平成25年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇32番(五日市王君) いわて県民クラブの五日市王でございます。
 初めに、去る7月26日から28日及び8月9日の大雨並びに9月16日に発生した台風18号により被害を受けられた県民の皆様に、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 それでは、今般8度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員各位に深く感謝を申し上げ、以下、質問をいたします。
 初めに、台風18号による被害状況と対策についてお伺いいたしますが、早速、補正予算を組んでいただきましてありがとうございます。特にも、県単事業である被災者生活再建支援金の対象を台風18号の被災者にも拡大していただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。
 さて、9月16日に日本列島に上陸した台風18号は、強い勢力を保ったまま東北地方を通過し、県内各地にも河川の氾濫や土砂崩れなど多数の被害をもたらしました。詳細については現在調査中でありますが、現時点での被害の状況と今後の復旧の見通し、並びに国の激甚災害指定の見通しについてお伺いいたします。
 次に、この台風被害を教訓として、幾つかの課題や問題点を提起いたします。
 この台風による県北地域への被害は、馬淵川や安比川の氾濫による住宅等への床上、床下浸水、道路や河川護岸の決壊、農地への土砂流入が主な被害でありました。今般の台風18号で被害をこうむった場所は、2年前の2011年9月に来襲した台風15号でも被害が発生した場所であり、つまり、多くが常襲地帯で被害を受けたことになります。
 悔やまれますのは、2年前の台風災害を受け、護岸の復旧を行ったばかりの場所や、これから護岸改修を進めるための地元説明会などを開催したばかりのところなどが、再び被害を受けたことであります。特にも、護岸復旧が終わったばかりで繰り返し被害を受けた被災者からは、一様に、あと数メートル護岸の幅を広げてくれていればとか、あと数メートルブロックを積んでくれていればといった声が聞こえてまいりました。確かに、現場を確認すると、中途半端なところで護岸のブロックが途切れている場所や、あと1メートルブロックが積まれていたら被害は防げたであろうと見受けられる箇所もございました。
 これらの出来事を教訓に、幾つかの問題提起をいたします。
 第1は、災害復旧事業に係る時間的な課題であります。
 御案内のとおり、災害復旧事業には、発災から3年以内との時間的制約がございます。しかしながら、昨今の災害は、いわゆるゲリラ豪雨や竜巻など、想定をはるかに超える災害が続出していることに加え、その発生頻度が増しているのが特徴であります。2年前の台風15号は100年に一度と言われましたが、今回の台風18号は、それ以上の猛威でありました。つまり、世界的な異常気象の中、数十年に一度とか、数百年に一度という物差しは全く意味を持たず、いつ、どこで、何が起きるかわからない状況であります。
 このことから、災害復旧は、工事時期や地元事情などの課題はあるものの、これまで以上に即調査、即復旧を原則とするように努めるべきと思います。見解をお伺いいたします。
 また、2年前の災害を受け、これから復旧に取り組もうとしている事業に関しては、今回の台風18号の被害状況を検証し、計画の拡充を含めた抜本的な見直しを行うべきと思いますが、見解をお伺いいたします。
 教訓の第2は、災害復旧による原状復旧の考え方は限界を迎えているということであります。
 災害による復旧は原状復旧が基本でありますが、二戸市においては、平成11年から、ほぼ3年に1度のペースで同じ場所が繰り返し被害を受けてまいりました。このことから、災害による復旧は、原状復旧にとどまるのではなく、同じ場所では二度と災害を起こさない強い覚悟を示し、取り組むべきと思います。それには、現状の制度では限界がございます。
 特にも、現行の災害対策基本法は、災害発生後の対応が基本となっていることから、国に対し、事前防災の強化や原状復旧制度の見直しを働きかけるとともに、県においては、災害関連事業や県単独の事業等を積極的に活用し、災害を未然に防ぐことが必要であると思いますが、見解をお伺いいたします。
 教訓の第3は、馬淵川上流にあるダムの問題であります。
 今回の台風18号では、二戸市石切所と青森県八戸市新大橋の2カ所の観測地点で過去最高の水位を観測いたしました。特にも二戸市石切所では、16日の午後6時50分に5.41メートルに到達し、2年前の台風15号で観測した5.17メートルを超え、過去最高となりました。これに伴い、床上、床下浸水の被害箇所も2年前を大きく上回ってございます。
 この県北部を流れる馬淵川水系には、一戸町で合流する平糠川と二戸市で合流する安比川がございます。これら支川の上流には、平糠川には農林水産省が設置者の大志田ダム、安比川には岩手県が設置者の荒沢1号、2号、3号と計四つのダムがございます。これらのダムは農業用ダムであり、大規模な洪水調整機能がないことは承知しておりますが、地元住民からは、ダムの放流により、さらに水かさが上がり、結果的に冠水したのではないかとの疑念の声が絶えません。
 そこで、お伺いしますが、これらのダムと河川水位の上昇との因果関係をどのように分析しているのかお伺いいたします。
 また、台風は、地震や津波と違い、発生から上陸まで時間があり、的確な対応と先を見越した対応ができれば被害の軽減ができる自然災害であります。巨大台風から国民、県民の命を守るため、これらのダムは、洪水の未然防止に有効活用できないものか、お伺いいたします。
 次に、復興予算と消費税増税についてお伺いいたします。
 安倍総理大臣は、来年4月に消費税を現行の5%から8%に上げる方針を固め、10月1日に正式に表明をいたしました。その一方で、復興財源に充てるために法人税に上乗せしている復興特別法人税については、2014年度末までの措置とされていたところ、1年前倒しで廃止するように指示を出し、その減収額はおよそ9、000億円と試算されております。
 日本の経済全体を見ると、いわゆるアベノミクス効果により、デフレからの脱却に向かい景気は上向きにあるようにも見えますが、地方に生活する者の実感としては、その効果は必ずしも国全体に波及していないのではないかと感じてございます。
 また、東日本大震災津波から2年半が経過したところですが、被災地にはいまだ3万6、000人を超える方々が応急仮設住宅等にお住まいになり、厳しい生活を強いられているところであります。このような中での消費税増税は、被災地の復興を妨げ、減速させる厳しい判断であり、今後の行方を注視していかなければなりません。
 また、被災地の本格復興はまさにこれからであり、今後も復興関連の予算の十分な確保が重要な課題であると認識しておりますが、復興法人税の前倒し廃止がマイナス要因とならないか懸念を感じるところでございます。
 そこで、知事にお尋ねいたしますが、知事は、被災地の知事として、こうした国の動きについてどのような所感をお持ちなのかお伺いいたします。
 次に、東日本大震災津波の復興予算の執行状況についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波から2年半が経過し、被災地においては、仮設住宅から災害公営住宅への入居も始まるなど、暮らしの再建に向けて明るい兆しも見え始めてまいりました。しかしながら、先般、公表されたいわて復興ウォッチャー調査によりますと、被災者の生活の回復に対する実感については、やや後退が見られたところでもございます。
 こうした中、先般、復興庁から2012年度予算に計上された東日本大震災の復興費9兆7、402億円のうち、35.2%に当たる3兆4、271億円が年度内に使われず、繰り越し等がなされたと公表されたところであります。事業用地取得の難航などの事情があることはうかがっているところではございますが、復興予算は、できる限り速やかに執行されてこそ意義があるものと考えます。
 そこで、本県の平成24年度の復興予算の執行状況について、御認識を伺います。また、未執行となった部分について、なぜこのような事態に至ったのか、改めてその要因をお聞きするとともに、今後、どのように対処していくのかお伺いいたします。
 次に、県北振興と課題についてお伺いいたします。
 知事は、平成19年の選挙公約において県北・沿岸振興を再重点施策として取り組むことを約束し、平成23年の2期目の選挙においても、引き続き、県北・沿岸振興を掲げました。あれから6年半が経過し、知事の2期目の任期も折り返しを迎え、あと2年となりました。
 これまでの取り組みに感謝を申し上げるものでございますが、初めに、この6年半の県北・沿岸振興に対する成果と評価についてお伺いいたします。あわせまして、今後2年間で重点的に取り組む課題をどのように認識しているのかお伺いいたします。
 次に、平成18年1月に発足いたしました県北・沿岸振興本部の組織体制について伺います。
 県北・沿岸の振興なくして県政の発展なしとの共通の思いのもと増田県政のもとに設立された県北・沿岸振興本部ですが、東日本大震災津波の発生により、その枠組みを見直す時期に来ていると考えております。
 沿岸部におきましては、沿岸振興から震災復興へとシフトし、県や被災各市町村は、それぞれの復興計画のもと、新たなまちづくりや産業振興、基盤整備等が計画、実行されており、その推進こそが沿岸振興につながっていくものと思います。
 一方で、県北地域においては、いわて県民計画はあるものの、県北振興計画なるものもなければ、予算的な裏づけなどもございません。このことが、県北振興の成果がなかなか県民には見えにくい要因になっていると考えてございます。
 そこで、この際、県北振興と沿岸復興を切り離し、新たに県北振興本部を立ち上げてはいかがでしょうか。そして、市町村や民間、住民を巻き込み、英知を結集させた県北振興基本計画を策定し、重点的、戦略的かつ計画的に推進し、県北地域の底上げを図る必要があると思いますが、知事の所感をお伺いいたします。
 次に、海外における市町村のトップセールスについてお尋ねいたします。
 現地時間8月27日、ニューヨーク、マンハッタンにおいて、二戸市による日本酒と漆のトップセールス事業が行われました。この事業は、ニューヨーク総領事、草賀大使の公邸をお借りして開催され、200人以上の関係者が出席し、予想を上回る大盛況となりました。レセプションでは、短角牛と地元産のお米も振る舞われ、早速注文をいただく場面もございました。また、関係者からは、3万人足らずの小さな自治体が、独自に海外展開を行うのは初めてだとの評価をいただいてまいりました。
 これらの成果や今後の展開については今の段階では未知数ではありますが、今後のTPP交渉の行方などを踏まえると、これからは、県のみならず、市町村においても、独自で海外に打って出るケースがふえてくることが予想されます。
 県として、このような取り組みをどのように評価しているのかお伺いいたします。また、こうした市町村への支援策や協力、連携のあり方をどのように認識しているのかお伺いいたします。
 次に、市町村要望等による道路整備についてお伺いいたします。
 本年度も、7月に県内一斉に市町村要望の聞き取りが行われました。毎年感じることでございますが、相変わらず県道に関する道路整備の要望が多いように思います。特にも県北地域はそのニーズは高く、交通量やBバイC─費用対効果などと言っていては、永遠に整備が進まないものと危惧いたしてございます。
 そこで提案ですが、道路整備に関し政策的重点枠を設けてはいかがでしょうか。例えば、3年後の国体開催に向けて、競技施設周辺や宿泊施設周辺等の要望箇所の整備を2年間重点的に行うとか、地元や地権者の同意がある場所は最優先で整備するなど、優先順位のつけ方に一工夫、めり張りが必要ではないかと考えますが、見解をお伺いいたします。
 次に、青森、秋田、岩手3県によるドクターヘリの広域連携についてお伺いいたします。
 9月20日、一戸町内で蜂に刺された男性に対応するため、八戸市民病院配備の青森県ドクターヘリが、八戸市からは初めて岩手県へ出動し、県立二戸病院に搬送いたしました。運航マニュアルでは、自県ドクターヘリ及び防災ヘリが出動できない場合に、他県に出動要請ができることとされておりますが、今回のケースは、本県のドクターヘリが、ほかの事案に対応中であったため、より早い搬送が必要との二戸消防本部の判断により、本県防災ヘリではなく、八戸市民病院へ要請を行ったものであります。結果的には、本県防災ヘリも出動中だったようでありますが、今回の事案を受け、ドクターヘリの広域連携出動の要件緩和を求める声が一気に高まってございます。
 そこでお伺いしますが、6カ月程度の試行を経た後の広域連携による本格運航に向け、県として課題をどのように捉えているのかお伺いいたします。また、隣県のヘリのほうが救命に有効な場合には、出動要請を行えるように見直しを行うべきと思いますが、県としての見解をお伺いいたします。
 次に、生徒の情報モラル教育についてお伺いいたします。
 ノンフィクション作家の柳田邦男氏は、携帯電話やインターネットの普及が、子供の人格形成に破壊的な役割を果たしている。これに加え、スマホやアプリ、LINEなどの登場で一段と深刻化してきた。ネットによる危機が新段階に入ったと警鐘を鳴らし続けております。
 この指摘を裏づけるかのように、2012年度に行った厚生労働省研究班のネット依存に関する調査によると、中高生の平日1日のネット平均利用時間は、5時間以上が、男子中学生で8.9%、女子中学生で9.2%。高校生になると、男子13.8%、女子15.2%と増加。さらに、インターネットへの依存性が極めて高く、病的使用とされた中高生が8.1%に上ることが明らかになりました。この8.1%を全国の中高生に当てはめ計算すると、実に51万8、000人が病的使用状態にあると推定されております。
 ちなみに、利用法では、情報、ニュースの検索や閲覧が69.2%と最も多く、続いて動画サイト64.4%、メール62.5%、ソーシャルネット・ワーキング・サービス33.4%とのことであります。
 柳田氏は、ネット社会の負の側面として、一つ、現実の人間同士の接触が極端に少なくなり、相手の表情などから心を読み取るコミュニケーション力が育たない、二つ、言語発言力やきめ細かな感性の発達が阻害される、三つ、睡眠不足、ネット疲れによって学習能力が低下する、四つ、刺激的な映像や情報以外には興味を持たなくなる、五つ、考え方の点でも行動の点でも自己中心的になり、他者を操ろうとする傾向が強くなる、六つ、機器を指で操作するだけなので、相手がどんなに傷ついても自分は痛みを感じないとの指摘を行っております。そして、対処法としては、週に1日プラス年に1回1週間通しのノーメディアを実践すべきとしております。
 現実に、学校現場やPTAなどでは、ノーメディアデーやメディアコントロールなどの取り組みを実践しているところもございますが、ネットやゲーム中毒、依存症に陥る生徒を一人たりともつくらない対策が必要と思います。生徒の情報環境のあり方について、総体的な教育長の見解をお伺いいたします。
 次に、文部科学省の平成25年度全国学力・学習状況調査によりますと、本県における携帯電話やスマートフォンの所有率は、中学生で49.3%、小学生で28.6%となっております。これは全国平均の所有率、中学生で68.5%、小学生43.4%を下回るものの、今後、情報化の進展に伴い、確実に所有する生徒の数はふえ続けていくものと思います。
 ちなみに、私事で恐縮ではございますが、私も、先ほど紹介した柳田氏とほぼ同じ考えであることや、携帯やスマホは早くても高校生からと我が家の教育方針を定めていることから、中学2年の長男には、携帯電話やスマホは持たせておりません。しかしながら、〇〇君は誕生日に買ってもらったとか、仲間うちで持ってないのは俺だけだなどと毎日のように悪態をつかれ、買い与えるべきか否か悩ましい日々を送ってございます。(「買うな」「そうだ、王ちゃん、しっかりしろ」と呼ぶ者あり)はい。
 そのことはさておき、こうした生徒のスマートフォンや携帯電話の所有率の増加に伴い、LINEを利用したいじめやインターネットに関連したさまざまなトラブルなどが危惧されるところでございます。
 教育委員会では、今定例会に情報モラル教育推進のため、スマホを購入し、その対策に乗り出したことは評価するものですが、さらに踏み込んだ対策が必要であると考えます。
 また、過日、二戸市で行われた青少年を非行から守る市民大会では、中高生の情報モラルと題し県警生活安全部のスクールサポーターの方から講演をいただきました。大変わかりやすく、特にもこのとき用いられた情報社会のおそろしさを如実にあらわしたDVDは、ぜひとも全学校に配布し、生徒に見せてあげたいと、私のみならず、拝見した保護者からも同じような感想が数多く寄せられたところでございます。
 このように、生徒の情報モラル教育については、教育委員会や学校だけではなく、警察や他の機関、団体等でも行っていると思います。
 そこでお伺いしますが、情報モラル教育について、今定例会に盛り込まれた事業内容と期待できる成果についてお尋ねいたします。あわせて、今後の取り組み方針についてお伺いいたします。
 また、警察本部では、こうした携帯端末機器等の利用により、児童生徒が犯罪に巻き込まれることのないよう、どのような取り組みを行っているのか、被害の実態とあわせてお伺いいたします。
 次に、特別支援教育についてお伺いいたします。
 平成19年4月に千厩、遠野で設置された特別支援学校小学部の分教室は、平成20年4月には二戸市内にも設置され、在籍児童数、当初4名でスタートいたしましたが、その数は増加を続け、本年5月1日現在で18名となり、県立盛岡みたけ支援学校奥中山校小中学部に並ぶ在籍数となりました。
 この小学部の生徒の成長に伴い、千厩地区では、平成21年4月に一関市立千厩中学校内に中学部を設置、遠野地区では、平成24年4月に遠野市立附馬牛中学校内に中学部を設置、その後、中学校の統合に伴い、平成25年4月に遠野市立遠野中学校内に中学部を移転、二戸地域では、本年4月に二戸市立福岡中学校内に中学部が設置されたところでございます。
 特別支援教育に御理解と御協力を賜っております各市の教育委員会や学校関係者の皆様には、心から感謝の意と敬意を表する次第でございます。
 さて、現在、中学部に通う生徒は、遠野地区では平成27年度に、二戸地区では平成28年度に高等部へ進学いたします。保護者の間からは、ぜひとも地元に高等部の設置を願う声が従前にも増して高まっております。
 教育委員会では、平成24年度までの計画期間であるいわて特別支援教育推進プランを継承する次期プランの策定中でありますが、高等部設置に関する教育長の考えをお伺いいたします。
 また、二戸地域におきましては、仮に高等部が分教室として設置される場合、現実的な選択肢として、県立福岡高校、または県立福岡工業高校となりますが、在籍児童数が小学部18名と、盛岡みたけ支援学校奥中山校の児童生徒数と変わらないことや、今後も増加が見込まれることなどから、小学部から高等部まである独立校として新たに設置することも選択肢の一つであると考えますが、見解をお伺いいたします。
 最後に、世界遺産登録についてお伺いいたします。
 政府は、9月20日の世界遺産条約関係省庁連絡会議で、2015年の世界文化遺産候補に釜石市の橋野高炉跡及び関連遺跡を含む明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域の推薦を決定いたしました。
 御案内のとおり、この産業革命遺産は、8県11市28の構成資産から成り、九州、山口以外の構成施設では、釜石市の橋野高炉跡と静岡県伊豆の国市の韮山反射炉が対象となっております。平泉に続く県内2件目の世界遺産登録に、被災地である釜石市民はもとより、岩手県全体でも大きな期待が寄せられるところでございます。
 本年6月には、富士山─信仰の対象と芸術の源泉が世界遺産登録を実現し、2014年には富岡製糸場と絹産業遺産群、2015年には明治日本の産業革命遺産の登録が審査されますが、今回の推薦を受け、今後、県としてどのように取り組むのか、知事の御所見をお伺いいたします。
 一方で、一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群は2009年に暫定リストに記載され、本年度の政府推薦、2015年の登録を目指しておりましたが、先送りとなり、2014年度は長崎の教会群が有力と言われており、政府推薦は早くとも2015年度以降という状況にございます。この間、文化審議会等からさまざまな課題が指摘されておりましたが、その内容及び改善策、さらには今後の見通しと取り組みについてどのように認識しているのかお伺いいたします。
 以上で質問を終わりますが、答弁によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費税増税についてでありますが、消費税増税の実施時期は来年4月とされていますが、この時期は本県の復興計画における本格復興期間のスタートの時期と重なります。被災者や被災企業が生活再建、事業再建のため、本格的に消費や投資を始める時期に税負担が重くのしかかると、被災地の経済再生や復興の阻害要因となる恐れがあります。そのため、県としましては、政府に対し、被災地の経済実態を的確に把握した上で慎重に判断するように求めてまいりましたが、今回、政府が消費税増税を決定したことは残念であると考えております。政府に対しては、消費税増税によって経済的に弱い立場にある方々が困窮しないようにするとともに、農林水産業を初め地方に根差した産業に十分配慮し、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招かぬよう、しっかりとした対策を求めていきたいと思います。
 また、現在、政府において検討されている復興特別法人税の前倒しでの廃止については、本年1月の復興推進会議において、平成23年度から平成27年度までの集中復興期間の財源として25兆円程度を確保するとされたところであります。この財源規模は、復興を着実に推進する上で必要不可欠なものであり、仮に復興法人税を前倒し廃止する場合にあっては、それに見合う財源が明確に確保されなければならないと考えています。
 次に、県北・沿岸振興に対する成果と課題についてでありますが、県北地域については、これまで、いわて県民計画に基づいて、県北・沿岸振興本部を中心に、すぐれた地域資源を生かした産業振興による地域経済の基盤の強化と、道路、農林水産業の生産基盤など、産業を支える社会資本の整備の二つの柱で取り組んできたところであります。また、沿岸地域については、東日本大震災津波の発災以降、復興計画に基づいて復旧、復興対策を重点的に推進してきたところであります。
 その結果、これまで、ヤマブトウや雑穀等の商品開発や食材取引の拡大、農林水産物のブランド化や販売網形成など食産業の振興や、新規企業の誘致などにおいて一定の成果があらわれてきているものと認識しております。
 さらに、一戸町では、大規模風力発電所の平成29年度の運転開始を目指し、現在、環境アセスメントを行っているほか、最近では、三陸ジオパークの日本ジオパーク認定、橋野高炉跡の世界文化遺産推薦の正式決定や、御所野遺跡の世界遺産登録に向けた取り組みなど、地域資源を活用した交流人口の拡大に向けた取り組みも進んでいます。
 今後におきましても、被災地の復興については最優先課題として取り組むとともに、あまちゃんや平泉を核とし、県北・沿岸と県内外との交流、連携をさらに進めながら、三陸ジオパークや来年4月に全線開通予定の三陸鉄道などの地域資源を活用した取り組みも積極的に進めていくこととしており、市町村や企業を初め関係者と連携しながら、地域と一体となった産業振興に、県の総力を挙げ、重点的に取り組んでまいります。
 次に、県北振興についてでありますが、県北・沿岸振興本部は、市町村や地域関係者と連携しながら、関係各部と振興局が横断的かつ機動的に総力を挙げて県北・沿岸振興に取り組むため、副知事を本部長として設置されたものでありますが、東日本大震災津波以降は県北振興に重点を置いて取り組みを進めております。この本部会議において、各部局間で現状認識の共有や取り組みの方向性を確認しながら、県北・沿岸の発展なくして県の発展はないとの思いのもとに、特にも、県北地域における地域資源を最大限に生かし、地域と一体となって県北地域の産業振興に重点的に取り組んでまいりました。
 また、県北振興の計画については、いわて県民計画第2期アクションプラン地域編の県北広域振興圏の中で、県北地域において重点的、優先的に取り組む政策などを具体的に示しておりまして、本年度においても、現地県北振興会議の中で地域の方々から県政の施策推進に有用な意見を伺い、地域の実情や課題を把握しながら、振興施策を推進していくこととしています。今後におきましても、県本庁と県北広域局、市町村との連携を一層強化するとともに、地域の声をくみ上げ、地域と一体となって、県北地域の自立と活力を生み出す産業経済基盤の構築に向け、全力で取り組んでいきたいと思います。
 次に、世界遺産登録についてでありますが、釜石市の橋野高炉跡を含む明治日本の産業革命遺産の世界遺産への推薦が確定したことは、世界遺産登録に向けた大きな前進であり、復興に向けた地元の底力とさまざまな地域とのつながりの力を高めることに役立つものであります。平成27年の登録に向け、まずは平成26年2月までのユネスコへの推薦書提出に万全を期すとともに、来年度実施されるイコモスの現地調査にしっかりと対応していく必要があります。
 また、引き続き、登録に向け、資産の管理保全に対する専門的な助言など釜石市への支援を行うとともに、登録推進協議会事務局を担当する鹿児島県を初めとする関係自治体、そして国と緊密な連携を図りながら、登録が確実なものとなるよう準備を進めてまいります。さらに、シンポジウムの開催など、資産価値の情報発信に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) 台風18号による被害状況等についてでありますが、10月2日現在の被害状況は、人的被害では、死者1名、軽傷者5名となっており、住家被害では、全壊3棟、大規模半壊14棟、半壊46棟、一部破損4棟、床上浸水117棟、床下浸水231棟となっています。また、農林水産関係や土木関係などの被害総額は69億5、874万円となっております。
 次に、今後の復旧見通しについてでありますが、被害が甚大であった農業と公共土木施設については、まず、農業関係では、農地や用排水路等の農業用施設の復旧について、災害復旧事業の査定前着工制度を活用し、既に着手している地区等もありますほか、今後行われる国の災害査定を受けた地区から順次復旧工事に着手していきます。また、農業施設等についても、国の補助制度等を活用し、早期の営農再開を支援していくこととしております。
 次に、土木関係では、国の災害査定について、12月中旬以降、年内に実施できるよう国と調整を行っているところであり、災害査定が終了した箇所から、順次、緊急性等も考慮しながら工事発注を進め、早期復旧に努めてまいります。
 次に、これらの激甚災害指定の見通しについてでありますが、農地等被害については、全国を対象とする激甚災害、いわゆる本激に指定することが10月4日に閣議決定されており、10月9日に関係政令が公布、施行される予定となっています。
 また、公共土木施設等の激甚災害指定については、市町村ごとの被害額の把握と国への情報提供に努めているところでありますが、現時点で指定の見通しをお示しすることは困難でありますので、御理解いただきたいと思います。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、災害復旧事業に係る時間的な課題についてでありますが、公共土木施設等の災害復旧につきましては、被災した地域の方々が安心して暮らすことができるよう、できる限り早期復旧することが必要と認識しております。このため、被災箇所の調査につきましては、災害時における応急対策業務に関する協定に基づき、関係する業界団体等の御協力をいただきながら、速やかな調査ができるよう取り組んでおります。
 また、復旧工事につきましては、新たに用地の取得が必要となる場合などには、その対応に一定の時間を要する場合もありますが、災害査定が終了した箇所から、緊急性等を考慮しながら工事を発注し、早期復旧に努めているところであります。
 また、馬淵川におきましては、平成23年9月の台風15号による浸水被害に対応するため、災害復旧事業に加え、浸水被害を防止するため、平成24年度に災害対策等緊急事業推進費、平成25年度には防災・安全交付金による事業を導入し、河道掘削や築堤工事を実施しているところであります。現在、今回の台風18号に伴う被災状況や氾濫要因などについて調査、分析を行っているところであり、その結果を踏まえて、現在の改修計画の妥当性についても検証してまいります。
 次に、災害復旧制度の見直しについてでありますが、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法では原形復旧が原則とされておりますが、原形復旧が不適当な場合などには、材質や形状、構造などの質的な改良も認められているところであります。さらに、被害が大きい場合などには災害関連事業等を導入するなどして、抜本的な改良も可能となっております。これらの取り組みがより円滑に進められるよう、要件の緩和や運用の改善、手続の簡素化などにつきまして国に働きかけていくとともに、今後とも災害関連事業や災害対策等緊急事業推進費などを積極的に活用し、再度災害の防止に努めてまいります。
 また、事前防災の強化も地域の安全・安心のためには重要なことと認識しており、防災・安全交付金等の治水対策予算の拡大につきましても、引き続き国に要望してまいります。
 次に、市町村要望等による道路整備についてでありますが、毎年、道路整備の要望は数多くいただいております。県北地域の道路の現状は、県が管理する国道や主要地方道の改良率はほかの地域に劣らないものの、一般県道は未改良区間も多く、道路整備はいまだ十分とは言えない状況にあると認識しております。
 一方、橋梁を初めとする社会資本の老朽化等に伴い維持更新費用の増大が見込まれることから、新たな道路整備に投入できる予算は限られてくるものと考えております。
 このため、道路整備に当たりましては、県の公共事業評価制度に基づき箇所の選定や重点化を図っております。事業評価におきましては、国体などの関連事業の有無や地域の要望状況などを反映した多面的な評価を行っております。また、費用対効果の算定に当たりましては、広域振興局ごとに所得水準や物価水準等を勘案した補正を行うことで、公平性を考慮した評価を行っております。
 現在、県北地域では、広域的な幹線道路網としての浄法寺バイパスや、国体関連事業としても位置づけております国道340号九戸村泥ノ木、軽米町駒板などで県北振興に配意した道路整備を進めているところであります。今後とも、地域からの御要望に丁寧に耳を傾けながら、地域の振興施策や関連する事業などに対応した道路整備に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) ダムの放流と河川水位の上昇との因果関係及び洪水の未然防止に向けた有効活用でありますが、馬淵川支川の安比川の上流に設置されました荒沢1号、2号、3号ダムは、通常は貯水状態とはなっておらず、上流からの流入水が増加した場合には、一時貯留しながら一定量を放流する構造となっておりますが、今回の増水時の放流は、この一定量の放水にとどまっており、河川水位の急激な上昇を軽減したものと認識しております。
 一方、馬淵川支川の平糠川の上流に設置された大志田ダムは、河川整備計画上、洪水調整をしない、かんがい専用のダムであることから、計画満水位を上回れば下流域へ自然流下する構造となっております。
 今回の増水時の場合、二戸市の石切所観測所の水位で見ますと、大志田ダムの自然流下が始まった時刻は、石切所観測所の水位がピークを迎えていた時間帯であり、河川水位の上昇への影響は少なかったものと考えております。大志田ダムは洪水の未然防止に活用することは難しい面がございますが、ダムにおいて観測される水位の状況等の情報を住民の安全確保のために活用していくことにつきまして、ダム管理者である二戸市及び一戸町と協議していきたいと考えております。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) 復興予算の執行状況についてでありますが、平成24年度の復興関係予算の最終予算額7、117億円に対し、執行額は4、544億円、執行率63.8%となっております。差額の未執行分のうち、翌年度への繰越額は1、940億円、繰越率27.3%、不用額は633億円、不用率8.9%となっております。
 繰り越しが発生した主な事業は、漁港災害復旧事業386億円、中小企業等復旧・復興支援事業費補助346億円、水産業経営基盤復旧支援事業費補助81億円などであり、入札不調や用地取得の難航などにより工事着手の時期がおくれたこと、計画調整に不測の日数を要したことなどが、繰り越しが発生している主な理由となっております。
 次に、事業ニーズの縮小により不要となったものを除き、不用額が発生した主な事業は、漁港災害復旧事業費253億円、漁港機能復旧事業費68億円などであり、入札不調や他事業との調整に時間を要したことにより、年度内に事業着手できなかったことなどが不用額が発生している主な要因となっております。このため、事業実施が必要にもかかわらず、未契約のため繰り越し処理ができずに不用額と整理されたものについては再予算化を行ったほか、入札不調の解消や事業用地の円滑な確保により復旧、復興事業の一層の進捗を図り、復興におくれが生じないよう取り組んでまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 海外における市町村のトップセールスについてでありますが、市町村が海外において地域の個性的な資源を生かしながらブランドを形成し、地場産品の販路開拓等に積極的に取り組むことは、海外の活力を地域に取り込む戦略の一つとして地域経済の活性化に寄与するものであり、非常に有意義な取り組みであると認識しております。
 県といたしましては、このような市町村の取り組みや事業者の海外展開を総合的に支援するため、本年5月に、ジェトロ、産業支援機関、商工団体、金融機関等といわて海外展開支援コンソーシアムを設置し、現地情報や実務情報の提供、商談機会や人脈のあっせん、海外事務所によるサポート、さらには事業者に対する金融面や危機管理面での支援などを行っております。
 今後、増加が予想される市町村の海外展開の取り組みに向けては、市町村が行う海外展開に係る計画策定や事業実施、また、その事業に参画する関係事業者等に対し総合的な支援を行うことが重要と考えており、引き続きコンソーシアムを活用しながら、適切な対応を進めてまいります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) ドクターヘリの広域連携についてでありますが、北東北3県において、それぞれの運航方法や運航会社が異なる中で、安全かつ円滑な運航を確保するため、要請手続や離着陸場所への連絡手段などを定めた運航マニュアルを策定し、本年4月10日から広域連携によるドクターヘリの運航を試行しております。現在までに、議員御指摘の事案も含め、3件の事案の報告があり、いずれも円滑かつ臨機応変に対応されたと考えております。
 一方、本県県北や沿岸の市町村などからは、まずは自県のヘリを要請するという現行のルールにこだわらず、救命救急の現場に、より短時間で到着可能なドクターヘリに直接出動要請できるよう、運用の柔軟化やマニュアルの見直しなどを求める要望もあります。こうした地域の要望に対応していく上では、3県において他県に出動することについて住民の理解を得るとともに、出動を要請する消防やヘリ運航会社も含めて協議していくことが必要であると考えております。
 県としては、今後、本格的な広域連携による運航に移行していく過程において、3県において運航の実績や課題等を検証し、必要な見直しを行っていくこととなると考えており、地域の声や関係者の意見も踏まえて、より効果的な運航が実施できるよう協議を進めていきたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、生徒の情報環境のあり方についてでありますが、児童生徒を取り巻く情報環境は、日々高度化、複雑化しており、中にはネット依存に陥って健康を損なう状況にあることも指摘されているところでございます。このような状況を踏まえ、情報リテラシー全般にわたる能力の向上とともに、氾濫するネット上の情報とのつき合い方等、情報化のいわば影の部分を十分理解した上で情報社会に参画する態度を育てていくことは、今後ますます重要になってくるものと考えております。
 今定例会に御提案しております情報モラル教育推進事業では、県立総合教育センターに体験学習用のスマートフォン等高機能携帯端末を整備し、児童生徒や教職員等の研修を計画しているところでございます。具体的な研修の中身としては、スマートフォン等に対応した教材の開発を行い、実物を操作しながら、その危険性を体感し、理解できる研修をイメージしております。本事業により期待される成果といたしましては、体験を通じて情報モラルを学ぶことにより、スマートフォンやインターネットに絡む影の部分に対する理解が深まり、各家庭や地域とも課題意識を共有することによって、児童生徒の健全育成に資するものと考えております。
 また、今後の取り組み方針についてでありますが、本事業の推進を通じて教職員や児童生徒の研修をさらに充実させるとともに、関係機関とも連携し、保護者や地域の啓発に粘り強く取り組んでいく考えであります。
 次に、特別支援学校高等部の設置についてでありますが、県では、共に学び、共に育つ教育の実現に向け、地域の現状と保護者のニーズに応じて特別支援学校に高等部を設置してまいりました。また、現在策定作業中の次期いわて特別支援教育推進プランにおいては、高等部教育へのニーズが多様化している状況から、今後、県全体としての高等部における教育のあり方を検討し、さらなる特別支援教育の充実を目指してまいります。
 二戸及び遠野地域につきましては、中学部分教室に在籍している生徒の卒業後の進路が重要な教育課題ととらえております。したがいまして、児童生徒の進路希望や保護者の意向を伺い、関係機関と調整を図りながら、高等部分教室の設置等について具体的な方策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、二戸地域への特別支援学校の設置についてでありますが、これまで、二戸地域には特別支援学校の設置を望む声があることは承知いたしておりますが、現在、震災津波からの復興に優先的に取り組んでいる現状においては、直ちに整備することは困難な状況にございます。したがいまして、今後の二戸地域の児童生徒の動向やインクルーシブ教育に関する国の動き等を十分に見据えながら、総合的な見地から検討する必要があろうと考えております。
 次に、北海道・北東北の縄文遺跡群の登録についてでありますが、本年度の推薦が見送られた理由について、8月に開催された文化審議会の詳細な審議内容は公表されておりませんが、会議終了直後に文化庁長官が報道関係者に対して発言された内容によりますと、北海道と北東北に限定する理由が十分でないという地域設定の課題等が指摘されております。
 このことから、まずは、指摘された課題について詳細な情報を収集し、課題の調査、分析をすることが必要だろうと考えております。それらの課題について、国内外の専門家の助言や文化庁の指導をいただき、今後とも、一戸町を初め、関係道県が連携を図りながら課題解決に向けた取り組みを進め、早期にユネスコへの推薦が可能となるよう準備を進めてまいります。
   〔警察本部長田中俊恵君登壇〕
〇警察本部長(田中俊恵君) 犯罪被害防止のための安全教育等についてでありますが、全国的にLINEなどインターネットサイトの利用に起因する少年の福祉を害する犯罪が増加しており、本県においても、8月末現在で青少年のための環境浄化に関する条例違反等、11人が性的被害となる事件を検挙しているところであり、極めて憂慮すべき状況にあります。
 このような状況を踏まえ、県警察といたしましては、児童生徒や学校関係者、保護者等に対して、特に性的被害防止のための広報啓発活動を実施しているところであります。
 具体的には、県内各地の学校や地域からの要請を受け、身近な検挙事例をもとにした安全なインターネット利用教室、サイバーセキュリティカレッジを開催したり、防犯教室においてもこの種の話題を取り上げるなど、さまざまな機会を利用してインターネットサイトに潜む危険性を重点的に指導し、正しい携帯電話等の利用に関する啓発を図っております。
 そのほか、携帯電話等の販売業者に対しましても、児童生徒が購入する際に、違法有害なサイトに接続しないようフィルタリングの促進を要請しているところであり、今後とも、これらの活動を継続実施して被害防止に努めてまいります。
〇32番(五日市王君) 御答弁ありがとうございました。
 台風18号に関しまして、一つだけ、県土整備部長にお伺いいたします。
 金曜日の嵯峨壱朗議員からも御質問がありました。私も、河川氾濫を防ぐ対策としては、河道掘削というのは極めて有効な手段であろうと考えてございます。地元からも、何か、10年も前にはよくやっていたんだけれども、ここしばらくやったのを見たことないなというような声もたくさん聞いています。2年前の災害を受けまして、先ほど御答弁あったように、一部やったところもありますし、これから河道掘削をやろうとしていたところもあるのは承知しておりますけれども、いずれ、ちょっと地元のことで恐縮ですが、馬淵川、安比川では、河道掘削が行われた実態というのがどうなっているのかというのを、わかれば教えていただきたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 馬淵川や安比川におきましては、昭和40年代までは、民間により砂利採取が行われてきておりましたが、近年は、希望者がいないということもございまして、全県的な状況でございますが、行われていないという状況になっております。
 なお、県では、必要に応じて各河川の河道掘削を行ってきております。馬淵川や安比川で申し上げますと、平成23年度に約5、000立方メートル、平成24年度には約9、000立方メートルの掘削を実施しております。
 また、現在、馬淵川におきましては、先ほど申し上げましたように、推進費や交付金により河川改修を行っているところでございますが、安比川につきましても、河道掘削とあわせ、浸水被害のあった区間について新たな事業の導入も検討しております。
〇32番(五日市王君) ところどころ、いろいろ災害のたびにやっていただいているのですが、いずれ40年代ごろまでは見られたということで、私も40年代生まれでございますので、それからいくともう40年ぐらいやっていないところもあるということだと思うので、これに関しては、嵯峨議員への答弁で、知事も、しっかりと取り組むというようなお答えをいただいておりますので、私からも、ぜひとも、これは全県的にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それと、もう一つですが、今回も県道あるいは主要地方道というところが、県北地域においても冠水なんかで通行どめの箇所が発生いたしております。二戸市は、先ほど3年に1度のペースだということでお話をさせていただきましたが、箇所箇所は違っても、やはり必ずどこか県道、国道も含めてなんですが、大雨のたびにそういう通行どめの箇所が出てくるんですね。
 御案内のとおり、県北地域は中山間地域でございまして、主要な国道、あと県道とかが通行どめになると、迂回路の市町村道というものも、実は、迂回路のほうが河川の氾濫が心配される場所のそばを通ったり、あと、山のほうから迂回すると崖崩れが心配される場所というのが数多く存在しております。
 そういった意味から、いわゆる危機管理上からも、安全保障の観点からも、実は、そういったことに住民の方は大変不安を感じてございます。ですから、これは完璧というわけにはいかないと思いますが、国道、県道、主要地方道は、極力通行どめがないように、ふだんの管理にぜひとも万全を尽くしていただきたいというのは、これは要望なんですが、決意のほどをお伺いして、終わりたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤悟君) この夏に3度の豪雨災害をこうむりました。台風18号で申し上げますと、大雨洪水によりまして、県管理道路では18路線25カ所で全面通行どめとなっております。通行どめの箇所につきましては、発災直後から、崩落土砂の除去、倒木処理等を進めたほか、二次災害が発生しないよう、応急工事を実施するなどして通行の安全を確認しながら、孤立状態の集落等が極力発生しないよう対応してきております。
 日常的には、道路パトロールなどにより、異常箇所の早期発見、早期対応に努めているほか、落石防護柵やロックネット工といった防災対策を進めてきております。
 さらに、道路の冠水対策につきましては、道路排水施設の適切な維持管理に努めるとともに、河川の改修計画や現地の状況等を踏まえながら、必要に応じて道路のかさ上げも検討してまいります。
 今後とも、危機管理や安全確保の観点から、災害に強い道路の整備や維持管理に努めてまいります。
〇議長(千葉伝君) 次に、佐々木順一君。
   〔38番佐々木順一君登壇〕(拍手)

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