平成25年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

前へ 次へ

〇19番(高橋但馬君) 民主党の高橋但馬です。
 このたびの9月定例会において、先輩、同僚議員各位より4度目の登壇の機会を賜りました。心より感謝申し上げます。
 東日本大震災津波から間もなく2年7カ月を迎えようとしていますが、復興への道筋を一歩一歩力強く歩もうとしている被災地の自治体と、そこに暮らす住民の皆様に心から敬意とお見舞いを申し上げます。また、7月26日から28日及び8月9日の大雨洪水並びに9月16日の台風18号により被害に遭われた被災者の皆様に対しましても心よりお見舞い申し上げます。
 それでは、通告順に従い順次質問いたします。一生懸命質問いたしますので、当局におかれましては誠意あふれる御答弁をいただきますようお願いいたします。
 初めに、7月から9月にかけ立て続けに本県を襲った豪雨及び台風による災害に関連してお尋ねいたします。
 今回の豪雨及び台風により、県南、県央地区を中心に大きな被害を受けました。これまで経験したことのないような記録的な大雨に襲われ、気象庁では、直ちに命を守るような行動をとってほしいと最大級の警戒を呼びかけました。これは、気象庁が8月30日から開始した特別警報に相当するものです。特別警報の対象とする現象は、東日本大震災の津波や、我が国の観測史上最高の潮位を記録した伊勢湾台風、紀伊半島に甚大な被害をもたらした平成23年台風第12号の豪雨などに該当するものであり、数十年に一度しかないような非常に危険な状況にあるということです。その結果、7月末の豪雨では67億7、545万円、8月9日の豪雨では200億1、093万円、9月の台風では69億5、874万円の被害が発生しております。
 私の生まれ育ったつなぎ温泉を含む盛岡市や雫石町、矢巾町も、8月9日の豪雨では、これまでに経験したことのないような記録的な大雨の被害を経験することとなりました。8月9日の豪雨の際には、私も一目散に地元に戻りましたが、途中の県道は土砂崩れによって通行どめ、また、別の県道は橋の手前が冠水しており、車が通れない状況にありました。豪雨がおさまった後の地域を歩いて回りましたが、河川が決壊し、道路が崩落し、マンホールがむき出しの状況、家の中にほかの家屋の屋根や残骸、そして乗用車が何台も流れ込んでいるありさまを目の当たりにすると、東日本大震災津波の一場面と重なるものがありました。
 そのときの思いも踏まえ、今回の豪雨及び台風による災害について、大きく分けて八つの項目について順次御質問いたします。
 まず第1に、急傾斜地崩壊危険区域と土砂崩壊防備等保安林についてお伺いします。
 繋地区は三方が狭隘な山砂地質の山林に囲まれた温泉観光地であります。ゆえに、急傾斜地崩壊危険区域の指定範囲の拡大や、土砂の崩壊や流出を防備する保安林の指定が急務であると考えますが、県の対策はどのようになっているのかお伺いいたします。
 第2に、国営5大ダムと北上川流域県営ダムの連携等についてお伺いします。
 8月9日の集中豪雨では御所ダムに過去最大の水量、土砂、流木が流入しましたが、四十四田ダムと綿密な連携により危険を乗り切ったということであります。それは、御所ダムで最大限の貯水を続けつつ、四十四田ダムで放流を抑制して氾濫危険水位に達するのを防いだためであります。もしこの操作がなかったとすれば、水位は4メートル上昇、盛岡市内約1万2、000戸が被災し、その被害総額は5、500億円に及んだかもしれないということであります。御所ダムと四十四田ダムがなければ、盛岡市街の各地が氾濫する危険性が高いと推測され、改めてダムによる洪水調整機能の重要性が認識された中、集中豪雨に対する洪水調整機能をさらに高めていくためには、国営5大ダムと北上川流域県営ダムとの連携が必要と考えますが、県の御所見をお伺いします。
 また、台風18号では、盛岡市玉山地区松川流域5地区の被害が甚大であったことから、松川、北上川の計画的改修の緊急性が叫ばれております。本県ではこれらの整備についてどのように考えているのか、国と盛岡市との対応を含めてお伺いいたします。
 第3に、測量設計コンサルタント不足の対応について伺います。
 今回の大雨洪水によって農地、農業用施設が多数被災しています。7月の豪雨では3、900件、8月の豪雨では4、300件が被災し、現在、3、000ヘクタールの農地が通水できない状況と聞いております。国の災害査定は市町村が受けることとなりますが、岩手県土地改良事業団体連合会、いわゆる土地連がかかわる通常時の災害復旧事業では、次の順序で工事発注がされます。
 まず、市町村による災害箇所の特定、被害額の算定、補助災害申請の適否決定等の1次調査、市町村から土地連への要請、見積もり依頼、土地連がコンサルタントを選定し2次調査、コンサルタントによる測量設計、数量の算定、土地連が設計書を作成し、そこで初めて市町村から工事発注がされます。
 しかし、公共事業費の削減等により土地連やコンサルタントが組織を縮小してきた中で東日本大震災津波が発生し、現場での測量設計を担うコンサルタントの不足が深刻な状況であります。また、東北各県も震災、豪雨災害で同様の現状であることから、他県のコンサルタントの応援も期待はできません。測量設計コンサルタントを十分に確保できない状況で年内査定を終わらせるためには、従来の査定書類の作成を少ない労力で可能となるよう、現場での測量設計の簡素化、簡略化について県から国へ働きかけが必要と考えますが、県と国との対応状況はどのようになっているのかお伺いします。
 第4に、建設業の技術者の不足の対応について伺います。
 建設業者も震災関連事業の対応によって技術者が不足しています。国による災害復旧工事は年内完了が基本となるため、着工が1月以降の冬期間の工事に集中することとなりますが、それを請け負う建設業者の技術者が不足している状況では、春の通水時期までの工事完成が難しいと考えられます。現場を担当する技術者の配置等に関する緩和策を県から建設業者に指導する必要があると考えますが、現時点での県のお考えをお知らせください。
 第5に、来春の作付への影響についてお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 今回の豪雨及び台風による災害には、高齢農家の離農にも直結することが懸念されるところであり、来春の作付に支障が生じないよう災害復旧の迅速化が必要と考えますが、いかに対応していくか、お考えをお伺いします。
 第6に、被災したリンゴ農家の経営再建についてお伺いします。
 今回の豪雨災害による盛岡市の農作物被害額は5、270万6、000円となります。盛岡市猪去地区の被災現場は豪雨の影響で堰に流木と土砂が詰まり、土石流が一帯の住宅やリンゴ畑、下流の水田に流れ出しました。住宅には1メートルに上る土砂が堆積し、リンゴ畑も、流れ込んだ土砂によりリンゴの木が呼吸不全となり、枯れてしまう状態のところもあるとのことです。2カ月後に収穫を控えたこの時期の災害であり、被災した農家の方々の経営再建の方法を考えなければなりません。
 災害による減収分を補償する制度として農業災害補償法による共済制度があります。水稲については、一定の耕作面積のある農業者に農作物共済への加入が義務づけられているとのことですが、果樹については任意加入とのことであります。それぞれの加入率はどのようになっているのかお伺いいたします。
 被災した農地の復旧につきましては、国の激甚災害の指定により、農地、農道や水路など農業用施設の災害復旧事業について、国庫補助率のかさ上げや、農地等に係る災害復旧事業で国庫補助の対象とならない小規模な災害復旧に充てるための市町村の地方債の発行の措置が適用されます。
 また、県では、国の災害復旧事業や、市町村が起債して行う復旧事業の補助対象とならない小規模災害の復旧事業費を補助するため、小規模農地等災害復旧事業を9月補正予算に計上し、農地1カ所当たりの工事費が現行制度上足切りとなる13万円未満の被害であっても、合算した工事費が13万円以上となる農家の救済を後押しするとのことであります。農地復旧対策にきめ細やかな手当てがされたことに感謝申し上げます。
 これらの事業により土砂の撤去は可能となりましたが、大きな石が広範囲に流れ込んでいる状況のリンゴ園では、根の呼吸不全による枯れ上がりや石の衝突による幹の損傷などにより、リンゴの木の植えかえが必要となっているところもあります。こうした農家のリンゴの木の植えかえや、木が成長するまでの未収益期間の支援など、経営再建に向けた支援策はどのようになっているのかお伺いいたします。
 第7に、旅館、ホテル等の復旧支援策について伺います。
 今回の豪雨災害により、盛岡市繋地区、雫石町鴬宿地区、紫波町西部地区及び矢巾町矢巾温泉地区の旅館、ホテルや飲食店等では、施設設備に甚大な被害が生じています。これらの旅館施設等は、東日本大震災津波の発災時、避難所として施設を提供したところもあり、内陸部ではありますが、被災地とともに復旧に向け歩んできました。また、風評被害によるキャンセルや入り込み客数の激減に見舞われ、苦しい期間を過ごしてきました。震災から2年半が経過し、徐々に客足がもとに戻りつつあったときの豪雨災害であります。
 9月定例会に提出されました商工労働観光部の補正予算、特定被災地域復旧緊急支援交付金8、200万円は、8月9日の大雨洪水により甚大な被害を受けたつなぎ温泉及び鶯宿温泉の宿泊施設等の復旧及び風評被害対策に対し、盛岡市及び雫石町が要する経費の一部を交付するものであります。これは、東日本大震災により被災した地域の経済の復興と雇用の場の回復を図るため、被災した中小企業の店舗、工場等の復旧経費を補助する中小企業被災資産復旧事業費補助がベースとなっています。
 盛岡市では、県から交付金を受け、盛岡市特定被災地域復旧緊急支援事業費補助金を創設し、温泉供給業には5、000万円、宿泊業には2、000万円を限度額として、補助対象経費の2分の1以内の額を補助することとしました。
 中小企業被災資産復旧事業費補助の場合は、対象経費が被災した施設設備の修繕に要する経費ということで建物内の土砂撤去は含まれませんでしたが、今回の補助金では、建物内及び駐車場の土砂撤去経費も対象となったことにつきまして深く感謝申し上げます。しかし、この補助金の対象経費が、1、000万円以上の場合は2分の1の補助なのですが、1、000万円未満の場合、4分の1の補助となります。被害額が1、000万円未満であっても、小さな施設であれば被害は相当なものがあります。被害が1、000万円に満たない小さな施設が4分の1補助しか受けることができないのは、復旧に向けて努力している中小企業者にとっては死活問題になると考えます。
 被害額が1、000万円に満たなくても2分の1の補助が受けられるよう、県として十分な交付金を手当てすべきと考えますが、県のお考えをお伺いします。
 また、激甚災害に指定されますと、農地、農業施設、林道等は補助率がかさ上げされるなど、相当の補償を受けられるのに対し、旅館、ホテルや飲食店等を含む商工業者は、融資を受ける際の保証枠が広がるだけであります。
 東日本大震災を含む各地の災害時、農業、林業、水産業などの1次産業は、自然界に働きかけて直接に富を取得するという性質上、気候や天候の影響を受けやすい。さらに、豊作、凶作によって価格が変動しやすいという関係によってか、国から手厚い補償があります。
 被災後、地域を回ってみますと士農工商だと言われました。近世の身分制で、士を最上位とし商を最下位とする、儒教的階級観念によって順位づけた言い方であります。
 今回、豪雨災害を初め、各地において想定外の災害が多発しています。もう、一部の地域の問題ではない状況であります。地域の基幹産業である旅館、ホテルや飲食店等を含む商工業者にも、融資以外の支援策を拡大させることを考える時期に来ていると思われますが、県のお考えをお伺いします。
 第8に、災害ボランティアについて伺います。
 今回の豪雨及び台風による被害に対し、各市町村社会福祉協議会が設置した災害ボランティアセンターには、県内外から多くのボランティアが駆けつけてくれております。その人数は、10月1日現在の集計で、7月末の豪雨の際は、一関市東山町、延べ557人、8月9日豪雨に際しては、盛岡市、延べ1、373人、雫石町、延べ1、963人、矢巾町、延べ647人、9月16日の台風18号に際しては、盛岡市、延べ953人、二戸市、延べ202人、八幡平市、延べ86人、一戸町、延べ75人となっており、総計で5、856人となっております。
 復旧のため駆けつけていただいた、また、今なお駆けつけていただいているボランティアの皆様に対し、この場をお借りしまして心より感謝申し上げます。しかし、ボランティアに参加されている方からの情報によりますと、例えば9月16日の台風の際は、盛岡市玉山地区には早くからボランティアが入れたのに対し、八幡平市は初期の段階では余り集まらなかったと聞いております。
 各市町村の社会福祉協議会でボランティアを募集している関係上、ボランティアの偏りが生じてしまうのはやむを得ない面もあるとは思いますが、今回の災害のように、市町村をまたがり広範囲の地域でボランティア活動が必要となる場合、各市町村のボランティアセンターのニーズ及び人数等の調整を県が行うことが理想と考えますが、県としての対応策をお伺いいたします。
 次に、韓国政府による福島周辺8県の水産物輸入禁止についてお伺いします。
 韓国政府は、9月6日、東京電力福島第一原発の汚染水漏えい問題を受け、福島近隣8県産の水産物を全面輸入禁止する特別措置を決めました。現在のところ、韓国で汚染された水産物の流通は確認されていませんが、汚染水漏えい問題を受け、日本産だけでなく、韓国沿岸でとれた魚介類まで風評被害が拡大することを懸念して、韓国政府として取り組む努力を消費者に見せたものと思われます。
 韓国政府は、これまで、福島近隣の8県産の水産物計50種類の輸入を禁止し、岩手県産では、国の出荷制限対象のマダラ、スズキ、クロダイ、ヒラメの海産魚、イワナ、ウグイの川魚の6種類が対象でしたが、今回の措置では、対象地域の水産物は放射能汚染とは関係なく、韓国国内での流通がストップすることになります。これを受け、関係県を初めとする水産団体等からは対応を疑問視する声が上がり、全国漁業協同組合連合会は政府に対し、東京電力福島第一原発放射能汚染水問題に関する韓国政府の水産物輸入全面禁止措置に係る要望書を提出しました。
 本県では、本年4月以降、海産魚900検体の放射性物質検査を実施しておりますが、基準値である1キログラム当たり100ベクレルを超過する放射性セシウムが測定された事例は1例もないとのことです。しかし、日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターの調査によると、本県から韓国への水産物輸出額は、2010年に2億8、400万円だったものが、震災による加工場の被災や東京電力福島第一原発事故に伴う風評被害などの影響で、2011年は4、100万円、2012年は2、500万円と落ち込んできています。
 沖のサケ定置網漁が本格化し、これからの季節の豊漁に期待がかかる中、今回の韓国政府の措置は、本県水産物の風評被害を拡大し、被災地の漁業振興に影響を及ぼすことが懸念されますが、県として、韓国政府の措置による影響をどのように捉え、どのような対策を講じるおつもりか、お伺いいたします。
 次に、インフレスライド条項についてお伺いします。
 昨年の12月定例会の一般質問において、工事資材の高騰によるインフレスライド条項の運用について、私は、受注者側から持ち出しを続けながら生コンを使用する工事を終盤まで続けた場合、インフレスライドの基準日以前に上昇した単価分が適用できないため、必要な経費はさかのぼって適用できるような施策が必要と質問いたしました。当時の県土整備部長からは、継続中の工事については受注者の不利益にならないよう、インフレスライドの適正な対応について柔軟な運用を進めていくとの御答弁をいただきました。
 東日本大震災に伴う賃金等の変動等に対して、岩手県営建設工事請負契約書別記第25条第6項のインフレスライド条項の運用がなされています。しかし、インフレスライド条項の運用基準等の周知がいま一つ徹底されていないのではないかと考えます。
 内陸の業者も沿岸部における復旧工事の入札に参加するようになり、受注実績も出てきております。沿岸地域の業者は災害復旧工事になれ、インフレスライド条項の運用も熟知して工事を進めているものと考えますが、最近になって、沿岸部の災害復旧工事を落札した内陸部の業者はインフレスライド条項の運用にふなれであり、例えば契約当初における単価適用年月変更等、本来契約後14日間以内の申請を知らず、変更できなかった業者もあるように聞いております。
 県では、落札した業者に県営建設工事を落札された皆様へという、工事請負契約締結後における単価適用年月変更についての周知用の文書を1枚添付しています。しかし、運用基準には、受注者は本運用に基づく単価適用年月の変更を請求する場合は、当初契約締結日から14日以内に別紙様式により発注者に請求するものとすると記されているのですが、この1枚の文書には具体的な記載例がなく、運用基準のダウンロード方法が記されてあるだけであります。当然、岩手県内の業者であれば入札参加資格を持っており、入札手続の内容を熟知され、県営建設工事を受注されるはずですが、東日本大震災以降、県からの特例措置等、たくさんの制度の変更や追加がなされている中で、申請を知らずに変更できなかったという問題が出てくるわけです。
 この復興に向けた工事は、県、業者が一体となり進めていかなければなりません。県としては、県内各広域振興局でそういった救済措置制度等の説明会を定期的に行い、いま一度周知徹底を図るべきと考えますが、お考えをお伺いいたします。
 あわせて、契約当初における単価適用年月日変更等について、契約後14日間以内の申請を知らず、請求できなかった業者への対応についてお伺いします。
 インフレスライド条項を適用した設計変更の状況についてお伺いします。
 宮古地区の生コンクリート価格高騰等に伴う特例措置、いわゆるインフレスライドの適用並びに単価適用年月の変更がされていますが、これらは受注者側から発注者に申請があった場合、発注者は、申請された工事の単価、出来高数量を確認後、変動後の単価を入れかえ、協議承諾を得て、受注価格の増減を業者側と協議し、変更契約を締結する流れとなっております。しかし、その数量、価格を設計書に反映させるのは、現地出先機関の総括監督員、主任監督員、監督員であり、業者の現場代理人、監理技術者、主任技術者と設計変更の突き合わせを重ね、協議をし、インフレスライド等に関する変更契約が行われることになるのですが、出先機関での設計変更が進んでいないと聞いております。その現状と対応策についてお伺いいたします。
 次に、市民後見人についてお伺いします。
 高齢化の進展に伴う認知症高齢者の増加、核家族化等により、今後、親族等による成年後見人の困難者が増加すると見込まれ、介護サービス利用契約の支援などを中心に、成年後見の担い手として一般市民の役割が高まると考えます。
 老人福祉法第32条の2には、市町村は、後見、保佐及び補助の業務を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。現在、成年後見人の法定後見人に関しては、親族以外では主に弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士等、いわゆる士業の皆さんが担っているのが現状でありますが、全国的には市町村等で市民後見人養成研修等を開催し、認知症高齢者あるいは精神障がい者の方々などの権利擁護への取り組みがなされている例もあるようです。
 県として、この市民後見人についてどのように捉えているのか、また、今後の対応についてお考えをお伺いいたします。
 最後の質問になりますが、若者支援についてお伺いします。
 本県は、3.11の東日本大震災津波からの復興には、多くのボランティア等の活動をいただきながら対応しているところであります。また、先ほども触れましたとおり、7月から9月にかけての数度にわたる大雨、洪水による被害に際しましても、多くのボランティアの活動に支えられたところであります。特にも、東日本大震災津波においては、県内外の学生を初め多数のボランティアに活動をいただき、復興支援とともに、まちに元気を与えていただいていると感じています。一方、被災地を含め、全県においては少子高齢化が課題となっており、地域づくり、まちづくりにおいても、活力に満ちた若者が生き生きと輝き活動することが、まち全体の活気を促す重要な要素となるのではないでしょうか。
 県では、9月から若者の活躍を推進するための組織体制を強化し、今後取り組んでいくとしていますが、なぜ、今、このような施策に取り組むのか、その趣旨と具体的な推進方策についてお聞かせください。
 以上で私の質問を終わります。場合によっては再質問させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋但馬議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、商工業者への支援策の拡充についてでありますが、災害時には、国、県、市町村が一体となって、被災した事業者の復旧、復興を支援していくことが重要であります。国では、激甚災害の基準に達した場合、被災した事業者が金融機関から融資を受ける際の信用保証について、一般の保証限度額とは別枠で保証を受けられるなどの支援措置を設けています。
 今回の災害は、国の基準に達しないものの、局所的に甚大な被害が生じたことから、県、市町村では、融資に加えて交付金や補助金による支援を予定しているところです。このことから、国に対して、商工業者の復旧、復興を、地域や災害の実情に応じて支援するよう激甚災害基準の緩和とともに、商工業者への助成制度の創設や、県、市町村への財政支援の拡充を働きかけているところです。
 次に、韓国政府による福島周辺8県の水産物の輸入禁止についてでありますが、政府はこの措置を受け、去る9月16日に韓国政府に対して、日本産水産物の安全管理対策や汚染水対策について、最新情報を含めて詳細に説明の上、今回の措置は科学的な根拠に乏しい過剰なものであり、直ちに撤回するよう申し入れたほか、WTO─世界貿易機関の委員会で、この措置について正式に説明を行う方針を固めたと聞いております。
 県としては、今回の措置が水産物の全面禁輸であり、規制解除時期も明確でないことから、本県産の水産物輸出への影響が拡大しないよう、先般、農林水産省に対して、正確な情報の迅速な発信による我が国水産物の信頼回復、今回の措置の早急な解除に係る韓国政府への働きかけなどを要請しておりますが、引き続き、本県産水産物の安全性の確保と安全・安心の情報発信に取り組むとともに、国や他の道県などと連携を図りながら、一刻も早い措置の解除を求めていきたいと考えております。
 次に、若者支援についてでありますが、東日本大震災津波を経て、NPOや大学生、さらには県外からもいわて復興応援隊など、多くの若者が復旧、復興に力を発揮しています。
 また、県が行った青年に対する意識調査によると、震災前に比べて、社会貢献に対する意識や住んでいる地域に対する愛着が増加しています。このような状況を踏まえ、来年度、本格復興期間を迎えるに当たり、若者が一層活躍できる地域づくりを行い、復興後の本県の将来を担う人材を育成することが大切であると考えております。そのため、若者の自主的な活動の機会を確保するとともに、これを支えるネットワークを形成することを通じ、元気な地域づくりに資することを目的として、若者が活躍する地域づくりプロジェクトを始動させました。
 具体的な取り組みとしては、各部局の企画課長をメンバーとする検討組織や若手職員による研究会を既に立ち上げ、庁内一丸で若者活躍支援に取り組むよう進めています。
 また、今回の9月補正予算において、地域においてさまざまな分野で活躍している県内外の若者から意見を聞き、若者の活動を一層活発化するとともに、人的ネットワークの形成を図る経費を計上させていただいたところであります。
 こうした取り組みにより、大ヒットしながら終了したあまちゃんで描かれたような元気な若者が前面に出ることで、全ての世代が生き生きと輝く地域づくりを行っていきたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、繋地区の急傾斜地崩壊危険区域の対策についてでありますが、今回の豪雨により被災した繋地区の急傾斜地崩壊危険区域内の二次災害防止のために、不安定な土砂や倒木の除去を応急対策として実施したところであり、今後、被災区域やその周辺について詳細な調査を行うこととしております。この調査結果をもとに、急傾斜地崩壊危険区域の指定範囲拡大や新たな施設整備の必要性について検討してまいります。
 これらを進めるに当たりましては、関係機関との協議や地域の皆様方への用地提供の御協力、お願い、あるいは地元負担金の調整などが必要となってまいりますが、市等関係機関と連携して取り組んでまいります。
 次に、国営5大ダムと県営ダムの連携についてでありますが、北上川水系には、県土整備部が所管する盛岡市の綱取ダム、花巻市の早池峰ダム、北上市の入畑ダムの三つのダムがあります。
 北上川の治水対策の検討に当たりましては、国営5大ダムと合わせ、これらのダムの調節効果を見込むなど、国と県が連携して取り組んできているところであります。
 8月9日の豪雨の際には、御所ダムと四十四田ダムの緊密な連携操作により、相当の洪水被害の軽減につながったと国よりうかがっており、今後とも、国と情報共有を図りながら洪水被害の軽減に努めてまいります。
 次に、松川、北上川の改修についてでありますが、県では、松川や北上川での浸水被害を踏まえて、今回の豪雨の特徴や過去の洪水被害データの分析を行った上で、沿川の土地利用状況や下流の四十四田ダムへの影響などについても国や盛岡市と十分に協議しながら、洪水対策の検討を進めてまいります。
 なお、今回の大雨被害の経験を踏まえ、松川などにおきまして、水位周知河川の指定を進めるとともに、防災情報の共有や市民への情報伝達が確実になされ、盛岡市等が行う水防活動や避難勧告、住民の避難が適切に行われるよう、国や市と連携しながら防災対策に取り組んでまいります。
 次に、建設業の技術者の不足についてでありますが、建設業法では、2、500万円以上の工事につきましては専任の技術者を配置することが原則とされております。国では、東日本大震災に伴う復旧、復興工事の本格化を踏まえ、被災地域において、主任技術者が2件以上の工事を兼務できるとしていたところでありますが、この9月には、兼務可能な工事や兼務する工事現場の距離について、さらにその取り扱いが緩和されたところであります。
 県では、これらの措置につきまして、その都度速やかに市町村に通知してきたほか、建設業者の皆様に対しましては、岩手県建設産業団体連合会等を通じて周知を図ってきたところであります。
 今後も、新たな緩和措置等がなされた場合には、速やかな周知に努めてまいります。
 次に、インフレスライド制度の周知についてでありますが、県では、東日本大震災津波の発災以降、国からのさまざまな特例通知を受け、速やかに県の運用基準を定め、県内各市町村や岩手県建設産業団体連合会などに通知するほか、県のホームページに掲載するなど、広く制度の周知に努めているところであります。
 業界団体との意見交換におきまして、震災以降の特例通知内容への理解を深めるため説明会を開催してほしいとの御要望を受け、本年8月下旬に、盛岡市、宮古市、大船渡市の3会場で県内受注者向けの説明会を開催し、9月25日に県外受注者向けの説明会を開催したところであります。
 また、市町村職員を含めた発注者への特例通知の周知を図るため、この9月に、盛岡市、久慈市、宮古市、釜石市、大船渡市の5会場で、発注者向けの説明会を開催したところであります。
 今後とも、県内外の業界団体等や県内各市町村の意向などを踏まえながら、随時、特例通知等の周知に努めてまいります。
 また、単価適用年月変更について、所定の期限までに請求できなかった工事案件につきまして、継続中の工事につきましては柔軟な対応に取り組んでまいります。
 次に、インフレスライド等に関する設計変更の状況と対応策についてでありますが、県土整備部所管の工事におきまして、本年4月の労務単価の改定後、インフレスライドの請求があった件数は9月末時点で64件あり、そのうち、変更契約後の根拠となるスライド変更額を受注者へ必要な時期に通知していない等、手続がおくれている件数が5件ございます。これら5件の工事につきましては、沿岸の一部で業務量の増加やマンパワー不足などによりおくれているものでありますが、受注者に対しましては状況を説明しているところであり、できるだけ早く手続を進めていくとともに、今後とも、受注者への丁寧な説明に努めてまいります。
 これらの手続がおくれた場合であっても、請求を受けた時点を基準日としてスライド変更額を算定いたしますことから、変更契約に計上されるスライド適用による増額分は変わらないところであります。先ほど御説明いたしましたとおり、受注者向け及び発注者向けの特例措置等に係る説明会等を通じて、インフレスライドの手続としての被災地における出来高確認の簡素化の特例などにつきまして周知する取り組みを進めておりますが、今後とも、適切な設計変更を含め円滑な工事実施に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、繋地区の保安林の指定についてでありますが、8月9日の大雨災害では、繋地区において山腹崩壊や土砂流出などにより温泉宿泊施設や民家等に大きな被害が発生しましたが、このうち緊急に治山対策が必要な3カ所につきましては、現在、災害関連緊急治山事業の実施に向けまして保安林指定の手続を進めております。引き続き、森林や渓流の侵食状況等を調査することとしており、その結果を踏まえて、必要な箇所につきまして保安林の指定を進めていく考えです。
 次に、測量設計コンサルタント不足への対応についてでありますが、7月末から3度にわたる大雨、台風による農地、農業用施設被害での国への災害査定申請件数はおおむね1、000件を見込んでおります。災害査定に向けて測量設計コンサルタントの確保が懸念されたことから、県では、査定設計書作成の簡素化等を国に要望してまいりましたが、平面図の作成について、現地測量によらず、岩手県土地改良事業団体連合会がシステム管理する航空写真情報での代替を可能とすることや、工事費の積算については、単位面積当たり単価を適用できる範囲を拡大することなどの大幅な簡素化が認められました。こうした取り組みの結果、測量設計コンサルタントの確保につきましてはおおむねめどが立ちつつあります。
 次に、来春の作付に向けた災害復旧への対応についてでありますが、農地、農業用施設の復旧に当たりましては、査定前着工制度の積極的な活用や、災害査定後、直ちに工事着手できるよう、災害復旧事業の推進主体となる市町村に対して、災害査定や早期発注などに関する助言や必要に応じた職員派遣などの支援を行い、可能な限り来春の営農に間に合うよう取り組んでいく考えです。
 次に、被災したリンゴ農家の経営再建についてでありますが、平成24年度の共済制度の加入状況につきまして、一定面積以上を耕作している場合、いわゆる義務加入となっている水稲の加入率は97.9%、また、任意加入である果樹共済は、県内ではリンゴ及びブドウを引き受けておりますが、果樹共済全体の加入率が27.4%、うちリンゴの加入率は28.1%となっております。
 次に、経営再建に向けた支援策につきましては、岩手県農畜産物価格安定基金協会が実施する国の助成制度を活用し、果樹経営支援対策事業により、土砂等の流入でリンゴの木の植えかえが必要な場合、矮化樹への植えかえで10アール当たり定額32万円を、この事業を実施した場合、果樹未収益期間支援事業により、収穫が可能になるまでの期間の育成経費の一部として10アール当たり20万円を交付し、園地の再整備を支援していくこととしており、現在、農畜産物価格安定基金協会と農協等の関係機関、団体が被災農家との協議を始めております。このほか、農協と連携しながら、被災農業者を対象として、被災施設等の復旧や売り上げ、所得の減少に対応するための運転資金を融通する、貸し付け後5年間無利子の政府系金融機関の制度融資の周知を図っており、引き続き関係機関、団体と連携しながら、被災農家の経営再建を支援してまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 特定被災地域復旧緊急支援交付金についてでありますが、その趣旨は、つなぎ温泉や鴬宿温泉の本県観光における重要性に鑑み、盛岡市などが実施する豪雨災害等により被災した温泉地の宿泊業者等の支援に要する経費の一部を交付し、甚大な被害を受けた温泉地を早期に復旧させ、地域経済基盤の安定化を図ろうとするものであります。
 交付金の算定につきましては、従前の例を参考としながらも風評被害対策を追加したほか、被害の実態に即した支援が図られるよう、今回新たに対象経費の拡大や温泉地における影響の度合いに応じた積算を行い、従前よりも一部手厚く手当てすることとしております。
 この交付金は、施設復旧のハード事業と風評被害対策のソフト事業の双方を一つの交付金に盛り込んだ総合的な支援としており、さらに、事業目的の範囲内で使徒に制限を設けず、事業主体となる盛岡市などが柔軟に支援に取り組めるよう配慮しているところでございます。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、災害ボランティアについてでありますが、ボランティア活動は個人の自発的な意志に基づくものであることから、その自主性を最大限に尊重しつつ、円滑な活動を支援する必要があると考えております。こうした観点から、岩手県地域防災計画においては、市町村社会福祉協議会など民間団体を中心にボランティアの受け入れや支援を行うこととしております。
 災害ボランティアの全県的な調整については、岩手県社会福祉協議会が災害対策本部を設置し、市町村社会福祉協議会と連携して広く県民等に参加を呼びかけるほか、ボランティアが不足する被災市町村については、さらなる参加の呼びかけを行うとともに、他の市町村が募集したボランティアの参加を求めるなどの調整も、今後、より積極的に行うこととしております。
 県としては、平常時から、岩手県社会福祉協議会が行うボランティアの人材の育成や体験の機会の提供など、その活動に対する住民の関心を高める取り組みを支援するとともに、災害時にはホームページによる参加呼びかけなどを行っております。また、今後発生する災害の際に、円滑なボランティア活動が行われるよう、地域でのボランティアの円滑な受け入れや関係団体等の連携促進などを目指し、災害ボランティア活動推進のための指針の策定について、現在検討を進めております。今後も、社会福祉協議会や関係団体等と連携を密にし、より多くのボランティアが効果的に活動できるよう努めまいります。
 次に、市民後見人についてでありますが、盛岡地方裁判所によると、平成24年の本県における成年後見人の選任状況は、親族が約56%、弁護士や司法書士などの専門職が約43%と両者で約99%を占め、市民後見人は選任されておりません。全国的に見ても市民後見人は約0.4%にとどまっており、現状では、市民後見人の選任は極めて少数となっております。しかしながら、議員御指摘のとおり、今後、認知症高齢者やひとり暮らし高齢者の増加等に伴い成年後見制度の需要が増大し、親族や専門職による後見だけでは対応が困難となることが懸念されており、成年後見制度の担い手として、市民後見人の果たす役割への期待が高まっております。
 こうしたことから、本県においても、県民の市民後見人に関する理解の促進を図りながら、これを養成するとともに、養成後のバックアップ体制の構築等を進めていくことが重要であると認識しております。このため、県では、福祉関係者等を対象として、平成19年度から成年後見制度の普及、啓発を図るための研修会を開催し、その中で市民後見人の意義や役割等についても周知しているところであり、引き続き、研修会の開催等により成年後見制度の活用促進に努めてまいります。
 また、今年度から西和賀町で市民後見人養成の取り組みが始まっているところであり、その成果等を踏まえながら、市町村に対し、市民後見人の活動の支援ネットワーク構築手法などの先進事例の紹介や必要な情報提供を行うなど、助言してまいります。
〇19番(高橋但馬君) 御答弁ありがとうございました。何点か再質問させていただきます。
 まず初めに、被災したリンゴ農家の件なんですけれども、共済制度の加入状況についてお話しいただいたんですが、水稲に関しては97.9%で、リンゴ農家に関して見ると、任意ということで28.1%という数値を教えていただきました。確かに、これというのは共済制度であるので個々で入るものだと思うんですけれども、結局、リンゴの木がだめになって、それから植えかえるわけじゃないですか。そこの苗木がまだ小さくて、その木が成長するまで農家としてはその収入を得ることができないと思うんですけれども、成長してリンゴをとれるというのに対して何か補償というか、策というのはないのかどうかというのを確認したいと思います。もし、答弁でその件が出ていたのであれば、もう一度教えていただきたいと思います。
 あと一点が、中小企業に対する補助の件なんですけれども、私は質問で、4分の1から2分の1にしてほしいという話をさせていただきました。確かに、市に対する補助金という部分で県のほうで出していただいているものだとは思うんですけれども、その部分で、私が考えるのは、知事からもお話があったとおり、中小企業の災害復旧資金ということで、3年以内の利率が1.7%であるというのは、3年間は市のほうで出していただけますし、保証料を県が補給してくれるという部分もあって、非常にありがたいと思っているんですけれども、ここというのは、結局、お金を借りて、返していかなきゃいけないんですよ、業者、中小企業は。それ以外に、そういう大きいところとは別に、小さいところも何とか助けていただきたいという思いがありまして、やっぱりその辺を同等に扱ってもらいたいというのが各中小企業の願いでありますし、例えば国の補償とかで埋まらない溝を埋めるのが県であると私は思いますし、市町村でありますので、何とかこの辺を前向きに考えていただきたいと考えておりますので、御所見をお伺いいたしたいと思います。
 最後に、インフレスライド条項について御答弁いただきまして、契約当初における単価適用年月日の変更について、14日以内に、申請を知らなくて請求できなかった業者に対して柔軟な対応をいただけるという御答弁をいただきまして、そういう業者は非常に喜んでいると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 それと、(2)のインフレスライド条項を適用した設計変更の状況について、スライド条項を64件適用した中で5件、要するに設計変更がおくれているというお話を聞いたんですけれども、出先機関で金額決定とか決裁できずにいる現状があると思います。これというのは、主に設計変更の方法が曖昧なんじゃないかという部分がありまして、この件に関しては出先機関単独では決めかねる内容であると私は思いますので、昨年度より本庁に問い合わせをしているという話を聞いたんですけれども、その明確な回答が示されていないということでした。これから設計変更をするために、出先機関はその原案をつくって県庁に問い合わせを行うとするんですけれども、その決定報告がなされるまで大体1カ月から1カ月半かかるんじゃないかと。その後、その決定を受けて出先機関のほうで書類を整備して、受注者側の書類となると、大体2カ月かかるんじゃないか。基本的に、主な県営建設工事の場合は、契約当初と、あとは工期終了直前にその変更が行われるのが一般的なんですけれども、契約当初に行われる場合はいいんですけれども、もし、終了直前に行われた場合、その書類作成の部分だけで工期が2カ月延びるということになるわけです。となった場合、業者は終わりなんですけれども、その事務手続上の部分で工期を延ばされるということになりますので、例えば次の工事に行きたいであるとか、そういうものを会社で計画的に組んでいた場合でもおくれてしまうという可能性が出てくると思うんですけれども、そこについて御答弁いただきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) リンゴ植えかえ後の未収益期間の支援についてでございますけれども、県の農畜産物価格安定基金協会が実施してございます国の助成制度がございます。この中に、国の同じ助成制度で植えかえ事業を実施した場合、果樹の未収益期間支援事業がございまして、収穫が可能になるまでの間の育成経費の一部として10アール当たり20万円を交付するという制度がございまして、育成経費の一部を支援してまいります。このほか、融資となりますが、政府系金融機関の制度融資として、貸し付け後5年間無利子の運転資金の融通もありますので、これら制度を使って支援してまいりたいと考えてございます。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 特定被災地域の復旧緊急支援交付金について、確かに盛岡市などにおきましては、被災額対象経費1、000万円以上の場合については2分の1以内の額、補助対象経費が1、000万円未満の場合は4分の1以内の額を補助しますという制度設計になっているということは承知しておりますけれども、県といたしましては、先ほど答弁申し上げましたとおり、県としての交付金の算定に当たりましては、今回新たに風評被害対策の経費あるいは土砂撤去経費も追加させていただいておりますし、さらに、つなぎ温泉の温泉管理施設の復旧に要する経費については積算額の引き上げなども行っておりまして、全体として増額を図っているところでございます。
 また、事業目的の範囲内で交付金の使途には制限はございませんので、盛岡市などが実施いたします支援策に対する財政支援措置として配慮したと考えているところでございます。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 設計変更の手続につきましてでございますが、通常は現場での工事の進捗状況を見ながら最終的な数量の確認と同時並行で進めておりまして、工事完了前に変更契約の協議も請負業者とやっていくということで、工事完了前に変更契約がなされると認識しております。
 今お話のありました県庁に上げて1カ月以上回答がかかるような案件があるということにつきましては、恐らくでございますが、国の補助を受けてやっております例えば災害復旧工事等につきまして、国の認可を受けている内容から大きく変更があるような案件につきましては、再度国と協議するということが必要になる場合がございます。そういう場合には、御指摘のとおり、一定の時間を要する場合もございますけれども、私どもとしては、なるべくそういうものを早目に見ながら、工期に影響のないような形での結論がお示しできるような取り組みを今後進めていきたいと考えております。
〇19番(高橋但馬君) ありがとうございました。
 リンゴの木の国の補助の部分だったんですけれども、リンゴ農家に話を聞くと、大体1箱2、500円ぐらいで売れて、1反歩から大体150箱とれて、諸経費を抜いたら20万円ぐらいもうけがあるんだよという話を聞いていまして、先ほどの話だと、10アール当たり20万円、1年間5万円の4年分ということで、そのお金が支給されるとのことだったんですけれども、一部の補助ととうのはわかるんですけれども、まだまだ足りないというのが農家の御意見でありまして、その辺も国に対して県のほうから力強く要望をしていただきたいという部分と、あと、観光業に関しては、正直、今回の補助金の部分で、基本は東日本大震災のときの部分がベースになっているんですけれども、そこをなかなか逸脱─もともとベースになっているのを逸脱できないというのはわかりますし、いろいろな部分でそうだというのはそう思うんですけれども、今回に関しては土砂撤去も含んでくれたという部分には本当に感謝しています。今後、繋だけではなく、今回、松川もそうですけれども、こういう非常に甚大な、予想不可能な災害が起きると思います。その場合に、それぞれの、農業もそうなんですけれども、商工業者も復旧に向け一生懸命頑張っている部分もありますので、何とかその辺を、ベースになっているものがあるんですけれども、県として柔軟な対応を今後していただくようにお願いしまして、私の再質問は終わりとします。もし、何か御意見がある場合は、よろしくお願いいたします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 御指摘いただいた制度改正に対しては生産者の方々はさまざま御意見があると思います。それぞれ国に伝えていくようにいたします。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 議員から御要望いただいた件についてはしっかりと受けとめまして、今後における商工業者、観光業者における被災の実情に即した支援について、引き続き国のほうにも補助制度の創設などについても働きかけを行うなど、取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時28分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
25  番 喜 多 正 敏 君
26  番 工 藤 大 輔 君
27  番 熊 谷   泉 君
28  番 嵯 峨 壱 朗 君
29  番 工 藤 勝 子 君
30  番 工 藤 勝 博 君
31  番 高 橋 昌 造 君
32  番 五日市   王 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
 休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
午後3時43分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
   〔22番木村幸弘君登壇〕(拍手)

前へ 次へ