平成25年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇再生可能エネルギー調査特別委員長(高橋但馬君) 再生可能エネルギー調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成23年9月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、県内資源を活用した再生可能エネルギーの導入及び普及促進、新エネルギービジネスに関する調査において、現状、課題、対策等について関係人から参考意見を聴取し、質疑、意見交換を行うとともに、県内2回、県外1回の現地調査を実施してまいりました。
 エネルギー資源に恵まれていない我が国においては、内外の情勢変化に対応し、これまで、安定供給、経済性、環境適合性の確保のため、エネルギー政策の見直しに取り組んできたところであります。
 東日本大震災津波と、これに伴う東京電力福島原子力発電所の事故により、日本のエネルギー自給率は20%から4%へと、他の先進国と比べて著しく低くなっており、安全・安心な再生可能エネルギー活用の重要性が再認識されています。
 2009年11月の太陽光の余剰電力買取制度の開始や昨年7月の固定価格買取制度の施行により、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーは着実に導入が拡大しています。
 本県においても、地球温暖化対策推進のため、再生可能エネルギーの割合を高めることに取り組んでいますが、電力全体の自給率は低く、依然として県外からの供給に大きく依存している状況にあります。
 再生可能エネルギーの導入を促進するにはさまざまな課題や障害があり、それを克服するには、技術革新、電力系統の強化、規制緩和などが必要であります。
 例えば、資源ポテンシャルが大きく導入拡大が見込まれる太陽光発電や風力発電は、気象条件により出力が変動することから、大量に電力会社の系統に接続することができない。また、稼働時間が長く出力の変動が少ない小水力発電や地熱発電は、適地が限られ、合意形成や許認可などの手続に時間を要するなど、少しずつ欠点を持ち、全てにすぐれたエネルギー技術はありませんが、再生可能エネルギーの普及を促進するためには、それらを総動員し賢く使いこなす必要があります。
 東日本大震災津波による大規模な停電等の経験を踏まえ、災害時においても、地域が一定のエネルギーを賄えるような、自立・分散型のエネルギー供給体制の構築を進めていくことが必要とされています。
 また、従来からの省エネルギーの活動の徹底だけでなく、スマートグリッドの導入など、電力供給バランスを意識したエネルギー管理を行うことが求められています。
 そこで、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、今後の県内資源を活用した再生可能エネルギー導入及び普及促進などに関する施策の推進に当たって、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し入れるものであります。
 1、本県は、特に風力や地熱の資源ポテンシャルが大きく、太陽光発電や小水力発電を含めた再生可能エネルギーによる発電量をふやす設備の導入が期待できることから、県内消費電力量に占める再生可能エネルギーの割合を高めるため、施設立地に向けた側面支援や低利融資制度の活用など、導入促進についてより実効性の高い取り組みを進めていく必要があること。
 2、木質バイオマスエネルギーの利活用に関しては、その原料となる木材の安定供給が不可欠であり、そのためには、林業、木材関係団体等が連携して供給していくことが重要である。
 県内調査で訪問した釜石市では、森林所有者、森林組合、チップ供給事業体、行政の連携のもと、未利用資源であった間伐材や林地残材を石炭火力発電所で混焼する木質バイオマス活用システムが構築されており、計画的な森林整備、木材生産の推進に寄与している。
 県では、これら木材バイオマスの利活用を拡大するための効果的な施策を推進するなど、地域資源を生かした木材チップや未利用間伐材等木質燃料の安定供給体制の構築を図っていくことが重要であります。
 3、震災直後の復興構想の中でも、自然エネルギーを基盤とした地域社会づくりがはっきり描かれており、市町村でも、災害時の自立型エネルギーとして自然エネルギーという手段を持っていたいという思いがある一方で、許認可などの手続に時間を要し、再生可能エネルギーによる自立型エネルギー体制の確立が迅速に進まない懸念があることから、復興特区制度等を活用し再生可能エネルギー導入の促進を図ること。
 4、我が国は、世界有数の電力消費国でありながら、島国のため、他国からの電力融通が不可能な上、電力会社間でのネットワークも弱い状況にあります。
 このため、今後の震災復興やエネルギー政策の立案に際しては、中長期的な視点に立った電力供給安定化のための電力系統の強化策などが不可欠であることから、国に対し、再生可能エネルギーの中長期導入目標の早期策定、適正価格による長期間の買い取り、抜本的な系統連系対策の実施、電力系統の広域運用、送電線の新増設、規制、制度の緩和、調査研究開発の実施などを要望していく必要があること。
 5、一般家庭では、年間40万円ぐらい支払っている光熱、燃料費であるが、日本全国では、毎年20兆円を超える金額が石油、天然ガス購入費に流れている状況であり、その一部でも地産の再生可能エネルギーで賄うことにより、エネルギー自給率を高めるとともに、地域からの富の流出を防ぐことにつながる。
 そのためにも、再生可能エネルギーの利活用には、発電だけではなく熱利用も有効であることから、木質バイオマスによる熱利用や地中熱利用についても、導入の促進を図るための施策の一層の推進を図る必要があること。
 6、今後、導入の拡大が見込まれている太陽光発電や風力発電の設備について、耐用年数が経過した後のソーラーパネルや風車などが、再利用できるのか廃棄物として処理するのか、国の動向を注視しながら、必要な情報提供を行うなど、適切な対応をすること。
 以上のとおりであります。
 終わりに、県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注し、県内資源を活用した再生可能エネルギーの導入による地域社会の構築に向けて取り組まれますことを切望いたしまして、再生可能エネルギー調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、郷右近新産業創出調査特別委員長。
   〔新産業創出調査特別委員長郷右近浩君登壇〕
〇新産業創出調査特別委員長(郷右近浩君) 新産業創出調査特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成23年9月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催するとともに、県内外での3回の現地調査を実施し、新たな雇用確保につながる新産業創出や雇用を支える地域産業の新規展開等に関し、その現状と課題、対策等について調査を実施してまいりました。
 まず、本県の産業の現状についてでありますが、製造業における製造品出荷額については、世界同時不況の影響により全国的に落ち込んだ平成21年と比較し、持ち直してはいるものの、一部の業種や圏域においては、平成24年においても対前年比で大きく落ち込んでいる状況にあります。
 また、雇用環境においては、平成25年7月の県内の有効求人倍率が1.03倍と3カ月連続で1倍台を維持し、20カ月連続で全国平均を上回り、引き続き、震災復興需要等による求人数となっているものの、短期雇用の期限切れや為替変動による企業経営への影響による離職者の発生等のほか、被災地の沿岸部においては、雇用のミスマッチなど、不安要素は依然として払拭されていない状況にあります。
 このような中、平成23年から25年の県の施策に関する県民意識調査結果においては、多くの県民が、高い付加価値や雇用を生み出す新たな産業の創出について、引き続き強く期待していることが明らかとなっております。
 先月公表された平成24年度いわて県民計画実施状況報告書の七つの政策に掲げている産業創造県いわての実現を図る取組の中で、産業雇用分野の次代につながる新たな産業の育成項目においては、七つの指標のうち六つの指標は達成となってはいるものの、今後、既存の産業を牽引し雇用の受け皿となる新たな産業の創出を図っていく必要があると考えられます。
 本県においては、新たな産業を創出する上で必要な科学技術に係るポテンシャルとして、企業においては、個々のすぐれた要素技術を有するものの、企画、設計開発力やシステム化などの製品化力が不足し、ロボットや医療機器のような総合的な分野での実績が低調となっております。
 また、ものづくり産業、とりわけ自動車関連産業においては、県内での部品調達が十分に進んでおらず、人材面では、イノベーションを進める高度技術や知識を有する人材が不足し、地元定着が進んでいない状況が続いております。
 さらに、本県の強みとされる産学官連携においても、ネットワーク個々の活動となっており、オール岩手として結集する共有ビジョンが必要となっております。
 本委員会としては、このような課題とこれまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、今後の新たな雇用確保につながる新産業の創出などに関する施策の推進に当たっては、震災からの復興を念頭に置きながら、次の事項に配慮し、取り組まれるよう申し上げるものであります。
 初めに、地域の特性を生かした国際科学技術研究拠点形成に関する取り組みとして、国際リニアコライダーの本県への誘致に当たっては、北上山地が、技術的評価及び社会環境基盤評価において、その総合的な優位性がILC立地評価会議において示されたところでありますが、今後、県が主体性を発揮し、政府において、我が国への誘致と北上山地への建設に関する正式表明と調査費等の必要な予算措置を行うよう、引き続き強力に要請活動を行うこととともに、関係団体や地方自治体、企業との緊密な連携と情報共有をコーディネートしながら、県民意識の一層の醸成と医療、教育分野での外国語対応などの国際化を飛躍的に進めるなど、海外からの研究者とその家族の受け入れ体制の環境整備に取り組むこと。
 また、国際リニアコライダーとともに、国際科学技術研究拠点として誘致を目指している、いわて三陸国際海洋再生可能エネルギー研究拠点については、復興途上の沿岸地域への経済波及効果が期待されることから、その条件整備に全力で取り組むこと。
 次に、既存事業の新規展開に関する取り組みとして、本県の産業界を牽引している自動車関連産業において、部品の地元調達率を高めるとともに、次世代自動車に対応した技術シーズの発掘と研究開発支援を行うこと。
 あわせて、県南部とともにその波及効果がより広範に及ぶよう、全県域を対象とした企業の自動車関連産業への参入に向けたマッチングなどの取り組みを強化すること。
 さらに、新たな産業の芽の育成のための産学官連携に関する支援策を引き続き強化するとともに、独立行政法人科学技術振興機構復興促進センターによる復興促進プログラム等を活用した企業と大学等とのマッチング促進を図り、競争的外部研究資金獲得の取り組み強化とあわせ、技術シーズの発掘と育成のための産学共同研究を支援すること。
 また、地元の高等教育機関による復興支援の取り組みとの連携を促進し、1次産業も含めた高生産性と高付加価値化を実現するよう取り組みを強化すること。
 特に県北・沿岸振興の観点から、当該エリアにおける農林水産物等の地域資源を生かした新たな食産業クラスターの形成など、県の主導のもと、産学官が一体となり、地場産業の振興や企業の誘致活動をさらに支援すること。
 次世代産業分野においてさまざまな分野で取り組みが行われている中にあって、国内外の研究機関との連携、事業化コーディネート、企業における人材育成等を推進し、コバルト合金生体新材料に代表される新素材供給等の取り組みを基点として、県内外企業による加工、製品化までの新たな産業クラスター形成に向けた取り組みを強化すること。
 人材育成に関する取り組みとして、地元学卒者の県内企業への就業促進のため、現在、県及び市町村が取り組む新産業創出や就業支援施策において、大学などの教育機関、産業界及び公設試験研究機関との情報共有や連携を図りながら、高度技術人材の育成支援をより一層強化すること。
 以上のとおりであります。
 終わりに、今後、国際リニアコライダー等を基軸とする新たな産業の創出により、岩手の未来を担う子供たちが、先端科学技術や世界の文化と触れ合うことで、夢と希望を抱きながら、この岩手の地で、誇りを持って生きていける自立した地域社会の実現のため、県当局においては、本委員会の意見や要望に十分配慮しながら、県政運営になお一層の努力を傾注されることを切望し、新産業創出調査特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 次に、小野地域医療確保対策特別委員長。
   〔地域医療確保対策特別委員長小野共君登壇〕
〇地域医療確保対策特別委員長(小野共君) 地域医療確保対策特別委員会のこれまでの調査の経過と結果につきまして御報告いたします。
 本委員会は、平成23年9月定例会において設置されて以来、9回にわたり委員会を開催し、地域医療全体の体制の整備と医師確保対策に関する調査やがん対策、難病対策に関する調査において、現状と課題、対策等について、関係人からの参考意見を聴取し、質疑や意見交換を行うとともに、県内2回、県外1回の現地調査を実施してまいりました。
 本県の医師数は、全国と比較して低い水準にあり、地域における医師不足は深刻化しておりますが、特に、東日本大震災津波により被害を受けた被災地を中心に、これまでにも増して医師の確保が難しい状況にあります。
 その一方で、県民の保健医療に対するニーズの多様化や医療の高度化、専門化等に伴い、高度・専門医療の提供とともに、包括的に対応できる医師等の医療従事者の育成、確保や地域医療体制の整備が求められております。
 また、本県におけるがんによる死亡者は、昭和59年から平成22年まで死亡原因の第1位であり、本県においては、第2次岩手県がん対策推進計画を本年3月に策定し、がん対策を総合的かつ計画的に推進することとしております。
 これまで、地域医療確保のためのさまざまな対策が講じられたことにより一定の成果は上がっているものの、地域医療の維持、継続が危ぶまれている状況がなお続いており、これまでの取り組みより、さらに進んだ効果的な対策が望まれているところであります。
 そこで、これまでの調査結果を踏まえ、この際、県当局に対し、今後の地域医療体制の整備及び医師確保対策並びにがん対策、難病対策に関する施策の推進に当たって、次の事項に配慮し取り組まれるよう申し上げるものであります。
 1、医師の絶対数の不足と地域偏在及び診療科偏在を解消するため、大学医学部定員増の恒久化、臨床研修医の地域への適正配置を促進する具体的な施策の推進、総合診療医の制度化及び養成に係る必要な措置を行うこと等について、医療政策全体にかかわる問題として、引き続き国に対し強力な働きかけを行うこと。
 2、県内の医療機関に勤務する医師を確保するために、新たに岩手県医師修学資金を設けるなど拡充している奨学金制度については、医師不足や地域偏在を解消するための有効な手段であることから、適正な水準を維持するとともに、医師を目指す学生に対しては、地域に貢献するという意識の醸成と早い時期からの動機づけを推進する取り組みが重要であること。
 また、自治体立の医療機関を有する市町村に対しては、さらなる支援に努めること。
 3、岩手県医師確保対策アクションプランに基づいたさまざまな事業に加え、これからは、さらに、県、市町村、医療関係者及び地域住民が協働、連携して緊密な情報交換を行い、互いの理解を深める機会をふやすとともに、医師を目指す人材を地域で育て、支える取り組みを推進していくことが重要であること。
 具体例としては、大学等と連携し、地域住民と臨床研修医との情報交換や、県立病院等の医療機関と地域住民との対話の場をふやし、住民参加による地域医療づくりに取り組むことなどが考えられます。
 4、病院勤務医の離職を防止するためにも、医療クラークの配置等による医師業務補助体制の整備や病院とかかりつけ医との連携推進等により、病院勤務医の負担軽減を図り、勤務医の確保、定着に引き続き努めること。
 女性の医療従事者については、再就業が困難な状況の大きな要因として、出産、子育て、配偶者の転勤等の理由が挙げられるが、相談体制や再就業に必要な研修の充実、勤務時間の配慮等により、仕事と家庭の両立ができるような働きやすい職場環境の整備をより一層推進する必要があること。
 また、女性の医療従事者のみならず、子供の教育環境等に配慮するなど、医療従事者のライフステージに応じた取り組みを推進する必要があること。
 5、東日本大震災津波により被災した医療提供体制の復興を早期かつ着実に進めるとともに、災害時における医療体制については、市町村や防災部局はもとより、医師会等関係団体と連携して再構築を図る必要があること。
 6、精神疾患の医療については、住みなれた身近な地域で基本的な医療支援を受けられるとともに、病状に応じた医療機関の機能分担と連携により、生活や就労等を支援する福祉等の関係機関と協働しつつ、患者にとって必要な医療や支援を受けられる体制の整備を推進する必要があること。
 7、これからの医療には、世界に類を見ない超高齢化社会の到来を見据え、地域にとって必要な医療の形を追求し、また、介護、福祉との連携等、そのあり方を根本から見直し、再構築していく必要があること。
 具体例としては、生活の質を重視し、住みなれた環境でできるだけ長く過ごせるよう、また、望む人は自宅でのみとりも選択肢になるよう在宅医療を推進することが考えられる。
 8、がん対策、難病対策の推進に当たっては、県民の視点に立ち、医療従事者や行政機関などの関係者が一体となって取り組む施策が重要である。がん対策について言えば、岩手県がん対策推進計画を着実に実行し、がんによる死亡者の減少を図るとともに、がん患者及び患者家族等への支援を充実させるため、がんの予防から早期発見、集学的治療や緩和ケアなどのがん医療の提供、患者及び患者家族等からの相談への対応等まで、継続した保健医療が行われる体制を構築する必要があること。
 以上のとおりであります。
 なお、がん対策につきましては、県議会といたしましても、議員提案によるがん対策の推進に係る条例の制定に向けて、検討を進めているところであります。
 終わりに、広い県土を有する本県においては、県民がひとしく医療を享受できる体制を構築することが喫緊の課題であります。少子・超高齢化社会を迎え、今後ますます財政的、人員的にも厳しい時代の到来が想定されるところでありますが、今こそ、県民が一致団結してこの危機を乗り越えなければなりません。
 県当局におかれましては、本委員会の意見や要望に十分配慮し、なお一層の努力を傾注され、地域医療の確保が図られることを切望いたしまして、地域医療確保対策特別委員会の報告といたします。(拍手)
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇議長(千葉伝君) 次に、岩崎地域資源活用による観光振興等調査特別委員長。
   〔地域資源活用による観光振興等調査特別委員長岩崎友一君登壇〕

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