてでありますが、宮城県からは、適宜情報を入手しているところであります。
 なお、指定廃棄物については、発生した県内で処理する方針が国から示されており、本県においては、発生量も少なく、既存処理施設を活用し、8、000ベクレル以下に安全に管理しながら処理を進めることとしております。
 次に、平泉世界遺産の日条例制定後の取り組みについてでありますが、県では、県民を初め、広く国内外の人々へ平泉の価値や理念を普及するために、平泉世界遺産の日となる6月29日を中心に、関係機関との連携により、シンポジウムや県民講座等を開催するとともに、国内外に向け精力的に情報発信をしてまいります。特に、これからの岩手を担う若い世代への浸透を図るため、小・中・高生を対象とした平泉授業の実施や児童生徒向けのガイドブックの活用により、平泉世界遺産の価値を子供たちに伝えていくこととしております。
 また、平泉世界遺産を核とした観光キャンペーンの展開や食文化や物産とも連動したイベントの実施等により、平泉の持つ集客力を全県に波及させてまいります。
 追加登録については、平泉の文化遺産世界遺産拡張登録検討委員会から、浄土とのかかわりを学問的に明らかにする必要があるなどの指摘がなされていますことから、一関市、奥州市、平泉町とともに、今年度から5年間、集中的に調査研究に取り組んでいるところであります。今後も、同委員会で検討を行うとともに、課題の解決に向けた研究集会を開催するなど、追加登録に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、副知事の任命についてでありますが、平成22年9月から副知事を2人として、私と副知事2人がともに連携を図りながら、県政を取り巻くさまざまな課題に的確に対応してきたところです。
 また、上野副知事退任後においては、千葉副知事を初め、関係部局長など職員全体が一丸となって、東日本大震災津波からの復旧、復興を初めとした県政課題に当たってきており、着実な推進が図られているものと認識しております。
 副知事を含めた幹部職員の選任に当たっては、これまでも適材適所の考え方で適時適切に行ってきたところであり、今後においても、そうした考え方により対処していきたいと考えております。
 次に、議会の決算認定と不認定とされた後の施策の推進についてでありますが、決算の認定につきましては、執行された予算について、その計数の正確さや適法性を認めていただくようお願いするものであり、それが再三にわたって不認定にされたことは、残念と受けとめているところです。一方、決算不認定の背景には、県行政に対するさまざまな御批判、御意見があってのことと理解しております。
 次年度においては、決算不認定の際に県議会からいただいた御指摘や御意見を踏まえ、予算の執行に当たっては、民間委託する際の委託先の適格性の審査、関係法令や補助事業制度等に基づく適正な契約事務、さらには、復興事業の計画的な進捗管理などに一層留意しながら、県議会や県民の皆様の信頼に応えられる施策を推進してまいります。
 次に、知事選への対応についてでありますが、大所高所からの判断というのは、できるだけ多くの要素に配慮して総合的に判断するということであります。
 そして、1期目で示したマニフェストについてでありますが、希望王国マニフェストに基づき策定した、いわて希望創造プランにおける四つの危機への対応につきましては、これらに関連する指標上は改善が見られるところであります。
 しかしながら、県民所得、人口減少、地域医療については、現在も重要な課題であり、雇用環境についても、復興の過程の中で新たな課題が生じておりますことから、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えております。
 また、次期知事選挙への対応については、現在は、与えられた任期における知事としての仕事に専心しているところであります。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時41分 休 憩
出席議員(44名)
1  番    高 田 一 郎 君
2  番    清 水 恭 一 君
3  番    名須川   晋 君
5  番    神 崎 浩 之 君
6  番    城 内 愛 彦 君
7  番    福 井 せいじ 君
8  番    佐々木 茂 光 君
9  番    佐々木   努 君
10  番    佐々木 朋 和 君
11  番    軽 石 義 則 君
13  番    吉 田 敬 子 君
14  番    後 藤   完 君
15  番    岩 渕   誠 君
16  番    郷右近   浩 君
17  番    高 橋 孝 眞 君
18  番    岩 崎 友 一 君
20  番    小 野   共 君
21  番    高 橋   元 君
22  番    木 村 幸 弘 君
23  番    久 保 孝 喜 君
24  番    小 西 和 子 君
26  番    喜 多 正 敏 君
27  番    工 藤 大 輔 君
28  番    嵯 峨 壱 朗 君
29  番    工 藤 勝 子 君
30  番    工 藤 勝 博 君
31  番    高 橋 昌 造 君
32  番    五日市   王 君
33  番    及 川 あつし 君
34  番    小田島 峰 雄 君
35  番    大 宮 惇 幸 君
36  番    飯 澤   匡 君
37  番    斉 藤   信 君
38  番    佐々木 順 一 君
39  番    及 川 幸 子 君
40  番    伊 藤 勢 至 君
41  番    樋 下 正 信 君
42  番    柳 村 岩 見 君
43  番    千 葉   伝 君
44  番    佐々木 大 和 君
45  番    佐々木   博 君
46  番    渡 辺 幸 貫 君
47  番    田 村   誠 君
48  番    小野寺   好 君
欠席議員(1名)
19  番    高 橋 但 馬 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時3分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。岩渕誠君。
   〔15番岩渕誠君登壇〕(拍手)

前へ 次へ