平成25年9月定例会 第12回岩手県議会定例会会議録

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〇11番(軽石義則君) 民主党の軽石義則でございます。
 先輩、同僚議員の皆様の御配慮によりまして、当選後、任期の折り返しを迎えた上での登壇の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。
 7月末と8月初めの過去に経験のない豪雨、そして9月中旬の台風18号におきましてお亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた皆様に対し、心からお見舞を申し上げます。また、東日本大震災津波から2年6カ月が過ぎ、今なお復興に向けて努力をされている皆様に敬意を表し、感謝申し上げます。
 それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
 初めに、第1として、最近発生した豪雨並びに台風18号における被害状況とその対応についてであります。
 1点目として、災害発生状況の把握と国及び市町村との連携についてであります。
 7月26日から28日にかけて県南部を中心とした150ミリを超える大雨では、一関市、住田町、奥州市、陸前高田市などに被害が発生いたしました。また、8月9日の盛岡地域、花北地域を中心とした200ミリを超える大雨では、盛岡市、雫石町、矢巾町、紫波町、花巻市などに被害が発生いたしました。続いて9月16日の台風18号の通過に際して、岩手松尾、葛根田、玉山区などの県央や県北を中心に150ミリを超える大雨となり、被害が発生いたしました。これまで観測史上においても経験のないこのような気象状況の中で、具体的にどのように現地を確認し、危険度合いを判断されているのかお伺いいたします。
 また、不幸にも死亡者が出ている現実がありますけれども、県民の生命と財産を守る観点からも、国と市町村の連携を図る県の役割はかなり重要なものであると考えますが、今回はどのような形で連携を図られたのか詳しくお示し願います。また、今回の現地における状況把握や国と市町村の連携において、経験したことによる教訓と今後の課題についてお伺いいたします。
 2点目として、避難を含めた住民への周知と避難後の対応についてであります。
 今回、盛岡市玉山区では、避難勧告について人命にもかかわる重大な課題があったものと認識しておりますが、県としてはどのように把握されているのかお伺いいたします。今回、連続した大雨洪水による避難勧告の中で、同様の課題となる事象が他の地域ではなかったのかお示し願います。
 また、状況を把握したにもかかわらず、対象地域の住民に避難勧告並びに被害状況を周知できなければ、危険の回避にはつながらないものと考えております。今回、被害が発生した地域において、周知方法の活用されている現状と認識についてお伺いいたします。
 防災行政無線については、県内33市町村中26市町村が整備されておりますが、その中で、沿岸も含めて一部地域のみ屋外拡声可聴としているものが5市町となっております。全国瞬時警報システム─ジェイアラートについては全市町村に配備されてはおりますが、防災行政無線などと接続されていないところもあり、ジェイアラートに配信される情報が有効に活用されていない実態があります。ラジオや電子通信機器の活用だけでは、今回のような地域限定の豪雨や洪水など経験のない自然災害による非常時では、全てをカバーした情報周知や避難誘導などに限界があるのではないかと考えております。よって、あらゆる災害時に地域ごとに対応できる防災行政無線の整備並びに全国瞬時警報システム─ジェイアラートの活用を進めるなど、全県的な非常時における情報伝達体制の整備、充実を推進するべきと考えますが、知事のお考えをお聞きいたします。
 また、ひとり暮らしの高齢者や障がい者並びに自宅療養の難病患者など、災害時に自力で避難することが困難な、いわゆる避難行動要支援者の避難支援対策の現状と課題についてどのように認識しているのかお伺いいたします。
 また、避難後の避難所における災害用の備蓄はどのような状況であったのかお示し願います。今回は内陸部での避難であり、長期化することを想定されてはいなかったのではないかと考えておりますが、住宅が被災された皆様は、被害発生時から現在までどのように生活されているのかと心配されます。今後の課題としてどのように捉えているのかお示し願います。その対策については市町村が対応することになると思われますが、あわせて、その支援策などをどのようにされているのかお伺いいたします。
 3点目として、災害廃棄物の取り扱い状況についてであります。
 大雨洪水による災害廃棄物については、7月分約250トン、8月分1、354トン、9月分446トンとなっております。これは一般家庭などから排出されるものであり、多くが管内処理施設で焼却処分や埋立処分されると言われております。最終処分についても、若干は埋立量が増加するけれども容量不足が心配されるまでの量ではないとのことであります。しかし、農地や河川、道路などにおける流木や漂流物などの災害廃棄物は同様の処分となるのか、その量はどの程度なのかお示し願います。
 また、個人の敷地や農地に流入した土砂については個人の責任で処分するとのことであり、集積まではできても、最終処分をする土捨て場を持っていない被災者は大きな負担を強いられております。このような災害時における土砂の処分については行政の責任で行うことが必要ではないかと考えますが、現状と課題についてお伺いいたします。また、このような災害における土砂の処分量も確認するべきであり、河川や道路などは他の管理者が処理する扱いはできないのかお示し願います。復旧工事へ砂利などを再利用することや流木の活用は考えていないのかをお伺いいたします。さらに、農作物の災害廃棄物の活用についてもお考えを伺います。
 4点目として、被災者支援の状況についてであります。
 今回の災害により被災された皆様を支援するためには、被災者生活再建支援法の適用が必要と考えております。しかし、国においては、要件の緩和は制度の根幹にかかわる問題として慎重な姿勢を示す報道がされております。県独自として市や町が行う助成に対し支援金支給補助制度を今回提案されていることは、被災者に寄り添った対応として評価できるものです。加えて、国に対して局地的災害に適用できる要件緩和を求めていくことが示されておりますが、現状認識と課題、今後の見通しについてお伺いいたします。
 また、現地調査の際に、自宅も被災し、後片づけをしている農家の御主人からお話を伺いましたが、何よりも来年は田んぼに作付できるかが心配であるとの悲痛な訴えでした。八幡平市の温泉宿の御主人は、再開がおくれ観光シーズンに間に合わなければ風評被害が拡大することを恐れておりました。被災した農家や温泉宿のなりわいに対する支援策についてもお示しください。
   〔議長退席、副議長着席〕
 5点目として、被害箇所の復旧の見通しと今後の防災対策についてであります。
 岩手県の被害総額がある程度確定してまいりました。農林漁業関係を中心に激甚災害指定が受けられそうですが、河川や道路などについては全て補償いただける状況にないと思われます。
 東日本大震災津波における復興事業も順調な進捗とはなっていない現状においては、豪雨や台風18号において被害を受けた施設や道路などの復旧については人手、資材、機材などの不足が言われておりますが、これらの対応については市町村だけの対応では限界があるのではないかと予測されます。県として、どのような形でサポートしていくのかお伺いいたします。
 土木関係の業者においては、技術者を確保することすらままならない現状とお聞きしております。特にも河川については、いつまた予想を上回る豪雨があるかはかり知れない気象状況であり、冬場を迎えることから、積雪や凍結などにより工事現場の状況も悪化が予想されます。現在、岩手県における全ての請負工事に対する従事者の現状と課題についてお示し願います。今後の復旧見通しと対応策についてもお示し願います。
 次に、第2として、東日本大震災津波復興事業においての現状と課題などについてであります。
 1点目として、事業の進捗状況についてであります。
 復興庁は、本格的復興段階に移行との年次報告の骨子案を示しております。6月末時点で復旧事業の進捗率が99%となり、主なインフラは応急的な復旧から本格的な復興段階へと移行したと評価されており、11月に閣議決定する方針が示されております。このことに対して、被災地岩手県としてどのように受けとめているのかお伺いいたします。
 2点目として、大雨洪水、台風18号による復旧事業からくる大震災津波復興事業への影響についてであります。
 一部沿岸を含む内陸部全体において発生した豪雨災害であり、かなりの工事量が発生するものと考えます。調査設計、発注、受注、工事現場管理などについて現状をどのように把握しているのか、沿岸部における復興事業に影響が出ないのかも含めてお伺いいたします。
 3点目として、東京オリンピック開催決定と復興特別法人税の廃止前倒しなどからくる今後の影響などについてであります。
 知事は、復興推進委員会において、東京オリンピックが復興をおくれさせることのないように調整することを国に求めたと報道されております。加えて、ILCの日本誘致も促したとあります。私も同感であり、被災された皆様を初め、多くの県民もそのことを望んでいるものと考えております。このことに対する政府の受けとめや反応はどのようであったのか、他の委員の反応はどうであったのかと、今後これらへの対策をどのように進めるのかあわせてお伺いいたします。
 次に、第3として、雇用対策と労働環境改善などについてであります。
 1点目として、企業誘致への取り組みについてであります。
 2012年度の誘致件数は37件であり、近年においては2008年度から2011年度を大きく上回っております。復興支援もありますが、交通網や地理的優位性、地震における安全性の確保によるリスク分散も考えられます。リスク分散を求める企業の本県への誘致につきましては、2011年10月14日の一般質問において、私の質問に対して当時の部長より積極的な答弁をいただいており、結果として出ていることは評価に値するものと考えます。
 人口減少社会における人口流出の歯どめとしては、県内産業、企業の育成はもとより、県内経済の活性化や雇用のミスマッチの解消などに対応するため、地元企業と連携する企業の誘致をしていかなければならないと考えております。
 誘致先として選ばれる条件を再度検討し、目先のことにとらわれずに、将来の成果に結びつける決断も必要な時期ではないでしょうか。そのためには、県内の工業用地を初め、空き工場や学校施設などを眠らせておくのではなく、大胆に提供することも一つの策ではないかと考えますが、このことについて知事のお考えをお示し願います。
 2点目として、被災地における緊急雇用対策についてであります。
 緊急雇用創出事業や災害廃棄物の処理などで雇用されている被災者の方々が、事業終了により、新たな求職活動をしなければならないときが近づいております。県が実施した被災地でのアンケートにも数字としてあらわれておりますが、働く意思があっても、希望する就職先が見つからない現状でもあります。条件として、仕事の内容66.8%、給与額46.4%、就業場所38.4%となっており、40.7%の方は条件が合うまで探すことを考えております。雇用形態については、正規雇用を58.6%の皆様が求めております。
 生活を再建するためには、働く場の確保がなければなりわいの再生ができません。喫緊の課題に対する取り組み経過と今後の取り組みはさらに踏み込んだものでなければならないと考えますが、このことで目標が達成できるかについてお示しを願います。
 3点目として、最低賃金の現状認識と改定における評価についてであります。
 本県の地域別最低賃金は、12円増の665円として審議会の答申が決定され、10月27日から発効されます。民間企業の平均年間給与は408万円、昨年から1万円減ですが、ことしから正規と非正規の区分が出されており、正規雇用者が468万円、非正規雇用者が168万円であり、300万円の開きがあると国税庁の実態統計調査により明らかになりました。単純に168万円を岩手県の新しい最賃665円で割り返すと2、526.3時間となり、8時間で割ると315.79日となります。月4日しか休まないで1年間働いてこの金額であります。仮にこのような労働環境の中で働きがいは見出せるでしょうか。何らかの助けがなければ、生きていくことすら厳しいのではないでしょうか。
 このような岩手県の最低賃金の実態について、知事はどのように現状認識されているのか、お伺いいたします。また、岩手県の給与水準はどのようにあるべきとお考えかもあわせてお伺いいたします。
 次に第4として、医療福祉に関する取り組みについてであります。
 1点目として、在宅医療などの現状についてであります。
 今回の補正予算にも提案されておりますが、在宅医療を確立する上では、地域における多職種の協働など、多くの課題を整理しなければならないと考えております。今回新規に計上された予算案の説明では、地域の実態に応じた医療と介護の連携体制構築への支援と医療設備などの整備に要する経費の一部を補助するとあります。これまでの事業実施を通じて、課題をどのように把握し今回の事業に生かしているのか、お伺いいたします。
 また、難病患者など居宅生活支援事業は、本年4月から施行された障害者総合支援法による障がい福祉サービスとして実施されております。難病患者の皆様が家族を含めてかなりの苦労をされており、難病患者などへの在宅療養支援はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 2点目として、児童養護施設の現状と課題についてであります。
 本年6月1日現在、県内にある養護施設は6カ所、273名の入所者がおりますが、最近の傾向として、両親の精神疾患や虐待によるものの割合が高い傾向にあると聞いております。また、子供においても、虐待の影響などにより、医療機関との連携も必要であると言われております。入所の背景や要因などをどのように分析しておられるのか、課題があるとすればどのような対策をとられているのか、あわせてお伺いいたします。
 また、平成22年に閣議決定された子ども・子育てビジョンによる家庭的養護の推進を図るため、ファミリーホームを含めた里親等委託率を平成26年度までに16%に引き上げる目標がありますが、岩手県としての考え方と、これまでの取り組み経過及び実績についてお伺いいたします。
 3点目として、生活保護の実態についてであります。
 本年8月、生活保護基準の改定がなされ、3年間で基準生活費などが減額されるとのことです。このことにより、本年7月現在の被保護者1万4、476人の生活に与える影響をどのように把握しているのか、お伺いいたします。あわせて、不正、不適正受給の実態や対応状況についてもお伺いいたします。
 また、今後の国会において、稼動年齢層の就労による自立や不正、不適正受給対策の強化などの生活保護法を一部改正する動きがありますが、本県における影響と今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に第5として、青少年の健全育成などについてであります。
 1点目として、ドーム型スタジアムの建設についてであります。
 東北楽天のリーグ優勝は、被災地を初め、多くの子供たちに勇気と力を与えてくれました。また、夏の甲子園大会では、花巻東高校の大活躍により元気をいただきました。プロやアマチュアを問わずに、岩手県の選手が活躍することで復興を盛り上げてきたものであると思います。野球のみならず、競技スポーツを育成するためには、競技場など施設の整備が必要であります。特にも、野外でのスポーツにおいては、気象状況で左右される競技場では、育成強化に対するハンディのみならず、一流と言われる各種大会の誘致にも影響があります。屋根つきの多目的グラウンドの建設は多くの県民が期待をしており、2016年岩手国体の開催には間に合わないかもしれませんが、岩手県の次世代を担う子供たちに、希望をつなぐドーム型スタジアムの建設についてお伺いいたします。
 2点目として、希望郷いわて国体を、冬季大会を含めて開催することについてであります。
 2016年には、復興のシンボルと位置づける希望郷いわて国体が開催されます。これに向けて、県内で一層の機運を盛り上げていく希望郷いわて国体で、本県の青少年を含む選手たちが大活躍する、このことが復興の後押しにつながっていくものと強く思います。そのためにも、希望郷いわて国体を冬季大会も含めた完全国体として開催して一層の機運の醸成を図るとともに、冬季種目競技に取り組む青少年を含め、本県の次世代を担う子供たちに夢と希望を与えることが切に望まれます。
 そこで、希望郷いわて国体を完全国体として開催することへの意気込みと青少年の育成に果たす意義について、知事のお考えをお伺いいたします。
 3点目として、岩手国体に向けた選手強化についてであります。
 東京国体が開催されておりますが、本県選手団も活躍されていることが報道されております。しかし、出場競技数については昨年に比較して減少しておりますが、その原因をどのように分析しているのか、お伺いいたします。
 2016年の本県開催に向けては準備も進められており、次第に完全国体開催ムードも高まってきております。これから取り組まなければならない課題もありますが、県民一体となった機運の醸成のためには、県民を代表して参加する選手が、力を十分発揮する支援も忘れてはならないことであります。そのためにも、現在の高校生や中学生などの強化対策は大切であります。昨年度と比較して、各種競技における全国レベルとの違いをどのように把握し対策されているのか、お伺いいたします。
 以上、趣旨をお酌み取りいただき、前向きな御答弁をお願いいたします。
 なお、答弁の内容によっては再質問させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 軽石義則議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、災害時における全県的な情報伝達体制の充実等についてでありますが、県民一人一人の命を守る防災を実現するためには、災害時において県民が迅速に避難できるよう、情報伝達体制を全県的に整備していくことが不可欠であると認識しております。
 議員御指摘の防災行政無線は、災害時において多くの住民に情報を伝達することを可能とする設備であり、情報伝達手段の一つとして極めて有用でありますことから、活用可能な補助制度等の周知を図りつつ、市町村の取り組みを促していきたいと考えております。
 また、ジェイアラートの全県的な活用については、住民等への緊急情報の即時伝達を図る観点から、市町村に対して、防災行政無線等との接続を図るよう助言をしてまいります。
 次に、東京オリンピック開催決定等の影響についてでありますが、去る9月25日に開催された復興推進委員会におきまして、2020年の開催を成功させるためには、国民的コンセンサスを得て、まず復興を加速、完成させて、次にオリンピック、パラリンピック開催準備へと人材や資源がうまく回り活用されるように、政府による調整が必要と申し上げました。また、ILC─国際リニアコライダーについても、新しい東北を創造する観点から、復興の象徴としてしっかり位置づけられるべきであると発言したところであります。これらに対して委員からは賛同する御発言がありましたほか、委員会全体としても、復興の加速化のための共通理解が得られたものと認識しております。
 また、現在、政府において検討されている復興特別法人税の前倒しでの廃止については、復興推進委員会において議論はございませんでしたが、仮に廃止する場合にあっては、減収分に見合う財源が確実に確保されなければならないと考えております。こうしたことから、復興に要する人材、資源の政府による調整や復興財源の確保について、引き続き国に対して強く要望してまいります。
 次に、企業誘致への取り組みについてでありますが、平成24年度の企業誘致数は37社であり、内訳は、製造業が12社、ソフトウエア、コールセンターが16社、運送業が9社となっています。この背景には、本県の地理的な立地環境のほか、東日本大震災津波やILCの学術調査などを通じて本県の安定した地盤が評価され、災害時のリスク分散の観点から、幅広い業種の誘致が進んだものと考えております。
 平成25年度におきましても、本県が推進する医薬品に関連する企業の立地が決定しましたほか、日用品など生活関連の企業の進出も見られますことから、これまで以上に幅広い業種を対象に誘致を進めることとしております。
 また、誘致に当たっては、これまでも工業団地を初め、空き工場や閉校となった学校施設等の情報をホームページで紹介するなど情報発信に努めているところですが、さらに企業ニーズに沿った物件の掘り起こしを行い、本県のすぐれた立地環境をPRしながら誘致に努めてまいります。
 次に、最低賃金の現状に対する認識とあるべき給与水準についてでありますが、本県における本年10月27日発効の地域別最低賃金額は、中央最低賃金審議会が引き上げ額の目安として示した10円を上回る12円引き上げの665円でありますが、全国平均を100として見た場合87.0であり、青森県、秋田県などとともに、全国34位に位置する、いまだ低位な水準にあるものと認識しております。
 また、国の毎月勤労統計調査結果によれば、平成24年の本県の1人当たりの給与所得は22万7、000円余となっており、全国平均を100として見た場合86.8となり、こちらについても開きが見られるところであります。このため、県としては、今後とも、産業振興に向けた取り組みを強化することで最低賃金や給与水準が引き上げられるよう努めていきたいと考えます。
 次に、希望郷いわて国体を冬季大会を含めた完全国体として開催することについてでありますが、冬季大会の開催については、2月定例会において開催を求める決議をいただくとともに、先般、岩手県体育協会及び関係競技団体から開催要望書の提出があったところであります。
 県といたしましては、このようなことを踏まえ、第71回国民体育大会を冬季大会とあわせた完全国体として開催したいと考えております。
 本県初の完全国体として開催することは、冬季競技を含めた本県のスポーツの振興、発展はもとより、東日本大震災津波の被災地域として開催される初めての国体として、復興に向かって前進する本県の姿を全国に発信し、これまで多くの支援に対する感謝を示す絶好の機会と考えております。
 また、本県で冬季大会を含む完全国体として開催することは、冬季競技を含めた全国の舞台での活躍を目指す本県の青少年にとって大きな夢と希望を与えるものであり、また、同世代の活躍を間近に肌で感じることで、スポーツを見る人、支える人にも大きな感動を与え、青少年の健全育成にも大きな役割を果たすものと期待しているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔副知事千葉茂樹君登壇〕
〇副知事(千葉茂樹君) 復興庁が示しました復興状況報告骨子案についてでありますが、骨子案では、現場主義に立った復興加速化策により、公共インフラの復旧は、応急復旧から本格的な復旧、復興の段階へ移行し、復興施策に関する事業計画と工程表に基づき、着実に推進していると自己評価しているところであります。この骨子案は、先日の国の復興推進委員会で初めて示されたものでありますが、例えば、河川対策では、北上川などの国直轄管理区間の河川堤防について、本復旧工事が完了した箇所の割合をもって99%と示されております。
 また、鉄道運行を再開した路線延長の割合は89%とされておりますが、未再開の路線延長に、本県の三陸鉄道及びJR大船渡線、山田線の運休延長が整理されているところであり、県として鉄道の復旧は極めて重要な課題であると考えているところでございます。
 県におきましては、復興事業の進捗状況を、より具体的かつ一体的に県民の皆様に御理解いただくこととしておりまして、復興実施計画の構成に合わせ、三つの原則及び10分野の観点をもとに評価いたしましたいわて復興レポート2013を公表しているところでございます。
 本県におきましても、防潮堤や道路などの公共インフラの復旧は、既に応急復旧から本格的な復旧、復興の段階に入っているものと認識しているところでございます。
 現在、県では、来年度からの3カ年を本格復興期間として位置づけました第2期復興実施計画の策定を進めておりまして、被災者が一日も早く安全で安心して生活が送れるよう、社会資本の復旧・復興ロードマップに基づき、着実に事業を進めてまいりたいと考えているところでございます。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、災害発生状況の把握についてでありますが、県では、大雨警報の発表等について、あらかじめ盛岡地方気象台から情報収集を行い、気象警報の発表とともに災害警戒本部を設置し、被害拡大のおそれがある場合には、災害対策本部を設置して対応に当たってきたところであります。
 県災害対策本部等においては、市町村や消防本部、警察等から情報を収集することにより現地の状況を把握するとともに、災害対策本部を設置する市町村に対しては、情報の収集や伝達を目的に派遣した広域振興局職員を通じて、市町村の動き等も把握をいたしました。
 このような職員派遣のほか、道路、河川等のパトロールを通じて把握した現地の状況等に基づき、応急食料の供給や防災ヘリコプターの派遣の必要性、さらには、自衛隊派遣要請の有無等について、国、市町村と連携しながら判断したところでございます。
 次に、国及び市町村との連携についての教訓、課題についてでありますが、まず、国の関係機関との連携については、気象警報を受けて、岩手河川国道事務所や自衛隊から連絡員を派遣いただき、具体的な情報共有を行うとともに、こうした関係機関と連携し、孤立者の救助や物資の輸送、さらには通行が不可能となった県道の啓開などの災害応急対策に取り組んできたところであります。
 また、市町村との間においても、電話等による連絡調整のほか、市町村災害対策本部への広域振興局職員の派遣を通じて連携を図り、情報共有しながら、現地の状況に応じ、自衛隊の派遣要請や応急食料の供給など、市町村が必要とする支援等を講じたところであります。
 次に、災害の教訓と今後の課題についてでありますが、市町村においては、国や県が公表している河川の水位情報が十分に活用されず、避難勧告等の発令の適切な判断に結びつかなかった事例があったこと、また、県においては、避難勧告等の発令状況を含め、初動期における市町村の情報を十分に把握することができなかった事例があったことが課題であると考えています。したがって、今般の一連の災害における市町村の情報の収集、県への伝達方法等について掘り下げて検証し、県と市町村の情報共有のあり方も含め、その対応策を整理しながら、防災体制の強化を図っていきたいと考えております。
 次に、避難勧告の課題についてでありますが、7月から9月にかけての大雨災害では、一部において、避難勧告等の発令時期のおくれ等が指摘されているところでありますが、避難勧告等は、地域の状況や気象データ等をもとに、市町村長が災害対策基本法に基づき、適時適切に判断し発令することとされています。
 その判断材料の一つとなる河川の水位等の状況については、水防警報河川も含め、県内全域の主要な河川を対象に、国や県のホームページで公表しているところであります。今回は、こうしたデータが有効に活用されなかった面もあったものと考え、市町村に対しては、既にこうしたデータの活用方法について周知を図ったところであり、あわせて、県としても、市町村等と連携しながら、必要な情報提供等のあり方について検討を進めていくことといたしております。
 また、他の地域における状況についてでありますが、急激な降水量の上昇等により避難することが危険と判断し、屋内に退避するよう指示した市町村もあったと確認しておりますが、現在、今回の大雨災害に係る対応の検証を行っている市町村もありますことから、検証結果を収集しながら、早急に今後の対応策について検討を進めてまいります。
 次に、住民への避難勧告並びに被害状況の周知についてでありますが、市町村では、住民に対する情報伝達に漏れのないよう、一般的には、防災行政無線や有線放送、広報車による広報などのほか、ホームページや緊急速報メール、コミュニティFM、ツイッター等といった情報伝達手段を整備しております。
 7月末から9月にかけての一連の大雨災害で、避難勧告等を発令した市町村に確認したところ、住民等への伝達に際しては、それぞれの市町村で整備しているこれらの伝達手段を活用したほか、避難勧告対象地域がごく一部の地域に限られた市町村では、職員や消防団員が各世帯を訪問し伝達した市町村もあったところであります。
 次に、避難所の災害用備蓄の課題と市町村支援についてでありますが、現在、全ての市町村において災害用備蓄は行われておりますが、今般被災した市町村の中には、避難所に備蓄を行っていないため倉庫等に備蓄している物資を避難所に搬送し、避難者に提供したところがあったと伺っています。
 災害用備蓄は、災害時に避難者が容易に使用できる場所に備蓄することが望ましいと考えており、今後、こうした備蓄を進めていくことが課題であると考えています。
 次に、災害用備蓄の市町村への支援策についてでありますが、市町村における災害用備蓄については、まずは、市町村が必要な物資について備蓄することが基本でありますが、県といたしましても、必要な物資の備蓄を進め、市町村の災害用備蓄が不足した場合には、県備蓄物資の供給を通じて市町村を支援することといたしております。
 あわせて、企業等との間で締結している災害時応援協定に基づき、必要な物資を市町村に提供してまいります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) まず、避難行動要支援者への対応についてでありますが、市町村では、国のガイドラインに基づき、要支援者の避難支援計画の策定や名簿の整備を進めることとなっており、県では、これらの取り組みが進むよう働きかけを行ってきたところですが、必ずしも全ての市町村において取り組みがなされていない状況にあります。
 また、これまでは、名簿の整備や名簿情報の提供などについて法的根拠がなく、名簿が有効に活用されなかったという課題も指摘されてきたところであり、国では、今年度、災害対策基本法の改正により、市町村への名簿作成の義務づけや支援者への名簿情報の提供などについて規定し、あわせてガイドラインを全面的に見直し、新たな取り組み指針を策定しております。
 県としては、国の指針に沿って、全ての市町村において避難支援計画や名簿が作成され、名簿を活用した的確な避難情報の提供や安否確認、避難誘導などの避難支援の取り組みの充実が図られるよう、研修会などを通じ引き続き市町村を支援していきます。
 次に、被災者生活再建支援についてでありますが、被災者生活再建支援法は、自然災害により住宅の全壊被害を受けた世帯が地域内で一定数以上発生したことが適用要件となっていることから、局地的な災害において、個々の世帯の被害は法適用と同程度であっても、世帯数が基準に達しないため、同じ災害で被災しながら法が適用されない地域が存在し、不均衡が生じるとの課題があると認識しております。このため、県では、8月13日及び9月19日に法制度適用の要件緩和と支給範囲の拡大などについて国に要望書を提出したところでありますが、国からは、法制度は一定規模以上の自然災害を対象とするものであり、その見直しについては慎重な検討が必要との回答があったものです。
 県としては、今後も、全国知事会等を通じて、各都道府県とも連携しながら、国に対し法制度の見直しを継続して要望してまいります。
 次に、在宅医療推進についてでありますが、県ではこれまで、国の事業を活用し、人材育成事業や在宅医療の実施に熱心な医師等のいる地域2カ所で体制構築のためのモデル事業を実施してきましたが、今後の高齢化の進展を見据え、在宅医療を全県的に進めていく必要があり、そのためには、一部の熱意ある医師等に頼るのではなく、地域の多職種による協働が不可欠であることから、医師会や介護事業所との調整など地域包括ケアシステムの構築を担う市町村の役割が極めて大きいと考えております。このため、本議会に提案した補正予算案においては、市町村が主導的な役割を果たすことができるよう、これまで行ってきた連携拠点を形成する取り組みのほか、将来的な拠点形成を見据えた機運の醸成や関係づくりなど地域の実情に応じた取り組みや、機器整備による在宅医療実施体制の整備についても支援することとしたものです。
 次に、難病患者への在宅療養支援についてでありますが、在宅難病患者の安定した療養生活と生活の質の向上を図るため、障害者総合支援法に基づく居宅介護などの障がい福祉サービスを実施しているほか、保健所や県委託の難病相談・支援センターでは在宅療養に関する各種相談に応じています。また、岩手医科大学附属病院に難病医療専門員を配置し、訪問看護ステーションなどの関係機関と退院後の在宅療養に関する連絡調整を実施しております。さらに、患者家族の負担軽減を図るため、岩手医科大学附属病院など県内16カ所の難病医療拠点病院等において在宅重症難病患者の一時入院事業を実施しております。今後とも、国で検討されている難病対策の法制化を見据え、岩手県難病・疾病団体連絡協議会等と連携を図りながら、難病患者への在宅療養支援を実施してまいります。
 次に、児童養護施設の現状等についてでありますが、県内における児童虐待の増加などを背景として、児童養護施設の入所理由も直近3年間では保護者等からの虐待が最も多く、入所児童の中には虐待の影響で心のケアが必要な子供もおります。児童養護施設では、日ごろから医療機関との連携を図り、病気の際の受診だけでなく、児童の状況に応じて相談し、アドバイスを受けられるような関係づくりを行っているほか、児童一人一人の状況を踏まえたより細やかな支援を行うため、心理療法担当職員や医療的ケアを担当する専門職員を配置し、職員体制の充実を図っております。また、児童相談所では、これら児童の家庭への復帰を図るため、子育ての振り返りや親子関係の修復に向けたカウンセリングを行うなど、保護者への支援にも取り組んでおります。
 次に、家庭的養護の推進についてでありますが、県では、さまざまな要因により保護者の適切な養育が受けられない児童に対し、家庭的な環境での養育を進めることが重要であるとの考えから里親委託を推進しております。毎年10月の里親制度推進月間を中心とした広報活動や、福祉総合相談センターや児童養護施設へ専任職員を配置し里親の登録と委託の推進に努めてきたところであり、東日本大震災津波に伴うものを除き、平成24年度末における里親委託率は16.8%となっております。今後も、里親委託の推進を初めとして、児童養護施設でも、少人数で生活するグループケアを促進するなどにより、家庭的な環境において一人一人の状況に応じた養育がなされるよう取り組んでまいります。
 次に、生活保護の実態についてでありますが、本年8月からの生活保護基準の改定の本県への影響については、町村部の高齢者世帯などの一部の世帯では基準額が増加するものの、その他の多くの世帯では3年度をかけて段階的に調整し、平成27年度で最大10%、平均して6.5%の減額となります。
 次に、不正受給については、収入がありながら申告しない場合などであり、平成24年度において、県内で154件、額にして4、800万円余となっております。また、不適正受給については、本年1月の社会保障審議会部会報告書において、家賃として支給した住宅扶助費を他の目的に使い、本来の目的に沿った支出が行われないなどの事案とされておりまして、その対策の強化が指摘されたところでございます。不正受給、不適正受給の防止に向けては、保護受給世帯に対する収入申告義務や適正な保護費の使い方についての指導が重要であり、各福祉事務所に対して、指導監査等を通じて指導しております。
 次に、生活保護法の一部改正についてでありますが、国からは、この秋の臨時国会に改正法案を再提出する方向と聞いておりますが、その主な内容は、就労自立を促進するため、保護受給中に就労収入の一定額を積み立て、保護からの脱却時にこれを支給する就労自立給付金の創設、それから、不正受給対策を強化するための福祉事務所の調査権限の拡大及び罰則の強化などとなっており、現時点では詳細は明らかではないものの、福祉事務所において新たな事務の発生も想定されております。指導機関である県においては、法改正の動向を注視しながら、指導実施体制のあり方なども十分に検討し、生活保護制度が県民に信頼され、最後のセーフティネットとしての機能を十分に発揮できるよう、保護受給者の自立支援と制度の適正運営の一層の推進に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、農地に係る災害廃棄物の取り扱い状況についてでありますが、農地に流入した土砂や流木の撤去等は災害復旧事業の対象となり、撤去した土砂は、盛り土材として災害復旧工事等に用いるなどできる限り有効に活用していくこととしておりますが、流木につきましては、近隣の処理施設に搬出することとなります。
 なお、農地に流入した土砂や流木等の量につきましては、例えば、8月9日の大雨で被災した盛岡市猪去地区のリンゴ園に流入した土砂は約1万立方メートルと見込んでおりますが、農地災害の場合、現在調査を進めておりますさきの台風での農地被害も1、000カ所を超えているなど被災箇所が多く、災害査定や復旧事業に向けた測量や復旧のための設計の段階で積算しておりますので、全体量を現時点でお示しすることは困難ですので、御理解をお願いします。
 また、冠水等により収穫が困難となった農作物につきましては、通常の収穫残渣と同様に、圃場へのすき込みや、圃場外へ搬出し、堆肥化されることとなります。
 次に、被災農家への支援についてでありますが、農地や水路等の農業用施設につきましては、国の災害復旧事業や9月補正予算に盛り込んでいる県単独の小規模農地等災害復旧事業により早期復旧を図ってまいります。また、農業用ハウス、機械等の農業施設につきましても、補正予算に盛り込んでいる国の補助事業を活用した被災農業者緊急支援事業により再整備を支援してまいります。さらに、農家が減収となることを踏まえまして、県単独の農作物災害復旧対策事業により、生産の再開に向けたまき直しや代替作物の生産、畜産農家の代替粗飼料の確保などを支援していくこととしております。このような取り組みを通じまして、被災農家の復旧に係る負担を軽減し、再び意欲を持って営農ができるよう、市町村と連携して取り組みを進めていく考えであります。
 次に、農地、農業用施設の復旧の見通しと今後の対応についてでありますが、農地、農業用施設復旧のための市町村支援につきましては、被災市町村からの要請を受け、一関市、雫石町ほか3市町に対して延べ96人の職員を派遣し、被害調査を支援するとともに、引き続き災害査定に向けて関係業務の助言等に当たっております。また、被災市町村数が多い盛岡広域振興局管内では、特に被害の大きい雫石町に本庁等から職員4人を派遣することで、振興局の他市町村への支援体制が確保できるよう対応しております。
 また、復旧見通しにつきましては、査定前着工制度の積極的な活用や、災害査定後直ちに工事に着手できるよう準備を進め、可能な限り来春の営農に間に合うよう、市町村と連携して取り組んでまいります。
 次に、東日本大震災津波に係る農地復旧事業への影響についてでありますが、大雨、台風災害の復旧に向けた測量設計業務につきましては、発注済みの委託業務の一時中止による災害関係業務への優先対応の取り組みなどを行った結果、業者確保のめどがおおむね立ちつつあると考えております。工事につきましては、農地の土砂撤去や畦畔補修など比較的小規模な工事が多く、事業主体である市町村が発注する工事であることから主に地元の受注が想定され、東日本大震災津波の復旧、復興関連工事への影響は限定的と考えておりますが、今後、大雨、台風災害による復旧工事の発注が本格化していきますことから、工事進捗等への影響を注視してまいります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 河川や道路の堆積土砂、流木の処分方法及びその利用についてでありますが、河川に堆積した土砂は、他工事への流用、民間による砂利採取、最終処分場以外の残土置き場への搬入等により処理しており、現時点でその量はおよそ7万立方メートルとなっております。道路に堆積した土砂は、道路敷地内での処理や最終処分場以外の残土置き場への搬出等により除去しており、現時点でその量はおよそ1万3、000立方メートルとなっております。河川の流木や道路の倒木につきましては、可能な限り再資源化施設へ搬出して木質ボードや堆肥の原材料にするなど再利用に努めており、現時点でその量は河川でおよそ550トン、道路でおよそ230トンとなっております。
 次に、復旧工事への砂利などの再利用や流木の活用についてでありますが、流出してきた砂利などの再利用につきましては、盛り土材が必要な工事で搬入時期や土質性状等を考慮し、利用が可能な場合には調整を図りながら復旧工事等への活用に取り組んでまいります。また、流木につきましては、先ほど申し上げましたように、可能な限り再資源化施設へ搬出いたしまして再利用に努めております。
 次に、市町村事業へのサポートについてでありますが、まず、災害復旧工事の実施に際しましては、東日本大震災津波による復旧、復興工事の本格化に伴いまして人手、資材、機材が不足しており、内陸部の災害復旧工事の発注により、全県的に同様な状況となる見込みであると業界団体との意見交換で伺っているところであります。今後、各市町村の実情を勘案しながら、業界団体との連携、情報共有を図り、沿岸部で講じているさまざまな対策を全県に拡大するなど、必要な対策を講じてまいります。
 また、市町村へのサポート体制につきましては、県土整備部では災害復旧担当課を中心に関係業務に係る助言を行うとともに、盛岡広域振興局土木部が被害の大きかった雫石町に随時出向いて技術的支援を行っているところであります。さらに、公益財団法人岩手県土木技術振興協会では、調査設計から災害査定まで対応することとしており、その後の工事発注に係る設計、積算業務などにつきましても、災害関係業務を優先するよう全県的な調整を行って支援体制が確保できるよう努めているところであります。
 次に、土木関係業者における技術者の確保についてでありますが、県営建設工事の入札におきましては、入札不調が発生しているものの、随意契約への移行、地域要件の拡大、発注等級の見直しなどによりおおむね再入札で落札されておりますことから、請負工事に対する技術者は確保されているところであります。
 業界団体との意見交換では、今般の豪雨や台風18号に伴う復旧工事等を考えると県内の技術者、技能者だけでは不足する懸念があると聞いているところであります。技術者不足につきましては、主任技術者の兼任の要件緩和や現場代理人の兼任のほか、さらなる技術者の専任要件の緩和などを国へ要望しているところであります。今後、業界団体とさらに意見交換等を進め、入札不調の状況を踏まえて、復興JVの要件緩和等の対策について検討を進めてまいります。
 次に、今後の復旧見通しと対応策についてでありますが、災害復旧の前段となる国の災害査定につきましては、7月の梅雨前線豪雨に係る災害につきましては去る9月17日から10月4日まで、8月9日豪雨に係る災害が10月15日から11月1日までの各3週でおおむね完了する見込みとなっております。台風18号に係る災害につきましては、年内に国の災害査定が実施できるよう、現在、日程調整を行っているところであります。災害復旧工事の実施につきましては、国の災害査定が終了した箇所から順次緊急性等を考慮しながら発注し、早期復旧に努めてまいります。
 次に、大雨洪水、台風18号の復旧事業の復興事業への影響についてでありますが、内陸部の豪雨災害による公共土木施設の被害状況につきましては、10月2日時点の県及び市町村の被害報告で1、390カ所、約176億6、300万円となっているところであります。これらの調査や設計につきましては、東日本大震災津波による復旧、復興事業以外の業務委託を可能な限り一時中止するなどして優先的に実施しているところであります。国による災害査定は年内に終了する予定で進めることとしており、災害査定が終了した箇所から順次工事が発注されていくことから、今後、復興事業への影響を注視していくとともに、復興事業への影響ができる限り軽減されるよう、業界団体、関係機関などと意見交換、情報共有を図りながら必要な対策を講じてまいります。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 個人の敷地などに流入した土砂についてでありますが、個人の所有地については、その性質上、個人が撤去した土砂を受け入れるため、市町村において土捨て場や仮置き場を用意し、住民から持ち込まれた土砂を処分しております。なお、個人で土砂を撤去することが難しい場合には、地域住民やボランティアの御協力を得ながら土砂の撤去作業を行っています。
 市町村においては、住民にかわって土砂等を撤去する制度の活用を呼びかけたりボランティアのあっせんを行うことなどを通じて土砂の撤去に係る支援を行っております。県といたしましては、市町村等に対し、災害発生時の土捨て場やボランティアなど各種制度をあらかじめ住民に周知するよう助言をしてまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、被災温泉宿への支援についてでありますが、本年7月と8月の豪雨災害については、県では、被災した中小企業者を対象とした、長期、低利で県が保証料を補給する中小企業災害復旧資金の取り扱いを開始できるよう補正予算に盛り込むとともに、盛岡市、雫石町が行う温泉地の宿泊業者等の施設の復旧補助や風評被害対策に要する経費を支援するため、特定被災地域復旧緊急支援交付金を補正予算に盛り込んだところです。また、台風18号による災害への対応についても検討を進めているところでございます。
 次に、被災地における緊急雇用対策についてでありますが、これまで、被災企業の再建支援による雇用創出や緊急雇用創出事業によるつなぎ雇用の創出、さらには事業復興型雇用創出事業による長期、安定的な雇用の創出により、喫緊の課題である雇用拡大に取り組んできております。平成24年度末では、こうした取り組みと復旧、復興関連事業の求人増により、有効求人倍率は約1倍となったところです。このため、今年度は、民間への就職を促進するため、緊急雇用創出事業の規模を縮小したほか、復旧、復興や成長が見込まれる分野に対応した職業訓練の実施や、企業見学会、面接会の開催など、マッチングの促進に重点的に取り組んでいるところです。加えて、今年度末に緊急雇用創出事業等の雇用期間が終わる方々を対象としたアンケート結果を踏まえ、ハローワークや市町村と連携し、再就職に向けた面接会の開催や丁寧な情報の提供など、きめ細かく支援していくこととしております。こうしたマッチングなどの支援策や事業復興型雇用創出事業などを継続的に実施し、安定的な雇用への移行を促進しながら、目標である雇用の確保とその質の向上の達成に努めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、ドーム型スタジアムの建設についてでありますが、多目的屋内練習施設、いわゆるドームにつきましては、国体選手強化施設として整備を予定していたところでありますが、東日本大震災津波による影響や、国体開催までに選手強化施設として活用できる期間などを踏まえ、国体選手強化施設としての整備は断念したところでございます。今後のあり方につきましては、全体的に老朽化しつつある県営体育施設を今後どうするかといった点を含めて、総合的な見地から検討する必要があろうと考えております。
 次に、出場競技数減少の原因についてでありますが、東京国体の本大会への出場競技数は、37競技中34競技と、昨年の35競技に比べ1競技減となっております。出場できなかった競技は、バレーボール、ラグビーフットボール、ソフトボールの3競技となっております。出場できなかった3競技は、東北総合体育大会を勝ち抜く力を備えていなかったことが原因であると捉えておりますが、特にラグビーフットボールの成年種別につきましては、今回の東京国体から7人制となり、その対応が他県に比べおくれたことなどが影響したものと考えております。今後につきましては、出場の可能性が高い種別を重点強化し、全競技の出場を目指してまいります。
 次に、高校生や中学生等の強化対策についてでありますが、本年の全国中学校体育大会夏季大会における入賞状況は4競技、入賞数は5と、昨年の5競技、入賞数10と比べ減少となっておりますが、全国高等学校総合体育大会夏季大会における入賞状況は16競技、入賞数39と、昨年の10競技、入賞数30に比べ増加しているところであります。
 中学生は入賞競技数が減ったわけでありますが、サッカーでは県内2チームがベスト8に入るとともに、近年、予選リーグを突破できなかったバスケットボール男子とバレーボール男子が決勝トーナメントに進むなど、団体競技の活躍が目立ったところでございます。また、中学生、高校生とも、ここ数年のターゲットエイジ支援事業などの強化事業の成果が出始め、あと1勝で入賞というレベルにある競技もあり、全国との差も着実に縮まってきているものと認識しております。
 今後につきましては、岩手国体に向けて強化指定対象とした選手やチームを中心に、レベルの高い県外チームとの試合や合宿を通じ、質の高いプレーの経験を踏ませることにより、さらなる強化を図ってまいります。
〇11番(軽石義則君) 知事を初め、御答弁をいただきましてありがとうございます。
 確認の意味も込めまして再質問をさせていただきます。
 初めに1点目としまして、災害発生状況の把握についてであります。
 県のホームページに掲載されております岩手県河川情報システムによりますと、9月16日の台風18号による玉山区の古川橋脇に設置されている国土交通省管理の水位計、17時に5.31メートルの最高水位を記録した後に、その記録数字が記載されていない状況でありましたけれども、その原因はなぜだったのか把握されているのでしょうか。また、その後は正常に機能しているのでしょうか。そのことに対するこれまでの対応経過をお伺いいたします。そのほか、県内において同様の事象はなかったのか、お示しを願います。
 ゲリラ豪雨と表現されるくらい気象状況が変化しておりますので、危機管理をする上で、情報を正確に把握することで生命を守ることができると考えております。県内河川に設置されている水位計の設置基準と、その根拠についてお伺いいたします。
 また、設置基準や根拠が現在の状況に合わないとすれば見直す必要があると考えますが、この点についての見解と対応をお伺いいたします。
 次に2点目といたしまして、みんなで取り組む防災活動促進条例の取り組みについてであります。
 この条例においては、第13条、県民等の防災活動の支援及び第14条、災害時要援護者の支援体制の整備に係る支援に規定された施策を実施するということでございますが、これらの取り組みが今回のこれらの災害で役立ったものとなっているのか、今回の豪雨や台風においてどう生かされていたのか、その経験、教訓を、今後、どう取り組みに反映するのかお伺いをいたします。
 次に3点目といたしまして、雇用状況に係る地場中小企業の現状認識と支援などの対応についてであります。
 有効求人倍率はかなりの高水準になっておりますが、被災地におけるミスマッチが深刻になっております。このことに対する県の現状認識と今後の対応策については先ほどお聞きをいたしました。国においては、今後の経済対策と減税政策により、その効果を賃金に反映させると言っておりますが、このことによる岩手県への影響などについて、知事の見解をお伺いいたします。
 賃金の増額は、翌年の所得税に反映される給与所得としての内容を精査しなければならないと考えております。一時金などの手当的な賃金の上昇ではなく、ベースアップとしての反映でなければ、翌年の保障はありません。また、企業の業績は回復傾向にあっても、非正規雇用として人件費を抑制している現状においては、実質的な継続性を担保した可処分所得の増額確保にはなっていかないのではないかと考えられます。また、国が現在進めようとしている労働関係の規制緩和ができることによって、格差がさらに拡大されていくことにつながっていくのではないかと懸念をされます。
 岩手県はほとんどが地場中小企業中心であり、労働環境の悪化は、生産人口の流出につながっていくことも想定されます。加えて、復興需要によるなりわいの再生が終了した後に、継続した雇用環境を維持していくことも大切な取り組みであります。このような条件を含めての支援とされているのでしょうか。県内の地場中小企業の現状認識と今後の対応についてお伺いをいたします。
〇知事(達増拓也君) 国の今後の経済対策と減税政策の影響等についてでありますが、平成26年4月1日からの消費税の引き上げとそれに伴う対応について、国では、景気の腰折れを防ぐため、総額5兆円規模の新たな経済対策が閣議決定をされました。この対策では、公共事業などの経済対策や企業に対する減税と、復興特別法人税の1年前倒しでの廃止により、企業による賃金上昇につなげることとしています。このことにより、県内の中小企業の賃金上昇につながるかどうかは、円安による原材料や光熱費などコスト高の影響もあり、現時点では不透明であり、注視していく必要があると考えています。
 また、国に対しては、地方に根差した産業に十分配慮し、地方経済の落ち込みや復興のおくれを招かぬよう、県としてしっかりとした対策を求めていきたいと考えます。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 災害発生状況の把握についてでありますが、古川橋水位観測所の管理者である国土交通省北上川ダム統合管理事務所によりますと、水位局舎が浸水したことにより、計測不能となったものと聞いております。河川水位が低下した後、復旧工事に取りかかり、9月24日、9時からデータ配信を再開し、その後は正常に機能しております。
 また、県内のほかの水位観測所におきまして、台風18号の豪雨による欠測等はございません。
 水位計設置についての基準は定められておりませんが、氾濫域の資産状況や過去の洪水実績などを勘案してこれまで設置してきております。
 水位情報につきましては121カ所、雨量情報につきましては183カ所を、リアルタイムで県のホームページで公表しているところであります。
 ことしの豪雨被害の状況や市町村からの御要望等を踏まえながら、引き続き水位観測所等の整備を進めてまいります。
〇総務部長(小田島智弥君) みんなで取り組む防災活動促進条例の取り組みについてでありますが、県では、この条例の規定に基づき、昨年度は延べ37事業を実施したところでありますが、この取り組みの中では、地震、津波を対象とした取り組みや災害を限定しない取り組みが多いものの、今般の豪雨などの大雨災害を想定した取り組みとしては、土砂災害防止に関する研修会等の実施や、ハザードマップ、洪水浸水想定区域図の作成なども行われているところであります。
 こうした取り組みは、参加者等の防災意識の高揚や防災知識の習得につながっているものと考えておりますが、いまだ事業対象地区が限られており、全体としては、大雨災害を対象とした取り組みが少ない傾向にございます。したがいまして、今後の事業推進に当たりましては、大雨災害を対象とした取り組みを可能な限り取り入れ、今回得られた教訓が生かされますように、関係部局とも連携しながら取り組んでまいります。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 地場中小企業の現状認識と今後の対応についてでございますが、日銀盛岡事務所の本年7月、8月の岩手県金融経済概況によりますと、県内経済は緩やかな回復を続け、鉱工業生産には持ち直しに向かう動きも見られ、雇用情勢は引き続き改善しているとされております。
 一方、雇用の質や給与水準の向上については、県として依然重要な課題となっているところであり、そのためには、中小企業の経営力の向上はもとより、競争力のある産業の振興が求められていると認識しております。このため、県では、グループ補助金等による復興支援を初め、専門家による経営指導、商談会や商品開発指導による取引拡大の支援に加え、高度ものづくり人材の育成や、工程改善による水産加工業の生産性向上などに取り組んでいるところでございます。
 また、復興にかかわる短期的な雇用から、今後は長期安定的な雇用へと円滑に移行していけるよう、事業者に対して、事業復興型雇用創出助成金により支援を行っているところでございます。
 こうした中小企業に対する支援が、ひいては良好な雇用環境につながっていくものと考えておりますので、県としては、今後も中小企業が安定した経営を実現し、さらなる成長ができるよう取り組んでまいります。
〇11番(軽石義則君) 古川橋脇の水位計設置のお話をお聞きしましたけれども、私も現場に行って調査をしたときに、新しい古川橋ができて、多分、水位計はその前に設置をされていたので、堤防より低い位置にあった関係でそのような状況になったのではないかと推察されるわけですけれども、そういう状況がほかにもあるとすれば、水位計が堤防より低ければ、当然今回のような状況になるわけでございますので、ぜひ、今後そのようなところがあるかないかも含めて、県の施設も含めて調査をしていただくようにお願いをしたいと思いますが、そのことを聞いて終わります。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 古川橋の水位計、水位観測所につきましては、私も現地を確認しております。
 古川橋が高いのは堤防が高いということではなくて、右岸側、対岸の地形が高いために橋のかかっている場所が高いと。その前後は、堤防はかなり低いところにございます。そういう意味で、古川橋の水位観測所が特に低いところにあったということではなくて、今回の出水が極めて異例な高さまで上がったものだと認識しております。
 一方で、このような情報は非常に重要なものと考えておりますので、このようなことができる限りないように、今後の水位計の設置等についても考えて対応してまいります。
〇副議長(大宮惇幸君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時15分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 清 水 恭 一 君
3  番 名須川   晋 君
5  番 神 崎 浩 之 君
6  番 城 内 愛 彦 君
7  番 福 井 せいじ 君
8  番 佐々木 茂 光 君
9  番 佐々木   努 君
10  番 佐々木 朋 和 君
11  番 軽 石 義 則 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 後 藤   完 君
15  番 岩 渕   誠 君
16  番 郷右近   浩 君
17  番 高 橋 孝 眞 君
18  番 岩 崎 友 一 君
19  番 高 橋 但 馬 君
20  番 小 野   共 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 木 村 幸 弘 君
23  番 久 保 孝 喜 君
24  番 小 西 和 子 君
25  番 喜 多 正 敏 君
26  番 工 藤 大 輔 君
27  番 熊 谷   泉 君
28  番 嵯 峨 壱 朗 君
29  番 工 藤 勝 子 君
30  番 工 藤 勝 博 君
31  番 高 橋 昌 造 君
32  番 五日市   王 君
33  番 及 川 あつし 君
34  番 小田島 峰 雄 君
35  番 大 宮 惇 幸 君
36  番 飯 澤   匡 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 佐々木 順 一 君
39  番 及 川 幸 子 君
40  番 伊 藤 勢 至 君
41  番 樋 下 正 信 君
42  番 柳 村 岩 見 君
43  番 千 葉   伝 君
44  番 佐々木 大 和 君
45  番 佐々木   博 君
46  番 渡 辺 幸 貫 君
47  番 田 村   誠 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
 休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
 休憩前に同じ
午後4時33分 再開
〇副議長(大宮惇幸君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(大宮惇幸君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(大宮惇幸君) 日程第3、一般質問を継続いたします。小田島峰雄君。
   〔34番小田島峰雄君登壇〕(拍手)

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