平成25年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇22番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
 通告に従いまして、順次質問をいたします。
 初めに、医療のあり方についてお伺いいたします。
 最初に、岩手県立病院等の経営計画中間案についてお尋ねします。
 岩手県立病院等の経営計画中間案では、以下の4点のコンセプトが示されています。
 一つ目は、20病院、6地域診療センターによる現行体制を基本に、県立病院間とともに、福祉、介護施設との役割分担と連携によって、良質な医療を持続的に提供すること。二つ目は、医師不足解消を進め、基幹病院への重点的配置と応援体制を強化するネットワークの活用により、円滑な医療提供体制を構築すること。三つ目は、医療従事者の負担軽減と患者サービスの向上を図るため必要な職種の増員を行い、チーム医療を推進すること。そして、四つ目に、安定した経営基盤を確立するため、収益の確保や効率的な費用の執行に努めるとともに、診療報酬改定等の環境の変化に迅速に対応することとあります。
 これらのコンセプトについて、現計画の考え方から見た場合に、具体的に何を発展させ、どのような強化を目指すのか、その具体的な考え方について、コンセプトのキーワードに沿ってお伺いいたします。
 まず第1に、福祉介護施設との役割分担と連携についてですが、公的医療機関の役割として、複数の項目が岩手県保健医療計画から抜粋して示されており、その2項目めに、地域の実情に応じ、患者が退院後も在宅または介護施設等において、安全・安心な療養を継続できるように調整支援する退院支援担当者の配置や、在宅療養患者の急変時の受け入れ等の役割を担い、地域における在宅医療を含めた保健、医療、介護の連携体制の構築を推進しますとあります。現在、これらの体制構築の実態は、どの程度まで具体的な形として進捗されているのか、お伺いをいたします。
 そして、この項で掲げている在宅療養患者の急変時の受け入れ等の役割については、特にという前置きの表現を付して、他に入院医療機関のない地域の公立病院、有床診療所において必要であるとしていますが、これは、一般的な医療過疎地域だけの問題ではなく、一見恵まれているかのような内陸部の二次保健医療圏の都市部でさえも、こうした連携体制は始まったばかりであり、患者やその家族から、十分に理解されているとは言いがたいものとなっています。つまり、2項目めでは、退院後の患者に必要な療養のあり方と患者の置かれた環境を前提として、医療機関の支援の考え方が示されるべきであるにもかかわらず、その考え方に関する十分な言及がなされないまま、急性期による入院患者の治療後は、在宅や福祉施設へという観点でのみ対応方針が示されているからであります。
 拠点病院による命にかかわる急性期医療の充実強化については、だれもがその必要性を認めているところであり、その中で、医師を初めとし、看護師などの医療スタッフの慢性的な人員不足の実態、それに伴う激務と心身に与える負担の増大など、中間案のコンセプトの二つ目である医師不足解消等の取り組みと、三つ目の医療従事者の負担軽減や増員体制という考え方が、まさに重要な課題として認識され示されている点については評価するところであります。しかしながら、医療局が掲げた次期経営計画の基本方針の第一順位に示された患者本位の姿勢を踏まえて、その立場に立った場合、先ほど申し上げたような急性期医療からどう患者本位の医療提供体制をしっかりと整えるべきかという視点が乏しいため、在院日数の短縮に重きを置いた経営効率重視の印象を強く抱くとともに、この中間案や岩手県保健医療計画の方向性について、行政や医療局の立場、つまり経営と効率化、そして医師の立場に重きを置いた負担軽減への対応という姿勢となっているように感じられます。
 改めて、現状から見た急性期の治療を終えた患者の行き場所としてどのような対策や連携を図っていくのか、県立病院運営の立場からその考えをお伺いいたします。
 また、このことについて、在宅や施設介護に委ねるだけでは追いつかない実態がある中で、医療機関の入院病床数確保とその役割、あり方を含めて、医療行政の立場からも考え方をお示し願います。
 次に、国の病床機能のあり方に関する方針について、社会保障制度改革国民会議がまとめた報告書では、病院、病床機能のあり方について、都道府県が主体となり、急病患者に対応する急性期の病床に偏っている現状の機能を是正すべきだとしておりますが、本県の病院、病床機能の現状を踏まえてどのような意見をお持ちであるか、知事にお伺いいたします。
 第2に、岩手県立病院等の経営計画中間案で示されました医療従事者の確保とその配置の考え方についてですが、中間案では、2018年度までに、医師等の医療従事者を現在の5、960人から6、282人まで、322人増員するという目標が明らかにされました。基幹病院へ医師を重点配置し、診療応援体制の充実強化を図り、地域の診療体制確保と診療科の偏在対策に取り組もうとする姿勢は評価できますが、現実には、医療過疎と言われる地域の実態は、より一層厳しい状況にあるのではないでしょうか。
 このような状況の中、医療過疎地域である被災沿岸地域における医療体制の確保について、中間案で示した増員計画と重点配置による偏在解消対策の一環として、県立大槌、山田両病院の2016年度開院、県立高田病院の2017年度開院に向けて、増員計画に基づく医師の配置を具体的にどのように計画して進めていくのか、お伺いをいたします。
 また、先ほどの質問では、地域医療の連携と保健、福祉との一体的な役割分担について、急性期以降の体制構築の観点から質問しましたが、さらに踏み込んで、高齢社会の進展により、在宅看護と在宅介護に関するニーズが一層高まる中、いわゆるみとりのあり方などについても、その患者、介護者を支える家族の思いに対応できる体制づくりとして考えていく必要があると思われますが、今後の増員計画に基づく在宅医療の充実についてどのような検討が進められているのか、お伺いいたします。
 次に、子宮頸がん予防ワクチン接種と副反応事例への対応について何点かお尋ねします。
 子宮頸がんを引き起こす要因とされるHPV、いわゆるヒトパピローマウイルス感染症を予防するため、本年4月から、予防接種法に基づく定期接種が市町村において行われてまいりましたが、平成25年度第2回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成25年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会において、ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛が接種後に特異的に見られたことが報告され、定期接種を積極的に勧奨すべきではないとの通知が、地方自治法に規定する勧告として、本年6月14日付で、厚生労働省健康局長から各都道府県知事あてに発せられました。
 このような事態を受けて、今年度より以前に任意接種している対象者や、今年度からの定期接種の対象者で既に接種を済ませた方々などに、不安と動揺が生じているものと思われます。また、実際にメディアなどから副反応の事例などが紹介され、ワクチンの有効性とリスクの問題が表面化している中で、果たしてどのような事態となっているのか、適切な情報提供が求められています。
 そこで、ワクチン接種によって、副反応として報告された事例が全国的にどういう状況となっているのか、また、本県での事例はどうなっているのか、県内の接種の状況とあわせてお伺いをいたします。
 さらに、実際の問題として、こうしたワクチン接種を控えるような勧告が発せられたとはいえ、勧告はあくまでも中止ではなく、希望者への接種機会は確保するよう求められている状況であり、ワクチン接種への不安は当然あるものと思われますが、県としては、市町村と医療機関等に対してどのような対応をしているのか、お伺いをいたします。
 また、予防接種法上、実際に健康被害を受けた方に対してどのような支援や救済対策が実施されるのか、あわせてお伺いいたします。
 子宮頸がん予防ワクチン接種対象者は、基本的に10代の児童生徒等が対象であることから、副反応事例が生じた場合は、プライバシーへの配慮を適切かつ慎重に行うとともに、医療、福祉、教育等にきめ細かい支援と救済対策が必要であると考えられますが、児童生徒への対応について、国の考え方や県としての方針があれば示していただきたいと思います。
 また、ことし4月以降に実施したワクチン接種により生じた健康被害については、予防接種法の救済措置により、死亡、障がい、医療費などの救済が適用されるようですが、それ以前の接種に伴う健康被害者は、医療費については救済の対象とならないと聞いていますが、どのような状況となっているのかお伺いいたします。
 この件について、ことし4月以降の実態については、都道府県ごとの副反応事例が報告され掌握されていると聞いているところですが、昨年度以前の事例についても、県としてしっかりと把握に努めるべきであると思いますが、どのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、空き家対策についてお伺いいたします。
 長い間無人となり、管理されないまま放置され、近隣から、倒壊や犯罪の温床などの危険も指摘される空き家問題については、人口減少や過疎化、核家族化と高齢社会の進展が近年深刻化する中で、全国的に自治体が問題解決のために体制整備を行い、対策条例の制定や検討に取り組み始めています。
 空き家対策について活動されている上智大学の北村喜宣教授がまとめた文献によりますと、所有者の転居や死亡などの理由で管理がおろそかになった空き家は廃屋への道をひた走ることになり、雑草の繁茂、動物の住みつき、倒壊や建材の飛散のおそれなど、地域社会に対して不安と危険をもたらしているとして、周辺住民などの苦情や要望は勢い市町村行政に寄せられるものの、活用できる法律規定が必ずしも十分ではないということで、条例を制定して具体的に改善勧告や法的権限を盛り込み、命令に従わない場合は、解体などの行政代執行に踏み切る規定を設けて対応しようとする自治体が急増しているとのことであります。
 こうした動きは県内においても見られるようになり、既にこの1月から施行された西和賀町に続き、盛岡市でも、盛岡市空き家等の適正管理に関する条例案が検討され、来年4月の施行に向けて動き出しており、このほか花巻市でも、条例の検討が必要との意思が表明されるなど、各自治体ともその対策に動き出している状況にあります。
 そこで、こうした動向について、県ではどう把握され、これらの問題についてどのように認識されているのか、お伺いをいたします。
 各自治体がそれぞれの事情を抱える中で、まずは現状の把握に努め、情報の収集と提供の体制が確立されることや、その上でどういったケースに対して適切な対策を講じることが可能なのか、個々の自治体の対応に委ねるだけで十分なのかどうか、空き家の立地状態や環境によっては、県有地や県管理施設あるいは道路などと面する場合など、市町村との連携なども視野に入れた県としての対策も求められるのではないでしょうか。
 都道府県レベルで条例を制定した和歌山県の例では、景観に重きを置いて、熊野古道など観光資源への影響などを念頭に、劣悪な景観によりこうむる被害を想定し私権制限に踏み込むとともに、どうしても我慢できない廃墟については除却等の命令を行うこととしています。
 このような積極的な県の強い姿勢は、市町村の定めた条例との関係において、町では手に負えない廃墟などの問題について、県の条例があるとありがたいとの同県串本町などの評価もあります。
 こうした県が取り組む姿勢は、法的な検討などにおいて、県の人材が市町村の取り組みを支援し方向性を決めるなど、市町村条例の実効性を後押しする意味でその一助になると言われています。
 県と市町村との連携などについて、全国的にはどのような状況となっているのでしょうか。また、県の条例制定への動きなどとあわせて、本県における対応方針について、その考えをお伺いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、国では、現行の対策として、空き家再生等推進事業を導入しており、条例のあるなしにかかわらず、防災、防犯上、危険な空き家を自治体が費用を負担して解体や改修する際、費用の2分の1を国が補助する制度となっています。本県では、これまで、この事業の適用実績はどうなっているでしょうか。また、事業を実施することによる課題をどう把握され、その課題解決に向けての対策についてはどのように考えを持っているのか、お伺いいたします。
 さらに、今後の動きとして、政府与党の自民党が、管理不十分な空き家の増加を受けて、防災や治安確保の徹底を図る新たな対策法案をつくる方針を固めたとの報道が8月中旬にありました。この中では、市町村の立入調査権、所有者への改善命令や不法投棄などの問題から、ごみ屋敷への改善命令も検討するとしています。
 こうした国の動向に対して、地方の立場から具体的にどのような対策を望むのか、県下の情勢を踏まえた県としての取り組み姿勢をお伺いいたします。
 次に、復興対策についてお伺いいたします。
 9月26日報告されました平成25年第3回いわて復興ウオッチャー調査によりますと、被災者の生活の回復に対する実感について、生活環境の格差拡大を感じるとの声とともに、やや後退したとの評価でありました。特に災害公営住宅の整備状況など、住まいへの事業進捗の格差が、この実感後退の大きな要因となっています。
 着実に整備が進んでいく状況や具体的な完成見通しと入居という形が見えることで、新たな希望の光を感じることができる地域や被災者の方々と、その一方で、一向に整備の姿が見えず、完成のめどさえよくわからないまま、どうなっているのか先の見通しが立たないと感じ、その地域の状況に諦めと落胆を覚えずにはいられない被災者の方々。その間には、回復の実感に対する評価について、沿岸北部と沿岸南部では大きな格差が生じており、さらに同一自治体内や隣接地域においては、なおさら被災者同士の実感に格差が大きければ大きいほど、不安といら立ちを募らせるものだと思います。
 被災者個々人の生活再建にも徐々にその差があらわれ始めているとき、この実感調査の結果は、被災者の置かれた立場の違いによって、回答の内容にも単純評価の数字では把握できない形として、被災者一人一人の心身に影響が出ているものと感じます。したがって、まずは、こうした事業進捗や一人一人の再建度合いの格差に応じたきめ細やかなケアの体制を整備することが重要だと思います。
 さらに、具体的なケース・バイ・ケースの実態に応じて、生活再建への見通しなどの適切な情報提供により、目標と時期を示すことで、精神的な心の張りや安心感を与えていくような取り組みを充実させていくことが必要ではないかと思いますが、どのようにお考えかお伺いいたします。
 また、住宅再建に向けた経済的負担に対しては、被災県としてのさらなる取り組みとして、被災者生活再建支援法の枠組みを拡充することなどを国に対して強く働きかけるとともに、被災者生活再建支援事業など、支援対策の充実が求められております。
 加えて、そもそも、住宅再建の建設費負担が果たして適正な建設コストに基づくものとなっているのかなど、復興特需と称する建設資材や人件費高騰のあおりを受けて建設コストが引き上げになっていないかなど、事業者への実態調査や指導監督なども行い、被災者の再建の負担とならないよう対応することも必要と考えますが、講じている対策などについてお伺いをいたします。
 さらに、今後の課題として、まだまだ先が見えない進捗状況でありますが、災害公営住宅の整備に伴い、被災者のニーズに適切に対応しながら、仮設暮らしからの転換をどのようにスムーズに図っていくのかということがありますが、転居に向けての被災者との具体的な調整等の対応については、既に今年度、完成あるいは完成見込みの公営住宅への転居対応を踏まえて、どのように進められているのかお示し願います。
 最後に、放射能汚染対策についてお伺いいたします。
 福島第一原発事故による汚染水流出問題は、本年4月に、地下貯水槽からの汚染水漏えいが発覚して以来、東京電力並びに国の対応について不信と不安が募る中、国民の多くからは、汚染水が海洋に流出していないかという疑念が指摘されていましたが、具体的な事実経過が東京電力の曖昧な対応によって明確にされない中で、実に参院選挙後の翌日という意図的とも思えるタイミングで海への汚染水流出を認め、その後は地上タンク周辺での高線量汚染水の漏えい事実などが次々と明白となり、原子力規制委員会が国際的な自己評価尺度として、重大な異常事象とするレベル3と評価しました。
 今日、依然として汚染水漏えいと海洋汚染の抜本的対策の見通しが不透明な状況となっていますが、このような海洋汚染等を含む原子力災害については、その影響が広範囲に及ぶものであるため、複数県が連携した広域的対策を速やかに講じることが重要になるところであります。
 そこで、昨年の県議会12月定例会において、私が、青森、宮城、福島各県のほか、原発関係施設を持たない隣県を含めた広域での連携体制構築の必要性について質問をさせていただきましたが、その後の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 次に、放射性物質除去・低減実証試験事業の成果と今後の対応方針についてですが、今年度の第2回原発放射線影響対策本部本部員会議資料によりますと、放射性物質除去・低減技術実証事業について、平成24年度は全国応募31件のうち5技術を評価し、調整の整った4技術の実証試験が実施されています。しかし、平成25年度の同事業では、具体的な説明もなく、平成24年度実証試験の継続試験なのか、新規の応募を追加する内容なのかさえもわかりません。2カ年度合わせて予算額は2、685万円余になりますが、事業概要の説明欄に記載された内容では全く不十分であり、説明責任を果たしているとは言えません。
 この実証試験について、なぜ成果や課題が示されていないのか、具体的な事業の内容を明らかにするとともに、今後の事業計画についても、試験結果を踏まえての除染等の低減化に向けた事業の実用化の見通しなどとあわせて明確にお示し願います。
 次に、汚染稲わら、牧草、ほだ木等の焼却処理等の対策と見通しについてですが、特に県南地域における汚染稲わらや牧草、そして汚染ほだ木等の処理については、保管施設設置やその管理に対して各関係自治体から大変な取り組みをいただいており、また、焼却処理などについても、一関市大東清掃センター、遠野市の清養園クリーンセンターごみ焼却施設での取り組みや、今年度では、奥州市、金ケ崎町での試験焼却への対応などにより、大量の処理の実現を図ろうと目指しているところであります。このことに対して、平成24年11月に示された放射性物質により汚染された廃棄物等の焼却、処分等に係る対応ガイドラインに基づいたときに、県としてその進捗状況をどう把握しているのか、また、国に対する課題とその要望について、8、000ベクレルパーキログラム以下の放射能汚染廃棄物等の処理と、市町村等の最終処分場の容量の拡充等についてはどのような進展となっているのか、お伺いをいたします。
 また、現在の各市町村清掃センター等による焼却処理も中長期的な対応が必要とされていますが、現在、いわゆる清掃センター等の広域処理体制への移行に向けて、具体的に準備をしている自治体については、こうした放射性物質焼却処理の対策との関係について、現行施設に対する考え方などを含めてどのように対応していくのか、その方策についてお伺いをいたします。
 以上で私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をいたします。よろしくお願いを申し上げます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、病院、病床機能のあり方についてでありますが、現在、国においては、それぞれの地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の確保に向けて、必要となる病床機能の分類や具体的な定義について検討が行われていると承知しております。
 現状では、いわゆる急性期の役割を担うべきとされている10対1看護体制以上の一般病床は全国で約8割を占めており、本県も同様の傾向となっていますが、今後は、可能な限り住みなれた生活の場において必要な医療、介護サービスを受けられる体制の構築が求められていると考えております。
 県としましては、国における議論を注視しつつ、国に対して積極的な提言を行いながら、必要な病院、病床機能の分化、連携を推進するとともに、地域連携クリティカルパスの導入や在宅医療の推進など、切れ目のない良質な医療を提供できるよう、取り組みを強化してまいります。
 次に、空き家対策に係る県内自治体の対策の動向把握と問題認識についてでありますが、県内では、西和賀町で昨年12月に、西和賀町空き家等の適正管理に関する条例を制定しており、盛岡市では、条例制定に向けてパブリックコメントを実施しているところです。また、花巻市では、条例の制定に向けて内容の検討を行っているなど、一部の市町村では対策を検討しているところです。空き家に起因して環境悪化、防災、防犯機能の低下などさまざまな問題が顕在化してきており、良好な生活環境や安全の確保など、地域住民の生活に直接かかわる重要な問題であると認識しております。
 次に、県と市町村との連携及び県の対応方針についてでありますが、空き家対策に関する国土交通省の調査によりますと、平成25年4月現在で、全国の200を超える自治体で空き家の適正管理に関する条例制定が報告されており、その多くが市町村を中心とした取り組みとなっています。
 一方、都道府県では、和歌山県や鳥取県において、広域的な景観保全の観点から制定した条例の中で、著しく景観上の支障がある建築物の対策等の規定を盛り込んでいるところであります。
 空き家対策は、景観保全のみならず防犯、防災や生活環境の保全等、住民の暮らしに直結した地域課題でありますことから、住民に最も身近な自治体である市町村の取り組み状況や、また、国及び他県の動向などを注視しながら、県としてどのような取り組みが可能か研究してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) まず、県立病院における保健、医療、介護の連携体制の構築に向けた取り組みについてでありますが、県立病院では、全ての病院に地域医療福祉連携室等を設置し、医師に加え、社会福祉の立場から、患者や家族への専門的援助を行う医療社会事業士を配置することなどにより、他の医療機関との紹介患者及び逆紹介患者についての調整や介護施設等との連携による退院の支援、入退院に係る相談への対応などを行っています。また、地域ごとに開催される各種の連絡会議等に参画し、市町村や保健所等関係機関との情報共有を図るなど、保健、医療、介護の連携に取り組んでいるところです。今後、高齢化の進行により、さらなる連携が必要と考えられますことから、現在策定中の次期経営計画におきましては、医療社会事業士や退院調整に携わる看護師を増員し、連携強化に向けた体制の構築に努めていく考えです。
 次に、急性期治療を終えた患者への対応についてでありますが、医師不足等の限られた医療資源の中で良質な医療を持続的に提供するためには、県立病院間はもとより、二次保健医療圏内の医療機関等との役割分担と連携を一層進める必要があると考えております。このため、県立病院におきましては、基幹病院では高度専門医療等の急性期医療を担い、急性期後は主に地域病院等がその役割を担うことを基本とし、圏域ごとの状況を踏まえて、県立病院間のネットワークのもと、患者の医療ニーズに的確に対応してまいります。
 次に、被災した県立病院の再建に向けた医療体制の確保についてでありますが、県立病院の医師確保については、次期経営計画においても引き続き関係大学への派遣要請、即戦力医師の招聘活動を継続することとしているほか、臨床研修医の積極的な受け入れ、平成28年度以降本格化する奨学金養成医師の配置などにより、一定数の医師の確保を見込んでいるところです。
 こうした中で、再建する県立病院へ配置する医師については、本県での勤務を希望する医師の意向や関係大学との協議を踏まえ、その確保に努めていく考えです。さらに、圏域内における診療応援体制の強化や内陸と沿岸との圏域を越えた連携を進めるなど、県立病院群としてのネットワークを生かしながら、必要な診療体制を確保していくこととしております。
 次に、在宅医療の充実についてでありますが、高齢化の進展に伴い、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、市町村が設置する地域包括支援センターを中核として、医療、介護、福祉等のサービスが包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築が求められており、この推進に当たり、訪問診療や訪問介護を中心とした在宅医療の充実が重要であると認識しています。
 現在、県立遠野病院においては、地元遠野市や社会福祉協議会等と連携して在宅ケアに取り組んでいるほか、県立高田病院においては、陸前高田の在宅療養を支える会に参画して、在宅療養者のケアに携わる専門職の連携強化に取り組んでいるところです。
 今後の在宅医療の充実に向けては、各地域において、開業医を初めとした医療機関や介護施設等との相互連携のもとに取り組みを進めることが必要であり、県立病院としては、在宅療養患者の急変時の受け入れなど、地域の実情に応じて公的医療機関としての役割を担ってまいります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、急性期治療を終えた患者への対応に係る医療機関の役割等についてでありますが、医療法に基づき設定された本県の基準病床数1万1、157床に対して、平成24年の既存病床数は1万3、889床と2、732床上回っている状況にあり、また、一般病床に係る病床利用率は74.2%であることから、県全体で見れば、必要な病床数は確保されているものと考えております。
 一方で、地域において、患者が一貫した治療方針のもとに、その状態に応じた切れ目のない医療介護サービスを受けることができるよう、医療機関相互、医療と介護の連携を促進することが課題であると認識しております。今後、県としては、病院等の入院医療機関による退院調整や在宅療養患者の急変時の一時受け入れ態勢等の強化のほか、在宅や介護施設における医療と介護の連携体制の構築に係る取り組みの支援を行ってまいります。
 次に、子宮頸がん予防ワクチン接種による副反応の報告状況についてでありますが、まず、全国における副反応としては、ワクチンの販売が開始された平成21年度途中から平成24年度末までの3年4カ月間に、医療機関から1、196件、製造販売業者から772件が報告されております。このうち、医療機関からの106件、製造販売業者からの251件が医師により重篤と判断されており、重いアレルギー反応であるアナフィラキシー、神経の病気であるギラン・バレー症候群及び急性散在性脳脊髄炎が報告されております。これらに加え、議員御指摘のとおり、持続的な痛みを訴える重篤な副反応が報告されており、その詳細について、国において現在調査中となっております。また、本県の副反応の報告の状況については、国から都道府県に対して情報提供されるようになった平成25年4月以降、2件となっております。
 なお、県内におけるワクチンの接種状況については、平成22年度途中から平成24年度末までの2年4カ月間に、子宮頸がん等ワクチン接種促進臨時特例基金を活用して2万8、501人に接種されており、平成24年度においては、標準的な接種年齢とされる中学1年生の約8割に接種したと推定しております。
 次に、ワクチン接種に関する勧告及び健康被害者への対応についてでありますが、まず、県としての市町村と医療機関等への対応については、本年6月14日の国からの積極的勧奨の差し控えの通知を受けて、同日、市町村及び県医師会等を通じて県内医療機関等に対して周知徹底を図ったところであります。さらに、対象者に対するワクチン接種の有効性や安全性の説明等、適切な対応を依頼するとともに、市町村等からの問い合わせに対し助言を行うなど、技術的な支援に適宜努めております。
 また、予防接種法上の健康被害救済制度については、予防接種が感染性疾患に対して公衆衛生上行われる重要な予防的措置であり、関係者がいかに注意を払っても、極めてまれに健康被害が起こり得るという医学上の特殊性があることから、通常の医薬品副作用被害救済制度に比べ、障害年金等の給付額が手厚い救済制度となっております。具体的な救済手続は、健康被害を受けた方が市町村に対し申請していただき、国が、疾病・障害認定審査会の意見を参考に認定した場合、市町村による各種給付が行われることとなっております。
 次に、児童生徒への対応についてでありますが、厚生労働省は、子宮頸がん予防ワクチン接種後の痛みの診療等の医療体制を整備し、患者への支援を開始したところであり、また、文部科学省から、ワクチン接種に関連したと思われる症状により教育活動の制限が生じた生徒への適切な対応や個別の配慮をするよう通知されたところであります。今後、国の審議会において、副反応とワクチンとの因果関係などについて専門家により科学的に評価を行い、再開の是非を改めて判断する予定としております。
 県としても、これら国の動向を注視するとともに、健康被害を訴える方に対しては、市町村、医療機関、学校等関係機関と連携しながら、適切な支援等に努めてまいります。
 次に、過去の健康被害事例への対応についてでありますが、今年3月末までに実施していた基金を活用した接種に伴う健康被害に対しては、議員御指摘のとおり、予防接種法上の救済制度の対象とはならないため、通常の医薬品副作用被害救済制度に加え、市町村長による救済保険に基づく給付を行うこととされており、予防接種法と同等の救済が行われるような制度設計となっております。
 また、昨年度までの副反応報告制度においては、国が副反応を迅速に把握し、対応する必要があり、医療機関から厚生労働省に直接報告することとされていたことから、県としての実態の把握は困難であったものでありますが、市町村、医療機関等とも連携しながら、その把握に努めてまいります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、空き家対策についてでありますが、本県においては、これまで空き家再生等推進事業により事業を実施した事例はございません。
 空き家住宅の除却の実施については、本来、所有者が行うべき除却工事に自治体が費用負担をすることや跡地の活用などについて十分な機運の醸成ができていないこと、所有者の負担も必要になるが、所有者が不明な場合や資力がない場合に実施が困難なことなどが課題として考えられます。課題解決に向けては、地域住民のまちづくりの機運醸成や空き家対策に対する理解が必要と考えますが、空き家条例等に基づく施策の実施は、住民意識向上の観点からも効果的なものと考えます。
 また、国の動向に対する県の取り組みでありますが、新たな対策法案や、それに基づく制度が空き家対策の推進に効果的なものとなるよう国の動向を注視し、県内市町村の意向等を踏まえながら、必要に応じて国に働きかけてまいります。
 次に、応急仮設住宅から災害公営住宅への転居に係る被災者ニーズとの調整についてでありますが、災害公営住宅を建設する地域、建設戸数、住戸タイプの比率等につきましては、市町村が被災者に対して行っている意向調査を踏まえた上で災害公営住宅の用地取得や設計を進めており、基本的には被災者のニーズと大きなミスマッチが生じることはないものと考えております。また、応急仮設住宅に暮らす被災者の方々に対しましては、計画段階の団地も含め、市町村の広報誌などや建設予定地の近隣の方々に対する説明会などの場で、今後の工程などをお示ししているところであります。
 さらに、先月から入居募集を行っております釜石市平田団地につきましては、1、釜石復興新聞や岩手日報への掲載、2、県、市及び指定管理者のホームページへの掲載、3、釜石市内の応急仮設住宅やその他の入居希望者へのチラシ配布、4、平田地区地権者連絡会・復興まちづくり協議会での案内、5、釜石市以外の被災市町村に対する被災者への周知依頼、6、入居募集についての報道発表などの周知を行っているところであります。
 県といたしましては、被災者の方々が希望する災害公営住宅にできるだけ入居できるよう、今後も市町村と連携して意向調査を十分に踏まえた計画を立てるとともに、スケジュールや具体の入居募集の周知を行ってまいります。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) まず、きめ細かいケア体制の整備についてでありますが、被災者の生活再建に向けては、被災者一人一人の問題や悩みに耳を傾け、関係者が情報を共有しながら、適切にきめ細かな支援を行っていくことが極めて重要であると考えております。
 このため、県が沿岸4地区に設置している被災者相談支援センターなどの相談窓口において、弁護士やファイナンシャルプランナー等専門家の協力も得ながら、住宅再建のための資金計画や生活設計づくりを行うなど、将来の生活再建に向けた道筋を明確にするための支援を行っているところでございます。
 また、市町村社会福祉協議会に配置されている生活支援相談員や、仮設住宅の集会所に常駐している仮設住宅支援員などの戸別訪問により、被災者一人一人の生活実態や必要な支援内容を把握し、関係機関と情報を共有しつつ、支援の充実に努めているところであります。
 こうした取り組みに加え、ふるさとを離れ、内陸地域や県外に移動している被災者に対し、地域の復興状況や被災者支援情報等を定期的にお届けするとともに、県外で開催される避難者交流会においては、被災者が暮らしていた地域に絞った情報を個別に提供しているところであり、今後とも、被災者が必要としている情報を丁寧にお伝えするとともに、市町村と連携しながら、被災者一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行ってまいる所存です。
 次に、住宅再建に係る建設費負担についてでありますが、県では、これまで、国に対し被災者生活再建支援制度の拡充を繰り返し要望しているにもかかわらず、その見直しが一向に進んでいない状況にあるため、それにかわる支援策として、平成24年度から被災者住宅再建支援事業を実施し、住宅の建設、購入に際し、市町村と共同で補助しているところであります。また、市町村においても、震災復興特別交付税を活用し、住宅の建設、購入のほか宅地造成や上下水道の整備への補助など、市町村それぞれ独自の支援策を講じているところであります。今後も、被災者生活再建支援制度の拡充については、国に対して、引き続き強く要望してまいりたいと考えております。
 お尋ねの県内の住宅建設コストについては、資材不足や作業員不足の影響を受け、県営工事も含め、住宅再建による需要の増加などもある中で、避けることのできない状況と受けとめております。県といたしましては、比較的低廉な被災者向け住宅のモデルプランの情報提供や、建設事業者を探している被災者に、建築士事務所協会が中心となっている地域型復興住宅推進協議会の生産者139のグループを紹介するなど、住宅の再建に資する情報提供を行ってまいります。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、原子力災害対策に関する広域的連携体制の構築についてでありますが、原子力災害を含め、災害時における広域的な連携の必要性については、近隣各道県と共通認識を深める必要があると考えています。近隣各道県との調整に当たり、まずは、本県として、広域的な応援、受援のあり方や広域避難のあり方などの考え方を整理していく必要があると考え、現在、その取りまとめに取り組んでいるところであります。
 一方、全国知事会におきましても、国の役割を含めた広域連携体制の具体化について、年度内の取りまとめに向けて検討を進めておりますことから、近隣各道県との調整を進めていく上でも、こうした検討状況を注視し、近隣道県と共通認識が深められるよう調整を図ってまいります。
 次に、放射性物質除去・低減技術実証事業についてでありますが、当事業は、県内の課題に対応し得る各種研究機関や民間事業者等が研究、開発した除去、低減技術について、関係各部及び県の試験研究機関で構成する検討チームで情報収集や必要な実証実験等を行っているものであります。平成24年度は、放射性物質を舗装面から除去、低減する技術、原木シイタケへの吸収を抑制する技術及び道路側溝土砂等を減容化する技術について、公募により、外部有識者の意見を踏まえ5件を選定し、うち4件について実証試験を実施したところであります。なお、残る1件につきましては、平成25年度に改めて実証試験を実施したところであります。
 この実証試験については、外部有識者による評価を行っており、その結果は市町村等に提供し、情報を共有しているほか、あわせて県ホームページにおいて公表しております。また、公募による実証試験に加え、別途、情報収集及び効果確認試験等を実施し、効果が認められた牧草のペレット化技術についても市町村に試験結果を提供したところであります。
 また、平成25年度におきましても6月に実証試験技術の公募を行い、現在、選定した技術について試験実施のための調整を行っているところであり、その内容につきましては、実施が確定した段階で公表することといたしております。なお、これまで当事業において試験を実施した技術のうち、小規模面積を対象にした除染資材や、牧草のペレット化技術など4技術については、現在、市町村等において実施されている、もしくは実施に向けて検討されているところであります。
 今後におきましても、事業の実施を通じて得られた情報や実証試験等の結果につきましては、逐次、市町村等へ提供するほか、効果が確認された技術については、関係機関との調整の上、速やかに具体的な事業の導入につなげていきたいと考えております。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 汚染稲わら、牧草、ほだ木等の対策と実態についてでありますが、これらの農林業系副産物については、昨年11月に策定いたしました県のガイドラインに基づき、市町村等の廃棄物処理施設において生活系ごみと混合焼却する処理等が進められております。平成25年8月末現在、これまでに発生した放射性物質に汚染された農林業系副産物約5万3、000トンのうち、焼却処理や埋却等により約1万1、000トンが処理されたところであります。8、000ベクレル以下の農林業系副産物の焼却処理につきましては、本県からの要望を受け、国において、新たに発生した汚染廃棄物の処理加速化事業が創設され、市町村等が実施する焼却処理に対し、財政支援が行われているところであります。
 また、汚染廃棄物を既存の最終処分場で処分した場合に、その残余容量の逼迫が想定されることから、最終処分場の拡張や新設などへの財政支援を強化することを要望し、措置が講じられたところであります。国に対しては、これらの財政支援を次年度以降も継続するよう、引き続き要望してまいります。
 また、清掃センターの広域処理体制については、放射性物質汚染によりごみ処理施設の整備に影響が生じる可能性があることなどを踏まえ、ごみ処理施設の段階的な集約など、地域の実情に合わせて柔軟に対応してまいりたいと考えております。
〇22番(木村幸弘君) それでは、再質問させていただきますが、まとめて3点伺わせていただきたいと思います。
 まず最初に、保健、医療、介護の連携体制の構築というところでございますが、いわゆる安全・安心な療養を継続するというために、調整支援をするための支援担当者の配置という考え方が示されているわけですけれども、具体的に、改めてこの支援担当者の配置というところについてもう少し伺いたい。それは、増員計画なりが示されている状況の中で、この退院支援担当者の配置の考え方が、こうした増員計画や今の現行体制の中でどういう立場で任命され、あるいはどういう体制になっているのか、あるいは増員計画によってこれがどれだけふえていくのか、そういった点がなかなかわからないものですから、具体的にその内容について示していただきたいということでございます。
 そして、この退院支援担当者がどういう役割を果たすのかということで、先ほど来いろいろと切れ目のない医療をという御答弁をいただいているわけでありますけれども、在宅あるいは再入院等さまざま判断を迫られる状況の中で、この支援担当者がどのような役割を果たすのか。
 そして先ほど答弁の中で、医療社会事業士という新たな─新たなというか、スタッフとしての役割を担う方の役職名が示されたわけですが、この退院支援担当者と医療社会事業士というのは全く違うものなのか、その点についてちょっと確認の意味でお伺いをしたいと思います。
 それから2点目には、子宮頸がんワクチンの問題ですが、保健福祉部長からは、いわゆる教育サイドを含めてしっかりと連携したいという御答弁もいただきましたが、改めて教育長にもお伺いをしたいんですけれども、本年の6月に、いわゆる文部科学省が、子宮頸がん予防ワクチンの接種に関連した欠席等の状況調査というのを行っているわけであります。その結果、本県でいわゆる2件の事例が明らかになったということになるわけでありますけれども、ただ、これが私は非常に縦割り的なやり方ではないかなという印象を持ちました。それは、保健福祉サイドや医療機関とか教育現場に直接そういった調査が及んだ部分と、事前にきちんと連携なりがとれていたのかどうかを含めて、そういう対応の関係がはっきりとわからなかったものですから、改めて教育行政の立場から今回のこういった通達、文部科学省から調査等が要請された場合に、どのように現場との連携をとりながら、なおかつ関係機関といいますか、医療や保健福祉サイドとの連携をとっていくのか、そういった点についての考え方を改めてお伺いしたいと思います。
 それから3点目は、原発事故にかかわる汚染水の流出問題の関係であります。
 非常に日を追っていろんな情報が毎日のように出てまいります。そういう中で、この海洋等への汚染の問題を含めて、結局このことがいろんな意味で風評被害の拡大にもつながり、福島近海だけの問題でなくて、やはり東北全体にいろんな意味で影響を及ぼすという観点から言えば、しっかりとした連携を各県ともとりながら、こうした次から次と問題が明らかにされていくこのたびの汚染水漏えいにかかわる事態に対して、国に対してあるいは東京電力に対して具体的な対策をしっかりとやってくれということを含めて、県として、より一層強く求めていく必要があるだろうし、同時に、それにかかわる情報がしっかりとこの岩手にも入ってくるように、そうした取り組みを行う必要があるのではないかと思いますけれども、改めてそういう県の強い意思といいますか、態度を明確に示していただきたいと思います。
 以上です。
〇医療局長(佐々木信君) 退院支援担当者の配置と役割についてでありますが、県立病院におきましては、退院支援は地域医療福祉連携室で担当しております。そこの室長は医師で-兼務で医師が努めております。それから、その室には、先ほどお話の出ました医療社会事業士を配置しておりますが、主に医療社会事業士は、社会福祉の立場から患者や家族への専門的な援助を行うということで、医療ソーシャルワーカー、略してNSWと呼ばれておりますけれども、そういう資格を持った方々の配置であります。そのほか、この地域医療福祉連携室には、必要に応じて退院調整を行う看護師、あるいは補助としての事務職を置いております。
 この地域医療福祉連携室等に配置された職員は、退院困難な要因を有する患者に対しまして、患者や家族との話し合いによって退院支援計画を作成するとともに、退院先の確保や、退院後の社会福祉サービスの活用等について関係機関との調整を行うなど、退院先に適切な時期に退院できるよう支援を行っております。
 現在、県立病院の地域医療福祉連携室には、専従の医療社会事業士35名に加え、先ほど申し上げました医師、看護師、事務等が、臨時職員や兼務職員も含めて160人程度配置しているところであります。
 今後、高齢化の進行に伴いまして、その役割が高まり業務量が増加することが見込まれますことから、次期経営計画におきましては、看護師や医療社会事業士等の専従職員として、さらに30名程度、定数配置する計画としております。
〇環境生活部長(風早正毅君) 国への要請、情報提供等についてであります。
 県民の安全・安心の観点から、環境放射能モニタリング監視が重要であると考えておりまして、国に対し、監視体制の整備、強化について要望を行ってきたところであります。
 また、国の原子力災害対策本部においては、汚染水問題に関する基本方針を決定し、根本的な解決に向け、具体的な対策を実行することとしたことに加え、周辺海域のモニタリングを強化し、海洋などにおける放射線量について正確な情報を発信することとしております。
 県といたしましては、こうした状況を踏まえつつ、引き続きモニタリングの強化や適切な情報公開について、国に対して要望してまいりたいと考えております。
〇教育長(菅野洋樹君) 先ほど御質問のありました文部科学省の調査によりますと、やはりワクチンの接種に関連したと思われる症状により、一定期間欠席する等、教育活動に影響が生じた生徒は県内で2名と報告されてございます。ただ、御指摘のとおり、この2名の方々は、いずれも医療機関を受診されておりましたので、そういった意味で両方の対応は行われていたわけでございますが、一方で、文部科学省からの通知によりますと、必ずしも医療機関とかそういった連携についてまで文書の中でうたわれていない、そういった若干縦割り的な要素が見られないわけではありません。ただ、やはりこういったお子さんに対して適切な支援を行うためには、医療機関との連携、私ども本庁サイドで言えば、医療担当部局との連携というのは真に大事だろうと思っておりますので、こういった点にも配慮しながら、このような場合については適切な対応をそれぞれの学校にもお願いし、私どもも気をつけていきたいと思っております。
〇議長(千葉伝君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇22番(木村幸弘君) 最後にもう一度、ちょっと医療局に御答弁いただいた部分で、連携室の取り組みはそのとおり、御答弁いただければそういうことをやっていただいているのかなという印象がありますが、ただ、実際には、本当に適切な時期に計画などを策定しながら、入院している患者さんに対してそういう指導やさまざまな相談等が十分に機能しているのかと言えば、私はどうも、いろんな方々から聞いている限りにおいては、余りそういう事例を具体的に聞いたことがない、個人のいろいろプライバシーにかかわる問題ですから、直接そういう生の話は聞けないのかもしれませんけれども、ただ、印象としては、どうしても急性期の治療が終わった後、かなりの方々からは、即日、もう退院を迫られるようなお話が随分あるんですね。結果的に退院をしたけれども、二、三日でまた救急車で搬送されてくる例も幾つかあったり、あるいは、実際には、退院したときよりもさらに重篤な状態になって戻ってくるようなケースも聞いております。
 そういったことを考えたときに、切れ目のない医療という考え方は大変重要ですし、適切な地域医療との連携の中で、急性期から次のステップ、段階の中に、どういう形で診療の方針を伝え、あるいはその診療をするために、在宅なら在宅で、あるいはかかりつけ医やさらなる次の段階の医療機関との関係の中で、どういう形でその患者さんをしっかりとサポートできるのか、そこの辺のところの仕組みが私はまだ十分ではないような気がしてならないわけであります。そういったところをもう少し現場サイド、医師、看護師も含めて─大変御苦労されているのも十分わかります。そういうことも踏まえながらも、さらにいろんな患者あるいは家族、そして地域医療の連携の中でもう少し突っ込んだ、いろんな生の実態というものを議論し合いながら、それに即した包括ケアの体制がとれるような仕組みというものをぜひとっていただきたいし、これは医療局のみならず、保健福祉サイドが当然かかわってくる問題ですので、そういった点でぜひよろしく、そういった状況もあるよということも御意見として申し上げながら、質問を終わらせていただきたいと思います。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 認定第1号平成24年度岩手県一般会計歳入歳出決算から日程第60 報告第11号岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認に関する報告についてまで
〇議長(千葉伝君) この際、日程第2、認定第1号から日程第60、報告第11号までを一括議題といたします。
 議案第43号、議案第44号及び報告第11号について提出者の説明を求めます。小田島総務部長。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) ただいま議題とされました各案件について御説明申し上げます。
 議案第43号は、平成25年度岩手県一般会計補正予算(第3号)であります。これは、台風18号の被害に早急に対応するほか、7月及び8月の大雨災害の被害調査の進捗に伴い対応が必要となった経費について、総額46億4、000万円余の増額補正をするものであります。
 補正の主なものは、いわて銀河鉄道経営安定化対策費補助2、600万円余、被災者生活再建支援金支給補助1億600万円余、中小企業災害復旧資金貸付金8、300万円、警察施設災害復旧事業費3、900万円余、団体営農地等災害復旧事業費補助16億2、400万円余、河川等災害復旧事業費25億900万円余であります。
 議案第44号は、農地海岸保全施設災害復旧事業小友地区堤防工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第11号は、岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認について報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださるようお願いいたします。
〇議長(千葉伝君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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