平成26年2月定例会 第14回岩手県議会定例会会議録

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〇29番(工藤勝子君) 自由民主クラブの工藤勝子でございます。
 代表質問に先立ちまして、去る2月15日からの記録的な大雪によりお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害に遭われました方々に心からお見舞いを申し上げます。
 本定例会において代表質問する機会を与えられましたことに感謝申し上げ、質問をしてまいります。
 まず最初に、国の予算編成と経済対策に対する知事の評価についてお伺いします。
 政権が交代してから1年2カ月、国の平成26年度予算は安倍内閣による本格的な予算編成であり、東日本大震災津波からの復興の加速化、日本経済の再生、活力ある農山漁村づくり、社会保障制度の構築、災害に強いまちづくり等、安全・安心な暮らしを基本とした内容となっております。
 復興については、集中復興期間に25兆円の財源を確保するとされておりますが、平成26年度東日本大震災復興特別会計予算では、被災地の復旧、復興の加速化を推進するため、補正と合わせて約4兆2、000億円が確保されております。三陸沿岸地域の一日も早い復興を図るためのリーディングプロジェクトとして位置づけられている三陸沿岸道路等の復興道路、復興支援道路等の整備には当初予算で1、706億円、前年比123%の予算が計上されています。
 国会における質疑において震災に係る質問が少ないと言われておりますが、震災を風化させることなく、予算を確保することで復興事業を1年でも早く終了し、被災地に暖かい春を届けたいと思いますが、知事の国の予算編成に対する評価と、国からの予算確保を含め、本格復興にかける知事の決意をお伺いいたします。
 次に、アベノミクス経済政策への評価と県内経済の見通し等についてお伺いします。
 安倍内閣によるいわゆるアベノミクスは、長く続いた日本経済の閉塞的なムードを変えたとも言われています。しかし、地方における景気回復の実感は、中小企業を初めとする小規模事業者などにはまだ波及効果が感じられず、地域経済まで浸透していない現実があります。特にも、未曽有の大震災に襲われた被災3県は、売り上げや取引先の減少、人口減少、労働力不足など課題が山積している状況が続いております。
 景気回復の実感を地方までとする安倍政権の経済政策について、知事はどう評価されているのかもお伺いいたします。また、今後の県内経済の見通しと課題をどのように捉えており、それらの課題解決に向けて県はどのような取り組みを行っていくのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、知事の政治姿勢についてお伺いします。
 達増県政になって7年目、議会のたびに知事の政治姿勢が問われてきております。例えば特定政党に偏り過ぎているのではとか、県民の利益を第一に考えての行動をなどの指摘に対し、知事は一貫して民意に沿った政治主張、政治活動は自由である旨発言され、行動されてきたように見受けられます。
 しかしながら、1月の知事の定例記者会見では、記者からの選挙に対する質問に対して、政治的なことについては考えないようにしている、選挙は全く考えない方向性を去年からとっていると答えられております。政治的スタンスはなぜ変わったのでしょうか、お伺いします。知事として復興第一に考えていることは理解しますが、政治的にも復興を進めなければと思います。改めて知事の真意をお伺いいたします。
 また、新春インタビューで知事は、政治状況は四分五裂状態で、政治の力で一つにまとめることはできないとも発言されております。復興にしても、国際リニアコライダー誘致にしても、完全国体の開催にしても、県民が心一つにして、それぞれの立場でやるべきことをしっかりやらなければと考えますが、知事みずからがまとめられないとする意図はどこにあるのかお伺いします。
 さて、知事就任以来、6回の決算特別委員会のうち4回が不認定になるという全国的にも例のないような事態が続いております。平成19年度、平成20年度、そして平成23年度、平成24年度と立て続けに不認定となっており、そのたびに知事は、重く受けとめるとか、強く責任を感ずるなどとコメントされていたと記憶しております。しかし、それが繰り返されるということは、反省がないのと同じではないでしょうか。決算の不認定それ自体に法的効果は生じないとされておりますが、県民の税金の使い方に問題があったとする議会の判断は極めて重いものと考えます。
 改めて伺いますが、決算が認定されるよりも不認定のほうが多いという状況を知事はどのように捉えていらっしゃるのか、所感をお伺いします。
 次に、平成26年度の県の当初予算についてお伺いいたします。
 平成26年度の県の一般会計当初予算は本格復興推進予算と位置づけ、震災分3、813億円余、通常分6、354億円余、総額で1兆167億円余と3年連続で1兆円を超える規模となっております。
 予算の編成に当たっては、希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成するため、ゼロベースで事業の必要性と優先順位を見きわめ、重点化を図るとの方針が示されております。これまで進めてきたいわて県民計画第2期アクションプランも平成26年度が最終年度となりますが、これまでのところ、計画に、実現していきたい岩手の未来として掲げられている、いきいきと働いています、安心して暮らしています、楽しく学んでいますを実感されている方は、残念ながら少ないのではないでしょうか。
 知事は、急速なグローバル化、人口減少、少子高齢化の一層の進行、そして、それらに伴う厳しい雇用状況、地域コミュニティの機能低下、そして地域における医師不足などを岩手の危機と捉え、県民計画を推進されてこられたと思いますが、これまでの希望郷いわてを創造していく取り組みをどう総括し、平成26年度につなげようとしているのかお伺いします。あわせて、復興以外の希望郷いわてを推進する事業で重点化する事業と、その方針についてお伺いいたします。
 次に、実質公債費比率の悪化及び財源対策関係基金の残高の大幅減少に伴う財源確保と課題についてお伺いいたします。
 本県の財政状況は、平成24年度決算における実質公債費比率が18.6%となり、起債に当たって国の許可が必要となる18%を超える状況にまで悪化しております。しかも、この比率は平成28年度まで上昇すると予想されております。その原因は、次世代のため、社会インフラ、教育環境、公共施設の整備等を進めてきた結果でもあると承知しております。県では、実質公債費比率を平成32年度までに18%未満にするとしておりますが、そのための対策についてお伺いします。
 さらに、震災や洪水被害などで財源対策関係基金は大幅に減少し、厳しい状況とも伺っておりますが、今後の歳入確保に向けた取り組みについてもお示しください。
 次に、東日本大震災からの復興についてお伺いします。
 初めに、復興事業用地の確保についてですが、復興が本格化するにつれ、災害公営住宅の建設やまちづくりのための用地の確保が大きな課題となっております。平成26年1月末現在の県の調査結果では、県事業において取得予定件数の約32%に何らかの法的課題があり、特に相続が未処理で遺産分割協議に時間を要すると見込まれる件数が638件、共有地が220件あることから、このままでは工事に支障が生ずることが懸念されております。
 国では、これまで用地取得加速化プログラムを策定するとともに、司法書士を復興庁で採用し、被災市町村に駐在させる取り組みを進めようとしているほか、最近では、根本復興大臣が来県された際に、用地取得の知識や経験を持つ国の職員30人を用地加速化支援隊として自治体に派遣し、用地取得手続を支援する旨、表明されております。これら一連の国の加速化措置に対する評価と課題についてお伺いいたします。
 また、国の用地取得加速化プログラムでは、土地収用手続の迅速化を図るため、収用委員会による裁決手続の迅速化を推進しているところです。収用委員会は、土地収用法において、知事の所轄のもとに独立して職権を行うと規定されておりますが、土地収用の迅速化に向けて、県収用委員会との連携は図られているのかについてもお伺いいたします。
 一方、県では、岩手弁護士会と共同で、復興事業に限定した用地取得のための特例制度を国に要望しておりますが、国は、憲法で保障された財産権を制約しかねないことを理由に、依然として消極的な姿勢を崩しておりません。非常時には非常時に対応するための法制度の整備が必要であり、被災地からの声であるこの特例制度を早期に実現させるため、ぜひとも強く働きかけていく必要があると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、応急仮設住宅の目的外使用に対する県の方針について伺います。
 応急仮設住宅の空き室は、平成26年1月末現在で13市町村において2、206戸となっており、そのうち880戸が各自治体の応援職員やボランティアの宿舎として活用され、1、326戸が空き室となっております。地元に戻りたいUターン者は、被災者でないという理由で入居することができない状況となっております。しかしながら、今後増加すると見込まれる空き室を復興のため有効活用するという発想があってしかるべきと考えますが、県の対応についてお伺いいたします。
 次に、JR山田線の復旧についてお伺いします。
 JR山田線宮古―釜石間55.4キロメートルについて、JR東日本は、鉄道施設を復旧した後、沿岸4市町に無償譲渡し、10年程度の赤字補填や設備改良の支援も検討する旨、地元自治体に対し提案しましたが、JR東日本の方針は、公共機関としての責任が欠如しているとの声も聞こえてくるところです。
 一方、復興まちづくりを進めていくためには鉄路や駅舎の復活が極めて重要な要素であり、双方平行線のままでは、さらに復興がおくれることも懸念されます。現にこれまで3年の年月を要しており、県民の目からすれば、なぜこのように時間がかかるのか理解に苦しむところです。
 JR山田線が復旧され、久慈市から大船渡市まで鉄路として一体的運用が図られることは、通勤、通学、観光などさまざまな面で希望につながるとも考えられます。また、利用促進に向けては、児童生徒のアイデアの募集や、若者、女性の発想を生かすなど、まさに県民総参加で知恵を絞る必要があると思われます。
 そこでお伺いしますが、知事は、今回のJR東日本からの提案をどのように評価されているのか、また、解決に向けて今後どのように取り組んでいくのでしょうか。私は、県がリーダーシップを発揮し、市町村と連携を図りながら対応していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 次に、被災地における看護師、介護士の確保、育成と雇用条件整備について伺います。
 被災地である県北・沿岸地域はもともと恒常的に看護職員が不足しておりましたが、大震災津波によって多くの人材が失われ、岩手県看護連盟が昨年10月に実施した調査によりますと、沿岸被災地において看護師が60人程度、介護士が80人程度不足しているとしております。このままでは地域医療や介護現場の崩壊を招きかねない危機的な状況となっております。特に看護師は全国的にも不足している状況が伝えられており、被災地から条件のよい都会へ人材が流出することが懸念されます。
 県は、平成26年度、沿岸部の介護人材の育成と確保に事業費約3、000万円を盛り込み、介護職員初任者研修の受講料の補助や住環境支援等を予定しておりますが、県出身者の方に地元で働いていただけるような雇用のための環境整備をもっと積極的に進め、人材確保に努めるべきではないでしょうか。知事は何度も被災地に足を運ばれていると思いますが、被災地における現場の状況をどう把握され、対策をとろうとしているのかお伺いいたします。
 また、沿岸地域では、今後、県立高田病院、大槌病院、山田病院が整備されるほか、介護施設の復旧、新設も考えられ、さらに人材が不足することが予想されますが、県内において看護師を目指す学生の確保、支援策についてもお伺いいたします。
 次に、農業振興についてお伺いします。
 国においては、新たな農業政策として、第1に、米の直接支払交付金を平成26年度から半額、平成30年度には廃止し、第2に、農業、農村の有する多面的機能の維持、発揮を図るため、地域内の農業者が共同で取り組む地域活動を支援する日本型直接支払制度を創設し、第3に、食料自給率、自給力の向上を図るため、飼料用米、麦、大豆など戦略作物の本作化を進め、米の生産調整を廃止し、水田のフル活用を図ること等を内容とする農林水産業・地域の活力創造プランを決定し、この20年間で2倍にふえた耕作放棄地の減少を図ろうとしております。
 そこで伺いますが、知事は、この農政の大転換をどのように捉えているのでしょうか。また、国の農政の大転換を受けて、県は農林水産業に関する新たな基本計画づくりに取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。
 岩手の農林水産業は、広大な面積と、豊かな森林と海と、多様な自然環境に恵まれている中で、もっと元気になれる要素がありながら、生かし切れていない面があるではないかとも思われます。米農家や担い手となる若者や女性農業者が、夢や希望を描きながら、農政大転換にもついていける希望郷いわての農業面についての創造的ビジョンをお示しください。
 次に、国連が定めた国際家族農業年についてお伺いします。
 農林水産業、農山漁村は、その多くを占める家族農業が農地、環境を守り、安全で安心できる食料を生産し、地域経済を支え、農村文化を継承してきております。しかし、中山間地域における農山漁村は、高齢化や担い手の不足、基盤整備のおくれから厳しさを増し、耕作放棄地も多くなっております。
 その中で、国連は2014年を国際家族農業年と定め、飢餓の根絶や食料不足に対する家族小規模農家の可能性を国際規模で認識し、家族農業を支援する効率的な手法を見出すとしております。
 県においても、平成27年度から米の価格下落時の補填対策の対象外となる個別経営体が約3万8、000戸と見込まれておりますが、農業の成長戦略の中において家族農業は議論も薄く、役割と方向性が見えていないと思われます。
 そこで伺いますが、知事は国際家族農業年をどのように捉え、評価されているのでしょうか。また、条件不利地において持続可能な農業と農村文化を守り続けられるような支援を県の特徴ある施策として考えていくべきと思いますが、所感をお伺いします。
 次に、農林水産業・地域の活力創造プランに示されている農地中間管理機構の設置についてお伺いします。
 地域農業における担い手育成と農地利用を推進するための地域農業マスタープランの実践においては、信頼できる農地の中間的受け皿の設置が求められております。その役割を担うこととされている農地中間管理機構は都道府県ごとに一つ設置するとされており、農地利用の調整等についての業務の一部を市町村に業務委託できるとされておりますが、その機能発揮に向けては専門的な人材の確保が必要不可欠であります。この専門的人材の確保を含めた農地中間管理機構の設置に関する県の役割と責任をどのように考えているのか、また、農地中間管理機構が設置されることにより、今後の利用農地の集積、集約化が本格的に進展するのか、御所見を伺います。
 次に、新たな県ブランドとなる米品種の開発について伺います。
 秋田県においては、主力米品種のあきたこまちの後継開発をすべく、佐竹知事が開発を指示し、今後の消費者嗜好に対応するため外部からの専門家を招き、五、六年で成果を出そうとしております。
 本県では、秋田県のあきたこまち、宮城県のひとめぼれが主力となっておりますが、本県の水稲品種開発における研究費用や専門家などの活用の現状を知事はどう捉えているのかお伺いします。また、知事の新たな県ブランドとなる開発に向けた決意についてもお伺いします。
 次に、国体、全国障害者スポーツ大会の開催についてお伺いします。
 昨年2月の県議会定例会において、平成28年国民体育大会冬季大会を招致し、希望郷いわて国体を完全国体として開催することを求める決議が全会一致で可決され、今年1月15日に開催された日本体育協会の理事会において、平成28年の冬季大会の本県における開催が正式決定されました。いわゆる完全国体として開催されるのは、平成7年のふくしま国体以来21年ぶりのことであり、県民意識の高揚とともに、復興に取り組む本県の姿を全国の方々にアピールする絶好の機会であると期待しているところです。
 一方、冬季大会の開催時期は本大会前の1月から2月にかけてであり、本大会の準備に加え、開催まで2年間を切っている中で冬季大会の開催準備を進める必要があり、準備が一層大変な状況になるものと思われますが、完全国体として実施される希望郷いわて国体の現在の準備の状況はどうなっているのでしょうかお伺いします。
 また、国体に係る経費は本大会だけでも100億円程度が見込まれると聞いておりますが、冬季大会も開催され、さらに全国障害者スポーツ大会の開催経費を加えると相当な額になると思われます。県財政は、先ほど申し上げたとおり、実質公債費比率が高い水準で推移することが見込まれているほか、財源対策関係基金も厳しい状況にありますが、復興のシンボルとして開催されるこれらの大会をぜひとも成功させなければなりません。
 そこでお伺いしますが、完全国体として開催される国体と、全国障害者スポーツ大会の開催に要する経費に対する財源の確保の見通しはいかがでしょうか。あわせて、民間からの金銭的、人的な支援の現状及び今後の見通しについてもあわせてお伺いいたします。
 最後に、知事は、完全国体となる希望郷いわて国体を復興の象徴として全国にアピールすることを含め、熱い思いのもとに、みずからの手で開催したいとは思っていないでしょうか、お伺いいたします。
 スポーツは、子供から大人まで、そして障がいのある人もない人も、全ての人に夢と感動を与え、元気や勇気をいただき、笑顔になります。冬季ソチオリンピックが終わりました。2年後の完全国体には、まだまだ多くの方々が応急仮設住宅から出られない状況も考えられますが、復興とともに国体で県選手が大活躍され、沿岸地域が笑顔でいっぱいになりますよう心から願っているところであります。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 工藤勝子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、国の予算に対する評価についてでありますが、東日本大震災津波からの復興に関し、これまで国に対して、国費による充実した支援と、これまでの枠組みに捉われない強力で速やかな復旧、復興対策の実施を強く訴えてきたところであり、今般、復興の事業費として、当初予算と補正予算合わせて4兆2、000億円が措置されたことについては、平成26年度から本格復興に向けた取り組みを推進するに当たり一定の評価ができるものと考えております。
 県としては、一日も早くもとの生活に戻ることを願う被災者の皆様の思いに応えるため、今般策定する第2期復興実施計画に掲げる参画、つながり、持続性の三つの視点を重視しつつ、国の財源も最大限活用して各事業を着実に実施し、本格復興の段階を迎えた復興の取り組みを県民一丸となって強力に推し進めてまいります。
 次に、国の経済政策への評価と県内経済の見通しについてでありますが、我が国の経済情勢は、企業収益などの改善が進む一方、消費税を初めとする負担増による国民生活への影響が懸念されているところであります。国においては、強い地方経済に支えられた強い日本経済の実現を目指し、内需拡大型の経済構造改革を進めていただきたいと考えております。
 本県経済の状況については、昨年12月の有効求人倍率が1.11倍となるなど、総じて着実な回復が続いているものと認識しておりますが、復興をなし遂げた将来においても、本県経済が力強く成長していくためには、ILCや海洋再生可能エネルギー実証フィールドの整備などによる国際的研究拠点の構築や、産業人材の育成など中長期の取り組みを進めていく必要があります。同時に、自動車や半導体関連産業の集積促進と医療機器関連産業の創出などものづくり産業の振興や、農林水産業の6次産業化など地域資源を発掘して磨き上げ、付加価値を高めていく取り組みなども今後一層推進していく必要があると考えております。
 こうした未来を見据えた取り組みと現在進めている産業振興を並行して進め、県内経済の将来にわたる安定的な成長を目指していきたいと考えております。
 次に、政治姿勢について、定例記者会見や新春インタビューでの発言の真意等のお尋ねでありますが、岩手県では、全ての国会議員が民主党所属で、岩手県議会においても民主党会派の議員が多数を占めていた状況があり、民主党が国政の与党だったこともあって、政治的に岩手が一つにまとまると呼べるような時期があったわけでありますが、今はそういう状況にはないという意味で述べたものであります。
 行政の長としての知事が行政の執行に当たり、不偏不党、公正中立であることは今までもそうであり、現在も変わりませんが、行政以外の活動については、現在のような政治状況のもとでは、いかなる政党にも所属せず、非政治的な形で復興やその先の発展に向けて岩手が一つにまとまりやすいようにと考え、行動しているところであります。
 次に、決算不認定に対する所感についてでありますが、決算の認定につきましては、執行された予算について、その計数の正確さや適法性を認めていただくようお願いするものであり、それが再三にわたって不認定にされたことは、残念と受けとめているところであります。
 一方、決算不認定の背景には、県行政に対するさまざまな御批判、御意見があってのことと理解しており、そういった御批判、御意見をしっかりと受けとめて、よりよい県行政を目指していきたいと考えております。
 次に、希望郷いわての総括についてでありますが、いわて県民計画第2期アクションプランにおいては、人口の社会減を減らすこと、県民所得水準の国との乖離を縮小すること、求人不足数を改善することなどを政策推進目標に掲げているところでありますが、これらの指標は、おおむね良好に推移しているところであり、希望郷いわての実現に向けた取り組みを着実に進めてきているところであります。
 平成26年度予算については、これらの取り組みに加え、若者や女性の活躍を支援する取り組み、地域資源を活用した地域づくり、ILC実現に向けた取り組みなどを積極的に推進し、本県の持つ力を最大限発揮し、希望郷いわての実現に向けた取り組みをより確かなものにしてまいります。
 次に、実質公債費比率を18%未満にするための対策についてでありますが、県では、昨年9月に公債費負担適正化計画を定め、徹底した歳出の見直しや復旧、復興に支障の出ない範囲での総人件費の抑制のほか、歳入の確保を強力に進めていくとともに、公債費の縮減を図るための県債の発行方針について、平成25年度の発行規模程度を維持または抑制するとしたところであります。
 この計画に基づいて、平成26年度当初予算においては、事務事業の見直しにより、56の事業について休廃止や縮減を実施、県単独補助金についても37の廃止、縮減に取り組むなど徹底した歳出の見直しを図りましたほか、県債については、平成25年度の発行規模以下としており、公債費負担適正化計画で定めた期間内に着実に計画を達成できるよう取り組んだところです。
 また、歳入確保の取り組みとして、国庫支出金の有効活用や税源涵養に対する取り組みはもとより、平成26年度は、未利用資産の売却や県有施設における自動販売機設置の公募導入、さらには、広告事業の拡大、企業局の積立金の活用などに努めることとしており、引き続き、あらゆる歳入確保の強化に努めてまいります。
 次に、国の用地取得加速化プログラムについてでありますが、まず、評価については、所有者不明等の土地について、民法に基づく財産管理人選任手続や土地収用法に基づく事業認定手続の迅速化などの措置が講じられたところであり、被災市町村に対する司法書士や国の職員の派遣についても、一定の支援となり得るものと考えております。
 また、課題については、今後、多数の用地交渉が同時期に集中するとともに、相続未処理や多数共有等の難航案件が多くありますことから、国が促進する外部委託によっても、相続人間の遺産分割協議や遠隔地に居住する権利者との交渉等に相当の期間を要することは避けられず、効果は限定的であると考えております。
 次に、県収用委員会との連携についてでありますが、県では、復興事業の現状について、随時、情報提供を行うとともに、所有者不明の土地など、あらかじめ土地収用手続が見込まれる場合には、事業認定手続と並行して収用委員会事務局と事前協議を行っているところであり、昨年12月には、釜石市の片岸海岸防潮堤事業において、本県の復興事業では初となる収用裁決申請を行ったところであります。
 また、今年度、委員会事務局の職員を増員するなど体制強化を図ったほか、収用委員会においても、会議の開催回数をふやすなど裁決手続の迅速化に向けた取り組みを進めており、県としては、今後とも、委員会審理が円滑に進むよう連携してまいります。
 次に、用地取得のための特例制度の実現に向けた取り組みについてでありますが、昨年11月に国に要望を行った際には、復興を進める上で、事業用地の円滑かつ迅速な取得が重要な課題であるということについて、改めて認識をいただいたところです。
 現在、国から課題として示された憲法上の懸念への補足説明を行うとともに、具体の用地取得困難事例を示しながら協議を進めております。
 さらに、学識者から特例制度に関しての意見を聴取するとともに、専門的見地から支援していただくよう要請しているところです。
 今後は、他の都道府県に対しても、知事会などを通じて理解を広めるなどの取り組みを重ねながら、引き続き、国に対して特例制度の創設を強く働きかけてまいります。
 次に、応急仮設住宅の目的外使用に対する県の方針についてでありますが、災害公営住宅の完成などにより、今後、応急仮設住宅に空き室が生じる一方で、Uターン希望者など被災者以外の方が一時的な入居を希望するケースに対応するため、県や大槌町などから、空き室の有効活用を国に対して要望してきたところであります。
 今般、国から、応急仮設住宅の設置主体である県が、地方自治法の規定に基づき財産の目的外使用を許可することにより、被災者以外の方の一時的な入居が可能であるとの要望に対する回答があったところであります。
 県としては、応急仮設住宅本来の利用や今後の集約、撤去の妨げにならないよう、また、応急仮設住宅のコミュニティ維持に支障が生じることのないよう留意しつつ、関係市町村からの意見を聞きながら、具体的な運用方法を検討しているところであります。
 次に、JR山田線の復旧についてでありますが、三陸鉄道による運営についての提案については、沿線首長も検討、協議する意向を示していることも踏まえ、JR東日本が対応すべきと考えられる事項について、沿線市町や三陸鉄道と協議の上、取りまとめ、先般、JR東日本に提示したところであります。
 鉄道を早期に復旧させたいという思いは、県、沿線市町村とも共通しているものの、三陸鉄道による運営には、さまざまな課題があるものとも認識しております。
 このため、早期の鉄道復旧を目指しながら、関係自治体の負担増につながることのないよう、今後とも、沿線市町のみならず、南北リアス線関係市町村や三陸鉄道と十分連携を図って対応してまいります。
 次に、被災地における看護師、介護士の確保、育成と雇用条件の整備等についてでありますが、被災地における看護人材の確保は、有効求人倍率が平成25年6月に1倍を超え、その後も上昇傾向にあり、厳しさが増しております。
 このため、今年度、本県出身者を含め首都圏等の若者が、被災地の介護現場に関心を寄せ、働いていただけるよう、テレビ番組を制作放映する等の情報発信を行ってきたところであります。
 また、被災地では、依然として住居の確保が困難なことから、被災地で介護業務に従事する方への居住費等の支援に要する経費を当初予算に盛り込んだところです。
 県としては、これらの取り組みに加え、事業者団体等と連携し、職場環境の改善や資格取得等を支援し、介護人材の確保、育成に努めてまいります。
 県内において看護師を目指す学生の確保、支援策については、将来、県内の医療機関等への就業の意思を有する看護学生の修学を支援するため、看護職員修学資金の貸付枠について、平成20年度までの31名から順次拡大し110名とするとともに、平成24年度からは、被災者貸付枠を設定するなどの取り組みを進めてきたところです。
 また、沿岸唯一の看護師養成施設である県立宮古高等看護学院の入学定員を平成28年度に24名から32名に増員することとし、施設改修に要する経費を当初予算に盛り込んだところです。
 さらに、安心して働き続けることのできる職場環境づくりが重要でありますことから、岩手労働局と連携し、勤務環境改善に取り組む医療機関にアドバイザーを派遣するなどの取り組みを進めてまいります。
 次に、農政の大転換と新たな基本計画の作成についてでありますが、国の新たな農業政策で示された農地利用の集積、集約化や農業、農村の持つ多面的機能の維持、発揮は、本県がこれまで取り組んできた農業、農村の活性化の取り組みと方向性を同じくするものと考えておりますが、一方で、本県は、小規模農家も多く、生産者が地域社会を支える重要な役割も担っていることから、小規模農家も安心して仕事や暮らしができるよう取り組んでいく必要があると認識しております。
 現在、県下全域で地域農業全体の将来ビジョンを生産者が共有する地域農業マスタープランの作成を進めておりますが、このマスタープランは、米などの土地利用型作物は、担い手への農地集積等により生産の効率化を図る一方で、小規模農家も参画した園芸作物の生産拡大や6次産業化の取り組みなど、地域農業の多角的な展開を推進することを狙いとして取り組んでおります。
 国の新たな農業政策への対応につきましては、次期アクションプランに盛り込んでいくこととなりますが、さきに関係機関、団体と連携して設置しました岩手県元気な地域農業推進本部等で検討を進め、本県での対応のあり方を明らかにしながら、各地域のマスタープランの実現に向けた取り組みを支援し、若者や女性も含めた生産者、農地、技術などの地域の経営資源を最大限に活用した農業の持続的な発展を図っていきたいと考えております。
 次に、国際家族農業年への評価等についてでありますが、国際家族農業年は、国連が、家族農業が果たしている役割の重要性を広く世界に周知するため提唱しているものと承知しており、家族経営体は、農業生産や農業、農村の多面的機能の維持などに大きく貢献しているものと考えております。
 また、県内全域で作成を進めている地域農業マスタープランでは、担い手への農地集積を促進する一方で、小規模な家族経営体も参画した集落営農や園芸作物の産地づくり、地域の多彩な資源を活用した加工、販売などの取り組みも推進することとしており、今後におきましても、地域ぐるみで取り組む農業、農村の活性化の実現を図ってまいります。
 次に、農地中間管理機構の設置に関する県の役割等についてでありますが、県は、農地中間管理事業の目的である農地の有効利用や経営の効率化を進めるため、機構が農地集積機能を十分に発揮できるよう、設置等に係る指導、支援を行う役割を担うものと認識しており、県としては、事業実施に必要な人材についても、市町村等と連携しながら確保を図っていく考えです。
 また、本事業の実施により、担い手の経営規模の拡大やコストの低減などの効果が期待されますが、一方で、農地の出し手と受け手の円滑な利用調整や、基盤整備がおくれている中山間地域等での農地集積の難しさなどが懸念されており、地域内での十分な話し合いの促進や、地域事情に応じた基盤整備等に配慮しながら、取り組みを進めていく必要があると考えております。
 次に、水稲の品種開発についてでありますが、本県では、水稲の遺伝子解析技術で全国をリードする岩手生物工学研究センターが、食味などに関する遺伝子を特定し、農業研究センターが、この良食味遺伝子を持つ優良系統を選抜するなど、本県の強みを生かし品種開発に取り組んでおります。
 研究費については、県予算のほか、品種開発に係る国の研究費の導入も図り、平成25年度は1億円余、来年度も同程度を確保できる見込みとなっております。
 現在、コシヒカリを超える良食味品種を目指して開発を進めておりますが、平成26年度は、消費者や食味評価の専門家の意見も取り入れながら、品種を選抜し、その後、生産現場での適応性の評価、検討を行い、できる限り早期に生産者に提供できるよう取り組んでいく考えです。
 次に、完全国体となる希望郷いわて国体の準備状況についてでありますが、冬季大会の開催まであと2年と非常に短い期間の中での準備作業となりますので、今般、県実行委員会に冬季大会専門委員会を設置し、4月からは、国体・障がい者スポーツ大会局に冬季競技担当課長を配置して、集中的に冬季大会の競技部門の準備に取り組みます。
 また、本大会と冬季大会に共通する宿泊、輸送、警備、医療などの業務を一本化し、効率的に進め、平成26年度中には、冬季大会のおおよその実施内容を固めるとともに、本大会についても着実に準備を進めてまいります。
 施設整備についても、平成26年度から、市町村が実施する冬季大会競技の施設整備に対する補助を行い、スポーツ振興くじ助成金の活用も図りながら、早急に整備を進めることとしています。
 タイトなスケジュールではありますが、東日本大震災津波の被災地域で初めて開催される国体を完全国体として行うことによって、復興のシンボルとしての希望郷いわて国体を全国に強くアピールし、さらなる復興の力となる大会を目指し、市町村、関係機関、団体を初め、県民の皆様とともに、オール岩手で開催準備に万全を期してまいります。
 次に、国体と全国障害者スポーツ大会の開催に係る財源確保の見通しについてでありますが、その財源の多くは一般財源によることとなり、支出も開催年である平成28年に集中しますので、計画的に基金を積み立てているところです。
 また、国や日本体育協会、日本スポーツ振興センターから、運営費や施設整備に対して合わせて10億円程度の補助金等が見込まれておりますが、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けたスポーツ振興施策の拡充などの動向も見ながら、今後も、さらなる財政支援の拡充を要請し、財源の確保に努めてまいります。
 民間からの支援についてでありますが、まず、募金と企業協賛は10億円を目標に取り組んでいるところであり、今年度までの目標額2億2、000万円は、ほぼ達成できる見通しです。引き続き、確実な目標達成に向け、県外にも要請活動を広げながら取り組みを強化してまいります。
 また、現在、県実行委員会に、開催準備業務のため民間から職員2名の派遣をいただき、開催年までの支援をお願いしているところであり、今後も、民間の方々からさまざまな御支援、御協力をいただきながら準備を進めてまいります。
 次に、完全国体の開催に向けた決意についてでありますが、本県では初めてとなる完全国体と全国障害者スポーツ大会を、復興を進めていく中で県民の夢や希望となる大会とするため、現在、大会準備に専心をしております。
〇議長(千葉伝君) 傍聴者への配慮から、しばらくお待ち願います。
 次に、飯澤匡君。
   〔36番飯澤匡君登壇〕(拍手)

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