平成25年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇34番(小田島峰雄君) いわて県民クラブの小田島峰雄でございます。
 私ども10名は、このたび新しい会派、いわて県民クラブを結成いたしました。新会派結成後、初めての一般質問であります。
 分権時代に対応するためには、地方議会においても独自性と自己責任が求められており、議会に与えられた最大の権限は議決権でありますが、同時に、地域の実情に合った課題をすくい上げ、それらを政策に起こし、執行機関と建設的な議論を展開することが住民の負託、信頼に応えるものだと私は確信いたしております。
 私どもの会派結成理念は、一つには、国政政党の縛りを受けない自己完結、自己責任に立脚した県民党的会派を目指す、二つには、首長と議会が民意の反映を政策で競い合う二元代表制の機能強化を達成するための活動を行う、三つには、清新で民主的な岩手の政治風土の確立に寄与する活動を行う、以上の3点であります。達増知事を初め執行部の皆様におかれては、いわて県民クラブは結成の理念に沿って積極的な政策提言を進めてまいりますので、今後ともどうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、通告に従い質問いたします。
 岩手県政にあって最大の課題は、東日本大震災津波からの復興であります。復興計画において現在は初動期から中期に入ってきており、ハード事業とソフト事業が調和しながら、被災地の需要と将来の展望に適切に合致した対応を県は主導的に行うことが求められております。一方、復興予算にあっては、国の財政出動で中期的にはめどが立ちつつも、近い将来、人口減少による基準財政需要額が低下の一途をたどることが予想できることから、予算における財源の確保は不可欠であるものの、同時に、分権社会を展望し、真の住民自治を目指していくために、被災地自治体、県、いずれにおいても復旧、復興対策を踏まえた財政規律の堅持において明確な戦略と対応が必要と考えますが、分権と復興が抱える以上のような問題に関する知事の基本的考えについてお伺いいたします。
 また、知事と被災自治体の首長との意思疎通についてはこれまでも県議会において問題提起されておりますが、現状の実態と問題意識についてもお答え願います。
 次に、ILCの展開について知事にお伺いいたします。
 研究者で構成される立地評価会議は、北上高地が国内候補地としてふさわしいとの結論を下しましたことから、いよいよ国際プロジェクトとしての受け入れ決定が待ち望まれるところであります。そこで、政府への働きかけについては引き続き行うことが求められますが、政府側からも、プロジェクト受け入れ側として、一体岩手県は何が準備できるのか具体的な対応策の提示が強く求められることも容易に想像できるのであります。ILCは国家プロジェクトであり、当該自治体として明確なビジョンと知事のリーダーシップがこれからさらに問われると思うのでありますが、どのように対応されるのか、今後の展開策と知事の主体的な役割をお示し願います。
 次に、東日本大震災津波からの復旧、復興についてお伺いいたします。
 東日本大震災津波から2年6カ月余りが経過し、間もなく発災から3回目の厳しい冬を迎えようとしておりますが、いまだに3万6、000人を超える方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされております。最近になって、ようやく災害公営住宅の完成や高台移転工事の着工等、被災者の方々にとって明るい希望を持てる話題も耳にするようになってきましたが、9月26日公表されたいわて復興ウォッチャー調査によりますと、被災者の生活は被災前と比べてどの程度回復したと感じますかとの問いに対し、余り回復していない、あるいは回復していないと回答している方が3割以上もいるなど、被災者目線からすれば依然として復興が加速していないと感じざるを得ません。被災者の方々にとっては、一日も早く応急仮設住宅等での不自由な生活から脱却し、安心して暮らせる環境を手に入れることが最大の願いであります。被災者の方々のこうした願いをかなえるためにも、災害公営住宅や宅地を提供するための高台移転地の造成、土地区画整理事業等による市街地の早急な整備が必要と考えますが、これらの事業の現在までの進捗状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
 また、被災地の皆様方にとって、暮らしの再建を進める上で基本となる住宅再建、特に持ち家の再建は最も切実な問題であると思われますが、その前提となる移転先の宅地の造成工事がなかなか目に見えてこないなど、今後の生活の再建に対して見通しを立てられないことに大きな不安を抱えている方が多くおられます。復興まちづくりの各事業を加速することはもとより、このような方々の不安を解消するための情報提供についても大変重要と考えますが、このことに対する御所見とともに、持ち家の再建に当たっては、お一人お一人の状況に応じて、さまざまな支援制度を活用しながら進められることが肝要と考えますが、支援の内容及び持ち家の再建状況についてもあわせて伺います。
 さらに、県ではこれまで、被災者を中長期的に支援するため、こころのケアセンターを設置し活動を行っていると承知しておりますが、仮設住宅での生活が長期化する中で、被災者の心のケアを行う上で、関係機関や団体とどのような連携を行っているのかについてもお答え願います。
 次に、災害関連死についてお伺いいたします。
 9月13日付で日本弁護士連合会は、復興大臣、内閣府特命担当大臣、厚生労働大臣に対して震災関連死の審査に関する意見書を提出いたしました。この意見書において、日弁連が2月に行ったアンケート調査の結果をもとに災害弔慰金の支給に関する審査会のあり方などについて提言がなされております。
 そこで、アンケートの調査内容はどのようなものか、県として調査結果をどのように捉えているのか伺います。また、意見書の内容についての県の御所見もあわせて伺います。
 次に、資材価格、労務費の高騰などへの対応についてお伺いいたします。
 被災地においては、復旧、復興工事が本格化するにつれ建設資材が不足し、それに伴い資材価格の上昇が発生しておることは御案内のとおりであります。例えば、宮古地区の生コンクリートの単価は、被災前の1万2、000円から現在では2万200円と約7割も上昇しているほか、石材の単価も被災前の2、000円から2、800円と約4割上昇するなど、沿岸地域で著しく価格が上昇しております。また、労務単価につきましても、労働者の減少に伴い全国平均で前年度比15.1%、岩手県におきましても前年度比23.3%上昇するなど、極端な高騰となっております。これら資材価格や建設労働者の労務単価の上昇は入札不調、不落を招き、結果として復興のおくれにつながると考えられますが、本県における入札不調の実態と対応についてお伺いいたします。
 復旧、復興事業を加速化させていくためには、円滑に事業用地を確保し、いち早く工事に着手する必要がありますが、災害公営住宅を例にとりますと、8月8日に開催された東日本大震災津波復興特別委員会において、執行部から建設用地や資機材、作業員の確保の難航などの理由により復興ロードマップの工程が延びている旨、説明があったところであります。国では、用地取得について、住宅再建・復興まちづくりの加速化措置として、土地収用手続の効率化や財産管理制度の円滑な活用などの対策を示しておりますが、これらの措置は果たして問題の解決になっているのでありましょうか。
 そこで、用地取得に当たっての問題点は何か、現行制度で改善すべき点があるとすればそれは何か、また、県は、それらの問題に対し、これまで国に対しどのように働きかけてきたのか、それに対する国の姿勢はどうかお伺いいたします。
 東日本大震災津波からの復旧、復興についての質問の最後に知事にお伺いいたします。
 達増知事は、このほどいわて復興塾を設立すべく県内の重立った方々に働きかけを行っているとお聞きいたしましたが、御承知のとおり、現在、国、県、市町村はもとより、民間の方々のお力もおかりし、総力を挙げて東日本大震災津波の復旧、復興に取り組んでいるさなか、一体何を狙いとして設立されるのか、その設立趣意についてお伺いいたします。このことにつきましては、先ほど嵯峨壱朗議員の御質問もあったところでありますが、改めてお聞きいたします。
 いわて復興塾は一般社団法人であり、設立時の役員には理事として達増知事と知事秘書の方が御就任されるようでありますが、組織体制はどうなっているのか、運営のための財源は何か、基金を設けるとのことでありますが、その基金の使途は何か、また、何よりいわて復興塾は東日本大震災津波の復旧、復興にどのような役割を果たしていくのかお答え願います。
 次に、本県農業の振興についてお伺いいたします。
 最初に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP問題についてお尋ねいたします。
 このことにつきましては、年内合意を目指して、目下、関係12カ国間で真剣な議論が行われていると承知しておりますが、このところの報道によれば、先進国と新興国の思惑の相違や、競争政策分野で協議されている国有企業の問題と、投資分野で外国企業のビジネス条件を自国企業と同等に扱う内外無差別の原則、TPP協定交渉参加国と不参加国との間で製品の国籍を判断する基準となる原産地規則、さらには、関税をなくす品目の割合を示す貿易自由化率等々をめぐり、交渉の複雑化とともに妥結に向けた困難さが際立ってきたと思われてならないのでありますが、まず知事は、この間の協議をどうごらんになり、交渉の行方をどのように推測しておられるかお伺いいたします。
 また、我が国は、米、麦、牛、豚肉、乳製品、サトウキビなど甘味資源作物の重要5品目は関税撤廃の対象外とすべく交渉に臨んでいると承知しておりますが、同一歩調をとる米国が交渉妥結に向け譲歩しているとの情報もあり、我が国にも譲歩圧力が高まってくると思われますが、最後まで重要5品目のいわゆる聖域を守ることができるとお考えかお伺いいたします。
 さらに、交渉いかんによっては、協定の批准に当たって再び国論を二分する激しい議論が想定されますが、本県農林水産業に多大な影響を及ぼすおそれのあるTPP問題に関し、改めて知事の基本的な姿勢をお伺いするとともに、今後、政府に対し、どのようなアクションを起こしていくお考えかお伺いいたします。
 次に、津波被災農地の復旧、復興についてお伺いいたします。
 私は、先月、岩手県議会農業農村整備推進議員クラブの一員として、同僚議員とともに津波で被災した農地の復旧現場を視察させていただいたところであります。陸前高田市の小友地区、大船渡市の吉浜地区、いずれも農家の皆さんが話し合いの中で、農地や農道、用水路、排水路を単なる原形に復旧するのではなく、隣接する未被災農地を含め区画を広げ、道路も水路も再配置する圃場整備を選択したという地域でありました。
   〔副議長退席、議長着席〕
 被災当時は地震で地盤が沈下し、その後に襲ってきた津波により長年肥培管理され培われた貴重な耕作土が流され、かわって土砂や瓦れきで埋め尽くされた農地を目の当たりにし、誰しもが途方に暮れたとのお話をお聞きし、胸が塞がる思いをいたしたところであります。
 視察した現場では、土砂や大きな瓦れきが取り除かれた農地を何台ものダンプが行き来し、地盤のかさ上げに必要な基盤土が運び込まれ、大型のブルドーザーで敷きならす作業などが進められており、着実に復旧、復興が前進していることを実感してまいりました。改めて現地の農家の皆さんの熱意や御努力に敬意を表しますとともに、日夜を分かたぬ献身的な作業に当たっておられる執行部の皆さんに対してもこの際感謝申し上げる次第であります。
 そこでお伺いいたしますが、津波で被災した農地の現状と来春の作付時期までの復旧見通しはどうなっているのか、また、復旧工事にいまだ手つかずの被災農地もあるとお聞きしますが、そうした農地の復旧、復興を進めていく上での課題と今後の見通しはどうなっているのかお尋ねいたします。
 次に、農地の復旧が進む一方で、復旧後に作付が行われなかった農地があったともお聞きいたしました。長引く避難生活など、営農再開が容易でない状況の中で、そのような農地はどれくらいあり、作付されなかった主な要因は何か、また、今後の作付に向けてどのように取り組んでいくお考えかお尋ねいたします。
 次に、農地の効率的活用に向けた取り組みについてお伺いいたします。
 本県は、広大な県土と農地を有し、食料供給基地としての役割を担っておりますが、私の住む東和地域も含め、県内の農村地域においては農業従事者の減少と高齢化が着実に進行し、担い手、後継者不足が深刻化しております。このため、県内各地域では、集落営農組織や個人の担い手などへの農作業委託や賃貸借契約の締結、また、圃場整備事業によるハードとソフトが一体となった制度も活用しながら農地の利用集積を進め、農業経営の維持と農地の保全に取り組んでいると承知しております。一方で、中山間地域における小規模あるいは点在する農地は作業効率が悪く、農業従事者が減少する中にあって、そのまま放置されていくのではと懸念しております。こうした中、国においては、担い手への農地集積と耕作放棄地の発生防止、解消の抜本的な強化に向け、農地の中間的な受け皿として農地中間管理機構の設置を検討していると報道されております。私は、これからの岩手の農業の維持発展のためには、今後も進行するであろう農業従事者の減少に対応した農地利用集積の取り組みがしっかりと機能する仕組みづくりが必要であると考えております。
 そこでお伺いいたしますが、こうした動きがある中で、県ではこれまでも種々の対策を講じてきたと承知しておりますが、耕作放棄地も含めた今後の農地利用集積向上に向け、どのように取り組んでいくこととしているのかお尋ねいたします。
 また、農地中間管理機構につきましては、業務の一部を市町村や農協等へ委託するなど、制度の仕組みについてさまざまな報道がなされておりますが、詳細な制度設計は依然として不明であり、農家や農協の一部には歓迎する声がある一方、現在、進められている人・農地プランとの整合性も含め、冷ややかな見方をしている向きも少なくありません。
 そこで、現時点でその検討内容について県ではどの程度把握し、分析しておられるのか、課題や懸念される点は何か、さらに、具体策について国に対し何かアプローチしているのかお尋ねいたします。
 次に、地域医療の確保対策についてお伺いいたします。
 最初に、岩手県立病院等事業会計の財政状況についてお尋ねいたします。
 先ごろ公表されました平成24年度岩手県立病院等事業会計決算を見ますと、7年ぶりの黒字決算となり、累積欠損金も前年度を13億円余下回る191億7、900万円となっております。診療報酬のプラス改定が収支に大きく寄与したとはいえ、関係各位の経営努力に改めて敬意を表する次第であります。
 これまで、県立病院の経営改善を図るべく無床診療所化を初めとする一連の改革と再編が進められてきたところであり、そのことをめぐって県議会においても激しい議論が交わされたところであります。そのような中、達増知事におかれては、東日本大震災津波発災後、いち早く被災県立病院の再建を表明され、今日まで懸命に取り組んでこられたその姿勢を高く評価するものであります。
 しかしながら、いよいよ来年度から沿岸被災病院である大槌、山田、高田の3県立病院の建設が順次進められ、大東病院についても来春の入院再開を目指して増改築工事が行われていること等を考えると、果たして建設に要する財源のめどは立っているのか、また、平成24年度決算では、高田病院を除き、大槌病院、山田病院、大東病院は合わせて4億1、000万円余の赤字となっていますが、再建及び入院再開後の収支見通しと赤字解消の手だてはどうなっているのか、さらに、中長期にわたる県立病院等事業会計の収支見通しはどうなっているのか、懸念される点も少なくありません。これらの点について御所見をお伺いいたします。
 また、過日発表された(仮称)岩手県立病院等の経営計画中間案によれば、計画期間である向こう5年間は現行の20病院、6地域診療センターを維持するとしておりますが、依然として改善のめどが立たない医師不足問題にどう対処していくのか、深刻化している現場の医療従事者の負担をどう解消し、医療の質や患者サービスの向上を図っていくのかお伺いいたします。
 さらに、これまでもそうでありましたように、病院経営は診療報酬の改定により大きく左右されてまいりましたが、国民医療費が年々増加している現在、医療費を抑制するために、今後マイナス改定がなされた場合、どのようにして安定した経営を維持していくのかあわせて伺います。
 次に、統合により廃止された県立病院の跡地利用についてお伺いいたします。
 本年2月県議会におきまして名須川晋議員と私が旧花巻厚生病院の跡地利用について御提言いたしたところでありますが、財源難を理由にいささか冷ややかなお答えを頂戴いたしました。長年にわたり地域医療に貢献した病院ではありますが、役割を終えた施設につきましては、無残な姿をさらしておくのはしのびがたく、感謝の気持ちを込めて粛々と解体撤去すべきであるという考えはいささかも変わっておりません。このことについては地元の花巻市とも協議されていることと思いますが、この際、改めてどのように対処していくお考えかお尋ねいたします。
 また、多くの市民が病院跡地の土壌汚染や医療廃棄物埋設の可能性を懸念しております。将来的な跡地利用に際して、これらの問題にどのように対応するつもりであるかについてもあわせてお尋ねいたします。
 次に、教育の振興についてお伺いいたします。
 最初に、県立高校の再編についてお尋ねいたします。
 このことにつきましては、県立高等学校新整備計画後期計画に基づき、平成21年度を目標年次として再編が行われてきたものと承知いたしておりますが、その後の計画につきましては、東日本大震災津波を挟み、諸事情により策定を見合わせていると聞いているところであります。本年8月、平成26年度の県立学校の編成について説明がなされ、福岡高校浄法寺校の募集停止を含め来年度は3学級を減ずる案とのことでありますが、単年度限りの措置ではなく、将来を見据えた本県高校の編成を考えていくべきとの観点から質問いたします。
 平成25年から10年間の中学校卒業者の推移を見ますと、いずれの地域におきましても減少傾向が続き、平成34年3月の見込みで、平成25年3月と比較し、実に1、881人、40人学級にして47学級の減少となっております。加えて、学校ごとの生徒数の偏在も顕著であり、特に、いわゆる小規模校にあっては、近い将来、現在の学級数を維持することができるか極めて疑問であります。学校の統廃合につきましては、特に所在市町村においては重大な問題であり、時に市町村の土台を揺るがす一大論争を巻き起こす事案であることは承知いたしておりますが、何よりこの問題を考える際、重要なことは、子供たちの立場に立って事を決していかなければならないということであります。子供たちの数が少なければ少ないほどいいという考えは論外であります。学校というものは、一定の規模があり、多くの子供たちを競争と協調の中で育んでいくことが必要であると私は信じております。再編を進めるに際し、経済的問題や遠距離通学の問題などさまざまな課題が生じてまいりますが、それは別途、手厚い対策を講じていくべきことと思うのであります。かつて私も、町内6小学校を1校に再編すべく取り組んだことがあります。連日の座談会で議論百出、最後は、鬼の小田島、悪代官の小田島と呼ばれておりましたが、統合成りました現在は、仏の小田島と呼ばれております。
 そこでお尋ねいたします。第1に、少子化の大きな流れの中に位置する県立高校の現状をどう見ておられるのか、第2に、学校の規模、生徒数と教育との関係についての御見解、第3に、震災津波という未曾有の大災害の影響はポスト整備計画に少なからぬ障害となると思いますが、早急に策定すべき時期に立ち至っていると考えますが、いつ着手するおつもりかお答え願います。
 次に、本県児童生徒の学力向上対策についてお尋ねいたします。
 過日、文部科学省は、4月に実施した全国学力テストの結果を公表いたしました。それによりますと、秋田県が小中6科目で1位、他の2科目でも2位、本県は、小学校国語A、B2科目では9位と健闘しているものの、算数Aは15位、算数Bは24位、中学校数学A、Bに至っては45位となっております。この結果を受けて、県教育委員会は去る8月、特に中学校数学については、正答数分布状況において、全国の状況と比べて明らかに課題が見られるとコメントを出しております。私は、学校教育は学力だけが全てではなく、全人格的教育が重要であると思っておりますが、この結果を見て、小学校高学年から算数、数学嫌いの子供たちが多くなっていることを懸念しております。ILCの誘致に全県挙げて取り組んでいる今、理系に秀でた子供たちの教育も喫緊の課題でありましょう。
 そこで、小中学校の算数、数学の教育において何が課題となっているのか、具体的な対策をどう講じていくのか、現場の教師と問題を共有しているのか、秋田県の教育に学ぶべき点はないかお答え願います。
 以上で私の質問を終わりますが、答弁によっては再質問いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小田島峰雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復旧、復興対策を踏まえた財政規律の堅持についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業については最優先で取り組むこととし、被災市町村と緊密な連携を図りながら、本格的な復興に向けた基盤づくりを集中的に行っているところであります。
 こうした復旧、復興事業を進めていく上では、国費による財源措置費によって対応していますものの、本県独自に復興と位置づけているILCの誘致や三陸ジオパーク推進費を初めとした三陸創造プロジェクトなど、必ずしも国費による支援の対象とならない事業も含め、復興計画に掲げた事業に取り組みながら、いわて県民計画に掲げる施策や希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進していくこととしております。
 一方、公債費や社会保障関係経費の増大が進んでいる通常分の予算にありましても、県民の暮らしの安定や地域経済の下支えなど、一定の行政サービスに要する財源も確保していかなければならないところであり、財政規律の堅持については、事業効果、効率性を検証し、中長期的な見通しのもとに政策の優先度に応じた財源の最適配分を図り、一層の選択と集中を進めながらさらなる創造と工夫を凝らし、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
 なお、復興を加速させていくための課題の一つである財源については、県及び被災市町村の復興のために必要な措置が実施されるよう、復興が完了するまでの間の確実な財源の確保等について国に要望してまいります。
 次に、被災自治体の首長との意思疎通についてでありますが、迅速な復興を実現するためには、市町村と県、国が連携を密にしながら、被災者に寄り添い、復興計画に基づく取り組みを一体的に進めることが重要であります。このため、沿岸13市町村長で構成する復興期成同盟会や県と市町村との意見交換会などの場で復興に向けた議論を行っていますほか、大震災の発生直後からこれまで延べ126回、沿岸市町村を訪問する中でさまざまな機会を捉えて意見交換を行ってきたところであります。
 また、沿岸及び県北広域振興局長や復興局の幹部職員などに市町村長等を頻繁に訪問するようさせており、その意見交換の中で、復興事業の進捗状況や直面する課題等を把握し、これらを踏まえて、復興交付金事業の導入や復興整備計画策定の支援、復興事業に要する用地の円滑な確保に向けた国への要望などを行っているところであります。
 今後におきましても、地域に根差した復興を実現するために、引き続き市町村長との対話と連携を進めつつ、県の組織を挙げて、被災市町村の実情とニーズの把握に努め、市町村と一体となった復興に取り組んでまいります。
 次に、ILC誘致に向けた今後の展開策等についてでありますが、ILCは多くの国が参加する国際プロジェクトであり、建設地となった周辺自治体には、数千人に及ぶ外国人の研究者等が居住することが見込まれるなど、地域としては、ILCの受け入れ環境整備などの課題に着実に取り組む必要があります。
 このことから、現在、県庁に、外国人研究者の子弟の教育、医療の体制整備、まちづくり、産業振興の四つのワーキンググループを組織し、現状分析や課題の洗い出し作業等を行っており、関係市や大学、民間団体、住民の皆さんとも連携しながら、具体的な受け入れの準備を進めているところであります。
 また、外国政府の理解を得ていくことも重要でありますので、先般の私の訪米時において、アメリカ政府関係者や民間団体の方々に対しILCの実現に向けて直接説明し、働きかけを行いましたほか、先日、東京で開催された日本・米国中西部会においても、アメリカ中西部の州知事を初めとした方々に同様の説明を行ったところであります。
 今後も機会あるごとに、国内そして外国の政府や要人の方々に、本県でのILCの実現を積極的に訴えてまいります。
 次に、いわて復興塾に関するお尋ねについてでありますが、塾という形で、岩手の復興にかかわる者が災害対策や復興について、分野や組織の壁を越え自由な個人として教え合い学び合う場をつくることについては、現在、特定の方々に相談をさせていただいている最中であり、きちんとした形で公表できるところまで準備が進んだ段階で対外的にしっかり説明をさせていただきたいと考えておりますので、御了解をいただければと思います。
 次に、TPP協定の交渉の行方についてでありますが、我が国が7月23日にTPP協定の交渉に参加して以降、政府は交渉の内容について十分な情報開示を行っておらず、TPP協定によって大きな影響を受ける本県の農業生産者は、十分な国民的議論や説明もない中でのTPP参加に反対する要請活動を行うなど、交渉の経過を不安な気持ちで注視しているところであり、私もその思いを共有しております。
 交渉については交渉参加国が複数あり、また、それぞれ固有の事情を抱えていることや、政府が十分な情報開示を行っていないことなどから、その行方を見通すことは困難と考えております。
 次に、重要5品目についてでありますが、今申し上げましたとおり、政府は、交渉内容に係る具体的な情報を明らかにしていないことから、いわゆる重要5品目の取り扱いを見通すことは困難と考えております。しかしながら、重要品目とされる米、牛肉、豚肉、乳製品は本県にとって関係する生産者も大変多く、また、生産額も農業全体の約半数を占めるなど、極めて重要な品目であり、農業生産はもとより、農村そのものにも重大な影響が懸念されますので、国益にそぐわない交渉は行わないよう、引き続き政府に強く要請してまいります。
 次に、TPP問題に関する基本姿勢についてでありますが、TPP協定は、本県の基幹産業である農林水産業のみならず、投資、医療、労働、政府調達など、国民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。
 交渉を行う政府は拙速に走ることなく、十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くした上で慎重に判断し、地方の経済活動や国民生活に影響が生じると見込まれる場合には、交渉からの撤退も含めて、断固たる姿勢で臨んでもらいたいと考えております。特に、TPP協定が、東日本大震災津波からの復興の途上にある被災地域の活力を損なうことがあっては決してならないと考えております。
 政府に対しては、これまでも機会あるごとに本県の考えを要望してきたところであり、今後とも機会を捉えて要望してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 災害公営住宅や高台移転地の造成工事等の進捗状況と今後の見通しについてでありますが、災害公営住宅は、県全体で6、086戸を整備する計画となっており、県で2、905戸を、市町村で3、181戸を整備することとしております。8月末時点で251戸が完成しており、また、用地測量について地権者の内諾をいただいたものが4、119戸、そのうち工事に着手しているのが905戸となっております。今年度中に合計で797戸が完成し、平成28年度までには全ての災害公営住宅が完成する予定であります。
 次に、宅地整備に係る本年9月末現在の事業の進捗状況でありますが、防災集団移転促進事業は53地区で計画されており、このうち18地区が造成工事契約済みで、3地区で住宅建築が一部可能となっております。残りの地区におきましても、年度内に全ての地区で造成工事に着手する予定であり、今後、住宅建築が可能となる宅地がふえてくるものと認識しております。
 土地区画整理事業は、18地区のうち15地区で事業認可を得ており、12地区で土地区画整理審議会を設置し、移転先の配置等を定める仮換地の手続を進めております。また、仮換地指定の手続と並行して、6地区で起工承諾により造成工事に着手しており、平成26年度には一部造成地で住宅建築が可能となるものと認識しております。このほか、漁業集落防災機能強化事業では、全40地区のうち14地区で工事契約済みであり、そのうち4地区で住宅の建築が可能となっております。
 県といたしましては、今後とも、施工確保対策連絡調整会議等を通じて円滑な工事の実施に努め、一日も早く、被災された方々が安心して暮らすことができるよう、鋭意取り組んでまいります。
 次に、資材価格、労務費の高騰などへの対応についてでありますが、平成23年度における県営建設工事の入札不調の割合は9%、平成24年度の割合は12%、平成25年度は8月末までの割合で12%という状況になっており、2、500万円未満の小規模工事で不調が多く発生しております。
 建設資材の価格は、特に沿岸部の生コンクリートや石材などが震災前と比較して大きく上昇しており、毎月実勢価格の動向を把握し、随時、建設資材の設計単価を改定しているところであります。
 また、設計労務単価につきましても、昨年度と比較して全ての職種におきまして大幅に上昇しており、国からの改定通知を受けて本年4月に速やかに改定しております。
 県では、工事請負契約締結後における単価適用年月の変更や急激な価格上昇に伴う単価改定いわゆるインフレ条項の適用、コンクリート類への単品スライドの適用などの対応をしているところであり、今後とも、国や関係機関と連携し、実勢価格を反映した予定価格等の算定に努めてまいります。
 次に、事業用地の確保についてでありますが、用地取得に当たっての問題点は、取得予定用地の約3割に相続未処理や共有、所有者不明等の懸案事項が存在しており、特に、相続未処理の土地が多数存在しているため、権利調整の長期化が懸念されるところであります。このため、県では、用地取得のさらなる加速化や早期の工事着工に向けた特例措置として、これまで国に対し、同じ課題を共有する宮城県等と連携して事業認定などの土地収用手続の迅速化や、所有者不明土地等の市町村等による管理、処分を要望してきたところであります。
 現行制度につきましては、昨年度、関係省庁が連絡会を設置し、釜石市の片岸海岸防潮堤事業をモデルケースとして検討を進め、本年4月の住宅再建・復興まちづくり加速化措置において、所有者不明等の土地について、土地収用法に基づく事業認定手続や民法に基づく財産管理人選任手続の迅速化など、一定の措置が講じられたところではありますが、多数相続人や多数共有者が存在する土地など膨大な労力と時間を要する案件については、依然として抜本的な対策が講じられていないところであります。
 国においては、まずは現行制度を最大限活用し、その上で制度上の課題が明らかになった場合にはその改善方策を検討していくこととしており、今後も引き続き、土地収用制度等のさらなる運用、改善や、復興を加速化させるための特例制度の創設について、国に対し働きかけを行ってまいります。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) まず、被災者の不安を解消するための情報の提供についてでありますが、被災者や被災された事業者の方々が、今後の生活設計や持ち家再建、事業再開等を具体的に検討するためには、防潮堤やまちづくり、災害公営住宅など、被災地の復興の基盤となる事業の見通しの情報が不可欠であると考え、県では、復旧・復興ロードマップを策定し、ホームページへの掲載や各種事業説明会での配布などにより周知しているほか、市町村においても、独自の復興情報とあわせて周知いただいているところであります。
 今後も引き続き市町村と連携しながら、被災者の方々に、復旧、復興事業のより新しく確かな見通しについて、わかりやすく情報提供をしてまいります。
 次に、持ち家の再建についてでありますが、持ち家再建への支援については、国の制度である被災者生活再建支援金の支給に加え、住宅の建設、購入に際し、市町村と共同で補助する被災者住宅再建支援事業や、バリアフリー化、県産材の活用を行う場合の補助など、本県独自の支援策を講じているところであります。
 また、市町村においても、震災復興特別交付税を活用し、住宅の建設、購入のほか、宅地造成や上下水道の整備への補助など、それぞれ独自の支援策を講じているところであります。
 これらの支援により、平成25年8月現在、被災者生活再建支援金の基礎支援金を受給した2万3、088世帯のうち、14.6%に当たる3、372世帯が加算支援金を受給し、持ち家による住宅再建を行っているところであります。
 次に、災害関連死についてでありますが、アンケート調査は、平成25年2月に、日本弁護士連合会が、岩手、宮城、福島3県の被災自治体に対し、災害弔慰金の支給に関する審査会の構成員、審査会の開催回数、1回当たりの開催時間、申請件数、認定件数、継続件数、非該当件数などの回答を求め、独自に取りまとめたものであります。
 日弁連による同アンケート調査の分析結果によると、認定件数と非該当件数のみを比較すると、岩手県は認定件数が60%、宮城県が76%、福島県は86%と、認定件数の低さが際立っているとされています。
 本県においては、震災から死亡までの経過期間を審査基準として採用しておらず、申し出を全て受け入れることとしております。他県では、本県の取り扱いとは異なり、国が示した新潟県中越地震における審査事例を参考としているため、震災から死亡までの期間が6カ月を超える申し出が少ないと考えられるところであります。
 なお、日弁連においても、死亡時期と認定比率の関連性をその要素と指摘しております。
 また、1件当たりの審査時間が他県の審査に比較して短いとされておりますが、今申し上げたとおり、全ての申し出を受け入れていることから、本県では多数の継続審査ケースがあることで延べ件数が増大した結果、1件当たりの審査時間が短く算出されたものと考えられるところであります。
 なお、新規のケースについては、十分な審査時間が確保されるよう配慮しているところであります。
 この意見書についての県の所見でありますが、災害関連死の支給対象を幅広く捉えることについては、本県では、国が示した新潟県中越地震における審査事例を参考として、今回の大震災津波において、避難所生活を余儀なくされたことや医療機関等の機能停止により適切な治療などを受けられなかったことなどの状況を踏まえ、認定基準を策定し、ホームページで公表しているところであります。
 なお、県審査会の審査に当たっては、この認定基準に基づくほか、病状や生活環境など、個別具体の事案に即して、総合的、多角的に判断しております。
 次に、市町村は審査会をみずから設置すべきで、審査の県への委託をできる限り避けることについてでありますが、東日本大震災津波の甚大な被害状況から、みずからの審査会設置を困難と判断した17市町村から県が依頼を受け、地方自治法の規定に基づき、議会の承認を得て受託しているところであります。
 なお、震災から2年半を経過しており、引き続き県が受託することについて、今後、市町村に意向を確認する必要があるものと考えているところであります。
 次に、必要な資料を収集し、十分な議論を尽くした審査とすることについては、市町村に対しては、災害関連死の申し出に必要不可欠な資料の提出を求めているほか、慎重な審査が必要な案件については継続審査とし、新たな資料を付して、次回以降の審査会に再諮問しているところでございます。
 また、審査は多数決ではなく、有識者による意見の一致をもって決しているところであり、県といたしましては、今後とも市町村と連携し、災害弔慰金の適正な支給に努めてまいりたいと考えております。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) 被災者の心のケアにおける関係団体等との連携についてでありますが、こころのケアセンターでは、市町村の保健師との密接な連携のもと、心の健康に関する相談や訪問、住民への健康教育など、地域保健活動を主体とした被災者の支援を行うとともに、専門的な治療が必要な方を医療機関につないだり、福祉関係者による見守り活動から、震災こころの相談室を訪れたケースへの対応など、医療、福祉関係者との連携による被災者の支援を行っております。
 また、社会福祉協議会の生活支援相談員とは、困難ケースの事例検討や初期対応に関する研修などを通じて、相談員の負担感の軽減を図りながら、専門機関へのつなぎが円滑に行われるよう取り組んでおります。
 さらに、支援者の心身の健康を守る活動も重要であることから、職場、職域を対象とした健康調査や健康相談、健康教育などの支援も行っております。
 今後も、被災地で支援活動を行うさまざまな関係機関、団体と密接な連携を図りながら、被災者及び支援者の心の健康を守る取り組みを着実に推進していきます。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、津波被災農地の現状と来春までの復旧見通しについてでありますが、本年8月末時点で、復旧対象農地717ヘクタールのうち、原形復旧を中心に248ヘクタールの復旧が完了し、現在、災害復旧事業とあわせ行う圃場整備を本格的に実施しており、来年5月末までに、さらに202ヘクタールの復旧、整備を進め、他の計画等との関連で工事に着手できない農地267ヘクタールを除き、作付が可能となる見込みです。
 今後、まちづくり計画や復興関連事業計画などとの調整が必要な農地の復旧が課題となりますが、市町村等と連携しながら調整を加速するとともに、着手可能となり次第、工事が実施できるよう準備を進め、早期復旧を図っていきたいと考えております。
 次に、復旧後に作付されなかった農地についてでありますが、本年8月末時点で、作付されていない農地は復旧された農地の約3割、68ヘクタールあり、その大半が陸前高田市など沿岸南部地域となっております。
 作付されなかった要因としては、高齢化に伴う体力の低下や労働力の確保など労力面の要因や、仮設住宅から農地までの距離が遠いなど、営農環境面の要因などがあると考えております。このため、振興局と普及センターの職員が作付を見送っている農家を個別に訪問し、営農の意向に応じた技術相談や作業委託への誘導などを行っているところであり、引き続き、新たな営農体制づくりに向けて地域での話し合いを進めながら、復旧した農地が有効に活用されるよう取り組んでまいります。
 次に、農地の効率的活用に向けた取り組みについてでありますが、現在、県下全地域で、地域の中心となる経営体や、集積する農地、耕作放棄地の再生利用などを明確にする地域農業マスタープランの作成を、市町村等の関係者と連携して進めております。
 また、このマスタープランの実践に向け、国の交付金を活用して耕作放棄地の再生利用を進めるとともに、農地の出し手に交付される農地集積協力金や受け手に交付される規模拡大加算金などにより農地の利用集積を支援しており、引き続き、利用集積の促進による、担い手の経営規模拡大と効率的な生産の実現を図ってまいります。
 次に、国における農地中間管理機構の検討内容についてでありますが、農林水産省は、農地中間管理機構につきまして、従前から示していた、機構の設置目的や中心となる事業項目、構造改革等を推進するため県単位に設置することなどの検討内容に、新たに、農地の借り受け、貸し付けの方法、業務や運営への県の関与などを加えた制度の骨格を昨日明らかにしました。
 県では、この機構の設置に当たっては、農地の出し手と受け手の調整機能が十分に発揮できる施策となるよう本年6月に国に要望しておりますが、現時点で示されていない機構の運営、農地の貸借のルールや基盤整備の実施基準、人・農地プランとのかかわり合いなどの具体的内容のあり方が現場での円滑な制度運用には重要と考えております。国に対しては、機会あるごとに現場の実情を伝えるとともに、現場実態に即した仕組みの構築、必要となる体制整備や予算確保などを要請しておりますが、引き続き、農地の利用調整が円滑に促進される仕組みとなるよう、強く国へ要望していく考えです。
   〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) まず、県立病院等事業会計の収支見通しについてでありますが、被災した高田病院、大槌病院、山田病院及び大東病院の再建整備につきましては岩手県医療の復興計画等に盛り込まれており、整備に要する財源として、国の地域医療再生臨時特例交付金が全額措置されることとなっております。
 これら被災した病院については、もともと医師不足が深刻であり、被災による患者数の減少等も相まって経営環境は厳しい状況が続いておりますが、こうした病院についても、地域における医療提供体制を維持し、公的医療機関としての役割を果たしていく必要があると認識しております。したがって、その再建等に当たっては、県立病院間のネットワークのもと、それぞれの病院における必要な診療体制の確保に努めながら収支の改善に取り組むとともに、県立病院全体として効率的な運営による黒字の確保を図っていく考えです。
 県立病院等事業の収支見通しについては、診療報酬改定及び消費税率の引き上げによる収支の影響はないものと仮定して平成26年度から平成30年度までの収支の状況を試算したところ、平成26年度は、地方公営企業会計基準の見直しに伴い、計上が義務化される退職給付引当金の一括計上などにより254億円余の赤字が発生するものの、平成27年度以降は毎年度10億円台の黒字を計上できるものと見込んでいます。
 次に、医師不足問題への対処及び医療従事者の負担軽減についてでありますが、県立病院の医師の確保については、関係大学への派遣要請や即戦力医師の招聘に努めるとともに、臨床研修医の積極的な受け入れ、平成28年度以降本格化する奨学金養成医師の配置などにより、引き続きその確保に努めてまいります。
 また、現在策定中の次期経営計画において、医療の質、患者サービスの向上を図ることを目的として、医師を除き213名を増員し、必要な部門、部署への重点配置を行うこととしており、これにより医療従事者の一定の負担軽減が図られるものと認識しております。特に看護師については、看護補助者の夜勤制度について今年度中の導入を予定しているなど、その負担軽減に努めているところです。
 次に、診療報酬改定への対応についてでありますが、次期診療報酬改定については、現在、厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会で審議されているところであり、現時点では具体的な内容は不明ですが、県立病院においては、経営計画に基づき、患者数の確保と診療単価の増に継続的に取り組み、引き続き収益の確保に努めてまいります。
 具体的には、県立病院間や開業医との連携強化による紹介、逆紹介の推進や病床の効率的な運用、診療報酬改定により新設された項目の早期算定に向けた院内体制等の整備、業務指導や精度管理調査による各種指導料等の算定強化などの取り組みを進めていきます。
 次に、旧県立花巻厚生病院の跡地利用についてでありますが、本年2月、地元花巻市から市の公共施設の建設候補地の一つとして当該跡地の活用を検討しているとの説明を受け、5月には、花巻市において中央図書館基本計画案及びこどもの城基本計画案を策定し、当該跡地をそれぞれ建設の第一候補地として考えているとのお話を伺ったところです。医療局といたしましては、建物解体に多額の費用が見込まれるなど経営に与える影響が大きいものの、今般、花巻市から具体的な活動計画が示されたことを十分に考慮し、基本的にこれに応じることとし、市への売却を前提とした取り組みを進めていきたいと考えております。
 病院跡地の売却に当たっては、事前に関係法令等に基づく必要な調査を実施することとしており、その結果に応じ適切に対応してまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 県立高校の再編についてでありますが、次期県立高等学校整備計画は、平成23年の上半期を目途に策定する予定といたしておりましたが、東日本大震災津波による甚大な被害とその影響を考慮し、現在はその策定を見送っております。
 一方、整備計画がない中にあっても必要に応じて学級数調整を行ってはおりますが、中学校卒業者数は減少が続いており、県立高校の定員に対する充足率は年々減少しております。
 次に、学校の規模、生徒数と教育との関係についてでありますが、平成22年3月に策定した今後の高等学校教育の基本的方向において、生徒の能力を最大限に伸ばすための教育課程の編成や、多様な部活動等、活力ある教育活動を展開するためには、1学年当たり4から6学級程度が望ましいとしております。
 なお、3学級以下の学校においては、生徒一人一人に対応したきめ細かい指導ができ、地域との連携により進路や部活動の成果等一定の実績を上げている一方で、生徒の科目選択の幅が少なく、多様な進路希望への対応や学習内容の質の確保が難しいといった課題もあると分析いたしております。
 次期整備計画の策定時期については、大震災津波後の児童生徒数の動向、推移や被災地における復興の状況等を見据えながら慎重に検討を進める必要がありますが、中学校卒業者数の一層の減少が進む中で、生徒にとってより望ましい教育環境のあり方を検討していくことは重要な課題であると認識しているところでございます。
 次に、本県児童生徒の学力向上の対策についてでありますが、算数、数学の特性として積み重ねの学習が大切でありますので、基礎、基本を定着させるための繰り返しの指導や個別の学習状況に応じた指導のあり方に課題があるものと分析いたしております。
 対策といたしましては、補充的な指導の機会をふやすことや、系統的、継続的な指導を意識した授業の改善が図られるよう、各種研修会や指導主事の学校訪問指導を通して取り組んでまいります。
 また、現場の教師との問題の共有につきましては、全国学力・学習状況調査の結果をもとに児童生徒一人一人の状況について各学校が主体的に分析し、個々の児童生徒の指導に生かすことができるよう取り組むことが重要でありますことから、県といたしまして、各学校の取り組みを支援するために、具体的な手だてを示したリーフレットを配布したところであります。
 秋田県の教育に学ぶべき点といたしましては、基礎的な問題を毎日宿題として課すとともに、補充的な指導に力を入れていること、教科の課題について重点を定めて集中して取り組むなど、一つ一つの施策が機能的に連動いたしており、本県においても同様の取り組みに努めているところではありますが、今後さらに徹底を図ってまいりたいと考えております。
   日程第4 議案第42号監査委員の選任に関し同意を求めることについて
〇議長(千葉伝君) 次に、日程第4、議案第42号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを議題といたします。
 提出者の説明を求めます。千葉副知事。
   〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) ただいま議題とされました人事案件について御説明いたします。
 議案第42号は、監査委員のうち、議員のうちから選任されておりました高橋元氏及び佐々木大和氏から辞職の申し出がありましたので、その後任として、柳村岩見氏及び高橋昌造氏を選任するため議会の同意を求めようとするものであります。
 よろしく御審議の上、原案に御同意くださるようお願いいたします。
〇議長(千葉伝君) お諮りいたします。ただいま議題となっております議案は人事案件でありますので、会議規則第34条第3項の規定及び先例により、議事の順序を省略し、直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、これより議案第42号監査委員の選任に関し同意を求めることについてを採決いたします。
 ただいま議題となっております議案第42号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(千葉伝君) 御異議なしと認めます。よって、議案第42号監査委員の選任に関し同意を求めることについては、これに同意することに決定いたしました。
〇議長(千葉伝君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時46分 散 会
第12回岩手県議会定例会会議録(第3号)
平成25年10月7日(月曜日)

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